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1979-07-10 第87回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    小委員会昭和五十三年十二月二十三日(土曜 日)委員会において、設置することに決した。 昭和五十四年一月八日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       鹿野 道彦君    佐々木義武君       島村 宜伸君    楢橋  進君       野呂 恭一君    原田昇左右君       武藤 嘉文君    山下 徳夫君       渡部 恒三君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    岡田 哲児君       後藤  茂君    上坂  昇君       清水  勇君    岡本 富夫君       玉城 栄一君    吉田 之久君       工藤  晃君    大成 正雄君 一月八日  山下徳夫君が委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十四年七月十日(火曜日)     午後一時一分開議  出席小委員    小委員長 山下 徳夫君       鹿野 道彦君    島村 宜伸君       塚原 俊平君    松永  光君       武藤 嘉文君    渡部 恒三君       板川 正吾君    後藤  茂君       清水  勇君    岡本 富夫君       吉田 之久君    工藤  晃君  小委員外出席者         資源エネルギー         庁次長     児玉 清隆君         参  考  人         (イームル工業         株式会社取締役         社長)     織田 史郎君         参  考  人         (日本地熱調査         会専務理事)  伊賀 秀雄君         参  考  人         (矢崎総業株式         会社専務取締         役)      斉藤  明君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 三月十六日  小委員玉城栄一君二月五日委員辞任につき、そ  の補欠として玉城栄一君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員大成正雄君二月八日委員辞任につき、そ  の補欠として大成正雄君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員工藤晃君二月十六日委員辞任につき、そ  の補欠として工藤晃君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員清水勇君二月二十七日委員辞任につき、  その補欠として清水勇君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員上坂昇君同月二日委員辞任につき、その  補欠として上坂昇君が委員長指名で小委員に  選任された。 六月十四日  小委員吉田之久君三月十九日委員辞任につき、  その補欠として春日一幸君が委員長指名で小  委員選任された。 同日  小委員佐々木義武君、渡辺秀央君及び玉城栄一  君三月二十日委員辞任につき、その補欠として  佐々木義武君、渡辺秀央君及び玉城栄一君が委  員長指名で小委員選任された。 同日  小委員鹿野道彦君及び楢橋進君四月十一日委員  辞任につき、その補欠として鹿野道彦君及び楢  橋進君が委員長指名で小委員選任された。 同日  小委員上坂昇君四月二十六日委員辞任につき、  その補欠として上坂昇君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員大成正雄君五月八日委員辞任につき、そ  の補欠として大成正雄君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員原田昇左右君五月三十日委員辞任につき、  その補欠として原田昇左右君が委員長指名で  小委員選任された。 七月十日  小委員原田昇左右君及び春日一幸君同日委員辞  任につき、その補欠として塚原俊平君及び吉田  之久君が委員長指名で小委員選任された。 同日  小委員佐々木義武君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として松永光君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー・鉱物資源問題に関する件      ————◇—————
  2. 山下徳夫

    山下委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。  この際、東京サミット及びOPEC総会の結果報告について政府から発言を求められておりますので、これを許します。児玉資源エネルギー庁次長
  3. 児玉清隆

    児玉説明員 御報告申し上げます。  先月二十八日、二十九日の両日東京にて開催されました先進国首脳会議東京サミットの結果について御報告申し上げます。  御承知のように、東京サミット宣言文の約三分の二はエネルギー問題で占められておりまして、この点からも今次サミットにおいて参加国が、将来の石油需給を初めとするエネルギー問題がきわめて深刻であり、協調的行動が不可欠であるとの共通認識のもとに、本件に関し集中的に議論を行ったことがうかがえると思います。  今次サミットで最も重要な決定は、一九七九年、昭和五十四年及び一九八〇年、昭和五十五年の短期的な石油消費量または石油輸入目標及び一九八五年、昭和六十年の国別石油輸入量目標を設定したことであると考えます。これらの目標値については、お手元に配付してございますのでごらんいただきたいと存じます。  まず、ここ両年の短期的目標でございますが、日本アメリカカナダはIEAの五パーセント石油節約を考慮した一九七九年の石油輸入目標量を、一九八〇年においても維持することとしております。すなわち、日本は一日当たり五百四十万バレル、年間三億一千三百万キロリットル、米国は一日当たり八百五十万バレル、カナダは一日当たり十五万バレルに一九七九年及び一九八〇年の石油輸入量を抑えることとしております。  一方、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの欧州四カ国につきましては、さきに欧州共同体で決定した数量、すなわち、一九七九年、昭和五十四年は、石油消費量EC全体で一日当たり一千万バレル以下とする、また一九八〇年昭和五十五年は、石油輸入量EC全体で一九七八年の水準一日当たり九百四十万バレルに抑えることが今次サミットでも確認されたものであります。なお、この四カ国はECに対し、今後EC内で国別目標をつくることを勧告することとなっております。  さらに中期的目標、すなわち一九八五年の石油輸入量目標につきましては、日本が一日当たり六百三十万ないし六百九十万バレルに、またカナダが一日当たり六十万バレルとそれぞれの国の実情を反映して最近の輸入実績を上回る値としたほかは、一九七八年の石油輸入実績値をそのまま目標量としたものでございます。同時に、サミット各国は、以上述べました輸入数量目標等を実現するため、各国ハイレベルグループによる監視あるいは見直しを行うことといたしております。  次に、最近の石油市場、特にスポット市場急騰等に対応するため、国際的な石油取引についての登録制の実施及び原油積みおろしの際に、生産国により証明された買い入れ価格を示す文書を要求することの実行可能性を検討することとなっております。さらに石油企業財務内容等につき一層の情報収集を行うよう努めることも宣言しております。かかる措置によって石油市場の実態をよりよく把握することができるとともに、石油の高値買いあるいは仮需等を監視することが可能となると考えます。  石油に関するこれら措置に加え、石油にかわるエネルギー源確保するため、今次サミットでは、石炭、原子力開発及びエネルギー関連技術研究開発重要性がうたわれております。特に、原子力発電の推進が今後の経済成長に不可欠であるとの共通認識のもとに、安全性確保のための国際協力が必要であるとしております。  また、エネルギー関連技術研究開発が長期的なエネルギー問題解決のかぎであり、このための民間及び政府資金確保国際協力が重要であるとの点で共通認識を得ております。こうした観点から、各国計画ないし現在進めている研究開発を検討し、資金供与を含む国際協力必要性について報告するための国際エネルギー技術グループが創設されることとなっております。なお、本件国際エネルギー技術グループ創設具体案につきましては、今後サミット七カ国でさらに検討することとなっております。  次に、今次東京サミット期間中の六月二十八日に結論が出されたOPEC総会の結果について御報告申し上げます。  今次総会では、標準原油いわゆるアラビアン・ライトの公式販売価格を一バレル当たり十四ドル五十五セントから十八ドルに値上げするとともに、プレミアムの範囲を一バレル当たり二ドルまでとし、かつ販売価格の上限を一バレル当たり二十三・五ドルとすることを決定いたしました。かかる決定に対し、東京サミットではこれに遺憾の意を表明するとともに、石油輸出国とともに世界石油市場における需給見通しをいかに明確にするかにつき、検討する用意がある旨を宣言に織り込んでおります。  以上御報告申し上げましたとおり、二つ会議結論わが国エネルギー政策に多大な影響を与えることとなります。今後これらを踏まえ、総合エネルギー政策を積極的に推進していく決意であります。  以上でございます。     —————————————
  4. 山下徳夫

    山下委員長 次に、本日は特に小水力地熱及び太陽熱問題について、参考人としてイームル工業株式会社取締役社長織田史郎君、日本地熱調査会専務理事伊賀秀雄君、矢崎総業株式会社専務取締役斉藤明君、以上三名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。参考人各位には、本問題についてそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十五分程度取りまとめてお述べいただき、次に小委員質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は小委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず織田参考人にお願いいたします。
  5. 織田史郎

