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1979-06-01 第87回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年六月一日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 橋口  隆君    理事 野中 英二君 理事 武藤 嘉文君    理事 渡部 恒三君 理事 岡田 哲児君    理事 渡辺 三郎君 理事 岡本 富夫君    理事 宮田 早苗君       越智 通雄君    鹿野 道彦君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       後藤  茂君    上坂  昇君       渋沢 利久君    清水  勇君       塚田 庄平君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       宮井 泰良君    工藤  晃君  出席国務大臣         通商産業大臣  江崎 真澄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局審査部長 妹尾  明君         外務省経済局次         長       羽澄 光彦君         通商産業政務次         官       中島源太郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省立地         公害局長   伊勢谷三樹郎君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁石油部長   神谷 和男君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君         中小企業庁長官 左近友三郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  佐野 国臣君         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 松居  努君         厚生省環境衛生         局指導課長   林   崇君         農林水産省農蚕         園芸局肥料機械         課長      芦澤 利彰君         農林水産省食品         流通局企業振興         課長      安達 弘男君         農林水産省食品         流通局食品油脂         課長      本田 康二君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      福原 元一君         建設省計画局不         動産業課長   清水 達雄君         日本電信電話公         社技術局長   前田 光治君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 六月一日  円高差益の還元に関する請願(川崎寛治君紹  介)(第四六五一号)  同(山本政弘君紹介)(第四七五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 橋口隆

    橋口委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 公取委員長はきょうは時間の関係でお急ぎのようですから、簡単に一、二点お尋ねをしますから、終わりましたら御退席をいただいて結構でございます。  最近の産油国石油値上げあるいはスポット価格というものも天井知らずという感じですが、その影響もあるのだろうとは思うのですが、ガソリンあるいは灯油その他石油製品の値上がりはどこまで行くのだろうかという国民不安感、これは大変なものであるわけです。そこに公取が着目をされて一番に調査をされたということは、私は当を得たことだと思っているわけです。新聞報道によりますと、十五地区調査をおやりになって、大分県を中心にしてやみカルテル疑いがある地区がある程度あるようでございます。簡潔で結構でございますから、その状況と、これからどういう方向でこの問題に対処していくことをお考えになっていらっしゃるのか、あわせてお答えをいただきます。
  4. 橋口收

    橋口政府委員 いまお話がございましたように、五月二十五日に大分県の石油商業組合に対しまして、顧客の移動を禁止し、揮発油販売価格を決定して組合員に実施させている疑いがあるということで立入検査をいたしまして、現在審査をしている最中でございます。大分県の場合は県単位でかなり広範に独禁法違反疑いのある行為が見られたわけでございますが、それ以外の十四地区につきましては、かなり地区が限定されたケースが多いわけでございまして、県一体と申しますよりはあるいは市町村単位あるいは市町村の中の一部の地域等につきましてやはり同様の疑いがあるということで、消費者等からの申告があったわけでございまして、したがいまして、そういう他の十四ケースにつきましては、目下のところ任意調査実情把握に努めておるところでございまして、仮に任意調査の結果として、法律上の疑いがあるということであればさらに強い措置をとるということも考えておるところでございます。これは主としてガソリンでございまして、灯油につきましてもごく最近になりまして、一部の地域でございますが、出荷の制限をしているとか、あるいは価格について引き上げの申し合わせがあるんじゃないかというような申告もちらほら来ておるところでございまして、これは揮発油に限らず、灯油につきましても同様の問題があれば同様の措置をとりたいというふうに考えておるところでございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 やみカルテル疑いがあるということがはっきりいたしますと、当然破棄勧告をおやりになるんだろうと思うのでありますが、その点に対してお答えをいただきたいことと、それからやみカルテルかどうかということになってくると、独禁法要件というものが備わっていないとやれないということにもなるんでしょうが、紙一重というのか、明らかにこれはカルテルをやっているようだなと思っても要件が整わないという点もあるんだろうと思うのです。そうするとますますもって巧妙にやるという形ですね。カルテルによる被害というものは、国民に対してもろにそれをかぶせるという形になってくるわけですが、そこで、いままで十五地区をおやりになってこれからも任意調査でお進めになるということでございますが、価格の点はどうなんですか。やみカルテル疑いありと判断をされた地区値上げをしている価格ですね。それからそこまではいっていないけれども、これから調査をやってみようとしているところで、価格の面だけを調査になったのでしょうが、引き上げている価格についてはどうなんですか。
  6. 妹尾明

    妹尾(明)政府委員 先ほど橋口委員長から御説明いたしましたように、現在調べておりますのはもっぱらガソリンでございます。それで、主としては三月以降の値上げでございまして、全般的な状況から申し上げますと、値上げ幅が大体十五円前後、値段にしまして百十円から百十五円程度のものでございます。しかし、その後新しいものにつきましては、さらに百三十円ないし百三十五円に持っていこうというふうな動きも一部ございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 それでは改めて、これからの調査の進行と合わせまして私もお尋ねをしてまいることにいたします。きょうは時間の関係もありますから、この程度で一応質問を留保しておきたいと思います。御退席になって結構です。  それから、前から質問予定をいたしておりましたが、時間の関係その他によって質問をしていないのですが、きょうもまた一時間三十分の予定でございますから、詳しくお尋ねをすることは無理であろうと思いまして、十二日に流通小委員会を開きますから、その際に御出席をいただいてお尋ねをしたいと思っていることで、金の取引の問題について、私どもの方にも何十通というぐらい被害者からの涙ぐんで書いていると思われるような、そういう切々たる訴えの手紙が入っているわけでございます。その点を私の方から申し上げて、それぞれ関係当局担当者の方がお見えでございますからお答えをいただいて、改めて先ほど申し上げたような小委員会お尋ねをしたいと思います。  昨年の十一月九日、東京自由金取引協議会員であるワールド貿易の社員が来て、金予約株を一キロ十五万円、百キロを買わされた。千五百万円を支払った。結局、千三百三十万円の損をさせられたということを中心として詳しく書いてありますが、こんな分厚い手紙一つ入っています。それから、東京渋谷区に金取引被害者同盟ができているわけですね。ここにも三十件ぐらいの被害届け出が出ている。それから福岡の通産局にも、ことしの一月に七件、二月に十七件の被害申し出が出ている。新聞広告によると、東京自由金取引協議会というのがあり、二十七社の会員をずらりと並べた広告が堂々と出されているわけですね。取引の方法を調べてみると、延べ取引ということになって何カ月、何月限となっているわけですね。それで差金決済も、現物受け渡しを定められた月に行うという仕組みになっているようです。ところが実態は、商品先物取引と全く同じではないかと思われるのです。ただ先物と言わないで延べ取引だと言う。名称が変わっている。申し上げたように手法は同じである。それから証拠金商品取引の場合は御承知のとおり証拠金というのが手付金または保証金というようになっているだけの違いだ。  そこで、延べ取引先物取引というのはどう違うのかということをお答えいただきたいというのが一つです。商取の場合、転売または買い戻しをいたしますと、その時点で差金受け渡しを行っているわけですね。延べ取引の場合は、差金決済現物受け渡しも定めた月、たとえば八月限なら八月限というようなときに行うということに実はなっている。ところがそれまでの間に値段が上がったとか下がったとか、そういったようなことで不足をするから金を持ってくるように、こういうことで金をまた、早く言えば追い証というのを受けるわけですね。今度は逆にもうかるということになる。もうかると、その金は八月限なら八月限のときに仕切りをすればいいわけです。そこまでに至る間に、今度はそのもうかった金でまた買わせるのです。結局これは商取のその場その場で決済をするやり方と少しも変わらないということになると私は思うのです。市場としては正確な市場形成が行われていない。それでまた手付金を渡している。何か取りやめたいとかいろいろなことでその店を訪れるとどこに行ったか行方不明、金だけは取られてもう取り返しのしようもない、いわゆるドロンしている。そういったようなこと、これはまさに詐欺行為だというように考えられる。目に余るやり方、こういうことがいつまでも放置されているということが私は不可思議なんです。こういうことを放置してはいけないというように政府はお考えにならないのだろうか。いつまでこのままほったらかしておくつもりなのか。  この間私は本会議渡辺農林大臣ともお会いいたしまして、農林大臣所管事項ではない、これはむしろ内容からすると通産大臣所管事項だというように思っているのですが、渡辺農林大臣に金の話をすると、いやもうこれはとんでもない話だ、こんなものをほったらかしておくということは、これはもう話にならぬといったことで、個人としてはずいぶん積極的なことを言っておられました。ところが私どもの耳にはそうした積極的なこれに対する対処、いろいろ研究はしていらっしゃるのかもしれませんけれども、どうしようというような積極的な対応策というものが行われているということを実は聞いていないわけなんです。  これらの点に対して、通産当局は言うまでもなく、警察庁等においても問題点としてこれに対する何らかの検討はなされたんじゃないかと思います。したがって現在までどの程度被害があり、どういう仕組みであり、これに対してどのような検討が行われているのか、それらの点だけを一応お尋ねをいたしまして、後は先ほど申し上げたようなことで御出席をいただいて、私の方も詳しく申し上げますから、その際にひとつお答えをいただきたいと思います。
  8. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  まず、金のいろいろな取引にまつわる問題でございますが、金のいわゆる延べ取引市場と言われるものは、離合集散も激しくてなかなか実態がつかみにくいわけでございますが、私ども把握している数としては、全国で十数団体ぐらいあるかと思います。  それから、被害でございますけれども、これも被害実態というのは正確に把握することがなかなかむずかしい状況にございますが、通産省の本省それから通産局に寄せられました金取引に関するいわゆる消費者相談件数というのがございますが、それで見ますと、昭和五十三年度では七十八件ということになっております。これは一つには、一般的な、こういうことはどうだろうかという取引相談も入っておりますので、必ずしも被害の数とは一致しておりません。一方、私ども当省以外にも、警察とかあるいは地方自治体にいろいろ相談とか被害届け出というのが出ておるという状況であろうかと思います。  それから、どういうことをやっておるかということでございますが、私どもといたしましては、これまでいわゆる金のブラックマーケットと申しましょうか、そういったところにおける金取引に伴う被害というものを防止するため、まず実態把握に、非常にむずかしいのですが、努力をいたしております。  要するに一番の対策としましては、一般消費者に対する注意喚起と申しましょうか、PRというものにできるだけの力を入れてきております。若干申し上げますと、当省発行消費者ニュースというものがございますが、それにこの問題を載せまして、繰り返し、三回ばかりですが、注意を喚起してきておりますし、また、商品取引所関係者であります全国商品取引所連合会それから全国商品取引員協会連合会というようなところに対して、このいわゆる金取引商品取引所法に基づく取引でないということを消費者PRしてほしいということを指導いたしまして、その関係者からは全国紙意見広告を出すというかっこうでやっておられます。そのほか、加工業者団体であります貴金属地金協会に対しましてもPR活動を行うことを要請しまして、この業界の方でもPR誌等をつくるというような活動をいたしてもらっております。さらに、本年の一月に入りましてから、警察庁経済企画庁公正取引委員会を交えました連絡会議を持ちまして相談しました結果、約十万枚のビラをつくりまして、全国にいま配っております。  いずれにしましても、このPRによってできるだけ被害者が出ないように啓蒙活動を強化するということで、なお関係省とも相談しながら努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 佐野国臣

    佐野説明員 警察的に金の取引の問題に関しまして申し上げれば、いわゆる投機的な取引と申しますか、そういった要素が入りますので、一般的には詐欺的行為があったと認めるにつきましては相当困難を伴うという状況ではございます。  ただ、そうは申しましても、いままでの検挙の数あたりで申し上げますと、一応一昨年の八月に、北海道ではこの種の事案につきまして詐欺罪としての立件を三十件しております。それから、警察庁に直接寄せられました投書によります損害の掌握というのは、私どもは現在のところ三件でございますが、府県段階ではほかにも二件ございます。そのうちの一件はやはり事件としてすでに捜査に入ってございますし、被疑者につきまして全国指名手配を行っておるというものが一件ございます。その他事実上の相談というふうなものは、窓口には何がしかの相談があろうかと思いますが、一般的に申しますと、先ほど申しましたように、どうも被害者の側の方でいろいろ損失をこうむった経過をるる御説明はいただくのですが、しかし詐欺罪でいうところの欺罔があったといいますか、いわゆるだまくらかされたんだという場面刑事処分を問うということで終わるよりは、やはり被害回復とか今後の予防というふうな観点に立っての要請が非常に強いようでございます。これは確かにそういう面もあろうかと思います。と申しますのは、刑事的に事件に仮に着手したような場合には、そこでいわば民事上は免罪符を与えられたというふうな感覚、相手方の方は、被疑者の方はそういう感覚に立ってしまって、後は知らぬよというふうな場面もあろうかと思います。したがって、事件処理したことによって直ちに被害回復とか予防というふうなことになかなか結びつかない向きもございます。そんなところから、詐欺罪での立件といいますのは先ほど申しましたような数字でございまして、今後この種の件数をどの程度伸ばしていくかという問題は、今後の課題ではあろうかと思っております。ただ、先ほども申しましたように、被害者の意識の問題なり経済全体的に見ました場合には、この種のものの予防とか被害回復というふうな観点に立ちますと、やはり一般国民啓蒙あるいは啓発と申しますか、この辺がまず第一ステップじゃないかという感じは私どももいたしておりますので、機会がありますごとに関係省庁との御相談啓蒙宣伝行為を推進しておるという状況でございます。  それから、実態把握の問題につきましては、私どもも事実上どんな相談を受けたかというふうなのは的確にはつかみかねますが、しかし、一応府県の出先の記憶程度でもよろしいから、ある程度のものを集めたいと思って現在指示してございますので、いずれそんな相談状況あたりもわかろうと思います。その種の実態掌握の上に立ちまして、今後の対策なりあるいは法的な問題とかというようなことについても、まず関係行政機関と十分御相談申し上げてまいりたいと考えております。  当面、この問題につきましては、以上御報告申し上げます。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 いま島田審議官からPRをするんだということなんですが、PRとはどういうPRをするのだろうか。それはビラをおつくりになるということですから見せていただければわかると思うのですが、十日に見せていただきたい。被害を受けないようにというPRだとする、そうすると、こういうことはいけませんよというようなPRだろうと私は思う。国民にはPRする。ところが、そういうことをやっている行為そのものは手をつけることができないのは、何としてもこれはおかしなかっこうですね。そういうこと自体が私は何かこう矛盾感じるですよ。こんなことをどうして国務大臣として、両大臣がおられて放置しているんだろうか。  それから、警察の問題でもそうなんですね。お客さんが、何日決済ですと、こう決まって、定められた日に行ってみる。ところがドロンしてどこへ行っているかわからない。それから、買うということで約束してお金を払った、今度はこれはどうもおかしいということで行ってみても、またそこにはいないという、そういうケースが非常に多い。これはどう考えても単なる倒産だということよりも、計画的な行為だというふうに見られるんじゃありませんか。  それから、正確な市場形成がないわけですよ。十枚だと言っても一枚しか玉を建てていないというようなことだって、これはもうしょっちゅうそういう行為をやっているということ。それから、先ほど申し上げたように、これは延べ払いだから商品取引とは違うんだというけれども、そうではなくて、もうかったという場合、その金でもってまた買わせるという。そうすると、それは決済をしたと同じなんですよ。だから、いろいろ私なりに検討してみると、これは明らかにのみ行為だ。玉を建てないでやっているのですから、これはのみ行為であり、いわゆる詐欺行為だ。商取でも香港なんかはそういったような例があるということでございますから、そのことについてもひとつ十二日に小委員会で詳しくお尋ねをしていきたいというように思います。  まだいろいろ申し上げると私なりに調査をしておりますが、きょうのような答弁ではなくて、もっと、単に国民PRをするんだというようなことでは、指摘をしましたようにむしろ私はおかしい、実は矛盾感じますから、そういったことについて、これはPRPRとしてしなければなりませんよ。よくないというPRをするということは、先ほども申し上げたようによくない行為、そういうことが放置されておってはならないということです。政治や行政というものは何のためにあるんだろうか。ますますもって国民は不可思議に思うということになっていくんじゃないでしょうか。そうして堂々と新聞広告を二十七社か幾らかやって、こんなことは放置しながら国民にだけPRをしていくという。何をしているんだという批判が国民の中から高まってくることは避けられないと私は思う。早急にこれに対する対策を講じていただきたいということを強く要請いたしますが、小委員会では大臣はお越しになりませんから、このことについては通産大臣はよく報告も受けていらっしゃることでしょうし、ある程度研究もしていらっしゃると思います。またいまの質疑応答をお聞きになっておっても、通産大臣は事の重要性ということを御認識になったと思いますから、ひとつ大臣の見解をお聞かせいただきたい。
  11. 江崎真澄

    江崎国務大臣 金のブラックマーケットにおけるいろんな被害を防止するために、その実態把握通産省としても努めておるわけでありますが、この関係消費者注意喚起をする、これは一生懸命やっておる。たとえば消費者ニュース、これは通産省発行のものでありますが、消費者に対して繰り返し注意を喚起してきたということ。それから商品取引関係者である全国商品取引所連合会、それから全国商品取引員協会連合会に対して、いわゆる金の取引商品取引所法に基づく取引でないことを消費者に十分知らせる。そしてまたそういう誤解がないようにこれを防止する、こういった指導を昨年の九月にも全国数紙意見広告というような形でやったという報告を私どもも受けておるわけであります。  それから金の加工業者団体でありまするところの貴金属地金協会に対しましても、一般大衆信頼のある店で金を購入するように、こういうPR活動を行うことを強く要請した。その結果、同協会としてもパンフレット「金のすべて」というPR誌を作成いたしまして、啓蒙に努めておるところであります。  それから警察庁経済企画庁公正取引委員会等を交えまして連絡会議を持った。そして約十万枚のビラ全国的に配布したこともあります。お説のように大変いろんな弊害が出ております。しかもそれが零細な預貯金を対象にしたところの被害という実情もよくわかりますので、今後ともPRの徹底をいたしまして、十分誤りなきを期してまいりたいというふうに考えます。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、これは信頼の置ける店から金を買いなさいと言うが、現物は買わないのですよ。これは皆無じゃありませんよ。現物を買うこともある。しかし恐らく九九%は現物取引じゃないんですから、信頼の置ける店から買えなんと言ったって、これはいまの取引実情に合っていない。それから商品取引とは違うんだ、こう言っても、違うか違わないかというようなことは、国民がそれによって、違うから買わない、違わないから買う、そういうものじゃないんじゃありませんか。要するに業者が言葉巧みに、いまあなたがおっしゃった零細な預貯金をしている人たちのところに行って、こうしたらもうかるのですよ、こうですよと言って、しかも金ですから、相手が何かしら魅力を感ずる。間違いのないものだという心理感が起こってくるでしょう。そこにまたつけ入っている。ところが現実は山のように出てきている被害、これをただ単にPRといったようなこと、まあそれは関係各省との連絡会議等をやって、対応策を講じているということでございますけれども、どうも国民PRするというようなことに重点が置かれて、根っこの問題を解決しようとする迫力を、あなたのお答えを聞いてみても私は感じない。だからそういうけしからぬことはもう行わしめないように、法的整備が必要であるならば法的整備をやる。そういうことでないと国民のそういう被害を食いとめることはできないし、金の問題でありますから、国際的な日本の信用の問題にまでつながってくるような感じが私はいたします。もう一度ひとつお答えをいただきます。
  13. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の趣旨はよくわかります。それから、先ほど関係者の答弁を聞いておりましても、これはこういった何か詐欺行為に類するような被害が現実に出ておるわけでありまするから、なお関係省庁間で十分議論をいたしまして、しかるべき対策をとるように十分にひとつ検討を前向きにいたします。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 それじゃ金の問題は、先ほど申し上げたように十二日の小委員会お尋ねをすることにいたしますから、改めて御連絡は申し上げますが、予定といたしましては十二日の十時から小委員会を開く予定でございます。  それでは経企長官にお尋ねいたしますが、御承知のとおり卸売物価は天井知らずというぐらいに昨年の十一月から上がりっ放し、これは消費者物価にもはね返りつつあるということです。最近景気に明るさが見えてきたということなんですが、これは通産大臣、経企庁長官にそれぞれお答えいただきたいのですが、景気回復の足取りと見通しですね。それと卸売物価の値上がり、消費者物価にこれがはね返ってくるといったような、そういうインフレ懸念すら実はあるわけですから、それらの点に対してひとつ見通しを含めてお答えをいただきたいと思います。
  15. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 現在の国内の経済状態は非常に内需も拡大しておりますし、そのうちの個人消費とかあるいは設備投資等もこのところ大分動意が出ておりまして、前向きに進んでおると私は考えておるわけでございまして、その面から申しますと、日本経済はようやくこれで着実な回復基調に入ったという判断をいたしているわけであります。しかし現時点におきまして特に物価の問題が、卸売物価が昨年末から四月くらいにかけまして相当な上昇カーブを描いてきておるということで、卸売物価については、いまわれわれはきわめて警戒的な態度をとっておる。しかし消費者物価の方は、四月時点におきましても前年比で二%台であるわけでございまして、こうした消費者物価の方が落ちついておるということは非常にありがたいことだと思うのであります。  卸売物価の方の上昇の根本は、海外要因と申しますか、石油のOPECの値上げとかあるいはまた円安、それからまた中国のベトナム進攻作戦の開始とともに起こりました銅、亜鉛、鉛、そうした一次産品の急騰、こうしたような影響、あるいはまた木材関係の急騰、こうしたものでありまして、現在卸売物価の上昇の約半分は現時点におきましてもこうした海外要因である。しかし、だんだんとこの中に国内要因がふえてきておるということにわれわれは非常に注目をいたしておるわけでありまして、このような物価情勢に対しまして、先ほど申し上げましたように警戒的な態度をとる。と同時に、政府といたしましては、特に卸売物価のこうした海外要因については、経済界の皆さん方に、生産性を向上することによってコストの中に吸収する力をひとつ増加してもらいたいということと、もう一つは、便乗値上げが行われることに対しての監視体制を強めまして、便乗値上げの波及を極力防ぐということで対処してまいりたいと思っておるわけであります。しかし、現時点の程度の範囲内でございますと、まだ今年度のわれわれの経済見通しそのものを根本的に改正しなければならぬという状態には至っておりません。  ただ、申し上げたいことは、この四月現在までの石油値上げ等につきましては、一応われわれの計画の中には今年中一割原油価格が上昇するであろうということを見込んで計算をしておりましたが、四月までの時点でそれが約倍、二割近く上がっておるということでありますが、この影響は、試算でございますけれども、卸売物価に対して〇・七程度消費者物価に対して〇・三程度の押し上げ要因になるだろうというような計算をしておるわけでありますから、現状程度でとどまる限りにおきましては、大体において、消費者物価も努力しなければなりませんけれども、卸売物価の方はややわれわれの計画を推持することは困難であろうというふうにも思いますが、全体としてこうした問題のための経済全般の運営の基本を変える必要はないというふうに思っておるわけであります。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣の御見解を伺うのですが、通産省は在庫調整は一−三月期でほぼ完了したという宣言をされたようですが、いま経企庁長官からお答えもありましたように海外要因といったようなもの、それだけではなくて企業の姿勢の問題なんですが、経企庁長官は生産拡大をもって海外要因のコスト高を吸収してほしい、それを期待するということなんですが、現実にはそんななまやさしいものではない。今日の卸売物価の上昇は、円安によるところの原材料の価格の上昇、むしろ下がったものもありますが、銅なんというように下がったものもあるようですが、原油が非常に値上がりしているというのが最たるものだろう、こう思っております。いずれにいたしましても、そういうことで卸売物価の上げ足を速めている。原油値上げの影響というものははかり知れないものがある。そうすると、在庫の減少傾向というものは、今後の物価の動向というものに対して影響が大きく出るということは当然だろうと思う。そうすると、いま経企庁長官の期待をしているような方向に企業はなかなか動かない。物をたくさん生産するよりも、少量生産をもって価格を引き上げて所得を得ようという価格志向の傾向にあるというように私は認識をいたしておりますが、通産大臣はどのような見解をお持ちになっていらっしゃるのか。また、そのような企業の姿勢に対してどう対処していこうとお考えになっていらっしゃいますか。
  17. 江崎真澄

