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1979-05-22 第87回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十二日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 加藤 六月君    理事 稲村 利幸君 理事 小泉純一郎君    理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 竹本 孫一君       愛知 和男君    池田 行彦君       宇野 宗佑君    江藤 隆美君       小渕 恵三君    大村 襄治君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       森  美秀君    山崎武三郎君       伊藤  茂君    池端 清一君       大島  弘君    沢田  広君       只松 祐治君    美濃 政市君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    安藤  巖君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 金子 一平君         運 輸 大 臣 森山 欽司君  出席政府委員         大蔵政務次官  林  義郎君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         運輸政務次官  林  大幹君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山地  進君  委員外出席者         自治省行政局公         務員部福利課長 望月 美之君     ――――――――――――― 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   貝沼 次郎君     宮井 泰良君 同日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     貝沼 次郎君 同月二十二日  辞任         補欠選任   安田 純治君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     安田 純治君     ――――――――――――― 五月十六日  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する  法律案内閣提出第六八号) 同月十日  立川基地跡地芸術文化ゾーン建設に関する請  願(福田篤泰紹介)(第三三八五号)  同(石川要三紹介)(第三五〇四号)  一般消費税新設反対に関する請願外四件(大  原一三紹介)(第三四一〇号)  同(原茂紹介)(第三四一一号)  一般消費税反対及び所得税減税等に関する請願  外六件(湯山勇紹介)(第三四一二号) 同月十一日  共済年金制度改悪阻止等に関する請願高沢  寅男紹介)(第三五五〇号)  立川基地跡地芸術文化ゾーン建設に関する請  願(長谷雄幸久紹介)(第三五九八号)  同(長谷川正三紹介)(第三六四四号)  同(山花貞夫紹介)(第三六四五号)  一般消費税新設反対に関する請願沢田広君  紹介)(第三六四二号)  同(依田実紹介)(第三六四三号) 同月十二日  立川基地跡地芸術文化ゾーン建設に関する請  願(工藤晃君(共)紹介)(第三七六四号)  共済年金制度改悪阻止等に関する請願(八百  板正紹介)(第三七六五号)  一般消費税新設反対に関する請願安藤巖君  紹介)(第三八八一号)  同外三件(浅井美幸紹介)(第三八八二号)  同(荒木宏紹介)(第三八八三号)  同(有島重武紹介)(第三八八四号)  同外三件(飯田忠雄紹介)(第三八八五号)  同外七件(板川正吾紹介)(第三八八六号)  同(浦井洋紹介)(第三八八七号)  同外二件(小川新一郎紹介)(第三八八八号)  同外一件(大久保直彦紹介)(第三八八九号)  同(大橋敏雄紹介)(第三八九〇号)  同外三件(長田武士紹介)(第三八九一号)  同外五件(貝沼次郎紹介)(第三八九二号)  同外二件(木原実紹介)(第三八九三号)  同外一件(北側義一紹介)(第三八九四号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第三八九五号)  同(小林政子紹介)(第三八九六号)  同(坂井弘一紹介)(第三八九七号)  同外三件(坂口力紹介)(第三八九八号)  同(柴田睦夫紹介)(第三八九九号)  同外三件(鈴切康雄紹介)(第三九〇〇号)  同(瀬崎博義紹介)(第三九〇一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第三九〇二号)  同(田中美智子紹介)(第三九〇三号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三九〇四号)  同外五件(玉城栄一紹介)(第三九〇五号)  同(津川武一紹介)(第三九〇六号)  同(寺前巖紹介)(第三九〇七号)  同外一件(中川嘉美紹介)(第三九〇八号)  同外一件(西中清紹介)(第三九〇九号)  同外四件(長谷雄幸久紹介)(第三九一〇号)  同外一件(林孝矩紹介)(第三九一一号)  同(東中光雄紹介)(第三九一二号)  同(不破哲三紹介)(第三九一三号)  同(藤原ひろ子紹介)(第三九一四号)  同外二件(古川雅司紹介)(第三九一五号)  同外一件(正木良明紹介)(第三九一六号)  同(正森成二君紹介)(第三九一七号)  同(松本善明紹介)(第三九一八号)  同(三谷秀治紹介)(第三九一九号)  同外三件(宮井泰良紹介)(第三九二〇号)  同外三件(宮地正介紹介)(第三九二一号)  同外二件(村山喜一紹介)(第三九二二号)  同外一件(矢野絢也君紹介)(第三九二三号)  同外六件(矢山有作紹介)(第三九二四号)  同(安田純治紹介)(第三九二五号)  同外三件(山田太郎紹介)(第三九二六号)  同(山原健二郎紹介)(第三九二七号)  同(吉浦忠治紹介)(第三九二八号)  同(渡辺三郎紹介)(第三九二九号)  同(安島友義紹介)(第三九三〇号)  同外二件(小川省吾紹介)(第三九三一号)  同外一件(大島弘紹介)(第三九三二号)  同外二件(加藤万吉紹介)(第三九三三号)  同(坂本恭一紹介)(第三九三四号)  同(沢田広紹介)(第三九三五号)  同外一件(新盛辰雄紹介)(第三九三六号)  同(竹内猛紹介)(第三九三七号)  同外四件(只松祐治紹介)(第三九三八号)  同(古川喜一紹介)(第三九三九号)  同外二件(山田耻目君紹介)(第三九四〇号)  一般消費税新設反対等に関する請願安藤巖  君紹介)(第三九四一号)  同(玉城栄一紹介)(第三九四二号)  同(矢野絢也君紹介)(第三九四三号)  一般消費税新設反対等に関する請願石田幸四  郎君紹介)(第三九四四号)  同(河上民雄紹介)(第三九四五号)  同(久保三郎紹介)(第三九四六号)  同外二件(伏屋修治紹介)(第三九四七号)  同(矢野絢也君紹介)(第三九四八号)  同(吉原米治紹介)(第三九四九号)  同(渡部行雄紹介)(第三九五〇号) 同月十四日  パートタイマー所得税控除に関する請願(金  子みつ紹介)(第四〇五九号)  一般消費税新設反対に関する請願外一件(有  島重武紹介)(第四〇六〇号)  同(伊藤茂紹介)(第四〇六一号)  同外二件(市川雄一紹介)(第四〇六二号)  同(池端清一紹介)(第四〇六三号)  同(小川仁一紹介)(第四〇六四号)  同外十件(大久保直彦紹介)(第四〇六五号)  同(大島弘紹介)(第四〇六六号)  同外六件(大野潔紹介)(第四〇六七号)  同外一件(近江巳記夫紹介)(第四〇六八号)  同外一件(沖本泰幸紹介)(第四〇六九号)  同(鍛冶清紹介)(第四〇七〇号)  同(北側義一紹介)(第四〇七一号)  同(斉藤正男紹介)(第四〇七二号)  同(鈴木強紹介)(第四〇七三号)  同外三件(高田富之紹介)(第四〇七四号)  同外二件(武田一夫紹介)(第四〇七五号)  同外一件(只松祐治紹介)(第四〇七六号)  同(玉城栄一紹介)(第四〇七七号)  同外一件(鳥居一雄紹介)(第四〇七八号)  同外一件(中村茂紹介)(第四〇七九号)  同(西中清紹介)(第四〇八〇号)  同外一件(野村光雄紹介)(第四〇八一号)  同外一件(日野市朗紹介)(第四〇八二号)  同外三件(広沢直樹紹介)(第四〇八三号)  同(伏木和雄紹介)(第四〇八四号)  同外二件(松本七郎紹介)(第四〇八五号)  同(薮仲義彦紹介)(第四〇八六号)  同(山花貞夫紹介)(第四〇八七号)  同(湯山勇紹介)(第四〇八八号)  一般消費税新設反対等に関する請願伊藤茂  君紹介)(第四〇八九号)  同外一件(沖本泰幸紹介)(第四〇九〇号)  同外一件(竹入義勝君紹介)(第四〇九一号)  中小業者に対する税制改正に関する請願伊藤  茂君紹介)(第四〇九二号)  一般消費税反対及び所得税減税等に関する請願  (加藤万吉紹介)(第四〇九三号)  同(湯山勇紹介)(第四〇九四号)  一般消費税新設反対等に関する請願草野威君  紹介)(第四〇九五号)  不公平税制の是正及び大幅減税等に関する請願  (伏木和雄紹介)(第四〇九六号) 同月十五日  一般消費税新設反対に関する請願(阿部未喜  男君紹介)(第四二七三号)  同(井上一成紹介)(第四二七四号)  同(伊賀定盛紹介)(第四二七五号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第四二七六号)  同外一件(小川国彦紹介)(第四二七七号)  同(大成正雄紹介)(第四二七八号)  同(岡田利春紹介)(第四二七九号)  同(金子みつ紹介)(第四二八〇号)  同(川崎寛治紹介)(第四二八一号)  同(木原実紹介)(第四二八二号)  同(北山愛郎紹介)(第四二八三号)  同(小林政子紹介)(第四二八四号)  同(後藤茂紹介)(第四二八五号)  同外一件(渋沢利久紹介)(第四二八六号)  同外一件(新村勝雄紹介)(第四二八七号)  同(鈴木強紹介)(第四二八八号)  同外三件(田邊誠紹介)(第四二八九号)  同外二件(高沢寅男紹介)(第四二九〇号)  同(楯兼次郎紹介)(第四二九一号)  同外三件(野坂浩賢紹介)(第四二九二号)  同外二件(馬場昇紹介)(第四二九三号)  同(長谷川正三紹介)(第四二九四号)  同(不破哲三紹介)(第四二九五号)  同外五件(細谷治嘉紹介)(第四二九六号)  同外一件(松沢俊昭紹介)(第四二九七号)  同(松本善明紹介)(第四二九八号)  同(村山富市紹介)(第四二九九号)  同(山田耻目君紹介)(第四三〇〇号)  同外三件(渡辺芳男紹介)(第四三〇一号)  一般消費税反対及び所得税減税等に関する請願  (湯山勇紹介)(第四三〇二号)  一般消費税新設反対等に関する請願井上普方  君紹介)(第四三〇三号)  同(川崎寛治紹介)(第四三〇四号)  同(川本敏美紹介)(第四三〇五号)  同(佐藤観樹紹介)(第四三〇六号)  同(田邊誠紹介)(第四三〇七号)  同(高沢寅男紹介)(第四三〇八号)  同(美濃政市紹介)(第四三〇九号)  同(安田純治紹介)(第四三一〇号)  同(久保等紹介)(第四三一一号)  一般消費税新設反対等に関する請願後藤茂  君紹介)(第四三一三号)  同(島田琢郎紹介)(第四三一四号)  同(田畑政一郎紹介)(第四三一五号)  同(高沢寅男紹介)(第四三一六号)  同(谷口是巨君紹介)(第四三一七号)  同外一件(松沢俊昭紹介)(第四三一八号)  同(森井忠良紹介)(第四三一九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四三二〇号)  同(兒玉末男紹介)(第四三二一号)  共済年金制度改悪反対等に関する請願外一件  (安島友義紹介)(第四三二二号)  同(井上一成紹介)(第四三二三号)  同(池端清一紹介)(第四三二四号)  同(石野久男紹介)(第四三二五号)  同(板川正吾紹介)(第四三二六号)  同(上田卓三紹介)(第四三二七号)  同(枝村要作紹介)(第四三二八号)  同(小川仁一紹介)(第四三二九号)  同外一件(大出俊紹介)(第四三三〇号)  同外一件(太田一夫紹介)(第四三三一号)  同(加藤清二紹介)(第四三三二号)  同(加藤万吉紹介)(第四三三三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四三三四号)  同(川崎寛治紹介)(第四三三五号)  同(川本敏美紹介)(第四三三六号)  同(北山愛郎紹介)(第四三三七号)  同(久保三郎紹介)(第四三三八号)  同(久保等紹介)(第四三三九号)  同(栗林三郎紹介)(第四三四〇号)  同(小林進紹介)(第四三四一号)  同外一件(兒玉末男紹介)(第四三四二号)  同(上坂昇紹介)(第四三四三号)  同外一件(沢田広紹介)(第四三四四号)  同(島本虎三紹介)(第四三四五号)  同(下平正一紹介)(第四三四六号)  同(新村勝雄紹介)(第四三四七号)  同外一件(鈴木強紹介)(第四三四八号)  同外一件(田口一男紹介)(第四三四九号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四三五〇号)  同(千葉千代世紹介)(第四三五一号)  同(中西積介紹介)(第四三五二号)  同外一件(中村茂紹介)(第四三五三号)  同(中村重光紹介)(第四三五四号)  同(渡部行雄紹介)(第四三五五号)  同(西宮弘紹介)(第四三五六号)  同(日野市朗紹介)(第四三五七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四三五八号)  同外一件(福岡義登紹介)(第四三五九号)  同(藤田高敏紹介)(第四三六〇号)  同(古川喜一紹介)(第四三六一号)  同(松沢俊昭紹介)(第四三六二号)  同(水田稔紹介)(第四三六三号)  同外一件(原茂紹介)(第四三六四号)  同(安井吉典紹介)(第四三六五号)  同(山口鶴男紹介)(第四三六六号)  同(山花貞夫紹介)(第四三六七号)  同(米田東吾紹介)(第四三六八号)  立川基地跡地芸術文化ゾーン建設に関する請  願(伊藤公介紹介)(第四三七〇号)  同(大野潔紹介)(第四三七一号)  共済年金制度改悪阻止等に関する請願(上田  卓三君紹介)(第四三七二号)  みなし法人課税制度合理化に関する請願(三  原朝雄紹介)(第四三七三号)  パートタイマー所得税控除に関する請願(小  林政子紹介)(第四三七四号)  同(田中美智子紹介)(第四三七五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四三七六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十二日  共済年金制度改悪反対等に関する陳情書外四件  (第二三四号)  一般消費税新設反対に関する陳情書外二十一  件(第二  三五号)  所得税法上における生命保険料所得控除限度  額引き上げ等に関する陳情書  (第二三六号)  離婚に伴う財産分与に対する譲渡所得税課税  問題に関する陳情書  (第  二三七号)  小口金融業法制定等に関する陳情書  (第二三八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第三七号)  昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法に規定する共済組合支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出  第六二号)  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する  法律案内閣提出第六八号)  金融に関する件(大光相互銀行の経営問題)      ――――◇―――――
  2. 加藤六月

