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1979-03-23 第87回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月二十三日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 橋口  隆君    理事 野中 英二君 理事 武藤 嘉文君    理事 山下 徳夫君 理事 渡部 恒三君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 岡本 富夫君       小川 平二君    鹿野 道彦君       始関 伊平君    島村 宜伸君       辻  英雄君    中西 啓介君       楢橋  進君    原田昇左右君       前田治一郎君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       清水  勇君    田口 一男君       中村 重光君    長田 武士君       玉城 栄一君    宮井 泰良君       工藤  晃君    大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  江崎 真澄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         公害等調整委員         会事務局長   永山 貞則君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         通商産業政務次         官       中島源太郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省通商         政策局次長   高橋  清君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         通商産業省生活         産業局長    栗原 昭平君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁次長     児玉 清隆君         資源エネルギー         庁石油部長   神谷 和男君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   斉藤  隆君         外務省アジア局         北東アジア課長 股野 景親君         国税庁間税部消         費税課長    兼松  達君         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第一課長    野沢 達夫君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     小村 雅男君         日本電信電話公         社総務理事   山内 正彌君         日本電信電話公         社技術局長   前田 光治君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 三月二十三日  出版物再販制廃止反対に関する請願外一件  (池田克也紹介)(第二二二四号)  同(石田幸四郎紹介)(第二二二五号)  同(浦井洋紹介)(第二二二六号)  同(小川省吾紹介)(第二二二七号)  同(大橋敏雄紹介)(第二二二八号)  同(沖本泰幸紹介)(第二二二九号)  同(加藤万吉紹介)(第二二三〇号)  同(鍛冶清紹介)(第二二三一号)  同(河上民雄紹介)(第二二三二号)  同(草川昭三紹介)(第二二三三号)  同(後藤茂紹介)(第二二三四号)  同外一件(武田一夫紹介)(第二二三五号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二二三六号)  同(玉城栄一紹介)(第二二三七号)  同(鳥居一雄紹介)(第二二三八号)  同(野村光雄紹介)(第二二三九号)  同(鳩山邦夫紹介)(第二二四〇号)  同(広沢直樹紹介)(第二二四一号)  同(二見伸明紹介)(第二二四二号)  同(松本忠助紹介)(第二二四三号)  同(宮地正介紹介)(第二二四四号)  同(武藤山治紹介)(第二二四五号)  同(村山喜一紹介)(第二二四六号)  同外一件(矢山有作紹介)(第二二四七号)  同(薮中義彦君紹介)(第二二四八号)  同(山口鶴男紹介)(第二二四九号)  同(阿部昭吾紹介)(第二二八九号)  同(池端清一紹介)(第二二九〇号)  同(太田一夫紹介)(第二二九一号)  同外一件(渋沢利久紹介)(第二二九二号)  同(新村勝雄紹介)(第二二九三号)  同(田邊誠紹介)(第二二九四号)  同外一件(中村茂紹介)(第二二九五号)  同外十九件(西宮弘紹介)(第二二九六号)  同(平林剛紹介)(第二二九七号)  同(松沢俊昭紹介)(第二二九八号)  同(伊藤茂紹介)(第二三三九号)  同(板川正吾紹介)(第二三四〇号)  同(上田卓三紹介)(第二三四一号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二三四二号)  同(川崎寛治紹介)(第二三四三号)  同(川本敏美紹介)(第二三四四号)  同(久保三郎紹介)(第二三四五号)  同(小林進紹介)(第二三四六号)  同(佐藤敬治紹介)(第二三四七号)  同(高沢寅男紹介)(第二三四八号)  同(武部文紹介)(第二三四九号)  同(野口幸一紹介)(第二三五〇号)  同(吉原米治紹介)(第二三五一号)  同(渡部行雄紹介)(第二三五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 橋口隆

    橋口委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 質問に入ります前に、委員長要請を一言いたしておきたいと思うのです。  最近、御承知のようにわが国は、円高黒字によって貿易均衡国際摩擦を起こしておりますことは、御承知のとおりでありまして、これに対して、アメリカでは課徴金問題、あるいはECよりは製品輸入を拡大してほしいという要請などあるわけでありますが、この貿易均衡対策については、東京サミットでも議題になると言われておるのであります。われわれもこの貿易均衡是正というものについて、重大な関心を持っておるわけですが、実は、意外とこの貿易統計資料というのが通産省からは出されていないのです。通産省から出されておるのは、商工中金とか中小企業金融とかいう資料は、毎月月報でたくさん出されておりますけれども、一番大事な通商産業政策基本になる貿易統計月報というのが、実はわれわれに配付はされてないし、出されていないのです。昨年三月までは通産省つくっておったのですが、四月以降廃刊になったりしておるのです。そういう意味で、実は統計月報的な資料というのを、毎月ひとつ当委員会に出していただきたいな、こう思います。経済企画庁は、意外と月例報告統計月報そのほかの資料を毎月当委員会に出しておるのです。通産省が意外と出ていないのです。大蔵委員会を調べてみますと、大蔵省でもなかなかよく出しておられるのです。そういうこともありまして、通産省でも貿易統計月報というものをぜひひとつ当委員会に出すようにお計らいを願いたい。委員長要請をしておきます。  さて質問に入りますが、きょうはエネルギー関係でお伺いをいたします。  エネ庁長官は、IEA会議出席をして、各国エネルギー事情等について所感を持ってお帰りになったと思いますが、各国エネルギー情勢というのはどういうことであったのか、IEA会議出席しての所感をまず承りたいと思います。
  4. 天谷直弘

    天谷政府委員 お答え申し上げます。  IEAにおきましては、まず今回のイラン危機に基づくところの石油供給不安定性、これについてどういう共通の認識を持つべきかということが第一点でございました。この点に関しましてまず申し上げますと、イラン供給不安定は、政治的原因に基づくものでございますが、このイラン政治情勢につきまして、明確な見通しを立てることはきわめて困難である。要するにイラン政治情勢はよくわからないということでございます。そういうわけで、イラン石油供給の回復がどの程度の水準で安定するかということにつきまして、まあ三百万バレルとか四百万バレルとか言われておりますが、余り当てにはできないというのが第一点でございます。  次に、サウジアラビア供給量に関しましては、現在九百五十万バレル・パーデー生産が行われておりますけれども、サウジアラビアは本来は八百五十万だと、こう言っておりますので、この九百五十万がいつまで続くかということに関しても不確定である。したがいまして、供給サイドにおきまして大きな不確定要因がある。よって、この不確定要因に対処するためには、需要サイドにおきましても何らかの積極的な努力をしなければいけないのではないかというのが、第一の点に関する合意でございました。  それでは、一体どれくらい需要側において節約をすればいいのかということでございますけれども、これは、いろいろ事務局計算をいたしまして、結局二百万ないし二百三十万バレルくらいの消費節約、少なくともそれくらいの消費節約需要サイドでやらなければ、需給のアンバランスが激化いたしまして、石油市場が非常に不安定になるであろうということでございました。ところで、この石油市場の不安定ということはすでに今日発生をいたしております。  まず原油スポットマーケット、これが三月一日、二日のIEA理事会が始まる以前の状況におきまして、本来の公式販売価格が十三ドル三十七セントであるのに対しまして、このスポットマーケットにおきましては二十三ドルとか四ドルというような、狂乱的価格が現出をいたしておりました。また、ロッテルダムの製品市場、ここにおきましても、これは原油市場をさらに上回るような大暴騰が起こっておったわけでございます。  こういうようなスポットマーケット狂乱状況を放置しておきますと、これは三月二十六日のOPECジュネーブ会議にも非常に悪い影響を及ぼすであろう。これに対しましても、何らかこのスポットマーケット狂乱状況に対して、これを冷却するような措置というものがぜひとも必要である。そのためには、消費国で何らかの協調した行動をとって、特に投機をやっているような人々に対して、デモンストレートする必要があるということでございまして、こういういろいろな見地から、五%の節約ということが会議のコンセンサスになった次第でございます。  ただ、この会議の途中におきましては、いろいろ考え方の違う国もございまして、たとえばドイツなどは、節約というものは、経済原則によれば値段を上げることによって行われるのであって、お説教することによって節約が行われるのではない。だから、節約したければむしろ値段を上げる方がいいんだというような、そういうドイツの哲学もございましたけれども、大勢は五%の消費節約ということで合意をすべきであるということで、ドイツもそれに同調したような次第でございます。  ただ、この五%節約を具体的にどういう方法でやるかということにつきましては、これは各国政府判断に任せるということで、IEAの席上におきまして、一々これを詰めるというようなことはいたさなかった次第でございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 当時スポットマーケットが暴騰しておったのですが、最近はこれは落ちついたように思いますが、いかがですか。
  6. 天谷直弘

    天谷政府委員 一時よりはスポットマーケット大分鎮静をいたしてまいりました。一つは、IEA消費国が五%節約の決議をしたこと、それから第二番目には、三月五日にイラン石油輸出を再開するという決定をしたこと、それから三番目には、特にヨーロッパでございますが、冬がだんだん終わりに近づきまして、気候が戻ってきましたので、それまで暖房用の油が非常に暴騰しておったのでございますが、これがもとへ戻ってきた、大分下がってきたというようなこと等々で、最近は一時と比べて鎮静をしておりますが、三月二十六日のOPECジュネーブ会議を控えまして、鎮静に向かっておることは非常にいいことであると思っております。
  7. 板川正吾

    板川委員 次に伺いますが、イラン原油生産再開見通し、大変困難だと言うのですが、現状はどのくらいであり、中期的にどのくらいのことを予想されておりますか。
  8. 天谷直弘

    天谷政府委員 イラン政府は暫定的な目標といたしまして、三百万バレルまで回復させるということを一応言っておるようでございます。現在は二百五十万から七十万くらいの生産が行われている模様でございます。どうも確たることはよくわかりませんが、おおむねその程度が行われていると見てよろしいのではないか。  次に、もう少し先に一体どうなるかということでございますが、われわれは四百万バレルくらい、まず出してもらうことが非常に望ましいと思っておりますが、これはイラン技術者だけでも、四百万バレルくらいまでは行けるのではないかというふうに言われておることでもございますし、その辺まで行くことを期待はいたしております。しかし、その辺まで行くかどうかということにつきましては、イラン国内事情、特にNIOCとかの内部におきまして、いろいろな意見があるようでございまして、したがいまして、その辺の政治的な葛藤のおさまりがどうつくかということとも関連するかと思いますので、非常に見通すことはむずかしゅうございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 じゃ次に伺いたいのは、石油需給をめぐる報道に、相当混乱があるような感じが私はしておるのです。たとえばメジャー系エクソンが非系列企業に対して五〇%削減をする、あるいはシェルも同じように四〇%、BPもこれに追従するだろう、こう言われております。そうしますと、メジャー系から大幅に石油削減が行われるように、国民一般は思いがちであります。これはある意味ではメジャー系値上げ一つの布石として、いわば条件づくりというか、ムードづくりじゃないかという感じもするのですが、このメジャー系の非系列企業に対する原油供給削減、これの影響というのをどういうふうに考えておりますか。またこれに対する対策なりをどうとられておりますか。その点伺います。
  10. 天谷直弘

    天谷政府委員 メジャー系供給削減基本にある事実と申しますのは、やはり中近東におけるメジャーの地位が低下したということ、あるいはメジャー原油調達能力が低下したということが、基本的な原因であろうかと存じます。  エクソンの場合で申し上げますと、エクソンイランから直接二十五万バレル入手しており、それからBPを通じましてイラン石油を三十五万バレル、計六十万バレル入手しておったわけですが、これの調達が不可能になってしまった。それから、サウジアラビア増産分につきましても自信を持っていないというようなことから、供給能力に不安が生じましたので、サードパーティから切っていくということになったというのが公式のエクソン側の説明でございます。  エクソンは、前から、サードパーティヘの供給というのは、これは一時的なものだ、恒久的なものではないということを言っておるわけでございまして、石油がだぶついているときにはサードパーティにも売ります、しかし、石油供給が苦しくなれば、その分はスポット的なものであるから、だんだんカットしていきますということは以前から言っておったことでありまして、別にそう驚くべき事態ではないと思っております。ただ、現在、世界の石油市場が非常に緊張しておるときに今回のような動きがありますと、タイミングとして、非常によくないのではないかというような問題もあるところでございますが、一応切り方といたしましては、即座にカットするのではなくて、期限が来たときにはそれを五〇%減らして、一年間また続けるというようなことで、次第に先細りになっていくということでありますから、当面、ことしならことしにとってみますと、エクソン供給削減による影響というものはきわめて微々たる、一%にもなるかならないかという程度のものでございます。  シェルにつきましては、これは契約期限が来た一社についてだけ更新しないということを言っているわけでございまして、シェルの場合は、エクソンとは少しポリシーが違うのではないかというふうに思っております。ただ、シェルもポケットが苦しくなっていることは事実でございまして、従来どおりの契約を続けていくということは、それはできませんでしょうから、何らかのカットというものはあるのは不可避であろうというふうに考えております。  これを要するに、メジャーの一番もとのふところ、石油のわいてくるところがおかしくなったわけでございまして、他方、それをイランその他はDDで売ろうと言っているわけでございますから、日本の方では、切られた分だけイランその他に直接出かけていって、買い付けをすれば、一応計算は合うことになるはずでございますが、問題は値段でありまして、メジャーから買う値段と、DDで買う値段とが一体どういう関係になるか。もし過当競争等で、DDで高い値段で買いつけてくれば、それは経営を非常に圧迫するということになるのではないかというふうに思います。
  11. 板川正吾

    板川委員 エクソンは五〇%削減をします、来年は全部やめます、シェルもあるいはBPも、現在のところBPは何とも言ってないようですが、いずれにしましてもイランから原油を買っているメジャーが買えなくなれば、その数量だけは削減をせざるを得なくなる。イランとしては、今度はDDで売ろうということのようですから、DD原油に振りかえれば、その削減はさしたる影響はない。私の承知しているところでは、メジャー系の非系列企業に対する削減というのは四千万キロリットルぐらいに当たるだろう。しかも今度、三井、三菱各商社で年間三千万トンぐらい直接輸入することになったから、一千万ぐらいの差しかない、それほど大きな影響はない、こういうふうなことだと思うのです。  ところで、エネ庁は今後の需給見通しを、一−三月は計画よりも二%ほど少ないが、昨年の同期の実績よりも二・四%多い、四−六月は六千三百万トンに対して需要が五千九百万トンで、四百万トンばかり供給が多い、そしてそれは二・五%に当たる。しかも、この計算の中にはイラン石油は計上されてなくてそのとおりだ、こう言うのですね。しかも、七−九月ということになりますと、需要期を越え、非需要期になりますから、石油が窮屈になることはない、こういう見通しを発表されておりますが、これは間違いないでしょうか。
  12. 天谷直弘

    天谷政府委員 間違いございません。
  13. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、そこで今度、五%節約という石油消費節減対策というのを打ち出しましたね。節約することにわれわれは反対じゃないのですよ。しかし国民の側から言いますと、イラン石油計算しなくても石油供給が意外と窮屈じゃないじゃないか。イラン石油が入れば、さっき言ったように二百七十万バレル・パーデーならば、相当数日本に入るだろう。そういうことになりますと、何か五%節約というのが、どうも国民に対して説得力がないように思われるのです。その辺が、エクソンの五〇%節減だと言い、今度は余るのだと言い、そこで五%節約だと言う、エネルギー需給をめぐってのそういう方針が、国民の側から言うとどうもしっくりこない、こういう感じがするのですが、どうお考えですか。
  14. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お説のように、いろいろな情報が入り乱れるわけですが、一日に二百万バレル足りない、それはいまのサウジアラビアその他の増産分計算してなお足りない、こういうわけですね。したがって、さっきも長官が言いますように、この増産がさていつまで続くかという点に、不安感がないわけではないと思います。それが一点。  それからもう一点は、量においては、やはり確保することが、民心を安定させる上からいって、これはよかったと思います。ところが、今後スポット物が、いまは 落ちつきしておるとは言いながら、やはりこれが異常に高いというようなことなどから、今後値上げの問題が、国民にとっては相当深刻な状況で出てくる可能性なしとしないと思います。したがって、五%節約というものは、徹底することが必要なわけでありまして、これから夏場に向かって、特に来年の見通しがまだ立ちませんので、四−六の見通しがようやく立った、やれやれというところですね。したがって、最需要期に果たしてどうなるかということになりますと、これはイランばかりでなしに、中東の全体の問題なども踏まえて判断をしまするときに、まだ不安定要素なしといたしませんので、この節約は続けるべきであるというふうに考えます。  これも余談ですが、本来ならばきのうから暖房は一切廃止、けさも私は閣議後の新聞記者会見で、新聞記者諸君に、国会暖房しているじゃないかと言われたのですよ。たまたま私の会見室は二十二度あった。これはおかしいじゃないかと言って、実は庶務部長に私自身も注意を喚起したことですが、まあ御年輩の方も多いので、原則はよく知っておりますが、朝のうち非常に冷たいからということで、これは国会側の弁護をしておきますと、朝暖房をして、昼間になったらとめるつもりであります。この部屋もそんなに暑くはありませんね。恐らく十九度程度に抑えられておると思います。そういうわけですが、昨日私どもエネルギー庁調査したところによりますと、各省庁全部きのうは一応ストップという状況であったということを言っております。ですから、やはり節約は続けていきたいというふうに思います。
  15. 板川正吾

