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1979-04-11 第87回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月十一日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 加藤 六月君    理事 小泉純一郎君 理事 高鳥  修君    理事 綿貫 民輔君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 坂口  力君    理事 竹本 孫一君       阿部 文男君    愛知 和男君       池田 行彦君    江藤 隆美君       小渕 恵三君    大村 襄治君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       原田  憲君    本名  武君       村上 茂利君    森  美秀君       山崎武三郎君    伊藤  茂君       池端 清一君    大島  弘君       沢田  広君    只松 祐治君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    安田 純治君       依田  実君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 金子 一平君  出席政府委員         外務省アジア局         次長      三宅 和助君         大蔵政務次官  林  義郎君         大蔵大臣官房審         議官      米里  恕君         大蔵大臣官房審         議官      天野 可人君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      宮崎 知雄君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部外務参         事官      橋本  恕君         外務省アメリカ         局外務参事官  色摩 力夫君         外務省中近東ア         フリカ局外務参         事官      堤  功一君         外務省中近東ア         フリカ局アフリ         カ課長     原口 幸市君         外務省経済協力         局外務参事官  西山 健彦君         外務省国際連合         局外務参事官  中村 泰三君         外務省国際連合         局政治課長   川上 隆朗君         通商産業省貿易         局輸出課長   松田 岩夫君         通商産業省産業         政策局国際企業         課長      角南  立君         通商産業省基礎         産業局製鉄課長 林  俊太君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       箕輪  哲君         運輸大臣官房観         光部計画課長  星  忠行君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     小沢 辰男君   佐野 嘉吉君     松野 頼三君   村上 茂利君     宮澤 喜一君 同日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     小渕 恵三君   松野 頼三君     佐野 嘉吉君   宮澤 喜一君     村上 茂利君 同月二十三日  辞任         補欠選任   山崎武三郎君     前尾繁三郎君   高橋 高望君     中村 正雄君 同日  辞任         補欠選任   前尾繁三郎君     山崎武三郎君   中村 正雄君     高橋 高望君 同月二十九日  辞任         補欠選任   美濃 政市君     日野 市朗君 同日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     美濃 政市君 四月十一日  辞任         補欠選任   貝沼 次郎君     宮井 泰良君   永原  稔君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     貝沼 次郎君   依田  実君     永原  稔君     ――――――――――――― 三月二十三日  一般消費税新設反対に関する請願松本忠助  君紹介)(第二一八八号)  同(依田実紹介)(第二三〇九号)  パチンコ機に対する物品税率引き下げに関する  請願村上茂利紹介)(第二一八九号)  重度身体障害者使用自動車に対する自動車関係  諸税非課税に関する請願山本政弘紹介)  (第二一九〇号)  共済年金制度改悪反対等に関する請願(渋沢  利久君紹介)(第二二六三号) 同月二十八日  共済年金制度改悪阻止等に関する請願(北側  義一君紹介)(第二三五七号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二三五八号)  同(草野威紹介)(第二三八八号)  同(古寺宏紹介)(第二三八九号)  同(谷口是巨君紹介)(第二三九〇号)  同(久保等紹介)(第二四八三号)  同(斉藤正男紹介)(第二四八四号)  同(田邊誠紹介)(第二四八五号)  同外一件(野口幸一紹介)(第二四八六号)  同(細谷治嘉紹介)(第二四八七号)  同(村山喜一紹介)(第二四八八号)  同(山田耻目君紹介)(第二四八九号)  同(渡辺三郎紹介)(第二四九〇号)  一般消費税新設反対に関する請願伏木和雄  君紹介)(第二三五九号)  同(池田克也紹介)(第二三八七号)  同(池田克也紹介)(第二四八一号)  パチンコ機に対する物品税率引き下げに関する  請願西田八郎紹介)(第二三九一号)  同(志賀節紹介)(第二四五〇号)  同(横山利秋紹介)(第二四五一号)  同(愛知和男紹介)(第二四八〇号)  重度身体障害者使用自動車に対する自動車関係  諸税非課税に関する請願愛知和男紹介)  (第二四七九号)  みなし法人課税制度合理化に関する請願(大  塚雄司紹介)(第二四八二号) 四月三日  みなし法人課税制度合理化に関する請願(小  川平二君紹介)(第二五二五号)  大蔵省印刷局病院拡張のための東京都北区農研  跡地利用反対に関する請願依田実紹介)(第  二五二六号)  共済年金制度改悪阻止等に関する請願(塚田  庄平君紹介)(第二五二七号)  同(西宮弘紹介)(第二五二八号)  同(日野市朗紹介)(第二五二九号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二五三〇号)  同(美濃政市紹介)(第二五三一号)  同(湯山勇紹介)(第二五三二号)  同(渡辺芳男紹介)(第二五三三号)  同(阿部未喜男君紹介)(第二五八二号)  同(伊藤茂紹介)(第二五八三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二五八四号)  同外一件(岡田哲児紹介)(第二五八五号)  同(久保三郎紹介)(第二五八六号)  同(上坂昇紹介)(第二五八七号)  同(佐藤観樹紹介)(第二五八八号)  同(沢田広紹介)(第二五八九号)  同(柴田健治紹介)(第二五九〇号)  同(島田琢郎紹介)(第二五九一号)  同(島本虎三紹介)(第二五九二号)  同(嶋崎譲紹介)(第二五九三号)  同(清水勇紹介)(第二五九四号)  同(新村勝雄紹介)(第二五九五号)  同(田畑政一郎紹介)(第二五九六号)  同外一件(竹内猛紹介)(第二五九七号)  同(武部文紹介)(第二五九八号)  同(只松祐治紹介)(第二五九九号)  同(楯兼次郎紹介)(第二六〇〇号)  同(千葉千代世紹介)(第二六〇一号)  同(土井たか子紹介)(第二六〇二号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二六五六号)  同(小林政子紹介)(第二六五七号)  同(中西積介紹介)(第二六五八号)  同(中村茂紹介)(第二六五九号)  同(原茂紹介)(第二六六〇号)  同外一件(福岡義登紹介)(第二六六一号)  同(藤田高敏紹介)(第二六六二号)  同(古川喜一紹介)(第二六六三号)  同(不破哲三紹介)(第二六六四号)  同(松本七郎紹介)(第二六六五号)  同(松本善明紹介)(第二六六六号)  同(三谷秀治紹介)(第二六六七号)  同外一件(矢山有作紹介)(第二六六八号)  同(山口鶴男紹介)(第二六六九号)  同(山花貞夫紹介)(第二六七〇号)  同(横山利秋紹介)(第二六七一号)  同(吉原米治紹介)(第二六七二号)  同(渡部行雄紹介)(第二六七三号)  一般消費税新設反対に関する請願池田克也  君紹介)(第二六〇三号)  同外二件(市川雄一紹介)(第二六〇四号)  パチンコ機に対する物品税率引き下げに関する  請願亀岡高夫君紹介)(第二六〇五号)  揮発油税等増税反対に関する請願外三件(佐  野進君紹介)(第二六〇六号)  国民生活を破壊する一般消費税新設反対等に  関する請願荒木宏紹介)(第二六五四号)  同(山原健二郎紹介)(第二六五五号)  不公平税制の是正及び大幅減税等に関する請願  (工藤晃君(共)紹介)(第二六七四号)  同(小林政子紹介)(第二六七五号)  同(不破哲三紹介)(第二六七六号) 同月四日  たばこ塩専売事業等民営化反対に関する請  願(井出一太郎紹介)(第二七二一号)  同(小川平二紹介)(第二七二二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二七二三号)  同(倉石忠雄紹介)(第二七二四号)  同(小坂善太郎紹介)(第二七二五号)  同(清水勇紹介)(第二七二六号)  同(下平正一紹介)(第二七二七号)  同(中島衛紹介)(第二七二八号)  同(中村茂紹介)(第二七二九号)  同(羽田孜紹介)(第二七三〇号)  同(原茂紹介)(第二七三一号)  同(増田甲子七君紹介)(第二七三二号)  同(向山一人紹介)(第二七三三号)  共済年金制度改悪阻止等に関する請願(安島  友義君紹介)(第二八五一号)  同(久保等紹介)(第二八五二号)  同(佐藤敬治紹介)(第二八五三号)  同(坂本恭一紹介)(第二八五四号)  同(新盛辰雄紹介)(第二八五五号)  同(田口一男紹介)(第二八五六号)  同(栂野泰二紹介)(第二八五七号)  同(野口幸一紹介)(第二八五八号)  同(馬場猪太郎紹介)(第二八五九号)  同(平林剛紹介)(第二八六〇号)  同(村山富市紹介)(第二八六一号)  同(山本政弘紹介)(第二八六二号)  重度身体障害者使用自動車に対する自動車関係  諸税非課税に関する請願安宅常彦紹介)  (第二八六三号)  パチンコ機に対する物品税率引き下げに関する  請願外一件(川合武紹介)(第二八六四号)  同(坂口力紹介)(第二八六五号)  一般消費税反対及び所得税減税等に関する請願  (沢田広紹介)(第二八六六号)  一般消費税新設反対に関する請願和田耕作  君紹介)(第二八六七号) 同月十一日  共済年金制度改悪阻止等に関する請願柴田  健治紹介)(第二九一三号)  同(島本虎三紹介)(第二九一四号)  同(松沢俊昭紹介)(第二九一五号)  同外一件(水田稔紹介)(第二九一六号)  同(米田東吾紹介)(第二九一七号)  同(兒玉末男紹介)(第二九五七号)  同(佐野進紹介)(第二九五八号)  同(柴田健治紹介)(第二九五九号)  同(渋沢利久紹介)(第二九六〇号)  同(新盛辰雄紹介)(第二九六一号)  同(芳賀貢紹介)(第二九六二号)  同外一件(馬場昇紹介)(第二九六三号)  同(長谷川正三紹介)(第二九六四号)  同(武藤山治紹介)(第二九六五号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二九九三号)  同(大原亨紹介)(第三〇三七号)  同外二件(野坂浩賢紹介)(第三〇三八号)  同外一件(森井忠良紹介)(第三〇三九号)  一般消費税新設反対等に関する請願永末英  一君紹介)(第二九一八号)  一般消費税新設反対に関する請願長谷川正  三君紹介)(第二九六六号)  租税特別措置法の一部改正反対等に関する請願  (浦井洋紹介)(第二九九一号)  みなし法人課税制度合理化に関する請願(相  沢英之紹介)(第二九九二号)  国民生活を破壊する一般消費税新設反対等に  関する請願永末英一紹介)(第二九九四号)  一般消費税反対及び所得税減税等に関する請願  (沢田広紹介)(第三〇四〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  昭和五十四年度税制改正に関する陳情書  (第一一一号)  雪おろし等費用に係る雑損控除制度制限撤廃  等に関する陳情書  (第一一  二号)  貸金業適正化に関する陳情書外一件  (第一一三号)  一般消費税新設反対等に関する陳情書外四十  九件(第  一一四号)  日本万国博覧会記念公園有料化撤廃に関する  陳情書外七件  (第一一五号)  たばこ塩専売制度維持に関する陳情書外四件  (第一一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する  法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  三八号)      ――――◇―――――
  2. 加藤六月

    加藤委員長 これより会議を開きます。  アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を求めます。金子大蔵大臣
  3. 金子一平

    金子(一)国務大臣 ただいま議題となりましたアフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  わが国は、現在、政府開発援助三年間倍増の方針に沿った経済協力拡充努力を払っているところでありますが、そのためには、国際開発金融機関に対しても引き続き積極的な協力を行う必要があります。  アフリカ開発基金及び米州開発銀行はともに、それぞれアフリカ及びラテンアメリカの開発途上国開発促進を目的とする地域開発金融機関であります。わが国は、アフリカ開発基金については設立時の昭和四十八年に、また米州開発銀行については他の域外先進諸国とともに昭和五十一年にそれぞれ加盟し、自来、両機関活動を積極的に支援してきたところであります。今般、両機関におきまして、その円滑な事業活動を継続し得るよう増資を行うこととなりました。これに伴い、わが国は、現在の合衆国ドルで申しまして、アフリカ開発基金に対しては総額約一億四千八百万ドルの追加出資を、また、米州開発銀行に対しては総額約一億四千二百万ドルの追加出資をそれぞれ行いたいと考えております。  このため、本法律案において、政府は従来の出資金額のほか、予算で定める金額の範囲内において、両機関に対し、出資することができることとし、あわせて昭和五十四年度予算において所要の追加出資限度額について御承認をお願いしている次第であります。  このたびの改正は、最近における国際開発金融機関増資が頻繁に行われることを考慮したものであり、これによってわが国のこれら開発金融機関に対する積極的協力姿勢を明らかにすることにもなると考えられます。政府としては、最近におけるわが国経済協力に寄せられている大きな期待にもかんがみ、本法律案の成立後速やかに増資応募の通告を行いたいと考えております。  以上が、この法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 加藤六月

    加藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 加藤六月

    加藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  6. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ただいま大臣から御説明のありました議題について具体的な質問に入る前に、南北問題に関連をして一、二政府姿勢をお伺したいと思います。  まず一つは、間もなくマニラUNCTAD総会が予定をされている、それから六月には注目の東京サミットが開催をされることになるわけであります。それらの中で政府側から、また大平総理の方からも、南北問題を積極的に提起をしたいという見解が出されております。しかしその中身については、いろいろと当面する問題が山積をしているせいか必ずしも明らかではございません。UNCTAD総会あるいは東京サミットなどで主要議題として日本側からも意欲的に対応したいというふうに言われております南北問題にどういう中身、どういう柱で対応されようとしているのか、それをまずお伺いをしたいと思います。  というのは、UNCTADの方でも一次産品共通基金の設定とかいうことも、何か報道を伺いますとほぼ交渉の山を越したような話を伺っております。また東京ラウンドの方も、明日仮調印とかいうニュースも聞いているわけでありますが、途上国の方からは、また別の意味での不満なり要望もあるというふうなことも言われております。そして途上国サイドの方でも、先進国に対してより大きな援助協力要望すると同時に、たとえば本年二月の七十七カ国グループのアルーシャ宣言、そういうのを読んで見ましても、やはり自助あるいは自分たちの責任ということを含めながら先進国との相互依存計画、そういうものを具体的な計画としてどうやっていくのかというふうな方向も出されている。さらには、最近の状況から見て後発途上国の問題も深刻さを加えている、いろいろな新しい状況が生まれているということではないかと思います。そういう状況対応しながら、この二つの重要な会議にどのような柱で積極的な対応をなさるのか、それをまず伺いたい。
  7. 中村泰三