    江崎国務大臣 確かに在庫がだんだん減少しておることは認めなければならぬと思いますが、やはり需給ギャップの多いもの、高値を呼ぶもの、そういったものにつきましては行政的な指導をもって十分需要を満たすに足るような生産を続けさせる、そういう指導が必要であるというふうに私は考えます。これは全般の傾向のお話でありまするから、一業種あるいは部分業種には当てはまらないかもしれませんが、すでに新聞等にも発表されておりまするように、日本の生産が高度成長時代一番ピークをなしたのが四十九年の一月と言われます。石油ショック直後ですね。そして景気がだんだんスローダウンしまして、生産調整がなされたり減産体制に入ったりというような形で最低をなしましたのが五十年の三月、このときはピーク時から二〇%減だというふうに言われておるわけであります。ところが、最近の内需の活発な動きなどを反映いたしまして、この二月にはピーク時より六%も生産が上がっておる。三月には七%近くも生産が上がっておる。こういう足どりを見ますると、必ずしも業者が減産をしながら需要を満たさないような動きをしておるとは言えないのではないかというふうに私は思うわけでありまするが、これは全般の数字でありまするので、ある業界の中にはいま御指摘になるような業界もきっとないわけじゃないでしょう。したがいまして、よくそのあたりをしさいに情報キャッチをいたしまして、十分需給ギャップを埋め得られるような余力のあるものは、当然需要を満たすような行政的な指導をできる限りやっていく立場にあるのが通産省でございまするので、努力をいたしたいというふうに考えます。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 需給ギャップが現在どの程度あるのか、私の調査によると、実質で十兆円ぐらい、名目で十九兆円ぐらい、これは昭和四十五年の価格で換算してこういうようなことになるわけです。ところが、大臣はずいぶん企業の側に好意的な見方をしてお答えになったわけです。私も必ずしも企業が悪者だとは言わない。言わないけれども、どうもいまの大臣お答えと逆じゃないかと思うんだな。価格志向は、物をたくさんつくるよりも、少量生産で価格でもって所得を上げていこうとする姿勢の業者の方が多くて、大臣お答えになったような、まあざっくばらんに言えば、いい姿勢の業者、企業というのはむしろ少ないような感じがしてならない。かてて加えて、最近の土地の値上がり、石油製品の値上がりというものは、私は仮需要だと思う。売り惜しみ、買い占めの傾向が露骨に出てきている。この状態を放置するとインフレになることは避けられないと思いますよ。そんななまやさしいものじゃないのじゃないでしょうか。いま景気回復の方向に進んでいるということは事実だろうと思う。そこで企業の姿勢は変わらない、景気回復がいまのペースで進むということになってくると、設備投資というようなこともなかなかやろうといたしませんから、供給力が不足してくる、そういうことになる懸念かないのかどうか。その点に対して両大臣は不安をお持ちになっていらっしゃらないのかどうか。その点いかがでしょう。
  19. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私は、いわゆる価格景気と申しましょうか、そうした方向をとりたい意欲は各企業が十分に持っていると思います。これは否定いたしません。しかし幸いなことに、ようやく日本の各企業の収益状態がオイルショック以前の状態に回復してきているということ、そこにやはり企業自体も落ちつきを取り戻してきていると思うのであります。  ただいま委員が御指摘になりました、いわゆる設備投資が進まぬのではないかというお話でございますが、もちろん多少のタイムラグはございましょうけれども、企業が収益性を回復すればそこには必ず設備投資をする意欲が出てくると私は思うのでございます。もちろん今日まで非常に長期の不況の中でございましたから、現状の設備そのものは必ずしも非常に生産性の高いものばかりとは限りません。しかし、同時にまたこうしたような外的要因による原材料、資材の値上がりというものをカバーするためには、企業としてはやはり生産性を向上する以外にはやりようがないのであります。と申しまして、非常に物が不足しているなら別でございますが、必ずしもそんなに不足していない状況の中で、価格だけを引き上げてそして利益を得るというようなことは、企業経営者としては恐らくとらない方向だと私は思うのでございます。われわれはそのような気持ちを考えて、そうしてなお日本の経済界が便乗値上げであるとかそうした方向にのみ走ることは、過去のオイルショックのときに非常な手ひどい批判を受けたし、またそうしたことの結果、非常な長期の不況に苦しんだわけでございますので、いわゆる前回のオイルショック以後の一つの物の考え方というものには非常に大きな変化があると私は信じております。したがいまして、委員の御指摘になることは、決してそれが全然違うんだということは申し上げませんが、同時にまた、経済界自身の努力の中でこうした現在の供給力をさらにふやすという方向につきましては素地が十分でき上がっておるから、いまやこのことについてはできるだけ金利などの引き上げをしないで、設備投資の方向に企業意欲が向くような方向をわれわれは誘導することによって、現状の卸売物価の上昇の歯どめをするということが一番順序のある方策ではないかというふうにいま考えておるところでございます。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 私もいまのお答えをそうではないという否定をしようとは考えないのです。必ずしもかみ合っていないですね、認識の点についても。ですけれども、企業は長い間の不況という経験があるのです。それから、再び高度成長の時代に戻るというようには考えていない。そのことが減量経営という方向に企業は進んで、まず経営の安定を図っていこう、そういう方向に進んできた。そのために大きな摩擦を生じて、いわゆる合理化によって首切り、労働条件の低下、関連下請企業等にも大きな影響をもたらして、そしていまの経済混乱というような形に発展しているというように私は思う。そうした企業の長い間の不況という経験の中から、設備投資とか在庫の積み増しというようなことになかなか結びつかない、またそこまで踏み切っていこうというようには考えていない。そうなってくると、そういうことに踏み切らせるためには、やはり内需の拡充をやって個人消費をずっと高めるというような、そういうものが関連して起こってくる。いわゆる総合施策というものが強力に推進されないと、いま両大臣お答えになったような方向には行かないだろうという感じが私はするわけです。  同時に、これと関連をしてまいりますものは、これは国際的な関係もあることでございましょうが、いわゆる製品の輸入というのが目立ってふえてきたということです。これは経済成長ということに対して大きな足かせになる。これをどうお考えになっていらっしゃるのかということですね。森永日銀総裁は、黒字減らしというのももう限界に来た、これ以上黒字を減らすということは日本経済の安定に大きなマイナスになるだろう、ある程度の黒字は残しておかないと経済協力といったような面からしてもこれは問題だから、ここらあたりが適当なところであろう、こう言っているわけです。そうなってくると、製品輸入の問題というものについて政府対応策というのが当然出てこなければならない。同時に経企庁長官の持論だと私は申し上げてよろしいと思うのですが、大臣に御就任になってあなたがおっしゃったことは、私はこの委員会かで何回も申し上げましたが、ともかく貿易収支ということよりも基礎収支ということに力点が置かれて、そういうことで国際的な議論がなされなければいけない。だから何でも向こうが買え買えということであって、ああそうですかと言って物を買うというようなことは、これはやってはならないというようなこと、それが政府調達の電電公社等の物資の問題、いわゆる入札参加の問題なんかについても関連をしてくるのではないか。無論これに対しても批判的な考え方を経企庁長官がお述べになったようにも私は記憶をするわけですが、どうもその後の動向を見ると、経企庁長官がお述べになったような方向とは、それに沿った、そういう動きをおやりになっていらっしゃるようには考えられない。それらの点等々から考えまして、製品輸入というものは、今後とも国際的な関係ということでそのまま進めていこうとお考えになっているのかどうか。それから政府調達物資の問題に対する対応策をどうお考えになっていらっしゃるのか、それらの点についてひとつお考えをいただきたい。
  21. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの問題は、一経済政策というよりも、やはり国の外交政策と申しましょうか、日本の世界の中における役割り分担というような意味で、その一義的な問題としましては、日本の貿易収支の、経常収支の黒字幅というものが異常に高いという世界各国の認識に対してわれわれは対応しなくてはならない。これは基本的に申し上げれば、先ほど委員が、私が就任のころ申したことに対してきわめて御理解あるお言葉を賜りましたが、私はその考えは変わっておらぬのであります。日本のように資源のない国であればあるほど、やはりある程度の経常収支の黒がなければ踊りが踊れなくなるということはよくわかっておるつもりでございます。したがいまして、今年度の経済計画におきましては、なお外国からは多少の批判を受けておりますけれども、七十五億ドル程度の貿易収支の黒字を計上するような形において、しかし総合におきましてはそれが収支とんとん程度にいく。つまり海外経済協力等を積極的に進めて、そうして全体として日本が世界経済に貢献するのだということの理解を求めるように努力すべきであるという考え方は変わっておりません。  ただ、昨今の日米関係あるいは日本と欧州との関係は、一種の異常な日本の黒字に対する批判に満ち満ちておるわけでありまして、したがいまして、そうした非難をいまわれわれが真正面に受けてただ闘うことだけでは、なかなか世界経済の中において日本が今後なさなければならないいろいろな問題だとえば石油価格の安定を日本一国だけではできない。やはり他の消費国との連携をとり、相互の理解を得ながら協力した形でなくてはなかなか石油問題一つとっても解決できないわけでございますから、そうした各国との協調、理解のとれるための一つの方法としまして製品輸入を拡大し、あるいは前内閣もいたしましたような緊急輸入と称する、私は異例な輸入方式だと思いますが、こうしたことをやって黒字減らしをやったということであります。  それとまた同時に、同じような意味においていわゆる政府調達に対しての門戸開放ということも、それは現時点においてすぐそれを幾ら幾らまでやるのだということ以上に、今後三年くらいの間にこの辺までは開放いたします、原則開放論というものを出すことは、必ずしも私は日本経済にとって決定的なダメージにはならないと思うのでございます。  それからもう一つは、製品輸入をふやすということは、私は、それが消極的な意味で申しますと、やはり日本の経済界に与える影響はなかなか深刻であるということはよくわかります。しかし問題は、今日まで日本が歩んできた道の最大の一つのメリットというものは、日本が外国から物をどんどん輸入して、そしてその輸入した製品の質を分析して、あるいはまたその製法等についての分析を行って、そしてまた日本独自にそこにノーハウなりテクノロジーを確立したということでありまして、むしろ製品輸入をすることによって日本の国内にマーケットをつくって、そのマーケットのできたところに日本が自国で生産をしていくというような形で日本の経済は大きく発展したと私は思っているわけでございまして、今度の政府調達等につきましても、もちろん一部にはいろいろ批判がありますけれども、大きな目で見るならば、日本の現在提供しておる電子機器あるいはその他の機器等よりもさらに高度のテクノロジーを持った外国製品がこの機会に入ってきて、われわれがその内容をよく知り、そしてまたそれを新しく自国で開発できるノーハウなりテクノロジーをみずから求めることができるならば、これはまた過去において日本が成長したような一つの原動力と申しましょうか、そうしたものに転化すべきものであろうというふうに考えるわけでございます。  やはり一番根本的に申し上げますと、日本の黒字がなければならないけれども、それが余り大きいと世界の孤児になりそうだ、そういう危機感の中で政府は結局黒字減らしということを大幅に取り上げざるを得なかったという点、しかしその努力が一応実って、昨今は欧米諸国が日本の黒字というものに対して、かつてのような異常な関心と非難をしなくなったということだけでも私は大変よかったと思うわけでございますが、基本的には、日本は絶対に経常収支の黒字をある程度以下にしてはだめだということは、われわれは十分踏まえておるつもりでございます。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えの点はそれなりに理解ができるのです。問題は、やはり国民のコンセンサスを得るということ、いわゆるバランスのとれた政治、経済の推進という点をより重視していかなければならないということではないでしょうか。経済協力の問題にいたしましても、経済協力が本当に相手国の国民に基礎を置いた、その国民を潤していくということ、そうした経済協力でなければ、特定の権力者の権力維持というような形、あるいは経済協力によって、その見返りによって利権をあさっていくというような日本国内の政治家がおるという実態、そういう中で経済協力というものに対する国民のコンセンサスはあり得ないんだということ、それから相手の国の国民を豊かにしていくというためには、やはり日本の社会福祉というようなものに対してきめ細かい施策を講じていくということでないと、やはりコンセンサスは得られないということを私は指摘をしてまいりました。だから、いまの問題についても同じことが言えるのではないでしょうか。製品輸入の問題、政府調達物資の問題に対する、いわゆるアメリカその他の国を入札に対して参加をさせる問題についても、これは江崎通産大臣と私はここで議論をして、かみ合ったわけでしたが、たくさんの中小企業の方々がいる、何十万という労働者が働いている、こういった人たちをそれではどう、これに参加をさせる場合に、狭められているこのシェアというもの、就業の場所というものを閉ざされた場合、これをどうしていくのかというものを十分見きわめながら、関係業者関係労働者の、国民のコンセンサスを得るような手段をあわせて講じていくということでないといけない。どうもそこらが軽視されて、ただ日米交渉、外国との交渉を妥結させるということのみに力点が置かれているような感じがしてならないのです。それらの点に対してはどうお考えになりますか。
  23. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題についてはしばしば御熱心な御質問があったわけでありますが、私どもも特に中小企業、下請関係を抱えております。また、企業そのものが影響をこうむるとすれば、これはやはり通産省の所管でありまするから十分配意をしておるつもりであります。今後といえどもやはり実情を見きわめていかなければなりません。  ただ、言えることは、さっき経企庁長官も申しましたように、日本の技術的な面においても、製品のその能力におきましても相当な競争力を持っておる。その証拠に、アメリカに向けて、たとえばATTの入札などにも参加して、昨年の場合は円ベースですが、百億円以上のものをとにかく落札しておるというような事態にかんがみまして、仮に国際入札に供することがあったとしても、根本的に致命的に大打撃を受けることはないのではなかろうか。それからまた、いま経企庁長官が申しましたように、やはり知識集約型の方向に日本の産業を持っていくということでありまするならば、もちろん開放すべからざるもの、国益に関するもの、いろいろありましょう。しかし、ある程度開放して、そこでやはり国際的な競争力をつけていくということも、今後の日本産業の発展のためには大切な面であろうというふうに考えます。しかし、いつも御指摘になりまする中小企業、下請企業等に対するしわ寄せに対しては、十分配慮いたしまして今後遺憾なきを期するような努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 経企庁長官、OECDでは一九八五年までの先進国の中期的な経済成長と雇用の見通しについて策定作業を続けて、そのレポートを明らかにしているようですね。まとめて明らかにしている。それによると、当面低い成長は避けられないということが第一点。第二点としては雇用の改善も進まない。日本なんかでいま進めているところの財政支出拡大による景気の刺激策というものは、現状の経済体質のもとでは各国のインフレだけを加速するおそれがあるという、日本のいまやっていることについて否定的な見解をとっているようですが、経企庁長官、この点についてはどのような見解をお持ちになりますか。
  25. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 OECDの試算というものも、事務当局でつくった程度のものしか私はまだ見ておりませんが、しかし、そこにおきましても、問題点は、これからの中期的な展望は、必ずしも世界全体の経済成長は高いものではないということ、しかし同時に、これをもう少し高くしたいというのにはどんな方法があるかということが、今度のまた議題になると私は思っておるわけでございますが、そうしたものに比べますと、日本の中期計画におきましては大体六%弱、五%台でございますが、そうした成長をやるということは異常に高い成長率であります。特にこうしたことをしなければならない一番根本は、やはり日本の、先ほど委員の仰せられましたように、一般大衆の生活水準、そうしたものをもっと大きく上げていくということや、また日本においての五千七百万人もの就業者を何とかして維持をしていくというようなことのためには、逆算しますとやはりある程度経済成長を高目にしていかなければならないという結論にわれわれは立っておるわけでございます。  しかし現実の問題として、御承知のように非常に財政の不均衡がすでに起こっておりますから、必ずしも年々計画どおりの形で進むものではないといたしましても、やはり中期展望の中で日本の社会が、先ほど来御指摘にありましたようにもっと住みよい、そしてまた政府の施策というものが国民の生活のそばにどんどんと来るような、生活関連の設備投資というものを政府は主導的に行っていって、七年後にはいまよりもさらにいい社会をつくろう、同時にまた、非常に高齢化社会も急速に進んでおります、こうしたもの等々を含めてよりよい状態をつくろうというのが七カ年計画の基本でございまして、私は、多少その辺において世界的に見た成長率が日本が異常に高いということ、そしてまたある場合に日本が今日までなしてきましたいわゆるスペンディングポリシーと申しましょうか、財政支出によって景気を維持していくというそうしたやり方の限界をわれわれも感じておるところでありまして、今後はやはり民間の活力とか民間の指導力によって日本の経済の発展を維持する、そうした方向を最も重要な柱として考えて、大体のラインといたしましてはやや高目の成長を維持してまいろう、そのように考えておるところでございます。  ただ一言申し上げたいことは、昨今の石油事情は、今年の計画に対しましても、あるいはまた将来の七年計画に対しましても、いろいろな意味で、価格そしてまた数量、いろいろな不安定要素が感じられるわけでございますが、しかしそうしたことをやはり国民的な努力、そして政府自体の努力等によって何とか消化しながら目標を達成してまいりたい、そのような考え方を持っておるわけでございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 それでは時間がありませんからアルコール専売の問題をちょっとお尋ねしたいのですが、その前に、通産大臣はIEA会議から帰国されて総理大臣にお会いになったわけですね。そして五%節約の徹底を政府や民間企業だけではなくて、国民レベルで幅広く実行する必要があるというように進言をなさった。総理も、具体策をまとめて直ちに実行に移すことを指示したということなんですが、具体策はまとまったのか、いまやっていることがその具体策の一つなのか、今後どう進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか、時間の関係がありますから、簡潔にお答え願いたい。
  27. 江崎真澄

    江崎国務大臣 具体的にはいままですでに発表しましたように、冷暖房温度の調節とかマイカーの自粛とかあるいはガソリンスタンドの休日の休業あるいは電力部門における燃料転換、いろいろな措置を打ち出しておりますが、一体五%節約、千五百万キロリットルが本当に達成できるのかと言われるならば、まことにじくじたるものが私どもあります。実は今朝の閣議後におきましても総理と話し合いをいたしまして、とにかく来週中にあらゆる節約方途を全部一遍りストアップしてみます。そして実行できるものからあらゆる機関を通じて国民的レベルで協力をしてもらえるような措置をとりましょう。特にきょう閣議で発言をいたしまして、自治大臣に対しても、全国知事会を初め地方自治体六団体ございますが、こういった面の積極協力を得る、そして官公庁が率先模範を示すということでありませんと、国民協力というものはなかなか実効が上がりません。そういうことで着々進めておるわけでありまするが、どうもIEAに参りましても、閣僚理事会に集まった者は石油危機というものをお互いに認識しておるが、まだ国民的レベルでは十分認識が行き届いていないのではないか、これは数カ国から率直な発言がございました。もうPRの時代ではなくて実行の時代だというのにまことに遺憾である、言われてみるというと日本もまさにそのとおりでありまするので、来週中にはもう一歩進める具体策を明らかにして、また御報告できるようにいたしたいと思います。御協力をお願いいたします。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 通産省は主要企業のアンケート調査をおやりになって、八五%節約の目標を達成をしたとずいぶんほめていらっしゃるのだけれども、これはこういうようにいたしますという節約目標を持っているというにすぎないのでしょう。実際にこれだけ節約をしたという実績ではないのでしょう。この点いかがですか。
  29. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 あの調査は百社程度に電話で聞き取り調査をやりまして、この節約方針についてどれぐらい知っておるか、それから暖冷房等につきまして、ことしの夏の冷房はどういう実施計画であるかというようなことを聞き取りまして、それがおおむね平均してみますと八五%程度であるということでございまして、先生のおっしゃるとおり実績ではなくて、これからやろうということの聞き取りでございます。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 計画のないよりは、計画を立ててやる姿勢を明らかにしたということは、これはほめてやってもよろしいだろうが、現実にはそんなに甘いものじゃない。とにかく高層ビルなんか見てごらんなさい。全館ごうごうと夜遅くまで電灯をつけているのだな。ああいうことが必要があるだろうかという感じを私は持つ。それから大臣お答えになったように、PRの時代じゃない、これはもうどう実行するか、どう実行させるかという段階だろうと私と思う。そこで、アメリカの大統領はガソリンスタンドの給油に番号で制限を拡大する権限を州知事に付与した、こういうことなんですが、日本の場合も、これは石油配給切符なんというものの印刷までされて、なまやさしいことじゃないということで、相当強制的なやり方をしなければならぬというような決意をお持ちになっておられたのだろうと思うのでありますけれども、いかがですか、総需要管理といったようなもの、そういうものの必要はお感じになっていらっしゃらないのですか。
  31. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在の段階ではまだそこまではいかがであろうか。日本国民も愚かな国民ではありませんので、十分ひとつ協力を求めて、そこまでいかないようにしたいと実は考えておるわけです。しかし、買いだめとか売り惜しみとか、また便乗値上げとか、そういったことが顕著になってまいりますと、やはりそれも考えなくちゃならぬのではないか。しかし、そういう場合にまた憂慮されまするのは、やみ切符が横行するということだってすぐ予測されます。ですから、力の強制ということよりも、いまわれわれが念じておりまするのは、今度東京サミットが行われまするにつけても、その参加国の中で一番エネルギー事情の貧困なのはわが国であるということを国民自身が自覚をして、そして節約に全面協力をしてくれる。答弁が長くなって恐縮ですが、この前の石油ショック以来、先ほど申し上げましたように高度成長時代の生産のピークよりも上回った今日の事態においても、各生産会社等においては、価格メカニズムといいますか、市場メカニズムと言った方が正しいかもしれませんが、これが作用して石油の消費量は横ばいであるということ、こういうことを考えますと、もうちょっと国民の節約意識を高める必要があるのではないか。特に小中学校などに対しても具体的にもう呼びかけて節約を実行に移していく段階だということで、文部大臣にも協力要請をしておるような次第でございます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 IEAの五%節約の申し合わせだけではなくて、もう現実に石油の輸入難ということから備蓄の放出をしなければならぬというようなこと、年間を通ずると二千万キロリットルぐらいは不足するのじゃないかという見通し等もあるようなんです。それらを見越して私は石油製品の仮需要なんというものが起こってきていると思う。今日のどこまで上がるのかわからないような、国民生活を圧迫する灯油値上げガソリン値上げその他石油製品値上げなんというような現象が起こってきている。してみると、この節約という問題は、価格を安定をさせるという点から言っても不可欠な問題だから、それこそ非常の決意をもって対処していくということでないといけないのだろうというように私は思う。  それから、いままで通産省は、ガソリンとかあるいはプロパンとか灯油などの値下がりに対して、標準価格制度をもって高価格安定という形をとってきたことがある。おかしいじゃないかということで批判をしてきたこともあるのですが、今度は、値上がりを抑えるために、かつて値下げの際に標準価格制度等をおとりになったようなことをやらなければならないといったようなことをいまお考えになっているわけじゃありませんか。
  33. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように石油業法の中で標準額の規定がございまして、石油の安定供給に支障を及ぼすような異常な価格形成が行われた場合には、暴騰の場合にもあるいは暴落の場合にもこれを設定し得ることになっております。  先般、一番期近に行いました標準額の設定は、先生御指摘のような観点から、むしろ異常な状態でわが国の石油精製あるいは元売り業の安定供給の基礎を危うくするおそれがあるという観点から標準額を設定をいたしました。もちろん国民経済に異常な影響を与えるような暴騰の価格形成が行われる場合におきましても、石油業法の標準額の設定あるいは国民生活安定緊急措置法による価格介入あるいは価格設定といったことも可能でございますし、事態の推移を勘案しながらこれらの措置を適切にとっていくことが必要であろうと思います。しかし、これは事態を正確に把握しながら、時期を誤らないように運用すべきであって、いたずらに危機感をあおりますと先生御指摘のような異常な社会心理を惹起いたしまして、このような状態になりました場合には標準額の設定あるいは安定緊急措置法等のみによって律し得るものではございませんので、すべての状況を判断し、政策の整合性を保ちながら、必要な場合にはそれらの措置をとることも必要だろうと考えております。現時点では、現在私どもの行っております、監視制によって元売り段階での価格をわれわれとしてチェックし、末端の価格動向を慎重に調査しながら事態の推移を見守ってまいりまして、必要な行政指導を行うということが最も適切な措置ではないかというように考えております。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 大臣先ほどお答えになったことなんだけれども、目に余るものがまだ放置されているのです。たとえばマージャンクラブ、朝までやっているのですよ。どこか風俗営業では、外にはそれは聞こえないかもしれぬけれども、私いかにも行っているように感じるかもしれぬけれども、残念ながら行ってはいないんだが、朝まで踊りまくってやっているそうだそうです。そんなものは放置している。かというと今度は、定期航路に対する石油カットをやって、船の運航ベースを減らす、あるいはバスの運行を減便するというそういうやり方、どう考えても通産省、あるいは運輸省の関係もあるが、話し合ってそういうことをやっているのか、全く矛盾もはなはだしい、こう申し上げたいわけです。だから本当に国民の納得するようなやり方でおやりなさい。そうしないと、いまのやり方というものは思いつき思いつきでお話にならないということを私は強く申し上げておきたいと思います。  それから同時に、エネルギー政策は最重要課題ですから、サンシャイン計画、それから代替エネルギーの研究開発、これについて強力にひとつ推進をしていく必要があるということなんです。これについてどうお考えになるのか。  それからIEAの話し合いによって石油による電源開発は今後はやらないということになったわけです。そうすると、石炭と石油の混焼ということはお認めになるのだろうと思うのでありますけれども、これらの点に対する方針をお聞かせいただきたいということと、何か通産省としては、これは仮称ですがエネルギー開発の導入促進税であるとか、あるいは代替エネルギーの研究開発を総合的に進めるための立法措置といったようなものも作業しているように伺っているわけですが、それらの点に対する一つ考え方をお聞かせいただきたい。
  35. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まさに御指摘のように、民間の協力を得るような努力はしていかなければならぬと思います。  それから代替エネルギーにつきましては、やはりこれも石油価格を抑えていくという上にも、中長期的な視点に立つならば一番効き目があることでありますから、代替エネルギーの確保、研究開発、こういったことについてもIEAでは非常に強力な議論が出ました。御指摘の石炭しかりであります。それから原子力については、スリーマイルアイランドのあの事故もありましたが、やはり安全性を確保して計画的に進めなければならないという議論、それからLNG火力と石油代替の電源開発を促進しようというような議論、そこで電源開発のためのいわゆる石油専焼から石炭へ、この問題につきましてはそう簡単な問題ではないと思います。建設中、計画中のものまで変更しろといってもなかなかそう簡単にはいかない。いまおっしゃったような混焼を奨励すること、これも大事なことだと思いますが、今後の新たな建設につきましては石油専焼の電源開発はしないということで合意を見たわけでありますから、この点などについては民間と私ども役所との合同の委員会を発足させまして、タイムラグをどうするのか、現実的な対策をどういうふうにするのか。これはよく打ち合わせの上で両者が納得できる形でエネルギー節約という方向に沿って努力をしていきたいと思います。  それから新エネルギーの開発につきましては、まさに財源不足の話はここでもしばしば言及したところであります。繰り返しませんが、国家的にも財政事情は御承知のとおりであります。しかし、どうしてもこれは新しいエネルギーの開発に向けて努力をしなければなりません。いまのガソリン税が全部道路財源に使われるということも非常な矛盾を蔵しておりますが、そうかといって、これもお互いに議員立法であれは立案しましたし、きのうも参議院で同じような御質問が出ましたときに、建設省側は建設省側で、道路整備はできておりませんので、従来どおりあの法律に基づいて所要の資金は道路整備に充当しますと言って、もちろんこれは一歩も譲りません。そういうことになりますと、受益者負担ということも考えながら、今後新エネルギー開発をどうするかという点について目下鋭意検討しておるという段階でございます。いま少し具体的になりましたら、中村さんにはぜひひとつ御相談に乗っていただきたいというふうに考えております。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく代替エネルギーの開発というものに全力を集中していくのでないと、全くスローモーというのか熱意がないというのか、火がそこへつかないと腰を上げないというような態度。そしていろいろと問題を指摘するとそれなりに弁解はなさるのだけれども、非常事態というのか、この事態に対処する強力な態度が必要だということを申し上げておきます。  次に、最後になりますが、アルコール専売事業の経営形態について、昨年公共企業体等基本問題会議の意見書が出されたことから、通産省では今後の事業のあり方について、国営工場の現状についてどうかとかあるいはその他いろいろと検討していくためにアルコール専売事業制度問題懇談会というのをおつくりになっていろいろ検討を重ね、中間的な答申というのか、取りまとめがなされたようでございますが、最終的な答申までいろいろ検討を続けていくのでございましょうが、考え方としてはどういうことでございますか。
  37. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまお示しのように、アルコール専売事業制度問題懇談会、これは経営形態などのあり方について、御承知のように学識経験者を中心に諮問をしております。今月その結論を得るということで、目下鋭意結論を急いでおられるというわけでありますが、わが省の態度いかんという点でありますが、アルコール専売事業というのは順調な経営成績をおさめておることは御承知のとおりであります。しかも工場があります地元地域とは原料の面あるいは雇用の面、非常に深いつながりを持っておりまするので、地元の各市町村や県におきましていまの体制を維持してほしい、こういう要望が私のところへも相次いで非常に強く、また、たび重なって行われておるわけであります。したがって、懇談会の意見で、国営工場の特殊会社化には問題が多く、現行の体制のもとで運営の改善を進めることが適当であるとする者が多いということは、私どももよく承知をいたしております。私としては地域社会の要望、それからいま御指摘になりましたような点を十分ひとつ考慮いたしまして、現行経営形態のもとでその改善を図っていくのが適当ではないかというのが通産省側の考え方でありますが、何せ懇談会に諮問をしておりまする以上、その懇談会の結論というものを無視するわけにもまいりません。したがいまして、懇談会の報告書というものを踏まえながら、十分よく事情を理解しつつ対処をしていきたいというふうに考えます。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 大臣お答えになりましたように、各県の議会で現状維持の決議、そのままにしてほしいということを私どももいろいろ陳情を受けているわけでございます。それから過去において、払い下げられた工場がほとんど閉鎖をされたりあるいは職員はしたがって首切りになる、地元の経済に大きな影響を及ぼすといったようなことが起こっている。私も地方議会にいました際、私の県で国営工場を民間に払い下げたようなことになったのですが、火の消えたような形になってくる現実の問題を承知をしているわけでございます。ですからいまの大臣のお考え方は、それは諮問をしているわけですから、その答申を尊重するということもあれでしょうが、現実にその工場が地元にあって、その地元側の経済安定のために必要であるということですね。そうした地元の要望というものを尊重するというような御熱意はひとつお持ちになるのだろうと思っているわけであります。私どもが特定不況産業安定臨時措置法という際に、不況産業だからといって一方的に経営者が設備の節減をやるというわけにはいかない。やはり造船産業というものは地方経済に密着しているんだから、関係市町村、都道府県知事の意見を聞くようにするあるいは労使話し合いをする、そして合意をするというようなことでなければならないということで、当商工委員会で歴史的な修正をしたということも御承知であるわけでありますが、このアルコール専売事業というものは、本当に通産省の事業の中できわめて優秀な事業であるというように私は思います。したがってこれを大切にしていくということで、特に何か改善をしなければならない点があるとするならば、基本は崩すことなく、いろいろと関係方面と話し合いをしながら、働いている労働者というものが本当に喜んで働いていくということでないといけないわけでありますから、そうした関連の業者、中小企業者その他いろいろあろうと思います。そういうものと一方的でないように話し合いをして、改善すべき点は改善をしていくということで、基本はひとつ維持していくというようなことで対処してほしいと思いますが、もう一度お答えをいただきます。
  39. 江崎真澄

