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1979-05-25 第87回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十五日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 加藤 六月君    理事 稲村 利幸君 理事 小泉純一郎君    理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 竹本 孫一君       阿部 文男君    池田 行彦君       宇野 宗佑君    江藤 隆美君       小渕 恵三君    後藤田正晴君       佐野 嘉吉君    原田  憲君       森  美秀君    山崎武三郎君       伊藤  茂君    池端 清一君       沢田  広君    只松 祐治君       美濃 政市君    村山 喜一君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    安田 純治君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 金子 一平君  出席政府委員         経済企画庁物価         局審議官    坂井 清志君         大蔵政務次官  林  義郎君         大蔵大臣官房審         議官      米里  恕君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         国税庁長官   磯邊 律男君  委員外出席者         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         建設省河川局海         岸課長     富永 正照君         建設省河川局防         災課長     瀬戸  充君         自治省財政局財         政課長     矢野浩一郎君         参  考  人         (日本銀行理         事)      中川 幸次君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     福田  一君   佐野 嘉吉君     増田甲子七君 同日  辞任         補欠選任   福田  一君     小渕 恵三君   増田甲子七君     佐野 嘉吉君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国の会計税制及び金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 加藤六月

    加藤委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、金融に関する件について、本日、参考人として日本銀行理事中川幸次君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤六月

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 加藤六月

    加藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
  5. 只松祐治

    只松委員 久しぶりの一般質問でございます。東京サミットも開かれますが、なかなか機会もありませんでしたので、この機会に一言だけ日米共同声明に関しまして、大臣に関する面のお答えを聞きたいと思います。  その中に「内需拡大」という言葉がある。したがって、国内の民需を開発するということがうたわれているわけですが、これは結局、貿易を増大いたします上からも、私が申し上げる必要もないわけですが、当然に国民生活の向上、それから後でまた第三次産業問題を論じますけれども、いわゆる産業構造変革あるいは国民生活変革、またもっと言えばその意識の変革、そういうことまでも伴っていかなければ、日米共同声明に盛り上げたから、こう言って解決する問題ではないと私は思うのでございます。したがいまして、もっとずばり言えば、社会の変革ということまでを構想しなければ日米共同声明日本国内における実行ということはむずかしいと私は思う。こういうことを抽象的に申し上げてもなにですが、私は、後で最後的に財源の問題あるいは税制の問題、第三次産業の問題を論じますけれども、そういうことに関しまして冒頭に、東京サミットを控えての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  6. 金子一平

    金子(一)国務大臣 総理とカーターとが共同声明で、経済成長を維持するに当たって、内需拡大に依存するような移行を促進することを言っております趣旨は、只松さんからいまお話のございましたように、従来とかくいたしますと輸出に過度に依存する経済体質日本は持っておりますから、日米間の問題に限って申しましても、余り輸出中心になって、黒字が正常と考えられるもの以上にこちらに偏ることのないような日米両国間の関係をこれからも続けなければいかぬ、そのためには、やはり内需拡大というものをこれからもしっかり考えていかなければいかぬという気持ちでこの条項が入ったのだろうと思います。  それで、今日まで非常な努力をしてまいりまして、製品輸入も御承知のとおりずっと伸びてまいっておりますし、三月から四月にかけて貿易収支は赤になっておりまして、従来とさま変わり状況になりまして、経常収支全体が黒字が減ってくるというような情勢になりましたから、その点はアメリカ側十分日本努力を認識してくれておると思います。  ただ、日本経済構造自体から言いますと、そう簡単に貿易収支でバランスをとっていいというようなことは言い切れないと思うのです。御承知のとおり貿易でかせいで、それで石油を買わなければいかぬ、原材料品は買わなければいかぬ、同時にまた、海外経済援助もやらなければいかぬという立場日本が今日置かれておりますから、その黒字の限度をどう考えるか、これはなかなかむずかしい問題でございまするけれども、今後の日米関係正常化考える上においては、過度の黒字が一方的に日本にたまるような経済構造でもっていくこと自体は今後も考えていかなければいかぬ。そういう意味において、いまお話のございましたような日本経済構造をどう変えていくかというようなことは、これは半年、一年あるいは二年、三年でできることではございません。お互いに知恵を出し合って、国内的にも国際的にも妥当と認められるような方向に持っていくことが国際協力関係を維持する基礎になると私ども考えており、また、今後そういう方向に持っていくべきだと考えておる次第でございます。
  7. 只松祐治

    只松委員 私は去年の五月と八月、日本を騒がせました円高の問題について質問いたしました。御承知のようにこの円高によりまして、輸出産業に従事する特に中小零細企業者は非常にお困りになって、倒産なんかも続出しました。一方、輸入しておる方は、円高によりまして巨額利益を得たわけでございます。国民的に大騒ぎになりまして、電力ガス等は一部値下げ等もいたしました。利益はないというようなことを言っておりましたけれども、そうではなくて巨額利益が出る。後でおいおい論議をいたしますけれども概算通関実績をもとにすると、五十二年度に二兆円、五十三年に三兆円から出てくるのではないか、こういうことで私は議論をいたしたわけでございます。そしてそのときに、ひとつ税制面からも調査をし、よく把握をするようにということを要望いたしております。現在、五十二年度分がほぼまとまりかけておるようでございます。まず、その進捗状況についてお知らせいただきたいと思います。
  8. 磯邊律男

    磯邊政府委員 いわゆる円高差益享受法人に対する全国的な重点的調査につきましては、昭和五十三事務年度、これは五十三年の七月から五十四年の六月までの事務年度でありますけれども、その五十三事務年度を迎えるに当たりまして、調査対象期間中におきます円高傾向がきわめて顕著であり、いわゆる円高差益を享受している企業がこれらの差益を正しく申告に反映しているかどうかという、税務本来の立場から厳しくチェックする必要があるという見地から、昨年の八月当初の国税局長会議で、特に国税庁の方からその調査充実方について指示をいたしました。各国税局におきましては、これに基づいてそれぞれ調査計画を立てまして、調査対象法人に対しまして九月以降、実地調査に着手したわけであります。  昨年、当委員会で私も御答弁申しましたように、具体的には円高差益が特に多いと思われる石油精製卸売業電気供給業及びガス供給業を最優先調査対象業種に指定し、また貿易業外国為替の取り扱いの多い銀行業証券業を初め円高差益関連があると認められる業種優先調査対象業種に指定し、さらにコーヒー豆輸入化粧品喫煙具ゴルフ用品万年筆紅茶ワイシャツ生地など特定品目追跡調査を行うことといたしまして、鋭意調査をやってまいりました。本年三月末までに調査が終了いたしました法人数は、最優先調査対象として百一法人優先調査対象二百四法人、合計三百五法人でありまして、それは総体の計画に対します進捗率は八一%であります。現在そこまで調査いたしております。
  9. 只松祐治

    只松委員 いろいろ御苦労があったと思います。最優先あるいは優先、こういうふうに分けて調査したという話でありますが、どういう理由なりあるいはどういう目途なりを置いて最優先優先に分けて調査なされましたか、そこいらをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  10. 磯邊律男

    磯邊政府委員 先ほど御答弁いたしましたように、特に円高差益というものを享受していると思われるその程度によりまして、それぞれ最優先優先、それから優先の中の追跡調査というふうに分けたわけでありますけれども、これは税務プロパーの見方でありますけれども、そういった業種が正しく円高差益申告に反映されているかどうかということをチェックしたいという観点からやったわけであります。
  11. 只松祐治

    只松委員 その中でまず、課税額ではなくて所得金額からお尋ねをいたしますが、把握された所得金額は最優先優先あるいはトータル幾らになりますか。
  12. 磯邊律男

    磯邊政府委員 現在三月末までに八一%の進捗率であるということを申したわけでありますけれども、この調査によりましてわれわれが把握いたしました追加所得、これは当初申告とその調査によって把握いたしました調査額との差、つまり増差所得でありますけれども、最優先調査対象業種につきましては五百九十七億円、優先調査対象分、これは先ほど申しました追跡調査分を含むわけでありますけれども、この優先調査対象分につきましては三百二十一億円、合計いたしまして九百十八億円であります。
  13. 只松祐治

    只松委員 九百十八億円と言いますと膨大なものであります。それから、八割ですから、さらに二割ぐらい出てまいりますと、一千億前後のものになるだろうと思います。いわばわが国の租税史上最大最高のものの増差が発見された、こういうことでございます。したがいまして、これに対する課税額も当然決まってくるわけでございますが、国税それから地方税、それぞれ出てまいります。  まず、国税それから地方税合わせまして、推計どのくらいになってくるでございましょうか。
  14. 磯邊律男

    磯邊政府委員 ただいま申しました九百十八億円につきまして、これを一つのパターンによって税額の推計をいたしたわけでありますけれども国税につきましては本税が三百三億円、また重加算税対象追加所得もございますから、この重加算税が五億三千万円、過少申告加算税が十四億三千万円、さらにまた延滞税一定の割合で計算いたしますと二十億二千万円、合計いたしまして、国税におきましては三百四十二億八千万円という数字になろうかと思います。
  15. 只松祐治

    只松委員 地方税は来てないけれども、わかりますか。
  16. 磯邊律男

    磯邊政府委員 さらに地方税計算いたしますと、地方税のこれは本税だけでございますが、本税で百五十一億円という計算ができるわけであります。したがいまして国税地方税を合計いたしますと、四百九十四億円という計算に相なります。
  17. 只松祐治

    只松委員 約五百億近い脱税が捕捉されて、財政でお困りの大蔵省は大分潤うという形にもなるわけでございますが、私はこれでも、大変御苦労だったと思いますが、あと中身も少しお聞きしたいと思いますが、まだ必ずしも十分なものではないだろうと思うのです。  というのは、私が去年論争をいたしましたときに、五十二年度で通関実績七百十六億ドル、五十三年度で八百十億ドル、こう仮定をいたしまして、五十二年度三十四円高、五十三年度三十八円高、こういうふうにいたしますと、まあ概算、五十二年度二兆四千億、五十三年度三兆七百八十億円。まあ全部が全部ずばりもうかるわけじゃありませんから、そのままの所得にはならないと思います。しかしその間におきまして、たとえば石油等におきましては、三カ月の備蓄が国の要請とはいえ六カ月になりました。あるいは、たまたま水島コンビナート事件等がその間に起こって、いわばこういう設備改善等が行われました。こういうものに膨大な資金が投入をされたわけでございます。あるいは電力会社やそういうところも設備改善その他が相当急速に進められたわけでございます。そういうふうに設備投資に刷りますと、必ずしもこれは利益とは見られない。また、その為替差益をどういうふうにというか、多少の御説明を受けたわけですが、当初の概算払い等の油の値段からあるいは為替円高によって生じたであろう利益幾らにするかという判断も、それはなかなか会社側との折衝等いろいろ容易ではないだろうと思います。にもかかわらず私は、もっと大規模なものであっただろうと思います。したがいまして、これは推測になると思いますが、そういうものなかりせば、いわゆる純粋に為替差益として捕捉したならばどのくらいの利益が出たというふうに国税庁としては判断されるでございましょうか。
  18. 磯邊律男

    磯邊政府委員 これは先ほど九百十八億円の追加所得把握があったということを申し上げたわけでありますけれども、こういった追加所得につきましては、御承知のように法人税計算というのは、一定の時期におきます総益金から総損金を差し引いたその差額について課税されるということになっておるわけでありまして、この中の総益金の中に占める円高差益によるその益金がどれだけ含まれているかということは、これだけを抽出区分するということは事実上困難な場合があるわけであります。したがいまして、先ほど申しました九百十八億円というのも、これが全額円高差益による利益であるというふうに考えることは私は正しくないというふうに考えております。同時にまた、この中で為替益による利益がどれだけかということを抽出するということは事実上困難であるというふうに考えております。
  19. 只松祐治

    只松委員 困難だと思いますが、確かに通関実績その他そういうものから見て、概算といいますか推測といいますか、というのは、来年度は五十三年度分のものも出てくるわけですから、そうするとそこでは油の備蓄等はなくなってまいります。当然にまた出てくるわけでございまして、今後の問題にも関連するから、国税庁が言うよりも本当は大臣あたりが政治的に答弁された方があるいはいいんだと思います。国税庁長官としては事務的にびしっとするということをしているから、大変酷な質問かと思いますけれども大臣で答えられぬなら結構ですが、どなたか得べかりし差益所得幾らであったかということのお答えをいただきたい。
  20. 磯邊律男

    磯邊政府委員 これは私ども調査に当たりましてのデータとして整理したわけでありますけれども経済企画庁の五十二年度の発表によりますと、円高による差益の試算というのは、電力につきましては九百二十五億円といった数字が出されております。それから通産省の方の数字といたしましては、五十三年度で九電力円高差益というのが約二千六百五十億円という数字が出されておることは承知いたしております。
  21. 只松祐治

    只松委員 くれはまた別な機会に、きょうは時間も余りありませんし、これ以上論議もいたしかねますが、大蔵省なりにできなければ今度は経済企画庁を呼びますが、本来出てくるであろう為替差益について御試算された資料をいただきたいと思います。  それから、これは大体五十二年三月から五十三年三月までで、あと二割ばかりいまから出てくるわけでございますが、五十三年の三月以降の分についても当然に調査が行われ課税が捕捉されることと思います。それをこちらがしなくて向こうから全部出してこられると調査する必要もないわけですが、しかしなかなかそうも簡単にいままでの情勢からいっていかないだろうと思います。引き続いて私は調査を求めますし、また努力お願いしだいと思いますが、そういう点についてはどういうお考えをお持ちでございますか。
  22. 磯邊律男

    磯邊政府委員 このたびの調査で私たちこれは非常に有効な調査であったと考えますのは、たとえば電力につきましてのかなり増差が出ておるわけでありますが、これは必ずしも円高差益による不正所得とかなんとかそういう問題ではありませんで、石油精製卸売業経理処理とそれからそれを購入する電力会社経理処理というものが必ずしも関連性がなかったというふうなことで、それぞれの経理処理に従っていままで申告がなされていたわけでありますけれども、われわれの調査におきましては、両者の経理処理関連性をつけた、それによって電力会社についてかなり大きな、これは期間計算とも言うべきものでありますけれども期ずれを修正し、適正な経理処理に直すことによってかなり増差を得たわけであります。  こういったことがありまして、一貫した調査あるいは関連企業を同時に調査するということは、非常に有効な調査方法であるということを私たちも痛感いたしたわけでありますけれども、そういった調査方法とは別に、今後こういった為替の著しい変動によりましていろいろと異常な利益を上げ、あるいはまた同時に、逆な意味においては異常な損失を受ける企業もあるわけでありますけれども、こういったことは今後のわれわれの調査重点項目一つであると考えておりますので、このたびの調査だけに限らず今後とも、こういった種類の調査を強化してまいりたいと考えております。
  23. 只松祐治

    只松委員 この調査に当たりましていろいろ御苦労も、初めてと言ってはなんでございますけれども、こういうケースは珍しいわけでございますから、あっただろうと思うのです。しかし国民の側から見れば、これだけの利益がある、あるいは、私が言うようにもっと隠された利益あるいは利益とみなすべきものが設備やいろいろなことに投資されたものがある。そういうものの中で、日常私たちが使いますコーヒー紅茶、あるいは化粧品喫煙具万年筆ゴルフ用品ワイシャツとかいろいろなそういうものがあるわけですが、そういうものの中でも下がらないでむしろ上がったものが幾つかあります。大変けしからぬ話でございますけれども、これはいまのこの計算から見ましても下がるべきだと思うのです。どこかにやはりもうけた者がいるはずでございます。調査の過程におきましてそういうものの実態がおわかりになりましたら、幾つかの例示をいただいてひとつ御報告をいただきたいと思います。
  24. 磯邊律男

    磯邊政府委員 ただいま御指摘になりましたように、円高にもかかわらず国内小売価格が下がってない、そういった場合の円高利益というものがどこで吸収されておるのかということも、私たち調査重点項目一つであります。したがいまして、先ほど申しましたようなコーヒー豆あるいは輸入化粧品、それから紅茶あるいはゴルフ用品喫煙具ワイシャツ生地、こういったものにつきましての追跡調査をいたしたわけであります。  その結果、その円高利益がどのように享受され、あるいは適正に申告されていたかあるいは申告されていなかったかということでございますが、小売価格が下がっていないものの多くは、輸入元卸売価格を引き下げてないために小売価格が下がっていないというのが大部分であります。もちろんコーヒー豆のように、国際価格が高いときに先物取引をいたしておりまして、輸入価格そのものがきわめて高かった、したがってそれが国内小売価格の引き下げに結びつくような余地がなかったというふうな問題もございますけれども、総体して見た場合には、これが輸入元においてその利益を享受していたというケースが大部分であります。     〔委員長退席稲村(利)委員長代理着席〕 さらにまた注目すべきは、これらの中には輸入元がリベートであるとかあるいは販売促進費等の名目で、卸売店あるいは小売店差益還元を行ったと認められた例もありますけれども円高による利益というものは総じて輸入元において吸収されていたというふうに思われます。また、追跡調査を行った輸入元法人のほとんどが申告所得金額が増加しておりまして、調査の結果、収入の繰り延べあるいは経費の繰り上げ計上などを行って当期の利益を過少に申告した例もございましたけれども、総じて税務の面で見た場合には大きな問題はなく、輸入元申告所得法人税の増益という形になって出てきたということであります。  なお、これを個々の商品について申し上げますと、たとえば輸入側が米ドルあるいはフランスフラン建てであるために輸入価格が下落したものというのが、化粧品ゴルフ用品万年筆、こういうのがありますけれども、その結果といたしまして化粧品ゴルフ用品等につきましては、輸入価格は下がったけれども輸入元卸売価格がさらに上がり、それから小売価格が上がって、輸入元利益はきわめて上昇した、小売店においてはその利益率一定だとか、それからまた、輸入スイスフラン建てであるために輸入価格が上昇したもの、あるいは輸入が円あるいはドイツ・マルク建てであるために輸入価格横ばいのもの、それからまたさらにコーヒー豆のように、現地価格が上算したために輸入価格が上昇したものといろいろあるわけでございますけれども、それぞれの形態に応じまして、輸入元卸売価格を上げたり下げたりあるいは横ばいにしたりそうすることによって、それぞれの価格が決まり、そして最終的には、その大部分利益というものは輸入元によって吸収されたものが多いということでございます。     〔稲村(利)委員長代理退席小泉委員長代     理着席
  25. 只松祐治

    只松委員 いまの説明にもありましたが、ドル建てだけではなくてマルクあるいはフラン等輸入をしておる、輸出をしておる、こういうものもあるし、今後も出てくると思うのです。これも私は後で第三次産業の問題でしますが、あるいは去年も海外におけるタックスヘーブン地域の問題でも多少提案したわけでございます。日本のように貿易立国では課税の捕捉も、いわゆる第二次産業中心として勤労所得法人所得にウエートを置いた税体系あるいは税務署のあり方では十分な徴税は今後一層不可能になっていく、こういうふうに私は思う。ぜひひとつそういう点にも御配慮をいただきたいと思いますが、マルクフラン建て等でどういう困難といいますか、あるいは問題にぶつかられたか、そういう面はどういうふうに処理され、また今後どういうふうに取り組んでいかれるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 磯邊律男

    磯邊政府委員 このたびの調査では、マルク建てあるいはスイスフラン建てあるいはフランスフラン建て、そういったことによって調査上非常に困難があったということは特に感じておりません。といいますのは現在、税務職員につきましては、最近いろいろな経済活動というものが非常に世界的にグローバルになってきておるということは承知しておりますから、税務職員に対しまして、こういった海外取引に関する実務であるとかあるいは為替取引に関する勉強であるとか、そういったふうな基礎的な教育をいたしておりますから、特に調査について困難があったということは感じないわけでありますけれども、しかし今後の問題といたしましては、やはり取引そのものが国際間にわたるケースが多うございますし、それからまた為替変動というものも今後かなりあろうかと思います。それからさらにまた、タックスヘーブン国によって意図的に脱税をやるといったような企業もなきにしもあらずでありますので、こういった国際間の取引の問題並びにそれに対する基本的な知識というものは、今後とも訓練をしていきたいと思いますし、同時に、国際間の情報の交換というものに対しては一段と努めてまいりたいと考えております。
  27. 只松祐治