    加藤委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度以 降における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  これより各案について政府より提案理由の説明を求めます。金子大蔵大臣。     —————————————
  3. 金子一平

    金子(一)国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、その額を引き上げることとするほか、国家公務員共済組合年金制度現状に顧み、退職年金等支給開始年齢引き上げ高額所得者に対する退職年金支給制限退職一時金制度廃止等措置を講ずるとともに、健康保険法等の一部を改正する法律案による改正内容に準じ、所要措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、国家公務員共済組合等からの年金の額を改定することであります。すなわち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、旧国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法に基づく年金のうち、昭和五十三年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、このたび、別途、本国会で御審議をお願いしております恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置にならい、昭和五十三年度の国家公務員給与改善内容に準じ、年金額算定基礎となっている俸給を増額することにより、本年四月分以後、年金額引き上げることといたしております。  この結果、平均で約三・六%程度年金額改善されることとなります。  第二に、公務関係年金及び長期在職者の受ける退職年金等最低保障額恩給公務員期間等を有する八十歳以上の老齢者に対する年金額割り増し措置について改善を図ることといたしておりますが、これも恩給における措置にならうものであります。  第三に、遺族年金に加算される寡婦加算及び遺族加算の額を、遺族の置かれている特別な事情にかんがみ、それぞれ年額一万二千円引き上げることといたしております。  第四に、退職年金支給開始年齢につきまして、年金受給者高齢化等に対応して、共済組合の将来にわたる年金財政健全性確保を図ること等の見地から、現行の五十五歳を六十歳に引き上げることといたしております。  なお、この支給開始年齢引き上げにつきましては、組合員老後生活設計等も考慮し、段階的に引き上げていくという経過措置を講ずることといたしております。  第五に、高額所得を有する退職年金受給者につきまして、年金の一部の支給を停止することといたしております。  第六に、減額退職年金受給を選択できる場合を原則として五十五歳からに限定するとともに、減額率についても保険数理に適合するものに改めることといたしております。  なお、これらの改正についても、所要経過措置を講ずることといたしております。  第七に、現行退職一時金制度につきまして、すでに通算年金制度が樹立されております関係上、この際これを廃止することとし、別途、厚生年金脱退手当金と同様の制度を設けることといたしております。  第八に、公庫等に出向する職員につきまして、現在の厚生年金共済年金の二重加入の状態を解消するため、五年を限り、公庫等に出向している期間につきましては共済組合組合員とすることといたしております。  第九に、長期給付における国庫負担につきまして、当分の間の措置として、総財源の一%相当を特別に負担することといたしております。  第十は、短期給付に関する改正であります。従来から、共済組合短期給付は、健康保険の例にならってきたところでありますが、別途、今国会で御審議をお願いしております健康保険法等の一部を改正する法律案による改正内容に準じ、このたび、共済組合医療給付等においても同様の改正を行うことといたしております。  以上のほか、特別の事情により公務上死亡した者の遺族の範囲の緩和、自衛官等に対する特例年金制度廃止、掛金及び給付額算定基礎となる俸給最高限度額引き上げ等所要改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 加藤六月

    加藤委員長 長森山運輸大臣。     —————————————
  5. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合支給しております退職年金等につきまして、別途、本国会で御審議いただいております恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じ、年金額引き上げることとするほか、公共企業体共済組合年金制度現状にかんがみ、退職年金等支給開始年齢引き上げ高額所得者に対する退職年金支給制限退職一時金制度廃止国等に出向する職員に関する継続長期組合員制度創設等措置を講ずるとともに、別途、本国会で御審議いただいております健康保険法等の一部を改正する法律案による健康保険法改正内容に準じ、所要措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、公共企業体共済組合支給しております退職年金等のうち、昭和五十三年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給等改善措置にならい、その年金額算定基礎となっている俸給昭和五十三年度の国家公務員給与改善内容に準じて引き上げることといたしております。  この結果、本年四月分以後、平均で約三・六%程度年金額が増額されることとなります。  第二に、長期在職した者に係る退職年金等及び旧国家公務員共済組合法に基づく殉職年金等最低保障額引き上げるとともに、恩給公務員期間等を有する八十歳以上の者に対する年金額割り増し措置改善を図ることといたしておりますが、これも恩給等における措置にならうものであります。  第三に、遺族年金等に加算される寡婦加算及び遺族加算につきまして、遺族の置かれている特別な事情にかんがみ、それぞれ、年額一万二千円引き上げることといたしております。  第四に、退職年金等支給開始年齢につきまして、年金受給者高齢化等に対応して、共済組合の将来にわたる年金財政健全性確保を図ること等の見地から、現行の五十五歳から六十歳に引き上げることといたしております。  なお、この支給開始年齢引き上げにつきましては、組合員老後生活設計等も考慮し、段階的に引き上げていくという経過措置を講ずることといたしております。  第五に、高額所得を有する退職年金受給者につきまして、年金の一部の支給を停止することといたしております。  第六に、減額退職年金受給を選択できる場合につきましては原則として五十五歳からに限定するとともに、減額率につきましても保険数理に適合するものに改めることといたしております。  なお、これらの改正につきましても、所要経過措置を講ずることといたしております。  第七に、現行退職一時金制度につきまして、すでに通算年金制度が樹立されております関係上、この際、退職一時金、返還一時金及び死亡一時金を廃止することとし、別途厚生年金脱退手当金と同様の制度を設けることといたしております。  第八に、公団等に出向する職員につきまして、現在の厚生年金共済年金の二重加入の状態を解消するため、五年を限り、公団等に出向している期間につきましては継続長期組合員として共済組合組合員とすることといたしております。  また、国または地方公共団体に出向する職員につきましても、公団等に出向する場合と同様に取り扱うことといたしております。  第九に、長期給付における公共企業体の負担につきまして、当分の間の措置といたしまして、総財源の一%相当を公経済の主体としての公共企業体が、特別に負担することといたしております。  第十は、短期給付に関する改正であります。従来から、共済組合短期給付は、健康保険の例にならってきたところでありますので、このたび共済組合医療給付等におきましても、健康保険改正内容に準じた改正を行うことといたしております。  このほか、組合員期間二十年未満の廃疾年金受給者が死亡した場合につきましても遺族年金支給することとする等、所要改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  6. 加藤六月