    中村説明員 お答えいたします。  来る五月、マニラで開かれますUNCTAD総会における議題といたしましては、相互依存の問題、貿易の問題、共通基金を含みます一次産品の問題、援助、通貨、金融の問題、それから技術移転、海運、途上国経済協力の問題、あるいは社会主義諸国と南の国々との関係の問題、こういう幅広い問題が議題として予定されております。それから、引き続き東京で開かれます東京サミット議題は、今後詰めていくべき問題でございますけれども、恐らく前回開かれましたときと同じ五つ議題が継続して討議されると思いますし、南北問題もその五つ議題のうちの一つに入っているというふうに考えております。  私たちといたしましては、マニラにおきますUNCTAD総会というものは、一九八〇年代の南北関係展望する重要な政治的な会議だというふうに了解しております。したがいまして、途上国の要求はいろいろあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけこういった途上国の願望に対応できるものにつきましては具体的に前向きな姿勢を打ち出していきたい、そうしてこの会議を積極的な実りのあるものにするようにしていきたいというふうに考えております。具体的な対応策につきましては、現在事務当局において検討中でございます。
  8. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総論は結構ですが、具体的な対応策検討中ということでございます。それでは、後ほどまた具体的に要望をさせていただきたいと思います。  次に伺いたいのは、経済協力、特に政府開発援助についての問題です。  これはこの数年来国際的な要望も非常に強くあり、議論されてまいってきたわけでありますが、そしてまた、改善努力という方向政府側からも提起されているというわけであります。量と質と私は両面あると思います。この量の面では昨年、七七年基準、ドルベース三年倍増、八〇年達成というわけでありますが、さっきの話もありましたように、この八〇年代を展望する南北問題という観点から考えますと、さらにその先の展望も必要なのではないだろうかという気がいたします。それから質につきましても、前から指摘をされてまいりましたグラントエレメント、それからアンタイドの問題、それから執行率、ディスバースの促進、また技術援助をもっと拡充をしなければならないという問題など指摘をされてまいってきたわけであります。  政府の方では、それぞれそれらのことをぜひ前向きに再検討をしなければならないというふうに伺っているわけでありますが、個々のことをそれぞれ詳しく伺う時間がございませんから、取り組みの姿勢としてお伺いしたいのは、現在これらの経済協力なり政府開発援助なりということについて、量も質も改善をしなければならないということが言われておりますが、一つは、一元化を図る必要があるのではないか。関係部局、省庁にしても多岐にわたっておりますし、それから原資の調達にしても幾つかの柱になっているというわけでありますが、もっとそれらを総合的に執行していく、あるいはやり方の面での改善を総合的に検討していくというふうなことが前から指摘されているわけでありますが、もう一つ必要なのではないだろうか、それが一つです。  それから二つ目に伺いたいのは、何か中期展望を持った総合計画というものをつくっていく必要があるのではないだろうか。いままで日本の場合に、DAC加盟国平均よりもおくれているということでそのアベレージを上回るように、あるいはアベレージに到達をするようにというふうなことであったと思います。ただ日本の場合には、言うまでもありませんが、貿易を見ましても経済関係全体を見ましても、途上国との関連が非常に大きいわけでありますから、何か量をふやす、それだけではなくて、理念あるいは政策を含めた先進的な役割りを果たさなければならない立場に日本は置かれているのではないだろうか。ですからお金をふやす、あるいは状況をよくするというだけでなくて、もう一つそういう面での理念政策を盛り込んだ中期のプランを持っていくということが必要なのではないだろうかと思います。前の村山大蔵大臣のときにも、前向きにこれらの点については対応しなければならないというふうなお話もいただいていたわけでありますけれども、それらについてどうお考えになるのか。  それからもう一つは、援助のいろいろな量質両面改善をしていく、それをやるためには、やはり基礎的な共同研究あるいは学術交流その他ですね、そういうもののベースができるだけ豊富に形成をされないと効果のある執行ということはできないのではないだろうかというふうに思うわけであります。政府開発援助関係をしてそれらの問題についてどういう努力をいまされているのか、またこれからどういうお考えをお持ちなのかを御説明願いたい。
  9. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 経済協力につきましては、従来からその拡充改善努力をしているところでございます。しかし御指摘のとおりわが国経済協力の水準は、先進国のそれに比べますとまだおくれていることは否定できないところでございます。したがいましてわが国としましても、世界経済の全体の安定発展を図っていくという上からも今後、援助の量的及び質的な面での改善を図っていくことは必要なことだというふうに考えております。そういう考え方で量的な問題、質的な問題についてそれぞれ努力はしてきております。  ただいまのそのやり方一つとして、経済協力の機構というものをもう少し一元化できないかというふうな御意見でございます。これは一つ考え方だと思いますけれども、経済協力と申しますのは、やはり外交政策それから財政金融政策あるいは通商政策、そういうふうないろいろな角度からの検討が必要ないわば多角的な行政の問題でございまして、従来からもそれぞれの省におきましてその連絡を密にして経済協力を進めてきているわけでございます。今後もそういうふうな必要性がありますので、仮に一つの機構をつくるといたしましても、それがかえって屋上屋を重ねるということになってしまっては、これはその援助の効果的な執行に貢献しないということになるおそれがあるわけでございます。  もちろん諸外国におきましても、経済協力省を持っている国もございますが、そういう国の例を見ましても、必ずしもその省だけで一元的になかなかいっていないというようなことも聞いております。私どもとしましては、従来からも努めてまいりましたけれども、現在のところ経済協力につきまして、経済企画庁それから外務省それから大蔵省、通産省、この四省におきまして従来以上に連絡を密にして、そして援助の効率を上げていきたいというふうに考えております。たとえば先ほど御指摘執行率の問題を一つ取り上げてみましても、確かに援助の量をふやしていく場合におきまして、予算を拡大するということもこれは必要でございますが、同時に、執行率を上げていくということもこれは重要なことでございます。現在までのところ執行率日本の場合には大体七〇%程度ということになっておりますが、その執行率を上げるための一つの方策といたしまして、現在関係各省の連絡を密にしていく、迅速に会議をやっていくあるいは交換公文の一括閣議提議というような努力をしまして、そういうふうな面で関係各省の連絡を密にしていくというふうに努力しているところでございます。  それから二番目の御指摘の、経済協力改善拡充について何か中期的な見通しというものを持つべきではないかという御意見でございます。御指摘のとおり、わが国開発途上国との関係というものは非常に密接になっております。その相互依存関係というものは非常に高まってきておりますし、また、わが国の現在置かれている地位からいたしまして、日本がもっと経済協力に力を入れて世界経済の安定ないし発展に貢献していくということは、これはわが国の務めであろうと思います。そういうふうな意味で、現在の援助の水準をさらに進めて先進国の水準にまで引き上げていく、そういう目標を一つ立てまして、それに向かって中期的な計画を立てていくということは必要であろうと私ども思っております。昨年にODAの三年間倍増という方針が打ち出されたのもそういう背景があったのであろうというふうに思っております。  ただ問題は、経済協力といいますのは、国内の事業をやる場合と若干違いまして、相手国があるわけでございまして、やはり相手国の言い分も聞かなければいけないという問題がございます。そこで、相手国の事情で計画の実施がおくれるということもあるわけでございます。そういうふうな点で、計画をつくるにしましても、余りに長期なものとかあるいは余りにも具体的なもの、そういうものはあるいは適当でないかもしれませんけれども、いま日本がやっておりますような三年間に倍増するという基本的な考え方を持って、それに立って計画を進めていくということは私どもも必要だと思っております。現在の三年間倍増が経過した後においても、そういうふうな中期的な観点からの計画というものは必要でないかと思っております。  それから第三番目の、個々の援助の効果を上げるためにもう少し関係各省の間でもっていろいろ研究をすべきではないかという御意見につきましては、御指摘のとおりだと思います。それぞれの経済協力に関与しております外務省、大蔵省、通産省その他の役所におきまして、経済協力の効果を上げるためにもっとどういうふうな施策があるかということは、今後検討していく必要があるというふうに考えております。
  10. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう一つ、私はいまの経済協力全体の政策を見てまいりますと、政府のいまの対策では一つ大きく抜けている観点があるのではないかという気がいたします。これは昨年の九月の末にワシントンで開かれた世銀総会でのマクナマラ総裁の演説をちょっと読んでみたのですが、その中の一つの柱に、途上国の中での絶対的貧困層の問題を取り上げております。言うならば、途上国自体の社会改革の問題についての視点を指摘いたしているわけであります。そうして、そこに述べられている数字を見ましても非常に重要だと思いますが、このような絶対的貧困層を解消するという計画が順調にいった場合でも、紀元二〇〇〇年の絶対貧困者数は六億人と言われている。それが努力が必ずしも順調にいかない場合には十三億人と言われている。そして現在の先進国途上国との関連政策からいいますと、ほとんどの途上国ではそれらの援助とか成長の恩恵は絶対的貧困層のそばを素通りしている。そうしてそういう社会的矛盾が解決をされないということが指摘をされています。マクナマラ総裁も言っているのですが、これらの「絶対的貧困層はきわめて不利な立場であるとはいえ、人間としての潜在能力は大きいのです。現実的な機会さえ与えられれば、彼らは十分な反応を示します。絶望からの脱却、希望への出発、望ましい未来生活の約束を求めること自体、人間に変りはありません。」というふうな視点を相当詳細に述べております。  私ども社会党や民社党も参加をいたしまして、昨年十一月にカナダのバンクーバーで社会主義インターの大会を持ちましたときにも、これらのことがずいぶん議論をされました。そうしてマクナマラ総裁も、インターの議長であるウィリ・ブラント氏に対する尊敬の念も冒頭に述べておりますが、何かこれからの国際的な経済秩序あるいは国際的な立場から見た社会改革のそれぞれの努力というようなことが、理念的にも政策的にもさらに追求をされなければならないという点が述べられていると思います。  外務省や通産省で出している白書とかあるいは経済協力の実態とかいうものを読ませていただきますと、やはり先ほど来お話があったような経済援助の量と質、それらを当面どう改善をしていくのかということが中心になっているわけでありまして、私はさっきも中期計画とかいうことを申し上げましたが、何か途上国と特段に大きな関係を持っている日本、それは先進国の中でも一番大きな関係を持っているわけであります。そういう日本が国際的にもまた途上国からも尊敬をされる、あるいは尊重されるゆえんのものは、お金をふやすことも大事だと思います。しかしそれ以上に、何かそういう改革についての努力、それらについての理念政策というものをやはり掲げる必要があるのではないだろうかという気がいたしますが、その辺どうお考えですか。
  11. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 開発途上国において一部貧困層に対して援助の効果が必ずしも及んでいないというような問題だと思います。  従来から経済協力につきましては、プロジェクトが中心ということで、そのプロジェクトに対して援助をし、それによって開発途上国の経済の成長を高める、それを通じまして各国民の所得の向上を図っていく、福祉の向上がまた得られるということをねらいとして、従来はプロジェクト援助といいますか、公共事業を中心としたような援助が行われてきたわけでございます。それはそれなりに効果が出てきているわけでございますが、一方、ただいま先生が御指摘になりましたように、必ずしも援助の効果を享受してない貧困層の問題というものが最近は出てきている。これは一つには、よく言われますが、援助方向をもう少し視点を変えまして、何といいますか、ベーシック・ヒューマン・ニーズといいますか、基本的な要求、そういうものに沿うような方向にも援助の力を入れていくべきじゃないか、こういう意見が最近出てきております。  たとえばせっかく援助によってりっぱな道路ができ、橋がかかったとしましても、住民が飢えに泣き、また疾病に苦しむというようなことでは援助の効果が上がったということは言えないと思います。したがいまして、そういう貧困層にも援助の効果が及ぶようなたとえば食糧の援助の問題、そういうような点についてももっと力を入れていかなければいけない、こういう問題があると思います。わが国としましても、たとえば今年度の予算におきましても、食糧増産援助の費用というものを五五%前年に対しましてふやすというような形でそういう面にも力を入れてきております。それからまた、食糧以外におきましても、保健とか衛生とかあるいは教育、そういうふうな面にも今後やはり力を注いでいかなければならないのではないかというふうに考えている次第でございます。それからまた、そういう貧困層の雇用創出というような観点からのプロジェクトの取り上げ方というのも、ただいま先生の御指摘にありましたように必要ではないかというふうに考える次第でございます。
  12. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いままでのことでちょっと大臣に感想をお伺いしたいのです。  これからUNCTAD総会があり、特に注目をされる東京サミットがある。そういう中で、主要な柱として南北問題が提起をされている。現状を見ましても、やはり南北問題の根本的な問題はなかなか解決をされない。言うならば、途上国のいろいろな分化傾向の問題もあり、特にLLDC、後発途上国といいますか、深刻さを加えている。基本的には南北格差は今日の国際的な社会条件ではなかなか消せないという深刻さを持っている。いま申し上げましたように、それぞれの相手の国の中でそれでは民主的発展というものがあって、絶対的貧困層の解消を初め社会的矛盾の解決が進むのかと言えば、マクナマラ総裁も指摘をしているように、非常に深刻なままで残っているという問題もあります。  私はこういう中で、日本の国家としての政策としては、いろいろ内外の要望に対する当面の対応政策というだけではやはり足りない立場に日本はあるのだと思うのです。そしてまた、エコノミックアニマルのような対応になってはもちろんいけないということだと思います。それから、いままでの日本の経済援助の経過を振り返ってみましても、たとえば現在もそうだと思いますが、日韓の関係の問題などは、私どももこれは外交、平和の視点からしても経済協力関係からしても、数々の問題を持っているのではないかということを指摘をしているわけでありますし、ベトナム戦争当時の日本の果たした役割りの問題もあります。アジアにおいて振り返ってみてどういう役割りを果たしたのだろうかということは、よく振り返って考えてみなければならないということではないだろうかと思います。  そういうことを考えますと、一つは、やはり平和共存あるいは平等互恵、そういう友好的な関係をどうつくっていくのかという視点を持たなければならない。それから相手国の民主的な発展、極貧困層の解消、そういう方向、いまお話がありましたが、やはりベーシック・ヒューマン・ライツと言われましたが、人権という視点ですね、いろいろな視点が出される必要があると思います。そういうものが相伴って私は一つ理念的な方向なり、それからこれからの国際秩序に関する方向づけなりを、私は日本が特段に提起をしていくべき責任を持っている立場ではないだろうか。そういうものがおくれているために、たとえば国連でもバングラデシュに負けるとかいうふうな問題が起きるということだと思います。  一方、途上国の側でも、また数々のそのほかの国の側でも、新国際経済秩序ということについての国連での宣言の採択などを初めとして、具体的なそういう問題の解決のアプローチの努力も進んできているという現状だと思います。ですから、UNCTAD総会もそうですし、それから東京サミットもそうですが、私はこの三年倍増論とかあるいはさらに努力をいたしますとかそういうことよりも、もっと一歩進んだ日本の立場というものを持っていく、そういうものを出しながら相手国の方にも、積極的なまた真剣なそういう国内的な諸問題の解決にもまた話し合っていく、そういう意味でのもう一歩進んだことがないと、何か日本援助によって、アフリカなんかにもあるわけですが、独裁国家の強化をされてみたり、あるいは数々の疑惑が生まれてみたりというようなことがあるのではないだろうか。そういう意味で、いまや日本は量と質をどう改善するのかという段階からもう一歩進んだそういう努力を、特に政府なりあるいは政治レベルで努力をしていくということが必要なんではないだろうかということを思うわけですが、大臣、所見をお持ちでしょうか。
  13. 金子一平

    金子(一)国務大臣 伊藤さんのおっしゃるとおり、南北問題の解決がなければ今後の日本の国際協調の理念は私は果たせないと思うのです。従来とかくすると、日本はドルをかせいできてその上にあぐらをかいて食っているじゃないかという批判が絶えませんでした。それは一つは、日本のこういった地域に対する援助が思いやりというようなものに欠けるところが多かったのじゃなかろうかと思うのであります。私は、日本がいろいろな意味においてのこれだけの大国というか、日本をおいて世界経済が論ぜられないような立場になったのですから、やはり主導的立場を握って、特に日本はASEANその他の国々をアジアに持っているわけですから、今後のこういった国々との結びつきについては、こういった地域の開発援助あるいは文化の結びつきをどうやってやるかというような、一つの大きな政治理念を持って積極的に進まなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。その点はあなたの御意見は、私は大いに考えなければいかぬ御意見だと考えております。
  14. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、日本が外に向けてそういう姿勢での努力をしていくということは、別の意味からいくと、日本自身が民主国家としての道をさらに強力に歩むということの証拠にもなるであろうということだと思います。  次に、この法案に関係をいたしまして、二つお伺いをしたいと思います。  一つは、アフリカ、ラテンアメリカそれぞれの地域への外交姿勢と、それからそれと裏表になると思いますが、経済協力姿勢ということであります。  たとえばアフリカの地域を見ましても、五十カ国近いそれぞれの国が今日の南北問題、そしてまた東西問題、両方とも複合した形での非常に複雑な状況に置かれている。十カ所近いところで不幸な戦火も交えられているというふうな状況であります。そうして、これは莫大な資源が存在している国であるというふうなことになるわけでありまして、いま大臣のお話もございましたが、それらの国々に対して従来の、数年前のように単にかせげばいいという姿勢対応したら、日本とのかかわり合いの将来としては非常に大きな問題を残すということになるであろうと思います。  私は、アフリカは遠い国ということもあって、国民的にも認識はそう深くはないという問題もあるわけでありますけれども、いろいろ話を伺って、読んでみまして、系統的な対アフリカ政策というものは一体わが日本国にはあるのだろうかという気もいたします。そういう複雑な状況の中で、どういうふうに外交、経済、経済協力、裏表の関係でどう対応されようとしているのかということをひとつ伺いたいと思います。  私は当然ですが、今日のアフリカ状況から見て、新旧植民地主義とか外部の干渉とか独裁とか、当然でありますけれどもアパルトヘイトとかそういうことに反対をしていく、日本も国連決議には賛成をしたのだろうと思いますが、そういう姿勢のもとに対応していくということが当然必要だと思います。  それから、これらの増資をしていくということと関連をして、それらの国際機関がより機能的に南北、東西の複合した矛盾に対して中立性、あるいはまた矛盾の解決の方向に貢献をしていく、そういう姿勢で運用されていくということが、これらの増資なりあるいは加盟している日本の立場としても当然基本的に主張していく立場であろうというふうに思うわけでありますが、特にアフリカの地域などについて、それらの両面伴った姿勢をどう考えてやっていかれようとしているのかということをお伺いいたします。
  15. 堤功一

    ○堤説明員 アフリカ関係についてお答えいたします。  アフリカ大陸にはただいま五十の独立国がございます。これは全世界の独立国のほぼ三分の一に当たるわけでございます。この特徴は、世界で最も貧乏な国と申しましょうか、後発の発展途上国、国連の方でLLDCと言っておるようでございますけれども、このLLDC、世界全体で三十カ国ぐらいございますが、そのうちの三分の二程度、二十カ国がアフリカにあると承知しております。すなわち、国の数で申しますと世界で最も大きなグループであるアフリカ諸国は、最も貧困な国を二十カ国も抱えておるという現状でございます。そのアフリカが最近、世界の政治上だんだんと発言力を増しておりまして、世界経済においても、特に鉱物資源でございますが、豊富な資源を有するという潜在的な可能性ということからも、重要な役割りを果たしてきつつあります。わが国は従来は、地理的な関係もございまして、アフリカ諸国との関係もそう密接なものはなかったのでございますが、今後これをいよいよ強化していかなければならないというところになっているわけであります。  このように従来余り関係が深くなかったということはすなわち、逆に申しますと日本の強みでございまして、植民地という関係アフリカと結ばれたということがない、すなわち、政治的に汚れていない日本としては、アフリカの国との関係を深めるという方にむしろ利点があるわけでございます。実は、従来までのアフリカとの関係というのは決して密接ではございませんで、これから諸国と密接な関係をつくっていく、そういう段階にございまして、経済協力も従来、アジア重視ということでございまして、この方針は変わりませんと思いますけれども、これからはアフリカのシェアをだんだんとふやしていかなければならないと思っております。まだ量をふやし質をよくするという段階にございます。先ほど御指摘の貧困層を助けるという新しい観点からも、最も貧困な国の多いアフリカに対する経済援助というのは、これからも強化されていくべきものと思います。  現在のアフリカの特徴として、一九六〇年代にようやく独立を達成した国々、特にブラックアフリカの方は大部分そうでありますけれども、それも各国によって経済のやり方、政治のやり方というのが違っておりまして、ある国は資本主義的な自由経済の方向で進む、ある国は社会主義的な方向で進むという、国内政治経済の運営の仕方が違います。これに伴いまして、東に近い国もございますし、西側に近い国もございますが、わが国といたしましては、先ほど申し上げましたように、政治的に汚れていないという立場、従来比較的アフリカとの関係が複雑でなかったという立場から、アフリカヘの援助を進めるというのはむしろ有利な点がございまして、どのアフリカの国とも基礎的な援助を進めるという方向で二国間援助をふやす、あるいは今回の開発基金への増資ないしはアフリカ開発銀行への出資等を進めて、アフリカの経済開発と民生の安定に寄与したいというのが基本的な姿勢でございます。
  16. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 関連をしてあと三つ簡単にお答えを願いたいのですが、外務省、そういうお話がございますが、国際的にアフリカに対する日本の外交というのは二枚舌ではないだろうかという批判もあるんだろうと思います。たとえば南アフリカのアパルトヘイト、これは国連の場その他では当然のことながら非難をしている。それと同時に、たとえば南アとの経済関係も維持しているというふうなこともいろいろと指摘をされているということだと思います。それから、たとえばナミビアのことなんかでも、ナミビア問題に関連をして南アへの経済制裁を含んだ国連決議に基づいてどういう政策を現実にとっているのか、あるいは総選挙の実施に伴って日本の方から、軍隊ではない平和的な参加をする、そういうものの構成、機能が一体どういうふうになるのかという問題もあります。それからいま日本の電力会社が、ナミビア産のウランを南アで買い付けるという契約を結んでいるとか、いろいろ言うこととやっていることとは違うのじゃないだろうか、やっぱり何かエコノミックの方が優先して動いているのじゃないかということも聞くわけでありますが、やはりそれらをきちんとしてやっていかなければ、外交、経済両面から尊敬をされないということになるのではないかと思います。そんなことについて、細かいことは結構ですから、きちんとやっていくかどうかということだけお伺いしたいというのが一つです。  もう一つは、ラテンアメリカに関係してですが、順調にいけばこの七月には中南米局が新設されるというふうな段取りになっているわけでありまして、外務省の中でも特段に、きわめて意欲的に活動していこうという気持ちを当然のことながら持っておられるところではないだろうか。この間ブラジルの国会議員と会いましてそういうお話をしましたら、非常に喜んで、大いに関係をよくしていきたいというようなことを言っておりましたが、そういうところではないかと思います。片や、人身誘拐事件が起こってみたり、メキシコの石油なんかについては積極的に取り組んでいきたいという経済界からの発言なんかもきょうの新聞では報道されている。またブラジルその他のように、日本とは長い長い関係を持っている地域もあるということだと思うんです。アフリカと比べたら、特段に問題のある地域だとは思いませんが、そういう状況の中で、今回出資を増強していく、これからも恐らくそういう傾向が続くのじゃないかと思いますが、それらについての原則的な対応姿勢、その二つを簡単にお答えください。
  17. 堤功一

    ○堤説明員 南部アフリカ関係でございますけれども、国連、特に安保理の決議は厳守する、その範囲できちんとやっていくというのが日本姿勢でございます。南アフリカとは、日本貿易立国という観点から、通常の貿易は行っておりますけれども、投資等は進めていないわけであります。  ナミビアにつきましては、国連の管理のもとにおいて独立への移行ということが行われる場合には、文官関係の派遣も含めて極力協力したいということでございます。
  18. 色摩力夫