    只松委員 先ほども申し上げましたように、まだ昨年度の五十二年度中の問題でも二割ぐらい残っております。あるいは五十三年度中の問題も今後出てくるわけでございますので、国民は大いに期待をいたしておりますから、ひとつ一層の御努力をお願いいたしまして、この問題については一応終わりたいと思います。  続きまして、この前も私はちょっと――それから、国税庁に初めて私は資料をお願いをいたしまして、産業構造の中における税収の問題、これを検討をしていただきました。きょうも余り時間がございませんから、これは根本的な問題ですからまた別な機会に、ときどき論議を進めてまいりたい、こういうように思います。  申し上げるまでもなく、ことし十五兆円、三九・六%からの公債が発行された。これは一口で言うならば財政の破綻、こういうふうに私は思うわけでございまして、そういうところから国民との問題も出てきておりますし、自民党の中にも消費税という問題も浮かび上がってきておるわけでございます。国税庁でつくっていただいたこれを見ましても、就業人口あるいは所得金額、いずれを見ましても第二次産業を第三次産業はすでに上回っております。これもいまの為替差益ではありませんが、国税庁が捕捉したものでも第三次産業は上回っておるわけですが、これもまたきわめて不十分である。もっともっとたくさんある。後でしていきますが、捕捉されておらない。海外におけるタックスヘーブンゾーンではなくて、日本国内におけるタックスヘーブンゾーンというものが膨大なものが出現しつつある、額に汗して働く者だけ、特に第二次産業中心の税構造に余りにも偏っておらないか、あるいは第二次産業から出てくる第三次産業でも、第二次産業関連の第三次産業課税がされておる、こういうふうに私は、私的に私の部屋においでになった人には常々指摘をいたしております。したがって、産業構造の変化というものが大きな問題になってきて、税制はそれに対応をしていかなければならない、こう思います。追ってこれは税調等とも論議いたしたいと思いますが、大臣なり主税局長は、現在の税制で十分財源を賄い得るものである、税体系を変える必要はない、その前提となる産業構造も昔のままでそんなに大きく変化はしておらない、そういう考えを変える必要はない、こういうふうにお考えですか、いかがです。
  28. 高橋元

    高橋(元)政府委員 仰せのように、産業構造の面から見ましても、それから家計が支出いたします消費の内容からいたしましても、サービス部門の割合というものが逐次増加してきております。現在で申しますと、ざっとした私の記憶で恐縮でございますが、家計の消費の中の三分の一から四割ぐらいはサービスの購入というものに充てられておろうかと思います。これは過去十年ぐらいの間にその割合がかなり増加してきております。  そこで、税制としてこれにどのように対応していくかという工夫の問題でございますが、所得税、法人税いずれにつきましても、等しい所得については等しい課税ということを基本といたしておりまして、最近のように財政の窮迫に対処いたしますために、税制面でも国民に対して負担の増加をお願いしなければならぬという時節でございますから、執行の面でもこれに対応していくような体制というものを十分考えてまいらなければならないと思います。私ども国税庁と毎年、執行面から税制に対して御要望をなさることについて十分ヒヤリングをして、第一線の税務行政のいろいろな困難というものの中から税制でくみ取ってこれに対応していくべきものというものを毎年協議をして、税制改正に織り込んでいくような努力をしてきておるわけでございます。  いまのお示しの問題は、第三次産業、ことに対個人サービス中心の第三次産業というものの収入の把握または事業の状態の把握というものをどうするかということに基本があると思うわけであります。累進税である所得税につきましては、総収入金額から必要経費を引いて申告をしていただく、法人であれば総益金から総損金を引いたものを所得として申告していただく、これがたてまえでございますけれども所得税の分野でも、たとえば事業所得、雑所得、一時所得につきまして源泉徴収制度、支払い調書の制度というものを拡充をして、それによって具体的に対応していけるような仕組みを考えてきておるわけでございますが、現在いろいろ問題があります。いま委員からも御指摘のございましたようなサービス産業等を中心としたものに対する税制の対応として、さらにそういう制度面の改善が可能であるかどうか、それ以外に新しい手法がまた可能であるかどうか、十分努力をしてまいりたいと思いますし、政府の税制調査会にもその辺の検討をお願いをいたしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 只松祐治

    只松委員 私の言っていることが理解されてないんだな。把握の仕方が違うのですよ。極端に言えば、金子さんやら私らは、一日働かざれば一日食うなかれということで生産第一主義、あるいは早飯、早ぐそ、早走りということで仕事をしろ、こういうことで生きがいを教え込まれてきた。ところがいまは生産ではなくて、日本では山田君や何かが努力をして、週休二日間ができるかできないかというようなことをいろいろやっていますが、いわゆる生産ではなくて非生産的な部面に、つまり余暇、あなたはレジャーと言っているが、レジャーではなくて、生産に従事しない期間にどう生きがいを見出すかということがいまからの一つの問題。これは生産年齢人口、それから高学歴になって二十二、三まで所得がない消費の生活、あるいは平均余命が長くなって生産に従事しない期間というものは非常に長くなってくる、あるいは家庭の機械化によって御婦人方が修繕や何かそういうものを一切やらない、あるいは銀行あたりのコンピューター、機械化があって労働時間が短縮される、そういうふうに基本的に産業構造、地球上のものがいろいろ変化をしてきているのですよ。そういう大前提に立った発想を私はしている。それに対応し切れないから結論的には、日本のいまの国家財政も破綻をしてきておる。税制がそれに対応し切れてないということを言おうとしておる。だから、いまの税体系部分的な問題を私は討議しようとしているのじゃない。
  30. 金子一平

    金子(一)国務大臣 経済構造全体がだんだんと変わってまいりまして、またいまお話しのように、生産に従事する人間が少なくてむしろ消費活動の面に重点を置いた活動がだんだんと盛んになってくる、そういうときに対応できるような税制といたしましては、いつも申し上げておることでございますが、やはり消費に担税力を求める消費課税に重点を置いていかなければいかぬ、ちょうどいまその時期に来ているのじゃなかろうか。これは日本だけのことではございませんで、程度の差はございますけれども、世界各国がやはり同じような傾向になってきております。日本だけは戦後のシャウプ税制による直接税中心の体系をとっておりますけれども、もうここら辺である程度この体系を見直して時代の流れにマッチした税制考えないと、あなたのおっしゃるように財政を支え切れないのじゃないか、私はこういう感じがしておりますので、一般消費税もそういう趣旨で私ども御提案申し上げているということを御了解いただきたいと思います。
  31. 只松祐治

    只松委員 大臣はすぐそういうふうにすりかえられるというか、一般消費税に飛びつかれるだろうと思う。しかし、消費税を提案されているのはそうではなくて、そういうふうに言えばもっと説得力があっただろうと思うけれども、国債が何とかとか、さっき主税局長が答弁したそういう技術面の点からこの一般消費税というものは提案されてきておる。だから、もう少し頭を使ったらどうだと私が教えておるのです。と言って、私たちは消費税は反対ですからね、賛成しているわけじゃない。  それはそれといたしまして、とにかくそういうふうに産業構造が変わってきておる。ところが、余暇や何かできるということは、地方やら国により多くの大きい政府、強い自治体といいますか、民主主義の徹底というものは権利意識、義務を伴うのだけれども、他人一人一人に対してはめんどうくさいから公共に対して強い要求をしてくる。そうすると、地方や国の財政支出というものはますますふえてくる。こういう社会形態、国家形態になる、また、おのずからなっていかなければどうしようもないということなんですね。そのときに、いま大きく第三次産業と言われておりますけれども、第三次と第四次に分けていったらどうか。私は経済学者ともいろいろ論争してみましたけれども、学問上そこまで言う気のある人はないようでございますが、税制面において少なくとも第三次の中を第一分類と第二分類ぐらいに分けていったらどうだ。第二次産業から出てくる通信、運輸、交通その他そういう第二次産品を扱ったりいろいろなことをするもの、分け方にはいろいろありますが、私が第四次とあえて言うそういうものには、たとえば教育、宗教、後でまた別な機会に言う公益法人、あるいは国家、地方自治体を除くいろいろな公共企業体、あるいは公益法人を除く各種業界の団体、組合、協同組合、そういうもの、これはどういうものかといいますと、ずばり言えば非課税地帯です、課税されておらないところですよ。  ところが、これは予備校から塾から何からそういう膨大なものがいわば教育産業ですよ。もう昔の概念の寺子屋式の人間を錬磨していく教育ではない。完全な教育産業ですよ。きょうは時間がありませんからやりませんが、宗教でも公益法人でも、私の指摘によって莫大な脱漏が発見されつつあります。これは繰り返し私が言ったけれどもなかなかしなかった、ようやくみこしを上げてされたら、それも発見をされつつあります。私が言うこれもほんの氷山の一角であって、もっと利益というものは出てきている。それでもなおかつ相当のものが発見されつつある。そういう非課税地帯というものがますます大きくなってきているのです。支出面は権利意識が高くなるにつれて非常に多くなる。ところが、海外におけるタックスヘーブンゾーンじゃなくて国内におけるタックスヘーブンゾーンというものをあなたたち自民党政府がつくっておるのですね。そういうことでは、私が言うように、勤労者と生産に従事する法人会社だけが重税を課せられてくる。その重税に反対されると今度は公債を発行してつじつまを合わせていかなければならない。こういう悪循環に陥っているわけですよ。  だから、そういう意味で徴税技術も、当面のあれですから一挙に全部変えられませんが、いま私が指摘しました為替差益の問題、あるいはその次に私が指摘しました公益法人の問題、そういう現在の徴税機構の中で徴税し得るもの、私はそういう必要は本来ないけれども税金を取ってやっているみたいなもので、自民党にはえらい貸しをつくっていると言われたけれども、余りにも不公平が大き過ぎる。家庭内職をすれば時給百円からかかる、年間二十万を磯邊さんにやっと三十万にしてもらいましたけれども。片一方、極端な例はトルコぶろ、ピンクサロンというようなものはほとんど捕捉されておらない。しかし、第二次産業で時間給百円で一生懸命に働いておる、こういう人、第二次産業調査が非常に厳しいから、そこの下請産業に働いておる家庭の奥さん方は、パートタイマーじゃなくて家庭内職でしておっても時間給百円からかかってくる。こういう大変な不公平、アンバランスというものが、いま非常に具体的なことを言っていますが、私が大所高所から言っておる産業構造の変化の中から起こってきておるのですよ。そういうことがほとんど討議されない。考えられないで現在の税法、税体系のまま、アメリカのような大国、資源の大きい国家から来たシャウプ税制のものをそのまま現在日本は適用してきておる。こういう事態というものを抜本的に見直す必要があるのではないかということを、時間を得ればあらゆる角度から言いますが、そういうことが、言える。  先ほどから申しますように、こういうタックスヘーブン第一グループあるいは第二グループというのは、たとえば医療保健、人権に関する弁護士さんとか税理士さんとか商社、こういういろいろなもの、あるいは、教養、趣味、これは茶道、華道、書道とかいろいろありますね、ピアノとかバイオリン、こういうもので皆さん方の御家庭の子供さんたちに使われておる費用というものは大きなものがあるはずです。しかしこういうものはほとんど課税対象となっておりません。あるいは美術、美容。Cグループとしてスポーツ、娯楽、遊技、ギャンブル、対物対人のサービス業、そういういろいろなものがあります。  消費税で一つここに例を挙げますと、たとえばパチンコには税金がかかっております。このごろ不景気になってパチンコははやらなくなってきた。それで減税してくれ。ところが、いまどんどんはやっておるインベーダーについては、数十万円の器械でありながら一銭の課税もされておらない。なぜされておらないか。あなたが得たり賢しとまた言うでしょうが、これはいわゆる個別消費税になっておる、物品税で一般消費税ではないですから、法定主義に基づいて法律で指定しなければインベーダーには課税することはできない。ところが、古いパチンコにはかかっておる。こういうことで、個々のそういう面をとってみましても、社会の近代化にいまの税体系というものでは対応し切れなくなってきているわけです。  そういうことを私は全体として言っておるので、多少くどくなりましたけれども、もう少し真剣にあるいは抜本的に税体系、税法というものをお考えになる。消費税というふうに逃げてその問題だけに転嫁するのではなくて、抜本的な問題も提案していると同時に、いま為替差益の問題を提示いたしましたけれども、現実の税法の中の問題も私は提示しているわけなんです。そういうふうに基本的な問題と当面の税法における問題というものがあると思うのです。そういうところをもう少しお考えになったらどうですか、こういうふうに言っているのです。
  32. 磯邊律男

    磯邊政府委員 税制に関する御質問でございますが、その前に若干、税の執行面から答弁させていただきます。  確かに先生御指摘のように、サービス業に属します法人の数というものは最近著しく増加しております。これを昭和四十二年度と昭和五十二年度で見ますと、サービス業に属する法人の数は、昭和四十二年度では六万七千件であったものが、五十二年度ではその二・三倍の十五万三千件となっておりまして、全産業に占める構成割合は八先から一〇・三%と増加いたしております。それからまた所得について申し上げますと、昭和四十二年度にはサービス業に属する法人所得金額は千九十一億円でありましたのが、十年後の昭和五十二年度ではその六・四倍に当たる六千九百二十五億円に増加しておりまして、また、その全産業に占める構成割合も二・八%から四・六%というふうに高くなっていることは事実でございます。  こういったいわゆるサービス業に対する調査の問題でありますけれども、こういったサービス業といいますのは一般的に申しまして、非常に税務調査上われわれも苦労している面が多いわけでございます。といいますのは、こういった業種というのは、施設数あるいは従業員数等の外形的な規模から見るだけではその事業形態の実態がつかみにくい、それから同業種間において価格が必ずしも一定していない、それから不特定多数の顧客との間の現金取引が大部分である、それから開廃業あるいは経営者の交代が頻繁である、こういうふうに税務調査上、他の業種には見られない困難な問題があるわけであります。しかも加えて、今後ともこういったサービス業に属する業種、特に先生御指摘の第四次産業でありますか、そこがふえることは予想されるわけでありますけれども、私たちとしては、こういった税務上の調査の問題点を踏まえまして、限られた人員でございますけれども、こういったサービス業の開廃業の資料を収集していく、それからこういった業種に関する有効な課税資料を収集していく、それからまた新たに発展してきました新しいサービス業があるわけでありますが、こういった業種につきましては新しい調査技法を開発していく、それからまた問題のある業種につきましては特に重点調査業種に指定いたしまして、その的確な調査をやっていくというふうなことで、調査対象の選定とそれから調査技法の開発ということに努めてまいりたいと考えておるわけであります。御指摘のように今後のわれわれの調査の重点というものは、そのシェアも大きくなるし、同時にまた所得の額も大きくなってくる、こういった第三次産業に対する調査というものはより充実していかなければならない、かように考えておるわけであります。
  33. 只松祐治

    只松委員 実際上徴税されておる国税庁は大変だと思うのですね、いまその一部を言われましたけれども。だから私は、調査、徴税だけではなくて、いましておる抜本的なことを考えなさい、こう言っているのです。  ついでにもう一つ最後に行っておきますが、たとえばリース業というのがあります。これもいま新しくどんどん出てきている。リースと簡単に言いますけれども、金のリース、物のリース、人のリース、いろいろあるのです。たとえば金で言えば、いま増大している信販あるいはクレジット、あるいは問題になっているサラ金や庶民金融もそういうものだと思う。それから物と言えば、自動車、機械、家具、備品、たとえばスーパーマーケットは人と家だけで、中にある設備の一切、台から計算機まで全部リースなんです。そういうものが多いわけです。これは金の使い道が余りない大銀行がリース会社をつくりまして、物を買ってぽんと安全なダイエーやヨーカドーやこういうところに貸す、そこにリース業というものが生まれてくるわけなんです。あるいは人というのは、警備保障から始まりまして守衛さん、あるいは三井、三菱等の大会社のキーパンチャー、タイピスト、こういう人も、下手な社会保障制度や何かの金を含むよりちっと給料が高くても一時的に使えればいいわけですから、こういう大会社あたりのそういう女事務員等に相当の人を派遣しておるわけです。  こういう同じリース業といいましても、全然私たち考え及ばないようなそういうものがある。そういうものの所得というのは一体どういうふうになっているか。これは何人そこで働いてどうしているか、恐らく国税庁あたりも調査しておられないだろうと思いますけれども、あるいは、物をつくるのじゃなくて物をぶち壊す、廃棄物、清掃、こういうもの、消費だけでなくて破壊する産業というものも出てきているわけです。  ところが、封建主、義時代は地租であり、明治から第二次産業であり、いまも依然として第二次産業中心税体系と徴税行政、先ほど長官が報告しましたけれども、苦労しながら第三次産業と第四次産業と言われますそういう一部に手をつけ始めたということなんです。しかし一方、私がたった一つ挙げましたけれども、家庭内の奥さん方が、あるいはパートタイマーで行けばそれを取られるし、妻の控除というものがなくなってきてしまう、こういう厳しいものがある。たまたま私はきょうは、前から言っておりましたそういう意味為替差益のあぶく銭を取りなさいということで、これも十分ではありませんが、御努力を感謝いたします、届いたわけですから。今後もひとつぜひそういう面に対する現行税法における徴税というものを正しく行っていただきたい。決して厳しくとは言いません、正しく行っていただきたい。  あるいは、私が若干問題を提起いたしましたように、本当はこういうことは税制小でやるべきで、税制小をやろうと言ったら、今度も三時間で、一人三十分だ四十分だということで、こうやって大局しか申し上げられません。大変残念ですが、この委員会でも、二時間か三時間時間がありますれば、こういう問題ももっと理論的にあるいは具体的に問題を提示いたしまして、じゃ、こういう税金を取っていますか取っていませんか、どうしますかということで、お互いの論議が前向きに進んでいくと思う。だから、ぜひひとつ小委員会等も活用して、決して非難攻撃だけが委員会のあれではないと思うのです。やはり国民の代表として前向きに、そういう社会なら社会に対応していく問題についてお互いに論議を深めてまいるべきだと思います。  そういう意味で、ほんの一端を申し上げたわけでございますが、ぜひそういう角度から今度は主税局なり税調が、私はこれも言っておりますが、消費税だけの問題ではなくて抜本的にひとつ税体系考える、そういうことをしていただきたいと思います。  以上で終わりますが、御所信だけをお聞きしておきます。
  34. 金子一平

    金子(一)国務大臣 只松さんから、大変積極的な御提案をいただいて感謝しております。     〔小泉委員長代理退席稲村(利)委員長代理着席〕  御趣旨に沿うような方向で、執行面におきましてもまた税制面におきましても、さらに今後検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  35. 稲村利幸

    稲村(利)委員長代理 村山喜一君。
  36. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は初めに、わざわざおいでをいただきました日銀の中川理事質問をいたしまして、その後、経済企画庁やあるいは大蔵省のそれぞれの担当者に所見をお尋ねいたしますと同時に、最後に大蔵大臣の所見をお尋ねいたしたい、こう考えております。  そこで、中川参考人には大変お忙しいところをありがとうございました。  第一点は、日銀はこの四月十七日から公定歩合を〇・七五%引き上げたわけでございます。この引き上げは、従来伝統的に暑気、物価あるいは円レートの問題を一つ金融政策的な目標としてとらえているわけでございますが、今回は、国債の価格安定を金融政策の目標に追加したと受け取られるような内容だというふうにも言っているわけでございますが、これについてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  37. 中川幸次

    中川参考人 ただいま御質問ございましたように、私ども日本銀行は、先月の十七日から公定歩合を〇・七五%引き上げたわけでございます。その引き上げの趣旨は、議長談でそのとき発表もいたしましたように、主として最近におきます卸売物価の急騰に対して、それの消費者物価等への波及をできるだけ未然に防止し、インフレの再燃をさせないという趣旨でございます。  御承知のように、卸売物価は昨年の十一月に上がり始めまして、特に四月の上昇は前月比一・七という非常に急騰になりました。こういう状況にかんがみまして、それを放置しておきますと――最近におきます物価の上昇は、輸入価格の上昇とかあるいは円安とかいった海外の要因に基づいて上昇したものがかなりございますが、これをそのまま放置いたしますと、やはりインフレ心理をある程度拡大させて、それが国内物価の上昇を加速させるという心配があったものですから、そういうことを未然に防止するために公定歩合を引き上げた、これが主たる趣旨でございます。  それで、ただいま御質問の国債価格の安定を公定歩合の引き上げのねらいにしたかという点に対しましては、私どもとしてはそういうことを直接ねらいとして公定歩合を上げたつもりはございません。ただ、その当時におきましては、国債の金利がどうなるか、先高感が相当ございましたし、不透明感が強うございました。そういう段階で国債の値下がりがかなり大きかったというふうに思います。公定歩合を引き上げました結果、金利について当面一応のめどがついたということが国債価格の安定に役立つということは考えられますが、国債の価格安定のために公定歩合を上げるということは、趣旨としては全くございません。
  38. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 結果としてはそういうような形で安定のために役に立ったわけですが、しかし、伝統的な金融政策の目標の中に追加するという考え方はないわけですね。
  39. 中川幸次

