○竹本
委員 これはまあここで十分論議する場じゃないと思いますから……。ただ私は
土地問題、住宅問題を考える場合に、そういう基本的な掘り下げから議論を展開するなりあるいは
政策をひとつ考えてもらいたいという要望を含めて、初めからいろいろのことを申し上げた。しかし、いろいろいまおっしゃるように、五十億のどうのというようなこともありますけれ
ども、なかなか
国民に、これから再開発なら再開発で結構だが、本当に
政府は再開発中心にひとつやり直すのだということで、
国民にも
一つの大きなビジョンをむしろ与えるぐらいの
政策的な努力、取り組みがなければ問題の解決に余り役に立たない。顕微鏡的政治という
言葉がありますけれ
ども、顕微鏡にかけて見れば確かにそういう動きがないでもないといった程度の話では
国民にアピールはしない。やはり政治ですから、
国民にアピールしておるような
政策原理と取り組みが、基本的なものが
一つほしいということを申し上げたわけであります。
そこで、
大臣、時間がありませんが、最後に一言申し上げて、後で各論はひとつ皆さんに聞いてもらえばいいのですが、今度の
租税特別措置法で
土地、住宅
税制のところでぼくは根本的な誤りがあると思うのです。どういう誤りがあるかということについて申し上げる。
それは
一つは、先ほど来優良なる宅地あるいは
住宅地の
供給という問題について、何が優良であるかということについての基準がなかなかむずかしかった、議論が出ました。それも大きな問題です。先ほどの憲法二十五条と関係があって特に大事な問題だが、私は細かいといいますか、具体的な
税制の問題について
一つ申し上げてみたいのだが、そこで基本的な間違いというのは、
一つは、これは要するに、
譲渡益に税金をかけるという問題なんでしょう。いいですか、
譲渡益に税金をかけるという問題なんだよ。その問題と、都市
計画法がどうのこうの、
日本住宅公団がどうのこうのという問題で、要するに
土地の開発の問題と混同されている。開発は、ミニ開発は困るのです。私はやはり大きな規模で開発して、国土の総合的、基本的な利用を考えなければならぬ。しかしながら税金をかけるときには、
所得があって、金が入ったらそこに税金をかけるわけでしょう。その金がどこから入ってきたかということについて、百坪の
土地を売ったか千坪の
土地を売ったかということについて、金にどこに違いがありますか。
所得があればそれに対して税金をかける。その金の額によって、大きい小さいによって税の、
所得で言うなら
所得税の累進が出てくる、それはよくわかるんですよ。しかしながら金の質について、どういう方面から入った、どういう
譲渡益であるかということについて、税法がそこまで干渉するというか介入するということはおかしい。税は税だから、
所得のあるところへ税をかければいいのです。それがどういう大きな開発をやるかミニ開発であるかということの問題はむしろ建設省の問題であり、先ほど来申し上げた
土地開発の問題なんです。そこで
土地開発のときには、大規模開発でなければ困るし、ミニ開発は困るし、あるいは家の建て方についても、建築基準法でいろいろ議論がやかましくありますが、細かい規定がある、当然だと思うのです。こちらで、建設省の
範囲内において本格的に規制をし、パブリックコントロールを行わなければならない問題と、入った
譲渡益に税金をかけるというときの問題とは質的にまるっきり違うと思うのですね。
それが、この条文をよく見ればひょっとして、
高橋さん非常に頭がいい人だけれ
ども、思いつきで、これはちょうどいい、都市
計画があるからといって、都市
計画法に規定しておるような条文を全部、「都市
計画法の開発許可を受けて行う面積一千平方メートル以上の
住宅地造成の用に供するための
土地等の
譲渡」とかなんとか、この条文を全部見てごらんなさい、皆都市
計画法を受けてきていますよ。都市
計画法というのはいま言ったように、総合
計画という都市
計画からきておるのであって、それはミニは困るとかいろいろな問題が出るのが当然なんです。しかしながら、いまわれわれが住宅問題として問題にしておるのは
二つありまして、
一つは庶民の住宅をいかに確保するかという問題が
一つ、それからその
土地を売った人に対する税金をどうするかという問題が
一つ、特に税金について言うならば、その税金を少しまけることによってなるべく
土地を早くはき出させるようにしようという
土地の流動化の問題、税金の問題と、ミニ開発の問題とまるっきりそれぞれ次元が違うのです。それをこの
租税特別措置法は全く、「次に掲げる
土地等の
譲渡に係る
長期譲渡所得」云々ということからきて、全部都市
計画法にいまおっかぶさっている。おっかぶさっているのはいいけれ
ども、考え方の根本が、都市
