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1979-04-25 第87回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十五日(水曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 古川 喜一君    理事 楢橋  進君 理事 山崎平八郎君    理事 山下 徳夫君 理事 岡田 利春君    理事 中西 積介君 理事 野村 光雄君    理事 稲富 稜人君 理事 山本悌二郎君       倉成  正君    篠田 弘作君       浜田 幸一君    岡田 春夫君       多賀谷真稔君    細谷 治嘉君       鍛冶  清君    権藤 恒夫君       安田 純治君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君  委員外出席者         参  考  人         (電気事業連合         会専務理事)  長橋  尚君         参  考  人         (北海道電力株         式会社社長)  四ツ柳高茂君         参  考  人         (電源開発株式         会社総裁)  野瀬 正儀君         参  考  人         (日本鉄鋼連盟         専務理事)   奥村 虎雄君         参  考  人         (日本ガス協会         副会長)    柴崎 芳三君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   中村 重光君     多賀谷真稔君   稲富 稜人君     山本悌二郎君 同日  辞任         補欠選任   多賀谷真稔君     中村 重光君 同日  理事稲富稜人君同日委員辞任につき、その補欠  として山本悌二郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月三日  石炭鉱業復興基本法案小笠原貞子君外三名提  出、参法第四号)(予) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  石炭需要拡大等に関する陳情書  (第二二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  石炭対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 古川喜一

    古川委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として電気事業連合会専務理事長橋尚君、北海道電力株式会社社長四ツ柳高茂君、電源開発株式会社総裁野瀬正儀君、日本鉄鋼連盟専務理事奥村虎雄君及び日本ガス協会会長柴崎芳三君の御出席をいただいております。  この際、参考人各位委員会を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  御高承のとおり、目下、国内炭生産維持等を柱とする第六次石炭政策推進されておりますが、わが国石炭産業関係者需要業界等の御協力を得て、この路線に沿って経営の安定を図りながら生産体制を改善し、もって供給の安定に努めております。  石炭は、わが国においても、原子力等とともに、石油への過度の依存を逓減させるために必要欠くべからざるエネルギー資源であることは言うまでもありませんが、わが国石炭産業を取り巻く諸情勢は厳しく、業界にはいろいろの問題が山積いたしております。  当面している貯炭問題もその一つであります。経済の不況に加え、円高による海外炭との価格差が要因となり、国内炭引き取りが減退し、貯炭適正在庫を大幅に上回り、この貯炭企業経理に対する大きな重圧となっております。関係者の話によりますと、かかる状態長期化し、その対策としての生産水準の引き下げを五十五年度以降も引き続き続けていくと、生産構造を根本的に破壊し、炭鉱の存続問題にまで発展するということであります。  一方、総合エネルギー政策観点から考えますと、今後の石炭需要拡大に応じ、国内炭利用とあわせて海外炭開発輸入円滑化を図らねばなりません。そのためには開発輸入体制整備は喫緊の課題であると考えます。  当委員会においても、設置以来国民生活の安定という見地から石炭安定供給については真摯な態度で取り組んでまいりました。  つきましては、参考人各位の方々には、総合エネルギー政策一環としての石炭政策全般について忌憚のない御提言を御披瀝いただき、参考人各位の御意見を当委員会調査に反映させていきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  なお、参考人各位からの御意見の開陳は、議事の都合上、まず十五分程度にお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます一  それでは、まず長橋参考人お願いいたします。
  3. 長橋尚

    長橋参考人 御紹介いただきました電気事業連合会専務理事長橋でございます。  かねてより本委員会の諸先生方には、当業界石炭使用に関しまして格別の御高配を賜り、ありがたく存じております。本日はまた、主要な発電用燃料でございます石炭につきまして、当業界におきますその利用現状見通し並びに今後の石炭利用拡大のために抱えております問題などにつきまして御説明申し上げる機会を与えていただきましたことを、厚く御礼申し上げます。  まず、電気事業における石炭利用現状と今後の見通しから述べさせていただきたいと存じます。  昭和三十年代後半に入りまして、世界的なエネルギー流体化が進みます中で、電力事業は国の石炭政策に全面的に御協力申し上げてまいりましたが、四十年代に入り、環境規制強化立地上の制約が一段と厳しさを増すに至りまして、石炭から石油への転換を急速に進めざるを得ない情勢に相なったのでございます。  しかし、昭和四十八年秋の石油危機を契機といたしまして、エネルギー源多様化を急ぐ必要に迫られ、電気事業におきましても、原子力中心LNG等の非石油系燃料導入による電源多様化を積極的に進めてまいりましたことは、すでに御高承のとおりでございますが、ここ数年来の国際エネルギー機関世界各国エネルギー政策動向を踏まえまして、石炭につきましてもこれを再評価し、中長期的観点から燃料多様化一環として積極的に利用拡大を図る努力をいたしておるところでございます。  昭和五十三年度末の九電力会社及び電源開発会社発電設備合計は一億三百万キロワットでございまして、そのうち石炭火力は三百七十万キロワットとなっておりますが、会社別には、北海道電力百十五万キロワット及び電源開発会社百四十三万キロワットがその大宗を占めております。  一方、五十三年度中の石炭使用状況は、九電力及び電源開発会社合計十社の受け入れといたしまして七百三十七万トン、うち国内炭は七百十六万トンでございまして、消費は七百四十九万トン、年度貯炭は二百万トンと相なっております。  会社別国内炭受け入れば、北海道電力三百五十七万トン、電源開発会社三百一万トン、その他五十八万トン、計七百十六万トンでございます。また年度貯炭は、北海道電力百四十一万トン、電源開発会社三十一万トン、その他二十八万トンで、合計二百万トン、三・二カ月分に及んでおりまして、石炭業界手持ち貯炭量百六十万トンを上回る状況にございます。  電力業界におきます石炭利用現状は以上のとおりでございますが、現段階では、石炭火力昭和六十年度末には現在の約二倍、八百万キロワットに、そして六十五年度末には約五倍、千九百万キロワットにふやしていく計画でございまして、その場合、石炭使用量もおおむね同程度割合で増加していくものと見込んでおります。  しかしながら、将来石炭火力の大幅な拡充を図ってまいりますためには、解決を要する問題、整備すべき条件が少なくないのでございまして、以下、これらの点について少しく申し述べ、諸先生方の御理解と御支援お願い申し上げたいと存じます。  第一に、電気事業における石炭利用拡大のためには、長期的には漸次海外炭への依存度を高めていかなければならない次第でございますので、この海外炭をいかに経済的にかつ安定的に確保するかが今後の石炭政策の中の中心課題一つであると考えております。  他方、国内一般炭につきましては、水力などと並んで国産の数少ないエネルギー資源といたしまして、国の助成もいただきながらその引き取りに全面的に協力いたしてまいったところでございますが、今後とも総合エネルギー政策の中で相当規模国内炭維持位置づけられます限りにおきましては、安定的な供給を妥当な炭価で受けられますよう国の一層の助成お願い申し上げる次第でございます。  次に、石炭火力建設を本格的に進めてまいりますためには、厳しい環境規制への対応が最もむずかしい課題でございまして、根本的には石炭の液化など革新的な新技術開発にまたなければならないかと存じます。  しかし、いずれにいたしましても、ここ当分の間は石炭の生だきを続けざるを得ませんので、当連合会の中にプロジェクトチームを設け、次のような各種の環境対策技術開発を急いでいるところでございます。  まず、硫黄酸化物対策の面では、湿式の脱硫技術は一応確立しておりますが、これは多量の水を使いますため排水処理等が必要でございますので、水を必要としない新しい乾式脱硫技術開発努力しております。  次に、窒素酸化物対策について申し上げますと、石炭火力では、石油火力に比べ多量窒素酸化物を排出いたしますので、これに対処できる脱硝触媒開発を進めているところでございます。  また、石炭特有ばいじん並びに炭じんに対しましても、厳しい環境面からの要請に対処できる技術開発を進めているところでございます。  こうした環境技術研究開発と並びまして、石炭利用拡大のためには灰捨て場の確保が最重要課題かと存じます。本件につきましては、電気事業者におきまして格段の努力をいたすことはもとよりでございますが、本格的な石炭火力推進のためには、公有水面埋め立てに頼ることになると思いますので、国におかれましてもエネルギー政策における石炭火力位置づけを明確にいたされました上で、関連諸法規の見直しとかその弾力的な運用を図っていただきたいと存じております。  また、石炭火力の大規模立地海外炭本格的導入に際しましては、大規模港湾施設整備のほか、いずれ先々はコールセンター設置も必要になろうかと思われますので、こうした合理的な石炭流通施設整備につきましても、国の積極的な御支援お願い申し上げたいと存じます。  なお、石炭を大量使用いたします場合、石炭流体化によって輸送とか貯蔵あるいは移しかえその他の面での取り扱いを容易にすることは重要なことでございまして、そのためスラリー輸送技術石炭を油とか水と混ぜまして輸送しやすいようにする、こういう技術でございますが、その実用化にも関心を寄せ勉強いたしているところでございます。  最後に、海外炭開発輸入のための体制整備の問題について触れさせていただきたいと思います。  長期的に大量の海外炭経済的かつ安定的に確保してまいりますには、供給可能量、炭質、採掘コスト価格輸送条件などを総合的に調査いたしまして、海外開発輸入先を決定するとともに、国内受け入れを円滑にするための体制整備する必要がございます。電力業界といたしましては、長い将来にわたっての電気供給責任を全うするための大きな問題でございますので、合理的なかつ責任の持てる体制を整えたいと存じております。  このような観点から、現在電力十社で米、豪及び西欧に調査団を派遣して、先進工業国及び燃料資源産出国エネルギー政策をめぐる動向調査しているところでございますが、特に、各国石炭をどのように位置づけているか、またその開発体制にどのような構想を持っているか、その中で政府と民間がどのような役割りを分担し、どのように取り組んでいるかなどを見てまいりますので、その結果を踏まえて具体的な検討を急ぎたいと考えております。もとより関係方面の御意見も伺いながら慎重に進めさせていただきまして、ぜひとも大方の御期待に沿いたいと願っておりますが、国におかれましても、特段の御支援を賜るようお願いを申し上げます。  以上、電力業界立場から石炭利用拡大石炭火力推進をめぐる諸問題につきまして種々申し述べた次第でございますが、何分の御理解を賜りまして、今後とも御指導、御鞭撻をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。  どうもありがとうございました。
  4. 古川喜一

    古川委員長 続いて四ツ柳参考人お願いいたします。
  5. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 私、北海道電力社長四ツ柳でございます。  本日は、当社主要燃料であります石炭につきまして、日ごろ格別に御理解と御配慮をいただいております諸先生方に、その現状と今後の要望などについて説明させていただく機会を得ましたことを、厚く御礼申し上げます。  また、このたび石炭増加引き取り交付金制度当社への適用につきまして、関係各位に非常な御尽力を賜りましたことを、この席をかりまして厚く御礼申し上げる次第でございます。  まず最初に、当社石炭についての現状から御説明申し上げたいと存じます。  これまで当社産炭地立地している電力会社としまして、地域振興に寄与するという立場から石炭利用に積極的に協力してまいりました。  このことを当社設備の面から申し上げますと、現在の当社石炭専焼火力は、石狩川沿いに江別、奈井江、砂川、滝川と四地点に合計百十五万キロワットを有しておりまして、これによって発電される電力量は、五十三年度の実績で申しますと、当社の全発受電電力量の約四五%にも達していることからも御理解いただけるものと存じます。  これに応じまして、当社石炭引き取り量も昭和四十四年度以降毎年三百万トン以上の引き取りを続けておりまして、また年度の途中で石炭業界から追加の引き取り要請がありました場合も、できる限りこれに応じてまいりました。  昭和五十三年度引き取り量は約三百六十万トンとなっておりますが、これは全国一般炭生産量の約三分の一に当たり、また北海道の一般炭生産量の約半量にも相当するものでございます。こうしたことから、当社は現在、全国最大一般炭需要家となっているわけでございます。  また、当社貯炭はここ数年来累増してまいりまして、最高のときは百五十万トン以上にもなったことがございますが、現在でも当社石炭消費量の四・五カ月分に相当する約百四十万トンということになっております。これは一般的に適正貯炭と言われております一・五カ月分に比べますと非常に大きな貯炭でございます。現在石炭業界全体で抱えている一般炭貯炭量にも匹敵するようなものでございます。  以上、当社石炭現状を申し上げましたが、次に、今後の石炭火力見通し問題点につきまして、若干申し述べさせていただきたいと存じます。  まず、当社石炭火力計画でございますが、当面、昭和五十五年十月に苫東厚真三十五万キロワット、それから昭和五十七年八月に砂川四号機十二万五千キロワットの石炭火力を運転開始する予定でございます。さらにその後につきましても、苫小牧東部、道東、留萌等に二百万キロワット程度石炭火力建設を考えておるわけでございまして、当分当社燃料構成石炭のウエートの高い状態が続く見通しでございます。  一方、私ども電気事業者に課せられている使命といたしまして、できる限り長期にわたって適正な料金を維持し、安定した電力供給をしなければならないという命題がございます。したがいまして、発電用燃料選択に当たりましても、その経済性供給安定性につきまして徹底した追求をしていかなければならない立場にございます。  こうしたことから考えますと、私ども今後とも国内炭をできるだけ引き取る姿勢には変わりございませんけれども、このためには、これが経済性を有するとともに、供給安定性も保障されることがぜひとも必要なことではないかと考えておる次第でございます。  また、昨今のわが国内外エネルギー情勢を見ますと、今後ますます流動的かつ不安定なものになっていくものと考えられますが、このような状況下にありましては、電気事業者として、ある特定燃料源に偏った燃料選択を行うことは非常に問題ではないかというふうに思います。  このために、当社といたしましては、新しい燃料導入による多様化を図る必要に迫られておりまして、この観点から原子力発電等に積極的に取り組むことはもとより、その一環として海外炭導入も必要な状況になっている次第でございます。  以上、当社現状問題点につきまして申し述べさせていただきましたように、当社はこれまで国内炭を積極的に利用してまいりましたし、また今後につきましても、この姿勢を堅持する所存でございますが、この機会をかりまして、今後の石炭政策につきまして若干希望などを申し述べさせていただきたいと存じます。  まず第一にお願い申し上げたい点は、現在の世界的な脱石油化の趨勢、原子力石炭指向の中にありまして、わが国エネルギー政策における国内炭位置づけをぜひとも明確にしていただきたいということでございます。  特に、量的にも価格的にも優位が予想されます海外炭は、今後わが国に大量に導入されるものと考えられますが、そうした中で、国家としてのエネルギーセキュリティーなどの見地から、相当量国内炭使用要請されるものとすれば、需要家国内炭使用しやすいような御配慮をぜひともお願いいたしたいと存じます。  第二に、貯炭についての問題でございます。著しい需要変動山元側供給減対策としての貯炭につきましては、生産者の方で行っていただきたいと考えており、特定需要家が過剰な貯炭を抱えなくても対処できるようにしていただきたいと存じます。  第三に、石炭火力建設に当たりましての条件整備についてでございますが、今後建設される石炭火力については、建設費割り高分について必要な助成措置拡充強化を図るとともに、石炭火力立地を促進するために環境技術開発、灰処理問題、地元同意のための国のバックアップ等もぜひ必要な施策かと存ずる次第でございます。これらは今後わが国石炭火力建設を促進する上で必要不可欠な条件と存じますので、適切な御配慮お願い申し上げる次第でございます。  最後に、当社海外炭導入についてのお願いを申し上げたいと存じます。当社はこれまで国内炭を活用してまいりましたが、今後につきましては、国内炭のみに依存することは燃料源多様化観点からも問題の存するところでありまして、また当社の今後の大型火力は臨海に立地することになりまして、石炭使用量も増大いたしますので、海外炭導入がぜひ必要となってまいります。この点につきまして十分な御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。  以上、種々御説明申し上げましたが、今後とも当社事業に御理解と御指導をいただきますようよろしくお願い申し上げて、陳述を終わらせていただきます。
  6. 古川喜一