    ○色摩説明員 中南米外交について一言お答えいたします。  中南米は、地域として非常にまとまりを見せた相互連帯感の強い地域でございまして、たとえばキューバという特異な国がございますが、それにもかかわらず、地域的な連帯感が非常に強く、国際政治場裏では常にまとまって行動しております。そして特に南北問題におきましては、非常に穏健な立場から、現実的なアプローチで南北問題の南側諸国全体に影響力を及ぼしまして、着実な進展を見せよう、そういう方向に貢献しようという意欲のきわめて高い地域でございます。  それから、わが国に対しましては、経済協力、技術協力もさることながら、民間投資それから貿易関係において、より一層の量的、質的拡大を皆ひとしく望んでいる諸国から成っている地域でございます。  それから、もう一つの要因といたしましては、先ほどまとまりのよい地域と申し上げましたが、この地域は、内政不干渉の原則を内外に非常に声高らかに昔から唱道している国でございまして、政治的ないろいろな影響力の行使というものにきわめて神経質で、きわめて拒否的な態度を示す、そういう意味では特異な地域でございます。  したがって、わが国の中南米外交といたしましては、そういう政治的姿勢にそういう諸国が期待しているような理解を示し、それからそういう諸国のじみちな国内の開発、そういう開発政策協力するために経済協力、技術協力、民間投資、それから貿易関係の強化を政府としてはみずから努力し、あるいは日本の民間の方々の努力を支援していくという方針で対処したいと思っております。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 アフリカの方にはより注意深い対応をお願いしたいと思います。それからラテンアメリカについても、できたら内閣委員会で元号法案など早くやめて、中南米局の法案が早く通って、また、いま答弁がございましたが、新局長が出現をして意欲的な活動をされるということが大変望ましいと私は考えております。  それから、この法案に関係をして、一部改正、この中で私ども一番大きな問題は、予算で定める金額の範囲内で出資することができるということであります。これはアフリカにしてもラテンアメリカにしても、国際的にも非常に注目をされる、しかも日本にとってもこれからやはり関係を深めなければならないという地域ではないだろうか。これらをやはり国会審議を通じて国民の前に大いに明らかにしていく、また、国会審議を通じてよりベターな方策を立てていくということが、ほかの地域よりも非常に必要なところではないだろうかという気がするわけであります。この改正になりますと、そういう面では後退ではないだろうかという気がいたしますが、その辺はいかがでしょうか。
  20. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 従来、国際開発金融機関の追加増資の場合には、それぞれの加盟措置法におきまして増資限度額を規定いたしまして、国会で御承認をいただくという方法をとっていたわけでございます。今回のアフリカ開発基金及び米州開発銀行増資からは実は、それぞれの参加措置法、加盟措置法におきましては、予算で定める範囲内において出資することができるという包括的な規定にさせていただきまして、具体的な金額につきましては予算の総則で定めさせていただく、こういうことをお願いしているわけでございます。  その背景と申しますのは、実は最近、非常に国際機関増資が頻繁に行われるようになってきております。その理由は、それぞれの途上国の資金需要が非常に高まってきている、それからもう一つは、これは世界的なインフレというようなことがございまして、一たん増資金額を決めましてもそれが不足するという事態が起きているわけでございます。今回も実は、アフリカ開発基金におきましてもまた米州開発銀行の場合にも、それぞれ過去の増資金額では賄い切れないで、その不足分を追加出資するというような事態が生じているわけでございます。  私どもとしましては、このように非常に資金需要が旺盛になり、追加出資の頻度が高まってくる現状においては、これにひとつ弾力的に対処していくということが必要であろうというふうに考えているわけでございます。従来からも、たとえば追加出資の非常に多いと予想されます米州開発銀行の特別業務基金であるとかあるいはアジア開発銀行の開発基金、そのほかにも、国際農業開発基金のそれぞれの拠出につきましては、法律におきましてそういう包括的な規定をしていただきまして、具体的な金額の限度につきましては予算で定めさせていただいているわけでございます。また、わが国がそういうような方法をとるということが、もう一つ別には、最近経済援助に対する関心が国際的にも非常に高まっている中で、わが国のそういう積極的な姿勢を鮮明に打ち出すという点からも一つ効果があるのではないかというふうに私ども考えて、今回の改正をお願いしている次第でございます。  もちろん、そう言いましても、具体的な金額予算で決まるわけでありますから、行政府限りで決められるものではございませんで、今後におきましても国会でその金額の是非について御審議を願うということになるのは当然のことでございまして、その御審議を通じて、国民に対してそういう経済援助の重要性というものに関心を持っていただくということは確保できるのではないかというふうに考えておりますので、ぜひ今回の改正につきましてはそういう形でお願いをいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それだけの御答弁では大変不満なわけでありまして、いまお話があったように出資の増が頻繁に行われる、それは、それだけやはり内外からこれらの地域が注目をされている場所であるということであろうと思います。やはりこれから、さっきも要望したわけでありますが、日本が国際的にどう対応していくのか、特に途上国との関係、そういうことが非常に重要になっているし、日本政策自体も発展をさせなければならないという段階だろうと思います。  端的に言いますと、そういうことで、私どもも大いに勉強して、それからこの政策もよりベターなものになるように努力をしていきたい。そういう中で、わが権威ある大蔵委員会がつんぼさじきになるということでは困るので、そういうようなことについてさらに具体的に前向きの対策をどうとられるのかということをぜひ考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  22. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 ただいま申し上げましたように、予算金額の限度を決めていただくわけでございまして、当然この国会で御審議をいただくわけでございます。私どもとしましては、これらの国際開発金融機関、これは大蔵省の所管に属するものでございますので、当然大蔵委員会において御審議を願うということになると思っております。今後これらの機関につきまして増資がありました際には、当然その旨を本委員会に御報告申し上げますし、それからまた必要な資料は提出申し上げて、この場におきまして御審議をいただいて、経済協力の重要性ということについての国民に対する理解と関心を高めていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いま御答弁がございましたが、いずれにしても、やはりより国会の場で、また大蔵委員会の場で審議をして、そうして関係するこれらの地域に対するよりベターな政策がつくられていくということの万全の措置をとられることを最低の条件にしておきたいと思います。  それから、時間がございませんので恐縮ですが、あと一点、当面の問題でお伺いさせていただきたいのです。  それは、公定歩合に関する論争がいろいろと紙面をにぎわしております。いろいろな議論が政府部内でも、また日銀との関係でもあるようであります。私はこれらに対して、これからの景気動向、経済界、国民生活その他非常に大きな関連を持つ問題でございますので、やはり総合的かつ冷静、理性的な判断をベースにした政策が決定されていく、政策が示されるということが非常に大事なことではないだろうかというふうに思います。たとえば物価と公定歩合、金利との関係についても、海外要因その他のウェートと関連をしてどういうことなのかということの議論も国民にわかるように政府はやるべきではないかというふうに思いますし、さらには景気との関連ついても最近は、この数年間の期間に自己資本率を相当高めたからそう大きな影響は出ないのではないかという説もあれば、そうではないという説もあります。  一番深刻なのは国債との関連の問題であります。先般の条件改定、それでもどうしようもない。何か新聞を読みますと、理財局長は夜も眠れないほど苦労しているのではないかというお話もございますが、これはどっちにしても、国債が多過ぎる、それから、管理政策について何か大胆な方策を考えなければならないという状況に直面しているということだと思います。  関連してお伺いしたいのは、一つは、これらについてやはり理性的で総合的な判断というものを、いつまでも政府関係機関が論争しているのでは困りますから、きちんとした対応を示されるということが緊急に重要ではないだろうか、その辺をどうお考えになっているのかということが一つです。  それから二つ目に、今度の経過を見ましても、何かインフレ傾向、それからインフレ圧力、これは日銀の方から特に強調されてまいったわけでありますが、こういう状況と、それから金利の先高感、それと関連をして、国債のどろ沼相場というのか国債相場の下落、さらにそれが金利改定に回っていくというふうな繰り返しがまた起こったら大変なことなので、そういうことについての見通しのある対策がいまもっと必要なのではないだろうか、これが二つ目です。  それから三つ目には、この国債の問題ですが、四月分は発行しない、およそ例のない経過のようであります。昨年も四月は相当の額でございましたから、普通ならことしの予算から言えば、四月には二兆円近いくらいの発行が必要だろうという計画になるのだろうと思いますが、四月はだめ、それから五月になっても、先般の金利の条件改定に加えて新たな改定が行われなければ、五月の消化も不可能であろうというふうな見通しになっている。そうなりますと、当然公定歩合まで含めた何らかの打開を図って、その上でなおかつ、非常に広範な対策がとられなければならないということではないだろうかという気がいたします。当面、これは非常に各界からの関心の高い重要な問題だと思いますので、時間になって恐縮でございますが、その三点、御答弁をお願いしたい。
  24. 金子一平

    金子(一)国務大臣 公定歩合の問題は、伊藤さんも御承知のとおり、これは日銀の所管事項でございますので、これの引き上げの是非等につきまして私から意見を申し上げることは、差し控えさしていただいた方が妥当ではないかと思うのです。ただ先般来、いろいろなことが新聞にも出まして世間を騒がしておって、これは私どもも困った事態だなということで一生懸命に水をかけている最中でございます。  私どもの判断では、これは予算委員会でもたびたび申し上げましたように、いますぐ大幅な金融政策の変更をやる時期ではない、まだ少し早過ぎるのではないか。と申しますのは、卸売物価は、海外要因を中心といたしましてここ数カ月急騰してまいっておりますが、まだ消費者物価に火がついているわけでもございませんし、一部第二次製品に波及するような傾向があるぞと言われておりますが、その点については、通産省、企画庁を中心に必要な個別対策でしっかりやってまいりますということを言っております。  そこで、私どもがいま一番心配しておりますのは、日本経済はようやく上向いてきたと言っておりますけれども、まだひとり立ちができる段階まで来ているのかどうか。ここで水をぶっかけて、はね返す力がついておるのかどうかというその判断の問題。財政にも力はありません。補正予算を組んでまたひとつ元気をつけろなんて言われても、それは私どもできっこないことなのであります。そこの見通しをどうつけるか、これは大変慎重な判断を要することでございますので、いま、これは物価だけではございません、やはり為替の問題や景気の動向、日本の経済の内需主導型をどこまで貫き通せるかという問題とも関連いたしますし、最後にお触れになりましたような国債の問題があることはもちろんでございますけれども、総合判断をして決断を下さなきゃならぬ、そういう段階でございます。  大変残念なことでございますが、先行きはこういう混迷している状況でございますものですから、四月の国債発行は見送りのやむなきに至りましたけれども、この最近の国債の暴落は、理財局長からもまた後から説明させますけれども、少し異常な空気でございます。あれが正当な市場実勢を反映しているものと私どもは考えていないわけでございます。いろいろな要素が絡み合ってあそこまで落ちたということだろうと思いますので、こういうときに条件改定とか何かやるべき時期ではない、五月に必要ならば国債の金利だけでも上げてというような気持ちで、いませっかく対策を協議しておる最中でございます。  国債のことは詳しくは必要があれば理財局長から申し上げさせますが、そういうことで、あなたのおっしゃるように総合的に判断して必要な結論を出すつもりでおります。
  25. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 四月に国債の発行を取りやめました点につきましては、新聞に報道されているとおりでございます。  四月の国債をどうするかという点につきましては、三つの選択の道があったろうと思います。一つは、現行の条件のまま市場実勢を無視してシ団の引き受けをお願いするという方法、それから一つは、条件を改定して新たな金利条件のもとで発行する、もう一つは、こういう条件のもとでは発行をあきらめる、見送るという、三つの選択でございますが、私どもが今回これを取りやめましたのは、それが将来の国債の発行、消化を円滑に行うために最もいい手段、休債というのも一つの国債管理政策手段としてよりベターな方法であるというふうに判断したからでございます。  と申しますのは、先回もこの委員会で御質疑をいただきましたが、三月に〇・四%引き上げました際に、市場の心理的要因、先行き金利が高くなるであろうという心理的要因が払拭されれば、これで十分消化は可能であるという判断に基づいて金利改定を行ったわけでございますが、その後の市場動向というものは、いろいろ物価の問題等が論ぜられるたびに、心理的要因が払拭されるというよりもむしろ反対にこれが大きく増幅されて、その悪循環が市場に反映してまいりました。市場関係者自身が、どうかしておる、異常だと言うような感じの相場がいま出ておるわけでございますが、幸いにいたしまして、先週の土曜日あたりから六・一%国債につきましても相場が反騰いたしてまいっております。だんだんこういう金利についての先行きの見通しが固まるに従って、市場は値ごろ感をつかんでくれるのであろうと思います。しかしいずれにいたしましても、今月相当大量の発行は可能であった月にもかかわらず、これを見送ったわけでございますから、この消化につきましては、五月以降これらを順次月々にならして発行を考えたいと思います。ただその場合、ただいま大臣が申しましたように、条件の改定ということのみならず、しばしばこの委員会でも御議論いただいておりますように、種類の多様化、発行形式の多様化、たとえば中期公募債の拡大でございますとか私募債の導入でございますとか、あるいは長いものを短くする方法とか、そういうあらゆる工夫をいたしまして消化には万全を期してまいりたいと思っておりますし、また消化については十分可能であるという確信を持っております。
  26. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 どうも時間が延びて恐縮でございますが、大臣に一言だけ……。  冷静な判断、理性的判断、それはわかりました。いろいろ政府部内、関係機関の意思統一をなさり対応考える、そのめどはどうお考えですか。今月いっぱい、また連休にかけて、いまのようないろいろな総合判断のためのさまざまな議論をお続けになるつもりですか、そのめどをどうお考えですか。
  27. 金子一平

    金子(一)国務大臣 いつどういうめどを立てるか、お話し申し上げる段階ではございませんが、機を逸せず、しかし慎重にやりたいと思います。
  28. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 では、終わります。
  29. 加藤六月

    加藤委員長 宮地正介君。
  30. 宮地正介

    ○宮地委員 最初に、大蔵大臣も大蔵委員会に久しぶりに出席をしましたので、当面する時局の重要な点を大臣に何点か伺いましてから、本題に入らせていただきたい、こう思います。  ただいま公定歩合の問題が出ておりまして、最後にまことに明快といいますか、ごりっぱな答弁があったわけですが、この公定歩合の引き上げ問題につきましては、われわれ最大の注目をし、また警戒しなくてはいけないのはやはりインフレとの絡みであろう、こう思います。  そこで、国民の目からは、政府部内の最近の公定歩合引き上げに対する検討中身につきまして、日銀総裁は、早目にインフレ抑制のために引き上げをすべきではないか、こういう考え方に立っておる。しかし財界を中心とした動き、また通産省あるいは大蔵省内では、ただいま大臣がおっしゃったようにどうもまだ消極的である。そこで景気をとるかインフレ抑制あるいは物価抑制をとるか、こういう段階にいま来ていると思いますが、これはやはり余り悠長な時間かせぎをしておりますと、国民生活に非常に大きな打撃になってはね返ってくるわけでございまして、昨日の発表によりましても卸売物価は〇・九%上がりまして、五カ月連続の急騰という状況下にもございまして、この問題にはスピーディーな決断をしなくてはならない段階に来ているのではないか。そこで大臣として、この公定歩合の問題、いま同僚委員にお話しありましたけれども、もう少し経済論的に詳しく、この問題について真剣に御検討いただいていると思いますが、所見を伺っておきたい、こう思います。
  31. 金子一平

    金子(一)国務大臣 私どもの経済に取り組む姿勢は、最近は景気と物価の両にらみの姿勢をとっておりますが、特に最近の卸売物価の動向につきましては、非常な警戒的な立場をとっておることはもう御承知のとおりでございます。こういう点で日本銀行と何ら変わっていないので、日本銀行もすでに一月から警戒中立型の金融政策をとるということで、窓口規制に踏み切ったことは御承知のとおりでございます。  特にここ数ヵ月ずっと卸売物価は上がってまいりましたが、半分以上が海外要因によっております。円安の問題がもちろん加わっておりますけれども、また一つは原材料、資材が海外のものが相当上がってきておりますから、そういうもののはね返りだと思っておるわけでございます。一部それが第二次製品に波及しそうだということは伝えられておりますけれども、これにはいま申し上げましたように企画庁、通産省が中心でいろいろな手を打っておりますし、いまこういった空気ですぐインフレにつながるとは私どもは決して考えていないわけでございます。  マネーサプライの状況も石油ショック時代とはすっかり違っております。一二%、一三%程度でございますけれども、GNPの名目成長率に比べればさして大きなあれではない。  また、企業の過剰流動性の問題でございますけれども、投資物件がないものですから、それが株式その他の市場に向かっておることは事実でございますが、かつての石油ショックのときのように、それがいろいろなものの買いあさり資金にまだ回っておるような段階ではないと私は思っておるわけです。地方の金融機関なんかの話を聞いてみると、むしろ国債、地方債の消化に精いっぱいで、とてもそんな過剰流動性がたくさんあると私ども思っておりませんよという向きもあるわけでございます。土地の値上がりが特に東京周辺がきついのでございますが、これは御承知のとおり、マンションの建築を中心に小さな開発ブームが続いておるというようなことで、土地の騰貴がここのところ続いておるのですが、それがすぐインフレにつながると判断するのはまだ早計ではなかろうか。特に、金利を上げることによって海外要因に見られるような卸、小売物価の抑制がどこまでやれるかということには、まだ私どもは多少の疑問を持っておるわけであります。  ただ、これが相当小売物価にも響いてくるというようなことになると、私どもとしても早急な手を打たなければいかぬのでありますが、それよりも前に、いまの日本経済の成長度がどの程度であるか、これはやはり私どもとして真剣に見きわめて、ようやく起き上がろうとしているところを頭からまたたたきつぶして、再起不能になるようなことになってはなりません。角をためて牛を殺すようなことは避けなければいけませんものですから、そこのところのつり合いというか、けじめをどう見きわめるか、これは私ども大変大事なことと思いまして、いまあらゆる角度から総合的に検討しておる最中でございまして、必要なときにはこれまた金融政策の転換ということも考えなければなりませんけれども、いま直ちに大きく転換する時期ではない、先ほど申し上げましたようなことで考えておる次第でございます。しかし、何もしないでその日暮らしをやっておるわけではございませんで、必要な場合が参りましたら必要な手を打ちたいということを考えておることを申し上げておきたいと思うのでございます。
  32. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣もいま経済成長率との絡みで非常に心配をされるのは、十分理解はできるわけでございます。しかし、四月以降これからの卸売物価につきましても、たとえばまず第一番目に、電力、ガス料金の為替差益の還元がなくなって旧料金に戻ってくる、こういう情勢が一つと、さらに、ちょうど年度がわりに伴いまして各種製品の値上げが十分に予想されます。また大臣もいまお話しありましたように、原油値上げの影響がいよいよ本格化してくる、こういう騰勢がさらに一段と強まる気配は十分考えられるわけでございまして、結果的にこれがインフレをあおり、それが大臣の言う実質成長率の足を引っ張るという、経済の逆現象といいますか、そういうおそれも十分にあるわけでございまして、実質経済成長率を真剣に考えれば考えるほどこの公定歩合の問題というのは、やはり経済的には重要なキーポイントではないか、そう考えるわけでございまして、タイミングのよいスピーディーな決断が要求されるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点について再度伺っておきたいと思います。
  33. 金子一平

    金子(一)国務大臣 先般のOPECの決定は卸売物価、消費者物価双方にそう大きな影響を与えてないことは企画庁発表のとおりだと思いますが、六月の総会でサーチャージが一体どうなるのか、どの程度の国がサーチャージをかけることを決めるのか、そこら辺がまだ全くの不確定要因として残っております。これがどう決まるかによって物価全体に及ぼす影響、日本経済全体に及ぼす影響が相当変わってくるんじゃなかろうかと思っておるのでありまして、これはいま軽々に判断できる問題ではありません。また一方において、公共料金の幾つかの引き上げがあることも事実でございます。これは金融政策では何ともできない問題がございまして、そこら辺にやはり金融政策の限界というものもあるものですから、いまおっしゃったような点を十分慎重にかつ果断に切り盛りをしてやることだけは考えなければいかぬと考えておる次第でございます。
  34. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひ国民生活に大きな打撃のないように早目に手を打っていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  そこでもう一点非常に重要な問題は、いわゆる対米貿易の黒字の問題に絡みまして、園田外務大臣も米国に行きましていろいろ御苦労をされまして、心から敬意を表しておるわけでございます。けさの現地の記者会見でも、一九七〇年代はもう終わり、八〇年代の新しい協力関係ということで外務大臣も、これからの総理の訪米あるいはカーター大統領等の訪日による会談、そして東京サミット、こういう重要な関係の中において十分に論議を尽くすということで、ある程度話し合いもスムーズにいっているような印象の記者会見をしているわけでございます。特に先日ワシントンにおきまして、モンデール米副大統領から非常に警告的な発言があったということで、私たち国民も非常に心配をしているわけでございまして、この対米貿易黒字の改善の問題は、今後日米間においていわゆる日米経済戦争と言われるような問題に発展しないためにも非常に重要な課題ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  この点について大蔵大臣としまして、園田外相の訪米中における動きなど当然政府部内としても報告を聞きながら対応をなさっておると思いますが、この米副大統領の警告など一連の問題について日本としてのとるべき対応策、特に対米貿易黒字、国際収支の改善という非常に重要な課題に対してそのリーダーシップの責任者としてどのように感じ、また対応をしていこうと検討されておるか、大蔵大臣としての所見を伺っておきたいと思います。
  35. 金子一平