    中川参考人 はい、さようでございます。
  40. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで日銀は、国債の買いオペの実施方法を全面的に改める方針だというふうにお伺いをしますが、これは国債相場を支えるためにそういうようなことをおやりになるのでしょうか。
  41. 中川幸次

    中川参考人 私ども昨年の一月から債券を買いますときに、それまでは取引所の相場を基準にいたしまして買い入れておったわけでございますが、昨年の一月からは入札による買い入れに改めたわけでございます。そしてその方針のもとに、昨年の六月、八月、十二月と三カ月、四回にわたりまして、約一兆二千億の買いオペを実施いたしました。  過去一年間のそういった経験を振り返って反省いたしてみますと、ある特定の月に集中いたしましてまとまった買いを入れる、結果といたしまして市場の振れを大きくしがちでございまして、若干撹乱的な要因があるのではないかということが一つ反省されたわけであります。それからもう一つは、買い入れのオファーをいたしましてから実際に買い入れるまでに営業日で十日以上もかかるというふうないままでのやり方でございますと、その間にいろいろの思惑も入りまして、国債の取引が停滞するということもある程度認められたわけで、そういう点の反省に立ちまして、いまの入札は続けますけれども、私どもはこれからそういった撹乱的要因をできるだけ回避いたしまして、債券市場の機能が正常な状態であるということを確保するために、買いオペをできるだけ小口にする、一回に買います額は小口で、そのかわり回数もふえるというやり方にし、かつ、買い入れの期間も、オファーいたしましてから買い入れを実行するまでに大体三日間をめどにいたしておりますが、そういうふうに非常に短縮する、今後機動的に買いオペをやっていきたいということを検討しているわけであります。まだ実施したわけではございませんけれども、これからやる場合にはこういう試みをやってみようかというふうに考えております。  そこで、それは国債価格支持ではないか、こういうふうないまの御質問につきましては、私どもが昨年、大体一兆二千億買いましたのは一応成長通貨の範囲内ということで、一兆五千億の増発に対しまして実績としては大体一兆二千億の買い入れになったわけでございます。そういう基本的な方針と申しますか、金融調節のために債券の売買を行うという方針については全くの変更がございませんので、新しい買いオペで国債価格を支持するというのではなくて、やや技術的な改正と申しますか、市場の振れを買いオペによって撹乱的にさせない、なるべく振れを小さくするということをねらいとしたものでございます。
  42. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それは成長通貨の範囲内でオペレーション政策をとることは当然でございましょうが、そうなってまいりますと、五十四年度は大体買いオペの対象はどれぐらいだというふうにお考えになっていますか。
  43. 中川幸次

    中川参考人 まだ五十四年度が始まったばかりでございますので、確たる数字は申し上げかねますが、非常に大ざっぱな感じを申し上げますと、成長通貨がことしどれぐらい出ますか、昨年一兆五千億に対しましてことし増発がややふえぎみでございます。それを若干上回った額というのは一つのめどになるかと思います。あるいはまた、年間の金融市場におきます資金不足の額といたしましては、これも財政の支払いあるいは国際収支の状況いかんによりまして相当大きくふえますので、確たる数字は申し上げかねますが、大ざっぱに予想いたしますと一兆五千億前後というふうなことも考えられます。それ以下というふうに御了解いただければ結構でございます。
  44. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、何か表面利率が六・一%のいわゆるクーポンの国債を集中的に買い上げるということで大蔵省と協議をされているやに聞くのでございますが、それは事実でございますか。
  45. 中川幸次

    中川参考人 ただいま市場に出回ります、これから特に出回ってまいりますものは、昨年一年前に発行いたしました六・一%ものの国債が非常に多うございます。そういう意味でそういうことから当然に、これからの買い入れは六・一%ものが多くなるだろうということは言えるかと思います。しかしながら、六・一%だけを買うということを大蔵省と御相談しているということはございません。結果的にはそういうものが多くなるだろうと思いますが、情勢によりましてはもう少し違ったものも当然対象に入り得るというふうに御了解いただきたいと思います。
  46. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それだけに限定をするということはあり得ないことはよくわかっております。しかし、六・一ものが今日の国旗の低迷をもたらしていることは事実でございますから、しかも発行量も多いのですから、これを集中的にやるというのは、やはりオペレーションの政策としては当然ではなかろうかという気がいたしたので、私は集中的にという意味をそういうような意味で申し上げたのです。それはやはりそれの方向に結果としてはなるというふうに見ておってよろしゅうございますね。
  47. 中川幸次

    中川参考人 結果としては先生のおっしゃるようになるだろうと思います。
  48. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、金利が上がれば債券の価格は下落をするというのはこれは鉄則でございますから、日本銀行は通貨の番人の責任者として、今日の円安という問題をどのように評価をして、そして日銀としてどのような対策を今日まで講じておいでになったのか。いろいろ新聞やその他の経済関係の雑誌等を見てまいりますと、外為市場でドル売りの円の買い支え介入をずっと続けているんじゃないかというようなことが報道されておりますが、やはり一定円高傾向というものに持っていくために措置をとられているのではないだろうかと思うのでございますが、従来とっておいでになりました円レート対策の問題、並びに、この問題については日米間の協調介入を、すでにアメリカに円買いの介入を要請しているというふうにも承るのでございますが、ランブイエの会議の協調の精神に基づいてそのような日米協調介入の問題が現実の課題としてとられているのであろうか、また今後おとりになろうとしているのがございますか、あれば、日銀の方針を承りたいのでございます。  なお、国債の買いオペレーションの実施方法を全面的に検討中だとおっしゃいましたが、その検討の結論はいつごろお出しになるのか。大体常識的に見たら、先ほど御説明をいただいた三項目については、これは正常な考え方であろうと私たちも理解ができるわけでございますが、その検討中の結論はいつ決定をされるのか。きょうは日銀政策委員会が開かれておりますが、きょうあたり御決定になるつもりでございますか、お答えを願いたい。
  49. 中川幸次

    中川参考人 御質問の最後の点でございますが、内々の方針は私どもとしてはもう決めていると御了解いただいて結構でございます。ただ、現実に買いオペにまだ出動いたしておりませんので、新しいやり方の買いオペがまだ行われていないという意味で検討中というふうに申し上げたわけでございます。私どものそういうやり方は、いろいろな試みでできるだけなるべくいいかっこうにしたいと常々考えておりますので、余り固定的に考えずに、情勢に応じてその場その場でなるべくいい方法でやりたいということから、新しく出る場合に必ずいま検討しておる線で出ると確言しかねましたので、検討中というふうに申し上げたわけであります。     〔稲村(利)委員長代理退席、小泉委員長代理着席〕  そこで、初めの方のお尋ねの円相場でございますが、円相場は確かに御指摘のようにこのところ円安になってきております。けさほどの相場は、十時半現在でございますが、二百十九円二十銭というふうになっております。最近、昨年の十一月以降円安のテンポがかなり急速でございますが、基本的にはこの傾向は私どもといたしましては、アメリカの国際収支がだんだん改善しているということと、それよりもなおもっと大きな要因といたしましては、日本経常収支黒字が顕著に縮小しているということ、それから長期資本の流出が相当巨額なオーダーで続いている、したがって基礎的収支あるいは総合収支ではこのところ十億ドルを上回る大幅な赤字が続いているということが基本にあると思います。それに加えまして、石油の値上げということは世界的にいろいろなところでニュースになってまいりまして、石油輸入に全面的に依存している日本の経済としては恐らく石油に弱い、そういうところから、石油が上がれば円安になるのではないかという市場の推測がそれにさらに円安を加速している一因になっているのではないか。加えまして最近、そういうふうになってまいりますと、先物が余りディスカウントと申しますか円高でなくなってまいります。そういたしますと、アメリカの金利水準は非常に高くなって日本の金利水準はまだ非常に低い、金利差が大きくあるわけであります。その金利差を求めましてアメリカに短期の金もかなり流出しているというふうなことから、外国為替市場でのドルの需給がドルにタイトになっているということが円安の基本的な原因ではないかというふうに思います。  こういう傾向は私どもといたしましては当面、国際収支がいま申し上げました傾向が変わらないような気配にあるということから見ましても、円相場がどちらかと言えば円安に傾きがちになるということはやむを得ないと思います。しかしながら、この最近のテンポは私どもといたしましては、やや行き過ぎではないかというふうな感じを持っておるわけでございます。円安が行き過ぎますとどうしても物価に悪い影響が出てまいります。余り円安から物価上昇を加速しないように、物価面からできるだけ安定するということをひたすらこいねがっているわけでございますが、御質問のように昨年の十一月以降は日、米、独、スイスの四カ国で協調的に相当介入しまして、強力な介入をいたしまして為替の安定を図っているわけでございます。私どもも、そういう国際協調の線からもできるだけ円相場が安定するように今後とも努力してまいりたいと思います。  なお、最後の御質問日米間の協調介入の問題につきましては、私がお答えする立場ではないと思います。大蔵省の方に御質問いただければと思います。
  50. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大蔵省は五月の十一日に、円安抑制のための資本流入を促す七項目の総合政策を発表いたしました。いま中川理事の方からこれは権限外だ、こういうことでございますが、アメリカに対して円買いの介入の要請をいたした事実がございますか、ございませんか。
  51. 金子一平

    金子(一)国務大臣 円の買い支えの要請をする、しないということじゃなくて、為替レートが急激に動くようなときは従来から、お互いに協調して支持をいたしましょう、こういう話し合いになっておりますので、そういう趣旨であるいは向こうはやっておるのかもしれませんが、きょうは専門家がおりませんので、基本的な考え方だけ私から申し上げておきます。
  52. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 財政面からは不況克服のためにというので景気刺激政策がとられておる。そうして、東京サミットでは内需拡大要請があるということが新聞でうわさをされております。なお、五月の二日の大平・カーター共同声明を見てまいりますると、この中の十四項に、この目的を達成をするために総理大臣は次の政策を遂行することを確認をした。その中に、「日本経済成長を維持するにあたり、より内需拡大に依存するような移行を促進すること。」第二に「日本の市場を外国品、特に製品に対し一層開放すること。」こういうような共同声明が結ばれて、そのことは確認をされているわけでございます。そういうような意味において、大平・カーター共同声明内需拡大と市場開放は明記されている。  これに対しまして、ちょうど三月の二十八日に日銀の森永総裁は記者会見で、米国の内需拡大要求に反論を加えて、これ以上内需拡大策をとればインフレになる、インフレにしてまで黒字を減らせというのは適当でないという意味の記者会見をされております。なお、五月の二十三日には新聞を見るところ、黒字減らしはほぼ目標を達成をした、どの程度の黒字幅を維持するかは政府が検討すべき問題だが、これ以上政策的に黒字減らしを進めることは日本にとってはマイナスである、経常収支黒字幅が予想以上に縮小をした、こういうようなことを講演をされているようでございます。  そこで私は、財政では景気刺激をとりながら金融では引き締め、こういう立場から通貨の安定が果たしてできるであろうかということに対して、日銀としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えを願いたいのであります。
  53. 中川幸次

    中川参考人 ちょっと正確に記憶いたしておりませんが、総裁が三月に記者会見でいま先生のお話しのようなことを言われました趣旨は、最近におきます景気の状態、特に昨年の暮れ以降内需かなりふえてまいりました。民間の設備投資もある程度ふえておりますし、個人消費も堅調である、加えて財政からの金もまだ刺激要因として続いているということから、輸出あるいは輸入は景気にはマイナスに影響いたしておりますが、全体としての景気はかなりよくなっている。そういう段階におきまして内需をさらに非常に強く拡大をすれば、インフレの危険がかなり大きいというふうなことの趣旨ではないかと思います。私どももその当時そういうふうに考えておったわけでございます。  それで御承知のように、四月になりまして公定歩合を引き上げてインフレを未然に防止するという対策をとったわけでございますが、個人的な解釈でちょっと恐縮でございますが、アメリカの内需拡大という意味は私の解釈では、それは成長率がどの程度になるかということはそのときどきの経済情勢あるいは世界経済によって異なると思いますが、長期的に見まして日本はどちらかと言えばこれまで輸出主導で、あるいは輸入は比較的少ないというかっこうで成長を遂げてきた、そういう経済構造産業構造を今後はどちらかと言えば、余り経済成長輸出に依存しないとかいうかっこうで、内需重点で経済成長をすべきではないかというふうな趣旨ではないかと私自身は了解をいたしております。その真偽のほどはちょっと私としてはわかりかねます。  それから最後の、黒字減らしは目標を達成したというふうな、これは先日の記者会見で総裁が記者の質問に答えまして、最近の経常収支黒字の縮小は非常に顕著なものがあって、ほぼ経常収支面で言えば均衡圏内に入っているのではないかというふうな趣旨のことを申し上げたわけであります。数字を申し上げますと、五十三年度といたしましては経常収支は百二十億ドルの黒字になったわけでございますが、ただ、その年度中における経緯はきわめて顕著な変化を示しておりまして、上半期におきましては大体、経常収支黒字は月々十五億ドルないし十六億ドルという非常に高い水準でございましたのが、十-十二月からは緊急輸入かなり入ってきたということはございますが、月平均いたしまして七億ドル、一-三月は一億ドルという黒字になったわけでございます。特に三月につきましては、季節調整いたしました後の経常収支は二億ドル弱の赤字、四月は四億ドル強の赤字というふうに、過去二カ月間は赤字になっているわけであります。そういうことが先ほど申し上げました円安の大きな背景になっているわけでありますが、先行きいろいろな指標を見ましてもいまのところでは、輸出が急速にふえてさらに経常収支のかっこうが大きく変わってくるということは、ちょっといまの段階ではそう目先の問題としては予想されないわけでございます。そういうことから見まして国際収支の姿は、全く季節調整をしたかっこうで見ればもう均衡圏内にいまのところは入っているではないかという判断を総裁として示したものと了解をいたしております。
  54. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣、私たちもそういうふうな見方に立つのですが、七八年の経常収支黒字が百六十六億ドルあった。     〔小泉委員長代理退席委員長着席〕 その長期資本収支は百二十三億ドルの赤になっている。いまも説明がありましたように、ことしになりましてからは一-三月の間は一億ドルしかない、三月が赤字になっている、こういうような状況の中で円安という状態が生まれてきたんだ。とするならば、そういうような内需拡大産業構造上の問題として、輸出をできるだけ抑えて、そして輸入をふやすようにしてもらいたいということになってまいりますと、円の価格を安定的に高目に維持をするという政策が当然必要になってまいるわけでございます。そういう意味から、大臣としてはどのような措置を、それぞれ大蔵省の事務当局の方に命じて円のレートの問題を措置をされているのか、もし御説明ができるならばこの際承っておきたいと思います。
  55. 金子一平

    金子(一)国務大臣 大平・カーター声明のあなたがいま御指摘になりました趣旨は、従来ともすると日本経済構造としては、貿易中心輸出中心の経済になっておりまして、日米間で言えば過度の黒字日本に偏り過ぎる、そういう傾向をお互いに努力して正常な姿に持っていこうじゃないかということが基本的な考え方でございます。最近におきましては、いまもお話がございましたように、三、四月からもうすっかり貿易黒字は減りまして、むしろ赤字になっておるというような状況でございますから、考え方として私どもは、内需刺激をどんどんやれということは、やはり時々に応じて必要なときはやらざるを得ませんけれども、今日のような状況のもとにおいては、これ以上財政面からの国内景気の刺激策をとる気持ちはありません。むしろ、できれば公共事業等予備費も凍結してしまいたいというぐらいの気持ちを持っております。  それで、円レートは幾らがいいか、どの程度の価格で支持すべきかということは、私どもが公に口にすべきことではございませんけれども、大平さんも言っておりますように、少し行き過ぎがあると私ども考えております。大きな変動によって経済全体に響くことのないように極力安定的に持っていきたいということで先般、為替関係、外資関係の七項目の発表をいたしましたが、それはそういう趣旨に基づいて極力、国際経済関係の安定を図るための措置をとった、こういうふうに御了承をいただきたいと存じます。
  56. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 中川さんに最後に一点だけお尋ねをして、お答えをいただいたらこれでお帰りをいただいて結構でございます。  長短金利のゆがみがあるというふうにお考えになっているのか。あるとするならば、修正のための措置をお考えでありますか、どうですか。
  57. 中川幸次

    中川参考人 なかなかむずかしい問題でございまして、御質問の趣旨は、長期金利が高すぎて、短期金利が低い、その間格差が非常に開き過ぎているじゃないかという御趣旨かと思いましたが、これまでのいろいろな金利体系の動きから見まして、最近の水準は確かに御指摘のように、短期金利よりも長期金利の方が割り高になっておるというふうに思います。  ただ、こういうふうになっている背景には御承知のように、何と申しましても昨年度十兆、今年度さらに十兆以上の民間への国債発行がある、つまり長期資金については資金需要がきわめて旺盛である。反面におきまして短期資金の方は、金融機関はかなり貸し出し意欲が旺盛でございますが、たとえば今年度につきましては十五兆円という大きな散布超過が予想されておる、そういうふうに財政からも相当金が出ております。加えて、企業はある程度減量経営の姿勢にございます。そういうことから申しまして、短期金利の方はどちらかと言えば、供給超過で需要が少ない、そういうことの反映かと思います。これがゆがみと言えるかどうか。やはりある程度そういう資金需要の実態をあらわしているのではないかというふうに私は思います。
  58. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 資金需要の関係なんですが、それを修正をしようという試みがありますかどうですかということを言っているわけです。
  59. 中川幸次

    中川参考人 特に私どもとしては、それを修正しようとする試みは持っておりません。
  60. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 どうもありがとうございました。  それでは次に、経済企画庁の物価局の坂井審議官見えておりますか。――そこで、最近の政府の物価目標というものは、卸売物価指数に見てみた場合には、この四月の一・七%、年率二二・四%、昨年の十一月以降連続六カ月の上昇率を見てみると年率で一〇%もある。今後国鉄運賃の値上げ、あるいは石油の値上げ分、あるいは増税分、あるいはたばこの法案が通ればたばこの値上げ、そういうようなものの関係、物価上昇の要因というものは次から次にあるわけでございます。こういうような状態の中では、もう新年度に入って一カ月で破綻をしてしまったのではないだろうか、こういうような悲観的な見込みが非常に強まってまいりつつありますが、経済企画庁としては物価に対する見通し、これは経済見通しの中で決めたような形の中で、これからもやっていけるという自信を現在の時点においてもなおお持ちでございましょうか。
  61. 坂井清志

