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1979-05-30 第87回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月三十日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 加藤 六月君    理事 稲村 利幸君 理事 小泉純一郎君    理事 綿貫 民輔君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 坂口  力君    理事 竹本 孫一君       愛知 和男君    宇野 宗佑君       江藤 隆美君    小渕 恵三君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       原田  憲君    森  美秀君       山崎武三郎君    伊藤  茂君       池端 清一君    大島  弘君       沢田  広君    村山 喜一君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    安田 純治君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 金子 一平君  出席政府委員         大蔵政務次官  林  義郎君         大蔵省証券局長 渡辺 豊樹君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   宮脇 磊介君         法務省民事局参         事官      元木  伸君         参  考  人         (東京証券取引         所理事長)   谷村  裕君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 五月二十九日  辞任         補欠選任   大島  弘君     大原  亨君   永原  稔君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     大島  弘君   加地  和君     永原  稔君     ————————————— 五月二十八日  共済年金制度改悪阻止等に関する請願(井上  一成君紹介)(第四四〇四号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第四四〇五号)  同(清水勇紹介)(第四四〇六号)  同(横山利秋紹介)(第四四〇七号)  同(大出俊紹介)(第四四五八号)  同(太田一夫紹介)(第四四五九号)  同(野口幸一紹介)(第四四六〇号)  一般消費税新設反対に関する請願外二件(上  田卓三紹介)(第四四〇八号)  同(美濃政市紹介)(第四四〇九号)  同外一件(横山利秋紹介)(第四四一〇号)  同(安藤巖紹介)(第四四二九号)  同(青山丘紹介)(第四四三〇号)  同(荒木宏紹介)(第四四三一号)  同(稲葉誠一紹介)(第四四三二号)  同(浦井洋紹介)(第四四三三号)  同(大出俊紹介)(第四四三四号)  同外一件(川俣健二郎紹介)(第四四三五  号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第四四三六号)  同外一件(小林政子紹介)(第四四三七号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第四四三八号)  同外二件(清水勇紹介)(第四四三九号)  同(瀬崎博義紹介)(第四四四〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四四四一号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四四四二号)  同外一件(田中美智子紹介)(第四四四三  号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四四四四号)  同外一件(高田富之紹介)(第四四四五号)  同(津川武一紹介)(第四四四六号)  同(寺前巖紹介)(第四四四七号)  同(東中光雄紹介)(第四四四八号)  同(不破哲三紹介)(第四四四九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四四五〇号)  同(正森成二君紹介)(第四四五一号)  同(松本善明紹介)(第四四五二号)  同(三谷秀治紹介)(第四四五三号)  同(安田純治紹介)(第四四五四号)  同(山原健二郎紹介)(第四四五五号)  一般消費税新設反対等に関する請願池田克也  君紹介)(第四四五六号)  同(松本善明紹介)(第四四五七号)  共済年金制度改悪反対等に関する請願(土井  たか子君紹介)(第四四六一号)  同(平林剛紹介)(第四四六二号)  国民生活を破壊する一般消費税新設反対等に  関する請願藤原ひろ子紹介)(第四四六三  号)  同(小林政子紹介)(第四四六四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  国の会計税制金融及び証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 加藤六月

    加藤委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  税制及び税の執行に関する小委員会において、明三十一日午前十時、税制及び税の執行に関する件について、税制調査会会長小倉武一君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤六月

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 加藤六月

    加藤委員長 国の会計税制金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  本日は、証券取引に関する件について、参考人として東京証券取引所理事長谷村裕君が御出席されております。  谷村参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  5. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 きょうは前回に引き続き、大きな社会問題にまでなっております大光相互銀行の件について、行政上の問題について若干お伺いをしておきたいと思うのであります。  まず、審議に入る前に、私たちの手元には有価証券報告書があるわけでありますけれども、これ自体虚偽記載があったということがはっきりと認められているわけでございますので、ある意味では出されている有価証券報告書審議をするということは事の正確を欠くきらいもあるように思うのであります。ただ、事実上問題になってくるのは債務保証の額あるいは有価証券売却損等、後から問題にしますが、悪い方の指標でありますから、その意味では有価証券報告書訂正をしても、これがさらに悪くなる、もちろん債務保証については額がふえてくるわけでありますけれども、大方いまのところはこれによらざるを得ぬと思いますので、審議の基本になる有価証券報告書虚偽のものであるものをもとに審議をするというのもおかしな話でございますけれども、とりあえずはいまこれしかいたし方ありませんので……。  証券局長にちょっとお伺いをしておきたいのでありますけれども、五十三年の下期、これは六月いっぱいということになっているわけでありますけれども、五十三年の上期は一体いつ訂正されたものが出てくるのか、それから、一体何年前までの有価証券報告書皆さん方の方で訂正をさせるのか、その点についてまずお伺いしておきたいのです。
  6. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 五十四年三月期の有価証券報告書は六月末に提出されます。この五十四年三月期の有価証券報告書では、貸借対照表等は前期と比較した形で出されますので、五十四年三月期だけではなく五十三年九月期の計数も出るわけでございますが、五十三年九月期には未計上であった債務保証の額がその部分については訂正された形で、五十四年三月期の有価証券報告書が六月末に提出されるはずでございます。しかし、これは五十三年九月期の有価証券報告書訂正ではございません。別途五十三年九月期の訂正報告書提出を求めなければならないと考えておりますが、御存じのように、有価証券報告書の公衆の縦覧期間と申しますのが五年間でございますので、通常私ども訂正報告書提出を求める場合には、必要に応じまして過去五年分出していただくということになります。むろん五年と申しましても、いつからそういう未計上のものが発生したかということにもよりますし、またその額いかんにもよるわけでございますけれども、たてまえとしては過去五年ということになるわけでございます。
  7. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それはいつまでに出るのですか。
  8. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 六月末に五十四年三月期の有価証券報告書提出されますが、大光相互銀行に関しましては現在、銀行局検査も中断中でございますが、さらに続行するということでございますし、現在まだ公認会計士証取監査も続行中でございます。したがいまして、過去にさかのぼってそういうのをどの程度まで事実確認できるか、これには若干時間の経過も必要かと思いますので、六月末の有価証券報告書が出て以降ということになろうかと思いますが、その時期についてはまだはっきりしておりません。
  9. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それでは、東証理事長谷村さんにお伺いをしたいわけでございますけれども、きょうはお忙しいところありがとうございました。  不二サッシに続いてまた東証一部に上場されている企業、とりわけ今度の場合には金融機関でございますけれども、このような粉飾というのかあるいは虚偽記載というのか、ここはいろいろ議論があるところでありますが、それは別といたしましても、東商一部に上場されているからということで初めて皆さん信用してこの企業の株の売買ということがあり得るわけでございまして、その意味では、谷村裕という非常にりっぱな方が理事長をやっている東証、そこに上場されているからという信用が前提になって商いがされているわけでありますから、市場の管理者として今度のこの大光相互虚偽記載の問題はどういうふうに見ていらっしゃるのか、その点からまずお伺いをさせていただきたいと思うのであります。
  10. 谷村裕

    谷村参考人 佐藤委員の仰せのとおり、取引所にその会社株式上場されているということはまさしく、投資者のために、そしてまた投資者保護のために十分な、それだけの根拠のあるものとして行われるのが当然でございまして、その意味では私どもは、今回のような私ども取引所上場株式を発行している会社について問題が起こりましたことを、大変残念に思います。投資家の方々にもそういうことでは申しわけないと思います。  そういう点を顧みまして、私どもは従来とも、上場物件審査に当たりましては意を尽くしているわけでございますが、どこまでできるかという問題はございますが、今後とも上場物件扱いにつきましては、十分の配慮をしてまいらねばならぬとこの機会にまた考えているところでございます。
  11. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ある意味では、東証にこれ以上上場物件審査を課しても、これはおのずと限度があるのではないかと基本的には私は思っておるわけであります。  そこで若干お伺いしたいのは、皆さん方の方で上場するための規程がございます。この上場基準を見てみますと、「上場株式数及び資本の額」、「株式分布状況」、つまり浮動株がどのくらいあるか、「売買高」、「配当」、それから五番目に「財務諸表等及び中間財務諸表虚偽記載」というのがあって、五年間にわたって虚偽記載があってはならぬということが書いてあって、この規程だけでいくならば、少なくも今度の大光相互虚偽記載という問題、あるいはいま理事長が言われましたような上場物件についての審査というのも網が大き過ぎて魚が逃げてしまうというか、この上場基準では今度の問題の発生を食いとめることはできないのではないだろうかと私は思わざるを得ぬのでありますが、その点についてはいかがでございますか。
  12. 谷村裕

    谷村参考人 ただいま佐藤委員のおっしゃいましたように、私ども上場いたします際には、俗に形式基準実質基準という二つのものがあるというふうに申し上げてよろしいと思います。  形式基準で申しますならば、発行済み株式数がどのくらいあるかとか、それがどの程度人たちにどう行き渡って分布しておるかとか、あるいはこれもある程度形式にもなりますが、配当がどの程度に行われておったか、利益はどの程度に上がっておったかというふうな、これは一応客観的に認められるところでございます。  それから第二に実質的と申しますのは、いまお触れになりましたように、財務諸表等につきましてその内容をいささか分析いたしまして、果たして内容的にもいいか、あるいは将来は一体どうであろうかという将来予測、これは非常にむずかしいところでございますが、そういうことまで含めて実はいたしております。  御承知のように上場のさせ方については、外国と日本とでいろいろ違う点もございまして、外国によってはきわめて形式的にのせてしまうのもございますが、わが国ではある程度いま申し上げましたような実質を見ております。しかしながら、いま御指摘がありましたように、実質を見るということにはなかなかむずかしい、どこまで突っ込めるかということもございまして、これにはある程度限界がございます。  そこで、いまお話が出ましたように、バランスシートあるいは損益計算、そういった計算書類でたとえば過去において虚偽記載という、これも虚偽記載という実質がどういうことであるかというよりも、むしろ有価証券報告書において不適切と意見が付されたとか、あるいは意見差し控えというようなことが付されたという、これもそういう扱い公認会計士等によってなされた、そういう客観的な事実によっておりますが、そういう形による有価証券報告書から見た計算書類見方というのも一つ加えております。しかし、大きな企業内容を実際将来にわたってまである程度予測するということに一〇〇%の万全を期するということは、なかなかむずかしいことで、突っ込みが足らぬぞと言われますのももっともでございますが、私どもとしてはできる限りのことをやるようにいたしたいと思っております。
  13. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この大光東証の二部に上場になったのが四十九年の四月四日、それから一部に上場になったのはわずか一年半後の五十年十一月十日ということになっているわけでありますけれども、恐らく両方ともいまの御説明形式基準では、その時点ではどこも触れるところはなかったのだと思うのであります。ただ実質基準では、どうしてこれがスムーズに上場が許されたのだろうかということについては疑問を持たざるを得ぬのであります。それは、理事長のところにも私のつくりましたペーパーが行っていると思いますけれども、これは私が有価証券報告書から数字そのものを抜いて割り算をしただけの話でありますから、何も私がつくったというほどの大したものではないわけでありますけれども、この資料1の「大光相互銀行債務保証実態」というところを見ていただきたいと思うのであります。  二部上場あるいは一部上場された四十九年、五十年あたりというのは、融資量に対する債務保証の割合というのがすでに五〇%を超えるという、金融機関といたしましてはきわめて異例に高い数字を示しているわけですね。確かに狂乱物価だ、あるいは土地ブームだということがあったときでありますから、他の金融機関も若干高い時期ではありますけれども、いずれにしろ融資量に対して債務保証が五〇%を超える、ひどいときには四十八年上期が六〇%になっているというようなことは、恐らくいまの御説明では、実質基準から言っても東証では、そのときは理事長谷村さんじゃなかったかもしれませんけれども、わかっていたんではないだろうか。何もこれはむずかしい指標ではなくて、有価証券報告書から出た指標でありますから、そういった意味では、実質基準から言っても、金融機関がひょっとしたら全部自分へ降りかかるかもしれない債務保証というものを融資量に対してこんな高い率を持っているということが、東証の二部であれ一部であれ通っていってしまうというのはいかがなものであろうかと、いまから思うと思わざるを得ぬのでありますが、そのころは一体どういうことでこの二部上場あるいは一部上場がなされたのだろうか、その点はいかがでございますか。
  14. 谷村裕

