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1979-04-24 第87回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十四日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 松野 幸泰君    理事 大西 正男君 理事 染谷  誠君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 和田 一郎君       相沢 英之君    石川 要三君       木村武千代君    谷垣 專一君       地崎宇三郎君    藤井 勝志君       与謝野 馨君    大原  亨君       加藤 万吉君    古川 喜一君       細谷 治嘉君    小川新一郎君       権藤 恒夫君    斎藤  実君       永末 英一君    三谷 秀治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 金子 一平君         自 治 大 臣 澁谷 直藏君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      福田 幸弘君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省理財局次         長       吉本  宏君         大蔵省理財局次         長       迫田 泰章君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         自治政務次官  大石 千八君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治省行政局長 柳沢 長治君         自治省財政局長 森岡  敞君         自治省税務局長 土屋 佳照君  委員外出席者         経済企画庁調整         局調整課長   赤羽 隆夫君         経済企画庁調整         局産業経済課長 田中  努君         経済企画庁総合         計画局審議官  高橋 毅夫君         大蔵省主計局主         計企画官    伊藤 博行君         大蔵省主計局主         計官      足立 和基君         大蔵省主税局税         制第二課長   大山 綱明君         文部省初等中等         教育局地方課長 加戸 守行君         文部省初等中等         教育局中学校教         育課長     垂木 祐三君         文部省初等中等         教育局企画官  宮園 三善君         厚生省公衆衛生         局地域保健課長 杉山 太幹君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 七野  護君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部財         政課長     丹羽  晟君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     中村  徹君         日本国有鉄道理         事       高橋 浩二君         日本国有鉄道経         理局資金課長  中村 重雄君         日本国有鉄道旅         客局総務課長  須田  寛君         日本電信電話公         社計画局長   福富禮治郎君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     天野 光晴君   石川 要三君     早川  崇君 同日  辞任         補欠選任   天野 光晴君     相沢 英之君   早川  崇君     石川 要三君 同月十九日  辞任         補欠選任   石川 要三君     早川  崇君 同日  辞任         補欠選任   早川  崇君     石川 要三君 同月二十日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     岡田 春夫君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     加藤 万吉君 同月二十四日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     北山 愛郎君     ————————————— 四月十一日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(相  沢英之紹介)(第二九八五号)  行政書士法の一部改正に関する請願嶋崎譲君  紹介)(第三〇三五号) 同月二十日  行政書士法の一部改正に関する請願外一件(藤  井勝志紹介)(第三一〇六号)  同(宮澤喜一紹介)(第三一三一号)  同(奥田敬和紹介)(第三一四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)      ————◇—————
  2. 松野幸泰

    松野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 若干かぜを引いておりますので、時ならぬかぜなんですが、お聞き苦しいと思いますが、ひとつ御容赦をいただきたいと思っています。  交付税法関連をして、以下いろいろお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  私どもは、常々、現在の自治省財政措置交付税法の違反ではないかというふうに追及をいたしてまいりました。法六条の三の二項の「制度改正」というのに現行の処置は当たらないのではないかと考えておるわけであります。  そこで伺いたいのは、二分の一を国が見る、言いかえるならば、二分の一を地方が見なければならないというのが制度改正に当たるのかどうかという問題ですが、全額国が見ていくのが当然だと思っていますが、それでは制度改正にならないということで二分の一の負担をすることにしたのか。全額国措置をしていくことにしていく方が当然だと思っておりますけれども、この点についていかがですか。
  4. 森岡敞

    森岡政府委員 地方行財政制度改正内容をどのように解釈するかという問題につきましては、かねがね当委員会において御議論のあったところでございますが、政府といたしましては、法律はかなり幅広い選択を許している、恒久的な制度改正ももちろんこれに該当いたしますが、暫定的な制度改正もその中に当然含まれる、そのようなことから、総額借入金によって確保し、将来において二分の一を国庫負担してもらうというのも当然法六条の三第二項に規定いたしております地方行財政制度改正に該当するというふうに解釈をいたしておる次第でございます。  問題は、いまお話しのように借入金全額国庫負担してもらっていいじゃないか、こういう御意見は確かにあるわけでございます。しかし、将来の国と地方財政状況あるいは財源配分、いろいろ考えてまいりますと、たとえば地方一般財源、これは大宗が地方税地方交付税でございますが、そのうち国税の動向によりまして影響を受ける部分というのは大体二分の一程度というふうに考えられます。それからまた、これもかねがね申し上げておりますように、国と地方との一般財源割合は、交付税地方に寄せて再計算しますと半々ということになっておるわけでございます。そのようなことを彼此勘案いたしまして、国の将来における償還費負担は二分の一というふうに大蔵省との間で考え方の合意を得て、そのような法案を五十三年度に提出し、御審議をいただいて成立したわけでございます。私どもといたしましては、そのようなもろもろ状況を考えまして二分の一の国庫負担ということで努力をしてまいるというふうにいたしたいと考えておる次第でございます。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 二分の一を国が見ていくということなんですが、将来にわたって国が全額を見るというふうな方向を打ち出していくことは可能なんですか、ほとんど望み薄といいますか、絶望に近い状態なんですか。
  6. 森岡敞

    森岡政府委員 経緯につきましてはいま申し上げたとおりでございます。ただ、二分の一の地方財政償還責任を持たなければならない部分につきましても、これは当然その償還費地方財政計画歳出に計上いたしまして必要な財源措置は的確に講ずるわけでございます。したがって、それもまた国の税財政制度の中で、国家財政地方財政双方含めました税財政制度基本的な改正の中で必要な財源措置を保障していくわけでございますから、結論的に申しますと、地方団体財政運営に迷惑をかけることはないというように私どもは考えています。  そういうことでございますので、成立いたしました五十三年度法の考え方を将来にわたって変更をするという考え方は私どもとしては持っていないのでございます。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 いや、いま言われることはわかるのですが、国の税収の減によっていわゆる交付税総額が確保されない、こういう結果としていまのような措置がやられておるわけでありますから、私どもは何としても理解しにくいわけですね。そういう意味では、当然私は全額を見ていくような方向に向かって努力をしていくべきではないかということを申し上げておきたいと思っています。  そこで、国税増収が期待をされない、国税減収状況である、こういうことで多額の国債が発行されておるわけですが、国債発行下地方財政についてはどのようなお考えに立っておりますか。
  8. 森岡敞

    森岡政府委員 この点につきましては、国家財政が四十一年度から本格的に国債を含めた財政運営に入りました時点にかなり議論が行われたことは御承知のとおりでございます。そしてまた、一部に、いまお話しのように、たとえば国債発行額交付税にリンクさしてはどうだろうかという意見もあります。あるいはまた、建設国債は別として、赤字国債についてはそのような措置をとってはどうだろうか、こういう意見もあるわけでございます。しかし、基本的に交付税制度と申しますのは、申し上げるまでもないことでございますが、国と地方税源配分の一環として設けられておる制度でございますから、ここはやはりその基本に即して考える必要がある。したがって、国債あるいは赤字国債発行額交付税にリンクさせるということはいわば権道でありまして、正道ではないというふうに私どもは思うわけでございまして、そういう意味合いで、必要な交付税総額が不足いたします場合にはいままでとってまいりましたような各般の補完的措置でやる。構造的に足りない、現在そういう状況になっておりますが、それに対処いたしますためには、租税負担の増加を含めて地方税及び地方交付税という一般財源の大幅な増強を図っていく、そういう基本的な姿勢をとるべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 税の減収に伴って国債が発行されているわけですから、国債のうちには三税の増収を期待できない分が当然あるわけですね。そういう意味で、交付税にリンクさせるべきではないかという主張をいたしておるわけでありますが、国債一定限度のあるパーセンテージを交付税で見ていくという方向はとれないのですか。
  10. 森岡敞

    森岡政府委員 仮に国債発行額一定割合交付税にリンクさせるといたしますと、その分ははね返って国債の増発ということになりませんと、国家財政の歳入は不足してまいります。そのような措置をとるのがいいのか、あるいは地方財政としていままで行ってまいりましたような特別会計借り入れによって措置をする、利子は国費でちゃんと見てもらうというふうな形で、かつ、将来の償還費について国の責任を明確化していくという形がいいのかという、その選択の問題だろうと思うのであります。  それで、国家財政が現在のような破局に近い大変な状況になっておることでございますので、これ以上国債交付税分だけ増発するということは、国庫当局としては、これは私どもから見ましてもとうてい困難なことではないだろうか、厚い壁があると思うわけでございます。そういう意味合いで、いままで特別会計借り入れ、将来の償還費についての国の責任を明確化するという措置をとってまいったわけでございますが、その方が現実的であり、合理的ではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 いいでしょう。いまの議論はどうも水かけ論になるようですから結構です。  そこで、本年度の春闘も大体大詰めの段階をあす、あさって以降迎えてまいるわけでありまして、大体六%前後ぐらいに落ちついていくのではないかというふうに思って見ているわけでありますが、これに伴って、当然地方公務員の賃上げもやがては実施されるわけであります。本年はたしか二・五%の財政措置がしてあるわけでありますが、そのいわば差額を含めた財政措置状況はどうなっておりますか。
  12. 森岡敞

    森岡政府委員 お示しのように、給与改善費につきましては、地方財政計画上二・五%の計上をいたしております。地方公務員給与改定のレベルがどうなるかということにつきましては、お話し春闘状況その他が固まりませんと、現段階ではいまだ明確ではございませんが、仮に計上いたしました二・五%の改善率を上回るということになりました場合には、御承知のように、地方財政計画上三千五百億円の予見せざる歳出に充てるためのいわば予備費的な歳出を計上いたしております。これは災害等も含めて予見しがたい歳出に充てるための予備費的な経費でございますが、この中でおさまり得るような金額でありますれば、それでもって措置をしてまいりたい。もし、それがそうでない、これを上回ってしまうような金額に相なりますれば、別途必要な財政措置を講じます。いずれにいたしましても、各府県、市町村の給与改善に支障のないように的確な財源措置は講じてまいりたい、かように思っております。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 予備費的な性格の財源は見てあるわけですが、いま御答弁のように、それでも足らぬ場合には別途財源措置をするということですから、地方団体のいわば給与改善に必要な経費については絶対太鼓判を押すというか、責任を完全に持つ、こういう理解でよろしいですか。
  14. 森岡敞

    森岡政府委員 そのように考えております。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、これは恐らく官房長だろうと思うのですが、自治省職員定数は現在何名ですか。
  16. 石見隆三

    石見政府委員 四月現在におきます自治省定数は、本省で三百九十一名、消防庁で百六十五名、計五百五十六名ということに相なっております。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省本省で三百九十一名だそうですが、現員は何名ですか。
  18. 石見隆三

    石見政府委員 実員は自治本省で三百九十八名となっておりまして、定数に比較いたしまして七名増となっております。定数につきましては別途調整定数を認めていただいておりますので、その枠内で七名増ということになっております。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省から天下っている職員、表現が悪いといえば、地方派遣をしている職員の数は現在何名ですか。
  20. 石見隆三

    石見政府委員 自治省から地方に出ております職員につきましては、ちょっとその実態と申しますか、本来、県から出てまいりまして自分の県に帰りました者とか、そういうものもございまして、その辺をどう見るかという若干の問題はあるわけでございますけれども、大まかに申しまして、現在地方に出ております職員は約二百名というふうに理解をいたしております。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 それから、地方団体から派遣をされて自治省本省に勤務をしている職員がおるはずです。私の県でも二、三名いると思うのです。名目研修とかなんとか言っておるようでありますけれども地方から自治省に来ている職員は現在何名ぐらいおりますか。
  22. 石見隆三

    石見政府委員 地方から自治本省に来ておりますいわゆる幹部職員、現在の段階では課長補佐でありますが、幹部職員として来ております者が五名でございます。そのほかに研修生が、二期に分けまして年間五十名出向してまいっております。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 年間五十名だそうですが、これは予算関係もあるでしょうが、実際には自治省の三百九十一という定数が不足をしている、非常に少ないということで、実は研修というような名目をかりて自治省手足としてお使いになって初めて自治省の本来の仕事が成立しているというふうに私は思うわけですね。そういう意味では、当然大蔵に対して、自治省定数をもっとふやしてもらわなければならぬというのが実態だろうと思うのですが、いま自治省地方から派遣されてきている五名の幹部職員と、そしてまた五十名の研修生の費用は、自治省持ちですか、地方持ちですか。
  24. 石見隆三

    石見政府委員 五名の幹部職員につきましては国の方で給与を持っております。研修生につきましては、一年間の期間を限って自治本省研修をいたしておりますので、その経費と申しますか、給与費等につきましては、出しましたそれぞれの地方団体負担をいたしておるという状況でございます。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 実際は、自治省の本来の仕事をやっていく手足としてお使いになっているというふうに私は思うわけです。研修を年何回程度どうやっておるかは別として、実際には自治省本省の中で正常な形で業務に従事をしている、こういうふうに見ていいのでしょう。自治省に行ってもそういう状態でおりますから、恐らくそういう形になっているわけでしょう。
  26. 石見隆三

    石見政府委員 御案内のとおり、自治省設置法によりますと、自治省の任務といたしまして地方公務員研修ということが掲げられておるわけであります。当省におきましては、この規定に基づきまして自治大学校におきます講義形式による研修をやっておるわけでありますが、そのほか、ただいま先生のお示しにございましたように、地方団体の要望にも沿いまして、自治省業務に直接参画して地方自治に関しまするもろもろ制度企画立案あるいは運用業務に携わっているわけであります。この人たちはいわゆる研修生でございますので、もちろん、そういう仕事を通じてそのような研修ということをねらいといたしております。実務研修の中身といたしましては、職場研修集合研修課題研究等を通じまして、あるいはいま申しました日々の業務を通じまして研修を行っておる。その限りにおきまして自治省仕事一翼も担っていただいておるということでございます。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 研修も確かにやっておるのでしょうが、自治省業務一翼を担っているというのが実態であろうかというふうに思っております。実際に、自治省から地方派遣をしているいわゆる天下りの職員は、地方がこれを全部負担をしているわけですね。私はこういう姿は正常ではないというふうに思うわけです。やはり自治省定数が足りないというふうに思うのです。ですから、自治省本来の業務をやっていく上に、いわば補い方としてそういう制度が活用されていると言えばそれまでですが、そういう形になっておると思うのです。もっと自治省職員定数をふやす必要があろうというふうに私は思っておりますが、いま官房長がお答えのとおりの実態でありますけれども、この点について大臣はどうですか。
  28. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 御指摘のように、自治省の担当しております仕事の分量、内容、そういったものから見て、現在の定員が十分であるというふうには私も考えておりません。しかしながら、一方において国の財政がこういう状態でございますから、できるだけ国の経費というものを抑制しなければならぬという非常に強い要請もあるわけでございますから、そういう点を十分踏まえて、現在の定員最大限努力をしていくことが適当である、このように考えております。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 現在の定員最大限努力をするということはわかるのですが、もっと大蔵に対して、大臣が率先して強く要求をしてふやすような姿勢でおってもらわなければ困ると思いますので、ぜひひとつこの点要望しておきたいと思います。  また、保健所関連をして若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  自治省は、一月の末に財政課長内簡を出しまして、五十四年度の予算編成に対しての指示をいたしているわけであります。この中の歳出部分なんでありますが、いまちょっと読み上げますとこんなことが書いてあります。「なお、保健所等補助職員委託職員等については、国の定員削減方針によりこれらにかかる国庫補助金委託費等削減されているものもあるので、この削減が結果的に地方団体負担増をもたらすことのないよう地方団体も確実に対象人員削減する等により対処されたい。」こういうような指示を出しているわけであります。補助金にかかわる職員、わけても保健所職員等ということで、保健所職員に対して強い指示が出されているわけですね。昭和四十三年以降昭和五十四年度までに三千百二十五人が削減をされている勘定になっておりまして、保健所はいま兼務兼務ということで、一人の職員が幾つもの職を兼務しているという非常に苦しい行政運営をやっているのが実態であります。  そこで自治省伺いたいわけですが、保健所財政的にも人的にも大変苦しい運営を強いられている実態理解をしているのかどうか。こういうことと同時に、地方団体の膨大な超過負担にあえぎながら保健所運営をしている実態をどう受けとめておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  30. 森岡敞

    森岡政府委員 御質問の中にもございましたように、この点につきましては二つ問題があると思います。  一つは、超過負担の問題であります。当委員会でもしばしば御指摘のように、国庫補助負担金関連いたします超過負担解消が、数年来の努力にもかかわらず、なお依然として完全解消に至らないということが地方財政上の大きな問題になっております。その中で、補助職員の問題につきましては、各県とも非常にやかましい問題になっているわけでございます。政府方針といたしまして保健所職員定数削減が行われます以上、それに見合った削減をいたしませんと、これは完全な超過負担になるわけでございますので、私どもといたしましては、財政運営基本から申しますれば、いまお読み上げになりましたような内簡に書いております考え方をとるのは当然のことだろうと思うのでございます。  ただ一方、保健所業務複雑多様化、あるいは住民のニーズという面から、保健所業務に従事する職員の数が大変問題になっておるという面が確かにあろうかと思います。私どもといたしましては、それにつきましては関係省に対しまして、十分実態に合うような配慮をしていただきたい、一律の定員削減というふうなことでなくて、実情に即した考え方をとって対処していただきたいということをお願いしておるのでございます。いずれにいたしましても、今後さらに引き続き関係省十分協議をして、適切に対処してまいりたい、かように思います。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 超過負担実態があるわけですね。  そこで伺いたいんですが、いまのような人員削減によって超過負担の発生を防ぐということもあるわけでありますが、五十四年度として、保健所超過負担解消計画をお持ちなんだろうと思いますけれども、実際にはどういう計画超過負担解消をやっていこうとされておるわけですか。
  32. 杉山太幹

    杉山説明員 御説明申し上げます。  ただいま御質問のありました五十四年度における保健所超過負担解消策でございますが、まず職員給与費につきまして、昭和五十年度に大蔵自治、厚生三省によりましてその実態調査したところでございます。同様の調査を五十三年度にも実施いたしまして、その結果に基づきまして、給与実態に合わせました改善措置を五十四年度に講じようとしているところでございます。  具体的に申しますと、保健所職員のうち医療職につきましては、医療職(一)表、(二)表職員についてそれぞれ一号俸アップ、さらにまた行政職対象職員につきましても一号俸アップの措置を講じているところでございます。
  33. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいま厚生省の方からお話しになりましたような内容でございますが、金額的に申しますと、措置額は総額で三十六億五千五百万、国費ベースで十二億二千五百万ということに相なっております。
  34. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省にもし保健所に対する理解と認識があるとするならば、私は、財政課長内簡でなぜ削減を強く指導をしているのか大変疑問に思っております。保健所だけを目のかたきにしているような感じを受けるわけでありますが、なぜ特別に保健所等というようなことで、財政課長内簡にもそういう表現を使って保健所だけに対して矢を向けたのか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  35. 森岡敞

    森岡政府委員 補助職員定数削減の最も端的な例がこの保健所職員補助金であったものでございますから、それを例示として挙げたということでございます。  保健所業務の重要性についての認識は、私どもとしては十分理解をしているつもりでございます。
  36. 小川省吾

    小川(省)委員 保健所の職務の重要性については十分に理解をしておると言われるわけでありますが、私は、自治省保健所のいわゆる業務運営についての理解と認識が足らないのではないかというふうに思っておるわけでありまして、ぜひひとつ今後も理解と認識を深めていただいて、保健所だけを目のかたきにしてやっているような内簡、いわばいまの行政指導というものをぜひ改めていただきたい、こう思っておるわけであります。  次に、厚生省にお聞きをしたいわけですが、厚生省が国の定員削減計画昭和四十三年度以降第四次までの定数削減をやってきたわけですが、この実態を年度別に具体的に明らかにしてほしいというふうに思いますが、どうですか、資料として出していただけますか、それとも具体的な説明でやっていただけますか。
  37. 杉山太幹

    杉山説明員 御説明いたします。  保健所職員定員削減につきましては、ただいまの御質問にもありましたように、昭和四十三年を起点といたします第一次削減計画から、さらに五十二年を起点といたします第四次削減計画まで実施しているわけでございまして、具体的な数値で申し上げますと、四十三年から四十六年の第一次では、実施いたしました削減定数は千百三十一名でございます。なお、第二次につきましては、これは四十七年から四十九年でございますが、千九十七名、さらに第三次では五百四名、第四次では、これは五十五年までの計画でございますが、五百二十四名となっております。
  38. 小川省吾

    小川(省)委員 国の定数削減関連をしてやられてまいったわけでありますが、地方地方実態があるわけでありますから、必ずしも国と連動してそういう定数削減というのが業務運営に沿ってはいかない、こういうふうに思っておるわけであります。  非常に大量に定数削減をされているのはいまの御説明でもわかるわけですが、保健所の事務量というのは一方非常に増大をしておるというふうに思っておるわけであります。  そういう点で私どもが見てみますと、私も県庁の出でありますからよく私の管下の保健所等に行ってみますけれども、非常に兼務兼務ということで、一人が七つも八つも業務を兼務をしている実態というのをよく承知をいたしておるわけであります。そういう点で保健所運営に厚生省としては支障がないというふうに考えておられるのかどうか、それともまた別の保健所の再編計画等もあってそういうような定数削減をやっておるのかどうか、この辺について杉山課長から再答弁をお願いをいたしたいと思います。
  39. 杉山太幹

    杉山説明員 保健所職員定員削減につきましては、国家公務員の横並びの措置といたしまして実施しておりますので、保健所のみを別枠として取り扱うというようなことは困難ではないかと受けとめている次第でございます。  ただ、いま御指摘にございましたように、定員削減をすることによって保健所業務が支障を来たさないかという御指摘でございますが、この点につきましては、保健所の活動の中心となっております技術職員等につきましては定員削減の対象から除外するというような措置を講じてきておりまして、国の統一削減率を下回る、特に第三次、第四次削減では二・五%という削減率を下回る基準を適用させていただいているわけでございます。  なお、御承知のとおり保健所業務はかつての結核、伝染病というような時代から、今日非常に多様化してまいっております。したがいまして、全体の事務の能率化、簡素化等によりましてなるべく適正な効率的な運営を実施できるように努力してまいっているところでございますし、今後ともそのようなつもりで臨んでいきたいと思っております。
  40. 小川省吾

    小川(省)委員 やはりこの定員削減というのは、自治省削減の指導と厚生省の削減計画、これが主要な原因となって私は保健所業務運営というものに非常に支障を来している、こういうふうに思うわけですが、厚生省が削減をしなければならない理由というのは一体何なのか、これは国の定員削減の横並びだとかなんとか言いますけれども、なぜそのように削減をしなければならないのか、ひとつ聞かせてください。
  41. 杉山太幹

    杉山説明員 この点につきましては、先ほども申し上げましたように、国庫補助職員定員削減という国家公務員の定員管理計画の横並びの措置と受けとめている次第でございます。  なお、保健所につきまして、その公衆衛生事業の複雑多様化業務の変化等が起こってきておりますので、その辺につきましては業務実態等について、現在全国の保健所から抽出をいたしました保健所について実態調査を実施中でございます。その結果等を踏まえまして、保健所業務につきまして改善すべき点については改善を加えていきたいと考えております。
  42. 小川省吾

    小川(省)委員 国の削減計画の横並びということが主要な原因のようですけれども、何も地方保健所を国の削減計画に横並びをさせる必要は毛頭ないわけでございまして、実際に保健所業務運営にも支障を来しているという実態については、私なんか目の当たり見て大変よくわかるのですけれども、厚生省としては業務運営に支障がまるっきりないというふうにお考えなんですか。
  43. 杉山太幹

    杉山説明員 御存じのとおり、保健所は管轄人口一万のところから、さらにまた管轄人口が六十万を過ぎるようなところもございます。地域によりまして保健所の抱えております事業の実態も異なっておりますので、ただいま御指摘のありましたように、保健所におきましては非常に職員が苦労して業務を実施していることは事実だろうと思っております。この辺につきましても、厚生省といたしましてもできる限りの改善措置を今後ともとってまいりたいと考えているところでございます。
  44. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの御答弁にあったように、大変苦しい状態であろう。お役人の答弁としてこんな答弁が出てくるのは、実際に苦しいということをはっきり言っているわけですね。ですから、そういう状態があるということをはっきり認識をして、改善策について真剣に検討をしていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、補助をしているわけですけれども、補助対象として共済組合の負担金だとか、退職手当であるとか児童手当、こういうようなものが対象外になっておるように思うのですが、これはどうしてですか。
  45. 杉山太幹

    杉山説明員 補助の対象経費につきましては、先ほど申し上げました単価差の解消以外に、五十三年度に医師等の初任給調整手当等を加えさせていただきまして、逐次その改善を図ってきているところでございます。ただ、ただいま御指摘にありました管理職手当であるとか、あるいは特殊勤務手当、あるいは超過勤務手当等、なお補助対象経費から落とされているものもございますので、この辺につきましては今後とも努力を積み重ねていきたいと考えております。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 そういうのが落とされる理由というのは、大蔵が抵抗をするわけですから、そうであるからますます超過負担はふえてくるということになるわけでございまして、努力をしていくと言うから、それで結構なんですけれども大蔵がそういうことに抵抗するために補助対象外に落とされてしまう、こういうことなんですか。
  47. 杉山太幹

    杉山説明員 厚生省の中でも、保健所職員以外にもさまざまな同種の職員等もおりますので、その横並びの措置としての統一的な要求というふうな形をとって今日まできているわけでございます。今後ともそういうふうな形で要求をいたしまして、できる限りの努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 主として厚生省内部の問題のようでありますから、杉山課長に要請をしていくのは、そういうことが超過負担の大きな原因になっていくわけでありますから、ぜひひとつ特段の努力をしてこういうものも補助対象に含める、こういう努力をぜひひとつ来年度からはしていっていただきたい、このことを要望しておきます。  先ほど来申し上げておりますように、保健所としては兼務が非常に多いわけでございます。いま私は、保健所職員を増強こそすれ、増大することこそが必要であるというふうに思っておりまして、補助定数削減などはとっても考えられないような状態でありますから、今後はひとつぜひ定数削減等をやめていただきたい、このように思っておりますが、杉山課長さん、いかがですか。
  49. 杉山太幹

    杉山説明員 再三申し上げておりますように、保健所職員定員削減につきましては、国の措置の横並びの措置として計画されております関係上、直ちにこれを中止するというふうなことは困難ではないかと考えております。が、しかし、保健所の機能の改善、向上というような観点から、必要な事業等を担保するための改善措置を今後とも講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ定員削減をやめていただきたい、このことを強く要望をしておきます。  そこで、次に食品衛生課長さんにお伺いをいたしたいと思うのですが、食品衛生監視員の増員と監視体制の強化についてお伺いをしてまいりたいと思っています。  施設等の監視または指導をすべき食品衛生監視員は絶対数が不足をしておりまして、とうてい法定回数による監視もできていないのが実態であろうというふうに思っています。最近の実態としては、コレラやあるいは食中毒などの発生に見られますように、食品衛生行政の強化ということは緊急な課題だろうというふうに思っております。食品衛生監視員は非常に少ない、こういうのが事実だろうと思うのです。厚生省の発表によっても、法定監視率は一九・九%で、各県を見てまいりますと、八%、九%というところもあるわけでありまして、全国的には大体一五%ぐらいの法定監視率だというふうに思っておるわけであります。この食品衛生監視員は交付税法上の措置人員ということになっておるわけですが、交付税法上では五十四年度は何人を措置をしておるわけですか。
  51. 七野護

    ○七野説明員 いま先生御指摘のように、食品衛生監視員は地方交付税対象人員になっております。五十三年度は一標準団体当たり七十一名が対象人員ということになっております。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 全体では、全国的には幾ら……。
  53. 森岡敞