    織田参考人 ただいま御紹介を受けました織田でございます。  私は、青年期から壮年期にかけまして電気事業に籍を置いておりまして、その間二十年ぐらいは水力発電計画とか設計を担当しておったのでございます。そういう関係から、日本に恵まれておりますところの水力資源、これの開発については私の脳裏から今日でも離れることがないのでございます。  ちょうど戦争が敗戦で終わりましたときに、日本の非常な混乱、物資が足りない、食糧が足りない、こういうときに、私は電熱苗代食糧の増産をしよう、同時に農村の振興を図ろうということで、実は農村による小水力発電の運動を起こしたのでございますが、この間二十年、当時石油が安くなりましてこれをやめました。それから七年ほどたちまして、四十八年、皆さん承知のとおりにオイルショックでございます。翌四十九年の正月には石油が四倍になりました。一体どうなるのだろうかと実は驚いておりましたが、これはもう一遍水力を見直さなければならない、こういうことを考えまして、その正月が明けましたらすぐ日本じゅうの地図を買い集めにかかりまして、水力資源が一体どのくらいまだ残っておるのだろうかということを調べにかかったのでございます。助手を二人ほど雇いまして、三人で一生懸命にやりまして、二年余りかかりまして大体の残存量がわかったものでございますから、それをもとにしまして論文を書いたわけでございます。  日本は御承知のとおりに狭い国でございます。逆に経済敗戦後二十年にして経済大国と言われるようになりましたので、電力の伸びは非常に大きいのでございます。そうすると、将来日本のような狭い国で、一体エネルギーはどんどんふえていっても差し支えないのだろうかということを考えまして、そういうことを織り込んだ論文を書きましてそれを広く配りました。その中で、日本で恵まれておりますところの水力資源開発して、石油を少しでも節約することができれば、一体どのくらいの効果があるのだろうかということを調べたのでございます。そういうことを次々にまた論文にしまして出しまして、全部で去年までに七冊出しました。皆さん論文を読んでくださらぬのか、なかなかこれが人の話題にのらないのでございます。ところが今日はこの席へお招きいただきまして、水力の問題についても御審議いただくことになりまして、私といたしましては大変ありがたいことでございます。厚くお礼申し上げます。  人によりますと、水力資源はもうわずかしかない、しかも経済的に価値の低いものしか残っていないというような表現をする人があるのでございます。これは口で言うだけでなしに、いろいろな書物にもそんなことを書いておる人がある。恐らくこんな人は水力資源を調べた人ではないと私は思うのであります。私が調べたところでは、まだ約半分くらい残っておる。大体、純粋の水力資源は四千万キロ余りあるのでございます。残っておるのが約二千万キロ。これも私が調べたものでございますから、多少の落ちこぼれがあるかもしれませんが、それがあるとしますと二千万キロより少しふえるのじゃないか、こういうふうに感じておるのでございます。  それで、一体どのくらいの価値があるかと申しますと、経済学者とか経済評論家、そんな方の石油値上がりとか建設費値上がりとかいうようないろいろな意見を総合しまして、私が独自の考えでその経済性の計算をしてみたのでございます。これは、水力はできるだけ早く開発してしまう方がいい、こういう考えで、昭和七十年までに残っておるものを全部開発したらどうなるかということをやってみたのでございますが、二〇〇〇年までに大体十五兆円ぐらい石油代節約ができるという結果が出たのでございます。人によっていろいろ考えが違いますから、その数値には多少の変化がございましょうが、何にしても兆円をもって数えるほどの価値がある。これは捨てておけないということを私はいまでも確信しておるのでございます。水力の余ったものは大したものでないというようなことを聞かれることがあるかもしれませんが、どうぞこの点はよく脳裏に置いていただきたいと存じます。  そういうぐあいで、実はその経済性の問題も書いたのでございますが、これはいままでなかなか読んでいただけなかったのです。それでなかなか政治の面にあらわれてこないのでございます。四、五ページのものでなければ政治家の方になんか読んでいただけないだろうというお話がございましたもので、簡単なものに要約いたしました。それをお手元に配ってありますが、あれでございます。同じくお手元に配りました「開発を急ごう水力発電」という文がございましょう。あれは、大体初めに書いた論文から次々に社会情勢が変わりますし、それから国の発表された計画にいたしましても、たとえば原子力なんか初めは昭和六十年には六千万キロつくるというのが、私がちょうど初めの論文を書くころには四千九百万キロに下がりました。それが今日ではどうかといいますと、努力して三千三百万キロ、現在のような状態でいきますと二千八百万キロぐらいのものだろうというようなことになっておりまして、国でつくられた数値も非常な変化がある。そんなことがありましたので、私のいままで書きました論文もちょっと数値を訂正しなければいけないのではないかと思いましたので「開発を急ごう水力発電」という論文を書いた。書き足りないところもございましたから、そういうものも入れましてあの論文を書いたのでございます。これは現在の私の考えをすべて述べたようなことになっておりますから、もしお暇がございましたら読んでいただきたいと思います。
  6. 山下徳夫

    山下委員長 次に、伊賀参考人にお願いいたします。
  7. 伊賀秀雄

    伊賀参考人 日本地熱調査会専務理事をしております伊賀でございます。  地熱資源に関しましては、従来、この開発促進のための議員さんたちによる懇談会などもございましたし、そういう席上でたびたびお話し申し上げましたり、あるいは私の意見を申し述べてきたわけでありますが、今日になりますとまた一段と開発必要性を痛感するようになりました。  実は、地熱資源産業方面といいますか、発電に利用しようというような考え方を起こしましたのは、もういまから七十年も前でありまして、一九〇四年にイタリア地熱を利用して電灯をともしております。しかし、それから七十年の間、なかなか進まなかったのであります。発電方面に今日のように地熱を利用しようということで関心が持たれるようになりましたのは、わが国では一九二六年であります。これは、当時東京電燈研究所長をしておりました太刀川平治博士が別府で実験したものでありますが、そのときすでにイタリアではもう数千キロワットの地熱発電をやっておりました。でありますから、特に新しいものではないのでありますが、しかし今日のようなエネルギー危機のときになってきますと、きょうにもあすにも石油節約するための対策が必要だということになってまいりまして、私個人の考えばかりではございませんが、私はその対策として、本当に手近にありますものは、いま織田さんのお話しになりました水力とそれから地熱であろうと考えておるのであります。ほかに石油に代替するエネルギー資源としまして、太陽エネルギー、海洋のエネルギー、風力などというようなものが言われてはおりますが、これはなかなかきょうあすすぐに役に立つというところまではまだ技術が発達しておりません。ところが、地熱におきましては、これは幸いといいますか、あるいはいろんな難問題が伴ってくるのでありますが、日本はちょうど地熱地帯の真上にありまして、地震も火山も一緒に恵まれておるわけであります。こういう資源をどれくらい開発できるであろうかということにつきましては、さき産業技術審議会の中のエネルギー特別部会で御審議になりまして、このときは私たちも後ろからお手伝いしたのでありますが、二〇〇〇年まで、今世紀の終わりまでには現在の技術と現在の方法をもって二千万キロワットは開発できる、新技術及び新方法を合わせれば四千八百万キロワットは開発できる。これはちょうどそのころの日本の需要せられます電気の一五%ぐらいに当たるであろう、こういう想定が報告せられておりまして、今日も一般にそれがいろんな方面で用いられておるのであります。  私は、いま申しました二千万キロワット、四千八百万キロワットというのは最小の数字でありまして、もう少し大きいものが期待せられるのであると確信しております。といいますのは、ある学者は、いや日本包蔵地熱資源は一億をはるかに超すであろうというようなことを言っておるくらいでありまして、まあいつも私は、今日無尽蔵の地熱資源わが国は持っておる、こう言っておるのでありますが、開発の仕方によりましては、本当に無尽蔵の資源開発することができると思うのであります。  しかし、これにつきましてはいろいろの異論があります。異論といいますか、あるいは反対があります。その一番初めに言われましたものは公害問題であります。地熱開発するといろいろと公害が起きてくるではないか。たとえば九州の北部で開発しました地熱からは砒素がたくさんに出てきたじゃないか。あるいは東北の八幡平で開発しました地熱からも砒素が出てきました。それから、ガスからは硫化水素が出てくるではないかというような問題がありましたが、これらの問題は、私は確信を持って今日の技術で解決することができる問題だと思うのであります。  それからもう一つは、地熱発電はやってもいいが、余りに小型ではないかというような非難がございました。そうであります。今日世界で一番大きい地熱発電機を持っておるのはアメリカでありますが、これはわずかに十一万キロであります。日本で一番大きい発電機は五万キロであります。あとはみんな小さいのであります。しかし小さいからだめだというわけにはいかないのでありまして、小さいものをたくさんつくればいいのでありまして、十万キロの発電所を百カ所つくれば一千万キロワットになるわけであります。  もう一ついろいろと問題にせられますのは環境問題であります。環境問題を考えます場合には、二つに分けて考えられておると思うのであります。一つは、いま申しました公害問題、これは私は技術的に解決できる問題であると思いますが、もう一つ景観の問題であります。この景観の問題となりますと、これは私たち考えと、そういう方面を専門に考えていらっしゃる方々とはどうも線が交差いたしませんで、平行線をたどっておるようであります。しかし、現在わが国では、数字で申しますと地熱発電所が六カ所実際に運転しております。これはもう需要家電力を供給しております。その容量は、大体設備容量が約十七万キロでありまして、認可せられております容量が十五万二千六百キロワットということになっておりまして、いま工事中のものが五万キロ、これは北海道でありますが、あります。  海外の事情を見ますと、現在までに地熱開発して発電しております国が、わが国を含めまして八カ国あるのであります。国の名前を言ってみますと、イタリアアメリカ、ニュージーランド、メキシコ、エルサルバドル、フィリピン、それにソ連、これで七つになりますか、これに日本を加えて八カ国あるわけであります。その総容量はやはりまだ非常に少ないのでありまして、わが国を合わせて約百五十万キロワットしかありません。しかし各国ともにいま非常に力を入れておるのでありまして、工事中の発電所が、容量にいたしまして百三十五万キロもあります。工事をしております発電機の数及び開発決定しまして、そして機械を発注しました数が二十四個あるのでありますが、ここでちょっとつけ加えて申し上げますと、この二十四個の発電機のうち二個だけはいまアメリカでつくっておりますが、あとの二十二個は全部日本からの輸出品でありまして、そして据えつけ中のもの及び工場で製作中のものであります。地熱発電一つの利点と言うとおかしいのでありますが、エネルギー問題を離れてわが国製造工業にこんなに貢献しておるわけであります。  そういうふうに数えてきますと、地熱発電をやらないことがおかしいのでありますが、どうして今日までわが国では地熱発電の進歩が見られないのであろうかということを私たちいろいろと検討しておるのでありますが、これには三つ、四つの理由を数え上げることができると思うのであります。  その第一は、やはり何といいましても地熱資源に対する基礎的な資料が非常に乏しいということであります。  水力は、現在、わが国で二千二、三百万キロワット発電所がありますが、これだけの発電所をつくるために、政府は、明治の末年から昭和の三十年代に至りますまで、約五十年間にわたって非常にお金をかけて、膨大な水力調査をしております。その調査報告は膨大なものができておりまして、それを基礎にして今日の水力発電所開発せられたのであります。ところが、地熱におきましては、政府でいろいろと調査をお始めになってはおりますし、また、すでに十年以上の調査結果も出てはおりますが、考えてみますと、水力に比べましてまことに細々とした調査でありますし、特に水力と違って地の下の目に見えないところの調査でありますから、これは困難なことは当然であります。したがいまして、今日、開発しようと思いますときに、本当の頼りになる資料がないのでありまして、この仕事こそぜひ国家が、政府ができるだけの費用を投じて、できるだけ早く資料をつくり上げていただきたい、こういうふうに私は考えておる次第であります。そのために、ひとつ国会におかれましても、できるだけ多額の調査費用を予算に計上していただきたいと思っております。  第二の問題は、現在実際に開発の手をつけたいのであるが、手がつけられないその理由の一つは、わが国地熱地帯が四分の三くらいは国立公園の中にありまして、国立公園の中は一切手がつけられない、これは調査さえもなかなか認められないのであります。無論、調査しますときには穴を掘ったりあるいは電線を引いたりしなければなりませんから、一時的には景観を害することもあるとは思いますが、しかし、現在のところでは非常に困難である。  もう一つは、地熱に対する統一した法律と申しますか、監督あるいは指導の法律がございませんので、各省庁間を駆けめぐって手続しなければ、なかなか調査にも手がつけられないという点であります。こういう問題はわれわれ民間人が幾ら騒いでも容易に改善せられないのでありまして、どうか国として大局的な立場から、エネルギー問題と公園問題とはどうあるべきかという御検討をお願いいたしたいと思っております。  第三には資金の問題でありまして、これはアメリカなどの実情を見、あるいはニュージーランドなどの実情を見ますと、資金のために開発になかなか手がつけられないということは、わが国ほど困難を感じておらないようであります。というのは、アメリカなどでは成功払いといいますか、そういうような助成制度がありますし、国は民間の研究調査に対しても非常に多額の、日本で予算に組まれております金額とはけた違いの金額を民間に与えております。  ちなみに申し上げますと、いま世界地熱開発をしたいと考えておる国が二十数カ国私たちのところに情報が集まっておるのでありますが、そのうちで開発を民間だけに任しておる国はアメリカ日本だけであります。しかしアメリカは、いま申しますように非常に力強い政府の助成をしておりますが、日本ではまだそういう助成が行われておりません。私はぜひ何かの形で開発の助成、これは金融の問題もありますし、あるいは純粋な助成の問題もあると思いますが、お願いいたしたいと思っておる次第であります。  今日、私たち石油節約しなければならない、いま使っておるものの五%はぜひというような要請を受けておりまして、私たちはどうしてもやらなければならないとは思いますが、しかし地熱発電では、百万キロワットの地熱発電ができるとしますと二百万キロリットルの年間の油に相当する発電をすることができます。ですから、仮にここ十年二十年の間に一千万キロワットの地熱発電所ができるとしますならば、二千万キロリットルの油の輸入を抑えることができるのであります。  そういう意味におきましても、私はぜひとも一般の方々、特に国会の方々の御協力を得てこの開発事業に尽くしていきたいと考えておる次第でございます。どうもありがとうございました。
  8. 山下徳夫

