○村山(喜)
委員 この
伸び率が非常に高いものですから、一体それを消化できるだろうかという問題で、先ほど
竹本委員の方からも
質問がございましたが、その数字についてももう一回確認をいたしたいと思います。
そこで、
政府の発表いたしましたいろいろな統計数値を見てまいりますと、これは
経済企画庁の
国民所得動向でございますが、新しいSNAの資料によりますと、まだ五十二
年度末のフローとストックの表しか出ておりませんので、五十二
年度の中で現金預金の金融資産がどれだけ
伸びたかというトータルを見てみると、二十八兆ふえております、こうゆうような統計が出ております。それから、
大蔵省の金融特集、
財政金融統計月報の三二〇号によりますと、大体一般預金の
年度中増加額は三十兆という数字が出ております。
日本の国は、従来個人貯蓄率が非常に高いから、これによって個人家計部門が黒字である場合には、
政府のそういう公共的な投資に振り向けるとかあるいは民間の方に振り向けるという形で進めることが正しいのだ、こういうようなことで従来は
ケインズ流の
財政運営をやってきたわけでありますが、貯蓄率の高さというのは一体何を根拠にしているのだろうかというので、私もそのことに疑問を持ちました。たとえば住宅ローンの場合などは、林
政務次官も御存じのように契約貯蓄で、現物資産を取得して、その後は定められた契約に基づいて金を払ってまいりますから、それもやはり貯蓄勘定の中に入る、こういう統計でございます。それでわが党の北山愛郎副
委員長がいつも言っておられたのですが、どうも不可思議ですよ、貯蓄の中には自動車を買ったローンからあるいは住宅を買ったローンからそういうものまで入っているのだ、こういうような話をしておられた。
そこで私も、それは物の
考え方の問題でしょうが、国会図書館のレファレンスの三三七号を見ておりましたら、非常におもしろい力作で、石原義盛さんという人が分析をしていらっしゃるのに気がつきました。その中で、
経済的な統計のとり方、これはいろいろな角度によって、たとえば新SNAの場合には、理論的な数値を用いまして、それによって推計をしておるわけですが、それに比べて
大蔵省の場合には、実態報告で全部集計をして、そのトータルとしてあらわれたものだろうと思うのです。それで誤差が大分あるのだろうと思いながらも、貯蓄率というのは、
大蔵省が採用しているのは一体、どうなのだろう。
経済企画庁の
国民所得統計がございますね、これが一番高くあらわれるのですが、二一・二%の貯蓄率という数字があらわれている。それから総理府の貯蓄動向調査というのがあります。これはみんな五十二
年度を言っているわけですが、これによりますと一六・八、同じく総理府の全国勤労者家計調査によりますと一四・六、それから農林省の農家
経済家計調査ですか、これによりますと二一・五、いずれも貯蓄率が違うわけでございます。消費されないものは全部貯蓄だという概念でございますから、先ほ
ども申し上げましたように、住宅、土地購入も貯蓄、住宅ローンも貯蓄。民間金融機関の住宅ローンの五十二年十二月末の統計数字を見てみると二十三兆もあるのですね。
そこで私は、
国債に振り向けられる預貯金というものは一体何だろうかというふうに分析をしてみなければならないのじゃないか。石原さんの分析によりますと、金融資産貯蓄と実物投資と契約貯蓄、この三つの分類をしたらいいだろうということで、それによっていろいろ分析をいたしてみました。
経済企画庁の
昭和五十三
年度国民生活白書、勤労者世帯の貯蓄率の内訳というのを見てまいりますると、五十二
年度の貯蓄率は二二・五ある。ところが、さっき言いました流動性のある金融資産の貯蓄率は一一・六%しかない。うち、その貯金純増は九・七%にとどまっている。実物投資二・九%で、契約貯蓄が八%。金融資産の貯蓄率は年々低下を続けているわけです。
国債の消化に向けられるものは主としてこの金融資産の貯蓄だ、こういうふうに考えなければならないとするならば、貯蓄の
中身が変わりつつあるのじゃないか。そのことから、一体大丈夫なんだろうかという疑いの目を持ったわけでございます。
そこで、これは銀行局長にお答えを願わなければならないと思うのでございますが、
大蔵省は貯蓄率の高さというのはどういうものでとらえているのでありましょうか、これを説明してください。そしてさっき
竹本委員に、五十四
年度は三十六兆から三十七兆
伸びるというようなお答えをされたように記憶しているのですが、一体それはその内訳をどのように分類をしていらっしゃるのだろうか。私がさっき申し上げました金融資産貯蓄と実物投資と契約貯蓄、こういうようなものとの関係を分析をされていらっしゃるのだろうかどうだろうかということを説明願いたいと思うのでございます。