    加藤委員長 金子大蔵大臣。     —————————————
  7. 金子一平

    金子(一)国務大臣 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における国際経済情勢及び開放経済を目指すわが国の基本的姿勢にかんがみ、対外取引を原則自由とする法制に改めるとともに、対外取引の一層の自由化と手続の簡素化を図ることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、対外取引が自由に行われることを基本原則とする旨を法律の目的に規定することといたしております。  第二は、資本取引の原則自由化であります。  資本取引につきましては、現行原則禁止のたてまえを改め、特段の定めがある場合を除き、自由に行い得るものとするとともに、制限し得る資本取引の範囲及び要件を明確にするものといたしております。すなわち、わが国の国際収支の均衡を維持することが困難になるとき、円相場の急激な変動をもたらすことになるときまたはわが国の金融、資本市場に悪影響を及ぼすことになるときには、このような事態に適切に対処するため、資本取引に対して制限を課することができることといたしております。また、一定の貸し付け、証券の発行、募集等特定の資本取引について事前届出制とすることとし、国際金融市場に悪影響を及ぼし、またはわが国の国際的信用を失うことになるなど、一定の要件に該当する例外的なものに限り、その内容の変更の勧告等を行うことができることといたしております。  第三は、役務取引等の原則自由化であります。すなわち、現行原則禁止のたてまえを改め、鉱産物の加工等ごく一部のものを除き、自由に行い得ることといたしております。  第四は、対内直接投資等の原則自由化であります。すなわち、現行の外資に関する法律廃止して外国為替及び外国貿易管理法に統合するとともに、対内直接投資等及び技術導入契約の締結等につきまして、現行の許認可制を改め、事前届出制とすることといたしております。この場合におきまして、わが国経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすようなもの等につきましては、その内容の変更の勧告等所要措置を講じ得ることといたしております。  第五は、支払い等の原則自由化であります。すなわち、支払いまたは支払いの受領につきまして、現行原則禁止のたてまえを改め、原則自由とすることといたしておりますが、勘定の貸記または借記等特殊な方法によるものにつきましては許可を要することといたしております。このほか支払い手段等の輸出入及び債権回収義務についても原則として自由とすることといたしております。  第六は、外国為替審議会の設置であります。すなわち、外国為替及び対内直接投資等に関する重要事項を調査審議するため、大蔵省の付属機関として外国為替審議会を置くことといたしております。  以上、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容の大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  8. 加藤六月

    加藤委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。
  9. 加藤六月

    加藤委員長 次に、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  10. 池端清一

    池端委員 共済組合法の一部を改正する法律案につきましてただいま提案理由の説明がございましたが、今回の改正では、共済年金支給開始年齢現行の五十五歳から六十歳に引き上げるなどの制度改正提案をされているわけであります。  私は今度の提案は、昭和三十一年に公共企業体昭和三十四年に国家公務員昭和三十七年に地方公務員のそれぞれの共済組合法が施行されて以来の共済制度の大改正である、このように考えるものでございますが、今回このように突如としてこの大改正提案された理由をもっと具体的に御説明をいただきたい、こう思うわけであります。
  11. 禿河徹映

    禿河政府委員 確かに今回の共済組合法改正は、支給開始年齢引き上げ等制度にまたがる面もかなりございまして、御指摘のとおり大きな改正と言えると思います。  こういう大きな改正を私ども図りたいと考えましたのは、かねがね国家公務員共済組合審議会の場におきましても、共済の制度の見直しということで、いわゆる今井メモというものに基づいてこれまで検討もなされてまいりました。さらに昨年の三月からは、国家公務員、地方公務員、それに公企体職員の三つの共済組合の懇談会を設けまして、共通の問題につきまして改善を図るべき事項はないかというふうな検討を重ねてまいったわけでございます。  そういう検討を背景といたしまして、五十四年の十月には財政再計算を行わなくてはならない、こういう事態になっておるわけでございます。そういう点をいろいろ勘案いたしますと、やはり将来にわたります共済年金財政の安定を図る方策を立てるべきではないか。それから、最近におきます公務員等の退職年齢も、共済制度が発足いたしました当時に比べまして、かなり高齢化しておるというふうな事態があるわけでございます。  そういうことでございますので私どもといたしましては、十分な経過期間を設けまして無理のない移行を図りながら、制度改善をできるだけ早く行っていくことが適当であろう、こういうことで、今回御提案申し上げたような改善内容を得たわけでございます。
  12. 池端清一

    池端委員 いまいろいろな理由が挙げられたわけでありますが、その一つに、ことしが年金財政の再計算期に当たるということを挙げられました。確かに国家公務員共済は本年の十月、地方公務員共済は本年の十二月、いわゆる五年目の再計算期に当たるわけであります。しかし、公共企業体は一体どうでしょうか。私が承知しているところでは、公共企業体の再計算期は明年、明年が五年目に当たる、来年が五年目だ、こういうことでございます。ですから、いま御答弁がありました五年目の再計算期に当たるということは、私は必ずしも理由にならないのではないか、こう思うわけであります。この問題について、私どもは決して避けて通るべき問題ではないと思うのであります。十分慎重に検討しなければならない問題だと思っておりますが、各界の世論も十分この問題については慎重に対処してほしいという声が強まっているときにむしろ、国公や地公の再計算期を公共企業体に合わせて来年に延ばすべきではないか、そういう中から慎重な検討がひとつ求められているのではないか、こう思うのでありますが、この辺についてはどうでしょう。
  13. 禿河徹映

    禿河政府委員 公企体の再計算時期は確かに昭和五十五年ということでございます。この点につきましては、私から御答弁するよりあるいは運輸省の方から御答弁申し上げた方がいいかもしれませんが、国共済、地共済の再計算がこの昭和五十四年に行われる。共済の財政内容等を考えてまいりますと実は、もう御存じのとおり公企体共済の方が、特に国鉄、その内容が非常に逼迫いたしておる、こういう状況にあるわけでございます。そういう点を踏まえますと、やはり支給開始年齢引き上げに着手するのはむしろ、公企体の方が早い方がいいぐらいという問題も実はあるわけでございます。私どもの公務員共済、そこで支給開始年齢引き上げを図るのと同時に、公企体におきましても、その再計算の時期ではございませんけれども、公務員の共済の再計算時期に合わせまして、同じような制度改善を図ることが適当であろう、こういうことで改正案を御提案申し上げたようなわけでございます。
  14. 池端清一

    池端委員 その再計算期に当たるということを金科玉条のように言われておったのですが、実は違うということを私はいま申し上げた、その事実だけはひとつはっきりさせておいていただきたいと思うのです。  そこで、今回のこの改定理由として、ここ数年来大きく言われておりますいわゆる官民較差という問題でございますね。この問題については、政府としてはどういうふうな考え方に立っておられるのか、その辺の見解を承りたいと思います。
  15. 禿河徹映

    禿河政府委員 私どもいわゆる官民較差の問題につきましては、関係の機会にしばしば御答弁申し上げたりいたしてございますが、世上一般に言われておりますいわゆる官民較差ということの中には、制度の実態あるいは仕組みというものを無視したような御批判もあることは事実だと思っております。やはり現在公的年金制度がかなりの数でございますけれども、それぞれの年金制度には、その制度の沿革の差とかあるいは仕組みの差とかあるいは性格の差とかいうふうなものがいろいろあるわけでございます。そういう差を無視して、しかもまた、あるいは加入期間の差とかいうものを無視して単純に比較するということは、必ずしも当を得たものとは考えておりません。やはり大きな年金制度の中におきまして、相互にバランスと申しますか不合理な不均衡というものは、その是正を図ってまいらなくてはならないことは事実でございますけれども、世上言われておりますいわゆる官民較差ということの中には、先ほども申し上げましたような制度の実態からやや離れた御批判もあるように考えております。
  16. 池端清一

    池端委員 共済年金制度というのは、一つには社会保障の役割り、もう一つには企業年金的な性格、さらに三つ目は福祉の代行、四つ目に公務制度の一環、こういうような側面を持っている、私はこういうふうに思うわけであります。  そこで、この公務制度という観点からひとつこの問題を考えてみますると、これは国家公務員共済組合法の第一条にもそのことがはっきりうたわれておるわけでありまして、「公務の能率的運営に資することを目的とする。」というふうに規定をされていることからも明らかなわけであります。そこで、公務制度の一環であるということであるならば当然、今度の制度改正に当たっては人事院の意見をお聞きになったことと思うのであります。その際、人事院としてはこの問題についてどういう態度を表明せられたのか、その辺の事情をひとつ承りたい、こう思うわけでございます。
  17. 禿河徹映

    禿河政府委員 人事院の方に対しましても、私ども今回の改正に当たりまして連絡を密にいたしまして、こういう内容改善を図りたいという事前の連絡は十分いたしたわけでございます。  それに対しまして人事院は、最近の情勢等々を踏まえまして、基本的に異議はない、こういうふうな返答が参りました。文書ではございませんけれども、その辺のところは随時連絡をとりながら今度の改正を図ったわけでございます。人事院の方の御意見といたしましては、改正案の作成に当たりましては、他の公的年金との均衡とかあるいは年金財政上の視点ということにとどまらず、人事管理上特に支障を来すことのないよう留意して、経過措置とか特例措置等について十分配慮してもらいたい、こういう御意見もございまして、私どもそういう点につきましても、今回の改正案におきまして十分配慮をいたしたつもりでございます。
  18. 池端清一

    池端委員 人事院は基本的に異議はない、こういうお話だったということでありますが、私どもが聞いておる話とはちょっとその辺が違うわけであります。さらにこの問題については後ほど、同僚委員が人事院に対してもお尋ねをすることになっておりますので、その際にまた改めて同僚委員からお尋ねをしたいと思っております。  そこで、公務制度の一環であるということであるならば私は当然に、任用制度あるいは賃金体系、退職手当、そして年金という問題を一元的に把握をして検討していかなければならない問題だというふうに考えるわけであります。特にいま政府は、閣議決定に基づいて人事院が作業を行っております定年制導入の問題、その是非はともかくとしてこの定年制導入の問題がある、あるいは退職手当の見直しという問題もございます。いま人事院が検討を進めているわけであります。これはその問題ときわめて密接な関連を持っているというふうに思うわけであります。私はこの定年制の問題や退職手当の問題と総合的に検討してしかるべき問題だと思うのでありますが、特に支給年齢の引き上げ等年金のみを切り離して今回提案をされたその理由をひとつお尋ねをしたい、こう思うのであります。
  19. 禿河徹映

    禿河政府委員 ただいま御指摘ございましたとおり、共済年金制度というものの性格は、先生いま四点挙げられましたけれども、そのお話のとおりだと思います。しかし、これを大きくくくって申し上げますと、やはりその中心は、公的年金として厚生年金の代行を行うというのが中心であろうかと思います。しかし、公務制度の一環としての性格も持っておることも事実でございます。そういう公務制度の一環という点に着目いたしますと、他の公務制度、任用とか退職金とか賃金の体系とかいうものとそれは一体的に処理するのが一番望ましいではないかということも確かに言えると思いますけれども、同時に、先ほど申しましたとおり、やはり公的年金としての性格を中心に据えたものでございまして、そういう点を考えてみますと、どうしても年金財政という面からきます制約ということもやはり重視してまいらなければならないわけでございます。したがいまして、他の任用とか定年の問題とかいうふうな問題につきましても十分配慮はしてまいらなくてはならないわけでございますけれども、制度といたしまして、もう一体としてそういう問題を一元的に処理をするというわけにもなかなかいきかねる面があるわけでございます。私ども今度の改正におきましては、そういう点も配慮いたしまして、十分な経過期間というものを設けまして支給開始年齢引き上げも図っていくということで、無理のない改善が図れるものとかように考えているようなわけでございます。
  20. 池端清一