    古川委員長 続いて野瀬参考人お願いいたします。
  7. 野瀬正儀

    野瀬参考人 ただいま御紹介いただきました電源開発会社の副総裁をいたしております野瀬でございます。  石炭対策特別委員会皆様方には日ごろから当社事業場を御視察賜り、また種々の御高配を賜りまして、この場をかりまして厚く御礼を申し上げます。  本日は、石炭火力発電に関し、私どもの考えの一端を述べさせていただきたいと存じます。  御高承のように、電源開発会社は、政府出資を約七割いただいた国策会社として、水力発電のほか、汽力発電約百八十万キロワットの発電設備を保有しておりますが、このうち百四十三万キロワットは国内炭専焼火力でございます。  御承知のとおり、この国内炭専焼火力は、昭和三十年代後半におけるいわゆるエネルギー流体化革命によりまして大幅な需要の減退を来した国内炭に対し、新しい安定した需要をつくり出し、それを維持するという国の石炭政策に沿って建設されたものでございます。当社は、当時の石油系火力全盛状況のもとで、石炭の持つ物理的属性に起因する諸問題、すなわち公害対策灰処理問題等を克服するため鋭意研究開発を行い、変動していく環境行政対応して、着実な保守、運転を行ってまいりました。  同時に、この経験を通じまして、石炭火力建設、運営についての知識経験の蓄積に努めてまいった次第でございます。  約六年前の石油危機によるエネルギー情勢変化、そしてこれに伴うエネルギー源多様化対応策として海外炭の活用が図られるに至りまして、当社は先ほど述べましたとおり、石炭火力知識経験をもとに、この情勢変化にいち早く対応することができたものと考えております。  すなわち、当社わが国における輸入炭火力第一号として長崎県の松島火力発電所、百万キロワットの建設に着手し、海外一般炭導入に先鞭をつけた次第でございます。  その後、当社竹原火力発電所に第三号機、七十万キロワット、同じく長崎県の松浦火力、九州電力との共同プロジェクト、三百四十万キロワットのほか、各電力会社におきましても、輸入炭火力開発計画が相次いで策定されておりますが、これらは昨今のエネルギー情勢の急変に即応し、また、長期的観点に立ったエネルギー源多様化政策要請にこたえるものとして、その一層の拡大が期待されているものでございます。  このように、石炭わが国エネルギー源一つの柱として定着する基礎が築かれようとしているわけでありますが、今後石炭火力開発長期間にわたり拡大させ、日本エネルギー供給構造の中において相当な割合を占めていくためには、冒頭に申し上げましたような当社の長年の経験からしましても、具体的に解決すべき幾つかの問題点があると考えております。  それはやはり、石油火力原子力との比較におきまして、環境立地問題の解決とその裏づけとなる経済性確保されることであろうかと存じます。  このような観点から見た主な問題点の所在と、その解決の方向についての当社の考え方を少しく申し上げたいと存じます。  まず石炭火力石油系火力に対する経済性の点でございます。石炭火力石炭の持つ物理的属性によりまして、建設費石油系火力に比べまして三割ないし四割割り高につくのが実情でございます。この割り高部分は、結局のところ燃料費にしわ寄せされることになります。  国内炭尊焼火力につきましては、当社に対する政府出資のほか、石炭引き取り交付金、あるいは排脱交付金といった政策的助成措置をいただいてはおりますが、経済的には、他燃料価格動向、その他の理由もあって、なお割り高であると言わざるを得ない現状にございます。  また、輸入炭火力につきましても、本質的には同様の問題点を内包しております。現時点での輸入炭価格国内炭に比べまして割り安でございます。しかしながら、世界的規模で増加しつつある需要動向を考えますと、主要産炭国既存炭鉱供給能力は早晩限界に達し、このまま放置しておけば価格、量、質の面から長期安定供給確保がむずかしくなり、いまからしかるべき方策を講じておかないと、結局輸入炭火力経済性に影響を及ぼすことになろうかと存じます。  特に、今後の石炭火力開発拡大に伴い、大量の海外一般炭長期安定して確保するためには、鉄道、港湾等関連設備開発を伴う新規開発輸入ユーザーが直接参加し、相当な投資を行うことも必要となってまいります。この面において政府の積極的な財政援助をいただき、電力会社その他のユーザーとの協調を図りながら、早急に開発輸入を取り進めていく必要があると存じます。  石炭石油と異なって、世界の各地域からの輸入が可能であり、また一つの国であっても供給ソース分散化を図り得る点でわが国にとってエネルギー安全保障上有利な面を持つ燃料でございます。  したがいまして、政府レベルでのなお一層の積極的施策をお願いしたいところでございます。  次に、石炭火力の環境立地問題は電気事業にとって最も重要な課題一つであり、これまでも関係者が一丸となってこの解決に取り組んでまいりました。  公害対策設備について当社は、まずSOx対策として、全量の湿式排煙脱硫設備を揚げ地三火力に設置して以来、約五年の運転実績を有しておりますが、これら設備は、国際的にも先行した、ほぼ確立された技術と言ってもよいかと存じます。次にNOx対策につきましては、現在竹原火力におきまして、通産省の委託を受けまして全量の脱硝設備建設中でございます。これに先立ちまして、パイロットプラントを設置し、各種テストを繰り返し、十分脱硝効率を維持できる触媒の開発について見通しを得ております。  ばいじん対策につきましては、最近の集じん機の性能と湿式脱硫設備との組み合わせによりほぼ問題はないものと考えております。  次に、石炭火力におきまして立地上重要なウエートを占めるものに、灰処理の問題がございます。御承知のとおり、石炭火力では使用する石炭の約一割五分ないし二割の量の灰を処理する必要がございます。  当社の揚げ地火力における石炭灰の処理につきましては、これまで発電所近傍の海面埋め立てまたは陸上灰捨て場に求めてきましたが、これら石炭灰は環境規制上、廃棄物処理法上、いわゆる管理型として取り扱われており、厳しい管理上の規制を受けております。加えて大規模かつ長期間にわたる埋め立てにつきましては、埋め立て法上の規制あるいは地元関係者との間に各種の制約が生じてまいっておりますため、灰捨て用地の確保そのものが一企業の立場からは非常にむずかしくなってきている現状でございます。当社は、最近、関係者の協力を得まして、この灰を肥料として有効活用する研究開発に成功しており、すでに商品化しております。  今後、石炭火力開発を強力に推進していくためには、灰の有効活用をできる限り図る一方、ますます大量に発生する灰の処理が可能な灰捨て場の確保が必要であり、これはサイトの確保と同等の重要事項でございます。  当社は、これまでの経験から、今後の灰捨て場確保のためには、政府レベルにおいて次の施策をしていただくことが必要と考えております。  灰捨てによる埋め立ては、国による積極的、効率的施策の実施と、低金利資金の活用、補助金による助成を行うことが必要かと存じます。そのためには、たとえば全国大での適地数カ所に集中灰捨て場を設置すること等も一案かと存じます。  また、灰捨て場の確保をより容易にするためには、現在の産業廃棄物管理型ではなく、安定型としての取り扱いをしていただくことも効果ある一方策と考えられます。  さらに、大型石炭火力立地上の問題として、大型の石炭専用船が発着可能な港湾施設の建設がございます。これにつきましては、国の港湾建設整備計画石炭火力の港湾計画を組み込み、国レベルでの総合的視点から推進していただくことができれば、石炭火力のサイト適地拡大及び経済性の両面から非常に有益であると存じます。  この点に関しまして、関係官庁の御協力と積極的施策が講じられますことを強く希望する次第でございます。  次に、国内炭使用につきましては、国内資源有効活用の観点から位置づける必要があることは十分認識しているところでございますが、国内炭火力につきましては、さきに述べましたように、経済的な面において厳しい状態にございます。  当社は、揚げ地火力建設の趣旨に沿い、昨今の情勢対応し、五十三年来発電所稼働率の引き上げ、重油混焼率の引き下げに努力してまいり、すでに年間三百万トンの国内炭使用しておりますが、今後とも国内炭維持していくためには、政府による一層の助成措置が必要であろうかと考えております。  以上のほか、当社は、石炭の燃焼技術利用技術の改良、開発等につきましても、政府の御指導助成措置をいただきながら着実に進めておりますが、今後もなお一層の御努力を傾注していただきたいと存じます。  以上、種々述べました諸問題の解決を図りながら、大型石炭火力発電所の建設をできる限り進めてまいりたいとの考えを持っている次第でございます。  私としての意見は、大要以上のとおりでございます。  御清聴ありがとうございました。
  8. 古川喜一

    古川委員長 続いて奥村参考人お願いいたします。
  9. 奥村虎雄

    奥村参考人 御指名いただきました日本鉄鋼連盟専務理事奥村でございます。  石炭政策につきましては、かねてから本委員会の諸先生方には格別の御配慮をいただいておりますが、本日は、また石炭対策につきまして、鉄鋼業界としての立場から意見を述べさせていただく機会をお与えくださいましたことに対しまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。  御承知のとおり、昭和四十八年末の石油危機に端を発しました世界的な鉄鋼不況までは、わが国経済の驚異的な成長とともに、鉄鋼生産も年率一一%を超える増加を示してまいりましたが、四十八年度の一億二千万トンをピークといたしまして後退を続け、五十三年度は前年度をやや上回ったものの、一億五百万トン程度にとどまっております。  私が昭和五十年の七月に石炭対策特別委員会におきまして、第六次石炭対策について陳述をいたしました際には、産業構造審議会の総合部会のビジョンとして発表されました五十五年度粗鋼生産見通し一億五千百万トン、六十年度は一億七千五百万トン前後ということになっておりました。  しかしながら、その後、わが国経済が安定成長路線に移行すると同時に、民間設備投資も大幅に減退いたしまして、さらに各鉄鋼需要部門における鋼材消費原単位も向上するという新しい要因が加わりました結果、国内需要は四十八年度の八千九百万トン、これは粗鋼換算でございますが、から昭和五十三年度は七千万トン弱に低下しておる次第でございます。  また、輸出につきましては、昭和四十八年度の三千百万トンから、五十一年度には四千二百万トンに増加をいたしまして、内需の減少を補てんするということができたわけでございますが、EC、アメリカ等の主要鉄鋼生産国は、長期的な構造不況打開の道を探し求めている中で、たとえばECでは、ベーシックプライス制度の発足及び数量、価格両面にわたる二国間協定の締結によりまして、輸入鋼材を抑制するという方法が実施されております。また、アメリカにおきましても、海外からの鋼材の輸入の激増に対応して、トリガー価格制度という制度を発足させまして、鋼材の大量流入を防止する措置を講じております。この結果、五十三年度わが国の鉄鋼輸出は、前年度比三百七十万トン減の三千五百万トンにとどまっております。  このように、第六次石炭政策策定当時、日本経済の高度成長を前提として作成されました鉄鋼生産見通し、五十五年度一億五千百万トンは、現在の鉄鋼業を取り巻く内外の客観情勢から見て、著しい乖離が生じておるわけでございます。最近、公共事業関係予算の増加によりまして、確かに国内需要の一部では、鋼材需要の増大傾向があらわれておりますが、他方におきまして、造船用の鋼材の大幅な需要減退により、内需全体としては、微増程度にとどまっております。さらに、輸出の見通し等を総合勘案いたしますと、昭和五十五年度以降におきましても、従来のような大きな量的拡大はとうてい期待し得ないのが現状でございます。  以上、申し述べましたように、現在、鉄鋼生産の見通しに大きな差が生じてまいりましたことに加えて、原料炭を取り巻く第二の変化は、内外炭の価格における格差が拡大してきているという問題でございます。  御承知のように、高炉各社は国内石炭会社の経営の困難な実情を勘案いたしまして、国内原料炭一トン当たり四十九年度には三千円、五十年度三千六百円、五十一年度千九百円、五十二年度千九百円とそれぞれ値上げを行いました。また国鉄運賃等の流通コストの上昇分は別途負担することにいたした次第でございます。このように、鉄鋼業界といたしましてはでき得る限りの協力をいたしてまいったつもりでございます。  さらに、個別の石炭山の資金繰りの実情に応じまして石炭代金の支払い条件を緩和する等、資金面での融資協力をも個々に行っているのが実情でございます。  しかしながら、現在の国内原料炭の価格は、品質的に見てほぼ同等と見られる豪州弱粘結炭の価格に比べますと、国内炭価格は一トン一万九千五百円に達しておるのに対しまして、現在の為替レートはやや円安になっておりますが、一ドル二百十円をベースとして計算いたしますと、豪州弱粘結炭は一万一千三百円という値段で入るわけでございます。したがいまして、内外炭の間には現在八千二百円程度価格差が生じておるということでございます。さらに今後の見通しにつきましても、生産性の相違等からて見て、国内炭のコスト上昇の方が大きいと考えられますので、このままでは内外炭の価格差はさらに拡大していくものと予想される次第でございます。  鉄鋼業界は、確かに現在若干の明るさを見せ始めております。業績が最悪の時期に比べまして徐徐に回復しておりますのは、鉄鋼業界の労使双方が現在続いております減速経済をいち早く自覚し、それに向かって懸命な努力を傾注した結果であろうと思う次第でございます。  一例を申し上げますと、鉄鋼業界全般に広がっておる自主管理活動という下から盛り上がる力強い業界活動が中心になりまして、徹底的な合理化とコストダウンを図ることによって、これ以上は無理だと思われるぐらいの画期的な合理化が鉄鋼業界では行われているわけでございます。  省エネルギーの成果につきましても驚くべきものがございます。鉄鋼業界は現在七〇%台の稼働率、操業下でございまして、依然として厳しい状況下に置かれているといっても過言ではございません。鉄鋼各社は五十四年度の鉄鋼生産の見通しにつきましても慎重な見方をとっておるところが多いわけでありまして、五十三年度の一億五百万トンに対しまして一億六百万ないし一億八百万トンを前提として経営基盤の確立を図ろうと努力をしている次第でございます。  以上、るる鉄鋼業界を取り巻く情勢について御説明申し上げましたが、今後の国内炭政策について、鉄鋼業界としての意見を述べさせていただきたいと存じます。  第一は、数量に関する問題でございます。  五十三年度の鉄鋼用原料炭の購入量は、輸入炭四千九百万トン、そのうち豪州弱粘結炭は六百万トンでございます。国内炭は六百四十万トン、合計いたしますと五千五百四十万トンが原料炭の総量でございます。これを五十二年度と比較いたしますと、輸入炭におきましては四百三十万トン、八%の減少でございますが、国内炭の方は十八万トン、三%弱の減少にとどまっております。  しかしながら、今後の国内炭の購入量については、鉄鋼生産が大幅に増加しないと想定されること、また原料炭の消費量を決定する要因でありますコークス比、つまり銑鉄一トンつくるのに必要なコークスの量でございますが、これが製銑技術の一層の合理化と他方高能率高炉へ生産を集中することによりまして、さらにコークス比は低下すること等を勘案いたしますと、次に述べます価格差の縮小のための抜本的な対策が講じられない限り、現状程度引き取り数量の維持さえなかなかむずかしいという感じがいたします。  世界石炭需要を見ますと、鉄鋼生産の伸び悩みによりまして、主要製鉄国であるアメリカ、ECともに原料炭の需要は減少しておりますが、反面発電所向けの一般炭需要は増加しておるわけでございます。  IEA決議にも見られますように、石油にかわる最も有力なエネルギー源として石炭開発とその利用拡大策が各国でも真剣に検討されております。わが国におきましても、エネルギー問題は、中期的に見ますと、原料炭よりも、むしろ石油の代替として発電用石炭を活用することの方がより重要であると考える次第でございます。したがいまして、第一次石炭対策昭和三十八年に実施されて以来、原料炭を重点にしたいわゆる傾斜生産の方針を、この際一般炭に生産の重点を指向する方向に転換するよう思い切った措置をとるべきものと考える次第でございます。  第二の問題点は、国内炭価格対策でございます。  第六次石炭政策におきましては、第五次答申と同様に、国内原料炭の価格は、品質を考慮して豪州弱粘結炭価格を基準として設定することになっております。私どもはこの設定方法について原則的には賛成であると申し述べた次第でございます。  しかしながら、さきにも述べましたように、実際には国内原料炭が豪州弱粘結炭価格に比べて現在八千二百円も割り高になっていることは、鉄鋼業が私企業である以上、経済的にも負担の限度を超えているものと言わざるを得ないのでございます。この事実はこのまま放置し得ない重大問題であると考える次第でございます。したがいまして、現状規模の国内原料炭の引き取りを円滑に行うためには、石炭企業に対し、政府において相当思い切った助成措置をとり、早急に価格差縮小の対策をとっていただくよう御指導、御協力をいただきたいのでございます。  私ども需要家側といたしましても、もちろんでき得る限りの協力は将来ともいたしたいと存じますが、国内原料炭の引き取り数量問題は、価格対策と密接不可分の関係にあることを御認識くださいまして、絶大な御協力をくださいますよう心からお願い申し上げる次第でございます。  最後に、さきに中期的にはエネルギー問題は一般炭、とりわけ発電用炭の入手とその利用拡大についてであると申し述べました。また前回の石炭対策特別委員会で坂参考人が陳述されましたように、石油価格の上昇傾向から国内一般炭石油価格との値差が将来漸次縮小することが予想されますので、原料炭の価格差を縮小するために必要とする費用よりもより少ない金額で国内炭需要確保が図り得る可能性が強いのではないかと考えております。したがいまして、新設の石炭火力が本格稼働する昭和五十七年ないし昭和五十八年時点においては、原料炭から一般炭に炭種振りかえを積極的に行い得るよう石炭価格是正のための補給金制度の創設をあわせて検討することが緊要であると考えます。  以上、申し上げましたところにより、鉄鋼業界石炭問題に関する考え方を御理解いただけたと存じますが、厳しい鉄鋼経営の現状のもとにおいて、国内炭引き取りにつきましても経営合理性が強く要求されるのは当然であろうと存じます。  戦後最大ともいえるエネルギー事情の激変期におけるわが国石炭業界のため、思い気った対策を講じていただきたいことを、私ども鉄鋼業界からも重ねてお願い申し上げ、私の陳述を終わらせていただきます。
  10. 古川喜一