    ○坂井政府委員 いま先生御指摘のとおり、最近の物価の動向はかなり厳しいものがございます。もちろん消費者物価の方につきましては、きょうまた新しいデータが発表になりますが、それらを含めましても、まだ近年になく落ちついた調子が続いておりますけれども、卸売物価の方につきましてはいまおっしゃいましたように、一つには、原油等の海外一次産品価格の上昇、また、最近の為替相場の円安傾向、さらに、国内の需給関係改善といった要因から、最近かなり大幅な上昇を続けておりまして、卸売物価の前途は警戒すべき情勢にあるというふうに私どもも認識をいたしております。  こういった情勢でございますので、政府としては早目早目に対処して、機動的、弾力的にこの物価問題を何とかできるだけ安定の方向に持っていきたいということで、すでに二月の末に物価担当官会議を開きまして、いわゆる八項目の対策を決めまして、現在その推進に努めているところでございます。特に石油製品につきましては、通産省の方にもお願いをいたしまして、いろいろ監視を強める、あるいは便乗値上げの防止、不当な取引制限的行為の防止といった方面に力を入れてもらっております。公定歩合の引き上げにつきましても、先ほど来御議論のあるところでございますし、また、つい最近に至りまして、通商産業大臣並びに経済企画庁長官の方から産業界の代表者に対して、供給の確保、生産性の向上といったことの努力をお願いいたしますとともに、便乗値上げ、そういったものを自粛していただくという要請を強く行ったところでございます。  情勢かなり厳しく、また私どももそれなりに対処をいたしておりますが、これから先さらに追加的にどういった重荷が加わってくるか。公共料金の方につきましては大体見通しははっきりしておりますけれども、特に海外面から来る要因につきましてはなかなか見通しは困難でございますが、卸売物価の方につきましては、こういった状況からして、私ども昨年十二月に立てました五十四年度の一・六%程度の上昇という目標を達成するのは、確かに非常にむずかしい情勢になってきておるとは思います。しかし、まだ年度当初でもございますし、今後の内外の要因がどういう方向に動くかということにつきまして、まだ確たることを申し上げる段階にはございません。  消費者物価の方につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、現在のところ安定を続けておりますし、今後卸売物価の方からある程度の波及が出てくるということは覚悟しなければなりませんけれども、官民一体となった努力、これを今後も大いに続けるということによりまして、その波及もできるだけ小幅にとどめるという努力を重ねまして、これは五十四年度の上昇の見通しが四・九%でございますけれども、現在のところ、まだこの四・九%という目標がそれほど不可能であるとかいった情勢にはなっていないと私ども考えております。まだ私どもが十分努力をすることによってこの目標を達成できる、大いにその方向努力をしたい、このように考えております。
  62. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 消費者物価指数は、この前四月の東京都の区部の速報は出ておりましたが、対前年同月比で二・五というきわめて低い数値にとどまっておりますが、大体全国的にも同じようなことが言える見込みでございますか。とするならば、消費者物価へのはね返りのタイムラグの問題が、従来は三カ月ないし六カ月ではね返っていくような構造でございましたが、これが延びてきているというふうに見ていらっしゃるのでありましょうか、その点についての考え方。  それから、三月に物価担当官会議をやられたということも聞いております。それから経済企画庁長官や通産大臣が経済四団体に対して値上げをしないようにという申し入れをされて、協力をするということの意思表示がされたということも承っております。しかしながら、これは今後企業の物価指向性についてはそういうような意味でチェックをすることができたといたしましても、石油価格の値上げあるいは量の制約、そういうようなものから来るインフレの危機という問題や、あるいは国債の増発等に伴います財政インフレ面から来るそういうような問題や、あるいは内需拡大政策をとれと迫られる国際的な圧力、こういう中で、一体いまの供給制約による需要インフレというものが避けられるだろうかというような問題もございますし、有効需要政策が果たして現在のこういう状況の中でとれるだろうかというような問題がございますが、最後にお聞きをしたいのは、物価問題に関する関係閣僚の会議というものが内閣には確かにございます。しかし、それが開かれたという話は聞いていないのでございますが、とするならば大平内閣は、物価問題に関する関係閣僚会議というものは開かなくても、今日の状況であるならば物価は経済見通しの上においても狂いはない、政治の責任においてはいまだそういう危機的な状況にないというふうに判断をしていらっしゃるのでありましょうか、その点もあわせてお答えを願いたい。
  63. 坂井清志

    ○坂井政府委員 なかなか広範な問題の御指摘がございましたが、最初におっしゃいました卸売物価から消費者物価への波及と申しますか関連の問題でございますが、従来一般にいま先生おっしゃいましたように、三カ月から半年くらいのずれをもって波及をしてくる、こういうことがよく言われておるわけでございますが、これはあくまでも平均的、一般的な見方でございまして、たとえば現在卸売物価上昇の中でも、比較的に卸売物価の中の消費財的なものの上昇率というものは、全体の上昇率の中ではまだきわめて低い段階でございます。その卸売物価の中の消費財的なものが消費者物価の方に一番関連が強いわけでございますが、一方、消費者物価の中でも例の季節商品、野菜、果物等でございますが、この季節商品とかあるいはサービス料金といったもののウエートもかなりございまして、大ざっぱに申しましていわゆる一般消費財というものは、消費者物価の中で大体半分強という程度でございますので、そういった関連の薄さということもございますので、一概に三カ月とか六カ月ということでどうということはちょっと申し上げかねるように思われます。  それから閣僚会議でございますが、これは現在はっきり存在をいたしておりまして、つい最近で申しますと五月の十一日にこの関係閣僚の会議は開かれております。もっともこのときは、いま先生のおっしゃいました御趣旨とは多少違いまして、例の国鉄運賃の改定問題についての審議をお願いをしたわけでございます。その他年間に数回開かれております。なお、物価問題につきましては、ひとりこの物価問題の閣僚会議という場だけでなく、たとえば閣議、さらに経済対策閣僚会議、そういった場で十分御議論をいただくにふさわしい重要問題でございますので、そういった場においてしばしばこの問題は取り上げられております。
  64. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間がありませんのでこれ以上追及はいたしませんが、値上げのための物価問題に関する関係閣僚会議は開いたが、そのほかは開いていないというのでは、これは物価に対する責任を大平内閣は明確にしていないと私たちは言わざるを得ないと思うのでございます。  これ以上の問題は時間の関係で省きたいと思います。どうもありがとうございました。  そこで、いよいよ時間がなくなってまいりましたが、理財局長にお尋ねをいたしますが、この前三月の十六日に私が、国債と金融の接点の問題から資金の流れ等の問題を資金循環の立場から取り上げてまいりました。その後特に発言をされまして、運用部が三千億円の六・六%クーポンものを買い入れるということで、四月の三日に入金がされるということでございました。一体そのときの入札はどれぐらいの価格でこれは落ちついたのでございますか。
  65. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 三月の入札につきましては価格が六・六%国債につきまして、買い入れ総額三千三百二十五億円、これがコンベンショナル方式という入札方式によりましたために、最高が九十七円七十銭、最低が九十七円三十五銭、平均落札価格九十七円六十一銭という形で決着を見ております。
  66. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 第八回の利付債六・六%のクーポンものが、この入札価格の結果は、これは満足をするような価格でございましたか、それともこれは安過ぎるというふうにお考えになっていますか。
  67. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 私どもは平均九十七円六十一銭というものは、六・六%のクーポン債でございましたので、当時の私どもの感覚では意外に安く落ちてしまったなという感じを持ちました。
  68. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、この国債の発行条件も一・一%、三月も含めて大幅改定をされました。発行条件の改善が行われたことは事実だと私たちも見ておるわけでございます。そして、「当面の国債管理政策について」という七項目を五月の七日に発表をされているわけでございますが、この中で具体的に出てまいりましたのは、第一項の「シ団引受予定の十年利付建設国債を一兆円減額し、資金運用部において中期国債で引受ける。」という問題が発表をされております。その後、きょうの新聞で見たのでございますが、第五項の「国債整理基金等の資金を活用し、国債市場の安定化を図る。」こういう中から、年内に一兆円を買い上げる、それで来週は三千億円を買い入れるのだということで、六・一もの国債が暴落をしているのでそのような措置をとりたいのだ、こういうような発表をしたものがきょうの新聞に大きく出ているわけでございますが、これは事実でございましょうか。
  69. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 まず第一点の、十年利付国債シ団引受予定額を運用部に肩がわりして中期債で引き受けるということは発表はいたしておりますが、まだこれに基づく国債の発行並びに運用部資金による引き受けは行っておりません。この時期につきましてはしかるべき時期ということで、いまは確定をいたしておりません。  それから、七項目対策の第五項目に関連いたします国債整理基金、資金運用部資金を活用しての市中からの国債買い入れにつきましては、昨日そのようなことを発表いたしまして、さしあたり来週六・一%国債を三千億買い入れるという予定にいたしておりますことは仰せのとおり事実でございます。しかしながら、国債の市況暴落に対処するためという村山委員お話でございましたが、私どもはこの国債の買い入れと申しますのは、国債整理基金あるいは資金運用部資金の有利運用という観点を主といたしまして、あわせてこれによって国債市場、公社債市場の安定に資する、好影響を与えるということを期待しながら行うということでございまして、大変持って回ったような言い方でございますが、私どもは積極的に国債の価格支持政策というようなことを考えるということはなすべきでないと感じておりますので、間接的な効果としての国債市場への好影響を期待する形でのオペであるというふうに御認識いただきたいと存じます。
  70. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 もう時間がございませんので、参議院の予算委員会であったと思いますが、〇・一%国債の発行条件を改定した場合には三十九億余りの一般会計の財源負担を必要とする、こういう説明をされたことがありますね、小柳さんの質問に対して。そういたしますと、今度一・一%の改定をいたしました場合には、発行条件の改定に伴いましてこれは大変な措置費が、予算の送り出しが必要になってくるわけでございますが、それと、それから長期債を中期債に借りかえていくような形をとるとかこういうような措置をとったりあるいは中期国債の公募入札予定額をふやしたりする、こういうような措置をお考えになる以上は、これだけの予定をしてこれだけの財源措置をとらなければならない、その場合には当面は予備費の中から支出をせざるを得ないだろう、こういうようなことで、全体の財政支出の見込みというものを押えなければならないと思うのでございますが、そこら辺はどうなっておりますか。
  71. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 確かに五十四年度予算におきましては、五十四年発行の国債につきましては六・一%利率ということで計算がしてございます。それが七・二%になったわけでございますから一・一%の金利上昇。しかしながら一・一%、単純に十五兆円で一・一%といたしますと千六百億円程度でございますが、この利払い費が五十四年度の予算の負担になりますのはその四分の一になります。と申しますのは、七・二といい六・一と申しましてもこれは一年間の利率でございます。それで国債を発行いたしまして最初の利払いというものは、発行後半年目に半年分の利率を払います。上期の発行予定額をおおむね年間発行の半分といたしますと、半分の半年分の利息でございますので四分の一。そういたしますと、いま一・一%の引き上げで五十四年度のこの国債による利払い増、これは中期債も何も全部含めて一・一%と計算いたしますと、利払い増というものは四百億足らずになろうと思います。  しかしながら、上期、下期にどれくらい発行するかという発行割合、出初予算では上期に六割ということを組んでおりますので、上期に五割の発行でとどまるということになりますと、その発行額の上期削減ということ。あるいは、長期債を中期債に振りかえることによって、十年債で予定しておったものが十年債のクーポンよりも下がるということ。さらにはまた、大臣からも発表していただきましたが、五十三年度発行予定の国債を六千百億ほど減額をいたしました。これの利払い費がまるまる一年分五十四年度予算から抜けるというような情勢もございますので、先般参議院の予算委員会では、利払い費が当初予算にきちんと組んでございますので、理屈とすれば足りなくなる、足りなくなれば予備費以外にないということを申し上げたわけでございますが、いまや五十三年度の六千億の減額がはっきりいたしましたし、長期債を中期債にある程度切りかえるという方針もはっきりいたしましたので、実行上では恐らく本年度の国債整理基金に組み込んだ利払い費で何とかやりくりがつくのではなかろうかというふうな感じを私は持っておりますが、これはまだ現段階でございますので、確たることは申し上げられません。
  72. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最後に大蔵大臣、お聞かせ願いたいのですが、来年度の予算編成への動きが経常経費はもう絶対に上げちゃいけませんよという形で官房ベースで進められている、これは一般消費税の導入への動きではないか、あるいはまた、国債はもうこれ以上長期債は発行できない環境になってきた、こういうことからそういうような非常に厳しい現実をにらんでの措置だというふうにも承っているわけですが、どうも五十三年度の税収の収入増が自然増収は約六千億ぐらい見込まれるのではないだろうか、その分だけ国債の発行も削減ができるし、財政上の余剰額も出てくるから、大体一兆円ぐらいはそういうようなので見込まれるのではないだろうか、あるいは、五十四年度の自然増収は二兆円ぐらいあるのではないだろうかというような希望的な観測もございますが、そこら辺を踏まえてなお大臣は、一般消費税はどうしてもこの際やっていくのだという構えを依然としてお持ちでございますか、最後に承って私の質問を終わりたいと思います。
  73. 金子一平

    金子(一)国務大臣 来年もことしと同様に十五兆前後というような大量の国債を発行できるような経済環境に日本はないと思うのです。私どもといたしましてはできるだけ国債を減らしていきたい。減らすのは相当の大なたを要すると思うのです。  いろいろな仮定を置いて試算をいたしたわけでございますけれども、地方交付税と国債費の償還の額はもう決まってしまっておりますから何とも動かしようがないのです。それから税収を来年度どう見るか。相半増収があるのじゃないかというような議論がございますけれども、これは財政収支試算の数字をそのまま使って、これは自然増収、それから増税の一兆数千億入っておるわけですから、消費税取る取らぬにかかわらず、そういうことで計算をいたしておりますが、ことしに比べて四兆円くらいの増を見込んで、いま申しましたようなことでいきますと、社会保障費も文教費も科学技術の振興費も全部ひっくるめて仮に本年度と同額に置いて考えてみても、国債はわずかに二兆円ぐらいしか減らせない、こういう数字が出るものですから、いつもでしたら八月の概算要求を待って予算編成を始めるのでございますが、その前にもう五月から七月にかけて早速大蔵省と各省庁と話し合いをして、中身を見直そうじゃないか、それで新規に必要なものは旧来の経費の中から新規経費を生み出すように考えてもらわなければいかぬということで、いま話し合いを進めてもらっておる最中でございます。  そういう状況でございまして、なかなか前年同額の一般経費の額にすること自体がむずかしいわけでございますし、一方仮定計算ではございますが、相当程度の増収を見込んだ財政収支試算を前提に置いてのいまの計算でございます。苦しい事情はおわかりいただけると思うのですが、私どもとしましては、そういうことをやってなおかつ、本年度末の累積赤字額は六十兆前後になるわけですから、ひとつ真剣に一般消費税というようなものも御検討いただかなければならぬ時期に来ておるのじゃないか、ぜひひとつ村山さんの方も御協力、御支援、御鞭撻いただきますようにお願い申し上げる次第でございます。
  74. 加藤六月

    加藤委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時四分開議
  75. 加藤六月

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。官地正介君。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席
  76. 宮地正介

    ○宮地委員 初めに、最近大蔵省当局が五十五年度の予算編成につきまして、来年度については異例の五月着手、こういうことで準備に入ったようでございますが、この点についての真意のほどからまず御説明いただきたいと思います。
  77. 金子一平

    金子(一)国務大臣 御承知のとおり国債の消化の現状から見て、来年も引き続いて十五兆なんという大きな国債を発行できると私ども考えられません。それで、相当思い切った財政収支のバランスを考えていかなければなりませんので、普通でございますと、各省の概算要求が出ますのを待って、八月から年末にかけて議論を煮詰めて予算編成をしておったのでございますけれども、八月まで待つというような悠長なことをやっておったのでは正直言って、財源問題から予算編成が困難に逢着すると考えております。そういうことで、五月から七月にかけて正規の予算編成手続の前に、大蔵省と各省と予算の中身をもとから洗い直して、どういう点にメスを入れたらいいか、またメスが入るか、それは三Kも含めてでございますから大変な仕事でございますけれども、やってみようということで、実は先般閣議決定をお願いして、各省に御連絡をし、作業を進めておる段階でございます。
  78. 宮地正介

    ○宮地委員 その基本は、いわゆる歳入歳出の洗い直しをできるだけゼロベース的な考えに立ってやっていきたい、こういう方針のようでございますが、具体的にまず歳入面においては、基本的にその辺の方針というものをどういうふうにお持ちなのか、現段階で答えられる範囲でお答えいただければと思います。
  79. 金子一平

    金子(一)国務大臣 これはまだことしの年度に入りましてから二カ月でございますし、これからの経済情勢もいろいろ動きがありますから、いま直ちに来年度の税収をどう見るかというようなことはちょっと困難かと思うのでございますが、幾つかの仮定を置いて実は今度の作業を始めることにしたわけです。   一つは税収は、皆様に提示いたしました財政収支試算の五十四年度の分をあのまま実現するとしたら財政収支はどういうことになるかということで、いろいろ案を練っておるわけでございまして、五十五年度の収支試算による税収によれば、自然増収と一兆数千億の新規課税によって本年度に比べて四兆円ぐらいの増収があることになっております。これは仮定の数字をそのまま置いてみて、国債を二兆でも三兆でも減らすような方向に持っていくためには一体どういうことにしたらいいかという計算をやってみたわけですが、御承知のとおり自然増収なりあるいは新規課税が起こりますと地方交付税がふえます。それから国債費も当然ふえてきておりますから、それは抑えるわけにいきませんから、地方交付税と国債費の伸びるものはそのままにしておきまして、ほかの経費を仮に前年同額に据え置いた場合に国債を幾ら減少できるかという計算をやってみたわけですが、大体二兆円です。大変なむずかしいことでございまして、特に社会保障費のごときは最近は毎年二割ずつ伸びてきておりますから、それも公共事業費も科学技術の振興費も前年同額に据え置いてわずかに二兆円しか国債が減少できないというような現実の厳しい姿になっております。私どもは二兆でも三兆でもできるだけ切り込めたい感じを持っておりますけれども、そういうことをやるためにはどういう措置をとればいいか。三Kを含めて全面的に現在の歳出予算のもとからひとつ見直そう、こういうことで各省にお願いをしておるわけでございます。
  80. 宮地正介

    ○宮地委員 昨日、大平総理がヒルトンホテルで開かれた全国中小企業団体中央会の総会に出席いたしまして、一般消費税の導入について、この問題については、一つはサマーレビュー、歳出の洗い直し作業の結果を見て国民の判断を求める、こういうふうに述べまして、この団体から、一般消費税が政府の予定どおり実施されるならば中小企業の経営は著しく圧迫され、さらに深刻な事態に追い込まれることは明らかである、その新設には強く反対せざるを得ない、こういう決議が出されまして、これに受けて答えたようでございますが、この中で総理は、財政再建にはいろいろな道があるが、歳入歳出をサマーレビューを通して見直し、ぎりぎりの選択として一般消費税導入を考えねばならないときは国民の判断を求める、こういう言い方をしているわけでございます。  午前中の審議の中で大蔵大臣はむしろ総理よりも前向きの答弁に受け取れるような一般消費税導入を強く主張しておりましたが、この点、総理のお考えと変わりないか、大臣の所見の真意を伺っておきたいと思います。
  81. 金子一平

    金子(一)国務大臣 財政の責任の衝におりますだけに、これからの財政の持っていき方につきましては大変深刻に考えておる次第でございます。それで、総理も言っておられますように、財政の収支のバランスをとりますためには、従来の歳出を思い切ってカットすることはもちろんでございますが、税収の面におきましても、税制ではたとえば所得税、法人税の引き上げというやり方もございましょうし、あるいは予算委員会、大蔵委員会を通じていろいろ御提言のございましたような幾つかの新税を起こすことも考えられましょう。しかし、それだけでは現在の財政バランスをカバーできるだけの財源はどうも確保できないのじゃなかろうか、私どもはこういう感触を持っておるわけです。特に午前中にも申し上げましたように、六十兆という国債がありますから、年度末には累積ができてまいりますから、今日からどういう方法が一番合理的で国民の皆様の納得を得られるかということを、それこそ政府挙げて検討しなければいかぬという気持ちでおるわけでございます。総理の考え方と私と全く変わっておりません。
  82. 宮地正介

    ○宮地委員 いま大蔵大臣お話を伺っておりますと、頭から財政が大変なので一般消費税の導入はどうしてもやりたいという発言にとられてならないのですが、そうなりますと、逆に言えば、五月の五十五年度予算着手というものは、一般消費税導入のための国民の合意を取りつけるためのいわゆる事務的手順にすぎないのではないか。いじわるく言えば、一般消費税導入のために五月着手という新手の方法をとったのではないか、このように国民の目に映るわけでございますが、その点いかがでしょう。
  83. 金子一平

    金子(一)国務大臣 宮地さんからそう決めつけられると大変困るのですが、これはもうあなたもよく御承知のとおり、いま国債が大変な消化難に陥っている状況にございます。それで、こういう状況でさらに十兆なり十五兆というものが来年消化できるかというとそれはできませんから、そのためには歳出面でどこまで切り詰めることができるか、それから歳入をひとつ考えよう。それには、先ほども申しましたような三つのやり方があると思います。その上での問題でございまして、私どもがどこまでいま歳出面で切り詰めができるか、それをひとつしっかりやっていく、こういうことであります。
  84. 宮地正介

