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澁谷国務大臣 何分、問題は基本的なことでございまして、これにメスを入れるということになりますと、これは長い間やってきて定着しておる政治、
行政の構造にメスを入れなければならぬ、当然これは猛烈に強い抵抗が出てくるわけでございまして、簡単にまいりません。しかしながら、私は先ほど申し上げたように、とにかく国の財政が危機になっておる、
地方の財政もそれに近い。これは立て直さなければならぬ、こういう絶対の至上命令をいわば政府は抱えておるわけでございまして、これはいままでの慣行がこうだから、いままでのやり方がこうだから、
法律がこうなっておるからというようなことで回避できる
状態ではないと私は思っておるのです。ですから、これは政治家というものが本当に捨て身になって、蛮勇をふるわなければならない時期に来ておると私は思うのです。ですから、私はそういう気持ちで、国、
地方全般の改革というものに取り組んでいきたいと思っております。
それで、おまえの在任中に何か
一つやれ、こういうことでございますが、いまそれではこれをどうしてもやりたいというふうにちょっとここで出てきませんけれ
ども、私は、この間から、
田園都市構想というものが新大平内閣によって具体化されようとしておるわけですね。それで、この
田園都市構想の具体化で特に大事な点は、午前の答弁でも申し上げたのですが、いままで同じようなことを言われてきているわけです。今度の大平内閣によって提唱されておる
田園都市構想というものは、いままで言われてきたようなこととどこが違うかというと、
一つは、その中心に
地方分権というものを据えたということだと思うのです。ですから、これはただそのときの思いつきでそう書いたのだというようなことで済まされては困るのでありまして、あくまでも
地方分権というものを根底に据えて、そして、その土台の上に
田園都市構想というものを漸次具体化していく、こういうことでなければならぬと私は信じておるわけです。
そこで、私は率直にきょう
小川さんに申し上げますが、
田園都市構想の具体化に際して私は自治省の当局に、
大臣としてこの二つだけはどうしても自分の主張を貫きたいからそのつもりで諸君もがんばってくれということを申しました。その
一つは、
地方分権という考え方、つまり、これは当面の問題としてはこの
田園都市構想というもの、そういう
一つの生活空間をつくっていこうというのですから、それの主体、中心になるものはあくまでも
地方自治体であるということ、この主張は、これは各省と渡り合ったわけでありますが、これは断じて譲ってはならぬぞ、私はこの主張だけは断じて引き下がらない、これが
一つ。それからもう
一つは、従来のように、十六も
関係する省庁がおれのところはおれのところはというようななわ張り争いをやっておったのでは、
地方自治体が大体もう迷惑千万な話でございますから、各省庁の連絡を密にして思想を統一して、従来のセクショナリズムというものをとにかく脱却しなければいかぬ、この二つはぜひ自治省としての主張として各省庁との連絡
会議で最後までひとつがんばってくれ、こういうことを言ったわけです。幸いに自治省の事務当局が私の主張を体してがんばってくれまして、とにかく定住圏というもののモデルを各都道府県一カ所さしあたりつくろう、こういうことを決めたわけですが、そのモデルの
都市の選定は、これは都道府県を中心に
関係市町村が相談をして決める、こういうことを決めたわけですよ。これは
小川さん、いままでやってきた、何もかも中央で決めた新産
都市の全国に巻き起こった陳情合戦を思い起こしてもらうといいのですが、ああいうことでなくなるわけですから、
地方で決めて持っていらっしゃい、こういうのですから、これはある
意味では従来の中央集権でやってきた
行政手法の画期的な転換だ、こう私は思っておるのですよ。ですから、とにかくできるものから
一つずつ取り上げて粘り強くひとつやっていく、こういうことでがんばりたいと思っております。