    古川委員長 続いて柴崎参考人お願いいたします。
  11. 柴崎芳三

    柴崎参考人 ただいま御指名にあずかりました日本ガス協会の副会長柴崎でございます。  平素は石炭政策に関しまして、本委員会先生方並びに関係御当局の皆様方に格別の御高配を賜りまして、また、本日は石炭ユーザーとして事情説明のための発言の機会を与えてくださいまして、心から御礼申し上げたいと存じます。  初めに、都市ガス事業の概況について申し上げたいと存じます。  昭和五十三年度末におきましてガス事業者の数は二百五十二社ございまして、需要家の件数は千五百六十万件に達しております。ガスの販売量は、昭和五十三年度の実績見込みで見ますと八十二億立米、これは一立米一万キロカロリーの換算でございますが、八十二億立米でございまして、その内訳は民生用が八三%、産業用が二%、その他が六%でございまして、民生用が主体となっております。このために使用しております原料につきましてはLNG、ナフサ、LPG、石炭、国産天然ガス等々相当多種多様な原料を使っておりますが、昭和五十三年度のガスの製造割合で申し上げますと、LNGが四〇%、ナフサが一九%、LPGが一二%、石炭が九%、国産の天然ガスが七%、その他の購入ガス、これは、たとえば石油精製工場からの廃ガスあるいはコークス工場からのガス等でございますが、これが二二%というような割合になっておるわけでございます。  なお、このうちで原料として石炭使用しております事業者は東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯及び広島ガス、この四社に限られておるわけでございます。  さて、国産のエネルギー資源に乏しいわが国におきましては、エネルギー源確保することはきわめて重要な課題でございますが、御案内のとおり、わが国は資源の大半を海外からの輸入依存しておるわけでございまして、エネルギー、わけても石油については輸入依存度が九九・八%ときわめて高く、またその七八%が中東産、ここからの輸入になっておることは御高承のとおりでございます。したがいまして、このために国のエネルギー政策といたしまして、石油代替エネルギー開発促進が強く要請されておるわけでございますが、石炭は埋蔵量が膨大であり、かつ世界的に広く賦存していることからLNG、原子力と並びまして、今後の主要な代替エネルギーとして位置づけられておるわけでございます。  都市ガス業界といたしましては、従来から国の総合エネルギー政策の一端を担いまして、その根幹となる原料の長期安定確保に最大限の努力を払ってまいったわけでございます。また供給区域内の熱エネルギーを安定的に供給し、かつ保安を確保するという基本的な使命の達成に努めてまいりました。特に大手ガス事業者におきましては、長期的な政策といたしまして、LNGが非石油エネルギーであり、供給源も世界的に見まして片寄っていない理想的な都市ガス原料であることから、昭和四十四年に導入を開始しまして以来、積極的にその拡大を図っておるわけでございます。  その結果、昭和五十三年度わが国の一次エネルギーにおける輸入石油依存度が七三・一%であるに対しまして、都市ガスの原料の構成は、石油系が三八%、非石油系が六二%、この六二%の内訳は、LNGが四〇、石炭が九、国産天然ガスが七、その他が六というようなことになってまいったわけでございます。これは文字どおり、私どもガス業界輸入石油依存度の低減という国のエネルギー政策にこたえまして、率先して脱石油を図ってまいりました証左であろうかと存じます。  一方、都市ガス業界におきましては、昭和五十三年度において鉄鋼業界から委託されました高炉用のコークス製造のための原料炭二百九十万トンを含めまして四百五十万トンの石炭使用しておるわけでございます。石炭を原料としてガスを製造する場合には、副産物でございますコークスの販売収入を控除したものが石炭ガスの原価となりますので、コークスの需要確保が前提になるとともに、できるだけ付加価値の高いコークスを製造することがガス事業者にとって必要となってまいるわけでございます。  現在、都市ガス業界では年間約三百万トンのコークスを生産しておりまして、鉄鋼、自動車、産業機械、非鉄金属等の各産業に供給しておるわけでございますが、この中でも、特に都市ガス事業におけるコークスの需要中心でございます自動車、産業機械向けの鋳物用コークスにつきましては、個々の需要家から用途に見合いまして非常に厳しい規格を要請されております。したがって、このコークスを製造するためには、それぞれ性質の異なる石炭、すなわち強粘結炭、弱粘結炭、無煙炭、石油コークス、ピッチ等を適正な割合で配合する必要があるわけでございまして、弱粘結炭である国内原料炭の使用には、こういう意味からいいましておのずから限界があるというのが実情でございます。またコークスの需要につきましては、昭和四十八年の石油危機以来、長期不況による影響に加えまして、技術の改良によるコークス使用量の減少等の事情も加わりまして、その需要は減退しておりまして、今後につきましても大きな拡大を期待することができないという状況であると考えられます。  このような状況に加えまして、御承知のとおり原料炭の価格国内炭輸入炭との間に八千円ないし九千円程度価格差があります。したがいまして、ガス原価の観点から見ますと、当然輸入弱粘結炭の拡大が考えられなければならないわけでございますが、私ども都市ガス業界といたしましては、貴重な国内資源である石炭を有効に活用いたしまして、あわせて石炭鉱業の安定に資するとの観点から国内炭使用を最優先に考えてまいりました。昭和五十三年度におきましても、政府の需給見通しによる国内原料炭の使用計画をほぼ達成する見込みとなっております。  ちなみに、都市ガス業界では、昭和五十三年度におきましては、鉄鋼業界からの委託分二百九十万トンのほかに百六十万トンを使用いたしまして、そのうちの六十八万トンが輸入原料炭でございますが、この六十八万トンのうち、弱粘結炭につきましては、国内炭を最優先的に使用するという方針から、国際信義上相応の引き取り要請されるものだけにとどめておりますので、その大部分が強粘結炭となっております。  このように、ガス業界は国の石炭政策には最大限に御協力申し上げまして、従来から一貫して可能な限り国内炭使用をしておるのが実情でございまして、今後とも、さきに申し上げました制約条件の中にありましても、現状程度の数量をできるだげ使用すべく努力してまいるというのが基本的な状況になっております。  しかしながら、輸入原料炭と国内原料炭の価格差による都市ガス事業の負担増は、一応計算をしてまいりますと約四十億円という金額になります。企業とすれば当然経済性も考慮せざるを得ませんし、まして私どもは、公益事業としてガス料金の安定を義務づけられておるという立場にございますので、ガス原価の圧迫要因は極力避けなければならないわけでございまして、都市ガス事業のこのような実情につきまして十分御賢察の上、今後ともよろしく御指導賜りますようお願い申し上げたいと存じます。  最後に、石炭業界に対する援助策についてでありますが、都市ガス事業はガスの安定供給を基本使命としておりますので、先ほど申し上げましたような制約条件のもとで国内炭を引き取るためには、安定して供給されることが望まれるわけでございます。したがいまして、国内資源の供給者として石炭会社の企業基盤が早急に確立されることが緊急の課題と考えられるわけでございまして、御当局におきましても、この点について早急に対策を講じていただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。  以上をもちまして、私の陳述を終わらせていただきたいと存じます。  ありがとうございました。
  12. 古川喜一

    古川委員長 以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。  この際、午後一時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時二十三分開議
  13. 古川喜一

    古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより、参考人に対する質疑に入ります。  この際、質疑者各位お願い申し上げます。質疑の際には、あらかじめ答弁を求める参考人を指名して質疑を願います。  また、参考人各位にもお願い申し上げます。御発言の際には、その都度委員長の許可を得て御発言を願います。また、参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下徳夫君。
  14. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 私の質問は若干総論的なものもございますが、その部分については先ほどの参考人の陳述とお答えが重複する面があると思いますが、確認の意味でお答えのほどをあらかじめお願いを申し上げておきます。  まず、電事連の長橋参考人にお尋ねいたしますが、私から申し上げるまでもなく、わが国エネルギー消費構造というものが石油をベースとしておることは御承知のとおりであります。その石油海外依存度は、先ほどから出ておりましたとおり、国内生産はゼロに近いのでございますが、その七八%が中東産油国に依存をしておる。そこで、国民生活の安定という見地から、石油の安定的供給確保するということが最大の課題であり、またそのことが国民に対してのわれわれ関係者の務めであると考えておる次第でございます。  そこで、お尋ねいたしたいことは、石油安定供給確保することは、要約すると次のような問題が考えられると思うのでございます。  まず第一番は、可採埋蔵量があるかどうかという問題。いまのところ巨大油田の発見というものがそう期待できないし、今後も期待薄であろうと思われます。  二番目は、この埋蔵する石油を生産、出荷する能力が産油国にあるかどうかということでございます。サウジアラビアの増産もなかなか当初の計画どおりにいっておらない。この点でも大きく不安が残るわけでございます。  三番目は、これらの石油を実際に生産し、出荷する意思を産油国が持っておるかという問題。すなわち、石油資源国に石油をもっと大切に保存しなければならぬという、言うなれば、資源保存型と申しましょうか、そういう方向に移行しつつある、そういう感じがするわけでございます。  そして四番目に、中東産油国の政情でございますが、イラン問題でもわかるように、非常に不安定な面が残っておるわけでございます。今後どのような不測の事態が発生するかわからない、こういう現状を踏まえて、中東産油国を対象として考えた場合、これらの基本問題に赤信号がともっておると言ってもいいのではなかろうか。  これらの点につきまして、今後の石油安定供給についてどのように御理解しておられるかということをまずお尋ねしたい。
  15. 長橋尚

    長橋参考人 お答え申し上げます。  今後の中近東を中心とした石油安定供給につきましては、御指摘のように、まず巨大油田の発見の度合いというのが非常にスローダウンしてまいっておりますし、またそういった産油国の生産能力という点につきましても、最近のイランの事態にもかんがみまして、非常に慎重に考えなければいかぬ点だと思いますし、また産油国がやはり資源温存政策に転じつつあるということも否めない事実だと思います。  それから、中近東諸国を中心としました政治情勢というのが、国際的な政治情勢の中で非常に揺れ動く可能性があるということも、最近のイランの事態で非常に痛感をさせられるところでございまして、石油の安定確保という点につきましては、電力業界としてもぜひとも期待したいところでございますが、そのためには、まず石油海外供給源につきまして、これをできるだけ多角化してまいる努力需要家サイドにおいても必要である、かように考えておるわけでございまして、電力業界といたしましても、つとにインドネシアを中心としますアジアの石油、それからまた中国の原油につきましても生だきを極力図っているところでございまして、そういった面で今後とも供給源の多角化について需要家サイドとしても努力してまいらなければいけない、かように考えておる次第でございます。
  16. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 次に、長橋参考人と電発の野瀬参考人にお尋ねをいたします。  先ほど長橋さんからのお話にもございましたように、最近のイランの情勢及びIEAの動きあるいは原子力発電のトラブルなどを背景にいたしまして、石炭の見直しということが急速に行われている。そこで、先ほど長橋さんのお話にもございましたが、電力業界でも石炭火力位置づけ、こういう言葉で陳述されたと思うのでございますが、つまり石炭利用の積極的拡大という見地から石炭火力発電所の新増設計画推進されておる。私の手元にも「石炭火力開発計画現状」というのがございますが、先ほど北海道地区については詳細に御説明がございました。ここで私はこれを細かく御質問するわけではございません。  さて、お尋ねしておきたいことは、これらの計画が現在推進されておりますが、この石炭火力位置づけという立場から、今後この位置づけいかんでは、現在の計画というものを修正してさらに拡大して推進する、こういうことがあり得るかどうかという点であります。
  17. 長橋尚

    長橋参考人 最近お役所とも御相談申し上げまして、電力業界として発表いたしました五十四年度電力長期計画によりますと、一年前に策定いたしました長期計画に比べまして石炭火力計画が先行きにつきまして若干ふえているような次第でございます。六十三年時点では、現在の九電力、電発を合わせました石炭火力設備三百七十万キロワットに対しまして、千四百万キロワット程度にふえますと同時に、さらにその先、六十五年ぐらいまでの間にはまた二百万キロワットぐらいの石炭火力建設したい、かようなことに相なっております。年々こういった長期計画を見直しをしてまいるわけでございます。先行き石油供給制約が一層厳しくなるというふうなことも予想されます中で、今後とも燃料ないし電源種別の多角化、多様化という見地から情勢に即した計画を積み上げてまいりたい、かように考えております。
  18. 野瀬正儀