    谷村参考人 これは私が四十九年一月の下旬に取引所理事長に就任いたしまして直後の上場承認でございますので、全く私が就任してから後の私の責任においていたしましたことでございます。非常に私は残念でございます。  ただいま御指摘がございましたように、当時相互銀行が、ここだけではございません、その前後にも上場申請があり、上場を認めているのがございます。この大光相互銀行は、すでに昭和三十八年からでございましたか、新潟証券取引所上場となっておりまして、東京へはすでに上場物件であるという形で出てまいりましたが、内容審査はある程度いたしましたときに、御指摘になったような問題も含めまして、他の相互銀行あるいは他の金融機関等と比較いたしまして、必ずしもその業容と申しますかあるいはしぶりと申しますか、そういうことがすぐれているとは言えない、むしろ逆に問題になるような点もあるのではないかということを担当の者は感じたようでございます。しかしながら、すでに昭和三十八年以来の上場会社であり、また当時すでに増資内認可等のことも決まっており、表にも出ておったというような状況もあり、金融機関に対する見方というものについて、率直に申しますならば、大蔵省免許事業であり、また大蔵省なり日銀なりの十分な監督指導のもとにもあるということも受けとめまして、東証としては全く、いまも御指摘になるような、問題がない、りっぱなものだと必ずしも当時の審査では言えなかったかもしれませんが、さりとて今度は、東証だけで免許営業である金融機関扱いについて、勝手と言うとおかしいのですが、事をいわば強くたたき出すというようなこともいかがなものであろうか。私は正直言って、そのときに最後まで実はそれほどのあれはなかったので、担当の者がいろいろ勉強してくれたらしいのですが、そういう判断として、ここで東証が不受理だとか上場はさせないということまで言うのは、この内容程度であれば恐らく、銀行局なり日銀なりの御指導、御注意などもあるのであろうからということであったかと、非常に率直なことを申しまして恐縮でございますが、さようなことでございました。
  15. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 信用機関でございますから、なかなか言いづらい点もあり得ようかと思いますが、理事長も大体、この高い債務保証の率については着目をされていたようでございます。     〔委員長退席稲村(利)委員長代理着席〕  そこで、少し先に進めますけれども、こういうことになってきますと結局、いま理事長の頭の中で、今後ともこの上場基準と申しますかあるいは審査あり方と申しますか——これは最近では不二サッシのことあり、しかも額が非常に大きかった、あるいは、今度も不幸にして信用機関がこういうようなことになってしまったということで、こういった基準なりあるいは審査あり方自体を見直すというお考えは理事長、おありでございましょうか。
  16. 谷村裕

    谷村参考人 これも大変むずかしい御質問でありますが、私どもは、東京証券取引所だけで約千四百の上場会社を持っているわけであります。そのうちにある意味では、政府が相当の責任を持って指導し、監督しておるという企業も実は入っておるわけでございまして、それは必ずしも金融機関だけとは限りません。しかし金融機関は特に、いま仰せられたように信用関係等にも触れてくるかと思います。そこで東証それ自身としましては、第一次的には監督官庁でありますところの銀行で言えば銀行局なりそういったようなところが、どういうふうに指導しておられるかということにある程度——どもそんな銀行局検査されるほどの審査はとてもできませんですから、まずそれを第一段に信頼してかかるということにならざるを得ないと思いますけれども、私ども立場で今度は独自に金融機関の問題をやるというふうには、これはちょっとできないと思います。  それでは金融機関のことは全部あなた任せかというと、これもまた、それでは東証は一体何をやっておるんじゃというような話にもなってまいります。そこで冒頭申したように、先生の御質問というのは非常につらいことをお聞きになるということを申し上げたわけなんですが、私は金融機関に限ってとか、あるいは大蔵省の所管、たとえば証券業者もそうでございますが、そういうようなものに限って上場基準なり上場審査の仕方を変えるというふうに申し上げることは、いまちょっとできないと思うのです。そうは言えないと思います。ただ、御指摘のような問題をいまの全体の体制の中で一体どう解きほぐしていったらいいのかという若干の疑問、あるいは将来の検討問題という意識はございます。具体的にどうするつもりだと言われても、隣にそういうことを一生懸命やっておられる証券局長もおいでになりますし、いまちょっと私の立場からは申し上げられません。
  17. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私も東証理事長立場になってもそのとおりだと思うのですよ。ただ問題は、私冒頭に言ったように、東証一部に上場されている企業というのはりっぱな優秀な将来性のある企業です。ましてや、それを管理なさっている谷村裕さんという、いまや日銀総裁候補に挙げられるような人だということで、やはり投資家というのは信用しているわけですね。そこでギャップがあることが問題があるのであって、その意味では、せっかく理事長の方でこれはいい大根だ、いい大根だと売っているにもかかわらず、中をあけてみたら鬆だらけだったというようなことでは、これは買うお客にとりましても困るし、東証理事長としても困るわけであります。  そこで、いまお話があったように、私も実態上は理事長が言うとおりだと思うのであります。そこで、こんなことを何度も何度も起こしてはいけないので、前へ進めなければいかぬと思うのでありますけれども、いまお話があったように、今度の問題の場合には、銀行局の厳しい検査あるいは指導のある金融機関であるということが非常に大きな要素を持っているわけですね。  そこで、銀行局長にちょっとお伺いしたいのでありますけれども、いまの銀行局検査というのは、貸出先担保力なり何なりをかなり調べているのか。もちろん、それはたくさんの数でありますから、主だったものだけを調べていると思うのでありますが、銀行局検査及び銀行公認会計士による監査がどのくらい融資先まで行っているのかどうなのか。これは銀行の場合には貸すのが仕事でありますから、貸した金が返ってこなければ商売にならぬわけでありますけれども、貸した先が本当に返せるだけの能力があるか、万が一のときには担保が取れるかどうかというのが最大の問題になってくることは言うまでもないことであります。したがって、銀行の内部だけの書類検査だけでは実は何にもならないんではないだろうか。実際にそこの融資先が正しく、また間違いのないものであるかどうかということまでいかないと、本当の検査なり監査ということにならぬと私は思うのであります。とりわけ、いまの実態上、公認会計士監査というのがどのくらいの内容と申しますか、具体的には融資先まで行けるのかどうなのか、行っているのかどうなのか。法律上はたしか行けないと思いますけれども、その点についてまず実態について、銀行局でも結構でございますし、証券局でも結構でございますが、ちょっと説明をいただきたいと思います。
  18. 徳田博美

    徳田政府委員 まず銀行局検査について申し上げますが、銀行局検査銀行法なり相互銀行法に基づいて行うわけでございますけれども、これは任意調査でございますし、反面調査権もないわけでございます。したがいまして、金融機関に臨店いたしまして検査を行いまして、金融機関の保有している資料を対象にして検査を行うわけでございます。ただ、金融機関資産内容健全性ということにつきましては、検査の一番大事な主眼点でございますので、これに非常な精力を置くわけでございますが、もちろん先生指摘のように、融資先事業会社、法人なりの内容を把握することが非常に大事なことでございます。したがいまして検査に当たりまして、あらかじめ金融機関の用意していた資料だけで相手方企業内容把握が不十分であると認められるときには、金融機関を通じまして相手方企業から必要な資料の徴求は行っております。ただしかし、直接相手方企業に対し調査しあるいは検査をする権限はないわけでございます。
  19. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 公認会計士は、商法並びに証取法に基づいて金融機関監査をいたしますが、監査をいたします場合には、金融機関大蔵省検査あるいは日本銀行の考査の対象になっているものでございますし、一般の企業に比較いたしまして内部管理体制というのが業務の性格上整備されているというのは当然でございますので、そういうことを前提として公認会計士監査が行われております。そういう点が一般の企業監査と違うわけでございますが、しかし公認会計士金融機関監査いたします場合には、業務の中心である貸し出し等につきましても銀行から資料提出を求めまして、たとえば利息の支払いが延滞している貸し出しのリストから一部を抽出いたしまして精査をするとか、あるいは保証債務についてもそのリストを出してもらって、たとえば保証料とであるとか担保が十分かどうかということを監査もいたしております。ただし、これは全部についてやることはとても不可能なわけでございまして、通常はおおむね五%あるいは一〇%、多くても一〇%程度を抽出して監査しているというのが実情でございます。
  20. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、不幸にしてこういう事件が起こってしまったわけでありますけれども東証理事長もお忙しいので最後に一言お伺いしておきますけれども、若干さっきも触れたのでありますけれども、いずれにしろ東証立場から言うならば、本当に東証投資家信用してもらうものだからというので、本格的に何百人もそういう権限ももらった検査官というものを準備してやるか、ないしは、公認会計士監査あるいは銀行局検査日銀の考査、こういったものをよりどころにしてあとは形式基準によるか、私は結局はどちらかしかないだろうと思うのであります。恐らく前者をやるということは、コストの面やその他技術的な面からいってもきわめて不可能だと思うのであります。したがって、東証として残された道というのは、公認会計士の権限を強めてさらに監査を充実させる、あるいは銀行局検査をさらに厳しいものに、していくということにしかならぬと理事長はいまのところ判断なさっているというふうに考えておいてよろしゅうございますか。
  21. 谷村裕

    谷村参考人 仮に上場会社に対しての私どもの責務を果たすために、常に有価証券報告書内容その他も含めまして、十分その実態を把握しておく必要があるという前提を立てた場合に、私どもがまずなすべきことは一般の会社ではなかろうかと思っております。仮にもしコストその他の面でそういうことが許されますならば、私どもはこれからの取引所あり方としては、そちらの方にこそ力を入れていくべきではなかろうか。逆のことを申せば、金融機関はどうでもいいということを決して申すわけではございませんが、しかしそればそれなりの、たとえば銀行局検査なり指導なり監督なりということに私どもはぜひ今後とも力を入れていただき、また、それと連携をとる公認会計士等の方でも力を入れていただくということで、二重のようなことにならない方がいいのではないかというふうな考えを、断定的には私申し上げられませんが、持っております。  銀行等が今度のようなことをするというのは、私もかつて銀行局にいたこともございますが、まことに考えられない例外的なことではなかろうかと思います。どうぞ大蔵省においてりっぱに今後とも監督指導をやっていただきたいという気持ちが私どもの気持ちでございます。
  22. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 理事長のお考えはよくわかりました。お忙しいところありがとうございました。  それで、銀行局長にちょっとお伺いをしたいのでありますけれども銀行監査というのは四十八年の商法改正のときに初めて入ったわけでありますけれども、こういう事態になりますと、今後こういった事態が起こらないようにするためには、銀行局検査ももちろんでございますけれども公認会計士監査というものをさらに強めざるを得ないだろう。これは法律上の問題がありますから今後の課題でありますけれども、そうなってきますと、銀行局検査というものと公認会計士による銀行金融機関監査、それから日銀の考査、これは一体どういう関係になっていくのだろうか。これは非常にむずかしい問題のような気がするのでありますけれども、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  23. 徳田博美

