○
宮崎(知)
政府委員 経済協力につきましては、従来からその
拡充改善に
努力をしているところでございます。しかし御
指摘のとおり
わが国の
経済協力の水準は、
先進国のそれに比べますとまだおくれていることは否定できないところでございます。したがいまして
わが国としましても、
世界経済の全体の
安定発展を図っていくという上からも今後、
援助の量的及び質的な面での
改善を図っていくことは必要なことだというふうに
考えております。そういう
考え方で量的な問題、質的な問題についてそれぞれ
努力はしてきております。
ただいまのその
やり方の
一つとして、
経済協力の機構というものをもう少し一元化できないかというふうな御意見でございます。これは
一つの
考え方だと思いますけれども、
経済協力と申しますのは、やはり
外交政策それから
財政金融政策あるいは
通商政策、そういうふうないろいろな角度からの
検討が必要ないわば多角的な行政の問題でございまして、従来からもそれぞれの省におきましてその連絡を密にして
経済協力を進めてきているわけでございます。今後もそういうふうな必要性がありますので、仮に
一つの機構をつくるといたしましても、それがかえって屋上屋を重ねるということになってしまっては、これはその
援助の効果的な
執行に貢献しないということになるおそれがあるわけでございます。
もちろん諸外国におきましても、
経済協力省を持っている国もございますが、そういう国の例を見ましても、必ずしもその省だけで一元的になかなかいっていないというようなことも聞いております。私どもとしましては、従来からも努めてまいりましたけれども、現在のところ
経済協力につきまして、経済企画庁それから外務省それから大蔵省、通産省、この四省におきまして従来以上に連絡を密にして、そして
援助の効率を上げていきたいというふうに
考えております。たとえば先ほど御
指摘の
執行率の問題を
一つ取り上げてみましても、確かに
援助の量をふやしていく場合におきまして、
予算を拡大するということもこれは必要でございますが、同時に、
執行率を上げていくということもこれは重要なことでございます。現在までのところ
執行率が
日本の場合には大体七〇%程度ということになっておりますが、その
執行率を上げるための
一つの方策といたしまして、現在
関係各省の連絡を密にしていく、迅速に
会議をやっていくあるいは交換公文の一括閣議提議というような
努力をしまして、そういうふうな面で
関係各省の連絡を密にしていくというふうに
努力しているところでございます。
それから二番目の御
指摘の、
経済協力の
改善拡充について何か
中期的な見通しというものを持つべきではないかという御意見でございます。御
指摘のとおり、
わが国は
開発途上国との
関係というものは非常に密接になっております。その
相互依存関係というものは非常に高まってきておりますし、また、
わが国の現在置かれている地位からいたしまして、
日本がもっと
経済協力に力を入れて
世界経済の安定ないし発展に貢献していくということは、これは
わが国の務めであろうと思います。そういうふうな意味で、現在の
援助の水準をさらに進めて
先進国の水準にまで引き上げていく、そういう目標を
一つ立てまして、それに向かって
中期的な
計画を立てていくということは必要であろうと私ども思っております。昨年にODAの三年間
倍増という方針が打ち出されたのもそういう背景があったのであろうというふうに思っております。
ただ問題は、
経済協力といいますのは、国内の事業をやる場合と若干違いまして、相手国があるわけでございまして、やはり相手国の言い分も聞かなければいけないという問題がございます。そこで、相手国の事情で
計画の実施がおくれるということもあるわけでございます。そういうふうな点で、
計画をつくるにしましても、余りに長期なものとかあるいは余りにも具体的なもの、そういうものはあるいは適当でないかもしれませんけれども、いま
日本がやっておりますような三年間に
倍増するという基本的な
考え方を持って、それに立って
計画を進めていくということは私どもも必要だと思っております。現在の三年間
倍増が経過した後においても、そういうふうな
中期的な観点からの
計画というものは必要でないかと思っております。
それから第三番目の、個々の
援助の効果を上げるためにもう少し
関係各省の間でもっていろいろ研究をすべきではないかという御意見につきましては、御
指摘のとおりだと思います。それぞれの
経済協力に関与しております外務省、大蔵省、通産省その他の役所におきまして、
経済協力の効果を上げるためにもっとどういうふうな施策があるかということは、今後
検討していく必要があるというふうに
考えております。