    山下委員長 次に、斎藤参考人にお願いいたします。
  9. 斉藤明

    斉藤参考人 ただいま指名されました斉藤でございます。  太陽熱の利用状況と今後の普及策についてお手元参考資料を差し上げてございますが、それを中心に述べたいと思います。  昨今のエネルギー事情から、代替エネルギー開発及び普及の必要性はここで私が申し上げるまでもございませんが、特に太陽エネルギーはクリーンでまた無限で無償である、あるいは再生可能であるというようなことでございますが、非常に希薄で、経済性に困難を来すわけであります。  本日ここで、太陽エネルギーの中で、特に当社で開発をいたしました冷暖房、給湯を対象としたソーラーシステムについての現状と今後の課題について、私見を御報告させていただきます。  まず、ソーラーシステムの開発と設置状況でございますが、ソーラーハウスに代表されるいわゆるソーラーシステムというのは、サンシャイン計画に基づいて四十九年七月からスタートしているわけでございます。すでに御承知のように、四つの物件の委託研究が行われておりまして、実証中でございます。民間ベースでは、各社それぞれ発足しておりますが、当社は四十九年の七月に、すでに実験ソーラーハウスの第一号を完成いたしまして、冷暖房、給湯という理想的なシステムを、延べ坪四十三坪の個人住宅でございますが、それを工場の中に設置いたしまして、現在まで稼働を続けております。これらの物件については、すでに国内あるいは海外に年々発表している次第でございます。  現状における日本のソーラー技術というのは、アメリカと並びまして世界のトップ水準にあると思われます。中でも冷房技術については、日本が最も進んでおるというふうに私は考えておりますし、当社では、アメリカ、オーストラリア、西ドイツ、フランス、イタリアあるいはフィリピン等々にすでに実験用、いわゆる政府機関、もしくは大学、実験研究所等の用途に数多く輸出しておるわけであります。現在そういう面で、冷暖房、給湯という範囲から見ますと、むしろ実用段階に入りつつあるということが言えます。  今後に残された課題は、太陽熱全体のシステム、特に蓄熱槽に代表される周辺機器の開発、あるいは太陽熱システム全体を組み立てるところのソフト、いわゆる利用技術の確立が現在むしろおくれぎみであるということが言えるのでありまして、これらの技術の確立が必要でございます。  昨年の五月に、まだ蓄熱槽その他残っておりますが、通産省の御指導をいただきまして太陽熱の協会、いわゆるソーラーシステム振興協会を設立いたしました。当協会の調査によりますと、現在まですでに千六百件のソーラーシステムが国内に設置されております。その内訳はお手元に配付しました表の一のとおりでございます。四ページに表が載せてございますが、千六百件のうちのほとんどがまだ給湯である。暖房、冷房という面では一三%、三%と、それぞれまだまだ低い位置にございます。当社でこれを分析してみますと、表の二のとおりでございまして、給湯システムが五九%、暖房、給湯が一〇%、冷暖房、給湯が三一%、これは五十三年の十二月までに設置しました当社のシステム二百五十七件の分類でございます。  このように用途別に見ますと、まだまだ住宅が圧倒的に多いわけでございますが、太陽集熱器、いわゆるコレクターと称されております集熱器の面積から申し上げますと、やはり地方官庁、公共団体を中心とした公共物件が、現在当社の場合の六〇%を占めております。  第二番目に、次の、現状の設置費用と今後の石油節約効果でございます。  まず住宅用でございますが、住宅用では設置に伴う増加費用、太陽熱を得るために必要とする費用でございますが、給湯システムで約四十万円、暖房、給湯で約百万円、冷暖房、給湯で約二百五十万円ほどでございます。いま、これらの今後の普及という面を、ソーラーシステム振興協会で昭和六十年度の推定をいたしております。まだ確実な数字ではございませんが、仮に日本の住宅の一〇%、三百万戸にソーラーシステムが設置された場合、石油節約効果を換算いたしますと、昭和六十年度に年間およそ百四十万キロリットルが節約できることになります。  一方、すでに御承知のように、全国の家庭の屋根の上には太陽熱温水器というものが乗っているわけでございますが、これが現在百五十万あるいは二百万戸の家庭に取りつけられているというふうに推定されておりまして、これらの二戸当たり設置費が十四、五万円でございますが、これを今後何らかの刺激策をとり、二百万戸の家庭にさらに取りつけをふやしたとすれば、石油節約効果は年間六十万キロリットルになります。これらを合わせますと、住宅用で、いわゆる普及策、刺激策を講ずれば、およそ年間二百万キロリットル程度の石油節約ができるのではないか、これは一般家庭用の石油消費量の六・七%に相当するわけでございます。  住宅以外のビルその他工場というような非住宅の場合は、当社の場合ですと、一件当たりの平均約二百平米でございます。規模に非常にばらつきがございますが、約二百平米の太陽集熱器を使った場合は、太陽熱だけで千三百万円のコストの上乗せになっております。大量の給湯の場合は百平米が平均でございまして、約六百五十万円がソーラーシステムの設置に伴うところの増加費用でございます。これも昭和六十年度に振興協会が推定したところの努力目標でございますが、それらが仮に四百万平米に普及されますと、年間約四十万キロリットルの石油節約が可能であろうというふうに推定されます。  三番目に、普及の問題と今後お願いをする事項でございます。  ソーラーシステムの普及の条件として、経済性というものが常に第一番目に出てまいるわけであります。末端のエネルギーコストの試算による評価ということが第一にされているわけであります。一方から見ますと、石油の量の制約という面で、特に夏の電力消費量、三〇%も上回るというような中で、いわゆるピークカットというような問題もございます。そういう面での太陽熱の効果ということがあるわけであります。しかし、やはり温水であるとか冷暖房であるとかというようないわゆる温度の低い、水準の、質の低いエネルギーに関しては、高価な石油あるいは電力というようなものの使用をなるべく避けて、このような太陽熱温水あるいは冷暖房というようなものの普及を図ることが非常に必要であろうというふうに考えております。  次の、利用技術開発問題でございますが、太陽熱は非常に地域差がございます。日本のように北海道から沖繩まである。温度差、積雪条件等、その他、設置技術の問題等もございまして、いわゆる同じものがどこでも使えるということにはなかなかなりません。したがいまして、その利用技術の確立ということが非常に大事な要件になってまいります。このような利用技術にはむしろ積極的な政府の補助策が必要ではないかとお願いする次第でございます。  それから、ソーラーシステムの設置者に対する補助政策であります。御承知のように、いままでの産業振興と異なった、いわゆる石油消費削減の一環を担うという点から、ソーラーシステム設置者に対する設置費の助成、あるいは税制面における優遇措置、融資というような面が講ぜられることをお願いする次第でございます。そのステップとしては、公共物件への義務づけ、ある程度の義務づけというものがアメリカの例などでは実施されているわけでございますが、これらが実施されますと、日本における普及に大きなインパクトとなると思われます。  四番目には、ソーラーシステムのコストダウンでございますが、まだ非常に量が少ない段階でコストダウンの問題を申し上げるのは早いわけでございますが、私どものメーカーサイドで、集熱器の量産をすることによるコストダウンあるいは合理化というようなものを含めまして、現在よりもまだまだ二〇%ぐらいのコストダウンは可能であろうというふうに考えております。もちろん全システムになりますと、さらに大きな期待が寄せられるわけであります。その他の周辺機器に関しては、非常に数の少ない生産量でございますので、現在の段階では、材料費その他非常に変動の大きい時期に将来の推測も非常に困難なわけですので、控えさせていただきたいと思います。  もう一つ、コストの問題では工事費がございます。いわゆる自動車等と違いまして、システムの工事ということで、流通コストも含めまして、加工、現地工事のコストが非常に高くつくという問題がございます。これらのプレハブ化その他が実施されれば、さらに総合的なコストの低減になるのではないかというふうに考えております。  それから、最後に、太陽熱機器の冷凍機、熱交換器の技術でございますが、工場の廃熱利用に特に当社のものも十数件日本で稼働しているわけでございますが、鉄鋼その他、大量にエネルギーを使うところには必ず廃熱がございます。そのうちでも特に低温度の、百度以下の廃熱を利用しまして、工場の冷暖房、環境等、あるいは冷水の利用という面で現在活用されております。  以上、簡単でございますが、太陽熱の冷暖房、給湯という面について御意見を申し上げました。
  10. 山下徳夫