    徳田政府委員 この点は証券局とも関連するわけでございますので、銀行局立場から検査の趣旨だけを申し上げますと、金融機関に対する検査は、それぞれの銀行法なり相互銀行法あるいは信用金庫法に基づいて行うわけでございますけれども金融機関に対しまして検査を行う目的は、金融機関の経営の健全性を維持し、預金者保護あるいは信用秩序維持を図るところにあるわけでございます。したがいまして、そういう観点から検査を行うわけでございまして、それ以外の各方面で行われる調査なり検査とはやはりそれぞれ目的、趣旨は異にしておるのではないか、こういうふうに考えております。
  24. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、金融機関には大蔵省検査、日本銀行の考査が行われているわけでございまして、したがいまして、一般企業とはちょっと違う事情にあるわけでございます。ただし検査の目的と申しますのは、基本的には預金者保護であろうかと思いますし、公認会計士監査はディスクロージャーでございますから、これは投資者保護でございまして、しかし預金者保護と投資者保護とが金融機関の場合に何か食い違ってくるということは本来ないはずでございまして、一致すべきものではないかと思います。  公認会計士監査をいたします場合に、銀行局が行います検査以上のことができるのかどうかというふうな問題点もいろいろあろうかと思いますけれども、私といたしましては、こういうことは金融機関として常時あることではなく、非常に異例ではあったこととは思いますけれども、こういう事件が出た以上は、いま現在実態解明中でございますが、それが解明された上で、銀行局あるいは公認会計士協会とも十分相談しながら、公認会計士金融機関監査について何か改善すべき点はないのか、検討すべき点はないのかというのを勉強してまいりたいと考えております。
  25. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かにこういうことがたびたびあってもらっては非常に困るわけで、そのために私たちも、次にこういうことが起こらないようにいろいろと考えているわけでありますけれども、少なくもいまの公認会計士監査で十分なのだろうか。こういった事件が起こりますと国民の中には、一体公認会計士は何をやっているのだと。不二サッシのときもそうでございましたけれども、国民は公認会計士というものはこういうことが起こらぬようにやるんだというふうに認識をだんだんしてきておるわけでありますので、そういった意味で、こういう事件が起これば起こるほど、公認会計士は一体何をやっているんだということになってくるわけですね。  そうなってきますと私たちは、いまいろいろな意味での、グラマンにしろロッキードにしろ企業犯罪と目されるようなあるいは表現されるようなことがたびたびいろいろな形で起こっているときに、これは予算委員会でもわが党の川崎委員から指摘をしたのでありますけれども、もっと権限を持った証券局の下部機構と申しますか、あるいは独立した機関でもいいわけでありますけれども、日本版のSECのようなものをつくったらどうかという提案もしてきたところであります。あるいは、もしそういうことが行政機構の中でできないならば、公認会計士協会自体にいろいろな形での権限を持たせてさらに監査を強めるということでもしていかないと、今度のことの教訓にならないのではないかと私は思うのでありますけれども、その点についてはいかがでございますか。
  26. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 まことに御指摘のとおりでございますが、しかし、たとえば大光相互銀行の場合に未計上債務保証があったわけでございますが、未計上という性格から申しまして、公認会計士監査でそれを把握するということはなかなかむずかしかったのではなかろうかというふうに私は考えております。そういう意味で、不二サッシの場合もそうでございますけれども会社の協力というものがない限りにおいては、公認会計士監査というものにも現状では限界があろうかと思います。しかしながら、こういう事件は大変不幸なことでございますが、こういう事件に基づきましてディスクロージャーの重要性というものが世の中にも当然認識されるわけでございますし、やはりこういう監査というのは公認会計士が第一義的にやるわけでございますから、公認会計士の機能の充実、監査の充実というのを相談しながら、また考えながら進めていくという方向でやってまいりたいというふうに私は考えております。
  27. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その際にどういうふうに充実をしていくかというのは、今後私もいろいろ指摘をしたいと思いますけれども、聞くところによりますと結局、監査する日数が足りない。膨大な書類を見るだけでかなりの日数を食ってしまうということで、さらに企業の持っているいろいろな特徴なりその他についてなかなか踏み込めないというところが実情のようでありますので、その点については、今後もさらにあるべき監査について私も提案をしていきたいと思うのであります。  今度の問題は、未計上債務保証が膨大にあったということが最大の特徴であるわけでありますけれども銀行局長、それならばこういうことが今後できないのかどうか。つまり、この大光相互銀行の場合は、一体どういう金融機関債務保証が多かったのですか。
  28. 徳田博美

    徳田政府委員 債務保証先の金融機関は非常にたくさんの数に上っておりますが、長期信用銀行あるいは生命保険会社、損害保険会社がかなり大きな額を占めております。
  29. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私の資料でも、特に未計上になっていた部分というのは生命保険会社が非常に多い。それから、その他と書いてありますけれども、これは他の金融機関を除いてみますと結局、農協関係が最後に残るわけであります。こうなってきますと、こういうことはどうなのでしょうね。それならば、恐らく今度のことは生命保険会社なりあるいは農協なりの書類には大光相互債務保証をしているということは書いてあるわけですね。それはよろしいですね。
  30. 徳田博美

    徳田政府委員 御指摘のとおりでございます。
  31. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、未計上でも、、逆に長銀三行なり都銀なりあるいは農協なり生命保険なり、こういったところの表からのものを合計して、大光相互の分はどれだけ債務保証があるということを全部合計するならば、未計上のものというのは直ちにそのギャップというのが出てくる、こういうことになりますね。
  32. 徳田博美

    徳田政府委員 その点は御指摘のとおりでございます。
  33. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、これは債務保証の枚数から言っても恐らく大変なものになるでしょう。この前の私の質問に対して局長が、こういったことを二度と起こさないために、金融機関検査の場合に反面調査をするというのが一つ、それから、それをある程度突き合わせできるように電算機を利用して新しいプログラムを開発するというふうに答弁なさっているわけでございますけれども、それはいま私が言いましたように表のもの、これは大変な数に上るわけでありますが、保証してもらっている金融機関別に三月期なら三月期に全部割ってみる、そうしますと、保証している金融機関から出てきた数字と合うかどうかということの突き合わせができるということになるわけでありますけれども、局長が前回答弁なさった反面調査の問題あるいは電算機の利用の問題というのは、そういうことをやるためのものだというふうに理解しておいてよろしいでしょうか。
  34. 徳田博美

    徳田政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  35. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一点、今度の場合のこの大光相互の七百四十三億に上る債務保証が未計上であったという問題が粉飾なのかあるいは虚偽記載なのかという問題は、今後の検討を待って——これは五十三年の上期だけ未計上ということは私は常識では考えられないので、恐らくその前もずっと未計上があるだろうと思うのであります。そうなってきますと、それが損益にどういうふうに影響してきたかということがはっきりしないと、粉飾なのかあるいは虚偽記載なのかということに結論が出ないのではないかと思うのでありますけれども、その結論を待って証取法違反ということで告発をなさるお考えというのは証券局としてはおありなのかどうなのか、その点はいかがなのですか。
  36. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 貸借対照表に計上すべきものを計上しないままに有価証券報告書提出したということは、虚偽記載と申しますか、不作為の虚偽記載ということにはなるわけでございます。ただ、これを証券取引法上問題にいたします場合には、重要な事項についての虚偽記載、つまり重要な虚偽記載であるかどうかという判断になるわけでございまして、従来粉飾決算として取り扱ってまいりましたのは先生指摘のように、損益にかかわりがあるケースばかりであったわけでございます。過去において赤字であるにもかかわらず黒字の決算をし、配当もしていたというようなケースでございます。今回の未計上債務保証と申しますのは、貸借対照表に計上しなかったということでございまして、損益計算に過去において影響があったかどうかということは現在まだはっきりしていないわけでございます。したがいまして、この債務保証の未計上というものを証取法上どういうふうに判断するかというのは、単にこの三月期あるいは九月期だけではなく、さかのぼってどういう状況であったかということの実態を把握しました上で判断をすべきことではなかろうかと考えておりますので、現在ではその点については大蔵省としてまだ結論を出しておりませんので、御理解いただきたいと思います。
  37. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ちょっと私も専門的、法律的に調べてないのですが、いま「不作為の虚偽記載」ということを言われているのですけれども、これだけの額を未計上にするということは、不作為——不作為というのはやる意図はなかったという意味なんですか。その不作為というのはどういう意味なのか、ちょっと説明してもらいたいというのが一点。  それと、重要な事項かどうかと言われるけれども、たとえば五十三年の上期を見た場合に、表に出ている債務保証が九百八十八億、未計上が七百四十三億、これを足しますと千七百三十一億に上るわけですね。これは融資量に対して六二%。かつて大光相互はそれに近いような率に達したこともあるわけでありますけれども、融資をすることが仕事の金融機関の中で、債務保証というのは必ずしも融資ではありませんけれども、事によっては大変な危険をかぶるかもしれないこの債務保証というものは、重要な事項だと私は思うのでありますけれども、そうなりますと、重要な事項というのは一体どういう意味を言うのですか、二点について教えてください。
  38. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 先ほどの「不作為」という言葉は、別に意図的ではなかったという意味ではないわけでございまして、つまり、記載すべきものを記載していなかったという意味で申し上げたので、言葉としては適当でなかったと思いますので訂正いたします。不実表示であるということはそのとおりであろうと思います。  それから、重要であるかどうかの判断でございますけれども、ディスクロージャーの観点から申しますと、それは貸借対照表、損益計算書における計数の表示というのが適正に行われているということが当然要求されるわけではございますが、しかしディスクロージャーの観点から申しますと、やはり一番基本になりますのは損益計算書における計数の表示ではなかろうかと思うわけでございます。したがって、貸借対照表上の計数というものが損益計算書にどういうふうに影響が出てくるかということが問題になってくるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、過去の決算における損益決算にどういうふうな影響があったかどうかということはまだわかっていないわけでございます。また、将来の損益計算にどういうふうな影響が出てくる問題であるのかどうかということは、これからさらに銀行局検査をするわけでございますし、かつまた、関係金融機関の支援体制の問題との関係もございますので、やはりそういう損益計算への影響をどういうふうに見るかということが現在まだ判断ができない。そういう意味で、まだ大蔵省としては結論が出ていないという意味で申し上げたのでございます。御理解いただきたいと思います。
  39. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まだ結論が出ないということはわからぬわけではないのでありますけれども、ただ金融機関にとってみて、確かに第一義的には当期利益がどのくらいであったかというのは非常に重要なファクターであります。しかし内容に至れば、一体どのくらい貸しているのか、貸している先が優良なのかどうなのか、そして最後にはかぶらなければいかぬかもしれぬ債務保証というのがどのくらいあるかというのは、その金融機関にとってみれば、金融機関が優良かあるいは非常に苦しい状況にあるのかというのを知る大きな要素にこの債務保証というのはなるんじゃないでしょうか。その意味では、確かに一義的には当期利益がどのくらいあったかというのは非常に重要なファクターですが、将来この金融機関がどうなるかということを見る場合には、債務保証というのは非常に大きな要素だと私は思うのです。いわゆる重要な事項だと思うのであります。ただし局長の言うように、確かに損益計算書にどのくらい影響が出てくるか、これは少し見てみなければわからぬと思いますけれども、どうもそれに影響がないから、損益に影響がないから金融機関の中で債務保証というのが重要な事項でないというのも、これもおかしな議論ではないか。そうなってきますと、損益計算書なり有価証券報告書なり貸借対照表というのは一体何だというところまでいくのではないかと私は思うので、どうも債務保証、とりわけ金融機関にとって重要な事項かどうか。確かに損益にどれだけ影響するかどうかということはわかりますよ。わかりますけれども金融機関の将来にとって債務保証というのは重い負担になってくる可能性があるものと考えるならば、重要な事項ではないというので果たして納得できるかということになると、私は納得できないように思うのでありますが、もう一度その点について見解を聞かしてください。
  40. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 金融機関でございますから、債務保証というのが、しかもそれが大変多額に上っているという場合に、金融機関の業務内容として重要なものではないと言うことはそれはできないと思います。したがいまして、貸借対照表に未計上のものがあったということは、そういう意味では先生指摘のように、重要事項についての記載がなかったではないかというふうに考えることもできるわけでございますが、重要であるか重要でないかという場合には、私ども立場から申しますと、たとえば先ほど申し上げましたように、訂正報告書を求めるかどうか、あるいは訂正報告書を求めるだけではなくて、従来の損益に影響がある、いわゆる粉飾決算の場合には告発をした事例もあるわけでございますけれども、そういう重要性があるのかどうかというふうに、これはまた重要性についてもさらに実質的には判断しなければならないわけでございますので、そういう意味で、重要なものではないと申し上げておるわけではございませんが、証取法上どういうふうに判断するかという意味でのその重要性についてはさらにまだ検討したい、事態の究明を待って判断したい、このように申し上げている次第でございます。
  41. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間も大分なくなってきましたから、少し前へ進みます。  それで、これは前回もお伺いをしたのでありますけれども、前回はつまり駒形十吉社長の時代と駒形斉社長になってからの時代との比較がしてありませんでしたので、四十三年からの有価証券報告書の中から債務保証実態について取り出して表にしてみたわけでありますけれども、もう申すまでもなく、この大光相互の場合には、普通の相互銀行でいけば融資量の約一割、一〇%というのが債務保証の常識的な数字だと聞いているわけでありますけれども、四十三年上期を見てもすでに二六%と高いわけでありますけれども、駒形斉社長になってから、四十六年上期二八・五、四十六年下期三一・九、四十七年上期四三・二、四十七年下期五二・五、四十八年上期六〇・五、四十八年下期五九・六、四十九年上期五七・八、四十九年下期五三・五、五十年上期五一・九、五十年下期四八・五、五十一年上期が四六・一。確かに対前期伸び比は債務保証に限っては、四十九年上期からはマイナスになっておりますけれども、全体量から言えばずうっと高い数字が続いていたわけですね。これは表に出ている有価証券報告書だけで引いたものでありますから、その意味から言いますれば、恐らく内部に入れば、もっともっと疑問点があるのだと私は思うのでありますけれども、表に出ているわれわれが知り得る数字ですら、こんなに債務保証が多かった。この点は前回も指摘したわけでありますが、一体大蔵省検査というのはどういうことをしてきたのだろうか、指導というのは何をやってきたのだろうかと思わざるを得ぬのでありますけれども、一体どういう指導をなさってきたのか。しかも指導をしても、この経理を見る限りはちっとも指導が効いていないではないか。非常に重要な債務保証のこの率から見ますれば、指導が果たして効いてきたのだろうかどうかということを疑問に思わざるを得ぬのであります。  もう一点お伺いしておきたいのは、この大光相互は他の金融機関に比べて、検査の後の講評というのは、量においても質においても他の金融機関と同じぐらいの講評だったのか、あるいはこの期間はこの大光相互は非常に多かったのかどうなのか、その点はいかがでございますか。
  42. 徳田博美