    板川委員 節約することは結構なんです。また、あんまり石油が窮屈だと言うと、値上げムードをあおる関係もありましょう。しかし、余っているというのに五%節約というのは、どうも迫力がないという感じがしたものですから、通産省としてどういう指導方針をとられるか、こういうことを伺ったわけであります。次に、中国日本とで、日本石油公団が受け持って、勃海湾石油開発を手がけておる問題について伺いたいと思うのです。  目下交渉が中絶をしておりますが、いままで話が詰まったところによりますと、この勃海湾石油開発について、輸銀資源開発資金を使う、日本側としては円建てで六・二五%ということを中国側に回答をし、中国側ローン関係で当面中断をしているわけであります。  そこで、六・二五%の輸銀資源開発資金ですが、アメリカブルメンソール財務長官から、これはOECD経済協力の申し合わせの条件から言うと、余りに低過ぎてけしからぬじゃないか、こういう抗議が、文書やあるいは公電で盛んに来ておると言われておりますが、この点、一体アメリカの言い分というのはどういうふうにお考えなんでしょうか。大蔵大臣は、わが国OECDの約束は守る、こういうことをすでに答弁しておるそうですが、その場合に、では六・二五%ということはどういうことになるのでしょう。交渉が振り出しに戻っていくのか、あるいはどういう対策をとられるのか、この所見をもう一回承りたいと思います。
  16. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはいま当事者間でいろいろ交渉しておることは御承知のとおりでございます。通貨建てをどうするか、これはまだ結論に至っていないという報告を聞いております。当事者間交渉の推移を見守りながら、必要に応じてわれわれとしては協力をしていきたい、こういう考え方です。  いまの金利の話でありまするが、大蔵省と同様、国際的なガイドラインを守る、これはもう通産省といえども考え方もとより同じなわけであります。  御質問石油開発協力にかかわる金融、これは日本からの輸出を促進するためのものではないのですね。むしろ今後の輸入促進のための金融という面がありまするので、その点はちょっと国際的なガイドラインには縛られないという理由があるわけです。したがって、ブルメンソールなどが指摘するのは、多少そこに誤解があるというわけでありまして、こちら側としてもいろいろ説明をしておるところであります。
  17. 板川正吾

    板川委員 これは石油資源の開発の融資であって、ブルメンソール長官などが言っているようなプラント輸出ではない、こういう御趣旨のようでありますが、もう一点、このプラント輸出の延べ払いの問題ですが、こちらでは円建てでいきたい、ところが、相手方はドル建てにしてほしい。最近の報道によりますと、それが半々ではいかがか、日本側の提案に対して、劉希文氏ですか、彼が半々でいいだろうというようなことが新聞に出ておりますが、これはどういうふうな見解をお持ちでしょうか。
  18. 江崎真澄

    江崎国務大臣 輸銀が、御承知のように金を出します場合は、当然その国の通貨、日本の通貨で出す、これが原則なわけであります。したがって、従来といえども円、ドルまぜて出すことがありましても、それは輸銀が七〇%円を出して、あとシンジケートローンで、ユーロダラーなどを三〇%ぐらい出すという前例はあるようでありまするが、中国側は全部ドル建てでという強い要求が従来はなされてきたわけでございます。これは非公式でありますが、日中経済協力会議渡辺理事長が先ごろ中国を訪問いたしましたときに、まあ東洋流でと言いまするか、ほかならぬ中国であるから、日本側としてもできるだけの協力をしましよう。したがって、輸銀からは、これは円建てでなければ困りますよ。だとすれば、普通は七〇%程度というものを、五〇%ぐらいの円にして、一方、シンジケートローン、バンクローンでユーロダラー分を五〇%ということで、半々ということにしたらいかがなものでしょうかと、問題を投げかけてきたわけでございます。したがって、劉希文さんが今度来られまして、先ごろ私のところへもおいでになりましたが、この問題がだんだん決着を見るのではないか、恐らくいま申し上げたような手だてで、結論づけられるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 イラン石油開発問題について質問しようと思ったのですが、時間が来ましたから、これで私の質問を終わります。
  20. 橋口隆

  21. 渋沢利久

    渋沢委員 「日米“通商戦争”再燃の恐れ」というような見出しで、マスコミも取り上げざるを得なかった日米交渉の中での皮革製品の輸入枠の問題が、先ごろの日米交渉の中で非常に大きな焦点になっておったというふうに思うわけですが、御存じのように、日本の皮革産業というのは、大変生産構造の零細性といいますか、非常に特殊な状況がありまして、大半が零細企業によって生産をされておるというような状況から、自由化の波に対しても、政府が大きな歯どめをかけて防衛策をとってきた経緯の中で、アメリカからの強い要求、そして政府のかなりの譲歩による話の取りまとめ、こういういきさつがあったわけであります。  まず、この日米交渉の中で、皮の問題が突出して出てきたという状況をどうとらえておるのか、その交渉の経過と結果について、御説明を受けたいというふうに思います。
  22. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 皮関係交渉の経過について御説明申し上げますが、経緯といたしましては、一昨年の八月に米国の製革業者団体が、日本の現在行っております皮の輸入制限につきまして、問題提起を行ったのが端緒でございました。それ以来、日米間で数回にわたりまして交渉が行われましたけれども、いずれも不調に終わったという状況もとで、アメリカといたしましては、昨年の七月にガットに提訴をいたしまして、ガット関係の手続といたしましては、ことしの一月二十六日に第一回のパネルがガットで開催されるということに相なったわけでございます。  一方、米国内におきましても、米国の通商法の規定に基づきまして、公聴会の開催という手続が並行的に進みまして、それが二月二十七、二十八の両日に予定される、こういった米国国内手続が進むというような、米国内及びガットの両面において、それぞれ問題が提起されるという状態に相なったわけでございます。  そういった状態の中で、二月六日から二十三日にかけまして、ワシントンにおきまして日米間におきまして、この皮についての交渉が行われたということでございます。その状況については、御案内かと思いますけれども、交渉はきわめて難航いたしましたけれども、わが方といたしましても精力的に粘り強く交渉を続けた。その結果といたしまして、自由化についてはコミットをしない、枠の拡大によって対処をするということで、決着を見たということでございます。
  23. 渋沢利久

    渋沢委員 特に伝えられるところによりますと、その交渉の過程で、もし皮で日本が大幅な譲歩をしないということであれば、単にガットへの提訴とか公聴会の提起というものとは別に、日本製品輸入品目四十数品目にわたっての報復措置というか、輸入制限について、かなり強い態度で、しかも外交チャンネルを通して申し入れがあった。鉄鋼、家電製品その他具体的な品目を明らかにしながら、いわば譲歩を求めた、こういうことが言われておりましたけれども、これは事実でしょうか。
  24. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題は、御承知のように百十六億ドルの日米貿易のインバランスの問題から端を発しておるわけでありまして、黒字を減らせということで、特に日本の商品には課徴金をかけてしかるべきだ、立法化する、こういう声がアメリカ議会の中に急速に高まったのを背景に、一方では皮の問題が公聴会に提訴されたという経緯がありまして、特にこのことに圧力をかけたというわけではなくて、提訴をどうするか、ECからも皮の輸入枠については、強く日本側にその不備を指摘されておるところでありまして、要求されておったものですから、できればこれは提訴を取り下げてもらって、公聴会回避ができることをわが方としては努力する。大変不利な状況にわが方が追い込まれておったということが、率直なところだというふうに思います。そして、日米両国政府の間で話をつけることがこの際望ましい。もしこれが提訴されて、公聴会開催、報復措置がとられるというようなことにだんだんなってきますと、今度はECの側などとも、いろいろまた新たな問題が惹起されてくるということで、粘り強く交渉をして、幸い話し合いがついたというわけであります。
  25. 渋沢利久

    渋沢委員 いま大臣も言われましたように、ボンの首脳会議での福田内閣の七%、いわば国際公約、これは国際公約であると言おうとでないと言おうと、紛れもない国際公約と言っていい状況になっておる。しかし、その後の推移の中で、アメリカを初めとしての諸国の、日本に対する一定の不信感、こういうものが醸成されている中で、大平内閣は誕生早々に、七%達成は無理がある、困難だ、こういう一定の見通しを明らかにされた。その是非の問題ではなしに、こういう状況が、一つにはアメリカあるいはEC諸国の対日攻勢をかき立てる、大きな政治的な要因であったろうというふうに思うわけであります。  特に皮が突出して出てきた、それだけの理由はありますけれども、なおかつ、皮革を支える国内の構造というのは、先ほど申し上げましたように大変脆弱で、吹けば飛ぶような状況があり、だからこそ自由化というものに対しても、特殊に政府も構えた努力をしてこられたという背景の中で、なおかつこれだけの譲歩を余儀なくされた、全体のバランスの中で、皮革業界が打撃を、こういう政治的な状況を背景にして受けざるを得ない、こういう認識をいたしておるわけであります。とりわけ政府がこの部分について取りまとめを急いだという背景には、もちろん公聴会や、ガットへの提訴への配慮もあったでしょうけれども、やはり東京サミットを成功させねばならぬという、内閣の至上命題というものが、おありになって当然のことでしょうけれども、そういう状況の中で、やはり皮革部分の交渉が、私どもは外部から見ておって、ことのほかに急いで処置がされたという印象を受けておるわけであります。状況の背景というのは、そういうものだというふうにとらえておるわけなんですが、いかがでしょうか。
  26. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は、必ずしもそういうふうに思いませんが、渋沢さん言われるように、確かに七%は国際的な一つの目標としての数値であった、これがなぜできないのか、非常に不満が高まったことはそのとおりだと思います。しかし、日本側としても努力しておることを段々述べることによって、相手方も理解をしてきた。これは御承知のように、貿易収支もこの十二月、一月、二月、だんだん改まってきておりますね。それから一方では、成長の面を足を持って引っ張ったのは輸出である。それからまた円高が、少なくとも十一月からスワップの発動をしてくれましたが、それまでというものは放置されたままであった。これはストラウス・牛場会談を先方側としても必ずしも十分守り得なかったという点もありましょう。これが、やはり七%成長にもある程度影響を与えたことは否めません。それから一方では、製品輸入が五十二年度では二〇%程度であったものが、五十三年度は恐らく三〇%程度にはなる。これも努力しております。これが生産を鈍らせた、これもありますね。国内消費は、四〇%近いとにかく公債を出すという悪い財政事情にありながら、なお景気刺激をして、一般消費をどうかして増高させよう、この政策によってGNP比、瞬間風速で言うならば、ことしでも一月などは八%、九%近い国内消費がありますね。平均しても国内消費は七%であるというなどの説明によって、だんだん先方はわかってきたもののようであります。  しかし、この皮の問題は、EC諸国からも強く言われている。アメリカはかねての懸案で、はなはだ不満としてガットに提訴しておったというようなことで、公聴会を二月の二十七日、二十八日に開かれる、開かれればこれはまたどんな不測の事態が起こらないともわからない。そこで国内の事情にも十分配慮しながら、粘り強く交渉をしたというのが真相でありまして、本当は私ども、事務当局としても、まあこの程度でとめ得たことは、相当な努力だというふうに私自身も実は評価しておるような次第でありまするが、今後とも、御指摘のように零細な業界でありまするので、わが国業界に大変な激変を与えたり、また困難な状況をもたらしたりしないように、十分きめ細かな配慮を継続してまいりたいと考えております。
  27. 渋沢利久

    渋沢委員 かなりの努力をしたしとおっしゃるわけですが、その努力は私も認めますけれども、しかし、これは大変な影響が、国内の皮革産業に出てくるというふうに思っているわけです。  そこで、その妥結の中身ですけれども、これは言われるところによると、アメリカ側ではすでに金額で発表しておるようでありますが、伝えられるところによると、これはかなりの輸入枠の拡大になってきているように思うのです。この影響はかなり大きいというように見ているわけです。従来の業界の生産量の一〇%はおろか、二〇%に達する部分で、将来影響が出てくるのじゃないだろうか。もしそうだとすると、これが与える業界への影響というのは大変大きいわけで、それでなくても長期不況という波をもちろんもろに受けながら、なおかついろいろな新しいマイナスの要因が加わっておりまして、こういう業界にとって、輸入枠のこういう拡大ということが与える影響は、きわめて甚大だと思うわけです。たとえば、かなりの部分について、輸出自動車用のシートレザーに限定して使わせるというようなことを、そういう、いわばひもつきのものだというような説明がされておるようでありますけれども、たとえば、そのことが日本の国内生産影響がないかというと、これは全くないという言い切り方はできないと思うのです。そういう点を具体的にどうとらえているのか。大変交渉はうまくやって、ぎりぎりの、大臣もいま言ったように、実によくやったと言えるほどの話し合いをした、影響は余りない、こういう受けとめ方のようでありますけれども、これはとんでもない話でありまして、努力は認めるけれども、影響はこれは実に大きいと見ているわけです。影響がほとんどないとおっしゃるならば、具体的にどういう点で影響がないと言い切れるのか、これはひとつ御説明を願わなければいかぬというふうに思うわけであります。  それから、今回の取り決めの性質が、原皮提供国に対する枠の拡大ということで、これは、自主的にECへの波及をそこでせきとめる配慮というものは、私も理解することができるわけでありますけれども、しかしEC諸国への波及というものを、やはり一つの問題として考えていかなければならぬ。それから関税の引き下げ、この要求に対して、今度の交渉を通してどこまで歯どめがかかっておるのか、確認ができておるのか、それらの点に触れながら、いまひとつ細かい説明を願いたい。
  28. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 今次交渉の、わが国の皮の産業に対します影響の問題でございますが、先ほども簡単に申し上げましたけれども、まず基本的には、先方の非常に強い要求でございました、自由化についてはコミットしないということが、まず基本でございます。したがいまして、現在のIQの枠の拡大によって対処するということでございますが、その際におきまして、ただいまお話もございましたように、レザーについての原皮供給国枠という枠を、新たに設けるということもいたしたわけでございますが、全体の量の中で、まず第一点といたしましては、輸出自動車用のシートレザーというものを含めまして、さらに中間製品でございますブルーハイドについての量をその中に加える、こういったことで、全体の中で影響のないような製品をその中に含めるという形で、極力業界に影響の出ないような配慮をいたしたつもりでございます。  具体的に影響が、たとえば輸出自動車用のシートレザーについては問題がないという意味合いで申し上げますと、従来輸出のシートレザーの実績がございません。そういう意味におきまして、今回この枠を設けましても、これは保税工場扱いということで、国内に影響を与えないような形で、輸出自動車に装置されるということでございますので、この点については影響はないというふうに考えております。  また、ブル一八イドにつきましては、御承知のように中間製品でございまして、なめし皮業者が使用するものでございますので、これについてもほとんど影響がない、このように考えておる次第でございます。  なお、関税につきましては、これは、問題が非常に困難なこのなめし皮につきましては、東京ラウンドの例外という扱いでございますので、本件については無関係というふうにお考えいただければと思います。
  29. 渋沢利久

    渋沢委員 従来、皮革業界に対する通産省の政策、助成のための政策というのは、全くないとは言いませんけれども、しかし他産業への配慮に比較して、これは率直に言いまして、無視しているに等しいような対応だというふうに見えております。しかし、いわば国際競争力という観点に立つと、言い方は乱暴だけれども、吹けば飛ぶようなと言っては乱暴だけれども、大変脆弱な、ある面では、設備、技術の水準、近代化への取り組み、業界のチームワーク、あらゆる点で大変問題がある。ただ、自由化の波を政府のてこで防いでいれば、それに甘えておればいいというありようでは、もちろんどだい問題だけれども、それにしても、従来は、そういう一定のかきねも後ろ盾も必要であったというふうに思うわけであります。ですから、こういう状況の中で、政府はかなり積極的な、しかもいま少し手厚い業界に対する政策、指導、政策と言っていいようなものがおありになるかどうか、私はわからぬのですが、もう少しきちんとした、産業政策の中での位置づけというものがあってしかるべきだし、ある面じゃ波をかぶると、繊維どころじゃない、もっとひどい状態で吹き飛んでしまうおそれすらあるというふうに、私いまのこのテンポの速さ、外圧の強さの前に、そういう印象を持っておるわけですが、具体的にどういう対応策をお考えになっておるのか。特に今回のような、輸入枠の拡大という状況に対応しての国内助成策というようなものは、具体的に何か一方でお考えになっておるのかどうか、御説明願いたい。
  30. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 私ども皮革産業に対します考え方といたしましては、当然に皮革産業を維持発展させるということを基本にいたしまして、構造改善、体質の強化というものを通じまして、国際競争にたえられるような皮革産業を、育成強化していくということが基本であるというふうに考えております。  ただ、実際問題といたしましては、御指摘もありますように、企業規模はきわめて零細でございまして、一企業あたり平均いたしますと、従業員数は十人未満というような、非常に零細な産業でございますし、技術水準もきわめて劣位にあるという状況でございます。したがいまして、現在のような、IQといった制度のもとにこれを保護する体制、仕組みをとっておる次第でございますけれども、しかしながら、やはり現在の国際環境を考えますと、漸次国内の市場開放を迫る声というものも強くなるということは、当然考えられるわけでございまして、そういった意味合いにおきましても、皮革産業につきまして、競争力の強化を図っていくということは、ぜひ必要であるというふうに考えております。  私どもとして、現在特に皮革産業対策という意味で講じておる施策としましては、予算的に二億強のものが、私どもの局に計上されることになっておりますけれども、その中身といたしましては、従来からの継続部分、五十四年度から新たについておる分と両方あるわけでございますが、従来からの継続部分といたしましては一億四千二百九十二万という予算がございまして、この中身は、一つは海外事情把握といったような意味での調査の費用、それから二番目に、これが中心でございますけれども、技術水準向上のための諸般の事業費という、この二つが中心になっております。そのほか若干細かいものもございます。こういったものの従来施策のほかに、五十四年度新たに約五千七百万円の予算によりまして、現在の国際環境にかんがみての、製革業の体質改善強化を図るための、いろいろな産業振興対策調査というような費用を中心に、五千七百万円が計上されておるということでございまして、私どもといたしましては、こういった皮革産業の振興対策調査費等を活用いたしまして、こういった枠の拡大に伴います、新しい情勢におきます皮革産業に対する影響についての調査、あるいは今後のあり方等についても検討してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  31. 渋沢利久