    金子(一)国務大臣 園田さんがお帰りになりましたら詳しく様子を聞いてみようと思っているのですが、私が先般来日したブルメンソール財務長官なりオーエン特別補佐官ですか、ソロモン財務次官等といろいろ話をしておりました際は、最近の日本の黒字はだんだんと減ってきておりますし、ドルの黒字がたまっておるように見えましてもその三割は、とにかく去年はドルが三割下がっておりますから、見せかけの黒字が大きいのでございまして、製品輸入もずいぶんふえておりますし、円ベースでの貿易収支はぐっと圧縮されております。特に最近は製品輸入だけではなくて、経済がある程度動き出したと見えまして原材料の方の輸入もふえておるようでございます。そこら辺の事情はホワイトハウス周辺はある程度わかってきておるようでございます。ただ、まだたまっておる黒をとにかく何とかしてくれよ、いろいろ選挙がらみのこともあるしというようなことが率直なところでございましょう。やはりこれから日本が世界で生き抜くためには国際協調を考えなければなりませんから、いろいろな手を打ってまいらなければならぬと思っております。政府調達等についても、これは園田さんは直接交渉はなさらないで、お帰りになった上で牛場・ストラウス会談が開かれるということでございます。私どもとしましては、できる限り対米関係改善に努めていかなければいかぬことは、これは日本が生き抜くために必要なことであると考えております。
  36. 宮地正介

    ○宮地委員 そういう中で、個別の問題がこのところ非常に続出しているようでございます。特に大蔵省の所管になっている個別の問題、たとえば四月から大蔵省が審査しているアメリカの生命保険会社のコンバイン社、この生保進出の認可の問題、これについてもアメリカあたりでは、審査が遅いとかあるいは競争相手が先に上陸しそうだなどという、そういういろいろな懸念を持っているようでございます。この問題も当然、国内の生保会社との絡みもございましょうし、あるいは生保と損保を兼ねるという問題が絡んでいるだけに国内のいわゆる行政上の法的問題との絡みもあるでしょう。日米摩擦回避でいろいろ非常に厳しい問題が山積しているようでございますが、現段階でこの問題はどの程度審査を進めておられるのか、所見を伺っておきたいと思います。
  37. 徳田博美

    ○徳田政府委員 外国の生命保険会社の進出の問題でございますが、これは大蔵省としては基本的には前向きに考えているわけでございます。御承知のとおり最近数年間に数社の進出を見ましたし、現在でも数社がその進出につきましてオファー、申し出がございまして、審査を進めているところでございます。  先生御指摘のコンバイン社の問題につきましては、実は技術的な点につきまして現在の日本における法律のもとではできかねるような制度について向こうが実施したいというような申し出がございまして、これはとても国内法ではできませんので、その点について改善を求めて、何回か折衝をしているわけでございまして、もっぱら技術的な問題でいまそのような交渉を重ねている段階でございまして、それぞれの各社のこれから日本において行おうとする業務につきまして、国内法に照らし、あるいは日本の国民の、消費者の利益に照らして好ましいという判断が出され、また採算面についても十分に経営が成り立つというめどがつきましたならば、これについては前向きの検討を行いたい、このように考えておるわけでございます。
  38. 宮地正介

    ○宮地委員 いろいろ個別な問題などが非常に難問題も持ち込まれるようでございますが、この辺は国際的な経済環境の中におけるわが国の果たす役割り、責務、またいろいろ国内的な業界あるいは国民生活の絡みの中で、どうか調和のとれた、また納得のいく方向で十分前向きに検討いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、今回の法律案に伴いまして、先ほども出ましたけれども、私は最初に南北問題、当然これからの日本が八〇年代の国際社会の中で生き抜いていく中で、この南北問題というものは非常に重要な課題である、このことについては、数年前からいろいろとこの重要性については論議を呼び、またはやらなくてはならない、こういう意識を持ってきたわけでございます。しかし非常にそういう点については、国際社会の中においてわが国の南北問題に取り組む姿勢というものについて、まだまだ若干の批判があるようでございます。その中で、この六月に行われるところの東京サミット、これはアジアの中で初めて行われる、また、アジア諸国の中でも日本が代表国として、アジアを中心とした発展途上国からは非常に期待をされているということで、特に日本がこの南北問題には積極的に討議をしていただきたい、こういう声が強いわけでございます。  そこでまず、南北問題に対する政府としての、特に東京サミットを中心といたしまして、積極的な論議を高める大きな役割りを果たしていくべきではないか、この点が一つ。また、具体的に日本がそのかけ橋になっていく中において、やはり産業調整という問題が非常に大事になってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。そこでまずこの二点、いま申し上げましたことについての大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  39. 金子一平

    金子(一)国務大臣 南北問題の解決がこれからの国際問題での最大問題の一つであることは、御指摘のとおりだと考えます。こういった未開発の国、開発途上の国々に食糧の自立をできるようにしてやり、文化を与え民族的独立を遂げさして、国際協調の仲間に取り入れるということで日本の外交の大きな柱に持っていかぬことには、いつまでたっても日本が国際的に一流国と言われないと私は考えます。やっと三年間倍増の海外援助の方針を打ち出せたばかりでございます。しかし私は今後、海外貿易によって黒字がかせげたらその相当部分を毎年毎年思い切ってこういった国々に援助するぐらいの気持ちを持っていかぬといかぬし、それにはやはり国民的なコンセンサスが必要だと思うのであります。もうかったらおれたちで勝手にあぐらかいておっていいんだぞという気持ではなくて、結局はそれは税金をいただかなければいかぬのですから、国民の税で負担していただくわけですから、そこら辺のことがこれから大事になってくるので、中国においてもあれだけ国民全体の生活レベルが低いにもかかわらず、後進国には相当思い切った援助をやっております。それがまた中国の国際的地位を高めているのですから、私どもはこういった点、やはりいままでの行き方について相当反省しなければいかぬと思っておる次第でございます。  そういう立場から今度のサミットにおきましても、中身はまだ事務的に詰まっておりません、今後何回かの事務連絡会議で詰まることと思いますが、私どもとしましては、アフリカはちょっと遠いのでございますけれども、身近なところにASEANあるいはアジアの各国貧困国があるのでございますから、十分そこら辺を心してこれからの外交政策を立て、援助計画を立てていかなければいかぬということと、それから、いま最後に御指摘のございました産業調整の問題、これは非常に大事なことでございまして、産業調整だけを表に出しますと相手もいやがると思いますけれども、当然今後日本が発展する場合に、産業調整ということを前提に置いてこれからの国際協調を図っていかなければいかぬ、これは当然のことだと思っております。
  40. 宮地正介

    ○宮地委員 特に東京サミットの成功、それはすなわち、五月のマニラで行われるいわゆるUNCTADの成功がかぎを握っているのではないか、こう思うわけでございまして、このUNCTADの問題についても、先日大平総理も大阪において記者会見の中で、福田前総理のマニラドクトリン、これを尊重して、でき得れば総理みずからも出席したい、こういうお話があったようでございまして、私はこのUNCTADの成功と東京サミットの成功は連動している、こういうふうに理解をしているわけでございます。それだけにこのUNCTADに対する準備といいますか、取り組む政府の積極姿勢、これは非常に大事ではないか。先ほども外務省から答弁しておりましたけれども、まだ検討中である、何か中身がまだ漠然としたような話でちょっと残念でございましたけれども、現段階ではなかなか答弁もしにくいと思いますが、この取り組む政府姿勢としての大臣の所見といいますか決意といいますか、その点を私は伺っておきたいと思います。
  41. 金子一平

    金子(一)国務大臣 外務省も先ほど答弁しておりますように、正直言って中身がまだ固まっておる段階ではございませんが、先ほど来私が申しましたように、後進国に対する何というか、日本の外交姿勢をはっきり打ち出すべきいいチャンスだというふうに私は考えております。
  42. 宮地正介

    ○宮地委員 言葉じりをとらえるようで申しわけないのですけれども、余り後進国という言葉はよくないと思いますね。これはやはりそういう言葉が発展途上国開発途上国、そういう国々に非常に刺激的言葉になると思うので、これは大蔵大臣、慎んでいただいた方がいいと思います。  そこで、経済協力の中でやはり非常に大事な問題の一つは、現地に参りましての社会還元の問題ではないかと思うのです。これについては昨年の八月に、これは水上達三さんが会長をしておるそうでありますが、世界経営協議会というのがありまして、ここで、東南アジアに進出している日本の企業が果たしてどういう社会還元をしているかという実態調査の報告をしているわけでございます。東南アジア、タイとかシンガポール、それからイラン、ナイジェリアなど約十カ国を対象にいたしまして調査をしたようでございます。  これについて事務当局に昨日レクをしておきましたけれども、お調べになっておりますでしょうか、伺っておきたいと思います。
  43. 角南立

    ○角南説明員 先生御指摘の世界経営協議会の社会還元行為の実態に関する調査報告書、通産省におきまして承知しております。
  44. 宮地正介

    ○宮地委員 その内容を簡単に御説明いただいて、いわゆる社会還元という問題について今後どのように取り組んでいかれるのか、あるいは取り組んでおるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  45. 角南立

    ○角南説明員 レポート、大変大部なものでございますが、簡単に結論を要約いたしますと、日系企業がそれぞれの受け入れ国で産業活動の近代化の担い手として社会公正実現に資する公の器として積極的に示す必要があるであろうという受けとめ方と、二番目に、わが国の進出企業の社会還元行為は実際問題として相当程度行われているから評価できる、しかしそのやり方その他についてはいろいろな検討の余地があるということで、継続性の問題とか幾つか具体的な指摘をなさっていらっしゃいます。  二番目に、こういう報告書はわれわれも大変貴重な御意見であり、非常に正鵠を得たものとして受けとめておりまして、わが国の企業が海外に進出する場合に現地社会との融和に努めるべきであるということは、すでに昭和四十八年の六月に発展途上国における企業の海外投資の行動指針というかっこうで、財界の方々のいわば行動指針が発表されております。その一項目にも盛り込まれているわけでございますが、この経営協議会の報告書に書いておりますような御指摘検討の中に十分生かしていきたい、こういうぐあいに考えております。
  46. 宮地正介

    ○宮地委員 これは大臣にちょっと認識を持っていただいて、また、お持ちと思いますけれども、さらに政府としてやはりもっと力を入れていくべきじゃないかと私は思うのですが、社会還元という問題は非常に大事なのですね。これは御存じと思いますけれども、企業が得た利益を現地社会に何らかの形で還元するという意味ですね。この問題についてはいまの調査報告を見ましても、非常にエコノミックアニマルというこういう潜在的イメージを払拭し切れていない。どうして評価が低いのかということについて、たとえば日本の企業の場合は、おつき合いということはないのでしょうけれども、現地において積極姿勢が非常に弱い。それから、現地が希望する道路とかあるいは橋とか、こういう資金規模の大きいプロジェクトになるとどうしても避けて通ってしまう。ところがアメリカなどの、たとえば大臣もお食べになって御存じと思いますけれども、大手の食品メーカーのデルモンテなんという会社があるのですが、こういう会社は、フィリピンのミンダナオ島などに学校から道路の建設まで一挙に手がけてしまう。そして、そういうものを手がけるだけでなくて、みずから経営する果樹園に現地の労働者を大量に雇用して地域社会に溶け込んで、社会還元というものを事業活動にぴしっと結びつけて徹底しているわけですね。この辺がどうも日本の企業の現地における対応と非常に違いがある。  これは当然、本国における資本的な大きさとの違いもあるにせよ、そういう点について、私見になるかもしれもせんけれども、やはり政府開発援助というものをもっと高めて、こういう社会還元においてもさらに政府援助の中から寄与できないか、そしてもっともっと現地の人たちとの融和を図っていく、こういうことが大事ではないか。ですから、意思は確かに日本の企業にもあるようですけれども、日本の企業が社会還元をやりますよと言うと、先ほど話しましたようにどうもエコノミックアニマル的な潜在イメージが根強いもんですから、結局売名行為に受け取られたり、あるいは税金逃れの課税回避がねらいじゃないかとか、もうけ過ぎのカムフラージュをしているのではないか、こういう非常に厳しいいわゆる指摘を受けているようでございまして、この辺の隘路をやはり政府が何らかの形で寄与をしていく道はないものだろうか、こういう感じがしているわけでございますが、この点大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  47. 金子一平

    金子(一)国務大臣 企業が外地に進出して大きく伸ばそうと思えば、やはり一番大事なことは現地に溶け込むことだろうと思うのです。その方法としていまお話しのような社会還元の問題、これは大事なことでございます。あるいは、行っている日本人自体が現地社会に真っ先に溶け込まなければならぬのですけれども、どうもそういう点において、私どもも伺っておりますところでは、よその先進国の場合に比べて相当やはり考え方が離れておるということを聞いておりますので、これは宮地さんの御指摘をまつまでもなく、今後私ども企業の進出についての行政指導の際に十分考えてまいりたい、また、海外援助等もそういう点をあわせ考えてやってまいらなければならぬと考えておる次第でございます。
  48. 宮地正介

    ○宮地委員 それから最近、ラテンアメリカといいますか、中南米諸国というのは政情が非常に不安な国が多いようでございまして、先日もエルサルバドルでゲリラ組織の誘拐事件、こういうような大変な問題が起きているわけでございます。特に中南米に進出している日系企業につきましても、二十五カ国、総数約七百十二社、日本人の派遣の社員も二千五百四十三人に上るということで、たとえばエルサルバドルなどは非常に貧富の差が激しくて、左翼ゲリラと右翼グループの対立が非常に大きな問題になっている。あるいはメキシコなんかは、中南米きってのテロ、誘拐大国だなんて言われているわけですね。ニカラグアにしても反政府運動が非常に盛んなところである。こういった政情調査といいますか、こういうものの重要な諸国であろうということで、私はそういう面で長期的な対策の中から、今後日本としてどういうふうにこういうむずかしいところには経済協力していくのが一番ベターなのか、また以前の問題として、そういう政情不安な国々に対する調査をどう情報収集して企業に情報を提供していくかという問題、さらに逆にまた、こういうところは非常に原因が貧富の差という問題があるわけですから、進出した日本企業がいわゆる貧富の差を助長するといった行動があったらこれはならない、非常にこの辺がむずかしい問題でありまして、この点については政府としてはどういうふうに取り組んでいるのか、この二点を伺っておきたいし、今回の米州開銀の基金融資の問題を絡めるのはどうかと思いますけれども、やはりこういう機会にも何らかの形で日本の企業の安全保護あるいはそういう情報の収集にもっと積極的に協力いただくように、また逆に、日本の企業が貧富の差を助長するような悪質な行為があったら国内的にも行政指導するのでさらにいろいろと報告をもらえないか、こういったようなアプローチというものを私はしておく必要があるのではないか、こう思うわけでございますが、この三点伺っておきたいと思います。
  49. 橋本恕

    ○橋本説明員 経済協力の問題につきましては私の所管外でございますので、その他の問題について宮地先生の御指摘の諸問題についてお答えいたします。  先生御指摘のとおりに、エルサルバドルで大変不幸な事件が相次いで起こりまして、日本人が一人殺され、また最近誘拐された人がようやく帰ってまいりました。このように進出企業の方々の生命、財産がねらわれるというような事件、それから先生が先ほど御指摘ございましたとおりに、政情不安からくる、最近ではニカラグアの反乱とか、それから、これは中米諸国のみならず南米諸国におきましても、かつては反政府暴動あるいはゲリラの蠢動あるいは内戦、こういうことがございまして、中南米諸国は特に治安問題がわが国の企業進出との関連においてきわめて注目される重要な地域でございます。  これらの諸問題に対処する方法でございますが、まず先生御指摘の情報をいかに的確に集め、関係の企業の皆さんに流すかということが、これはわが国の在外公館、大使館、総領事館に課されました一つの大きな使命でございまして、せっかく各在外公館は努力をいたしまして、これらの国内政情あるいはゲリラ、特に反政府ゲリラの動きといった諸問題につきまして情報を入手するたびに、現地あるいは東京におきまして、東京の本社あるいは現地では現地進出の各企業の責任者、在留邦人の皆さん方に情報をできるだけ流し、それぞれ対策を講ずる、こういうことにせっかく努力している次第でございます。  それからさらに、根本的な対策といたしましては、これも先生御指摘のとおりに、中南米地域におきますところの日本あるいは日本人のイメージを高めると申しますか、日本に対する信頼あるいは友情というものをだんだんに高めてまいる、定着させるということが問題の根本の解決につながるものかと思いますが、対症療法といたしましては、先ほど先生御指摘のエルサルバドルにおけるゲリラのように、ああいう事件が起こる、あるいは起こる可能性がありますときは、今回もそれ相応のことをいたしましたが、現地進出の各企業の皆さんにかなり細部にわたる御注意を、たとえば自動車の乗り方からあるいは買い物の仕方、日常生活の仕方に至るまで、警備の専門家を投入いたしまして、御指導というか、生意気でございますが助言をしてまいった、こういうことでございます。
  50. 西山健彦

    ○西山説明員 経済協力の分野につきましてお答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、開発途上国における所得格差を増大するような援助はするべきではないと  いうことは、私ども常々心がけているところでございます。  一九七八年に出ました世界銀行の世界開発報告によりますと、現在、世銀総裁が絶対的貧困と呼んでいるような人たちの数が世界に八億いる、仮に今後毎年先進国からの民間及び政府援助が年々実質五%ずつふえていったにしましても、今世紀末にはやはり六億のそういう絶対貧困の人が残るだろうということでございますので、そういう人たちにじかに役に立つような援助をこれからは考えていかなければいけないということが世界的な要請になっております。したがいましてわが国といたしましても、そういう住民の生活に直接裨益するような医療、保健、公衆衛生、食糧、教育というようないわゆる社会インフラに対する援助、つまり公共サービスの増大に一層力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  51. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 先生御指摘のように、中南米諸国とわが国関係、これは歴史的にも地理的にも非常に遠い関係にございまして、そういうこともありましていろいろ情報がつかめない、またその結果、二国間の援助がなかなか進まないというような問題もあると思います。私どもはそういう点からいきますと、今回の米州開発銀行のようにこういう国際開発金融機関を通じて日本援助をするということによりまして、その機関の専門的なノーハウというようなものも利用できて援助の効果が期待できますし、それからまた同時に、日本が出資をするということを通じまして、現地における日本の国際的な地位の向上が図っていけるのじゃないかというふうに思っているわけでございます。そういうような意味で、国際開発金融機関への出資も積極的にやってきているわけでございまして、特に米州開発銀行の場合には、域外国の中ではわが国のシェアが一番高いというような状況になっている次第でございます。
  52. 宮地正介

    ○宮地委員 私の質問にちょっとずれているのですけれどもね。こういうような非常に政情不安な国なので、こういう基金融資のこういう機会をとらえて、先ほど来申し上げたようなことについてアプローチをしていく意思がございますかという質問なんです。
  53. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 この点は外務省とも相談してみたいと思いますけれども、おっしゃいますように、この開発金融機関の総裁以下幹部というものは、現地における相当の有力者がいるわけでございます。したがいまして、日本がこういう機関を通じて積極的に援助をしているということになりますと、またそういう理事会等の場においても、何らかの改善といいますか方策があるいは見出されるかもしれないというふうに考えます。
  54. 宮地正介

    ○宮地委員 いまのIDBの問題でそれでは少し伺っておきたいのですけれども、いわゆるIDBの政策、業務、資金調達の方法あるいは組織などについての洗い直しの必要、この問題がさきの総会で決議されて承認されたということで大変注目をされておりますが、この洗い直しの問題についてはわが国としてはどういう対応を迫っているのか、その点についてまず伺っておきたいと思います。
  55. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 米州開発銀行の業務の内容につきましては、いろいろ検討が行われているところでございますが、その一つの問題としましては、業務の重点というものをもう少し貧困国に向けていったらどうだというようなことが議論されているわけでございます。  御承知のように、米州開発銀行には通常資本と特別業務基金と二つの資本があるわけでございますけれども、特にこの特別業務基金につきましては、所得水準の低い国に主として援助をするという仕組みになっております。そのほかの一般の通常資本の分につきましては、これは総体的な金利も七・五%というようなベース援助になっておるわけでございますけれども、今後、業務の方法としましては、そういう貧困国といいますか所得の低いところ、一人当たりの所得で申しますと大体八百ドル以下ぐらいの国だと思いますが、そういうふうな国に対して資金の大体半分以上を融資するというような方向検討がいま行われておりまして、わが国もそういうふうな貧困国の方に重点的に融資を行うという提案については、積極的にこれを支持していくというようなことでございます。
  56. 宮地正介

