○加藤(万)
委員 参考にされるということですが、むしろそこに視点を置かないと本当の
意味の
財政再建はできないのじゃないか。私はそれが全部のトータルとは思いませんけれ
ども、そこを軸にして動かしていかないといけないのではないかということを重ねて申し上げておきたいと思うのです。
これは
財政課長の矢野さんがある雑誌に書かれているわけですが、本年度の
予算、五十三年度の後半ないしは五十四年度の当初経済見通しないしは
日本の経済の
あり方という中で、幾つか視点を挙げられているわけですね。たとえば内需の振興であるとか、雇用の安定であるとか、雇用機会の増大であるとか、対外均衡をどうとるのかとか、こういう角度で
日本の経済は進み、同時にそこに国の
予算の重点も置かれている、一言で言えばそういう書き方になっているわけです。したがって、
予算の中で今日の
財政再建をするとすれば、いま言った各項目を各
地方団体へ、ときにはどう
整理をし、ときには自主的に管理をさせ、ときにはある部分をどう
拡大するか。たとえば内需の
拡大と言えば、
地方団体がどうその内需面を
拡大していくか、そういう
方向に権限を与えるべきだ。ないしは、たとえば
地方自治体の減量経営についてもその権限を与えていく。そういうことをしないと、本来の
地方団体の赤字の克服はできないのではないか、こう思うのです。
そこで問題は、そういうことになりますと、当然各首長に
相当の裁量権を与えるということになるわけですが、当初申し上げましたように、
日本の中央一元的な集約は、主務
大臣ごとの縦割り
行政が非常に根強く入っちゃっているわけですね。ですから、主務
大臣の権限、いわゆる縦割り
行政の権限を超えて各首長が裁量権を持たなければ——超えてというのはおかしいのですが、縦割り
行政の部分を少し小さくして、そして横割りのところに裁量権を与えていく、そういう角度をとらなければ、本当の
意味での従来のふくれ上がった、たとえば
補助金にいたしましても助成金にいたしましても、あるいは産業基盤整備にいたしましても、各首長さんの、ここはもう現実問題としては必要ない——必要ないとは言いませんが、ここのところよりもこっちが重要だ、そういう裁量権が出てこないのではなかろうか。したがって、その裁量権のないところにずるずる数量的なものを
拡大する、
拡大したものは足りないから今度は一般消費税でする、こういう方式になってしまうのではないだろうか。
そこで、そういう
意味ではいまの
行政をやはりいろいろな形で再点検、区分
整理をしてみる、こういうことが必要ではないだろうかと私は思うのです。縦割り
行政の中でもっぱら国の利害にかかわるものはどこの部分、したがってこれは当然のことですが、中央の主務
大臣の所管事項としてそれは扱ってもらう。それからもっぱら住民、自治体に
関係のあるもの、たとえば従来ですと公害問題などは縦割りでいけば、たとえばチッソの工場があり、そのコンビナート工場から排出されたものか
地域で受けとめられている。今度は上の工場という部分がなくなってきて、水銀公害だけが住民の側に残るわけですから、今度はそこにおける裁量権というものは、たとえばチッソがいいかどうかは別としまして、そういう角度での裁量権を各
地方団体の長に与えていく。もっぱら住民の利害にかかわる問題は、そこはもうできる限りいまの
行政から外して
地方団体に権限を移譲していく。それから国と自治体との両方にまたがる問題、これは過渡的なこともありましょうし、あるいはむつ
小川原のようにまだまだこれからああいう形での開発計画というのもあるわけですから、これは国と
地方自治体の両方にかかる。こういう区分
整理をして、その区分
整理の中でこの
行政は
地方団体に移譲する、この許可、認可は国がそのまま確保する、そういうことをされていきませんと、せっかく各首長さんがいろいろな
行政改革の提言をされ、
補助金の
あり方とかなんとか提言されていますけれ
ども、その基本のところが締まってまいりませんと、
行政の一川化だとかあるいは二重権限行使だとか、許可、認可の分類だとか、そこができないのじゃないか。そこを
整理しない限り、逆に言えば赤字
財政の問題の解決はできない。どうでしょう。
きょうは時間がありませんから、実はこの中身を、これは全国知事会臨時
地方行財政基本問題研究会が五十三年十一月十日にまとめられた「新しい
時代に対応する
地方行財政に関する今後の
措置についての報告」という非常に膨大なもので、ぼくは二、三
事例を挙げて御
質問しようかと思いましたけれ
ども、時間的なことがありますのでいたしませんが、そこの区分、いわゆる
行政あるいは許可、そういったものを含めていま言った区分をきちっとして、その中で幾つか提言されているこの問題は、これはひとつ
地方自治体に移譲しようじゃないか、この
補助金はこういう総合化をしよう、
メニュー化をしよう、こういう形をとられていくのがいいんじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
その場合、その区分をする際に国と
地方自治体とで思い切って協議機関を設けて、そしてこの提言と、国側でも提言があるわけですね、
地方制度調査会なんかも提言をしていますから、そういうものを含めて国と
地方自治体で協議機関を設けて適正な区分をこの際行い、同時に、その区分に基づいて許可あるいは二重
行政権限あるいは
補助金あるいは助成金、そういうものを含めて
整理されていく、これが
一つの道ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。