    野瀬参考人 野瀬でございます。  ただいまの山下先生からの御質問に対してお答え申し上げたいと思います。  電発の石炭火力発電所の建設計画は、ただいま九州長崎県に趣きまして、松島火力一号、二号合わせまして百万キロワットの建設を進行中でございます。昨年天候に恵まれまして非常に順調に進んでおりまして、一号機は五十六年一月、二号機は五十六年七月に運転開始をする予定でございます。したがいまして、その約半年ぐらい前に海外炭その他の貯炭を始める予定にいたしております。  次に、広島県に竹原火力発電所がございますが、その三号機として本年三月に電源開発調整審議会で御裁決を受けまして、これから着工に入る予定でございますが、大体五十七年の七月ごろには運開に入れるのじゃなかろうかと思っております。  それから、第三番目といたしまして、やはり長崎県の松浦に九州電力と共同で三百四十万キロワットの石炭火力開発計画いたしております。九州電力が七十万キロワット二基、当社が百万キロワット二基、合計いたしまして三百四十万キロワットの計画でございます。本年二月に地元の漁業組合と環境調査に入る同意に成功いたしまして、少し着工がおくれておりますが、大体五十九年から六十年には運転開始できる予定でございます。  なお、先刻石油情勢につきまして山下先生からお話がございましたが、私たちも全く同感でございまして、石油供給については視界ゼロではないかという感じをいたしております。したがいまして、ますます石炭火力建設の機運は醸成されておるのではなかろうか、われわれは意欲満々として建設計画をやっていきたいと思っております。  以上、御説明を終わります。
  19. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 長橋参考人にお尋ねいたします。  石炭火力の新増設について参考人から御指摘がありましたように、環境対策あるいは灰捨て場等の問題がございますが、これらの問題については業界でも種々御議論なさっていることだと思いますが、先ほど参考人から、国においてもエネルギー政策における石炭火力位置づけを明確にして、関連法規の見直しや弾力的運用を図ってもらいたい、こういう御趣旨の陳述がございましたが、この点についてもうちょっと詳しく御説明願いたいと思います。
  20. 長橋尚

    長橋参考人 お答え申し上げます。  まず、石炭火力を本格的に建設するに当たりまして、環境対策の面での技術開発一つの重要な課題でございます。この点につきましては、ばいじんとか窒素酸化物あるいは硫黄酸化物等の面で、石炭の物理的な属性からいたしますいろいろな問題がございまして、環境技術の早期確立が望まれる次第でございまして、現在の関連公害防除技術レベルによります限りでは、なかなか石油火力並みの排出レベルを近い将来に達成することが困難な状況でございます。いろいろ新しい脱硫、脱硝面での技術開発をいたしますと同時に、これらの各脱硫、脱硝、脱じんというふうなそれぞれの環対装置をフル・セット・シリーズに配置して運用しなければならないわけでございまして、こういうことになりますと、全体としての総合的な信頼度の検討が必要になってまいります。そういう意味で関連のメーカーとも全面的にタイアップいたしまして、本格的な検討に入ったところでございます。  今後の見通しといたしましては、不確定な要素もございますけれども、六十五年ぐらいの石炭火力の運転開始分につきましては、現在の石油火力並みとなりますように、国の御支援も得て鋭意努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  次に、やはり灰捨て場の確保あるいは大型港湾の建設というふうなことが大きな課題でございます。さらにまた立地推進上、地元住民のコンセンサスを得る必要があるわけでございまして、これらの点についても、私ども業界のみで解決できない問題がございますので、国による強力な御援助をお願い申し上げている次第でございます。  灰捨て場に関連いたしまして、先ほど野瀬参考人からのお話がございましたように、今後外洋立地によりまして大型石炭火力建設していかなければいけないということになってまいりますと、公有水面埋立法の適用ということになるわけでございますが、従来の運用からいたしますと、やはり埋め立て後の上物をどうするかというふうな点につきまして、免許の際の御審査が行われるのが原則になっております。そういう上物まで含めての御審査ということになってまいりますとなかなからちが明かないわけでございますので、そういった点についての御配慮を先刻もお願い申し上げた次第でございます。  さらに、産業廃棄物として石炭灰が取り扱われます場合に、私どもといたしましては、かなり石炭灰を捨てました場合、その後の状況が安定して推移するものという見方もいたしておるわけでございますが、いままでの行政レベルでのお取り扱いとしては、むしろ管理型のものとして相当用心深い配慮を灰捨てに当たって要求される、かような面もございますので、こういった点についても関連法規の見直しないし運用に当たっての弾力的なお取り扱いをお願い申し上げた次第でございます。
  21. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 また長橋さんにお尋ねしますが、先ほど石炭専焼火力発電所が計画どおりに増設されてまいりますと、勢い海外炭に対する依存度が大きくなる、そのとおりだろうと思います。  これは別のことでございますが、四月十八日の日経に次のような記事が出ているのでございます。アメリカのウェストバージニア州知事ロックフェラー氏が東京に参りまして、記者会見し、「石炭の効用を熱っぽく説いた。」こう書いてあるのです。バージニア州というのはアメリカで最大の石炭生産地だそうでございますが、ここでその知事が言われたことの中で、「「OPECは近い将来分裂し、一方的な価格上昇が起こる」「石油は有限だが、石炭は無限」とエネルギー資源としての石炭安定性を力説した。」「「わが州だけでも四百年分の可採埋蔵量がある。わが州は米国におけるサウジアラビアだ」」まことに怪気炎というのでしょうか……。  そこで、またある石油メジャーは、将来の安定供給条件石炭の売り込みに来ているという話すら私どもは聞いているのでございますが、このような事実を御承知であるかどうか、またこれについてどういう御見解をお持ちであるかということをお尋ねしたい。
  22. 長橋尚

    長橋参考人 御質問の点でございますが、オイルショック後、アメリカの石油メジャー等々が先行きの石炭需要に備えましていろいろ利権を獲得しているというふうなことはある程度事実であろうと思います。また私ども電気事業連合会に直接いろいろ引き合いをしてまいる向きはいまだございませんけれども石炭発電用に使う、かように目されます会社にいろいろ話が参っているということはお聞きしている次第でございます。  先々、石炭火力の本格的な開発ということに備えまして、海外炭既存炭鉱からの買い付けのみならず、安定的な供給経済的な開発を図ってまいりますには、どうしても新規炭鉱開発について、これを使います電力業界としても直接に参加をしていくということが必要だと考えております。そのためには、いまから始めても決して早過ぎるというふうなことはないという認識のもとで、やはり先々の海外炭開発輸入ということについて努力を始めているところでございます。
  23. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 次は、野瀬参考人長橋参考人でございますが、将来電力用炭を輸入炭に依存するということになりますと、その確保ということが何よりも重要な課題であることは申し上げるまでもございません。  そこで、将来の調達見通しについて伺いたいことは、これも私から申し上げるまでもなく、わが国の周辺には、近いところで中国を初めとして豪州であるとかあるいはカナダであるとか、さらにはアメリカ等産炭国がたくさんあるわけでございますが、ある意味において、これらの輸入ソースというものを適宜分散することが危険排除につながるのではないか、これらも含めて海外炭の将来の調達の見通しというものについてお聞きいたしたいと思います。
  24. 野瀬正儀

    野瀬参考人 ただいまの山下先生の御質問に対してお答え申し上げます。  まず、松島火力、竹原三号火力用輸入炭といたしまして年間約四百万トンが必要でございます。これにつきましては、すでにオーストラリア、中国を主要ソースといたしまして、供給先との間に長期契約についての基本合意に達しております。これらは確実な調達見通しを得ておりますので、なお詳細な条件について、これから話を詰めていくつもりでおります。  さらに、九州電力と共同で立地計画をいたしております松浦火力石炭でございますが、一九八〇年の半ばごろになりますと、石炭の需給バランスが世界的にも緊迫されると予想されますので、いまから探鉱開発を行いまして開発輸入をしたい、こういう構想のもとに、オーストラリアのニューサウスウェールズ州の政府が所有いたしております鉱区について共同でフィージビリティースタディーをこれから始めるところでございます。その他二、三探鉱の開発プロジェクトについても話し合いを行うつもりでおる現状でございます。  なお、ただいま御指摘のありましたソースの分散化という問題につきましては全くの同感でございまして、われわれといたしましては、オーストラリア、中国、カナダ、アメリカあるいは南アフリカー南アフリカ共和国につきましては、また後で御説明申し上げますが、そういうところにソースを分散化いたしまして、そうして危険を防ぎたい。たとえばオーストラリアにおきましては、ストライキが頻繁に起こります。港湾の労働者のストライキ、鉄道ストライキ、炭鉱ストライキというふうに、いろいろと組合がございまして、それらがストライキを行うということで、やはり石炭確保のためには分散化が最も必要であるかと思いますので、努めて分散化に向かって進んでいきたいという気持ちを持っております。  それから、この前のお話ですが、ロックフェラーのお話につきましては、ウェストバージニア州に石炭がたくさんあるということと、さらに進みまして、石炭技術開発といいますか、石炭の液化、ガス化、そういうものについてもこれから日米共同で技術交流をやろうじゃないか、こういうお話がただいまありますが、通産省もこれに同調いたしまして、そしておやりになると聞いておりますので、私たちも横ながら御支援をいたしたいという所存でございます。  以上でございます。
  25. 長橋尚

    長橋参考人 全体といたしまして、昭和六十年度ぐらいまでに運転開始に至ります石炭火力建設計画につきましては、燃料炭の手当ても相当部分進んでいる、かように承知しております。  また、今後につきましては、ただいまのように分散化、アメリカ、カナダ、オーストラリア、インドネシア、インド、そういった辺が有望なソースかと考えられますが、できるだけ供給源の多角化、分散化につきまして連合会としても努めてまいりたい、かように考えております。
  26. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 四ツ柳参考人にお尋ねいたします。  北海道電力国内炭の大口ユーザーとして国内炭に対するいろいろな考え方なり今後の方向についての御意見をお持ちだと思いますが、私の時間がもうなくなってしまいましたので、一言だけお尋ねしておきますが、先ほど、特に国内炭使用しやすいよう配慮してほしい、そういう御陳述がございましたが、これは一体どういうことでございましょうか、ちょっと具体的に教えていただきたいと思います。
  27. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 先ほど申し上げましたように、当社産炭地立地しておる電力会社といたしまして、当然国内炭を優先して使用しなければならぬという立場でございますが、しかし、御承知のように国内炭が年々非常にコストが上がってきておる。そういうことで、特にこれから私ども外国炭との関係をよく考えなければならぬわけでございますが、外国炭がさっき申し上げましたように、価格的にも非常に優位な立場にある、そういうようなことから、今後外国炭との価格差につきまして、やはり当社が今後国内炭を優先的に使うという立場に立ちます以上、この価格差について何らかの対策お願いしたいというふうに考えておるわけでございます。
  28. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 柴崎参考人にお尋ねいたします。  先ほどのお話の中で、わが国エネルギーの実情をよく勘案しながらガス業界ではいち早く脱石油の方向に進んでいる、こういうお話で、具体的数字を挙げて非石油系が六二%というお話がございました。ところがこの中で石炭の比重はいまだ九%にすぎないわけでございますが、その辺は主として副産物のコークスの需要実情にある、こういうお話でございますね。  その一つとして、製鉄の使用量が落ちた、もう一つはコークスの品質について需要家の注文がそれぞれむずかしい、いろいろ配分とかサルファあるいは強度の問題等がある、そういう規格にマッチするコークス生産について石炭の品質が問題になってくる、こういうお話がございました。特に弱粘結炭である国内原料炭の使用には限界があると述べておられますが、このウィークポイントにつきまして、混炭その他で製造過程における改良、工夫、そういうことによって国内炭の比重を高めていくことができるかという点をお尋ねいたします。
  29. 柴崎芳三

    柴崎参考人 お答え申し上げます。  先ほどの冒頭陳述の中でも触れた点でございますが、配合率の点に関しましては、ガス業界といたしましても国内炭使用を最優先に考えておるということは事実でございまして、輸入炭は大体強粘結炭に限られておるわけでございます。特にいわゆるガス事業プロパ一のコークスにつきましては、鋳物用が大半でございますので、その強度が大変要求されます。したがいまして、その強度を得るためにどうしても必要な強粘結炭は輸入しなければならない。その強粘結炭の輸入量に応じまして、それに配合する弱粘につきましてはほとんど輸入炭には頼らないで、国内の弱粘結炭並びに石油コークスあるいはピッチ、そういったものを実際上最も需要家の要望に合ったような形で配合しておるのが実情でございます。御指摘のような点につきましては、さらに今後検討を重ねまして、大いに努力いたしてまいりたい、かように考えております。
  30. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 時間が参りましたが、ひとつお許しいただいて、あと一問だけお願いいたしたいと思います。  これは電事連、鉄鋼、ガスのお三方にお尋ねをいたしますが、先ほどちょっとお話が出ておりましたように、前回参考人として出席されました向坂さんの御意見を拝聴いたしておりますと、海外炭国内炭価格差拡大するであろう、また油炭格差もある程度残るであろう、そこで長期的には割り高燃料をたかなければならないところと、それ以外のところとの調整が必要になってくる。このことは奥村参考人もちょっと先ほどそのように触れておられたと思うのでありますが、このことについて、たとえば海外炭国内炭との価格調整のようないわゆるプール制、あるいはまた油に課徴金をかけてそれを国内炭をたくさんたくところに補給するというような方法もあるかと思いますが、これに対する御見解をお三方からお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 長橋尚

    長橋参考人 先々国内炭海外炭との間で大な価格差が続いてまいるというふうな場合、どのように対応すべきかということでございますが、私ども企業の立場といたしましてはいろいろ問題のあるところでございまして、またその場合のやり方というふうな点につきましても、長期的な観点からいろいろな方法、またそのそれぞれの功罪について十分検討していく必要があろうか、かように考えております。  検討に当たりましてのたとえば一つの問題といたしましては、将来脱石油観点から海外炭の大量導入が必要となってまいるわけでございますが、その場合、こういったプールというふうなことを安易に行いますと、かえって海外炭の能率的な確保ということの障害になるようなおそれもあるのではなかろうか、かような危倶もあるわけでございまして、こういった点にも十分配慮の上検討すべき問題だ、かように考えておる次第でございます。
  32. 奥村虎雄

    奥村参考人 ただいまの輸入炭と国内炭とのプールの問題でございますが、現状は、鉄鋼会社におきましては鉄鋼用に使います原料炭の大体一二%を国内炭で占めておるわけでございます。具体的に申しますと、五十三年度全体で五千六百万トン使っておりますが、このうち六百四十万トンは国内の原料炭で、残りの四千九百七十万トンが輸入炭をもって占めているというのが現状でございます。したがいまして一二%、そしてこれは各製鉄会社とも国内炭をある程度大体この前後全部一律に平等に使っておるわけでございます。したがいまして、ここでプールをいたしましても、各製鉄会社の負担は全然変わらない、こういうことになるのではなかろうかと考えております。むしろこれによる手続が非常に煩瑣になってくるというデメリットが残ります。  それから、もう一つ一番われわれ懸念いたしておりますのは、いま長橋参考人も言っておりますが、プールいたしますと、外国の石炭供給国から見ますと、もう少し自分のところり炭を上げてくれてもいいじゃないか、こういうふうな印象を与えて、国内炭にさや寄せをするという機運を醸成するのじゃないかという点を最も恐れるわけでございまして、やはりプール制度というのはひとつわれわれとしては御再考を願いたいと思っております。
  33. 柴崎芳三

    柴崎参考人 ガス事業の国内炭引き取りを制約しておる条件に三つあろうかと思います。第一番目が先ほど申し上げました各炭種ごとの配合率の問題でございます。それから第二番目がコークスの需要量、この需要量によって国内炭の量も当然左右されてまいります。それから第三番目が国内炭石炭価格でございます。この三つの条件によりまして、国内炭引き取り量というものが左右されてまいるわけでございますが、ただいま先生の御提案のプール制あるいは課徴金の問題は、この第三番目の条件に対する一つのインパクトになるわけでございます。したがいまして、仮にプール制あるいは課徴金の制度によりまして国内炭価格が下がってくるという場合でも、海外石炭との比較におきまして、全体としてその価格が上がってくる場合には、やはりプラスの影響だけではなくて、マイナスの影響も出てくるというような現象もございまして、国内石炭鉱業の振興のために、今後抜本的な対策が必要であるという点は重々ユーザー立場からもわかるわけでございますが、今後そういった構想につきまして相当詳細な検討をいたしませんと、なかなか一概にこの制度がいい悪いという判断は下しかねるような状況でございまして、今後さらに十分検討させていただきたいと存じております。
  34. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 終わります。
  35. 古川喜一