    徳田政府委員 先生指摘のとおり、大光相互債務保証は前からかなりの額に上がっていたわけでございます。この点につきましては、検査を四十八年、五十年、五十二年と実施しているわけでございますが、その都度問題にし、指摘をしてまいったわけでございまして、債務保証の残高は、四十八年下期をピークとしてその後漸減の方向には向かっていたわけでございます。その融資量に対する比率も、四十八年の下期には六〇%近くなっていたわけでございますが、表面的な計数では五十三年上期では三〇%台に落ちていたわけでございまして、その意味で一応検査の結果の指摘はそれなりに効果を上げていたと考えられるわけでございます。しかしながらその反面において、先ほどの検査に発見されたような簿外の債務保証を生むという結果になったわけでございまして、この点はまことに遺憾なことだと考えております。  それから、大光相互に対する検査のその後の処置でございますが、これは問題点を幅広く指摘してございまして、その後、それぞれ検査指摘した問題点につきましては、その実施状況につきまして屡次報告をとっておりまして、その面でのフォローアップは行っていたわけでございます。
  43. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私たち金融機関の人とつき合う限りは、銀行局指導というのは非常に厳しいと聞いているわけであります。ところがいまの局長の御答弁でも、四十七年は確かに世間的にも日本列島改造論で浮かれ、そして高度成長を謳歌していたときでありますから、全体的にそういう時期であったことを私も否定しませんけれども、その割りには四年、五年、六年とずっと高い位置が続いてきている。しかも新聞の報ずるところ五十年には、今後四年間で債務保証を六割減らしますということを銀行局の方に約束している。五十年になってもまだそんなことを言っている。もちろん、そんな約束が事実上実現したわけではありませんけれども、そういった意味では、局長が言うように確かに額といたしましては大体一千億単位に横ばいになったというものの、全体的な融資額に対する率は非常に高いままでいるわけです。確かにそれが一挙にがくんと落とせるようなものではないということは私もわからぬわけではありませんけれども、その意味では、どうも指導が甘いのではないだろうかというふうに思えてならないのであります。それが第一点であります。  二点目は、資料2というのを見ていただきたいのでありますけれども、これも前回指摘をしましたが、これは有価証券運用の実態であります。資料が整ったものが四十八年の上期からでありますので、四十八年の上期から五十一年の上期まで、有価証券の売却損それから有価証券を償却したものを合計しますと、有価証券の売却益よりも多いのですね。比較といたしまして一番右に当期利益を書いておきましたけれども、たとえば四十九年の上期にせっかく当期利益が六億五千万出ながら、有価証券の売却益から売却損と償却を差し引いたものがほぼ同額六億五千六百万の損を出しているわけですね。これはもしまるまるもうかっているなら、六億五千万の約倍の当期利益が出たということになるわけですね。こういうことを見てみますと、これは目に入る諸表からいっても私のような素人が見ても、この大光相互の経営にはかなり問題があったのではないかと言わざるを得ぬのであります。これはある意味では、決算に間に合わせるために無理無理有価証券を売って、損を承知で出したのではないだろうかと思わざるを得ぬのでありますけれども、そのくらい中が苦しかったのではないかとこの運用の実態を見てみましても思わざるを得ぬのでありますが、こういったことについては銀行局はどのような指摘及び指導をしてきたのですか。
  44. 徳田博美

    徳田政府委員 有価証券売却損のうち、四十八年下期から五十年下期までの分でございますが、これは有価証券売却損という形をとっておりますが、実は現先市場からの資金の取り入れに対応するものでございまして、その当時大光相互銀行は、資金ポジションが非常に苦しい状態にあったものでございますから、現先市場からの資金の取り入れを行ったわけでございます。その場合、一応売却損という形をとるわけでございますけれども、これは実質的には借入金の金利と同じでございまして、税務上も金融費用として処理されているものでございます。しかしいずれにしても、現先市場に多額の依存をするということは、金融機関経理面からいって非常に不安定な好ましからざる状態でございますので、実は五十年の検査におきまして指摘がされまして、これは五十年十一月をもってやめたことになっております。したがいまして、五十年下期で売却損がおさまってきているわけでございます。  なお、五十一年上、下期における売却損は、これは現先市場からの資金取り入れではございません。これは当時、やはり資金繰りの関係で大分窮迫してまいりまして、有価証券、主として金融債でございますが、これを売却したための売却損でございます。
  45. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いずれにしろ五十年に指摘をしたという話でございますけれども、私はそういった意味で、銀行局もこの内容についてはかなりわかっていたのではないかと思わざるを得ぬのであります。  次に、店舗行政の問題であります。資料3に、駒形斉社長が就任して以来の新支店を書いてあるわけでございますけれども、一番右に、認可の日ではなく開設の日が書いてございます。  それで、皆さん方の方で「当面の金融機関の店舗行政について」という通達を出していますね。この四十四年十二月十五日に出した通達は、四十四年、四十五年、四十六年までの間にできた店舗がそれに当たると思うのでありますけれども大光相互で言えば、松本支店、新宿支店が四十四年の店舗行政についての通達に乗ったものだと見てよろしいですか。
  46. 徳田博美

    徳田政府委員 店舗の内示の時期と開設の時期は若干ずれがございますので、ちょっとこの点はいまはっきりいたしませんが、大体それに相当するものだと思われます。
  47. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますとこの通達によると、新設の場合に(3)のところに、「地方銀行および相互銀行の新設地域は、本店所在都道府県内(例外として隣接都道府県を含む。)に限る。」と書いてあるわけですね。確かに松本支店は新潟県の隣でありますから、その意味ではこの中に当てはまると思うのであります。ところが、新宿支店というのは、いま読んだところに合わない。そしてここは、その前に新潟県の栃尾支店を廃止しておりますから、新宿支店は恐らくそれの配置転換ということではないかと思うのでありますけれども、その「配置転換」の項を見ますと、(3)にこう書いてあるのですね。「地方銀行相互銀行および信用金庫の新設地域は原則として一の(3)と同様とする。」この「1の(3)」というのは何かといいますと、先ほど読み上げた「本店所在都道府県内(例外として隣接都道府県を含む。)」ということになるわけですね。だから原則としては配転の場合にも、この大光相互の場合には新潟県ないしは新潟県に隣接をしている県ということになるわけですね。  しかしもう一つございまして、「ただし、地方銀行および相互銀行については、その営業基盤と密接な経済的交流のある遠隔地区における設置も真にやむを得ないと認められるものに限り、かつ、一行一店舗を限度として、本店所在地を所轄する財務局長の意見を徴した上、別途処理することとする。」ということが書いてあるわけですね。そうしますと、新宿支店というのはいま後半に読み上げたところだ、それしかないというふうに思いますが、この通達によって新宿支店が開設を認められたということになるわけですか。
  48. 徳田博美

    徳田政府委員 この開設の経緯はさらに調べてみたいと思いますが、一般的に申し上げますと、地方に所在します相互銀行の場合には、やはり東京あるいは大阪地区と地元の経済の交流がある場合が多いわけでございまして、そういう意味で、地方にある相互銀行の場合に東京に進出することはそのケース・バイ・ケースで認められているわけでございます。
  49. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かに新宿支店は東京でございますから私もわからないわけないけれども、先ほど読みましたように「その営業基盤と密接な経済的交流のある遠隔地区における設置も真にやむを得ないと認められるものに限り、」という非常に厳しい縛りがついているわけですよ。東京は確かにある意味では経済の中心でもありますから、その意味では、密接な経済的交流があるというふうにいえばそれまでかもしれませんが、それと同時にもう一つ、この四十四年の通達に「新設店舗の認可に当っては、行政指導基準の遵守状況、経営内容および経営態度の優劣等の判断をも加味することとする。」と書いてあるのですね。そうしますと、この通達は先ほど申しましたように四十五年、四十六年、そして四十七年は移動出張所の話でございますから、事実上四十七年まで縛っていると思うのでありますけれども、四十七年には郡山の支店もできているわけでありますけれども、この四十六年、四十七年というのは、四十七年の上期においては先ほど申し上げました債務保証の率というのはもう四三%まで来ているわけですね。四十六年の下期が三一%。先ほどから局長は、前からいろいろ検査の場合に指摘をしてきたと言うけれども、一体こんなような指摘をしながらなおかつ、「行政指導基準の遵守状況、経営内容および経営態度の優劣等の判断をも加味することとする。」ということで、こんなことも店舗行政の通達に書いておきながら、いま申しましたような大光相互の場合、すでにもう融資量に対する債務保証の率というのが高くなっているけれども、店舗については他行並みに何の指摘もなく設置をされた、こういうことになるわけですか。
  50. 徳田博美

    徳田政府委員 店舗の場合にもちろん、経営内容であるとかあるいは経営のしぶり等も勘案するわけでございますが、その場合に従来は、多額の不祥事件を出したとかその他非常に問題のあった場合には店舗数を減らす前例も若干ございますけれども、一般的にただ債務保証の比率が高いというだけでは、必ずしもこれに該当しないというふうに考えられているわけでございます。
  51. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一つ先に行きましょう。それでは四十八年の通達。四十八年と申しますと大光相互では宇都宮、それからこれは二年をくくっておりますから四十九年の横浜がこれに該当すると思うのでありますけれども、新設のところで第六に「地方銀行および相互銀行の店舗の新設地域は、本店所在都道府県内とする。ただし、経済交流の実態等から特に必要と認められる場合に限り、経営内容等を勘案のうえ、隣接都道府県、隣々接都道府県または当該銀行の営業基盤と緊密な経済交流のある遠隔地における設置を認めるものとする。」ということが書いてあるわけですね。四十八年の宇都宮は強いて言えば隣接県ということなんでしょうけれども、四十九年の横浜というのは、これはどうしてこの通達の中で認められたのか、これはちょっと理解に苦しむのですが、いかがですか。
  52. 徳田博美

    徳田政府委員 これも認可の経緯をつまびらかに調べる必要があると思いますけれども、やはりこれも遠隔地店舗の一つとして認められたものと考えられます。
  53. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 遠隔地店舗といってもそれは無条件で認めるのじゃなくて、「経済交流の実態等から特に必要と認められる場合に限り、経営内容等を勘案のうえ、隣接都道府県、隣々接都道府県または当該銀行の営業基盤と緊密な経済交流のある遠隔地における設置を認めるものとする。」確かに横浜も大都市でありますから、そういう意味では、経済交流があるといえばそれまでかもしれませんけれども、「当該銀行の営業基盤と緊密な経済交流のある遠隔地」に当たるということになりますとこれはかなり広い解釈で、通達を出した意味がないのじゃないでしょうか。
  54. 徳田博美

    徳田政府委員 昭和四十八年に相互銀行法が改正されまして、営業区域に対する規定が廃止されましてから、相互銀行の店舗のあり方というものはいままでよりも幅広く考えられるようになったわけでございまして、経営基盤の拡大ということで、経済交流のある地域については漸次店舗を広げる方向に来ていたわけでございます。四十六年から四十九年までの相互銀行の新設店舗、これは実行ベースでございますが県外店舗がかなり認められるようになっているわけでございまして、大光相互もその一環としてこのようなことが認められたものと考えております。
  55. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この通達にも「留意事項」というところの三番目に、「店舗の認可にあたってはい行政指導基準その他経営内容を示す諸指標、経営のあり方等を総合的に考慮し判断するものとし、内示後においても必要な調整を行なうものとする。」という項目があるわけですね。四十八年、四十九年なんというのは、それは確かに債務保証だけが一つの指標ではありませんけれども、私は債務保証というのは金融機関や特殊な業種からいえばかなり大きなウエートを持つ指標だと思うのであります。四十八年、四十九年といえば、四十八年の上期が融資量に占める債務保証の率が六〇・五、下期が五九・六、四十九年上期が五七・八という非常に高いときですよね。通達がわざわざこういうことを書いておきながら、しかも実態大光相互の場合は債務保証の率が非常に高いままでありながら、店舗だけはどんどんと結果的には認められていくというのは、私は非常に不思議に思うのです。  その次の五十二年度でありますけれども、五十二年度は店舗の新設については第二に、いわゆる(イ)型店舗、(ロ)型店舗は「二年度につき一行三店舗以内とする。ただし、(1)の(ロ)に該当するものは、」つまり(ロ)型店舗は「一店舗に限る。」ということが書いてあるのでありますが、大光相互の場合には、五十二年度に開設をしたものが二行、五十三年度が四行あるわけですね。これは通達では「二年度につき一行三店舗以内」というのは、二年度ということは、三店舗以内掛ける二が二年間に許されるということでは日本語としてはないと思うのでありますが、これはどうして五十二年から五十三年は合計六店舗認可されているのですか。
  56. 徳田博美