    森岡政府委員 いま厚生省からお話しのありました標準団体七十一人を基礎にして推計いたしますと、全国で約五千二百人程度の算入というふうに考えております。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 それで七野課長伺いたいわけですが、実際の状態における現状の人員は何人ぐらいですか。
  55. 七野護

    ○七野説明員 都道府県に配置されております食品衛生監視員の数は、昭和五十二年末現在におきまして総数で六千四百十五名でございます。その内訳は専任が千六百六十名、兼任が四千七百五十五名となっております。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 六千四百十五名で専任が千六百六十名ということですが、厚生省としてこれで食品衛生監視が十分だというふうにお考えですか。
  57. 七野護

    ○七野説明員 私たちといたしましても、この食品衛生監視員の数、総数で六千四百十五名、これで十分であると決して考えておりません。毎年、全国の主管課長会議を開催いたしておりますが、その席上におきましても、この食品監視体制の充実につきまして各都道府県に要望を毎年のようにいたしております。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 交付税法上でも五千二百人見ておるわけでありますから、当然五千二百人が専任でおってよろしいわけですね。それが実際には専任が千六百六十名、こういう状態ですから保健所業務が大変なんで、兼務という状態の発令が多くなるというのが実態だろうと思うのです。厚生省は、いま主管課長会議を開いて指導をしていると言うが、専任を置けという指導を実際にやっておってもこういう状態なんですか。それとも、今後とも専任をさらに少なくとも交付税法上で措置をされておる人員くらいは置けという強い指導をやっていくおつもりがありますかどうか。
  59. 七野護

    ○七野説明員 先ほど申し上げましたように、私たち毎年のように全国の主管課長会議で各都道府県に指導をしているわけでございますが、食品監視員の増員、それから兼任しておる食品監視員の専任化、これについて格段の努力を払ってほしいというふうに主管課長会議の席上で指示をしておる現状でございます。  そこで、五十二年は先ほど数を申し上げましたように、総数で六千四百十五名、専任が千六百六十名ということでございますが、五十一年からの数を見てみますと、総数で六十一名の増、専任の数では七十名の増ということになっておりまして、いわゆる専任化が少しずつ進んでいるというふうに私たち考えております。今後とも各都道府県に格段の御努力をお願いしたい、かように考えております。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 実際に五千二百名交付税法上で措置をして、専任数が千六百六十名という状態でありますから、厚生省としては、何か自治省に対しては後ろ暗いところがあって、食品衛生監視員の増強というものを要求できないという状態なのかどうか、あるいは食品衛生監視員をもっとふやしてくれと自治省に対して要望をしておるのかどうか、それに対して自治省としてはどうこたえていくのかということをお聞きしたいわけなんです。どうなんですか、厚生省、実際に専任が千六百六十名程度しか置けないものですから、自治省に対して交付税法上の措置人員をもう少しふやしてくれというような要求をやったことはないのですか、どうなんですか。
  61. 七野護

    ○七野説明員 いま御質問の点でございますが、五十四年度につきましては、七名の交付対象人員の増員要求を自治省の方にお願いしてございます。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 先ほどの森岡局長の説明では、五十三年度が五千二百名ということだったのですが、そうすると、五十四年度では五千二百名からどの程度増強をされるおつもりなのか、されたのかどうか、その辺を聞きたいと思います。
  63. 森岡敞

    森岡政府委員 五十三年度の標準団体の単位費用では、食品衛生関係事務に従事する吏員といたしまして七十一人算入いたしておりますが、五十四年度も同数の七十一人を算入するということで、増員はいたしておりません。
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 増員していないということですが、食品衛生監視行政というものを森岡局長としては——やはり現状では地域の中で食中毒とか、最近はコレラなんかも発生するようですし、あるいは池之端文化センター等の問題もありますが、私は、食品衛生監視員の絶対数の不足というのが法定監視回数もこなせない状態になっているところに、こういう問題が続発をする要素があるというふうに思っているわけであります。そうすると、食品衛生行政というものについて森岡局長はどんなふうに受けとめておられるのですか。
  65. 森岡敞

    森岡政府委員 地域住民の健康を守っていくという観点から、食品衛生監視の仕事は大変大事な仕事だと私ども考えております。  で、ちょっとさかのぼって恐縮でございますが、そういうふうな観点から、四十八年度の食品衛生関係事務吏員の算入は標準団体で六十人でございました。それを四十九年度で六十五人にふやし、五十年度で七十人にふやし、五十一年度で七十一人にふやし、自後七十一人で推移しておるわけでございますが、御承知のような財政状況でございますので、現段階で大幅な増員を行うという余地はないと私どもとしては考えておるわけでございます。かつまた、現在の実人員の状況が先ほど来お話のありましたようなことでございますので、当面はひとつこの標準団体七十一人で努力をしていただきたいという気持ちで、五十四年度は据え置かさせていただいたわけでございます。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 どうも食品衛生行政に対する自治省考え方も余り認識が足りないというふうに思っています。ぜひひとつそういう態度を改めていただきたい、こう思っています。  それから厚生省にお願いをしたいのですが、昭和五十三年末の食品衛生監視員の配置の状況を明らかにしてもらいたいと思うのです。後ほどでいいのですが、資料で出していただきたいと思いますが、よろしいですか。
  67. 七野護

    ○七野説明員 五十三年末の資料はまだございません。五十二年末の資料がございますので、後ほどお届けいたします。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 そういうような、先ほど来議論をしてきたような状況で、食品衛生行政が十分だと思っているのかどうか。恐らく厚生省としては十分とは思っておらないだろうと思うのです。増員を必要と思っているなら、今後の年次別の増員計画というものも明らかにしていただかなければ困ると思うのですが、年次別の増員計画というものをお持ちですか。
  69. 七野護

    ○七野説明員 先ほどから御指摘のように、現在の食品衛生監視員の絶対数が足りないということは、私たちも重々そのとおりと認識を持っております。端的に申し上げますと、食品衛生監視率を少しでもアップしていくということでございますが、五十四年から一応三カ年計画ということで、現在の監視率一九・九%、約二〇%でございますが、それを少なくとも二五%程度、約五%のアップを図りたい、かように考えております。それに伴いまして、現在自治省の方にこの地方交付税の対象職員の増員をお願いしてございます。一標準団体当たり現在七十一名でございますが、それを毎年、五十四年、五十五年、五十六年、七名ずつ増員ということで現在お願いをいたしております。それによって、各都道府県におきます食品監視員の増員を図っていただきまして監視率のアップを図っていきたい、かように考えています。
  70. 小川省吾

    小川(省)委員 最後に、自治省と厚生省に一言だけ伺いたいわけですが、食品衛生監視行政の重要性をぜひひとつ認識を強めていただいて、今後この行政の強化についての決意のほどをお聞きしたいと思うのですが、厚生省と自治省から一言ずつお願いをいたしたいと思います。
  71. 七野護

    ○七野説明員 私たち食品衛生行政を直接担当しております者といたしまして、食品衛生の重要性はっとに承知しておるつもりでございます。そこで、もちろんこの食品衛生行政の一つの大きな柱といたしまして食品監視業務というものがあるわけでございます。これの今後の増強充実については格段の努力をしていきたい、かように考えております。  以上でございます。
  72. 森岡敞

    森岡政府委員 食品衛生監視の行政の大事なことは、先ほど申しましたように自治省としても十分理解をしておるつもりでございます。ただ、申し上げるまでもないことでございますが、交付税で算定しておるということは一般財源の基準を示しておるわけでございますから、補助金ではないわけでございますので、そこのところはもう重々おわかりかと思います。それが一点でございます。  それからもう一点は、先ほど来お話しがありましたように、保健所の国費については一律削減をなさる、しかし一方において、全額地方費の食品衛生監視員については必要だから増員をしろ、その辺は私はやや片手落ちではないかという感じもするわけでございまして、関係省におきましては、地方費プロパーのものについて強く財源措置を要請されるならば、国費につきましても十分な努力をしていただきたいという気持ちを強く持っておりますということを申し上げておきたいと思います。
  73. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、運輸省と国鉄がお見えでございますので、実は東武伊勢崎線の両毛線前橋までの乗り入れの問題について質問をいたしたいと思うのであります。  東武伊勢崎線というのは群馬県東部地域の唯一の足なんであります。群馬県は御承知のように県都が前橋でありまして、伊勢崎線を両毛線前橋まで乗り入れることを認めていただきたいというのが全住民、わけても群馬県東部地域の非常に強い願いであるわけであります。前橋等でも強い動きになってあらわれておるわけであります。私は、予算委員会などで東武関係については東武の妻沼線の問題をよく取り上げるのですが、これについては運輸省からも国鉄からも非常に渋い御返事をちょうだいをするわけであります。しかし、これは妻沼線の問題と違って、現状ある伊勢崎線を、伊勢崎の駅の構内を改善をすればレールの幅は同じでありますから、前橋までの乗り入れということは決してむずかしい問題ではない、このように思っておるわけでありますので、ひとつ味のあるいい返事をいただきたいと思って質問をするわけです。ぜひひとつ明るい回答をお願いいたしたいと思っておるわけでありますが、まず運輸省、この問題についてはいかがですか。
  74. 中村徹

    中村(徹)説明員 お答えいたします。東武伊勢崎線を伊勢崎から前橋へ乗り入れるということでございますけれども、私どもことしの二月、三月の新聞報道でそのような御要望があるということを承知いたしておるわけでございますが、その東武線が乗り入れると申しましても、伊勢崎から前橋までの運行は、実際は国鉄がやるわけでございます。したがいまして、主たる問題はむしろ国鉄側にあるのではないかと思うわけでございますが、東武側におきましても現在輸送需要が非常に少ないと申しますか、東武伊勢崎駅の乗降客は一日三千人程度でございまして、約千三百人程度が国鉄に乗りかえるというのが現実の状況であるとか、車両運行につきましての技術的な解決すべき問題が東武にもございます。運輸省といたしましては、そのような状況ではございますけれども、地元の御要望もあるように承っておりますので、今後東武鉄道に対しまして、国鉄側とも十分連絡をとって問題点などを検討をし、その可能性につきまして十分検討を行うよう指導してまいりたい、このように考えております。
  75. 小川省吾

    小川(省)委員 非常にうまい御答弁なんですけれども、私も問題がいろいろあることはわかります。駅舎の改築の問題でありますとか、あるいはATSの問題であるとか、あるいは東武側とすれば、車両増加をしなければならぬというような問題、あるいは国鉄側とすれば、国鉄へ入った際には、乗員は当然国鉄さんがやるわけでしょうから若干の人員の増強が必要だ、こういういろいろな問題があるでしょうけれども、そう大きな支障の問題ではないというふうに思っていますが、これらの問題を逐次解決をされていってこの要望に沿っていくような方向で御努力をしていただけるのかどうか。もちろん国鉄さんもあるでしょうけれども、国鉄には後で伺いますが、運輸省としてはそういう形で東武側なり国鉄側を御指導をしていただけるかどうか、ひとつもう一回お願いをいたします。
  76. 中村徹

    中村(徹)説明員 運輸省といたしましては、そのような問題点を解決できるように検討をするよう指導してまいりたい、このように考えております。しかしながら、実際上東武鉄道にいたしましても国鉄にいたしましても、採算性の問題とか種々の問題点はあるかと思いますので、なかなか困難な問題は存在するかと思っております。しかし、そのような方向で十分検討をするよう指導してまいりたい、このように考えております。
  77. 小川省吾

    小川(省)委員 いろいろ幾つかの問題点があることは私も承知をいたしておるわけであります。  私もいまここに東武伊勢崎線と両毛線の接続状況の待ち時間等の調査資料を持っているのですが、待ち時間が三十分以上一時間というのが両毛線から東武への乗りかえで十本、一時間以上というのが一本、東武から両毛線への乗りかえでは三十分以上一時間待ちというのが十一本となっておるわけであります。私も前橋へ通勤をいたしましたのでわかっているわけでありますが、冬などは赤城おろしの吹きすさぶ中で待っていなければならぬ、こういうような状態であります。こういう不便を解消してぜひ全住民の期待にこたえていただくために特段の問題解決の御努力をお願いしたいのでございますけれども、特に希望の持てるような解決を図っていくような御回答を国鉄側に一言お願いをいたしたいと思います。
  78. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  いま運輸省の課長からもお答えがございましたように、東武鉄道の前橋乗り入れにつきましてはいろいろ地元から御要望を承っておるところでございますけれども、幾つかの難点があるわけでございます。一つは先生も御指摘ございましたように、ATSと申しますか、保安装置に相違があるという問題がございます。それから、大きな問題といたしましては、伊勢崎と駒形の間でございますけれども単線区間がございますので、現在すでにほとんどラッシュ時間帯はいっぱいに列車が入っておりますものですから、これを複線化しなければ乗り入れの余地がないというような問題もございますし、伊勢崎の構内改良の問題もあるわけでございます。したがいまして、これらにつきましては、いまもお話しございましたように、今後両毛線の輸送をどうしてまいるか、あるいは伊勢崎、前橋地区の輸送体系をどうしていくかという非常に大きな課題の中で総合的に検討してまいるべき課題だと存じておりまして、勉強を重ねなければいけないとは思っておるわけでございますけれども、余りにも難問がございますものですから、なかなか早急な実現についてお約束できかねるような実情であるわけでございます。  ただ、いま先生から後段御指摘ございましたように、伊勢崎での接続が非常によくないということはこれは私ども承知をいたしております。お互いに単線でございますので、ダイヤ上の制約があるわけでございますけれども、これらにつきましては、いろいろ検討いたしますとまだかなり改善の余地があるようでございますので、早急に東武鉄道側ともよく連絡をとりまして、少なくとも接続改善につきましては、何らかの改善を見出すように早急に努力をいたしてまいりたい、こんなふうに考えております。
  79. 小川省吾

    小川(省)委員 接続の改善も当然お願いをいたしたいわけですが、いま言われたように問題があります。確かに駒形−伊勢崎間が単線でございますけれども、ラッシュ時間はいっぱいでしょうけれども、両毛線は昼間は大変すいているわけですね。だから、そういう意味では、私は常に両毛線の電化複線化の問題でも要望しておるわけでありますが、そんなさした難問ではない。こういう難問を一つ一つ片づけていただいて、そういう方向で国鉄側としても御努力をいただけるのかどうか、再度御答弁をお願いします。
  80. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  いま御指摘がございましたように、確かに難問でございます。ただ、難問ではございますけれども、それはもちろん検討の余地が全然ないということじゃないと思いますけれども、何分にも両毛線全体が、先ほど先生もおっしゃいましたように、ラッシュ時間もそうでございますけれども、データイムの輸送につきましても、やはりかなり最近お客様が張ってまいっております。したがって、やはり両毛線全体をどうしてまいるかということとの中での検討が必要でございますので、少しお時間を拝借したい。しかし、いま運輸省さんも御答弁ございましたように、東武鉄道側といろいろ伊勢崎での接続等につきましても改善をいたすべく検討いたしますので、しばらくお時間をちょうだいいたしたい、こんなふうに考えております。
  81. 小川省吾

    小川(省)委員 時間をいただきたいということでありますけれども、東武妻沼線がいわゆる桐生から熊谷を結ぶというふうな問題ではないわけでありますから、私は、一応問題があるといってもそんな大きな支障のある問題ではない、このように考えておりますので、ぜひ問題を一つ一つ片づけていって、早期にこの県民の要望が実現をできるように、特段の御努力をお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、文部省おいでですね。——そこで、私は時折取り上げて、この委員会でも予算の分科会でも取り上げるのでありますが、学校事務職員の問題であります。  大変御努力をいただいてきておるわけですが、若干以前の質問関連をしてお伺いをいたしたいと思うのですが、私が先々々年度、三年ぐらい前ですか、柳川審議官にお尋ねをして、たしか事務職員実態調査を一昨年ぐらいに実施をされたはずでありますが、もうこれがまとまって発表される時期ではないかというふうに思っておりますけれども、その点についていかがですか。
  82. 宮園三善

    ○宮園説明員 お答え申し上げます。  人確法の教員給与改善が完了いたしましたので、それをしおに学校事務職員給与実態調査の分析集計をやっております。ただいまのところ、事務職員の大宗を占めます高校卒についてほぼ完了いたしておりますが、あと短大卒と大学卒につきまして目下早急な集計分析を続けておるところでございまして、近くそのまとめを行うという段階に至っております。
  83. 小川省吾

    小川(省)委員 処遇の改善の問題で、常々文部省側の答弁としては、国公四等級への渡りについて処遇の改善を指導しているという御返事をいただくわけですが、現在実施をされている県はたしか十九県のように記憶をいたしております。相変わらず行政指導を文部省としては続けておられると思うのですけれども、なかなか十九県だけで先へ出ていないようですけれども、四等級への渡りの状況についてはいかがですか。
  84. 宮園三善

    ○宮園説明員 学校事務職員の四等級格づけの問題は、現行の給与制度ができました昭和三十二年に、自治省と御相談をいたしまして、学校事務職員につきましては四等級まで格づけできるという通達を出したところでございますが、人確法ができました昭和四十九年現在では、確かに、先生のおっしゃるように、十九県が四等級格づけを実現いたしておりまして、その後、文部省もその実現方につきまして通達もいたしておりますが、本年の四月現在では四等級格づけをしている県が約四十県ございます。
  85. 小川省吾

    小川(省)委員 十九県が四十県になったわけですね。  相変わらず指導をやっていただいておるわけだと思いますけれども、指導をやっているのですか、やってないのですか。
  86. 宮園三善

    ○宮園説明員 事務職員の処遇改善につきましては、三つの点について指導をいたしております。  一つは、先ほど申し上げました四等級格づけの実現、一つは、時間外勤務手当の適正な支給、三つ目は、学校事務職員の適正な任用配置ということで指導いたしております。
  87. 小川省吾

    小川(省)委員 まあいいでしょう。  そこで、文部省の行っている研修なんですが、最近三日間の研修を一週間にしたようでありますが、大変結構だというふうに思っていますけれども、まだまだ人員とか期日などを充実していく必要があるというふうに思っていますが、研修についてのお考え方はいかがですか。
  88. 垂木祐三

    ○垂木説明員 御説明申し上げます。  文部省が実施いたしております学校事務職員研修でございますが、次のようなことを実施いたしておるわけでございます。  まず第一に、公立の小中学校の事務職員で指導的な立場にある人たちに対しましての研修会でございまして、これにつきましては、各県から二名ずつという程度で、一週間にわたりまして筑波にございます教育会館の分館で研修をいたしております。  それから第二番目といたしまして、公立高等学校の事務職員で指導的立場にある者を集めまして、やはり筑波の教育会館の分館で一週間にわたりまして研修をいたしておるわけでございます。  それから第三番目といたしまして、公立の高等学校と特殊教育諸学校の事務職員を対象といたしまして、これは各県二十名ずつというようなことで、二日間にわたりまして研修会を開催いたしておるわけでございます。  研修を実施いたします場合には、特に一週間の程度にわたりまして宿泊研修をするということがきわめて効果があるかと思いまして、文部省の方といたしましても、特に各県の指導的立場にある事務職員に対しまして、先ほど申しましたような研修会を開催いたしておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、一週間の宿泊の研修をいたしますと、会場というような制約がございまして、現在のところ各県から、小中の場合、高等学校の場合につきましても、それぞれ二名程度ずつというような形で研修を実施いたしておるのが実情でございます。
  89. 小川省吾

    小川(省)委員 海外派遣研修なんですが、実施をされて、事務職員代表も参加をしているようでありますが、大変結構だと思うのですが、府県によっては事務職員を入れていない県もまだあるようであります。そういう点では、ひとつ各県に御指導をいただいて、事務職員代表も海外派遣研修に加えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  90. 加戸守行

    ○加戸説明員 文部省において実施いたしております教員の海外派遣制度でございますが、これは国際的視野に立った識見と教員としての誇りと自覚を持たせることを目的といたしまして教員を海外派遣する制度でございまして、その枠の中におきまして学校の事務職員も若干名派遣をいたしているわけでございます。現状におきまして学校の事務職員については他の一般行政職とのバランス等もございまして、あるいはこの教員の制度の中でどの程度派遣できるのか、むずかしい問題はございますが、ただいまの先生の御質問の趣旨を体しまして意を払ってまいりたいと考えております。
  91. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、初任給の決定の件なんですが、各県の財政事情等によってかなりなアンバランスな状態があるようであります。各県がやるわけですから、統一的な指導は文部省としてできないというふうに思いますけれども、これについて文部省としてはどのような方策をとっておいきになるおつもりなのかどうか、伺いたいと思います。
  92. 宮園三善

    ○宮園説明員 確かに小中学校の事務職員の初任給は以前には相当アンバランスがあったということを言われておりましたが、ことしの四月一日現在で私ども調査いたしました資料によりますと、高校卒を中心に申し上げますと、国と同じ初級で八等級の三号俸、これが四十七県のうち三十三県ございますし、それから八等級の四号、国より一号高というのが十県、それから八等級の五号が三県、一号下というのが一県ございまして、私どもが従前に考えていたほどそういったアンバランスは余りないということでございます。
  93. 小川省吾

    小川(省)委員 この御指導は大変だろうと思いますが、一号下なんていう県がまだ一県あるようでございますけれども、こんな状態はうまくないんで、なくすような御指導をぜひひとつお願いしたいと思います。  それから、事務職員の充実については年々御努力をいただいてまいっておるわけですが、府県によってはかなり学級数の低いところにも配置をされているような状態が出てきたので、大変結構だと思っておるわけですが、当面の充実強化について年次別の計画をお持ちでしょうか。
  94. 宮園三善

    ○宮園説明員 公立小中学校の事務職員定数改善につきましては、昭和三十三年以来五カ年計画を四回続けてまいりまして、五十二年度に学校数のほぼ四分の三の事務職員定数を配置できたということでございます。五十四年度におきましては、原則として五十三年度に行いました実態調査をもとに今後の計画を立てていこうということでまいっておりましたが、当面中継ぎの定数改善といたしまして六百名、そのほかに自然増が二百九十三名で、五十四年度では総数八百九十三名の定数増になっております。  これから先どのような改善をするかということでございますけれども、これはそのほかにも養護教員とかあるいは国際的に最もおくれていると言われております学級編制の問題をどうするか、いろんな改善の課題がございまして、昨年行いました実態調査をさらに分析検討し、五十五年の概算要求までには文部省の案を固めてまいりたい、かように考えております。
  95. 小川省吾

    小川(省)委員 私どもは常々全校必置制度をぜひ樹立をしてくれということを言っておるわけでありますが、全校必置に向けてぜひひとつ特段の御努力をお願いをいたしておきたいと思います。  次に、研修制度の充実について若干伺いたいと思っておるわけであります。現状の公的研修制度の問題は、教育公務員特例法の改正で学校事務職員はその適用外に置かれて、地方公務員法の適用となったわけですね。教員研修との間にかなりの格差があるというふうに思っておりますし、同時に一般職員研修との間にも格差があるのが実態のようでございます。学校経営の中で重要な位置を占めておる事務職員研修が現状のような実態でよいはずはないというふうに思っております。研修制度の充実について今後どのように行っていかれようとするのか、この辺について伺いたいと思います。
  96. 垂木祐三

    ○垂木説明員 御説明申し上げます。  先ほど学校事務職員研修につきまして御説明いたしたわけでございますが、学校の運営上、教職員とともに学校事務職員がきわめて重要な役割りを果たしておるわけでございまして、文部省といたしましても今後とも引き続き事務職員研修には努めてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。ただ、現実の問題といたしまして、教職員研修の必要性に比べまして事務職員研修の機会が少ないのが事実でございますが、今後とも文部省の方といたしましてもいろいろ研修の期間なり対象人員の増加、こういう問題点につきましては努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 小川省吾

    小川(省)委員 最後に、事務職員の任用制度について若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  多くの府県でもそうでありますけれども、学校事務職員の任用は、初級職員選考試験ということで初級職でやられているわけであります。短大卒や大学卒の方々がこの学校事務職員任用試験で入ってくるわけでありますが、最近の実態としては短大卒や大学卒の事務職員が非常にふえているのが実態であります。一方、事務の複雑化や専門化は、また別の意味で中級職や上級職の任用試験の合格者を必要としているのが実態であろうというふうに思っております。そういう意味で、将来の学校事務に禍根を残さない施策のためには、短大やあるいは大学卒等の中級職や上級職の職員として任用して、将来ある職場として、働きがいのある場としていくための施策が必要だというふうに思っておるわけでありますが、この点の解決策について、任用制度についてどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
  98. 加戸守行

    ○加戸説明員 いまの採用試験の状況につきましては、昭和五十二年度の自治省調べによりますと、学校の事務職員について上級職あるいは中級職の試験を実施されております都道府県が十七県でございます。それ以外の県におきましても一般事務の中から上級職あるいは中級職の職員を学校の事務職員として採用するケースもあるわけでございますので、試験のあるなしとは直接かかわりはないと思いますが、一般的に申し上げまして、試験の結果だけで見ますと、合格者の数が学校事務職員につきましては初級職が約二千名、上級または中級が約一千名ということでございますので、比率としては二対一の割合になっているという状況理解いたしております。これらのどのような職種を学校の事務職員として採用するかは、任命権者でございます各都道府県において適宜御判断いただくことでございますので、学校事務職員の構成、バランスというものをお考えの上、それぞれの学校事務に見合った適当な方々を任用いただくという趣旨でございますし、そういう意味におきまして、先生の御質問の趣旨を踏まえまして今後の各都道府県に対する指導についてもその辺の問題点を指摘させていただきたいと考えておるわけでございます。
  99. 小川省吾

    小川(省)委員 私も群馬県の学校事務職員の方々の参与というかいろいろタッチをいたしておるわけでありますので、学校事務職員実態についてはある程度承知をしておるつもりであります。最近の学校事務というのは、大変多様化、複雑化、専門化をいたしておりますので、なかなか高卒の人では手に負えないようなことで、いわゆる学校事務の体系化、こういうものが迫られておるわけでありまして、そういう意味では、学校事務職員の資質の向上と同時に研修の充実等もかなり必要であろうというふうに私は思っておるわけでありまして、ぜひひとつこういう点を文部省がよく承知をされまして、研修の充実でありますとか、今後の学校事務職員の充実強化に向けてさらに御努力をお願いをいたしておきたいというふうに思っておるわけであります。  大体時間が参ったようでありますので、終わります。
  100. 松野幸泰

    松野委員長 午後二時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後二時十一分開議
  101. 松野幸泰

    松野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。大原亨君。
  102. 大原亨

    大原(亨)委員 きょうは市町村の合併特例法に関係いたしまして地方交付税関係、それから合併問題に関係しまして広島市の政令都市をめぐるいろいろな問題点、そういう点に論点をしぼりまして質問を続けていきたいと思います。  第一は、市町村合併特例法が昭和五十年に十年間延長になりました。十年の時限立法であったわけですから四十年に合併特例法が始まったわけですが、そこで地方交付税についての合併に伴う特例措置が決定をされたのであります。これを昭和四十三年以来問題を提起をして政令都市を目指していろいろ今日まで経過をたどってきた広島市に適用した場合に、昭和五十三年度のこの特例措置による広島市の財政に対する影響がどうなっているか。  第二は、交付税の特例の期間は五年間というふうになっておるわけです。しかし、私が資料を見てちょっと疑問に思いました点は、当初昭和四十六年に初めて合併いたしました沼田町あるいは安佐町等は六年になっておりまして、それ以降は五年になっているわけですよ。六年にしたり五年にしたりするような便宜的なことができるのであろうかという疑問があります。この点についてあらかじめ問題を出しておきましたから、解明をいただきたい。  この二点を最初に答弁願います。
  103. 石原信雄