    古川委員長 岡田利春君。
  36. 岡田利春

    岡田(利)委員 きょうは大変お忙しいところ、貴重な御意見をありがとうございました。いま山下委員の方から総括的な質問がありましたので、各論に触れて端的に御意見を承りたい、こう思いますので、よろしくお願い申し上げます。  初めに長橋参考人にお尋ねいたしますけれども、すでに昭和五十四年度電力需要見通しについては方々で発表になっておるわけです。しかも、IEA対策として電力業界は三百万キロリットルの油の節約をする。その節約は五十三年末から五十四年の夏にかけて原発が六基完成をする。さらにまた原料の一部をLNGに転換をする、余裕としては石炭のたき増しもできる、こういう一応の方針であろうかと思うわけです。しかし、原発の稼働率は今年六〇%の稼働率を一応前提にしておるという状況ではなかろうかと思うわけです。しかし、昨今の原発の状況、あるいは今年渇水等も一応予想されるという現状の中では、この見直しは当然必要になってきておるのではないか、こういう見方を私は実はいたしておるわけであります。したがって、これらを総合的に見て、今年の電力の需給について当面どのような対応策を一応考えられておるか、こういう点について御意見を承りたいと思います。
  37. 長橋尚

    長橋参考人 お答え申し上げます。  本年度電力の事情につきましては、昨年末以来の検討の結果といたしまして、過般発表されたところでございますが、その一応案が固まりました後におきまして、御指摘のスリーマイルアイランドにおきます原発の事故の問題も出てまいった次第でございます。  五十四年度の需給計画といたしましては、供給面で九電力といたしまして原子力供給電力量を昨年に比べまして三〇%余りの増大を見込んで立てられたわけでございますが、その面につきましては、目下原子力安全委員会及び通産省においていろいろ原子力の安全性につきましての解析の御指示をいただいておるところでございますし、また通産省の特別保安監査というようなものも、現にいまお受けしている最中でございまして、そういったことの後でどのような御判定が得られるかということを注目させていただいている状況でございます。  私どもといたしましては、特にこの夏場の最大電力が求められる時期に向かいまして、需給両面にわたる対策推進いたし、夏ピーク時におきましても何とか広域運営の強化と相まちまして、需給を確保できるようにいたしまして、供給責任を全うしたい、かような考えでいる次第でございます。予期しない電源の脱落というものが夏場に向かって起こるといたしましても、各社協力して需給及び系統運用の安定確保に努めたい、かように考えまして、種々検討いたしている状況でございます。  全体といたしましては、今年度は御指摘のように脱石油の方向に沿いまして、原子力の稼働率の向上を期待いたしますと同時に、火力発電におきましてはLNGのウエートを非常に高めまして、石油の節減に御協力申し上げている次第でございます。  また、省エネルギー面での政府の三次にわたります対策の御発表によりまして、需要面におきましても電力の抑制効果としてある程度のものを期待できるということにつきましても、あわせて勘案させていただいている次第でございます。
  38. 岡田利春

    岡田(利)委員 いずれにしても、今年の電力供給についてはいろいろ工夫をしなければならない情勢だと思うわけです。したがって、IEA対策石油の節減を今日の石油価格動向から考えても、またすでに現在の既設の火力発電所はずっと以前に投資が行われておるわけですし、また灰捨てその他の体制もとれておる地点の火力でありますから、大体そういう意味でカロリー価格石油に見合ってくるとそんなに損失はないと私は思うのです。したがって、むしろ優先的に石炭火力をロードを高める。混焼比率を高めるということは公害協定上問題があろうかと思いますけれども、ロードをできるだけ高めるという方向で、私の試算では大体四十万トンの石炭がマクロ的にたけるという試算になるわけです。この点について電事連全体としてぜひ取り上げて、むしろ優先的に消化をしていただく、この点について協力願えないものでしょうか。
  39. 長橋尚

    長橋参考人 御指摘の、いろいろな情勢下におきまして五十四年度石炭のたき増しにつきましては、電力業界といたしましても、厳しい環境制約あるいは現有設備がかなり老朽化しているというふうないろいろな制約条件のもとではございますけれども、可能な限りの御協力をいたしたいということで、現在資源・エネルギー庁ともいろいろお打ち合わせをさせていただいているところでございます。何分にも環境制約とか設備面の老朽化というふうなことからいたしまして、意欲がございましても現状以上に大幅なたき増し、ただいま御指摘の四十万トンというふうなたき増しは非常にむずかしいのではないか、率直に申し上げましてそんな受けとめ方でございます。
  40. 岡田利春

    岡田(利)委員 後からまたほかの参考人にお聞きしたいと思っております。  そこで、エネルギー価格バランスというものをわが国エネルギー政策の上でどう見るかという点が非常に私は重要だろうと思います。したがって、石油が大宗を占めている以上は、石油価格を基点にしてエネルギー価格バランスを見ていく、これがきわめて常識的であり、基本ではないか、こう私は考えるわけです。特にエネルギーバランスの関係で、電力の場合は原発もあればLNGもあるし、石油もある、石炭もあるということなんですけれども、そういう基本で業界としても考えられておるものですか。
  41. 長橋尚

    長橋参考人 お答えいたします。  申し上げるまでもございませんが、電気事業は公益事業といたしまして、できるだけ電気料金の安定を図っていくということが、電力量安定供給と並びまして大きな責務であるわけでございます。その中におきまして、まず各般の燃料源につきましては、従来何と申しましても石油が一番有利な燃料である、かような認識でまいったわけでございますが、御案内のように、オイルショック以後非常に情勢変化を来しつつあるわけでございますけれども、なお現状におきましては、使用ウエートからいたしましても、石油燃料一つの尺度になっている現状かと思います。原子力につきましては、脱石油の中で最も有利な電源種別、かような認識で鋭意推進を図ってまいっているわけでございますが、あとLNG、石炭、いろいろな燃料種別がございますけれども、当分、中期的と申しますか、やはり電源の中で占める火力設備、特にその中での石油火力というのは環境制約に耐え得る、かような面からいたしましても、なお一つ中心的な位置を占めるのではなかろうか、かような認識を持っている次第でございます。
  42. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほどの御意見で三百七十万キロワットの石炭火力昭和六十年に八百万キロワット、すなわちこれから四百三十万キロワットの開発をする、こういう計算になるわけです。大体想定されておるところは、むしろ電発の石炭火力が大きくて、それから北電の苫東が入ってくる、最後に松浦が入って大体これに近い数値になるんじゃないかなと私は思うのですが、中期的には生だきの時代がまだ続くということははっきりしておるわけです。同時にまた、その立地場所は西高東低型の配置になっておることも、これは産炭構造と逆ですね。一般炭の産出は東高西低だけれども需要の面では西高東低型、こういう矛盾が実は火力発電所配置で出てきておるわけです。そういう面から考えて、当分は旧産炭地石炭火力が配置をされていく、こういう傾向が非常に強いと思うし、東の方は、北海道以外には東北などは考えられる地域だと思うのです。したがって、石炭火力発電所の配置が東西に行われている、ここにまた一つの特殊性があるんではないかと私は思うのです。そうしますと、将来、国内炭輸入一般炭、こう考えてまいりますと、石炭というのは、外炭だろうと国内炭だろうと、近いところへ運ぶのが経済的に一番効率的なはずですね。だからこれを交錯するというのは非効率的なことは間違いないわけです。だから、そういう面から言うと、少なくとも石炭に関しては燃料をプール制にすることが望ましいのではないか。後で北電さんとか電発さんにもお聞きするのですけれども、こう私は思うわけです。したがって、電事連としては、四千万トンの石炭をたくという昭和六十五年度の目標を立てられた以上、それに対する燃料プール制の対応策というものはもう検討されなければならないのではないかな、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 長橋尚

    長橋参考人 お答え申し上げます。  確かに御指摘のように、国内炭産炭地に極力近いところで使用する方が輸送費負担軽減の上から望ましい面があるわけでございまして、先ほど参考人の御供述にもありましたように、北海道電力が道内の一般炭生産量の約二分の一を引き取る全国一の国内炭消費者になっているという現状もまたそういうふうな事情を反映したものかと存じております。しかしながら、他面、現在の電力供給体制は各地区に独立した電力会社が存在して、それぞれに各地域の特性も勘案しながら、経営上最も適当な種類の電源燃料を選択して経営効率の発揮に努めてまいる、かようなたてまえをとっているわけでございまして、お尋ねのような、特定会社国内炭使用を集中して、もし負担増があれば他社とプールするというふうなことは、私ども民間企業のサイド、そして特に現在のような供給体制のもとにおきまして、そのままお受けいたしがたい面のあるところでございます。  しかし、将来の問題といたしまして、必要に応じまして十社体制の中で広域運営の一環といたしまして相互にメリットを分かち合えるような対応策を別途検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  44. 岡田利春

    岡田(利)委員 電力業界の歴史的な経過では、水力から火力に移行する段階においては水火調整金制度というものがあったことは御承知のとおりなわけです。したがって、これは広域であろうと企業が違っておろうと、そういう経験があるわけですから、そういう点、これからの課題だろうと思いますので、御検討いただきたい、こう思います。  それと、最後にもう一点、海外炭開発輸入体制について参考意見が述べられたわけであります。もちろん、これから石炭輸入する場合には、いま電発が進めておるような長期契約の輸入、それから第二段階としては、投資もしくは融資による輸入ですね、それから第三番目には開発輸入、そしてスポット買い、大体こういう四つの種類があると思うんですね。したがって、これはどれを優先するかというような点について、参考意見ではやはり開発輸入が最重点で進められなければならない、こう受けとめておるわけですが、この点はどうだという点が第一点であります。  それと、輸入体制、いわば新しい組織の性格の問題でありますが、こういう一つ会社の機能から考えますと、鉱業権の取得も当然やらなければならない。あるいはまた、港湾の利用権についても契約を結べる権限がなければいけない。したがって、また出資もできる会社でなければならない。あるいはまた持ってきた石炭というものをどう配分するかという、コールセンターをも運用する会社でなければならない。こう考えてまいりますと、輸入についても一応国内では、入ってくるのは自由であっても窓口は一元化されたい、こういう構想にならざるを得ないのではないか、私はこう思うのであります。これは、ユーザーだけで行われるのか、開発をするという前提に立てば石炭生産者関係も含めてやるか、こういう問題もあるのだと思うんですね。まだ検討の段階だと思うのですが、私のいま指摘した点は、これからのこういう体制、新組織をつくる場合に、いずれも含まれなければならない問題だと思いますけれども、どうでしょうか。
  45. 長橋尚

    長橋参考人 お答えいたします。  電力業界といたしまして、将来に備え、海外炭長期にわたります開発輸入体制の検討に入らしていただいておるわけでございます。  御案内のように、ただいま海外業界といたしましての調査団を派遣して、いろいろ海外情勢調査中でございまして、そういった結果を踏まえて、いろいろ体制づくりに具体的にどう対応すべきかを立案したい、かように存じている段階でございますので、ただいま御質問の諸点につきましては、そういうふうな御意見もひとつ踏まえさしていただき、また関係方面の種々の御意見も伺いながら、慎重に具体化に努めたい、かように考えておるところでございます。  したがいまして、海外炭確保策としまして、融資買鉱から始まりまして、いろいろな方式があるわけでございまして、余りそういうふうな開発方式につきましても定型的、一律に考えるのはもちろん当たらないわけでございます。それから関係先との御協力の方途というふうなことも、そういうふうな開発方式あたりとも絡みまして、具体的に検討課題になる問題だと存じている次第でございます。  いずれにいたしましても、業界として、まず共同開発を目指して、ひとつ協調あるいは結束と申しますか、そういうふうな方向に向かうことが先決であろう、かように考えておるわけでございまして、関係方面にいろいろな御支援をいただき、また協力関係を結んでいくというふうにいたしまして、まずエンドユーザーとしましての電力業界の協調の基礎ができるということが大切だ、かような認識に立っておるわけでございまして、同時に、他面、各社の調達する、各社の自立性というふうなこともまた尊重すべきポイントでございまして、そういう共同と自立、そういうような辺の調和も図りながら、最も合理的な、効率的な体制を考えるべきではなかろうか、かように存じているところでございます。
  46. 岡田利春

    岡田(利)委員 次に、北電の四ツ柳さんにお尋ねしたいと思うのですが、九電力体制地域独占の体制なわけです。北海道は非常に面積が広うございまして、そういう意味でも北電の特殊性というものがきわめてあるのだと思うのです。したがって、北電の場合、面積当たり、一体地の八電力に比べて受注口数はどういう比較になるのか、あるいはその需要量は一体どういう比較になるのか、あるいは配電線の比較、きわめて特徴的な北電の送電体制問題点だと思うのですが、この点お知りであればお伺いしたいと思います。
  47. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 ただいまお話のありました北海道の地域特性と申しますか、これはほかの電力に比べますと、非常に違った面がございます。といいますのは、当社供給区域であります北海道は、面積的にいきますと、全国の一三%にもなるわけでございますが、その中に住む人口の数は全国のわずか四・八尾、そういうように非常に広い過疎地帯を抱えている。これが非常に大きな違いでございまして、その上に積雪寒冷という悪条件もございます。  そういうことで、いま御指摘のありましたものを数字的に申しますと、面積当たりの需要家の数は、ほかの八社の平均は平方キロメートル当たり百六十七でございますが、当社は三十でございまして、全国の約五分の一、それから利用面積当たりの販売電力量、これは平方キロメートル当たり、ほかの八社は百二十九万キロワットアワー、当社が十七万キロワットアワーで、これは十分の一でございます。それから販売電力量当たりの送電線の亘長でございます。これは一億キロワットアワー当たりの送電線が十八キロメートル、これはほかの八社でございますが、当社が四十九キロメートル、約三倍になるわけでございます。それから需要一口当たりの配電線の亘長でございますが、ほかの電力では一口当たり十二メートルでございますが、当社が二十二メートル、これは二倍長い配電線が要る。それから電源設備の一カ所当たりの出力も、八電力平均では一カ所九十三万キロワットでございますが、当社が二十八万キロワット、これは三分の一、こういうふうに同じ電気を得るのに非常にたくさんの設備が要る、設備効率が非常に悪いという点で、当社は非常に大きなハンディキャップをしょっているわけでございますが、しかし、経営努力というようなことでいままでやってまいりました。現在の電気料金は、電灯料金が全国の高い方から五番目、電力料金が六番目、真ん中より下のところにあるわけでございますが、これについては、いまの料金が、過去においては石炭が安かったということで、わりあいに悪条件をキャンセルしたわけでございますが、現在は、石炭の方は高くなってきておりますが、設備の方が、実は現行料金の算定された昭和五十一年^五十二年という時期は、当社電源開発が非常におくれておりまして、そのために新しい電源が原価の中に余り入らなかったというようなこともございまして、わりあいに低く抑えられたわけでございます。しかし、その後御承知のように発電所が次から次と去年あたりからできてまいりまして、その結果資本費が非常に高くなってまいりまして、経営が非常に苦しくなっておる実情でございます。
  48. 岡田利春

