○鈴木(強)
委員 森山さんもその方面の権威者ですから、ハードもあなたとはずいぶん長いこと論争もしてきましたけれ
ども、行き着くところは意見は一致するのですよ。こんなものは正当性だとかそんなものではないんですからね。ですから、あなたのいまの苦しい御答弁はわかりましたよ。しかしその中で、やはり政治的に解決してもらわなければならぬ問題、純然たる
技術者の立場から見ると忍びない問題が一方にはある。同時にまた、国際的な立場に立って日米の貿易のギャップを埋めるという大きな国策の上に立つと、またその面も全然無視はできないというので、非常に苦しい立場に立たされているということはよくわかるんですよ。
だけれ
ども、そこでひとつ考えてほしいのは電気
通信設備ですね。ハードなんかの問題は一たんおくとしても、一応設備そのものに対して通産省が、従来
日本におきましては
通信政策上かくかくの立場で来た、随意契約というものが一番いいんだ、そういう方針で来たところへ、
アメリカが、自分の国でさえ開放してないものを今度は
日本にやれと言うのだからむちゃくちゃなんですよ。そういうことをあなた方が言うのは無理じゃないですか、
日本の電気
通信機器がこれだけ飛躍的な
世界に負けない
発展をしたのは、こういうふうな努力を積み重ねてきたところに今日のレベルアップができたんだということをよく理解してもらって、少なくとも
アメリカですからね、
日本とのパートナーです。われわれが一番大きく信頼しなければならぬ国だと思います。ですからそれだけに、そういう事態をよく考えてくれればそんな無理なことは私は言わぬと思いますよ。現に業者の代表の方もこれは大変なことですから――さっきどのくらいの人が減るのか、中小のメーカーにどういう打撃を与えるのか、こういう点について武部
委員から質問がありましたけれ
ども、適切な答えはありません。しかし
通信電線機材メーカーの人たちは大変な騒ぎをしているわけですよ。東京で反対の大会も開いて
政府にも陳情し、みずからも
アメリカに行っておる。それから自由民主党の議員団の方々も
左藤先生を団長に一行五人が向こうに行かれておりますよ。私はその行かれた報告を正式に聞いたわけじゃありませんけれ
ども、三月十九日の電経新聞というのがございまして、その新聞、ここに記事がありますが、拝見すると、向こうでは何か大変よく
日本のことを理解してくれているのですね。言っていることがちぐはぐなんですよ。たとえばちょっと読んでみますと「十六日帰国した
伊藤宗一郎代議士は「米国側に売らんかなの姿勢がありありとみえたが、長期的な電気
通信機器の安定供給という点では信頼できないとみた」」こういうふうに述べておりますね。それで
「
アメリカの貿易赤字の三分の一が対日赤字ということもあって、何でもいいから
日本の
政府調達七十五億ドルを開放しろ、と言っている。もはや昔日の
アメリカではない。
日本に対するヒガミや焦りもあるようだ。
アメリカの危機感はわかるが、外国にものを売るには
日本のように努力をしなければいけない。根本的に考え方を改めなければならないだろう。米議会
関係者は
電電公社と指定していない。」この調達について、開放については。
「とにかく買ってくれという態度だ。米
政府は、
各国GNPなどから米国百二十五億ドル、EC百五億ドル、
日本七十五億ドルの
政府調達開放を要求している。これまでにまとまった
日本政府の三十-四十億ドルを七十五億ドルにまで増やすには
電電公社を入れなければならないが、現実に七十五億ドル買うということではなく、枠を七十五億ドルにしろということのようだ。従って米国が実際に受注できるかどうかは別問題だ。」非常に優秀な電気
通信機器についてもこういうことを言っているのですね。「
日本の電気
通信機器は優秀で、百加入当たり一カ月〇・六件と故障の少なさは
世界一で、
アメリカよりはるかに優れている。それにネットワークは統一した設計思想のもとに一貫した有機的なシステムとして構築されるものであるから、外国の機器は入れられない。それはベル・システムも同じではないか、と主張したのだか「故障を起こすような機器しか
アメリカは作れないと言うのか。故障なんてどうということもない」と開き直るし、どうも信頼がおけない印象を受けた。」こういうような報告が載っているわけですね。それから、もう一人前田
先生が一緒に行かれたようですけれ
ども、東京ラウンドの問題、昨年八月にオレンジ、牛乳のものがありましたね。ミッションが来たりしました、米国にも行ったり。ところが、今度の
電電公社の資材調達の問題については、少なくとも皆さんの感触としては、米国の電子工業とか
通信工業界が主体性を持って、どうしても
電電公社の資材調達を取り上げてくれ――オレンジだとか牛乳のときには向こうの農民がこぞってやったわけですね。ところが今回の場合にはそうでない、こう言っているのですね。ですから、いろいろ政治的な
関係でとにかく無理難題を押しつけてきているというのが今日のこの開放問題ではないかと思うのですよ。ですから、そういう点をようく考えていただいていくならば、もう少し――赤字のしわ寄せを農畜産物に持っていった、それでも足りない、今度はどこかないか、
政府調達品だ。
政府調達品でも、もっと
政府が考えてみて、
電電公社の電気
通信政策というものを基本的に守りつつ、できるだけの協力はしなければいかぬと私も思いますよ。しかし、本質的な、基本的な思想、
政策を変えることは許されない。そういう点では、もっと
アメリカと相談をしていけば
アメリカもわかってくれるのではないか、その努力が不十分ではなかったかと私はつくづく思うのです。その辺を通産
大臣が本当にどれだけ理解しておってくれたのかということについて、私は疑問を持つ。外務省もそういうことはよくわかりません。結局外務省というのは国際政治の方にどうしても引きずられますよ。ですから、通商
関係を主体にするあなた方と、国際
関係の問題とが絡んで、そして正しい
政策というのがゆがめられていく、そういうことになっているのが今日の実情ではないでしょうか。私はそう思わざるを得ない。その点あなたは
大臣じゃないからちょっと気の毒だな。政治屋じゃないからちょっと気の毒だけれ
ども、それがよく江崎さんにわかっているだろうか。私は商工
委員会の議事録も読みましたけれ
ども、わかっていれば、われわれがもう少し納得できるような答弁をしてくれてしかるべきではないか。自民党の中にも、実際に行ってみた人たちは
アメリカの事情はよく知っているのですよ、私たちは残念ながら行けませんでしたけれ
ども。そういう事情を通産省、よく知っていますか。