    ○石原政府委員 お答えいたします。  広島市についての地方交付税の算定上のいわゆる合併算定がえの特例に関するお尋ねでございますが、まず五十三年度におきまして広島市について合併算定がえの特例が適用された結果、どのような額になっているかと申しますと、この特例を適用しない場合における広島市の財源不足額は十四億五千五百万円でありますが、特例が適用されました結果、現実に算定された交付基準額は三十二億六千七百万円ということになっております。  それから合併算定がえの特例の適用についてでございますが、市町村の合併の特例に関する法律第八条の規定を受けまして、地方交付税法におきましても合併市町村の財源不足額の算定の特例に関する規定を置いておりますが、この適用の期間は市町村の合併が行われた年度及びこれに続く五カ年度、このようになっております。  それで、その市町村の合併が行われた年度は、四月一日の場合には、その団体は特例法がなければ一つの団体として合併関係市町村を合わせて計算いたしますが、四月二日以降に合併が行われた場合には、交付税法の規定によりまして交付税は四月一日現在により計算することになっておりますから、四月二日以降に合併が行われましても四月一日現在のいわゆる旧市町村単位に交付税の計算が行われますので、合併算定がえを適用する実益がないわけであります。つまり四月二日以降の合併の場合には、合併が行われた年度については事実上合併算定がえが行われてしまいますから、いわゆる特例計算としてこれを行う実益がないわけであります。そういう意味で、合併期日によりまして五カ年度の特例適用を受ける団体と六カ年度の特例適用を受ける団体とが生じてくるわけであります。
  104. 大原亨

    大原(亨)委員 そうすると、たとえば五月に合併を行いますと、やはりいまのような計算の仕方をしますか。
  105. 石原信雄

    ○石原政府委員 ただいま申し上げましたように、五月の合併でございますと、その団体については四月一日現在は旧市町村の状態で計算が行われますので、算定がえの特例の適用をする余地がないわけでございます。
  106. 大原亨

    大原(亨)委員 それでは、六年にしたり五年にしたりするということはないわけですね。
  107. 石原信雄

    ○石原政府委員 同じ期日に合併された団体が、ある団体が五カ年度の適用を受け、ある団体が六カ年度を受けるということはありません。これは期日によって、合併算定がえの特例が六回適用されるのは四月一日に合併したものだけでございます。四月二日以降の合併であれば五回だけ適用されます。
  108. 大原亨

    大原(亨)委員 広島の場合だったら安佐町は六回ほど適用になっている。  それから、仮に広島が政令都市になったときには事務が移管されて基準財政需要額がふえてまいります。そうすると、基準財政需要額と交付税関係で交付金額は決まるでしょう。そのときに、仮に現在の時点といたしたときにどのように財源がふえていくか。もう一つは、たとえば職員定数はどうなるのか。二つ御答弁いただきたい。
  109. 石原信雄

    ○石原政府委員 政令指定都市に指定されますと、法令の規定によりまして都道府県の権限の一部が政令指定都市に移行いたしますので、その限りにおいて職員定数などについても見直しが必要になってまいるかと思います。地方交付税の計算におきましては、その職員費を含めまして新たに増加する経費財源を算定するために、いわゆる普通態容補正において権能差補正と言われております割り増し係数を適用いたすことになります。それからまた、この補正係数だけでなしに、測定単位の数値におきましても、たとえば国道や都道府県道の延長面積が指定都市の区域内につきましては指定都市に算定されることになりますから、地方交付税の算定は相当ふえてくるということになると思います。
  110. 大原亨

    大原(亨)委員 次に、現在の人口五十万という政令都市の、これは自治法による制限があるわけです。これを指導基準といたしまして百万にしておるわけです。法律で五十万というように規定した根拠はどうなのか、それから五十万以上であると規定をしながら百万というふうな指導基準を設けておるのはどういうことか、その根拠は何か。これは十年一日のごとくその根拠にこだわっておるのはおかしいではないか、こういう議論を含めて……。
  111. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 御指摘のように、政令指定都市の人口条件としては五十万以上ということになっております。この五十万という形になぜしたかということにつきまして余りはっきりしませんが、指定都市の前に特別市の規定がございましたが、これが五十万以上という形になっておりますので、多分そこら辺を参考にして五十万以上、こういう形にしたのではなかろうかと思います。  この指定都市の制度ができましたときには特別市の問題の絡みがございまして、府県と旧五大市の間で非常に権限の問題があったわけでございます。そこで、この旧五大市の問題を解決するために指定都市という制度が設けられたという従来のいきさつがございます。そういう点で、法律上は五十万以上と書いてございますが、実際上は、旧五大市で当時一番人口の少ない神戸市が九十八万あったということで、旧五大市を対象としたということで大体人口百万程度、こういうふうな感じになっておるわけでございます。  なお、そういうふうな基準をいまだになぜ守っておるのかということでございますが、いま申し上げましたように、指定都市ができたときのいきさつが、旧五大市の問題を解決するということで指定都市は旧五大市並みである、こういうふうな考え方がございますので、現在におきましても、県から事務の移譲を受け、財源の移譲を受けて、そしてそれを処理するという大都市は大体百万程度の都市が適当だろうというふうに考えておるわけでございます。
  112. 大原亨

    大原(亨)委員 経過はわかるけれども、根拠はないという答弁であった、こういうふうに思いますね。  それでは、五十万以上の日本における都市はいまどのくらいあるのか。広島以外に政令都市を志向している都市がどのくらいあるのか、二点についてお答え願いたい。
  113. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 五十万以上の都市は十七ございます。それから政令指定を受けております都市は九つでございます。
  114. 大原亨

    大原(亨)委員 政令都市を志向しているのはどこか、いまやりたいと思っているのは……。
  115. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 それは広島を除いては、そういう話は聞いておりません。
  116. 大原亨

    大原(亨)委員 これは後で逐次議論していくのですが、大臣、政令指定都市の問題を提起して特別市から問題が起きてきたのは昭和三十年前後ですね。最初の指定が昭和三十一年九月一日ですから、そのころです。それで五大市と府県との権限調整が発足になったわけですね。その後やはり新産都であるとか工特の促進法であるとか中枢管理都市とかいうふうな考え方がずっと新全総で出てきたわけです。百万なければ指導基準に合致しないということになると、広島の場合は、振り返ってみて、とにかく十九の町村を集めたわけです。百万にするために、やはり政令都市にするためにできるだけ大きくした方がいいということで大きくしたわけです。しかし、情勢ががらっと変わって、いま地方都市とかいうふうに言っているわけですから、大きいことはいいことではなくなったわけですよ。だから、その経過を踏まえていま一応整理の段階に入っておると思う。ですから、これは政治的な議論ということではなしに、静かにいままでの歴史を振り返ってみると、百万という基準が、政令都市の一般の問題として議論した場合に妥当なものであるかどうか。政令都市とは何か、新しい自治体において政令都市とは何か。最近田園都市とか定住圏構想とかいろいろ言われておる。地方の時代とか言われておる。政令都市はそういう中でどういう位置づけをなされておるのであるかという点について現在の段階自治省はどういうふうに考えていますか。
  117. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 いま政府委員から説明いたしましたように、人口百万という一つの基準、目安と申しますか、こういうことで現在まで指導してきておる。これはいまお話しのように、特別市との絡みの沿革的な事情があったことは事実だと思います。ただ、その百万というものは絶対的な基準かというと、私は必ずしもそう考えておりません、世の中も変わってくるわけでありますから。ただ、一応の目安として百万という基準でいままでやってきたわけでございますから、いま直ちにその百万という基準をそれじゃ五十万にするか六十万にするかというと、私は必ずしもいま直ちに必要だ、こういうふうにも考えておりません。百万はあくまでも一つの目安、基準。そしていま問題になっております広島市につきましては、御承知のように百万はないわけでございますが、百万がないから広島市は政令都市としてはふさわしくないというふうには私は考えておりませんので、一応の百万という基準を頭に入れながら、広島市の現実の都市としての実態、そういったものを十分検討して結論を出すべきものだ、このように考えております。
  118. 大原亨

    大原(亨)委員 将来政令都市を条件に適合する、あるいはいろいろな理由を設けて——たとえばある学者なんかは言うのですが、金沢というものは人口四万か五万だ、それくらいですかね、もっと大きいと思ったがね。大きいでしょう、二、三十万ですか。二、三十万であっても非常に伝統のある、都市も整備されていて品格があるから、あんなものこそ政令都市にしたらどうだ、こういう議論議論としてはあるわけです。人口だけでやる議論もあるわけですね。これは将来政令都市を設けて県の権限をおろしていくという方針はとるのですかとらないのですか。広島の問題は一応懸案の問題としておくといたしましても、どう考えているのですか。
  119. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 いまの御質問ですが、いまのままの政令都市でございますか、それとも人口……(大原(亨)委員「いまのままの制度……」と呼ぶ)現在の政令都市につきましては、過去のいきさつがございまして……
  120. 大原亨

    大原(亨)委員 いや、これから政令都市を自治大臣は指定をしていくのかどうか。
  121. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 これは先ほど申し上げましたような旧五大市並みの基準に一応該当するような都市ができてきた場合には、政令指定都市という形に指定していくことになろうかと思います。
  122. 大原亨

    大原(亨)委員 それでは、ちょっと論点を変えまして、昭和五十年十二月に国土庁で三全総ができたわけですね。これは新全総、列島改造の反省に基づいてできたと思うのです。それと自治体のあり方について議論を進めていきたいと思うのですが、三全総で定住構想というのがありますね。定住構想というのは大平さんが言っている田園都市構想とか、それから建設省が言っております地方生活圏構想とか、国土庁が言っておるモデル定住圏とか、自治省が言っておる新広域市町村圏というふうないろいろのプランがあるわけですが、それを全部言いますと時間がかかってしようがないので、三全総の定住構想とそれから田園都市構想というのは大体どういう関係にあるのですか。これは政府委員というよりも大臣の方がいいかもしれませんね。中身があるのですか、ないのですか。
  123. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 総理の言われておる田園都市構想というのは予算委員会その他で総理がたびたび答弁申し上げておるように、これはこれからの日本の町づくりの一つの基本的な理念である、こう言っておるわけであります。私どもはそういった総理の考え方を体して、その田園都市構想という一つの理念のもとに具体的にこれから町づくりというものを進めていかなければならぬ。それで国土庁の言っておるモデル定住圏、こういうものもいま言ったような田園都市構想の理念を具体化する一つの具体的な手法である、こういうふうに位置づけておるわけであります。
  124. 大原亨

    大原(亨)委員 そうすると、昭和五十年に三全総で定住構想というのが言われたわけで、これは各方面で部分的には評価されておると思うのですね。全体的にはまだ正体がわからない。そこで、大平さんはポスターで、やります田園都市構想だとか書いてあるのです。中身はまだよくわかっておらないのですが、選挙ですから中身がわかっておらなくても宣伝するでしょうが、これは別にして……。いままでの、広島が政令都市として発足するときもそうですけれども、いわゆる新全総というのは中央集権的な画一主義、生産第一とかそういうふうに言われたものが、列島改造とかいうふうに言われ、中央から号令をかけてやるようなそういうやり方が地域の個性や生活を踏みにじったということの反省の上に出てきたというふうに理解をしますが、自治省はこれからの新しい自治体づくりの方針としてこれをどう受けとめて具体化しているか、いま私が言いました点を含めてもうちょっと具体的に答弁してください。
  125. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私ども大平内閣としては、総理が打ち出した田園都市構想という基本理念を受けて、内閣が一体となってこれの具体化に取り組んでおるわけでございますが、私は自治省の立場として特に強調しておる点は、地方分権という考え方を、この田園都市構想の具体化に当たって重要な柱である、また柱にしなければならぬ、こういうふうに考えて政府部内において強くこの点を主張しておる、こういうことでございます。
  126. 大原亨

    大原(亨)委員 そうすると、そういう定住圏とか田園都市構想とかいうものの、つまりそういう構想を示すのは別にしまして、これを具体的にどうつくっていくかという問題のリーダーシップですね、リーダーシップは国なのか自治体なのか。
  127. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私はこの田園都市構想の具体化に当たって大事な点が二つある、こう言っておるわけです。  一つは、ただいま申し上げた地方分権という考え方基本に据えなければならぬということが一つ。それからもう一つは、具体的に、行政的には全国一遍に田園都市というものをつくるわけにまいらぬわけでありますから、現実の行政の手法としては一つ、二つ、こういうぐあいに取り上げて実行していかなければならぬ。  そこで、関係十六省庁の基本的な了解としては、モデル定住圏という言葉で呼んでおりますが、田園都市構想に基づく一つの具体的な町づくりとして、各県原則として一カ所、こういうことを了解したわけであります。その一カ所の選定を一体どうするかという問題が一つの大きな問題でございますが、こういった選定に当たって、これはあくまでも地方自治体が決める、中央の政府が決めるのではなくして、都道府県が中心になって関係市町村と協議をした上で地方が決めてくる、これがやはり田園都市構想の具体化の重要な柱である。この二つを私は強く主張しておるわけであります。
  128. 大原亨

    大原(亨)委員 そこで、いま地方分権ということを言われたのですが、たとえば自治体ですね、地方公共団体と言えば市町村のことをまず第一義的に言うわけです。その市なら市の適正な規模について検討したことがあるか。たとえば、確かに政令都市は団体自治ということになれば、自治体に権限が、県ほどはないが、少し大きくなる。しかし、住民自治ということになると、大きくなったためにかえって住民が参加する機会を失うということがあり得るわけですね。たとえば五万の場合と九十万の場合は違うわけですから。ですから、自治体の適正規模について、市町村の合併特例法は一方にあるのですけれども、その合併の目安なんかで市をどの程度の規模にまとめていくというのが望ましいかという適正規模について議論したことがあるかないか。
  129. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 いまお話しがございましたように、町村の関係につきましては、町村合併促進法の当時、基礎的団体として人口は八千くらいが適当であろうというふうな規模の問題は考えたことはございます。その後市町村の適正規模、特に市の規模についてはどのくらいが適当であるかというふうないろんな議論がございましたけれども、最終的には市の地勢的な問題あるいは人口規模の問題あるいは産業構造の問題等いろいろございます。そういう点で、これは個々具体的な問題として検討しなければならないので、全国一律的にこの程度が適正であるというふうなことはなかなか示しにくいのではなかろうか、こういうふうな感じで考えております。
  130. 大原亨

    大原(亨)委員 それではもう一つ関連しまして、新全総のときに中枢管理都市の機能というのがありまして、全国の各ブロックの主要都市を中枢管理都市として想定をして整備をするというのがありました。それと広島の政令都市は関係があって出ておるわけですが、たとえばその中の一部には、中枢管理機能の一部には国の出先機関がある。私はこれをずっと見ておりますと、出先機関は日本の縦割り行政の弊害を非常にあらわしておって、自治省地方の時代とか分権とかいってうまいことを言うのですが、器の話であって中身は何もないわけです。建設省であれ、通産省であれ、運輸省であれ、大蔵省であれ、ずっとこういうことになっておるわけですね。出先機関を中心とした中枢管理機能、あるいは民間の企業等がその地方における中心、こういうこと等があるわけですが、中枢管理都市を整備するのだという考え、いまの議論——つまり議論ではなしに、今度は三全総の新しい時代、田園都市構想とかモデル定住圏とか言われるものは生活を基礎にして自治体を考えていくんだ、再編成をしていくんだ、個性のある町をつくっていくんだ、こういう考えですね。ですから、そういう考えにだんだんと変わっている。あるいは政令都市についても発想を変えていかなければならぬ、こう思いますが、いかがでしょう。
  131. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 先ほどお答えしましたように、これからの田園都市構想に基づく町づくりという基本考え方地方分権というものを据えなければならぬ、私はこういうふうに考えておりますから、そういう考え方に立ってこれから具体化を進めるということになりますと、従来のように地方の出先機関があるかないかというようなことはそんな大きな意味は持たなくなってくる、またそれを持たせてはならない、そういう方向で考えるべきだと私は考えております。
  132. 大原亨

    大原(亨)委員 行政や財政について地方に権限を移譲していく、分権を進めていく、そしてその地域の要求に合った個性のある都市をつくっていく、こういう考えだと基本的には思います。そういう考えですか。
  133. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 そのとおりだと思います。
  134. 大原亨

    大原(亨)委員 しかし、実際上はなかなか自治大臣の一存ではいきませんわね。てこでも何でもとても動かないようなところがあるでしょう。それは別問題としても……。  そこで、広島の政令都市がいまいろいろな角度から議論になっておるわけですが、その議論をする場合に少しオーソドックスに議論をすべきだ。そういう議論をしておいて、自治大臣がきちっとこの議論を通じて理解をしてもらいたいと思うのですが、広島は昭和四十三年に政令都市構想を出して、十九カ町村の合併を呼びかけたわけです。十三まではいったのですが、ここでストップしておるわけです。それは世の中の情勢が変わっているわけですよ。高度成長から低成長に入っていますし、それから住民のニードも変わっているわけです。  そこで問題がむずかしいのは、一つは政令都市の発足について判断するのに、いままでいろいろな議論をしてきたけれども、行政の継続性を無視することはできぬだろう。いままで政令都市として発足するということについて、そういう準備をしてきた行政の継続性について——これはいろいろな議論があって、与野党もあるけれども、それは無視することはできない。  それからもう一つ大切な点は、新全総時代の中枢管理都市機能で百万ということを自治省等が示したものですから、百万へ、百万へというふうに形を整えていったという点がなきにしもあらず。それから低成長時代に入ってきて三全総。そこで、そういう事情の変更、情勢の変化というものを両方突き合わせてみて判断をすることが必要だろう。他にたくさんありますが、政令都市の発足について二つの点から判断することが必要だろう、こう思います。具体的なことではなしに原則的なことについて自治大臣はどういう見解ですか。
  135. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 基本的には私は同感であります。
  136. 大原亨

    大原(亨)委員 それから来年政令都市を発足させるということを広島市の市議会はほとんど満場一致に近い形で、それから県議会もいろいろな議論があったけれども、そういう意見書を出しているのですが、これは近く自治大臣に直接話があるでしょう。  そこでもう一つ、この判断をするときに混乱をさせてならない点は、政令都市として自治大臣が指定をして発足する、そういう合意をする、決定をするのは現在の広島市であり、広島市民である。それからもう一つ混乱させてならないことは、当初近隣町村で呼びかけたところが、いろいろな事情があって、自治体がそれぞれ独自の意見を持っておる。つまり将来合併する対象の町村の意思の決定は自治権に基づいてその町村がやるべきであって、政令都市の発足についてはいまの市民がやり、市がやる。そして区役所を発足させる、あるいは出張所をどうするかということを議論してサービスを考えていく、これはいまの市民自体の問題である。しかし、新しく合併する対象地域の合併問題は、その合併の対象となっている地域の住民、自治体が決定する問題である。その問題を混乱させて議論をすると、住民の意識がいわゆる民主的な形でなくなるのではないかという点です。そういう点を第二の問題として十分考えて措置すべきではないか、前後の問題を含めて措置すべきではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  137. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 大原さん、これはもう言うまでもなく、市町村が合併するかどうかということはその市町村の住民が自主的に決める、これはもう鉄則でございますから、この点についてはどなたも異論はないと思うのです。ただ、政令都市として新しく発足しようということを考えた場合に、政令都市は一つの都市でございますから、一つの都市としてのまとまり、行政の運営の仕方、こういう点を当然考慮せざるを得ない。そういう観点から考えますと、具体的に申し上げますが、広島市の場合は、府中町だったと思いますが、新しい政令都市として発足を期待されておる広島市の真ん中ではありませんけれども、その都市の中にある。ですから、望ましい形としてはやはり広島市の中に一緒になってまとまった形でスタートを切るということが望ましいというふうに考えるのは当然ではないか、このように考えております。
  138. 大原亨

    大原(亨)委員 そうすると、広島市が来年政令都市として発足する場合においては、望ましい形としては、安芸郡の府中町は広島市にまとまった方がよろしいということですね。それから、海田町も強いて言えばそういうことでしょう、そうなっていますから。しかし、府中町も海田町も広島市との合併問題については非常に情勢が冷えておる。というのはなぜかというと、高度成長から低成長に移って、住民の意識が変わってきて、きめの細かいサービスを要求するということが一つ。これは四万、五万の人口があるわけですから自治能力があるわけです。それからもう一つは、広島市がやたらに広い地域を、札幌に次いで広い地域ですが、合併地域で飛び石合併なんかやりまして、たとえば客観的に見てみましても、後で議論しますが、交通地獄なんかひどいわけです。朝の交通ラッシュ、二時間、二時間半近くかかっておるわけです。それから、たとえば広島市の合併地域の市民がごみの非常事態を宣言して四年来ずっとやっておるわけです。市民がマイカーのトランクにごみを積んでいって周辺の町へ投げたりする、ごみの処理の仕方がむずかしいから。これは大きな都市化してきますから、物すごい都市問題が起きてくるということですから。交通問題、ごみの問題を見ているから、あんなところに巻き込まれて——学校だって人口急増地帯でプレハブがいっぱいあるわけですから、それを見ていますから、そういう中へ自分たちが入っていってやるよりも、もう少しゆっくり考えた方がよろしいと住民は考えておって、これは保守、革新なくそういう傾向になりつつある。ですから一方は、広島市自体が政令都市としていよいよ発足しても、現在としてはみんなこれしかないだろうと思っているわけです、合意にあるわけですから。そうして市のそういう行政水準を上げていくということを考えながら、自治省が言うような広域行政の中で長い展望で考えるというふうな、合併対象地域の住民の意識とこちらの政令都市の都合とが一致しない。そういう混乱は、たとえば西部の方の隣の五日市というのは御承知のように日本で一番大きな町であって、人口八万の町です。これは合併問題をめぐりましていつも大論争になっている。その隣の廿日市は政令都市の構想を発表したときの合併の対象地域でありますけれども、これはさっさと満場一致で、いま四万余りでありますが、将来六万以上になりますから、そうするとこれは単独市制を施行する、こういう決定をする。それから熊野町とか坂町とか、東部の呉に近い方のところは全然ノータッチ、こういうことであります。  ですから、そのことについて形だけにとらわれて判断をするということは、いままで若干議論いたしてまいりましたが、この政令都市の問題が昭和四十三年ごろに提起をされて、高度成長、列島改造の時代から低成長、生活中心の時代へ入ってきている、それで自治体も本来の自治体の姿に考え直さなければいかぬという時代に入ってきているわけですから、そういう時代に、最初の二つの問題については自治大臣意見が一致いたしましたけれども、行政の継続性という点と情勢の変化、住民のニーズの変化ということを十分考えながらやらないと、自治大臣は頭だけでこの問題について形がいいの悪いのということを議論するのはちょっと行き過ぎじゃないか。あなたが答弁されたように、これは自治体が決定するんだ、自治体が住民の方向を決定するんだということについて答弁があったのであります。形が悪い広島市ができる。ある人は奇形児だ、こういうふうなことをいろいろ言っている。私はそれも一つの歴史である。それをどうして是正、克服するかということについて、やはりお互いに障害を除去することが大切ではないか、こう私は思うのですが、大臣いかがでしょう。
  139. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私どもはまだ当該の広島市それから広島県、こういった直接の当事者から具体的な説明を聞いておりません。したがって、具体的にどういう事情があるのかということを的確に詳細に知り得る立場にはないわけであります。したがって、私の答弁も勢い一般的な、原則論的な答弁にならざるを得ないわけでございますが、近々県と広島市が一緒になって私のところに説明に来る、こういう予定になっておるわけでございますので、ひとつ十分その関係者の意見考え方を承って、その上で自治省としての判断、結論をまとめたい、このように考えておるわけであります。
  140. 大原亨

    大原(亨)委員 そういう答弁だと思うのですが、つまり私がそれをここで議論したのは、各省庁も出ておるところで、いま自治省だけと話をしても解決できない問題がたくさんありますからね、ですからこういう場で議論をしたわけです。  私が指摘をした点で、しかも原則的には自治省地方の時代とか、自治権尊重とか、定住圏構想あるいは生活圏構想のリーダーシップは市町村である、あるいは県であるというふうに言っているわけですから、だからその自治権を尊重しながら全体としての行政上の一つの決断を前向きにしていく、こういうふうに私は理解をいたしますが、いかがでしょう。
  141. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 地方自治でございますから、地方住民の自主権、自治権、こういったものを基本にして物事を進めていかなければならぬというのは御指摘のとおりでございますから、そういった基本方針で取り組んでまいりたいと考えます。
  142. 大原亨

    大原(亨)委員 広島市の政令都市の発足とか合併問題でいつも議論になっておる点ですが、政府全体としてもう少し、自治体が町をつくっていく際にそれぞれどういう目標で国の財産やその他を処理するかということについて意思統一をきちっと議論してもらいたいと私は思うのですね。  私が第一に質問いたしますのは、国有地の処理の問題でありますが、広島市にたくさんある。原爆を受けまして、そして平和記念都市建設法というこれは特別法ができまして、それぞれ中央は大きく協力してきたわけであります。しかし、いま一番大きな問題は、中枢管理都市の考えと違うわけですが、広島大学、総合大学が東広島へ移るわけです。そしてそこには非常に広範な学校の跡地が残るわけです。  それから、広島市の宇品町というところに一万二千ヘクタール以上の大きな国有地、もとの軍用地でありますが、それを、当時は食糧が不足しておりましたから民間企業に貸しておりました。約四千坪以上ですが、旧陸軍糧秣廠の跡地で日本糧工という会社が使っていたのが、これは倒産いたしました。それが四千坪あるわけです。そういうところ、町の外だけじゃなしに町の中に緑とか空間をどんどんつくっていくというふうなことをやりながら都市問題を全体として解決するということが必要です。  そこで、きょうは大蔵省理財局に来ていただいておるわけですが、国有地の払い下げについて有償ということを盛んに言っておるわけです。大学を設立するときにはいままで地元の自治体が非常に協力したわけですよ。今度は東広島に新しい学園都市をつくるわけです。そういう文化のセンターが移っていくわけです。中枢管理都市の考えにとらわれない考えで、私は一つの考えだと思います。その場合に、跡地を市に無償で払い下げるということで広島市の都市問題を解決すべきではないかということですね。町がどんどん大きくなってまいりますとそういう問題が出てまいりますから、国有地の払い下げの問題について、私は非常に大きなプロジェクトについて二つほど公然と指摘をいたしました。したがって、無償払い下げの問題について大蔵省は当然自治体に協力すべきではないか、町づくりに協力すべきではないか。
  143. 迫田泰章

    ○迫田政府委員 お答えいたします。  まず広島大学の移転した残りの跡地の話でございます。これは御承知のように、国立学校特別会計の所属財産ということになりますが、この移転につきましては四十八年に決定されました移転計画で現在作業中でございます。具体的にいつ移転するかと申しますと、五十六年度から六十年度にかけて移転するという話を聞いております。  その跡地の処分条件を無償にしたらどうかというお話でございますが、国立学校で移転計画を広島大学についてつくっておるわけでございますが、その移転整備計画によりますと、用地取得等の移転経費は跡地処分の収入で賄う、こういうことで計画ができておると聞いておりますので、これを無償で払い下げるということは困難ではないかと思います。これは国立学校特別会計所管の財産でございますので、文部大臣の所管になるわけでございます。大蔵省といたしましては、文部省の方から処分の依頼がございますと、それを受けて処分をするということに相なるわけでございます。最終的な判断というものは文部省となりますが、いま申し上げましたような事情がございますので、現在私にお聞きになればむずかしいのではなかろうかと思いますが、五十六年度以降の話でございますので、文部当局とも十分相談をしてまいりたいと思います。  それからもう一つ、糧秣廠の跡地の利用の話でございますが、先生十分御承知のような状態でございまして、国の方といたしましては、あそこの賃貸契約を解除してあけてもらおうということで現在作業を進めております。その跡地でございますが、現在のところ、どういうふうに利用したいかということは市当局からは具体的な話がないようでございます。したがいまして、それを十分聞いて処理をしたいと思いますが、跡地につきましては、現在公共用に優先をするという方針で跡地というか国有地の処分をやっております。したがって、具体的にどうこうしたいという話が広島市当局の方から出てまいりますと、それを聞いて十分検討していきたいと思います。
  144. 大原亨

