○鈴木(強)
委員 わかりました。ありがとうございました。
NHKの予算の本題に入りますが、私は予算書を拝見しまして、五十四年度の予算は一体どうなのかという
心配を実はしておりました。五十三年度ですでに事業収支差金で赤字が二十九億ございまして、資本支出の充当が八十九億、合計百十八億というものが実際には足りなかったわけです。それをこの一年間努力をされて、六十億の
節減をしていただいた、結果的に五十八億円の赤字で抑えることができた。これは協会が予算審議の際のわれわれの
意見を十分理解していただいて、経費の節約に努力していただいた結果だと思いまして敬意を表します。
しかし、五十四年度予算では、やはりマイナス百五十二億円、こういうことになっておりまして、債務償還の充当金五十九億を加えると、二百十一億と赤字の額はふえてまいりました。それに来年度では約四百三十五億の倍額の赤字になる、五十六年度は六百三十三億、約三倍の赤字が出る見通しでございます。
そこで、前からもいろいろ御
意見がございましたが、いま
NHKは経営的に見て、
財政面では非常に重大な危機に来ている、私はこう思うのです。ですから今後とも格段の努力をしていただかないと困る、こうつくづく思うのです。
郵政大臣も所見を述べておられますが、いずれにしても、五十四年度予算を五十三年度予算同様に、百五十二億のマイナスを最小限に食いとめていくように、最善の努力をしていただくわけですが、それには、五十五、五十六と三年間のこれからの長期
財政見通しというものを私
たちは拝見しましたけれ
ども、この前提になっておる事業の合理化、簡素化、そして経営姿勢をより一層
視聴者の方に向けて最善の努力を尽くして、おれ
たちの
NHKがいま危機になったんだ、おれ
たちの力で
NHKをさらに前進させるためには
考えなければならぬ、そういう実感を
視聴者の方に持っていただけるような最高の経営努力をしなければいけない時期に来ていると私は思うのです。
それには一体何をするのか。何といったって、新規の契約は頭打ちをしているといえ
どもそれを掘り起こして、世帯非世帯にかかわらず最善の努力をして、五十五万を六十万にし、七十万にしていくという新規契約の増加だと私は思うのです。同時に、不払いになっております減価償却、これが年々ふえていっておりますね。こういう問題をいかにして食いとめるのか。さらに、
政府としてもこの際、難視聴の問題を含め、あるいは国際
放送の問題を含めましてできるだけの支援をしていく、もちろん公共
放送でございますから、筋の違った支援をしてもらうなんというようなことは
考えられないわけでございますが、特にこれから具体的に幾つか
質問いたします。
たとえば難視の問題にいたしましても、これは
昭和二十五年の
放送法制定当時の第七条であって、
NHKが全国あまねくラジオが聞けるような
放送をしなければならないと義務づけたのは、当時中波のころなんです。
テレビは二十八年に本
放送になったのですから、
テレビの場合にはラジオと違いまして非常に至難だ。ですから、今日に残された五十数万の世帯というのは、大変な苦労をして、金もかかる、時間もかかる、ミニサテを幾ら使ってみたってなかなか解決しない、そういう段階で、ことし二億何ぼかの辺地局等に対しての援助資金が出ているわけです。また、国際
放送ですから、さっきも論議がありましたけれ
ども、国がやるべきことを
NHKがかわってやっているのですから、本来国際
放送に関する金は全部国が出すべきだと思うのです。だからといってこれが官営の国際
放送になるはずはない。そこには厳とした
放送があり、その
放送権は
NHKが持っているはずです。ですから、そういう
意味において、今後
政府もできるだけの支援をしなければいけないと思います。特に、
大臣に申し上げましたように、
放送法の改正、こういったものはやはり
時代に即するような形に持っていかなければいけないのです。たとえば
NHKの
受信料にしても、契約をしなければならない義務はあるが、
受信料を払わないときの法的な対応策がないのです。これについても、答申ではちゃんとやりなさいとうたっているのです。やるべきことをやらないでおるところに
一つの
行政の怠慢があるのですよ、これは。
そうやってみんなで自分
たちの
NHK、
民放と公共
放送とが並立をしていく
日本の
放送界において、やはり
NHKに期待するものは大きいわけですから、そういう努力をやってほしい。いまも
皆さんお聞き取りのように、
民放にはどういう経緯にしても、これはスポンサー料でございましょうが、五十二億円というものが五十四年度予算に組まれて、昨年も四十六億、こんな膨大な予算が組んである。さっきも言った国際
放送でも、国家
財政がどうとかこうとか言って、そして本来の援助をしていない。三十三億かかるものがわずか八億くらいでお茶を濁されてしまって、約二五%くらいの交付金しか出していないのですからね。こういう点をちゃんとしなければ、これから三年間の見通しを立てても私はなかなか問題の解決にはならぬと思うのですよ。だから
NHK側もそれらの点を踏まえて、本当に真剣に、真っ裸になってやってもらいたい。いままでのように
NHKが何か特権的な
立場に立っている
時代は過ぎたのですよ。
民放をごらんなさい。もう
財政的にも非常に優位になってきている。みんな押されてくるじゃないですか、どんどんと。いままでのような、
日本放送協会が発足以来やってきたような姿ではだめなんですよ。だからやはり、よく
NHKは官僚的だとか姿勢がどうとかいうことも出ているけれ
ども、そういう批判には謙虚に耳を傾けて、本当に私
たちは
国民の
NHKの仕事に携わっているのだという誇りと自信を持ってやっていただいて、あらゆる努力をしていただいて、それでもなおかつ生ずる赤字については、私は
視聴者がこれを納得してくれないはずはないと思うのですよ。そういう努力をしてこそ初めて
NHKの
財政危機は乗り切れると思うのですよ。さっき阿部
委員も言っておりましたけれ
ども、われわれは料金値上げということはできるだけ抑えなければならぬ。しかし、だからといって公共料金は何でも反対なんということは言いませんよ、これは。それにはやはりいまのような真摯な経営努力というものが二千八百万の
視聴者全体に納得できたときに初めて動いていくのですよ。そういう点を、釈迦に説法のようなことを言って恐縮ですけれ
ども、十分踏まえて私は
会長以下やっていただいていると思いますけれ
ども、ただ細かいことはまだこれからでないとわからぬとか、
委員会に協議をして相談するとか、そんな抽象的なことじゃだめですよ。
皆さんは、かくかくの努力をしたがなおかつこれだけの赤字が出る見通しでということを、さっき申し上げたような契約者の問題から、料金の収入の問題から、経営姿勢の問題から、
番組のよりよい
編成から、そういうものをあわせて、こうやったけれ
どもこうだということが述べられてないじゃないですか。なぜそれをここで述べないのですか。そういうことはまだやられていないのですか。いままでのような形でつくったものでこうなりますというものなんですか。その点どうですか。