    岡田(利)委員 北電さん自身の企業合理化努力、同時にまた、今日五十三年度は別ですが、五十二年度まで石炭が歴史的に果たしてきた役割りということも、それから今後もそういう期待が持てるのではないか、私はこう思うわけです。  現在五千カロリーを換算しますと、カロリー当たり二円十九銭ですね。これはもし二四%デメリットをかけたとしても大体二円七十銭くらい。サルファ一%の油は現在大体二円六十銭くらいでしょう。これは六月からまた上がりますから、円高十円分と換算するとまだ上がるわけです。そういう意味では私は、油炭格差は解消された、こう言えるだろうと思うのです。またそのことが、いまの油の価格動向から見ればプラスとして期待される、こう理解していいのではないかなと思うわけです。そういう点の私の認識については、具体的な数字を挙げてお尋ねしたのですが、間違いがあるかないかお聞きしたいというのが一点です。  同時に、北電の場合、伊達の火力が非常にもたついて、前回三〇%の電力料金の値上げの際には、わずか四分の一しか償却費が含まれていないわけですね。だから、これは四分の三は持ち越されてきておる、こういうところにあるわけです。それと、社長が説明されましたように、今度伊達が三十五万二基、そしてまた石炭火力に苫東、釧路、留萌と計算してまいりますと、六十万くらいが苫東、釧路は七十万から九十万、あるいは留萌は七十万程度ある。そうすると、二百万キロないし二百二十万キロ、こういう計算になるわけです。そうすると、大型投資が伴って、先ほどの立地条件からいって資産の償却費が非常に膨大になっている、これが北電の場合一番問題点ではないかと思うのですが、この点まず御説明願えればお聞きしたいのです。
  49. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 油炭格差の問題でございますが、これは去年とことしと非常にさま変わりの状態になりまして、去年は円高の大きな影響が出まして、石炭と油とのトン当たり格差が二千円以上になったわけでございますが、その後、御承知のようにOPECの値上げが相次ぎまして、それから円の方も大幅に安くなったということで、油炭格差は非常に小さくなってまいりました。しかし、これはまだこれから先油の状態がどういうふうに変わっていくか、また円の問題がどうなるか非常に問題があるところでございますが、そういうことで、油炭格差のことは大分幅がなくなってまいったわけでございます。そういう点では油炭格差はなくなりました。しかし、油炭格差がなくなったからといって当社の経営が楽になったのではなくて、当社も油も使っておりますので、油が上がれば収支はやはり苦しくなるということでございます。  さらに、総体の経費が大体一二、三%ふえている中で、資本費は二〇%もふえている、こういう状態でございまして、この点も北海道電力といたしましては、これから非常にむずかしい問題でございます。私ども今後どういうふうにしてこの問題を解決していくか、もちろん全力を挙げての企業努力をしなければならぬと思いますが、それだけではなかなかむずかしい面もあろうかと思いますので、この点は私どもこれから全力を挙げて対策を講じなければならぬというふうに思っております。
  50. 岡田利春

    岡田(利)委員 四ツ柳さんに最後にひとつお願いがあるのですが、北電さんの石炭引き取り量は五十一年度が三百三十八万三千トン、五十二年度が三百九十五万三千トン、五十三年度が三百七十二万二千トンで、貯炭が百四十一万トンあるということなんですが、昨年の貯炭と比べると十万ちょっと減っておるわけです。貯炭が減るということは、率直に申し上げますと引き取りが減るわけですね。だから、年度引き取り量も、いま数字を申し上げましたように減るわけですね。したがって、単年度石炭引き取り量は減る、貯炭は減るということになると、さらに今年度石炭引き取りは減る。御承知のように、一般炭貯炭は北海道に集中してある、こういう現状なわけです。これはずっと長期的に続く問題ではありませんから、非常にいま苦しいですね。あるいはいろいろな努力もお聞きしたわけですけれども、何といっても石炭と北電というものは、北海道の地域の産業の中で共存してきたわけですから、この点は今日の石炭産業状況等を御理解願って、少なくとも従来の引き取りベースが落ちないように御協力を願いたいものだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  51. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 冒頭陳述のときにも申し上げましたが、当社貯炭量は非常に大きいわけでございまして、石炭業界全体が抱えている一般炭貯炭量に匹敵するようなわけでございます。私ども、こういう異常な貯炭をいつまでも持つことは、やはり健全な経営ではないのではないかということで、できるだけ適正貯炭に近づける努力をしなければならないわけでございまして、この点九電力あるいは電発さんを入れた中で、いろいろまた御心配を願っているわけでございまして、できるだけ適正貯炭に持っていく努力をしなければならぬ。しかし、これを一気にそうしていくということは、これはまた石炭の方に非常に重大な影響も来すわけでございますので、その辺を考えながら、さっきも申し上げましたように、今後苫東厚真とか臨海の大型の発電所が次々とできてまいりますので、石炭使用量もふえてくる、そういう中でこの問題をなだらかに解消しなければならぬのじゃないか、こういうふうに思っております。
  52. 岡田利春

    岡田(利)委員 北電さんの石炭火力の稼働率が非常に高いわけですね。五十一年七三・二%、五十二年が七七%、五十三年も、推計しますと七五%近くにいっているのではないかなという感じがあるわけです。そういう意味で、北電の動向は非常に大きな影響があるわけでありまして、この点いま御答弁いただきましたけれども、特に慎重に御配慮願いたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、電発の野瀬さんにお伺いしますけれども、先ほど松浦火力についてお話があったのですが、これは百万二基、七十万二基、三百四十万。六十年に完成するのはそのうちのどのユニットになりますか、全部できるという意味だったでしょうか。
  53. 野瀬正儀

    野瀬参考人 お答え申し上げます。  ただいまの計画では、九州電力の一号機七十万キロが五十九年、電発の一号機百万キロが六十年、こういう予定になっております。
  54. 岡田利春

    岡田(利)委員 石特予算の中でコールセンターというのは、調査も西、東がずっと進められてきたわけです。いろいろずっとその後の経過を考えますと、コールセンターというのは、やはり大容量発電所の近くに設置することが一番望ましいのではないか。そうしますと、西の方はやはり松浦、どうせこれは五万トンバースがつくようにしなければなりませんでしょうから、相当な設備投資もするわけでしょう。そういうものと併用して、むしろちょっと先を見込んでコールセンターを併置をする、あるいは北海道、将来、東の方で見れば、苫小牧なら苫小牧、あれは港もありますし、土地もあるわけですから、苫小牧あたりにコールセンターとしてつくる。こういうようなことを同時並行的にやはりこれから構想され、進められることが最も望ましいと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  55. 野瀬正儀

    野瀬参考人 コールセンターの構想について当社の考え方を申し述べたいと思いますが、ただいまも通産省からいろいろ御指導を仰ぎながらコールセンターの構想についてメリット、デメリット等を考えております。  コールセンターのメリットといたしましては、やはり流通性がある、それから貯炭性がある、さらに混炭性がある、この三つのメリットがございまして、非常にいいのではないだろうか。それからさらに将来火力の発電所を開発する上において一つのメリットになるのではなかろうか。将来を展望すれば、火力発電所の開発数がふえればふえるほどコールセンター役割りは高く上がってくるのではなかろうか、こういう感じでおります。  しかし一方、火力発電所の大規模なものがあちらこちらにできますと、その火力発電所に接続したコールヤードができまして、そこで用を足せば、これが一番経済的ではなかろうか、こういうことも言われておりまして、やはりコールセンターの評価というものは、これから火力発電所を開発する数その他によって非常に変わってまいりますので、今後通産省の御指導を仰ぎながら積極的に進めていきたいと思っておる次第でございます。
  56. 岡田利春

    岡田(利)委員 電源開発国策会社であると同時に、自己の電源をふやすことになりますと、水力石炭火力、そういうことが非常に現在の情勢に適合して先見性があった、こうも言えるのだと思うのです。そういう点で非常に敬意を表しているわけですが、ただ、長期輸入契約というものが存在しますから、これは弾力的、現実的に考えなければなりませんけれども、たとえばいまセメント業界に対しては、IQ品目ですから二〇%国内炭を引き取る、そういうことで外貨割り当てをして、国内炭と外炭を大体価格バランスも考えて政策を進めておるわけです。電発さんの場合には、国内炭専用の火力が存在しているわけですね。しかし、含めると確かにむしろそれ以上に国内炭を引き取っておるということになるのですが、電発で石炭火力をつくるいきさつは、国内炭は引き取って消化できるのだという一つの設計の上に立って進められたという経過から考えて、今日的状況を考えますと、たとえば松島には当面二〇%なら二〇%、将来五十七年に竹原もできる。それが将来とも固定化するという観念は私はないわけです、さらにできていくとずんずん配置をするといいわけですから。しかし、そういう点の視点というものがどうしてもこれは避けて通れなくなったという感じがするわけです。したがって、電発さんにはぜひそのことをお願いしなければならないということが一つなんです。  それからもう一つは、先ほども四ツ柳さんがお触れになったのでしょうけれども、かつて百五十万トンの貯炭を持っていたわけです。電発さんは揚げ地ですから、これは貯炭場は少ないわけですね。まして脱硝装置をつくる、貯炭場は減る、竹原のように一二号をつくっていく、貯炭場は減るわけですね。今日まで私の計算では二十六・三日分の貯炭をお持ちなわけです。一日にすると大体一万一千五百八十三トンではないかと思うわけです。六十日分なら六十九万四千九百八十トンになるわけです。一・五カ月が適切とも言われているのですが、この点は積めと言ったって無理だと思うのですね、貯炭場がないわけですから。しかし、港所にはたくさんあるということで四苦八苦しているという面で、何らかこの点で一歩手を差し伸べて御協力を、短期間、一年か二年そういう前倒し的な御協力を願えないものだろうか、こういう感じがするのですが、この二点について率直な御意見を承りたいと思います。
  57. 野瀬正儀

    野瀬参考人 ただいま端的に申しまして二つのポイントは、松島火力で二〇%の国内炭利用できないかどうか、それからもう一つは、現在の揚げ地火力では三十万トンの貯炭しかないから、もう少しふやしたらどうか、この二つの御質問だと思いますが、実は松島火力につきましては、やはり距離が近いということで、九州炭をここへ持ってくるという計画でおりますが、御承知のとおり、九州炭はサルファコンテントが非常に高いのでございます。二・五ないし三%ございます。公害防止協定によりまして、大気汚染を、サルファを一・二%以下にしなくてはいけない、こういう制約がございまして、一・二%以下にするためには二・五ないし三%のサルファを含んでおる石炭をどのくらいたけるか、こういうことを試算いたしますと、せいぜい七%程度しかできないのでございます。したがいまして、これをもう少し引き取る、少なくとも一割くらいまで、一〇%以上何とかして引き取りたいというためには、特に外炭でサルファコンテントの低い石炭輸入する必要がある。残念ながら南アフリカ共和国の石炭が〇・五%で非常に低いのでございます。しかし、南アフリカ共和国というのは、例のアパルトヘイトの問題で、これをなかなかすんなりと輸入することができませんので、その点非常に苦慮いたしておりまして、できるならば、ほかにもう少しサルファコンテントの少ないところがあれば、それを輸入して、九州炭をそこで少しでも消化いたしたい、こう考えております。  それからもう一つは、何しろ揚げ地火力でございますので、横浜の磯子、これも東京電力の横浜火力の一隅を借りてつくりまして、石炭火力発電所でございますので、石炭の置き場が非常に狭い。そこへ持ってきていろいろな排煙脱硫設備だとか排水処理工事だとか、そういうものを置きました関係上、もうこれ以上ふやすことはできない。それから高砂火力も関西電力の高砂火力発電所の構内につくっておりますので、これもなかなかむずかしい。広げる余地がございませんので、やむなく三十万トンという貯炭能力になっておるのでございます。  しかし、一方考えてみますと、北海道には、あるいは九州には山元にたくさんのオーバーストックがございますが、オーバーストックは使用することによってメリットが出てくるのでございまして、ただ山元に貯炭があるからといって、そこを買うということは、つまりその貯炭に対して資金を融資するということ以外に何ものにもならぬ、こういうぐあいに考えられます。しかも国策会社でございまして、会計検査院の検査もございますし、人の石炭と一緒にまじっているものを、これだけは自分のものであるということもなかなか言いにくい、こういうこともございますので、要はできるだけ山元の石炭を揚げ地火力において使用するということを心がけていきたいと思っておる次第でございます。現在電発の揚げ地火力の負荷率は七五%でございますが、できるだけ努力いたしまして、これを八〇%ぐらいまで持っていくことにして、約十五万トンぐらいのたき増しが可能であると思っております。ただし、高砂火力は公害防止協定上使えませんので、十五万トンには算入しておりません。  さらに重油混焼、つまり火力発電所をスタートするときには重油を石炭にまぜまして、助燃剤として重油を使っておりますが、この助燃剤をできるだけ節約しまして、現在五%程度のものを三%程度まで下げることによって石炭のたき増しをふやす。こういうことをやることによって十五万トンぐらいはできるのじゃなかろうか。技術的な限界は大体負荷率八一%と言われておりますが、そこまでぜひもっていきたい。幸いに——幸いかどうかわかりませんが、ことしは原子力の加圧水型が大分ダウンをするようでございますので、そこへ少したき増しができるのじゃなかろうか。しかし、一方水力発電所の出水率がふえますと、これがまたたき増しが不可能になりますので、今後努力するということでひとつお認め願いたいと思っております。
  58. 岡田利春

    岡田(利)委員 参考までにちょっと申し上げておきますが、北海道釧路の太平洋炭鉱一般炭を四分の一生産しているわけですね。これを江別なり砂川なり空知に持っていきますと、一トン三千三百円かかるのです。釧路の港から三池まで混炭用のローサル炭を持っていっているわけですが、運賃は二千円なんです。北海道の一般炭というのはオーストラリアあるいはまた南ア、それらの一般炭と比較してもりっぱなものですね。サルファはもちろん〇・三以下。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着     席〕 ですから、そういう流通を考えますと、一時的には工夫ができるのではないかという感じがするわけですよ、実際にそうなんですから。高砂まではいま行っていますけれども。実際に船運賃でとりますと、そんなに多くならないのですね。そして北海道内の流通経費よりもむしろ九州まで持っていった方がはるかに安いというのが流通経費の実態なんです。こういう点も石炭部の方も十分御承知のはずでございまして、そういう意味では一時的措置で暫時東上させればいいわけですから、何かそういう点の工夫、御検討をお願いしておきたいと思うのです。
  59. 野瀬正儀