    大原(亨)委員 文部省が決めるというのはおかしいのですよ。文部省が決めて、それを当てにして予算特別会計で収入にするというふうなのは、国有財産の処理の仕方としてはおかしいでしょう、最後はおたくへ来るのですから。ですからそれは、予算をそういうふうにやれと主計局の方で言うからそういうことになるのだ。そこは地元が協力してできたのですから、本部から工学部から東雲の教育学部から物すごい広い土地があるわけですから、それをやはり都市問題を解決するために、広島市がいま非常に過大都市になったわけですから、使うことについて有償でなければ出さぬと言えば、それは市民感情を逆なですることになります。私の言うことはわかりますか。それは一般市民の声ですから、その趣旨を十分尊重して処置を、財務局はおかしいじゃないか、こういう議論ですから、十分考えてもらいたい。よろしいですか。
  145. 迫田泰章

    ○迫田政府委員 お答え申し上げます。  そういう市民の声があるというその市民の立場というのは、たとえばそういうことをおっしゃるのはよくわかるわけでございますが、先ほど申し上げましたように事情がございますので、無償というのは非常にむずかしいのではなかろうかというふうに現在のところ考えております。
  146. 大原亨

    大原(亨)委員 後の方の答弁は、公共用に使う場合には申し出があったら無償で考える、大学の方はそうでないと言ったら、やはり公共用地ですから、いままでの国有財産の処理の仕方でおかしいですよ。その点はよく言っておきます。  それから、私が縦割り行政で一番いけないと思うのは、広島市の大量交通公共輸送機関の問題です。  広島市の一番北部の可部とか沼田という地域ですが、近い距離ですのですっと来るときには十五分くらいで来るのですが、マイカーがふえまして、朝は通勤通学にラッシュアワーで二時間以上かかるわけです。私はこの前も運輸関係議論したのですけれども、国鉄が私は一番いかぬと思う。国鉄は可部線と芸備線が北からある、呉線がある、それから山陽線は当然ついておる。そこで在来線に対する投資を国鉄はしないわけです。たとえば上越新幹線なんというのは、新潟、群馬を通って、総理大臣が二人おるからね、一兆二千五百億円かけて大赤字線をつくっているわけです。地元の社会党の者が聞いたら怒るかもしらぬけれども、一兆二千五百億円かけて大赤字なのをつくって、大清水トンネルなんか世界一のトンネルをつくっているのだ。これは赤字になるので、料金を上げにゃいかぬですよ。そうでなしに、可部線はいま単線ですけれども、複線にして立体交差にして市内は地下鉄で回していけば、そういう構想が昭和五十年に出ておるのです、陸運局が座長をいたしまして。その陸運局も出先でありながら、大きな工事をしながら、実際には能力、力がないのです。総合交通体系をどうするかという答申が出ているのに、五十年から何にも動かない、幾ら陳情しても動かぬらしい。そこで私はいま二回目を議論しておるのですけれども、国鉄は、在来線であって投資をしたら採算がとれるのだから、そういうところへはやはりちゃんと投資をするということで、そういう改良をするのだということを決めればほかの計画は立つわけです。そうすると、そこの地域における交通問題は解決するのであります。あんな広島の内に入ってこんな問題について頭を悩ますのはいやだと周辺の者はみんな言っておる。一番大きな例でひどいのは、東西南北とも全部そうであるが、一番北部の交通動脈。一つは、可部線の複線化と立体交差、それで地下鉄と結ぶというふうな構想等で積極的に国鉄が投資をするという方針を出せばこれは動いていくわけですよ。縦割り行政でどこへ言っていいかわからぬわけです。国鉄自体も赤字問題——三K赤字で大平総理大臣指示を出したときょうの新聞に出ておるけれども、何の指示を出したのかわけのわからぬことだろうと思うのだけれども、これも採算のとれるところへ投資したらどうだ、こう言うのです。採算のとれないところへ投資をして赤字線を出すよりもその方がいいのじゃないか、こういう議論。そういうことは人口急増地帯、過密地帯でたくさんあると思うのです。既存の交通体系にあるわけです。それをあなた一人いじめて悪いけれども、国鉄はそういう頭の切りかえをやると、それから、森山運輸大臣もこの間、みんなと中央で話してみましょう、こういうふうに言っておりましたが、国鉄の当局、担当者と運輸省はその後これについてどういう検討をしているか、どう考えているかということを答えていただきます。
  147. 高橋浩二

    高橋(浩)説明員 広島市を中心といたしまして鉄道網は、いま先生のおっしゃいましたように、山陽本線、それから呉線、芸備線、可部線、一応五方面からの鉄道が、都市間輸送もさることながら、また広島市を中心とする通勤輸送ということにいろいろ御利用いただいておるところであります。従来は、鉄道が独占時代では、鉄道がほとんど陸上交通の主役を占めておりましたけれども、ただいまのところは自動車もございますし、それからまた、広島市では市電等もございまして、それらをおのおの有効に使って広島市を中心とする通勤に役立てるのがよろしいのじゃないか。いま先生は国鉄はもっと増強すれば非常にもうかるというふうにおっしゃいましたけれども、いまある線を、たとえば単線を複線にいたしますには実は非常に大きな投資が必要でございます。いまのところは私の方は、単線をできるだけ有効に使って、たとえば列車の本数をふやすとか、あるいは列車の長さを長くして輸送にこたえるということを基本に進めておるわけでございます。そういうことで、一挙に複線というわけにはなかなかいきませんが、いま先生のおっしゃいました可部線については、非常に人口がふえつつあるという実態も踏まえまして、将来はこれをもう少し強化していかなくちゃならぬというふうに考えております。  いまの先生の御質問は、一月ほど前に御質問がございました国鉄と運輸省の間でどういう話し合いが行われておるかということでございますが、これは、現地の機関においてその後もう一度この広島市を中心とする通勤を主とした都市交通について連絡協議会を持って打ち合わせをしていこうということ、一応三年前に答申が出ておりますけれども、協議会を持ちましてもう少し細かく詰めていこうということでございます。
  148. 大原亨

    大原(亨)委員 それで、もしそれができない、国鉄がもうそういう投資をする意欲や能力がないということになりますと、どうしても地下鉄とかモノレールとかいう構想が出るわけです。構想はいろいろたくさん出ておる。オート式の何とか言うて建設省も出しておるのです。それが一つも進まない。しかし、ほかの地下鉄とかいうことになりましたら、国鉄はいまの線の赤字になりますよ。在来線は完全に赤字になってしまう。ですから、そこらでやはりもう少しリーダーシップを発揮して、国鉄が持っているいまの財産や蓄積をどうするかということについて、将来を十分考えてもらいたい。  いまの答弁では不満足ですから、いずれまた大臣、総裁のところから答弁をもらえるよう質問いたします。もう一回でも何回でもやります。きょうは時間が限られておりますから聞きません。  もう一つは、広島市は合併いたしましても十三ぐらい市外局電話があるわけです。これも私は前にやりまして、電電からなかなか答弁できなくて、前の服部郵政大臣が非常に勇気のある人でありまして、断固やりますということであの人は答弁しましてやや進んでおると思いますが、そういうことがありました。たとえば大阪とか東京でしたら〇六とか〇三で市内は同じ局番でいくわけです。広島だったら広島市内五一の四六三五、こういうふうにいたしますとその局番がないので八つか九つぐらい並んでいる、そいつをかけてやる、こういうことになっている。そういう点も双方にとって非常に悪いわけです。そういう点なんかを着々整備をされていればいいわけですけれども、なかなかこれがいまの縦割り行政でできないのです。その点については速やかにいままでの言明どおり整備してもらいたいと思うが、現在における状況と見通しについて最後に御答弁いただきます。
  149. 福富禮治郎

    ○福富説明員 お答えいたします。  広島の単位料金区域内におきます番号というものは先生の御指摘のとおりでございまして、現状広島の旧市内に当たるところが八二二という市外局番で、それからその周りのところの八二八という番号の中が非常に細かく分かれているところでございます。それで、広島の単位料金区域を八二二の部分と八二八の部分の二つに分けて、その中で市外局番を回さないでやろうとすれば比較的簡単でございますが、この広島の単位料金区域を全部市外局番を回さないでやるというようにいたしますと、市外局番を八二という形にいたしまして、広島市内のいま六数字のところを七数字にしなければいけないという問題があるわけでございます。そうすると、いま広島市内で六けたでかかっているのを一けた上げまして七けたにするという工事をしなければいけない。そういうことでございますので、八二二と八二八の二つに分けるというのでしたら比較的簡単でございますが、いまの広島の単位料金区域を全部市外局番を回さないでかけるといたしますと、八二にしなければいけない。そういたしますと、古い交換機、ステップ・バイ・ステップという交換機が数局残っているわけでございます。それを更改いたしまして電子交換等にかえることによって行おうというふうに検討しているわけでございます。それらを含めまして、現在の六次五カ年期間中にはぜひ完了させて先生のおっしゃったような形に進めたいというふうに考えている次第でございます。
  150. 大原亨

    大原(亨)委員 期間中というのはこれからの五カ年計画ですか。
  151. 福富禮治郎

    ○福富説明員 五十三年から始まる五カ年でございますので最終五十七年でございますか、それまでの間にはできるだけ早く対処いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  152. 大原亨

    大原(亨)委員 できるだけ早くというのはもう一、二年のうちですか。
  153. 福富禮治郎

    ○福富説明員 ですから、いますぐここで何年と言うのは非常にむずかしいのでございますが、五十七年には終了いたしたい。それよりも少しでも早くなるように計画を検討中でございます。
  154. 大原亨

    大原(亨)委員 局の編成でできないところもあるわけですよ。私もそれはわかりましたけれども、できるところだけはそれをやらないと、生活圏と職場やいろいろな商売にいたしましても、簡単なことのようだけれども非常に大切な問題です、生活に密着した電話は。もう生活にくっついているわけですから、これはぜひ早くやってもらいたい。  私はこれで終わるわけですが、つまり、広島市の都市問題は下水道の問題等を含めてきちっと整備をするということを進めていけば、いわゆる広域生活圏というものができるというふうに私は思います。そういう点では、やはり短絡的な考えでなしに、政令都市発足に当たっていろいろな点で検討して反省をしてみる、見直しをしたり検討してみる、こういうことが必要じゃないか。こういう点で、実情を踏まえて一つの判断が要るときでありますが、自治大臣が賢明な判断をされるように期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  155. 松野幸泰

    松野委員長 権藤恒夫君。
  156. 権藤恒夫

    ○権藤委員 初めに経企庁の方にお伺いしたいと思います。地方財政の問題でいろいろ論議する前に、地方財政関係の深い経済問題で若干お伺いしたいと思います。  政府の方は新経済社会七カ年計画基本構想を発表しておりますけれども、この中期経済計画はいつまでにまとまるのか、それについてお伺いしたいと思います。
  157. 高橋毅夫

    高橋(毅)説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、一月二十五日に基本構想が閣議了解されたわけでございますが、その後、この基本構想に対します各方面の御意見とか御要望等もお伺いしながら、同時にまた基本構想策定以来の最近の経済情勢、特にエネルギー情勢の変化等を踏まえまして、現在本案の策定作業中でございます。現在のところでは、本計画の決定は六月ごろを目途といたしております。
  158. 権藤恒夫

    ○権藤委員 やはりこの経済計画をまとめるに当たりましては、非常に内外の情勢が厳しくなっております。特に東京サミットを控えておるわけでありますが、わが国の姿勢いかんでは大きく変わってくるのじゃないか、こういうふうに心配をするわけであります。  そこで、この首脳会議、東京サミットに臨む基本的な態度ですけれども、それはどういうことか、お伺いしたいと思います。
  159. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 お答えいたします。  この東京サミットはランブイエから始まりましてサンファン、ロンドン、ボン、これに続く五回目の首脳会談でございます。最近世界経済は相互依存関係が非常に強まっておる。そこで、いずれの首脳会談におきましても国際協調の精神を基調にして、それで当面するいろいろな問題を解決しよう、こういう考え方で一貫されております。  現在の問題といたしましては、まず保護主義の高まりという問題がございます。これにどういうふうに対処して世界貿易を拡大し、お互いに安定した成長をどう遂げていくのか、こういう問題がございますし、またもう一つの大きな問題としてはエネルギーの問題がございます。それ以外にも南北問題、国際通貨の問題、それから景気を維持する問題、インフレを抑制しながら景気を維持する問題、こういったような問題があるわけでございますけれども、こういったような問題については国際協力、こういうふうな精神に基づいて相談をしていこう、こういう基本的な姿勢を考えてございます。
  160. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それは十分に私の方も認識しているのですけれども、言われました輸入の問題、それから具体的にドル減らしをどういうふうにしていくのかという問題、それから金融の自由化、OPECの原油値上げがどういうふうに影響してくるのか、こういうものがかなり大事であると思うわけです。そういうことについてもう少し詳しくお話しできれば伺いたい。
  161. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 お答え申し上げます。  まず輸入の問題につきましては、製品輸入の拡大ということがわが国は欧米諸国から求められているわけでございますけれども、やはり世界貿易を拡大していくためには輸入をしてあげなければいけない。一方的に輸出だけということになりますと、相手方の生産ができない。相手方に所得をつけてやるには、やはり輸入をふやしてやることである。向こうの所得がふえますと、当然日本からの輸出もまたふえていく、こういうふうな拡大均衡という過程で考えていかなければいけない、こういうふうな基本的な考え方をしてございます。  それから、ドル減らしの問題でございますけれども、現在日本の国際収支というものは赤字に向かっておるわけでございます。通常、貿易収支なり経常収支なりに着目いたしまして、なお大きな黒字であるということでございますが、その反面で経済援助でありますとか、それから海外直接投資でありますとかその他の証券投資などを含めました海外投資がふえるという形で、全体として見ますと、日本の国際収支というものはすでに赤字の方向に向かっておる。こうした状況を反映して、一時は大変な円高ということでありましたが、最近は円安の方向に向いておる。円安の方向に向きますと、またそれはそれで問題が起こってくる。外国に対する輸出があるいは伸びるかもしれないというふうな外国の心配もわかるわけでありますし、また、輸入製品の値段が上がるということから国内のインフレ問題、これが心配になる、こういうことでございますので、やはり全体として見ると、一方で大きな資本の赤字があるから、他方で経常の黒字があってもいいのだといったような考え方ではなくて、経常の黒字というものをほどほどのところまで減らしていく。その過程で資本の流出の方も、また投機的な流出というものを防いでいく、こういうふうな政策が国際協力の観点からも必要ではないか、こういうふうな理解をしているわけでございます。  また、石油の問題につきましては、これはやはりIEAの合意にありますような節約というものを当面約束どおりやっていく。石油という商品は、たとえば一、二%、二、三%というようなごくわずかの需給の不均衡でも、それが一〇%、二〇%、三〇%といったような価格引き上げに結びつくわけでありますから、こういったような点から節約に努めていく、より長い目で見た場合には代替エネルギーの開発、こういったものを進めていく、こういうふうな点で国際協力というものを考えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  162. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そういうようなことを考えておるわけでございますから、そういうことは五十四年度の財政の枠組みの中でどういうふうに影響するかということが知りたいわけなんですけれども、いかがなものでしょうか。
  163. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、五十四年度の経済の運営というものをどういう形で進めていくのか。石油の値段が上がる、こういったようなことを契機といたしまして、またそれに円安という方向が加わって、インフレ問題も最近はかなり声が高くなってきた、こういったようなときにどういうふうな政策運営のかじ取りをするのか、こういうふうな御質問かと思いますけれども、私どものただいまの考えといたしましては、やはり景気と物価というものを両にらみでいくということでございます。両にらみと申しましても、これは片一方の目がパリを向いており、片一方の目がロンドンを向いておるというようなロンパリのようなものではありませんで、まずインフレを抑制する、インフレを防ぐということが息の長い自律的な景気回復というものを可能にする、こういう観点から両にらみというふうに考えておるわけでございます。もちろん、厳しい深刻な財政事情というものがあるわけでありますけれども、その中で景気と物価の両立を図っていく、こういうふうな姿勢を考えておるわけでございます。
  164. 権藤恒夫

    ○権藤委員 五十四年度の春闘の見通しはどのように立っておるか、お伺いしたいと思います。また、五十三年度は公共事業を前倒しして結局やってきたわけでございますけれども、本年度はこれはどういうふうにしていかれるのか、お伺いしてみたいと思います。
  165. 田中努

    ○田中説明員 お答えいたします。  春闘につきましては、私どもといたしましては、これは民間の自主的な賃金交渉によって決まるという立場から、特に見通しを立てておりませんが、今日現在におきまして、主な二百四十五社ほどの企業の妥結状況を見ますと、六・四%程度という結果になっておりまして、これを昨年の同じ時期の結果と比較いたしますと、若干低目に推移しているかというふうに考えております。
  166. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そのような中で、五十四年度の公務員給与は二・五%と見込んでおるようですけれども、先般の公定歩合の引き上げ、それから春闘相場が二・五%を上回った場合、財政に影響が出てくるのではないかというふうに考えられますが、その際の地方財政計画を変更する事態は生じないのかどうか、その点お伺いしておきます。
  167. 森岡敞

    森岡政府委員 地方財政計画上は、御指摘のように二・五%の給与改善費を計上いたしております。春闘の推移及びそれを踏まえての公務員給与の改定率がどうなるかということはまだ明確でございませんので、的確なお答えはしかねるわけでございますが、仮に二・五%を上回って給与改定が行われるということになりますれば、地方財政計画上、別途三千五百億円の予見しがたい歳出に充てるためのいわば予備費を計上いたしております。さしあたりこれを財源に充てていきたい。私どもは、現段階ではこれでもって大体いけるのじゃないかと思っております。しかし、もしそれで足りないようなことになれば、さらに別途適切な措置は講じてまいりたい、かように考えます。
  168. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、地方財政についてお伺いします。  今日の地方財政は、昭和五十年以来財源不足を生じておることはもう御承知のとおりであります。それで、その立て直しが地方財政基本的重要課題になっております。六十年までに財源不足をゼロにするというようなことで試算がなされておるわけでございますけれども地方財政収支試算が自治省から、国と地方と出されております。     〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕 これによりますと、大蔵省が五カ年で九兆一千百億、自治省が五カ年で三兆七千八百億、合計で十二兆八千九百億円でありますけれども、これのための大増税案が打ち出されております。一方では景気を、財政を再建していかなければならない、一方では大増税、こういうようなことで果たして財政再建とこの景気回復というものができるのか、こういうふうに疑うわけでございますけれども、ひとつこのことについての御見解を賜りたいと思うのですけれども大蔵省の方にお願いしたいと思います。
  169. 大山綱明

    ○大山説明員 お答え申し上げます。  財政収支試算におきましては、ある一定の前提を置きまして、その場合に予定される税収との差額というようなことで九兆一千百億円という金額を出しているところでございますが、私ども、どういう形で増税が具体的に実現するかどうかというのは今後議論をさるべき問題でございましょうが、ただ増税というものが直ちにすべてデフレ的な景気抑制的な効果を持つかどうかという点につきましては、私ども、税収増がございますと、それは歳出という形でまた国民経済に還元をいたされるわけでございまして、そういった歳入歳出全体を通じまして見ました場合に、必ずしも増税というものはマイナス効果ばかりではない。これは学者などによりましても分析をされているところでございまして、先生御指摘のデフレ効果がどの程度あるかという点につきましては、しかとした試算はいたしておりませんが、必ずしもマイナス効果だけではない。歳出面までも含めたところでの効果を見ていくべきものだと考えております。
  170. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これはいろいろな説がございますので、ここで私どももそれが景気の足を引っ張る、こう断定的に言うことはなかなか困難だと思うのですけれども、今日の状況から見まして決して好転するとは考えられない、こういうふうに思うのです。そういう意味から、私どもは新税、一般消費税の導入に反対してきました。また最近、自民党の内部からも、特に参議院等におきましては反対であるということで署名等もなされておるようでございます。  そこで、自治大臣にお伺いしたいのですけれども大臣は所信表明の中で消費税の導入を言われてきましたけれども、その後いろいろな背景の変化というものがあるわけでありますが、そういう中でも現在所信表明でなさった消費税の導入、その考えにお変わりがないのかどうかお伺いしたいのです。
  171. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 国、地方を通じていまだかつてない財政難に直面しておることは御承知のとおり、国債の増発ももう限度いっぱいに来ておる、そういう意味で、国、地方を通じての財政の立て直しというのは、これはもう内閣がどうしても取り組まなければならない最大の課題の一つであるわけであります。そういう事態を踏まえて政府、それから与党である自民党、両者の間で五十五年度に一般消費税を導入しよう、こういうことが合意されておるわけでございまして、私どもはこの事態は何ら変更ないわけでございますから、消費税の導入を五十五年度から実施したいという基本方針は変わりございません。
  172. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そこが議論されるところなんですけれども、やはりこの新税を導入する場合においては、既存の税制をもう一回洗い直さなければならぬのじゃないかと思うのですね。政府の方でもいろいろ矛盾があるということは御承知なんですから。その現在ある税制の洗い直しについては、何かその後新しくなさっておるかどうか、もう一度お伺いしておきたいと思います。
  173. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 新年度の予算が成立をしてこの四月から実行に移された、そういう事態でございますから、五十五年度の予算編成に向かって、一般消費税の問題も含めて税のあり方をどうするかという検討を始めなければならぬわけでございますが、まだその時期に至っておりません。これはもう御指摘を待つまでもなく、来年度の予算編成に際しては、従来の税の全面的な洗い直し、見直し、こういうことは当然なされなければならぬ、このように考えております。
  174. 権藤恒夫

    ○権藤委員 さて、大増税を前提とした収支試算について二、三お伺いしておきたいのです。  この大蔵自治両省の収支試算には、国と地方との実質的な財源配分については、この大蔵自治の収支試算を見る限り、調整財源につきましては、自治省交付税の対象にしておりますけれども大蔵省の案では交付税の項目には入っていなくて、「その他」の支出というところに入っておるようであります。その伸び率を見ましても、新税は入っていないではないか、大蔵省の案では新税を交付税の対象としていないために整合性を欠いておる、こういうふうに思われる。この収支試算提出時におきますところの両省の話し合いは一体どういうものであったか、これは大蔵自治、それぞれお聞きしておきたいと思います。
  175. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  財政収支試算は、先生御案内のように企画庁が中心になりまして、かつ各省で閣議了解いたしました経済計画基本構想というものをもとにいたしまして推計したものでございます。御案内のように、私どもの試算も同様でありますし、また自治省がおつくりになっておられます試算も同様でございますが、個々の経費につきまして個別積み上げをするということではなくて、経済計画で示されております諸指標を手がかりにいたしまして、マクロ的に推計していくという形の手法をとっております。しからば、私どもの方の財政収支試算における交付税が一体どこに入っておるのか、あるいはいろいろ議論されております新税との関係ではどうかという点でございますけれども、先ほど先生の御質問の中にありましたように、交付税の入っております部分というのは、経常支出の中の「その他」の中に一応含まれておるというふうに申し上げてよろしいかと思います。  他方、先ほど申しましたように、国の試算におきまして経済計画で手がかりが与えられておりますものにつきましては、その科目について推計を行っております。たとえば社会保障支出関係につきましてはその項目として挙げておりますけれども、それ以外のものにつきましては端的な手がかりがないということで、言うなればマクロ的な推計を行ったという形でございます。  それから第二の新税の配分についてどう考えておるかという点でございますけれども実態的には自治省あるいは大蔵省との間でいろいろ協議しておりますけれども、必ずしも一義的な答えが出ていないという分もございます。したがって、私どもの方の試算上、それが仮に何らかの答えが出れば、「その他」の中から見ていくというかっこうになろうかと思いますけれども、一応それ以上の細かい推計にはなっていないという性格のものでございます。
  176. 森岡敞

    森岡政府委員 地方財政収支試算において増税分をどのように見込むかということにつきましては、歳入は一般財源ということでくくっております。一般財源は、申し上げるまでもなく地方税及び地方譲与税と地方交付税になるわけでございます。地方税の増税につきましては、毎々申し上げておりますように、現在の国と地方税源配分割合、これは三分の二と三分の一でございますが、それは維持するということで増税のシェアを分けております。地方交付税につきましては、私どもは現在の国税の中で占めておる交付税の対象税目である三税の割合、これが八二、三%でありますが、それに見合う地方交付税増収はあるものということで見込んでおります。すなわち、国の増税のうち、従来の三税相当分の増収地方交付税増収としてはね返る、こういう計算をしておるわけでございます。その点につきましては、今後大蔵省財政制度改正を通じまして積極的に詰めていかなければならぬ、協議をしていかなければならぬ問題である、かように考えておる次第であります。
  177. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大蔵大臣が一般消費税を導入しました場合、地方消費税もつくる、こういうふうにしばしば答弁をしてきておるわけです。また、国に入りました一般消費税は、国だけで独占する気持ちはないし、ある程度地方へ回すと言っておりますけれども、その具体的な配分の割合が明確でない。そこで、このようなことにつきましての話し合いがいつの時点で決まるのか。とにかくいろいろな新聞報道、それからいま大臣の答弁のございましたように、五十五年度に導入しなければならぬ。それについてはいろいろな論議をしていかなければならぬ。論議をするのにもたたき台も何も出てこない、これじゃ是非の論じようがないわけであります。ですから、早急にそのようなことも出して、やはり論議のできる場をつくっていかなければならぬのじゃないかと思うのです。  そこで、国が独占しませんとかつくりますとかいうけれども、その配分割合はどういうふうになっておるのか、話し合いがなされておるのか、その点についての御答弁をいただきたいと思うのです。
  178. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 消費税については、具体的にどのような税にするのか、現在大蔵省で最終的な詰めを急いでおる段階でございます。御指摘のように、確かに具体的なコンクリートな内容を持った、一般消費税はこういう内容、こういう形式でやるのだということが一般的に示されておりませんから、議論の舞台がない、材料がない、こういう点はまことに遺憾でありますが、いま申し上げたように大蔵省で最終的な詰めの作業をやっておりますので、これが固まり次第国民の前にも明らかにして、これは大いに各方面、いろいろな角度から議論の対象にしなくちゃならぬ、このように考えております。  そこで、国と地方でどういうふうな配分割合にするのかという点も、この消費税の一部を都道府県の地方税として設定するという点については合意を見ておるわけでありますが、その残余の部分の点については両省との間で具体的な詰めをまだ行っておりません。新税の具体的な内容が固まり次第、両省との間で詰めを急がなければならぬと思います。  いずれにしても、最終のタイムリミットは五十五年度の政府予算の編成、この段階で最終的な決着をつけなくちゃならぬ、私はこのように考えておるわけでございます。
  179. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大蔵省の方ではどういうふうに検討されておりますか、わかる範囲でお答え願いたいと思います。
  180. 足立和基