    ○宮地委員 それから、一九七七年の五月、コスタリカのココアの豆の加工会社に対してIDBが初めての出資業務を行った、そしてこのIDBが今後その経営に参加することになりますけれども、これは将来会社が十分な収益を上げ、IDBの支援を必要としない段階に至ればその持ち分を売却することになっている、いまこういう方式になっているわけでございます。  IDBというのは設立協定によって、通常の資金源で直接投資業務を行うことは禁止されている、これは御存じのとおりであります。しかしIDBは、いま申し上げましたような出資についてさらに五件から八件ぐらい現在検討しておる、こう言われております。このプログラムが成功したときには将来、世銀グループのIFCのような機関の設立も考慮している、こういうふうに言われているわけでございますが、この点について、わが国としてはこの対応に関してどういうように検討をしているのか、この点伺っておきたいと思います。
  57. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 ただいま先生の御指摘の件は、米州開発銀行の通常資本からの貸し付けではなくて、信託基金からの貸し付けではないかというふうに考えております。  この信託基金と申しますのは、各国がIDBに資金を信託しまして、そのノーハウを使って業務をやっていくということでございますので、これは米州開発銀行にとりましても、資金調達の多様化の一つの方法であろうというふうに考えられますし、また資金を信託する方の立場からいっても、国際開発金融機関のそういう専門的なノーハウを利用できるという点で一つのすぐれた案ではないかというふうに考えております。
  58. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に外務省に伺っておきたいと思います。  一つは、対ベトナム援助の問題については、現段階ではどのように検討をされているのか、再開されるとすればいつごろになるか、その点を聞いておきたいと思います。  もう一点は、いわゆるインドシナ難民センターの建設に対する資金援助技術援助に対して東南アジアのASEAN諸国が提唱しておりまして、日本に積極援助をしてもらいたい、こういう強い要請があるわけでございますが、この点については政府としてどういう取り組みを持っておるか、この二点、伺っておきたいと思います。
  59. 三宅和助

    ○三宅政府委員 二点まとめて御説明いたします。  ベトナム援助につきましては、先生あるいは御承知だと思いますが、援助を停止したということでございませんので、情勢の推移を見ながら慎重に検討していくということが従来の方針であったわけでございます。実際問題といたしまして、五十三年度対ベトナム援助は予定どおり実施中でございます。それから五十四年度の対ベトナム援助につきましては、予算が成立いたしましたので、ベトナム側からの具体的な要請を待ちまして、その内容、実施時期、さらには諸般の事情を十分勘案しながら慎重に検討してまいりたい。したがいまして、具体的な時期その他につきましてはまだ決まっておりません。以上がベトナムの援助でございます。  それから、第二点のASEAN構想でございますが、先生御指摘のとおり、日本と東南アジアにとりまして、インドシナ難民というものが政治、経済、社会的に非常に重要な問題になっております。したがいまして日本側といたしましては、この構想を支持しております。ただ、この構想自身はまだ具体化しておりませんので、果たしてどの島か、一応レンパンという島をインドネシア側としては候補として考えているようでございますが、まだ最終的な島、それから何名ぐらい受け入れるかということも決まっておりません。したがいましてこれにつきましては、難民高等弁務官を中心といたしまして、まず実行性を十分調査し、それでその実行性が確認されるという場合には、わが国としてはアメリカその他の先進国とも十分協調しながら応分の負担をしていくということで、積極的に本件構想を検討してまいりたいということでございます。
  60. 宮地正介

    ○宮地委員 このベトナム援助につきましては当然、インドシナ半島における政変がらみになってくると思います。そこで五十四年度については、予算的には国内で認められておるわけでございまして、このいわゆる執行ということになりますと、いま申し上げましたようないわゆる政変との絡みで一部には、場合によっては凍結あるいは援助停止という報道も流れているわけでございますが、もう少し詳しくこの点との絡みで外務省としてはどういう見解を持っているか、説明をいただきたいと思います。
  61. 三宅和助

    ○三宅政府委員 特にベトナム援助との関連におきましてわれわれが非常に心配しております最大の問題は、あるいは先生御承知だと思いますが、ベトナムにおけるソ連の基地化の問題でございます。これにつきましては直接、基地化した場合には援助を打ち切るというような形では申しておりませんけれども、昨年の十二月にグェン・ズイ・チン外務大臣が来ましたときに園田外務大臣の方から、ベトナムの自主独立の立場を堅持するということと東南アジアの平和と安定に寄与するということがわが国援助の上で必要であるということを明快に伝えてございます。また最近では、外務省アジア局長より在ベトナム大使に対しまして、この間の基地化の問題に対する日本の懸念を伝えてございます。したがいまして、こういうような情勢を特に念頭に置きまして、今後十分注意してまいりたいということでございます。
  62. 宮地正介

    ○宮地委員 さらに、中近東地域の安定のために、経済状態の悪化の目立つトルコですね、このトルコに対するところの新たな経済援助、こういう意向が政府にある、また今回の園田外相の訪米に当たりましてもこの問題について討議をされた。さらに、いわゆる経済援助予算枠についても、米、英、仏、西ドイツのいわゆる西欧主要四カ国がグアドループの首脳会議で決めた年間総枠五億ドル、この枠の外で検討したいという方向政府部内で動いておる、こういうふうに聞いておりますが、この点について、トルコの新規援助考えているのかどうか、伺っておきたいと思います。
  63. 西山健彦

    ○西山説明員 トルコに対する援助につきましては、確かにそういう話があるのは事実でございます。しかしながら、わが国がこれにいかに対応するかということは、いまだ部内でもって検討中でございまして、まだ結論を得るに至っておりません。いずれの場合にも、ほかの国に言われたので日本はそれに沿っていくということではなくて、わが国わが国の独自の判断に基づいてその必要性を判断し、実行する場合には実行する、さように考えております。
  64. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に、大蔵大臣に伺って終わりにしたいと思います。  今回のアフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案は、非常に大事な法案でありますし、わが党としても賛成法案としているわけでございますけれども、やはり一九八〇年代における南北問題解決の課題の中において、また国際経済社会の中に生きるわが国の置かれた立場というものは非常に重要であろう、それだけにこういった問題には当然積極的に取り組んでいかなくてはならないし、今後特に大蔵大臣という立場は、資金援助といいますかそういう立場の非常に重要なポストでございますので、ぜひともこれからの少資源国日本の生きる国際社会の中の道として、この南北問題解決の大きなリーダーシップをとっていくべきではないか。幸いUNCTADあるいは東京サミットマニラ東京で行われるわけでありまして、特に東南アジア諸国の発展途上国の国々は大変な期待をしているわけでございますし、こういうきっかけをぜひとも生かして、八〇年代のわが国の置かれた責務といいますかまた役割りを積極的に果たしていくべきではないか、こう考えるわけでございますが、大臣の所見を伺って終わりにしたいと思います。
  65. 金子一平

    金子(一)国務大臣 宮地さんもおっしゃるとおり、いま発展途上国はとにかく数からいっても人口からいっても世界で一番大きいのでございます。こういった国々と協調してこの自助を高めていくことが私は、先進国としての日本の一番大事な役割りではなかろうかと思っておりますので、これから幾つかの国際会議がございますが、そういう機会を通じ、また今後の日本の海外援助姿勢を通じて、いま仰せのような態度を身をもって十分実践するようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  66. 加藤六月

    加藤委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  67. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長の指名によりまして、委員長がお見えになりますまで私が委員長の職務を行います。  アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。沢田広君。
  68. 沢田広

    沢田委員 いろいろといままで同僚の人が質問をされているので、重複する点はなるべく避けてと思いますが、示しました質問の要旨の順は不同でありますので、その点まず御了承いただきたいと思うのです。  四十八年の四月二十日、この法律ができます際の速記録を読ませていただきました。その読ませていただきました中で、この取り扱いが今回また若干変更されたわけでありますが、結論的に申しますと、出資というもの、これはいろいろやりとりの中で、私もまたやりとりをしましたけれども、出資をする額を決めたということは予算総則の中に入れてあります。しかしそれは、後年度相手側の国から請求があれば、いわゆる円であれあるいはドルであれ、それを相手国に支払う義務を負うものであります。言うならばこの出資というものは、その義務を負ったときに、たとえば昭和五十四年度の予算でいけば、三十八兆の中で四兆七千億の元利償還金が支払われておりますが、それに類するような予算の形である、こういうことで説明を受けております。それを今度限度額に変えたのですが、この総則の中では「損失補償契約」の中に含めているということなのであります。  そもそもその損失補償契約というのは、第一原因者があって、第一債務原因者が支払い能力を欠いた、不可能である、その場合の損失を政府が補償をする、利子補給においてもそうでありますが、本来そういう性格のものだと思うわけです。出資とはおのずから性格が違いますと私は解します。同時に、その出資をしたいわゆる手形ですか、日本で言えば手形ですね、実際に現金化はしないわけですから、手形を発行しました。手形を発行して、後年度その手形が現金になります。これは損失補償契約ではないと思うのですね。なぜこの予算総則の中に入れるのに「損失補償契約」という中に含めたのか。  結論的に言うと、私はその中でこの問題を処理していくということは若干疑義があると思うのです。あえて言うならば、「出資の限度額」と一つ項を起こして、こればかりではないのですから、出資という日本の言葉から出てくるイメージとするならばそれは損失補償ではないのですから、あくまでも出資なのですから、当然取り扱いとしては「出資の限度額」という予算総則をつくって、何もこれはこの団体だけではなくて、中南米もありますし、あるいは東南アジアもあるし、あるいは世銀、いろいろあるわけですから、それに対する出資は「出資の限度額」として予算総則に含めるのが正当な取り扱いではないのか、この点の解釈をひとつ御明示いただきたいと思うのであります。
  69. 禿河徹映

    禿河政府委員 昭和五十四年度の一般会計予算総則、そこの十条の第二項それから第三項に、今回の米州開銀、それからアフリカ開銀に対します出資並びに拠出の金額限度額というのを掲げてございます。その予算総則の規定の仕方でございますが、確かに先生おっしゃいますとおりに、そこの見出しのところには「損失補償契約等の限度額」、こういう見出しが出ておることは事実でございます。今回の出資並びに拠出に係りますのは、その損失の補償契約というわけではございませんで、いわば出資の契約のことでございますが、見出しといたしましてたくさんいろいろ書くのが大変でございますので、代表的なものといたしまして「損失補償契約」と書きまして、「等の限度額」ということで書いてあるわけでございまして、今回のものはこの「等」に入るものでございます。  ちょっと具体的に申しますと、従来から予算総則におきましては、原子力損害賠償補償契約の金額限度額、それ以外に、刑務所等におきます矯正医官とか保健所におきます医師となる者に対します修学資金の貸し付けの限度とか、あるいは農業近代化資金に係る利子補給金の限度とかいうふうなものをずっと掲記しておるわけでございまして、見出しといたしましてはそれを一括して「損失補償契約等の限度額」、こう見出しにつけておるわけでございます。また、従来から国際開発金融機関に対します拠出金につきましては、米州開発銀行等、それからアジア開発銀行その他、そういうふうなものにつきましてもここに書かれておったわけでございます。
  70. 沢田広

    沢田委員 いや私が言うのは、損失補償契約というのは出資とどっちがウェートが高いのかということになりますと、国民の側に立ちあるいは政府の側に立ってみて、出資というのは大体提供してしまうものなんですね、損失補償契約というのは、ある一定の第一原因者があって、その原因者が支払い能力を欠いたときに政府が代替として代理をいたしますというのですから、金の重さといいますか責任の持ち方から言えば、出資の方が重くて、損失補償契約の方が、どっちが軽いという議論はないかもしれませんが、あえて言うならば損失補償契約の方が軽いのですね。しかも「等」に含めるというのは論理が逆さまだと私は思うのです。だからここで何とかつくろってみるよりは、今後こういう方法をとっていくとするならば、「出資の限度額」という一つのものをきちんと整理して、出資というのはこうなんだという形を国民の前に明示する、損失補償契約は損失補償契約で明示するという分離が正当なあり方ではないのか。いまここで訂正しろというようなことを言っても進むものでないですから、今後の一つの課題として——だから一々言いわけを言わなければならない。「等」の中に入っています。等、等とおかしくなってしまいますが、「等」の中に何でも皆入れてしまうという論理は、日本の文章上の非常にむずかしいところなんですが、じゃ、ほかの「等」は何なんだと言われたら言えますか。何と何と何が「等」として含まれているのですかと言えば、その他不明なものが「等」なんです、答えればこういうことでしょう。その他に類するものが「等」なんです、こういうことでしょう。それ以外に答えは出てこないと思う。ですから少なくとも出資については、ここでわざわざこういうふうなただし書きみたいに二項、三項でするのではなくて、上のとは根本的に性格が違うでしょう。たとえば原子力損害賠償を現に契約した場合は、アメリカのような原子力のああいう事故が起きて住民がえらい損害を受ける、この場合には東京電力なら東京電力が損害を払うのだ、しかし支払い能力がない、だから政府がその損害に対して責任を負いますというのが損失補償の性格ですね。出資というのはそうじゃないのですよ。この年度これだけ国債で渡します、しかしその年度請求されるとは限らない、来年であるか再来年であるかその翌年度であるかわからない、そのときには予算に計上します、こういうことでしょう。だからそういうものの枠を決めるものとはおのずから性格が違うでしょう。  大蔵大臣、お疲れでしょうけれども、その辺は出資と損失補償契約を混同して扱うということは、私はどう考えても不明確だと思います。出資法という法律をつくるかどうか、これはまた別問題としても、出資は出資としてこうあるべきだという姿を、これからもたくさん海外援助をやるのですから、やはり出資は出資なんだとまとめて予算総則の中に含める。大臣、これは今後の扱いですから、いまここで訂正して出し直せとは私は言いませんけれども、少なくとも扱いとしてはそうすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  71. 禿河徹映

    禿河政府委員 先生よく御存じのことでございますので、私から余り弁明がましいことを申し上げるのはいかがかと思いますが、従来規定しておりました状況だけちょっと御報告させていただきますと、財政法の二十二条におきまして予算総則で規定すべき事項というのが定められております。その財政法の二十二条におきまして、公債発行の限度額だとか一時借入金等の限度額というふうにきちんと個別に書かれておりますものにつきましては、予算総則におきましても条文ごとに見出しを区分して掲記しておるわけでございますが、その他の各種の限度額というものにつきましては、従来から「損失補償契約等の限度額」というふうな見出しのもとに一括して予算総則で掲げておったわけでございます。いままでアジ銀その他の国際機関に対する拠出金についても同様のことをやってきたわけでございます。ただ、先生からいまお話しがございました、出資というのはその性格から見て、見出しを「損失補償契約等」ということで一括で書くのはいかがかという御指摘もございますので、この辺につきましては、将来の課題として私どもも検討はさせていただきたい、かように、考えております。
  72. 金子一平

    金子(一)国務大臣 いま次長から御答弁申し上げましたような過去の経緯もありまして、こういうことになっておると思うのですが、国際機関に対する出資はあるいは一項目設けてもいいんじゃないかという感じもいたしますので、十分検討させます。
  73. 沢田広

    沢田委員 それでは次に、外務省においでをいただいておりますので、外務省にちょっとお伺いいたしたいのですが、日本から見ると非常に遠隔の地にありますためか、アフリカに対する知識というのは、私を含めて非常に乏しいというのが現状であります。私は国会図書館へアフリカに関する書類を二、三求めました。ここにありますのが、「アフリカ」と題して「投資環境と企業進出」というので出されておったわけですが、実にその年度は昭和四十八年のものなんであります。全部の図書が国会図書館へ一冊ずつ入るわけでありますから、その後はないのですね。特に私はアフリカの資源とわが国との関係、こういう資料を求めようと思いました。クロムにしましても石油にしましても、すずやその他の金にしましてもウランにしましても、現状はどうなのか、こういうものを把握しようとして見つけたわけであります。ところが残念ながら、貿易とかその他については大蔵省から出ているものにありますけれども、こういう形のアフリカに関する資料というものはきわめて乏しい。この現状をアフリカ局長はまずどういうふうに御理解なさっておられるのか。これ以外にあるのだというのだったら、私にだけこの古い四十八年のを出したということになるかもわかりませんが、その点ひとつ解明していただけませんか。
  74. 原口幸市

    ○原口説明員 ただいま中近東アフリカ局長が急用がございまして出られませんので、かわりにアフリカ課長がお答えさせていただきます。  御指摘のとおり、アフリカに関する先生御指摘のような資料は遺憾ながら余りアップ・ツー・デートなものがございませんで、私たちとしても現在の在外公館の陣容、それから外務本省のアフリカ地域に割ける陣容をできるだけ動員しまして、かかる資料を今後とも整備してまいりたいと思いますが、現状では遺憾ながら先生がお求めのような資料をつくり得ない状況でございます。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 沢田広

    沢田委員 そういう状態で——委員長は突然来たのだから、そういう状態と言ってもわからないでしょうけれども、とにかくいまも課長が答弁したようなそういう状態で、大蔵大臣がこういうものを出して、われわれなり国民が国会図書館でこうやって見て、四十八年のもので調べなければアフリカの状態がわからぬということ、ほかにも資料がありますが、こういうものだけでよく判断がつく、千里眼みたいなものだと私は思うのですけれども、どういう根拠でアフリカの情勢を把握して——ただアフリカ銀行から要請があったから、GNPに対する比率もまだ低いからまあその程度上げておいてやれ、こういう気持ちだけで出しているのか、それとも、アフリカの実態を把握した上でそれに対応したいわゆる調剤をしているのかどうか、はなはだ疑問だと言わなければならぬ。さもなければ、われわれ国会議員だけにはこれを知らせざる形において、それは内部だけ知っていてやっているのかもわかりませんけれども、その点大蔵大臣、こういう書類を見てどう思いますか。
  76. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 確かに先生御指摘のとおり、アフリカ諸国とわが国関係について見ますと、これは地理的にも遠い国でございますし、歴史的にも縁が薄いと申しますかそういう関係にあると思います。現実の問題としまして、たとえば二国間の援助等につきましても、従来はわが国には大きな要請は余り来ていない。それはむしろアフリカ諸国につきましては、ヨーロッパ諸国が非常に密接な関係を持っていたからだと思います。しかし最近になりまして、そういう情勢も若干変わってきまして、アフリカ諸国からの日本に対するいろいろな接近の動きも出てまいっております。  それから私どもとしまして、開発途上国援助を行う場合に、二国間でやることも必要でございますが、特にアフリカ諸国のようにまだ地理的にも遠い、情報も不足しているような国につきましては、むしろアフリカ開発基金という国際開発金融機関を通じて援助をしていくというのが適当なんじゃないか。その理由は、こういう開発機関でございますと、それなりのスタッフは持っておりますし、その所在地もアフリカの国内にございますし、そういうようなことで現地の情報を十分把握しているということで、私ども理事会等を通じてその貸し付けの経緯等を十分聞きまして、その上でそういう判断を下していくという状況でございます。
  77. 沢田広

    沢田委員 外務省では経団連その他を通じて二回にわたりまして、アフリカの経済情勢、いわゆるいろいろな条件というものにどう対応するべきかということで、これは政府の要請でそれぞれアフリカを訪問をしてきているわけですね。その報告書というのは大臣ごらんになったことありますか、それから、外務省はその報告書を提出したことありますか、それからまず聞いていきましょう。
  78. 原口幸市

    ○原口説明員 報告書はでき上がっております。大蔵大臣の手元まで届いているかどうか至急チェックして、届いてない場合には早急にお届けしたいと思います。
  79. 沢田広

    沢田委員 きわめてけしからぬですね。アフリカのこれを論議しているときに、届いているか届いてないかわかりませんとあさってのような話をしていたのでは、まさにこれは審議の対象にならないくらいのものですよ。  大臣、どう思いますか。二回もアフリカ視察をやって、政府で派遣しておいて、その内容の報告がされているかされていないかわからない。では、大臣も見たか見ないかわからないのでしょう、どうですか。
  80. 金子一平