    渋沢委員 この問題については、最後に一つ強く要望しておきます。  特にいまも触れられましたけれども、実際に、技術水準を全体として高めていくということのために必要な、公的試験所施設あるいは技術開発施設というようなものを、産地を中心にした配慮の中で、徹底をしていくということ、あるいは、特に、ちょっと不況の風が当たれば、減量経営で大量解雇というのは、少しまとまった皮革の関係の企業でもそういうことが起こりがち、しかし特殊な、くつもそうですけれども、技術を要する皮革あるいはくつ産業の中で、やはり労使関係が非常に安定をする、これは雇用の安定が特殊に求められる業態だというふうに思うわけであります。しかし非常に不安定な状況の中で、労使関係が悪いというのは、言ってみれば技術を高める、こういう継続的な技術の向上というような政策指導には、全くかみ合っていかないわけで、そういう意味でも特段の配慮が必要だというふうに考えるわけでして、当局の強力な処置を特にお願いをしておきたいというふうに思います。  なお最後に、今度は革でやったわけですけれども、くつへの影響もどうとらえておられるのか。これも早晩、さらに具体的な攻勢をちょうだいしなければならないような事態になってくるのじゃないだろうか。今回の交渉の中では、くつの問題についてどういう話し合いなりがあったか、どういうとらえ方をしておるのか、今後の見通し等に触れて、最後にお尋ねしておきたいと思います。
  32. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 今回の交渉におきましては、交渉のテーマはなめし革の輸入問題ということでございまして、くつの問題につきましては交渉のテーマになっておりません。したがって、一切触れられておらないというのが実態でございます。しかしながら、革ぐつにつきましては、御承知のようにECを初めといたしまして、関係国の関心が一般的には非常に高いということは、これまた事実でございまして、これからもわが国に対しまして、いろいろな形で革ぐつにつきましての問題が提起されるということは、十分予想されるところでございます。この革ぐつにつきましても、なめし革と同様、非常に零細でございまして、同じような技術水準にあるという実態からいたしまして、この国際競争力強化問題を踏まえまして、私どもといたしましても、十分これに対応できるような努力をしていく必要がある、かように考えております。
  33. 渋沢利久

    渋沢委員 皮革関係質問を終わりまして、次に公正取引委員会に若干のお尋ねをしたいと思います。委員長が何か参議院の関係でお見えでないということなんですが、取引部長がお見えですから、長谷川さんにお尋ねしたいと思います。肩を張らずに、気楽にあなたの御意見を聞きたいのです。  ちょうどあなた何か新聞に投稿されました、書籍流通にかかわる公取の真意という記事もありますので、これを見ながら率直に伺いたいのです。あなたもここで言うているように、例の再販制をめぐっての議論で、ことのほかにぎやかな議論になっておるわけですけれども、あらかじめ予見を持って、たとえば再販制度が必要であるとかないとかいう予断を持ってこの問題を考えるということではなしに、よく実態をまず見きわめたいのだ、こういうことをおっしゃっておるわけであります。ところが、あなたのお書きになっているものを見ましても、ここにはかなり強く、現行の再販制に問題があるという問題意識を持っておられるし、それを提起しておられるわけです。公取の立場から見れば、そうしていろいろな判断からお見えになっておられるというふうに思うのです。これは、やはりいろいろ調査をおやりになっておるということですけれども、調査というのも、客観性が求められるとはいうものの、その調査の視点というものは、ある面では主観的であり、問題意識を持ってそれが投げかけられるということがありますから、私はあなたの文章を続んだ全体の感じで言うと、これは率直に言って再販制自身に非常に問題がある、言葉じりでは言いませんけれども、これを何とかしない限りどうもならぬという思想が、むしろ出発点になっておるというふうに受けとめておるのです。そういう感じなんです。どうでしょうか。率直に、いろいろな声もありますが、公取としてはこの問題を取り上げる真意というものを改めて伺いたい。
  34. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  私どもが書籍の再販問題を取り上げました背景としましては、まず、御案内だと思いますけれども、昨年から流通問題につきまして、もっと力を入れていきたいという考え方で、いろいろな商品につきましてあるいは産業につきまして、流通の調査をやっておるわけでございまして、今回書籍の再販の問題を取り上げましたのも、あくまでその一環であるということでございます。ただ、書籍につきましては、これまで各方面、これは読者、それから出版業者、これは、中小あるいは地方の出版業者が多いわけでございますが、さらに小売も、地方あるいは中小の方々から、いろいろな苦情や批判が寄せられておりますので、ぜひ書籍を流通の実態について調査をしたいということを、かねてから思っておったわけでございます。  その場合に、書籍の流通の一つの非常に大きな特徴としまして、これは他産業に余り例のないことでございますが、一つは取り次ぎと申しますか、いわゆる卸の段階が、二社によって六十数%占められておるという、一つの流通寡占の状態になっておる。そのことと関係があるかと思いますけれども、これもほかの商品には余りないのでございますけれども、全商品といいますか、全出版社の本が再販されておるということでございますので、書籍の流通を調査する場合には、一つの問題意識としては、再販という問題にはどうしても取り組まざるを得ないというふうに考えております。しかしながら、書籍の再販ということを目標に調査するのではございませんで、あくまでもいろいろ問題のある現在の書籍の流通について、調査したいということが、私どもの真意でございます。その場合に、どうしても再販という問題には触れざるを得ないということでございます。
  35. 渋沢利久

    渋沢委員 あなたが、あなたばかりじゃないですが、公取の委員長もいろいろな機会に言っていますけれども、出版業界は重体だとか、あなたの文章によれば病理現象と言って指摘をしていることがあるわけです。それは、たとえば読者の立場で見れば、定価が高くなっている、欲しい本が意外に早く姿を消す、コミック、学習参考書、雑誌ばかりがはんらんして、本当に欲しい本が手に入らぬ、本屋が不親切で、態度が悪いというようなことなんです。ですから、いまおっしゃった二つの問題がある。一つは寡占だ、取次における寡占体制。それは、実際の状況はどうなのか。そのことで、たとえば大手出版社と中小出版社との関係、大きな書店と小さな書店との関係、流通上の差別とか矛盾とかいうものがあるかないか、どうあるか。そのことによっていわば中小出版の良書が、これを求める読者の手に渡りにくい構造があるとすれば、これは文化の問題としても問題であるとかという発展というものはあると思いますし、それは公取ならでもお互いに十分検討しなければならない課題だ、時間をかけて実態を見、改善策を考えるという問題であると思うのですが、しかし、再販制というものにそれがさっとはね返ってくるというものとしては、率直に言いましてぴんと来ないわけであります。二つの問題のうち、流通寡占、ここには、なるほどこれはよく見たい、共感を得る部分がありますけれども、再販ということにはどうストレートに返ってくるのか。これはむしろ、逆に言うと、再販を外した場合の弊害と問題点を頭に置いて考えた場合に、あなたの方が病理現象だと言っていることが、そのことによって解決するどころか、ますますこの状況を悪くする可能性の方が、私どもの頭にすぐはね返ってくる。業者、書店の皆さんが騒ぐからという問題じゃなしに、これはもうだれしもそういう受けとめ方があると思いますよ。ですから、二つの問題、寡占と再販だと言う。そしてあなたの言葉によれば、このいずれもが、「現行の再販売価格維持制度がこういった改善策の障害になるのではないかということも考えられる。」特にその点は非常に強調されておるし、それから特に業界の「あまりにもかたくなな再販売価格維持制度への固執」などと言って、業界の再販制に寄りかかるというか、それを支持する姿勢を、大変感情的と思われるような表現で言っておられるところに、どうも今度は冷静な立場で議論をするというようなところから一歩踏み込んだ、大変エキサイトした状況が生まれ出てきた本当の原因は、公取が不用意に再販の問題にかなりウエートをかけて、いまの流通改善の問題の主要な課題として、前面に並列した姿勢に問題があるのではないか。再販というものの持っている、この業界における役割りというものに対する過小評価ではないか。むしろ安易な評価が底に流れておるのじゃないか。公取委員長お見えにならぬのだけれども、委員長は、世界的にもはや再販は廃止の方向に進んでおるとかおっしゃるが、世界的にどっちの方向に進んでおろうが、日本国民、読者にとって、書物を愛する者にとって、図書が、どういう形で触れることができるか、手にすることができるか、つくることができるか、流すことができるかということが問題なんでして、そういう具体的な内容の解明、問題提起以前に、再販制に問題があるんだという言い方だけが先行しているという印象は、率直に言って避けがたいというふうに私は思うわけです。本が安ければいいという経済効率を非常に重視した言い方や考え方が、公取の中にあるんじゃないだろうか。長谷川さんは、文化の事業に取り組んでいるということを業界は考えろ、こう言っていますが、むしろそこが本当は一番問題なわけで、安ければいい、割引とか安くするということにだけ何か非常に重点が置かれてしまうということ、そこだけで見てしまうと、これは再販を外した方が、出版、流通、書店販売、小売の段階に至るまで価格競争をあおった方が、ある面ではサービスも、おっしゃるような店員の態度にもそれはかかわってくるかもしれないけれども、そんなことが問題なんじゃなくて、店員の態度が不親切だということを、病理現象だと公取が決めつけをする主要な柱に取り上げなければならぬというところにちょっと無理がある。コミックや学習参考書や雑誌ばかりがはんらんして、本当に欲しい本が手に入らないというような指摘は、一体具体的にはどのことを言うのか。はんらんしたっていいじゃないか。それが悪書であるかないかというのは、そんな問題は一体だれが判断をするのか。前に公取の委員長が、法律の力で守らなければならないほど、文化的な書物よりも、むしろ非文化性の高いものが多いというような指摘があることを、私はそれが本当に委員長が指摘したものだとすれば、きわめて問題な発言だというふうに思っているわけですけれども、やはり高くたっていいものは買いますよ。値引きを迫ってそれで買うというようなこと、それは書物の上では流通上の重要な物差しにはならないというふうに思います。週刊誌や何か、古くなったものを割り引いて売るとか、それは、通常の商品の流通とは全く次元を異にしたものとして受けとめてみると、再販制というものが持っている、その点での果たしている役割りというのは、重要なんだというふうに私は理解しています。ですから、その部分を少し軽視した発言ではないのでしょうか。どうでしょう。
  36. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  これは、やや個人的な感想になるかと思いますけれども、私どもとしましては、書籍の流通をいまから調査しようと思っているのですけれども、再販の問題だけが、余り大きく取り扱われておることに関しまして、やや戸惑いを感じているというのが事実でございまして、私どもがどういうことを調べようかということは、現在行っております調査の項目を見ていただければおわかりいただけるかと思います。  現在調査を行っております項目は、まず第一番が出版社と取次、取次と書店の間の取引条件、特に決済条件がどうなっているのか。この辺につきまして、中小出版社あるいは中小小売店からは、かなり差別的ではないか、大手に有利過ぎるのじゃないかということ。その次が再販の契約の実施状況でございます。第三番目に出版物の返品と廃棄の状況、それから第四番目に大手取次と大手出版社との株式所有状況の問題、そういうことが調査項目でございますので、決して私ども、再販だけを特に重視しているということではございません。
  37. 渋沢利久

    渋沢委員 それならば、なぜそのようにおっしゃらぬのか。あなたの書いたものの中にも、それはもう非常に再販を力説しておるじゃないですか。ここに障害があると、それは寡占と再販だと言い切っておるじゃないですか。そして、余りにもかたくななまでにそれにすがりつこうとする業界の姿勢云々と、さっき言ったように、大変いたけだかに再販問題をとらえようとしているのです。もしそうでない、いまのような姿勢が本音だとおっしゃるのなら、むしろ再販問題に対する従来の発言は素直に撤回をして、その流通の根っこを、時間をかけて寡占問題の弊害を調べたいということに問題を戻せば、何でもないことだと思うのです。むしろ逆に、再販の弊害だけを云々するのじゃなしに、再販の持っているすぐれた部分を評価する発言を、評価されないなら別だけれども、むしろ積極的にお認めになることが大事なんではないか。私はこの中身の議論よりは、公取がこの問題に取り組もうとする姿勢の中に間違いがあったと思う。再販問題が妙にクローズアップされ過ぎて迷惑しているとおっしゃるが、とんでもない。あなた方の方が再販問題をうかつに取り上げた、その甘さとうかつさにむしろ問題があるので、正しく問題をみんなで考えるという、そういう取り組みにさせなかった出発点の間違いがあると私は思う。  率直に私の印象を申し上げて、最後の質問にいたします。
  38. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 確かに先生の御指摘の点があるかと思います。ただ、いずれにしましても、私ども現在調査を始めたばかりでございますので、今後慎重に検討させていただきたいと思います。
  39. 橋口隆

    橋口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議
  40. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  41. 岡本富夫

    ○岡本委員 非常に委員会がおくれましたが、まことに遺憾だと思います。  そこで、鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の処理の概要について、公害等調整委員会から報告を受けておるわけでありますが、この中で、鉱区禁止地域の指定に関する事務の中で、権利を持っている鉱区を廃止をする、取り消しをするという裁定を公害等調整委員会で行っておるようでありますが、これについてお聞きしておきたいと思うのです。
  42. 永山貞則

    ○永山政府委員 お答えいたします。  私たち公害等調整委員会がやっております手続は、たとえばダムが建設をされるとすると、その周辺地域でいろいろな採掘が行われるとダムに危険を及ぼすというような場合に、新たに鉱業権の申請が来ても与えないように、その周辺地域を鉱区禁止地域に指定してくれ、そういう請求が関係の大臣または都道府県知事から参るわけでございます。そういたしました場合に、私たちは、鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律に基づきまして、まず主管大臣であります通商産業大臣の意見を聞きまして、それから現地にいろいろ精通しております学者あるいは専門家の意見を聞く、それからまた現地で聴聞会を開きまして、関係の都道府県知事あるいは市町村長あるいは利害関係者、そういう方々の意見を十分聴取して、その上でその地域を鉱区禁止をした方がいいか、あるいは他の産業に影響があるかどうか十分考慮いたしまして、そしてその地域を鉱区禁止指定をした方がいいという結論に達した場合に、指定をするという手続で進めております。
  43. 岡本富夫

    ○岡本委員 現在までにどれくらいの個所、またどれくらいの大きさを取り消しの裁定をしたのか、これも御報告願います。
  44. 永山貞則

    ○永山政府委員 現在までに全国で百八十六カ所でございまして、面積にいたしますと三十一万七千ヘクタール、その地域が鉱区禁止地域ということになっております。
  45. 岡本富夫

    ○岡本委員 通産省は、この鉱区禁止の勧告を受けて、後どういうように措置をいたしておるのか。これは政務次官の方からお聞きいたしましょう。
  46. 中島源太郎

    ○中島(源)政府委員 禁止地区は、いまお答えいたしましたように、ダムその他ができましたときに、新たな採掘は好ましくないということで、鉱区禁止をいたした地域が百八十六カ所でありまして、これは新たな申請ができないということでございます。実際に既存の部分で取り消しが行われた個所は一カ所というふうに聞いております。これは、当該の事業所が、ほかの理由で事業をやめたという点が一カ所でございます。したがいまして、そのアフターケアにつきましては、御報告いたすのであれば事実御報告いたしますが、この百八十六カ所は新たな申請に対します禁止ということでございますので、さよう心得ております。
  47. 岡本富夫

    ○岡本委員 百八十六カ所のうち、一カ所は採掘権を放棄した。あとの部分はそのままになっているのですか、いかがですか。
  48. 永山貞則

    ○永山政府委員 ちょっと私の方から答弁するのがいいかどうかわかりませんが、採掘権を持っておりましても、実際に本当の採掘にかかる前には、施業案をまた通産省の方へ出すことになっておりまして、その段階で、実際に好ましくなければそれは許可をしないということになります。  それで、先ほど政務次官の方からお答えありました一カ所というのは、すでに鉱業権を持っている者がおりまして、それは取り消さした方がいいというときには、私の方から勧告をすることになっております。その勧告を出したのが一カ所でございまして、それが先ほどの説明にもございましたように、実際には他の理由で、その会社自身がもうやらなくなったものですから、実際上は支障はなくなったということでございます。  それで、実際に通産大臣あるいは学者等の専門家、それから現地の聴聞会等を通じまして、その辺の鉱業権等の存在につきまして、十分調査をした上で指定をしておりますので、現実にはそういう問題はほとんど起きておりません。
  49. 岡本富夫

    ○岡本委員 この既存の鉱業権、要するにまだ採掘の申請はしてなくても、その付近の鉱業権といいますか、そういうものを持っているわけですね。それに対して、私権を制限するわけですから、この制限に対する取り消した場合の代償というようなものは、ちゃんとできるのかどうか。これについて、これは通産省の方でないと答えができないと思うのですが……。
  50. 永山貞則

    ○永山政府委員 鉱業法の五十三条でそういう取り消しが行われました場合には、損害を補償するという規定がございます。ですから、そういう措置はとられているけれども、実際にそういう問題はいままでに起きていないというのが現状でございます。
  51. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは、それに関連いたしまして、大阪空港の調停をなさっているわけですけれども、これは調停団が約一万五千人ほどおるわけです。これは何次かに分かれておりますけれども、この中で、公害等調整委員会が調停をした調停条項を見ますと、たくさんあるわけですが、その後に、被申請八、すなわち、これは運輸省が相手でありますが、運輸省は、この空港騒音あるいは振動、排気ガス、こういうような影響によってこの調停が出されたわけでありますけれども、これについての詳細を御報告願いたいと思います。
  52. 永山貞則

    ○永山政府委員 お答えいたします。  大阪空港騒音調停申請事件につきましては、先生のいまおっしゃいました調停は、去る五十三年二月に一部調停として成立したものでございまして、その調停条項は四項ございますが、その第一項は慰謝料請求に関する問題で、これは別でございますが、第二項の中に先生のおっしゃった事項がございます。  大きく申しますと、この第二項は、住民のいろいろな生活安定あるいはその周辺の環境づくりのために、運輸省あるいはそういうところが、土地利用を含めた総合的な調査研究を促進するというのが第一点でございまして、そのために国あるいは関係行政機関あるいは地方公共団体、そういうものの協力体制をつくるというのが第二点、それから、そういうものを進めるに当たって、住民の意向を十分反映するような措置を講ずるというのが第三点、それが第二項の内容でございます。
  53. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは運輸省にお尋ねいたしますが、この調整委員会の調停を受けて、どういうような措置を行われたのか、これをひとつ御報告願いたいと思うのです。
  54. 野沢達夫