    野瀬参考人 お答え申し上げたいと思います。  運賃でございますけれども、たとえば釧路から三池までトン二千円、こういうお話でございますが、実はオーストラリアから日本まで持ってきてもトン二千円くらいで来るのでございます。その原因はどこにあるかと申しますと、船が大きいか小さいか、それによってうんと違いまして、釧路にもう少し大きな港湾ができまして、ただいま五千トンそこそこの船しか着きませんが、もうちょっと大きい船が入れば、それだけ今度は石炭の運賃が安くなる、こういうことでございますので、われわれの方もできるだけその点を考えながらやらせていただきたいと思っております。
  60. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの質問は電発さんにしたのですけれども、受ける側は電事連ですから、そういう点で理解があれば可能だ、こういう意味で申し上げておきますので、御理解願いたいと思います。  奥村参考人にお聞きしますが、いまの石炭特会の財源というのは、石油の関税一〇%を大体充ててきたわけですね。そして石炭の場合は関税はノー関税で、引き取り優先という原則を一応立ててずっと御協力を願ってきたというのが歴史的な経過でございます。第四次石炭政策昭和四十四年のときには生産規模というものを明示しなかったわけですね。しかし、当時鉄鋼業界から原料炭確保を十分考えて政策を練ってほしいという強い要請を受けまして、その中で有明と三菱の南大夕張の開発に着手する、こういう経過をたどったわけであります。そして第五次政策、昭和四十八年のときには二千万トン以上という、いわゆる二千万トン体制というものが位置づけられたのであります。この二千万トンというのは、言いかえれば鉄鋼八百万トン体制という意味なんですね。珍しくこの場合には二千万トンの中身をそれぞれ明示したのが昭和四十八年の年なんです。したがって、そういう方向にずっと石炭生産体制というものを対応できるように変えてきたというのが歴史的な経過でもあるわけです。そういう面からいって急激な変化ということは、先ほどの御意見で私は十分承知いたしておるわけです。そしてまたある程度できるものならば、原料炭から一般炭エネルギーの方向を転換するという点についても私は否定をするものではないわけです。  ただ問題は、そういう歴史的な経過を踏んまえて考える場合に、やはり工夫が必要ではないか。俗っぽい言葉で言えば三方一両損的な理解はどうしても必要ではないか、こう思うのです。強粘は自由化品目ですけれども、弱粘は一体なぜIQ品目にしておったのか。これは経済性を無視してIQ品目に固執するなんというばかな考えを私は持っているわけではありませんが、一般炭と弱粘は同列に置かれている。これはやはり国内石炭体制というものを二千万トン維持していこうということなんですね。国際的に見ますと、日本とフランスの出炭規模は歴史的にずっと似ているわけです。日本が五千万トンの場合にはフランスも五千万トン。そしてフランスでは現在なおかつ二千百万トンから二百万トンの生産規模を維持して、トン当たり六千円ぐらいの助成をしておるわけですね。日本の場合にはトン三千九百円、四一%程度しか前向きに予算は使われていないわけです。あとの五九%というのは日本列島の整形手術をしたり、いわゆる過去の手当あるいは産炭地経済の振興あるいは雇用対策、これらに予算が使われているわけです。これがいまの石炭特別会計の内容であるわけです。  こう考えてまいりますと、少なくともそういう歴史的な経過をたどってきたということ、そうしてそういう政策措置をせざるを得なかったという点については、私の認識と奥村さんの理解とは一致するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  61. 奥村虎雄

    奥村参考人 ただいまの岡田先生の御意見、まことに同感でございまして、きわめて少ない日本国内資源の活用という点につきましては、鉄鋼業界として従来から十分認識しておるつもりでございます。したがいまして、本来経済性だけを問題にいたしますれば、とても国内炭は使えないということだと思うのでございます。現状でもトン当たりで八千二百円も違うということでございますが、それを承知の上で使っておるということは、石炭企業の現状を認識いたしまして、鉄鋼業界もこれに何とか協力してあげなければいけないという大乗的な国家的な見地から御協力申し上げておるということでございまして、この点は稲山前鉄鋼連盟会長石炭鉱業審議会の会長をしておられるわけでございまして、各鉄鋼企業の経営者も異存のないところかと思います。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着     席〕  ただ、先ほど私の申し上げたとおり、最近における世界的な石油危機を契機とする変動、激変、それからまた円高の影響等々から見まして、いまの鉄が相当もうけているということであれば何とも申し上げる必要もないのですが、ぎりぎりの経営がやっと維持できているということから言いますと、やはりこの際、全部鉄鋼でその差額を負担しろということではなくて、ほかのドイツにしろ、フランスにしろ、相当国の助成を受けておられるという現状から見て、日本でもさらに国の助成金政策というものがもう少し強くとられてもいいんじゃないか、こういう考え方でございます。お考えの基本的な路線については賛成でございます。
  62. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般来、石炭対策特別委員会を開きまして参考人も来ていただいていろいろ議論一をしてまいりました。先ほど述べられた参考人意見もわれわれは非常に尊重して拝聴をいたしておりました。  そういう意味で、石炭経営者の方も、いわば一般炭の方向に原料炭をできるだけシフトをしていくということについては、方針が明確に出されるものと私は思っておるわけです。だがしかし、これには時間がかかりますね。一般炭に持っていっても、現在でも余っているわけですから、受け皿がないとだめだ。粘るものであれば、対応できる発電所をつくらなければだめだ。サルファの問題もありますね。そういうような点で準備に時間がかかるだろうと思うのですね。私の試算では、そのためには大体六、七年の時間は必要である、こう思うのです。しかし、展望はでき上がるわけですね。したがって、前段申し上げました歴史的な経過をも踏んまえて、やはり石炭政策を進める政府、そしてまた石炭協会や鉄鉱連盟という三者の関係、いわば転換計画といいますか、こういうものが合意されなければならない。そこには電力会社の場合も、受ける側があるわけですから、全体が合意された、しかも可能な計画、これがないと一方的に物を言っても決まらないのだと思うのですね。これを果たすのが石炭鉱業審議会の需給部会か基本部会か何かでやるのでしょうけれども、そういうことが緊急に必要になってきたのではないかという気がするわけです。  そのことができ上がりますと、一定のビジョンができ上がってきますから、今後の展望が出てまいりますから、それぞれ地域においても、雇用されている労働者においても、それぞれの企業においても、ある程度の確信を持った対応ができるんではなかろうか。この点がまだ未成熟な状態でじゅくじゅくしているというのが現時点ではなかろうかと思うのですね。したがって、そういう四者の合意というものが早急に必要だ。それがないと、今年も、五十四年度引き取りだってまた一体幾らになるのかという問題もあるでしょうし、いま主張されておる点では、財政的な政策的な支えをどうするか、こういう問題も当然その中に議論されてくるわけですから、こういうところがぴちっと固まらないと、石炭政策はにっちもさっちもいかないのが現状であろう、こう私は思うわけです。そういう点について御意見を承りたいと思うのです。
  63. 奥村虎雄

    奥村参考人 ただいまの御意見でございますが、やはりこの際、一般炭に重点を移行するというふうに切りかえるにいたしましても、数年かかるということであろうかと思います。したがいまして、その間どうするかということにつきましては、やはりその間の貯炭の融資あるいは一般炭に対する補給金の設定等につきまして、政府にも十分ひとつ考えていただきたいし、その間の過渡的な措置につきまして、鉄鋼業界としてもどの程度まで負担し得るかということにつきまして、十分また御相談をしていくように心がけていきたいと思っております。
  64. 岡田利春

    岡田(利)委員 きょう御意見をもらうのは無理かもしれませんけれども、そういう合意が成り立った場合に、大体一億八百万トンから一千万トンの粗鋼生産の見通しもある。こう新聞は報じておるわけです。したがって、そういう一応の合意が成り立てば、今年は昨年よりも石炭引き取りが、そういう合意を前提にして——われわれは期待したいと思っておるのですが、期待できるもの、こう理解してよろしいでしょうか、いかがでしょう。
  65. 奥村虎雄

    奥村参考人 お答えいたします。  量的な問題につきましては二つございまして、一つは最近の世界的な経済情勢等から考えまして、ここ数年、中期的な見通しとして一億二千万トン前後程度の生産規模が当分続くのじゃなかろうか。伸びましてもせいぜいそこら辺ではなかろうか、たとえば昭和五十五年、六十年という中期的な展望においてでございますが。そういうことからくる制約。それからもう一つは原料炭の使用原単位が最近非常に向上してまいりまして、これは一つには、エネルギーの節約ということもございますし、それからあらゆる面における技術革新が働いておりまして、たとえば銑鉄一トンをつくるために必要とするコークス比でございますが、日本は四百三十キロぐらい、世界全体で見ますと、先進国はいずれも五百キロないし六百キロのコークスを使っております。そういう点から考えますと、仮に一億二千万トンの生産をいたしましても、それに必要とする原料炭の量というものは、トータル六千五百万トンぐらいということでございまして、これはやはり外国の長期契約等々もございますので、国内炭をいま六百四十万トンとっておりますが、これを八百万トンまですぐ引き上げることが可能かどうか、これは非常にむずかしい点もございます。六百四十万トンびた一文とれないなどとは申しませんけれども、国際的な信用という問題もございますので、なかなかむずかしい点があるということを申し上げたいと思います。  なお、先ほどもちょっと申し上げましたけれども輸入炭もかなり減らしておりまして、昨年の実績で言いますと八%減らしております。国内炭は極力そういう痛手を少なくするために三%弱の減少にとどめておる。そういう努力の跡ももう一つお考え願いたいと思っております。
  66. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、いまの生産体制は実質千八百万トン体制なんですね。政府は二千万トン体制は下げないわけです。下げたら国際的に相当非難が集中すると思います。先ほど言ったように、フランスの出炭規模から見て二千万トン体制というのは政府自身も崩せないと思うのです。資源確保のための国際連帯や協調という問題で、やはりある一定の線は常に認識しなければならない問題だと思うのです。そこで公益事業があり、政府系の会社があり、地域の企業が存在しておる。セメントが新たに油から石炭に転換をしている。その間に協力が行われる。やはり協力バランスがないと、財政だけでは石炭政策はなかなか打ちにくいと思うのです。やはり総合的な理解の焦点が二千万トン体制ということになっておるわけです。実質は千八百万トンちょっと、こういう状況でございますので、きょう大変貴重な御意見をお聞かせ願いましたけれども、そういう意味で、せっかくまた御理解と御協力をこの機会お願い申し上げまして、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  67. 古川喜一

    古川委員長 権藤恒夫君。
  68. 権藤恒夫

    ○権藤委員 参考人各位におかれましては、本日御多忙の中に当委員会の審査に御協力くださいましてありがとうございます。また日ごろから石炭政策に御協力を賜りまして、この席をかりて御礼を申し上げる次第でございます。  御承知のとおり、貯炭が三百七十万トンに達しようとしておるわけでございますが、そうなりますと、二千万トンの石炭体制石炭対策の根幹に触れるような場面に直面しておるわけでございまして、これらのことを御理解いただき、今後一層の御協力をお願いしなければならないと思っております。業界の皆さん方にとりましては、最も問題となっております石炭価格につきましては、最近のOPECの石油値上げによりまして、従来から問題になっておりました油炭の格差問題よりも、むしろ輸入炭と国内炭の炭炭格差の方がより深刻な問題となっております。そういうこともよく理解しておるつもりでございますが、その上でなお石炭政策に協力していただきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、もう質問がなされておりますので、重複を避けるようにして御意見を承りたいと思うわけであります。  初めに、電事連り長橋さんにお伺いしたいのですけれども、国際的に、石油火力発電の新設を禁止して石炭火力への転換を強めようじゃないか、こういう機運が高まっておるわけでございますが、わが国におきましても、これに対して前向きに対処しようということでございます。そこで、当事者であります電事連としては、この問題をどのように受けとめておられるのか、また具体的な方針及びこれに対する考え方をお伺いしておきたいと思うわけであります。
  69. 長橋尚

    長橋参考人 最近におきます国際エネルギー機関、IEAでの石油火力建設を原則的に禁止するという動きにつきましては、私ども電気事業界といたしましても、今後の大きな方向としてこれに対応してまいらなければならないと考えておる次第でございます。しかしながら、日本の場合におきましては、公害規制が日本の特殊な状況からいたしまして非常に厳しいわけでございます。他方、電力の場合には、長期的に安定供給を図らしていただかなければならないという立場もございまして、相当先々に向かっての電源開発計画を考えまして、それに対して諸般の準備を進めてまいっておるわけでございます。  中期的に申しまして、たとえば昭和五十八年から六十年という時点で運転開始を予定しております火力発電設備につきましては、もとよりLNG化を進めてはおりますけれども、やはり石油火力にまたなければならない面があるわけでございます。五十四年から五十八年という時点で考えますと、石油火力は、新設に対して一部LNGその他に燃料転換の手当てのつきますものは転換をいたしましても、差し引き二百六十六万キロワットの増加にならざるを得ないわけでございます。またその先行き五十九年から六十三年という辺につきましても、燃料転換あるいは廃止というものと新設を差し引きいたしまして、やはり四百五十万キロワット程度石油火力の新設を見込まざるを得ない、かような現状にございます。しかし、そういった時点から先につきましては、できるだけ非石油系の燃料で原則的に火力発電設備につきましても対応してまいる、かような考え方に立っている次第でございます。  そういう日本の環境事情あるいはやむを得ない場合の経済性という点についてのIEAの勧告の中での例外規定というものにつきましても、政府におかれまして国際会議の場でいろいろ御努力いただいている状況でございます。
  70. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それから、鉄鋼の奥村さんにお伺いしたいのですが、いままでの景気の悪化に伴いまして粗鋼生産が減少しておる。深刻な状況でございますが、結果として原料炭の消費が減ってくる。先ほども質問があったとおりでございますが、今後の粗鋼生産の見通しはどうか、これが国内炭需要拡大にどんな影響を持つかということについての御意見を伺いたいのです。
  71. 奥村虎雄

    奥村参考人 お答えいたします。  五十三年度は一億五百万トンでございました。五十四年度見通しは、まだ正確な数字はわれわれ作成しておりませんが、業界の中で強気、弱気のいろいろな意見がございますが、一億六百万から一億八百万トンという意見が大宗でございます。  中期的にはどうかということでございますが、先ほどもちょっと申し述べましたが、昭和五十五年から六十年にかけてという時点で大体一億二千万トン前後、こんな数字になろうかと思うのでございます。この一億二千万トンはちょうど昭和四十八年の生産実績程度でございまして、現在まで数年一億トン前後のところをジグザグ行進しておったわけでございますが、これがようやく四十八年度に戻るという程度の生産見通し業界としては立てておるということでございます。
  72. 権藤恒夫

    ○権藤委員 ガス協会の柴崎さんにお尋ねしたいのですが、最近アメリカのコークス輸入が増加しているようであります。そこで、わが国のガス業界を初めといたしまして、コークス製造メーカーの製造技術は国際的にもトップレベルにあるやに聞いておりますが、こうしたアメリカの動向を踏まえまして、コークスの輸出問題についてどのようにお考えになるか、またその場合、国内炭需要拡大にどの程度貢献するものかという見通しについてお伺いしたいわけでございます。
  73. 柴崎芳三

    柴崎参考人 最近におきますコークス専業メーカー、都市ガス業者のコークスの生産量についてまず御説明申し上げますと、五十二年度の実績でございますが、専業者で約六百八十二万トン、ガス事業者で三百五十四万トンということになっておるわけでございます。特にガス事業者につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、東京、大阪、東邦、広島の四社で生産しておるわけでございますが、この三百五十四万トン、三百数十万トンのうちに鉄鋼用の委託生産というものが非常に大量に含まれておりまして、五十二年度で申し上げますと、製鉄用の委託が二百三十万トン。したがって、残りの約百二十万トンというものが一般用になっておるわけでございまして、ガス事業プロパーのものはこの百二十万トンになるわけでございます。したがいまして、コークスの生産規模としては非常に小さいものでございまして、現状アメリカからいろいろ引き合いもあるようでございますが、これは非常にロットが大きい引き合いでございまして、ガス事業としてはガスの生産が本業でございまして、コークスはあくまで副産物でございますので、なかなかそれに応じきれないというような段階にございますが、専業の方では若干の輸出が行われておるというぐあいに聞いております。
  74. 権藤恒夫