計画法の頭をそのまま使っている。
そこで、私は
大臣に後で詳しく
報告もしてもらいたいし、
大臣にも考えてもらいたいと思うのは、開発はミニ開発は困るのですよ。ミニ開発が困るというならば、それはミニ開発が困るような規制をそちらでやればいいのです。こちらは、開発のためあるいは住宅に供するために
土地を売って、その入ったお金に税金をかければいいのですよ。その相手が甲であるか乙であるか丙であるか、そんなことは余り関係ない。要するに入ったお金に税金をかければいいのです。ですから、それは
税制が一応の
政策目的を担って立つ場合もあるから、なるべくならば公用地に
土地を売るようにしようという、これが発想のもとだと思うのですよ。しかし、そのときの考えは一応はよくわかるけれ
ども、考えてみれば、まず第一に、
土地売買の実態というものを考えてみると、私もいろいろ調査してみるけれ
ども、いま東京では中古の住宅の売買が五〇%を超えているのですよ。宅地じゃないですよ。だから中古の住宅の売買は五四%くらいになるのですよ。五〇%を超えている。しかも今度は新築住宅はどうかというと、大体が平均二十坪ですよ。大きいところが二十五坪。先ほ
どもいろいろ議論が出ましたけれ
ども、そういうところしかないんで、今度この
政策の
一つのねらいというものが住宅
供給の
土地の流動化を大いに図ろうというならば、庶民が使う
土地、庶民が買う
土地の流動化を図らなければ、三井や三菱がやるような
土地の大きな開発がどうのこうのいうような議論をしてみたって次元が違うのです。だから
一つは、この
租税特別措置法の
改正は一体何が目的なのか。ミニ開発の抑制をしようというのが目的なのか、地価の安定を図るのが目的なのか、都市
計画法に基づく開発を
促進するというそれが目的なのか、あるいは私が言っておるような宅地の
供給そのものが目的なのか。庶民が必要としているのは宅地の
供給なんですよ。その宅地というのはいま言ったように、建てるときは大体二十坪、古い家で大体五十坪。それから東京都のいろいろ調べを見ましても、東京都の中で大体地域によっていろいろ違いますけれ
ども、全体として見れば、東京都の中で二十三区ですか、区の方から見ましても、区内で個人宅地所有者の割合を見ると四〇・五%まで百平米以下なんですよ。だから、
供給源が百平米以下が四〇・五%。それから、郡部は少し変わっておりますけれ
ども、それでも二割は百平米以下なんですよ。だから、いまから家を建てたい、
土地を買おう、サラリーマンが家を買おうといった場合に、千平米以上の
土地を買おうという人は、大蔵省の局長なら買えるか知らぬけれ
ども、普通は買えませんよ。だからそういう
意味から言うと、われわれ一般庶民が買える
土地の
供給がふえるような、そういう手を打たなければだめですよ。
ところが、いま言ったように二十坪、せいぜい二十五坪だ、中古の家で五十坪だというときに、千平米だなんていう都市
計画法の考え方をそのまま持ってきてここへ移して、そういう
法律をつくるというのはどういうわけだ。いや、それはミニ開発は困るからやるんだというならば、それは国土利用
計画法なり都市
計画法を改めればいいでしょう。そっちを変えていらっしゃいよ。あるいは先ほど言ったように、
土地の再開発法を生かして、東京都はいまから三カ年か五カ年
計画でこれだけ確保するんだというそういう基本
政策を立てる、そういう基本的な
法律体制をつくる、それは結構ですよ。ところがいま言っているように、いま必要になっているのは、われわれが言うのは庶民の住宅、それに必要な
土地の
供給を
促進してください、流動化をさしてくださいということ。そうすると、その
土地が流動化するように四〇%を二〇%にするとか二千万円を四千万円にするとかいういろいろ努力は、そういう庶民のための役に立つ
土地の流動化にやる、そういう
法律でなければならぬ、こう思うのですね。だから私に言わせますと、東京都におけるサラリーマンの必要としている
土地の大きさ、それから東京都で残っておる空き地というか
土地の
あり方、その両方から考えてみて、一体何をこの
法律はねらっておるのかわからない。もしミニ開発は困るというならば、ミニ開発規制の別の
法律でしっかりやりなさい。庶民のための
土地と言うならば、庶民が買う
土地がより多くより早く流れ出てくるような
法律にしなさい。それにはいま言ったように、二〇%なら二〇%を——極端に言えばただし書きなんかほとんど全部要らない。公共のために必要だとかなんとかというのは、たとえば公用地の先買い権もありますから、そういう
法律をつくって公用地は公用地で獲得するということをぼくは
一つも異論はないのですよ。庶民の住宅という基本目的を誤ってはならぬということを言っておる。この点をひとつ伺いたい。