    ○足立説明員 一般消費税の導入について、この配分の仕組みでございますが、これは従来から御答弁申し上げておりますように、その一部を地方消費税として都道府県に配分する。これは決まっておりますが、今度は配分の全体の量でございます。これは地方消費税の税率を一体何%にするのか、そのほか地方消費税以外に地方に配分されるものをどのような形式でどのような量を配賦するか、こういった点については、いま自治大臣からも御答弁がございましたが、まだ決定を見ておりません。  そこで、私どもといたしましては、この点について実は昨年財政制度審議会で報告をいただいております。「国と地方財政状況に関する諸指標を参考としつつ、それぞれの財政の窮迫度等を勘案して配分することを考えるべきである。」こういうような報告をいただいておるわけでございますが、こういったものも一つの参考として自治省と十分御相談申し上げながらこの配分について考えていきたい、こう考えております。
  181. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この地方消費税は、税目は都道府県税になるのじゃないかと思うわけですけれども、この点については自治省も同様な考えでございますか。
  182. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもの考えの中にございますのは、税制調査会でこの一般消費税をめぐっていろいろと御議論をいただいて昨年の暮れに答申をいただいたわけでございますが、その中にございますように、新税のうち一部は地方消費税ということで、これは都道府県税だということが示されております。私どもとしても今度検討する際は都道府県の税と考えて作業を進めたい、そういうふうに考えております。
  183. 権藤恒夫

    ○権藤委員 まだこれは決定したわけでございませんので、少し心配のし過ぎかと思うのでございますけれども、たとえば地方消費税が都道府県税として配分されてくるでしょうが、これによって県の財源強化は確かに図られると思います。しかしながら、市町村の、特に急速に都市化が進み、住宅化が進んでいるような市町村の財政需要というのはかなり高くなってきます。そういうところにはどういうような形で充実されていくのか、そこまで検討なさっておるかどうか、自治省の方にお伺いしておきます。
  184. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 新税についての御議論をいただきました際も、ただいまお示しのございましたように、税制調査会においては当然市町村の財政需要の将来の問題等も含めまして、財源強化するときは、府県のみならず市町村の税財源についても充実を図るべきであるということにされております。私どもとしても、今後の問題ではございますが、一般消費税が導入される、そして地方には地方消費税というものが都道府県税として導入されることになりました際は、府県と市町村の間においてまた税財源については十分検討いたしまして、都道府県のみならず市町村の財政も十分成り立つような形で税財源の配分をしたいというふうに考えておりますが、具体的には一般消費税が導入されます際に現在の地方個別消費税、そういったものがどういうふうに吸収されるのかといったこと等も含めましてまだ非常に不確定要素が多いわけでございますが、しかしそういった全体の姿があらわれて出ましたときは、将来の財政需要等も勘案しながら府県、市町村間における適切な配分ということは考えなければならないということで、その作業はいたしたいと思っております。
  185. 権藤恒夫

    ○権藤委員 先ほど大蔵省から答弁がございましたけれども、私どもの考えを申し述べながら、もう一度答弁を願いたいと思うのです。  一般消費税の導入ということになりますと、当然物価を押し上げてくることはもう目に見えております。それが結局はインフレの要因になっていくでありましょうし、一方、物価の値上がりによりまして、実質消費の停滞によりまして景気の回復に支障が出てくることも考えられるわけですね。こうした状況は民間の試算でも明らかにされております。  そこで、いま具体的にはということで質問をしたわけですけれども、それも明確な政府方針が決まっていない。増税によって国民負担の強化につながるようなことが行われるし、そうかといって具体的な論議もできないというようなことでは納得しがたいわけでございますので、このような問題を今後いつごろまでに——先ほどは五十五年の予算編成直前、こうおっしゃっておりますけれども、こういう問題を国民にわかりやすくしていってもらわなければならないわけでございますが、再度大蔵省の方に、いま懸念されるようなことが心配されると思いますので、そのことについてもう一度お伺いしておきたいと思います。
  186. 大山綱明

    ○大山説明員 一般消費税の具体的な仕組みの検討作業でございますが、昨年の九月に税制調査会の試案が公表されまして、かなり詳しく考え方などを述べているものだと私ども考えております。その後、十二月に入りまして税制調査会の答申が出ました。それの中に一般消費税大綱というものが盛られてございます。  かなり大まかなものではございますけれども、私どもそれをさらに事務的に細部を詰めまして、本年に入りましてから関係各省と細部についての詰めをいたしております。それと並行いたしまして、関係団体、これはたとえば商工会議所でございますとかあるいは中小企業団体連合会でございますとか、そういったところともお話し合いを続けているところでございます。関係各省とのお話し合いなども通じまして、また関係各省が所管する業界にもこれでいいのかどうかという考え方はかなり伝わっているのではないかと思います。そういった形を通じまして、私どもまだ最終的な形ではございませんけれどもかなり具体的なものを関係各省、関係各団体に示しまして御議論を続けているところでございまして、それがまとまりましたところで具体的な細目についての公表、あるいはそれは法案という形になりますのか、いかなる形になりますのか、公表さるべきものだろうと考えておりますが、まだその段階には至っていないところでございます。  先生御指摘の物価の問題等、もう一つは歳出面へのはね返りなどの問題がございますが、物価の問題につきまして一言申し上げさせていただきますと、これは税率は五%ということで税制調査会からお示しがございまして、大体そんな前提で私ども事務的には作業を進めているところでございます。その物価へ与える影響といいますのは、大体課税範囲が全体の消費支出の半分ぐらいということから、五%の半分ぐらいの物価への影響があるのではないかと私ども申し上げているところでございますが、通常のインフレ的な物価の上昇とはこれは性格が違うものでございまして、便乗値上げとか、そういったことがございますといろいろ各方面に問題を巻き起こすかと思いますが、そういった便乗値上げなどのないような手だてを今後検討し、実施の暁には施策として講じていかなくてはならない、物価の問題につきましてはさように考えているところでございます。
  187. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、地方財政交付税についてお伺いしたいと思います。  高度成長から安定成長へ転換をしてきましたが、その結果が長期の不況であり、それと国と地方との間におきます行財政の仕組み等の構造上の問題が今日の地方財政の危機を招いておることはもうそのとおりであります。地方財政の根本的な立て直しはこの行財政機構の抜本的な改革が不可欠でありますから、今日までその改革というものがいろいろと叫ばれてまいりましたけれども、何ら目に見えてなされておらないというのが実情だろうと思うのです。  大臣にお伺いしますけれども、いつごろを目途にこの財政危機が解消するようなそういう行財政機構の改革をなさろうとするのか、お伺いしておきたいと思うのです。
  188. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 先ほどもお答えしましたように、現在わが国が直面しておる国、地方を通じての空前の財政危機的な状態、これはもうどうしても立て直さなければならぬわけでありますから、これと真っ正面から取り組む時期は来年度の予算編成だと私は考えておるわけであります。でありますから、いま御指摘の行財政の改革、この問題も当然来年度の予算編成作業の中で具体化してくるもの、このように考えております。
  189. 権藤恒夫

    ○権藤委員 具体的にどういうふうにしようというような、そういうお考えはおありでございますか。
  190. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 まあ何分とにかく基本的な大作業であるわけでございますので、いまのところ具体的にこういうものだという案は固まっておりません。
  191. 権藤恒夫

    ○権藤委員 総理が田園都市構想というものを大々的に打ち上げられまして、その後地方分権ということがしきりにあちこちで主張されております。大平内閣の自治大臣として地方分権、この分権についていろいろと指示を受けられておると思うわけでありますけれども、その内容だとかその規模について率直に明らかにしてほしいと思うのです。
  192. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 今回の統一地方選挙においても、これからは地方の時代だということが日本じゅうで言われるようになってまいりました。それで大平総理はその基本的な所信表明の中でも、地方分権というものを重視する、こういう政治姿勢をとっておるわけでございます。そういった総理の趣旨を体して、私はまさにこれからの地方の時代に向かって、地方分権の方向地方自治体を充実させていかなくちゃならぬ、基本的にはこのように考えておるわけであります。  その具体的な内容、それからその実施のタイミングというような問題についてはいまだはっきりとは固まっておりませんけれども、私といたしましては、昨年来地方制度調査会にこの基本的な問題の審議をお願いしておるわけでございまして、九月いっぱいにはその答申が出るという予定になっております。私はこの地方制度調査会に対しまして、いま言ったような、これからの地方の時代という、大観すると明治以来の中央集権的なあり方から地方分権の方向に向かって大きく方向を転換しよう、こういう大転換期でございますので、そういう事態を踏まえて、おざなりな答申ではなくして基本的な徹底した論議を踏まえた答申を期待したい、お願いしますとこう言っておりますので、九月いっぱいにはその結論が出てまいりますので、そういった答申を参考にしてひとつ真剣に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  193. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いま御答弁のように、確かにそういうスケジュールでいま検討がなされておるようであります。しかし、これは今回初めて出されることではないわけでありまして、もう何回も何回もやってきておるわけですね。そうして大臣がおかわりになる。おかわりになりますと、またそういうことで答申待ちですというようなことを繰り返してきておるわけですけれども澁谷大臣、たとえば立て直しのためにはやはりもう健全財政でなければならぬわけですが、大臣のお考えだけでも結構でございますから、この地方財政の立て直しについて、どういうお考えを持っていらっしゃるか、お答えできればいただきたいと思います。
  194. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 財政の立て直しということになりますと、これはもう基本的には二つのことだと思うのです。一つは出る方を極力減らすということですね。支出の削減、抑制。それからもう一つは、収入をふやす。基本はこの二つだと思うのです。これは国も地方も全く同じでございます。でありますから、私は一方においてこのぜい肉を切り落とす作業を真剣にやらなければいかぬということを盛んに強調しておるわけでございまして、それとあわせて、どうしてもこれは現在の日本の経済状態からいって、財政需要、行政の需要に見合うだけの金が入ってこないわけでありますから、その最低必要な部分についてはどうしても増税に踏み切らざるを得ない、こういうことで、基本的にはこの二本立てで取り組んでいかなければならぬ、このように考えております。
  195. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そこで、それらの問題につきましては、これは自治省だけが躍起になりましてもとうていできる問題じゃないと思うのですけれども、各省間で、もう政府全体で取り組んでほしいと思います。そういうようなことが検討されておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  196. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、とにかく国債に頼ってこの数年間どうやら財政運営をしてきたわけでございますが、最近の国債の暴落を見ても、もう限度に来ているということははっきりしてきていると思うのです。したがって、従来のような国債依存型の財政運営はもう限界に来ておる、こういうことがはっきりしてきたと思うのです。そういう意味で、来年度の予算編成財政の立て直しを中心に、自民党内閣としては正念場に来た、私はこういう受け取り方をしておるわけでございまして、いま御指摘されたような種々の問題も来年度の予算編成時期に、これはもうまさに内閣挙げて取り組まなければならない最大の問題である、このように認識いたしております。
  197. 権藤恒夫

    ○権藤委員 当然のことでございます。  そこで、やはり地方団体財政を圧迫している要因に機関委任事務等もあるわけでありまして、だから行財政に当たって整理をしていく必要があるわけでありますが、この機関委任事務のことについて若干お伺いしたいのですけれども昭和四十一年以降地方団体の機関委任事務、これはどのぐらいふえておるかおわかりでしょうか。
  198. 柳沢長治

    ○柳沢(長)政府委員 お答えします。  都道府県知事、市町村長に対する機関委任事務で地方自治法の別表に掲げられております事務の数は、昭和四十一年の時点で四百二十件、現在で五百二十二件で百二件の増加で、増加率は二四%でございます。
  199. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いま説明がありましたように、四十一年の交付税改定以来、地方団体の事務の件数だけでも百二件以上増加しているわけですね。当然、事業量の金額も大幅にふえておるわけでございますけれども、こうした事業量の増加に対しまして交付税率の引き上げを図るべきではないかということを私ども何回も言ってきたわけです。このことは地方制度調査会も指摘しておるわけでありますが、この地方制度調査会の答申をいままでどのように反映させてきたか、それについての説明を願いたいと思います。
  200. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいまお話しのように、機関委任事務もかなりふえてきておりますが、いわゆる固有事務というものも、地域住民のニーズが多様化し複雑化しておりますので、固有事務、機関委任事務を通じまして地方団体の事務事業がふえてきておるというのが実態だと思います。     〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 それに対応いたしますための財源措置といたしましては、地方独立税及び地方交付税の増強を図ることが最大の方針だと私どもも従来考えておりますし、また、お示しのように、地方制度調査会においてもそのような指摘がずっと続けられてまいりました。  交付税率の引き上げにつきましては、率直に申しまして、私どもは何とかして実現したいという気持ちでここ数年来大蔵省当局と折衝を重ねてまいりましたけれども、御承知のような国債を大幅に発行しておる国の財政状況のもとでは言うべくして大きな壁がございます。そのようなことから、当面、交付税特別会計における借り入れを通じまして必要な交付税の額は確保して地方団体財政運営に支障が生じないようにしてまいったわけでございます。借り入れは将来返さなきゃならぬわけでございますので、これは限界がございます。また同時に、地方債を発行して、その償還費も将来かなりふえてまいります。それを考えますと、先ほど来大臣から御答弁申し上げましたように、できるだけ早い機会に税及び交付税の大幅な増強を図る抜本的な税財政制度改正を私ども努力いたしたいし、国会においても真剣に御論議願いたい、かように思う次第でございます。
  201. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これは今日までも盛んに論議してきたことですけれども、五十年度が減収補てん債、五十一年以降が財源対策債として本来地方交付税措置しなければならないものを地方債に振りかえてきております。これから先も経済の動向から見まして、また地方財政収支試算から見ましても財源不足がずっと続いていくということであります。ということは、独自の財源対策は不可能である、どうしても国で財源措置の道を開いていかなければならぬということなんです。また先ほどから田園都市構想というようなことでいろいろな財源、行政の地方分権化が要求されてくるわけでありますけれども、とにかく地方財政の強化というものは必要不可欠であります。そういうことから考えまして交付税率を引き上げていくということが一番確かな道でもあろうと思うわけなんですけれども、その点についてお考えはどうでしょうか。
  202. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 基本的には交付税率の引き上げによって現在の財政状態に対処するというのがオーソドックスな対策であると私どもは考えております。したがって、五十四年度の政府予算案の編成に際しても大蔵省に対してこれは強く要求をしたわけでございますが、とにかく国の財政が御承知のように火の車の状態でございますので、私どもの主張が正しいということは確信しておりますけれども、いかんせん条件がそれを許さないということでやむを得ず涙をのんだわけでございまして、私どもは今後とも機会あるごとに交付税率の引き上げの実現に向かって努力してまいりたいと考えております。
  203. 権藤恒夫

    ○権藤委員 五十四年度の予算自治省交付税率を六・五%要求しておりました。ところが、総額で確保したということですっと取り下げてしまっているような印象を私どもは受けるわけなんです。ですから、果たして税率の引き上げに対する熱意はあるのかどうか。とにかく何でもいいから金さえ取ってくればいいというようなことで場当たり主義に進んでおるのじゃないかというふうに思われるわけなんです。ということは、交付税率のアップはできない、こう言いながら臨時特例交付金の枠をどんどん拡大している。そういうことなら、地方公共団体にとりましては一番確かな財源を求める方法としては税率を上げることが一番いいと思うわけなんです。そういう点について私どもは非常に矛盾を感じているわけなんですけれども、いかがなものでしょうか。
  204. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 繰り返しお答えいたしますが、私ども地方財政の対策としては交付税率の引き上げがオーソドックスな対策である、この信念は堅持しておるわけであります。ただ、国の財政状況がそれの実現を許さない、こういうことでございます。そこでその臨時地方特例交付金、この金を出しておるんだからその分だけでも交付税率を上げられるじゃないかという御指摘、これは当委員会でもたびたび御指摘を受けておるわけでございますが、御承知のように、この臨時地方特例交付金はあくまでも恒久的なものじゃありません。その年度年度ごとの財政需要に対して当年限り対応しておる、こういう性格のものでございまして、それに対して交付税率の引き上げということになりますと、これは当然恒久的な制度の変更、こういうことになるわけでございますから、その点、基本的にも違う。私どもは本来は交付税率の引き上げを実現をしたい、これをやりたい、こういう一貫した考え方を持っておりますが、それがもう国の財政が許さない、やむを得ず借入金とかあるいは臨時特例交付金、こういったものでとにかく当面の財政運営に対処しておる、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  205. 権藤恒夫

    ○権藤委員 五十年度以来、地方債の償還が始まっております。そのために公債費率ですけれども、年々増加しております。五十三年度が六・五%、五十四年度では六・八%ということでございます。これは地方財政の硬直化並びに地方財政をぐいぐい圧迫してくる要因になるわけです。今後こういう傾向は一層増大してくるわけであります。この点から、行財政の見直しは不可欠であるということはいままで申したとおりですが、増大する今後の償還対策は一体どのようにお考えになっておるのか、お聞きしておきたいと思います。
  206. 森岡敞

    森岡政府委員 地方債がふえてまいりました要因は二つあると思います。  一つは、先ほど来御指摘のように、地方財政の中で本来地方交付税措置しておった部分が、財政収入の伸び悩みによりまして地方債に振りかえられておる。いわゆる事業費補正で交付税計算しておりましたものを財源対策債という形に振りかえておるという問題が一つと、それからいま一つは、財政が前に出て景気浮揚を図らなければならないというのがここ二、三年来のわが国の経済の実態でございましたので、公共事業、単独事業を通じまして相当の規模の拡大を行ってまいりました。そのために地方債を大幅にふやさなければならぬ、こういう事態であったわけでございます。  後者の方の投資的な公共事業を中心にいたしました景気浮揚という問題は、景気が着実に回復してまいりますれば、ややトーンダウンしてまいると思うのでございます。しかし、前者の一般財源の不足というものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、税財政制度基本改正を行って必要な財源の増強を行いませんと、その穴埋めができないということになろうかと思います。いずれにいたしましても、将来の公債償還費につきましては地方財政計画に的確に計上いたすわけでございますので、そのような仕組みを通じまして、地方団体がその償還ができないというふうな事態にならないように国として万全の責任を持った措置を講じたい、かように思います。
  207. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いま特例債を交付税で見ていますね。これを交付税以外の財源で何か措置するようなことが必要だろうと思うのですが、そういうお考えはございませんか。
  208. 森岡敞

    森岡政府委員 そういう考えも御提案があることは承知いたしておりますが、私どもは、特例債も地方債でございますので、やはり全体の地方債の償還費を賄うための財源措置を考えます場合には、基準財政需要額に算入する方が的確な算定ができるのではないか、特定のものを取り出しますと、また特例債以外のものについても同じような特別の措置を講じたらどうかという御意見も出てまいりましょう。そういたしますと、財政措置の総合性というものに欠けるのではないかというふうに考えておりますので、私どもは現段階では基準財政需要額算入が合理的であり、的確な財源措置の方法ではないかと思っております。
  209. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、交付税会計の借入金償還なんですけれども、税率が上げられないということで交付税会計で借りて、それでその償還の二分の一を国が見るという制度なんですけれども、これは本来ならば税率を上げていくべきであります。こういうときだから仕方がないから緊急の措置としてこういうふうにしているんだということなんですが、それを二分の一にしなくて全額国で見るように自治省大蔵省としっかり交渉すべきじゃないかと思うのですけれども、この見通しはどうでしょう。
  210. 森岡敞

    森岡政府委員 この点につきましてもいろいろ御意見のあることは私ども伺っております。御承知のように五十三年度に交付税法改正いたしまして、当分の間、借入金をいたしましたその純増加額の二分の一を国庫負担してもらうという仕組みをつくったわけでございますが、その間におきまして自治省大蔵省でいろいろその中身につきまして詰めをいたしたわけでございます。私どもといたしましては、地方財政の中での一般財源、すなわち税及び交付税が伸び悩んでおるために交付税特別会計借り入れて必要な額を確保しておるわけでございます。  そこで、地方一般財源の中で国の税制、国税制度によって影響を受けておる部分というのがどの程度かということを計算してみますと、大体五割、半分でございます。その分はやはり国で当然めんどうを見てもらうべきではないか。残余の部分については、地方税制の改正とかその他の地方自治体の努力ということもあるわけでございますから、そのようなことで大蔵省と合意に達したわけでございます。確かに一〇〇%持ってもらえば地方財政としてはそれに越したことはないわけでございますが、そういうふうな論議を尽くしました結果の結末でございますので、私どもといたしましてはこの仕組みを維持してまいりたい。しかし、地方負担となります半分につきましては、いま申しましたように税制改正その他の財政措置を通じまして必要な財源を必ず確保する、地方に迷惑をかけないということで努力していきたいと思っております。
  211. 権藤恒夫

    ○権藤委員 続いて公債の問題ですけれども、公社債市場は、国債がこんなにあふれましてその相場も暴落しておるというような中で、地方債は一体どうなるのかという心配がされるわけなんですが、これらの影響に対する対策が何か立ててあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  212. 森岡敞

    森岡政府委員 国債の市場価格が大変下落をいたしまして新発債の消化にいろいろ支障が出てまいったということで、三月に〇・四%の国債の利率の引き上げが行われましたことは御承知のとおりでございます。  地方債のうち市場公募債につきましてもやはり国債と同じような状況がございますので、三月債から〇・四引き上げまして、表面金利で六・二%を六・六%にすることにいたしました。しかし、その後さらに、御承知のように国債につきましてはなお問題があるということから〇・七%引き上げるというふうな話が固まってまいりつつございます。私どもといたしましても、国債がそういうふうな条件改定が行われますと、市場公募債についてもこれに並んだ条件改定をいたしませんと市場公募債の消化が困難になりますので、いまシ団の幹事と話し合いをしておるわけでございまして、月内には結論を得たい、その条件改定の幅は大体国債と同じ程度の率にいたしたい、かように考えている次第でございます。
  213. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そうしますと、利率が引き上げられました場合、地方財政計画に盛られております新たな利子負担分が生じてくると思うのですけれども、これはどうでしょう。
  214. 森岡敞

    森岡政府委員 いま申しましたように、公募地方債につきましては四月中に条件の改定の結論を得たいと思っておりますが、そういたしますと、五月発行分から発行条件が国債と同じでありますれば〇・七%引き上がるということに相なります。その他の縁故地方債につきましては、御案内のように、各地方公共団体が関係金融機関と協議をして条件を決めるわけでございますので、これはまだそれから後の決まり方になるわけでございます。なおそのほかに、政府資金なり公営企業金融公庫資金の金利につきましても、これは影響してまいります。  そこで、それらを一体どのように見込むかということにつきましては、まだ十分なデータがそろっておりません。しかし、非常に粗く計算いたしますと、五十四年度中に発行する公募債、それから縁故債等の民間資金で見ますと、金利負担が大体七十億円強の増加になるのではないか。しかし、この程度でありますと、先ほど申し上げました予備費といたしまして三千五百億円計上いたしておりますので、これで大体吸収できるのではないだろうかというふうに考えております。なお、推移を見て検討を進めてまいりたいと思います。
  215. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、国鉄の問題について質問します。  国鉄の財政再建対策といたしまして、運輸省の国鉄地方交通線問題小委員会から答申が出されておりますが、その中でローカル線の切り離しということが提起されております。自治省はこのローカル線に対する地方団体の肩がわりについては何かお考えがあるかどうか、お示し願いたいと思います。
  216. 森岡敞

    森岡政府委員 国鉄は幹線、地方交通線、国土の全体を通ずる交通ネットワークの責任を持っておられるわけでございますので、かつ国の企業でございますから、私の方は基本的にはやはり運輸省なり国鉄におきましてローカル線の今後のあり方を責任を持って御検討いただくのが筋であろう、かように思っておるわけでございます。現在の国と地方との間の事務配分、権限配分あるいは財源配分実態から申しましても、地方公共団体が肩がわりをするいわれも余地もないのではないかというふうに私は考えております。
  217. 権藤恒夫

    ○権藤委員 当然だろうと思います。ところが、答申はそのようなことで何とかしなければならぬのではないかというふうに出ているわけですけれども、そのことは運輸省と自治省では何か話し合いをなさっておりますか。まず運輸省の方からお聞きしたいのですが。
  218. 丹羽晟

    ○丹羽説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、運輸政策審議会の国鉄地方交通線問題小委員会の報告の中におきましては、国鉄の地方交通線につきまして三つに分けまして、それはバスとの経済性の比較をしているわけでございますが、それで鉄道輸送の方が経済的なもの、それからバス輸送に直ちに転換できないもの、バス輸送の転換が適切なもの、この三つでございますが、それぞれにつきまして国鉄の方に残しておくべきものとか、あるいはバス輸送とか、あるいは第三セクターなどを中心といたします鉄道輸送にするとか、そういった方向づけがこの報告書では提案されております。それで、それぞれにつきまして公的助成を含みます必要な対策をこの答申の中で提案されております。それで、この報告を受けまして、運輸省といたしましてはいまどのような対策をつくっていくかということをこの報告の趣旨に沿って内容を詰めておる段階でございます。したがいまして、その詰めの段階におきまして必要なことにつきましては自治省の方ともよく御相談してまいりたい、こう考えております。
  219. 権藤恒夫

    ○権藤委員 自治省の方はどうですか。
  220. 森岡敞

    森岡政府委員 地方交通線の問題の基本的な考え方は先ほど申し上げたようなことでございますが、しかし、また同時に地域の交通の問題は地域住民の福祉に直接つながる問題でありますから、県や市町村も全くそれについて関心を示さないというわけにはまいりませんし、むしろ非常に大きな関心を持っておる事柄でございます。したがいまして、私どもは運輸政策審議会の小委員会の御答申もありましたが、その段階でもいろいろ運輸省からお話を承っております。基本的な考え方に即して私ども意見も申し上げてまいりました。その後、具体的な行政施策としてどのような方向をとるかということについてはまだ運輸当局から公式のお話を承っておりませんが、お話を承った段階で十分御相談していきたい、かように思います。
  221. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そこで、国鉄利用債につきまして二、三お伺いしておきたいと思うのですけれども、国鉄の方から自治体に引き受けさしております国鉄利用債、これが年間当たり百五十億ぐらいあるようでございます。これが地方団体財政負担をさしている。これはもう財政上におきましても問題がある、こういうふうに私ども思うわけなんです。  そこで、国鉄利用債の過去三年間の発行につきまして、事業別の内訳の実態がどういうふうになっているのかお尋ねをしたいと思います。
  222. 中村重雄

    中村(重)説明員 お答えいたします。  大都市交通対策でございますけれども、これは主に線増と電化でございます。五十年が四十八億、五十一年が四十一億、五十二年が三十四億。それから動力近代化、これは電化でございますけれども、五十年が四十七億、五十一年が三十四億、五十二年が五十八億。それから輸送力増強、これは線増でございますけれども、五十年が三十四億、五十一年が三十五億、五十二年が二十九億。それから駅本屋等の改築のものでございますけれども、五十年が二十九億、五十一年が三十五億、五十二年が三十六億でございます。トータルいたしますと、五十年は百五十八億、五十一年が百四十五億、五十二年が百五十八億でございます。
  223. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いま御説明いただきましたとおりですけれども、これから先は動力の近代化でありますとか、あるいは輸送力の増強ということで線路の増設や電化が強化されていくと思うのですが、国鉄としてはそういう方針でございますか。
  224. 中村重雄

    中村(重)説明員 現時点で従来の方針と変わってございません。
  225. 権藤恒夫

    ○権藤委員 国鉄利用債の引き受けなんですけれども、最終的には、金融機関が引き受ける場合、期成同盟会が利差分を補給しておるのです。この利子補給をしている実態をどの程度認識していらっしゃいますか。わかっておれば、御答弁願いたいのです。
  226. 中村重雄

    中村(重)説明員 お答えいたします。  利用債につきましては、地元の強い要求に基づくものでありまして、その引き受けに当たりましては発行条件とか引受金額等につきまして十分説明、協議いたしまして、了解を得まして行っておりまして、国鉄は期成同盟会と利用債の引受契約を結んでいるのでありまして、期成同盟会の内部での利用債を引き受けた後の資金調達及び引き受けられた債券の運用等については存じておらない次第でございます。
  227. 権藤恒夫