    ○権藤委員 北電の四ツ柳さんにお伺いしますが、国策に沿って割り高国内炭を多く利用していただいておるわけでございますが、これに伴いまして、他社との発電コストの比較はいかがなものでございましょう。お答えいただければお教えいただきたいと思います。
  75. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 他社との発電コストについては、ちょっと資料を持っておりませんけれども、私どもの方の石油火力石炭火力の発電コストで申しますと、当社では石炭火力はキロワットアワー当たり約十三円ぐらい、石油火力は十二円というような程度でございまして、石炭火力の方が一、二割高いというような状態でございます。
  76. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それから、電源多様化税構想というのが言われておりますけれども、北電としてはこれについてどういうお考えでしょうか。もしこの税が実施されました場合、メリットを受ける立場としてのお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  77. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 電源多様化税につきましては、北海道電力単独の考えというのはちょっとむずかしいわけでございますが、やはりこれは電力業界全体として考えなければならぬ問題でございまして、私ども、いまの石炭の格差につきまして、前は石油との格差についていろいろ、去年あたり非常に大きく違いましたので、各方面にこの問題の解決お願いしておったわけですが、現時点では油炭格差というのは非常に縮小してまいりました。そういう面で、この電源多様化税でこの問題が解決するというようなことでもないのじゃないかというふうに思っておりますが、この問題はいろいろ非常にむずかしい問題を含んでおります。北海道電力としての見解を申し上げるのは妥当ではないのではないかと思っております。
  78. 権藤恒夫

    ○権藤委員 電発の野瀬さんにお伺いしたいのですけれども、排煙脱硝技術開発現状見通しはどういうことになっておるか、また設置しました場合のコスト面に対する影響はどのようになるのか、お聞かせ願いたいと思います。  それから、石炭火力の公害問題、これは改めて聞くまでもないことでございますが、この公害につきまして率直にひとつ御意見を承りたいと思います。
  79. 野瀬正儀

    野瀬参考人 お答え申し上げます。  排煙脱硝技術につきましては、ただいま環境庁の規制によりますと、総括規制として〇・〇二PPMのNOx以下にしなさい、こういうことでございましたが、最近環境庁でこれを少し緩和されまして、〇・〇四ないし〇・〇六PPM、こういう数字に、約二倍ないし三倍に緩めていただきました。これでもまだ世界情勢からいくと非常に厳しい。常識的に言って〇・一PPMぐらいがわれわれとしては常識ではないか、こう思っております。しかし、一方やはり技術開発によってこの〇・〇四ない〇・〇六に落ち着くように目下一生懸命でやっております。やはりいままではこのNOxというものは、主としてNO2でございますが、これが石油に比べて石炭が非常に弱いデメリットでございまして、これを克服しなければ石油火力に打ちかつことができないのではないか、こういう大使命を持っております。したがいまして、いま一生懸命でやっておりますが、触媒によってこれを吸収して少なくする、そういうものの発案だとか、それからボイラーの中の炎の長さを長くすることによって温度を下げるとか、いろいろの工夫をいたしまして、大〇・〇四ないし〇・〇六、その付近ですとフルスケールの脱硝設備ができるのではなかろうか。いまの触媒の開発と相まってまず大体いけるというところへ到達したところでございます。  以上、お答えいたします。
  80. 権藤恒夫

    ○権藤委員 以上で質問を終わります。
  81. 古川喜一

    古川委員長 安田純治君。
  82. 安田純治

    ○安田委員 参考人の方々、大変長時間にわたって貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。また、同僚委員からいろいろな角度からお伺いをいたしまして、お答えもいただきました。時間の関係もございますので、ほんの少しだけ伺いたいと思います。  まず、野瀬参考人にお伺いしたいのでございますけれども、先ほどの御陳述の中で、環境問題、灰捨て場確保問題に言及されましたときに、従来産業廃棄物管理型であったのを安定型としていく必要があるのではないかというようなお話がちょっとあったと思うのですが、その内容をちょっと御説明いただきたいと思います。
  83. 野瀬正儀

    野瀬参考人 ただいま申し上げましたように、石炭火力発電所ではこの灰が一五ないし二〇%できます。百万トンの石炭をたきますと十五万トンないし二十万トンの灰ができるわけでございまして、これを処理するということは大変な経費がかかるわけでございますが、ただいま産業廃棄物の規定によりますと、この産業廃棄物の中に管理型と安定型とございまして、管理型と申しますのは、もうしずく一滴も外へ出してはいかぬ。全部を一つのコンクリートあるいはそれに匹敵するような構造物によって、たとえば海へ一滴もその汁を流しては相ならぬ。いわば毒物でございます。そういう考え方に立っているのがこの管理型でございます。一方、安定型と申しますのは、それほどの必要はない。外に対して悪影響はない。したがいまして、海で擁壁をつくりましても、仮にその間に水が浸透するとか、廃水が少しぐらい海にこぼれても差し支えないという非常に緩い規定になっておりますので、私たちが考えますには、灰はそれほど毒物ではないんではないか。肥料にもなります。そういう点では管理型からぜひ安定型にかえていただければ灰捨て場の工事費も安くなるんではないか、私はこう思いましてお願いする次第でございます。
  84. 安田純治

    ○安田委員 次に、柴崎参考人にお伺いしたいのでございますけれども、これも非常に私の理解が悪いのかもしれませんが、先ほどの御陳述ですと、コークスの需要について四十八年度以降は使用量が減少して大きな拡大は期待し得ない、こういうお話でございました。同時にまた、同僚委員からの質問に対しまして、輸入炭は強粘結炭に限る、これはコークスとの関係、いろいろ述べられましたですけれども、ことしの一月の三十一日の「ガス事業新聞」というのを見ますと、原料炭が倍増したということで、十二月の輸入炭の需給の報道が出ておりまして、十二月の輸入炭需給統計をまとめたところによると、前年同月に比べ二・ ○九倍だった、こういう報道がなされておるわけです。これと先ほどお話しがあったコークスの需給との関係は一体どういうことになっているのか、もし教えていただければと思います。
  85. 柴崎芳三

    柴崎参考人 お答え申し上げます。  ただいまの新聞記事は私ちょっと読んでおりませんので、正確な御説明はできかねるわけでございますが、当方で持っております正式の統計によりますと、一般用コークスの原料について申し上げたいわけでございますが、五十二年度輸入の強粘結炭が約五十四万トンでございます。それから五十三年度の実績見込みは約五十二万トンでございます。それから弱粘が若干あるわけでございますが、弱粘が五十二年度で約十二万トン、五十三年度で九万トンということになっておりまして、最近の入着が倍増したというのは、恐らく月別の統計か何かで、入着が非常にアンバランスがございますので、そういう意味の月別の統計を整理した結果ではないか、そんなぐあいに観測するわけでございます。
  86. 安田純治

    ○安田委員 そうすると、これは月別の入着のアンバランスであって、特に需要拡大したとかそういう意味ではないということでございますね。それは間違いないんですね。
  87. 柴崎芳三

    柴崎参考人 コークスの需要全般は確かに落ちておりまして、五十二年度約三百五十万トンに対しまして五十三年度は三百二十万トン程度になりまして、約三十万トン落ちております。したがいまして、国内で買い付けております弱粘にいたしましても輸入しております強粘にいたしましても、それとの同じ比率で約一〇%程度落ちておるというのが実情でございまして、特にコークスについて需要増のファクターが最近あるということはあり得ないことであろうかと思います。
  88. 安田純治

    ○安田委員 次に四ツ柳参考人にちょっとお伺いしますけれども、先ほどの御陳述の中で、貯炭について、事故対策その他の貯炭生産者に、それからセキュリティーの問題としては国が負ってもらいたい、こういうような御陳述がございましたね。貯炭については貯炭の場所的問題と資金の問題とあると思うのですが、その点についてユーザー側として貯炭を山元あるいは国で持てというのはどういうことからおっしゃっているのか。
  89. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 石炭に限りませんけれども、一般に燃料の適正貯蔵というのは大体一・五カ月程度あれば十分なわけでございます。たとえば、私どもで申しますと、冬季に雪害等のために交通が途絶したとか、あるいは山の方でストが何日か続いたとか、そういうようなことで石炭が入ってこないような場合でも、発電に差し支えないような石炭を持っておれば十分なわけでございます。特に北海道の場合は産炭地でございますので、そんなにたくさんの貯炭を持つ必要がないわけでございますので、いままでの経験上一・五カ月くらいあれば十分発電所の運転が安定してやれる、こういうことからその程度貯炭で結構だ。しかしながら、いままでもやはり石炭業界の要望がありまして、もっと多く引き取れ、あるいは豊水の場合、石炭消費が少なくなっても安定して石炭を引き取れ、そういうようなことからだんだんと貯炭の量がふえてきた。そういう結果がたまりたまって百四十万トンにもなった。こういう状態で、貯炭がたくさんあればその管理費用というようなものも相当かかります。また金利もかかるわけでございますし、また炭質も長く置きますと低下する。そういうことで非常に大きなマイナスになりますので、適正貯炭以上のものはぜひ生産者側の方でも負担していただきたい、一ユーザーの方だけにそのしわを寄せていただきたくない、こういう趣旨でございます。
  90. 安田純治

    ○安田委員 もう貯炭する場所的なキャパシティーは絶対物理的に不可能だ、こういう意味も含むのですか、含まないのですか。
  91. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 実は私どもの方は、発電所をごらんになればわかりますように、発電所が石炭の山に埋まっているという状態でございまして、発電所からかなり遠いところまで石炭を置いている。そういうことで、それを今度発電所まで持ってくるのにまた相当の費用をかけなければならぬ。これ以上石炭を持つということは非常にむずかしい状態になっているわけでございます。
  92. 安田純治

    ○安田委員 長橋参考人にお伺いしたいのですけれども、先ほど来いろいろエネルギー源多様化といいますか、この問題でお話がございました。同僚委員からも今後の新しい石油の火力発電所の新設を認めないというような状況の中でどうかという質問もあったわけでありますが、どうもいろいろ考えますと、ここは思い切ってひとつ石炭火力発電の問題を見直す必要があるのではないかというふうに思うわけです。  一方、たとえば本日の読売新聞を見ますと、アメリカの例のスリーマイルアイランドの事故でございますね、これに電事連の調査団が行ってきて二十四日に記者会見をしている。この中で、新聞の書きようもあるかもしれませんが、人為ミスが主因である、わが国設備は構造が違うと安全性を強調した、こういうことが電事連の調査団の方の見解として報道されておる。  それから、先ほどの同僚委員石油の火力発電所新設禁止の問題についても、日本は特別だからいろいろお願いしておるというようなことで、確かに石炭の火力発電所をにわかにばばっとつくるというのは非常に困難な面があることは私もわかりますけれどもエネルギー多様化の中での石炭火力発電所の見直しをもう少し本気になってやる必要があるのではないか。  それは電事連だけにお願いするわけじゃございません。われわれもみんなそうでなければならないのだと思うのですが、アメリカで原発の事故が起きた、大したことはないという評価をする。それから世界的な石油火力発電所をつくるなという問題についても、日本は特別だと言って、言葉はちょっとどぎつくなりますが、しがみつくといいますか、そういうような傾向があるとすれば、この際、考え直さなければならぬのじゃないかというふうにも考えるのですが、その点、いかがでしよう。
  93. 長橋尚

    長橋参考人 御指摘のように、将来に向かっての電源開発を円滑に進め、電気事業といたしまして供給責任、こういう社会的な責任を果たしてまいります上で、私どもといたしましては、石炭火力の今後に向かっての位置づけについては非常に積極的に受けとめさせていただいているわけでございます。  何と申しましても、脱石油一つ中心原子力であるべきである、かような考え方については、当業界といたしまして変わるところがないわけでございます。ただ当面の、スリーマイルアイランドの問題に関連いたしましては、これを非常に深刻に受けとめまして、先ほど申しましたように、運転につきましては安全委員会また通産省の方の御判定をいま待っているところでございまして、業界といたしましては、そういう御判定と相まちまして、その安全性につきまして今後とも国民の方々の御納得を得られるように誠心誠意努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。  火力発電所、原子力発電所あるいは水力発電所、これは電気の円滑な供給という意味合いから一つに偏するわけにいかないわけでございまして、火力発電設備の中では、石油のウエートを今後非常に減らしてまいることはもとよりでございまして、それにかわるものとして、従来LNGの開発——これも非常に長いリードタイムが必要なわけでございます。十年ぐらい前から手がけてまいって着々実用に供しているわけでございますし、石炭につきましても、これのウエートを格段に、本格的に増大していくということで努力に入っているわけでございます。しかしながら、石炭火力を本格的に定着させ、拡大してまいりますためには、どうしても環境対策あるいは先ほどの灰捨て場、港湾、流通施設、コールセンターも含めまして、そういう解決すべき問題が非常に多いわけでございます。また一業界努力はもとよりでございますけれども、国の御支援お願いしなければならない、かような余地が非常に大きいわけでございまして、さような点についてよろしく御認識を賜りたい、かように考える次第でございます。
  94. 安田純治

    ○安田委員 時間がいよいよ迫ってまいりましたので、あと一問だけで終わりたいと思うのです。  かつて石炭が非常に必要だったときに行われたのだとは思いますけれども、たとえばガス会社、製鉄会社の中では石炭の経営会社に相当の出資をしているところがあるのですね。たとえば三井鉱山の有価証券報告書なんか見ますと、大株主として新日本製鉄が出ておりますし、それからそのほかにも東京瓦斯でしたか、何か出ているようでありますけれども、現在どのくらい株を持っているかわかりませんけれども、大株主として一応当時——五年前ですか、そういうふうに載っているわけです。これがだんだん石炭の方が後退してまいりまして、現在どのくらいの株を持っていらっしゃるかわかりませんけれどもユーザーとしての立場でいろいろお話を伺ったのですが、当時相当の大株主として経営に参与された。少なくとも影響を与える地位にあったと思うので、そういう意味でも経営戦略的にいろいろ原料の確保という面で出資されたのだと思いますけれども、今日石炭産業がこういう状態になったときに、やはりユーザーとしての立場だけじゃなくて、そういういままでのいきさつ、それから現実にどのくらい株を持っているかいまわかりませんけれども、大株主として経営に影響を十分与え得る地位にあるとすれば、いわば石炭会社に対する経営責任といいますか、こういう面も一面生ずるのではなかろうか。石炭を使うユーザーとしての立場だけじゃない部分もあるのではないかと思うのですが、出資している会社の方じゃなくて鉄鋼連盟の方ですから、これは適当な質問かどうかわかりませんけれども、そういう点で御感想を、ガスと鉄鋼連盟の方にお伺いしたい。それで終わります。
  95. 奥村虎雄

    奥村参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、いま具体的などのぐらいの株を持っているかという資料を持っておりませんが、たとえば第六次答申が出たころには、相当石炭が不足する可能性がある、国内でも新鉱開発の必要ありというような時期でございました。そういう時期に石炭会社から需要家サイドにぜひ株を持ってほしいという話がございましたことは私も承知しております。そういったことで資金的な援助という意味合いにおきまして出資をしたと思います。したがいまして、それに直接経営参加するというような意味合いではございませんで、資金面の協力という意味合いが非常に強かったというふうに承知しております。それは石炭企業というものの日本における重要性をユーザーサイドも認識をいたしまして、できるだけこれを何とか国策の線に沿って維持させたいという気持ちのあらわれというふうに御理解願いたいと思います。
  96. 柴崎芳三

    柴崎参考人 お答え申し上げます。  ガス事業として炭鉱会社に出資をしたケースはございません。先生ご指摘の点は、恐らく北炭の新夕張の開発のときに、ガス会社と鉄鋼会社数社でその開発資金について御援助申し上げたというケースではないかと思うのでございますが、その趣旨は、新夕張の炭が弱粘ということで非常にいい炭でございますので、その安定供給をぜひ確保したいということで融資、御援助申し上げたわけです。そういうことでございますので、現在に至るまでこの炭はガス会社といたしましても相当優先的に引き取っておりまして、お役に立っておるのではないか、かように考えております。
  97. 安田純治

    ○安田委員 終わります。ありがとうございました。
  98. 古川喜一

    古川委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。      ————◇—————
  99. 古川喜一

    古川委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  本日、理事稲富稜人君委員辞任され、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 古川喜一

    古川委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事山本悌二郎君を指名いたします。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会