    金子(一)国務大臣 私の手元までは来ておりませんけれども、恐らく担当局長は十分検討していると思います。
  81. 沢田広

    沢田委員 それの報告では、それぞれ各国から要望事項が出ているのですよ、日本に対して、こうしてほしいとかああしてほしいとか。これはアフリカ委員会委員長の河野さん、三菱商事の林さん、日本郵船の児玉さん、日本鉱業会長の河合さん、東京銀行の西田さん、それから日本電気の佐々木さん、川崎重工の四本さん日本工営専務の中村さん、こういう団体が行ってきたが、恥をかいちゃった。そしてようやく帰り際になって三十七億円ですか、外務省から借款の割り当てが来て恥をかかずに帰ることができた。向こうが、対応しておってきわめて態度が悪い。この態度が悪いというのは、日本のことを向こう側が言っているんだ、そういう印象を言っているのです。外務省、見ているでしょう。経団連から出ている月報の七八年五月号に出ている。その中には、いま言ったようなこと、この国ではこういうことを望んでいます、この国ではこういうことを望んでいますと出ている。あなた方、給料をもらって全然伝えてないんじゃないですか。それでアフリカの問題を議論しろとか銀行へ投資することがいいとか悪いとかの判断を求めるということは無理な話じゃないですか。どうですか、これは。
  82. 原口幸市

    ○原口説明員 アフリカ諸国からの要請につきましては、必ずしも報告書という形で提出していないにしても、常に随時在外公館、あるいはプロジェクト・ファインディング・ミッションを派遣するとか、あるいは政府派遣ミッションの報告をもとに、具体的な案件については関係各省に迅速に御連絡をしております。
  83. 沢田広

    沢田委員 「一九七八・四・二十 一九七〇年二月の第一回使節団より数えて、今次使節団まですでに八年が過ぎた。」こう言って二回目の提言もされているじゃないですか。特に技術協力についてはどうだ、日本の資本の対応についてはどうだ、ここは時間の関係で細かいことは言わぬが、書いてあるんだから読めばわかるんだから。あんたら、ここに来るのにも読んでないじゃないか。どういう提言とどういう提言をされているかということについてアフリカの担当が全然知らぬで、日本の資本なり出資をすることを検討しろと言うこと自身が無理じゃないですか。アフリカ局は何をやっている。アフリカじゃないのでしょう、どこかよそを見ているんじゃないですか。具体的に出ているのですよ、第二次の使節団がそれぞれ、こうしてほしい、ああしてほしいと。あなたは何も知らぬでここに出てきたんじゃないか。そうでなかったら、そういうことを言うはずはないでしょう。  「アフリカをはじめ、発展途上国との貿易インバランス(日本側出超)に関しては、当該国産品買付け増大に努力するほか、例えば無償援助・民間投資促進等幅広い対応策を考慮すべきである。」それから「現地との無用の摩擦を避けるため、日本企業は節度あるアプローチに努めるべきであるが、同時に現地要請経済案件にかんする日本側関係者間の十分な情報交換・連絡も重要である。」みんな読んでいったら時間が過ぎるから読まないけれども、「従来の要請ベースというわが方の援助システムに固執せず、わが方から積極的に優良プロジェクトの発掘・企画に取りくむことが肝要である。」こういうふうに二回目の提言もされているじゃないですか。大臣のところへもそれが行っていない。これはいつか、七八年の四月ですよ。その前に一九七〇年の二月、八年前なんです。この二回行ってきた結果がこれに何も反映されないということはおかしいじゃないですか。少なくとも大臣なり大蔵省が知らないでこの問題を議論するということはおかしいと思いませんか。外務省の態度が悪いんだと私は思います。これはきわめておかしい、こういうことになるわけなんですが、大蔵省としてはどういうふうにこれを受けとめているのですか。
  84. 金子一平

    金子(一)国務大臣 その発行が去年の四月のようでございますから、恐らく前大臣は十分読んで検討しておることと考えます。
  85. 沢田広

    沢田委員 前大臣であろうが、前々大臣であろうが、とにかくこの法案を出すという以上は、やはり各国からの要請というものをわが国としては真摯に受けとめてみて、そしてそれに対応する道はこれだけしかないのか、あるいはもっと違う道があるのか、これでいいのか、あるいはこれでは足らないのか、その辺の判断というものが当然国民の前に明示されて、こういう要求があります、しかしこれにはこたえられません、しかしこれにはこたえます、やはりそういう一つのシステムというものが成立しなくちゃならない。  この本に出ているように、これは一冊三万五千円の値段がついていますが、三万五千円の値段で印刷して、四十八年度発行以後出てない、こういうこと自身に、アフリカ局は眠っているという現象。そんなんだったら、アフリカ局は行政改革の一つとしてなくした方がいいのじゃないですか。その方がもっとすっきりするだろうと私は思うので、この審議に当たってはもう少し的確な回答、もう少しアフリカ内容についてはこうなんだということを言える条件の中から提案をしていただきたいと思うのですね。いかがでしょうか。
  86. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 ただいま御指摘のまとまった調査団の報告というものは、実は私どもも外務省からは受け取っておりません。しかしながら、アフリカ諸国の個々の問題についてのアップ・ツー・デートなニュース、そういうものは従来から外務省を通じて私どもも入手しております。それでそういうものをもちろん、われわれがアフリカ開発基金の問題を考える場合の一つの参考にしていることは当然でございます。
  87. 沢田広

    沢田委員 もう一つ追い詰めるので、外務省もわれわれが外国へ行くときお世話になりますから余りあれだと思うけれども、そのこととこのこととは別問題ですから、やはり率直に言っておかないといかぬと思うのであります。  それで、タンザニアについては三十七億円の円借款が、具体的に言えば「日本政府の最終決定が遅れて、外交的に機を失した」、こういう指摘一つしています。それから、「外務大臣の意を体して、ニエレレ大統領の訪日を希望し、わが国外務大臣アフリカ訪問の意向を表明したところ、同大統領は快くこれを受入れた。」こういうあれも出ている。その後どういう手続でこういうことが先に進められているかいないのか。そのほか、ナイジェリアにはナイジェリアの要望、それからセネガルはセネガルの要望、こういうふうに具体的に載っているものもあるのですよね。  ですからそういう意味において、これらがアフリカ局だけで握りつぶされていてその他の関係諸省に全然働きかけもなされていない。ですから、この前はフィリピンへ電話をかけましたけれども、今度はフィリピンへかけたわけじゃないのですが、各在日公大使館の印象としては、日本政府はきわめてアフリカに冷たい、こういう印象を受けているのが実態です。私が全部かけたわけではありません、国が多いのですから。幾つかの国の大使館にちょっと様子を聞いてみた限りにおいては、とにかく日本が少し偉がり過ぎているのかどうかわかりませんけれども、どうも応対が悪いというか十分に意をちっとも聞いてくれないというのは、アフリカ局の権威が地に落ちているのか、あるいはアフリカ局が怠けているのか、あるいは上司が怠慢なのか、どこに原因があるかわからぬが、結果としてあらわれている対日の印象というものはよい印象ではない、こういうことになると思うのであります。  いままでの材料をちょっと拾い上げてみましても、アフリカに対する認識が非常に薄い。私自身もそれは薄かった一人かもわかりませんけれども、政府自体としても、このアフリカに対する情報の収集、あるいはアフリカ日本に何を求めているか、それに対応する——しかも、企業は出ていること出ていること、これを独占資本と言うかどうかは別問題としまして、全部会社の名前を挙げるとこれも時間がかかりますが、もちろんいままでいろいろ問題になっている丸紅であるとか三菱、この三菱なんというのは、三菱という名前がついているだけで三十ぐらいありますよね。全部で百六十社ぐらい日本の企業は進出をしているわけです。ですからわが国としても、こういう企業が向こうでどう動いておるのか、あるいは在公使館がどう対応しているのか、そういう立場から見て、もう一回大臣からアフリカに対する認識論として、これは外務省に答えてもらっても当てになりませんから、大蔵大臣からひとつお答えをいただきたいと思います。
  88. 金子一平

    金子(一)国務大臣 資料の不足なことは御指摘のとおりだと思います。特にアフリカの大部分の国が、現在でもそうでございますが、フランス、イギリス、ベルギー等のヨーロッパの地域が宗主国になっておりますような関係で、なかなか日本として直接資料が得られなかった、特にまた最近、東西の関係もやかましくなって十分いかなかったという点もありましょうけれども、とにかくこういった地域の開発援助をやって、これらの国々の民族独立を達成させ、あるいは経済、文化的な地位を向上させることが、日本としての国際的社会に果たす責任の大きな一つの問題であると考えますので、これからもさらに十分ひとつ関係方面とも連絡して目的達成に努力してまいりたい。アフリカの基金には日本からもちろん役員が行っております。常時その方からもいろいろな連絡を受けながら研究を進めているような状況でございます。
  89. 沢田広

    沢田委員 運輸省においでをいただいておりますので——外務省はまだちょっと残っておってください、終わったというわけじゃありませんから。  運輸省には、このいまの問題等を勘案しながら、もっと日本人がアフリカに行きやすい条件、聞くところによると一万人程度だそうですが、とりあえずはいわゆる観光という条件でしょう、そういう条件でそれぞれがアフリカを知っていくという努力政府みずからがしていかなければならぬのではないか、いま言ったような状況ですから。要するに、日本の経済とアフリカが今後密着度というか強さを深めていかなければ、友好関係を深めていかなければならないということは、これは資源的に見ても論をまたないと思うのですね。ですから、そういう意味においてのまず第一歩としてのこの観光的な対策、泊まれるところがあるとかないとかということだと思いますけれども、運輸省としてはどういうふうにアフリカの観光——しかも冊子をもらいましたら、これもきょうもらったのですが、アフリカの観光をしていないと言ったら、していると言う、日本交通公社と日通航空でやっていると言う。こんなりっぱな書類の中のどこに入っているのかなと思って探してみたのですけれども、そうしたらおしまいの方に二、三ページ載っているだけで、字を見たってそれは小さくなってしまって、小さくなってもこれはソ連、中近東と同じ扱いではありますけれども、これはお扱いになっていても中身は全然ゼロに近い、そういうようなことなんで、運輸省としてももう少しアフリカを国民に理解させるという姿勢というものが必要なんじゃないかという気がいたしますが、これに対して——これは外務省の要請がないからなんでしょうけれども、アフリカ諸国ではそれを要請しているわけですね。もっと日本の観光客を受け入れたいということを向こうの国々では要請している。  ところが、これは外務省もお答えができたらひとつ答えていただきたい、できないのならできないと答えていただきたいのですが、要するに文化の交流にしても、きのうの朝日の夕刊にも「現地調査と国際協力」、ほとんど目につかないような欄だと思うのですが、官民挙げて温かい応対をしてくれたという、米山俊直さんの「現地調査と国際協力 ザイールの教訓から」ということで、小さな報告書が載っておりました。それをここで読むことは避けますけれども、交通事情が悪くて、自動車に乗せてもらったけれども、礼金も受け取らなかった運転手がいるくらいであったというふうにここでは報告されております。それらのことを含めて、観光対策に対して外務省並びに運輸省の見解を承りたいと思います。
  90. 星忠行

    ○星説明員 観光部計画課長でございます。  最初に、旅行者数の概要について申し上げます。  昭和五十二年の日本人の海外旅行者数は約三百五十万人余りございますが、そのうち、約一万六千人がアフリカに旅行をしております。比率にして〇・五%程度でございます。この一万六千人のうち、純粋に観光客として行った者はまだまだ三千人程度で、先生のおっしゃるように比率として非常に低い段階でございます。ただ、年々アフリカに対する観光というのは、ここ二、三年の間に急速に伸びてきておりまして、五十二年は五十一年に比較してすでに二四%も伸びております。これは旅行者の方々がアフリカに対する認識を深めてきておるあらわれ、あるいはアフリカとの経済交流が一段と強化されてきておることの自然の反映だと思います。  今後ともアフリカに行かれる方がますます増加されることは、国際親善の見地から非常に歓迎すべきことでありますので、運輸省としてもそういう国際観光の振興という観点を期待しておるわけでございます。
  91. 原口幸市

    ○原口説明員 アフリカの国の中には、外貨収入の観点、それからまた人的交流を促進するという観点から、日本の観光客誘致を希望している国もすでに幾つか名乗りを上げておりまして、ケニアとかタンザニアとか、最近はケニアも大使館ができましてそういう意向も伝えてきております。具体的な要望につきましては、もし関係があれば運輸省にも伝えたいと思いますし、また具体的な要望の中には、ホテルをつくりたいとかあるいは国立公園をつくりたいとかいう話もございます。そういうものが果たしてわが方の経済、技術協力に乗るのかどうか、そういう問題は真剣に考えて、乗るものであればできるだけ前向きにそれにこたえて、日本アフリカの国の人的交流の促進、あるいは日本の国民の中におけるアフリカ理解の促進というものを図ってまいりたいと思っております。
  92. 沢田広

    沢田委員 幾らかまともになってはきたようですが、その前段が全然抜けているから結局、画竜点睛を欠いているわけです。  結果的にいま外務省、運輸省にお願いというか要請をしたいことがまず一つあるのですが、そういう状況の中でぜひ、アフリカヘの出超という日本側の条件下の中で、政府予算というほどではないが、もっとアフリカに対する認識を深めていく窓口を整備してもらうということが必要だというふうに思いますが、その点いかがでしょう。これは大蔵省から答弁していただく筋合いのものではないかと思うのでありますが、外務省のアフリカ局ならアフリカ局、これは観光ですから運輸省ですね、そういうアフリカに対する観光に対応する機関、これは機関というか、課をつくれなんて私は言っておりませんよ、そういう窓口を整備するという点についてはいかがでしょうか、運輸省、これはひとつお答えいただきたいと思うのです。
  93. 星忠行

    ○星説明員 アフリカ側の要望と申しますかニーズを的確に把握することが、まず非常に必要な大前提かと思います。そのためには、関係各省からいろいろな情報をちょうだいすると同時に、運輸省といたしましても、できるだけ広い官民の情報ルートからアフリカ諸国の要求を具体的に知りたい、それがまず第一の出発点だと思います。そこで、これは運輸省の分野といたしましては、世界観光機関、ワールド・ツーリズム・オーガナイゼーションという機関が一九七五年に結成をされておりまして、ここが観光の分野における国際協力促進することになっております。そこで一九七八年にわが圏も百カ国目といたしまして加盟をいたしまして、まず、こういう機関に観光の国際協力に関する発展途上国側からの要請というものもいろいろ出てきておる、あるいは発展途上国側は非常に期待をしておるということがわれわれの側にも次第に如実にわかってきましたので、また関係各省と御協力をしながら観光開発に対する技術援助、あるいは観光旅行者の送り出しといいますかプロモーションに関する協力というものもこれから促進していきたいと思います。努力してまいります。
  94. 原口幸市

    ○原口説明員 私どももアフリカ諸国の要望をできるだけ迅速に関係各省にお伝えしたいと思います。  それから、貿易不均衡の問題でございますけれども、不均衡の是正と申しますのはもちろん、人間の送り込み、要するに観光客を送ることによる向こうの外貨収入の増大という方法も一つございましょうし、また、経済、技術協力を進めて、そこでアフリカ諸国の経済開発促進するということは、長期的に見ればアフリカ諸国の輸出競争力増大とか輸入代替産業の育成にもつながると思います。そういうことでアフリカ諸国に協力してまいりたいと思います。
  95. 沢田広

    沢田委員 これは一つの国だけの例でありますが、ガーナの放送局ではNHKとのフィルムの交換を希望している、こういうことのようでもありますし、また、ガーナ大学院生の二十名をふやしたい、技術の交換生は二十名程度にしたい、こういう要請が、これは私のところにでありますがあるようですが、そういうことなどについてもこれから配慮していただけますか。
  96. 原口幸市

    ○原口説明員 これまでと同様今後とも引き続き、具体的な要請がありますれば、アフリカ諸国の立場を十分勘案の上、もちろん関係各省ともお諮りしなければならない問題でございますが、私どもとしてはできるだけ前向きに対処してまいりたいと思います。
  97. 沢田広

    沢田委員 ぼくは具体的に言っているんだ。NHKとガーナの放送局とのフィルムの交換、これは一つの例ですが、そういうことを希望しているが、それにはこたえられるように努力しますか、そういうことを聞いているのです。
  98. 原口幸市

    ○原口説明員 関係当局とよく検討してみたいと思います。
  99. 沢田広

    沢田委員 じゃ問題、がらりと変わりまして、いままで公定歩合その他の問題はそれぞれ別な委員の方からお聞き及びをいただいたそうでありますから省略をしまして、これからの石油問題、これは通産省にもおいでをいただいておりますが、どういう見通しを持っておられるのかということを、余り長くなくてこれからの石油を向こう五年くらいの見通しでいくのと、それから一九八〇年代になりますか、その時点における展望と、この二つくらいの時点でひとつお話をしていただきたいと思います。
  100. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  当面、あるいは先生いま御指摘の五年ぐらいのスコープで世界の原油の需給がどうなるかということでございますけれども、当面は、ここ一年ぐらいは非常にタイトぎみに推移するであろうと思います。ただ御存じのとおり、OPECで価格をかなり上げてきておりますので、これが世界経済にどういう影響があるかということ、あるいは量的に非常にタイトであるということのために、各消費国が節約に努めるということも影響があると思いますけれども、世界の原油の需給と申しますのは、タイトである時期もあるでしょうし、若干緩む時期もあるであろう、そのように見ております。ただその場合に、消費国のビヘービアと同時に、産油国がどういう政策をとるかということも非常に大きな影響が出てくるであろうと思います。  それから、かなり長期で見ました場合に世界の需給がどうなるかということでございますけれども、これについては従来、各消費国ないし産油国がほぼ一致した見方ということでもって見ておりましたのは、現状では新しい油田の開発のテンポというのが消費量の増加を下回っておりまして、これは一九九〇年前後には石油の需要に供給が追いつかなくなる、つまり恒常的に需給がタイトになる時期が来るのではないかという見方がもっぱらでございます。これに対処するためには、どれだけ新規の油田の開発に成功するかということが、これは不確定でございますけれども、非常に大きな要素になってくるであろうと思います。それから、昨今のイランの社会的あるいは政治的な変動のために、世界の需給がタイトになっておるわけでございますが、その影響のために、いま一九九〇年前後と申し上げましたけれども、それが少し早まってくるのではないかという見方が現在かなりのウェートで議論されておるのが現状でございます。
  101. 沢田広

    沢田委員 好むと好まざるとにかかわらず、特別な石油の資源が発掘でもされない限り、だんだん石油は値上がりをしていくという形は否定できない傾向というふうに、これは常識的に大蔵大臣も理解されるのではないかと思うのです。わが国が石油に依存する度合いというのは、日本経済二百十兆円のうち、GNPで言えばどの程度の割合に匹敵するかということはなかなかむずかしいでしょうけれども、とにかくいずれにしても、GNPそのものへの影響というものもあるし、国民生活そのものへの影響もあるわけですね。これは大蔵大臣としては、石油がこれからだんだん、いま一三%上がりましたが、これはアメリカの経済がこれから立ち直るか立ち直らないかということも非常に大きな一つの、ドルの価格の変動がどうなるかということもあるでしょう、円の為替相場がどうなるかということもあるでしょうけれども、いずれにしても、世界の経済、南北問題を控えて厳しい状況に進んでいることは間違いない。そういう状況の中で、日本への石油の及ぼす影響、これは簡単でいいですから、細かいことは聞きませんから、どういうふうに受けとめて、この石油の問題がだんだん上がっていくということは日本の経済にどういう影響を与えていくのであろうか、ひとつこの辺大蔵大臣の明快な、一言でこうだ、こういう答えをお示しをいただきたい。
  102. 金子一平

    金子(一)国務大臣 大変むずかしい質問をちょうだいいたしまして、当惑いたしておるのでございますが、日本人はやはり知恵がありますから、石油はだんだん減りますけれども、同時に、新しい石油の輸入先の振りかえ、中国なりメキシコなりアラスカなり、あるいはまた近海の石油油田の開発に現在努めておりますが、そういうことをやる。いま問題を起こしておりますけれども、原子力発電の開発は一層進めなければいけませんし、同時に、石炭をたくやり方ももう一度見直さなければいかぬでありましょうが、一方におきまして私どもは、大事なことは省エネルギーの問題であろうと思います。この点につきまして、各産業界とも相当なピッチを上げていまこの問題に取り組んでおりますから、一方において、こういう石油が窮迫した事態に適応した日本産業あるいは日本経済の生き抜く道をいま各方面でもっぱら真剣に模索している、そういう段階ではなかろうかと思います。
  103. 沢田広

