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福田参考人 福田でございます。
私は、四年前に
たばこの五割の
値上げが提案されました際にも、お呼びいただきまして
意見を申し上げたわけでありますが、その際は、
物価なり
家計への
影響が非常に大きいということで申し上げたわけでありますが、今回は、単なる
たばこの
値上げだけじゃなくて、
制度にかかわる非常に大きな
改正案が出されておるということで、若干その点を中心にして
意見を申し上げたいと思うわけであります。
今回の
改正案の第一点は、何と申しましても二一%の
値上げ問題でありますが、これは
前回も申し上げましたとおり、
物価、
家計に与える
影響、特に
たばこというのは金持ちも低
所得者もみんな一様に好みによって吸うわけでありまして、その
意味では非常に低
所得者に与える
影響が大きい。それから、いま
物価の
上昇が盛んに心配されているときに、非常に身近なものから上げていくというところが非常に問題なのでありまして、この点につきましては、私ども、
たばこの
値上げが
物価に与える
影響というものを非常に心配いたしております。
それと同時に、
値上げをした場合に、また
たばこの
消費率が落ちてくるのではないか。現に五十三年度の
たばこの
生産量が発表になっておりますけれども、予定は三・二八%と言われながら、実際は〇・一%しかふえてない。これは
値上げがなくてもこの調子で、
専売公社が考えておられるのとははるかに少ない
生産量になっている。これが
値上げされた際一体どうなるのか、この
影響をぜひ考えていただきたいのであります。
そうなりますと、実は
たばこの
関係者に与える
影響が非常に大きいわけでありまして、
小売人二十五万人、それから
葉たばこ耕作者十二万人、
専売公社の
職員四万人、
関連企業が約五千人と言われておりますが、四十万人くらいに及ぶこの
たばこ関連の業者なりあるいは
労働者あるいはまた
耕作農民に与える
影響が非常に大きいのでありまして、この点から考えまして、今回の二一%の
値上げにつきまして基本的に
反対であるということをまず第一点として申し上げたいと思います。
二つ目に、
納付金率の
法定化の問題でありますが、これが今回の
改正案の非常に大きな点であろうと思います。
納付金率の
法定化そのものにつきましては、税と
コストを明確化するという
立場に立ちまして、基本的に私どもは
反対ではございませんけれども、問題は、今回の五六%という
決め方が一体どうなのかということでございまして、これはぜひ慎重に配慮していただきたいと思うわけであります。特に五六%というふうに
定率化を決めますと、
残り四四%で
原料費あるいはまた
人件費、それから
専売公社の諸経費というふうに配分されてまいります。冒頭申し上げましたように、
たばこの
消費が
一定の
割合でふえているというときであれば、パイがそれだけ大きくなるわけでございますから、この比率が保たれていくと思いますけれども、
たばこの
消費がふえていかない場合、現にいま
生産調整などもいたしておりますが、そうすると、
原材料費の六割
程度を占める
葉たばこ耕作者の賃金問題あるいはまた
専売の
職員の賃金、これがぶつかり合うというようなことになりまして、この四四%の枠内で
葉たばこ耕作者と
専売の
職員の
人件費等がぶつかり合う。このことは非常に問題になってくるわけであります。したがいまして、この五六%という
定率の
決め方につきましてぜひ慎重な御配慮をいただきたいし、もう少しこの点については妥当かどうかの
検討をいただきたいと思うわけであります。
第三点といたしましては、いわゆる
法定の
緩和の問題でありますが、三割までは
国会の同意を経ることなく上げることができる。この点は
国鉄運賃と同じような
意味におきまして、
独占事業である
専売事業、そして
公共企業体である
専売の
たばこの料金を、
国会の議を経ることなく三割
程度も上げることができる。
一定の
物価の
変動率の枠内という歯どめはありますけれども、どうもこの点は基本的に納得しかねるということを申し上げたいと思います。
それからまた、それじゃ外した場合においても、現在の
専売事業審議会のあの中で、一体
国民の
意見が十分に反映できるのかどうかについてははなはだ疑問であります。この
専売事業審議会の
構成等につきまして、
消費者代表と言われる人がどうも私の見る限り一人ぐらい
女性の方が入っておられる
程度である。あの
米価審議会につきましても、
学識経験者といいながら二十五名中
生産者五名、
消費者五名が入っているわけでありまして、
専売事業審議会のあの
構成では
国民の声が反映をしているとはわれわれには思われないし、それからまた、
国民の声を反映させるために
公聴会なりあるいはまたどういう手段を考えておられるのか、一向明らかでございません。
以上申し上げた点からいいまして、
法定の
緩和につきましては基本的には納得できないということを申し上げておきたいと思います。
第四点として、
関税定率法についてでございますけれども、この点は
輸入たばこの
圧力が非常にかかっておりまして、現在一%と言われておりますが、これが一割近くまで
輸入たばこをふやせという非常な
圧力がかかっていると聞いているわけであります。そういう中で、たとえばシガレットについて九〇%の
関税率が一体保てるのかどうか。
アメリカの場合は三五%
程度と聞いております。これが次第に下げられるようなことであれば、
輸入たばこがどっと押し寄せる。そのことによりまして、
国内の
葉たばこ耕作者を初め非常な
圧力がかかってくるのではなかろうかということを心配いたします。そういう
意味におきまして、この
関税定率の
設定等につきましても非常に
問題点があるということを指摘しておきたいと思うわけであります。
以上、今回の
法改正の
主眼点である四点につきまして
意見を申し上げたのでありますが、私がこの際特に申し上げたいことは、今回の
法改正というのは、
専売制ができてから八十年、
公社が発足してから三十年の
歴史的経過の中におきましての大
改正、最も大きな
改正ではないかというふうに思われるわけであります。このような大
改正が行われるにしてはどうもいささか拙速ではないかという
感じがしてなりません。
それと同時に、税制の面、
収益をふやして国へ納付するというような
財政対策面だけで出されておるような
感じがするわけでありまして たとえば
公社をどういう形で民主化するのか、
専売公社の
審議会を含めた民主化問題それから
国民への
サービスの問題、たとえばいま広がっている嫌煙権問題とかが
たばこに対して非常に
国民的に言われているし、また表示の
問題等でも一体どういうふうに
国民への
サービスを考えているのか、あるいはまた
専売労働者に対してどのように考えておられるのか、一向に明らかでないのでありまして
財政対策のみから
専売制度が始まってからの八十年来の大
改正を行うというのは、どうもいささか不当ではないか。もっと多方面にわたってこの際改革をする一還としてこれを出してくるというならばそれなりに
検討の余地はあると思いますが、その面におきまして非常にどうも一方的な
財政対策のみであるということを御指摘申し上げまして、今回の
改正については
大変不満であるし、基本的には
反対であるということを申し上げまして私の
意見といたします。
どうもありがとうございました。