    ○宮地委員 特に三K赤字の問題についてはどういう積極的な洗い直しをされようとしているのか、その点の考えを伺っておきたいと思います。
  85. 金子一平

    金子(一)国務大臣 これは担当大臣がそれぞれ非常な苦労をして現在もやっておられます。たとえば健保につきましては厚生大臣がいま健保法の改正の問題に取り組んでおりますし、国鉄につきましては運輸大臣が国鉄の立て直しについていろいろ議論しておりますし、食管につきましても同様でございますが、しかしそれは簡単じゃないのでございまして、新聞でも皆さん御承知かと思うのでありまするが、東北新幹線と上越新幹線を通すと、在来線と新幹線と合わせて年間三千億の赤字が出るというふうな経営の実態でございますから、そういう点もあわせて、いま関係省で大変苦労して見直しをしていただいている段階であるということを申し上げておきます。
  86. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、主税局長に伺っておきたいのですが、午前中も少し発言が出ましたけれども、五十三年度の自然増収の見通しについて、どのくらいの額になるのか伺っておきたいと思います。
  87. 高橋元

    高橋(元)政府委員 三月末税収を見ておりますと、十八兆五千五百七十六億円年度初以来収納されております。これは十二カ月に補整いたしました五十三年度の予算額に対して九七%の収納でありますから、昨年、五十二年の同月と比べますと大体二・一ポイントぐらい収納の成績がよろしいということであります。昨年は三月末の対決算進捗割合は九四・九でございます。本年度は九七%でございますから、二・一ぐらい上回っているということであります。四月の状況も、日銀の窓口で見ておりますと、三月末までと余り変わらない状況のようでございます。     〔綿貫委員長代理退席委員長着席〕  二月決算、三月決算の法人税が入ってくるわけでございますが、最近の企業収益の動向から見て、これも順調であろうかというふうに考えられますし、三月の確定申告に係ります申告所得税の収納も相当好調でございました。こういうことから推しまして、十二カ月分に直しました本年度の予算に関します限りはかなりの増収であろうと思いますし、三月決算が収納される五月分の法人税収というものをこれに加えませんと、二十一兆一千億の五十三年度予算のどれだけ上に行くかということが出ないわけでございますが、五月分の法人税収の伸び率をどのくらいに見込むかということにつきましては、民間のいろいろな情報を私どもも調べておるわけでございますが、かなりばらつきがございます。したがって、はっきりしたことが数字的にはつかめませんのですが、現段階で大ざっぱな感じで申し上げれば、三月、四月、五月とこのままでまいりますと五、六千億の自然増収であろう。見方によって工月末の法人税収、つまり三月決算をさらに強気に見てまいりますと、もっとそれを上回るという見通しも不可能ではない。三月決算の見込みにつきまして民間でも、前年の一一%増と見ているもの、これは日銀でございますが、それから三〇%増と見ているもの、これは大和証券でございますが、その岡にかなりばらつきがございます。そういうことで、五、六千億の自然増収が強気に見たらどのくらいになるかという数字を正確に申し上げることはできませんが、五、六千億というぐらいの自然増収は、いままで私ども把握しております計数からしますと、申し上げて差し支えないのではないかというふうに思います。
  88. 宮地正介

    ○宮地委員 四十八年度のちょうど狂乱物価のときには大変大幅な自然増収があった、こう言われているわけですが、このころは大体どの程度の自然増収がございましたでしょうか。
  89. 高橋元

    高橋(元)政府委員 四十八年度で申し上げますと、一般会計の租税及び印紙収入の決算、額が当初予算を上回ります額、これが四十八年度二兆二千八百六十九億でございますが、中途で補正をいたしておりますので、補正後予算額に対する割合で申し上げますと、七千七有八十九億でございます。
  90. 宮地正介

    ○宮地委員 四十八年度で約七千八百億の自然増収、これは一番大きい自然増収。その次が四十七年度、前年の約六千三百九十六億増。五十三年度の自然増収の額はいま主税局長から、恐らく五、六千億、ともするとそれを上回るのではないかということですが、こうなりますと、非常に大型の自然増収でございまして、五十三年度予算の審議をしていたときよりもある意味では大変に増収がある。また恐らく、五十三年度の予算で使わなかったいわゆる不用額についても大体四千億前後出るのではないか。となりますと、大体一兆円を上回る予算が五十三年度で余る勘定になるのではないか、こういう感じもあるわけでございます。  この自然増収の財源というもの、これは国債発行の未発行分の見送りに適用するのか、あるいはそのほか何かお考えになっているのか、この点について承っておきたいと思います。
  91. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 特例法の条文にございますように、四、五月発行の規定がございます。したがって、数字はともかくといたしまして、公債の減額、五十三年度の特例債の未発行の減額にまず充てられるのが一応制度の前提になっております。
  92. 宮地正介

    ○宮地委員 そうなりますと、先ほどもお話がございましたが、約六千億円の公債発行見送りということに連動していくのではないか、こう思うわけでございます。  そこで大臣からも、最近大変な国債の大量発行または国債の暴落でなかなか市中消化ができにくい、こういうことで、午前中も少し論議がありました年内一兆円の買い支えを大蔵省としても検討しておるということですが、確認の意味で伺っておきますが、現在、資金運用部資金の剰余金はどの程度になっておりますか。
  93. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 現時点の上正確な数字把握しておりませんが、各方面に公表いたしております数字として最近時点のものは、三月三十一日末現在の資金運用部資金のバランスシートをお出ししてございます。   これによりますと、三月三十一日現在で、資金運用部では約六兆円程度の政府短期証券を保有している形になっております。そのほか四兆円程度の長期国債も持っております。この長期国債は、資金運用部資金がもともと原始引き受けをしたものでございますので、これは財投計画上資金運用部の引受国債。それから短期国債として保有しております六兆円程度のものというものが、その時点で預託はあったけれどもどこの機関にも貸し付けられておらない金額でございます。と申しますのは、運用の繰越額が二兆五千億ぐらいございます。これは虫、として地方債の起債というものが官地委員承知のように、四月末、五月末に集中いたします。運用部の引き受けが約二兆円を超えるものがございますので、それが繰り越しの大宗でございます。それからあとは預託と運用のずれと申しましたり、あるいは五十三年度中に予期した以上に短期預託金、特別会計等からの預託金がふえたというものがございまして、まだ正確に計算しておりませんが、目の子で考えますと、そういう預託と運用のずれで絶えず底だまりとして手元流動性としてとまっておるものが一兆五千億円程度と考えていただいて結構かと存じます。
  94. 宮地正介

    ○宮地委員 国債整理基金のいわゆる国債の償還財源になっておりますこの基金の分については、どの程度の額になっておりますか。
  95. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 これも概数で申し上げますと、五十三年度末で、国債整理基金のいわゆる定率繰り入れ等によります償還財源としての積立金が一兆四千億円でございます。この一兆四千億円につきましては、やはりこれもそのまま現金で日銀に預けるというわけにもまいりませんので、これを有利に運用するという観点から約四千億円近いものは、日銀がかってオペで吸い上げた国債を整理基金が理論価格で買わしていただきまして運用いたしております。残余の一兆円余りは政府短期証券を保有して運用した、これが現状でございます。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、大蔵省が年内にこの資金運用部資金の剰余金あるいは国債整理基金の中から約一兆円の買い支えを検討されておる。またけさほどのお話ですと、日銀が買いオペを一兆二千億から一兆五千億ぐらい。そうなりますと、六・一%国債につきまして二兆二千億から二兆五千億ぐらいの吸い上げをやるわけですが、これが果たして過剰流動性を生む結果にならないか、こういう懸念があるわけですが、この点についての対応策あるいは懸念をどういうふうに考えておるか承りたいと思います。
  97. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 まず御質問に直接お答えする前に、資金運用部資金並びに整理基金で一兆円程度という運用を考えておりますその一兆円に限った点が二つございます。  一つは、ただいま御説明申し上げましたような整理基金なり資金運用部資金の事情で、そこにある金を全部国債運用に回しますと流動性が保てなくなりますので、そちらからの限度がございます。  もう一つの一兆円に限った理由と申しますのは、今回このような公的資金をもちまして市場に出ていきます場合に、白銀の成長通貨供給を超えるいわゆる運用部その他による買いオペが行われるわけでございます。金融政策の二元化にもつながりかねないわけでございます。その点におきまして、日本銀行とよく相談の上――日銀において一兆二千億ないし一兆五千億の買いオペが予想される、そうすれば、運用部あるいは国債整理基金が買い出動した分は成長通貨を超えるマネーサプライということになります。原則的には、これら資金運用部資金並びに整理基金というものは、郵便貯金あるいは租税として吸い上げられたもの、いわばこれまでは揚げ超になっておった金が出ていくわけでございまして、日本銀行の買いオペと違いまして新たな信用創造にはならないわけでございますけれども、中短期的に見ますれば、国債を買った時点でそれだけ市中に通貨供給がふえるという意味におきましては、確かに宮地委員おっしゃるような流動性につながるおそれがある。そこで、一兆円に限りました理由というのは、中央銀行と相談の上、中央銀行が手形オペ等により金融調節が及ぶ範囲内の金額ということをめどに相談をいたしました結果、それが一兆円程度であるという両者の協議が調いましたので、公的資金による買い出動は一兆円にとどめたい、こういうことにいたしたわけでございます。
  98. 宮地正介

    ○宮地委員 手形オペなどで過剰流動性をできるだけ防いでいきたいということにつきましてはわかったわけでございますが、いわゆる長期国債の六・一%国債、大変八十七円台という暴落をしているわけでございますが、これに対するいわゆる市況のてこ入れ、こういった面もあるのではないか、そういう点についての考え方を一つと、それからもう一つは、いわゆる長期国債の中で、現在まだ市中に滞留しているのが約九兆円ある。そのうち、今回大体四分の一ぐらい吸い上げておこう。しかしまだ四分の三あって、これについてもまだまだ消化は非常に厳しい面もあるのではないか、こういう懸念もあるわけでございまして、これの対応をどう考えているか。また、吸い上げたこの長期国債を中短期国債に切りかえて再び市中に出す脅えがあるのか、この点について伺いたい。
  99. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 私どもが六・一国債を中心といたしまして資金運用部資金、整理基金でこれを買いに出るということは、確かに私どもはそれによって国債市場、特に六・一国債の価格の安定効果をねらっていることは事実でございます。しかしながら、私どもはこの市場を考えます際に、一般の金融情勢、金利情勢の変化に従いまして自然に債券価格が下落するのを人為的にこれを防止する、あるいは価格支持を図るということは、本来とるべき政策でないと考えますので、そこまでの積極的なことは考えておりません。まず、これを第一原則にいたしたいと存じます。そういう意味におきまして先ほど申しましたように、整理基金あるいは資金運用部資金にある程度余裕資金があり、これを国債に運用するのが最も有利な運用であるという観点から買いますに際しましては、あわせてこれが国債市況にいい結果を及ぼすということを期待しておるわけでございます。  それから第二点の、六・一%国債の残高が現在、全体で九兆四千億ございます。九兆四千億の六・一%国債の残高のうちに、市中金融機関が六兆八千億、個人等が約二兆円という金額になっております。その他は日本銀行、運用部等が持っておりますので、この際は対象外といたしますが、主としてこの際問題になりますのは、市中金融機関保有の六兆八千億の六・一%国債というものが今後、売り圧力となりまして市場に出てきて、六・一%国債の価格の下落要因になるということが考えられますので、六・一%国債対策を考えます場合は、この市中金融機関等によって保有されておりますものにどう対処するかということでございます。金額的に申しますれば、日銀、それから整理基金等による公的資金とあわせて、けさほども中川理事が申しましたように、二兆五千億と申しますのは六兆八千億から比べればまだ少のうございますし、ましてやこれに個人等が持っております二兆円を加えますならば、金額的にはそう大きくはございませんけれども、しかしこういうことである程度買い支えると申しますか、公的資金によって吸い上げることによりまして、市中金融機関の売り圧力を減少し、かつ、言われております評価損対策といたしましても市中金融機関の経営の安定に資するということでございますので、許容されるいわゆる金融政策上金融調節可能な範囲内において、これはすくい上げていきたいというふうに考えております。  それから第三点の、買い上げました国債について中期債等でまたこれを売り戻す、いわゆるエクスチェンジオファー的なものを考えておるかというお話でございますが、現在は考えておりません。
  100. 宮地正介

    ○宮地委員 いずれにいたしましても、非常な国債の暴落問題あるいは国債の市中消化のむずかしさ、そういうことで、私たちはいま経済運営の最大の問題でありますインフレあるいは物価高騰といったところの火つけ役にしてはならない、こういう気持ちもあるわけでございます。  そこで、これからの五十四年度の経済運営の中のやはり最大のポイントは物価の高騰あるいはインフレの懸念、この問題であろう。この問題を無視してまいりますと、結果的に国民生活に大きな打撃が出てくるわけでございます。特にインフレ問題につきまして、最近の卸売物価の大変な高騰といった問題が懸念されるわけでございますが、このインフレ抑制あるいはインフレ対策、この問題について大蔵大臣は現在どういうお考えを持っているか、伺っておきたいと思います。
  101. 金子一平

    金子(一)国務大臣 宮地さんもおっしゃるとおり、もうインフレ防止に最重点を置いて財政、経済の運用をやっていくことが一番大事なことであると考えておりますので、財政面では極力、これはなかなか小回りがききませんけれども、たとえば公共事業費を去年は上半期に集中しましたけれども、それを大体なだらかにする、六五ないし七〇を上期に集中するようなかっこうでやってまいりましたし、災害とか起これば別でございますが、公共事業等予備費はできれば凍結したいというような気持ちでやっております。それから、先ほども話が出ておりますような、昨年度の自然増収は国債の減額に充てるというようなことでやってまいりましたが、さらに、やはり一番小回りがきくのは金融でございますので、機動的にこれからの情勢に対処してやっていかざるを得ないと思うのでありますが、特に先般、日銀から公定歩合の〇・七五の引き上げが行われたことは御承知のとおりでございます。今後もそういう点には十分注意してまいりたい、機動的に対処して後手後手に回らぬようにやっていきたいと思っておりますが、問題は、物価の今後の動きをどう見るかということでございましょう。  けさほどもお話がございましたように、海外要因による卸売物価の引き上げが大分顕著に目立ってまいりまして、まだ消費者物価に波及するところまで至っておりませんけれども、できるだけ物価の動きには今後も十分注意いたしまして、企画庁からも石油製品等につきましては、特に通産省が中心になって個別的に行政指導をするということを言っておりますし、企画庁は企画庁で全般的な物価対策に目を光らせております。私ども財政金融面において最重点をこの問題に置いてやっていこう、こういうことで御了承いただきたいと思います。ただ、私どもはいまのところは、きょう四月分の全国の消費者物価指数、五月分の東京都の区部の物価指数の発表がございましたけれども、幸いとここのところは前年比二%台の上昇だけで、きわめて安定的に推移しておる、これは幸いなことだと思っておりますが、この勢いは極力続けるようにやってまいるつもりでおります。
  102. 宮地正介

    ○宮地委員 経済企画庁が来ていますからちょっと伺っておきたいのですが、最近の卸売物価の高騰に伴いまして、いわゆる四十八年の狂乱物価の再来に似た兆しがあるのではないか、こういった心配が国民の間でもあるわけでございます。すでに景気回復という名のもとに減量経営が行われ、それが結果的にいわゆる設備投資の控え目ということ、生産供給のいわゆる人為的頭打ちといいますかそういうようなことから最近、逆に物不足ということが起きてきているのではないか、それがまた結果的に国内の物価を大きくつり上げているのではないか、こういった動きがあるように私たちは受けとめているわけでございますが、卸売物価高騰の原因と最近の物不足による高騰がどういう現象で起きているのか、その点、経企庁としてどのように把握しているのか、御説明いただきたいと思います。
  103. 坂井清志

    ○坂井政府委員 いま御指摘のとおり、特に卸売物価の上昇が昨年の十一月以来連続しておるわけでございますが、その原因は大きく分けますと、一つは、原油を初めといたします海外の一次産品の価格上昇、第二に、為替レートが円安に推移しておりますので、これもかなり大きく響いております。それから第三に、国内の需給関係と申しますかそういった関係が、昨年に比べまして本年に入りまして大分好転してまいりました。需給がバランスをしてまいりました。その関係も響いておると思います。  従来までの推移を見ますと、海外の方からの要因、つまり海外価格上昇と円安、この二つの要因の方がまだ国内の需給関係の、要因を上回っております。それで、物不足といった状況にはまだないという認識を私どもはいたしております。石油の問題が一つございますが、確かにこの四-六月は何とか原油を確保いたしましたが、その先七―九月の見通しはまだついておりませんので確たることを申し上げる段階ではございませんが、通産省あるいは石油業界におきましても、そちらの方は鋭意努力中でございまして、そちらの方がほどほどにまいる限りにおきましては、その他の物資を含めましても、特に物不足といった懸念は現在のところないように認識をいたしております。
  104. 宮地正介

    ○宮地委員 その辺はもう少し追求調査をぜひお願いしたいと思うのですが、またある二面、最近の市況商品が非常に急騰しておる。特に昨年の九月以降、急激に市況商品が高騰をしておりまして、卸売物価の急騰の大きな要因になっておる。特に非鉄関係が三八・八%、木材二九・〇、化学一三・六と、これは上昇率ベストスリーですけれども、この様相はちょうど四十八年十二月の狂乱物価時の一七〇・九九三に非常に近い、いわゆる第二次石油ショックの様相に近いのではないか、こういうデータも出ているわけですね。この点、経企庁としてはどうとらえているのか、伺っておきたいと思います。
  105. 坂井清志

    ○坂井政府委員 たとえば日本経済新聞社が毎週発表しております四十二種類の商品市況の指数で見てまいりますと、いま先生もおっしゃいましたように最近、石油、木材、非鉄金属あるいはさらに化学製品、そういったあたりの上昇が確かに目立っております。この四十二種の総合で見ますと、ことしの三月には前月比でちょうど二%の上昇、四月には三%の上昇、それから五月に入りましてからも、第一二週目までに四月末に比べて一・二%の上昇になっております。それらの中で石油製品は、三月に一・九%、四月八・四%。さらに化学製品もほぼ似たような動きでございまして、三月に二・七%、四月八・一%という上昇を続けております。木材の方は、一ころ上がりましたのが一たん小康を得たかに見えましたが、最近またちょっと盛り返しております。非鉄金属の方は、三月に六・四%、四月三・七%、これはほぼ一貫して上がるようなかっこうになっております。  今後のことでございますが、何と申しましても、特に非鉄とか原油、木材といったものにつきましては、第一に海外市況の影響を非常に強く受けますので、これがどういう方向に、またどの程度のスピードで動くのか、それから、為替レートが一体どういう推移をするのかというあたりを現在のところなかなか端的につかみかねるものでございますので、今後の見通しにつきましては確たることはいま申し上げることはできません。
  106. 宮地正介

    ○宮地委員 いま日経商品指数の四十二種についてお話がありました。ただ、私ここでちょっと注目しておきたいのは、四十八年の狂乱物価のときはこの日経商品指数が非常に急激に上がった。そこで四十八年十二月二十二日に公定歩合の引き上げをやりました。そして公定歩合の引き上げをやって九%という非常に大きなところに乗りまして、実際に市況商品がその直後冷え始めたのですね。ところが今回は、いまお話がありましたように、昨年九月以来七カ月連続、市況商品が直線カーブで急激な上昇を続けておる。四月十七日に公定歩合の引き上げをやって四・二五%にしましたけれども、市況商品には余り影響が出ていない。ここを私は注目しなければいけないと思う。ということは、言うならインフレの勢いの方が非常に強いのではないか、こういう懸念を持つわけでございますが、この点について経企庁はどういうふうに見ておられますか。
  107. 坂井清志

    ○坂井政府委員 いまおっしゃいました公定歩合でございますが、これはこの引き上げ措置に踏み切る前から大体予想されたことでございますが、直接そのことによって卸売物価なり市況なりを直ちに何%か冷やすという効果を望むことはむずかしい、しかし、一般の市場の心理、先行きに対する期待と申しますか、そういうあたりに対してある程度の影響を与えて、物価上昇のテンポを心理面から抑制していきたい、こういうことで踏み切ったわけでございます。  それで私どもとしましては、それだけでなしに、物価対策としてもっと総合的な手を打っていくという見地から、すでに二月の末に物価担当官会議を開きまして、そこで、御案内と思いますが、八項目の総合対策を決めまして、それを鋭意推進してまいっております。そして現実に、四月に入りましてから、再度物価担当官会議を開きまして、これらの対策の推進状況を各省との間で詰めまして、さらにそれに向かって鋭意努力をする。また、役所の中だけでなしに、先日は産業界の上層部に対しましても、経企庁長官、通産大臣の方から、一属そういった方向での努力をお願いするということにいたしたわけでございまして、そういった努力を積み重ねることによりまして、海外の物価上昇そのものを抑えるということは困難でございますが、国内の最終製品の値上がりにつきましては極力抑えていきたい、こういう方向努力をいたしております。
  108. 宮地正介