    ○野沢説明員 お答えいたします。  ただいま公害等調整委員会からお示しのありました調停条項を推進していくという立場におきまして、当該第二項につきましては、つまり大阪国際空港周辺の町づくりをねらいとする土地利用ないし整備を行うということでございます。こういった点で、一つには調査研究体制としまして、国、これは運輸省が中心になっておりますが、国と大阪、兵庫の関係府県、それから関係五市、それから周辺整備機構がございます。それに大学の先生等を加えた調査会を設けまして、目下その整備計画を充実しようとして、進めているところでございます。  現在、激甚地区の一部につきまして、地区計画案を策定しておりますが、これをさらに広げていくというのが一点でございます。なお、これにつきまして関係住民の意見というものを十分反映しようということで、一つには申請団との間に、調停事項促進協議会というものを現地に設けております。こういったところで十分意見を聞いていきたいという点が一つでございますが、先ほど申し上げました調査委員会におきましても、これら関係住民の方々との間で、意見を交換しようという計画を、現在、地元の地方公共団体等とも相談して、やっているところでございます。  以上でございます。
  55. 岡本富夫

    ○岡本委員 この調停委員会の調停を受けて、そして調停委員会の意見というものを、運輸省あるいはまた通産省も同じでありますけれども、やはり遵守しなければならぬと私は思うのですね。ただ調停だけ終わって、あとはもうまあまあじゃ、これはちょっと困る。そのためにいま、通産省の方は原局が来ておりませんから、運輸省の方をよく聞いておるわけであります。  そこで、この調停に当たって、飛行場周辺は一種あるいは二種地区あるいは三種地区というように、地区指定がされておるわけでありますが、このうちの、第一種区域を見直してもらいたいというような、申請人の人たちの意見が出ておるわけであります。また私もこの付近に住んでおりまして、いままでの騒音のコンターというものの見直しを、いままで要求してきたわけでありますが、これについて運輸省はいまどういうように考えておるのか、またどういうように実施をいたしておるのか、この状況についてお答え願いたいのです。
  56. 野沢達夫

    ○野沢説明員 騒音対策で、いろいろな対策を講じておりますが、ただいま先生の御指摘のありました、いわゆる民家防音工事を講ずべき第一種区域でございます。これについては現在見直しを図っておりますが、その趣旨といたしましては、やはり騒音地域の環境をいろいろよくしていこうということで、環境庁の方で航空機騒音に係る環境基準というものが定められております。これに基づいて従来から実施してきております。現在までのところ、この環境基準につきましては、当面、昨年十二月に到来しました中間目標、これを達成するということで努力してまいりました。したがいまして、従来はWECPNL、つまり航空機のうるささ指数というものでございますが、これの八五の区域を指定して、現在区域が確定されているわけでございますが、今後中間目標が過ぎまして、新たに五十八年目標ということで、さらに厳しいといいますか、騒音の基準としては八五からさらに七五というようなことで、新しい五十八年目標というのが設定されております。これに向けてこれから対策を進めていきたいと考えております。したがいまして、現在WECPNL八五で確定しております地域を、新たに当面WECPNLで八〇という線で見直しをいたしまして、現在の区域をその基準に照らして見直しをして、区域の改定を行っていきたいというふうに考えております。  なお、五十八年目標の七五につきましては、二年先の五十六年ぐらいに再度見直しをいたしまして、こういった二段階の見直しを行いまして、五十八年目標の達成を図ってまいりたいということで、考えております。それらにつきましては、昨年の秋に地元地方公共団体の御協力を得まして、騒音の実態調査をいたしましたが、そういった実態調査を十分反映した、新しいコンターに基づきまして、それで区域改定をしていきたいということでございます。従来からも区域改定につきましては、地元の府県あるいは関係市の御意見を十分聞いて、やっておるわけでございますが、現在そういった作業に取りかかっているという段階でございます。
  57. 岡本富夫

    ○岡本委員 騒音というのは、八〇も七九もそう変わるものではないわけですが、この中で、荒牧地区とかあるいはまた緑ケ丘地区、これは若干、八〇にはならないけれども七九だというような、そういう微妙な地域があるわけです。被害者の皆さんから考えると、そこも現在の第一種地域に入れてもらいたい、これはわずか一ぐらいのところで差があるというのは、非常に世論がやかましい、また、私はそうすべきである、こういうように考えるのですが、これについてひとつ承っておきたい。
  58. 野沢達夫

    ○野沢説明員 先ほどお答え申し上げました昨年秋の実測調査で、ただいま御指摘のありました荒牧地区の一部で七九・四、緑ケ丘でもそれに近い数字が出ているところでございます。この両地区につきましては、従来から地元から強い御要望があることは、私どもも承知しておるところでございます。そういった状況でございますし、昨年の実測調査等も十分考慮しまして、あわせまして地方公共団体、これは兵庫県と伊丹市が関係地方公共団体でございますが、それらの地方公共団体の御意見を伺いまして、合理的な区域改定が実現できますように、努力してまいりたいと考えております。
  59. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、地方公共団体が、学校だとかあるいはまた共同利用施設、こういう公共施設が防音装置になった、あるいはまたいろいろと新しいものができたということで、非常に持ち出しが多い、そういうことから、私は、これはたしか四十五年に提案をいたしたと思うのですが、航空機の燃料の非課税、これをひとつ、この燃料に税金をかける、そして譲与税として、これをその地域に交付したらどうかということで、これができるようになったわけでありますけれども、まだこれが非常に少ないということで、たびたび要求いたしました。その燃料の譲与税について、五十四年度から実施をするということになっておるのですが、これについての確たる御答弁をいただきたい。
  60. 野沢達夫

    ○野沢説明員 航空機燃料譲与税につきましては、航空機燃料税、これを徴収いたしまして、そのうちの十三分の二を譲与税として、関係市の方にお配りしているというのが現状でございます。これにつきましては、現在の燃料税そのものがキロリットル当たり一万三千円ということでございますが、これを二倍に引き上げたいということで、燃料税の方はすでに通過しておりますが、あわせて譲与税法案が現在提案されているところでございます。これが実現いたしますと、五十三年度におきましては、約四十億円というものが市町村に配られておりましたが、五十四年度には、自然増も含めますと、二倍強の八十七億円というふうにふえてまいります。ただこの際、従来地方に対する譲与税につきましては、市町村だけでございましたが、最近の情勢は、先ほどの土地利用というふうな大きな問題もございまして、関係の府県の方でも財政需要が出てきているということでございますので、全体の四分の一に当たるものを、新たに府県に配分するということで御提案しているところでございます。こういったことで、もしこれらが実現いたしますと、都道府県については、新たに十七億円の財源が付与されますし、市町村につきましては、従来の四十億円が七十億円ということになろうかと思います。こういった点で、騒音対策につきましては、地元地方公共団体にいろいろ財政需要がございますが、こういった財政需要の増高に対応する措置として、寄与できるのではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  61. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは調停事項ではありませんけれども、これに関連いたしまして、いま川西市あるいはまた豊中市、これが訴訟を起こしておりますが、たしかエアバスを導入するときに、十項目にわたるところの覚書を運輸省と交わしておる。これは兵庫県の副知事も一緒に入って、また大阪の知事も入って、十項目の覚書を交わしておるわけでありますが、これは五十二年の四月三日に行われておるわけですけれども、その後この覚書についてどういうような処置をし、後、どういうように進んでおるのか、これをひとつお答えを願いたいと思います。
  62. 野沢達夫

    ○野沢説明員 お答えします。  ただいま御質問のございましたいわゆる十項目の覚書は、大阪国際空港につきまして、エアバスを入れるという際に、地元の地方公共団体の代表と航空局長の間で結んだものでございます。内容的には航空機の音そのものを軽減していくという発生源対策、それから先ほど来触れられております、民家防音工事その他いろいろ含めます周辺対策の全般にわたる事項について、覚書が締結されているわけでございます。  この十項目の覚書につきましては、大阪国際空港の航空機騒音対策につきまして、従来から非常に懸案となっていた事項が網羅されておるわけでございまして、中には、実現を図っていく上で、非常に困難なものが含まれているわけでございます。しかしながら、私ども運輸省といたしましては、大臣も地元に決意表明をしておりますように、やはり地元とのお約束をどうしても実現していくということで、現在まで努力しているわけでございます。  五十二年四月に結ばれましてから、五十二年度におきましては民家防音工事を、従来二室対象地域の制限がきつくございましたが、これを拡大していく。それから伊丹市なり豊中市に、大気汚染のステーションを設置するというようなことを実現いたしております。引き続きまして五十三年度におきましては、もろもろの周辺対策事業につきまして、補助制度の改善なり、新規の補助制度を設けたりしておりますが、特に移転跡地を利用いたしまして、これを緑地とかあるいは防火貯水槽として利用するという、整備事業に対する補助制度を新たに設けて、周辺の環境の改善に役立てているわけでございます。それから去る十一月には、航空会社からの拠出金を原資といたします第三者機関を設けまして、移転者等に対する貸し付け等の制度を発足しております。今年度の予算の政府原案におきましては、特に要望の強い民家防音工事につきまして、従来一室または二室というものを、最大五室まで防音工事を行うというような、大幅な改善を行っております。  十項目、詳細にわたりますので、大まかに申し上げましたが、今後とも引き続き努力いたしまして、これら内容の実現を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  63. 岡本富夫