    池端委員 退職手当の問題だとか定年制導入の問題というのは今日的な課題になっておりまして、いまもうその結論が目前に出ようとしておる、こういう状況であるわけです。何も遠い将来の問題ではないわけであります。やはりこういう問題と切り離してこの問題を考えるわけにはまいらないのではないか、私はこう思うのであります。  しかし、時間の関係もありますので次に進みますけれども、共済年金制度は、いま申し上げました公務制度の一環である、同時に、社会保険制度でもございます。多くの組合員の合意の上に立って組合員が掛金を支払う、この掛金を支払って成り立っている制度でもあるわけであります。現に共済組合には、国家公務員は百十六万人、公共企業体職員は七十九万人、地方公務員は実に三百万人、私立学校教職員は二十七万人、そのほか農林漁業団体職員四十四万人、合計五百六十六万人余の方々がこの共済に加入をし、掛金を支払っているわけです。したがって、こういう制度改正を行う場合には、私は何と言ってもその大前提となる問題は、これら加入されている組合員の理解と納得を得ること、合意を得ること、このことが最低条件だ、こういうふうに思うわけであります。この合意を得るために今日まで政府はどのような手だてを講じてこられたのか、その辺の経過についてお尋ねをしたいと思います。
  21. 禿河徹映

    禿河政府委員 共済年金制度に限りませんで、社会保険の各制度というものは、被保険者の納得のもとに運営されていくことが必要だというのは、私もそのとおりだと考えております。  私どもといたしましては今回の共済の改正に当たりまして、私どものところにございます国家公務員共済組合審議会でかねてから論議を重ねてまいりました。さらに、昨年の三月からは三共済の懇談会を設けまして、いろいろ共通の問題点につきまして論議を実は重ねてきたわけでございます。そしてこの改正案を得るに当たりましては、国家公務員共済組合審議会、さらに社会保障制度審議会というものにも諮問いたしまして、その御意見をちょうだいする、こういう手順を踏んだわけでございます。  いろいろ懇談会等の場におきまして、中には、労使の意見の食い違ったというふうな点もございましたけれども、基本的にその答申におきましては、支給開始年齢引き上げを図るべき時期に来ているとか、あるいは社会保障制度審議会におきまして、一応評価する、こういうふうな御意見もちょうだいいたしたわけでございまして、私どもそういう手続を踏まえまして、組合員の納得を得ながら今回の改正を図りたいと考えているようなわけでございます。
  22. 池端清一

    池端委員 共済組合審議会の意見を聞いたからこういう制度改正に踏み切った、それはまあ私は、審議会の意思を集約するということもきわめて重要なことであると思うのであります。私は決してこれを否定するものではありません。しかし、それがオールマイティーだというふうにお考えになる、それによって全組合員の理解と協力を得られたのだというふうに判断するのは早計ではないかと思うのであります。確かに国家公務員の場合は今井メモというものが出されて、かなりの時間討議がされてきたという経過は承知しております。それじゃ、この委員会に直接関係はございませんが、地方公務員の場合はどうでしょう。ほとんどこの内容組合員の討議にゆだねられ審議を経たというような事実はないわけであります。  こういうふうに考えていきますと、審議会の意見があったから云々ということは、これは必ずしも組合員の理解と協力を得る方途をとったということにはならない、こう思うのであります。それじゃ、国家公務員共済組合審議会はこの問題についてどういうような答申をなされているか、具体的にお尋ねしたいと思う。
  23. 禿河徹映

    禿河政府委員 本年の二月三日に国家公務員共済組合審議会の会長今井先生から大蔵大臣あてに答申が出ております。  その内容を全部申し上げるのもいかがかと思いますが、前書きといたしまして、「諮問の件については、事案の性質上、とくに年金支給開始年令問題を中心に、労使間に著るしい意見の相違があったが、公益委員において、強いて一本化をはかった結果、本審議会の答申としては、おおむね以下のようなものとなった。」ということでございまして、その「長期給付に関する部分」につきましては、「年金支給開始年令の繰り下げは、人口高齢化の進行等からみて、時代の要請であり、組合員の将来の生活設計の見地からも、なるべく早期に決定すべきものといえる。しかしながら、公務員については目下定年制問題が検討されつつあり、その結果いかんはこの年令と密接な関係があり、また公務員中における特殊の職種あるいは合理化のための退職などに、別の配慮がぜひ必要となる。これらの条件整備は、少なくとも年令の繰下げと平行的に処理されることを明白にすべきである。」こういう御意見はちょうだいいたしております。
  24. 池端清一

    池端委員 いま次長が読まれた実は後段の部分ですね、これは無条件にこの年齢引き上げオーケー、こう言っているわけじゃないのです。同時並行的にこういう条件整備にも努めなさいよ、そのことは明白でありますよという付帯条項を付しての賛意を表している。ですからあなたが言われるように、これでもって国家公務員共済組合審議会がすべてこの政府提案を了解したというふうにならないと私は思うのですよ。  それじゃ次にお尋ねします。地方公務共済組合審議会はどういう答申をなされていますか、自治省おいでだと思いますので、自治省の方からお尋ねをしたいと思うのです。
  25. 望月美之

    ○望月説明員 地方公務員の共済組合審議会からの答申は、二月五日の中間答申と三月十四日の答申と二回にわたりましてちょうだいをいたしております。  支給開始年齢引き上げにつきましての要旨をちょっと読んでみますと、「特に支給開始年齢の引上げの方向については、高齢化社会に対応し長期的視野に立ち、止むを得ないものと思われる。」しかしながら、この改正については、「組合員の生活に深い関係があるにもかかわらず、関係組合員の十分な理解を得ないままに引き上げることについては見合わせるべきとの強い反対意見があった。よって今回の改正については慎重であるべきである。」あらましこのような答申をちょうだいしたところでございます。
  26. 池端清一

    池端委員 地方公務員の審議会におきましても、「組合員の生活に深い関係があるにもかかわらず、関係組合員の十分な理解を得ないままに引き上げることについては見合わせるべきとの強い反対意見があった。よって、今回の改正については慎重であるべきである。」こういう答申ですよ。そのほか、私がいろいろ調べましたところ、各省庁関係共済組合の運営審議会でも、それぞれ表現の違いはありますけれども、同様な意見、建議書というものが出ております。  ここに公立学校共済組合運営審議会の建議書がございます。会長は東京都の教育長の児玉さん。この方の建議書によりますと、「この改正共済組合制度発足以来の大改正であるにもかかわらず、百万人を超える当共済組合組合員の討議もなされていない。我々は、これら組合員にとって重大な影響のある改正について十分な意思の疎通を図る手だてが必要であると考える。  以上の趣旨から関係方面に対ししかるべき措置を執られるよう、ここに建議する。」こういう内容です。そのほか私、北海道出身でありますが、北海道議会でも、公務共済年金制度に関する要望意見書というのが与野党一致で決議をされております。それを見ましても、「共済年金は、公務員の退職後の生活の支柱であり、その及ぼす影響は重大といえる。  したがって、これらの改正にあたっては、慎重に対処されるよう強く要望する。」こういう要望意見書も出されているわけであります。元号法制化の問題については、各都道府県議会の要望意見書というものを政府・自民党も非常に強調されているわけでございます。年金制度についての要望意見書というものも重く見ていただきたい、こう思うわけであります。  いまいろいろな審議会の答申並びに建議書、要望意見書が明らかになったわけでありますが、今度の改正の致命的な欠陥というのは、当事者である組合員には何ら知らされておらない、何らの検討の余裕も与えられておらない、全くつんぼさじきに置かれてこの改正が行われようとしておる、そこに問題があると言わなければならないと思うのであります。もちろん同齢化社会であります。年金受給者はこれからますますふえる、財政の問題をどうするか、こういう問題は真剣に検討しなければならないし、先ほど申し上げたように避けて通れる問題ではございません。しかし、これだけの大改正をするというのに、五百有余万の組合員が全くつんぼさじきにされているということではきわめて問題が多いのではないか。しかも、退職後の生活に重大な影響を及ぼす問題であります。したがって、いま申し上げました慎重に対処せよ、こういういろいろな意見、世論に対してどういうように対処されようとしておるのか、真剣に耳を傾ける意思があるのかどうか、政府の御意見を承りたい、こう思うのです。
  27. 禿河徹映

    禿河政府委員 今回の支給開始年齢引き上げに関しまして、先生が御指摘になりましたような批判、論議があったことは私どもも承知いたしておりますが、私どもが今回なぜ五十五歳から六十歳にできるだけ早く引き上げを図りたいかという理由は、先ほど申し述べましたようなわけでございます。年金財政の将来の安定、あるいは、このまま五十五歳でいった場合におきます組合員等の大幅な負担増加を避けていく、こういう問題、それから、現実に退職者の平均年齢等を見てみますと六十歳となっておるとかそういう実態、そういうものを踏まえまして、将来の共済年金制度の長期的な安定を図るためには、できるだけ早くこの支給開始年齢引き上げに着手いたしたい、こういうことでしたわけであります。支給開始年齢引き上げというのは、確かに組合員老後の生活設計に非常に大きな影響を及ぼすものでございますので、これにつきましても私ども、十分な経過措置を今回の改正の中に織り込んでおるつもりでございます。そういうことで、無理のない改正を図っておるつもりでございますので、関係組合員その他の御理解も十分ちょうだいできるのではないか、かように実は考えて御提案申し上げたような次第でございます。
  28. 池端清一

    池端委員 財政事情が厳しければ厳しいほど政府は、率直に組合員に向かってその実態を明らかにして、理解と協力を得る手だてをぜひともとるべきだ、そういう手続、手だてが全くなされていないところに、重ねて申し上げますが、本改正案の致命的な欠陥がある、私はあえて申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、最近の年齢別退職状況はどうなっておるのか、退職時の年齢分布の状況ですね、これをひとつ承りたいと思います。
  29. 禿河徹映

    禿河政府委員 国家公務員につきましては、最近におきます退職年金の新規の裁定年齢は、平均的には六十歳程度となっております。それを計数的に申し上げますと、昭和五十二年度におきまして、連合会に加入いたしております一般の公務員でございますが、それの退職時の年齢の分布を申し上げますと、総数におきまして八千百八十七名が退職いたしておりますが、そのうち、四十九歳以下で退職いたした者が五百七名で六・二%、五十歳から五十四歳で退職いたしました者が七百三十六名で九%、五十五から五十九歳の問で退職いたしましたのが二千四百十一名で二九・四%、六十歳以上が四千五百三十三名で五工・四%、こういう状態になっております。  ちなみに、昭和三十六年度当時の数字を申し上げますと、四十九歳以下で退職いたしておりますのが全体の二三%、五十二年度の六・二に対しまして二三%、五十から五十四歳が、五十二年度の九%に対しまして一六・四%、五十五から五十九歳の間でやめられた人が、五十二年度の二九・四%に対しまして二六・二%、六十歳以上が三四・三%と、こういう数字に相なっております。
  30. 池端清一