    ○宮地委員 いま経企庁の審議官は、非常にミクロ的に、市況備品は直接金融操作には影響ないような発言をしておりましたが、私はインフレという立場からとらえていまお話ししたわけでございまして、これは大蔵大臣にちょっと伺っておきたいのですが、最近のインフレの勢い、これは非常にばかにできない勢いであるということで、先ほど大臣としては財政金融で最善の対応策を後手後手にならぬように注意をしてかじ取りしていきたい、こういうお話があったわけでございますが、ただいまお話ししましたように市況商品の急騰というものは、卸売物価の急騰に即データとしてあらわれているわけでございまして、さらに今後この勢いが決して弱まる要因はないわけですね。  今後御存じのように、六月からは今度はガソリン税が引き上げられる。あるいは、これからOPECの値上げが連動して、いわゆるかなめであるC重油という問題のこの値上げが十分予想される。このいわゆる燃料のC重油の値上げというものが、セメント、鋼材、紙パルプ、こういう値上げを誘発する大変に重要な油であることは御存じのとおりでございます。こういうことを考えますと、六月以降もこの卸売物価の騰勢、これは決しておさまる気配は予想されないわけでございますし、また、先ほど来お話をしておりますとおりに、国内的にも減量経営の今度はメリットとともにデメリット、いわゆる需給関係に非常にギャップが出てきた。物不足についてまだ経企庁としては把握していないようですが、これは恐らくまだ通産省や農林省や関係省庁の追跡調査のデータを見ていないからああいう発言をしているのであろうと思いますが、私たち生活実感あるいはわれわれいろいろ国民からの声というものを伺っておりますと、この物不足の感というもの、需給バランスの崩れというものが最近非常に際立ってきていることは事実であろうと思うのです。  そういう面で、このインフレの勢いというもの、これについてはやはり十分な認識をとって、財政金融を預かる大蔵大臣といたしましても、この金融面を考えればまず、この四月十七日に行った公定歩合の引き上げ、これがどの程度効果があったという評価をされているのか、それが第一点。また、この六月以降夏ごろにかけてやはりこの勢いがさらに強まるような状態においては、公定歩合の再引き上げ、こういった問題も当然検討段階に入ってくると思うのでございますが、この点についての決断の基本的考え方、この点についてもあわせ伺っておきたいと思います。
  109. 金子一平

    金子(一)国務大臣 先ほど来宮地さん、この前の石油ショックの前夜みたような情勢だとおっしゃいますけれども、それは私は基本的には情勢は大分違うんじゃないかと思うのです。と申しますのは当時は、列島改造のブームに日本じゅうが沸いておるときでございまして、賃金もどんどん上がる、それから物をつくれば売れる、もう需要と供給の関係から言えば、幾らつくっても供給の方が追っつかないというような情勢にございましたけれども、その点は最近の経済情勢は大分違うんじゃないかと思うのです。  ただ、私どもとしても一番こわいのは、海外市況のはね返りが卸売物価に相当響いてきておる。そこへもってきて、去年一年続いた円高が逆の方向へ行きまして円安になってきておりますから、さらに海外物資の高騰を招いておって、それがいわば国内の卸売物価の反騰の推進力になってきているところにもってきて、さらにOPECの六月のサーチャージをどうするかということによって、石油製品を中心にして一部思惑が行われておる、値上げが行われつつある。このムードをいかに消すかということが私は一番大聖なことだと思うのでございまして、特に金融面では、この前のときと違いまして、M2の動きもそれほどいませっぱ詰まった状況にあるとは私ども考えません。     〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕 しかし、企業の手持ち資金が非常にふえておって、それがあるいは株価、株式市場の暴騰にあらわれ、あるいは国債価格の下落にあらわれるというようないろいろな方面へいま波及しておるわけでございます。  そういう状況でございますから、金融政策のこれからの持っていき方につきましても万全を期していきたい。いまからそれじゃ次にどういう手を打ちますかということは、特に公定歩合等につきましては日銀の専管事項でもございますから言及を差し控えさせていただきますけれども、十分の必要な対策を今後も情勢を見きわめながらとってまいるつもりでございます。  それから御質問の最初にございました、この前の引き上げがどれだけの効果を上げたかという認識の問題、これはやはりあの時点において、それなりの警告的な意味を発揮したと私ども考えております。
  110. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、日本列島改造論の問題が出ましたけれども、最近地価も非常に高騰しているわけですね。これについて、前にも私ちょっと伺ったかと思いますけれども、銀行融資がこの地価高騰にあおりをかけているのではないかということも大変考えられるわけで、銀行局としてもいろいろ通達など出して行政指導しているようでございますが、最近この点についてはどのように銀行局としてとらえておられるか、局長から伺っておきたいと思います。
  111. 徳田博美

    ○徳田政府委員 最近における土地の融資と地価の高騰との関係でございますが、たとえばその一つとして不動産業に対する貸し出しを見ますと、これは四十七年ごろは前年対比で六六%ぐらいの伸びがあったわけでございますけれども、五十四年の二月で見ますと一三%の伸びでございます。確かに一ころこれが七%あるいはそれを下回る伸びであったのに比べては上向いているわけでございますが、これはいずれも内容は投機的な動きではなく、やはり経済活動が次第に活発化するに従って土地の実需が出てきているわけでございまして、それに伴う貸し出しの増加ではないかというふうに考えております。しかしながら、今後の地価の動向等にまりましては投機的な動きも万一出てきては非常に問題でございますので、この前先生御指摘のように金融機関に対して通達を出しまして、今後とも土地投機を助長するような融資は厳に抑制するように指導しているわけでございます。  なおこの点につきましては、四半期ごとに土地関連貸し出しの実行状況につきまして報告書を徴取しておりまして、このような形で厳重に動向を監視しているところでございます。
  112. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に一、二点、金融機関の問題で伺っておきたいと思います。  昨日の全国信用金庫大会で、大田の代理で中村政務次官が代読したようでございますが、最近の金融機関の効率化問題に触れ、合併問題、これの必要性を強調したようですが、大臣から直接、この銀行合併の問題についてどういう見解を持っているか、伺っておきたいと思います。
  113. 徳田博美

    ○徳田政府委員 金融機関の合併の問題でございますが、御承知のとおり金融機関は現在、経営環境が非常に厳しくなっているわけでございます。特に資金の需要面の構成が企業部門が非常に低下しておりますし、公共部門あるいは個人部門の比率が増大しているというような構造変化があるわけでございまして、そのようなことを踏まえまして、金融機関は経営の効率化を今後一層促進する必要があるわけでございます。と同時に、今後金融機関は、経済社会が金融機関に求めている機能を十全に発揮していることにつきまして社会の信任を得ることが必要でございまして、そういう意味で公共性の発揮ということも非常に大事になってくるわけでございます。その観点から、経営の効率化あるいは社会的公共性の観点からの効率性の追求をしていくことが大事と考えられるわけでございます。  このためには、金融機関に適正な競争原理を導入いたしまして、自主的な創意工夫によって厳しい経営努力をしてもらうということを考えているわけでございまして、したがってその間に今後、経営の推移によりましてはいろいろ経営格差が出てくる場合も考えられるわけでございますが、そのような場合に非効率な金融機関が存在することは、金融の効率化全体から見ますと国民経済的には非常に好ましくないわけでございますので、そのような金融機関については一層の効率化を進めてもらうことが必要と考えております。したがって経営者に対しましては今後、そういう効率化を進めることに対して厳しい経営努力をしていただくことをわれわれは考えているわけでございまして、その効率化を追求する手段としては幅広いものを考えていただきたい。その金融機関限りでいろいろ経営の効率化をしてもらうことももちろん大事でございますし、経営基盤その他によって限界がある場合には、場合によっては提携も必要でございましょうし、合併も考えられるという意味で、合併ということを申しているわけでございます。  合併と申しますのは、国民経済的な見地からの効率化を求めていく一つの手段として、経営者が自主的に考えてもらいたいということをわれわれは申し上げているわけでございまして、合併の問題は、従業員の問題あるいは取引先の問題その他いろいろな観点から総合的に見ていく必要があるわけでございますので、どこまでも金融機関としては自主的にこのことを考えるべきであるし、また行政当局としては、金融機関が本当に国民経済的に必要な見地から自主的に合併ということを考えるならばこれは前向きに対処したい、このように考えているわけでございます。
  114. 宮地正介

    ○宮地委員 特に今回の大光相互銀行のような問題などがございまして、当然、銀行の債務保証の洗い直し、あるいは相互銀行、中小銀行含めまして今後の銀行に対する税務調査並みの検査、こういった問題についても積極的にやっていかなくてはならないし、何といっても国民の貴重な財産である預金を守るという立場に立って、もっと厳正なる銀行行政を私たちは要請をしたいと思いますし、当然そういう中で効率化の問題を含めて合併問題というものを考えられていると思います。そういう点とあわせて、最近の不祥事件などの反省の中から、この金融機関の今後の効率化の問題、あるいは預金者の保護といった立場からの厳正なる大蔵当局のあり方、こういう反省を含めてこの合併論という問題も考えていかなくてはならないのではないか、このように思うわけでございます。その辺を含めた所見を大臣から伺っておきたいと思います。  また、銀行局長に一点だけ、いわゆる新種預金の創設問題についていまどの程度検討されているのか、伺っておきたいと思います。
  115. 金子一平

    金子(一)国務大臣 大光相互のような問題を惹起いたしましたことは、監督官庁として大変遺憾に思っております。これは経営者のマナーの問題もございますけれども、やはり監督官庁としてはもっと事前によく事情をつかまえて必要な対策がとれなかったかという反省をしておるわけでございます。先般来新聞にも発表いたしましたような、いろいろ今後の監査のやり方についてできるだけの改善をいたしまして早急に手をつけていく、こういうことでおりますので、御了承を賜りたいと存じます。
  116. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御質問の新種預金でございますが、この点につきましては、広く国民に有利な貯蓄手段を提供するという観点から、金融制度調査会あるいは各金融機関において検討が行われているわけでございまして、特に金融制度調査会におきましては現在、国民の間に流動性と収益性を相兼ね備えた貯蓄手段に対するニーズが非常に高いということから、前向きの方向が打ち出されているわけでございます。ただ、この具体案につきましては、各方面においていま検討中でございまして、特に各種金融機関あるいは各種の貯蓄手段に対する影響もいろいろあることでございますので、金融制度調査会の意見あるいは各方面の意見を伺いながら検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  117. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に大臣に総括して質問して終わりにしたいと思います。  本日は限られた時間でございますので、来年度の予算編成にまつわる問題あるいは経済運営の非常に重要なインフレ問題を中心にお伺いしたわけでございますが、ともあれ、五十四年度予算の通過後、予算の執行、そういう中で五十四年度の経済運営、その中で国民生活考えていったとき、やはりインフレ問題あるいは物価問題はこれからの経済運営の最も重要な課題であろう。その点については先ほど来いろいろ伺いまして、認識はわかったわけでございます。財政金融政策の面から後手後手にならないように先手を打って国民生活防衛の立場から努力したい、こういう御意思でございますので、その点はぜひお願いをしたい。特に機を誤らずに対処をお願いしたい。  また、今回の五十五年度予算編成というこの問題が、ちまたに聞かれますように一般消費税導入のいわゆる国民への地固めの手段として着手されるといったことであれば、かえってこれは本末転倒である。むしろ歳入歳出の洗い直しを徹底して行い、そして現在の日本財政というもののあり方、また財政の硬直化がどういうところにきておるか、またむだな財政運営が行われていないか、こういうことを国民の前に明らかにすることによって、今後の日本財政の健全な運営の糧として、また出発として、積極的にこのサマーレビューに取り組んでいるのだというのであれば、私たちは喜んで賛意を表するわけでございますが、それが一般消費税導入といったようないわゆる裏で工作するようなことがもしもありますと、これはかえって大変な重要な国民の批判を受けるものと思うわけでございまして、どうかそういう下心のないように、健全なる財政運営、経済運営、こういう立場からこのインフレ対策あるいは来年度予算編成に対する姿勢というものをぜひとも前向きの、国民の期待されるそういう立場に立って健全に運営していただきたい、このことを要望するとともに、その点の所見を簡単に伺って終わりにしたいと思います。
  118. 金子一平

    金子(一)国務大臣 政策の中心がインフレ防止になければならないことはあなたと全く意見が同じでございます。今後最重点を置いてやってまいりたい。また、財政の再建のための財政収支の見直しをやらなければいかぬことは、財政当局として当然でございます。全力を尽くしてやりますから、ひとつ具申を賜りたい。  ただ、私どもがやっておるのは、非常な危機感を持って今日の状況についてやっておるわけでありますから、あなたのおっしゃるように、消費税導入のテクニックとしてやっておるというふうにおとりにならぬように、結果的にはそういうことも十分考えていただかなければいけませんけれども、私どもは真剣にそういう気持ちで取り組んでおります。
  119. 小泉純一郎

    小泉委員長代理 竹本孫一君。
  120. 竹本孫一

    ○竹本委員 大臣にお伺いしたいのですが、いまお話のありましたように、財政に対する危機感、私もその点は全く同感で、これが当面一番キーポイントになる、こう思うのです。  そこできょうは二つ、三つほど簡単にお伺いしたいのですが、第一は、三K赤字ということをわれわれはずいぶん前から言っておったのですが、最近政府も三K赤字の克服ということについてやや熱心になってきた。私は三K赤字というのは、単に赤字対策という問題だけではなくして、やはり日本の政治、経済のあり方、マナーの悪さがそのまま出てきておる、こういう意味において、より広いより高い立場から、その一つとしての三K赤字の克服に取り組みたい、かように思っておるわけです。ところが三K赤字の克服というのは、言うはやすく行うはかたし、大変むずかしい問題だと思うのです。  そういう意味からざっくばらんに申しますけれども、これは一大蔵大臣をもってして十分取り組める、そして解決ができるという問題で果たしてあるかどうかという点について心配をするわけですね。これはだから大蔵省に任せるということだけじゃなく、あるいは予算編成の一つの過程の問題ということではなくて、私の言う日本の政治、経済の根本的なあり方に関する問題として内閣全体が取り組むべき問題ではないか、あるいは与野党を通じて力を合わせて取り組むべき問題ではないか、事はそれほど深刻、重大である、かように私は受けとめておるのでございますが、見ておると、予算編成の一つのテクニックとして言われておるし、考えておる、あるいは大蔵省の次元においてこの問題に取り組まれておる、もう一つ言うならば、内閣全体として政治生命をかけてでも取り組むという姿勢にはなっていない。これではしかし恐らく、言うておるけれどもやってみれば、時間的に間に合わなかったとかいろいろ理屈はあるだろうけれども、結果的には全く大山鳴動までもいかないかもしらぬが、ネズミ一匹ぐらいしか出ないという点を心配するわけです。  そこで私が希望することは、大蔵大臣がこれはひとつ政治的生命をかけてでも取り組むほどの重大な問題ではないか。そのためには、内閣をまず動かすべきでもある、こういうふうに思いますが、大蔵大臣の決意と認識を伺いたい。
  121. 金子一平

    金子(一)国務大臣 三Kの問題はもちろんでございますけれども、今度の五十五年度予算編成に当たって、根元から従来の予算の中身を見直すということ自体がこれは大蔵省だけではできないことでございまして、各省庁の協力を得なければいけませんし、また与党はもちろんでございますが、相当また野党の皆さんにも御協力をいただかなければいかぬ問題でございます。そういう意味で、大蔵省だけひとり独走したってこれは意味がありませんから、閣議の了承を求めたわけでございまして、皆しっかりやろうじゃないかという御決意の表明はいただいたのですが、総論賛成、各論反対になったんじゃそれこそ何にもなりませんので、いま竹本さんからもお話がございますような方向でひとつこの問題に取り組んでまいりたい、決意を新たにいたしておる次第でございます。
  122. 竹本孫一

    ○竹本委員 御答弁そのまま素直に受けとめますけれども、ぼくの印象は、そういう方向に向いているかどうかということについて疑問、心配を持っておるわけですね。われわれにも特にそういう意味で呼びかけがあったわけでもない。それから、内閣がそういう動きで、これはある程度激論が行われるかもしれぬと思うのですが、行われたという話も聞かない。ただ当面の言葉としてそれがあるだけではいけないのではないか。やはり大蔵大臣がこれだけ真剣に取り組んでおる、なるほど問題は重大なんだというシリアスな実感が出てこないと、この問題は取り組めないと思いますので、今度はわれわれが新聞で読むだけでなくて、実感として、なるほどこの問題に真剣に取り組んでいるのだということがわかるようにしていただ・きたい、要望をまず申し上げておきます。  そこで、ついでに伺いますが、一体三K赤字、三K赤字とか言うておりますけれども、三Kに対して政府がいま、大ざっぱでいいですが、つぎ込んでおる金がどのぐらいあるのか。それで、この三Kの問題を解決するのは一遍にはなかなかできないと思いますが、少なくとも来年度の予算編成に間に合わせるようにどれぐらいの圧縮なり節減なりができるとかやろうという決意のもとにこの問題に取り組むのか。三K赤字克服という単語だけでなくて、全体的な見通しと決意のほどを伺いたい。
  123. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 最初の数字の問題でございますが、食管の調整勘定を中心とした繰り入れでございますが、五十四年度で六千六百七十九億でございます。これが別途過剰米とかああいう問題もございますが、その数字は本年度は小さいですが、将来でかくなるわけでございますが、五十四年度では六千六百七十九億。  それから二番目が医療費でございますが、医療費は政管健保から手をつけるということで現在国会に法案をお出ししております。あの法案が成立いたしますれば、単年度で収支がとれるわけでございますが、本年度政管健保に投入いたしております一般国費は四千三百五億でございます。累積赤字が現在五十四年度末で五千七百四十二億でございます。それから当年度一般会計で入れました政管健保の金は四千三百五億でございます。医療費全体で見ますと三兆三千億入れておりますが、政管健保と国保が問題でございますが、両方合わせて二兆二千億ぐらい入れております。  それから三番目の国鉄でございますが、当年度国鉄に対して六千百八十一億投入しております。累積赤字は五十四年度末で六兆一千五百億ございます。  それから第二番目の問題でございますが、先ほど大臣が御答弁になりましたように、大蔵省だけでできない問題でございます。政府全体の総がかかりというようなことで、農林大臣、運輸大臣の方におかれましても、ことしの二月ごろから事務当局に全般的な検討を命ぜられております。国鉄の方も、農林省それから厚生省の方も、それぞれいままでも勉強をし、検討をし、対策を次々ととったわけでございますが、実効がなかなか期しがたいという点が問題点であるわけです。それをどういうふうに実行するか。制度改正の問題が絡むわけでございますから法律のかっこうになるわけでございます。  第一点は、竹本先生御指摘のように大蔵省だけの問題でない、各省と協力しながらやるということ。それから二番目は、与党との協力でございますが、与党の方におかれても、総理から政調会長に検討方が出ておりまして、政調会長から関係部会長の方に検討を依頼されております。そういうような段取りをつけてやっております。したがって、五十五年度にどういうかっこうで具体化するかという問題、ただ非常に根の深い問題であるし広範な問題を含んでおりますので、何年問かかってやるというようなことになるケースもあり得るわけでございます。  具体的に一つの例を挙げますと、国鉄でございますが、問題は、年金の増というのが非常に大きいわけです。本年も二千七百億国鉄の中で共済にめんどうを見ておりますが、十年後に六千億ぐらいになる。現在四十二万人職員がおりますが、四十二万人が二十八万人を抱えておるわけです。年金受給者が二十七、八万おるわけですが、現に働いておる人が四十二万。それで現存御承知のように、長短の給料から差し引かれておる率は国鉄が一番高いわけでございますが、これが今後十年間に二十万人ぐらいやめられる。差し引き四十二から二十引いて現職が二十二万ぐらい。新幹線や何かどうなるかわかりませんが、働いている人よりもしょい込む人の方の人数が非常にふえる。こういうような問題が非常に物理的な自然現象として迫られておる。片や地方ローカル線が大体三千億ぐらいの赤字を年々出しておる。非常に国鉄にとっては困難な状況にはございます。  それから農林の場合で申しますと、食管というのは米という問題に象徴された問題でございますが、背後にわが国の農政全般の問題が控えておるわけです。片一方では米の過剰がございますが、転作の奨励などで基盤整備をやるわけでございますけれども価格の問題で外国からの供給力というものとの関係をどう考えるのか。それから、五百万ヘクタールの農地というようなものを今後農業生産性が上がった場合に一体どういうふうに考えていくのか。そういうような食管だけの解決というのはなかなか問題の解決にならない、全般の農政の問題にかかわってきております。  医療費におきましても、御承知のような非常にいろんな財源調整その他問題もございますが、医療費は、年金の金が今後かなり国鉄年金に象徴されるような問題がございますので、何としても医療費を合理化しなければ年金の需要に対処できないとか、三つだけでございませんで、あと国有林とか、大きな一般会計から入れておる経費が幾つかございますが、もろもろこういうものをひっくるめて本年のサマーレビューをきっかけにして、従来も各省努力をしてこられておりますが、いよいよどん詰まりに来たわけで、ここでふんどしを締め画して粘り強くやっていこうというような決意に燃えておるわけでございます。
  124. 竹本孫一