    徳田政府委員 この設置ベースは、これは先ほど申し上げましたように、設置を認めた内認可した時期と実行した日とは異なるわけでございまして、その年度年度における認可と申しますか何店舗出すか等を認めるという措置につきましては、通達どおり行われているわけでございます。
  57. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 認可から開設まで大体六カ月。だから、開設から六カ月引いて大体それで認可が出たと思えばいいのではないですか。そうしますと、五十二年度のものというのは五十一年の通達によったものがあるという意味ですね。それじゃややこしいですから、ここに資料3に出ているものだけで結構ですから、一体何年に認可になったものか、そしてそれは当然、いま申し上げました店舗行政についての通達によったものだと思いますので、それは何年度の通達によったものか、確認のため出していただきたいと思うのであります。  私は前半でずっとお伺いをしましたように、私のわかるものだけでの指標でも、この大光相互の場合には内容的にかなりいろいろ疑問があったにもかかわらず、店舗だけはわざわざ通達の中でこういうことも書いておきながら認められてきたというのは、どうも不思議でならないのであります。しかも、これは局長言われないと思いますけれども、私の知る限り、県外店舗の方が経営は非常に悪いということも聞いているわけであります。一体相互銀行の店舗行政というのは地域専門、確かに経済活動がかなり広がっておりますから、何も一つの県に限ることはないでしょうけれども、やはりかなり地域に密接をするというのが相互銀行の本来のあり方だと思うのです。それが郡山、これも確かに続いていると言えば隣の県でありますけれども、郡山、宇都宮あるいは川口、大宮、こういったようなところに店舗を相互銀行が出す。しかも相互銀行の中でも県外に十店舗持っているというのは決して小さい方ではないわけですね。そういった意味で、この大光相互銀行については店舗行政の面でも何か非常に有利な行政が行われたのではないか。片面では、わかる指標だけでも、債務保証が大変多いということはすでにわかっていたはずなのにかかわらず、店舗行政でもむしろ他の金融機関に比べても、どうしてこんなところが認められたんだろうと思うようなところが県外に出ているということを合わせますと、何かそこではいろいろな配慮が働いていたんではないだろうか。行政上全く公平でございますと言うのかどうなのか、この点については疑問に思うのでございますが、その点いかがでございますか。
  58. 徳田博美

    徳田政府委員 まず、御質問の点から申し上げますが、小針、寺尾、平和台は五十、五十一年度の内示によるものでございます。それから長岡西は五十一年度の追加内示によるものでございます。それから直江津、新発田西、中沢、新保でございますが、これは五十二、五十三年度の内示によるものでございます。  それから、店舗行政のあり方に関連してでございますが、大光相互銀行は県外店舗が十カ店あるわけでございますが、これは店舗総数が四十九カ店のうちの十カ店でございまして、その比率は二〇%でございます。これに対しまして相互銀行合計で申しますと、三千六百三十店のうち九百四十五カ店が県外店舗でございまして、二六%でございます。そうしますと、県外店舗の占める比率は大光相互銀行の場合には、相互銀行平均よりは低いわけでございます。なお相互銀行平均の店舗数では、県外店舗が十三・三でございます。これに対して大光相互が十でございます。  それから店舗通達におきまして、経営の内容あるいは経営のしぶり等を勘案するということが毎回書いてあるわけでございますが、この点について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、検査の結果におきましていろいろ問題点があったわけでございますので、五十年以降は実は県外店、東京その他の要望がいろいろ出てきたわけでございますが、これは全部抑えまして県外店舗はゼロでございます。五十年から五十三年まで県外店舗はゼロにしてございます。この間、一般の相互銀行では七十五カ店ほど進出が行われておりますけれども、五十年以降は、その経営のしぶりから非常に問題があるということで、県外店舗を認めなかったわけでございます。ただ店舗数自体につきましては、これは通達にもございますように、利用者利便ということを中心にいろいろ店舗の設置を考えているわけでございますので、その観点から県内店舗を認めたわけでございます。
  59. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 逆を言うならば、こういうような財務諸表のものでも、今後もこういうような金融機関が出た場合でも、店舗は皆さん方の通達にひっかからずにある程度認められていくということになるわけですか。これだけ古くから、もう四十六年ぐらいから銀行局の方で経営上いろいろな指摘をしてきた、指導もしてきた、監督もしてきたというにもかかわらずこういう債務保証の多額に上るというようなこと、他の金融機関でもし同じようなことになった場合、あるいは、今後債務保証がふえたようなこういうような金融機関があっても、店舗は大体皆さん方の通達の中で認可し得る、こういうことですか。
  60. 徳田博美

    徳田政府委員 金融機関の店舗を認可する方針といたしましては、最近の店舗通達にもございますように、利用者利便の観点を一番主眼としているわけでございまして、次に金融機関の経営の効率化ということを考えているわけでございます。  ただしかし、先生指摘のように、経営のしぶりであるとかそういうことで非常に問題のある金融機関、あるいはいろいろな不祥事件を起こしたような金融機関に対しては、そういうものを勘案して店舗行政を行っているわけでございまして、したがいまして、いままでは債務保証の比率が高いということだけが必ずしもこれに該当するのかどうか、いままでいろいろ問題はあったと思いますが、しかし、今度大光相互について明らかにされましたように、このような問題を起こした金融機関に対しましては、それはもう当然、そういうものを十分勘案して店舗行政を行うことになる、このように考えております。
  61. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私がこれを調べていきますと、皆さん方ほど手元に詳しい資料があるわけではありませんから、資料は限られて、表へ出るものしかないわけでありますけれども、それでも先ほど前半に指摘をしたように、どうして大光相互はこういった状況がずっと続いたまま銀行局の監督が通ってきたんだろうかと思わざるを得ぬのであります。しかし局長は店舗の方は、東京の方は認めないとか県外店舗はなるべく規制をしてきたと言われるけれども、少なくも数においてはそれほど厳しく減っているわけではないわけであります。そうなりますと一体、銀行局指導というものはどういうものだったろうかというふうに思わざるを得ぬのでありまして、その意味で、何か前大蔵大臣の村山達雄氏が古くからこの大光相互の顧問であったということで、皆さん方の方で後輩として何らかの政治的な配慮をしたんではないか。あるいはそういったいろいろなことが結果においてはますます溝を深める、災いが大きくなったわけでありますけれども、何かそういった政治的な配慮というのをこの大光相互の場合にはしてきたんではないか、そう思わざるを得ぬのでありますが、皆さん方の方としては、全く公平に行政は行政として進めてきた、ただ残念ながら未計上のものがあった、それ一点に尽きる、こういうことなんですか。
  62. 徳田博美

    徳田政府委員 大光相互につきましては、先ほどから申し上げておりますように、検査においていままでもいろいろな問題点を指摘して是正を求めていたわけでございます。ただ、店舗行政との関連におきましては、これは数の問題と質の問題とがあるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、五十年以降はそういう問題点があることを踏まえて、県外店舗を一切認めないというような措置をとってきたわけでございます。ただ金融機関の店舗は、利用者利便ということもございますし、そういう観点からも配慮が行われてきたわけでございまして、その点につきましては、そういう客観的な基準で公正にわれわれは配慮してまいったつもりでございます。
  63. 稲村利幸

    稲村(利)委員長代理 沢田広君。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 いま佐藤委員から御質問がいろいろありましたから、それに続いて若干継続さしていただきます。  現在、全国の相互銀行で支払い承諾をされている状況及びその内容については、大光相互を契機として点検をされたのかどうか、その点をお伺いをいたしたいと思いますし、私が若干これまた疑問のある相互銀行として言えると思いますのは、兵庫相互、それから福徳、徳陽、第一、ときわも該当しますね、それから東京相互、これらについての支払い承諾については若干問題があるのではないか、大光相互と同じような条件下にあるのではないか、こういうふうに推察されますが、点検をされたのかどうか、あるいはその後どういう予定になっているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  65. 徳田博美

    徳田政府委員 債務保証の問題につきましては、行政面で行う措置と検査で行う措置とがあるわけでございますが、検査で行う措置といたしましては、先般申し上げましたように、検査に行く準備資料としての電算機の利用につきまして総合的にそういうものが把握できるような体制をとるとともに、また、検査に行きました場合に、相手方金融機関に対して必要があれば調査をするというような措置をとっているわけでございます。これらの措置はこれから検査を行う金融機関についてでございますが、現在すでに検査に入っている金融機関につきましても、直ちにそのような主要な債務保証についての点検を行うように指示してございます。  なお行政面におきましては先般、債務保証につきましてこれを慎重に行うように、また、量的に過度にわたらないようにという通達を出したわけでございますが、今後とも各期末におきまして必要な資料を徴しまして指導してまいりたい、このように考えております。
  66. 沢田広

    ○沢田委員 これはまた後で言うことにいたしまして、いま佐藤委員の方から出ました、同僚であり先輩であり大蔵大臣でもありました村山さんの立場というものを、やはりこの機会に明らかにしておくことが必要ではないかと思います。  それで第一に、大光相互銀行理事会の議事録、これはそちらでお持ちになっておられるし、検査のときには当然確認をされているものだと思いますが、その点いかがですか。
  67. 徳田博美

    徳田政府委員 取締役会の議事録は、検査の場合にはこれを調査いたしますけれども、その写しは行政当局としては特に徴しておりません。
  68. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、会議録に記載される事項の内容については、物件を他人に譲渡する場合、それから大口な貸し付けを行う場合、あるいはそれぞれの事務所を提供するような場合、それぞれその役員会に諮って行われてきたものだと思うのであります。また、訴訟を行う場合にも当然理事会において承認をしなければならないものだと思いますが、その点はそのとおり解釈してよろしゅうございますか。
  69. 徳田博美

    徳田政府委員 取締役会に諮るべき事項につきましては、商法上いろいろな規定がございまして、御指摘のような点があるかと思います。
  70. 沢田広

    ○沢田委員 これは前々回の選挙でもそうでありますが、村山さんは、ただいま言われたように大光相互銀行の顧問をなさっておられます。選挙に出るときには、この大光相互銀行の研究所を選対本部として三区の選挙をやっておられるということが一つ。それから、行員は総ぐるみでこの選挙運動に入る、これが第二点。  それから、吉沢平治さん、これは行員の方でありますが、選挙違反の関係もあって長期に雲隠れをやっていた。それから、これはあなたの方でわかるかわからないかわかりませんけれども、上原一郎さんという方がそれぞれの傍系会社、関連会社の役員をやっておられる。光南にしてもそうでありますが、中央開発にしてもそうだと思いますが、そういう上原一郎さんは村山さんの地元秘書であられる。そうすると、その上原一郎さんが光南であるとかその他の会社の取締役その他をやっておられて、そこへその債権が流れる。これは当然村山さんも御承知なのかあるいは秘書独断なのか、その辺はわかりませんけれども、いずれにしても、大光相互銀行がこの地元の秘書の関連会社に融資をしている、こういう関係は否定できないだろうと思います。それからもう一つは、村山さんの実際の妹さんであります上松さんが、この長岡の本店の中に喫茶店ともう一店出店をされておる。これも村山さんの御関係になっておられるのだろうと思うのであります。  以上の問題が、村山さんが大蔵大臣をしている、していないにかかわらず、大光相互銀行としてそれぞれ、まあ便宜を図るという解釈が適当かどうかわかりませんが、一応その点の関係については検査の場合どういうような——皆さん方の顔を見ていると、大光相互銀行に見えてきちゃうんですよ。大光相互銀行の社長が来てここで弁解をしているような感じに受けとめてしまう。言うならばみんな大蔵省の仲間ですからね。検査に行く人も仲間なんです、相手もまた仲間なんです。これはどう考えてみても仲間同士の検査であり、仲間同士のやり口であるとしかわれわれ市民には受け取れないのです。ですから、銀行局長も非常に丁寧な答弁をしておりますが、重要なところはポイントは逃し逃し、佐藤さんも投網を打ったわけですが、投網を打って、いろいろな分野からどうも便宜を図っているのではないか、こういうふうに言った。私は単刀直入にこれから聞いていきますが、その点を当然、当局として知っていたのじゃないのか、知らなかったとはこれは言えないのじゃないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
  71. 徳田博美

    徳田政府委員 いま先生から幾つかの点を御指摘されたわけでございますが、その中には必ずしも検査の対象となっていない事項もあるわけでございます。ただ、大光相互の営業部のところに喫茶店があるというようなことは一応承知しております。
  72. 沢田広