    ○岡本委員 約束の時間が参りましたからあれですが、そこで、先ほど報告を受けました、五十六年度に五十八年までの達成の、七五の区域を見直すということでありますが、五十八年になりますと、WECPNL七五ということになるわけですから、予算の都合もございましょうけれども、大体そのコンターがもうほとんど出ておるわけですから、そこまでの地域の民防は、やはり大体のところ線引きをして、五十六年度には必ず実施するんだというような、そういう大体の確約がないと、あるいはまた簡易工法でもいいから、エアバスを入れたりしてどんどん音がおりてくると、隣の家はできたけれども、こっちはできなかったというので、非常にバランスが崩れる。いままでしんぼうしたのだというようなところが非常にあるわけですね。ですから、最後に食い逃げされたら困る。一生懸命調整委員会に何遍も通って調停してもらった。そして待っておったけれども、最後には七五以下だったためにだめだった、いまは七五以上なんだというようなことで、非常にそういった不安を持っておる。そういうところもあるわけですから、これに対してやはり、いま直ちに答弁はあれでしょうけれども、検討をしていただいて、そして現在である程度の線を引いて、ここまでいたします、ただし予算がないから次なんだというような約束が、線引きができるような、そういう指導をひとつしておいてもらいたい、これをひとつ要求いたしまして、ちょうど時間ですから終わります。
  64. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 中村重光君。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 経企庁長官に初めてお尋ねをすることになりますが、たしか二月八日、予算委員会での長官の答弁であります。それだけでなくて、記者会見あるいはその他の会合等において、長官がお述べになったことなんですが、国際収支を経常収支だけで均衡させるということについては、適当なわが国の態度ではない、いままで貿易収支が黒字であるとか、そういった議論だけがなされておるということについては非常に不満だ、わが国経済構造が原材料を輸入をして加工輸出をする、五千五百万の就業人口、そうしたものを抱えている特殊性ということから考えてみると、何でも輸入をする、向こうさんの言うとおり輸入をやるわけにはまいらないということですね。当然貿易によって得た黒字というものは、これは答弁の中であるいは新聞談話等の中で、はっきりしない面もあるわけですけれども、恐らく開発途上国等に配分をする、こういうことですから、経済協力を強力に推進をしていく、そうしたことで基礎収支を均衡させることができる、その数字はたしか四十億ドル程度になるというようなことであったようであります。  私は、この大臣答弁が、大平内閣の政治姿勢という形によって、受け取り方によっては、従来進めてきた政府の政策転換とも受け取られるわけなんです。大臣の私見ということはないでしょうけれども、必ずしも政府の姿勢になっているというようには受け取っていなかったわけですけれども、新聞報道等を通じて私が感じることは、大平内閣の政治姿勢というのか、政策として確立をしておるような印象も受けるわけです。これらの点についての大臣の御見解、それを一応伺ってみたいと思います。
  66. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  私は、日本の現在の産業構造から考えますと、依然として日本は原料がない、資源のない国でございますから、多量の原料を輸入して、それを加工していくという製造工業の部面においては、そうした形が根強く定着しておりますし、また従来、日本貿易政策と申しますか、産業構造ということから考えますと、そうした方向をさらに強化していくことが、日本経済社会の安全につながるという考え方で来たわけであります。したがいまして、昨今のように日本の製造工業が非常な技術開発をし、しかもコストが安く、しかも良質の製品を生産するようになりまして、これは私は日本国民の非常な英知だと考えるのでありますが、その結果において日本が相当大きな黒字を経常収支において出すということ、これは私は一般的に見れば大変結構なことだと言わざるを得ないのであります。しかし、その黒字幅が余り大き過ぎるということで、現在世界じゅうから、日本貿易政策というより、経済の進め方についての批判が多いということも事実でございまして、そうした考え方に立ちますと、やはり徐々にではあってももう少し輸入をふやして、そうして経常収支の黒字幅を縮小していくという方向をたどることは、これまた日本が国際社会において生きる場合の、重要な一つの課題であるというふうに考えております。  そうした考え方に立ちまして、いまわれわれがし考えておりますことは、それによっても、なおかつ六、七十億ドルの黒字は出るのが、どうもわれわれの予測でございまして、したがって、それが果たして世界じゅうの国々から、大いに満足を持って迎えられるかどうかということも考えなくてはならない。でございますと同時に、やはり世界全体の現在の動向から見ましての南北問題に対して、日本が積極的に取り組むということや、発展途上国に対する援助を強化することや、あるいはまたさらに、言うならば、先進諸国に対してもこうした黒字を再投資をしていくということを活発にやることによって、その結論といたしまして、基礎収支が均衡するという政策をとっていくべきではないかと思っております。事実、ただいまのお尋ねで、大平内閣の姿勢としての、方針としての定着性を質問されましたけれども、私は今年度の日本政府の対外経済協力方針というものは、五十二年に対して、三年間で倍増するというようなプログラムを実践しておるわけでございまして、この方針というものは全般的に見て、まだ十分に諸外国の理解を得ておりませんが、基礎収支均衡ということで日本をさらによく理解させる、そのためにも経済協力を、特に南北問題に対しての積極的な発言と行動をすることによって、大きな理解を得るのではないか。そのことが、逆に言うならば日本国内の雇用の安定というものに、きわめて重要な政策の一環であるというふうに考えております。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 いま大臣がお答えになったこと、考え方ですが、理念としてそうなければいけない、私もかねてそう主張してきたわけです。基礎収支均衡論というのが、国際会議の場で強く主張されないということは、やはり問題である。ただ経常収支、貿易収支、そういったような問題だけで、いわゆる押される一方である。言いたいことも言わない。それでできもしないことを押されっ放しでもって約束してしまう。そのことは国際信用を失墜するという形になっていく。国際信用の失墜だけではなくて、むしろ国際的にもあるいはそのことが国内的にも、無用の混乱を引き起こすということになりかねないし、またなってきたというように私は考える。ですから、大臣のいまの御答弁なり考え、理念というものについては、私は同感なんですけれども、ただいま大臣のお答えを聞いておりますと、私がいままで予算委員会におけるところの答弁を通じ、あるいは新聞報道等によって知り得たことと若干ニュアンスが違うのです。いままで進めてきた政策とどう実質的に違うのか、国際会議の場で、そうした国際場裏で、基礎収支均衡論というものを強調しなかったということは事実でありますけれども、考え方の上にはあっただろうと私は思うのです。それで貿易収支ということ、あるいは経常収支ということだけで、日米交渉等の場において議論をするということについては、非常に不満である、こう言っている。だから、相手の国が買えと言うからそれを輸入をしていくという、そういうことに対しては適当ではない、こういうように私は受け取っていたわけです。ところが、当然ではありますけれども、輸入もできるだけやっていかなければならないということなんですね。してみると、いままでの政策と実質的にどう変わるのかということなんです。  それから大臣がいま経済協力、三年間に倍増と言ったことについてでありますけれども、私は基礎収支均衡論といったものに対して説得力がなかったということは、言葉だけであって、政府ベースの経済援助にしましても、経済協力全体から見ましても、日本は非常に冷淡というのか、先進国家の中においては余り大きなことが言えないといったような実績を示してきた。そのことが、国連の非常任理事国に立候補し、バングラデシュに敗れるというような、ああいう醜態を演じるということになってきたのじゃないのか。だから、大臣がいま言われる理念としては結構なんだけれども、そのことが、国際場裏において説得力を持ち得ないということになると私は思う。それらの点を大臣はどう認識をし、ここでお答えになるようなことが、今後国際会議の場でも強調されるでありましょうし、それが実際信頼される方向に改め得るのかどうか、前進させ得るのかどうか、その点に対しては、確信を含めてひとつお答えをいただきたいと思う。
  68. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま委員の仰せられたことが私は真相だと思っております。と申しますのは、日本のODA、政府開発協力でございますね、これなども、GNPに対してつい最近までは〇・二程度であって、今年度ずいぶん勉強さしてもらってもまだ〇・三ちょっとでございますから。これが〇・二とか三とかいう程度であっては、やはり十分に説得力のある協力援助とは言えないと私も思います。しかし、こうした努力を続けておるということが、五十二年、五十三年、五十四年という事態の中でだんだんと実証されていくということと、それから一方、余り黒字幅が大きいので、諸外国は日本の内需を無理やりに大きくして、外国製品を買うように、輸入を拡大するように、そうした戦略をもって日本に臨んできたことも事実だと思うのです。その結果、非常に無理な成長率を押しつけるということ、これなどは私も先般ある人に申しましたのですが、OECDの成長見通しなどを見ますと、よその国は三%とか二%とか、多くても四%程度の成長を見込んでおるのに、日本だけその時点で七%を要求されるなんということは、要するに黒字幅を縮小するために内需を振興しろ、無理でもやれ、こういうふうな形になってきておる。しかしそうした無理を、どうやら国民協力の中で乗り切ってきて、ようやく日本経済も、昨今、そしてまた五十四年度見通しの中でも、内需が相当に活発に動きそうになってきておりますから、ようやくこれで成長率でもって圧迫される事態は避け得るのじゃないか。そうなるとちょうどわれわれも余裕が少しできるわけでありますから、そうしたできた余裕を、今度は経済協力やあるいは発展途上国に対する平和的な協力、そしてまた民生安定のためにきめ細かな協力、こうしたことを積極的に展開するということを、やはり世界じゅうに認識してもらうのには、今度のサミットの会合などは、大変に私はいいチャンスではないかと実は思っているわけであります。つまり、今度のサミットにおきまして、当然また南北問題が大きな課題になると思いますが、そのときに日本は、金額はともかくとしても、非常に積極的な意欲を持ってこれに当たっていくのだということ、あるいはまたその他のいろいろな政府機関を動員して、開発援助に協力をする基本的な方向を示すということ、これを各国首脳に認識してもらうのにはいいチャンスではないかと思っておりまして、こうしたことの積み上げの中から、徐々にではあっても、いままでのようにただ経常収支だけで日本がいいとか悪いとかいう批判を受けないで、世界平和のために貢献する日本という認識が、基礎収支のバランスを見て、理解してもらえるようになるのではないか、またわれわれとしましては、そうした方向にぜひこれからも日々努力をしてまいりたい、そのように思っております。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 いまの大臣のお答えも私は賛成なんで、経常収支とか基礎収支とかという議論の問題ではなくて、基礎収支均衡論というものを強調し得るそういう体制を整えるというか、バランスをとっていって、なるほど基礎収支均衡という日本の主張は正しい、それだけ南北問題について日本は実りある、いままでとは違った政策展開をやっているという評価の中で、初めて基礎収支均衡論というものが信頼される、説得力を持ってくる、こう私は考えるわけなんです。  実は経済協力の問題については、基金法を経企庁の方から御提案になっているわけですから、そうした問題等、できるだけ早く法律案を審議、成立をさせることが必要であろうという考え方で、法律案としてはもう整理が終わりましたから、この次に審議をするというように考えておりますから、御協力を申し上げるわけでして、その際にひとつ大臣の見解も十分伺いましょうし、私どもの考え方も実は申し上げたい、こう思うのです。  ただ大臣、いかがでしょう、この六月の東京サミットで、いま大臣がおっしゃった基礎収支均衡論といったようなことについて、いままで伝えられておった経常収支というものが議論の中心であってはならぬ、また日本のそういう特殊性というものもあるのだから、原料輸入、加工輸出、そして五千五百万という就業人口を抱えている、この日本の特殊性を考えてもらわなければならぬといったようなことの強調を、当然されるでありましょうが、その際に、東京サミット説得力を持って、相手になるほどというように納得させ得るようなことが可能かどうか、その点はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  70. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 もちろん委員の仰せられるように、私も確実にそういくというふうには考えません。努力をしなければならぬと思うのでありますが、幸いなことに、今国会に基金法の改正等も出して、ただいま委員からも仰せられましたように、審議を急いでやっていただけるというようなこと、こうした一つの具体的な行動そのものが、一つ説得力になるということを私は考えます。と同時に、いままでとはまるっきり考え方の違うことを言ってもなかなか通らないわけでございますから、そうした方向をやるためにも、われわれは一部分日本の市場をもう少し開放するというような動き、何を幾ら買うとかいう具体的なことではなくてもいいから、日本が経常収支から基礎収支に移るそのための一つの説得の材料として、日本の市場が閉鎖的である、封鎖的であるというような批判に対しても、これを解除する方向に努力をしていくというようなことを積み上げながら、われわれとしては諸外国の理解を求めたい、そのように思っておるわけでございます。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 私は、閉鎖性ということは、これはよろしくないとは思うが、言うことは言う、受け入れられないものは受け入れられない、そのことはひとつはっきり言う必要があると思う。たとえば、後できょうお尋ねをするつもりですけれども、電電公社の機材の購入に対する門戸開放の問題、このことは重要な問題である。電電公社の問題が今度合意をすると、さあ国鉄であるとか何とか、いろんなことで要求というものはさらに強まってくるだろう。これは相手の国は、アメリカを中心としてEC諸国は、やはりこの経常収支の黒字がなかなか減らない、どうも日本は約束を守らないということに対する批判ということで、私は強い攻勢がかけられてきているだろうと思うのです。いま大臣が、閉鎖性はよくないのだから、できるだけ門戸を開放して、そして相手の国に理解をしてもらうようにしなければならぬということはわかるのですが、余り無理を受け入れるということは、私は日本の国の経済あるいはいま重大な雇用問題に、大きな蹉跌を来すであろうということを考えますから、その点については、やはり言うことは言うが、余り無理を受け入れるということで、必要以上の摩擦を起こさしめるということについては、十分考えてもらわなければならないということは申し上げておきたいと思うのです。  大臣からいま、考えているんだけれども、そういう東京サミットの場で、なかなか相手も言うことを聞いてくれない、だろうということを言われたので、後でお尋ねをしたいと思っていたこともあるのですが、それはまずおくといたしまして、昨日でしたか、大臣が物価と景気対策ということで、どこかで講演をしておられるわけですが、私は、これも報道されている限りは賛成なんです。物価なら物価一点張り、景気対策なら景気対策一点張りであったところに私は失敗があったと思うのです。福田内閣の場合においてそうであって、私は総理に直接そのことを申し上げたことがある。やはり景気対策と物価対策というものはバランスのとれた、均衡ある政策転換をやっていくのでなければ、これは、その政策は成功するものではないということを考えますから、物価と、それから景気対策というものを、均衡した形で進めていくということでなければならないという主張に対しては、いま申し上げたように、私は同感するわけなんです。  ところがどうでしょう大臣、物価の問題も私はこれは大変なことになってくるように思う。五十三年度卸売物価マイナス二・六、消費者物価は四%、こういうことになっているわけですね。そうして、五十四年度は一・六、消費者物価が四・九%という経済見通しをお立てになっていらっしゃるようであります。ところが、円高がよほど悪者のように言われてきた。そのメリットというものは余り強調しなかった。さあ今度は円安になった。日銀が円高を抑えるために、これは介入をして円高を抑えていくというやり方をした。円高になることを抑えるために、円安にするために介入をするという、そういうやり方すらやっている。ところが今度は円安であるために、当然現在では輸入をするわけですから、銅にいたしましても亜鉛にいたしましても、その他の基礎物資というのは値上がりをしている。それから原油も値上がりをしているという、いわゆる外部要因ということによって、卸売物価の上昇の要因となってきている。それが消費者物価にはね返ってくることは避けられない。消費者物価にいたしましても、メジロ押しに公共料金を、これは大臣の所管なんだけれどもお上げになる。それだけではなくて、今度は原油の価格も、OPECは年率にして一〇%でしたが、恐らく近くまた再値上げをするのではないか。イランは一八%から二〇%ぐらいの原油値上げということを言っている。そうした情勢の中で、私は五十三年度の見通し、五十四年度の経済見通しというものも、残念ながら政府見通しのとおりにはなり得ないのではないかという感じがいたしますが、それらの点に対しての考え方対策について、ひとつ御見解を伺ってみたいと思います。
  72. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 五十三年度の成長率でございますが、初め七%、その後修正がされて、われわれの見通しでは六%程度というふうになったわけでありますが、これで一番大きな変化は、円高によって輸入が非常にふえたこと、そしてまた円高によって輸出が減ったことで、この全体としてのGNPの伸び率を低目に抑えたわけであります。国内だけ見ますると、特に五十三年も半ばを過ぎてからは、だんだんと景気も好転してまいりまして、最近われわれは、国内需要だけは七%を多少超えるぐらいの成長率が、実績としてあったというふうに見ております。したがいまして、五十三年度の全体のパーセントはいかなかった、しかし内需は思った以上に大きく伸びたということになっていると思います。  五十四年度は、そうした基盤の上に立っておるわけでございまして、われわれは特に貿易関係、当時円は大体一ドル百九十円が相場でございましたので、それを基準にして計算いたしたわけでありますが、これと現在の二百円台というものは、そう大した相違はないわけでございますが、大体において五十四年度は、貿易の輸出入は、ある程度のバランスをとっていくだろうというふうに見ておるわけであります。また、国内の経済の拡大も、五十三年は年率にして大体七%ちょっとぐらいに行っておると思いますが、五十四年度はこれが六・六%ぐらいのところまでいくのじゃないかというふうに見ております。  物価の方でございますが、卸売物価は、五十二年は円高あるいはまた国内の前半の非常な不況等によりまして、むしろ前年比マイナス二・六という大変大きなダウンがあったわけです。それから消費者物価は、現状までだと四%の上昇までいかないと思います。三%台の上昇にとどまるのではないか。この物価の面から見ますと、景気だとか失業だとかの問題を捨て去ってしまいますと、物価政策だけは、五十三年は非常にうまくいっているというようにわれわれは見ております。五十四年度は、こうした非常に成功した物価政策の後を追いまして、いま御指摘のような海外要因や世界動向や、そしてまた国内自体の景気の回復等がございますから、このような低上昇率で食いとめるということは、なかなかむずかしいというようにもちろん考えております。それで消費者物価の方でございますが、四・九%程度ということを目標に掲げておりまして、この中には、もちろん年間一割上がるOPECの石油価格の上昇も見込んでおりますし、また、その他われわれが予算としてお願い申し上げておる、各種の公共料金の引き上げも入れております。また、地方自治体が認可をする公共料金等につきましても、大体物価スライド程度のことでとどまるというふうに見て、これは全部織り込みまして、四・九%を計上しておるわけでございます。それと同時に、卸売物価の方は、円高の停滞と申しましょうか、円安とまではいかないと私は思いますが、そうしたことや、石油事情の急激な変化、こうしたものを考えて、五十四年度は、前年はマイナスの二・六でございましたが、今度はプラスの一・六というふうに考えております。  卸売物価の一・六%上昇と、消費者物価の四・九%の上昇ということは、目標でございますが、こうした目標を達成することが、雇用にもあるいは経済成長にも、ある場合には経常収支あるいは基礎収支等にも、すべてに関連する非常に基本的な数値と考えて、われわれはこれを維持することに全力を傾けたいと思っておりますが、委員もおっしゃられましたように、最近の情勢変化ということは、われわれももちろん深く憂慮しております。したがいまして、少し早目であると思う方が多かったと思いますが、二月二十六日に、政府は物価政策の総合的推進という、八項目からなります相当膨大なプログラムをつくりまして、これで各担当省、そしてまた政府全体として、早目早目であるけれども、対策を打ちながら、物価の安定に非常な努力を傾けようということを決めたわけでございます。いまその後のフォローアップに入っておりますが、そうした現状から見まして、いまの円高や円安状況や、あるいはまた石油のスポットの値上げ等が世上非常に喧伝されておりますけれども、そうした影響がもろに、われわれの掲げておる五十四年度の目標に対して非常なマイナスだ、それを達成することを妨害しているという事態には、まだ立ち至っておらないわけであります。  いずれにいたしましても、全力を挙げて物価の安定に努力いたしますし、また、その政策の中で、不十分なものがあればどんどん見直したいし、もう一つは、物価政策の中で、食料品につきましては現状よりむしろ値下げの方向をぜひ実現したい、そのような努力を続けてまいろうと思っておりますので、まだ至らぬところは多々あると思いますが、御指摘をいただきまして、われわれも努力をしてまいりたいと思っております。     〔山下(徳)委員長代理退席、野中委員長     代理着席〕
  73. 中村重光

    中村(重)委員 私は、実業界出の小坂経企庁長官、けだしはまり役である、江崎通産大臣とあわせて、大平内閣のエリート、目玉というか、柱だと評価をしているぐらいなのです。長官はいま本当にそう思っておられる、またやろうという意欲を持ってお答えになったとは思うのです。心にもないことを言ったとは私は思いません。思いませんが、残念ながら私は甘いように思いますね。  七%の経済成長、そういう要因はないのではないか。いまの減量経営をどうするのかという問題ですね。財界は、恐らく七%以上の経済成長なんということは考えられない、この低成長下において、いかにして経営を安定し、みずからの利潤を確保するかということについての、財界としての政策転換をやったと私は思っている。だから、徹底した減量経営ということをやっている。だから、政府が、恐らく通産大臣も、精力的に今後もおやりになるでしょうが、減量経営はほどほどにしなさい、節度を越えてはいけない、日本経済をだめにしてしまうのだというような考え方で、指導していらっしゃるでしょうし、またさらに精力的におやりになるだろうとは思うのですが、財界は、そう政府の言うとおりにばかりいかないぞ、みずからの安泰を図っていくのだという考え方の上に立っている。  しかし、私企業であっても、少なくとも雇用ということに対する責任は持ってもらわなければいけない。さあ首切りだ、さあ合理化だ、低賃金だ、あるいはボーナスもカットするのだ。内需を拡充していく、そのためには消費性向を高めていかなければならない。その消費性向を高めていくための賃金を低賃金にし、社会福祉というものも冷淡に扱う。どうしてそれで個人消費が高まっていくであろうか。そして減量経営で首を切る、失業者は増大する。五十二年度、五十三年度を比較いたしますと、借金財政で公共事業をおやりになったけれども、十四万の失業者が増大しておる。この数字はどうすることもできない。だから、具体的なそうした事実の上に立って、勇断をもって政策転換をやって、少なくともいま長官がお答えになりましたような政策を、実現せしめるということでなければいけないと私は思う。  私は、インフレ傾向は非常に強くなってきていると思う。いま、公共料金の値上げ等についても、消費者物価の中に織り込み済みである、こうおっしゃいました。しかし、イランの情勢と、一七%とか一八%といったような原油の値上がりということは、予想しておられなかった。年率一〇%のOPECの原油値上げは織り込んでいたかもしれませんが、これはそれでおさまらない、再値上げということになるのではなかろうかという感じがいたします。  さらに国債の値下がり、そして五十四年度十五兆二千七百億という国債の増発をなさる。資金運用部に引き受けさせる。資金運用部は、資金がなくなってくると、日銀に引き受けさせるということをおやりになる。そうすると通貨供給量、マネーサプライというのは増大してくる、こういうことで、インフレの方向へとひたむきに走り続けておるような感じがしてなりません。現在政府見通しのとおりやるにいたしましても、消費者物価四・九と五十四年度は見通していらっしゃる。一年物の定期預金は四・五%、〇・四%の預金の目減りがある、こういったような問題も国民の納得できないことでしょうし、また大きな不安を持っていることであると考えるわけなのです。  これらの考え方の上に立って、両大臣は、少なくともいま長官がお答えになりましたようなことが、見通しの誤りであったということにならないように、実現させ得る確信がおありなのかどうか、失業者は今後どの程度に縮小することができるのか、雇用創出対策というものをどう強力に推進していこうとなさるのか。十万やそこらの雇用創出では問題にならぬと私は思う。それらの問題も含めて、両大臣からお答えをいただきたいと思います。
  74. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 確信を持つかどうかということでございますが、われわれとしましては、ぜひそうした努力を、全力をふるってやるしかないと思います。  もう一つは、私は、政府の施策以上に重要なことは、国民の気持ちであるし、また民間の活力ではないかと思うのであります。私は、政府としての景気振興のために出し得る財源というものは、完全にこれ以上はもう出せないものだというふうに観念しておりますから、これ以上のことはできないのだということを、国民によく理解していただかなくてはならない。そのためには、逆に言うと、物価が上がればそれだけわれわれがなすべき仕事が減るわけでありますから、こうしたことについても、国民の御理解をいただかなければならぬ。同時にまた、民間の活力をこうした時期にこそふるい起こしていただかなくてはいけないのですから、これは何も経営者だけではないのでございまして、現在の日本の企業の中における組合の方々の考え方というものも、われわれ長く接する中で十分理解できるし、またその活動力の外延の広がりというものは、一政府などの考えるよりはるかに大きいものがあると考えておるわけですから、こうした国民全体の活力を引き出すということにプラスアルファを求めつつ、経済の、より民主的な運営の中での繁栄というものを築きたい、このような考えでございます。  それにいたしましても、一義的にはわれわれが率先して困難に当たり、その打開に努力しているという、まともな、まじめな政策努力と姿勢が、またこの民間の活力を引き出す上に、きわめて重要な役割りをするものだというふうにも考えておるわけでございます。
  75. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は、きわめて重大な問題だというふうに私認識しております。  私も通産大臣に就任しましたときに、昨年来のこの景気をどういうふうに持続するか、それには企業にまず活力を与える環境づくり、それと雇用の安定であるということを、初の記者会見で強調した覚えがございますが、たまたまそれは、いまでも内閣としての大きなことしの方針になっておるというふうに思います。  一方では為替相場の安定をさせること、それからイランの問題以来、石油一つの引き金的な要素になって、物価高が予測されること、ですから、物価をどう抑えるか、為替相場をどう安定させるか、この二つの議題もありまするが、まずこの雇用の安定というためには、私どもも労働大臣とともに、経済四団体の皆さんと会って、いろいろ事情を聞いたり、また私どもの方からも、雇用を維持することの社会的な意義、責任という言葉は言い過ぎかもしれませんが、少なくとも雇用の問題というのは、そこに大きな意義があるから、ぜひひとつペイをする企業においては、十分協力を願いたいという懇請などもいたしてまいりました。そういう一片の懇請で事が解決されるものではありません。もともと雇用の問題というのは、経営者、労働者双方が胸襟を開いて話し合うところに、円満な次の成果が期待できるわけでありまするから、われわれがそう短兵急に物を言ったからどうなるわけではありませんが、しかし、たとえば、この五%のエネルギー節約を、どうしても果たさなければならないというときにも、大企業の協調はもとより求めなければなりません、節約も求めなければなりませんが、大口規制などもすまいという決意をしたのも、雇用の安定を図ろうというあたりに、一つの目標を置いておることはお察しいただけると思うのであります。  そこで、御承知のように、このごろはサービス業が非常にふえてまいりました。それこそ製造業で減った百十七万人が、四十八年以来たまたま符節を合わせて、経企庁統計によるというと、そのままサービス業が吸収しておるというような形であります。これは私、これからもこういう時代ですから、相当伸びる可能性があると思います。その方向は何かという御質問でありまするが、知識集約型の産業というものが深く期待される折からでありまするので、機械産業における労働人口というものが相当伸びるのではないか、またこれを振興させなければならぬということを強く感じておるものであります。  そのほかとしては、社会的ニーズの上から言いまするならば、文教の面であるとか、福祉の面であるとか、そういった面が多様化してまいりまして、いろいろな面で雇用がふえることを促進したいなということを思いながら、実は一つずつきめ細かに、いま事務当局にもチェックをさせておるというのが現段階でございます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますから、他の質問に移りたいと思っているのですが、いま両大臣、企業に活力を与えるということを強調されたわけです。企業に活力を与える、私もそれはそうでなければならぬと考えるのです。ただ問題は、減量経営というものが中心となって、造船等特定の不況業種を除いて、史上空前の利潤を上げたというこの事実であります。一方先ほども申し上げましたように、福祉も残念ながら先進国家と比較をすると、振替所得なんというものはもう問題にならない、物価は東京都は世界一高い、住宅事情というものも世界一悪い、地価も高い、労働者に対しては低賃金、ボーナスを〇・一カットしたことも事実なんです。だから、企業が活力を持たなければならないから、君たちはがまんをしなさい、ただがまんを強要する、そういうことによっての企業の活力だということであるとするならば、私はこれは納得がいかない。やはり内需の拡充、個人消費を高めていくということは大変重要なんだ。輸出はいままでのような期待を持てない。それらのことを考えるならば、私は消費性向を高めるための、総合的な、バランスのとれた施策の展開ということでなければならないということを、強調したいというように思います。  同時に、先ほど申し上げましたように、企業側に言わせれば、これは活力を持つための政策であって、活力を持ったならば、さらにまた設備投資等もやって、こう言うかもしれませんけれども、それじゃ大衆はどうなってもいいのか、私はこういうことにはならないと思う。その点は、十分ひとつ内閣においても、バランスをとるということについての協調を、強くしていただきたいということを、要請をしておきたいと思います。  それから経企庁長官いかがでしょうかね。物価指数なんですけれども、季節商品を消費者物価の指数から外したらどうなんだろうか。これは暖冬異変なんということで、暖かければ果物もできる、野菜もできる、キャベツなんというものは、もう運賃を使って市場に出すよりも、腐らした方がましだ。そういうことが今度は物価が非常に安くなるという形につながる。物価指数の中にそれが反映してくるわけですね。それでは政府の施策の展開によって、卸売物価がこうなった、消費者物価がこうなったということにはならない。先ほどおっしゃった食料品というものは、それは政府の政策展開によって、非常に価格を引き下げる役割りを果たすでしょうし、また失敗をすると価格を上昇せしめるということにもなるわけだから、すべての食料品を言うのではないのですが、季節商品というのは、これは物を限るのですけれども、物価指数の対象から外す、そういうことも、ひとつ国民にどんどん発表していくということが必要ではないかと思いますが、御見解はいかがですか。
  77. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 現在の消費者物価指数の中で、季節商品はウエートが約八%程度ございます。この季節商品の動きが、かなり全体の消費者物価指数の動きを左右する面がございますが、実際問題として、私ども物価の基調を判断いたしますときには、いまおっしゃったように、季節商品を除きました、除く季節商品というもので基調を判断しております。現在のところでございますと、一月の全国でもって、対前年同月比が三・二%でございますが、この中で、季節商品は、まだ一月の段階では昨年に比べて高くなっております。六・七%でございます。除く季節商品というのが二・九%ということでございまして、季節商品を除いた物価が二%台ということで、これは昨年一月くらいは五%台でございますから、全体として非常に安定しているということを、ここでうかがうことができるわけです。  ただ、季節商品を外すということにつきましては、野菜とか果物とか生鮮魚介、こういうものが台所に非常に直結しておるものでございまして、そういう価格も含めたところで物価の状況を見るということが、国民生活の面から見て大切ではないかということで、これを含めております。ただ、御指摘のように、判断する根拠として、基調的な物価については、季節商品を除いてこれをフォローしていくというようなことは、できるような統計上の配慮は、加えているわけでございます。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありませんからほかの問題に移ります。経企庁長官、私の質問は一応これで、あとは基金法の際に十分お尋ねをいたしますから、お引き取りになって結構でございます。  通産大臣、二十二日に、経常収支の黒字幅縮小目的の、五十三年度実施してきた輸出抑制の行政指導を、五十四年度も当分の間継続することを決めた、こういうことなんですね。これはよろしいわけです。よろしいわけですが、輸出抑制策というのがどの程度実効が上がっているのですか。これは外向けというものが他分にあるのですか。まあ国会の席上でそうだということも、あなたも言えないのだろうけれども、実効は本当に上がっているのか。どうなんですか。
  79. 高橋清