    ○権藤委員 路線の強化でありますとか、輸送力の増強ということは、地元でもかなり陳情があってのことだろうと思うわけですけれども、私は内容まで知ってほしいと思うのです。というのは、五十年が四十四の団体、五十一年が四十一、五十二年が四十三の団体が引き受けておるわけですけれども、これをずっと見ますと、ほとんどこれは期成会とかというような名前になってはおりますけれども、全部地方公共団体の長がその任に当たっておるわけですね。そうしまして、銀行から金を借りておるわけですが、貸出金利と債券の利息の差を公共団体が出している。例をとりますと、ある市では五十一年度では利子の差額の負担金を一千三百六十五万円も払っている。どういうように支出しているかというと、寄付金であるとか分担金ということで出しているのです。それから、あるところでは、私もよく存じ上げているとても小さな公共団体ですが、五十二年度の期成会の補助金として七十万出しているわけです。また十年間ぐらい継続しまして、財政規模の弱い団体が四千万ぐらい出している。ですから、内容は全然知りませんとおっしゃっているのですけれども、その内容まで立ち入って検討される必要があるのではないか。  それから、自治省にお伺いしたいのですけれども、利差補給を期成会が受けているわけです。これは地方財政再建法二十四条に違反するのではないかと思うのですけれども、この見解はいかがでございましょうか。
  228. 森岡敞

    森岡政府委員 ここのところは実は大変微妙なところだと私はかねがね思っております。地方財政再建促進特別措置法二十四条は、御承知のように、地方団体が国鉄その他国の機関あるいは公社、公団に対して寄付金を支出することを禁止しているわけでございます。しかし、期成同盟会が引き受けました利用債について県や市町村が利子補給を行う相手方は期成同盟会でございますから、形式論理から言いますと、これは再建促進法二十四条には直ちに違反はしていないということになろうかと思います。ただ、利用債の条件を市中の金利よりも非常に不当に低くお決めになって、その差額を公共団体が利子補給して、実質上財政援助しなければできないというふうな形をとることは、たとえば駅前の広場の整備のような地元の受益がきわめて明瞭なものは別といたしまして、全体的な輸送力増強のための複線あるいは電化についてまで、ことに地方の幹線的なものについてまでそういう措置をおとりになることは非常に不適当ではないか、私はかように思っております。
  229. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これは再建法で「政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。」とはっきりしているわけです。これは財政局長、いかがですか。
  230. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいま申しましたように、国鉄に対して出しではいけないという禁止規定でございます。利子補給しておりますのは、形式的に期成同盟会に対してしておるものですから、そこから、先ほど申しましたように、直ちに違法ということにはならないと私どもとしては考えておるのでございます。
  231. 権藤恒夫

    ○権藤委員 まあ、いいでしょう。  国鉄にお尋ねしておきたいのですが、とにかく期成同盟会が利用債を引き受けます——よく内容を知らないとおっしゃるからくどいようですけれども申し上げておくわけですが、その同盟会は金融機関に利用債を引き受けさせておるわけであります。で、金融機関は政府保証債よりも高い利息でなければ引き受けませんので、結局その利子の差額分を実質的に自治体が負担しておるという結果になっておるわけでございます。これはいま適切ではないというような表現でございましたけれども、私ども財政再建法に違反すると考えております。国鉄は自治体に利用債を引き受けさせることにつきましては、この法律をどの程度認識しているのかということなんです。  それともう一つ、受益者に還元されるような駅舎の改築だとかいうものではなくして、国鉄自体の問題である路線の増設、電化、輸送力の改善強化というものにこれが利用されておるということ。ですから、たとえば期成会に債券を引き受けろ、それはどこから金を借りてもおれたちにはかかわりのないことであるということでは済まされないと思うのです。実態はいま説明申し上げたとおりでございますから、この法律をどのように認識されておるのか、重ねてお伺いしておきたいと思います。
  232. 中村重雄

    中村(重)説明員 お答えいたします。  地方財政再建法との関係自治省の方から御答弁ございましたけれども、国鉄の方といたしましては、利用債というものは、地元の要望にこたえまして地元の受益関係の深い工事につきましてのみ発行してきたものでございまして、発行の際にも、具体的に工事内容十分協議しまして納得の上引き受けをお願いしているわけでございます。  それから、利用債の引受者に対しましても、元金の償還、利子の支払いを行っております有償資金でございますので、寄付金等とは異なるものでございまして、地方財政再建法に違反しないものと考えております。  それから、二番目の受益関係の薄い件でございますけれども、御指摘の線増、電化、これらの工事につきましては、都市間の輸送力の強化とか通勤通学輸送の改善、それから観光旅客の増加など、地元にもたらされる便益が多く、またこれらの工事促進につきましても、地元からの要望もきわめて強いことにかんがみまして、地元の受益に応じた利用債の引き受けをお願いしているわけでございます。
  233. 権藤恒夫

    ○権藤委員 抵触しないとおっしゃいますけれども、電化をする、これは国鉄自体の事業ではございませんか。輸送力の強化をしていく、都市と都市の間のそういう輸送力の増強とかいうことによって地域住民にそれだけの利益が返るということはわかりますよ。しかし、輸送力の増強をするとか路線の複線化あるいは電化ということは国鉄自体の問題でしょう。それまで期成会に引き受けさせる。この額を見ましても、駅の本屋等には十一億三千百万円、ところが電化には五十六億五千八百万円です。多いじゃありませんか。  だから、あなたの方では違反ではないと思っておりますと言うけれども、では現行法ではどの程度負担が生じたときには違法と思われるのか、自治省にもお伺いしておきたいのですけれども。いわゆる国の機関が地方自治体から少しでも土地を無償で借りる、これは再建法の違反になるわけです。期成会に引き受けさせておると言うけれども、その期成会の長というのがほとんど市長さんとか町長さんがなっておるわけです。それが利子補給をしている、何らかの形で負担をしているということ。私は実質的な問題においては変わりなかろうと思うのですけれども。  確かに地方自治体の方から——皆さん方がこんなところへやかましく言われるのは分に合わぬとおっしゃるかもわかりませんが、どんどん陳情がありまして、それを承知ならばこうしようというようなことでなさったことだと思うのですけれども、しかし、それはそれとして、法は法としてもう少し認識をしてもらわなければ困るわけです。なぜかならば、先ほどから申し上げておりますように、とにかく負担金が多過ぎる、いろいろなもので地方財政が圧迫されておる、そのためにもう借金、借金、借金でやっておるわけです。ですから、少なくとも国鉄が駅舎を改築するということについては若干負担金があっても住民として納得できるけれども、路線の強化だとか、そういうように輸送力の増強という国鉄の事業の本来のものまでにもなけなしの金を地方公共団体が利子補給していかなければならぬということは納得いかないわけなんです。ですから、違法ではございませんと言うけれども森岡さんと国鉄の方と、もう一回答弁してください。
  234. 森岡敞

    森岡政府委員 恐らく、いま国鉄当局からお話しありましたのは、利用債の引き受けをお願いする場合に、国鉄本社がたとえば東京あるいは大阪で金融機関に資金の借り入れを依頼するということではなくて、その地元の方で利用債の引き受けをお願いするということは別にこの法律に違反するのではないのではないか、こういうお話だったのだろうと私は思います。それはその限りにおいて私もそうだと思うのでございます。地元の要請もあるわけでございます。地元の金融機関から期成同盟会がお金を借りまして利用債を引き受けている、これはあってもちっともおかしくはない。  ただ、問題は金利の水準だと思うのでございます。市中の実勢から余りにかけ離れた低金利で利子補給を大幅にやらなければならぬようなことでありますと、これはきわめて遺憾であり、不適当だと思うのでございます。現在の利用債の金利は政府保証債の金利の〇・一%下のところで決められておると思います。市中金利もかなり流動的でございますから、一ころに比べますとかなりその幅が狭まっております。私どもはかねてから利用債の金利水準につきましては、運輸省及び国鉄当局に対して、市中金利の実勢とかけ離れないように努力をしていただきたいという申し入れをして御相談しておりますので、今後ともそういう方向地方公共団体の利子補給のような形での負担が出てこないように格段の努力をしてまいりたい、かように思う次第でございます。
  235. 権藤恒夫

    ○権藤委員 国鉄の方はどうですか。
  236. 中村重雄

    中村(重)説明員 お答えいたします。  法違反の問題につきましては先ほど述べたとおりでございますけれども、問題の不当な債券かどうかということでございますけれども政府保証債よりは〇・一%利率が下がっておりますけれども国債よりは発行価格におきまして有利になっておりますので、利用債は国債よりは有利な債券となっております。
  237. 権藤恒夫

    ○権藤委員 「国鉄利用債の処理に関する覚書」というのが三十三年九月に出されております。その中で「国鉄は、昭和三十四年度以降予算要求に当り幹線電化について、地方公共団体の引受分は計上しない。」こういうふうに覚書で言われておるのです。これはどういうふうに認識していらっしゃいますか。
  238. 中村重雄

    中村(重)説明員 お答えいたします。  覚書の三番に、予算要求に当たり計上しないと書いてございますけれども、これは予算に計上しないというふうに解釈しております。
  239. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これはいまはもう生きておりませんけれども、四十年六月三十日に財政局長の柴田さんと国鉄の経理局長の長瀬さんの間で結ばれた覚書なんですけれども、「地方公共団体が債券のあつせんをするに際して、地方公共団体の財政負担をさけるよう、国鉄は関係金融機関に対して協力を求める。」こういうふうに覚書はしてある。したがいまして、これはもう生きておりませんけれども、このようなことを過去において配慮してきたわけですから、少なくとも国鉄本来の事業であります電化であるとか、あるいはターミナルの改良であるとか、あるいは輸送改善であるとかというようなことにまでも地方公共団体が多額の財政負担をしなければならないようなことのないように今後十分にひとつ改善していく必要があると思いますので、これに対する今後の見通しなり何なりをひとつ御答弁願いたいと思います。
  240. 中村重雄

    中村(重)説明員 お答えいたします。  先ほどから何回も同じ答弁で申しわけございませんけれども、利用債引き受けに当たりましての資金調達につきましては、引受団体内部で独自に御判断される事柄でございましたので、国鉄といたしましては現時点での方針というのは従来どおりでございますけれども、先生のいろいろな御意見は御参考にしたいと思っております。
  241. 権藤恒夫

    ○権藤委員 国鉄が今度新幹線整備五線の財源につきまして新幹線利用債を考えているようでございますが、この点については運輸省はどういうふうに考えていらっしゃいますか。また、自治省の立場はどうか、御答弁を願いたいと思います。
  242. 丹羽晟

    ○丹羽説明員 お答えを申し上げます。  国鉄の整備新幹線の問題につきましては、昨年の十月に新幹線整備関係閣僚会議が開かれまして、そこで新幹線の「具体的実施計画を進めるにあたっては、国の財政事情、国鉄の財政状況等を勘案し、建設費についての所要の公的助成及び財源措置等の前提要件について、関係省庁において今後十分検討する必要がある。」ということが決められてございます。それで、国鉄の五十四年度の予算の中に、環境影響評価の調査費二十五億円のほかに、整備新幹線の関係につきましては五十億円の工事費が計上されております。それで、これはただいま申し上げました財源措置等の前提要件につきましての具体化が決定されました段階におきまして、ただいまのお話しの利用債の措置でその財源措置がとれるように考えております。
  243. 森岡敞

    森岡政府委員 運輸省御当局からお話しがありましたように、これからのお話しだと思います。まだ私どもは協議を受けておりません。ただ、基本的な自治省方針といたしましては、新幹線はまさしく国土の総合的、普遍的な開発を意図した交通ネットワークでありますから、これにつきましては国の責任において建設をされるということで推進していただくべきものと、かように考えております。
  244. 権藤恒夫

    ○権藤委員 最後に、大臣にお伺いしたいのですけれども、いま国鉄の利用債引き受けの利子補給というものは弱小の団体が多額の分担をしているわけですね。ただでさえ地方財政は苦しいのに、鉄道を敷きたい、わかりますよ。わかるけれども、それは国鉄自体がやることでありまして、利子補給を多額にするようなことは十分考えていかなければならぬのじゃないかと思うのですけれども、だからもしそういうことであれば、これは国の方で何らかの形で肩がわりをするとかということも考えていく必要があろうと思います。それにつきましての大臣のお考えを最後に示していただきたいと思います。
  245. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この問題は財政局長からもお答えしましたように、私は決して望ましいものでないと考えております。これもやはり一つは節度がなければならぬと思うのです。御指摘のように、鉄道本来の複線化とかあるいは電化といったようなことにまでこういった公債を買わせる、協力させるというようなことは基本的には避けるべきだ、このように私は考えまして、国鉄ともよく相談をして適正なあり方に努力していきたいと思っております。
  246. 権藤恒夫

    ○権藤委員 以上で終わります。
  247. 松野幸泰

    松野委員長 午後七時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後四時五十一分休憩      ————◇—————     午後七時四十三分開議
  248. 松野幸泰

    松野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  ただいま本案審議のため、大蔵大臣が出席されておりますが、出席時間が限られておりますので、質疑者各位におかれましては、理事間の申し合わせどおり、質疑時間の厳守方をよろしくお願い申し上げます。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  249. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣、遅くまで大変御苦労さまです。  私どもは常々、現在の自治省地方財政措置については交付税法の違反ではないかという追及を繰り返してまいったわけであります。自治省は現行の制度改正であるというふうに強弁をいたしておるわけでありますが、しかし何といっても交付税法の六条の三の二項に違反をしておるのではないかと私どもは思うわけであります。法六条の三の二項が設定をされた当時の「制度改正」というのは、このような措置意味するものではなかったと思うわけでありますが、大臣としても、法六条の三の二項が設定をされた当時の模様について、あるいはお聞きではないかと思っておりますので、制定当時の状況について御存じであったらお答えをいただきたいと思うのであります。
  250. 足立和基

    ○足立説明員 交付税法の六条の三の第二項の規定でございますが、昭和二十九年までは御承知のとおり平衡交付金制度でございまして、これは積み上げによりまして、それぞれの地方の基準財政需要額、それから基準財政収入額というのを計算いたしまして、その差額を地方団体に交付する、こういう制度でございましたので、理論的には平衡交付金の総額とそれからその差額というものは一致しているというぐあいに考えられたわけでございます。  しかしながら、平衡交付金制度から今度は地方交付税制度に変わったわけでございますが、変わりますと、その地方交付税総額と、それから各地方公共団体について基準財政需要額が基準財政収入額を超える額の合算額、これが必ずしも一致するわけにはまいらない、こういう考え方から、その差が著しい場合には行財政制度改正を行わなければならないあるいは交付税率の引き上げを行わなければならぬ、こういうような考え方で六条の三第二項ができたものと理解しております。
  251. 小川省吾

    小川(省)委員 そこでお伺いをいたしたいのは、財源不足を措置するわけですね、そして将来国でその二分の一を見る。言いかえれば、地方がその二分の一を負担するということになっておるわけでありますが、現在の地方財政実態からするならば、私は大変おかしいと思うのです。全額を国が見ていくのが至当であると思いますが、大臣、いかがですか。
  252. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 お説のような考え方は当然成り立つと思うのでございますけれども、今日、国ばもちろんでございますが、地方財政が異常な状況に追い込まれておりまして、六条の三による抜本的な改正はとうていやる時期にあらずという判断のもとで、いまお話しのございましたような実質的に二分の一を一般会計が負担しよう、あと二分の一は最終的にはいろいろな方策を講じて地方財政にごめんどうをかけないようにしなければいかぬと考えておりますけれども、今回の改正で二分の一を負担する、こういうことにして御提案申し上げておるような次第でございます。
  253. 小川省吾

    小川(省)委員 将来全額を国が見ていく、そういうお気持ちはないわけですか。
  254. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 これは小川さん、国が財政事情さえ許せばそういうことも考えたらいいと思うのですが、いまの情勢ではとても、すぐ全額めんどう見られますよというような状況にないことは御承知のとおりでございます。その点は御了承賜りたいと考える次第でございます。
  255. 小川省吾

    小川(省)委員 国の税収が期待どおりには伸びていない、こういうことで大量の国債が現在発行されていると思うのでありますが、このことは地方負担をより増加させる以外の何物でもないと思っております。国債発行下における地方財政というものについて大臣はどうお考えなのか、その点を承りたいと思います。
  256. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 大変むずかしい問題で、国が税収を上げないで国債を発行すると、その分だけ地方に対する交付税率が減るからめんどう見ろよというような議論もあるいは出てくるかもしれませんけれども、お互いに苦労し合ってこの財政危機だけは乗り越えなければならぬわけでございますので、国も今後十分努力を重ねてまいりますけれども地方団体、決して努力が不十分だなどと私は言っているわけではございません、それぞれの地域で御苦労いただいていることは承知いたしておるわけでございますが、ひとつこの危機だけは何とか乗り越えて、後うまく軌道に乗るように、双方で苦しみを分かち合いながら将来を楽しみに努力していっていただくようにお願いしたいという気持ちでいっぱいでございます。
  257. 小川省吾

    小川(省)委員 発行される国債のうち、当然三税の不足分に相当する部分があるはずであります。これを交付税にリンクをさせる考え方はないか、言うなれば発行される国債の一定額を交付税で見ていこうとするようなお考え方はないのかどうか、この点について伺います。
  258. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 国債の発行収入の一部を地方にリンクして回すということは、むずかしい問題であると考えております。正直言って、これはちょっと簡単にまいりません。
  259. 小川省吾

    小川(省)委員 恐らく検討をされてもいないんだと思いますが、ぜひひとつそういうことについても検討をいただきたいと思っています。  地方自治体は、現在、国の借金政策といいますか、いわゆる金を借りろというような政策のもとで、減収補てん債であるとか財源対策債というようなことで、国と同様多額に地方債を発行いたしておるわけであります。私は、将来借金で首が回らなくなるような自治体も出てくるのではないかというふうに憂えておるわけであります。当然、交付税の税率の引き上げが何としても必要だというふうに思っております。  そこで、税率の引き上げの問題はさておきまして、この累増をする地方債の償還について何らかの対策を大蔵省としてはどのようにお考えになっておりますか。
  260. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 御指摘のように、地方財政も国と同様に窮迫をいたしておりまして、特に最近は、地方債の活用ということを私どももお願いをいたしまして、地方債が累増いたしておりますことは事実でございます。ただ、この元利償還に要しますいわゆる公債費でございますが、これも先生よく御承知のとおり、毎年度地方財政計画を策定いたすわけでございますけれども、この地方財政計画の中に公債費は全部織り込んで計画を策定してございます。したがいまして、年々の財政計画の策定を通じまして、公債費もいわば措置をされておるということかと存じます。  それから、具体的に各地方公共団体におきます元利償還につきましては、これもまた交付税法上、基準財政需要の一部としてそれぞれ所要経費がカウントされる仕組みになっているわけでございます。特に、いわゆる財源対策債というようなことで特に増発をお願いいたしております部分につきましては、基準財政需要額の中にその八〇%を特別にカウントをするというような措置が講じられているわけでございます。
  261. 小川省吾

    小川(省)委員 また、自治体の財政危機の実態の中には多額の超過負担による苦しみというのが大変多いわけです。この二、三年来の措置でかなり解消をされた部分もあるわけでありますけれども、まだまだ超過負担完全解消には至っておらないわけであります。大蔵省が各省に予算を査定をしていく際に、大変厳し過ぎるのかどうか、あるいはまた、超過負担が生じないような措置を講じていないところにも問題があるのだというふうに思っておりますけれども、今後の地方超過負担解消についてひとつ大臣の決意のほどを伺いたいと思います。
  262. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 従来からただいま御指摘のような非難をいただいておることは十分承知いたしております。そういうような点から、ことしは各省と十分の打ち合わせをいたしまして、超過負担になるようなものの解消に努めた次第でございます。具体的には一々申しませんけれども、面積基準を見直すとかいろいろなことをやりました。特に補助単価の基準についても相当見直しておるつもりでございますが、関係各省と共同の実態調査を従来やってきておりますが、今後もこの点はさらにしっかりとやって、地方によけいな御迷惑をかけぬように努力してまいりたいと考えております。
  263. 小川省吾

    小川(省)委員 実は午前中、自治省に対する質問の中で明らかになったのでありますが、現在の自治省定員は三百九十一名だそうであります。しかし、現在人員は三百九十八名です。七名は調整定数措置をしておるということであります。しかし、自治省にはこのほか地方研修生といいますか、研修職員名目のもとに約五十名程度が応援に来ておるわけであります。そういう中で初めて自治省行政運営というものが辛うじてなされているというのが実態のようであります。  大蔵大臣として、自治大臣からも要請があるんだというふうに私は思っていますけれども、もう少し自治省に対して予算の配分が必要である、こういうふうに実は私は思っておるわけであります。これは国の定員管理で行政管理庁の問題とも関連をするわけでありますけれども、今後とも自治省に対して行政経費の充実についてぜひお取り計らいをいただきたい。これは自治大臣にかわって私が要請をするわけでありますけれども、実は大蔵大臣考え方を聞かしてください。
  264. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 自治省はとにかく大変なお仕事をしていただいておるわけですけれども定員がいま御指摘のような状況であることも前々から伺っております。政府職員は、むしろ全般的な問題としてはもっと圧縮して能率を上げ、合理化するようにという大前提でいまやっておりますから、簡単に増員がきくとは考えておりませんけれども小川さんのいまのお話しの点は十分含んで、これからも自治大臣と共同して能率を上げられるようにやってまいるつもりでおります。
  265. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひお願いをいたしておきたいと思います。  次に、大蔵省としては一般消費税を五十五年度中に実施をしたいという考え方には変わりはないわけですね。
  266. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 余り評判のいい税金でございませんので、できれば、ほかのもので間に合えば、たとえば所得税を上げるとか法人税を上げて、それでカバーができるようなことならば、これは結構なことだと思うのでございますけれども、御承知のとおりもう十五兆円に及ぶ大量国債、消化がなかなか簡単にまいっておりません。所得税、法人税の引き上げといっても、今日の歳入欠陥を補うに足るような状況ではございませんので、これは好むと好まざるとにかかわらず、何らかのこういったものを五十五年度に導入しなければならぬのじゃなかろうか、私はいまもってそう考えております。
  267. 小川省吾

    小川(省)委員 一般消費税が仮に実施をされるというときには、地方消費税をつくっていきたい、こういうのが自治省サイドの強い願望であるようでありますけれども大蔵としても、この点については合意をされておるのか。一般消費税について、特に地方消費税について大蔵大臣としてはどのようにお考えですか。
  268. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 仮に一般消費税のようなものを導入いたしました場合に、これは国でひとり占めしようなんという気持ちは毛頭ありません。やはり地方にもこういうような税源が必要なこの際でございますので、一般消費税の何%かの、まだ税率は決まっておりませんけれども、税率で、地方財源として、これは府県税になるかと思うのですが、地方消費税を創設して地方財源に充てるように持っていきたいということでは合意いたしております。  それから、なおつけ加えて申し上げますが、これは地域によって格差が出てまいりますから、やはり財政の窮乏度に応じてある程度財源を回す必要が考えられますので、別途、交付税という形にするか、譲与税という形にするかはまだ話し合っておりませんけれども、何らかの形において、地方にそういった形の税金を一般消費税から回すようにいたしたい。地方財政の再建のために少しでもお役に立ててまいりたい、こう考えております。
  269. 小川省吾

    小川(省)委員 いま御答弁があったようでありますが、そうすると、まだ、一般消費税の創設を仮にした場合に、これを国税三税を国税四税にして一般消費税を交付税の対象税目にしていくという考え方には煮詰まってはいないわけですか。
  270. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 政府としては五十五年度の早い時期に導入をしたいという決意を表明しておりまするけれども地方との財源配分については、まだ細かい詰めを行う段階に至っておりません。国会が終わった段階において、まあ税率五%と一般に言われておりますけれども、五%なら五%、地方に配分するパーセンテージをどうするかというようなことについての詰めを行いたいというふうに考えておる次第でございます。
  271. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣から、先ほどの御答弁の中にも触れられておったわけでありますが、法人税を上げるか、所得税を上げるか、何らかの方法がとれるならば一般消費税は創設をしたくはない、こういうようなお考え方が述べられたわけでありますが、ぜひひとつあらゆる努力をしていただいて、この悪名高い一般消費税を導入をすることのないように特段の御努力を要請をしておきたいと思います。——何かありますか。
  272. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 私の感触で申しましたならば、十五兆なんという国債はとうてい来年は発行できません。これは相当大幅に削減しなければいかぬと思うのですよ。かといって、社会福祉を初め当然増の経費は相当たくさん出てきますから、景気のこれからの下期の状況がどうなるか、来年はどうなるか、見通しはまだ困難でございまするけれども、そうなるとやはり三兆台、四兆台というような新しい財源を求めなければいけません。そういう財源をいまの所得税の上におんぶして簡単に出せるかというと、それはできないと思うのです。法人税についても同様でございます。まあ法人の持っておる土地の再評価をやれとか、あるいは金持ちの富裕税を考えろとかいろいろおっしゃっておる方もありますけれども、せいぜい二千か三千億どまりで、そういうものをかき集めてなおかつこういうことになりますよというようなことで、やはり一応細かい議論をし、皆さんに納得をしていただかなければ簡単にはいかぬことは十分心得ておりますけれども、大変追い詰められた苦しい選択をいま迫られている段階でございます。
  273. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵大臣の悩みというのか、そういうものは理解できますけれども、私はやはり現在ある不公平税制を是正するとかそういう形をとっていかないと、国民の共感を得た一般消費税などというのはとうてい実現できないものだというふうに思っておるわけでありまして、ぜひひとつ真剣にいわゆる不公平税制の是正等に取り組んでいただいて、一般消費税の導入はぜひひとつ避けていただきたい、こういうことを強く要望をいたしまして、終わります。
  274. 松野幸泰

  275. 小川新一郎

    小川(新)委員 七〇年代から八〇年代の地方政治ということで、統一選挙が行われました。市長選、知事選、市議会議員選、町村会議員選、まあ数万の人が争ったわけでございますが、この統一選挙で各党各派また議員、皆一様に言っていることは、地方の中央集権化に対する分権、また、地方の行財政の再配分、それと東京都知事選挙における財政問題、これは大臣の所属なさっております自由民主党の議員の方もおっしゃっていますし、また私どもも言ったわけです。党派を超えて、皆一様に地方選挙のスローガンとして地方財政の問題を言ったわけです。閣僚級の皆さんもそれぞれの立場でお話をしているのを私も聞きましたし、大蔵大臣としては、これだけ争点になった、政治家がみんなそれぞれ公約をした、合計すると大変な数の公約が出ているわけです。要約して言えばいま言った問題ですが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  276. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 地方分権と申しますか、これから地方中心の時代で物を考えなければいかぬという空気がだんだんと私は強くなってきておると思います。いままでのような中央集権で、中央の指示で画一的に動くような自治体のあり方では、これは私はおかしいと思うのですが、しかし、やはりその前提になるのは、仕事を移譲し、それに必要な財源地方に与えることでなければなりません。それをいま補助金とかその他のいろいろな形で中央の各省庁が持っておるわけですから、これを全部この際一律に洗い直して仕事財源を再配分しろよと言っても、それはそう簡単に私はいかぬと思うのでありますけれども、それぞれの地方のそれぞれの文化と伝統を生かした、あるいは地場産業を生かした地域社会を築くためには、やはりもう少し地方自治というものに根性を入れてもらってしっかりとやっていく必要があるし、われわれとしても大いにそれを推進しなければならぬ、応援しなければならぬという気持ちを私は持っております。
  277. 小川新一郎