    山下委員長 以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 山下徳夫

    山下委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  12. 板川正吾

    板川委員 参考人に質問をいたします。  お忙しいところ、参考人には御苦労さまです。時間が余りありませんから、私は、参考人一人一人に質問の要旨を申し上げて、答弁が終わってもし再質問があるようでしたら、後からその分を補足さしてもらいます。  まず、織田参考人にお伺いをいたします。  私は、織田さんの小水力開発の最初の論文だろうと思うのですが、昭和四十九年より二年間かかって調査した結果まとめたと言われる「狭い国土と電力問題」という論文がございます。五十一年十二月だったと思います。これを読んで私は非常に共鳴をしまして、小水力こそ循環エネルギーであり、クリーンであり、これは日本のために開発を促進しよう、こういう気持ちで実は私も取り組んでまいりました。しかし、通産省にこの問題でいろいろ議論をいたしますと、実は通産省は余り乗り気じゃない。原則としては否定はしないのです。クリーンであり、循環エネルギーだから賛成だと言いながら、実際はそれを本格的にやる気はなかった。そこで、やる気がないのは一体どういう点にあるんだと、通産省から織田さんの論文に対して反論を書いてもらいまして、それを織田さんに差し上げて、それに対する反論をいただきたいということで手紙を上げたのが五十二年の十月ですね。五十二年の十一月二日付で織田さんから返事が来まして、それに、通産省の考え方に一部賛成、一部反対という意味で反論があったわけですが、この小水力に通産省が消極的だというのは、とにかく小さいところを、五百や千のところを幾つつくったって大したことはない、それよりも一カ所で百万キロ以上の原子力発電の方がはるかに能率的だ、一括して大量発電ができますから。そういう意味で、通産省としては非常に消極的で、原則的には無視しないが、実質的には無視してきたわけであります。しかし、原子力発電が御承知のようにスリーマイル島の原子力発電の事故によって、これは相当慎重な開発が要請されるということになります。そこで、サミットを通じて世界的にエネルギー問題の危機が唱えられた。今度こそひとつ小水力の出番だなと思いまして、五月の十二日に当委員会出席してもらおうと思ったら、御承知のようなことで、国会の都合でそれができなかったのですが、その後自民党でもこの問題に大変熱心になりまして、一生懸命やろうという形になったようであります。  そこで、私が織田参考人にお伺いしたいことは四点ほどありますから、ひとつお答えを願いたいと思います。  これは、小水力開発経済性に欠けている。近いところはもうすでに開発されている。奥地の開発になる。したがって割り高であるという批判が圧倒的であります。石油が二十ドル時代、やがては、もう来年中には二十五ドル時代になりましょう。ということになりますと、火力発電とコストの問題、この問題についてひとつ御意見を第一として伺います。  それから、いろいろ計算があろうと思いますが、水力をやる場合に水がれということがあると思う。一年じゅう水が豊富にあるというわけにはまいりません。ですから、その水がれの計算は一体どういうふうになっておるのでしょうかということですね。大きい水力発電では、一年間百二十日という稼働を立てておるわけですが、小水力の場合にはそれがどういうふうになるのでしょうか。水がれとの関係、これが第二点です。  第三点として、発電機は誘導発電機を使うと非常に効率的だと言われておるのですが、誘導発電機というのはどういう利点があるのでしょう。この問題です。  それから最後は開発体制ですが、戦後、織田さんが非常に努力をされました農林省での農山漁村電気導入促進法という法律がございまして、すでに三十三の電力会社が地方の電力会社として主として県と市で行われておりますね。この発電の現在の状態を見ますと、平均五円ぐらいの料金ですね。そこでもうかっているのです。これはもっと高く売ったらいいだろうと思うのですけれども、いま火力では原価が平均十円近くしておると思うのです。それを五円なら五円でしか売れない。それは電気事業法でコストに一定の利益を加えたもの以上で売ってはいけないという計算になっております。こういうものは、本来もっと高目にある程度修正したら開発する体制としては非常にもうかるわけですから、もうかればまたさらにそれを広げていこうという気持ちになるのですね。そういう点で、開発体制が一定の利率以上もうけてはいけないということで、逆に損している点もあると思うのですが、このような点、四点についてひとつお伺いをいたします。
  13. 織田史郎

    織田参考人 まず御質問の経済性の問題ですね。よく水力は高くつくからだめだ、こういう人があるのです。それで、資源エネルギー庁の水力課なんかへ参りまして、最近はキロワットアワーどのくらいの建設費でできるのかというようなことを尋ねてみるのでありますが、あそこでも実際はおとりになったものでないから、いままでのものでどういう形で出されたのか知りませんが、キロワットアワーの建設費が百円、百二十円、百四十円、百六十円ぐらいまでとってあるのです。この「開発を急ごう」の中へ、建設費がどのくらいになるのだろうかという見当をつけるために、通産省が出しております「電源開発の概要」という書物がございます。その中から、この論文の九ページの中に載っておる五十四年から六十年ぐらいまで、そのころにできる発電所を拾いまして、その建設費を一応出してみたのです。それでみますと、キロワットアワー当たり建設費は、平均しますと、いろいろな平均の仕方がありますが、それを二通りやってみたのです。そうしますと、八十四円八十九銭と八十七円十五銭、九十円足らずの建設費になるのです。五十五年ぐらいにはこれよりもう少し上がるのではないかと思いまして、大体百円と見てすべての後の経済計算をやったわけです。これは平均値ですから、中にはずいぶん高くつくものもありましょう。百二十円にも百三十円にもつくものもありましょうが、安いのは七、八十円でできるものもございます。ですから、高くつくところはどうするかという問題です。それは、キロワットの建設費が高くつきます、そうすると水量のとりようを変えるのです。一年間に川の流況というものは、最大の洪水のところから最小水位までずっと下がるわけです。それで発電所を設計するときに、普通電力会社あたりで、私らが昔やったのは、非常に古いときには年間の発電量が一キロワットについて六千キロくらいとったものです。それが、電気事業がだんだん発展してきますと四千五百キロぐらい。一年間八千七百六十時間ございましょう。それを、四千五百キロワットですから、時間で言えば八千七百六十の四千五百、そのくらいの割合でやっているものもあるのです。だんだん大きくなるにつれてそれは低くとるのですね。要するに、初め百八十日内外の点ですね。ゼロの点が洪水ですね。それからずっと下がってきて三百六十五日でこうなる、こういうかっこうになっておる。この辺でとれば大分高くとれるのです。そのかわりこうとって、こうかれるものですからキロワットアワーは減るのです。それをキロワットアワーを減らさないようにするためには、もう少しこっちの渇水、要するに日数がふえておってキロワットを低くせいというのです。そうしますと、キロワットアワーが多いようになりますから、それで経済性がだんだんできてくるわけです。そういう傾向を頭に置いて計画すべきです。  それから、経済性の問題といいましても、いま石油の値段が……(板川委員「余り持ち時間がないのです、後の方の質問もありますから」と呼ぶ)それではいまの問題はそのくらいにしまして、いまの経済性がないということは、経済性をつくる方法と、それから、石油の値段を考えますと、経済性がないとは思えぬのです。ですから、これは問題ではないのです。  いまあなたがお聞きになりました中で今後起こる一番の問題は、最後にお聞きになりました電力販売価格の問題です。これは、私は終戦後に小水力発電を起こしましたが、そのときに、初めこれはちょっと高かったのですが、開銀ができまして、ある時期、小水力発電の一番盛んになったころは、いまの農山漁村電気導入促進法による発電所は金利は四分五厘だったのです。電力会社が開銀から受けます金利は六分五厘で、農村の方が二分安いのです。それは農村の振興費を見て安くされたものと思うのです。ところが電気の売買の価格、取引価格は原価計算によることになっておるのです。それで、電力会社は四分五厘で計算するのです。そうすると安くなりますね。電気会社は、自分のところでつくる発電所は六分五厘で計算しながら、農村でつくるのは四分五厘で計算する。要するに振興費がそのままずるずるとすべって電力会社に入ってしまうのです。それで、そういうやり方ではいけないからというので、それに相当するものをプラスアルファさせたわけです。これはつまみ金です。これは、私がどれもこれも世話をするわけではないのですけれども、農協の人が電力会社の担当者と交渉するわけですけれども、そうすると電気会社はそれを値切るわけですね。ですから、まあある程度決まりますね、五十銭なら五十銭、六十銭なら六十銭プラスします。ところが、そのころから今日までだんだん貨幣価値が下がってしまった。三分の一とか五分の一になってしまったわけです。ところが原価計算に入っておる費目の分は、その費目に相当する金額が上がれば電気会社が上げてくれるのです。ところが、プラスアルファはつまみ金ですから、それは上げないわけです。そうすると、仮に五十銭上げてもらったのが、五分の一だと十銭にしかならない。結局その五十銭なら五十銭というものを福利厚生費とかいろいろなものに使っておるわけです。あるいは農村の配電関係の設備をよくして電気を使いやすくするとか、いろいろなことをやっておるのです。それがそういうような金が出なくなるのですね。それで、現在では当時の農山漁村電気導入促進法で電気会社へ売っておる農協は非常に苦しい経済のもとで経営しておるわけです。これを再び繰り返してはいけない。私はそう思う。それで、その費目の中に、電気事業ではたとえば渇水準備金というものがある、電気会社の計算には。ところが、農協のものにはそれがない。ですから、渇水がちょっとありまして年間の発電量が減りますと、すぐそのプラスアルファもなくなってしまう、食い込んでしまう。そういう状態でありますから、私は一応いろいろな費目は、電気会社がとる費目を今後は全部とってもらって、それからいまのプラスアルファに相当するものは、つまみ金をプラスせずに、倍率を、一コンマ何ぼとか、掛け算にして出すのです。たとえば五%なら、原価計算して出した値の一コンマの零何倍と。そうしますと、貨幣価値が下がっても皆上がっていきますからね。そういうような方法をやらないと、今後は農協あたりの発電所の小さい分ですね、五、六千キロから以下のようなものは、やってみようという意欲が実際には地元の農村では起きないと思うのです。  それともう一つは何でしたか。
  14. 板川正吾