    ○竹本委員 ありがとうございました。  これは要望ですけれども、いまお述べになった数字は、文章的に述べられてもなかなか頭に入らぬから、数字として後で私のところにいただきたい、それが一つ。  それから大臣、結局のところいまの御説明はむしろ、できる決意よりもできない条件の方をたくさん数え上げられたのだけれども、そんなことでは話にならぬということで、私が言うのは、全体としてトータル三Kを合計して何兆円ぐらいになる、その中で大体何兆円、すなわち何制ぐらいをとにかく五十五年度の予算編成に間に合わせるようにひとつ努力していこうという御決意であるか、その輪郭をひとつお示しを願いたい。  それからそれに関連して、これは先ほど申しましたように、内閣全体であるいは母野党協力してでなければ取り組めないようないまの甘えの構造やエゴの組織に挑戦する問題だと思うのですね。したがって、この問題について大蔵省の中で、このくらい全体としてあるのだ、五十五年度はここまではいけるであろうというようなことを省議なら省議で御検討をいただいたかどうか。あるいは、予算編成に関する閣議等において、少なくともここまではやらなければ財政の再建はできないのだというような御発言がありあるいは御協議があったか。現実にその三K赤字克服のための闘いというか努力の経過について大臣から伺いたい。
  125. 金子一平

    金子(一)国務大臣 そのあなたのおっしゃるどこまでいけるかをこの三カ月かかって詰めようということでございます。まだ枠を具体的に決めて折衝を始めるという段階ではございません。     〔小泉委員長代理退席、綿貫委員長代理着席〕 やはり各省それぞれの政策目標を持ち、それぞれの優先順位を持っておるでしょうから、それを十分伺ってひとつ具体的なフレームをつくろう、こういうことでございますから、まだ時期的にちょっと早うございます。
  126. 竹本孫一

    ○竹本委員 要望ですけれども、事務的にはおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、まず大蔵省として財政の再建を闘っていこうというならば、三K赤字についてはこのくらいまでは来年にはひとつやりたいのだという努力目標、戦闘目標がなければ、何となくただ各省の意見を聞いてみて、それぞれ経過もあるでしょう、理由もあるでしょう、法律の改正も必要でしょうと言っておったら、結局何もできない。そこのところをひとつ大臣の決断が必要だということをぼくは先ほどから申し上げておるのだから、そういう意味で、ひとつ本気で取り組む姿勢を示してくださいというのはそういうことを言っているのですから、よろしくお願いをしたいと思います。
  127. 金子一平

    金子(一)国務大臣 前の御質問の方に申し上げたように、その点については本年度と同じくらいの枠に全体としておさめたい、その金額は、国債費、地方交付税を除いて二十九兆二千億、そこら辺を目途にひとつやろうじゃないかということで作業を始めておるわけです。
  128. 竹本孫一

    ○竹本委員 その点は努力一つとして評価をいたします。これが一つ。  第二番目の問題は、これは先ほど来いろいろ議論が出ておりましたけれども、きのうのある新聞の夕刊にこういう記事が出ておる。一般消費税の問題です。「あるいは今秋にもと予想される総選挙や、来年の参議院選挙への思惑もあってか、一般消費税の導入について、自民党内にも慎重論が多いようだが、大蔵当局はその実現に執念を燃やしているようだ。」というようなことで、反対の立場からいろいろ議論が書いてある。賛成、反対はきょうは一応別として、先ほど来厳しい決意で財政再建を言っておられる金子大蔵大臣でございますが、大臣は自民党の党員である。あわせて大蔵大臣でもある。二重性格を持っておられるが、自民党の動きと大蔵省の執念を燃やしておるという問題とどちらに重点があるのか、その点だけをはっきり聞いておきたい。
  129. 金子一平

    金子(一)国務大臣 自民党はとにかく大政党なものですから、いろいろな議論があることは当然でございます。また、仮に税収を図るについても、いろいろ検討すべき問題が衆参両院の論議を通じてこの二月からずっと続けられていることも事実でございます。そういう問題を含めて党において目下御検討いただいているわけでございますが、財政担当の大蔵大臣としては、先ほども御答弁申し上げましたように、いろいろなやり方があると思います。所得税、法人税の増税、あるいは特別措置をさらに圧縮をするとか、若干の新税を取り上げるとか、いろいろなことをやってみましても、この財政状況では何ともならぬというのが現実の姿でございます。それはこれからおいおい詰めていくことになりますが、私としては最終的には御了解いただけるのじゃなかろうか、そういう気持ちでせっかく努力をしている最中でございます。
  130. 竹本孫一

    ○竹本委員 努力方向がまだぴんとこないんですがね。大体の想像はできますけれども、これは先ほど来非常に御議論がありまして、賛成する立場からもあるいは反対する立場からも重大な問題である。それだけに一番軸になる人物は金子一平先生なんだから、その軸がふらふらしていると一体どっちがどっちなのか皆わからぬようになってしまう。その辺をひとつ基本線だけは、どっちに向かわれるかということを私はいま論議しているんでなくて、とにかく大臣の姿勢というものは明確でなければならぬということを申し上げておきたいと思うのです。  それから最後にもう一つは、この間から新聞をにぎわしておりますところの大光相互銀行の問題、先ほど来またいろいろ御議論がございましたけれども、何としても一つは預金者保護、また金融政策から言えば信用恐慌を来さないように、混乱を起こさないようにうまくここを乗り切っていかなければならぬというふうに思いますが、大蔵当局としてはどういう見通しを持って取り組んでおられるかということを伺いたいと思います。
  131. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり大光相互の問題につきましては、預金者保護あるいは信用秩序の維持ということが一番大事でございます。このために当面は、いろいろ大光相互の問題点が大光相互銀行から発表されたわけでございますが、この発表によります預金者の動揺等を極力抑えて、信用の回復に努めるということにいま全力を傾注しているわけでございまして、大蔵省あるいは日本銀行の指導のもとに相互銀行協会それから株主である五つの大きな銀行が主体になりましてこれを支援しているわけでございます。  具体的には大蔵省、日銀の出身者、それから相互銀行協会の出身者、さらには株主である五つの大きな銀行の出身者から成る顧問団が編成されているわけでございますし、それからまた資金的にも、相互銀行による保障協定の発動体制、あるいは株主である大銀行による協調の融資体制、あるいは相互銀行の中の大手による融資体制等が組まれているわけでございまして、このような万全の体制によりまして預金者の信用をかち得ていくことが必要ではないかと考えているわけでございます。  なお今後につきましては、現在の大光相互の役員が全部退きまして、これも先ほど申し上げましたように、大蔵省日本銀行の出身者あるいは相互銀行協会の出身者、それから五大株主銀行の出身者から役員が新たに選任される予定でございまして、新しい陣容のもとにさらに信用の回復に努めてまいることが必要か、このように考えております。
  132. 竹本孫一

    ○竹本委員 大事な問題だから大臣からもちょっとお聞きしておきたいんですが、要するに、いま言われたような経過の中で今日の混乱なり危急というものは乗り切っていく、万全の体制はとるということについて、もう一度大臣からはっきりおっしゃっていただきたい。
  133. 金子一平

    金子(一)国務大臣 大変遺憾な事件でございましたけれども、地元の大きな金融機関としての役割りを従来から果たしてきておりますし、ぜひ私どもとしては地元に御迷惑をかけぬようにしてりっぱに再建を果たさせたい、そういうことで関係者に要請をしておる最中でございます。
  134. 竹本孫一

    ○竹本委員 調べてみると、これは相互銀行の中でも二十番目前後の銀行のようでありますし、従業員も千四、五百名おるようでございまして、支店も四十ぐらいあるらしい。相当の影響力を持っておりますので、当面の問題は、いろいろ議論はありましょうが、いまここですぐ大蔵省の監督がどうだ、日銀がどうだという問題もあるでしょうが、そちらの方に重点を置くよりもこの際は、ここを乗り切っていくということの方にプライオリティーを脅えなければいかぬ、かように考えますので、その点は万全の体制を最後までとっていただきたい、こういうことを要望申し上げておきたい。  しかしそのことと、今度は今後のあり方としては、先ほどもいろいろ議論がありましたけれども、両方一緒にごちゃまぜにして議論を混乱させてはいけないのですけれども、りっぱにここを乗り切った上は、やはり銀行としての社会的存在、その責任の重さというものをよほどみんなに徹底してもらわなければいかぬ。そのことで一言だけ伺いますが、いよいよ銀行法改正も具体的日程に上ってくるようですけれども、この経験、教訓から銀行法改正について、監督規定その他においていかなる反省、いかなる取り組みを考えようとしておられるか。要するに、銀行法改正との関連においてこの問題をどういうふうに前向きに受けとめておられるか、それを承って終わりにいたします。
  135. 徳田博美

    ○徳田政府委員 銀行法改正はいま金融制度調査会において議論されているわけでございまして、個別の問題というよりも幅広く、今後の金融機関のあり方ということからかなり長い将来を見渡しての議論が行われているわけでございます。しかしながらその中でも、特に金融機関に対する監督のあり方についていろいろ議論が進められているわけでございまして、金融機関の社会的公共性ということが非常に大事になってまいっておりますので、従来のような監督のあり方についてさらに改善すべきことがないかというようなことについていろいろ御審議をいただいているわけでございます。  その過程においては、まだこれは最終的に結論が出たわけではございませんけれども、従来のいろいろな処分権があるわけでございますが、伝家の宝刀という形になりましてなかなか容易に実施できない面があるわけでございますので、これにつきましてはもっと簡易に発動できるような処分権が必要ではないかというような議論も行われておりまして、答申がそのような方向でまとまれば、それに基づいて銀行法の改正が行われるのではないか、このように考えております。
  136. 竹本孫一

    ○竹本委員 要望的になりますけれども、銀行の公共性ということを考えると、細々した末梢神経的な指導や介入は、やはり自由経済の原則にかんがみてむしろ遠慮すべきである。しかし同時に、今度の銀行法の改正は大蔵省の監督規定をより精密にして、うるさい世の中になるのだというようなことで、反発したりあるいはデマを飛ばしたりする人もたくさんおる、そういう傾向はむしろ警戒すべきである。いまの銀行法の二十三条ですか、銀行というものは場合によっては、法令に反し、主務大臣の命令に反しまたは定款に反した場合あるいは公益を害したような場合には、業務の中止なりあるいは役員の解任なりあるいは免許の取り消しができると現在でも二十三条にちゃんと書いてある。ただこれが大げさ過ぎて、いま局長の言われるようになかなか器用に使えないという点があるかもしれませんけれども、しかしそれを書いておる銀行法の精神というものは、それほど銀行の使命というものは重要なんだ、したがって万一の場合には、その公的な使命が果たせるように公益を害するようなものはやめさせることもできるくらいの強い姿勢というものが最後には伝家の宝刀としてなければならぬ。それを、監督がうるさくなり過ぎるとかいうような美名というかあるいは自由経済の美名のもとに押しつぶしてしまおうというような動きがありとすれば、それは許されない。  私はよく言うのだけれども、油というものは物理的エネルギーでしょう。銀行は社会的エネルギーなんです、金融は。だから、エネルギーの重要性という点から言えば全く同じように考えるべきだ。そういう点から言って、銀行の社会公共的性格を守り、そのための最小限度の監督規定というものは当然なければならぬというふうに考えておりますので、このことは要望を申し上げて終わります。
  137. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 安田純治君。
  138. 安田純治

    ○安田委員 午前中来、同僚委員から財政金融問題についていろいろな観点から質問がありました。またその機会に、いま問題になっておる大光相互の問題についても質問が出たようでございますが、私も大光相互問題についてお伺いをしたいと思います。  この三月期で欠損を計上して無配に転落した大光相互銀行の問題についてでございますけれども、第一は、今回の大光相互銀行問題の背景について伺いたいわけであります。直接的には大光相互銀行の経営体質というか、特殊な経営者のようでもあるということも報道されております。しかしそれだけではなくて、高度成長政策のもとで列島改造ブームの中で、銀行が不動産会社に安易に貸し付けたことが非常にその背景をなしておるのじゃないか。こうなりますと、ひとり大光相互銀行だけでとどまらない問題で、それが長期不況の中で不良債権となって表面化してきているのではないかと思うのですけれども大臣の見方を伺いたいと思います。
  139. 徳田博美

    ○徳田政府委員 確かに先生御指摘のとおりでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、四十七、八年ごろは土地ブームということを背景といたしまして、土地関連の融資が非常に増大したわけでございます。不動産業だけをとりましても、四十七年度は全国銀行ベースで六六%の増加を示しているわけでございまして、これは各金融機関においても同様な傾向があったわけでございます。これがその後の不況を通じまして、金融機関の体質の悪化につながっているわけでございます。そのような意味で、大きな背景がこの問題にあったということは蓄えると思います。
  140. 安田純治

    ○安田委員 ところで、分類債権で銀行の業態別には全体でどのくらいになっておるか、お教えいただきたいと思います。
  141. 徳田博美

    ○徳田政府委員 分類につきましては、これは検査の結果でございますので、具体的に申し上げることはお許し願いたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、かつての四十七、八年ごろの過剰流動性時代に貸し出した貸し付けが、その後の不況によりまして内容が悪化しているものが少なくないわけでございまして、最近の検査におきましては、その面が検査結果の分類としてあらわれているわけでございます。  なお、それをさらに端的にあらわすものといたしまして、不良債権の直接償却状況を申し上げますと、たとえば相互銀行では五十年が二十八億、五十一年が四十三億、五十二年は六十六億、このように漸次増大しているわけでございます。
  142. 安田純治

    ○安田委員 今回の大光相互のこの事態がはっきりするに至ったのは、本年一月の検査で大蔵省は知った、こういうようなことも新聞に報道されておりますけれども、それは事実でございましょうか。その前には全くわからなかったのかどうか。四十年から今回まで、検査に入ったのは何回で、いつか、お知らせ願いたいと思います。
  143. 徳田博美

    ○徳田政府委員 今回御承知のとおり、昨年九月末において七百億余りの未計上の債務保証が発見されたわけでございますが、これを発見いたしましたのは今回一月十六日の検査においてでございまして、一月十六日に検査を実施すべく事前準備を進めている過程においてこのような事実が発見されまして、それを端緒として資料を収集して検査に入りまして、その全貌の概要がつかめたわけでございます。  なお検査時期でございますが、手元には四十六年からでございますが、四十六年の十一月、四十八年の十月、五十年の八月、五十二年の八月、それから五十四年の一月でございます。
  144. 安田純治

    ○安田委員 私ども聞いたところによりますと、その四十六年の前にも四十四年、四十二年と二年ごとくらいにずっと入っておるようになりますけれども、四十六年以降はまさにそのとおりだと思うのですね。一体どういう検査を行ったのかということが非常に疑問になるわけであります。  と申しますのは、先ほど大臣も監督責任のことについても、それは責任としては感ずるとおっしゃいましたけれども、ことしの一月に初めてこういう事態がわかった、それまでは全くにおいもなかったのかどうかということをずっと見てみますと、大いににおいはあったわけだと思うのですね。ただ、確かに裏保証の問題が具体的にこれほどまでだということについては一月かもしれませんけれども、においはもうぷんぷんとしたのではないかということが過去の事例を見るとずっと出てくるように思うわけであります。結論から申し上げますと、私どももそういうにおいをずっとたどってみますと、もし大蔵省の業務に対してこれを許認可する監督官庁が別にあれば、もう大蔵省の営業は停止されているのではないかというくらい、どうもうっかりしておるのではないかというふうに言いたいような気持ちになるわけであります。  そこで検査なんですけれども昭和五十二年の検査で、分類債権で三百五十一億円が計上されておるということを聞くのですが、これは事実ですか。
  145. 徳田博美

    ○徳田政府委員 検査結果の数字でございますので、私の方から申し上げかねます。
  146. 安田純治

    ○安田委員 私どもの聞いたところによると、そのくらいの分類債権があったということで、それがいろいろな印刷物にも出ておるようでありまして、大蔵省の方からのカバーでそれが手に入ったかどうか知りませんけれども、検査していればこの数字は事実だと思うのです。  ちょうど昭和五十二年当時、大蔵大臣は村山さんでございました。これは大光相互の顧問をしていらっしゃるわけであります。そういうことを考えますと、どうも検査に手心が加えられたのではないかというような感じを持つ人もいてもおかしくないのではないかと思うのです。検査の結果だから公表できないとあなたおっしゃいますけれども、そのころだって相当の分類債権があったはずであります。ですから、この点一体どういう立場で検査をされていたのか、この五十二年当時おかしな感じを持たなかったのかどうか、その点伺いたいと思うのです。全く不審に思いませんでしたか、五十二年の検査の結果。
  147. 徳田博美

    ○徳田政府委員 五十二年の八月の検査のときには村山大臣ではなかったわけでございますけれども、いろいろその前から大光相互につきまして問題点のあることも指摘されておりましたし、非常に厳しい検査を行ったわけでございまして、資産内容につきましてもかなり長い期間をかけて洗いまして、いろいろな点について指摘をしているわけでございます。ただ債務保証につきましては、そういう未計上のものがあるということは、その時点においてはつかむことはできなかったわけでございます。
  148. 安田純治

    ○安田委員 多額の分類債権を確認しながら、何ら指導が行われていなかったのではないかということを非常に疑問に思うわけであります。しかも支店で見ますと、たとえば福島県の郡山支店などは、支店の開設の認可があったのが昭和四十七年の十一月二十七日のようであります。五十二年というと、それからまだ五年たっていないわけですね。八月ですから四年と十カ月くらいですか、この間に分類債権の比率を見ますと、貸し出しに対する比率が三一%に及んでおるというようなことも言われておるのです。貸出対比で三一%。四十七年の十一月に開設認可があった郡山支店ですでに五十二年の検査でもし三一%もあったとすれば――全くなかったというのだったらこれは私の誤解ですが、どうも私どもの調べによるとそれくらいのものは検査であったのではないか。そうなりますと、これは非常に異常な状態じゃなかろうかと思うのですが、異常なことを感じませんでしたでしょうか。
  149. 徳田博美

    ○徳田政府委員 検査に当たりましては、いま先生御指摘のようないろいろな問題点を含めてすべて問題を洗い出して、個々にその指摘を行い、また、その結査について報告をとっているわけでございまして、御指摘のようないろいろな問題点については十分問題意識を持ち、指導もしていたわけでございます。
  150. 安田純治

    ○安田委員 どういう指導をしておられましたか。
  151. 徳田博美

    ○徳田政府委員 検査結果については、検査直後に講評という形で検査官がいろいろな問題を指摘いたしまして、それからそれを本省に持ち帰りましてから、今度は示達という形で個々の問題について書面をもって指摘するわけでございます。そこで指摘した事項につきましては、その後定期的に報告をとりまして、指摘した事項が改善されているかどうかということを常にフォローする形になっております。
  152. 安田純治

    ○安田委員 従業員組合の方ですでに昭和五十三年の春三月、この問題について当時の駒形社長に対して要求書という形でちゃんと申し入れをしておるわけです。その中にはっきりと検査における分類債権の問題が書かれておるわけであります。これを見ますと、当行は昨年八月の大蔵省検査で三百五十一億円もの分類債権が計上された、これは当行貸出金総額の一〇%以上に達しておる、全くゆゆしき事態であるということで、分類額は貸出対比にして池袋支店が一七%だ、新宿が一一%、新潟が一二%で郡山支店は一三%だと金額も書いてあります。従業員組合はすでに去年の三月に、ゆゆしき大事だというので経営問題としてこういうことを申し入れを行っているわけであります。したがって、もちろん検査をした主体である大蔵省はこのことは先に十分わかっているはずでありまして、従業員組合は結局検査の後での講評なり示達なりいろいろあって初めて知るわけでございますから、ずっと後にわかっているわけですね。ですから、大蔵省の監督責任というのは非常に重大だと言わざるを得ないと思うのであります。  駒形社長の関連会社といいますか、これは大変膨大な数にわたっております。有価証券報告書を見ますと、もちろんこれは銀行の直接の関連会社でないものですからどうも全然出てこないようでありますが、関連会社がたくさんございます。駒形社長がこういうたくさんの会社に関係しておるということは事前に御存じでしたか。
  153. 徳田博美