    小川(新)委員 地方財源の配分、行政の配分、地方分権、中央集権、こういった問題のかなめがやはりお金に関すること。そうすると、自治省では、重点政策でそういった問題を地方から吸い上げてまいっても、大蔵当局がやはり国の財政ということをお考えになるからでしょうけれども、金子大蔵大臣の財布のひもがかたければ、立候補なさった合計して何万という方々が言っている公約に、たった一人の金子大蔵大臣が大阻害になる、障壁になるということでありますので、私は統一選挙が行われた後なのであえてこういう質問をしているわけなんです。  具体的に言うと、大臣、御党の首脳の人たちがおっしゃっていることをお聞きだと思うのですが、自由民主党の首脳の方々でさえも地方分権ということ、財政の再配分ということを唱えているのは、ただ単なる思いつきや、街頭演説や個人演説会で聴衆を沸かせるための、選挙の票を集めるためのそういったテクニック、手段であるというふうに私ども思いたくないし、またあってはならない。当然、責任を分担する与野党ともに政治の場にある者として、これは重大に深刻に受けとめなければならぬ問題ですから、具体的に言うと大臣、どういう面を回答し得るのかどうか。
  278. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 大変むずかしい問題でございます。ただ私は、とにかく当面の問題としては、国はいま一生懸命に財政再建に取り組んでおりますが、地方も更生会社になったり、一歩手前の自治体もあるわけですから、早く減量経営に徹して身軽になってもらうことが一番大事だと思うのであります。人のことを言っておれません。国が事実真っ先にそれをやってお手本を示さなければいかぬわけでございますが、と同時に、先ほども私が申し上げましたように、各府県はこういう仕事をしろとか、市町村長はこういう仕事をやれというような一律化の指導を少しやり過ぎておると思うのです。もう少し地方のそれぞれの地域社会のニーズを生かした、多様化したあれを地元で考えさして、そしてその財源を与えることに徹していかぬと、いつまでたっても私は地方自治というものは育たぬのじゃないかと思うのです。地方自治は、正直言って全部中央の指示に従って右へならえしているだけでございます。これは私どもの田舎の話を申し上げておるわけです。よそのことは知りません。これじゃいかぬと思うのです。だから、たとえば町村議会なんかも、私の生まれ在所なんかあんなに二十人も三十人も議員は要りませんよ。五人、十人で十分やれるところを一律にやって人数をふやして、議会にたくさん使って、大名行列をやっておる。そういうところから、身近なところから直していくことが必要なんじゃないでしょうか。私はやることがたくさんあると思うのです。そういう点について澁谷自治大臣もともどもに大いに意欲と情熱を燃やしておられますから——これは国についても同じことか言えるのですよ、やってまいりたいと考えます。
  279. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治大臣大蔵大臣から厳しい御指摘があって、議員なんかもっと減らしちゃった方がいい。これは確かに議員が少なくて、一人か二人でやれれば経費は安くつくでしょうけれども、民主主義というのはそういうものじゃないのですね。地方政治というのは選挙権を持っている住民の人口に比例して出てこなければいけないので、少なければいいというものではないでしょう。そのアンバランスで、参議院の地方区なんかはいまたたかれておるわけです。大臣、いまの大蔵大臣のような御認識をあなたは正当だと思いますか。
  280. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 私は、地方自治体の議員の定数が少なければ少ないほどいいという認識は持っておりません。これは適正な数という規模があるはずでございます。ただ大蔵大臣が言われたのは、これは国も地方も同じなんでございますが、とにかく財政を立て直さなくちゃならぬというのは至上命令でございますから、それをやるためには出る方も抑制しなくちゃならぬのは当然のことだと思います。そういう気持ちの一端を述べられたと私は理解いたします。
  281. 小川新一郎

    小川(新)委員 行政府の長が立法府に対して節減を——立法府の方の議員の給与とか報酬を節約するために数を少なくする、それはもちろんそちらの方もやるのだからという前提に立って。これはこういう公式の場でなくて、お互いどうしたらいいかという相談の中では話があってもいいと思いますが……
  282. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 ちょっと誤解を招いたようですから……。  国のことを申し上げておるわけではない。私の田舎の話、小さな田舎で二十人も三十人も本当は要らないところでも一律になり過ぎておるということ、だから適正化が必要だ、これは澁谷さんも言っておるようなことを申し上げておるのですから、どうぞ誤解のないように願います。
  283. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは誤解とか誤解でないとかいう問題でなくて、やはり議員として議会制民主主義を貫き通すためには、ちゃんと法に従って定数が定められているのでございますから、われわれの家庭のようにどうというようなものじゃないと思います。私も何も夜の夜中にそんなことで騒ぎ立てるつもりはありませんけれども、ちょっと一言はっきりしておかなければいけません。  そこで、五十四年度の地方財源不足額四兆一千億、その穴埋めとして地方交付税の増額二兆四千六百億、建設地方債の増発一兆六千四百億の措置をとっているわけです。その他地方交付税の増額分のうち臨時地方特例交付金一千八百億を差し引いた二兆二千八百億を交付税特別会計において借り入れているのが現状でございますが、こういった借り入れ増加額の二分の一は国庫負担をする。  そこでお尋ねいたしますけれども、五十四年度の地方財政対策は交付税会計の借金と建設地方債の増発という内容であり、五十三年度のやり方と全く同じであります。これはいろいろ議論が出たと思いますが、経済の成長が全然とまって、高度経済成長政策から低経済成長、安定に入っていく。これからは思い切った財源の見込みもない。こういう状態の中で五年間こういった措置が続いてくる、これは当分の間。これは暫定的に物を考えるならば、一、二年は非常に優秀な措置だったと思われますけれども、経済の成長がいまのような平行線をたどるかもしくは下降線をたどるようなときには、長期にわたってこういうことをやっていくのでしょうか。この間にできなければ、いま言ったように一般消費税を導入、地方消費税を導入する、こういう荒っぽい措置をとらない限りだめなんだ。そうすると、暫定的なしばしという考え方というものは、当分の間という問題とどうなるのでしょうか。
  284. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 大変残念なことでございますけれども、石油ショック以来、世界経済の成長は、これは日本だけでございません、ぐっと下降線をたどりまして、わが国でも三、四年くらいで上向きになるだろうという見通しで今日までいろいろな施策に当たってきておったわけでございますけれども、特にまた今度OPECが六月に原油のプレミアムをつけるというようなことになりますと、それだけ経済が縮小するわけでございまして、当分この見通しがどうなるかが実はつけにくい段階である。どんどん下降線をたどって下向きに走るだけだぞということは言えないと思うのです。現にわが国の経済も、昨年の暮れ、予算編成の当時には、まだ先行きどうなることかということで薄氷を踏むがごとき思いで予算編成をやったわけでございますが、最近は予想以上にぐっと伸びてきておる。何といっても経済は生き物でございますので、簡単に予測できないと思うのでございまするけれども、とにかく今日の状況地方も国も全く異常な状況なんでございますので、交付税関係にいたしましても、しばらく、当面を糊塗するようなやり方でお気に召さないことは十分心得ておるのでございますけれども、経済の先行き、財政の先行きの見通しがつくまでひとつ御協力をいただけぬかということで、自治大臣にもお願いし、皆様方にもお願いを申し上げておるような次第でございます。
  285. 小川新一郎

    小川(新)委員 公定歩合の〇・七五%の引き上げというものは、やはりある程度経済の見通しがついたからこそ、インフレ抑制という問題で景気の浮揚策から切りかえを行って、金融の引き締め政策に出てきたと私たちは理解しているのですけれども、そういうふうに四期にわたって引き締めを行っていたのを逆に緩める、企業の体質を強化するために貸出金利を下げた。その下げてきたのを今度逆に〇・七五%上げてきたということは、日本の経済の指向線のラインが上向いてきたという見通しに立てば、私は、今後また下げたり上げたり、こんなことを年がら年じゅうやっているような愚かなことは大蔵大臣がやるわけはないので、相当の見通しというものを見きわめたればこそ公定歩合の引き上げを行ったんだから、この辺でもうある程度の見きわめというものをつけなければならぬではないかと思うことが一点。二点目は、公定歩合を上げたということはどういうふうに御理解をいただいているのか。
  286. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 公定歩合の引き上げのねらいは、これは日銀が中心でおやりになったことでございますが、私ども理解しておるところでは、石油製品が四月の引き上げで値上がりいたしまして、しかも、海外からの輸入物資が各地の地域的な戦争等の影響を受けまして、大幅に引き上げになった。その余波が、どうも買いだめとか二次製品への波及が心配されるような状況がちょっと出てきたということでございます。  そこで、いまのところ卸売物価が月に〇・八%くらいの値上がりでございまするけれどもこれが三、四カ月たちますと二けた台に上がります。そうなると、消費者物価にそれがまたはね返ってきますから、そのはね返るスピードにブレーキをかけ、それからはね返る幅に上積みさせぬように、警戒信号を発したというふうに私ども理解をしておるわけでございます。それで、景気自体は、まだ企業がとても一本立ちになる段階ではないのじゃないかということで、私どもはいろいろ各地の情報を集め、各地の資料を集めて慎重に検討いたしたのでございますが、不況産業等は別といたしまして、おおむね大企業も、程度の差はございますが中小企業も、だんだんと企業収益が好転してきたというふうに判断しておる次第でございますが、ただ、これがずっとことしの暮れから来年に続くかどうかということは、余波を受けるものですから、やはりもう少し各国の経済を慎重に見きわめなければいかぬと考えておる次第でございます。
  287. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、公定歩合の引き上げは、結局まだいまの現状を続けていって、万が一その余波を受けていろいろな面で企業の体質が弱化して落っこってきたというようなときには、また引き下げを行うのですか。
  288. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 これは日銀のおやりになることですから、私からとやかく言うわけにはまいりませんけれども、いまの状況でいけばこれで十分だ、当分動かさぬでいいというお気持ちと私は承っております。
  289. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、五十四年度の経済運営についてですけれども、昨年と最も違う点は、いま御心配があった卸売物価や地価が上昇した。こういうことはなぜ出てきたかといえば、地方財政運営にもこれは当然重大な影響を及ぼすものですけれども政府は五十二年、五十三年度行ってきた公共事業のいわゆる前倒し執行を、上半期の景気の回復を目途として昭和五十四年度も行っていくのかどうか。こういった前倒しをどんどん続けていくことが物価に影響が出てくるということは、もう前から言われておる。そのブレーキを、〇・七五%の公定歩合の引き上げによって警戒警報を出させた。しかし、まだ企業の体質が完全に回復していないときにこういうことは早まったという説もある。これからいろいろな試行錯誤が行われるでしょうけれども、そういうときに前倒し制度というものはまだこれから続けるのですか、続けないのですか。
  290. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 公共事業の前倒しでございますけれども、去年は七割五分くらいを上半期に集中的に契約をいたしたのでございますが、ことしはこういう状況になりました。しかも、地域的にはちょっと過熱ぎみのために建築資材が上がるというような地域もございますので、そこら辺を十分考えまして、先般公共事業推進連絡協議会ですか、閣僚協議会で、上半期の契約率は大体六五%から七〇%くらいのところをめどにやって、後、年を通じてなだらかにやっていきましょうというような方針で各省申し合わせをし、いま公共事業の執行に取りかかっている段階でございます。したがって、前倒しということはいたしておりません。
  291. 小川新一郎

    小川(新)委員 それで明確にわかりました。  そこで、経済の見通しについては、大蔵大臣も、これから六月東京で行われる先進国首脳会議、経済の首脳会議、いまも行われておる日米欧の経済問題、こういう問題を踏まえた上でいろいろ御判断をこれから下半期に行うと思いますが、地方財政に微妙な影響を与えるこれらの問題については側面からひとつ判断の誤りなきようお願いしたいと思います。  そこで、東京都の問題でございますが、現在四十七都道府県のうち東京都だけが交付税の不交付団体となっておりますことは、御承知のとおりですが、都知事選挙が終わり、新しい知事が選ばれたが、美濃部都知事のときの四カ月予算しか組まれておりません。当然新しい知事のもとで大幅な補正予算を組まなければなりませんが、東京都は五十二年、五十三年度と、いずれも年度末ぎりぎりに地方債の増発を認められ、辛うじて赤字再建団体に転落することを免れておるわけでございます。今回の東京都知事選においては、三人のりっぱな候補者が出て、それぞれ東京都財政という問題を議論して、鈴木新知事に都民の判断が下ったわけでございますが、いずれにしても、三人の方が一様に東京都財政問題をテーマにのせたわけです。でありますから、イデオロギーとか政党の左右いかんを問わず、なった知事に対してはそれぞれも御援助をしなければならぬでしょう。いま言ったように、東京都は首都という顔を持っているわけですから、大都市であるために生ずる特別な財政需要に対して、国が特別な交付金を交付するとか、美濃部さんのときにもおっしゃっていたもろもろの問題がネックになっているわけです。また、はこういう京都自体のぜい肉を切り落とすことについても、これはいま新たな知事がおやりになられることでありますけれども大臣、どうですか、この東京都の問題について新たな一つの財政援助というものをお考えになるお考えはありませんか。
  292. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 小川さんおっしゃっておるとおり、東京は日本の顔ですから、私どももできるだけのことはしなければいかぬという考え方に立っております。いままでいろいろなことがございまして、国との十分なつながりもできなかった面もあったようでございますけれども、受け入れ体制ができて、そしていまお話しの、ぜい肉ばこういう点は思い切って切り落とすよ、ひとつ国の方もしっかり頼むよというような体制が整えば、これはもう私どもは全力を挙げて御支援するにやぶさかでないのでございまして、具体的にどういうところから手をつけるかというような点につきましては、自治省自治大臣とも十分お話がございましょうし、相談をしながらやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  293. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治大臣、いまの大蔵大臣の御答弁でございますけれども、この間の美濃部さんと大臣とのお約束、これはいろいろな面でいろいろなことになりましたけれども、そこで退職金の問題等々を踏まえて新たな措置を講じられたということを聞いておりますが、われわれが注目いたしますことは、新たな措置が新しい知事のもとではどういう形になって具体的にあらわれてくるのでしょうか。そして、それがいまいみじくも大蔵大臣おっしゃったように、そういう受け入れ体制が十二分にできた暁には、国は全力を挙げて援助することにやぶさかでない。そうすると、自治大臣としてはどういうことを大蔵省大蔵大臣に御要求するお考えなんですか。
  294. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 東京都の財政赤字の問題は、御案内のように自治省と美濃部知事との間に交わした約束、これが守れなかった。これにはそれなりの事情があったわけでございまして、ただし、それにかわる財政立て直しの具体策を準備して持ってまいったわけでございますので、私どもはその努力を評価して、東京都が赤字団体に転落するような措置は避けなければならなぬ、こういうふうに判断しております。  そこで、これから東京都の財政再建をどうするか、これは鈴木新知事に課された最も大きな課題であると考えております。幸いに、鈴木さんは御承知のように地方財政のベテランでございますから、知事という立場で鈴木さんはこの任期四年間に都の財政の立て直しをやるんだ、こういう公約を持って立たれたわけでございますから、恐らく鈴木知事の判断で、東京都の財政はこういう方法で立て直すという具体案を準備されるだろうと私は期待をしております。その具体案の中で、自治省に対して、あるいは大蔵省に対して、こういう点についてはぜひ協力をしてもらいたいという点が出てくるかもしれません。いずれにしても、鈴木知事のそういった具体的な提案を受けて、私どもは真剣に相談をしてまいりたい、このように考えます。
  295. 小川新一郎

    小川(新)委員 いずれにいたしましても、私はこういうことは余り言いたくないのですけれども、選挙でお互いに戦ってきた党が、自分の支持した党だからどうのこうのということでなくて、私はいまフランクな気持ちでお聞きしていることは、結局都民のためになる、都民財政という都の財政を、いままでに美濃部さんのときに要求してきたものはやらなくて、新しい知事になったからやるというような印象ではなくて、——確かにそういったいろいろな面でいい面、悪い面があるでしょう、行政ですから、人間のやることですから。その中で判断をする政治的な判断というものは、非常に大きな問題だと思うのです。  いずれにいたしましても、私が言いたいことは、そういう要求があったときにいろいろな、前の関係と後ろの関係との絡みのためにできなかったというようなことでなくて、都民本位の東京都の財政を援助するためには、美濃部さんのときに私が、こういう時代のときにも要求しているように、東京都の特別の財政需要に対しては、交付税交付金にかわるべき交付金制度というものを設けたらいいんじゃないか、こういうことを主張し続けてきたわけですから、これについてはどうしても今回はやっていただかなければ、東京都という一つの特別な行政需要に、もういまのままではやっていけないんじゃないかという気持ちもします。幾ら財政のぜい肉の切り落とし、それだけでは済むものではないですから、そういう面、一、二例、具体的な面で大蔵大臣のお考えがございましたらお聞きをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  296. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 この委員会で、私もこの問題についてたびたび答弁申し上げておるわけでございますが、私どもは、現在の段階で東京都に対して特別の交付金制度というものをつくる必要があるとは考えておりません。ただし、事態はやはり変わっていくわけでありますから、現在の制度で対応するのには十分でないというような具体的な事実が出てまいれば、これは当然われわれとしてもそれに対する対応策というものは考えなくちゃならぬわけでありますから、先ほど申し上げたように、鈴木知事が恐らく具体的な案をまとめて、そういう立場で自治省にあるいは大蔵省に、こういう点をぜひ考えてもらいたいという具体的なものが出てくるかもしれません。その段階で私どもは真剣に取り組んでいきたいと考えます。
  297. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 ただいま自治大臣からお話しもございましたように、今日の制度のもとでできるだけのことはいたしたいと思います。伺ってみると、まだ具体的に案が出てきていないようでございますが、その範囲内におきまして全力を尽くしてやってまいりたいと考えておりますが、新しい制度をこの際つくれとか、何かそういうことになりますと、これはなかなか簡単にまいりませんけれども、だんだん情勢が変わってきますし、経済も動いてきます。それは、そういうときはまた弾力的にやらざるを得ぬかもしれませんけれども、現状では、とにかくいまの制度で全力を尽くしてまいりたいと思います。
  298. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  299. 松野幸泰

    松野委員長 永末英一君。
  300. 永末英一

    ○永末委員 地方財政は、地方団体で上げます税収、交付税率が一定でございますと、金が足らぬ場合はこれは地方債で賄う、こういうことになりますが、その他法律に基づきます交付金等ございまして、一番動くのが税収と地方債、こういうことになります。しかし、借金で賄うというのは限界が当然ございますが、親元の国も似たようなことをやっておるわけでございまして、ここ数年来、国も非常に多くの国債を発行して財政を賄っております。  さて、地方債のことを伺いたいのでございますが、大蔵大臣がお見えでございますから、この公共団体の借金で賄うやり方ということについて、大蔵大臣は一体どういう気構えでおられるかということを明らかにしていただいて、地方債のことを伺いたいと思います。  第一に伺いたいのは、現在国債というのは何種類発行されて、どういう市場価格になっているか、御説明を願いたい。
  301. 吉本宏

    ○吉本政府委員 お答えいたします。  現在、国債として発行されておりますものは、第一に十年ものの長期債がございます。これが大宗でございまして、一般に国債の相場が下落しておるというような論議がなされますものは、この十年債でございます。それから、この五十四年度には新たに公募債、公募入札の中期国債を発行するということで、二年もの、三年もの、四年ものの中期債を発行することにいたしております。それともう一種類ございまして、これは五年ものの割引国債、これが五十四年度で申しますと収入金ベースで二千二百億ということになっておりますが、こういうものがございます。以上申し上げたようなものが現在私ども国債として発行しておるものでございます。  それから、相場の状況はどうかというお尋ねでございますが、御案内のとおり現在国債の相場がかなり悪うございまして、最近の状況で申し上げ、ますと、六・六%の国債、これが四月二十四日の相場で九十二円、こういうことになっています。これは発行価格が九十九円五十銭でございます。これが九十二円。したがいまして、いわゆる流通利回りは八・一八七%ということになっておりまして、乖離幅と申しますか、発行時の応募者利回りとの乖離が〇・九〇一%、こういうことになっております。こういうことで、昨日、実は四月債の世話人会を開きまして、一兆円の十年債を発行することにつきまして御承諾をいただいたわけでございますけれども、この段階で乖離幅にかんがみまして条件を改定いたしまして、従来の六・五%の国債を七・二%、発行価格九十九円五十銭ということで条件改定を行った次第でございます。
  302. 永末英一

    ○永末委員 いまこの六・六%ものと、これから新たに一兆円十年債を出す国債について利率を上げる話が出ましたけれども、伝えられているところでは、もっと市場価格が安くなっておるというので非常に問題になっているように伝えられておりまして、十年ものでも九十二円ぐらいではなくて九十一円五十銭か、その利率は六・六%ということですが、ほかの利率はございませんか。
  303. 吉本宏

    ○吉本政府委員 ただいま六分六厘でございますね、この国債の流通利回りを申し上げましたが、そのほか現在上場されている国債に八分利国債あるいは六・一%、六分一厘の国債がございます。この六分一厘の国債は、最近の相場で見ますと八十七円六十七銭ということでございまして、この流通利回りは八・四六%、したがいまして乖離幅は三角の一・一七%、こういうことに相なっております。
  304. 永末英一

    ○永末委員 その六・一%の利率のものは、発行価格は幾らで出されたものですか。
  305. 吉本宏

    ○吉本政府委員 これは同じく九十九円五十銭でございます。
  306. 永末英一

    ○永末委員 九十九円五十銭の発行価格で引き受けさせておいて、市場価格が八十七円六十七銭ということになりますと、この市場価格で決算をいたしますと、一株について十二円近くの損害になりますですな。そういうことになりますか。
  307. 吉本宏

    ○吉本政府委員 これは評価損ということでございまして、金融機関が保有しておる場合、決算上の評価損が計上される、こういうことになります。
  308. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣、いまの国債の割り当てのやり方は、引き受けシンジケートみたいなものをつくっておられるかどうか知りませんが、そこに向けて、先ほども十年債一兆円をお願いしたという話ですが、結局そういうところへひとつこれだけお願いしたいというので、銀行別に割り当てを決められてやっておられるような気がするわけでございまして、その場合に発行価格で引き受けろ、こうおっしゃいますと、大蔵省から言われますと、銀行はその発行価格で引き受けると思うのですね。ところで、片や市場価格を見ますと、まさに発行価格の一割以上値幅が下がって実際の価値の取引が行われておる。こうなりますと、引き受けろと言われれば引き受けますけれども、その実勢の値打ちは一割以上低いのだ。こういうものを高く政府としては引き受けさせるということになります。こういうやり方はフェアでしょうか。
  309. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 六分一厘債は八十八円前後になりましたけれども、これは市場の実勢に気迷いがありまして、特に公定歩合引き上げというようなうわさが市中に飛んだものですから、そのうちにもつと高い金利の国債が出るだろうというようなことで低迷を続けてまいったわけでございます。そういうようなことから、やっと今度七分二厘の十年ものの国債を発行することにしたわけでございますが、これは私ども実勢を十分に反映しておると思いますし、すぐまた公定歩合の引き上げがあるなんということはだれも考えておりませんから、大体これで落ちつくと考えておるのであります。十年ものにすること自体については実はいろいろ議論がございまして、むしろ七年もの、六年ものくらいの短期のものの方がこういう時期には消化しやすいという議論も出ておりましたけれども、四月債のシンジケート団の引き受けとしましては、まあ七分二厘になればこれで十分いけますということで引き受けてもらったような次第でございます。一兆円引き受けてもらいました。五月債はどうなるか、まだわかっておりませんけれども、この分につきましては値下がりがどうこうというようなことはないと思います。  それから、申すまでもないことでございますが、株式と違いまして、国債の場合はちゃんと償還期には額面まるまる戻ってくるわけでございますので、いまの評価損を出すやり方がいいかどうか、私は正直言って一つ問題があると思うのです。地方債の場合だったらそういうことはありません、これは取得価格でちゃんと出すことになっておりますから。今度そういった評価の方法につきましても、時価評価の方法とあわせて取得価格による評価、これはどこでもやっておることでございますが、そういう方法も認めたらどうかといま検討しておる最中でございます。
  310. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣は、公定歩合がちょっと上がったところでございますから、いまさらに上がろうなんというようなことはだれも考えていないと言われました。しかし、われわれ経済情勢全般を見ましたときに、OPECの油の価格の値上がり、それから円の為替相場も弱含みである、そういうような外的原因がございます。そうして、なるほど国債を保有しておれば、満期になれば額面で通用するわけでございますから、あわてて売らなくたって持っていればいいではないかといまおっしゃったが、もしあなたのところの政府が一生懸命言っておられるように、景気が少し回復してき、私企業に資金需要が高まってくるといたしますと、銀行に対して資金を求める。しかし国債を与えるわけにいきませんから、やはり現金を与えたいと銀行が思いましたときに、いま政府がそれぞれの銀行に割り当てているような多額の国債の重みに耐えかねて、これをひとつ現金にかえてくれというオペレーションの要求を日銀にしていく場合には、やはり日銀としてはそれにこたえざるを得なくなってくると私は思うわけでございます。そうしますと、ともかく赤字国債で十年持っておればいいではないかということはなかなか通用しないのではなかろうか。  ちょっとお伺いいたしますが、最近の昭和五十年以来ある年に割り当てた国債がどういう形で銀行から返ってきておりますか。その数字を明らかにしていただきたい。
  311. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 昭和五十年以来の数字はいま次長から申し上げますけれども、そういうことで資金需要が起こりましたときは、成長通貨の範囲内ならば買いオペを日銀が従来からやってまいっております。ただ、成長通貨ではなくて、とにかくこれ困るから日銀で引き受けてくれというようなことは、日銀のたてまえとしてこれは簡単にできることではございませんけれども、経済が伸びましたならば預貯金も当然伸びるわけでございますし、それでもなおかつ民間の企業活動が活発になって金が足りないという場合には、銀行は手持ちの国債を、資金不足に対応して日銀が買いオペをやりますから、それは十分賄えるというふうに考えております。
  312. 吉本宏

    ○吉本政府委員 お尋ねの計数でございますが、五十年度から申し上げますと、いわゆる国債の市中公募額、これが五十年度四兆五千百億円、これに対していわゆる日本銀行の買いオペ実施額が五千九百八十二億円でございます。次いで五十一年度は、市中公募額が六兆二百二十五億円、これに対して日本銀行の買いオペの実施額が八千九百六十六億円でございます。次いで五十二年度は、市中公募額が八兆一千六百五十三億円でございまして、これに対する買いオペの実施額は一兆二百四十四億円でございます。また五十三年度で申し上げますと、これは四月から十二月末までの数字でございますが、公募額が七兆六千九百七十三億円、それに対する買いオペ実施額が一兆一千八百四十三億円でございます。
  313. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣、いまの概算でも五十年から五十三年まで公募額が大体二十六兆円程度、そしてこれに対して買いオペ額が三兆数千億円、こういうことでございまして、相当これは銀行が国債を握っているわけですね。そういう状況の中で、もし国債が下がってくるとすれば、これはやはり一つの問題を持っておる。なに満期まで持っていたらいいじゃないかとは言えませんですね。  さて伺いたいのは、そういう状況を横にしておきながら、地方債の発行状況は五十年からどうなっていますか。これは自治省ですか。
  314. 森岡敞

    森岡政府委員 地方計画の額で申し上げたいと思いますが、五十年度二兆八千三百五十億円、五十一年度四兆八千十億円、五十二年度五兆五百六十二億円、五十三年度六兆二千百九十七億円、五十四年度、予定でございますが、七兆四千十億円でございます。
  315. 永末英一