    ○高橋(清)政府委員 御答弁申し上げます。  わが国の輸出は、先生御指摘のような輸出に関する措置によりまして、数量ベースにおきましても、約六、七%減の動向を現在まで保ってきております。また、輸入におきましても、期を追うごとに増加の傾向をたどっております。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 それがどの程度政府の行政指導ということによって、実効が上がったかという問題は、そうだと言えば、いやそうではないということも言えないのだろうから、それは数字として挙げられたことを伺っておくことにとどめます。  それから、経済同友会の提言として、減量経営で競争力が弱まっておる、積極的な企業展開をやれということに対して、私はこれは当然こうあらねばならぬとまあいまも言ったことですが、この減量経営というものに対して、通産大臣は具体的にこれをどう評価をし、今後どういう方向に指導して——この経済同友会の提言ということもありますが、この提言があろうともなかろうとも、これは当然通産大臣として、重大な問題点として対処していかなければならないのだろうと思うのでありますが、その点いかがですか。
  81. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほどの私の答弁とも関連するわけでありますが、おっしゃるように、合理化という言葉の中に、減量経営という言葉が含まれるわけであって、これは企業内失業者という、まことにどうもいやな言葉がありますが、この減量経営というのも、私は余り好ましい言葉じゃないと実際思うのです。減量される側から言うならば、ぜい肉は切って捨てろ、取って捨てろといったような、どうもはなはだ不遜な響きを持ちますが、企業の人と懇談しましたときに、企業の人たちも、そんな安易なものではないということをしきりに私どもにも強調いたしておりました。  ただ言えることは、政府が四〇%にも近い公債を発行し、中には、今度は八兆というように、特例債の方が上回る形で国民消費を盛んにしよう、内需を喚起しようと構えておるのは、そういう努力の間に、やはり低成長時代に合わせた体質を企業に持ってもらいたい、こういう期待も入っておることは事実でございます。ただ、それが安易に、人の整理というような形で合理化されたのでは、私は不十分だ、また政府もそれを期待するものではないと、はっきり申し上げることができるのであります。  企業の責任者に聞きますると、長い間経営者であり、雇用者であるという関係というものは、そんな簡単なものじゃありませんよ、紡績が窯業をやってみたり養鰻をやってみて大損をしたり、配置転換はしたけれども、どれくらい苦労しておるか知れませんという苦心談もいろいろ承りました。しかし現に、四十八年以来今日までの統計で見ると、先ほどお答えしたような数字が出てくるわけでありまするから、やはり雇用の維持ということに大きな社会的意義を感じて、企業家も努力をしてもらいたいものだ、少なくとも構造改善ということは、企業の合理化だけにとどまらず、新製品を創出するとか、本当に国民の消費ニーズに合うような新製品を開拓するとか、そういったことを含めてがんばってもらいたいなということで、絶えず努力しておるところであります。  それから、先ほど通商局の次長からお答えして、それはそれで尽きておるわけでありまするが、ちょっと補足いたしますると、円高がもたらしました結果として、輸出はスローダウンしておりまするので、ことし何も業界の自主調整というようなことは、必要ないのではないかという声もちまたにありましたし、一つ見通しとしても、たとえば一月には一億ドルとか二月には二億ドルとか、国際収支の面でも非常に減ってきております。しかし今日のこの場面を考えますと、やはり業界は業界なりに自主努力をしてもらうことが適切であろうということで、ああいう通達になったというふうに御理解を賜りたいと思います。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な事実を挙げて私が指摘をすると、企業側がいかにみずからの痛みというものをできるだけ軽くして、そして弱い者に犠牲を強いているかということを指摘できるわけなんです。造船なんかも不況不況と言われている。ところが、笑いがとまらぬような利益をその後上げた、そのときに蓄積をするのではなくて、無計画に設備投資をじゃんじゃんやる、少し下火になってきた、ところが減価償却は簡単にやってしまった、もう痛みはないという。こういう不況の中で、特定不況業種といえども痛みがない。しかし不況という名のもとに、労働者に対しあるいは関連中小企業に対しては、非常に無理強いをしているということについて、大臣もそれらの点に十分留意して、対処をしていくのでなければならないということを、申し上げておきたいと思うのです。  次に、アメリカから強く要求されています、電電公社の電気通信機材等の門戸開放の問題で、大臣の真意がそのまま伝えられていないのではないかというようなことも、実は伺ったこともあるわけなんですが、この点は経過としていまどうなっておるのか、どう対処しようとしているのかということについて、時間の関係がありますから、簡明にお尋ねをしますが、お答えもひとつ簡明にお願いをしたい。
  83. 江崎真澄

    江崎国務大臣 来週、牛場さんが向こうに参りまして最終の詰めをするもののようであります。責任は、外務省側が当面の責任者でありまして、直接その衝に当たっておりまするので、詳しい内容については、私ども通産省側は知らされておりません。  それから、さっきお話のありました、何か真意が伝わらなかったというのは、私はたしかここでも言うたし、予算委員会でも申し上げたと思うのですが、あの「困った。」という広告はまことに困った、あれはそういうことを言うたのですよ。こんな金があるならアメリカに行って、特に議員筋が課徴金をかけろと、課徴金をかける一つの対象としては、政府調達コードで、市場閉鎖の最も代表的なのが、この電電などなどであるというようなことを言って、議員が激高しておるというから、こういうところで広告をしたからといって、それは国民にはある程度わかるかもしれぬが、これはまた大使館筋を通じて、何だか対立をあおっておるというように誤解をされては困る、そんなくらいなら、この金でアメリカへ行って、議員にいかに困るかということを、またそれに関連する企業も本当に困るという事情を訴えるべきだ、こういうことを私は率直に、歯にきぬ着せないで言うたわけですよ。ところが、実際は、何か私が門戸開放の元凶であるように伝わったらしいですね。これは私は遺憾なことだと思っているのです。そうじゃないのです。それから、そばで秋草総裁なども聞いておったはずですから、そういうことの真意をくみ取らないようでは——きょう総裁はおるかどうか知りませんが、これはだめだなと実際思っておるのですよ。もうちょっとそういう感覚を身につけて、機敏に対処するような機動性を、やはり電電公社といえども持ってもらいたいということを、いまでも思っておる一人でございます。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 電電公社から山内総務理事ほか二名の方がお見えなんですが——資材局長もお見えですな。どうなんですか、これは、門戸開放できるのを門戸開放していないのですか。これはやはり通信機材の特殊性といった点から、やむを得ず随意契約という形をやっているように伺っているわけなんですが、この点を率直に、いま通産大臣がお答えになりましたように、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。いかがですか。
  85. 山内正彌

    ○山内説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、良質で安定な電気通信サービスというものを、経済的に国民の皆様に提供するということを、最大の責務と考えているわけでございまして、今回の資材調達という問題も、その公社の責任をいかにして確保するかということを、第一義として考えていきたいというふうに考えているわけでございます。  そういうことで考えますと、先生御案内のとおり、電気通信設備というものは、全国各地に散在しております非常に複雑な装置が、複雑なネットワークでつながれておりまして、これが一つのシステムとして円滑に動くということで、初めてその機能を発揮するという性格を持っておるものでございますので、その中に、たとえ安くていいものであるということでありましても、設計思想の違いました、異質のものが、部分的に入ってくるということになりますと、全体としての機能が必ずしも十分に発揮できないということで、結局経済的で良質なサービスを、国民の皆様に提供できないというおそれがあるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、電気通信設備につきましては、ガットの政府調達国際規約にございますような競争入札というものは、大変なじまないものである、これは従来どおり、随意契約というような形態で調達するということが、最も妥当であるというふうに考えている次第でございます。  なお、この点につきましては、日本の電電公社だけが特別なことを申し上げているわけではございませんで、いろいろお話が出ました先進諸国と言われますEC諸国であるとか、あるいは当のアメリカにおきましても、ATT等におきましては、随意契約という形で物資を調達している次第でございます。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 本体というのが門戸開放できないということは、私は当然だと思うのですが、ところが、局内に機械がありますね。それからケーブルがあるわけでしょう。それから電話機がありますわね、各戸に。これは、電話機は端末機になるのですか。これは一体のものじゃないかと私は思うのですね。一体のものであるとするならば、これは本体であるというように考えるのですが、この点いかがですか。
  87. 前田光治

    前田説明員 お答えいたします。  結論として申しますと、いま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、電気通信システムというものは、一般的には端末設備というものと、それから電送設備というものと、交換設備と、大別すればその三つから成り立っておるというふうに言われております。この三つのものが一体となって、電気通信サービスを提供するために使われておるわけでございまして、いま先生、本体とおっしゃったように受け取りましたが、電気通信システムの中に本体という概念というのは、いままでどこにも私、承知いたしておりません。電話機から、先生おっしゃいましたように、ケーブル、交換機、そういうものが全部一体となって、初めて電話というのが人から人へと伝えられるわけでございまして、端末という字が、何か端という感じがいたしますけれども、別に端末であるからウエートが低いとか、電話局の中に入っておるものが、ウエートが一局いといったようなことはございません。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 であれば、特殊的な機材であるから、これは門戸開放はできないという考え方の上に立っているわけですね。
  89. 前田光治

    前田説明員 お答えいたします。  先ほど山内総務理事がお答えいたしましたように、私ども、電気通信設備を購入いたします際の手続として、入札という形が非常になじまないということを申し上げておるわけでございまして、随意契約でありますれば、別にその産品の産地とか、会社がどこである、外国であるからいけないといったようなことはございませんで、われわれは以前から、これは閣議決定の線でもございます内外無差別の原則によりまして、ただし、購入の手続は、随意契約によって購入しておるということでございますので、いわゆる外国製品を排除するといったような意味で、門戸を開放していないというようなことではないというふうに承知しております。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますから、端的に申し上げると、これが、全面的にということはないでしょうけれども、門戸開放がされるということになってくると、これは雇用というものに大変大きな問題を及ぼすですね。二百社ぐらい中小企業というのがあるわけでしょう。これらのものに対する大きな脅威を与えることになってくると私は考えるわけなんです。  それと、アメリカであるとかその他のEC諸国等のなにを見ますと、通信機材というものは、門戸開放は原則としてやってない。労働組合なんかも、これには雇用対策という面からして相当反対をする。その反対は尊重されて、門戸は開放されていないんだというように私は思っているわけなんです。  それから、アメリカの場合だって、電信電話会社も、その機用機材というのは、同系列の会社から購入をするというやり方をやっているのですね。これらのことを考えてみると、先ほど小坂長官とも私はいろいろと質疑を行ってきたわけなんですが、受け入れられるものは受け入れる、いたずらに閉鎖性というのはよろしくない。ですけれども、どうしても受け入れられないものは、だめだと言うことですね。そのことをひとつ確信を持ってお述べになることだ。通産大臣も、先ほどの私の質問に対するお答えということで、考え方も明確にしておられるわけですから、不可能なもの、やってはいけないもの、余りにも大きな影響を与えるもの、それを無理やりに電電公社に、受け入れなければだめだ、門戸開放しなければだめだといったようなことを要求することは、あり得ないというように考えるわけなんでございます。その点は今後どういう態度で対処しようとお考えになっているのか、お聞かせをいただきたい。
  91. 江崎真澄

    江崎国務大臣 通産側でお答えした方がいいようでございますから、私から……。  結局これは諸外国の例をよく研究するということに尽きると思うのですね。私も、ATTの様子がどうなのかということを、事務当局にいろいろただしてみましたところ、ATTは競争入札はしていないというのです。ただし指名の中に日本も入れて、そして入札をさせる。これは随契の形になるわけですが、日本も入れて、大体一五%から二〇%近いものはそういう形で入札に供しておる、こういう報告を受けたわけであります。そうだとするならば、日本側としても、できそうなものについては、もとより競争入札というたてまえはとらないけれども、アメリカの業者を入れるとか、何かしかるべきやり方はやり方として工夫の余地はないだろうか。おっしゃるように、日本の電信電話関係の企業に大影響を与える、またその下請の零細な企業にまで失業者が出るようなことになってはなりません。もとより世界一か二かと言われる日本の電信電話でありまするから、それを担っておる業界というものは、当然国際競争力は持っておりましょうが、しかし、そうかといって、よそのやってないことまでわれわれが強いられるということは、あくまで互恵平等の原則からいったってあり得ない。だとするならば、よその国の対応の仕方というものを、十分研究してみることが先決ではないかというふうに考えます。  今度の場合でも、電電公社はサービスがいいとほめられるかというと、またこれ公営企業という点では少し手抜かりがあったのではないか。ジョーンズ・レポートを見てみても、あそこまでジョーンズがなぜ電電を目標にしなければならないのか。秋草総裁と面会の約束があった、どんな用事ができたのか知らないけれども、にわかに副総裁か下の人がかわって会った。そうかと思うと、すぐ追い打ちで、ああいう広告は業界が出したわけで、電電公社は関係ないという話ですが、広告が出る。公営企業というものも、いまの日本の置かれておる国際情勢とか、よその状況とか、そういうものは十分研究することは、本当に必要だと私思うのです。電電の経営者陣は、よっぽどしっかりしてもらわなければならぬということを、私は国務大臣として本当に思っておるものでございます。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 その点は異論はないのです。大いにひとつ研究をしていかなければならないのですね。そして国際競争力というものを十分つけていくということ、門戸開放といったような、いわゆる閉鎖性というものはなくさなければならぬということは明らかな事実である。しかし、だれが来ても十分太刀打ちができるんだという体制をつくる。温床であってはいけない、それはそのとおりだ。  ただ、大臣のお答えについては、私は異論はないのですが、よその例をひとつ十分勉強しろ、研究しろ、こう言われる。欧州諸国でも、政府が通信機の門戸開放というものに対しては、反対の態度をとっておるということも事実であるわけですから、ひとつ通産省通産省として、十分調査をするということもやっていただきたいということを、強く要請をしておきたいと思うのです。  それではこの問題はこれで終ります。  次に、公取委員長、長くお待たせをいたしましたが、三越に対して立入検査をされた。最近百貨店全部についての調査も進めているやに言われているのですが、新聞報道で見る限り三越のとった態度、優越的な地位を利用する独禁法違反というものは、明瞭だというようにも考えられるわけなんですが、差し支えない範囲でお答えをしていただきますと、どういう状況で、今後どういった対応をしていこうとしておられるのか、お聞かせをいただきたい。
  93. 橋口收

