○
小川(国)
委員 次に、
財特法が
延長になった場合、今後六百億という
事業費が組まれているということですが、六百億が問題なのではなくて、この
財特法によって国が
自治体や
住民に対して何をやるかということをもっと
考えるべき必要があるのではないかと思うわけです。
卑近な例を成田市にとって申し上げますと、成田ニュータウンの
建設が行われているわけですが、
自治省の報告書の中でも出ておりますが、まず
道路で言うならば、非常に細かくなって市議会の議論の
ようになってくるのですが、お許しいただきたいと思います。国鉄成田駅の西口からニュータウンに通じる
道路はこれを独自
事業として行えず、区画整
理事業におんぶしているため、
昭和五十四年一月で四二・九%という進捗率である。それからまた、日赤病院からニュータウンに通ずる街路
計画も七四・六%の進捗率で、
工事中止のまま放置されたままになっている。
こういうことから、
開港後二万人の人間が現在居住しているにもかかわらずまさに陸の孤島であり、居住した
住民は交通の不便さで難渋している。
空港に
関係なく
空港ニュータウンともいうべき町に住んだ人たちが交通から医療からショッピングから教育、社会福祉
施設、いろいろな面で、これはもう住むにたえないということで東京へUターンする現象まで起こっているわけです。住居を東京へ戻すという大変な
事態になってきているわけであります。
現に、成田市は
空港ニュータウンの中に小中学校、保育所をつくるためにニュータウン
関係の
地方債は
昭和四十三年から五十年の間に十二億九千六百六十万円、一般財源で十一億五千六十一万円、約二十二億円ぐらいの既存の成田市民が
空港ニュータウンのために
財政負担をしているわけです。そのほか成田市のニュー夕ウン以外の
地方債が十億四千五百六十万円、一般財源で十億九千三百五万円。これで見ますと、従来、
空港ニュータウンがふえない前の
地方債と一般財源で約二十億、ニュータウンの
空港関係住民が入ったところへ二十二億、旧
住民が一般財源を出し、それからまた
地方債を負担してやっているという状況なんです。これは
空港政策の
自治体に対する非常に大きなしわ寄せだと思うのです。
財特法の中では成田ニュータウンの
事業に対する
かさ上げをやったと言われておりますが、いま人口六万人になった成田市の状況を見ると、保健所一つなくてこれから支所が建つ。公立幼稚園は成田市の場合はゼロ、老人ホームもなし、対象になるひとりぼっちの老人が六十七人、寝たきりのお年寄りが四十八人。ところが成田市に老人ホーム一つございませんので、佐倉、四街道、佐原、八日市場、鴨川の老人ホームに三十九人も年寄りの看護を委託している状況なんです。それからはしご車などでも、ニュータウンには高層住宅が建ち並んでいるのに最上階に届く消防の救助用はしご車がないのです。現在あるただ一台のはしご車の到達できる高さが三十二メートル。しかし、これ以上に高い建物が日本航空の男子寮とか女子寮、家族寮、センタービル、電電公社、これが皆四十メートル以上。ですから、出火した場合一体どうするのか。こういう消防のはしご車一つないという
ような状況があるのです。この成田ニュータウンにおける消防的
対策が全くない、こういう
ような状況が起こっているわけです。こういう
ような状況を見ますと、本来的に成田ニュータウンと言われるいわば
空港従業員のニュータウンというものは
政府直結でやるべきものであって、既存の成田市の
財政負担の上に新
住民のための
施設を一切そろえていくというのは、どうしても
財政が非常に悪化して低下していくというのを免れないわけです。そういう点では、
財特法の中でこれからも継続して見るということですが、少なくともこの
空港関係のニュータウンについては従来の
かさ上げということにこだわらず、国が積極的にこれは
空港直結の
事業ということで一〇〇%見るというぐらいの姿勢がないと、成田市はもう三年ぐらいで破産するというふうに私
どもは
財政的に思わざるを得ない状況なんです。
いま申し上げた
ように、幼稚園もゼロ、老人ホームもなし、消防のはしご車もない。こんな状況で一体、
財特法によってこの
自治体がどれだけ救われたのかきわめて疑問だと言わざるを得ない状況があるのです。この実情を
自治省はどういうふうにとらえられるか。