    池端委員 ただいまの説明によりましても、昭和五十二年度の退職の状況では、五十九歳以前の退職者が全体の四四・六%、そうですね、そういう約四五%に近い数字です。  私が国税職員の皆さんにいろいろお聞きしたところによりますと、国税職員の場合は大体、六十歳未満の退職者が全体の九九%、ほとんどが五十五歳前後で退職をしている、もっときつい言葉で言うと退職をさせられている、こういう状況だというお話も聞いて、多くの方が年金受給という実態だということも聞いております。あるいはまた、公務員ではございませんが、この改正に連動する、農林水産委員会で御審議を願うことになっております農林漁業団体の職員平均定年齢は、男子が五十七・六歳、女子が五十六・五歳、大部分が六十歳未満、こういう状況です。  高級官僚は天下りという道もございます。しかし一般公務員はその道も閉ざされている。特に現業職種の方や婦人労働者の方々の退職後の働く職場というのは全く閉ざされていると言っても言い過ぎではない、こう思うのであります。したがって今日、雇用の安定と高齢者の雇用保障が求められているという状況の中では、あくまでも雇用保障と年金受給というのは総合的に検討されなければならない問題ではないか。言いかえますと、年金支給開始年齢退職とは完全に連結されなければならない、リンクされなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、こういう雇用保障という観点から今度の改正をどういうふうに見ているのか、その点をひとつお尋ねをしたいと思う。
  31. 禿河徹映

    禿河政府委員 確かに退職年齢というものと年金支給開始年齢というものは非常に密接な関係があることは、お話しのとおりだと私も考えます。しかし先ほども申し上げましたとおり、やはり年金の場合におきましては、組合員の負担の問題、将来の年金財政というふうな面も十分配慮していかなくてはならない、そういうこともあるわけでございます。確かに定年というものが雇用政策と年金政策の接点だということは一般に言われますけれども、一般的に支給開始年齢と申しますのは、一般的な稼得能力の減退とかあるいは喪失というものに着目して決められるべきものであろうと思います。それと定年というものがぴったり一致するということが、形の上では大変整った形で、確かに望ましいということは言えるかと思いますけれども、かたがた、いわゆる定年というものは、それぞれの企業あるいはその職域のいろいろな条件に基づいてまた決められるものでございまして、必ず完全に一致する、リンクするというのも現実の問題としてまだむずかしい面もあると思います。そういう点をいろいろ考えてみますと、私ども確かに退職年齢というものと年金支給開始年齢というものは非常に密接な関係はございますけれども、完全に一致するということもなかなかむずかしいということでございます。  ただ公務員の場合につきましては、先ほどお話がございましたとおり、定年制の導入ということを閣議で方針が決まっておりますし、それに伴う諸般の条件整備等の問題も検討するというふうなことにもなっております。これが今後どのように動くかわかりませんが、私どもこの五十五歳から六十歳の引き上げは、繰り返して大変恐縮でございますが、先ほど申し上げましたような年金財政の将来あるいは雇用の実態というものに着目しながら、しかも相当の経過期間というものを設けまして、無理のない移行を図っていくということでカバーできるのではないか、かように考えております。
  32. 池端清一

    池端委員 雇用と年金の接続ということは必要最低限の条件整備だ、こう私は思うのであります。その条件整備すら準備されていない本改正案というのは、大変大きな問題を内包しておるということを率直に言わなければならないと思うのであります。  そこで次に、これはかねてからいろいろ問題になっておりました懲戒処分者に対する給付制限の問題、最高二割カットの措置がいまなされているわけであります。社会保障という観点からの年金の性格を考えてみる場合、懲戒処分者に対する給付制限というのは大変な問題がある、私はこう思います。破廉恥罪ならいざ知らず、正当な組合活動で処分を受けるという昨今の風潮、こういう中で給付制限を受ける、これは二重、三重の懲戒権の乱用だというふうにも私は思うわけであります。そういう観点から、この懲戒処分者に対する給付制限の問題についてどのような検討がなされているか、それをひとつお尋ねをしたいと思う。
  33. 禿河徹映

    禿河政府委員 組合員が懲戒処分によって退職いたしました場合には、いまほどお話がございましたとおり、共済法の規定に基づきまして、「政令で定めるところにより、」「長期給付の全部又は一部は、行わないことが丸きる。」ということに相なっておるわけでございます。それを受けまして政令におきまして、原則として最高百分の二十を支給しないというふうな法制になっておるわけでございます。したがいまして、懲戒処分者に対します給付の制限はございますが、これはやはり共済年金というものが、公務制度の一環といたしまして、国家公務員法に基づきまして設けることがなされておるというふうな性格を受けたものでございます。  具体的にこの百分の二十というものがいいかどうか、あるいは今後どのようにやっていくかということは、いわば政令事項でございまして、国家公務員共済組合審議会におきましても、政令事項であるけれども今後検討をしていくべきだという大方の御意見もございますので、私どもといたしましては、これを具体的にどのように今後持っていくかということにつきましては、審議会にもお諮りして今後検討を重ねてまいりたい、かように考えております。
  34. 池端清一

    池端委員 検討を重ねていきたいというのですが、どういう方向で検討するというお考えですか。
  35. 禿河徹映

    禿河政府委員 現在まだ具体的にどのような方向にするかという成案は得ておりません。またこの点につきましては、審議会の御意見等も十分伺いながら検討を重ねていきたい、かように思っております。
  36. 池端清一

    池端委員 この問題は、古くて新しい問題でございまして、相当以前から議論をされております。社会保障としての年金の性格から言って、これは全く不当なことだと思うのであります。ですからこの給付制限については、ぜひとも撤廃する方向でひとつ前向きに検討していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  最後に、大臣にひとつお尋ねをしたいのでありますが、先般の本会議でわが党の山田議員からも質疑がなされましたように、今度の改正案は三つの柱から成っております。  一つは、既裁定年金受給者に対して三・六%のスライドアップ、それから最低保障額引き上げ措置、これはもうわれわれとしても何らの異論のないところであります。次は二番目の柱が、いま私が申し上げました年金支給開始年齢引き上げを中心とする制度改正の問題、三つ目が、健保の改正に連動する短期給付についての改正の問題、この一、二、三の三つの柱から成っておるわけでありますが、全く異なった要素の三つのものをごっちゃにして、そしてまさにみそもくそも一緒にする、そういう提案内容になっておるわけです。  私はこういう提案の仕方に多くの問題を感ぜざるを得ないわけです。特にこの制度改正の問題については、なお慎重に検討すべきだ、組合員の理解と協力、納得を得るような手だてを講ずべきだ、こういう声が非常に強いし、私もそういう立場に立っておるわけであります。なお慎重に検討を要する必要があろうと思うのです。ですから、この一、二、三を一緒にしないで、この三つの柱を分離をして、特に既裁定年金年金額引き上げだけを分離して提案をし直す、こういうふうにひとつぜひ取り計らっていただきたい、このように思うわけでございますが、これについて大臣はどのようにお考えになっておるのか、ひとつお尋ねをしたいと思います。
  37. 金子一平

    金子(一)国務大臣 健保法の改正につきましては、これから社労の委員会で御審議を願うことになっておりますので、ばらばらに出したと言われますけれども、まあひとつ、今国会に提出しておる共済関係の法案につきましては、法案全体として、先ほど来次長からるる御説明しておりますような趣旨に基づいて御提案をいたしておる次第でございますので、どうかひとつ審議を進めていただきまして、速やかに成立さしていただければありがたいと考えておる次第でございます。
  38. 池端清一

    池端委員 ちょうど時間になりましたので、これで終わらせていただきますが、私はやはり再三申し上げておりますように、当事者であります組合員の合意といいますか理解と納得が前提にならなければ、こういう大改正というものはスムーズにいかない、こう思うわけであります。したがって私は、今後ともこの理解と納得、合意を得るための努力をやはり政府は最大限に行うべきだということを強く申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。      ————◇—————
  39. 加藤六月

    加藤委員長 金融に関する件について調査を進めます。  この際、大光相互銀行の経営問題について、徳田銀行局長より発言を求められておりますので、これを許します。徳田銀行局長。
  40. 徳田博美

    ○徳田政府委員 大光相互銀行につきましては、ことしの一月十六日をもって検査を開始したわけでございますが、検査の過程におきまして、未計上の債務保証があることが発見されたわけでございます。この額は、昨年九月末で約七百四十億円に達していたことが発見されたわけでございます。  これに対しまして大蔵省といたしましては、直ちに当行に対し、正規の会計処理を行うよう指示したわけでございまして、この未計上の債務保証の約七百四十億円のうち、回収が非常に不可能と認められる分につきましては、三十二億円の保証損失引当金を銀行として計上いたしました。またそれ以外に、検査において指摘されました貸出金の償却を要する額が二十八億円あったわけでございまして、この合計額六十億円の不良資産につきまして償却を行いました結果、当期利益で二十二億円の赤字を計上し、無配とするのやむなきに至ったということが、大光相互銀行より発表されたわけでございます。  大蔵省といたしましては、当行が公共的な金融機関として、未計上の債務保証を行っていたことはまことに遺憾であると考えたわけでございますが、万一の場合に備えまして、預金者保護のために、大蔵、日銀、相互銀行業界及び有力株主五行挙げての支援体制を確立すべく努力してまいったわけでございまして、現在次のような対策ができ上がっております。  一つは、大蔵、日銀、相互銀行業界及び有力株主五行、これは第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行、日本長期信用銀行及び日本債券信用銀行でございますが、これから成る顧問団が編成されまして、機に応じて直ちに派遣できる態勢が整えられ、また事実、一部のものはすでに派遣されております。  それから次に、緊急の資金手当てのための体制でございまして、相互銀行七行、これはときわ、福岡、西日本、近畿、兵庫、平和、徳陽の七行でございますが、この七行による融資の実行が行われております。それから相互銀行保障制度の発動体制ができております。それから、先ほど申し上げました有力株主五行による融資体制ができ上がっているわけでございます。このような体制整備によりまして今後、大光相互銀行を健全な経営体制に持っていきたい、このように考えているわけでございます。     —————————————
  41. 加藤六月

