○小坂
国務大臣 ただいまの問題は、一
経済政策というよりも、やはり国の外交政策と申しましょうか、日本の世界の中における役割り分担というような意味で、その一義的な問題としましては、日本の貿易収支の、経常収支の黒字幅というものが異常に高いという世界各国の認識に対してわれわれは対応しなくてはならない。これは基本的に申し上げれば、
先ほど委員が、私が就任のころ申したことに対してきわめて御理解あるお言葉を賜りましたが、私はその
考えは変わっておらぬのであります。日本のように資源のない国であればあるほど、やはりある
程度の経常収支の黒がなければ踊りが踊れなくなるということはよくわかっておるつもりでございます。したがいまして、今年度の
経済計画におきましては、なお外国からは多少の批判を受けておりますけれ
ども、七十五億ドル
程度の貿易収支の黒字を計上するような形において、しかし総合におきましてはそれが収支とんとん
程度にいく。つまり海外
経済協力等を積極的に進めて、そうして全体として日本が世界
経済に貢献するのだということの理解を求めるように
努力すべきであるという
考え方は変わっておりません。
ただ、昨今の日米
関係あるいは日本と欧州との
関係は、一種の異常な日本の黒字に対する批判に満ち満ちておるわけでありまして、したがいまして、そうした非難をいまわれわれが真正面に受けてただ闘うことだけでは、なかなか世界
経済の中において日本が今後なさなければならないいろいろな問題だとえば
石油価格の安定を日本一国だけではできない。やはり他の消費国との連携をとり、相互の理解を得ながら協力した形でなくてはなかなか
石油問題
一つとっても解決できないわけでございますから、そうした各国との協調、理解のとれるための
一つの方法としまして製品輸入を拡大し、あるいは前内閣もいたしましたような緊急輸入と称する、私は異例な輸入方式だと思いますが、こうしたことをやって黒字減らしをやったということであります。
それとまた同時に、同じような意味においていわゆる
政府調達に対しての門戸開放ということも、それは現時点においてすぐそれを幾ら幾らまでやるのだということ以上に、今後三年くらいの間にこの辺までは開放いたします、原則開放論というものを出すことは、必ずしも私は日本
経済にとって決定的なダメージにはならないと思うのでございます。
それからもう
一つは、製品輸入をふやすということは、私は、それが消極的な意味で申しますと、やはり日本の
経済界に与える影響はなかなか深刻であるということはよくわかります。しかし問題は、今日まで日本が歩んできた道の最大の
一つのメリットというものは、日本が外国から物をどんどん輸入して、そしてその輸入した製品の質を分析して、あるいはまたその製法等についての分析を行って、そしてまた日本独自にそこにノーハウなりテクノロジーを確立したということでありまして、むしろ製品輸入をすることによって日本の国内にマーケットをつくって、そのマーケットのできたところに日本が自国で生産をしていくというような形で日本の
経済は大きく発展したと私は思っているわけでございまして、今度の
政府調達等につきましても、もちろん一部にはいろいろ批判がありますけれ
ども、大きな目で見るならば、日本の現在提供しておる電子機器あるいはその他の機器等よりもさらに高度のテクノロジーを持った外国製品がこの機会に入ってきて、われわれがその内容をよく知り、そしてまたそれを新しく自国で開発できるノーハウなりテクノロジーをみずから求めることができるならば、これはまた過去において日本が成長したような
一つの原動力と申しましょうか、そうしたものに転化すべきものであろうというふうに
考えるわけでございます。
やはり一番根本的に申し上げますと、日本の黒字がなければならないけれ
ども、それが余り大きいと世界の孤児になりそうだ、そういう危機感の中で
政府は結局黒字減らしということを大幅に取り上げざるを得なかったという点、しかしその
努力が一応実って、昨今は欧米諸国が日本の黒字というものに対して、かつてのような異常な関心と非難をしなくなったということだけでも私は大変よかったと思うわけでございますが、基本的には、日本は絶対に経常収支の黒字をある
程度以下にしてはだめだということは、われわれは十分踏まえておるつもりでございます。