    沢田委員 模索だけで終わってしまってちっとも実行しないのじゃ大臣、今日マクロ、ミクロの対応に応じても何にもならなくなってしまう。さっきのアフリカ問題じゃないけれども、後手になってはいけない。そこで、従来言われている週休二日制も思い切ってここで実施をする。私、幾つか挙げていきますが、テレビの深夜放送は政府でも決めて努力しているようですが、午前中ぐらい、甲子園があるとかそういういままで国民に根づいているものについては若干別としまして、それ以外のものはやめるとか、あるいはネオンサインの点滅はとにかく最小限度にとめるとか、いま大臣がそう言ったから私は具体的に提案しているのですが、夏休みもフランス並みに全官庁、全企業とも二十日間ぐらいやめる。これをしたら、少なくとも十何%以上のエネルギーは節約できるのじゃないかと思うのです。あの暑いさなか、公務員を幾ら勤めに出してみても、結果的には能率は上がりっこないですよ。だから、ある一定の温度以上に達したら、いまの七日間じゃなくて、二十日間ぐらいの夏季休暇は与えていく。そうすれば、結果的にはエネルギーはえらい節約になる。それはフランスでもどこの外国に行かれてもわかるように、夏休みなんというのは大臣もいないぐらいですからね。それだけ政情が安定しているということもあるのかもしれませんけれども、とにかくそれぐらいに——市役所も二十日間休まれては、出生届もできませんから困るかもしれませんが、最小限度のものは別としても、そういうようなオーソドックスな方法で省エネルギーというものはできるのじゃないですか。  最小限度まず週休二日制、これはともかくやっていただいたらどうかというのが一つですね。それから、午前中と深夜放送のテレビ、これはもうやめたらどうだ。ニュースだけに限定したらどうだ。あと特別の催しものを除く。午後もやめてもいい。私は、午後というのは、順番にということを言っているわけですが、そういうことについて大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  104. 金子一平

    金子(一)国務大臣 いま五%節約を目標にいろいろな具体的対策に通産省を中心に取り組んでいただいております。産業に余り影響を及ぼさぬように、しかし五%の目標は十分に達成できるようにということで、いまお取り上げになりましたようなもろもろの問題について、通産大臣自身もあれこれいろいろ項目を挙げてやっておられるような状況でございますので、それは通産省の方から答弁をしていただきますが、週休二日制の問題は、エネルギー問題と関連するかもしれませんが、またそれとは別に、私どもとしてはとりあえず銀行の問題を突破口にいたしまして、国民的なコンセンサスが得られれば何とか銀行だけでもはっきり離してやっていかなければいかぬなあという感じで、鋭意いま努力をしておる最中でございます。銀行法の改正に絡んで金融制度調査会でいま議論してもらっておりますから、結論の出次第、実施に移すように努力していきたい。夏休みの問題あるいは暑い際の休暇の問題その他、これは各国でもいろいろ具体的にやっております。そういう点をやはり公務員制度全般の問題として、これは総理府中心ですから、われわれも国務大臣としてひとつ三原長官を中心に十分検討していきたいと考えておる次第でございます。
  105. 沢田広

    沢田委員 放送の方はどうですか。
  106. 金子一平

    金子(一)国務大臣 放送の関係は、いま通産省でやっておりますので、それは結構でございます。
  107. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 全体のしかも長期にわたりますエネルギー節約につきましては、いま御指摘のあった点、あるいは大蔵大臣から御答弁がありましたような点につきまして、政府全体としまして取り組んでいかなければいかぬ問題だろうというふうにわれわれは考えております。  ただ、エネルギーを供給する側から言いますと、これはどうしてもエネルギー節約ということを長期にわたって国民の間に定着した形でやらなければ、将来の国民経済あるいは国民生活というのは担保できなくなると思っておりますので、いろいろ知恵を出し合いましていま検討しているところでございます。政府全体としまして、いま大蔵大臣がお答えしましたように、総理府の方でいまいろいろな案をまとめている最中でございます。
  108. 沢田広

    沢田委員 検討だけではちょっと私も不満足なんですが、いま言ったようなもので検討検討では、これはやはりいま言った石油産出国との対応の仕方として、これからの対応は後手後手ではだめだ。やはり先手先手にいって、国民に特別不便を、生活にインフレを起こさせない。公定歩合を上げるということに二、三日のうちになるのでしょうけれども、そういう形でこのOPECの対応策考えるのではなくて、やはりいま言ったような石油のような省エネルギーなら省エネルギーという問題をとらえても、そういう形で実施できるものから実施していくということが必要なのではないのかとあえて私は申し上げるのですが、検討の段階はもう過ぎた。とにかく九時半に出勤して十二時に帰るという土曜日の勤務がどれだけの効果がありますか、大蔵大臣。それで冷房をつけてあるいは暖房つけて、官庁全体を動かしていって、どれだけの国民に利益がありますか、具体的に見て。
  109. 金子一平

    金子(一)国務大臣 国会もすでに暖房を先般来切って、私ども閣僚席の者にはそろってかぜを引いたような状況でございますが、それぐらいいましっかり一つずつの問題を取り上げてやっております。先ほどお話のございましたようなテレビの問題等につきましても、いろいろ話し合いが進められていると私は聞いております。  ただ、土曜日の半日勤務をどうするかという問題は、これは私ども勤め人としては結構だと思うのですけれども、中小企業はやはり土曜日も働いているのですよ。それとの関連におきまして、たとえば銀行の週休二日制の問題もなかなか片づかなかった、こういう問題があるものですから、やはりある程度コンセンサスを得ながらその方向へ持っていくことが大事なことだと私は考えております。いろいろな角度からいろいろな問題をこの際洗いざらい取り出して、ひとつどうやったら最も日本人の生活全体が合理的にいけるのかを見直すいいチャンスではないかと私は考えております。先ほど来省資源の問題あるいは省エネルギーの問題につきましていろいろな御指摘がございましたけれども、政府といたしましてもそれを十分心得てやってまいります。
  110. 沢田広

    沢田委員 じゃ以上で質問を終わりますが、ぜひ週休二日制は、中小企業のことを考えられても私は同じだと思うのです。今日在庫がだんだんふえているのですから、二日休んでもそれほど影響はないし、結局どこかから二日制になれば、中小企業もその中からの生産性を高める方法を考えていく道を探すわけです。それにこだわり過ぎると、今度はかえってむだの方が大きくなって、角をためて牛を殺す、こういう結果になる。それから夏休みも、二十日間ぐらい休んで冷房をとめる方が日本経済の上にはより有効である。内需も拡大されるでしょうし、ぜひひとつお考えをいただくよう、放送等を含めてお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 加藤六月

  112. 高橋高望

    高橋委員 いろいろすでにお尋ね申し上げまして、御回答いただいたところでございますけれども、私、各国が金を出し合って、南北問題の南の国々に対していろいろと手当てをしていくということは、これから先の地球上の問題としても十分配慮しなければいけない問題だとは思います。しかし反面、私たちの国としてのあり方とすれば、国内の事情も十分考えなければいかぬこともあると思います。  そこでまずお伺いをしたいのですが、アメリカがこの何年間かいろいろ、こういう国際基金に対しての出資の姿勢が国内の事情で非常に微妙に変わる、シェアが変わるといいましょうか、逆に言えば、出資金額もその必要度に対して全額出しているというわけでもない、こういう現実の中で、私たちの国というものがいままで過去三年間ぐらいに大体、割り当てというか負担すべき額に対してどのくらいの率でこれを完遂してきているのですか、この辺をまずひとつお伺い申し上げたい。
  113. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 アメリカの援助といいますか、国際開発機関に対するそういうシェアというのがだんだんに落ちてきているのではないかという御指摘でございますが、これは戦後、アメリカの経済力というのは非常に強かったわけでございます。現在の日本とかドイツ、そういうような国は敗戦の痛手で非常に経済力が弱かった。そういうふうな当時の事情を反映いたしまして、当初、戦後のすぐの時代はアメリカのシェアが非常に高かったわけでございますが、その後、各国の経済復興がだんだん高まってまいりますそれにつれまして力がついてくる。それと同時に、各国とも経済協力の重要性ということの認識が高まりまして、国際開発金融機関に対する出資というものも徐々にふえてきているというのが現状でございます。その反射といたしまして相対的にアメリカのシェアが落ちてきている、こういうことは事実であろうと思います。  ただ、個別に取り上げてみますと、たとえば今回御審議をいただいておりますアフリカ開発基金の出資等につきましてはアメリカも、当初の参加がおくれたというようなことがございまして当初はシェアが低かったわけでございますが、それをだんだんに最近ではふやしてきている、そういうふうな動きも一方にあるわけでございます。しかし相対的に見ますと、これは確かにアメリカの世界全体に占めるそういうウェートといいますか、アメリカ経済の相対的な力が落ちてきている、それにつれてシェアも落ちていくというのは、これはある程度、やはり国際開発金融機関の出資というものはそれぞれの国の経済の実態を反映したものであるべきだというのが一般的な考え方であろうと思いますので、そういう点はむしろ実態がシェアの上にだんだん反映されてきている、こういうことでないかと思います。  それから、日本の分担すべき額が適正かどうかということにつきましては、これは援助額全体の問題と、それから特にこういう国際開発金融機関に対するマルチの援助の問題と二つに分けて考えられるかと思いますが、日本援助全体について、これが日本のいまの力に相応した分だけ日本が貢献しているかということになりますと、これは御承知のように金額でいきますと、一九七七年には日本がドイツを追い越して世界で三番目の援助を、政府開発援助でございますがやっているわけでございますが、これをGNPとの比率で見ますとまだ〇・二一ということで、DACの平均よりもかなり下回っている、こういうふうな状況でございますし、それからまたその条件につきましても、いわゆるグラントエレメントが七〇%ということで、これもDAC平均の八八%に比べますとかなり下回っているというようなことで、そういう点ではもっと努力をしていかなければならないというふうに私どもは考えております。  最近三カ年の国際開発金融機関に対するわが国の出資とか拠出額の推移はどういうふうになっているか申し上げますと、これは当初の事業予算の額で申し上げますと、五十二年度が千百九十七億円でございます。それから五十三年度が千六百五億円でございます。それから五十四年度が千七百二十三億円、こういうふうな推移になっております。
  114. 高橋高望

    高橋委員 逆に申しますと、自分のところの都合の悪いときには割り当てられてもちょっとこれは御辞退だ、そういうことを言っていい環境だと、たとえばIMFもそうだと考えますけれども、そういうような割り切り方でこれを見てよろしいのですか。
  115. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 国際機関に対する出資、拠出、これは基本的には先ほど申し上げましたようにそれぞれの国の力といいますか、具体的に申し上げますと、たとえばGNPの額とかあるいは外貨準備の額あるいは貿易の額、そういうふうなものが基準になって大体決められるのが一般的な考えでございます。  ただ個々のケースになりますと、一時的にその国の国際収支の状況が非常に悪いというような場合には、一時その拠出額を減額する、それからまた、財政事情が非常に苦しいという場合には、一時的にそのシェアを減らすということはあると思います。そういう場合には、やはり財政事情に比較的余裕のあるところ、あるいは国際収支の面で余裕のあるような国がそこの不足分を補っていくというようなことはあっていいんじゃないか。それから、現にたとえばカナダ等におきましても、国際収支の状況が非常に悪いものですから、最近におきましては若干拠出額が減少している、こういうような傾向が出てきております。
  116. 高橋高望

    高橋委員 そうしますと、少なくとも五十四年度に関しては、従来のわれわれの国がとってきた路線を踏襲してこの出資割り当て額に応じよう、こういうふうにお考えになっていらっしゃると思うのですね。これは私がそのように理解しておいてよろしゅうございますか。私どもの経済情勢、三年ぐらい前とことしではいろいろな意味で大分違ってきていると思うのです。だけれども、政府がこれをお考えになった段階では大体同じ路線の上で考えている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  117. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 国際開発金融機関に対する出資でございますが、このわが国のシェアは相対的に見ますと、日本の経済の実態から見ますとこれはむしろ低いのではないか。その理由といたしましては、日本がこれらの各種の機関加盟した時期が大分後でございます。加盟の時期がおくれたためにどうしてもシェアが低くなっている。その後、日本としては相当シェアの増加に努めてきておりますけれども、一つの国のシェアが上がればやはり一つの国のシェアが落ちるというようなことがございまして、これは必ずしも日本国一国だけで解決できる問題ではございません、各国との協調を図りながらシェアの拡大を図っていかなければいけないというふうに考えております。  従来からも国際開発金融機関に対する増資の御審議をいただく際に、常にわが国のシェアの問題についていろいろ御審議いただいておりまして、むしろ国際復興開発銀行等のそういう機関に対する出資に当たっては、日本のといいますか、各国の経済の実態がよく反映するように努力すべきだ、具体的には日本の場合にはもっとシェアのアップを図るべきではないかという附帯決議をいただいているわけでございまして、私どもとしましてはただいまのところでは、できる限りひとつシェアアップを図っていくというふうなそういう過程にあるわけでございます。
  118. 高橋高望

    高橋委員 それはいろいろの御解釈があるでしょう。私は少なくともここのところの日本の国の経済環境から言って、そういままでの路線を踏襲した考え方、いわば絶えずおつき合いのいいやり方だけで済まされる状況では必ずしもないと思っているのです。だからこれは冒頭ちょっと伺ったように、アメリカなどはただ単に戦後の世界経済の復興に協力したというよりも、御自分の国の中の都合だってずいぶん考えてやっていると思うのですよ。ですから、日本でも余り人のいいことでおやりになるというよりも、したたかな連中を相手にしてしたたかな行動をとらなければいけないのじゃないか。これは一つの私たちの案でございます、考え方ですから、決してそれが絶対的なものとは思いませんけれども、考え方としてはある程度ペースダウンをする時期に来ているのじゃないか。むしろ調子のいいときばかりたくさんやって、だめになったら全然やらないというよりは、その辺は弱めつつも実情を十分に各国に理解してもらって、そして無理のない範囲内で展開していくということも考えなければいけないのではないか、そんなふうに私は思っておるのです。  というのは、後段お伺いしようと思いますけれども、最近のこういう援助要望する国は、お考えになっておられるほど、逆な言い方をすれば、われわれが考えている以上に大変巧妙にもなり、ある場合にはだれかアドバイザーかコンサルタントがいて、非常に上手に金を持っている国々から金を引き出していくという傾向がないでもないと私は思うのです。ですからそういう点を踏まえて、われわれとすると血税ですから、国民の立場に立った場合に、ただ単なる路線の踏襲というようなことではなしに、その時代その時代に応じた処理の仕方をしていただかないと、税金を払っている立場ではかなわぬ。私は何だかんだと言ったってやはり主体は私たちの国の生活、国民の生活がまず基盤になるべきであって、外づき合いをよくして自分の家が窮屈なことをする必要は何もないと思うのです、そういう点では。ですから、これはお考え方がいろいろありましょうけれども、私はそのように解釈しますので、何かのときに一つ考え置きになっていただきたい。  この問題については、これでとどめさせていただいて、私は技術協力というもの、あるいはいままでの経済協力の実態というものをもう振り返る時期に来ていると思いますので、きょう通産省の方もいらっしゃっておられるようなんでお伺いします。  実は御承知の製鉄事業で、いまの新日鉄さん、皆の八幡さんがめんどう見られたマレーや八女のその後の日本協力した変化というものをひとつ御説明いただけませんですか。
  119. 林俊太

    ○林説明員 マラヤヤハタ製鉄所は日本側とマレーシア側の合弁会社でございまして、一九六五年に会社が設立されておりますが、まず役員の数について申し上げますと、一九六五年の会社設立の際は十三人の役員中、日本側の役員は八人でございました。残りはマレーシア側でございます。それがその年の十二月には十六人中八人、六七年の五月には十人のうち五人、六八年の五月には十二人のうち五人、それから七五年の四月には十二人のうち三人というふうに次第に日本側役員の比率が低下しているわけでございます。  次に、出資比率の推移につきましても、六五年の会社設立の際は日本側が四九%、残りの五一%がマレーシア側の出資比率ということでございましたが、その後六七年の三月に現地側の資金不足で一時日本側のシェアが五五・八というふうにふえておりますが、その後は低下しておりまして、六八年八月には三九%、七五年六月には二八%というふうにいわゆるマレー化政策の現地側の方針によりまして、出資比率につきましても日本側のシェアが低下しておるということでございます。
  120. 高橋高望

    高橋委員 通産宿の方にもう少しお伺いしたいのですが、マレーシアが株のシェアをどんどん日本の分を低くしてきている、この裏側にはどういう向こうの方針が出ていたのでございますか。
  121. 林俊太

    ○林説明員 私どもが聞いておりますところでは、現地側のマレーシア政府のマレー化を進めるという政策がございまして、それで日本側もその向こうの方針にのっとって出資比率を下げたというふうに伺っております。
  122. 高橋高望

    高橋委員 当時というか、いまでもそうでしょうけれども、新日鉄さんというような大企業で力があり、また何らかのほかの裏づけもあったからこういうことができたのだろうと思いますけれども、大蔵大臣、このこと一つでもおわかりのように、マレーシア側の政策ということその理由だけで、仮に新日鉄さんがこれに反対していやだと言っても、向こうが法律をつくるとそういうふうに変わっていっちゃうわけです。そして気づいたときには、シェアはもちろんのこと、恐らく日本側は役員ばかりじゃなく従業員だってかなりいなくなっていると思うのですね。  いままでの私の経験からいけば、恐らく最初はいわゆる総務部門までも日本人が行って指導していたものが、最終的に残っているのは生産技術かあるいは品物の検査くらいをやる人だけで、あとはほとんど国外へ出ていってほしいということを間々言われるわけですね。こういう動きの中で、これから先の発展途上国援助問題というのは何か基本的に考えないと、いいところだけとられてしまって、そして気がついたときにはコンペティターになる方はまだむしろいい方で、全部が向こうのものになってしまって、日本の方は御苦労さんの一言くらいもないで終わってしまうというケースが出てくるのじゃないかと私は思うのです。こういう中での南側の国々に対する配慮というものについて、経済関係閣僚としてどんなふうにいまお考えでいらっしゃいますか。
  123. 金子一平

    金子(一)国務大臣 特に私のいままで直接聞いておりますところでも、南米各国の民族自決によるというか、革命による独立政府の急進的な経済自立の声が高まっている中で、やはり相当そういった問題が起こりまして、日本企業も大変困っているという例も幾つか見受けておるのでございますが、そういうような急激なる経済の変革によって資本の対外交流を絶つことがかえって、経済自立を弱める結果になっていることもこれまた事実でございますので、そういう点はやはり関係各国と十分意思を疎通させながら極力、門戸を開放するように日本の立場としては進めていかなければいくまいと思うのです。経過的にはいろいろなことが、特に独立意識の強いところではあろうかと思うのでございますが、長い目で十分先方とも接触をするとともに、また、そういう危険のある地域につきましては、企業をよく行政指導をしてやるということが大事なことであると私は考えております。
  124. 高橋高望

    高橋委員 私、大臣のお考えありがたいので、やはりいい意味での政府の行政指導というか、相手が相手だけに二階へ上がってはしご段がなくなってしまうようなケースがたくさん出てきておりますから、これは仮に民間ベースのものであってもその必要があるくらいでございますから、何か政府全体の動きとしてもお考えになっていただきたいな、こう思うわけです。  そこで、最後に伺っておくのですが、こういうアフリカ開発基金なんかの場合の基金としてアフリカ州に対してやるものと二国間でやるものとの兼ね合いで、これはアフリカ州の場合には何かトラブルのあった歴史はお持ちはないのでございますか。
  125. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 援助やり方二つございまして、一つは、二国間の援助、直接相手国に対して与える援助でございますが、それと、いま御審議いただいておりますような国際開発金融機関を通じて援助するいわゆるマルチの援助と、援助やり方として二つあると思います。  それで、その比率がどの程度がいいのかというのは、いろいろ議論はございますけれども、私どもとしてはやはり二国間の援助というものが基本的には重要だと思っております。しかしそれと同時にまた、国際開発金融機関を通ずる援助も、これはそれぞれの専門家がその金融機関にいるわけでございまして、その専門的な能力を使っていけるという点で援助がより効率的に行われる、そういうメリットが一つございます。それから、アフリカの詳しい事情ということになりますと、日本側としてもなかなかわからないということがございます。そういたしますと、アフリカ開発基金のような専門的な国際機関ではいろいろ十分な情報を持っている、そういうものが利用されていくということで、また援助の効率が上がっていくということでございまして、私どもは特にアフリカに対する二国間の援助で何か問題があったというようなことはいままで聞いておりませんし、問題があったからまたアフリカ開発基金の方の出資をふやしていっているということではないわけでございます。私どもとしましては、バイの援助もマルチの援助も両方重要だということで進めてきておるわけでございます。
  126. 高橋高望

