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竹本委員 税理士法の
改正は長い
経過、非常にむずかしい
経過があったようでございますけれども、ともかくも
法案もまとまり、
審議も本日をもって大体終わるという
段階になりました。この間における
大臣を初め
皆さんの御
努力に対しましては、私は敬意を表したいと思います。
法案そのものも、複雑な
利害関係が入り乱れている中で、ともかくもこれだけにまとめ上げていただいたということについても、高く
評価をいたしております。
そういう
意味できょうは、特に
大臣の御
出席もありますので、それにもかかわらず、われわれが希望として
考えておる問題あるいは
心配をしておる問題について、二つほど申し上げて
質問にかえたいと思います。
その第一点は、いま申しましたように
法案がいろいろと
工夫をされてつくられておるのでございますけれども、率直にこれを読んだときの感じでございますが、そこにどれだけの
ビジョンがあるか、どれだけの夢があるか、あるいは、夢ばかりではもちろん
政治になりませんけれども、新しい
時代に対する展望があるかという問題については、きのうもちょっと申し上げたのでございますけれども、
法案そのものが少し事務的になり過ぎてはいないかということが
一つの
問題点であります。
特に
税理士の
立場というものが非常にむずかしい、また非常に重要な
立場でありまして、今度も第一条には、
税務に関する
専門家として、
独立した公正な
立場において、
納税者の
信頼にこたえて、
納税義務の適正な実現を図らなければならない、こういうことがうたってあります。そこで、私が事務的であるとかあるいは少しロマンが足りないとか
ビジョンが足りないとかいう点は、こういうことを申しているわけであります。
全体として今度の法の
改正は、いわゆる
監督規定というものに重点が移っておるのではないか。ということは、もう
一つ申しますと、
一つはここに書いてあるように、
税理士を
独立した
自由職業人として取り扱う点について遺憾な点はないか。さらに申しますならば、その
税理士を公正な
立場に立って活動してもらうということに対する
期待感、
信頼感というものがどれだけ下の方に流れておるかという問題であります。
そういう
意味から申しますと、
大臣御承知のように昔は
文官任用令というのがあった。
任用令ということを、これは
安岡正篤先生がかつてこういうふうに説明した
お話を私も伺ったことがある。これは中国に起源があるでしょうけれども、
任用ということは非常に大事なことで、
行政の
根本である。しかしその
根本は
任用というのは、字はちょっと逆さまになっておりますけれども、用いて任せるということだ。役人もいま中央、地方を合わせて五百万人からおりますが、用いて任せるということが中心にならなければ、本当の
政治にはならないのだということを言われたことがあります。
私は、
自分の部下でも用いて任せるということがやはり
政治の大事な要諦ではないか、こういうふうに思います。いわんや
自分が給料を出しているのでない
自由職業人に対しては、特に
信頼を持ってそれに接するということが大事なのではないかというふうに思いまして、いわゆる信なくんば立たずである。そういう点から言いますと、今度の
改正は微に入り細をうがって、こういう場合にはこうしろ、こういうふうに
従業員は監督しろ、
税務相談に応じたらこれだけのことを報告しろというように非常に細々と書いてありますから、
大蔵当局の
考えとしては、
行政に間違いのないようにという御
配慮だと思いますけれども、受け取る方から言えば、こんなに監督され、こんなに縛られ、こんなに
信頼をされない形で
協力をさせられるということは若干暗い
印象を持つのではないか。現に私のところへいろいろ
陳情団も参りましたが、今度の
法改正を見ると全く
税理士がいやになると言った人も何人かおります。もちろん誤解もあるでしょうし、思い過ぎや言い過ぎもあることは私もわかりますけれども、それにしても全体として、
税理士業務をやる人に
大蔵省が
信頼をしてかかるのか、あるいは、うそを言うかあるいは
助言義務でごまかしていくかというようなことについて警戒をする態度で接するのかということは、この
税理士法の
運用について重大なる
影響があると思う。願わくは、
税理士さんの
立場も
独立した
立場において
自己の
良心に忠実にやってもらうように、そしてまたそのことが、
依頼者からの
独立、官憲からの
独立を守りながら
自己の
良心に忠実に動いてもらうということに対しては、
大蔵当局も
信頼をしておるのだというような
印象を与えるように
努力をしてもらいたい、かように思いますけれども、その
信頼をもって接するという
根本の問題について
大臣のお
考えを伺っておきたい。