    板川委員 誘導発電機というのは……。
  15. 織田史郎

    織田参考人 誘導発電機というのは、これは大き目だと同期発電機と余り値段が違わないのですが、小さいものは、モーターをたくさんつくるでしょう、工場では。二十キロ、五十キロ、百キロというぐらいのモーターをたくさんつくるです。そのモーターと同じ設計で、そのまま発電機になる。ですから安いのです。マスプロですから安いのです。それと同時に、その発電機をつけますと水車の自動関係の仕事ですね、あるいは発電機の配電盤関係の仕事、そういうものが非常に簡単になる。それで、あれを小さいものには使っておる。よろしゅうございますか。
  16. 板川正吾

    板川委員 結構です。ありがとうございました。  まだ未開発水力発電容量が二千万ほどありますと、多年そう主張されておって、しかもその発電個所が二千三百カ所以上ある、この二千万というのは百万キロの原子力発電二十基分ぐらいに当たるわけですから、原子力発電の方は少し抑えて、やはり水力発電の方をやるべきだ、こう思って、私どもも水力発電開発促進法という法律をずっと前から準備しておったのですけれども、今度それを出したい、こう思っております。  では、時間がありませんから、次に地熱参考人伊賀さんにお尋ねをいたします。  地熱開発のネックになっている問題は、お話がありましたように、環境問題が一つ、それからもう一つは、やはり二次熱水でない深部熱水の開発というのがなければ、これから代替エネルギーの大きな柱になれないな、こう思うわけであります。  そこで、環境問題ですが、御承知のように、昭和四十七年三月十四日に環境庁と通産省ですか、ここで了解事項があって、現在開発を見た六カ所以外は当分の間やらない、こういうことになっていますね。これじゃ、これから地熱発電をやろうといってもそこでとまっちゃってできないわけですが、この問題についてどういうことか。もちろん、希望する考え方はわかりますが、念のために業界代表として希望を訴えてもらいたいと思います。  それから、環境問題は、お話がありましたように、環境庁に私が、一体どういうところで地熱発電は反対なんだと、こう文書でもらいましたら、第一が景観である。これは、四分の三が国立公園地域内にひっかかったりしておりますから、第一が景観である。第二は、有害物質の拡散である。これは砒素が出、硫化水素が出るということ、お話がありました。第三が、物理的危険性がある。それは地盤沈下し、地震のおそれがある。第四が、野性動物がいなくなる。第五が、温泉業者との調整が重要であるこういうこと。反対の理由というのはこれだけですね。  景観の問題は、これはまあエネルギーが必要ということになれば、景観を害していいということではないが、景観の問題は何とかある種の国民の合意を得られる、こう思いますが、有害物質の問題が地熱開発の場合に絶対に、それは最初のとき、お湯が噴き出したときには多少あるにしましても、国立公園の趣旨に反しない範囲に有害物質拡散を防止できるかどうかですね。それから、地盤沈下あるいは地震のおそれありというのですが、この点についてどういうお考えでありますか。まあ、あとの野性動物や温泉業との調整は、これはある種の国民的合意を得ることはできると思うのであります。この有害物質の点と物理的危険性の問題について、もう一遍ひとつ御意見を承りたいと思います。  それから、お話がありましたように、私もガイザーの現地を見てまいりましたが、五十二万キロあの地域で開発をしておるわけです。最高が十二万とか言いましたね。十二基ばかりありました。日本では葛根田が最近できて五万キロワット。二次熱水ではこういう小型しかできないわけです。できれば深部熱水の利用をやらなくちゃならぬ。深部熱水ということで二十五万キロワットの実証調査をすでにやっておると聞いておるのですが、二十五万キロ程度の深部熱水の利用のその後の実証調査というのはどんなふうに進捗しておるのでしょうかと思います。  それから、地熱開発促進についていろいろ法律でひっかかるものがあります。森林法、国立公園法、十幾つあるそうでありますが、実は私どもも地熱開発法をこの前の国会で準備をし、出す段取りになっておるのですが、出せないで今日に至っておりますが、次の国会に出そうと思っております。ただ、地熱開発促進法で国立公園法も森林法も河川法も何もかもその頭を行くようなことはなかなかできないのです。ですから、いろいろの過去の法律、温泉の方にもありますが、そういうものと調整をしながらやっていくほかはない。めんどうのようですが、それはやっぱりやらないと、地熱が一切に優先するのだという法律にはなかなかならない。この点はひとつ業界としても考えてもらいたいと思います。その法律の中では資金あるいは税制上の恩典を与えて開発を促進しよう、こう思っておりますから、私どもの報告を一応申し上げながら、質問の二点について承りたいと思います。時間の関係もありますから、簡単で結構です。
  17. 伊賀秀雄

    伊賀参考人 いま御質問がございましたので簡単にお答えいたしますが、私は通産省と環境庁のお申し合わせばこういうふうに了解——了解と言っては悪いのですが、お聞きしておるのです。あの六カ所で実情を見て、そして悪くなければ促進しよう、悪いところがあれば検討して改めようじゃないかというお申し合わせだ、こういうふうに聞いておりますので、できましたものを見ていただきまして、そして開発に進ませていただきたいと思っております。  それから景観の問題でありますが、これも先ほども申しましたように、主観的な問題でありますので、私はどこかで采配を振っていただかなければならないのではないかと思っています。  その次の有害物の問題でありますが、これは先ほどからも私申し上げましたように、砒素が一番大きい問題になりましたが、砒素は化学的にも処理する方法がすでにできておりまして、処理すればできる。このほかに、いま砒素を含んでおる熱水は全部地下へ還元しておりますので、これは問題ないと思うのであります。  それからガスでありまして、有害ガスが出ておるではないかということでありますが、これは非常に微量なものでありまして、世界的にこのガスによって被害があったという報告は全然ございませんので、現在の技術でまあまあいいのではないかというふうに考えております。  それから物理的な被害はないかという、地震の問題でありますが、地震の問題も一時非常に大きく、アメリカのデンバーの問題がありまして問題になったのでありますが、あれは二百気圧くらいの圧力をかけて押し込んだときに微地震が起きたというのでありますが、いま日本ではそんな圧力をかけて還元しておるところはございません。かけたとしましてもほんのわずかの圧力で、それによる地震が頻発しやしないかという心配はいまのところないようであります。しかし、各場所ともモニターを置きまして、一カ所の発電所で何カ所かずつ地震計を置いて記録をとっておりますから、そのうちにいずれ何とかした結論が出てくると思います。  それから生物の問題は、先ほどおっしゃいましたようにちょっと私たちの……。  それから温泉の方々との問題でありますが、これは余りたくさんいい温泉が出てきますと、従来からの温泉価値が下がってくるのではないか。これはどうにもしようがないことだと思うのであります。その点は、たとえば大岳の近くに筋湯という温泉場がありますが、ここは大岳から出てきた熱水を受けまして、そして話し合いがすっかりついて、温泉場それ自身が従来の十倍ぐらいに大きくなって非常に繁栄しておるという実例がありますから、何かお話し合いでうまくいくのではないかと思っております。そんなことを考えております。  それから大きさの問題でありますが、これは現在のところでは、一本の井戸を千メートル内外掘って出てきます蒸気の量は大体決まっております。一時間当たり二十トンから百トン、非常にまれに百五十トン、イタリアで三百五十トンという蒸気を噴き出した井戸はありますが、百トン以下のものでありますと、それを集めて、そして発電します発電機はそんなに大きくはならない。しかし先ほど御質問のございましたもっと深いところ、三千メートル、四千メートルのところを掘れば、現在使っておるよりももっと圧力の高い、温度の高いいい蒸気が出てくるじゃないか。これがもし成功するとしますならば、いま通産省で計画していらっしゃいます一カ所で二十万キロあるいは三十万キロという発電所ができるようになるかと思います。この調査はまだほとんど進んでおりません。というのは、地表の調査だけがいま進んでおります。まだ井戸を掘ってはおりませんということを私は承っております。
  18. 板川正吾

    板川委員 ありがとうございました。  地熱開発にはそのほか熱水の多目的利用なんかも必要だと思うのです。時間がございませんから省略をいたしますが。  じゃ最後にソーラーハウス関係の斉藤参考人に一言だけ。国民がエネルギー危機を迎えて頼みにしているのはソーラーシステムだと言って、何かあの豊富な太陽熱でエネルギー危機を緩和することができないかな、こう思っているんですね。ところが、この間大宮の体育館のおたくでやったのを私いろいろ資料をもらって見ますと、大体投入したエネルギーの半分程度しか回収ができない。ですから、いまのところソーラーシステムをつけても、結局エネルギーの消費量からいくとまだマイナスである。これが集熱器の改良とかあるいは太陽熱を回転に変更するという技術などがまだまだ十分じゃない。一体いまのままで、いまの速度でいきまして、ソーラーハウス、まあ条件によるでしょうが、公共的な物件、たとえば体育館みたいなもので、集熱器を屋根の上に載せるという方法をもってして、投入したエネルギーと回収するエネルギーがペイするということが可能になるのはいつごろでしょうか。この点。  それから今後国や政府に対していろいろ要請もありましたが、アメリカにならった一つの普及奨励のための補助金とか、やっぱりそういうものも必要だと思います。補助金とかあるいは税制上、金融上の助成が必要だと思いますが、そういう点についてアメリカではどんなふうにやっておりましたか、その点を参考人に、時間がございませんので二点だけ簡単に御答弁願いたいと思います。
  19. 斉藤明