    高橋委員 そこで、ASEANなんかでも、ASEAN全体に対して援助をもらった、ところがこれの使い方に対しては各国が争奪戦をやって、表に出てこない非常に陰惨な争いをしていることも私たちの知らないところではないわけですね。この基金の使い方について、アフリカ州の内部でいろいろトラブルが起こっているということはないのでございますか。
  127. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 アフリカ開発基金の貸し付けのやり方につきましては、個々に一件ごとに理事会において審議されているわけでございます。この理事会には各国の理事が出ております。アフリカ域内の理事が六人、それから域外の理事が六人出ている。日本もそのうちの理事一つを占めているわけでございますが、この理事会を通じて十分検討をやっておるわけでございまして、各国間の奪い合いというようなことで適正な融資が曲げられるということはいままでになかった、今後ともまたあるべきでないと考えております。
  128. 高橋高望

    高橋委員 私もいまのところ、アフリカに関してはその問題はないように伺っておりますけれども、そうは言いながらも、やはりいざお金が入ってくれば、何かといろいろ問題が後々出てくるおそれもなきにしもあらずなので、どうかひとつそういう意味では、十分な理事としての御発言の中で実際の経済協力の実を上げていただきたいとお願いいたします。  最後に、大臣にお伺いしておきたいのは、どうもわれわれの国はこういうことにお金を結果的にはたくさん出している割りに何かと評判が悪いのですけれども、この辺についてはどんなふうにお考えになるか、また今後どんなふうにされようと思いますか。たとえば私などに言わせると、一番最初にお金を出す割り当てが決まっているときにぐずぐずしているうちに、同じ出すものがタイミングを失って日本だけがおくれたとか、あるいは出し渋っているとかいろいろなことを言われて、結果的にずいぶんと国際社会でマイナスがあるように思うのですけれども、この辺はいかがでございましょう。
  129. 金子一平

    金子(一)国務大臣 おっしゃるように、経済的にめんどうを見ておる割りには喜ばれていないのが事実のようであります。いろいろな理由がございましょう。ございましょうが、やはり一つはおっしゃるように、なかなか踏ん切りがつかないでぐずぐずしておって最後にぱっと出すという問題もありましょう。やはり心のこもった贈り物だという気持ちをよくあらわしてないのではないかという感じも正直のところあるのですよ。そういう点につきまして、これから十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  130. 高橋高望

    高橋委員 ありがとうございました。終わります。
  131. 加藤六月

    加藤委員長 安田純治君。
  132. 安田純治

    ○安田委員 今回の改正は、これまでの世銀やアジア銀行などの国際援助機関に対するわが国追加出資やり方、つまり追加出資のたびに法律改正を行って当大蔵委員会で審議採決するというやり方を根本的に改めて、法改正抜きに予算の限度の範囲で自由に出資できるようにしたことは、こうした国際援助機関の融資内容などを国民の監視の目から遠ざけるものとして私は大変遺憾に思うわけであります。  この点につきまして、午前中から同僚委員の方々からもいろいろ質疑がございましたけれども、その質疑中身をまとめてみますと、予算の方に移した理由は、国際機関の資金需要が増大して追加出資の頻度が多い、こういうことをおっしゃったわけでございます。そして、金額予算で審議される、また、当委員会でも所管事項としての審議ができるという話ですが、問題は、審議の中身もありますけれども、採決権の問題として一つは当委員会で採決することがなくなる、これは重要な問題だと思います。それからもう一つ、国際機関の資金需要増大、追加出資の頻度が多くなってきているという御答弁があったわけですが、そうすると、いままでこういう法改正をその都度行うという形で不便があって、都合が悪かった事実が過去にあるかどうか。  それからもう一つは、いま挙げた御答弁の趣旨から見ますと、他の国際機関についても漸次といいますか、一遍にかどうか知りませんけれども、そうしていくつもりなのか。たとえば国際通貨基金及び国際復興開発銀行への出資の問題、あるいは国際開発協会への出資の問題、あるいは国際金融公社への出資の問題、それからアジア開発銀行への出資の問題、こういう問題があると思うのですね。先ほどの御答弁で、国際機関の資金需要が増大して追加出資の頻度が多くなっているので弾力的に云々というお話ですと、いま私が挙げたような国際機関の部分についてもこういうふうにしていくということに理屈の上ではなるように思うのですが、その辺はいかがかお伺いします
  133. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 最初の、今回の改正でその限度額予算の方に移すということに改めていただきたいという理由でございますが、これは先ほどから申し上げておりますように最近、そういう国際開発金融機関増資の頻度が非常に多くなってきているということで、それに機動的に対処していきたいということでございます。それがまた同時に、わが国の国際協力に対する積極的な姿勢を示すことにもなると私ども考えていまして、従来からも法律的にもまた、米州開発銀行の特別業務基金あるいはアジア開発銀行の開発基金に対する拠出につきましては、すでに同じような前例があるわけでございますので、ぜひこの際、こういう形に変えさせていただきたいというふうにお願いしているわけでございます。  具体的な事例として、たとえばアフリカ開発基金で申しますと、先般の第一次の増資のときの不足分が出て、それに対する追加出資を今回するとか、あるいは米州開発銀行の出資につきましても同様に、前回の出資の際に資金不足が生じまして、それについての増資をするというような事態が出てきておりますので、仮に予算の面で御審議いただけるということが認められておりましたならば、もう少し早くそれの承認が得られたということも考えられ、機動的に出資に対処し得たということも言えるのではないかと思います。  それから第二番目の、今後世銀とか国際金融公社またアジア開発銀行、そういう機関について同様の追加出資の問題が起きたときにどうするのかという御質問でございますが、この点につきましては、私どもそれぞれの機関の機能には若干違いがあると思います。世銀の場合には全世界を対象とした機関でございますし、アジア開発銀行の場合には地域的な銀行であるというような違いはございますけれども、資金調達の面につきましては大体類似のものであるということが言えると思いますので、私どもとしましてはやはり今後、それぞれの国際機関のそういう増資の頻度、資金需要の頻度というようなことももちろん検討しなければなりませんけれども、できますればこれらの機関につきましてもひとつ今回の場合と同じように、法律では包括的な規定をいただきまして、予算でその限度額を定めていただくというような形にしていただけないかというふうに考えておりますが、この点につきましては、またその時点において検討していきたいと思っておる次第でございます。
  134. 安田純治

    ○安田委員 いまの御答弁ですと今後、そのほかのものについても今回の法改正のような形でやっていきたいというお考えのようですが、確かにいまの御答弁の理屈から見ると、頻度の問題から言えば、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の追加を見ましても、何回もやっていますね。それから国際通貨基金の場合もそうです。ですから、頻度の問題なんかを言えば、これは米州やアフリカ問題だけじゃなくて、理屈は一緒のことになってしまうと思うのです。  ところが先ほど申し上げましたように、どうもそういうふうになりますと、実際問題としてそれは予算の中で審議されるといっても、国民の目から遠ざかってしまうのじゃないか。予算総則でと言っても、本年度の予算書を見ると、先ほども沢田委員からもあったようでございますが、応募総額が記されているのみであって、毎年の実際の払い込み額とかは歳出予算の中に全くあらわれてこない。経済協力は二国間の協定であれ多国間であれ、その内容を十分国会で審議して、国民にその内容を十分に明らかにしつつ進めていくことが必要だと私は思うわけです。特に今回の改正のような国際機関の場合に、日ごろ国民となじみが薄くて何をやっているのかよくわからないわけでありまして、先ほどの沢田委員アフリカ問題について大分そこを詳しく質疑されましたようですが、このようなものこそ融資の内容などについての資料を国会に提出して十分審議することが必要だというふうに思うのであります。  今回は、アフリカと米州の二機関について従来の増資方法を改めて、法改正によらない方法をとるようにするわけでございますが、今後IMFや世銀、それからアジア開発銀行などの他の国際機関については、そういう方向に変えるべきではないと私は思うわけです。その機会が来たらその都度審議願いたいという御答弁ですが、どうも私どもはいま述べたような趣旨から、だんだんこういう国際機関に対する出資の問題について国民の目から事実上遠ざかっていくということではないかと思うのですが、大臣、その点いかがですか。
  135. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 今回の改正におきまして、限度額の規定の仕方が予算に移るわけでございますけれども、しかし、予算におきましては国会で御審議をいただくということは当然のことでございます。それからまた、先ほども御答弁申し上げましたけれども、これらの各種の機関は大蔵省の所管の機関でございますので、当然当大蔵委員会において御議論をいただけるものと考えております。そういう観点から、増資がありました際には、その増資内容につきまして御報告申し上げますし、また資料も御提出いたしまして、当委員会において十分御審議いただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  136. 安田純治

    ○安田委員 これは特に大臣に御答弁願いたいのですが、いまの政府委員の答弁のように、ほかの国際機関についても随時今後こういう予算の方に移していくやり方をとりたいというような意味に聞こえたのですが、大臣、最高責任者としてどうですか、そういうふうな方針なんでしょうか。
  137. 金子一平

    金子(一)国務大臣 これからやはり増資の機会も頻繁になってこようと思いますし、予算で御審議いただくことは当然でございますけれども、従来からいろいろ御審議いただいておる大蔵委員会の皆様にも御報告を申し上げ、いろいろ内容についても御検討をいただく機会は今後持つことにして、できればひとつほかの国際機関についても予算で一括してというようにただいまのところでは考えておる次第でございますが、そういった点につきましては、個々の具体的問題が出ました際に改めてまた御相談申し上げたいと思います。
  138. 安田純治

    ○安田委員 じゃ問題を変えまして、今回の増資によりましてわが国は、アフリカ開発基金に対する域外国の出資者としては最大の発言力を持つことになるわけだと思います。わが国が本当にアフリカ諸国にとって期待される協力者となれるのかどうかがまさに問われているのではないか。そこで、わが国と南アフリカ共和国との関係についてお尋ねをしたいわけでありますが、南アフリカ共和国は周知のように、そのあからさまなアパルトヘイト政策によって、国連などでも総会のたびごとに同国と経済関係を断つべきであるとの決議が採択されております。ところが日本を含め西欧諸国は、この決議にも反して巨額の投資を行っていることが、国連の反アパルトヘイト特別委員会などで何度も報告されているわけであります。つい最近では、四月二日の反アパルトヘイト特別委員会で、西欧諸国の銀行が七二年以降五十五億ドル近い融資を行ったと指摘しておりまして、日本の銀行もロンドン支店を通じて数件の融資をしたと報告されたと日本の新聞報道に出されているわけですが、外務省に伺いますが、この事実は間違いないかどうか、もし間違いないとすれば、日本の銀行がロンドン支店を通じてというのはどういうケースなのか、この報告の中に書いてあるかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  139. 川上隆朗

    ○川上説明員 お答え申し上げます。  四月二日に国連におきまして反アパルトヘイト特別委員会が開催されまして、新聞報道にありますように、この反アパルトヘイト特別委員会が民間会社、コーポレート・データ・エクスチェンジという会社でございますが、そこに委託して作成せしめておりました「対南ア銀行融資」というタイトルの報告書が同委員会に提出されたわけでございます。その場で若干の審議が行われたわけですが、わが方としましては、国連代表部からその報告書の日本関係部分につきまして報告を受けております。  それで、右の報告によりますれば、本邦の銀行等の在欧州あるいは米国にある現地法人が南アフリカに対しまして、証券投資や融資を行っているという記述があるということでございます。わが方としましては、この報告書自体をまだ入手しておりませんので、これを入手の上でその全体を検討するつもりでおります。
  140. 安田純治

    ○安田委員 大蔵省に伺いますが、わが国の南アフリカ共和国に対する投融資状況はどうなっているのか、また、わが国は国連の決議を受けて同国に対してどういう経済措置をとっているのかということについてお伺いしたいと思います。  時間がございませんので、事前にお話し申し上げておきますけれども、実際にはわが国は南アフリカのアパルトヘイト政策に対して、輸出収入を国内にとどめおいてこれを投下しているなどのかなりの資金協力を行っているというようなことが、現地のいわゆる解放運動の機関誌などからも言われておるわけであります。これは参考までに申し上げておきますと、南アフリカアフリカ人民族会議機関誌「セチャバ」というのがございますが、一九七八年第二号に「アパルトヘイトヘの日本の貢献」という論文が出ております。その中を見ますと、「輸出収入を南アフリカに留めることにより、巨額の資本を投下することに成功した。」とか、トヨタ、日産、三菱という名前も挙げておりますが、「これは、南アフリカヘの投資を禁止するという日本政府の公式の政策を無効にするものである。」それから「日本のいわゆる南アフリカヘの投資禁止は、商社営業所および同種の販売施設への投資の許可を含め、数多くの抜け穴をもっている。さらに、他の国、たとえばスイスに登記された日系会社からの投資という禁止政策のすり抜けもある。」というようなことが論文の中に書かれているわけです。  これは論文ですから、出所がどうかということになってきますけれども、そこへもってきて先ほど挙げた四月二日の反アパルトヘイト特別委員会の報告がある。これは一応国連に出したものですからオフィシャルなものだと思うのです。そういうことになりますとどうも私どもとしては、国連の再々の決議にかかわらず、南アフリカとの関係について日本が他のアフリカ諸国や世界の国連加盟国から余りよく思われないような結果が生じているのじゃないか。先ほど同僚委員も質問しましたように、それが金を出すわりに余りよく思われないというものの一つの大きな理由ではないか。この間国連の安保理での選挙でも負けましたけれども、そういうことを十分考える必要があるのじゃないかと思いますが、この点、大蔵省に伺いたいと思います。
  141. 宮崎知雄

    宮崎(知)政府委員 南アフリカに対する直接投資の扱いにつきましては、私ども国連の決議の趣旨に沿いまして、一般の対外投資につきましては届け出で足りるということにしておりますが、南ア向けのものにつきましては大蔵大臣の許可が要るということにしておりまして、その許可をしないということでこれを規制しております。  それから、先ほど御指摘日本の銀行の貸し付けの件でございますが、これは海外の現地法人でございますので、わが方の法律の適用の及ばないところでございます。しかしながら私どもとしては、できますれば、事実が明らかになりますればある程度その親会社を通じて、そういう投資については慎重を期するようにというような指導をすることは可能かどうか、これは検討してまいりたいと考えております。  それから、貿易の問題で実質的な投資が行われているのではないかという点につきましては、通常の形でございますとそういうことはないのではないかと思いますが、これは通産省の方の所管になっておりますので、そちらの方にお聞きいただきたいと思います。
  142. 松田岩夫

    ○松田説明員 ただいまの点でございますが、輸出貨物代金を本邦に回収しない場合、御指摘のように輸出先の現地にプールしておくような場合には、標準外決済方法ということになっておりまして通産大臣の承認を要します。いま問題にされておられます南アフリカ向けについて、トヨタ、日産等のお話が出ましたので自動車について調べましたところ、すべて標準決済方法で輸出されておりまして、代金はすべて回収されております。したがいまして、先生御指摘のような事実はないものと了知しております。
  143. 安田純治

    ○安田委員 たとえば現地の南アの法人に組み立てをさせるというような場合なんかいろいろ考えられますので、その場合に、なるほど未完成の、組み立て前の自動車の代金としては一応形の上では回収しておるということになっておっても、実際は相当現地の会社の利潤という形で移すことは、実際上は可能な部分があるのじゃないか。私の引用した「セチャバ」という機関誌は論文ですから、必ずしもどういう方法ですり抜けているかということがわかりませんので、これからわれわれも研究してみたいとは思うのですが、とにかくそういう非難が実際あることは事実ですし、国連でもこういう報告がされておるということをひとつ大蔵大臣に十分認識していただきたいと思うわけであります。  最後に、時間がございませんので伺いますけれども、通常の貿易の問題です。  輸出貿易管理令によって、通産大臣の承認を要するものとして、品物の種類によって仕向け地でいろいろ承認が必要なものがある。ところが南ローデシアだけは、品物の中身にかかわらず全部通産大臣の承認という形になっておる。これは時間がございませんので私の方から申し上げますと、私の方の考えでは、国連の決議の中で南ローデシアについては、加盟国に義務づけるような非常に強い決議がございまして、それで南ローデシアは品種を問わず承認事項になっておるのだというふうに考えますけれども、しかし南アに対する問題は逆に、そうなればなるほど日本の国が自主的に——南ローデシアの場合は加盟国に強制されるものですから、これはいわば国連にげたを預けたといいますか、そういうことになってもいいのですが、南アの場合にはそうでない勧告的なものであればあるほど、むしろ日本政府が自主的に判断をした責任を問われる可能性があると思うのです。そういう意味でこの輸出貿易管理令の中で、南ローデシアだけが特別に品物の品目を問わず通産大臣の承認だ、南アの場合にはいわゆる甲地域という指定で、品目によってのものになっている。実際の運用はどうなっているかということ、これは南アに対する国連決議をどういうふうに日本政府が受けとめているかという姿勢を問われる問題ですから、その点について最後に伺っておきたいことと、結局わが国が他のアフリカ諸国からどうも非難の的となっている部分がこの南ア問題についてはあると言わざるを得ないので、貿易関係を含めて南アの現政権に対してきっぱりとした態度をとることが、今後の日本の対アフリカ外交にとっても重要であると私は思うが、この点どうか、この二つを聞いて終わります。
  144. 松田岩夫

    ○松田説明員 南アフリカに対しましては、一九六三年八月に国連の安全保障理事会で、武器、弾薬及び軍用車両というものの禁輸決議が行われております。先生御案内のように、この武器、弾薬、軍用車両というものにつきましてはこの決議以前から、いわゆる武器輸出三原則というものによりましてすでに厳重な輸出規制を行っておるところでございますが、この決議を踏まえまして、南アフリカ向けには武器、弾薬、軍用車両は輸出しないということにいたしております。さらに、軍用車両として使用される可能性のあります前輪駆動の自動車、つまりジープにつきましても、この決議を完全に実施いたしますために、これを輸出しようとする場合には特別に南アだけにつきまして承認を要するということにいたしております。そして軍用のものにつきましては輸出をしない、こういうことになっております。
  145. 安田純治

    ○安田委員 そのほかの答弁、軍用車両だけじゃなくて、そのほかの運用を聞いたのです。軍用車両はもちろんのことなんだけれども、それ以外のもの、ローデシアとの比較において。
  146. 松田岩夫

    ○松田説明員 ただいま申しました武器等一連のものを除きましては、輸出の面におきましては特に国連決議にもございませんので、他の国と異なった扱いにはいたしておりません。ただ、いわゆるローデシアヘのダイバージョンと申しますか、南アを通じますローデシアヘのダイバージョンが起こりませんように、私どもといたしましては輸出関係者に、四十九年でございますが、輸出注意事項というものを発しまして、わが国からの輸出が第三国経由でございましても、その最終仕向け地が南ローデシアであることを意図するような場合には、輸出貿易管理令違反として行政処分及び刑事罰の対象となるので十分留意されたいという注意書きを発しております。
  147. 安田純治

    ○安田委員 時間が来ましたので終わりますけれども、どうもまだきっぱりした態度をとっていないということを指摘して、だから日本の場合、いろいろお金を出す割りにはよく思われないという先ほどの同僚委員の質問をひとつ大蔵大臣も十分御考慮いただきたいということを強調しまして、質問を終わります。
  148. 加藤六月

    加藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、二十四日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会      ————◇—————