    江崎国務大臣 十分御趣旨を体しまして配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  40. 橋口隆

    橋口委員長 清水勇君。
  41. 清水勇

    清水委員 私はきょう、中小企業分野法の運用をめぐる問題と、加えていま問題になっております電電公社の調達物資の交渉をめぐる問題についてお尋ねをいたします。  まず最初にずばり通産大臣にお聞きをいたしますが、分野法が制定をされて二年余になるわけでありますが、この間、この法律の運用をめぐって、主務官庁の運用上の非常に消極的な姿勢というものが目立っております。この法律は八十国会で成立を見たわけですけれども、私も本会議なりこの委員会で何回か質問をした経過がございます。     〔員長退席渡辺(三)委員長代理着席〕 特にその中で、本法の主眼は、中小企業者の事業分野をいかに確保するか、この点が貫かれなければならないし、いやしくも事を紛争処理に矮小化をすることは許されない、こういうことを指摘をいたしましたところ、当時の福田総理は、法律に調整という文字は使っているけれども、これはあくまでも中小企業者の事業分野を確保するというための調整なんだ、さような御懸念は全く無用であるといったような趣旨の御答弁がございましたし、田中通産大臣からも、大企業の進出による中小企業者に対する不当な利益侵害については、中小企業者の利益を守るためにきちっとした姿勢を貫くのだ、こういうことを重ねて指摘をされていたのであります。ところが、現実の運用を見るとそうはなっていない。何か大企業者の進出に伴う紛争が起こると、その処理を話し合いを通じてどうまとめ上げていくかというような対応に終始をしているきらいがある。これでは本法の精神というものは生かされていないのではないか。  そこでこの機会に、日ごろ中小企業の立場に立って鋭意努力をされているというふうに私は確信をしているわけでありますが、そういう立場に立つ通産大臣が、いまの私の指摘に対してどのような所見をお持ちであるか、また、今後の運用についてどのような所信をもって臨まれるか、ひとつ基本的にお答えをいただきたいと思います。
  42. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は私もまことに重要だというふうに思います。それで、これは分野法の施行以来、一般に大企業は事業計画を作成する際に、中小企業の分野調整に十分配慮をするということのためにこれができたわけですね。それからまた、分野調整問題が起こりましたときには双方が自主的解決努力をする。こういうときに、やはり大きい方が自覚をして、大きい方が譲歩をする、これが世の中の常識であろうというふうに考えるわけであります。  この法律ができましてから、よほど大企業が中小企業分野に進出をして悪影響を与えるものは少なくなったという報告は聞いておりますが、いま御質問にありまするように、必ずしも十分でない点も見受けられます。所管は通産省以外いろんな各省にわたりますが、これはやはりせっかく立法された以上は、この立法の趣旨に沿って今後とも十分活用されることを期待し、また私ども努力してまいりたいというふうに考えます。
  43. 清水勇

    清水委員 そこで重ねて大臣にもう一つだけ聞いておきたいのですが、できるだけ第四条でも言うように自主的な解決への努力をする、これはあたりまえのことと思うのです。しかし、このことは分野法制定以前の場面でも、必要に応じて幾らでも話し合いというのは行われていたわけですね。ところが、分野法制定後の、たとえば当事者間の話し合いというものの意味は、単なる紛争の処理のための話し合いというような次元でとらえるべきではない、あくまでも本法の精神を前提にして、いわゆる中小企業者の事業分野がどう確保されるか、大企業の不当な進出のもとで中小企業の利益が損なわれないようにどう調整すべきか、こういうことでなければならぬと思うのですね。ですから安易に、話し合いを通じて自主的な解決を図るために主務官庁が助力をするという発想では私は疑義を感ずるので、その点大臣はそうは思っておらないと思いますが、もう一回ひとつ所信を述べていただきたいと思います。
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御趣旨の点につきましては、法の統一的な運用を図る観点から、関係省庁とも密接な連絡をとりながら今後ともやはり法律が的確に運用されるよう、これは十分ひとつ努力をしてまいります。
  45. 清水勇

    清水委員 そこで、長官に私はちょっとお尋ねいたしますが、たとえばこれまでの運用の経過を見てみると、中小企業団体が調整等の申し出をする、その場合に主務官庁の対応は、どうも当事者間の話し合いを進め、話し合いを通じて解決を図るべきである、こういう点に的がしぼられていて、この法律の発動といいましょうか運用といいましょうか、こういうものには及び腰である、分野法はそう簡単には発動できないんだよというようなことで、逃げの態度を示す、こういうことを実は聞いておりますが、そういうことはありませんか。
  46. 左近友三郎

    ○左近政府委員 分野法で、御承知のとおり所定の手続が決められておりまして、調査申し出、調整の申し出というのがございます。したがいまして、この分野法を大いに活用するというのが分野法の当然のことながら制定の趣旨でございます。ただ、分野法を発動するにしましても、やはり第四条にも掲げられておるように、自主的な努力というものが裏になければなかなか解決しない。したがって、自主的な努力があるから分野法が要らないというのじゃなくて、分野法の円滑な運用を図るためにそういうものが裏打ちされねばいけないというふうにわれわれ理解をしております。したがいまして、この取り扱いにつきまして、もし必要な場合には分野法を発動するというのは当然のことでありまして、それを、極力分野法の発動を回避するという態度は各省庁とも持っておらないと思いますけれども、今後もその点はよく連絡してやりたいと思います。ただ、実際問題といたしまして、分野法の発動前に実際の話がつけばそれはそれでまあ結構なことでございます。しかし、それは決して申し上げますように分野法の発動を回避するという態度ではないということでございます。
  47. 清水勇

    清水委員 いまの発言でおおむねいいと思うのですけれども、しかし気になるのは、ただという以下に述べられた部分、この点にウエートがかかってしまうと、結局話し合って解決しなさいよという行政指導だけが強められてこの活用が阻害をされる、こういうことが心配なんです。だから、あくまでも前提はこれを活用する、こういう立場を貫いていただく、各省庁にもその姿勢をきちんとしてもらうということを、まず強く要請をしておきます。  次に第三条で「大企業者の責務」という規定がございます。これは本法の成立の際にも、単なる訓示規定であっては意味がないじゃないかという議論を私もしたのでありますが、当時の岸田長官はさようなことはない、このことがこの法律の中にきちっと規定をされる意味というのは社会的に非常に大きいのだ、これを新しい社会的なルールにして大企業者に責任と自覚を促して、なおこの法律が予定をしているたとえば調査から勧告に至る規定というものをセットにして実効を確保していくという、こういう意味合いのものなんだ、決して単なる訓示規定ではないのだ、こういうことを明らかにされていたのでありますが、左近長官としてはこの点どのようにごらんになっておりますか。
  48. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この第三条の規定の意味につきましては、岸田前長官が申し上げましたとおりでございまして、この第三条で言う大企業の責務ということは、むしろこの法の運用の基本的な精神でございます。したがいまして、こういうことが単に訓示的な、言ってみればただ注意をしていればいいというようなものではなくて、こういうことが基本になって今後の大企業と中小企業の関係が展開していくのだというようにわれわれは理解をしておるわけでございます。
  49. 清水勇

    清水委員 いま長官はそういうようにおっしゃられるわけでございますが、そうだとすれば、一つの実例を申し上げて所見をお尋ねしたいと思います。  たとえば愛知県で、本社が岐阜県の大垣市でしたかにあるタカケンサンシャイン、これが進出をする。その影響が非常に大きいということから、愛知県のクリーニング環同組合が衝撃を受けた経過がございますが、いま長官が言われるような本来の趣旨、そして大企業者の責務というものが大前提にあるんだとするならば、三工場も進出をさせるなどということの及ぼす中小企業者への影響といったものを考えた場合に、タカケン自身が実はこういう計画があるがどうかという程度の通知は最低限行われてしかるべきなんじゃないか。ところがこれがなされていない。なされなかった理由を問うと、分野法について愛知県で説明会が開かれた際に、そのような通知の義務があるとは聞いていない、こう言って逃げている。こんなことでは、せっかく長官が言われる第三条の意義というようなものはまるで空洞化をしてしまうのじゃないか、こう思うわけであります。過ぎたことではありますが、たとえばこういうタカケンの場合などは、やはり主務官庁が行政指導を通じてその点はきちんとさせるべきではなかったのか、いかがでしょう。
  50. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま具体的な事例を挙げてのお話でございますが、確かに大企業が新しく事業をやるときに、そういうことを十分配慮をすべきだということは当然のことだと思います。したがいまして、そういう点について事前に問題を起こさないようないろいろな配慮をする必要があるということはわれわれも考えるわけでございますが、末端のところまでそういう点の浸透がまだ行き渡らないとすればまことに遺憾なことでございますので、各主務官庁を通じまして、そういうふうな形での問題を起こさないようにまずしていくという気持ちを徹底するようにいたしたいと考えております。
  51. 清水勇

    清水委員 長官、いまおっしゃられた点について、より具体的に末端までの浸透を期するという意味で、この際通達などを出す方がベターじゃないかと感じますが、いかがでしょう。
  52. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この法律の運用に当たりまして、関係各省と絶えず密接な連絡をとっておりまして、連絡会も持っておるわけでございます。従来ともそういう指導をいたしております。ただ、いまのような御指摘もございますので、その会によく相談をいたしまして善処いたしたいと考えております。
  53. 清水勇

    清水委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。  そこで次に、第五条の調査申し出と、これに関連して第四条の、さっき話題にありました自主的努力についてお尋ねをしてみたいと思います。  調査申し出に対して、実は先ほども触れましたように、とかく主務官庁では自主的な解決を図ることが先決ではないかということでなかなか取り合ってもらえないというケースがある。あたかも第四条が義務規定でもあるかのような取り扱いをされることについては問題があるのじゃないかと私は思うのです。仮に第四条に立って話し合いをする、それを通して自主的な解決を図るにいたしましても、たとえば事前の段階といいましょうか、計画の段階では中小企業者側に大企業の進出の計画の内容や事実関係などがわかろうはずがない。ですから、第五条に基づいて調査申し出る、そして調査の結果を聞かせてもらって、雲をつかむような話ではなしに、実態に即して話し合うということであれば、自主的解決への努力というものも効果を結ぶかもしれません。ところが調査申し出をすると、いたずらにいま申し上げたような対応をされるというようなことではどうも問題がある。この点、どうお考えでしょう。
  54. 左近友三郎

    ○左近政府委員 純粋に法律的に申しましても、第四条の自主的解決努力というものは、第五条の調査の前提になっておるということではございません。つまり、自主的解決努力調査の前に置かなければいけないというふうには法律上もなっておりません。したがいまして、先生のおっしゃるとおりでございます。また、実態把握するために調査申し出というのがあるわけでございます。そういうことでございますから、そういうふうな四条の努力を前提にするということははなはだ適切でないと思いますので、この点についても法律の解釈をはっきり皆さんに徹底したいと思っておりますし、また努めておりますが、これも十分徹底させていただきたいと思います。
  55. 清水勇

    清水委員 ところで、第五条の二項に「相当の理由」という法文がございますね。これはどういう意味なのでしょうか。というのは、これまでの経過を見ると、申し出をしても相当な理由が認められないから調査できないという事例が指摘をされている。私が感ずるのは、大体調べてもみないうちに相当な理由があるとかないとかいうことがわかろうわけがない。この法案の審議の際に、前の長官は、「相当の理由」というのはどういうことかという質問に答えて、第一には、当該申し出団体が判断したとき、第二には、当該申し出団体が六条の調整申し出を適切な時点で行うために必要な大企業の進出に関する情報を、みずから収集することが困難であると判定したとき、主務大臣がそれらの経緯を判断するのだ、こう言っておられるわけなのですが、今日でもそういうふうに受けとめて間違いないでしょうか。
  56. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この「相当の理由」というものについての法的な解釈は、前長官がお答えしたのと変わりございませんが、実際問題といたしましては、ここの第一項にございますように、中小企業団体が、非常に悪影響を及ぼすと認めるときは主務大臣調査申し出をすることができるというふうになっておりますので、その申し出をする人がそういうふうに感じておるということがはっきりしておれば、これはいまの理由の一つにありますように「相当の理由」があるということになると思います。したがいまして、この「相当の理由」というところで申し出が非常に制限されることはないのではないかとわれわれは考えておるわけでございます。
  57. 清水勇

    清水委員 いまの長官の言葉にありますように、制限的な法文ではないのだということを今後十分周知を期していただきたい、要望申し上げておきます。  さて、ここで各論というと語弊がありますが、具体例に触れて少しお尋ねをしていきたいと思います。  最初に、調整申し出を受理した場合のその後の処理の基本的姿勢いかんということについて承りたいと思います。これは建設省に聞いた方がいいのでしょうが、一例を申し上げますと、三井不動産が一〇〇%出資をして設立されている三井不動産販売株式会社というのがあります。これが不動産仲介、仲買い、流通分野への進出を図る、このことをめぐって全宅連が五十二年十月に調査申し出る、翌年三月に調整の申し出を行う、こういう経過があるわけでございますが、その後建設省の対応はどうなっているのでしょうか、かいつまんでお聞きしたい。
  58. 清水達雄

    清水説明員 調整の申し立てが行われました時点で、私どもといたしましては申し出者の意思を伺ったわけでございますが、話し合いをする意思があるということでございましたので話し合いをしていただいたわけです。四回ほどやりましたけれども、結局話し合いがつきませんで、法律による調整をやってもらいたい、こういうことでございました。同時に、一時停止勧告もやってくれということでございましたが、私ども手元にある資料等でいろいろ判断をいたしたわけでございますけれども、この時点では法律に言うような中小企業者に著しい悪影響を与えるという事態であるというふうに判断できなかったものですから、一時停止勧告は行いませんでした。  しからば、法律の規定による調整勧告を行うべき事例に当たるかどうかというためには、より詳細な調査を必要とするということで、神奈川県下と東京の町田市に今度の調整申し出に係る事案と同じようなものがすでに一年前にスタートしておりましたので、その影響を把握することがこの判断を得るために手っ取り早いのではないかということで調査を実施したわけでございます。しかし、この調査の中間結果を分野調整審議会に報告したのでございますけれども、この調査結果によりますと、神奈川県なり町田市の中小業者の経営の実態というのは、三井不動産販売のそういった専属特約代理店ができてから一年経過した時点で調査をやったわけでございますけれども、取扱高は五十年から五十二年までで年率六%ほどふえております。受取手数料も七%ほどふえておりますし、収益もふえております。それから廃業業者数はずっと年を追って減ってきております。一方、新規業者の数はふえておるというふうなことでございまして、法律に言うような影響が出ているというふうに判断ができない調査結果になっておりまして、これを分野調整審議会にも報告をいたしまして、現時点では調整勧告は出せないというふうに考えているわけでございます。  全宅連といたしましては、しかし神奈川県下の調査だけではなくて、調整申し出に係る千葉とか埼玉とか、そういうところに五十三年の七月から三井の専属特約代理店がスタートしたわけでございますけれども、これがある営業実績をもってその影響が明らかになるぐらいの時点でもう一度調査をして、総合的に判断をしてもらいたいという申し出がございましたので、その時点といたしましてことしの秋以降にそういう調査を実施して、総合的に判断をしたいというふうに考えているわけでございます。
  59. 清水勇

    清水委員 いまのお答えについて二つの点で重ねてお聞きをいたしますが、一つは、五十三年三月調査申し出が行われた際、応対をされた建設省側に、三井の進出は余り影響があるとは思えない、申し出をしても勧告の対象にならないなどということになると三井を勇気づける結果になる、だから話し合いで解決を図った方がいいじゃないかといって、当事者間の話し合いを非常に強く指導をされた、こういういきさつがありますね。しかし当時の非常に深刻な不況下の状況の中で、三井不販の五十三年度の計画を見ると中数億の商いを予定をしている。これは何の影響もないなどということはおよそ考えられないのじゃないか。にもかかわらず、そういう判断をされたということはどうも腑に落ちない、どういうわけでしょうか。
  60. 清水達雄

    清水説明員 確かに先生がいまおっしゃいますような、概略そういうようなことを私全宅連に申し上げました。その根拠は、私どもそういう動きはもうずっと前からあったわけでございますので、どの程度の影響があるんだろうかということを実は調査を、免許関係の資料などを使いましてやったわけでございます。そういたしますと、三井不動産販売が持つ占有率と申しますか、シェアは一都三県における知事免許業者、これはおおむね中小業者でございますけれども、それの取扱高に対しまして、三井の調整案件に係る計画が実施されたとした場合を含めまして二%程度というふうなことでございます。それから、これは従来からやっていたものも含めての話でございますけれども、十店舗の新設によりまして増加する分というのは、取扱件数とか金額とか手数料とかによって若干差がありますけれども、〇・五ないし〇・八%というふうな推計になるものでございますので、これは組織を挙げてそういう法律に基づく調整申し出などを行った場合に、それがもし不成功に終わった場合の影響というふうなものもやはりいろいろ考えてやった方がいいのではなかろうか。これはむしろ分野法の運用の立場じゃなくて、私ども宅地建物取引業者指導等を行う立場にございますので、そういうふうな点から一つのアドバイスとしてそういうふうなことを申し上げたわけでございます。
  61. 清水勇

    清水委員 第二点に、先ほど神奈川地区などの調査を実施した、結果は報告もしてある、こう言われるわけですが、私の仄聞するところでは、このアンケート調査の回答率はわずかに一二・六%、これは非常に低い回答率だと思いますね。またその報告が行われた際に、委員の間からどうも調査目的があいまいじゃないか、調査の方法も不適当ではないかといった指摘があったようでありますが、この点は事実でしょうか。
  62. 清水達雄

    清水説明員 確かに先生おっしゃいますように、四千余のアンケート調査を行ったわけでございますけれども、回収率は非常に低くて一二・六%でございます。しかしこれは、調査は民間の機関に委託したのでございますが、その報告書では、出てまいりました、つまり回答のありました企業のたとえば資本金階層別の分布であるとかあるいは従業者の企業別分布であるとか、いろいろなそういった回答のあったサンプルの性格と、それからこれは全宅連が比較的しっかりした調査を前に行った例がございますので、それでつかまえましたおおむね全体の業者の姿というものとの比較検討を行っておりまして、この回答のあったサンプルについて、いわゆる母集団はかなり似通ったような性格になっておるという、つまり代表性についてそう問題はないというふうな分析がなされておりまして、そういう意味におきまして、回収率は非常に低かったわけでございますけれども、代表性がないかという点については、私どもはそうは考えていないわけでございます。そのことは分野調整審議会にも御報告をして、一応御了承をいただいているというふうに考えております。  それからもう一つの、調査の仕方の問題でございますが、実は私ども調査票をつくって配付するときにいろいろ考えたのですけれども、これは分野調整法に基づく処理をするための調査ですということを言った方がいいのか、つまり調査結果をゆがめないというふうな観点からいろいろ考えたのですけれども、その辺はややあいまいな形で行っております。全宅連といたしましてはそういう点も調査が不備だといいますか、そういう要素になるということで、もっと千葉、埼玉をやれということで、これにつきましては全宅連とも相談して、もうちょっと回収率が上がるような、そういった調査をしなければならないというふうに考えております。
  63. 清水勇

    清水委員 いずれにしても調査申し出が行われてから一年有余になる、最終的な処理、結論がまだ出されていない、調査も行われたけれども、建設省自身もやや調査目的があいまいであったというようなことを感じておられるなどなどで、全宅連側が要望する、たとえば首都圏のうち特に埼玉だとか千葉のように、三井不販の進出というか、営業の影響が激しいといったところの調査もこれからやるんだと言われている。できるだけ正確に実態に即してこれをやりながら、いずれにしてもこういうふうに結論の出るのが延び延びになっている間に、三井不販の進出というのは既成事実になっちゃっているわけでしょう。だから、大なり小なり中小企業者が営業の面で影響を受けていることも事実だと思うのです。この件の処理については、一つの先例になるわけですから、迅速と言いましょうか、迅速と言ったってもうここまで来ているのですけれども、今後は迅速に、しかも分野法の精神を生かした形できちっとやってもらいたい、こういうことをこの際に明確にしてもらいたいと思いますが、一言で言ってください。
  64. 清水達雄

    清水説明員 御趣旨に沿いまして努力いたしたいと思います。
  65. 清水勇

    清水委員 次に、これも同じく不動産仲買流通業のケースなんですが、去年の二月に大阪で資本金三億五千万という日本住宅流通株式会社が設立を見ている。この会社は住宅あるいは建設あるいは金融関係等々、それぞれの業界におけるトップレベルの大企業が共同出資をして設立を見ている。見方によれば大企業のダミーであると言って差し支えがないのだと思います。まず、その点どういうふうに性格を見ているのか、どこに聞けばいいのかわかりませんが、お聞かせ願いたい。
  66. 清水達雄