    加藤委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤観樹君。
  42. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま簡略に銀行局長から大光相互の問題について御報告があったわけでございますけれども、戦後これだけの粉飾というのですか、あるいは記載漏れというのか、こういうことは前代未聞のことでありまして、各党の御同意も得まして、緊急にただしておかなければなりませんし、いまお話がありましたように預金者、優良な借り手、地元産業あるいは従業員の皆さん方、こういう方々の今後の活動に支障がないようにしていかなければならぬと思うわけであります。  そこで、まず私が第一点目にお伺いしたいのは、ジャーナリストに限らず国民の皆さん方が、これだけ厳しい大蔵省の検査、日銀の考査もありますけれども、それをやっていたものがどうしてこんな事態になったのだろうかということについては、だれでもまず疑問に思うことだと私は思うのであります。いまの一応の御報告では、本年の一月十六日から財務局が検査に入ったということでございますけれども、なぜ今日までこの事態を大蔵省が発見できなかったのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。
  43. 徳田博美

    ○徳田政府委員 当行が未計上の債務保証を行いました詳しい事情につきましては、なお現在検査が継続中でございますので、まだ完全に解明はできていないわけでございます。  今回の検査では未計上の債務保証を把握したわけでございますけれども、それ以前の検査あるいは日銀の考査等で把握できなかったのはなぜかということでございますが、債務保証だけに限って申せば、これは債務保証についての証書が相手の金融機関に出るだけでございまして、その銀行の預金あるいは現金、貸し出し等が動くわけではございません。したがいまして、一たんこれが隠蔽されますと、それを把握するのが非常にむずかしいということがございます。  もう一つは、今回の未計上の債務保証は、特定の役職員の限った者だけが処理していたわけでございまして、そういう意味でも把握が非常に困難であったわけでございます。  それから今回は、未計上の債務保証につきましては保証料を徴求していなかったわけでございまして、保証料を徴求していれば当然、そちらの方の勘定から手繰って未計上分の債務保証が出てくるわけでございますけれども、そのような面もいろいろな面で秘匿を厳重に向こうが行っていたという点がございます。  これに対しまして、どのようにこれを発見できたかということでございますが、昨年の十月末に当行の検査のために事前調査を行っていたわけでございますが、当行の保証先金融機関の検査資料と当行の前回検査資料等の突合を行いましたところ、その間にギャップがあったわけでございまして、そこで当行が未計上の債務保証を行っていたのではないかという事実がその過程において発見されたわけでございます。したがいまして、それを中心にいたしまして各般の資料の収集を行い、準備を整えて一月に検査に着手して未計上の債務保証を確認した、このようなことでございます。
  44. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はこれから四、五点挙げますけれども、どうもいまの局長のお話では納得できぬ。なぜここまで大蔵省が深部に入り込まなかったのかということに非常に疑問な点があるわけであります。そこで逐一挙げていきますから、お答えを願いたいと思うのであります。  まず第一点は、これは徳田銀行局長になる前の高橋銀行局長時代でございますけれども、わが党の和田参議院議員が四十九年十一月二十七日の参議院決算委員会で、すでにこの大光相互と三協物産の問題を指摘しているわけであります。時あたかも田中角榮氏の金脈問題で大変揺れていたときであります。このときに、三協物産が田中角榮氏の後援会に献金をしている、こういうことも含めまして、三協物産自体が非常に危ないのではないかということで質問をしているわけであります。その前の四十九年十月二十五日にも、この三協物産について調査を要求しております。その調査について、議事録によれば高橋銀行局長は、その当時でも三協物産に対して十九億六千四百万円の信用供与残高がございましたということを答えているわけでございますけれども、この三協物産がつぶれた後の債権が先ほど御説明のあった六十億の中に一体幾ら含まれていたか。そして、四十九年にすでに国会で大光相互の問題あるいは三協物産の問題として指摘をしてきたわけであります。われわれのところに個々の融資の額の問題が耳に入ってくる、あるいはいろいろな形で裏づけができるというのは非常にまれなケースであるわけであります。よほどのことでない限りこれは漏れてこないわけであります。それが国会で指摘をされたにもかかわらず、実際にはその措置がどのようになされてきたのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  45. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘の三協物産につきましては、当時の銀行局長が御答弁申し上げましたように、調査をいたしまして適正な処理を行わせたわけでございまして、これにつきましては、今回の償却あるいは未計上債務保証とは関連がなかったわけでございます。
  46. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしたら、これは銀行局長お答えできないかもしれませんけれども、そう言われるかもしれませんが、三協物産自体への焦げつきは今度の六十億の中に含まれていたのか含まれていなかったのか。さらに、昨年十月十七日にもわが党の和田参議院議員が大蔵委員会で、この債権保全のために行った中央興発、この会社自体も非常におかしいのではないかという指摘をしているわけです。その焦げつきが今度の六十億の中に入っていると新聞は報道しているわけでありますが、三協物産及び中央興発、この焦げつき問題は今度の六十億の中に入っていないのですか。
  47. 徳田博美

    ○徳田政府委員 三協物産につきましては、先ほど申し上げましたように、今回の六十億の問題には関連がございません。  それから昨年の和田先生の御質疑でございますが、その御質疑の後、大蔵省といたしましては、大光相互についての問題点がそれ以外にもいろいろ出てまいりましたので、通例の検査よりも周期を早めまして検査を行うべく事前資料の収集に入ったわけでございます。その結果、いま申し上げたようないろいろな問題点が解明されたわけでございます。
  48. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 個々の企業への融資の問題でありますから、局長もなかなか言いにくい点もあろうかと思いますけれども、いずれにしろ、すでに四十九年からこの件については国会の中でも指摘を受けてきたわけです。したがって先ほど言いましたように、私たちのところに漏れ伝わってくる、あるいは確証が得られるようなものである限り、皆さん方の方ではさらにこれは調査はできたはずであります。その点で私は、一体どういう調査がなされたのかというのが非常に疑問に思うのであります。これがまず第一点。  二点目に、この大光相互の中の方に聞きましても、すでに五十二年の八月に行いました大蔵省の検査で不良債権、いわゆる分類債権と言われるものが三百五十一億に上っているということは、行員の方なら大半の方が知っていたという事実があるわけであります。五十二年八月のおたくの検査であります。三百五十一億という分類債権があった。これはどういう中身なのか。これについては、少なくも行員の方々の中では、どういうものだろうかという疑問は出ていたわけでありますが、この点について皆さん方の方はどういうふうにつかんでいらっしゃったのですか。
  49. 徳田博美

    ○徳田政府委員 五十二年八月末におきます数字につきましては、これは検査結果でございますので、数字について申し上げることはお許し願いたいと思いますが、不良資産その他債務保証の額の非常に大きいこと等いろいろ問題もございまして、そのような各点については厳しく指導しております。  なお、先ほどちょっと舌足らずでございましたが、昨年の秋和田先生から御指摘になりましたソシアルビル関係の債権債務につきましては、全部決済が終わっているわけでございますけれども、それ以外の件につきまして、三協物産の方に借り入れがございまして、その債権につきましては三月期で償却を行っております。
  50. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その次に三番目の疑問は、先ほど局長も触れられましたけれども、いわゆる債務保証が異常に多いということですね。一体融資額に対して債務保証はこの三、四年どのくらいのパーセンテージになっていたのか、それから、それはたとえば相互銀行の平均からとってみますとどんな異常なものであったのか、その点について、簡単で結構でございますから報告してください。
  51. 徳田博美

    ○徳田政府委員 融資額に対する債務保証の支払い承諾の残高は、相互銀行平均で申しますと、五十三年九月で一三・六%でございます。これに対しまして大光相互は、同じ時期において三五・五%に上っております。したがいまして、他の相互銀行よりはかなり高い水準にあったわけでございます。
  52. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 かなりどころか、一三・六%と三五・五%ですから、二倍半近くに上っていたわけですね。  新聞その他によりますと、要するに、大光相互が業容の拡大に走り過ぎたんだ、こういうことで一まとめにしているわけでありますけれども、この債務保証をして一体それが業容の拡大につながるのかどうなのか。実際の融資自体は他行から出て行くわけでありますから、その意味では保証するだけである、しかも保証料も取ってなかったということで、果たして業容の拡大ということになるのかどうなのか。私はもう少し調べて追って質問しますけれども、これは後に関連をしますけれども、この駒形斉前社長の関連会社への融資の、直接自分からできないものですから、見返りという形で、他の金融機関が融資をする、そのための債務保証ではなかったんだろうかという疑問を持たざるを得ぬのであります。その点についてはいかがですか。
  53. 徳田博美

    ○徳田政府委員 このような簿外の債務保証をするに至りました経緯につきましては、なお検査中でございまして、まだ完全に解明できていないわけでございますが、その債務保証先の事業会社の中には、大光相互からの出身者がいるような会社もあるわけでございます。
  54. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで要するに、支払い承諾が異常に高いということについてはどういう指導をおたくはなさっていたのですか。少なくも私の手元にある一番古いものでも、たとえば五十年の上期を見たって、貸付金が二千九十七億に対して支払い承諾が千八十七億という約五〇%、恐らくこの中にも、先ほど報告があったような未計上の分もあるのでしょうから、率としては五〇%を超える支払い承諾がなされていたということになるわけですね。そういうことから言いまして、おたくの方でも十分これは指摘がなされ得るはずであろうと思うのでありますが、その点についてはどういう指導がなされていたのですか。
  55. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり当行は、その貸出金に対しまして支払い承諾の比率は非常に高いわけでございまして、実は四十八年の九月期ですでに千七十億に達しております。当時貸し出しが千七百六十九億でございます。こういう状態に対しまして大蔵省としては、もう支払い承諾をこれ以上その残高をふやしては好ましくないということで非常に強く規制をしたわけでございまして、それからこの表向きの支払い承諾は全く横ばいあるいは減少で来ているわけでございます。ただその裏で、先ほど申し上げましたような簿外の支払い承諾が行われる結果になったということは、まことに遺憾であると考えております。
  56. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、私たちが調べ得る有価証券報告書なり決算報告書でも、おかしいなと思う点があるわけですね。それは有価証券の売却損です。これは四十九年の三月期から一体どのくらいの額になっていますか、各年度ごとのこの数字、ちょっと挙げてみてください。
  57. 徳田博美

    ○徳田政府委員 五十年上期からの数字がございますが、五十年上期で二億八千万でございます。
  58. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 四十九年の三月期が一億八千万、四十九年の九月期が何と七億三千万、五十年の三月期が三億二千万、そして五十年の九月期が二億八千万。四十九年九月期の七億三千万の有価証券の売却損が出る、これは私も詳しくまだ見ておりませんけれども、この時期ですからなかなかむずかしい時期であったことは間違いありませんが、新潟相互の売却損が一億八千万でありますから、この大光相互の有価証券の売却損、これももう単純に私たちですら十分わかり得る銀行経営の悪化ということがすでにわかっていたのではないだろうか、こう思わざるを得ぬのでありますが、この点についてはいかがですか。
  59. 徳田博美

