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橋口政府委員 株式会社三越に対する独禁法違反事件でございますが、百貨店につきましては、かねてから優越的地位の乱用行為としての納入業者に対する押しつけ販売あるいは納入業者からの協賛金の強要等の事実があったわけでございまして、この点につきましては、幾多の納入業者から苦情の申し立てをいただいておりましたし、また
公正取引委員会といたしましても、アンケート
調査のほかにいろいろ予備的な
調査もいたしておったわけでございますが、その中でも三越に対する苦情あるいは三越についての情報の提供あるいはアンケート
調査の結果による実績等から見まして一番問題が多いという
考え方のもとに、昨年十一月二十八日に立入検査をいたしたわけでございます。
具体的な被疑事実といたしましては、取引先納入業者に対して、いわゆる協力販売と称して自己の販売する商品、入場券等の押しつけ販売、それからまた売り場の改装等に際してのいわゆる協賛金の要求が、独占
禁止法で定めます不公正な取引方法に該当するということで立入検査を行い、その後鋭意
調査を進めてまいりまして、去る四月十六日に
勧告による排除措置を要請したわけでございます。
この点につきましては、いま申し上げましたような経緯でございまして、
勧告書の主文でも明らかにいたしておりますように、株式会社三越は、お勧め販売あるいはR作戦等の名称で、いわゆる店頭外販売行為を行っておるわけでございますが、これは他の百貨店に見られないような組織的、意図的、継続的、
計画的な販売行為でございまして、一部に五十歩百歩とかあるいは一罰百戒というような活字も見えるわけでございますけれ
ども、他の百貨店の商法とは隔絶した販売方法をとっておるわけでございまして、量的に見ましても質的に見ましても、これは一般の商慣行を明らかに逸脱した異常な行為である、こういう認識のもとに
勧告の措置をとったわけでございます。それに対しまして、
勧告を応諾するかどうかということにつきまして、一般の慣例に従いまして十日間の期限をつけたわけでございますが、四月二十五日に、同社からは津田
代表取締役の名前で
勧告を応諾しないと通知があったわけでございます。
一方、お話がございましたように、四月二十日には百貨店協会の
理事会におきまして自主規制の案が最終的に決定を見ておりますし、それには三越も当然関与いたしておるわけでございますから、そういう点から申しますと、
勧告を応諾しないというのはある
意味では論理矛盾ではないかと思うわけでございますが、手続上の見地から申しますと、
勧告を受けたものはその諾否を通知することになっておりますので、この段階で応諾しない
理由について通知する必要はございませんので、当方といたしましてはその
理由を十分承知をいたしておりません。いずれ審判手続が開始になりまして、審判の過程において応諾しない
理由が明らかにされるものというふうに考えております。私なりのいろいろの個人的な感想はございますが、公の
立場ではそれ以上申し上げることは御容赦をいただきたいと思います。
それから審判になりました後でございますが、審判の手続は、違反行為の排除措置を命じようとする相手方、つまり被審人に対しまして、審判開始決定書の謄本を送達することによって開始をされるわけでございまして、第一回の審判の期日は、審判開始決定書を被審人に発送しました日から三十日以後に定めることになっております。
そういう経過を経まして審判が開始されました後は、これに対しまして、審判の過程におきまして
勧告の
内容に同意するという
申し出がありました場合には、いわゆる同意審決ということになるわけでございまして、審判手続を経た後に、依然として独占
禁止法の規定に違反する行為があると認められます場合には、いわゆる正式審決をもって被審人に対して排除措置を命ずることになるわけでございます。
それからなお、申し落としましたが、審判の途中におきまして同意審決を受けることなく違反行為をみずから排除するという場合には、審決をもってその旨を明らかにするいわゆる違法宣言審決という道も残されておるわけでございます。
整理して申し上げますと、大体におきまして三つあるということでございます。違法宣言審決と同意審決と正式審決ということになるわけでございます。
それから百貨店協会で行いました自主規制の基準でございますが、業界としては、問題の性質を十分よく理解をして前向きに対処しておられますので、これにつきましては正しい評価をすべきものではないかというふうに思っております。お示しの
趣旨は、さらに加えて、いわゆる特殊指定等の措置が必要ではないかということでございまして、私
どもといたしましても、将来問題として特殊指定という措置を考えていないわけではございませんけれ
ども、ただいまの段階におきましては三越以外の二十二社についての
調査も続行中でございますし、その成果を見る必要もあろうかと思いますし、また、三越問題の成り行き等につきましても関心を持つ必要がございますので、現段階において、直ちに特殊指定を行うことが適当かどうかということにつきましては、現状におきましては消極的に考えております。将来の問題として特殊指定はさらに検討を進めたいというふうに考えております。
それから、
事業者団体の活動に関する指針の問題でございますが、これは、かねてから
事業者団体の活動の限界につきまして、はっきり成文化されたものがないということを
中小企業の団体等から御注意をいただいておったわけでございまして、私
どもとしましても、できる限り明確な文章で活動の限界なり
範囲というものを明らかにすることが望ましいというふうに考えておったわけでございまして、約一年間の作業を経まして三月二十日に一応の案を発表したわけでございますが、これは
事業者団体の活動に関する指針でありますと同時に、また行政上の取り扱いの指針でもあるわけでございまして、こういう成文化をすることによりまして、その成文化されたものをベースにして論議を展開し、また実際の活動例というものが蓄積をされることによって、将来
事業者団体の真の活動のルールというものが生まれてくるのじゃないか、こういう期待を持っておるわけでございます。従来は
公正取引委員会の
方針というものがそれほどはっきりしないまま、直ちに取り調べなりあるいは
審査を受けるというようなことも言われておったわけでございますので、今回こういう指針を発表いたしますと同時に、いわゆる
事前相談の制度というものを設けまして、
事業者団体である
計画をお持ちになって、これを実施する場合に、一体
事業者団体の指針なりあるいは独禁法に触れるかどうかということにつきまして照会をしていただきまして、これに対して回答をするという制度も開くつもりでございます。これによって
事業者団体の活動
内容についての安定性、それに対する行政の対応姿勢の安定性というものも確保されるのじゃないかというように考えておるわけでございまして、これはいま各界の御
意見を拝聴しておるところでございますが、できれば六月中にも最終的な案をいただきたいというふうに考えておるところでございます。