    清水説明員 先生おっしゃいましたように、日本住宅流通株式会社はほとんど大企業だけでつくった会社でございまして、四十一社とそれから個人八名の出資でできております。しかし、一番多額に出資をしている会社も全体の四・三%ということでございまして、したがって、非常に多数の大企業が少しずつ金を出してつくっているということで、現在のダミー規定には該当しないわけでございます。
  67. 清水勇

    清水委員 そういう見解から、大阪府の宅建業協会が建設大臣に調整の申し出をしたが、ダミーでもない、かたがた資本金で見れば大企業であるが、従業員は二十一人であるから大企業でもない、こういうことで申し出の受理を拒んでいるわけですね。確かにしゃくし定規に当てはめればそうかもしれません。だが、中小不動産業界の実態というものから見れば、これは釈迦に説法でしょうけれども、大体従業員二、三人程度でおやりになっている企業が多い。そういうときに、中古住宅の商売をやるのに二十一人の従業員を持つというのは大企業的なものであると言って差し支えないのじゃないかと思うのです。しかし、法文上そうは読み取れないからと言って門前払いをされている。  ついでですから、長官にも聞かねばならぬのですけれども、豆腐のことについても同様なケースがあるのでお尋ねしたい。これは例の神戸のタイヨー食品のことなんです。前に私この委員会で申し上げた経過もありますからはしょって言いますが、大体豆腐業というのは町の豆腐屋さんと呼ばれるように、家族でやっているか、せいぜい従業員二、三人という規模で製造しかつみずから販売をする、そういう零細性の強い業種ですね。     〔渡辺(三)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 そこへ資本金が五千万円、製造機械等の設備投資が一億五千万円、従業員が五十人、日産二万丁という能力を持った企業が進出をするということは、だれの目から見ても当該豆腐業界に重大な影響を与えることは間違いない。けれども、タイヨー食品の進出を死活問題ととらえた中小企業者が近畿農政局に調査申し出をしたところ——本当は東食のダミーなんです。しかしダミー隠しをして、ダミーではない、そういう判断に一つは立ち、また大企業でもないという立場から、これまま本法の対象になりませんよということで門前払いをしている。  私は以上の二件をとらえて、巧妙な大企業によるダミー隠しが行われていたり、実態としてこの種のものは当然当該業界では大企業と見られるべきものを、法文に照らしてそうではないという取り扱いで済ましてしまうということでは、これは分野法の精神を生かしているということにはならないのではないか、こういうふうに思わざるを得ないので、それぞれ関係機関の皆さんから所見をお聞かせいただきたいと思います。
  68. 左近友三郎

    ○左近政府委員 まず一般的な法律的な問題として申し上げたいと思いますが、大企業と中小企業の区分というのは、一般の法律として考えますと、いろいろな中小企業の関連法規にありますような中小企業の定義を援用するということが一番普遍的であるということで、そういうことをやっておるわけでございまして、法律的にはこの定義を援用せざるを得ないというふうに考えております。  それからダミー問題は、結局大企業と定義されるものが実質的に支配をする、形は中小企業であっても、実質的に支配をするというところでダミー規定を設けておるわけでございまして、それについては実質的な支配ということで、法律には幾つかの例示が載っておりますが、現実には省令でそれを定めておるわけでございます。したがいまして、これについては絶えずよく検討をいたしまして、実質的な支配というものに当たるかどうかということを十分勉強いたしたいと思っております。  現在の事態では、もう少し勉強をしてみないと現在の規定を変えるというわけにもなかなかいかないというのが現状でございますけれども、しかしまた、考えてみますと、時代も変わってまいりますし、また進出する大企業の側も、規定を見て、いまおっしゃったダミー隠しというようなことをつい考えるという事態も当然考えられますので、この点についてはわれわれとしても検討を続けさせていただきたいと考えております。  一般的な法律上の問題としてお答えをいたしました。
  69. 清水勇

    清水委員 いま長官もいみじくも言われているのですけれども、この二件について考えた場合、私はなるほど法律的な定義というのは御指摘のとおりだと思いますけれども、しかし実態に即して考えた場合、また分野法の精神に立って考えた場合、いまのような答弁だけでは済まされない。それでは中小企業者の事業分野が確保されない。不当な大企業の進出を阻止できない。あるいは大企業者と中小企業者の円満な調整もできないと断ぜざるを得ないのです。  そこで、私は、この機会に、大臣ちょっと抜けておられたから、急に大臣質問してもいけませんから長官に聞かざるを得ませんが、たとえばダミーの定義あるいは分野法上言うところの大企業者の定義といったようなものについて、実態に照らして見直してみるような必要があるんじゃないか。そうでないと、せっかく中小企業者が期待をしているこの分野法というものが、何のことはない骨抜きじゃないか、ざる法じゃないかといったような、そういう結果になってしまうのじゃないか。これでは政府なり通産当局の意図にも沿わないのじゃないか。そこで、とりわけ巧妙きわまるダミー隠し等が行われていたり、確かに従業員等の面でとらえれば大企業とは言えないという側面があるとはいうものの、大企業的な力を背景に進出をしてくるこういったものについては、中小企業者の利益をどう守るかというような立場で、これは単に運用の問題でもないと思いますから、この際法そのもののありようについて検討を加える価値があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  70. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この法律の趣旨なり目的、ねらっておるところは、先ほどからのお話のとおりでございます。したがいまして、そういう趣旨が十分発揮されるような運営が必要であるということは当然のことでございますが、その中小企業者の定義、あるいはダミーの定義というものを決めるに当たりましては、本法は御承知のとおり最後には命令まで出せるような法律でございまして、それについてやはり明確な規定がないと法律の適用の安定性という点からもまた問題が出てまいります。したがいまして、これについて相当慎重な検討を要すると思います。いろいろな事例もお聞かせ願いました。現在の時点でいますぐこの改正をするというわけにもなかなかわれわれは踏み切れませんけれども、十分いろいろな事例を見まして検討は続けていきたいというふうに考えております。  なおその過程で、仮に先ほどのように法律の適用にならないから調査申し出ができない、それではほっておくということでは、やはり行政官庁としてはいけないのじゃないかと思います。そこは行政官庁としては行政指導という手もございますから、実際の中小企業の方々の不安については、その点は十分な手を打っていただくということは各行政官庁にお願いをしたいというふうに考えております。
  71. 清水勇

    清水委員 いま長官が述べられた点に付言をして要望をしておきますが、それぞれの行政官庁の対応が必ずしも一貫性を持っておるとも思えませんけれども、たとえば法文に照らして対象になるとかならないとかという機械的な取り扱いではなしに、仮にいま言われるように分野法上の対象にならないまでも、分野法の精神に準拠をして対応していく、こういう方向を関係各省庁等にひとつ十二分に周知をしてもらう、この点はいかがでしょう。
  72. 左近友三郎

    ○左近政府委員 その点につきましては十分関係各省庁と御相談いたしまして、そういう態度で接していただくようにやってまいりたいというふうに思います。
  73. 清水勇

    清水委員 参考までに農林省に聞いておきたいのですが、その後タイヨー食品の状況について、たとえば資本金の移動があったかないか、役員の異動があったかないか、加えて生産なり販売なりについてわかっていたら聞かしてもらいたいと思います。
  74. 本田康二

    ○本田説明員 ごく最近の私ども調査でございますが、資本金につきましては、五十三年七月九日以降変更ございません。五千万でございます。  それから役員数は四名でございまして、うち二名が改選になっております。改選になりました二名につきましても、特にダミー等の問題のあるような役員ではございません。  それから生産量につきましては、能力一日二万丁ということでございますが、冬場がほぼ一万丁台ぐらい、夏場では大体五千丁ぐらいということで、現在大体一日五千丁ぐらいつくっておるというふうに聞いております。  それから従業員数は、正規の従業員四名でございまして、そのほかにパートが十五名というふうに私どもは聞いております。
  75. 清水勇

    清水委員 次に、さっきもちょっと触れた愛知のタカケンに関連をして聞いておきたいのですが、この点は結局、愛知県のクリーニング環同組合が調査申し出をする、厚生省が調査を行い、業界に通知をする、こういう経過はわかっておるわけですけれども、その後は愛知県と岐阜県とが中に立って四者会談などを何回か持つ、しかし話し合いが並行線で合意に達しそうもない。仄聞するところでは、そこで近く愛知県知事が調停案を出す、こんな動きがあるそうですね。考えてみるとこのタカケンの進出というのは、愛知県という限られた地域の問題なんです。したがって地域的な大企業の進出なんだというふうな受けとめ方ができるわけですから、本来都道府県、ここで言えば愛知県が地域経済実情に通暁をしているわけですから、本来ならば本法で調整権限でもあればその委譲を受けて調整に当たる、これが一番妥当な方法なのではないのか、こんなふうに実は私思うのです。仮に、せっかく努力をして愛知県知事が調停案を差し示されても、調整法上法的な根拠というのは何もない。したがって、示される調停案が果たして実効性を確保できるのかどうかという危惧もなしとはしない。実態的には地方行政庁がおやりになっているのだけれども、法的にはその根拠というものが確保されていない、そこに若干の危惧があるといったような多少の問題があるように思うわけでありますが、この点について厚生省並びに長官からそれぞれ所見を聞かしていただきたいと思います。
  76. 左近友三郎

    ○左近政府委員 まず一般的な問題としてお答えをいたしたいと思います。  この分野の調整の問題は、確かに御指摘のような一つの都道府県に限局する場合もないわけではございませんが、ことに製造業になってまいりますと、製品は必ずしも一つの都道府県の範囲に限局をしないという問題がございまして、やはり広域的、統一的な観点から主務官庁が判断をしなければいけないというケースが非常に多いわけでございます。また、サービス業につきましても、確かに一つ地域の問題であるということはございますけれども、その類似のケースがまたすぐに隣接の都道府県に起こってくるというケースも非常に多いわけでございます。したがいまして、この法律制定時に主務大臣の権限というものをこのようにいたしましたのは、やはりそういう事態を考えてしたわけでございます。  ただ、実際問題としていまの御指摘のように、実際のことを処理するに当たって、地域実情を非常にわかっておられる都道府県知事にいろいろな御意見も聞き、あるいはいろいろな手助けも願うということは事実上必要であろうかと思います。したがいまして、たとえばいま御心配のように都道府県知事がそういうふうな解決案を出していただいたときに、この法律の権限を盾にとって、せっかくやっていただいたものを無にするというようなことは、これは各主務大臣になさらないようにひとつわれわれも十分徹底してお願いしたいと思いますし、事実上はそういうことはあり得ないと思います。そういうふうな事実上の関係として、今後地方庁とよく連絡をとってやるということが、いま申しました考えられるケースとそれから地方庁の実際的な問題というものをうまく調和できる方法ではないかと思います。したがいまして、今後運用面において各都道府県知事と密接な連絡をとっていくということは、われわれも十分検討いたしたいと思っております。
  77. 林崇

    ○林説明員 先生からお話のございました愛知県のタカケンの進出に伴う紛争問題でございますけれども先ほどからお話も出ておりました分野調整法の関係による調査申し出、これは十一月十三日に愛知県のクリーニング環同組合から出されまして、厚生省といたしましては十一月から十二月にかけてすぐ調査をしたわけでございます。そういう形の中で十二月十四日、環同組合とそれから環衛業の所管、都道府県知事が指導監督をしている、こういう形の中でその結果を通知したわけでございます。その後愛知県のクリーニング環同からは、現在のところ調整の申し出は出ておりません。  これは、内容は詳しく申し上げますとあれですけれども、三工場の進出という形の中で、うち二工場につきましては、調査の時点ではすでにその進出が完了している、あるいは完了の直前だというような形も踏まえまして、実質上その事業規模の拡大なりあるいは拡大の時期なり、こういうものを頭に置きながら、指導監督をしている愛知県それから本社があるのが岐阜でございますので岐阜県の衛生部、こういう形が環衛業の指導の一環、こういう形の中であっせんに乗り出して、現在話し中だという形でございます。  そういう意味では、先生おっしゃるように、法的な効果というものもないわけでございますけれども、やはり自主的な解決の努力、こういう形の中で指導の一環としてやっているという形でございます。実態上の問題としてやっている、お世話をしている、こういう現状でございます。
  78. 清水勇

    清水委員 時間もだんだん、この点について詰まってきましたからはしょりますが、このほかに最近の事例では、東洋クロスのキャンバス分野への進出とか、あるいは大手信販や銀行系クレジットカード会社の、これは四国なんかで問題が起こっておるわけですけれども、進出等の問題、加えて敷島。ハンの富山への進出等々が顕著な例としてあるわけですね。  そこで、時間の関係もありますから、敷島パンにしぼってちょっと聞いておきます。  去年の十月に富山県のパン協同組合、菓子工業組合、洋菓子協会から、敷島。ハンの進出のうわさがある、こういうところから現実に名古屋にある同工場を訪ねていろいろ実情を調べてみたが、どうも進出することはもう決定的だ、こういうことがわかったので、ことしの二月二十四日にそれぞれ総会を開いて、北陸農政局に分野法に基づく調査申し出をすることを決議しようとしていた。ところがその五日前の二月十九日に北陸農政局の企業流通課の係官が二人、関係組合を訪ねて、工場の進出といってみてもその内容が明確じゃない、だから、明確にならない以上は申し出があっても受理ができません、こういうことを見解としてどういうわけか明らかにされた。そこで、パン組合等はやむなく総会での決議というものをしなかったというふうに聞いております。  現在富山県では、約八十億円のシェアがあると言われているわけですが、このうち山崎パンが約二十億、フジパンが三億を占めている。残りの五十数億というシェアの中に、敷島パンは最終的に十二億の売り上げを目標にして進出をする、こういう考え方を持っているわけでありますから、当該中小企業者約四十社という立場から見れば、これは大変な影響を受ける。にもかかわらず北陸農政局が、計画の内容が具体的にならなければ申し出をしても受理はできないなどというような対応をすることは、これははなはだ問題だと思うのです。何を根拠にそういう態度をとられたかお聞かせをいただきたい。
  79. 安達弘男

    ○安達説明員 お答えを申し上げます。  私ども、敷島パンの問題につきまして、先生御指摘のような問題があるのではないかというお話を私自身が耳にしましたのがごく最近のことでございまして、もし御指摘のようなことが行われたとすると、末端の中小企業の皆さんに非常に御迷惑をおかけしたことであろうというふうに存じまして、具体的にどういう事情の中でそういった話し合いあるいは指導が行われたのか、至急現地に照会して調査をしておるところでございます。仮にそういった問題があれば、そうした指導の誤りは是正をするというふうにいたしたいと思っております。  ただ、承知しております事実は、その前後から敷島パン側と富山県のパンの組合と話し合いが進んでおりまして、実際上かなり詰めた話し合いはなさっておられるようにも聞いております。したがいまして、そうした皆様方の努力を損なわないような方向で、仮に誤った点があればそれは是正するということにいたしたいと思います。
  80. 清水勇

    清水委員 いま課長から、もし対応に誤りがあれば是正をすると率直に言われたわけでありますから、そういう姿勢で今後臨んでいただきたいし、とりわけ敷島パンの富山進出というものの影響は非常に大きいと見られているわけですから、少なくとも分野法の精神に立脚をして農林省としても引き続き対処をしてもらう、こういうことをひとつお約束をいただきたいと思います。どうですか。
  81. 安達弘男

    ○安達説明員 あくまで現段階では仮定の問題でございますので、どういう具体的な事情の中でどういうことを話したかということをまず把握いたしたいと思います。その上で適正に対応してまいりたいと思っております。
  82. 清水勇

    清水委員 それではこの分野法の運用の問題での最後の質問になりますが、私はいままでさまざまな実例を挙げながら、中小企業者の事業分野の確保のために、中小企業者が期待をしているほどにどうも分野法が十分にその機能を発揮してきていないということを申し上げました。いろいろそうならざるを得ない原因というのはあるのでしょうけれども、私はこれはぜひ大臣にも考えていただきたいことなんですが、分野法のみならず中小企業関係の立法がたくさんあります。こうした立法の運用を考える場合に、中小企業者の立場に立ってこれが運用されているかどうかという疑問を常に持つことがあるのです。  たとえば中小企業行政というものは各省庁に広くまたがっておりますし、それがどうも一貫性を欠く要因になっている。それで、確かに中小企業庁長官以下皆さんが懸命にがんばって、中小企業者のためにということで御努力をされていることを否定はいたしません。が、しかし中小企業庁は通産省の外局にすぎない。長官は国務大臣でもないといったことから、どうも中小企業行政に関する連絡機関の域をなかなか超えられない状況にあるんじゃないか。この辺に私は一つのネックがあるように思えるわけです。  そこで、中小企業者の立場に立って行政をより効果的に高めていくということのために、あるいはいま問題にいたしました分野法の実効を確保するということのためにも、私は中小企業行政の責任体制というものかさらに明確化をされる必要がありはしないか、あるいは中小企業行政の一元化をどうやって図っていくかというような観点が特に検討されなければいけないのじゃないか、こう思わざるを得ないわけです。中小企業専任大臣とか、長官を国務大臣にするとかという議論がかねてあるわけですが、そういうことなどをも含めて、最後に江崎通産大臣の決意ある所信をお聞かせいただきたいと思います。
  83. 江崎真澄

    江崎国務大臣 中小企業庁の機能を強化しろ、これは私、大賛成です。私も赴任以来中小企業政策には興味を持っておりますし、一生懸命努力をしておるつもりであります。左近中小企業庁長官も有能な長官ということで、私は大変信頼をいたしております。もともと通産行政そのものの中に中小企業対策というものは含まれておる。たとえば金融にしましても税制にしましても、その近代化とか高度化とかいろんないまの分野調整の問題、これも大企業と中小企業との分野をどう調整するかということで、いまの通産行政全体の中で中小企業というものを重く位置づけていく、これがやはり一番大事なことだと思います。  中小企業庁を独立官庁にして大臣を置いたらいいのではないかということは、私ども政府与党の中にも非常に熱心な論者がありまして、しばしばそういう意見を拝聴することもありますが、まあ簡素にして効率的な政府形成していこうという大平内閣の方針から言うならば、通産行政の中で中小企業行政というものを強化して、しかもこれが日本の経済を支える基盤をなしておるんですから、これが強くなるということは、日本の経済力が本当に経済大国と言われても、お互いにわれわれ切実感がありませんね、蓄積も浅いですし零細企業はもうそのあたりにいっぱいあるという状況からいいまして。ですから、通産行政の重要な一環として私はやはり中小企業行政というものをしっかり位置づけていく、このことが大切だと思います。御趣旨を体して十分努力をしたいと考えます。
  84. 清水勇

    清水委員 次に、電電公社の資材調達問題についてお尋ねをいたします。  まず最初に、私は技術的なことを中心に電電側に少し聞きたいことがあります。わが国では、公衆電気通信サービス業務というものは電電公社が一元的に運用をしているわけでありますが、たとえば東京サミット参加国におけるそれぞれの企業形態はどうなっておりますか。
  85. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  公衆電気通信業務事業の運営形態は、各国によって若干の差異がございますが、おおむね申し上げますと、世界のほとんど大部分の国は国家自身が直接やっておるという国営形態でございます。中に若干電電公社と同様に公社営といいますか、公営という形態の国がございます。例外的にこれと逆に、純粋に民営でやっておりますのはアメリカとカナダという形になっております。ただいまお尋ねの東京サミット参加国ということで申しますとアメリカ及びカナダが民営ということになりまして、それ以外の国々は日本が公社営、それからイギリスが公社営でございまして、あとの国はいわゆる国営といいますか官営でございます。
  86. 清水勇

    清水委員 その辺の事情はよくわかりました。  そこで私は電電公社によるわが国での一元的なサービスの内容というものを見るとき、決してオーバーではなしに、世界最高の水準を維持している、こういうふうにとらえているわけでありますが、公社自身はどういうふうに見ておるのでしょうか。
  87. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  サービスというものをどのような尺度で図るかということによっていろいろ御意見があろうかと思いますが、たとえば電気通信サービスですと、まず第一に故障を起こさないということが非常に大事なサービスの基本であろうかと思います。この故障率という点で比べてみますと、現在電電公社の行っております電話のサービスといいますのは世界で一番よいデータを示しております。  それからそのほかにつきましては、これは見方によっていろいろ御説があろうかと思いますが、数字的にはっきりとはかりやすいものとして、故障率という点でサービスをはかりますと、先生がおっしゃいましたように、いま世界で一番いいサービスであろうかと思っております。
  88. 清水勇

    清水委員 そこでいま言われるような高いサービス度というものを維持するために、電気通信設備について非常に高い信頼度というものが当然に要求をされているのだろうと思うのです。  そこでお尋ねをしたいのは、たとえばEC諸国でも結構でありますが、つまりそうした先進国を中心に見た場合、機材の購入を競争入札で行っているという例があるでしょうか。
  89. 前田光治

    ○前田説明員 ただいまお尋ねのEC諸国につきましては、公衆電気通信事業を運営しておりますところがその設備を購入いたします際に、競争入札で行っておるという状態は実質的にはございません。  なお、非常に例外でございますが、ヨーロッパの中でスウェーデンという国は世界的に非常に例外的な状況でございまして、ここは国自身が国営の工場を持っております。その国営工場でつくれない部分のところ、わずかなものを一部競争入札で購入しておるというのが唯一の例外かと存じます。
  90. 清水勇

    清水委員 そこで米国政府は、わが国に続いて近くEC諸国に対しても電気通信設備機材の調達に当たって門戸の開放を求めるといった動きのあることを仄聞をしております。しかし、私の承知をしている限りの情報では、そういうことはEC側としては問題にならない、そういう見方から拒否反応が強いというそんな動きがあるようでありますが、これは先ほど指摘のあるような技術的な要素から言えば当然なことだと思うのですが、公社側では何か動きをキャッチされておりますか。
  91. 前田光治

    ○前田説明員 今度のガット東京ラウンドの政府調達問題のオファーにつきまして、いま先生お尋ねのEC側の状況ということでございますが、ECでは、この電気通信関係政府調達の対象から除外をするという形のオファーになっております。
  92. 清水勇

    清水委員 そうしてみると、この種の設備機材の調達というのは随意契約によるということが国際的な常識になっているというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。また、仮に競争入札に付して調達をする場合に、私は素人ですけれども、技術的にあるいは経済コストだとか先ほど御指摘のあったようなサービスの面、こういったものにどういうようなデメリットが考えられるか。簡潔で結構ですが、聞かせていただきたい。
  93. 前田光治

    ○前田説明員 まず第一点でございますが、現在世界のいわゆる先進国の中で、自国で十分な研究開発能力と製造能力を持っております国では、その国の公衆電気通信設備というものは、実質的にほとんどすべて随意契約の形で購入をしております。  それから、第二点にお尋ねの、随意契約ではなくて競争契約にした場合、技術的その他でどのような問題点があるか、デメリットがあるかというお尋ねでございますが、第一点は、競争入札で購入をいたしますと、どうしても製造国、製造会社等が当然ばらばらになりますので、機械の統一性がとれないという問題から、設備の保守でありますとか建設、設計といったような作業に統一性がとれませんで、仕事の能率が低下をする、あるいは保守サービスが万全を期し得なくして故障が多くなるといったようなサービスの低下あるいはコストの上昇という問題が生じてまいります。  それからさらに、競争契約でやってまいりますと、一たん納入しても、その次いつ買ってもらえるかということはメーカー側には全然わかりませんので、その設備の保守用部品でありますとか、増設用品というものを長期間にわたって安定供給ができるような体制を維持させることが実質上不可能になりまして、保守上長期間にわたって非常に不便を来すといった問題がございます。  それでは、標準機種をきちんと決めて、仕様書をきわめて厳密、詳細にすれば統一がとれるではないかというお話があろうかと思いますが、確かにそのようにすれば標準化がとれるわけでございますけれども、そういたしますと、仕様書を通じまして技術上のノーハウがすべて競争相手の会社にただで流れていってしまう。したがって、もともとこれを開発した会社というものが今後の研究開発意欲を失ってしまうという問題がございます。  それから、電気通信設備は、先進国にとりましてはそれぞれの国にとって特注品でございまして、すべて各国によって違った設計思想で独自に開発をされてきておりますので、その国の電気通信設備というものは他の国へそのまま持っていったのでは使い物にならないという点がございます。そういった特注品でございますので、これを競争入札で購入をいたしますと、製造する側の業者といたしましては非常に発注が不安定になる。ある時期落札で大量にとれても、次の時期にはほかの会社へ持っていかれる。そうなりますと、そのものは特注品ですのでほかへ売りようがないということで、工場の経営というものが非常に不安定になって、結局そのリスクは機械の値段にかぶせられるという結果になりますので、特注品を競争契約で買うということをいたしますと、長期的に見て非常にコストを上げることになりますし、また、それを製造する会社の経営状態というものを非常に不安定にして、ひいては供給の安定性を欠くおそれがございます。  そのほか、随意契約から競争契約ということになりますと、特に国際競争契約ということになりますと、契約上の手続に大変人員、経費、時間を要しますので、調達期間が非常に長くなるということ、それから調達にかかわる人員の増加、経費の増加というものがコストを押し上げるといったようなデメリットがございます。
  94. 清水勇