    ○徳田政府委員 五十年前後の売却損につきましては、こちらで内容を解明して、またお答えいたしたいと思います。
  60. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 さらに局長は、いろいろ指導もしてきたけれども、わからぬ点もずいぶんあったというのでありますけれども、この大光相互にかかわる地元紙やらあるいは中央紙に出たいろいろな事件、これだけでも、私がさっと見ただけでも、先ほど挙げました三協物産の問題、それから、五十二年の五月に起こっておりまして、これも地元紙に大々的に出ましたけれども、学校町支店におきます聖籠村農協事件というのが出ているのですね。それから、五十二年の六月二十五日から起こっております刈羽村農協事件、これもずいぶん大きく新聞に報道されました。地元の木村県会議員、これは田中角榮の越山会の関係ということでずいぶん報道されたわけでありますけれども、その木村県会議員にまつわる二億円の不正手形保証事件があった。それを割り引いたのは近代総合開発研究所だった。この近代総合開発研究所というのはどういうものだか局長、御存じでございますか。
  61. 徳田博美

    ○徳田政府委員 いま手元に資料を持っておりません。
  62. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 要するに、これは前社長駒形斉氏の関連会社なんですね。いま正式には役員がかわっているかもしれませんが、かつては斉氏の弟さんがされていた。金融業あるいは市場調査ということで一応登記にはなっているわけでありますけれども、この関連会社が二億円の手形を割り引いた。しかしその際、代物弁済の契約をしましたけれども、所有権移転登記ができない土地を含んでいたり、この二億円の回収には不安があるのではないかということは地元の新聞にも出ていた話なんですね。  もう一つだけ挙げておきます。五十二年七月でございましたか倒産をいたしました不動産業の北斗の件がございます。約十億円の大光相互の資金が焦げついたということが報道されたわけであります。私の知り得る限り、さっと見ただけでもこれだけの事件が新聞でも報道されているわけです。ということになりますと、いま申し上げましたのは五十二年の話であります。その意味では、銀行局としては大光相互についてさらに徹底的に調べるだけの要件がすでにあったのではないか、こう思わざるを得ぬのでありますけれども、この点はいかがですか。
  63. 徳田博美

    ○徳田政府委員 いま先生御指摘のような点を踏まえて五十二年八月に検査を行いまして、そのときにおいて把握し得る限りの、いま先生御指摘のような問題点については全部洗って、適正な処理をしたわけでございますが、この未計上の債務保証だけは当時発見できなかったわけでございます。
  64. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 どうもその辺が私たちも納得がいかぬのであります。すでに四十九年ぐらいから国会の中でも取り上げられているような金融機関でございますから、その意味では、これはどうも財務局あるいは大蔵省と金融機関の間に癒着があったのではないのか、あるいは、大蔵省がある程度知っておりながら、悪い言葉でありますけれども、ある程度泳がしておいて最悪のところへ来るまで大蔵省はほっておいたのではないのかとまで新聞は書いているわけですね。せっかくまじめにいま対策に当たっていらっしゃる局長には申しわけないけれども、私はいま大きく言いまして五つ、もう少し早目にわかったのではないかという件を挙げたわけでありますけれども、その点でどうも私たちとしては合点がいかぬわけであります。  大体相互銀行の場合、二年に一回検査をしているわけでありますけれども、いまの機構の中ではこれは全く防止できなかったことなのかどうなのか。もし防止できないというなら、私たちも今後皆さん方の検査のあり方自体を問わなければならぬと思うわけでありますが、その点についていまどういうふうにお考えでございますか。
  65. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先ほど申し上げましたように、今回はいろいろと昨年の国会における御指摘がございましたことも踏まえまして、例年の周期、いま先生二年とおっしゃいましたけれども、その周期を早めて検査に着手いたしまして、いま申し上げたいろいろな問題点を発見したわけでございます。ただ、いままでそういうものを発見できなかったことについては、確かにいままでの問題点はいろいろあろうかと思いますので、その点について、検査の手法につきましてはこの際改善を図ることにいたしました。  一つは、金融機関検査の場合に、いままで反面調査を実施していなかったわけでございますが、今後は、この支払い承諾等につきまして問題のあると思われる金融機関につきましては、反面調査も同時並行的に検査官を派遣いたしまして実施いたしまして、いままでよりもより深度のある検査を行いたい、このように考えております。  それからもう一つは、検査に着手する前にいろいろな資料を収集、作成するわけでございますが、これにつきまして電算機を使用しておりますけれども、今後は、このような金融機関相互間の取引につきましても直ちに把握し得るようなプログラムの開発を検討してまいりたい、このように考えております。
  66. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 きょうはそう時間がありませんから少し先へ進めますけれども、一体この大光相互がどういう経営を行っていたのか、これにも多分に問題があるように私は思うのであります。  そこで、若干お伺いをしたいのでありますけれども、この大光相互は、土建業あるいは不動産業、飲食業、レジャー、こういった産業に非常に大口融資をしている、偏り過ぎているのではないか。一時土地ブームのときには、大光に行けば土地を買う金が借りられるということまで不動産業者の中では話題になったくらい、非常にこういったものに偏り過ぎたのではないかということが指摘されているわけでありますけれども、その点についてはいかがでございますか。
  67. 徳田博美

    ○徳田政府委員 確かに大光相互につきましては、御指摘のような業種に対します融資の比率が他の相互銀行よりかなり高い状況でございます。
  68. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは今日まで駒形斉社長になってから異常に高くなっているわけでありますけれども、では、どういう指導をしてきたのですか。
  69. 徳田博美

    ○徳田政府委員 これにつきましては、従来から検査の都度、問題点を総体的にも指摘いたしましたし、また、個々の貸し出しの内容につきましても指摘をいたしまして、是正方の指導を重ねてまいったわけでございます。
  70. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 局長の立場から言いますれば、指導してきたけれども結局聞かなかったという結論になるのかと思いますけれども、さらにお伺いしたいのは、債務保証の問題、支払い承諾の問題でございます。  いまのお話ですと、保証料は未計上の分は取ってなかったようでございますけれども、計上されている分は正規に保証料を取っていたんですか。それから、こういう疑問が一般の金融機関の関係者から当然出てくるのでありますけれども、普通のところなら、未計上で債務保証をする場合にはバックマージンを取るというのが、そういった場合の一種の常識のようになっていると私は聞いているわけであります。そういった事実はなかったのかどうなのか、それはいかがでございますか。
  71. 徳田博美

    ○徳田政府委員 当行におきましては、正規に帳簿に載せられておる支払い承諾につきましては、その保証料を取っております。なお、御指摘のバックマージンのようなものにつきましては、検査においては把握しておりません。
  72. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この大光相互の経営の実態、あり方、姿勢、これを調べていきますと、他の金融機関と非常に違う、そしてまた、それがいま新聞に余り報道されてない大きな問題があるわけであります。それは関連会社の問題です。  恐らくまだ銀行局としても実態をおつかみになっていないかと思いますけれども、タコの足のように大変な関連会社を抱えている。この関連会社については、いまどのあたりまで検査が進んでいるのですか。
  73. 徳田博美

    ○徳田政府委員 金融機関の関連会社につきましては、その持ち株の点あるいは人員派遣の点で特に親密な関係にある関連会社として通達で規定しているのがございまして、そのような関連会社につきましては、その業務内容につきましても、一般の不動産業であるとかそういうものができないような規制をしているわけでございます。そういうものを銀行行政上は関連会社としているわけでございますが、そのような意味での関連会社については、内容は十分に把握しております。  ただ、もっと広い意味での、たとえば大光にもといた職員が役員をしているとか、そのような意味での関連会社ということになりますと、これはなかなか内容の把握が大変でございまして、検査の過程では問題のある貸出先については、その貸し出しとの関連で把握しておりますが、それ以外のものについては必ずしも調査はしておりません。
  74. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それでは、いま局長が言うところの関連会社というのはどういうものですか、ちょっと挙げてみてください。
  75. 徳田博美

    ○徳田政府委員 いま手元に資料がございませんので、後で御報告申し上げます。
  76. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かに関連会社といっても概念規定が非常にむずかしいかと思いますけれども、大光の元役員であった、こういう人たち等を派遣しているという企業が、あるいは何らかのつながりがあるのではないだろうかと思われる企業が、私の調べただけでも約三十二社あるわけですね、恐らくこれでもまだ落ちていると思いますけれども。私が非常にそこに疑問に思うのは、一体こういった関連会社というのはもうかっていたのだろうかどうなんだろうかという疑問であります。それから、そこに資金が流れた場合に、大光には正規に金利が払われていたのかどうなのか、こういう疑問があるわけであります。その点はいかがでございますか。
  77. 徳田博美

    ○徳田政府委員 当行の融資先には、広い意味での関連会社と申しますか、当行にもといた職員あるいは役員が役員をしているというような会社があるわけでございます。そういうものに対する融資がどうなっているかということでございますが、そのような融資の中で、もちろん健全なものもあるわけでございますけれども、やはり問題のある融資もございます。
  78. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一度お伺いしますが、いま手元に資料がございますでしょうか、それでは局長が言う関連会社というのは何社あるのですか。
  79. 徳田博美

    ○徳田政府委員 銀行行政上の関連会社という意味での関連会社は、いまちょっと手元に正確な数字がございませんので、後刻報告させていただきたいと思います。
  80. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はこの大光相互を見てみますと、関連会社のあり方というのが非常に問題があるように思うのであります。そこで、局長は個々の逐一の融資額なり何なりというのは出せぬと言われるかと思いますけれども、以下述べます問題について、一体この企業はもうかったことがあるのかどうなのか、金利は正規に支払われたのかどうなのか、それについてお伺いをしたいと思うのですが、私の知り得た情報では、かなりの額の融資がこの関連会社になされているように聞いているわけであります。  たとえば陽光株式会社、資本金三千万円、不動産業、豊島区の西池袋に本店がございますけれども、これも元や現の職員、若干こういったごたごたで変わっているかもしれませんが、役員がかなりこの陽光に派遣をされていた。それからミナミ。それから東京農林株式会社、これは乳製品製造販売、資本金が一億円、港区赤坂二丁目五の二十七、これに本社がございます。それから日本マネージメント・リサーチ。それから、これは後で触れますけれども、駒形斉前社長自身が関連をしているところが株式会社長岡文化会館。そしてグリーン都市開発株式会社。それからグリーン興産株式会社。それから、さっき挙げましたが、株式会社近代総合開発研究所。株式会社近代社。近代事務機株式会社、これは大光の事務器関係を一手に引き受けて入れていた事務器販売の会社です。この本社は長岡市袋町三の千百一の一、これはたしか社長の家だと思いましたが、そういう会社です。それから新潟トーヨー株式会社、タイヤなんかのゴム製品を販売しているやはり長岡市に本社がある会社です。それから株式会社中央リース。まだまだありますけれども、私の知り得た範囲で融資額が非常に大きい、あるいは役員を派遣しているあるいは元役員が取締役をやっている、こういう関係でこういったところにかなり多額の融資が行われていたのではないのかという疑問があるわけであります。  そこで、できればその個々の融資先への状況、そして、これらの企業はかつてもうかったことがあったのかどうなのか、それから、金利はちゃんと正規に払っていたのかどうなのか、その点について報告をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  81. 徳田博美

