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佐藤(観)小
委員 がらっと話を変えまして、きょう御報告のありました
金融制度調査会の
答申について、もう時間も非常になくなってまいりましたので、大筋だけお
伺いしておきたいと思うのであります。
抜粋でありますが、今度のをざっと読ませていただいて、一体この
答申で新しく行政上前進をするところがどういうところがあるのか、新しい方向性を見出したところがどういうところがあるのかという疑問を持つわけであります。と申しますのは、たとえば大口融資規制の問題も従来行政上、事実上やってきたわけです。それに法的根拠を与えようということでありますし、あるいは
銀行経営の
効率化、
健全性の問題というのは、ある
意味ではますます
環境が厳しくなったからそれが強調されるだけでありまして、その
意味で私は従来の線の延長ではないかと思うのであります。そういうようなことを考えてきますと、確かに資金調達の多様化とか業務の
あり方の問題、あるいは長期
金融専門機関と業務の
あり方の問題、あるいはディスクロージャーを入れる、あるいは
銀行への監督権の問題、
国際化への対応の問題、週休二日制の問題、あるいはいわゆる国債の窓販問題については最終的に結論を行政にゆだねているということになっておりますけれども、全く新しい、これからより行政上進ませようというポイントはこの
答申というのはどこにあるのかという点をまず第一点お
伺いをしたいのであります。
それから二点目に、
答申をずっと見てみて、私
自身の不勉強からかもしれませんが、若干わからなくなってきたのは、
銀行の問題だけではいま非常に曲がり角にある日本の
金融制度というのは論じられないのではないか。それはこの
答申の冒頭でも述べておりますようないわゆる
経済環境の
変化、あるいは
金融機関が
個人との接触が多くなった、あるいは
国民の
ニーズに対応できるようにというような
状況、あるいは利ざやが狭くなったというような問題というのは、事
銀行だけに限らず、その他の相互
銀行あるいは信用金庫、こういった
金融機関にもおしなべて言えることではないかというふうに考えざるを得ないわけであります。そうなってきますと、日本の
金融機関として全部の
あり方というものを考えていかなければならぬのではないか。とりわけ私は今度の
答申の中には、七段階というか、長銀関係あるいは都銀関係、地銀関係、相銀関係、信用金庫、信用組合と
金融機関のいろいろな
制度がありますけれども、なるべくその壁を低くしていこうという同質化の傾向が見られる、それと同時に片面では、専門
金融機関として残していこうという、そういう気迷い的なところが読み取れるわけであります。
そういうことになってきまして、この
金融制度の壁をなるべく低くしていこうということになるならば、隣の関係、たとえば長期専門
金融機関と都銀との関係、都銀と地銀との関係、あるいは地銀と相銀との関係という、隣を区分する壁自体が低くなっていくということになりますならば、
銀行だけを論じていてもこれは本当に曲がり角にある
金融制度の
あり方としては足りないのではないか。私はこの
金融制度調査会の
答申の前に一体、
銀行はどの部門を担当し、あるいは相銀はどういう受け持ち方をするのか、信金はどうなのかという大前提、
銀行だけではなく、
金融制度全体の
あり方としての大前提、体系づけ、あるいは守備範囲、任務、役割り、こういったものを論じていかないといかぬ時期に来ているのではないだろうか、法律的に言うならば、恐らく
金融法というのか、そこまでいかなければいかぬ時期に来ているのではないだろうか、どうも個々のこの
答申を読んでみてそういう疑問を持ってくるのであります。その大前提というのはどういうふうに考えていくべきなのか、その点が二点目の
質問であります。
それに関連をしてくる問題として、ここでも預金金利の
弾力化、自由化ということが述べられているわけであります。私も原則的にはこれは賛成なんでありますけれども、その際に一体弱小
金融機関はどうなるのだろうか、それがひいては、
金融界の再編成あるいは
制度論としての各
金融機関はどうなっていくかということの位置づけがはっきりしない限りは、預金金利の
弾力化ということも非常に将来的なビジョンを欠くことになっていくのではないだろうかという問題になっていきますが、その点についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。
それから若干それと関連をして、この長期
金融専門機関の将来像についても、これはこの
答申の抜粋であるからかもしれませんけれども、よくわからないわけですね。少し詳しく御
説明をいただきたいのは、「
銀行の
業務範囲を
弾力化することによって、各
金融機関がそれぞれ
創意工夫を
発揮していくことができるようにすることが重要である。」これは
一つは大前提としてわからぬわけではありません。そして二番目に「
普通銀行と長期
金融専門機関との間においては、
金融の一層の
効率化を図るため、長期
金融専門機関の
専門性を維持しつつ、いわゆる周辺領域における競争が行われることによって、より
弾力化された
業務範囲の中での競争的な相互補完関係が成立することが適当であると考える。」ということで、どうも壁はなるべく薄くしましょう、しかし
専門性は残しておきましょうということのようなんですね。ということになってきますと、非常に競合する範囲がふえるということは確かに
競争原理が導入されるということで
効率化を一層進めることになるけれども、片面では
国民経済的にはむだがふえるのではないか。それならもっと専門
金融機関は専門
金融機関として範囲をしぼってやった方が効率がいいのではないかという問題になってくるわけで、そのあたり、具体的にはこの長期
金融専門機関というものの将来像というのはどうしていくのか、ほとんどは
普通銀行と一緒にし、若干長期的な
部分だけを残すという形にするのかどうなのか、その辺がどうも
答申の
意味がよくわからないのであります。
それから五番目にディスクロージャーの範囲でありますけれども、ここに出てくる範囲というのは、
金融機関は一体どこまで具体的にディスクロージャーをするのか。この
答申に出ているような貸借対照表とか損益計算書とかあるいは資金運用の概要とかこういったものを新聞に公告をするとか、これ自体も非常に基礎的な
数字でありますから大事だと思いますけれども、これはある程度有価
証券報告書を取り寄せればわからぬわけではないのであって、さらに、やはり土地への融資の問題とかあるいは住宅融資とか
個人へのローンとかいうことも当然入ってきますと同時に、いまこれだけ
銀行の
公共性ということが主張されるならば、一体どの辺の順位までかは別といたしましても、せめて大口融資先とかあるいは大株主とかこういったものの開示までしないと本当のディスクロージャーにならぬのではないか。もちろん、それを一体どの辺の大口融資先にするのか、大株主にするのかはいろいろ議論があると思いますが、
銀行の
公共性というものを強調するならばそこまでやっていかないと、単なる有価
証券報告書とか先ほど挙げたような
数字ではきわめて抽象的なディスクロージャーにしかならぬのではないだろうかと思わざるを得ぬのであります。
以上五点について、この問題は大きな問題でありますからまだまだ十分討議する機会もつくらなければいかぬと思いますので、大きな柱だけについてお答えをいただきたいと思います。