    ○沢田委員 これだって理事会で当然会議録に載ってきますし、占用料といいますか賃貸料が正規に取り扱われていくという仕組みが当然行われなければならないのですね。検査の結果、それはどうですか。  それから私はきょうは実はその大光相互銀行検査された大蔵省の松井主任検査官と、それから関東財務局の岩田中小金融課長、この方が実際に大蔵省の派遣で大光相互銀行検査をやられたわけです。だから、証人なんというような立場じゃなくて、実際に検査をやられた立場でどうだったのかということを聞いていきたいということでお願いを申し上げたのですが、それぞれ担当課長が全部答えることは可能である、こういうことでありましたので御遠慮申し上げました。しかし、そういうことが将来のために果たしていいのだろうか。いま私は何も傷もとへ指を突っ込んでぐりぐり回すような言い方をここでしょうとは思いません。思いませんが、松井さんも岩田さんもそれぞれ何回となしに指摘をしてきた実績があった、そして何とかごまかされたか、依頼されたかわからぬけれども、それが爼上にのることを逃避した、こういう結果が招来をしたことは、検査官が行き、あるいは指導課長、中小課長が行っていろいろなやり方について注意をされたのだろうと思う、それがやみからやみに葬られるということが果たして大蔵省行政として許されていいのかどうか、こういう心配から、私はあえて松井さんなり岩田さんに公務員として来ていただいて当然、検査の結果について御報告いただこう、こういうつもりでいたわけであります。これは何とか勘弁、勘弁という言葉は悪いですが、何とか遠慮してほしいという要請ですけれども、しかし私は、ぜひこういう機会に来てやっていくことが、やはり銀行大蔵省の一部である、親戚なのですから、血は水よりも濃しでみんな自分の先輩、後輩が行っているのですから、そういう関係においての検査あり方というものがこれから問われるのではないかと思うのでありまして、この点お答えをいただきたいと思うのであります。
  73. 徳田博美

    徳田政府委員 銀行局には検査部がありまして、部長がおりますし、また課長もおるわけでございまして、その上に局長がおりまして、金融機関検査に関する一切の指揮監督を行っているわけでございます。したがいまして検査結果につきましては、もちろん信用秩序の維持という観点からも申し上げかねる面が多いわけでございますけれども、私がいろいろお話を承り、また御説明申し上げ、十分に検査の万全を期したいと考えております。
  74. 沢田広

    ○沢田委員 万全を期すことではなくて、本来ならばその方に出てきていただきたいというふうなことを、今度は今後の慣例として十分ひとつ御考慮をいただきたいのであります。いま現在、銀行局長は一生懸命かばっている。かばっている気持ちもよくわかる。しかし、かばうことだけがすべて国民への奉仕ではないと思うのであります。やはり悪いことは悪いこととして処理するということにならなければならぬだろうと思う。  そこで、相互銀行法もあるし銀行法もありますし、あるいは証券取引の関係もありますが、いままで佐藤さんの方から述べられた意見の中に、いままでのやり口その他から見て、故意とか故意でなかったとかということは別として、当然これは犯罪を構成する。これから幾つか述べていきますが、犯罪を構成する。だから、会議録とチェックをしてもらえばわかるのですが、さっき申し上げた会議録、たとえば不良債権で池袋で九十九億、新宿で二十八億、新潟で五十七億、郡山は二十四億、これは陽光なんですね。そして三一%が分類債権になっておる。これは郡山カントリークラブの出資した金額なんですね。川口で三十億、大宮で十億、こういうのが不良債権として計上されている。この内容は御存じですか。
  75. 徳田博美

    徳田政府委員 大光相互の貸出金についての内容については検査で把握しておりますが、これは検査結果でございますので、申し上げることはお許し願いたいと思います。
  76. 沢田広

    ○沢田委員 では、福島県信連がいま言った陽光、東包商事、そして支払い債務を行いまして、八億であります。これは農協が出すこと自身にも問題があるのでありますが、それが何と二十五日、この農協へ大光銀行から払い込まれたそうであります。これは私が実際に電話をかけて確かめたのであります。この八億がこういうふうに農協、それから蒲原郡もありますけれども、二十五日に払い込まれました、こういう報告を聞いておるのですが、いかがですか。
  77. 徳田博美

    徳田政府委員 そのような事実はまだ私は聞いておりません。
  78. 沢田広

    ○沢田委員 これだけ国民にいろいろな事態を生じている段階でその八億を払えば、大光相互銀行はさらに資金が厳しくなる。幾ら三百億出してもらうといってみたところで、そういうふうに皆手当をしていってみたら——恐らく東包商事は倒産することは間違いないでしょう。それの支払い債務として大光が八億を福島県信連へ、しかも五月二十五日、この問題が発生してから支払いをしているわけですね。ではこの支払いは、理事会の承諾を得たのか、大蔵省の承認を得たのか、こういうことになってまいりますときわめてこれも問題が多い、こういうことになるわけですが、その点、知らないということではなしに、そういうことが許されていいのかどうか。あるいは、このあなたの方から出された「預金者の皆さんへ」という文書を見ると、大蔵省指導監督下にあって健全に運営していますから、御安心くださいという文書が流されているでしょう。これは御存じでしょう。以上の二点、ちょっとお答えいただきたい。
  79. 徳田博美

    徳田政府委員 いま先生指摘の点は、恐らく相互銀行としての一般の営業行為として行っていることと思います。三千数百億の資金量をもって活動しているわけでございますので、かなり大きな金額が毎日動いているわけでございます。したがいまして、そういう営業活動の一環として行っているものとわれわれは考えております。
  80. 沢田広

    ○沢田委員 しかも関連会社との関係は、郡山は先ほど述べた陽光という関係会社が用地買収をして、いま言った郡山の問題が起きているわけです。郡山は陽光が土地を買って、そして東包商事が、県信連からですが、県信連が資金を出した。その東包商事には大光相互銀行が支払い債務をやった。何のことはない、自分の土地を自分が金を出してぐるぐる回して買った、こういう形態なんですね。  それから長岡の東支店は、グリーン開発が用地買収をした。グリーン開発というのも、これもさっき言った北蒲原郡の京ケ瀬村なのであります。ようやくこれで三十戸建ったそうです。グリーン開発が十五町歩土地を買ったそうです。これは四十八年に反当たり大体四百万から五百万で買ったのだそうであります。そうして十五町歩のうちでようやく団地が三十一尺ついこの間できた。このグリーン都市開発というのも関連会社に入っているわけですね。そういう点はあなた方当然承知の上で、これでこのグリーン開発は果たしてこの償還ができると思っておられますか。
  81. 徳田博美

    徳田政府委員 現在検査はまだ継続中でございますので、最終的な判断は今後検査が終了してから行われることとなります。いずれにしても、個別の問題でございますので、判断を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  82. 沢田広

    ○沢田委員 では、この前佐藤委員指摘をされましたけれども佐藤委員はぱっぱっと言っちゃいましたから記憶に入ってないのじゃないかと思いますから、一つずつ言っていきます。これも調査しなければわからないということでは、これだけ問題になって前回質問しているのですから、その辺は委員長、もしこれがわかってないと答弁ができないようだったら、ひとつ後刻きちんと答弁をしてもらうように、これはもう二回目なのですから、一回言われて、その後またしらばくれた答弁で済まそうなんて、そんなことはまずいと思う。  長岡市の袋町三丁目、この前佐藤さんが言われた以外にもあると思うのですが、工場は昭和三十七年の三月二十四日、これは近代商事が大光相互銀行から、共同担保として抵当権の設定をして、近代商事に譲り渡されている。それからもう一つの倉庫でありますが、これも全部言うと長くなりますが、倉庫の方も所有権移転登記が、昭和四十一年二月二十六日に駒形十吉さんが所有権の保存をして、四十一年の十二月二十六日に大光相互銀行に行って、それから四十八年の九月三日には近代商事に売り渡されている。これはやはり長岡市袋町三丁目の倉庫であります。  それからその次には、これは名目は別でありますけれども、同じく長岡市の袋町三丁目で、これは宅地ですね。宅地でありますが、昭和四年二月十九日に十吉さんが取得したものが、昭和四十一年の十二月二十四日に大光相互銀行に渡されて、四十八年の九月三日には近代商事にこれまた所有権移転登記がされている。この近代商事というものは正確に言いますと、駒形千代さんが取締役社長で、駒形千代さんというのは駒形斉さんの——前は駒形斉さんが社長をやっておりましたが、昭和四十四年に辞任をして、奥さんが三十九年の十月三日から、そのまま両方がついていたのでありますが、入っていた、こういうことであります。  それからもう一つつけ加えて申し上げますと、これは居宅である。居宅はこの前佐藤委員が言われたとおりでありますから省略いたしますが、これまた昭和四十八年九月三日、大光相互銀行から近代商事に売り渡されている。これは二回目ですから、今度は答弁をしていただきたいと思うのであります。
  83. 徳田博美

    徳田政府委員 近代商事に関します個々の取引でございますので、必ずしも検査の際そこまで明細を把握していないわけであります。それからまた、個別の案件にかかわることでございますので、この点、ここで申し上げることはお許し願いたいと思いますが、近代商事について役員、監査役として駒形千代さんが入っておられるということは登記簿等から把握しております。
  84. 沢田広

    ○沢田委員 それから南筑波カントリー倶楽部、南富士カントリー倶楽部、それに関連をする事件については大蔵省としては承知しておりますか。
  85. 徳田博美

    徳田政府委員 それに関する事件については、いまのところ把握しておりません。
  86. 沢田広

    ○沢田委員 これも全部大光相互銀行が三百九十一億に及ぶ不良債権を生じているもとなんでありますね。それを全然知らないということで済まされるというふうには理解しないのでありますが、いかがでしょうか。
  87. 徳田博美

    徳田政府委員 先生指摘の事件というのは具体的に何をお指しになるのか、その点はちょっとわかりかねるわけでございますが、融資先並びに融資の内容については検査でこれを十分把握をしております。
  88. 沢田広

    ○沢田委員 次に、山水会と山紫会というのが政治団体としてあるわけであります。これは村山さんの政治団体なんであります。これを見ますると、金額はきわめて少ないのでありまして、法人としては千八百万ぐらいの納入で、証憑書類としては全部無記名であります。ですから、この中身については調べることはできないのですが、さっき東証理事長がいるときに聞こうと思ったのだが、東証が協会として昭和四十五年から四十九年に至るまで、それから五十年には四百万円、四十五年下期、上期、ずっと出しているのですが、こういう形態というものが東証あり方としていいと思われているのでしょうか。東証というものはもう少し中立的なものであり、しかも山水会というのは岡田道文さんが事務取扱をやっておられて、これは当然村山さんの政治団体である。山紫会も同じように四百万円が東証から寄金をされている。東証というところから見れば、金融業界にとって最も政治的な立場にある条件のところだろうと思うのでありますが、その点は大蔵省としてはどう考えておられるのですか。
  89. 徳田博美

    徳田政府委員 東証と申しますのは東京証券取引所のことでございますか。(沢田委員「そういうことです」と呼ぶ)この点につきましては、証券局に関連することでございますので、私からはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  90. 沢田広

    ○沢田委員 証券はどうなんですか。——じゃ大蔵大臣、もう行くだろうから大蔵大臣に聞いておきたい。
  91. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 その内容は、事実関係のことはちょっとわかりませんので、調べてまた御連絡いたします。
  92. 沢田広

    ○沢田委員 私の言うのは、事実関係じゃなくて、これはちゃんと国政出版室の「政治資金全書」第一巻に出ているものを出したのであります。東証の正会員の協会から出されているこういう事実については、東証という地域的な職場あるいは経済的な地位、条件から見て望ましいものなのか望ましくないものなのか、あるいはこういうことが許されていいのか許されてよくないのか、そういう点の見解をはっきりしてもらいたい、こういうことなんで、これは調べるとか調べないとかという問題じゃないのじゃないかという気がするのです。これは調べたからよくなって、調べなかったから悪くなるということではない。
  93. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 東証というのはちょっとよくわからないのです。取引所自身が出しているのかどうかということですか。
  94. 沢田広

    ○沢田委員 正会員協会です。
  95. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 それは私もどういう趣旨なのかよくわかりませんが、特別の関係で政治献金としているならば、あるいはそういうことがあったかも一しれませんが……。
  96. 沢田広