    ○徳田政府委員 いま先生御指摘の点は、個々の企業との金融取引にかかわることでございますので、資料の提出はお許し願いたいと思います。
  82. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 したがって、もうかっていたのか、もうかったことがあったのかどうなのか、金利を払っていたのかどうなのか、その点についてはいかがでございますか。
  83. 徳田博美

    ○徳田政府委員 その点につきましても、個々の企業の内容でございますし個々の金融取引でございますので、資料の提出はお許し願いたいと思います。
  84. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 なぜ私がそういう疑問を呈するかといいますと、これは一般的に利ざやが減ってきたとか、あるいは銀行の業務拡大がしにくくなったとか、そういった一般論でこの大光相互の問題は片づけられない点が多々あるわけであります。その一つの例が、経営者の姿勢として一体こんなことでいいんだろうかと思う点があります。二つだけ挙げておきます。  一つは、この大光相互の本社というのはどこにございますか。
  85. 徳田博美

    ○徳田政府委員 長岡市でございます。
  86. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは自分の持ちビルの中に入っておりますか。
  87. 徳田博美

    ○徳田政府委員 幾つかに分かれておりまして、本部はたしか長岡文化会館にあるというふうに聞いております。
  88. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 別に私は金融機関が何でも本店は自分のビルじゃなくちゃいかぬということは申しませんけれども、少なくとも支店が五十あるような相互銀行が自分のつくった本店でないというのは、これは他の金融機関でこういうことはあり得ましょうか。
  89. 徳田博美

    ○徳田政府委員 金融機関によりましては、他の貸しビル等に入っているものもあるわけでございますが、自分自身の持っている建物に入っているものが相当多いと思います。
  90. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私の知っている限り、他人にその他のところを貸しているというのは知っておりますけれども、形上他人のつくったビルの中に入っているという、本店がここにあるという金融機関は寡聞にして私は知らないのでありますけれども、それは別といたしましても、長岡文化会館というのはどういう人が役員をしているかは御存じでございましょうか。
  91. 徳田博美

    ○徳田政府委員 調べた後で御報告申し上げます。
  92. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 一つだけ指摘しておきますが、この長岡文化会館というのは、これは謄本の日付が五十二年九月でございますけれども、吉沢平治氏、広井継之助氏、羽賀順蔵氏、これはみんな元かあるいは現職の大光相互銀行の役員なんですね。要するに、長岡文化会館は銀行が賃料、貸借料を払うためにつくったものではなかったのだろうかという疑問が出されているわけであります。ひとつこれも調査してください。
  93. 徳田博美

    ○徳田政府委員 その点は調査をいたします。
  94. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一つだけ私は経営者の姿勢に疑問を持たせる問題について指摘をしておきたいと思うのでありますが、それは恐らく局長もお調べになっていないと思いますので、時間の関係上私が申し述べますけれども、ここに長岡市袋町三丁目字袋町千百一の一という謄本がございます。これは何の謄本かといいますと、ここに書いてあるのは居宅であります。面積が百七十四平米、これは所有権保存がされているわけでありますけれども、昭和四十二年一月二十六日受付になっております。所有者は株式会社大光相互銀行でございます。ここに駒形斉前社長が住んでいたわけであります。それが四十八年九月三日に所有権移転が、原因は売買ということでされているわけであります。どこにされたか、有限会社近代商事というのに所有権移転がされているわけであります。  それでは、この近代商事というのは何かといいますと、これは役員がかわっておりますけれども、かつてはこの駒形斉前社長が役員をやっていた、あるいは奥さんの駒形千代さんが役員をやっていたのが有限会社近代商事でございます。いまは登記上はかわっておりますけれども、藤間丈夫さんという社長の弟さんがこの有限会社近代商事の役員をやっているわけであります。いやしくも相互銀行の社長が、何も自分の家に住まなければならぬということはないでしょうけれども、こういった何か公私混同を思わせるような、あるいは金融機関というものを全く私視するような行動に出ているということは、私はきょうはこれだけの例しか挙げませんけれども、大光相互の経営姿勢と申しますか営業のあり方と申しますか、その辺に非常に疑問を持たざるを得ぬのであります。  そこで私は、先ほど申しました関連会社につきましても、どうもそういうきらいがあるのではないかというふうに疑問を持たざるを得ぬのであります。ひとつその辺もお調べをいただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  95. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、前社長の経営姿勢には非常に問題があったわけでございまして、この点現在、検査におきましてもいろいろ調査中でございますし、御指摘の点を踏まえてこれからも検討してまいりたいと思っております。
  96. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 これは検査が済まないと局長も結論的なことは言えぬと思いますけれども、私は今度の問題は、有価証券取引上の疑問点も多々ございますし、あるいは背任問題ということも当然出てくるのではないかと思わざるを得ませんし、あるいは駒形前社長の銀行に対する民事上の責任というのも当然発生してくるのではないかと思わざるを得ぬのでありますけれども、その点については、いま局長はどういうふうにお考えでございますか。
  97. 徳田博美

    ○徳田政府委員 大光相互につきまして、このような問題を起こしたことについて、直接に責任がある役員に対しましては厳しい責任の追及をしてまいりたい、このように考えております。
  98. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 調査中ということでありますから、それ以上——私も罪人をつくるだけが仕事ではございませんから、ただすべきものはただしているわけでございまして、その意味では今後、そういった意味で金融機関の正しいあり方というものについてさらに姿勢を正してもらうよう、私たちも委員会の中で質疑をしていきたいと思いますが、一番問題になるのは、かつてこの委員会でも質疑をしましたように、徳田銀行局長自体が新効率化行政だということのいろいろ御説明があった、私たちも一般論としてはそれは当然だと思うのであります。そして、護送船団方式もとられないというお話もなさった、それも一般論として私たちも否定をしないわけでございますけれども、一体この大光相互について、この新効率化行政あるいは護送船団方式はとらないと言われた局長の御発言とこの大光相互銀行自体の今後の監督のあり方、あるいは、預金者なり従業員なりあるいは実際に借りていらっしゃる方々に対してどういう対応をなさろうとしているのか、その基本的な姿勢についてまずお伺いしておきます。
  99. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、これから金融機関は、社会的公共性と申しますか、経済社会が金融機関に求めている機能を十全に発揮することについて、国民の信任を得ることが必要でございます。そのためには、適正な競争原理の導入のもとで厳しい自己責任と創意工夫による努力が必要でございます。そういう意味で、これから金融機関というのはさらに一段と経営努力をしていくことが求められるわけでございます。  ただその過程におきまして、個々の金融機関において問題が生じてきた場合には、やはり先生御指摘のとおりこれには取引者もありますし預金者もありますし従業員もあるわけでございます。また、その地域の経済に与える影響も非常に大きいわけでございますし、またその地域の信用秩序にも密接な関連があるわけでございます。したがいまして、金融機関のそのような地域経済あるいは国民経済における地位ということを考えまして、やはり預金者保護ということには最大の重点を置いて処理をしてまいりたいと考えているわけでございまして、今度の大光相互銀行につきましても、経営者に対しては厳しい責任の追及を行うとともに、しかしながら、地域経済あるいは預金者に対する影響等に配意いたしまして、これを一刻も早く健全な経営体制に移行させたい、このように考えているわけでございます。
  100. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで問題になりますのは、私はいま調べただけでも、あるいはいま指摘しただけでも、大蔵省の監督責任は別といたしましても、これは経営者自身のことはひょっとしたら背任になるのではないかというようなこともかなりあるわけでありますから、その意味では、千六百人の従業員の責任というのはないのではないか。これは局長自身の先ほどの御報告にもありましたように、多分にこの債務保証というのは、私の知っている限りでも四、五人の幹部だけしか知ってなかったということになりますと、従業員に今後、たとえば首切りの問題あるいは労働条件を切り下げる、給与の据え置きあるいはボーナスのカットというような、そういった経営をしていくこと自体は私は非常に酷だと思うわけです。この点についていかがお考えでございますか。
  101. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、大光相互におきます今回の問題は、前社長を初め経営陣に責任があるわけでございます。したがいまして、今後の再建に当たりましては、そういう点を十分踏まえて、新しい役員陣においてはいろいろな配慮が行われていくものと考えております。
  102. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは皆さん方の方が指導として、実態がこれからどういうふうに推移していくかわかりませんけれども、穴があいた部分については多分に経営側の、経営に携わっていた人たちの民事上の責任も問いつつ、なおかつ、全く門外漢に置かれながら、預金を上げろ、あるいは開店日にはこの金融機関は朝五時から出るということもやっていたようでありますけれども、そういうようなしわ寄せを、経営責任はそっちのけにして従業員にばかりしわを寄せるということがあってはならぬと私は思うわけであります。そこで、そういった新しい顧問団あるいは新しい社長にそれは寄せるだけではなく、きょうは私だけの意見でありますが、これは野党各党に御了解をいただいて、同じ気持ちで質問しているわけでございますから、結論のところはいま申しましたように、何ら責任のなかった従業員にそのしわ寄せが全部いくというようなことがあってはならぬと思うのであります。  そういった意味で、私たちも今後とも当委員会という場を通しまして見守っていきますから、いま申しましたように首切りの問題あるいは労働条件切り下げ、ボーナスはなしにするとか、どうかこういったようなことのないように、大光相互銀行自体が今後もこのうみを、何年かかるのかわかりませんが、出し切って、金融機関として、しかも中小金融の専門金融機関として健全にやっていけるようにひとつ指導をしてもらいたい。そのためには何といっても、そこに働いている方々がやる意欲を起こしていかないことには私はその再建というのはむずかしいだろうと思うのであります。どうかその点に十分留意をしていただきますようにお願いをしておきたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  103. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生のお話を十分承りまして、これは新しい役員が中心になって再建をするわけでございますので、十分りっぱな再建が行われるように配意してまいりたいと思います。
  104. 只松祐治

    ○只松委員 関連して。  大光相互は日銀の取引銀行だとも聞いております。そうすると当然に、日銀も大蔵省と同じような考査、調査等を行っておるはずでございます。したがいまして、日銀の行った報告についてどの程度か、それはまた理事会等のお話し合いで結構でございますが、調査報告書を求めたいと思います。ひとつ委員長の方にお取り計らいを願いたいと思います。
  105. 徳田博美

    ○徳田政府委員 これは日本銀行のことでございますので、日本銀行にその意向を伝えて、どのように処理するか聞いてみたいと思います。
  106. 加藤六月

    加藤委員長 次回は、明二十三日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会      ————◇—————