    橋口政府委員 株式会社三越に対しましては、昨年の十一月二十八日に立入検査をいたしたのでございますが、不公正な取引方法に関する独占禁止法第十九条違反容疑でございまして、一般的に申しますと、こういう不公正な取引方法に関する違反容疑事件の処理には、大体半年から一年ぐらい要するわけでございますけれども、事件の性格から見まして、できるだけ早く処理したいということで、現在事務局が鋭意審査中でございます。これは今後の見通しの問題でございますが、そう遠くない将来に事務局から報告を聞きまして、最終的な結論を出し得るというふうに考えておるわけでございまして、日ならずと申しますよりも、月ならずしてそういう結論が出るのではないかというふうに考えております。  その他の、三越以外の百貨店、スーパー等につきましては、現在百貨店につきましては十六、スーパーにつきましては六、合計二十二につきまして調査をいたしておるのでございますが、これは昨年行いましたアンケート調査に基づきまして、押しつけ販売あるいは協賛金の強要等の事実がございますし、それ以外にも不当返品とか不当な買いたたきとかあるいは派遣店員の問題等もございますので、そういうことを含めまして、これは立入検査という方法ではなくて、実情を把握するという意味での調査を実行いたしておるわけでございます。これは三越の問題の処理とあわせまして、将来百貨店、スーパー等につきまして、何らかの指導ラインと申しますか、そういう措置が必要になるのではないか、こういう展望のもとにいま調査をいたしておるところでございます。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 公正取引委員会が、きわめて適切な対処の仕方をやっているという点は、評価をしたいと私は思う。消費者保護という点から十分調査もし、適切な措置も講じられる必要があるだろうということを、申し上げておきたいと思います。  それから、先日の委員会で、私は出版物の再販の問題をお尋ねしたのですが、何しろ法律案の審議の日でありましたので、一般質問のような形でお尋ねをすることができませんで、簡単にお尋ねをし、お答えをいただいたわけですが、この出版物の再販制度を廃止するということで、検討を進めている積極的な理由は何ですか。
  95. 橋口收

    橋口政府委員 書籍その他の出版物につきましては、公正取引委員会は従来から強い関心を持っておるわけでございまして、昭和五十一年にも一回調査をいたしておるわけでございます。これは、昭和四十八年の石油ショックの際あるいはそれ以降に、本の定価の改定等につきまして、消費者等からの注文なり苦情がございまして、主として出版物生産の状態につきまして、原価の状況あるいは定価のつけ方等について調査をいたしたのでございますが、昨年からいろいろ調査をいたしておりますのは、もっと広範に、書籍の出版、流通、販売、版元、取次、小売全過程におきまして問題があるのではないか、こういう認識のもと調査をいたしているわけでございます。  ただいまお話のございました法定再販の制度は、それらの調査をいたしておる幾つかの項目の中の一つでございまして、最初から法定再版を、いわばねらい撃ちにするという考え方は持っておらないわけでございますけれども、しかし法定再販ができましたのは昭和二十八年でございまして、今日まで四分の一世紀以上経過いたしておりますし、その間、くどくは申し上げませんが、社会の情勢なりあるいは出版の事情等につきましても、大変大きな変化があるわけでございます。したがって、法定再販というものには一切手をつけないという前提で調査をするというのも適当でございませんし、そうかと申しまして、法定再販を撤廃する、廃止するということを、あらかじめ予断を持って調査をするのも適当でないということで、アンケート調査をすでに行っておりますのに加えまして、現在は版元、取次、小売店等につきまして、広範な調査をいたしておるところでございまして、その結果を見た上で、問題の所在というものを的確に把握したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 欲しい本がなかなか手に入らないとか、あるいは注文をしても、相当な時間がたたないと送ってこないんだといったような不満というのが、私どもの耳に非常によく入ってくるのですが、そういったことは、再販制度を廃止することの是非についての、判断材料ということになりますか。
  97. 橋口收

    橋口政府委員 再販制度は、先生よく御承知のように、メーカーが末端の定価を決め得るということでございますから、再販制度に乗りました場合には、中間の流通の段階、それから末端の小売の段階で、一切競争がなくなるという性格のものでございます。したがいまして、いまおっしゃいましたような、なかなか欲しい本が手に入らないとか、あるいは欲しい本はすぐ店頭から姿を消してしまうということは、法定再販そのものと直接関係があると申しますよりは、書籍の出版、販売の形態そのものに問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしいまの書籍の出版、販売の、ある意味では特殊な形態を生み出した理由の一つとして、法定再販という法律上の優遇措置があるのではないかという感じがいたしております。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 いまから申し上げることは、この前も私は触れたんですが、出版物の中の、雑誌だけを再販から除外をしたらどうかという意見というものも、私どもの耳に入るわけなんですね。やっぱり出版物というものは、教育、文化ということに対して重大な影響を持つものであるから、この再販制度ということによって、質の高い、内容の充実した書籍が出版をされているということ。それから離島、僻地、そういったところは、送るにしても運賃が非常に高い。ところが再販制度というものがあることによって、同じような価格というようなことで、購入をすることができるというメリットの面ですね。そのようなことを私どもも評価もし、また先ほど申し上げたように、漫画であるとか普通の雑誌のようなものはというようなことに対しても、これは文化の範囲とか量とか、そういうことの基準はなかなかむずかしい、だから、これもなかなか外しにくいというようなことになるんじゃなかろうかというふうにも思うのですが、いままでいろいろ調査をしてもおられるわけでしょうが、それらの点についてはどのような判断をお持ちですか。
  99. 橋口收

    橋口政府委員 これは、前回の委員会でもたしかお答えをしたと思いますが、昨年行いました、八百十八名のモニターに対する調査の結果によりますと、書籍につきましては、再販制度を存続した方がいいという意見が四五%に対しまして、不必要だというのが四二%でございまして、これはほぼ拮抗して、必要だという見解の方がやや多いということでございますが、雑誌について申しますと、必要という意見は二五%でありまして、不必要という意見が五六%になっているということでございます。ただ、前回申し上げましたのであるいは多少誤解を招く点があったかと思いますが、こういうモニターに対するアンケート調査の結果でございます。しかし同時に、モニターの意見としまして、専門書と一般書、学術書とその他というふうに、書籍の性格によって区別することは実際問題としてむずかしいんじゃないかという意見も出てきております。したがいまして、そういう雑誌と書籍とを区別して考えた方がいいかどうか、そういうことにつきまして、公取委としていまその方がいい、区別した方がいい、雑誌は外すというふうに決めた事実は全くございません。  それから、これはよけいなことかと思いますけれども、再販制度につきまして諸外国の事例等見てみますと、再販制度はありますけれども、それは一定期間に限定するという、時間的な制約を置いた国もございます。ある期間を経過した場合には再販から外す、あるいは書店が購入した価格で買い戻しを請求して、版元が買い戻してくれない場合には、これを値引き販売していいというような制度もございます。  要は、現在ございます法定再販の制度そのものに内在する問題のほかに、現在の法定再販制度の運用の実態、出版業界全体の姿勢と申しますか、態度としての法定再販の運用の態度にも問題があるのではないかという感じもいたしておりますし、いまの法律の枠内、いまの法律の規定の中でも、私は相当の改善ができるのではないか。再販制度そのものが悪であるかどうかの問題の前に、再販制度に伴う弊害の是正ということが、むしろ先にこなければいけないのではないかというふうに私は考えております。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃるとおりだと思うのです。そういう弊害は除去するように、最大限お進めになる必要がある。  この出版物の場合は、価格の問題についても、外国の書籍と比較をすると、値段はむしろ安いというようなことが言われているわけなんですが、先般出版物再販の現状ということで、たしか調査団を派遣されたというように伺っているわけですが、どういった点を調査をされたわけですか。
  101. 橋口收

    橋口政府委員 昨年の十一月、十二月にわたりまして、アメリカ、イギリス、、ドイツ、フランス、スウェーデンと調査をいたしたわけでございますが、もちろんこれは短期間の調査でございます。  御承知のように、アメリカ、フランス、スウェーデン、これは再販制度はございません。日本と同じような再販制度を持っておりますのは、大国ではドイツだけでございまして、イギリスは一定期間の再販制度を認めている。ある期間経過いたしますと再販を解除する、こういう制度でございます。なかんずく調査の重点を置きましたのはスウェーデンでございまして、スウェーデンは、一九七〇年に再販制度を撤廃いたしておるわけでございまして、よく出版界の方が、スウェーデンでは再販制度を撤廃して書店がたくさんつぶれたとか、いろんなことをおっしゃるわけでございますから、主としてスウェーデンに重点を置いて調査をいたしたのでございますが、われわれの調査が一〇〇%正しいかどうかは別といたしまして、われわれの調査では、スウェーデンでは再販制度の廃止の結果が大変良好だ、書店の数もふえておりますし、意識調査等もあるようでございますが、その結果によりますと、版元もそれから書店も、再販制度に戻りたいという意見は、明らかに少数意見であったという調査でございまして、これは、一説によりますと、スウェーデンの事情につきまして、再販制度を持っております西独が調査をいたした結果、再販制度を維持した方がいいというバイアスがかかって、そういうニュースが日本に伝えられたとも聞いておるわけでございまして、少なくともわれわれの調査の結果では、スウェーデンは撤廃の結果はよかった。ただし、これは、再販制度の撤廃を決めましてから実施までに、相当長い経過期間を置いている。これはわれわれにとっても、大変参考になることではないかという感じがいたしております。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 それから、二大取次店の寡占問題というのがあるわけですが、これは再販制度と関連があるというふうにお考えになりますか。
  103. 橋口收

    橋口政府委員 二大取次の寡占の問題は、再販制度と関係があると申しますよりは、この取次なり市場構造上の寡占状態というものが、再販制度を一〇〇%以上活用しているんではないかという感じがいたしております。一言で申しますと、六十数%のシェアを持っております二大取次は、版元から書籍を取り次ぐいわば条件としまして、再販制度を、言葉は悪いのですが、強要に近い形で条件といたしておるわけでございまして、再販契約書に判を押さなければ実際二大取次店は取り次ぎをしてくれないという、そういう苦情がわれわれのところに来ているわけでございます。  これは先ほど申し上げました、再販制度に内在する問題というよりは、再販制度に伴う弊害でございまして、あるいは再販制度を悪用しているというふうに申し上げてもよろしいと思いますし、あるいは共同的な再販行為、共同再販だというふうに考えてもよろしいわけでございまして、こういう行為は流通寡占の状態、つまり流通における優越的な地位を持っている者でなければできない行為でございまして、実はこの辺にも問題があるのではないか。したがいまして、逆に申しますと、法定再販を駆逐いたしましても、流通寡占が残っておる限りはあるいは問題は解決しないかもしれない、こういう感じもいたしておるわけでございます。  お話のございましたように、これらもろもろの制度というものは、がっちり四つに組んで身動きできないような状態になっていて、改善の意欲と申しますか、気力というものが実はなえているというのが、いまの出版界の実情ではないかというように考えております。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 時間が参りましたから終わらなければなりませんが、私もそう思うのです。二大取次店の寡占問題というのは、再販制度を悪用している。先ほど委員長お答えになりましたように、こういう弊害を除去するということを強力に推進することができる。この再販制度というものがなければ、その寡占問題というものは、特別独禁法に触れるような優越的な地位を利用したという形が出てまいりますと、その面から規制はできましょうけれども、むしろ再販制度がなくなるということによって、この寡占の弊害というものが強まってくるというように私は考えるという点が一点、それからやはり中小企業というものが非常に救われている。それから離島、僻地なんというところも、この再販制度のメリットとして評価ができる問題点であるというように私は考えるわけです。  それで、結局いまの調査は、再販制度というものを廃止することを前提として、調査をしているものではないということに理解をしてよろしいですね。
  105. 橋口收

    橋口政府委員 その点は先ほど申し上げたとおりでございまして、法定再販を廃止するという予断とか前提は持っておりません。しかし、くどいようでございますが、再販制度はアンタッチャブルであるというふうには考えておりません。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 エネルギー庁御出席をいただいて、初めから長くお待ちいただきましたが、残念ですけれども時間が参りました。またいずれ適当な機会に質問させていただきます。  終わります。
  107. 野中英二

    ○野中委員長代理 宮井泰良君。
  108. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、石油問題に関連いたしまして、景気、物価問題について若干のお伺いをいたしたいと思うものでございます。  まず最初に、経済企画庁長官を中心といたしまして御質問申し上げたいと思います。  昭和四十八年十月の、第四次中東戦争に端を発しました石油価格の引き上げは、わが国経済に重大な影響を与えたわけでございます。いわゆる石油ショックでございまして、OPECは、原油価格の大幅引き上げをしたわけでございます。そのときの輸入原油の動きを通関統計で見ますと、バレル当たりでCIF価格で三ドル二十九セントでございましたのが、四十九年では十ドル七十九セント、五十年は十一ドル八十五セント、五十一年八月には十二ドル五十三セントと急上昇し、石油ショック以来、原油の輸入価格は実に四倍も値上がりをいたしておるわけでございます。原油輸入のほとんどを中東に依存しておるわが国は、今回のイラン原油生産大幅削減措置は、決して楽観はできないと考えております。石油ショックにおける景気への影響は大きく、四十九年初めから不況に突入いたしまして、四十九年度の実質成長率は、戦後初めてマイナス成長になったわけでございます。消費者物価、卸売物価とも、四十九年度は二けたの上昇になり、国際収支も四十九年、五十年は赤字が続いたわけでございます。最近円安傾向が続いておりまして、昨年十二月は一ドル百九十六円、五十四年一月は百九十七円、今月の十五日は二百七円となっておるわけでございます。月平均五%の円安になると、・それだけ卸売物価にはね返りまして、二月の卸売物価は前月比〇・九%でございます。昨年十二月、本年の一月は〇・六%上昇しております。このままでまいりますと、当初予想いたしておりました五十三年度からの一・六%の卸売物価の上昇率はもはや困難である、このように思われるわけでございますが、その点につきましての御見解をお伺いします。
  109. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま委員からお示しになりました過去の動向、私もそのとおりの動きであったと認識しております。したがいまして、現在のような情勢下において卸売物価を、五十四年度において前年比一・六%程度の上昇にとどめたいということは、これはやはり並々ならぬ努力も要りますし、また同時に、こうした卸売物価に直接、間接関連する方々が、こうした物価の上昇ということが及ぼすマイナス効果というものについて、十分な御認識をいただいて、なるべく卸売物価の上昇を食いとめる方向に御協力をいただかなければならぬということを、われわれは切実に感じておるところでございます。われわれといたしましては、こうしたいまお示しになりましたような動向、特にイランの情勢あるいはベトナムにおける戦乱等、これは、確かにわれわれが今日まで享受してきた世界的な物価体制、及び平和の構造に、−非常に大きなショックを与えたことは事実でありますから、こうしたことを踏まえて、国内にも相当な影響が出てきたので、これに対応するために、二月の二十六日に物価対策の総合的推進という基本的な方針を定めまして、この中には生活必需物資関連につきましてももちろんでありますが、幅広く、いわゆる通貨流通量等につきましても、あるいはまた土地価格につきましても、現在生起しております万般の諸点についての対策を盛り込みまして、担当各省全力を挙げてこれに対応していくということを決めて、現在努力中でございます。  もちろんこうしたお題目だけではいけないのでございまして、こうした政策努力とともに、現在の実際の社会の生活実態とかあるいは企業の動向とか、こうしたものに対しましても、われわれは全力を挙げて現地でその実態に触れて、そうして政策、対策の足りないところに対しては適時適切に対応していく、さらに、必要ならばより一層強い勧告あるいは監視を続けるということで、われわれの一応のめどといたしておりまする、卸売物価の上昇を食いとめる方向をとってまいりたいと思っております。
  110. 宮井泰良

    ○宮井委員 経企庁長官は大変行動力をお持ちであり、常に現場に飛び込んで実態を見る、こういう方針であるということを伺っておりますので、いろいろな対策を講じておられるということでございますが、これが実効が上がりますよう、ひとつ取り組んでいただきたい、このように要望いたします。  そこで、確かに円安は、企業の輸出競争力を高めまして、輸出増大に働くわけでございます。また円安は輸入物価の上昇で卸売物価に影響し、−さらに消費者物価にも波及してまいると思います。最近の消費者物価は、暖冬異変によりまして、野菜類を初めとした生鮮食料品の値下がりに助けられて、安定はしておるものの、物価が警戒水域に入った現在、今後の消費者物価が高騰するおそれはないか、この点をお伺いしたいと思います。
  111. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 五十三年度の消費者物価の動向というものは、見方によれば非常な円高ということにより、あるいはまた前半の非常な国内経済の不振等、いろいろな問題との絡み合いの中で、今日見ますると、四%程度の消費者物価の上昇を見込んでおったわけでありますが、大体この線におさまるというふうに見ておるわけでございます。しかし、先ほどの、卸売物価の上昇機運が出てきておると同じような理由におきまして、消費者物価も、今後はその動向を、非常に厳重に見守らなくちゃいけない等々のことでございまして、われわれは四・九%程度の上昇ということで、努力目標を掲げておるわけでございまaが、これまた先ほど申し上げましたと同じような、物価対策の総合的推進という、プロジェクトというよりも、プログラムに従いまして、関係各省とも全力を挙げて対応して、現在の多少上がりぎみの消費者物価というものに、大いに挑戦をしていきたいというふうに考えております。  ただ問題は、一般の公共料金等の値上げ、今年度予算でもお願いしておりますが、こうしたものの影響はいろいろ考えました。それで、結論といたしまして一・五%程度物価引き上げに影響するであろうという点をわれわれは考えております。しかし、これなどにつきましても、できるだけ影響が直接的に、早くあらわれないような方策をとるとか、またいわゆる円高によって得た円高差益というものが、なお今後半年間くらい消費者物価にはいい影響を持つのだろうということも私らは予測し、またその方向で価格形成等についてできるだけの指導を与えたいというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、委員の仰せられたような、いろいろと困難な事態を予測することはたくさんございまして、全力を挙げますが、また委員におかれてもこうした物価安定の努力に対して、われわれの至らぬところがございましたら、どしどし御忠告いただき、また、われわれとしましても、そうした御忠告の中で努力をしてまいりたいと考えております。
  112. 宮井泰良