    清水委員 そこで外務省にお尋ねをいたします。  いまの私と電電側のやりとりでもわかるように、今回のガットの東京ラウンド、ここにおける電電公社の資材調達問題、この交渉の結果いかんというものは、指摘をされるようにますます重要度を増すわが国の情報産業の将来、これに非常に重要な影響を招来すると見なければならない。当然のこととして、日本の公衆電気通信産業あるいはいま申し上げた情報産業、これらの将来を期するという国家的な命題に沿うか沿わないかということとも深いかかわり合いを持っていると思うのです。  ところが、率直に言って、外務省のこれまでの交渉に臨む基本方針というものは、どうもこの辺があいまいなのじゃないか、私は理解できないのです。米国政府は、たとえば貿易収支の日本側の黒字という一時的なアンバランスの問題と、事もあろうにいま指摘がありましたような政府間調達という言い方で電気通信設備という構造問題、これを持ち出してきて、抱き合わせて無理強いをしてきているというような感じがしてならない。もともとこれは次元が違う問題を抱き合わせるという、どちらかというと米国側の横車的な発想をそこに感ずるのですけれども、それにもかかわらず外務当局は余り矛盾感じないのか、そういう米国側の方針に沿うた形で唯々諾々と交渉に臨んでおられるのじゃないか。私はその辺の真偽がわからないものですから、まず基本的に聞かせていただきたい。
  95. 羽澄光彦

    羽澄政府委員 お答えいたします。  外務省といたしましても、いま先生がおっしゃいましたような公衆電気通信の特殊性といいますか、先端産業として日本の社会及び経済に占める重要性及びアメリカとの交渉が電電及びその関連方面に及ぼすべき影響というようなものは十分認識しております。そして、アメリカとの交渉におきましても、わが国の国益を総合的に考えまして、国内に大きな影響が出ないようにということに配慮しつつ、対米経済関係の安定的発展という観点も踏まえて慎重に対処してまいる所存でございます。
  96. 清水勇

    清水委員 十分配慮していると言われるのだけれども、たとえば、率直に言いまして、黒字減らしという一時的な量の問題での譲歩ということは、これはあっていいでしょう。だが、国家百年の大計に影響するような構造的な質の問題、これでは譲ることがあってはならないのじゃないかと考えるのです。  いま国益というお話もありました。まあそういうことをわが国が主張する、そのために交渉が多少時間がかかるということがあったとしても、それは国益上やむを得ないのじゃないでしょうか。どうもストラウスさんというのは、よく言われるように恫喝外交、こういうふうに言われているわけですが、どうもストラウス流の外交に一歩後退、二歩譲歩といった印象が国民には強く映っているものですから、この辺は交渉に臨む態度というものを基本的に見直してもらいたい、こう思います。
  97. 羽澄光彦

    羽澄政府委員 先生のお話にありましたとおり、この問題はきわめてむずかしい問題でございますので、私どもとしても慎重に対処してまいりたいという考えなことは先ほど申し上げたとおりでございます。  ストラウスは明日参りまして牛場代表と政府調達の問題等につき話し合いを行いますけれども、これは今後の交渉の手順と骨組みというものについて、まず基本的な了解に達しておこうということでございまして、すぐその場ですべて合意してしまうということはわが方として考えておりません。そして、その後、手順と骨組みに沿いまして、先ほど先生から御指摘のありましたようないろいろな点も考慮しながら解決を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  98. 清水勇

    清水委員 あしたストラウスが来る、牛場さんが会って交渉する、枠組みなり手順なりを決めたい、こう言うのですけれども、たとえば、枠組みというのは何なんでしょうか。いや、待ってください。まあ電電問題で言えば、何々を開放するといったような開放の範囲も枠組みに含まれているのかどうか、あるいはこの手順というのは、たとえばどういう段取りで、いつごろまでに最終解決を図るといったプロセスを明らかにするような点まで含まれているのでしょうか。
  99. 羽澄光彦

    羽澄政府委員 御承知のとおりに、現在の政府調達問題というのは、東京ラウンドの非関税障壁の一環として交渉されておりまして、特に政府調達につきましては、その発足は、ほかのコードは八〇年一月一日でございますけれども政府調達につきましては八一年の一月一日ということになっておりまして、そのときまでに、いま関係国間の交渉を済まし、その発足のために必要な準備を整えるということになっているわけでございます。  明日ストラウスが参りましたときに、そういったコードの合意手続の中で、日米間の手順なり骨組みなりというものをどういうふうにアレンジするかということは、具体的には、ストラウスが参りまして牛場代表と話をした結果でございまして、話し合ってみなければ詰まらない点も多々ございますけれども、われわれの考えております考え方は、相互主義といいますか、そういったたてまえにのっとりまして、日米双方が満足するような解決を図るめどをつけたいということでございます。
  100. 清水勇

    清水委員 いま相互主義という話が出てきたのですけれども、たとえば、アメリカ側は政府調達物資を要求しているわけでしょう。わが国は対応するのは民間だ、そうなれば、相手に事実上保証をさせるというようなことは非常にむずかしいんじゃないかという感じがするのですよね。だから、相互主義というようなことは言い方としてわかるのですけれども、現実にはやはり片手落ちになってしまうんじゃないか。まあ、あしたストラウスとどういう話をされるのかわかりませんけれども、いずれにしても先ほど来申し上げているように、非常に事は重大な国益にかかわる内容を持っておるわけですね。しばしば、意に反するようなことを日本側が言うと、ストラウスは席を立ってしまうなんていうことを言っているようですけれども、あわてて追っかけていって、それじゃ一歩譲りましょうなどというような従来の交渉姿勢は、この際、あした以降改めていただきたい。最後にそのことを強く希望をいたします。
  101. 羽澄光彦

    羽澄政府委員 その点は、先生のおっしゃる御趣旨を体しまして十分交渉したいと思います。
  102. 清水勇

    清水委員 頼みますよ。  終わります。
  103. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  104. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤茂君。
  105. 後藤茂

    ○後藤委員 私は、きょうは金属鉱業政策にしぼりましてひとつ質問をさせていただきたいと思います。  大臣も大変お忙しいようでございますけれども、せっかく御出席でございますので、まず最初に二点ばかり御質問を申し上げまして、席を立たれても結構でございますので、私の考えを申し上げ、見解を承りたいと思うわけです。  実は大臣も御承知のように、昨年は非鉄金属関係は大変な危機の状況にありました。しかし、この委員会におきましても緊急の対策を講ずることによって、カンフル的な制度は実現をいたしました。また、景気の方も大変な乱高下の中で下落をいたしておりました非鉄金属価格が、昨年の暮れからことしにかけまして高騰を見せてきたわけです。ただ、この金属鉱業というのは、大臣も御承知のように、歴史的にこの国際商品というものは乱高下が激しい商品でございます。最近価格が上昇してきたといいましても、その背景を見ますと、景気が一時期よりも回復過程に入ってきたための需給逼迫説、これが一つございます。さらに外国為替相場に向かっておった資金が、最近はどうも非鉄に向かってきているのではないか。つまり投機相場というものが考えられているわけです。それからさらに世界的なインフレ懸念というものも出てまいっておりますので、そういうことから換物ムード説というようなものも出てきているのではないだろうか。さらにもう一つは、これは余り歓迎すべきことではないのですけれども、銅にいたしましても、鉛等にいたしましても、歴史的に戦略物資でございます。そういうことできな臭い動きも決してなくはないわけです。しかし、いずれにいたしましても、この国際商品であります非鉄金属は重要な資源でございますが、日本の国内鉱山が相次いで閉山をしている、国際商品市況の乱高下の中で閉山を強いられてきている、こういう状況にございます。この国内鉱山を何とか安定させていかなければならない。特に安全保障の観点から見ましても、ただ金があるから外国から買えばいいじゃないかという対象の資源ではないわけです。そういう意味で、国内鉱山の安定的なあり方というものを、通産行政の中においてもぜひ位置づけていただきたいということを私は考えるわけでございますけれども大臣にまずその金属鉱業のあり方につきまして、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  106. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は、いまの御意見には全く同感であります。非鉄金属資源というものはやはりわが国の重要な基礎資材、また産業としても重要な産業でありまするから、当然これを尊重しなければなりません。今度の中国のベトナム進攻というようなことなどから、銅その他の非鉄金属が非常な値上がりを見せております。その影響を最も受けやすい問題でありまして、国内供給の面においても安定的にどう供給するかということは常に心がけなければならない不可欠の問題であるというふうに考えております。  そんな観点から、政府におきましても、国内探鉱活動の推進、それから技術の開発促進、それから助成措置を含めましていろいろな対策を講じておるわけです。特に昨年度は長期にわたる非鉄金属の不況に対処いたしまして、新たに緊急融資制度を発足させたということはもうすでに御存じのとおりであります。今後とも国内鉱山の適正な存立を図っていく、そして適宜適切な措置をとっていく、きわめて重要な問題である、御質問の御趣旨には全く同感であります。
  107. 後藤茂

    ○後藤委員 いま大臣から御答弁をいただきましたように、金属鉱業のあり方につきまして各種の対策は講じていけることになったわけですけれども、しかし、それにもかかわらず石油以上に戦略資源だ、こう言われております非鉄金属に対する国民の理解あるいは通産省の姿勢も大変不十分じゃないかと私は思うのです。あるいは大臣もお読みになられたかわかりませんけれども、中央公論の六月号に「“非鉄ショック”が日本を襲う日」という大変センセーショナルな記事が出ているのです。これは毎日新聞の小邦さんという記者が書いているのですけれども、長く非鉄金属をフォローされておった記者さんのようです。その中では幾つか問題指摘があるのですけれども、特に国際金融資本あるいはいままでオイル相場に入っておりました国際石油資本、こういうところも最近は非鉄金属の相場に手を出してきている、あるいは投機対象にしてきている、こういうままで放置しておいていいんだろうかということをこの論文では指摘をしているわけです。  そこで、最近、価格大分上昇してまいりましたけれども、この際に、いままで幾つかの対策を講じておりますけれども、金属鉱業の安定のため、さらに振興のための法律なり対策というものがいまこそ必要ではないだろうか、かように考えるわけです。私は、昨年の四月でしたか本委員会質問いたしましたときに、当時の橋本長官は、金属鉱業対策の具体的な措置を詰めまして、その内容に応じて基本法と呼ぶべきかあるいは振興法と呼ぶべきか、安定法と呼ぶべきか、いずれにしてもそういう金属鉱業のための基本的な法律というものが必要になってきているのではないだろうか、なお中身は具体的に考えていきたいというような答弁をいただいているわけです。基本法をつくることは大変だと思いますけれども、数少ない国内資源の中におきましても重要な非鉄金属でございますから、それが安定的に確保されていく、そしてナショナルセキュリティーの観点からもこれを有用の具に供していくことができるというためにも、ぜひ臨時的な措置だけではなくて、基本的な法律を必要としておる段階に来ていると思いますので、大臣からこの鉱業政策の日本産業における位置づけともあわせて考え方をお伺いしておきたいと思います。
  108. 江崎真澄

    江崎国務大臣 金属鉱山基本法をつくれという問題につきましては、一つの有力な御意見として承っておきたいと思います。ただ、いままでは国内鉱山対策は、その基本を探鉱助成等に置きながら、情勢に応じて緊急融資制度の時宜に適した対策を講じるという措置をしてきております。五十四年度におきましても国内の探鉱に対する金属鉱業事業団融資の融資比率を引き上げました。それから中小鉱山が実施する新鉱床探査に対する補助金の増額もいたしました。そういった各種の措置の拡充を行ってきておりまして、これらの施策は十分とは言えないまでもそれぞれの効果は確かに上げてきておるわけでありまして、いまお説のように大事な国家的な問題でありますので、私ども鉱業の育成のためには今後とも適時適切な措置をとってまいりたいと考えております。  基本法については有力な御意見があったということでよく承っておきます。
  109. 後藤茂

    ○後藤委員 これは大臣に要望しておきたいわけですけれども、私はいつも申し上げるのですが、金属鉱山というのは一回閉山いたしますともう再開発は不可能なんです。細かくは後で長官の方にただしていきますので、お聞きだけいただきたいと思うのですけれども、海外鉱山の開発にいたしましても、ただ大学で鉱山技術を学んだだけでは海外鉱山の開発もできないのです。国内で鉱山が十分に稼働しておる、そういう中で技術なり経験なりというものを生かしていくことによって海外鉱山の開発も可能、わが国が必要といたしております非鉄金属を一〇〇%賄うわけにまいらないわけですから、当然海外から仰いでいかなければならない。しかし、その学校であります鉱山を、単に国際商品であり、国際価格の乱高下の中でつぶしていかないような措置を、いまのそういう有力な意見ということではなくて、ぜひ考えていかなければならない段階に来ていると私は思います。この前も省エネルギー法案の中で、エネルギー問題については御質問を申し上げました。これもまた一九八五年前後ぐらいから大きな谷間に入っていく。いまから代替エネルギーにもっと積極的に手をつけていかなければならぬ。同じことは金属鉱業についても言えると私は思うのです。いま労働者もわずか二万人前後になってしまっている。そんなものは金を出して外国から買えばいいじゃないかという時代ではない。ぜひこれを支えていく制度、法律、体制をつくり上げていただきますように要望申し上げておきまして、大臣、もし御都合がございましたら席を外されて結構でございます。  そこで長官にお伺いいたしたいと思います。  質問に入ります前に、最近、海外相場が上昇傾向に入ってきているわけです。先ほど大臣にもその背景については若干触れてみましたけれども、この背景は長官は一体どういうふうにごらんになっておられるか、それからまた、今後の国際的な需給見通しにつきましてどういう判断を持っておられますか、まず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  110. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 オイルショック以後の世界経済の動きを見ておりますと、数年間沈滞が続きまして、石油の場合でも昨年の前半期ぐらいまでは非常にだぶついているというような状態を呈しておったわけでございます。非鉄金属につきましても同様でありまして、石油危機以後の世界不況を反映いたしまして非鉄の市況が大変な低迷を続ける、そういうわけで、生産側では閉山あるいは生産制限をするというようなことでずっと来たわけでございますが、昨年ぐらいから世界景気が次第に上向いていく、在庫がかなりな速度で低減をしていく。ところが、そこへ先ほど先生が御指摘になりましたようないろいろな事情が需要面では重なって出てくる。石油にしろ非鉄金属にしろ需給が少し足りな目になってきますと、それが価格に非常に大きく反映するという本質的な性格を持っておりますので、ロンドン市場等は急激な値上がりを示しておるということでございます。  先行きに関しましては、これから世界経済が健全な発展を続けていくかどうかということが非常に大きな要素であろうというふうに存じますけれども、この点につきましては余り楽観的な見通しをすることはできないのではないかというふうに思っております。  最大の理由は、石油供給に非常に大きな不安要因がある。現在石油価格が狂乱に近い様相を示しておる、こういうことでございますから、この不安要因が設備投資その他に影を投げかけまして、世界経済は中長期的に見ますと余り明るい見通しを持つことはできないのではなかろうかという気がいたします。  なおまた、アメリカ経済について見ますと、先進国の中では比較的よい景気状況を続けてきたわけでございますが、もう長期間の好況局面にありましたので、近い将来アメリカ経済は下降局面に入っていくのではないかというような見通しもございます。  そういうわけで、さしあたっては、ごく短期的には非鉄金属市況は依然強調を続けるというふうに思われますけれども、それから先一体どういう展開を示すかということはきわめて不透明である。主として世界経済の動向に大きく左右されると思いますが、世界経済の動向は以上申し上げましたような主として二つの理由によりまして、余り楽観を許さないのではなかろうかというような気がいたします。
  111. 後藤茂

    ○後藤委員 私もいま長官が判断をなさっていると同じような考え方を持っておりますので、先ほど大臣にも、いまはちょっと愁眉を開いたような気持ちであるわけですけれども、こういう時期だけに基本法等の考え方を、この際ひとつじっくりと腰を落ちつけてやってもらいたいという御意見を申し上げたわけです。  いまの海外の市況に対する判断と関連をいたしまして、亜鉛もちょっと心配をしておりましたけれども、少しよくなってまいっておるようですが、四月に行われました国際鉛・亜鉛研究会の内容はどういうことであったのか、その内容に対して通産省としてはどういう判断をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
  112. 福原元一

    ○福原説明員 四月にロンドンで行われました鉛・亜鉛研究会におきます統計委員会におきまして、各国が最近の需給の見通しを持ち寄りまして集めたわけでございますが、昨年の鉛・亜鉛研究会当時の非常に悲観的な様相から一転いたしまして、各国ともことしは需要がふえるであろう、昨年の世界的な異常在庫を解消するために、努めて生産国は減産に努力しようではないかということが昨年は言われたわけでございますが、ことしは需給につきまして、鉛を含めて相当に満足すべき状態が予想されるというのが結論でございました。  わが国のことしの亜鉛の需給の見通しにつきましては、銅あるいは鉛に比べまして若干需給のバランスの回復にはおくれが見えてはおりますけれども、逐次好転しつつあるというのが現状でございます。亜鉛につきましては、五十一年度以来の備蓄制度を活用いたしまして、現在なお購入いたしました備蓄亜鉛をそのまま保有しておりますが、今後需給の動向を勘案いたしつつ、国内に過剰在庫を生じないように弾力的に検討しつつ運営をしてまいりたい、このように考えております。
  113. 後藤茂

    ○後藤委員 いま亜鉛の問題が出てまいりましたのでちょっと亜鉛と関連をいたしまして見解を承りたいわけですけれども、私が聞きましたイギリスの一九六九年の調査によりますと、さびによる経済的損失は国民総生産の三・五%を占めているというように指摘されているわけです。これをもし日本に当てはめてみますと、約七兆円くらいの損失になるのではないか。この数字が必ずしも正確であるかどうかは別にいたしまして、いずれにいたしましてもさびによる経済的損失というものは非常に大きいと思うのですね。で、この赤さびを追放するためには亜鉛というのはやはり大変大きな役割りを果たすわけですから、そういたしますと、亜鉛メッキのいまのJIS規格がどういうようになっているのか十分に承知をしていないわけですけれども、亜鉛メッキを厚くすればそれだけさびを追放していくという効果が大きいというように聞いているわけです。そういう観点からいたしますと、亜鉛鉄板等のJIS規格化、これを厚くさせていくということが一つと、もう一つは、鉄の建造物、たとえば新幹線とか架橋、本四三架橋も建設されてまいりますけれども、こういう鉄の建造物等は亜鉛引き鉄板というわけにはいうないわけですが、亜鉛メッキをしていきます設備ですね、聞いておりますと最長約十四メートルくらいのどぶづけの槽だそうですけれども、それをもう少し大きくすることによって、鉄の建造物のさびどめのための亜鉛メッキというものが可能になってくるのじゃないか。これは現在ではさびどめのペンキを塗って、さらに色ペンキを塗っているようですけれども、コストの面では最初に若干かかると思いますが、先ほど指摘をいたしましたさび公害を追放していくためには必要な経費ではないだろうか、かように考えておりますので、こういうJIS規格の見直し、それから、鉄の建造物に最初から亜鉛のメッキを義務づけるといいますか、指導していくというようなお考えをお持ちでないか、お伺いをしたいと思います。
  114. 福原元一

    ○福原説明員 鉄の腐食防止につきましては、聞くところによれば、すでに建設省を中心といたしまして、土木工事関連で亜鉛メッキによるさびを防ぐ処理について、積極的な検討が行われているというふうに私どもは聞いておりますが、通産省といたしましても、先生おっしゃいましたように、亜鉛メッキにつきましてはすでにJIS化がなされておりますが、果たして先生がおっしゃいましたように厚くすればいいのかというその辺は、省資源の問題とも絡みまして、やはり適当な技術的な水準というものがあろうかと思います。現在のところ一応そういう形でJISが定められております。  それから大型亜鉛メッキを奨励するために何らかの方策をというお話でございましたが、これは私の直接の所管ではございませんが、聞くところによれば、メッキ業界に対して、いわゆるメッキ業界というのは中小企業が非常に多いので、これを団地化する、組織化するということによって設備も大型化するというようなことを指導しておるというように聞いております。いずれにいたしましても、御指摘のように亜鉛メッキが普及するということは、亜鉛の需要が拡大することでございますので、国内鉱山を復興させるという点からも望ましいと私ども考えております。
  115. 後藤茂

    ○後藤委員 次に、昨年大変苦労していただきまして、金属鉱業緊急融資基金制度が発足をしたわけですね。しかし、この制度が発足してまだ間もないわけですけれども、どうも幾つか懸念をしている面もないわけではないのです。その一つは、融資発動価格というものを、現在では銅三十六万一千円、亜鉛十九万六千円ということで、それに関税の免税点から関税還付の金額を上積みしているわけですけれども、この融資発動価格は見直しをしていかなければならない段階にあるのではないかと私は思うのです。実は昨年もこの問題については質問をしてまいりました。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、野中委員長代理着席〕 山元コストがだんだん上がってまいりますし、この三十六万一千円、十九万六千円というところで固定的に考えていくというわけにはいかなくなるのではないかと思うのですが、この見直しの問題についてはどういうようにお考えでございましょうか。
  116. 福原元一

    ○福原説明員 非鉄金属鉱山に対します緊急融資につきましては、昨年の十二月以来本日まで約百二十九億円の融資を行ったわけでございますが、これらは昨年来の不況にあります鉱山の維持に効果があったものと私ども考えております。先生がおっしゃいましたように、価格が最近上がってきたために、近々融資の続行ができなくなるのではないか、そのためには基準価格を見直したらどうかということでございますが、本制度は昨年の秋の臨時国会におきまして全く特段の、異例の措置である、緊急避難的な措置であるということでお認めいただきました制度でございまして、基準もその際、昨年の秋全国的な調査に基づきまして決めた基準でございますので、半年たった現在、改定するということは、私といたしましてはいかがかと考えておるわけでございます。
  117. 後藤茂

    ○後藤委員 五十四年度の融資枠未消化の場合はどういうような扱いにされていくのでしょうか。
  118. 福原元一

    ○福原説明員 融資枠につきましては五十三年度九十億、五十四年度分といたしまして百三十億あるわけでございますが、今年度につきましては六月一日、きょうでございますが、約三十九億融資をしたわけでございます。残りにつきましては、さらに九月、十二月と、三回に分けまして融資をするという予定でございますが、御指摘のように、価格上昇のために基準を外れた場合にはどうするかということでございますが、基本的には価格が基準以上になった場合には融資できないということでございまして、本制度は、先ほど申し上げました緊急避難的異例の措置であると同時に、むしろ価格が好転した場合は拠出金によって再度不況が来た場合の事業資金として回転させる、これは本制度の一つの特色でございますので、その辺等も含めましてこの制度が永続するように私どもは図っていきたいと考えております。当面につきましては、銅並びに亜鉛の価格の動向というものを注視してまいりたいと思います。銅につきましても、一時非常に急テンポで上昇してまいりましたが、最近若干値戻しの傾向もございます。最近のLME価格をそのまま換算すれば四十万円ぐらいという価格にもなっております。私どもは、上る方につき下がる方につき、当分の間価格を注視してまいりたい、こういうふうに考えております。
  119. 後藤茂

    ○後藤委員 いまのことと関連いたしまして、一定水準以上に価格が上昇した場合には、その分を基金に積み立てていくということがこの制度の中身になっているようですが、昨年のこの制度発足のときに御質問申し上げたときも、拠出に対する考え方についてはこれから検討し、具体的な内容を詰めていきたい、こういうように言っておったわけですけれども、この拠出に対する考え方、具体的な内容が詰まってきているのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  120. 福原元一

    ○福原説明員 拠出に際しましての具体的な方法につきましては、現在検討を進めております。万一価格が上昇して拠出をするというような状態になった場合には拠出をしていただくということで、融資の各鉱山に対しましては最近契約を結んだところでございます。それでは具体的に幾らになったら幾ら拠出するかということは現在検討中でございます。
  121. 後藤茂

    ○後藤委員 いまの点は相当早急に検討を詰めておかなければならないのじゃないかと思うのですけれども、ただ、将来また、先ほど長官も見通しの中で触れておられましたが、やはり国際的な市況を考えてみますと、相当大幅に下落するということも考えられるわけですから、そういたしますと、全く緊急避難的なこの制度というものも、将来価格が下落していった場合に果たして支えになるのだろうかという心配を私はしているわけです。そこで価格安定のための支持価格制度等もこの非鉄金属、特に銅、亜鉛等についてはとっていかなければならぬのじゃないかと考えるわけですけれども先ほど課長はこの制度をしばらく進めてまいりたいと言っておられましたけれども、この基金制度の拡充強化、あるいはそれをさらに一歩前進させて支持価格制度、こういうようなものを考えられないかどうか、そういう検討当局の方でなさっているのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  122. 福原元一

    ○福原説明員 非鉄金属は御承知のように国際商品でございます。しかも価格の乱高下が激しいということで、価格を安定させるために支持価格等を考えたらどうかというお話だろうと思うのでございますが、反面国際商品であるがゆえに国内だけでそういう支持価格等を定めるということも非常にむずかしいわけでございます。非鉄金属の特殊性というような点を十分考慮した上で、検討しなければならない問題であろうかと私は思っております。
  123. 後藤茂