    ○沢田委員 大蔵大臣はこれから参議院の方に行かれるそうでありますから、質問が急転直下変わってしまうのでありますが、出る前に若干お聞きしておかなくちゃならないのであります。本当に百八十度転換しなければならぬで私もつらいのですか、大蔵大臣はどうしても出ちゃうというから、若干幕が変わって申し上げるのでありますが、現在まで卸売物価が非常に急騰して、公共料金が上がって、とにかくこの六月、七月にかけて国民にインフレヘの懸念がきわめて高い。そして八月くらいになると、どうしても水の問題も出てくるでしょうし、あるいは省エネルギーの問題も出てくるだろうし、同時にまた、卸売物価の高騰というものと関連して、あるいはそういう条件の中から、どうしても国民はインフレへの懸念が非常に強いわけです。大蔵大臣としてはこれを抑えていこうとなさっておられるのだろうと思うのでありますが、その処方せんというわけでありませんけれども、具体的にこれからのインフレをどういうふうに抑制していくつもりでいるのかということがまず一つ。  それから、来年度のことを言ったら鬼が笑うのでありますけれども大蔵省ではすでに予算編成にかかったということを聞いております。今年度と同規模だということも新聞の報道で見ております。本年度と同規模という意味は、経済成長率をどの程度に見て同規模と言っているのか、それから、現在の雇用関係をどの程度に改善することを目標にして当年度と規模を同じにすると言っているのか、その点についてだけお答えしていっていただきたい。
  97. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 まず第一点の物価の問題でございますが、卸売物価が最近急激に上昇してまいりまして、いつの時点においてどの程度消費者物価にはね返るか、私どもも注意しながら見守っておる段階でございます。特に六月のOPECによる石油の値上げがどの程度に行われますか、そういった問題もあるものですから、すぐインフレに突入するというのは行き過ぎだと私は思いますけれども、消費者物価の高騰を招くその程度、度合いがどうなるかということについて、できるだけ財政金融政策を一体にして駆使しながらやっていかなければならぬと考えておる次第でございまして、やはり大事なことは、財政支出につきましても抑えられるものは極力抑えるべきでしょうが、特にたとえば公共事業等の予備費なども、凍結することが適切じゃないかというようなこともいまから考えておる次第でございます。しかし、財政は何と言ってもなかなか小回りがきかない性格のものですから、やはりとるとすれば金融政策、これを機を逸せず、この前の政策のように後手後手にならないようにしっかりやってまいりたい。いま一番政府としても心配いたしておりますのは、油に関連して、油関係の二次製品が思惑で値上がりするようなことがありますと大変でございますから、企画庁はもちろんでございますが、担当官庁の通産省も一緒になって、この方面の動きにつきまして自粛を求めておるという段階でございます。物価の高騰だけは政策の重点として、是が非でも大きな高騰を招かないようにやってまいるつもりでございます。  それから、来年度の予算の問題でございますけれども、編成に手をつけたというよりも、編成の準備作業をいまやっている。概算要求が出ます八月から手をつけるわけですけれども、それでは間に合いませんから、準備作業だけいまから手をつけまして、各省とどういう点でもっと効率化、合理化ができるか、従来組んでおりました予算の中身を見直して、できれば本年度と同額ぐらいの予算にでも持っていきたいというつもりでおりますが、御承知のとおり、これは社会保障費一つとってみたって、毎年二〇%ぐらいずつ伸びるのですから、そう簡単にいきません。特に国債費がふえますしあるいは地方交付税がふえますから、全体として本年度同額を目指しておりますけれども、しかく簡単にいかないと私は思うのです。仮に国債費だとかあるいはいまの地方交付税を外したそれ以外の金額を同額にしますと、大体国債の発行は二兆円ぐらい抑えられるのではないか。二兆円ではちょっと足りないので、三兆でも五兆でもことしに比べて圧縮いたしませんと、国債の発行が大変むずかしい段階になってきております。金融の超緩和の時代でしたら、十兆でも十五兆でも消化できたかもしれませんが、今日の情勢はそういうわけにまいりませんから、できるだけ国債の圧縮によって、あるいは歳出の圧縮によって、財政収支のバランスをとれるように持っていきたい。その場合に、いまの経済成長をどう考えるか、雇用の関係をどう考えるかというような問題はむしろ、九月以降の問題になります。いま財政のフレームとしてそういうことをやったらどういうことになるか、どこまで圧縮できるかという作業の準備段階にある、こういう段階だというふうに御了承賜りたいと存じます。
  98. 沢田広

    ○沢田委員 もう時間なんでしょうから申しわけありませんが、もう一つだけ……。  いま国債の非常な暴落というのは銀行、いわゆる国債引受機関の言うならばこれは一つのカルテルである。銀行なんかも国債では目減り損をする、だから、国債はなるべく買わないようにした方がいい、こういうようなことすら銀行内部では言われているようなんであります。大光相互じゃないですけれども、こういう不良債権などがたくさん出回り過ぎて、これは余剰資金、マネーサプライの過剰が結果的には無理な貸し付けになった。今度は引き締めをしようと思ってきているんだが、引き締めもなかなか効かない。そして、農協の資金までが土地買収で不動産屋にまで行ってしまうという金の散布状況が、結果的にはこういう不良債権をたくさんつくって、ここに出てない不良債権というものがもっとたくさんあるだろうと思うのです。そのことが今度はかえって銀行の経営を圧迫をする。だから、この国債というようなものの引き受けの資金量というものが不足する。だから、どうしてもこれは暴落させて、国債を買わないでも済ませるようにするか、あるいは短期のものに切りかえちゃってどんどん操作をできるようにした方がいい。言うならば、大蔵大臣の立場から見ればどう見るかわかりませんけれども、遠くから見れば私は、これは全体的な経済運営の中における一つの謀略だと思う。そう思って間違いない。だから、そういうバランスシートの崩れが結果的には国債価格の暴落につながるし、それがまた不良債権につながるし、また貸し出しにつながる。それは確かに銀行の経営が下火になったことは間違いないのでありますから、その下火になったことをもとへ戻そうとする。八カ月も七カ月もボーナスを出してきた銀行が、これは一年にじゃないですよ、一期にそのぐらい出してきた銀行の経営が、今度はずっと下がったという状況の中から、そういうような一つの無理な貸し出しが行われるし、あるいはまた同時に、国債の暴落というものが連動をしていく、こういう関連性にあると私は考えるのでありますが、一言だけ、これは時間が来たようですから、大蔵大臣にお答えをいただいて、大蔵大臣の質問は終わりたいと思います。
  99. 金子一平

    ○金子(一)国務大臣 いろいろの見方があると思いますが、私はあなたのおっしゃるような謀略があったとは必ずしも考えておりません。ただ言えることは最近、経済の先行きの見通しに関連して、資金運用について短期の運用をねらって長期資金が枯渇してむしろ短期資金が過剰な状況になっておる、そういうところでの長期ものの国債の消化が大変むずかしくなった、端的に言えばそういうことではないかと私は思うのでございます。  よろしゅうございますか。時間がございませんので、失礼をいたします。
  100. 沢田広

    ○沢田委員 また舞台ががらりと変わりまして申しわけありませんが、先ほどの続きに入らせていただきます。  一つは、法務省においでをいただいておりますから、ここで大蔵省関係の立場とは違ってお答えをいただけるものだと思うのであります。  銀行法あるいは相互銀行法——いままでの土地の売買というようなことから見て、私は少なくとも、駒形斉あるいはそれに関連をする役員が全部共同で行われたか正式の理事会で行われたか、背任横領という事態には銀行法にも触れるし、刑法上の該当にもなるものだと推察をいたします。その点について、これは捜査関係においでをいただいておると思いますので、捜査関係としてはこの取り扱いについてどうなさっておられるのか、またどうなさろうとしておられるのか、預金者の保護という立場に立てば、一つの姿勢を正すという立場においてのきちんとした態度が必要ではないか、こういうふうに思っておりますが、その点いかがでありましょうか。
  101. 宮脇磊介

    ○宮脇説明員 お尋ねの大光相互銀行をめぐります不正事案につきましては、かねてから風評があったところでございまして、昭和四十九年の十月に参議院の決算委員会におきまして和田静夫議員が、同行の不良融資等につきまして問題を提起されました。国会で論議されて以来、新聞等におきましてもこの問題が各種報道されるに至りました。警察といたしましても、当時から本事案につきましては重大な関心を寄せまして、関連情報の収集、内偵等に当たってきたところでござ、います。  ところで、当面警察といたしましては、先生からただいま御指摘もございましたが、金融上の混乱を招来するようなことがあってはいけませんので、現在大蔵省におきまして行われております大光相互銀行の経営内容等に関する調査状況等の推移を見守りつつ、慎重に対処いたしたいというふうに考えておりまして、同相互銀行の本店が所在いたしております新潟県の新潟県警を中心といたしまして、関係警察において関連情報の収集、内偵に当たっているところでございます。いずれにいたしましても警察といたしましては、大蔵省調査結果等を待ちまして、犯罪の具体的容疑を解明するに至れば捜査を開始いたしたい、さような意味合いで現在情報収集、内偵に当たっておるところでございます。
  102. 沢田広

    ○沢田委員 一言つけ加えますと、駒形斉はもうすでに辞任をしてしまっているわけです。だから大光相互銀行とは、ある意味においてはもう関係のない人物だと私は思うのであります。それが大光相互銀行調査が終わるまで待つということになれば、言うならば財産の隠匿——当然責務弁済の義務が生じてくるおそれがある事態、あるいは、独断専行で行ったことに対して当然、大光相互銀行は損害賠償の請求を行わなければならないだろうと思うのです。そのときに、財産が秘匿をされたりなんかする余裕を与えるということが果たしていいのかどうか。大山鳴動してネズミ一匹で結果的には何もなかった、斉には財産がなかったという事態が生じた場合の責任はどうなるのか。もうやめた大光相互銀行をどうこうということではなくて、もし背任であり横領であったと仮定すれば、大光相互銀行は民法上の損害賠償請求の訴訟を起こすと思うのです。そういう事態が出た場合においても、そのことを大蔵省調査待ちで、果たして国民の信頼を得ることにつながるのだろうか。速やかに入らなければ、四十八年から名義変更をやってきているのですから、恐らくその事態がさらに時効にまでつながってしまうのではないか、こういう危険すらあると私は思うのですが、その点、重ねてで恐縮でありますが、いかがでありましょうか。
  103. 宮脇磊介

    ○宮脇説明員 ただいま大蔵省において行われております経営内容等に関する調査状況の推移を見守りつつ情報収集、内偵に当たっておるということは、先生指摘のようなことを意味するものでございます。
  104. 沢田広

    ○沢田委員 わかったようなわからないような、まあやっているのだというふうに私は単刀直入に受けとめます。大光相互銀行を離れた人なんですから、その人の行為についてはやはり適確に処理してもらうことが国民の金融行政に対する信頼にこたえる道であるという要望を申し上げて、あなたの方に対する質問は終わりたいと思います。  それからまた戻りまして、これは銀行局長は、まだ調べ中です、こういうことになるのだろうと思うのでありますが、一応言ってまいりますと、大光相互銀行から南筑波カントリー倶楽部、だからこれはゴルフの会員権で大光相互銀行は入っていると思うのです。新開産業というところを通じまして出島開発というところへ金を出して、そこには代表の菅原敏昭さんという方がおられて、それで会員権を募集したのだが、これは百七十万ぐらい証券で結局返戻されたようでありますけれども、その先は菅原光夫さんという顧問弁護士がいて、その先に南富士興業というのがあって、この南富士興業はいま訴訟の段階にある。そしてその貸付金は十七億ですか、十七億の貸し付けをやっている。だから大光相互と関係しているのが五つ。そして、この南富士興業は、これは係争中のようでありますけれども、今度は逆に南富士のカントリー倶楽部からこれまた会員権を集めて、南筑波会員の方へ大体二十億の貸付金が行っている、こういう状況も知らされているわけです。  さらに、皆川建設というのがありまして、これは六億を貸し付け、これも会員権で得て、南富士と係争中である。そしてその皆川建設は、コスモ太平株式会社、小栗武夫の方へ行って倒産をしてしまった。コスモ太平には大光相互から十五億を出して、これは恐らく会員権になっている。そこへまたコスモから南富士の方へ逆に誘導されている。きわめて複雑多岐な状況で、大光相互銀行の金がぐるくる回されているという実態——私はあの一部だと思います、私たちの知り得る状況というのはきわめて少ないのでありますから。そういうことから、この中身で見ましても、決算のときには、コスモの倒産によって大体三十億の欠損を貸し倒れになったという形に計上されているのかされてないのか、これもわからぬのでありますが、と言われていると見ているわけであります。  こういうぐるぐる回りの状況、それ以外にもたくさんあるのでありますが、こういう事態については大蔵省としては、どの程度まで進んだのでありますか、また、会員権というのが資産台帳に載る、債権として計上しているという状況は果たして妥当なものであるのかどうか、その点もひとつあわせてお答えをいただきたいと思います。
  105. 徳田博美