    斉藤参考人 ただいま御質問の第一番目の、投入エネルギーに対する太陽熱の集熱エネルギーの問題でございますが、現在業界でもこの問題を検討して、まだ結論は出ておりませんが、東海大学の田中俊六先生の論文によりますと、いわゆる集熱器だけでございますが、集熱器をつくるに必要とする全エネルギーと、集熱器が一年間に吸収できるところのエネルギーの計算を推定でやってございます。これはアルミニウムの集熱器あるいはステンレス系の集熱器によって差がございますが、結論だけ申し上げますと、アルミ系の集熱器を使った場合には一・〇六年、一年ちょっとでエネルギーバランスはとれます。これは給湯の場合でございます。それから冷暖房の場合は二・四八年。それから鉄系の集熱器を使った場合には、給湯で〇・八二年、それから冷暖房の場合は一・九二年ということで、二年足らずでエネルギーの元を取り返すことができます。  いま先生の御質問は、このような回答という形でお答えするわけでありますが、大宮の五〇%というのは多分太陽エネルギーの依存度だと私は思います。したがいまして、あの体育館の場合は、依存度が太陽熱でちょうど五〇%、従来の化石燃料、いわゆる都市ガス、灯油でもって五〇%賄っております。したがいまして、太陽熱の活用はまだ半分しかされていない。それは、建築上の制約がございまして、表面、いわゆる屋根に載せた集熱器の面積に比例するわけでございます。  それから諸外国の例でございますが、お手元に簡単なパンフレット、ソーラーシステム振興協会でまとめたところのパンフレットを入れてございます。簡単に申し上げますと、アメリカでは、一九七五年以来積極的に住宅用、商業用に補助政策を実施しておりまして、最高金額は限度がございますが、非常に大きな投資を政府が実施しております。  詳細申し上げますと非常に時間がかかりますので、このパンフレットをもってお答えしたいと思います。  以上でございます。
  20. 板川正吾

    板川委員 ありがとうございました。御苦労さまです。  終わります。
  21. 山下徳夫

  22. 岡本富夫

    岡本委員 参考人皆さん、大変御苦労さまです。  この省エネルギーについては非常に大切なので、石油に対する代替エネルギーですか、皆さんが非常に御熱心に研究をなさっておることに対して最初に敬意を表したいと思います。  そこで最初に織田参考人にお伺いいたしますが、私どももこの小型の水力発電は非常に賛成だということでいろいろ研究をいたしました。あなたの御論文も読ましていただきました。  そこでちょっと心配なのは、この中で、ダムをつくる場合ですが、水没する地域の補償、これは山の中だから昔は安かった。しかし、最近は非常に高くなりまして、私、兵庫県ですけれども、たとえば兵庫県の一庫ダムをつくる、それに対するところの水没地域の非常な補償がある。これにこたえていくことができるのであろうか。それからこの小さな水力発電をつくった場合の経済のバランスというものはどうなのか。  私、きのう中国から帰ったのですが、向こうの揚子江に大きなのをつくろうとしておりますけれども、これもなかなか言うはやすく非常な費用がかかるということで、中国側もまだ設計中のような状態です。向こうは社会体制が違いますから補償なんということは要りませんけれども、日本は非常な補償というものを要求されます。その点をお考えになった上でこの表をお出しになったのか。これをひとつお聞きしたいと思います。
  23. 織田史郎

    織田参考人 ただいまお尋ねのダムの問題、貯水池でございますね。私が調べましたものは、貯水池の例は非常に少ないのでございます。流れ込みの発電所で、それでダムは取水用の低いダムです。たとえば水路の中の水深が一メートルくらいからせいぜい三メートルくらいの高さのダムです。ですから水没の心配はございませんのです。  それで電力会社がつくる場合とかあるいは県の公営ですね、こういうものについてはダムの計画は多いのです。県の方のを一、二聞きましても、五千キロぐらいの出力のものにはちょいちょいございます。そういうところはいまのような水没家屋や何か、あるいは水没の耕地ですね、そういうことがないようなところを選んでやっておるようでございます。  それで私が調べました大部分、いまここへ刷り物二枚ございますが、この中に国で調べたものと私の調べたものと二つ、「未開発水力発電地点の発電力区分別調査者別概要」というのがございます。それで、通産省でお調べになったものは千キロ以上、地点数と発電力と発電電力量が書いてございますが、地点数が国でお調べになったものは千キロ以上から十万キロを超したものまでありまして、九百七十地点あるのです。この中には貯水池のあるものがございます。それから私が調べましたのは二万キロまでです。それ以上は大抵電力会社なんか調べておりますから、私が調べても重複しますから、重複したものは消しまして、大体その国のお調べになったもの以外のものがここに二万キロまでございまして、この合計が非常に多いのです。千三百八十三地点、発電力にして百五十八万八千九百七十キロ、キロワットアワーにしまして、年間の発電量がこの下です。そういうぐあいに、大体電力会社がやるだろうあるいは公営がやるだろうというので国でお調べになったものと思うのですが、そのものには貯水池はございます。それから公営の中には、私が最近に聞いた例を見ますと、水没家屋があるようなところを選んでおりません。ですからこの点は大丈夫でございます。それからこの二万キロ以下のもので私の調べた中に、少しはあるのです。それでも水没家屋のあるようなところはなるべく避けております。  それで大方は、小さいものは大部分のものが流れ込みの発電所でございまして、低いダムで二、三メートルのダムですね。大きくなっても五メートルくらいのダムより高いのは恐らくないのじゃないかと思います。
  24. 岡本富夫

    岡本委員 織田さん、あなたの方のこれを見ますと全国で千三百八十三件、これは一件一件あなたが歩いて調査をされて……。
  25. 織田史郎

    織田参考人 これは五万分の一の地図で調べたのです。これは歩いて調べたものじゃございません。ところが、私は水力発電所をさっき申しましたように二十数年間やっておりましたが、もとの五万分の一の地図と今日のを比較しますと、今日のが非常に正確なんです。しかし、もとの分でも私は十四カ所発電所をこしらえました。調べるのはまだもっと大きいやつがもう二カ所ぐらいあるんですが。そのときにダムをやりますのに、古い地図で二十メートルから先違うたのが一つありました。あとは大体地図の上で計画いたしましてもほぼ似たものになります、測量してやってみまして。ですから、今日の地図ではもとのような大きい誤りのあるものはないと思うのでございます。大体電気事業者でも初めはそういうように地図でやります。地図でやりまして大体こういうぐあいになる、測量して実際当たってみるわけです。余り違うことはございません。
  26. 岡本富夫

    岡本委員 ただ電力会社もそうした地図の上からやっておいて、それから現地に入って、それから反対に遭うてだめだ、こういう場合も大分あるわけですね。だから、このごろは、昭和憲法になりましてから人々の権利要求というのは非常に大きいですから、この点について非常に私どもは心配だったのでお聞きしたわけでございます。  次に、時間がありませんから伊賀参考人にお聞きいたしますけれども、先ほど板川委員からもお話がありましたが、この地熱発電、私どもも実は地熱発電に力を入れたいということでいろいろ法案の検討もいたしました。公明党自体としてひとつやろうじゃないかということで検討したわけです。ところが一番ここで私どもが突き当たったのは環境問題でございます、先ほどお話がありましたけれども。しかも国定公園、国立公園の中がこういった地熱発電をつくる場所になっておる。環境問題というのはこれはまた重大な重要な問題でございます。先ほどお話を聞いておりますと、出てきた温泉といいますかお湯の処理というものが、この中には重金属あるいは硫黄、相当いろいろなものが入っております。これが下流に流れまして非常に毒性を起こす。御承知のように、神通川のイタイイタイ病あるいはそういった問題が、いままで隠れていたものがどんどん出てきたわけで、まだ今後どういうものが出てくるかわからない。私実は和歌山県の龍神村に参ったことがありますが、あそこにもやはりいろいろなことが起こっておるということになりますと、確かに使われたのはいいのですが、後のおしりふきといいますか、この処理問題が、水問題だけは後で非常に大変な問題が起こってくるのではないかというような問題で、私どもはもう一度この点は検討し直さなければならぬということで考えたわけでありますが、従来わが国は、経済さえ発展したらいいんだ、後のおしりふきはどっちでもよかったという時代がありまして、ああいう公害問題が起こったわけです。これをやはりきちっとセーブしながらいかにゃいかぬ、こう考えておるわけですが、この問題について伊賀先生はどういうふうにお考えになりますか、完璧にできるであろうかということをひとつお聞きしたいと思うのです。
  27. 伊賀秀雄

    伊賀参考人 いまお話承りますことはごもっともなことでありまして、もし出てきます熱水あるいはガスをほかの国のように野方図に流してしまうということでしたら大変な問題になります。が、いま日本では全部地下に還元するということが原則になっておりまして、昔からの発電所も、それから最近できました八丁原、大岳、葛根田、全部地下へ返しておりますので、それが流れていって公害を及ぼすということはないと思います。先ほどちょっと申しました、筋湯で大岳の温泉を使って非常に繁栄しておると申しましたが、これは温泉で谷間の水を暖めて、その暖まった水を配っておるのでありまして、出てくる温泉をそのまま配っておるのではありません。
  28. 岡本富夫

    岡本委員 マニラでこの地熱発電をつくっておるのを聞きましたら、向こうはどんどん流してしまっておるわけですね。そうして、いまの法律は全部地下に入れてしまう、そうなっておると言うんですが、そうでないと許可をしないと言うんでしょうが、そうしますと、余り大きなものは本当にできないというように考えられるんですが、その点が一点と、それからもう一点は、現在の開発は五、六百メートルから千メートルぐらいの地層開発のように考えられるんですが、今後さらに深層開発が必要であるというようなことでありますが、その技術開発、こういうようなのはできておるんでございましょうか、これをひとつお聞きしたい。
  29. 伊賀秀雄