    ○後藤委員 これは要望ですけれども、基本法との関係におきましても、やはり安定計画というものが特に国内鉱山等については立てられなければならないだろう、こういうように考えますだけに、国内鉱山の安定供給を保障していくためにも支持価格制度の問題はこれから考えていかなければならない問題だろうというように考えますので、ひとつ要望しておきたいと思います。  それから次に関税の問題です。私はこの関税の問題、昨年質問いたしまして、実は福原課長からも御答弁をいただいたのですけれども、よくわからない面がありますので、もう一度聞いてみたいと思うのです。  この間、関税の特恵銅の輸入状況が発表になったわけですけれども、五十四年度はシーリング枠は千七百七十七トンというように言われておりますけれども、それの五十二倍近い九万二千三百四十トンという特恵銅の輸入が行われてきているわけです。そこで、よくわかるようにちょっと御説明いただきたいのですが、シーリング枠というものがありながら、実際に通関をしてみると五十二、三倍もの特恵銅が入ってきている。そして、それに対しては何らのペナルティーといいますか、対応策も講じられないわけですね。これは一体どういうことなのか。私は、このことに対して、昨年の御答弁でも実際よくわからなかったものですから、もう少しわかるように御説明いただきたいと思います。
  124. 福原元一

    ○福原説明員 特恵関税制度は、先生御承知のように開発途上国の工業化を促進するというために導入された制度でございまして、わが国の場合、鉱工業品につきまして特にやむを得ない品目十五品目を例外といたしまして、すべて特恵制度を採用しておるわけでございまして、さらに、特恵を与えるためにわが国の産業に重大な影響を及ぼすというものにつきましては、関税定率法によりまして各品目ごとに一定限度枠、いわゆるシーリング枠というものを設定しておるわけでございます。特恵を実施するに当たりまして、これの管理につきましては、同じく関税定率法によりまして月別の管理、日別の管理それから事前割り当て、この三つの方式があるわけでございますが、日別管理につきましては、日単位で集計される、シーリング枠までに達したならばその超えたことになった日の翌々日から停止をするということ、これも法律で決められておりますが、銅の場合は現在日別管理と、いわゆる月別管理よりもさらに厳しい管理をしておるわけでございますが、法律上翌々日ということで、四月一日に特恵枠を超えまして入ってきました輸入銅地金につきましては三日から停止をするということになっておりまして、これは現在の法律でそう定められておるわけでございまして、先生御指摘のように異常なオーバーをするということは非常に奇異の念を抱かれるのもごもっともと思いますけれども、制度上やむを得ないというように考えております。  ただ、五十四年度の場合でございますが、銅地金の輸入量が先生がおっしゃいましたように千数百トンの枠に対して九万二千トンも入ったというわけでございますが、五十四年度の輸入量は、私どもの見込みといたしまして大体二十八万トンぐらいの地金の輸入が見込まれておりますが、そのうちすでに九万二千トンが特恵制度の適用を受けまして輸入されたわけでございますが、これは、一つには地金の先高を見越しまして前倒し輸入をしたというものがかなりあるのではないかと思っております。私どもといたしましては、いまのところ年間を通じての影響はそれほどないのではないかというふうに考えております。この特恵枠をさらに厳しく適用するためには、事前割り当て方式というのがあるわけでございますが、制度を変更するにつきましてはいろいろ別途問題もございますので、それらの制度を含めまして慎重に検討してみたい、こういうふうに考えております。
  125. 後藤茂

    ○後藤委員 いま触れられました、こういうシーリング枠を特恵として設定をしているのなら、それを余り大幅に超えていくということは、どこかシーリング枠そのものに無理があるのか、それともこの制度に問題があるのか、いずれにしても大変不可解な制度だと思うのですね。したがって、世界的には銅の需給が逼迫している中で日本だけが過剰だというような事態が起こってくる、あるいは投機の対象にされてくるということになるわけですから、ぜひひとつ事前割り当て制等も検討すべき段階に来ているのではないだろうか、あるいはまた、シーリング枠を、一定の枠を決めまして、それを超えるものについてはやはりペナルティーというものをかけていくという制度も必要ではないだろうか、こういうように考えておりますので、この点はぜひひとつ、次にお伺いをするときにははっきりと御答弁がいただけるようにしていただきたいと思います。事は関税の問題にかかわってくるわけですから、大蔵省なりあるいは国際的なかかわり合いもありますから、簡単にいま申し上げたようになるとは思いませんけれども、ぜひひとつ御検討いただきたいと思います。  時間が余りございませんので、ひとつ個別の問題に触れてみたいと思うのですけれども、私は実はこの間北海道の下川鉱山に行ってみたわけです。これは銅の単味鉱山ですけれども、ここでお聞きをいたしますと、コバルトが硫化精鉱の中に〇・四%前後含まれているということなんですが、この硫化精鉱というのは、御承知のようにいま硫酸の市場というものがだぶついております。したがって、これは硫酸をつくってみても大変なコスト割れになるわけですから、硫化精鉱はすべて国内の坑内充てんあるいはダムサイトに使っているわけです。考えてみますと、〇・四%前後のコバルトを含有しております硫化精鉱が現実に賦存しているわけですから、これを何とか回収をするということは、私は、わが国の有用な資源を私たちが利用していくためにも大切なことではないかと思うのです。お聞きしますと、昭和十六年ぐらいからこのコバルトの回収については研究等も加えられておったということでございますけれども、最近どうもその研究開発等が十分に行われていないというように聞いております。現地で聞いてみますと、選鉱過程では分離不可能だけれども、しかし冶金の方でいくとできるのではないかというように聞いております。通産省としてはこのコバルト回収に対しましてこれまでどういう対策をとってこられたか、あるいはこれからどういうふうにこのコバルトの回収を考えておられるか、課長からお伺いをしておきたいと思います。
  126. 福原元一

    ○福原説明員 北海道の下川鉱山の銅鉱床の中にはコバルトが微量に含有されておりまして、現在硫化精鉱の中に〇・四%ぐらいの濃度で残っているということで、これの回収の研究が行われているということは私も承知をしておるわけでございますが、この鉱床のコバルトは、いわゆる黄鉄鉱及び磁硫鉄鉱の固溶体の形をなしておりまして、先生おっしゃいましたように選鉱過程において分離することは困難であるわけでございますが、また別途の方法をもって分離をするということにいたしましても、今日のところ経済的にこれを分離するということは非常に困難であるというふうにされております。  先生がおっしゃいましたように、同鉱山では昭和十六年ごろから本件について研究をしておったわけでございまして、これに対しまして国といたしましても、昭和三十四年、五年でございますか、工業技術院の工業化試験補助金を交付いたしましてこれを助成した経緯がございますが、成功しなかったということでございます。また、国の研究所でも、かつてこの鉱石からコバルトの分離あるいは磁硫鉄鉱それからニッケルの利用というような観点から検討したことがございますが、コバルトの品位が非常に低過ぎるということ、それから先生おっしゃいましたように、当試験場が持っております浮遊選鉱施設では分離ができなかったという経緯がございます。しかしながら、いわゆる流動的な国際資源情勢の中にあって、国内資源というものは言うまでもなく最も安定した供給源でございますので、それの有効活用を図るということは私も全く先生と同じ考えでございます。  これらの観点から、探鉱活動の促進と、加えて技術開発、有効に活用できるような技術開発を促進して、未利用資源の活用を図るということにつきましては、私どもといたしましても、今後官民上げまして努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  127. 後藤茂

    ○後藤委員 確かに硫化精鉱からの分離回収というものは非常に技術的にむずかしいということを言われておりますけれども、しかし私が調べてみますと、フィンランドではやはり同じように硫化精鉱を対象にいたしまして、コバルト品位が〇・六%ということなんですけれども、この回収が行われているわけですね。あるいは西ドイツでも硫酸焼鉱を処理して他の有価金属とともにコバルトも回収してきている。いまコバルトはトン千三百六十万円ですか、というように非常に高いから私が申し上げているんではなくて、仮に一番下落しておるときの数百万円だといたしましても、こういう大変少ない有用な資源ですから、ぜひひとつその回収のために研究投資なり技術助成なりを考えていただきたいと思います。工業技術院あるいは大学の研究室さらにはまたそれぞれの民間でもこういった研究をこれまでも手がけておったところに対して、ぜひひとつ積極的な助成を図ってこのコバルトを回収をしていく、これからも特に合金等につきましては非常に大切な資源、しかも国際的には逼迫している、こういうように言われておりますから、せっかく〇・四%前後、少ないですけれども含有しているわけですから、これを回収するための研究技術投資をひとつ来年度予算等におきましては手厚く考えていただきたい、これはぜひ要望を申し上げておきたいと思います。  それから、これも昨年私質問申し上げまして、検討するという御答弁はいただいているわけですけれども、特に原子力発電の見直しの問題だとか、あるいはIEAにおける重油火力のこれからの建設はやめろというような声も出ている中で、やはり小水力の開発のためにぜひひとつ熱心な対策を講じていただきたいわけです。とりわけ製錬所におきましては自家発電等もこれまでも建設をしてきているわけです。昨年私が申し上げました神岡の跡津発電所でしょうか、この増強工事ですね。これを進めるのについて一番頭が痛いのは開銀の融資が高いんですね。五十三年度から開銀の特別枠が設定をされているわけですけれども、何分にも金利が高いものですから、北陸電力から買った方がまだいいということにもなっているわけですけれども、これからの小水力を開発していくという観点からいたしましても、こういう自家発の設備増強に対しましては、開銀の融資金利をもっと下げるという制度はとれないものだろうかどうか。昨年もこれについて検討していただくように御答弁をいただいておりますけれども、長官からこれについてお答えをいただきたい。
  128. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 国内資源が非常に乏しいわが国といたしましては、水力資源はきわめて貴重な国内の無限資源であると思います。したがって、これの開発ということは今後とも努力を傾けていかなければならない問題であると思います。現在残っております未開発の水力資源は全くおおむねでございますが、千三百万キロワットぐらいと見られておるようでございます。これの最大の問題点は、言うまでもなくコストが著しく高いということでございます。したがいまして、利子補給等を行いまして金利をうんと低くする、補助を行えば開発ができることはよくわかっておることで、御指摘のとおりだろうと思います。問題は、そういう高コストのエネルギーを開発する場合、そのコストを国民経済の中でだれがどういう形で負担をしていくのかということに帰するかと思うのでございます。財政で負担しようという場合には、いまの財政事情から申しまして非常にむずかしい事情がございます。しかしながら、東京サミットでもエネルギーが大問題と言われておるような情勢でもございますので、今後とも石油エネルギーに対する依存度を減らすという見地からも、できるだけ小水力の開発につきましてどういう方法でそれが可能になるかということにつきましては、今後とも検討を続けさせていただきたいと思います。
  129. 後藤茂

    ○後藤委員 今後とも検討というよりも、技術的には二千万キロぐらいの小水力の開発は可能ということも言われておるわけです。それから、これは一度開発いたしますと相当長期にその資源を使うことができるわけですから、ぜひひとつ小水力開発のためには、代替エネルギー等の開発についても相当積極的に通産省としては考えていこうとする、その中にもっと大きく位置づけをいたしまして、そしてだれがどこで負担するかということが実は問題だと言っておられますけれども、小水力の開発について、とりわけ自家発等はすでに設備は持っておるわけですから、設備増強等に対しては融資の条件について特段の配慮を、政治的にはできなくはないのではないかと考えておりますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。  それから海外開発の問題ですけれども、これも長官にお伺いしたいのですが、長期不況で海外開発についてはいままで十分に手がつけられなかったと思うのです。しかしわが国は世界有数の製錬所も持っておるわけです。そういたしますと、海外鉱石の安定供給を確保していくということは何にもまして大切だろうと思うのです。その場合に財投を見てみますと、特に輸銀等の融資比率は石油については七〇%ですが、非鉄については五〇%だ。この非鉄ショックの記事の中でも、どうも通産行政石油、原子力に目が向き過ぎて、非鉄金属に対して目が届いていないという指摘があるわけですけれども石油に対して七〇%の融資比率、同じ率が非鉄金属に対してもできていいのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。長官いかがでしょうか。
  130. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 われわれも非鉄金属の海外開発の重要性は痛感しておりまして、毎年予算要求の際には石油のように条件を改善するように予算要求をして努力をいたしておるわけでございますけれども、残念ながらまだ実現するに至っておりません。今後とも努力を続けたいと思います。
  131. 後藤茂

    ○後藤委員 ぜひこれは努力をしていただきたいと思います。  最後に、坑廃水の問題につきましてお伺いをしたいと思います。  昨年は、大変むずかしい坑廃水、特に休廃止鉱山の坑廃水の処理につきまして、長期低利の融資枠をつくっていただいたわけですけれども、あのときに私も資問の中で申し上げたのですが、休廃止鉱山が、未来永劫というのはちょっと極端ですけれども、坑廃水の処理のために莫大な金を使っていかなければならない、これはいかがなものだろうかということを御指摘を申し上げました。たとえば休廃止をしてから何年、あるいは鉱業権を取得してから何年とか、幾つか物は考えられるがどうかというように御指摘を申し上げましたところが、坑廃水処理問題のための委員会がこの六月からですか、発足するやにお聞きをしているわけですけれども、その坑廃水処理問題に対するこれまでの取り組み。  それから、私がきょうお聞きをいたしたいのは、五十五年度融資からは大手に対しましては、中小はこれまでと同じように三・五%といいますけれども、大手の場合には五%、こういうことになっております。しかし、休廃止鉱山の坑廃水処理というのは、大手、中小の差をつける性格のものではないのじゃないかというのが私ども一つの問題意識です。したがって、この対策委員会等が恐らく答申をなされるのでしょうけれども、少なくとも答申を出されるまで、あるいはその中で大手、中小の枠は外す、本来ならば無利子でどうかという要求をしてきた対象のものでございますけれども、大手、中小の差を外していくということと、それから、対策委員会でこれからどういう検討をなさろうとしておられるのかを伺わしていただきたいと思います。
  132. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷政府委員 お答え申し上げます。  昨年、商工委員会の御決議をいただきまして、鋭意この問題につきまして検討をいたしました。ただいま先生がおっしゃいましたように、昨年は休廃止鉱山の坑廃水処理の処理費も低利融資の対象にしようということを決めたわけでございます。この決める過程におきまして、鉱山の特殊性、すなわち鉱山といいますのは、やめました後でも鉱内から水が出るというこの特殊事情を考慮するという、これはいま先生の御質問の中にもあったわけでございますが、まことにそのとおりでございまして、その特殊性を加味するということが一つございました。同時に、昨年の非鉄金属鉱山の不況ということの対策としての緊急性があるということで、あのような措置になったわけでございます。  ただ、この問題の検討の過程におきまして、この問題が基本的な問題を含んでおるということに気がつきました。それは、本来汚染に関しましては汚染者負担の原則というのがございます。これは、世にPPPの原則という言葉がございます。したがいまして、この汚染に関することというのは、汚染者がこれをみずから負担しなければならないという原則があるわけでございます。それからもう一つ、鉱山の汚染というものをよく分析してみますと、鉱山というのは自然汚染との兼ね合いというのが非常に大きいわけでございます。  それから第二には、鉱山というのは非常に歴史的に長く採掘されます。その間におきまして、鉱業権者が転々とするということになりますと、現在の権者の立場に立って考えました場合、それ以前の権者のなし鮮行為というのは他人汚染になるという問題があるわけでございます。したがいまして、そういう基本的な問題を総合いたしまして、どのように考えていくかということが非常に大事な問題であるということに相なるわけでございます。  そこで、このような基本的問題を検討するためには、どうしても法律学者あるいは地方自治体の方々、そういった学識経験者の御意見を聞きまして、その問題の所在というものを突きとめなければいけないということに相なりまして、立地公害局の私的諮問機関といたしましてある委員会をつくり、そこで検討をしようということで、ようやくこの六月にこの委員会を発足させるということができるようになったわけでございます。この審議は、問題のむずかしさから言いまして、一年弱はかかるのではないかというふうに考えておりまして、このような基本的な問題の検討によりまして、恒久的な対策考えていきたいというのが私どもの立場でございます。  次に、昨年とられました措置が非常に緊急避難的な措置でありましたために——従来から坑廃水処理設備につきましては低利融資の措置がとられておりました。それは先生がおっしゃっておられますように、大手については金利は五%、中小につきましては三・五%という区別が従来からあったということでございます。そこで緊急措置と申しましたのは、この処理設備のみならず、処理の運転に関するものにつきましてもその措置をとるということで、この緊急措置はおのずから中小が三・五、大手が五となるという宿命を持っておったということでございます。それでは大変困るという、今度は緊急避難的な議論がございまして、結果といたしましては、当時から一年半に限り大手、中小を含めて三・五%の金利を適用するという議論に落ちついた経緯がございます。したがいまして、現在の緊急避難措置によりますれば、五十四年度末まではその措置がとられるということに相なるわけでございます。したがって、それから後の問題と申しますのは、一応いまのたてまえが不況対策がらみの緊急措置というかっこうで物事が考えられておりますので、その辺の状況というものを加味をしながら検討をしなければならないということが現在の措置からは言えるわけでございます。  そこで、いま申し上げましたような基本的な問題の検討の結果と、そのときの情勢とを考え合わせまして、その辺のところを十分に考えていきたいというのがこの問題に対します私どもの立場でございます。
  133. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が参りましたので、要望だけにしておきたいと思います。  いまの、緊急措置で三・五%大手、中小ともとられたわけですけれども、坑廃水処理につきましては、価格の方の乱高下に対する緊急措置と少し性格は違うと思いますので、もちろん委員会を設置してこれから検討されるわけですから、早急にその結論は出していただきたいし、なお、緊急という名前でつけましたけれども、しかし、それが持っております中身というものは、これからの長期に考えていかなければならない制度ではないか、かように私は考えておりますので、そういうことを十分に踏まえて成案を得ていただきたい、このことを御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  134. 野中英二

    ○野中委員長代理 長田君。
  135. 長田武士

    ○長田委員 五月二十一、二十二日の両日にパリで開催されましたIEA閣僚理事会について、幾つかの質問をしたいと考えております。  この閣僚理事会には通産大臣出席されたわけでございますが、八〇年代のエネルギー総合戦略について種々検討が行われた。そして、最後に共同コミュニケを採択して閉幕されたわけであります。  そこで、まず初めに、採択されました共同コミュニケの主な内容、またこれに対してわが国はどのような態度、意見を持って対応されたのか、お尋ねをいたします。
  136. 江崎真澄

    江崎国務大臣 IEAの閣僚理事会におきましては、短期的にも中長期的にも世界のエネルギー情勢がきわめて厳しいものであるという共通の認識が確認されたのであります。このような情勢に対処いたしまして、IEAの加盟国は約五%の石油節約措置を徹底する。この節約措置は来年も継続する必要があるという点で完全な合意を見たわけであります。また中長期的な対応としては、各国のエネルギー政策を一層強化すべきである。特に石油代替エネルギーとしての石炭の開発、利用の拡大を図るという原則が採択をされたわけであります。原子力などにつきましても、もちろん今度のスリーマイルアイランドの事故が世界の諸国民に与えた精神的影響はきわめて大きいが、しかし、結果としては幾重にも安全がカバーされて比較的被害は少なかった。結果としては、一口に言うならば安全であった。正確なデータはもう後五カ月もしなければ出ないが、なお一層安全確立を国際的協力のもとに進めようではないか、そして石油代替エネルギーとして最も効率的な原子力エネルギーの計画推進もなお考えていこう。LNGを初め地熱であるとかその他新エネルギーなどの開発研究についても当然推進すべきであるという合意を見たわけであります。  わが国としましては、こういった厳しいエネルギー情勢に対応しまして、先進国の間の協調的な行動が何よりも大切である、このわが国の主張は共同のコミュニケにも反映をされたところでありますし、特に今後は、このエネルギーが経済的な成長率その他にも与える影響というのは非常に多い。したがって、事務者レベルの会議というものはしばしば開かれておるところでありますが、政治的な判断を要する問題も多くなってきておるので、随時必要に応じて閣僚級の理事会を開くべきであるということについてもわが方の主張が取り入れられました。  なお、産消対話、これについては賛否両論がありました。節約をせいということをOPEC諸国が言っておるにもかかわらず、事実上節約の実効というものはさまで顕著でないのではないか、ここに集まっておる閣僚級の理事の認識とそれぞれの国の国民の認識というものには相当なギャップがある。したがって、節約が完全に行われたという段階でOPECに対しないと説得力を欠く、ただOPECに協力をしてくれ、高値は困ると言うのはまだ時期尚早ではないかという意見や、それは国々によって事情が違うんだから話し合いをすべきであるという意見、いろいろ意見が対立をいたしましたが、わが国の産消対話はやはり進めるべきである、こういった主張も成文化された次第でございます。
  137. 長田武士

    ○長田委員 この共同コミュニケを見てまいりますと、冒頭に「閣僚は、短期及び長期の世界エネルギー見通しを検討」し、「エネルギー需給問題が今後とも深刻であり、強力な行動が直ちに要請されていることにつき合意した。」このようにあるわけであります。しかし、わが国のエネルギー事情について、当委員会におけるいままでの大臣の発言内容を私伺っておりますと、これほどまでに厳しい認識ではなかったように私は受けとめております。しかし、今回の共同コミュニケによりますと、きわめて厳しい見通しになっておるわけであります。  そこで、各国がこれほどまでに厳しい見通しを持っていた背景は一体何であるか、また、大臣はこの見通しについてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  138. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私自身は、このエネルギー情勢の先行きに決して楽観的な見通しをしておったものではありません。これはIEAの事務者レベルの会合において、先行きは非常にむずかしい、不安定要素が多いからエネルギーの供給は困難になる、こういう見通しはもうすでに昨年から立っておるのですね。ただ、冷静に対応をしょう。前回の石油ショックであわてて一番ばかをみたのは、本来一番尊重さるべき消費者じゃないか。その消費者である顧客がばかをみて、産油国及び石油関連業者が利得を得たというようなこの愚を繰り返してはならない、こういう取り決めがあったわけであります。したがいまして、私ども腹の中では厳しい情勢は十分認識しながら、やはりまたパニック的な状況が起こるようなことは極力避けなければならない。しかも今度の場合は、御存じのように短期的に見れば量は一時的に確保されたわけですね。イランの減産分に対しては、サウジ及び他のOPEC諸国が協力をして増産をするとかいろいろ量だけは確保できたわけです。本当に各国が節約を徹底して冷静に対処しておれば、足りないのは二百万バレル・パー・デーというのですから、それだけを節約すれば本来とんとんでいけるはずですね。それが足りないと言うと人間の心理をかき立てまして非常な高値を呼ぶ。これは冷静な対応じゃありません。だから、私どものステートメントにおいても、冷静に対応しようと言いながら、もうすでに世界的な足並みが乱れておるじゃないか、これは大きくお互いに反省しようというところを強調したわけでありまして、決して私も油断をしておるつもりはないわけであります。しかし、何といいましても、冷静に対応と言ってもこれは限界があります。今後はもっともっと具体的に、国民的レベルで節約を徹底していくことを強く要請していかなければならないというふうに考えております。
  139. 長田武士

    ○長田委員 大臣油断しているわけではないという御答弁でありますけれども、と申しますのは、私、需給見通し等を通しまして非常に先行きを心配しておる一人なんであります。この需給部会の長期エネルギー需給暫定見通し、これがございますけれども、この見通しは、種々のエネルギーの政策の上に立って、わが国のエネルギーの需給のあるべき姿というものをこのように示しておるわけであります。がしかし、今回の閣僚理事会での状況を勘案いたしてまいりますと、この見通しは石油情勢がこれほどまでに逼迫していないときのものじゃないですか。そうなりますと、当然この間は見直す必要はないという御答弁でありましたけれども、見直さなければならない事態に追い込まれてはおりませんか。
  140. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一昨年の八月、総合エネルギー調査会で策定されました長期エネルギー需給暫定見通し、これは、昭和五十年代において年率六%程度経済成長を前提としております。また、世界の石油需給の展望から、昭和六十年度において五億キロリットルを超える石油の輸入を確保することは困難であるという観点から、省エネルギーを推進するとともに、いまの原子力の開発もやる、LNGの導入も活発にする、石炭の活用についても十分配慮をしていく、こういったエネルギーの多様化を推進して石油製品の輸入も含めまして、石油の輸入量を四億三千万キロリットル程度に抑える、こういうことを目途にしておるわけであります。その変更いかん、これは暫定見通しでありまするから何もこだわるわけではありませんが、この方向というものは一応肯定されていいのではないか。しかし、今回のこういったエネルギーの不安定要因が増幅してきたということもありまするので、今後のエネルギー情勢の変化に応じまして、もとより見通しを変えるということは何も権威を損なうことでもありませんので、適時適切な対処をしていくことは必要だと思いまするが、一応現在この暫定見通しが示された方向というものは、私は間違っていないというふうに考えておるものであります。
  141. 長田武士

    ○長田委員 私は、どうしても見直しを早晩やらなくてはならない事態に追い込まれている時期であろうと考えておるわけであります。わが国の現在までのエネルギー政策の基本というのは、石油の安定供給を図りながら代替エネルギーの導入を行っていくという方針でありますが、依然として石油中心の政策には変わりはないわけですね。ところが、石油に対する見通しが厳しいという現状から考えますと、石油にかわるエネルギーの導入を速やかに行っていかなければならないわけであります。そこで、わが国の石油中心としたエネルギーの基本政策を変更する必要があるんじゃないかというふうに私は考えておるのですが、その点どうでしょうか。
  142. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その点は全く同感であります。したがって、石油にかわる代替エネルギーを活発に活用する。これは時間の関係もありますから、くどい話は差し控えますが、先ほど申し上げましたようなそれぞれの代替エネルギーの活用、そしてまた石炭の液化技術の促進あるいは核融合、これはちょっと長期的な視点に立っての研究開発でありますが、そういった新しいエネルギー開発に積極的に取り組んでいく。OPEC諸国に対して高値を抑える上から言っても、やはり代替エネルギーを活用する方途を促進していくことが重要な要素になると私は考えております。
  143. 長田武士