    ○徳田政府委員 金融機関の関連会社につきましては、銀行行政上の関連会社とそれ以外の一般の関連企業とに分かれるわけでございまして、銀行行政上の関連会社と申しますのは、その金融機関が出資を行い、また人的な面、創立の経緯の面等から判断いたしまして、その金融機関が当該企業を支配していると見られるような企業でございます。このような企業につきましては、銀行業務にあるいはそれの周辺業務だけに限っているわけでございまして、このような会社についての報告は行政面においても常に徴求しているわけでございます。それから、そのような関連会社に属さない一般の関連企業と申しますものにつきましては、検査の際に、貸し出しに問題があるようなものにつきましては資料を出させてこれを把握しているわけでございます。
  154. 安田純治

    ○安田委員 私どもでも関連会社一覧というのが簡単に手に入るわけで、調べてみますとこういうふうにあるわけです。確かに銀行の関連会社それ自体ではない、銀行の経営者の関係している会社ということになりますけれども、こういう異常な事態になりますと、やはりこうした問題が大分背景にあって特別な体質だと言われるこの状態が起きたと思うので、こういう点は銀行の関連会社でないという形で簡単には言えないのじゃないか。確かに銀行の関連会社それ自体ではないけれども、今日のような事態を惹起するいわば腐敗の土壌になるわけですから、この点についても十分考えるべきではなかったのかと思うのです。  また、検査ばかりじゃなくて大光相互の経営問題については、実は国会でも前に取り上げられているわけですね。ですから当然、全面的な調査や検査を行うべきではなかったのかと思うのです。いまになっていろいろおっしゃいますけれども、そういう点ではにおいがぶんぶんしておって、国会でも前に社会党の方が多分取り上げておると思うのです。ですから、ことしの一月になって初めてわかったみたいな話は、それは裏保証のいろいろな細かい中身については一月にわかったのかもしれませんけれども、その一月にわかったということ自体われわれは不思議に思うのですよ。もっと前にわかってしかるべきじゃないか。国会で問題が取り上げられた時点でももうすでにわかってしかるべき問題ではないか。それで私は、もし大蔵省の業務を許認可する官庁があれば、大蔵省は営業停止になっておるのじゃないかと言ったのですよ。これだけにおいがぶんぶんしておりながら、ことしの一月になって初めて裏保証の問題がわかった、これじゃ監督官庁があってなきがごとしじゃないかというふうに言わざるを得ないと思うのです。  ですから、先ほど竹本先生の御質問で、当面、責任の問題よりは乗り切りが大切だ。乗り切りが大切なことは私も同じ気持ちでありますが、その際に、大蔵省のこうした責任を十分お感じになった乗り切り策をとっていただかなければ困る。はっきり言えば、預金者や地元の取引先やあるいは銀行に働いておる労働者にしわ寄せをするような乗り切り方では困る、大蔵省の責任を十分考えた上での乗り切り方にしていただかなければならないと私は思うわけであります。乗り切りは乗り切りだ、責任は責任だ、こう分類されれば確かにそういうのも一つの理屈かもしれませんが、当面の乗り切りだからといって、いろいろな犠牲をこの際だこの際だといって従業員や何かに押しつけては困る。大蔵省の方が十分責任をとらなければならない問題じゃなかろうか。それに責任がとれないようだったら、銀行に対する監督の権限などは返上しなさいと言わざるを得ないわけです。  きょうの新聞を見ますと結局、人件費の抑制、ベースアップの停止その他いろいろなことで再建策を考えておるというような報道がされております。私に言わせれば、こういう事態に追い込んだのは、もちろん経営者自身に重大な責任があるし、これは刑事責任にまで及ぶ問題があると思いますけれども、同時に、監督責任のある大蔵省が今日の事態まで放置しておったというか、発見がおくれたというか、こういう問題を考えれば、ベアの停止をされるのは大蔵省の監督の衝に当たる者であって、まじめに一生懸命預金を集めて働いていた当該銀行の労働者がベースアップを停止されるいわれはないというふうに人情としては言いたいわけです。仕組みから見るとまさかそういうわけにいきませんでしょうけれども、そう言いたいぐらいに私ども大蔵省の責任というものを痛感せざるを得ないわけであります。そこで大蔵大臣も、大蔵省の責任ということを十分お考えの上で乗り切り策を考えていただきたいし、その後の方策も考えていただきたいので、その点を強く主張しておきたいと思います。  私は、今回の問題を契機にいたしまして、従来からも言われておったことですが、相互銀行のあり方が問われたというふうに思います。相互銀行が地元に密着した中小金融機関としてその役割りを十分に果たすというのじゃなくて、本来相互銀行だったらテリトリーであると考えられる地元が本当の基盤なわけですけれども、次々に県外に支店を設ける、特に大都市に店舗を設ける、地元から吸い上げた資金を県外、大企業あるいは不動産、こういうものに貸し出すやり方は改めなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。そういう意味でも、大蔵省が次々に県外に店舗の新設を認可してきた相互銀行というのは一体何だ、地元から資金を吸い上げて県外に持ち出す機関じゃないか、こういうことにもなりかねないので、本来の相互銀行としての役割りを果たすように大蔵省としては行政指導をぜひやっていただきたいということを申し上げたいわけであります。  それから再建に当たっては、地元の住民、もちろん関係企業や取引先、預金者、それから働いている労働者の声を十分反映させるようにやっていただきたいということをお願い申し上げたいのでございますが、これについて最後に所見をお伺いいたしたいと思います。
  155. 徳田博美

    ○徳田政府委員 大光相互銀行の経営の健全性の回復につきましては、先生御指摘のとおり預金者、それから地元の産業界、経済界、あるいは従業員等に十分配慮しながら行うように指導してまいりたいと思います。
  156. 安田純治

    ○安田委員 よろしくお願いします。終わります。
  157. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 永原稔君。
  158. 永原稔

    ○永原委員 先ほど来、来年度予算編成に臨む大蔵大臣のお考えを伺っておりました。こういう急がれる中で、ひとつ問題を提起してぜひ大蔵大臣の頭の中に入れておいていただきたい、こういう気持ちでお願い申し上げます。実は場所としてはここではなくて、災害対策特別委員会でやるべきかもしれません。しかし、問題が財政問題に及びますので、あえてこの場をかりて大蔵大臣の頭の中にぜひ入れておいていただきたい、こういうつもりで申し上げるわけです。  五月十二日に中央防災会議の専門委員会から、大規模地震の特別措置法に基づく強化地域の指定が発表になりました。これは一応専門委員会としての意見ですから、これから国土庁の方は各県知事に意見を問うて決めていかれると思います。  国土庁の方に伺いますけれども、きのうの災害対策特別委員会でも問題になりましたけれども、静岡県は七十五市町村ございます。そういう中で四町村が抜けております。これは地盤の関係で震度六の波及はないだろうという見解があろうと思いますけれども、現地の状況は、少し雨が降っても山が崩れる地すべり地帯であり急傾斜地帯なんです。こういう中で、震度六でなくてもその影響によって山が崩れ、この四つの町村が孤島化するおそれがある、こういう現状を踏まえて地元から町村長あるいは知事の意見として申し出た場合に積極的に取り入れていただけるかどうか、この点をまず第一番に伺いたいと思います。
  159. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明いたします。  今回の強化地域の指定でございますが、いまお話しのように五月十二日に、専門委員会の学者の先生方の御判定として一応中央防災会議の事務局が受け取ったという形になってございます。実は昨日、各都道府県知事さんにその報告書をもとに意見の照会文書を発送した段階でございます。今後地元の意見を十分に聞きながら、いま具体的にお話のございました四市町村につきましても公式の見解として、また、そこをどうしても入れてほしいというところの実情の開陳なりを踏まえまして、強化地域の中に含めるかどうかを検討させていただきたいと考えておるところでございます。
  160. 永原稔

    ○永原委員 この点はぜひ推進していただきたいと思います。  基本計画が策定されるのはもう間もないと思いますけれども、この基本計画の線に沿って今度、自治体では強化計画をつくらなければなりません。防災事業もずっと推進しなければならなくなるわけです。きのうの災害対策特別委員会で、その財政措置についての訴えが非常に強く出ました。そういう中で中野国土庁長官が、立法も含めて考慮するような御返事をなさいましたけれども、こういう中で国土庁はどういうような準備をなさっているのか。内容はきのうもお話しにはなられないということでございましたが、財政措置についてそういう準備を進めていらっしゃるのかどうか、伺いたいと思います。
  161. 城野好樹

    ○城野説明員 強化地域が指定されますと、その強化地域の実情に即しまして、いまお話しになりましたように国といたしましては地震防災基本計画を策定いたし、その防災基本計画に基づきまして個々の行政機関、地方公共団体、指定公共機関といった防災にそれぞれ責任を持っておられる方々が防災強化計画を作成することになります。その防災強化計画の中に、避難地、避難路、消防用施設等の整備強化を図る計画を明らかにすることになっておるわけでございます。  法律の順番から言いますとまだ現在、内閣総理大臣の告示という形では指定地域がはっきりしてないわけでございます。指定地域がはっきり決まりました段階で、各市町村の方でまた県の方で、具体的な強化計画、その中の緊急施設整備計画というものをおつくりになる。実は大分並行作業と申しますか、内々の並行作業は進んでおるわけでございますけれども、まだ確たるかっこうにはなっていないという状況でございます。  国土庁といたしましては、それらの計画に必要になってまいります財政需要と申しますかそういうようなものについては、それが固まってきた段階で、予算の確保等につきましては各省庁に十分お願いをしてまいるつもりでございます。また、そういう約束であの法律自体ができ上がっておるというふうに理解をいたしております。
  162. 永原稔

    ○永原委員 大蔵大臣がいらっしゃるので、大臣がじろっとごらんになると各省の方も遠慮なさいますから、本当に聞くだけ聞いておいていただきたいと思うのです。  建設省の方に伺いますけれども、報告書によりますと、伊豆半島南部から駿河湾内部に三メートルの大津波が起こる可能性が指摘されております。伊豆半島はもちろんですけれども、沼津から富士、この富士地区といいますと、ちょうど駿河湾の一番深いところ、奥になりますので、波の集中するところです。こういう富士とか、あるいは蒲原から由比にかけ、清水、静岡、こういうところ、これは建設省だけが所管している海岸ではありませんけれども、建設省の所管していらっしゃる海岸堤防あるいは防潮堤のようなものでこういう大津波に耐えられるだろうか、どういうように対処しようとなさっているのか、その辺のお考えはどうでしょうか。
  163. 富永正照

    ○富永説明員 お答えいたします。  駿河湾に面しました建設省の所管海岸につきまして現在、高潮対策事業等によりまして、直轄事業あるいは補助事業として、緊急を要する個所から鋭意海岸保全施設の整備を進めておるわけでございます。  それらの事業の結果、現在の段階で見てまいりますと、いまお尋ねの海岸の区域でございますが、ほぼ高さ三メートルを超える提防が設置されておりますので、御指摘の程度の津波を想定いたしましても、おおむね安全ではないかというふうに考えております。  なお、これらの地域につきましては、高潮、津波対策のために今後とも現行制度によりまして最大限の配慮を行いまして、一層の安全度の向上を図りたいというふうに考えております。
  164. 永原稔

    ○永原委員 いま安全とおっしゃいましたけれども、これは建設省が管理している地域でないかもしれません、しかし、沼津にはゼロ地帯がある。公害で名を売った塚田川なんというのはゼロ地帯です。こういうところには別に堤防があるわけではございません。それから静岡の大谷海岸などはもうすでに崩れちゃっている。こういうようなものを見ますと、決して三メートルの津波にたえられるような状態ではないと思いますけれども、こういう点にも十分配意していただきたいと思うのです。  とにかくこの防災事業を見ますと、建設省だけではありません。運輸省とか農林省とか各省に及ぶ。ところが、各省でこの仕事をおこなしになるという場合には、恐らく長期計画に基づく公共事業の枠の中でやるのではないか。ということになると、これは配分の問題が出てまいります。やはりこういうものについて、地震対策の特別事業というような枠を考えられないだろうか、これは後で大蔵大臣にも伺いますけれども、建設省の方はそういうようなお考えを持ってはいませんか。
  165. 瀬戸充

    ○瀬戸説明員 お答え申し上げます。  強化計画等で建設省の関係いたします分野は、避難地、避難路、緊急輸送を確保するための必要な道路等及び石油コンビナートの緩衝地帯等でありますが、これらにつきましては、地震防災強化計画におきましてその整備強化を定めることになっておりますが、現行制度の範囲内で十分の努力と配慮をいたしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  166. 永原稔

    ○永原委員 現行制度の範囲内だったらばなかなかできないと思うのです。避難路、避難地、そういうものだけではなくて、実際に自治体としてみますと、やはりやるべき仕事というのは山崩れとかあるいはがけ崩れ、そういうようなものまで含めて整備していかなければなりませんので、そういうものに対する需要というのは非常に大きくなってまいります。  自治省の方に伺いますけれども、この膨大な事業を消化するためには財政負担が大きくなります。静岡県はいまこういうような強化地域の指定ということを前提にして独自の対策をとっておりますけれども法人事業税一〇%の超過課税を本年度から実施しております。五年間の時限条例ですけれども、一〇%の超過課税で平年度六十一億、資本金一億あるいは所得二千万円以上のところが対象になっておりますが、五年間でも三百億を出ないのではないかと思います。そういうような財政措置、自助努力といいますかそういうことをやりながら、この地震対策に一生懸命専念しよう、こういうような状況ですけれども、この自助努力だけではとても事業を消化することはできません。市町村にもこの金は配賦されるわけですが、そういう努力をしながらも、国、県を問わず、市町村の事業まで入れますとこの五年間に投資しなければならないもの、これが三千二百億、こういうようなかっこうで公表されております。こういうものについて、実際に強化計画に盛られている事業というのは限定されるでしょうけれども、それに付随した防災事業に多額の金が要るというのに対して、自治省はどういうような御指導をなさろうとするのか、その点伺いたいと思います。
  167. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 お答え申し上げます。  地震防災対策事業につきましては、これから強化地域が指定をされまして対策を講じていくわけでございますが、その場合中心になりますものは地方公共団体であろうと私ども考えております。まだ計画の内容といいますか、静岡県なり関係団体におきましてどのような事業を行うかということにつきましては、正式にはまだ詳しく聞いていないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、相当膨大な財政需要、事業費並びに地方負担が生じてくるものと考えております。この点につきましては、強化計画の群業内容、所要経費あるいは地方負担、こういうものをよく見まして、関係省庁と十分協議をして、当該団体の財政運営に支障のないように措置すべきものであると考えておる次第でございます。
  168. 永原稔

    ○永原委員 建設省の方も自治省も、現行制度の中でおやりになるというような気持ちをお話しになっておりますけれども、現行制度の中ではとうていこれは消化し切れないと思うのです。これは政府提案の法律です。五十四年度はいよいよ地域も指定され、基本計画も策定され、それに基づいて強化計画あるいは民間の応急計画というのが策定されてまいります。動いてくるのです。五十五年度からは防災事業に専念しなければならない。いま財政課長が言われましたように、一番責任を負うのは地方自治体ですから、そういうものの財政措置を十分考えていかなければならないと思います。こういうような財政措置に対して大蔵大臣はどういうようにお答えになるでしょうか。たとえば五年の特別整備事業というようなものが考えられないだろうか、私はむしろ考えるべきだ、こういうように主張したいのです。窓口の国土庁長官、これは口を滑らしたのかどうかわかりませんけれども、きのうの御答弁では、立法まで含めて考慮すると、こういうような御答弁になりました。主管の大臣はそれほど緊迫感を感じている問題なんです。並み大抵ではない、こういうような状況ですが、これに臨む大蔵大臣、ぜひ御理解を賜って、前進的なお答えをちょうだいしたいと思います。
  169. 金子一平

    金子(一)国務大臣 防災対策の大事なことは十分私ども承知しておりますが、中身をこれからどうするか、関係省庁幾つかにわたることでございますし、十分実態に即応するような予算措置を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  170. 永原稔

    ○永原委員 私は静岡出身ですけれども、この問題は静岡県だけの問題ではないのです。本当に京浜経済圏、また阪神経済圏、また中京もありますが、そこを結ぶ通過交通を考えますと、東名高速道路、あるいは国道一号線、新幹線、東海道線、こういうのが並行して集中的に走っているところなんです。しかもそこが災害を受けたならば、ひとり静岡県の問題ではなくて、日本の経済の中枢、この連絡路が絶えてしまうわけです。日本の経済が麻痺すると言っても過言ではないでしょう。そういうような状態の中ですでに大きな問題が指摘されている。これに対応して、国といわず県といわず市町村といわず、万全の措置をしなければならない、こういう状況にあるわけです。  そういうことを考えますと、いままでのような公共事業の長期計画の中だけではとうてい処理し切れないのではないか。やはりこういうものに対応して地震対策の特別事業を特別枠として考えるべきではないか。それについてはやはり集中的な投資になりますので、補助率の引き上げというようなことも必要になるでしょう。裏負担について地方債の充当率を高めるという必要もあるでしょう。ということになるとすると、現行制度の中では解決できないのです。きのう長官が特別立法のことまで触れたというのは、そういうような事態をよく認識していらっしゃるからだと思いますが、まだこの地域は指定されていない、計画ができていない、それができてから対応するんだというのではもう五十五年度の予算編成に間に合わない、そういう気がしますので、至急こういう点についてお考えいただき、対策を講じていただきたいとお願いする次第でございます。大臣、これについてもう一度お答えいただけませんか。
  171. 金子一平

    金子(一)国務大臣 従来からできるだけの配慮をこういった問題についてやってきておることは御承知のとおりでございますけれども、特に大規模地震の対策としてはどこまでこれからやっていくか、やはり関係省庁と十分中身を詰めてやっていかなければいかぬと思います。十分その点は配慮いたしますから、どうか一つどもに検討の時間的余裕を与えていただきたい、こういうことでございます。
  172. 永原稔

    ○永原委員 ぜひ前向きに御検討をお願いいたします。  それで、もう時間が参りましたけれども、一言だけ地震保険のことについて……。  いま保険審議会の方でいろいろ検討が進められておるようですが、この地震保険については非常に不満が多うございます。改正の方向というようなものについて、現段階における考えお話しいただけたらと思います。
  173. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  地震保険の改定作業につきましては、昨年の秋以来、いま御指摘のありましたように保険審議会で鋭意審議が進められているわけでございます。  不満が多いという声は、全損だけに限るということが一番多いわけでございまして、それにつきましては、建物につきましては半損までも見ようという方向で進んでおります。ただ、半損に至らない一部損壊は非常に査定がむずかしいので、これはちょっと不可能ではないかというのが現段階でございます。それから家財でございますが、家財は、最初審議会では全損だけだ、家財の半損というのはとうてい査定ができないのじゃないかという意見が強うございましたが、これはなかなか世論の要望にこたえられないということでちょっとフィクションを加えまして、全損はもちろん持ちます、それから、建物が半損の場合で家財が半損に至らないものについては一定率を支払うということにしております。  その他引受方法とかいろいろ問題がございますが、いま残っておる問題は限度額でございます。御承知のように建物二百四十万、家財百五十万という限度がありまして、これでは補償が非常に少ないという批判がございまして、これについてどのくらいまで引き上げるかということを鋭意検討しておりまして、この結論は大体今月の末には出る。いろいろな案が出ておりますが、いまの段階ではちょっと御答弁を差し控えさせていただきますが、相当な金額を考えておる次第でございます。  以上でございます。
  174. 永原稔

    ○永原委員 各省の方においでいただいていろいろありがとうございました。大蔵大臣、この問題についてはぜひ善処していただきたいとお願いして、質問を終ります。      ――――◇―――――
  175. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、証券取引に関する件について、来る三十日午前十一時、参考人として東京証券取引所理事長谷村裕君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次回は、来る三十日水曜日午前十時三十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会