    伊賀参考人 還元の問題でありますが、これは現在大体生産井と同じぐらいの数の還元井を掘りまして、そして入れておりますから、いまのところはそんなに困難はしておりませんです。先ほどお話ありましたフィリピンやメキシコなんかへ行ってみますと、特にメキシコなんかは、いやそこいら水をまいておけばみんな蒸発してしまって問題ないというような話でありますが、これは砂漠の真ん中ですからそんなことでありますが、日本ではそういうことはできないと思います。  それから深さの問題は、現在までの発電所で最も深いものは千七百メートルぐらい、浅いものは三百メートルぐらいであります。先ほども申し上げましたように、通産省で今年度から試験が始まりまして深層三千メートルないし四千メートルのところの調査をなさるということになっておりますが、現在のところはまだ地表の予備調査が始まっておる程度であります。私は、深層開発は非常に有望な開発じゃないかと思っております。
  30. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、次に地熱開発に当たって金融体制、そういった助成措置といいますか、やはり制度をつくらなければならないと思うのです。これについてのお考え方と、それからいま日本ではそこでできた電力は全部九電力に一応販売しましてそれから各家庭に行くようになっておりますが、採算面、この点と両方あわせてお考えになったことがあるかどうかこれをひとつお聞きしたいと思います。
  31. 伊賀秀雄

    伊賀参考人 金融その他の助成方法につきましてはいろいろの方法があると思います。これは実際に地熱発電を経験しました会社が五つ集まりまして、そしていろいろお願いしておるようでありますが、たとえば特別の税制を設けてほしいとか、あるいは調査、試験などについては助成をしてほしいとかありますので、そういう点についてぜひ国会でも御援助をお願いしたいと思っております。  もう一つ、現在のところは自家用に使っておりますものが一、二カ所ございます。たとえば三菱金属の大沼発電所、それから日本重化学工業の松川発電所、これは自分の工場に使っております。実際には、私の試算によりますと、地熱発電は現状におきましては火力発電所発電原価ととんとんかあるいは有利であります。現在火力発電所発電原価と申しますか、発電所から出てくるときのキロワットアワーの値が十円ないし十二、三円になっておると思いますが、地熱発電におきましてはやはり十円内外だと思います。これは私の試算ばかりでなくて、英国は地熱はありませんが、英国におります地熱発電の専門家及びアメリカなどの経済試算で同じようなことを言っております。コンペティチブという言葉を使っておりますが、十分火力とは対抗できるんだというふうに言っておりますから、それが建設当時のキロワットアワー当たりの値段がそうですから、地熱発電の方は寿命を非常に短くとっております。火力発電所の方はこれに比べるとずっと長い寿命で減価償却しますから、すぐにずっと原価は安くなってくると思っております。
  32. 岡本富夫

    岡本委員 もう一つ最後にお聞きしたいのですが、地熱発電、そういった出てきた温泉ですね、普通の鉄管とかあるいは鋼管ですとみんな腐食されましてだめになってしまうのですが、その配管はほとんど塩ビ系統、こういうものをお使いになって腐食を防いでおるのか、そういった面の技術的な問題はいかがでございましょうか。
  33. 伊賀秀雄

    伊賀参考人 現在のところ腐食で非常に困っておるという実例は余りないようであります。といいますのは、そういうふうな熱水とか蒸気とかの出るものはもう捨てられておりますから。わが国でも、一度井戸を掘りましたけれども、出てくる蒸気、熱水が非常に酸性を帯びて腐食性があるので使わないというようなものもありますですが、大体におきまして、そうひどくない、現在の金属材料で耐えていくことのできるような場所、噴出物を使っておるわけでございます。
  34. 岡本富夫

    岡本委員 最後に斉藤参考人にお聞きいたします。  私たちもソーラーシステム、これには非常に関心を持っておるわけでございますが、自分のところでふろに使ったりあるいはまた洗面に使ったりするようなものを古くから、たとえばメーカーの名前を言っては悪いのですけれども、日立さんなんかが開発をして、屋根の上に置いてある家がずいぶんありましたが、途中で皆使わなくなっている。当時、いまから十年前ぐらいでしたが、その器具自体は大体四、五万であるとかで、非常に安い。ところが途中で使われなくなって、もう使っていないんだ。こういうような耐久力というのですか、年数が長ければ非常に有望でありますけれども、非常に壊れやすい。上の方にあってそう壊れるものではないのになと思うのですけれども、現実を調べますとやはりそういうところがあるわけですが、そういった問題について、振興会をつくっていらっしゃるわけですから、恐らく一つ一つ調査をされて、そして今後はそういうものがないというようなお考えになっておるのだと思いますけれども、その点をお聞きをしておきたいのが一点。  それからお天気のいい日は非常に効果があると思いますが、雨の日はどうなのか。  それから三点目は、集熱器、最初私どもの家もそれを買ってつけたのですけれども、乳白色で、いまのあなたの方のお写真を見ますとブルーになっておるのですが、ブルーの方が非常に集熱効果が大きいのか、この点もひとつお聞きをしておきたいと思うのです。  この三点について。
  35. 斉藤明

    斉藤参考人 お答えします。  最初の耐久性でございますが、確かに過去石油ショック以前につくられたものはほぼ原材料がプラスチック、特にアクリルとかそういういわゆる透明ガラス等がプラスチックでつくられております。また、集熱板そのものもプラスチックでございまして、プラスチックは太陽に非常に弱いわけでございまして、耐久性が非常にございません。ただ、あれをつくった時点での設計発想というのは、恐らく便利な道具をつくる、いわゆる自動湯沸かし器というような発想でつくられたと思います。石油ショック以降、耐久性、特に省エネルギーという面で、節約するというような発想の設計をしておりますので、現在出されておるもの、金属性のものは各社とも二十年ぐらいの耐久性があるというふうに推定しております。  二番目の雨の日でございますが、現在の集熱効率、いわゆる実際に利用できる温水は、給湯の場合に四十五度くらいが限度でございますので、薄曇り程度までしか利用できません。したがって、雨の日は従来のエネルギーに頼るか、あるいは蓄熱をしておきまして蓄熱槽から雨の日の分、いわゆる一日分ぐらいの蓄熱をして使っていくというようなやり方でございます。  最後に集熱器の色でございますが、非常にいわゆる低温度の給湯だけですと黒色ペイントでも十分に集熱ができるわけでございますが、高温度、八十度、九十度あるいは百度になりますとこれは熱の放射が高いために効率が非常に低下してまいります。したがいまして、現在ほとんどのメーカーのものが、選択吸収面と称しまして、いわゆる熱放射を防止するような機構になっております。それは色をつけているというのではなくて、そういう選択吸収面をつくる過程においてブルーの色になっておるということでございます。ただし、白い色は熱吸収が悪うございますから、白では集熱は非常に質が悪いということが言えるかと思います。  以上でございます。
  36. 山下徳夫

    山下委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  37. 山下徳夫

    山下委員長 速記を始めて。
  38. 岡本富夫

    岡本委員 では、参考人に対する質問をこれで終わります。
  39. 山下徳夫

    山下委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。どうぞお引き取りください。     —————————————
  40. 山下徳夫

    山下委員長 引き続き、エネルギー・鉱物資源問題に関する件について質疑の申し出がありますのでこれを許します。板川正吾
  41. 板川正吾

    板川委員 通産省に伺います。石油危機の実態について見解を伺いたいということで質問いたします。  サミットを迎えて、日本政府、通産省はにわかに石油不足を強調し出したのです。三月二十三日の商工委員会で私がエネ庁長官に質問した当時は、上期四−九の石油輸入は全く心配ないということで、じゃ心配ないと言いながらIEAで決定した五%節約というのは一体どういうのだと言って、それじゃ石油は心配ないと言いながらこれから節約しようというのじゃ迫力ないじゃないか、そういう質問をしたのです。ところがどうもその辺、エネ庁長官自体は大変楽観的な見通しを持ったように思うのですが、サミットを迎えて急に石油不足を訴えている。どうもその辺がちぐはぐしているわけですが、そこで簡単に伺いますけれども、私の意見を言いますから違っておったらばそれは訂正してもらいたいと思うのです、数字を言いますから。  世界石油生産は去年とことしという短期的に見ますと、昨年の一日平均は四千六百五十八万バレルです。ことし、七九年三月現在では一日平均四千七百七十一万バレル、二・四%ふえています。それからOPECの生産量はどうかといいますと、OPECは昨年の一−三月とことしの一−三月を比較いたしますと、一日二千八百二十一万バレルで、それが二千九百二十五万となりまして、百四万、比率にいたしまして三・七%ふえております。世界石油生産はこういうふうにふえておりますが、じゃ日本に入ってきておる輸入量はどうかといいますと、五十三年の上期が一億二千五百六十一万キロリットルです。そしてことしの上期の予想が御承知のように一億二千九百万、三百三十九万キロリットルふえておって、この増加率が二・七%ということになっております。世界石油生産もふえており、日本の輸入の石油量もふえるというのに石油が不足するということは、不足だ不足だということは一体どういうことでありましょうかという点です。これをまず通産省に伺います。
  42. 児玉清隆