    ○長田委員 関連してお伺いしたいのでありますけれども、産業界は、現行の石油業法が石油供給不足の現状にそぐわないという理由から、全面的に改正すべきであるとして、同法の問題点検討しておるような動きが新聞で報道されております。そこで、通産省といたしましても、石油政策を再検討する際には、石油業法の見直しと改定を行う考えがございますかどうか。
  144. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、石油業法が制定されました時代と現在環境が一変していることは事実でございます。したがいまして、現行の石油業法につきまして、いろいろな方面から各種の御意見があるということは承知しております。ただ、これらの御意見も、その立場立場によりまして必ずしも一定ではございませんで、ある場合には相反するような御意見もございます。  私どもといたしまして、新しい状況に対処した法制が必要であるということはかねがね考えておりますが、現在の石油業法が、具体的に現時点の石油の取得、精製、供給、販売といったものを安定的に行うに際して、法律改正を行わなければどうしても支障があるような問題点が出てきておるかどうか。この点につきましては、程度の問題はございますが、いろいろ意見の分かれるところでございまして、われわれとしては現時点で、現在の業法がいまのエネルギー事情にとって非常に問題があるとは考えておりません。ただ、いかなる制度でも問題点がございますので、新しい事態に対応して常時検討はいたしております。ただ、民間の御意見も、具体的にどこをどう直すという御意見としてはあらわれておりませんし、まとまっておりませんので、広く大方の御意見は今後も伺っていきたいと考えております。
  145. 長田武士

    ○長田委員 この新聞によりますと、通産省も見直す方針である。経済界が言っておりますのは、不足の現状に合わないということですね。そういう部分的な改正というのは必要じゃないですか。
  146. 神谷和男

    ○神谷政府委員 要するに、石油が比較的たっぷりあった時代の業法と、非常にタイトになってきたときの業法とは異なるべきであろうという一般論は、私どももよくわかるのでございます。それならば、輸入の届け出計画の提出、勧告、それから精製設備の許可制、販売業者届け出制等々、現在の業法の骨格をなしておるところのどこが需給のタイトしておる実情にそぐわないのかという点については、意見が非常に漠としておりまして、必ずしも筋の通った意見がいまのところ出てきておりません。  ただ、御指摘のように、こういう状況のもとにおいて、原油供給の安定確保というのが非常に大切だということは承知しております。したがいまして、石油業法の改定あるいは他の石油関連諸法の手当て等がそのような観点から必要になった場合には、われわれとしては法改正も行うべきであろうというふうに考えておりまして、問題は、どういう措置を講じたら安定的な原油供給の確保に非常にプラスになるかという実態面からまずいろいろ考えてみたいと思って勉強しております。実態面を考えまして、その結果、この法律を改正すべきだということになれば、ちゅうちょなくいたしたいと思っております。
  147. 長田武士

    ○長田委員 石油の見通しが非常に厳しい現状になりまして、参加各国は、石油にかわる代替エネルギーの開発に力を入れる、そういう考え方のようでありますが、特に石炭開発については、石炭政策の行動原則宣言の形で採択されたわけであります。石油にかわるエネルギーといたしまして、石炭の利用を拡大する方針が特に打ち出されたと私は考えております。  わが国は、先ほど申し上げましたように、石油中心のエネルギー政策でありますから、急に石炭の利用を拡大する政策は導入できない状況にあるんじゃないかと私は考えておるわけでありますが、どのような対応策で推進していかれるのか、この点を御質問いたします。
  148. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  先生いま御指摘のとおり、急には需要拡大はなかなか困難と思います。これは一にかかって技術レベルとの関連になっております。そこで、やはり火力発電用とセメント需要を喚起するということで対処していくのが当面の対策ではないかと思います。それと並行しまして、火力発電所をやる場合に問題となりますのは、SOx、NOxの技術開発、これが若干おくれておりますが、これを早急に解決するということが当面の決め手かと思います。  中長期以降は燃料の多角化ということで、COM、油と石炭をまぜたものの燃料の開発とか、それから炉の開発では流動床燃焼炉というものの開発、それの時代が過ぎましてから、次に石炭のガス化、液化ということになるかと思います。したがって、一番最終の目的は石炭のガス化、液化になるわけでございますが、これは今後十年以降の話ということで、そういうスケジュールを追いながらわれわれは脱石油を図っていくというふうに考えております。
  149. 長田武士

    ○長田委員 石炭利用の拡大を図る共同行動をとるためには、IEA加盟国は、この会議石油専焼火力発電所の新設を原則的に禁止することを決定したわけであります。この決定に対しまして通産省はどのように対応していくのか。石炭の拡大利用を行う部門は発電所が最も大きいわけでありますが、しかし、わが国の場合、電源開発調整審議会で決定しております電源開発計画を見ましても、石炭を燃料とする火力発電所の建設計画は数えるほどしかなく、ほとんどが石油火力発電所の建設を予定しておるわけでありますが、これを認めるのかどうか。また、この計画以後は石油火力発電所の建設を認めないのかどうか、その点どうでしょうか。
  150. 豊島格

    ○豊島(格)政府委員 わが国におきましては、今後のエネルギー需給の安定を確保するため、すでにかねてより原子力、石炭火力、LNG等の石油代替の電源開発を積極的に進めていたわけでございまして、今回の理事会の決議はこのようなわが国の政策にまさに合致しているということでございます。  そこでわれわれとしましては、IEAの決議に伴いまして、わが国として、すでに建設中あるいは計画中のものを除きまして、今後石油専焼火力発電所は原則として建設しない、そういう方針で電力会社を指導していくとともに、原子力、先生御指摘の石炭火力、LNG等の石油代替電源を進めていく、その中でも特に石炭につきましてはこの際認識を改めて推進していく、このように考えております。
  151. 長田武士

    ○長田委員 計画中のものを除いて、今後電力会社は原則的に石油専焼火力発電所を建設しないように指導していく、こういう御答弁ですね。  そうなりますと、将来の電力需給はこれによって不足する心配はございませんか。
  152. 豊島格

    ○豊島(格)政府委員 先生御承知のように、総合エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通しを前提といたしまして、電気事業審議会の需給部会では、すでに六十年、六十五年にかけまして石油火力の比率を落とすということで計画が立てられておるわけでございますが、五十四年度の電気事業者の提出した施設計画におきましても、大体この線に沿って進められております。  たとえば、六十年度におきます石炭火力のキロワットは大体一千万キロワットということで考えておりますし、それからさらにLNGにつきましては電気事業審議会では六十年度大体二千七百五十万キロワットというのに対しまして、さらに積極的に進めるということで、三千四百万キロワットぐらい、むしろその計画をオーバーする。原子力につきましては若干おくれておりまして、三千三百万キロワットに対して、三千万キロワットを若干割るということでございまして、大体一年ぐらいのテンポのずれでございますが、いずれにしましても石油火力について今後ウエートを落としていくというのは、ほぼ計画どおり進んでおるわけでございます。  特に石炭火力について申し上げますと、六十年度さらに六十五年度と、先のことまで含めまして申し上げますと、電力会社の石炭火力に対する意欲は、これまでのややもすれば消極的なと見られがちな態度を一変いたしまして、非常に積極的に対応いたしておりまして、いわゆる人口集中地帯と言われます東京、関西、中部の三電力会社において、これまで石炭火力をつくるというようなことはとても考えられない事態であったわけでございますが、すでに地点の選定を含めて積極的に取り組んでおるということでございまして、いろいろと環境上の問題その他新石油代替電源につきましてはむずかしい問題はあるわけでございますが、そのような計画に従って取り組んでおるということでございますので、こういうことで進められるならば需給の安定は確保されると考えております。  なお、石油がこういう状態でございますので、確保されるか、やはり確保させねばならない、こういう意気込みでわれわれも電気事業者指導していきたい、このように考えております。
  153. 長田武士

    ○長田委員 いままで脱石炭政策をとってきたわが国のエネルギー政策からいたしますと、早期に、しかも容易に石炭火力発電所の建設を推進する状態ではちょっとないように私は思っております。しかもこの推進を図るために、海外炭の確保を初め港の整備あるいは環境問題など解決しなければならない問題が非常にたくさんございます。石炭の利用拡大のためにはこうした山積する問題をどう解決できるのか、どう解決するのか、その対応というものは一体どうお考えでしょうか。
  154. 豊島格

    ○豊島(格)政府委員 ただいま先生御指摘のように、石炭の利用というのは非常にむずかしい問題が山積しておるわけでございますが、その中で最も大きかった問題としては、御承知のように油との値段の格差でございますが、この点につきましては、最近の石油の値上がりと、それから円レートの行き過ぎたといいますか、異常な円高というものが解消される過程におきまして、すでに北海道等の山元における油炭格差というのはほとんどなくなっているということでございますし、さらに今後この状況が進めば揚げ地火力におきます油炭格差も次第に解消する。それから海外炭を見ますと、国内炭に比べて四、五千円の差がございますので、そういう面の経済性といいますか、そういう問題はかなり解決されつつある、このようにお考えいただきたいと思います。  したがいまして問題は、第一は環境問題でございまして、この環境問題につきましては、いろいろと石炭火力に対するイメージというものが、過去において非常に黒い煙を吐いてやる、それからばいじんが出るというような問題がございまして、非常にイメージが落ちているということでございました。これにつきまして、最近の公害防止設備をつけました石炭火力というのは非常にクリーンな形で運営される、むしろその辺に対する正しい理解を国民の皆様にしていただくということが先決だと思いますが、そのほか、いわゆるばいじんあるいは窒素酸化物等につきましては、いろいろな設備をすることによって解決する、この点につきましても、すでに窒素酸化物につきましては脱硝設備を実証的にやっておるような、そういう研究開発にも国としては力を入れておりますが、これにつきましては、いま一歩進めることによって石油火力並みの公害対策といいますか、そういうポリューションの量というのは解決できるのではないかということでございますが、問題は灰捨て場等の問題がございまして、この点についてはさらに検討をし、国もいろいろな角度からさらに対策を講じていくという必要があろうかと思います。  それから海外炭の問題につきましては、いわゆる既存の山からの買鉱といいますか、買鉱だけでは十分でないということで、この点につきましてはいわゆる開発参加を含めた体制を整備していく、さらにそれについては政府としても相当な助成をやっていくということでございますが、いずれにいたしましても、そういういろいろな問題を総合的に解決するために、通産省としてはこの際官民一体となってこの推進を進めるような、そういう取り組み方をしていきたい、このように考えております。
  155. 長田武士

    ○長田委員 次に石油消費節約について若干お尋ねをいたします。  通産大臣は帰国後の記者会見で、IEA閣僚理事会やその後の各国首脳との会談で、先進各国が石油節約に対して予想以上に真剣に取り組んでいることを痛感した、わが国も国民レベルに立った幅広い節約の徹底をする必要があると語ったと報道されておるわけであります。これは、政府が三月から実施しておりますところの石油の五%の節約、これでは手ぬるいのだというお考えなんでしょうか。
  156. 江崎真澄

    江崎国務大臣 三月に出しましたあの節約対策は、五%を目標にした対策であります。しからば、あの節約政策が本当に実行に移されておるのかという点になりますと、はなはだ心もとない点がなくはありません。官庁を中心に実行されておりますが、民間などにおいてはいまだしの感があります。したがって民間の協力を求めながら徹底をしたい、こういうふうに考えております。  いま、なお新たな措置をとるべきや否や、そのあたりを含めまして来週中ぐらいには何らかのひとつ成案を得たいものだということで努力中でありまするが、当面三月に出しましたあの対策を充実強化することによって、実行を図っていきたいというふうに考えます。
  157. 長田武士

    ○長田委員 資源エネルギー庁は、五月二十六日石油の消費節約について主要企業のサンプル調査の結果を明らかにしたわけでありますが、目標の八五%達成が可能だという見通しを持っておるようであります。そして現在の節約策がある程度の成果を上げていると発表しているわけでありますが、その一方では、大臣は、幅広い節約の徹底を図る必要があると発言しておるわけであります。こうしたことを聞きますと、何となく私は矛盾しているのじゃないかという感じがするのでありますけれども、どうでしょうか。
  158. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは会社などにおいては、特に大口需要者は非常な節約と合理化を進めておるわけです。これは、御承知のように前回の石油ショックでとりあえずまず価格が四倍になった。現在はもっと高くなっておる。こういったことは企業にとっては大変な脅威でありまして、これを生産品に吸収していくためにはずいぶん燃焼効率を上げたり、合理化を図ったり、節約をしたりということで努力をしておる。そういう一つのモデル的なものが八五%の統計にあらわれたと思いますが、国民のマイカー使用は相当程度あの石油ショック以後消費がふえております。それから電力の消費も各家庭を中心に四%近いやはり増量を示しておるわけであります。したがって六月一日、きょうからですが、特に休祭日についてはガソリンスタンドも休業をしてもらおうということで協力を願う。一方また、でき得れば文部省から小中学校等義務教育課程においてもエネルギーの節約ということをよく徹底してもらって、家庭においてやはり節約をしてもらう。こういった呼びかけも、ただ節約節約と言いましてもなかなか徹底いたしません。いま通産省側でもいろいろ検討をしておるところでありまするが、たとえば円高メリットによる電気料金の還元があった。だとすれば、これだけこうこう節約をされればおたくにおいては三百円の節約ができる、千円の節約ができます、もっと具体的な例示をして節約を呼びかけるという方法もあるのではなかろうかというわけで、民間の諸機関にも広く呼びかけて協力を求めていきたいというふうに考えております。  たまたま今朝も閣議において私特に発言をいたしまして、各官庁の協力は得ておりまするが、自治大臣に対して全国知事会を初めとするいわゆる六地方自治団体、こういったところにも徹底して中央官庁並みに節約をしていただくように呼びかけをしていただく、快諾を得た次第であります。
  159. 長田武士

    ○長田委員 総理は、IEAで確認した石油消費の五%節約がさらに徹底されなければならないとしまして、再三再四通産大臣に対してその具体策をまとめるよう指示をされております。そういう報道がされておるのでありますけれども通産省はこれを受けてどのような具体策をお持ちでしょうか。
  160. 江崎真澄

    江崎国務大臣 総理も非常に苦慮しておられます。今朝の閣議後実は打ち合わせをいたしました。そこで、さっきから申しておりまするのは来週中にも、今週から来週にかけて、とにかく何らかの成案を得るように、あらゆる節約方途、これはいろいろな方法もありましょうが、実行可能なものをリストアップしまして、そして関係政府機関、それから関連団体、そういったところに広く呼びかけて、PRの時代ではなく実行の時代だと言われますが、やはりPR不足ですね。IEAでもそれぞれの国々の代表から口にされた言葉に、いま閣僚理事会を開いておるメンバーはエネルギーについての危機感を持っておるが、国民レベルではさまで危機感が深く浸透していないきらいがある、したがって、もう実行の段階だというのに、われわれはどうPRするか、どう対策をするかということに実はうろうろしておるような状況だ、これでは困るといったような自問自答というか、自省の弁もしきりに聞かれたわけであります。サミットに集まりまする先進国の中で、わが国が一番エネルギー事情に恵まれていない。だとするならば、この各国の首脳を迎えたときに、わが国の節約がどういうふうに具体化されておるか、これは各国首脳ばかりじゃありません。新聞記者も千名というような単位で来日するわけですね。みんなの目にすぐ映るわけですから、やはりそれまでには相当効果の上がる節約方途を打ち出し、実行に移されなければならない、これが総理の率直な意見であります。そのとおりだと私どもも思いまして、目下通産省において鋭意検討をしておるという段階でございます。
  161. 長田武士

    ○長田委員 いま通産大臣がおっしゃいましたように、私も東京サミットはやはりそういう問題が大きな具体的な、どう施策をするかという問題になってくると思います。  そこで、来週中に何か草案をつくられるそうでありますけれども、五%を上回る、たとえば七%とか八%、そのような節約の新しい方針を出す必要性に迫られておりますか。
  162. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在は五%節約ということを本当に実行に移す、こういう方針で対処したいというふうに考えております。
  163. 長田武士

    ○長田委員 私も五%の節約はどうしても実現させなくてはならない、そう考える一人であります。私は民生用のエネルギーの節約だけでは、いままでの経過から見て、この五%節約は全体量から考えましてちょっと無理ではないか。そうなりますと、産業エネルギーについて節約のための行政指導が当然行われなければならないわけでありますが、その点お考えはどうでしょうか。
  164. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題についてはここでもしばしば議論になったところでありますが、ことしの目標は景気をどう持続させるか、持続させることによって雇用を安定させる、一方では物価の安定といった大きな三本の柱がございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりまするように、大口消費者の消費方法は非常に合理化をされておる。これはやはり価格メカニズムが大きに影響したわけですね。ですから、節約の実も上がっておる。しかし、だからといって節約を緩めてもらっては困る。大口消費者は十分節約に協力をしてもらいたい。ただ、生産に影響をするような大口の需要規制はいまのところやらないという方針を持っておるわけであります。いま直ちにその方針を変更する意図はありません。ということは、値段は高くなっておりますが、幸い一−三月、四−六月は、おおむね前年同期に比較しましてやや上回る程度の入荷が可能であったという現象もあるわけです。しかし、非需要期に積み増しをして、いよいよ需要期に入りますることしの十月以降に備えなければならない、あと七−九はどうなるのか、そのあたりもよく見きわめていかなければならぬというふうにに考えますが、現在は経済の景気回復維持という方針を変えるつもりはございません。
  165. 長田武士

    ○長田委員 私も、大臣おっしゃいましたとおり、石油の消費節約を徹底してまいりますと、経済に与える影響が非常に心配になってまいるわけであります。特にわが国の場合は、昨年ボン・サミットで七%の経済成長を公約いたしておりますし、本年度の政府経済見通しでは実質経済成長六・三%を目指すなど、高い経済成長を目標としておるわけであります。そこで、この経済成長の達成と石油の消費節約をどのように調整するかが私は最大の政治課題であろう、そのように考えておるわけでありますが、通産大臣、その点いかがでしょう。
  166. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。やはり東京サミットではエネルギーの節約をどうするかということ、それから代替エネルギーへの転換の問題、また石油の供給不足をめぐって起こる経済問題をどうとらえるのかといった問題、しかもまた、UNCTADの直後でもありまするから、エネルギー不足によるところの後進国のエネルギー供給をどうしていくのかといった問題は、重要な議題として議論せられるものというふうに思います。すべてに影響を与えるのがこのエネルギーでありまするので、エネルギー問題というものが当然サミットにおける重要議題にならざるを得ないという認識であります。
  167. 長田武士

    ○長田委員 経済成長率がある程度落ち込んでも石油の消費節約を優先させる、これの徹底を図らなければ早晩石油の供給不足を来すのではないかという心配があるわけであります。私はどうしても、経済成長率を多少落としても節約の徹底を図るべきだと考えていますが、通産大臣どうでしょうか。
  168. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その辺は非常にむずかしいところでありまして、先ほども申し上げましたように、経済の成長率は石油がだんだん高値を呼ぶことによっても足を引っ張られますね。ですから、大口需要の規制をして節約をするという場面に、節約が徹底しませんとこれは逢着することもありましょう。しかし、現在はまず内需を持続して景気を何とか引っ張っていきたいという考えを持っておるわけであります。今後の推移いかんによっては新たな政策を打ち出さなければならないこともありましょう。しかし、当面政策変更の事態には至っていないという認識でいまいるわけであります。ただ、サミットでこういった問題が相当程度議論されることは必至であろうというふうに思います。
  169. 長田武士

    ○長田委員 東京サミットでも私はこれが主要議題になってくるような感じがするのですね。そうなりますと、議長国でありますわが国といたしましては、当然この点について各国に根回しが必要ですね。その点はどうお考えでしょうか。
  170. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 もちろん当然サミットの行われる前には、議題、討議内容等につきまして打ち合わせをするということが必要でございます。そのために準備会合というのがございまして、さらにその準備会合の下に幾つかのサブグループがございまして、私はエネルギー専門家グループというものの議長をやっております。そこで、先月も箱根で会合いたしましていろいろ議論いたしましたし、今回IEAの後でパリでも会合をいたしております。しかし、そこで討議されました内容は首脳に直接報告するということになっておりまして、公開はしないという約束になっておりますので、余り申し上げられないわけではございますが、箱根でやったこととIEAでやったこととはきわめて酷似しておりまして、いまの段階ではだれが議論をいたしましても、たとえばIEAのコミュニケに書いてあるようなことがエネルギー問題の主要な関心事であるということは言えるだろうと思います。
  171. 長田武士

    ○長田委員 何か公表されないそうでありますけれども、東京サミットでは各国五%節約の具体的な実施対策のリストを発表するような、そういう具体的な問題は出ますか。
  172. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま天谷エネルギー庁長官が申しましたように、エネルギー問題の議長をしておってもらいまするので、答弁に立ってもらったわけですが、なるほどこれは準備会でありまして、首脳が決定することということで本題に触れなかったわけでありますが、IEAにおいてこの五%節約を来年も継続しよう、また石油危機は八〇年代の終わりと思っておったのがもっと早く、八五年ごろには来るというようないろいろな見通しが立っております。そういう点から言いますならば、こういった問題がいろいろ議論をされて、節約を徹底することについての具体的な方途なども論議をされるであろうというふうに私ども考えております。また、OPECに対しても何らかの要請といいますか、一つのまとまった見解というようなものを表明することもあり得るのではなかろうか。これはあくまで推測の問題でありまするが、そんなことなどが当然考えられるわけであります。それはいま天谷長官からも申しましたように、IEAの共同コミュニケにもそういう点が明記されております。したがって、そういったことが議論になり、また具体的になる可能性があるということを申し上げたわけであります。
  173. 長田武士

    ○長田委員 六月二十六日と二十七日にOPECの総会がありますね。この総会で大幅な原油価格引き上げが決定された場合、東京サミットでは石油消費対策のみではなくて、当面のエネルギーの対策を取り上げて、消費国の立場からOPECへの対応策を当然打ち出さなくちゃならないと私は考えるのですが、そういうことまで具体的にやられる予定ですか。
  174. 江崎真澄

    江崎国務大臣 OPECの総会の行方がどうなるかということは、現段階において軽々に予測することは困難だと思います。また、多分こうであろう、ああであろうという予測そのものは、決して消費国である日本のためにもならないというふうに思います。各産油国のプレミアムの付加状況スポット価格の高騰、国際石油市場はまことに予断を許さない状況になっておることは御承知のとおりでありますので、われわれとしては情報を十分的確にキャッチしながら正しく情勢を注視していきたいと思います。  東京サミットにおきましても、産油国との間に協調関係をどうとっていくのか、こういう議論は当然されるであろうと推測いたします。
  175. 長田武士

    ○長田委員 次に、公正取引委員会にお伺いをしたいのでありますが、きょうから揮発油税の引き上げを理由に、灯油ガソリン値上げされたわけであります。三月の石油製品値上げについて、石油業界にやみカルテル疑いがあるというので調査に乗り出したという報道がされておるわけであります。消費者としては踏んだりけったりでありますが、これは事実でしょうか。
  176. 橋口收

    橋口政府委員 いま後段でお話がございましたのは、ことしの二月から三月にかけて石油の元売り業者価格引き上げに関連して、公正取引委員会としては厳重な監視態勢をとるということを国会の各委員会お答えした問題でございます。ただ、この点に関しましてはいろいろ広範な情報を集めておったのでございますが、有効な情報が十分得られませんで、三月ごろに行われました石油元売り業者価格値上げにつきましては、事件として立件するに至っておりません。  ただ、前段にお話がございましたガソリン価格の一斉引き上げの問題に関連いたしましては、一般消費者等から数多くの情報が寄せられておったのでございまして、情報の精度、確度にいろいろ格差がございますが、精度の高いもの、また全県一円でそういう行為が行われているケースにつきましては、大分県の石油商業組合でございますが、これは五月二十五日に立件審査として立ち入り調査をいたしておるわけでございます。それ以外に、県内のある地区を限定して、あるいは市町村の区域あるいはそれ以下の区域につきまして、ガソリン価格の一斉引き上げがあるというふうな情報の提供等がございまして、これらは全部で十四件でございますが、このケースにつきましては目下任意調査の形態で予備的な調査をいたしておるわけでございまして、予備調査の結果として法律違反の疑いが濃い場合には、必要に応じて立件審査に切りかえるという態勢をとっておるわけでございます。  それから、灯油につきましてもちらほら情報の提供がございますので、これにつきましても十分情報を集め、厳重に監視態勢をとっていきたいと考えております。
  177. 長田武士

    ○長田委員 新聞報道によりますと、全国十五地区石油商業組合、それから販売業者などを一斉に調査したという報道であります。他の地域においても実施されている可能性が強いのでありますから、私は全国的に調査すべきであると考えております。この点、まず一点お尋ねをいたします。  さらに、石油元売り各社は、一月の原油値上げといままでの市況の下げ過ぎという名目でもって、二月、三月に全油種平均で一四%から一五%の値上げを行っておるわけであります。元売り段階でのやみカルテルの可能性はなかったのかどうなのか、この点いかがでしょうか。
  178. 橋口收