    徳田政府委員 いま先生指摘の点は、個別の非常に複雑な取引でございますので、間もなく再開されますが、恐らくいままでの検査によりましてその大要を把握していると思いますが、先生指摘のことも踏まえまして、さらに実態の把握に努めたいと考えております。
  106. 沢田広

    ○沢田委員 では、いままで言われたことで委員長に特にお願いしたいことは、大体は一方通行で、私の方で言って、実際は調査します、調査しますでちっとも前進がないのです。これは守秘義務か何かわかりませんけれども、やはり国民の信頼感を取り戻すためには、悪は悪としてその調査の結果については、どういう形をとるか、秘密会をとるかとらないかは別問題としましても、一応後で報告できるようにお取り計らいをいただきたいと思うのです。この点、御要望申し上げておきます。
  107. 稲村利幸

    稲村(利)委員長代理 私、委員長代理として、そのような努力をいたします。
  108. 沢田広

    ○沢田委員 委員長から言われたことだけでよろしいですか。
  109. 林義郎

    ○林(義)政府委員 いまの御質問でございますが、銀行検査というのは、やはり信用の維持という観点もございますし、その結果を全部公表するということは、先生もよく御承知のとおりなかなかむずかしい問題があると思います。そういった意味で、どういう形で御報告するか、その点も含めまして検討させていただきたい、こう思います。
  110. 沢田広

    ○沢田委員 そこでまた話が変わりますけれども、職員の不安の問題なんです。今度の頭取は、池袋をやめるか新宿をやめるかどこをやめるかということで、整理統合を図ろうなんという再建方策を出しているようであります。経営陣のしりぬぐいを働いている職員に全部転嫁するという方法、これは若干の減量経営は必要だ、私も否定をするものではありません。否定をするものではありませんけれども、その大半を職員の不安にかぶせてやっていくということでは、大蔵省も申しわけない話になるのではないかと思いますので、雇用不安をなくすという体制なり対策については万全の措置を講じてもらいたい、こう思うのですが、その点いかがでしょうか。
  111. 徳田博美

    徳田政府委員 大光相互銀行の経営の健全性を回復するのは、新しい役員陣を中心に行われると考えられるわけでございまして、まだ新しい役員陣が選任されておりませんので、選任された暁におきまして、大光相互の現状を把握し、また、将来につきましていろいろ計画を立てていくことになると思います。その際に当たりましては、従業員はもちろんのこと、取引先、預金者等に十分に配意をしながら行われることが望ましい、このように考えております。
  112. 沢田広

    ○沢田委員 次に、おいでをいただいておりますから、先ほど述べた南筑波あるいは郡山カントリー、郡山カントリーはオープンしたそうでありますが、オープンしたけれどもこれは大分赤字のようですね。それから南富士、こういうようなカントリーの会員権の取り扱いが果たして法規上といいますか、資産台帳に載せていくべき性格のものなのか。税制ではこれは相続税の一部と見ているようですね。会員権というものが会費などという一部と見れば、これは経常経費の支出に上がっていっていいはずであります。この会員権というものの法律上の地位は、これは一回国会でも論議されたというふうに記憶をいたしております。ただ、この時代の変わり目、マンションなんかにもこのごろはこの会員権というものも出てきておりまして、これは六百分の一の財産だとかなんとかということで登記をするということをやっておりますから、あるいはこれは財産の中に計上されていいのだと思うのでありますが、果たしてこの会員権が、こういうふうな南富士なり筑波なりというように倒産になればこれは使用しがたい状況になったときには、財産だと仮定すれば請求権はあるのだ、民法上の債務は向こうが負っているのだ、こういうふうに私たち解釈をいたしますが、そのように理解してよろしいのでしょうか。
  113. 元木伸

    ○元木説明員 お答えいたします。  ゴルフ会員権の性質につきましては、ただいま非常に裁判上で幾つか争われておりますので、直ちにここで結論は差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、強いて問題点を挙げますと、これがまず第一に有価証券かどうかという問題でございまして、有価証券かどうかという点につきましては、私どもが知り得た限りでは、高裁判例といたしましては一件だけが有価証券であるというような判例を出しておりまして、他の高裁判例はいずれも有価証券でないというようなことになっております。  それじゃこういうものがどういう権利を表章しているかということでございますけれども、それにつきましては、入会金返還請求権とそれからプレーをする権利ということになろうかと思いますけれども、入会金返還請求権につきましては、これはある程度債権的にはっきり金額が明示できるわけでございますけれども、プレーをする権利を一体どのくらいに見積もるのかということになりますと、今後まだいろいろ検討しなければならない問題があろうかと思います。いずれにしましても、判例で決着がつくのではないかと考えております。
  114. 沢田広

    ○沢田委員 この判例で決着がつくのじゃないかというのは、どうも担当省として、行政府として権威がない答弁じゃないかと思うのでありますが、行政としてどういう一これは大蔵省おりますが、財産税の場合は、財産税の課税対象の一部として評価をしているわけですね。これは間違いないわけです。会社の場合は資産台帳の中の債権として入れているという状況ですね、これも間違いない。そうしますと、これは単なるそれを使用する権利であると、一般個人の場合にはそう解釈しがちでありますが、企業と個人と違うのかといえば、違わないですね。そうなると、個人の会員権でも同じく相続税の対象になる。とすれば当然、この法体系の上において会員権というものが財産上の権利である、こういうふうに理解することは行政府としての見解になるのじゃないのでしょうか。
  115. 元木伸

    ○元木説明員 ちょっと舌足らずの御答弁で御迷惑をかけたわけでございますけれども、この会員権と申します性格というのは非常に複雑でございまして、たとえばカントリークラブというのがございますけれども、このカントリークラブというものの性格が、ゴルフ会社の土地を持っている会社そのものなのか、あるいは別のクラブであるのかということによりまして性格が完全に変わってくるわけでございます。したがいまして、そういうそれぞれの会社の特殊性と申しますか、そういうものを見きわめた上でございませんと、これは資産的な性格があるとかないとかいうことは直ちに申し上げられないわけでございます。ただ入会金返還請求権、これは御承知のように非常に安いものでございますけれども、そういうものにつきましては、これは債権として計上するということも可能かと思われますけれども、それ以外のプレーをする権利というもの、これをどのように評価していくかということになりますと、ちょうど土地を利用するという権利とは多少違ってまいりますので、権利内容が明確でないということで、今後さらに個々の事例についてもっと検討していきませんと、直ちに結論が出ないのではないかということでございます。
  116. 沢田広

    ○沢田委員 直ちにと言ったって、これはもう日本でも相当古く行われているのですからね、いままでに解釈がはっきりしないということはない。前は相続税の対象にならなかった時代があったわけですね。それが相続税の対象になってきたということは、やはり財産価値というものを認めるということになってきたんだと私はそう思います。それは一方のカントリークラブをやっている業者から見れば、それはなるべくならば債務になりたく、ない。それはある意味の使用権であって、ちょっともこっちから借金を負っているものではないのだ、こういう立場でいるのだろうと思うんですね。しかし一方で財産として税制上見、また財産として評価するならば、この会員権というものは民法上の契約としては、相手の財産請求権を当然持つという体系にならなければ論旨が一貫しないのではないか。一方だけでは財産として税制では見ていて、そして日常経費には落とさせないで資産の方に入れさせる。そして一方では請求権がないといったら、ここで今度大光相互の問題も出てくるのですが、そういう株券であるにしろ会員権にしろ多数占めていることが、資産がふえていることになるということになれば、もし一方の請求権がなくなるとすれば、架空のこれは資産を挙げているということになってしまうのですね。その辺がやはり性格がはっきりしませんと、それは資産の上に入れることが正しいのか、流動資産になるのかどうかわかりませんが、資産じゃなくて経費で落とすことが正しいのか、その辺が今度は会社経理上の、やはり個人の場合も同じですけれども、不明確になってしまう。いまになって法務省が、何十年たってもまだ明確でないということは、これは適当でないんじゃないかと思うんですね。その点はやはり資産なら資産として入れてきているのですから、税金もかけてきているのですから、それは当然請求権を持つものだ、こういうふうに解するべきじゃないかと思うのでありますが、再度、これは大蔵省と両方かち、大蔵省の方は税金を取っている方なんだから、当然それだけのものがあると認めて財産権としているわけですから、その意味においての見解をひとつ述べていただきたいと思います。
  117. 元木伸

    ○元木説明員 財産的価値がゼロだということは申し上げてないわけでございますけれども、それではいわゆる財務諸長上一体幾らで算定したらよろしいかということになりますと、これは非常にむずかしい問題でございまして、個々のケースによって非常に違ってくるということでございます。したがいまして、この点はさらに検討を続けさせていただきませんと、まだなかなかむずかしい問題があるということでございます。
  118. 沢田広

    ○沢田委員 それではひとつ大蔵省答えてください。
  119. 林義郎

    ○林(義)政府委員 沢田さん、いまお話を聞いておりまして、実はかつてゴルフ場法というのをつくろうというふうな話がありましたですね、あのときもそんな議論をしたことがあるのです。私は銀行でどれだけの資産に評価するかどうかというような問題は、もう少し——一律に会員権だからどうだという話になかなかならないのではないかと思うのです。というのは、ゴルフ場の経営は社団法人でやっているのがある、株式会社でやっているのがある、クラブみたいなことでやっているのがある。民法上も恐らく組合だろうと思いますが、いろいろの形によりまして恐らく、法務省当局がいま言っておりましたところのプレーをする権利とかなんとかいうのはそれぞれ違ってくるのではないだろうかと思うのです。そういったものを含めまして、銀行局の方で検査をやっておりますから、検査の段階ではそういった点も含めまして精査したらいいのではないだろうか、私はこういうふうに考えております。
  120. 沢田広

    ○沢田委員 時間がなくなりかけてきておりますから。……  いま言っているのは、大光相互銀行のこの資産内容を、私は株券というかいわゆる空の会員権をどの程度持っているかこれはわかりません。わかりませんけれども、この系図を見ると、相当そういうものでいわゆる資産を穴埋めしているというふうに推察されます。そのことともう一つは、会員権というものが法律上どういう地位にあるべきかということとは別問題なんです。そのことがはっきりしませんと結局、これが不良のものなのかどうかという判定の物差しがつかなくなってくるから、請求権があるとすれば当然、それは資産の中に入れてもある程度、全部取れるかどうかは別問題として、いいだろう。だからそこで、請求権を持つ会員権である、会員権はその相手側のカントリークラブにどういう性格であろうと会員権を買った場合の請求権は持っているんだ、その代償の金額が裁判の結果どうなってくるか、裁判の結果はわからぬとして、法務省として行政としては、それはカントリークラブとして債務として当然考えていかなければならぬものなんだというふうに受けとめる解釈が正しいのではないか。そうすると、カントリークラブの貸借対照表をつくるときには、その会員権を発行している分の価額に匹敵するものは今度は負債になって上がってこなければならぬわけですね。そういうことでしょう。ですから、そのことをきちんと整理してほしいということを言っておるわけでありまして、もう一回答弁していただいて、時間のようですから私は終わりたいと思いますが、時間がないのでもう一つだけ……。  大変先輩の大蔵大臣、私も大蔵大臣にこの委員会質問したのですが、村山先生立場も、私も名前を挙げて申し上げたわけですから、やはり自分の潔白を示す必要性があるだろうと思うのであります。申し上げた事項について大蔵省でも精査をされて、できればわれわれの疑問を、これは本人がここで解明するというわけにはいかないでしょうから、大蔵省が弁明をするなら弁明する余地を当然与えなければいけないと思いますので、ぜひそういう措置を講じていただいて、私らが申し上げたことが事実に反するのか事実であるのか、あるいはその内容はこうなのか、その点は後刻改めて、これは個人の名誉に関することですからその保障をしていかなければならないことだろうと思います。私たちもそのことを承知をしつつあえて申し上げたわけでありますから、その点もあらかじめ念頭に置いて後刻御答弁をいただくよう心から願ってやまない次第です。あと御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  121. 元木伸

    ○元木説明員 お答えします。  一般論といたしまして、権利を有償で取得いたしました場合には、その価額を貸借対照表資産の部に計上するということになっておりまして、もちろんこれはその支出した分について権利であるということになろうかと思います。
  122. 沢田広

    ○沢田委員 あとはそのことだけ答弁してください。そうしてくれると言えばいいです。われわれ言いっ放しでは悪いですから……。
  123. 徳田博美

    徳田政府委員 ただいま先生指摘の点は、個人の問題にもかかわることでございますので、慎重に検討させていただきたいと思います。
  124. 沢田広

    ○沢田委員 終わります。
  125. 稲村利幸

    稲村(利)委員長代理 次回は、来る六月一日金曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十三分散会