    児玉説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の数字は、私どもが把握しております数字も同様でございまして、確かに結論になりますがことしの上期一億二千九百万キロリットルという、これは現在がまだ七月でございますので、九月までの見通しが入っておりますけれども、一応そういう数字でございまして、五十三年度の一億二千五百六十一万キロリットルに対しまして二・七%の増というこのとおりでございますが、不安感と申しますか、私どもが憂慮いたしています点は二点ございまして、一つは需要の伸びというものが大変強いという点が一つでございます。それからもう一つは、この入着ベース、原油の輸入趨勢でございますが、七−九月まだ途中でございますが、これを一応六千四百万キロリットルというふうに見通しておりますけれども、これが果たしてそのとおり入るかどうかについて、最近のあれからいきますと若干憂慮される点がございます。それを延長いたしました下期でございますが、下期につきましてはやはりことしの上よりもそれほど上回った数字を果たして期待できるかどうか。昨年が一億四千四百五十二万キロリットルでございます。需要期にわっと昨年はふえて、それが可能であったわけでございますけれども、ことしの下期が果たしてそこまでいけるかどうかという点について、大変に私ども不安を持っておるわけでございまして、先生御存じのように、ことしの備蓄を除きました数字が二億八千百万キロリットルでございますので、それに到達いたしますためには、どうしても下期に昨年以上のものが入らなければつじつまが合わないということになってまいります。その点が私どもが先行き若干暗い見通しを最近強く持っておる背景でございます。
  43. 板川正吾

    板川委員 不足しておるという、不足だ不足だというのは、昨年より七・九%輸入増を見込んだ二億九千二百万キロリットルに比較して少ないですね。昨年より七・九%というのは、過去の世界石油生産量あるいは今度中期的に見ましてOPECの生産量、これは大体二%から二・五%ですね。だから、そういうふうに世界の増産量が二・五%程度しか毎年ふえていないのに、日本だけ七・九%も欲しいという計画を立てることは、これは世界の供給力から言って過大な目標を立てたのだと思うのですよ。七・九というのは、大体世界石油の需給が非常にタイトになってきておる、OPEC昭和四十八年のあの一次ショック以来ほとんど生産がふえてない、横ばいですね。それから非OPECの産油量が若干ふえておる。そういうときに七・九%昨年よりよけいに買いたいというのは、この目標自体が高いのですよ。  この二億九千二百万キロリットルを分析しますと、この中に備蓄として千百万キロリットルがあります。これは昨年の実績に対して四・一%に当たるのですが、この千百万という備蓄が、これはどうしても備蓄をこれだけしなくちゃならぬかというのが一つなんですが、こういう石油が不足だという、非常に世界的に不安がっているときに千百万キロリットルの備蓄を積み増しするというのは、これはちょっと私はどうかと思うのですね。  もう一つは、われわれが賛成してやりました海洋備蓄、タンカー備蓄が五百二十四万キロリットルある。これは七・二日分に当たると言われているのですが、五百二十四万キロリットルが七・二日分で今度千百万キロリットルが九日分というのは一体どういうことかなというのが実は何回考えてもわからない。通産大臣は四月二十一日に、今年度の備蓄を来年の三月末までに九十日にするということを告示したわけです。これは備蓄法に基づいて告示したわけですが、九十日にしますと、そのほかにタンカー備蓄がありますから九十七日になる。IEAの義務は来年の一月一日で九十日にしろというのですから、このIEAの備蓄義務程度、九十日は仕方がないとしましても、七日分の積み増しはこの際過大である。それは石油がどんどん買えるなら積んで構いませんけれども、それを積むことによって石油不足が生じ、そして流通段階では非常に混乱が起きているというときに千百万キロリットルを積み増しするというのは、私はちょっと過大であるんじゃないか。だからしたがって、この備蓄積み増しについては私は弾力的に運用すべきじゃないか、こう思いますが、通産当局の御意見はいかがですか。
  44. 児玉清隆

    児玉説明員 ことしの三月末の各国の、特にOEC参加国の平均でございますが、備蓄水準は百二十三日でございます。日本といたしましては、ほかの諸国に比べまして大変にまだ少ない備蓄量でございましたので、この供給計画を立てましたときは四月二十日でございますが、この当時の情勢からいたしまして、いまほどスポットマーケットもそれほど過熱していなかった情勢でございます。したがいまして、極力毎日の消費量を節約すると同時に、将来に備えまして千百万キロリットル程度は何とか備蓄の積み増しをいたしまして、全体としての安定性を少しでも高めたいという願いを持っておったわけでございます。したがいまして、そういうことで組んだわけでございますけれども、先生御指摘のように、だんだん現実的な足取りを見てまいりますと、スポットマーケットも冷えたといいましてもまだ三十五、六ドルでございます。したがいまして、いまわれわれが備蓄のためにということで買いに回るということになりますと、これはマーケットに与える大変な影響もございますし、また日々の油の確保という点を、いまのような製品の需給からいたしますと最優先すべきだというふうに考えられますので、私どもといたしましても、少なくとも現在の事態に対処いたしましては、備蓄についてはもう少し様子を見たい、いわば弾力的にこれを考えていくべきではないかというふうに考えております。
  45. 板川正吾

    板川委員 こういう時期ですから、混乱を激化してまで備蓄をふやすというようなことのないように、また国際的な義務の範囲にとどめたらいかがなものかなというのが私の気持ちでございます。弾力的に運用してもらいたい、こう思います。  私は、現在までのところはそんなに言われるような石油不足と大騒ぎすることのない状態だと思うのです。しかし長期的に見ますと、これはOPECはほとんど増産をしないのです。この六年間しておりません。若干の増産をしておっても、イランの二百万BDの減少ということがありますから、多くをなかなか期待できない。特にOPECの中でアラビア関係の国は、アメリカがイスラエルとエジプトの和解をさせた、特にパレスチナ人民の人権を無視してやったということで、アラブの大義としてアメリカに反感を持つようになった。あるいは湾岸諸国の王族国家ですね。これはアメリカがイランのパーレビ王制というのを何とか救ってくれるだろう、こう思っておったところが、とうとう何もしないでパーレビ王制がつぶれた。アメリカに亡命したいというのに、イラン政府にいろいろ気を使って亡命もさせない、こういうようなことでアメリカが王制を守ってくれそうもないということで、アメリカに期待感が裏切られたということで、そして世界の消費大国のアメリカのために、われわれが無理に石油を掘ってやることはない、こういう気持ちになったと思うのですね。あるいはドルの減価ということもあるかもしれません。とにかく石油を消費国の要請に応じて掘り尽くしてやることもない。先へ行けばどんどん高くなる。また子孫のために、この資源は減るわけではないから残していこう、こういう形になったために、これはもう世界経済成長をするためにどうしてもエネルギーが必要だ。一方こういう関係にありますから、したがって需給はますます慢性的不足状態、こういう事態になることは私ども承知をいたしております。そのために節約ということが大事でありましょう。効率的利用というより幅をぐっと広げて節約をしていくことが必要だ、こう思います。しかし、その対策についてはまた機会を改めて議論したいと思うのです。  最後ですが、このサミットで一九八五年、昭和六十年に日本石油の消費枠というのが六百三十万BDから六百九十万BDまで国際的に合意された。それは使ってよろしいということですね。これは産油国がそれだけ入れるという意味を持っているのじゃないので、消費国として日本経済成長に期待して六百三十万BDから六百九十万BDまでは日本が使うことはいいだろう、そのかわり他の消費大国は、カナダは別といたしまして、現在から六年間とにかく石油の消費はほとんどふやさない、そういう決定を見たと思うのです。日本だけ六百九十万上限を認められたということは、日本としては大いに歓迎していいことであります。この点は努力を評価していいと私は思うのですが、この六百三十万と六百九十万を、バレル・パー・デーですが、新経済社会計画ですか、これで成長率を五・七%と見ているというのですね。この五・七%で成長率を動かさないとしますと、六百九十万バレル・パー・デーというのは年率四%に当たります。年率四%に当たっていきますと、七年目には複利的に計算してみますと一二六・五%になり、これは現在の五百四十万バレル・パー・デーに掛けますと六百八十三万になりますから、ほぼ上限に当たる。また下限の六百三十万といいますと、これは年平均二・五%に当たってこれが七年目で一一六%であり、六百二十六万四千BDになって下限に当たるのですね。これは弾性値を見ますと四%の場合が〇・七です。自民党の政調会長はテレビで八%と言っていますが、これは八%はない。数学が真理である限り七%ですね。それから二・五%毎年消費率を上げるためには弾性値が〇・四四という形になる。〇・七の弾性値は過去もイギリスなどにありますけれども、〇・四四というのはいままでも余り長期間ではないのですね。この辺で、実際政府の方針は二・五%、六百三十万BDの方にこの計画を合わせていこうということになると、弾性値との関係から見ますと成長率の方を動かすかしなければならなくなると思うのです。弾性値を動かせば成長率を動かさなければならないということになりますが、二・五%程度しか年率石油がふえないのですよ。そういう点から言いましても、ことし七・九%をふやそうというのは過大ではないか、こう思うのです。この関係からいってひとつ御答弁を願いたいと思います。
  46. 児玉清隆

    児玉説明員 お答え申し上げます。  六百三十万バレル・パー・デーと六百九十万バレル・パー・デーでございますか、これは御存じのように石油でございまして、石油だけに着目いたしますと、現在の七カ年計画で試算されておりますところの五・七%の成長率、これとの関連は恐らく七%前後だろうと思います。私もいまここで厳密に計算をいたしておりませんけれども、そうなると思います。それから六百三十万バレルという低い線で仮に抑えました場合には、当然石油を大宗といたします全体の総エネルギーというものとの弾性値が問題になるだろうと思います。したがいまして、それまでの間に代替分をどれだけ上積みして全体のエネルギーバランスをうまく五・七%の成長とミートさせるかというところがポイントではないかというふうに考えておりますので、六百三十万バレルにいたしました場合は相当思い切った代替エネルギー対策措置というものを必要とするかと思います。
  47. 板川正吾

    板川委員 終わりますが、代替エネルギーというのはいろいろ計画はあります。ありますが、それが数字の上にあらわれてくるには少なくとも十年近くかかりますよ。だから、結局日本エネルギー石油の輸入量で決まると言っても過言ではないと思うのです。代替エネルギーがこの数字を変えるほどふえれば結構ですが、とにかく石油を念頭に置いた場合にそういうポイントがあるだろうということだけ指摘をいたしまして、私の質問を終わります。
  48. 山下徳夫

    山下委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十五分散会