    ○永末委員 いま伺いますと、これは地方債、五十四年度を入れますと二十五兆円程度になる。国債も、先ほど申し上げましたように二十二兆円程度残っておることになりますね。そうして地方債もいまのような多額のものが残っておる。相当これ動き得ない債券を抱えておるのが現在の金融機関の状況でございまして、しかし国債の方は、先ほど大蔵大臣が申されましたように、もしそれが必要な資金需要とあれば日銀の買いオペの対象になってくれる。地方債はどうなるのですか。
  316. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいま申し上げましたのは地方債の発行総額でございますが、そのうち資金運用部資金、すなわち政府資金でもって引き受けていただいております分が、五十年度で申しますと、端数は切って申しますが、一兆七千億円、五十一年度が一兆四千億円、五十二年度が一兆八千億円、五十三年度が二兆四千億円、五十四年度予定が二兆九千億円ということに相なっております。したがいまして、この分につきましては、いま御心配いただいております問題というのはないと考えていいと思います。それからそのほかに、公営企業金融公庫資金がございます。これは政府保証債という形で資金調達をし、一部共済などの縁故資金を活用しております。これも問題ありません。  そこで問題は民間資金に依存しておる部分でございますが、このうち市場公募債は日銀の適格担保の対象になっておりますが、買いオペ対象にはされておりません。それから通常の金融機関に依存しております縁故資金につきましては、これは個々の地方公共団体と関係金融機関あるいはシ団との折衝によりまして消化をいたしておりますので、この分につきましては、ただいまお話しの市中におきますいろんな問題がそれぞれあるわけでございますが、ただ縁故資金の相当部分はいわゆる指定金融機関に依存しておるものも相当ございますので、その分につきましては必ずしも国債や市場公募債と同じような環境条件にあるとは申せないというふうに思います。
  317. 永末英一

    ○永末委員 そんなことはありませんよ。指定金融機関というのは、ともかく金庫の役割りをやらせるからと言うて指定されているわけであって、その圧力の前に地方債を持たしているわけですね。しかし、銀行の完全な経済的な運営ということから見れば重荷であることは間違いありませんよ。そんないいかげんなこと言われたら困りますね。それは喜んで受けているわけではないのであって、受けざるを得ないから受けておるだけのことである。しかし、資金運用ということになれば——銀行局長おられなくなったけれども、決して喜んで受けているものではない。私が申し上げたいのは、国債の方はともかく最終的には、むずかしい問題が残っておるけれども、それはやはり銀行としては最終的には日銀に持っていけるものだというつもりがある。ところがいまのように、資金運用部資金を除いたものについては、地方債を受けた場合には、それはもう一遍資金化しないということを覚悟しながら地方金融機関はこれを受けざるを得ない、こういう仕組みのものであるという認識をお持ちなんでしょうか、お持ちでないのですか。そこをお答え願いたい。
  318. 森岡敞

    森岡政府委員 御指摘の点についての認識は十分持っているわけでございます。申し上げましたのは、流通価格が下落をするというふうな面での問題は、指定金融機関に証書借り受けの形で借り入れておりますものについては生じないということを申しただけのことでございまして、やはり民間の資金需要が出てまいりました場合に、指定金融機関に依存しておりますいわゆる縁故地方債につきましても、その消化なり何なりについての問題というのが出てくることは御指摘のとおりでございます。
  319. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣、いまのように国の方は最終的な逃げ場が理論的にはあるわけです。実際上はむずかしいですがね。実際には買いオペに応じたら完全なインフレになりますからね。しかし理論的には成り立ち得ることだということで逃げ道はつくりながら、御用金、要するにそれを押しつけておられますが、もう一遍伺いますけれども、いやしくも国債の相場が立ち、それの市場価格、これは流通価格ですね、それがはっきりある場合に似たようなものを出して、それを政府の決めた発行価格で願いますという形で押しつけて割り当ててしまうということはいいことですか。
  320. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 これは各国ともディダクトしたもので売るようなことはいたしておりません、それは国債の利払いに直接響く問題でございますから。市場価格が低落しないことが一番大事なことでございまして、低落をさせないようなふうにそのときそのときの市場の実勢に応じた利率を決めなければならぬと思います。最近ここ数年間、八分債から六分一厘債から六分六厘債といろいろやってきておりましたけれども、市場の実勢に応じて六分五厘から七分というような調子でいま変更をしたようなことでございます。私は、強権をもって銀行に押しつけておるわけでも何でもないので、御相談をしながら、これならば幾ら引き受けられるかということでお願いをしておるわけでございますので、その点は決して御心配要らぬと考えております。
  321. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣の方は決して強権力をもって割り当てたつもりはないとおっしゃる。それはそうですわね。そんなことされるようなお人柄ではございませんから。それは私もそう思いますけれども、引き受ける方はいやですとは言えないのです。いやですとは言えない間柄に立っておる。  さて先ほど一番最初に、さはさりながら満期まで持っておれば額面高でちゃんと返ってくるんだから待っておったらいいじゃないか。しかし、現在の会計上決算すればやはり損失は立てざるを得ない。評価損が出ますわな。その評価損が出たものはそれはそのままですか。何とかならぬわけですか。損は損ですか。
  322. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 評価損は帳簿上の損でございますので、必ずしもそれが実損につながるとは私どもは決して考えておりません。  それからもう一つ、永末さん、これは御参考に申し上げておきたいのですけれども、これは最終的な数字じゃございません、役所で幾つかの前提を置いた本年度の資金の需給見通しを立てさしてみたのでございますが、昨年の金融機関の資金増です。三十二兆円増からことしは三十六、七兆円の増になる。民間貸し出しが去年は二十兆ぐらいであったものが二十二兆ぐらいになるだろう。それから国債地方債、公共債が去年は十一兆ぐらいであったのが十四兆ぐらいになるだろうというような数字が出ておりまして、この点からもそうクラウディングアウトがすぐ起こる——クラウディングアウトの点から申しますと必ずしもすぐどうこうということはないという数字になっておりますので、これは全くの御参考に申し上げておきたいと存じます。
  323. 永末英一

    ○永末委員 私どもは現在景気の動向から見まして、いまクラウディングアウト現象が起こるとは考えておりません。まだそんなに新たな資金状況が起こっておるとは私どもは判断しておりません。しかし、交付税率がこのままで特別措置等、暫定措置等が行われておりますけれども、差額は地方債でやれという政策が続いていけば、もう少したてば似たようなことがもし政府の言うように資金上起こるとすれば必ずかぶさってくる現象である。したがって、地方債で財政需要をやれというような政策は一体それをどこまで続けるつもりなのか、改めるつもりなのかということはやはりこの際聞いておかねばならぬ。  一つ伺いたいのは、先ほど、地方債というのは本質的に国債と違って、特に割り当てられておるのは地方金融機関でございますから重荷になっておるが、これに対する市場をつくろうということば、これは金融市場でございますから大蔵省の考えることだと思うのですね。自治省では何ともならぬ話だと思いますが、大蔵大臣はそういう必要性を感じられますか。
  324. 森岡敞

    森岡政府委員 率直に申しまして、自治省がいかに希望いたしましても自治省だけで片がつく問題でございませんが、主として縁故債を消化していただいております地方銀行の方では、いまお示しのような市場に縁故債を流通するような仕組みをつくっていただきたい。あるいはまた、日銀の適格担保対象にしてもらいたいという要望が非常に強うございます。その点につきまして自治省といたしましては、大蔵省なり日銀にかねがね御要請をしているわけでございますけれども、なかなかはかばかしくこの問題についての結末が出ないということで、大変私どもといたしましては焦燥の感を持っておる次第でございます。
  325. 永末英一

    ○永末委員 はかばかしくお答えが出ないと言う、大蔵大臣、はかばかしいお答えをひとつ。
  326. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 自治省からいろいろ地方からの御要望が出ておる点も伺っております。これは大事な研究課題である、こう思います。十分検討させていただきます。
  327. 永末英一

    ○永末委員 十分検討していただきたい。質問を終わります。
  328. 松野幸泰

    松野委員長 三谷秀治君。
  329. 三谷秀治

    ○三谷委員 大臣、お疲れのようですからごく簡潔に。  基準財政需要額と基準財政収入額の差額が地方交付税で補てんされる、これが地方財政基本の構造になっております。そこで最近の地方財政措置を見ると、その差額を交付税特会で借り入れまして、借入金で応急に糊塗的な措置をとる。その借入金の五〇%を償還時に国が補てんする。借入金の半ばは地方負担する。要するに財政需要額と財政収入額の差額は交付税で補てんするのでなしに、半ばを国が臨特で措置し、半ばを地方負担として地方がこれを分担をする、こういう処置がとられております。これは交付税制度の根本的な改悪になっております。既存の財政秩序を根底から破壊する内容になってしまっている。本来交付税において処置されるべきものであって交付税額が不足すれば税率の改定をするという法のたてまえでありますが、このような違法処置がとられてきておるのに対して私どもはまことに不審にたえませんが、いかがでしょう。
  330. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 御指摘をまつまでもなく全く異例の措置と考えます。御承知のとおり、ここ数年国も地方財政情勢が非常に悪くなりまして、しかも国、地方を取り巻く経済環境が特殊異例の状況になっておりますために、いまお話しのような地方交付税率の引き上げなり行財政制度改正を行うには余りにも時期的にふさわしくない、もう少し局面が落ちついたところで先の見通しを立てて、改正なら改正に取り組む、税率引き上げなら税率引き上げに踏み込むことが適当である、こういうような考え方からいまお話しのような糊塗的な便法をとっておる状況でございます。
  331. 三谷秀治

    ○三谷委員 法律の定めによりますと、引き続き著しく地方財政が不足しました場合、交付税率その他の改正をするとなっておりますが、著しくというのは一〇%程度、それから引き続きといいますのは三年というのが基準になっておりまして、この基準はとっくに超過しておるわけであります。そうしますと、当然交付税率の改定が行われるのが法律上のたてまえだと私は考えておるわけでありますが、いまのお答えを聞きますと、いまは時期が悪いとおっしゃっておりますが、そうしますと、いつかの時期にはその率の改定をやろうという御意思がおありなんでしょうか。
  332. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、交付税法では、引き続き著しく所要財源とのギャップが生じました場合には、地方行財政制度改正あるいはまた交付税率の変更を行うというような規定がございます。実は五十年度以降、お尋ねのような地方も非常に大きな財源不足になったわけでございます。そこで昨五十三年度でございますが、まさしくこの交付税法上の規定に該当するという認識のもとに、自治省とも御相談をいたしまして、交付税を臨時に増額をする、その増額の仕方につきましては、交付税特別会計におきまして借り入れをする、そうしましてその借り入れ償還につきましては、実質的に国がその二分の一を計画的に負担をしてまいる、こういういわば制度改正をしようというようなことで昨年度法律改正をお願いをいたしまして、一種のルールといたしましてお決めをいただいたわけでございます。五十四年度におきましても、昨年度一応ルール化されました仕組みにのっとりまして地方財政上の手当てをしているわけでございます。
  333. 三谷秀治

    ○三谷委員 これが法改正とおっしゃっておりますが、これは法という体系を形成しないというのが私の考えです。なぜかならば、これは問題が本質的に解決しないんだ。たとえば地方が半額負担するという処置がとられておりますが、その半額負担すべき償還金は地方では何を財源にして捻出するわけですか。それが法定されなければ地方交付税法にいうところの法改正には該当しない。要するに、これは法の体系とかいうふうなものではなしに、欺瞞的な処置をとっただけなんだ。したがって、地方が半額負担するというのだけれども、その財源の保障をどうするか、これが入っていなければ法としては通用するものではないんだ。その半分の地方負担する分は一体どうなるのですか。地方財源を回すのか、あるいはその他の何らかの地方財源に対する処置がとられるのかどうか、それが一貫して出てこなければ、それは法の改正とは言えませんよ。
  334. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 交付税特別会計でのいわば実質的な地方負担分の償還財源は一体どうなるのかというお尋ねでございます。現在、交付税特別会計で昨年度から借り入れをいたしておりますが、いま具体的に、たとえば年度別に計画的に財源を明示をするということはもちろんできないわけでございますが、観念的と申しますか、たてまえから申しますれば、やはり地方財政が好転し、あるいはまた地方行財政制度改正された暁におきましては、その時点以降におきます地方交付税を含めましたいわゆる地方団体一般財源によりまして償還をするということになろうかと存じます。
  335. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはまあ希望的な観測というか一種の願望とでもいいますか、そういう要素のものであって、この法律を保障する何らかの物質的あるいは計数的な内容が含まれていない。ただ、まあ地方が半分持つ、国が半分持つ。元来はこれは国が持つべきものなんです。地方に持たす限りは財源をつけなければ、どうして地方が半額の負担を持てますか。そういうふうに財源がないから交付税で処置しているわけです。その財源がなくて交付税で処置すべきものを処置しないで、地方が半額持てというふうなことをしたって、これは一体どうするのですか。全くこれは一つの法律として完成していない。いわゆる瑕疵のある処置をおとりになっている。それで法の改正だ、法の改正だとおっしゃっている。それは法の改正になっておりやしません。半額負担する限りは、その負担はこうすべきである、このように処置するんだという裏づけを同時にやらなければ、それは財源保障、地方自治体の財源の問題は何一つ解決するものではありません。
  336. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 私どもも、現在お願いをいたしておりますやり方が決して望ましい姿とは考えているわけではないわけでございます。先ほど来大臣からも御説明がございましたように、現在は国も地方も、いずれも大量の国債あるいは地方債に抱えられたきわめて窮迫した財政状況にございます。そういう財政状況実態を踏まえまして、国も地方もともに相立つように現実的な対策といたしまして考えましたのが、昨年度来の当分の間の措置としてのルールであるわけでございます。私どもも、やはり一番肝要なことは、このような異例の措置なしに済むように、国も地方歳出歳入両面にわたりまして徹底的な見直しをして、財政再建を一刻も早くやることが問題の根本的な解決になるのであろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  337. 三谷秀治

    ○三谷委員 望ましい姿でないとおっしゃいますけれども地方自治の本旨、同時に地方財政の自主性を尊重する立場に立ちますならば、余りにも便宜的に過ぎます。御都合主義的なんです。地方財政につきましてはいろいろ財源が国も地方も窮屈だとおっしゃっておりますが、その財政事情等におきます選択権というものは政府がお持ちになって、その選択に基づいて国の政策を進めてこられたわけでありますから、たとえばパンか大砲かというふうな比喩もありますけれども、軍事費にどんどん金をつぎ込む、これが政府の政策でありますならば、それから出てくる財源難というものについては政府責任を持ってやってもらいませんと、地方自治の本旨なんというものは全く口頭禅に終わってしまいます。  そういう点から申しましてこの処置が非常に好ましくないわけでありまして、財源を移譲しないでやるとしますならば、現行の交付税法改正をやる。これはいまの状態から見ますと、現行の国税三税でいきますと六〇%ぐらいが必要になっております。それから、三税のほかに相続税、物品税あるいは印紙収入を含めたものにしますと、これを対象にしますと、大体五〇%ぐらい要ります。それから国税収入総額にリンクしますと四〇%程度、こういう状況になっておるわけであります。そのほかには、国債発行額の一部を交付税として配分する処置等もあるわけでありますが、何らかの処置をとらなければ、後の解決が全然見通しがない処置に終わっているわけでありますから、これは完結した処置になっていないわけだ。一体、将来地方が持つべき借入金の半額分はどうなっていくのか、どういう計画をもってどう処置するのか、これは全く五里霧中になっております。そういうことでいいのでしょうか、私は大変疑問を持っているわけです。御意見があればお聞きしたいと思う。
  338. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 国の場合も実は同様でございますが、先般来国債の大量発行に伴いまして、その償還財源についてしばしば御論議がございました。この償還財源を、たとえば年度別あるいは財源別に明らかにすべきではないかという御議論があったわけでございますが、私どもといたしましては、その償還財源なりあるいはその調達の方法につきまして明らかにしますためには、十年先あるいは十数年先までの経済全体を的確に見通しまして、さらにまたその経済の中でのいわゆる一般的な財源の調達につきまして、さらに具体的に、租税収入について申し上げますれば、いわば税目別にその内訳を明らかにするというところまで到達しなければ回答が出せないわけでございます。  同じように、私は地方財政についても同様かと存じます。御指摘のように、大量の地方債、それから交付税特別会計での借入金償還財源が懸念をされるわけでございまして、御心配は確かにごもっともでございます。私どももその点につきまして非常に危惧をいたしているわけでございます。しかしながら、繰り返しになりますけれども、その償還財源を具体的にいつどのような形で調達をするかということになりますと、国の場合と同様でございまして、十数年先にわたります地方財政につきましての計画、いわば財源計画が明らかになりませんとお示しをすることはできないということは御理解いただけるかと存じます。  いずれにいたしましても、私どもは、交付税特別会計におきまして借り入れをして、その二分の一は地方団体に御負担をいただくわけでございますから、その償還の都度、その償還費地方財政計画の中に織り込まれまして、地方財政計画上の措置としてそれぞれの年度において適切な措置がとられるべきものである、こういうふうに考えるわけでございます。
  339. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの問題ですけれども、これを繰り返しておりますと時間がたちますから省略しておきますけれども地方財政に対する処置というものが余りにも国の便宜主義に堕し過ぎている。いろいろな国の政策をやってこられました。たとえば田中総理の時分には消費は美徳であると消費の拡大を盛んにあおるかと思うと、急転して今度は総需要抑制だ、起債も容易には認めないというふうなことをおやりになるかと思うと、今度はまた景気刺激だ、そして投資の拡大だ、こういう処置をおとりになる。その政府の一顰一笑に地方自治体は動かされていって、そうして財政が全くこれは行き詰まってくる。しかも何ら償還の当てもない負担交付税法を実質上改悪して押しつけるということでは、これは地方自治というふうなものは全く形骸化してしまいます。  まあそのことはきょうは時間の関係で私は申し上げておくだけにしておきますが、もう一つは、総理が四月十一日の政府・自民党の首脳会議で一般消費税導入問題に関連しまして、国と地方の税配分の見直し、地方への移譲、地方交付税率引き上げの考え方などをお示しになったという報道がありますが、これについて大蔵省の所見を聞きたいと思うのです。
  340. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 いまお話しのございました政府・与党の首脳会議でございますか、具体的にいまのように地方交付税の引き上げの御検討を命ぜられたという話は聞いておりません。恐らく何らかの誤報であろうかと思います。
  341. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは一つの新聞だけじゃないです。毎日もそうですし、日経もそうなんですが、同様趣旨の報道になっております。これは足立全国組織委員長の発言というのがかなりな比重を占めておりますが、総理もそのような御意見であるかのような報道になっております。これによりますと、その足立全国組織委員長地方税の配分についての発言に対して、「自分もそう思う。徐々に地方に(税配分を)譲っていかなければ……」とおっしゃっておるようでありますが、これについては大蔵の方では何らキャッチされてないわけでしょうか。
  342. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 恐らく、いまの話を伺いますと、足立組織委員長から国と地方財政問題が取り上げられて、税源の再配分の問題から事務の再配分の問題について、しっかりひとつ検討をしようやというようなことになったんだろうと思うのでありますが、これはもう前々から言っておることでございまして、私どもとしては現状がそのままでいいなんとは決して考えておりません。できるだけ速やかに、経済が安定いたしました暁には、やはり地方といたしましても安定的な財源を持つことが必要でございますし、また国としてもできるだけの事務の再配分をやることが必要であると思いますので、その基本的な考え方につきましては異論は私ども持ってないわけでございます。ただ、具体的に何をどうするかというような話があったということは私、聞いていないわけでございます。
  343. 三谷秀治

    ○三谷委員 一般消費税の配分に関連しまして、総理が地方財政危機を踏まえて、地方交付税率の引き上げを含めて、国税地方税のあり方について再検討するとの考え方示していらっしゃるぐらいですから、大蔵省としても一般消費税の地方への配分についてお考えになっておると思うのです。大蔵省の一般消費税の配分についてのお考えはどうでしょうか。  先ほど聞きますと、まだ細かい具体の検討はしていないかのようにおっしゃっておりますが、しかしこれはすでに自治省大蔵省の間でかなり見解は食い違って、一般消費税をつくります上での一つのネックと言われているくらいでありますから、御意見、御見解はあるに違いがない、それをお聞きしたいと思うのです。
  344. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 仮に五十五年度の早い時期に一般消費税の導入が許されるならば、私どもといたしましては、政府税制調査会で提案をしておりますように、地方財源として地方消費税をつくるつもりでおります。一般消費税の税率はまだ決めておりません。五%になるか何%になるか、最終的な詰めはまだ終わっておりませんが、その税額の五%程度地方消費税として府県に配分するということが一つでございます。  それから、地方の窮迫度に応じて、財政需要に応じて一般消費税の国の収入の何%かを地方に、これは交付税にするか譲与税にするかまだ最終的に詰まっておりませんけれども、それからまたその率も自治省と最終的な詰めに至っておりませんが、ひとつ早急に詰めて地方財源の安定に寄与させたい、こういう気持ちでおりますことは事実でございます。
  345. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、地方消費税が……。
  346. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 一般消費税の税率が恐らく五%になると思います。その五%の税率のうちの何%かを地方消費税ということで府県に回し、それから何%かを財政需要に応じて地方に回す、その割合がちょっとまだ決まっていない。さっき五%、五%と言いましたが、これは一般消費税の税率の五%の間違いでございますので、訂正をさせていただきます。
  347. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、一般消費税のうちの何%かを地方消費税とする、それから一般消費税のうち何%かを交付税ないし譲与税として地方に配分する、こういうお考えですね。自治省の方ではどういうお考えなんでしょうか。
  348. 澁谷直藏

    澁谷国務大臣 基本的にはいま大蔵大臣からお答えしましたような方向で考えておりますが、具体的に何%とするかという最終的な詰めはまだ行っておりません。
  349. 三谷秀治

    ○三谷委員 大ざっぱな大蔵自治との見解の相違点といいますのは、これはここで公式におっしゃったかどうか知りませんが、新聞などの伝えるところによりますと、大蔵の方では全体の一般消費税額の大体三〇%程度地方に配分しよう、それから自治省の方は五〇%程度の配分、こういうそれぞれ見解の相違があると聞いておりますが、その点はどうでございましょうか。
  350. 森岡敞

    森岡政府委員 両大臣からお話がございましたように、具体的な率を挙げての事務的な詰めはいたしておりません。ただ、私どもといたしましては、当委員会でどのような考え方を持っておるのかということに対しまして常々お答えしておりますように、現在の国と地方一般財源の配分の割合というものがいまお示し自治省意見という率でございますので、そういう強い期待を持っておるということを当委員会で常々申し上げておる次第でございます。
  351. 三谷秀治

    ○三谷委員 大蔵の方の三〇%案というのは、それについては大蔵としてはどういうお考えなんでしょうか。
  352. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 まだ公式の場で申し上げるような詰めの段階に入っていないのです。強いて抽象的に申し上げれば、地方財政の窮迫度に応じて配分をしたらどうかという気持ちを持っておるのでございます。
  353. 三谷秀治

    ○三谷委員 自治省の方にお尋ねしますが、一般消費税の物価に対する影響はどのように推計されておりますか。  それから、配分が財政収入に寄与するとしましても、他方では地方自治体が一般消費税の担税者になるわけでありますから、一概に寄与する面だけでなしに、逆に物価の上昇もあり、かつそれに伴います財政需要増という問題もあるわけでありますから、そういう点をいろいろ推計してみますと、結局どういう試算が出てきますか。もしも自治省のお考えのように五〇%を地方に配分を受けるとしまして、それが需要をどのように膨張させまして、そして実態として寄与する額がどの程度になるのか、そういう試算ができておりますでしょうか。
  354. 森岡敞

    森岡政府委員 一般消費税が創設されました場合には、公共部門が購入いたします財貨サービスの価格にもその消費税相当部分が上乗せになる、そういう意味合いで一般消費税を公共部門が負担するという結果になることは御指摘のとおりだと思いますが、しかし、これは単に地方歳出だけではなくて、国の歳出も同じなわけでございます。  それで、いまの問題につきましては、実はまず国や地方歳出というものはそういう要因だけで決まるものではないと私は思うのであります。そのときどきの国民のニーズもありますし、あるいは社会情勢もありますし、そういうもろもろのものを総体的に勘案して歳出の水準を決めていく、これが公共部門の歳出の本来的な性格だと思うのであります。  と同時に、いま一つの問題は、一般消費税の創設をいたします場合にも、非課税あるいは免税点、その辺のところが十分煮詰まっておりません。それらがどうなるかによりまして非常に動いてまいる問題でございますので、それらをかなりしさいに詰めませんと、いまお話しのような試算は私は困難であろうというふうに思っておる次第でございます。
  355. 三谷秀治

    ○三谷委員 五%の一般消費税を創設しました場合、これはすべて物価にはね返るということが考えられます。その点については大蔵はどうお考えなんでしょうか。
  356. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 非課税物品もございますので、そういうものを外して考えなければいけませんが、消費者物価に及ぼす影響は、仮に五%の税率を採用いたすといたしますならば、二・五%くらいの引き上げになろうかと思うのでございます。しかし、それは一回こっきりのものとお考えいただきたい。何回も何回も累積するものではございませんので、普通の物価の累積する場合とは違うというふうに考えておる次第でございます。
  357. 三谷秀治

    ○三谷委員 それから、企業の便乗値上げによります物価の高騰だとか、それからGNP減退によります地方税減収などというものが懸念されるのではないかということも私たちは考えておりますが、その点はどうでありましょうか。
  358. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 私どもの方は、いま御指摘のございました企業による便乗値上げだけは厳に取り締まりをやっていかなければいかぬ、これをやったら大変なことになりますから。各国の状況ども、そういう点では十分資料を集めて準備をさせておるような状況でございます。  あとは自治省からお答えいたします。
  359. 森岡敞

    森岡政府委員 一般消費税のような新たな間接税を創設いたしました場合に、いわゆるデフレ効果というのがどういうふうに働いてくるかというのは、これはいろいろの説があるようでございまして、必ずしも消費税を創設すれば一定の率でGNPの成長率が落ちるというものでもないという説もありますし、それはやはりかなりの影響があるという説もありますし、その辺のところは私どもは非常にむずかしいと思います。大蔵当局ともその辺についていろいろ御意見伺いながら考えてまいりたいと思っておりますが、まだその辺のところについて確信を持ってお答えを申し上げる事情にはございません。
  360. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 GNPに対する影響ということでございましたら、私はこういうふうに考えているんですがね、三谷さん。それだけを納税者から吸収してしまって国が握ってしまうわけじゃございませんで、それは直ちにその年度の主として社会保障関係経費に充当されるわけでございますから、所得税や法人税の税金と同じように、直ちに政府支出なり地方の支出に充てられるということになれば、デフレ効果というものはそれほど考える必要はないんじゃなかろうか、こんなふうに私は考えておる次第でございます。
  361. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう時間がありませんが、これが社会福祉に使われるという保証はありませんので、これはいろいろ議論があると思います。ただこれは最もいい税制ではないということは、六百の地方自治体が反対の決議もしておりますし、業者団体はこぞって反対しているという状況を見ましても、これを創設します前にもっとやるべき税源がある。不公正税制もありますし、この間、参議院で問題にしました租税法律主義に反する特殊な企業に対する減免税、この間同和という言葉を使っていましたが、全体の同和企業ではありません、一部の企業に対する法の定めがない減税であるとか、いろいろ問題があるようでありますが、そこら辺をまず整理をされて、それからお考えになるというのが私は一番妥当であろうと思っております。  時間が参りましたから、意見だけ述べて終わります。
  362. 松野幸泰

    松野委員長 これにて大蔵大臣に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時四十四分散会