    橋口政府委員 情報の提供のありましたものにつきましては、その確度に応じて原則として取り上げるという姿勢でおるわけでございまして、現在、大分県を含めて十五の地区についてのガソリン価格の引き上げについて調査をいたしておるわけでございますが、さらに情報の提供等がございますれば、本局、事務所の全能力を挙げて調査をいたしたいと考えております。  それから、先ほどもちょっとお答えをいたしたわけでございますが、ことしの二月から三月にかけましての石油元売りの価格引き上げでございますが、石油連盟及び元売り十二社は、昭和四十八年における石油ショック当時の価格引き上げの共同行為に関連いたしまして、訴訟の当事者になっておるわけでございますから、万々そういう類似した共同行為を繰り返すことはあるまいということではございますが、十分監視態勢をとっておりますが、先ほども申し上げましたように有効な情報が得られないということで、今日までのところおっしゃいますようにカルテルがあったかなかったかにつきまして確認するまでいっておりません。しかしながら、われわれとしましては常に監視の態勢をとっておるわけでございまして、すでに済んだ行為でありましても措置は可能でございますから、十分留意してやってまいりたいと考えております。
  179. 長田武士

    ○長田委員 六月の末にはOPECの四月の値上げ分を石油製品価格に転嫁する動きがあると言われておるのですね。どうかやみカルテルによって価格がつり上げられるというようなことがないように、監視態勢を強化していただきたい、要望しておきます。  関連して伺いたいと思いますが、石油商業組合カルテルはこれまで再三繰り返されてきておるわけですね。私は、こういう行為を防ぐためにも事業者団体の適切な指導が必要ではないかと思っております。その意味では、さきに公正取引委員会が示しました事業者団体のガイドラインは早期に実施すべきである、そういうふうに私は考えておるわけであります。これには強い反対もあるようでありますけれども公正取引委員会の基本的な方針をお伺いしたいと思っております。
  180. 橋口收

    橋口政府委員 石油商業組合事件は、昭和四十年から今日まで実に四十七件あるわけでございまして、これはほとんど例外なしに価格に関する共同行為であるわけでございますから、体質的に価格カルテルあるいはお客の移動禁止等の措置をとる体質を持っておるわけでございまして、こういう事業者団体の行動につきましてある基準を与えたいということで、同時にまた、独占禁止法の違反を未然に防止するという効果を持っておるわけでございますから、事業者団体につきましての活動指針というものを策定したいということで、すでにその素案は一般に公開をいたしておるところでございますが、五月末までに各界の御意見をちょうだいいたしまして、また、内部の手続としましては独占禁止懇話会に二度お諮りして議論をいただいておるところでございまして、私どもの見通しといたしましては五月末の意見の集約を経て、その後作業を急ぎまして、できれば七月中には最終的な案を得たい。こういう案が確定をいたしますと、事業者団体としての活動がどういう行動であれば法律違反になるかにつきましてのいわば書かれた成文法というものができるわけでございますし、また、新しい事業者団体としての活動計画の場合には、事前に公正取引委員会に御相談いただいて承認をする、こういう道も開くことにいたしておりますので、この活動指針が成立をいたしますと、今後における事業者団体活動に伴う法律違反というものは減少するということも期待いたしておるわけでございます。
  181. 長田武士

    ○長田委員 私は、石油業界がこのような不正を行った場合、輸入原料の原価を公表するなどの強い態度を石油業界に示すべきであると考えております。そこで、こうした考えのあることを石油業界に警告しておく必要があるように思いますが、通産大臣どうでしょうか。
  182. 江崎真澄

    江崎国務大臣 すでに、適正なやむを得ざる価格アップについてはやむを得ないとしても、かりそめにも便乗値上げなどのないようにということは厳重に業界に通達をいたしておるところでありますし、今後とも通産局を含めまして監視をしてまいりたいと思っております。
  183. 長田武士

    ○長田委員 それでは時間が参りましたので、通産大臣灯油が値上がりしておりますけれども、十八リットルかんの値段はどのぐらいだとお考えですか。
  184. 神谷和男

    ○神谷政府委員 私ども通産省のモニター調査は、三月末で一応需要期も過ぎたということで打ち切っております。三月末の全国平均、大臣のところに資料がおありだそうですが、私の記憶では六百三十三円ぐらいだったと思います。ただ、六月に入りましてから元売り価格が動きますので、その後の状況についてはフォローをしてまいりたい。いわゆるモニター調査とは別にフォローしてまいりたいと思っています。
  185. 長田武士

    ○長田委員 六百三十三円、全国平均なんですね。通産大臣、きょう六月一日から値上がりしておりますけれども、大体どのくらいの価格の動きかなとお考えでしょう。
  186. 神谷和男

    ○神谷政府委員 先ほど申し上げましたように、今後の状況通産局を通じてフォローをしてまいりたいと思いますので、その段階になりまして明らかになった数字はお答えできると思います。現時点でお答えいたすといたしますと、私が計算をしてこのくらいということになりますと、それは何か特定の小売価格を私どもが示唆したようなことになりますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  187. 長田武士

    ○長田委員 では、私が具体的に電話して調べた金額を言いますから。  けさ私、五軒の販売店に電話をいたしました。調べましたところ、七百八十円から八百円の間を五軒が答えたわけであります。  このように、百円から百二十円の値上がりになっておるのですね、通産大臣。そういう意味で私は、通産大臣価格の抑制策を簡単に外したという、張本人ですな、あなたは。ここを先途とこのようにして値上げをしてくるのですよ、需要期でないのに。何か既成事実をつくっておいて、需要期に対して値上がり安定といいますか、固定化をしようというのが業界にありありと見られるのですね。需要期になれば当然価格は上がるというのは経済のメカニズムです。しかし、需要期でないときにこのような値上がりをする。やはり抑制策を解除したというのはまずかったとお思いじゃないですか。
  188. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題につきましては、長い間の問題でありまして、需要期については私ども行政的なある程度指導をしていくということでまいりましたが、やはり不当に安いためにこの需要が急速に伸びておったことは御存じのとおりであります。しかも、そういうことになりますと、非需要期まで待って、そこで非常な需要がなお続いていくというような形になりますと、ことしのまた秋以降の需要期において今度は供給されないというようなことになっても、これは通産省として所管省として困るわけであります。したがって、市場において適正な価格が保たれるようにしながら、やはり中間留分の灯油等が正常に、安定的に供給される、こういうことを配慮しますと、今日までの抑制策というものはいかがであろうか。むしろ安定供給のためにはこうせざるを得なかったのではなかろうかという判断に立ってああいう措置に出たわけでありまするので、これは私、十分責任を持って今後対処していきたいというふうに考えております。
  189. 長田武士

    ○長田委員 以上で終わります。
  190. 野中英二

    ○野中委員長代理 工藤晃君。
  191. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私は、きょうは、公害対策と輸入問題にかかわることで質問したいと思います。  最初に、やはり通産省の方に伺いたいわけですか、有害物質——公害物質ですね、これの含まれる化学製品の製造または輸入について、通産省はどのような規制をしているのか、この問題について簡単にお答えいただきたいと思います。
  192. 大永勇作

    ○大永政府委員 化学物質審査規制法がございまして、化学物質につきましては、その蓄積性、濃縮性等に着目いたしまして、難分解性あるいは蓄積性等の特有の性質を備えた物質につきましては、特定化学物質ということで指定をいたしまして、PCB等がこれに当たるわけでありますが、この指定をいたしますと、製造とか輸入についての規制ができるという形になっております。
  193. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ところで、この法律によりますと、「化学反応を起こさせることにより得られる化合物」ということなので、元素は対象にならない。いま政令で指定されているのはPCBだけですか。まあそういうことですね。  そうしますと、いろいろ問題のあります公害物質であるカドミウムや水銀など有毒物質、公害物質を含有する化学製品の製造、輸入、使用規制に関する法律として何があるだろうかということですが、これは農林省主管では肥料取締法がありますね。厚生省主管では薬事法があって、それからあと厚生省関係で、これは家庭用品に係る、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律というのがたしかあるわけです。  そうすると、仮に新製品が輸入されてきますね。新しい製品が外国から輸入されてくる。そのとき、その新製品の売り込みとして、これは肥料ではありません、薬品でもありません、家庭用品でもありません。ともかく化学製品である。そして、それにさっき言ったような公害物質が含まれているかもしれない。そういうとき、これをチェックする仕組みとか法的規制というのは一体どうなっているのか、この点についても続いて伺いたいと思います。
  194. 大永勇作

    ○大永政府委員 化学製品の中に、先ほど申し上げましたような特定化学物質、現在PCBだけでございますが、これが入っておりますと、これは製造または輸入につきましての規制ができるということに相なっておる次第でございます。
  195. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 要するにPCBだけがかかわって、ではさっき言ったカドミとかそういうものがありまして、そして入っているかもしれない、しかし、それが、さっき言った、肥料でもないとかあるいは薬品でもない、家庭用品でもないという形で輸入されてしまうと、チェックできるような、ひっかかるところがなくなっているかのように思われるわけですが、その点については、もう少し後でこれは繰り返し伺いたいと思います。  そこで、もう具体的な話に入りますが、日本に化学製品として輸入され、国内で販売され使用されている商品に、これはアメリカからの輸入品でありますが、ファーティレイドというのがあります。土壌活性剤という形で入れられております。これは関税率表でナンバー三八・一九の一一で化学製品の雑ということに分類されておりますから、輸入のときは一応化学製品であります。  さて、この問題を取り上げなければならなくなったいきさつというのは、七八年八月一日付の農事新報、業界の新聞だと思いますが、このファーティレイドについて、日本肥糧検定協会の鑑定証明書と分析証明書が出されて問題になったわけであります。この鑑定証明書によりますと、「上記の結果より、抜き取ったサンプルは」「複合肥料と思われる。」という結果と、分析証明書の方ではカドミウムの含有が三二・七PPmという大変高い含有であるということが、日本肥糧検定協会の検査の結果出されたわけであります。こういうことにつきまして、私は関係する大恵物産の中西氏や協立有機工業研究所の方からもいろいろ実情を聞き、また関係方面からも聞いてきたわけであります。  そもそもどうしてこういう分析が行われたのかというのは、これは農林省の方が主導的に疑問を感じてというのではなしに、輸入者になろうとした、ファーティレイドのインポーターになろうとしておられた大恵物産の方で、若干疑問を感じたことから分析を依頼したということに始まります。そして以下のいきさつがその後続くわけですが、六月一日に農林省の東京肥飼料検査所に相談に行って、これは現在札幌に転勤された大竹氏から、これはさわってもいけないものだ、大変危ないということを言われた。それから六月六日、農林省の肥料機械課に参りました。きょうは肥料機械課の課長さんもおいでになっておりますが、そこで石坂課長補佐に会ったとき、この分析結果を見る限り肥料成分を含んでいて、肥料の疑いが強いから、これだけカドミウムが入っている以上扱わない方がいいですよということを言われたという経過でありますが、いままでの経過について芦澤課長、そのとおりだと思いますが、どうでしょうか。
  196. 芦澤利彰

    芦澤説明員 お答え申し上げます。  五十三年の六月ごろだったと思いますけれども、ある業者がファーティレイドと申すものを持ってまいりまして、その輸入及び国内販売の適否を私どもの肥料機械課の方の担当者に問い合わせに来ております。その際対応者は、その当該業者が提示いたしました説明資料と分析データというふうなものを見て、その限りにおいては、なかなかむずかしいものでございますけれども、その製造工程だとかあるいは使用している原料だとか、またその使用した効果の発現がどうなっていくかというふうなことがなかなか明らかではないものでございますので、肥料に該当するものかどうかということはどうもはっきりはわからないけれども、しかしながら、これは土壌の微生物に活性を与えて土壌の活力を回復するような資材だということでございますけれども、肥料成分が入っているというふうなこと、それからまた、使用の目的とかその方法が肥料に類似しているというふうなこと、それにカドミがかなり含まれているというふうな、そういうふうな点からして、肥料取締法に抵触するおそれがあるので、輸入だとか販売だとか、こういうふうなものを見合わせた方がいいんじゃなかろうかということを、これは、先ほど申し上げましたようなそのデータ等を見ただけの範囲なわけでございますが、好意的な見地から業者指導したというふうに聞いております。六月一日に東京肥飼料検査所の方に来たときに、さわってもいけない触れてもいけないというふうなことを言ったようには私ども報告を受けておりません。
  197. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ともかくその資料を持ち込まれた方が持ってきたデータ、これは日本肥糧検定協会の証明書ですから問い合わせればすぐわかることですね、そういう鑑定が実際に行われたのかどうか。それは簡単なことでありますが、それを直ちにやったかやらないかという問題もありますが、ともかくこういうデータが本当であるならば、これは肥料取締法にひっかかるおそれがあるから輸入など扱わない方がいいですよと言われた。これは大変正しい指導だと私は思うのですよ、当然肥料取締法というのはそういうふうになっておりますから。  ところが、若干その後の経過を伺いたいのですが、その後農林省としては、一業者からのそういう相談として来られたことであったとしても、その業者以外に同じく輸入したり取り扱っている業者がいるのではないかというふうに頭を回されたかどうか、そして実際にどこまで出回っているか調査をしたのかどうか、こういう点直ちに敏感に行動に移されたのかどうか、これを伺いたいわけです。  ついでに、大恵物産の方から伺いましたところが、そのとき石坂課長補佐から取扱業者の名簿を要求され、出したと言って、私もいまここにその写しは持っておりますが、この辺もどうだったのか。  そしてその後十一月の段階でまた大恵物産の中西氏と、同業者の日豊株式会社の深川社長も一緒に来られまして、今度は芦澤課長にお会いになりまして、どうも大恵物産の方では取り扱い、輸入を直ちにやめたにもかかわらず、依然として取り扱われているようだけれども、これでは少し行政上片手落ちになるのではないかという抗議を込めて申し入れがあったということであります。こういうことに対しまして農林省はその後どういうことをされたのか、直ちに調査に乗り出されたのかどうか、このことについて、これも簡単にお答え願いたいと思います。
  198. 芦澤利彰

    芦澤説明員 お答え申し上げます。  六月六日に当該業者が農林水産省にお見えになった後、直ちにこういうふうなものが出回っているかどうか調査したかということでございますけれども、北海道、東北方面に出回っているというふうな話を当該業者から伺ったので、北海道、東北方面でこういうふうなものが出回っているかどうかということを私どもの出先の肥飼料検査所に指示して、出回りの状況等を調査させました。  それから、その当該業者が取扱業者の名簿を私どもの担当の方に手渡したというお話でございますけれども、それは受け取っていないというふうに私は聞いております。  それから十一月でございますか、私のところにお見えになったわけでございますが、ファーティレイドの取り扱いのことであったし、ファーティレイドの取り扱いを現にやっている業者がいるけれども、規制してほしいということを言われたことはございます。
  199. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) その十一月以後、どういうことをされましたか、調査は。
  200. 芦澤利彰

    芦澤説明員 十一月のときにお見えになりまして、そういうお話でございましたので、私ども仙台、東北以外の区域まで含めて、さらにそういうふうな物が現場に出回っているかどうかということにつきまして、出先の肥飼料検査所の方に再度調査を依頼いたしました。
  201. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ともかく去年の六月一日付で鑑定が行われて、これは日本肥糧検定協会の鑑定分析でありますから、権威を持ったものが出されて、その後東北方面を探してみたけれどもわからなかった、東北以外も探してみたけれどもわからなかったと言うけれども、大変解せないのは、協立有機工業研究所が輸入者になっておられるので、そういうところに電話でもかけて聞けば、大体どの程度出回っているかぐらいはすぐにわかりそうなものであり、したがって、またそこでサンプルを取り寄せて農林省として分析ができそうなものなのに、なぜそんなに手間取ったのかということがよく理解できないわけであります。  ともかく昨日芦澤課長から伺ったところでは、五月に入りましてから協立に対して販売ストップをしてもらいまして、そしていま農林省としての分析をやられているということでありますが、そういうことですね。そして、その分析の結果というのはいつごろ出るわけでしょうか。
  202. 芦澤利彰

    芦澤説明員 五月九日に、先ほど先生からお話がございましたように、この物がさらに引き続き出回っているという話をまた私ども伺いましたので、協立有機、当該取扱業者の方に連絡をとったわけでございます。その結果、取り扱いをしている事実は私ども確かめました。それから、五月十五日でございましたか、試料の一部を協立有機の方から提供を求めまして、それがどういうふうな成分を含んでいるものであるか、あるいはどういう機構で効果があるものであるのかとか、肥料であるかないかとかいうふうなものについて、現在分析を取り進めているところでございます。それで、分析の結果につきましては現在取り進めている最中でございますので、含有成分あるいはまたその効き方の機構と申しますか、この物の作用機構等を解明していくまでにはある程度の時間がかかると思っておりますし、現在この場でどの程度までできるかということは、はっきり申し上げるところまでまだ立ち至っておりません。
  203. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 販売が続けられていますか。
  204. 芦澤利彰

    芦澤説明員 販売の点でございますけれども、カドミウムが非常に多いということを私ども当該業者と話し合いをいたしまして、こういうカドミウムの多いものについては自主的に販売を停止していただくように御指導申し上げ、業界の方でも当該業者からの販売を停止しておるというふうに承っております。
  205. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) さてそこで、いろいろその結果が早く出ることを私たち待たなければいけないのですが、この商品としてのカタログを見ますと、「ファーティレイドの作用」と言って、これはバクテリア群があって、バクテリア群のえさみたいなものが入っているのだ、そういうことで、土壌の中の未完熟有機物を完熟させるとかあるいは土壌の団粒化を促進するとかいろいろ効果を言っていて、このカタログで見る限り、肥料取締法の中の肥料の定義にはそれるような書き方が非常にうまく書かれているような気がするのですね。肥料取締法の肥料の定義というのは、「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じょうに化学的変化をもたらす」、こういうことを目的として土壌に何かやるのが肥料である、あるいは植物に直接栄養を供するため与えるものであるということになっているわけですね。そうすると、このカタログの限りでは、植物の栄養に供するということは直接書いてありません。それから植物の栽培に資するために土壌にある変化を起こさせることは確かなんだけれども、それが化学変化であるかどうかというのがわからない。この点につきましては、私たちも協立有機工業研究所の方から、じゃ化学変化が起きないと言えるかと言ったら、これはわからないということでありましたから、大変むずかしい問題が出てきたわけなのです。  そこで、私がここで問題にしなければいけないのは、仮にこれが肥料ではございませんということになったら、一体この後どうなるのだろうかという問題なのです。そして私の手元にありますこういったカタログを見ましても、これは何に使うかというと、キュウリの栽培、マスクメロンとかお茶とかハウス園芸。それからこれを見ますと、水田も畑作も全部やるようになっているのです。それから真ん中にはウナギの養殖、ウナギを飼う水づくりにもこのカドミウムが入ったものをどんどん入れるということをやっていて、これが大変役に立つのではないかとして、愛知県の水産試験場の弥富指導所は、このファーティレイドを使ってウナギの養殖の水づくりをやって大変結果がよかったという報告書さえ出しているわけなので、ウナギにもいきます。しかもこのカタログで見る限り、水田、畑作は「あら起こし又は元肥施用と同時に鋤込む。」というのですから、肥料と全く同じようにこれがすき込まれていく。それから追肥時にはこれをまかなければいけないとか、あるいは果樹については「根の先端付近に帯状に散布」するとか、ちょうど肥料と同じように植物に接近してあるいは根に接近してこれがまかれるということになっているわけなのです。そうすると、仮にここで肥料ではないということになってしまうと、まず肥料と同じように植物の周りに肥料と一緒にまかれて、肥料ならば、それこそ特殊肥料の場合、乾かした状態でカドミウムは五PPm以上はいかぬというのが、二〇PPm、三〇PPmがまかれていくということになると、危険ということから言えば、肥料と比べてこれが危険でないということを証明することは私はむずかしいと思うのです。そうすると、いまの法体系とか制度ではこれは手が出せないようになるのかということになってしまったら、とんでもないことになるのじゃないかと私は思います。  御存じのように、これは公害対策基本法によりますと、「「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染」ということになっていて、この土壌の汚染は、肥料でなろうが活性剤でなろうが、汚染は汚染であります。この結果を防がなければいけない。こういう公害対策基本法から言っても、これが仮に肥料から外されるような結果になってしまうとどうしようもないということになって、これで果たしていいのでしょうか。  それから農用地の土壌汚染防止等に関する法律でも、これは実は法体系そのものにずいぶん問題がありますが、ともかく「目的」としては、「この法律は、農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去」というふうになっていて、この中にカドミウムが入ることは当然なのでありますが、そういう点で、この点についてこれから農林省としては一体どうやるのか、それから通産省としてはどう考えるのか、環境庁としてはどう考えるのか、このあたり、御意見を伺いたいわけであります。
  206. 芦澤利彰

    芦澤説明員 お答え申し上げます。  このファーティレイドなるものが肥料取締法上の肥料であるかどうかということについては、現在精密な調査を実施いたしておりますので、その結果を待たなければこの時点では何とも言えませんが、ただ、全体的な感触というふうな点で申し上げると、非常に申しわけございませんけれども、肥料にわりに近いものであるなという感触を私どもは持っておるわけでございます。ただ、これは全体的な感触というふうなことでございまして、詳細な調査結果が出てこなければ何とも正確に申し上げるわけにはいかないわけでございますので、その点はお許しいただきたいと思います。  これが肥料であれば、当然肥料取締法上の諸規定等に基づいて所要の措置がとられるわけでございまして、カドミウムを含んでおるなど、有害成分があって、こういうふうな不安定なものが流通しないような、そういう措置は肥料取締法に基づいて講じていきます。  それから、肥料でなければどうするかという問題でございますが、これは、いずれにいたしましても土壌改良の役割りをなすものの一部だというふうに私どもは理解しております。御案内のとおり、農業の近代化が進み、労力が節減してきまして、昔のように土壌に堆肥を入れたり厩肥を入れたりということで土壌の改良を行うという程度が乏しくなってきて、少なくなってきている。したがって、いわば地力が減退しているということが常々言われておるわけでございまして、地力を増進させるための一つの手法として、いろいろな有機物等を土壌に還元しようという動きがございますし、また、土壌を若返らせる方法が何かないだろうかということが言われておりますので、そういういわゆる土壌改良剤でございますか、そういうふうなものにつきましても、私どもも農林水産省としては、いいものが適正に流通し、農家がそれをうまく選んで、その現地に合ったようにうまく使うようにということをいままでも指導してきておるわけでございますので、よしんばこれが、仮の話といたしまして、肥料でないというふうなことであって、なおかつこれが農用地にこういう形で使われるものであるというふうなことであるといたしますれば、これは土壌改良剤ということの中で所要の指導を行って、所要の規制を行っていきたいというふうに考えております。
  207. 大永勇作

    ○大永政府委員 このファーティレイドにつきましては、その使用目的及び組成から見まして農林水産省の所管にかかわる物資であると思いますので、これの規制等の問題につきましても農林水産省で検討されると存じますが、土壌改良剤の中には当省所管にかかわる物質もございますので、各省連携して措置を講ずべきような問題につきましては、御連絡をしながらやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  208. 松居努

    ○松居説明員 先ほど先生から御指摘のございましたように、環境庁では土壌汚染防止法という法律を所管しておりますが、これは事業活動等によりまして農用地の土壌汚染を防止するということから、一応農用地の土壌汚染の防止あるいは除去ということを目的としておりまして、その発生源対策については、水質汚濁防止法なり大気汚染防止法によって措置することになっているということから、現在環境庁の所管する法律でもって、いわゆる農家がみずから使うところの農業生産資材というものの規制はできる形にはなっておりませんが、個々の問題については、土壌汚染防止を図る見地から非常に重要な問題でございますので、主として農業生産資材を扱っておられる農林省とも御相談をして、いろいろ対応策を進めていきたいというふうに考えております。
  209. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ファーティレイドが輸入され始めたのはいつか私まだつかんでおりませんが、この問題は少なくとも七七年十二月二十一日の日本農業新聞には「アグリ情報」として出ていて、いわゆる新製品として輸入がどんどん始まって、そうして昨年の六月にもそういう鑑定分析が行われて、やっと一年近くたって農林省自身が分析を始めるという対応の遅さというのは、まことに私は腹立たしい限りであります。  それと同時に、いま各方面の御答弁をいろいろ聞きましたけれども、実際私がもし肥料でなかったらどうするかという問題を投げかけたことは、肥料取締法の中の定義に合わなければ、肥料取締法自身を少し改正するとか、そういう問題が出てくるのか、あるいは通産省所管の化学物質の輸入だとか製造に対するいろいろ規制の法律ですね、あれをもう少し見直すのかとか、そういうところに頭が行かなければいけないし、当然環境庁もそういうことを積極的に考えていかなければいけないのですが、いまの答弁を聞きますと、まことに失望したのはそういう点なんであります。そういうふうにして行政の谷間ができてしまって、長く新製品新製品ということで輸入が放置されていて、どこからも扱われないということでは、とても国民の健康は守れないと思うわけであります。  そういうことなので、時間が参りましたので、大臣、さっきから大分退屈されているのではないかと思いますので、ひとつ通産省としてもこの問題の決意を述べていただきたいと思います。
  210. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御趣旨、十分体して努力します。
  211. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) これで質問を終わります。      ————◇—————
  212. 野中英二

    ○野中委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー・鉱物資源問題小委員会及び流通問題小委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの両小委員長からの申し出がございます。  つきましては、両小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 野中英二

    ○野中委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 野中英二

    ○野中委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る六日水曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十七分散会