    ○宮井委員 円高のメリットも、半年ぐらいはいい方向に続くであろうというようなこともおっしゃったわけでございます。重ねてお尋ねするようで恐縮でございますが、消費者物価が本年四・九%以内におさまると見てよいのかどうか、この点を重ねてお尋ねします。
  113. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 物価動向は、私は、経済、社会の複合的な、いろいろな原因等の絡み合いの中から、生まれてくるものだと考えております。特に需給関係の逼迫が最も困るのでございますから、こうした供給が不足して需要が強くなるという事態は、一義的にこれを避けるという努力をいたさなければならぬと思います。  それからもう一つは、円高によるメリットが、これはきわめて概算でございますが、先般の予算委員会におきましても、五十三年度においては大体四兆六千億くらいあるだろうということで計算をしておりますが、果たしてこれが全部消費者物価その他に還元されているかというと、私はまだ相当残りがあるのではないかというふうに考えます。たまたま現在は、百九十円でわれわれは計算してのことでございますが、二百七円とか六円とかいう程度で為替が動いております。これとて将来二百二十円から二百三十円になるという見通しもないし、また逆にこれが百九十円を割り込んで、百八十円、七十円になるという見通しも現在持っておりませんから、そうした為替の大幅な変動というものが予測されない限り、一応われわれの計画というものは順調に進むのではないかというふうに、楽観はしておりませんが、見ております。  それからもう一つは、やはりマネーサプライと申しましょうか、通貨の流通量の増大が、一番基本的にインフレヘの点火になるわけでございますので、こうした面につきましては、現在日銀当局においては、神経質なほどその動向を注視しております。われわれも、こうした動向を余り注視し過ぎることによって、逆に経済成長の足をとめてはいけないので、いまその政策決定につきましては、慎重に、もう少し事態を見ていこうというふうにしておりますが、現状程度のことで推移するならば、必ずしもここで金融引き締めまでをしてしまわなければならぬというふうには、私は考えておりません。  そのようないろいろときめ細かな政策を積み上げると一緒に、やはり物価問題につきましては、特に早目早目に、対策を勇敢にやっていくということで、政府内部も意見の一致を見ておりますから、この方向でひとつ努力をさせていただきたいというふうに考えております。
  114. 宮井泰良

    ○宮井委員 種々努力をされる、こういうことでございまして、ほぼ私がお聞きするようなことはお答えがございましたのであれでございますが、同じく経済閣僚とされまして通産大臣に……。  いまもお話が出たわけでございますが、卸売物価の中身を見ますと、国内品の卸売価格は、昨年十一月がマイナス〇・二%、十二月が〇・三%、本年一月が〇・四%、先月は〇・六%と、その上げ足を速めておるわけでございます。こうした国内製品価格の値上がりが、今後生産、流通の各段階にまで広がっていけば、当然消費者物価に火をつけて、高騰していく懸念はないか。こういったところを再度経企庁長官と、通産大臣によろしくお願いします。
  115. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまの卸売物価の動向を見ておりますと、需給が改善された、過積み規制が強化された、こういった国内要因に伴う上昇、それから円相場の落ちつき、円安、円安といいますが、いまの程度は、二百二十円ならばそれこそもう企業は立っていかぬような声があり、まあ二百円まではどうにか無理をしながら耐えてきましたね、ですからいまの二百五円とか七円とか、このかいわいは、そんなに円安という感じは私は持たないわけであります。まあ円相場の落ちつきと言いたいと思っておるわけです。それは表現の問題ですが。それから海外商品相場が値上がりしました。こういったような海外要因によるものがあります。  それから一方、消費者物価につきましては、暖冬によるところの野菜の安売り、それから一方ではサービス料金が落ちついておるということで、さっき経企長官からお話がありましたように、前年同月比でいうと三、四%、比較的まだ安定的に推移しておるわけであります。  今後しからばどうかというと、私どもが所管いたしておりまする石油が問題になるわけでございます。あれとても、けさも経企長官とお隣同士で話をしておったのですが、五%の節約をするというわけでしょう。これは徐々に徹底して、どうしても実行していただかなければならぬと思っておるわけでありまするが、本来日産二百万バレル分足りない、それが五%節約でカバーできる。できないまでも、あの石油ショック以後、経済の伸びを上回る程度で、もう北海油田が開発された。それからアラスカ原油、これも日産百二十万バレル。北海が百四十万バレルぐらいですか、それからメキシコ産油がある。言いますと、いかにも、何もメジャーとは申しませんが、足りないということの不安のすき間を縫って、ずいぶんいろいろ思惑が乱れ飛ぶ。ですから今後、石油価格の先行きなどにつきましても、十分私どもはきめ細かに見守っていきたいということを考えておる次第であります。これがスポット物の大変な高騰を引き金にして、だんだん値上がりの傾向にありますね。特に今月末にいよいよOPECの総会がございます。ここでどういうふうに値段修正がなされましょうか、これなどもまだ不安定要因でありますが、石油こそ今後の卸売物価、消費者物価に与える一番もとになるような気がいたしまするので、私ども目下関係事務当局にも厳に動向を見守るように話し合いをしておるところであります。
  116. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま通産大臣からお答え申し上げたとおりなんでありますが、私はもう一つ、われわれの経済企画庁といたしましてきわめて重視していることは、消費者行政の徹底でございます。これは、特にわれわれが痛感いたしておりますことは、中央におきましてはわりあいに消費者行政に対する認識が行き届いていると思いますが、問題は、地方における消費者行政の実態というものが、非常にこれはウイークであると考えております。  先般来われわれはこうした問題に着目いたしまして、特に消費者行政、消費者保護基本法、これは万般に通じますが、こうしたことが、いわゆる消費者物価の安定には欠くことのできない、一つのファクターだと私は考えておりまして、特に消費者行政の各地方における出先機関に対しての、行政意識の徹底を図って、そこにできるだけ情報を集めてもらうこと、そしてまた、その集まった情報に対して、できるだけ早く敏速な行動をすること等々を織りまぜながら、先ほど来申し上げておりまする八項目の総合対策の推進というものを、中央で推進するとともに、地方各自治体においても、今回は特に自治大臣の協力を得まして、各自治体に対しても、同じような方向でやっていただくことをお願いをしているわけでございます。加えて、ただいま申し上げました消費者行政の末端活動というものを通じての現状の把握と、それへの対応ということ等を進めてまいって、そうして消費者物価の上昇が異常な方向に進まないようにすること、そしてまた、理論的に申しましても、卸売物価から消費者物価への上昇の移転というものは、少なくとも六カ月ないし八カ月くらいは通例かかるものでございますから、その問にできるだけの対応策を打っていくということ等々、あわせて努力をしてまいりたいと思っております。
  117. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいまお話ございました消費者行政、そういった点をきめ細かく手を打たれる、これは私もそれを推進していただきたいと思います。  石油問題が大きく影響いたしてくる、通産大臣お話しでございましたので、石油問題は後ほどまたお聞きすることといたしまして、この物価問題に対して、日銀総裁などは、今後物価に注目しなくてはならない、こういうような発言もされておりますし、だからと言って金融引き締め、こういったことになりますと、また景気に水を差すということでございまして、物価と景気というものを両方にらんで、大変なむずかしいかじ取りを、これから石油と絡んで非常に困難な状況に入ってくると思いますが、どうかその点を、先ほどからの御決意のままに取り組んでいただきたい、こういうことを要望いたしておきます。  そこで次に、本年一月に経済企画庁が策定いたしました、新経済社会七カ年計画基本構想について、若干お伺いいたしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは経済成長率でございますが、この計画書の中で、昭和五十年代前期経済計画に触れられまして、「それまでの高度成長期にはほとんど一貫して実績成長率が想定成長率を上回る傾向にあったが、この計画では、想定成長率自体を従来より控え目な六%強とし、この実現に向けて政府の」努力が云々と、このようにあるわけでございます。昭和五十四年から六十年の国民総支出を、実質六%弱と設定しております。  そこで、先般IMFの暫定委員会が、各国代表に五十五年から五十六年の世界経済の中期戦略目標を配付いたしまして、日本経済を高目に評価いたしまして、成長率七%といたしておるわけでございます。わが国の六%成長の考え方とは、真っ向から対立いたしておるように考えるわけでございますが、この点の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  118. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 IMFのこのシナリオでございますが、世界経済の望ましい姿を描いた、一つの試算であるというふうにわれわれは考えておりますが、この暫定委員会合意されたというようなものではないと承知しておりますので、経済企画庁といたしまして、正式なコメントをこれにいたすことは、この際控えさせていただきたいと思っております。  ただ問題は、日本経済成長のみを、各国の成長率に比べて倍あるいは六割高ということを常に言うておるのは、やはりこれは一種の、こうした先進諸国の間において、日本経済成長そのものに対する期待の大きいこと、それはいい意味でも悪い意味でもあると思うのでありますが、特に成長率を高くすることによって、国内の需要を大きくしている。そして、その限りにおいて日本の輸出力が低下して、輸入がふえるということを、戦略的、戦術的に考えておるのではないかと思う節が多々ございます。われわれとしましては、OECDあたりで出しておる見通し等も比較しておりますけれども、日本に対する期待はいつも非常に高い。そして各国見通しはきわめて低い水準にいっておるわけでありまして、こうしたことで、なぜ日本だけが高い成長率をしなければならぬのかということを、常々私は不思議なことだと思っております。同時にまた、日本だけが、打ち出の小づちのように、成長率を高くすればそのとおりやっていくものだと思われても非常に困る。これは日本だけが世界経済から孤立して、そして一人だけうまい状況にいくとは限っておらない。特に最近の石油事情などを考えれば、これは全くそうした夢はないわけでありまして、したがいまして、われわれとしましては無理をして、財政的な破産状態になるまで公債を出して、政府主導型の景気振興をやる必要はない。同時にまた、ようやくこのところ日本経済も、貿易によって立国することから、内需を振興することによって、日本経済を拡大できるという方向が、この五年間のオイルショック以来の非常に困難な事態の中から、体質改善ができたわけでございますから、われわれとしましては、この方向を今後も追求していくということから、いままでにはないような低目の成長と申しましょうか、六%程度というのでございますから、実際を言えば五%台であってもいいと思っております。私は、そうした着実な方向で、緩やかなカーブの中で、日本経済を七年後には大体現在の価格水準でいって三百兆円程度のものにしたい。そのことによって、さらに内部の配分、所得の配分等をいろいろと合理的にやることによって、福祉的な、安定した日本の社会を築こう、こういうわけでございまして、御質問にはなかったと思いますが、このIMFに対するコメントは別といたしまして、七カ年計画基本的な考え方については、以上申し上げたようなことを発想の根底にいたしておりますので、御理解を賜りたいと思っております。
  119. 宮井泰良

    ○宮井委員 それは向こうの方の希望であり、わが国においては打ち出の小づちはないんだ、こういうお話でございます。そこで、六月に行われます東京サミットの場でも、このことは論争の焦点になると考えられるわけでございます。この計画の中の成長率は、いま言いましたIMFや海外との関係で、果たして諸外国に納得させるほどの根拠はあるだろうか、こういうことを考えるわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
  120. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私は、まだアメリカ政府当局者あるいはまたEC諸国の担当者と、直接会って話しておりませんが、しかし政府といたしましては、安川代表をアメリカ並びにECに派遣いたしまして、われわれの今年度の計画あるいはまた将来展望等につきましても、大体六%程度の成長ということを基盤にしての、これからの日本の国づくりの方向を、十分説明して回っております。けさほども、安川大使が帰国されたので報告を受けましたが、EC諸国におきましても、また先般の、アメリカにおいての安川大使の各方面の打診というものを通じましても、日本経済成長率については、別に各国とも全く異議を申しておらない。また同時に、七%成長ができなかったということについての理解も、相当に進んでおるということを、報告を受けておるわけでございます。  私も先日オーエン大使と会いましたが、オーエン大使、アメリカから派遣された人も、日本経済成長率に対して、この程度のことでということで、別にそれ以上低いとか高いとか、そういう内政干渉的なことは申しませんというふうに言っておりましたから、私は大体サミットにおきましても、われわれの方の提示するこうした計画で、さらに十分に説明を加えることによって、十分な理解を得るものと考えております。
  121. 宮井泰良

    ○宮井委員 安川代表が行かれましていろいろとやられておるということでございます。そういたしますと、経済企画庁長官の本委員会の所信表明の中では、この計画策定について、いまだ基本構想の段階でありますので、最終案に向けて鋭意作業を進めてまいります、こういうふうになっておりますので、この成長率は、情勢いかんによっては変更もあり得るということでございますか、その点の見解をお伺いします。
  122. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 まだわれわれとしましては、計画の全く初期の段階でございまして、五十四年度の実態がどうなるかということも、十分踏まえていかなければならぬと思っております。  われわれとしましては、基本的に、この七カ年間の日本の全体の姿というものを想定したわけでございますから、各単年度別に、たとえば物価騰貴が非常に進む場合には、成長率をスローダウンするということもあるでしょう。あるいはまた、そうした事態の中では金融の引き締めをやらなければならぬ事態もあるかもしれません。あるいはまた、世界経済の落ち込みに伴って、日本経済の拡大も意外に思うに任せぬ場合があるかもしれません。私は、今後の七カ年間というものを想定する場合に、具体的な各年度においては、それぞれにいろいろと変化があるということを申し上げたいと思っているわけでございまして、その限りにおいての修正というものはあると思いますが、一応日本の将来構造としては、大体平均六%弱の成長で七カ年を考えている。その中において、先ほどもちょっと触れましたが、所得配分の問題とか、あるいは現在問題になっております日本の海外経済協力とか、あるいは援助とか、そうしたことを織り込むとともに、失業率を一・七%程度まで改善していこうということが、終局の目標になっておりますから、この目標の達成のための修正ということもあり得るというふうに考えておるわけでございます。目標はなるべく動かさない方がいいのでありますが、それを二年目に実現するとか、三年目に実現するということより、七カ年の間に、緩やかなカーブの中で、それを処理していきたいというふうな考えがあるわけでございます。
  123. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点、わが国を取り巻く経済の環境と申しますのは、イランの政情不安、そしてまたいま申します日米経済摩擦の問題、これが今後のわが国経済に与える影響が非常に大きいのでございますので、東京サミットにおきまするところの、日米関係経済摩擦の解消という方向に向けまして、努力をしていただきたいということを要望いたす次第でございます。  そこで次に、時間があれでございますので、この七カ年計画書の内容を、総括的に若干お伺いするのですが、生産基盤で問題なのが雇用問題でございます。計画では、失業者は六十年度では一・七%以下になっておるわけでございますが、昨年の通産省の長期ビジョンの中では一・二%になっております。各省庁でなぜこのように違うのか。またイラン問題のように、エネルギー、石油基盤の対応がこの計画書にはほとんど触れられておりません。肝心な点の欠けたものである、このように思うわけでございますが、この点の御見解はどうか。また経企庁は、去る九日、五十三年十月から十二月期の国民所得統計を発表したわけでございますが、下方修正した五十三年度の成長率六%自体も、その実績見込みが危ぶまれておるわけでございます。今後のわが国経済計画を、内外ともに評価させるための経企庁長官としてのお考えをお聞きいたしたいと思います。
  124. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 まず最初に、五十三年度の実績についての御報告をいたしたいと思うのでありますが、最初に七%、それが修正されまして六%というふうにしたわけでありますが、やはりその間における最大の問題点は、非常な円高であったわけであります。したがいまして、円高によって輸入が非常にふえたこと、そしてまた輸出が相当予定より大幅に減少したこと、これが六%台に対してもやや不安を抱かせる原因でございます。事実、国内需要は八%近くにまで伸びておるわけでありますから、これがもしも輸出入のバランスが従来どおりでありますれば、七%程度近くまでいったろうという予測もかたくないわけでございます。そのような情勢でございますが、われわれとしましては、いまの十−十二月程度の数字の延長線で考えますと、どうも五・七、八程度ではなかろうかというふうに思います。  しかし問題は、諸外国に対してのいろいろな対応策はあると思いますが、政策目標として七%経済成長ということは、要するに日本の経常収支の改善ということが最大の眼目であったのでありますが、そうした事態は、逆に円高ということによって実現した、縮小の方向に向かったということと、またわれわれが最も困難だと思っておった日本経済体質そのものが、内需振興によっても十分に成長ができるように、体質改善ができたということでございまして、これらのことは、パーセントは達しなかったけれども、政策目標は、十分に実現の方向に数歩前進したというふうにわれわれ評価しておりますから、こうしたことを企画庁を通じ、あるいはまた外務省を通じて、先方諸国には十分いま報告をし、説得をしておるところでございます。それらの点が、本日ここで委員にも御報告を申し上げておきたい点であります。  それからもう一つは、七カ年計画における失業率でございますが、通産省の出しましたのは労働力人口が五千七百九十五万人という程度計算になっておりますが、七カ年計画において、六十年度においての労働力人口は五千八百三十万人になっております。この増加したのは、主に女性の就業人口が、このところ非常に増大しているということの結果でございまして、結局労働力人口の増加に対して、就業者数が、産業構造審議会においては五千七百二十一万人を予定しております。七カ年計画においても五千七百二十万人を予定しておりますから、就業者の総数は五千七百二十万で、ほとんど一緒でございまして、結局労働力人口の増加に対応しての比率が、われわれの計画だと百万人程度が完全失業、産業構造審議会においては七十四万人の完全失業総数、したがいましてパーセントも一・七対一・三というふうになったわけでございまして、これは、要するに基本的な考え方が変わったわけではなしに、新しく労働力人口として加わった数の計算、また予測がここで約四十万人程度ふえたということの結果でございますので、御了承いただきたいと思っております。
  125. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、ほかにも質問したいこともあったのですが、ちょっと石油問題を通産大臣にお尋ねしたいと思いますので、経企庁長官には以上で私の質問は終わらせていただきます。  そこで、次に通産大臣に主にお尋ねいたしますが、冒頭申し上げましたように、昭和四十八年十月六日の中東戦争に始まり、十月十七日、OPECのペルシャ湾岸六カ国の原油実勢価格一七%引き上げ、そして十月十八日のサウジアラビア石油生産一〇%削減等、いわゆる石油ショックは、言うまでもなくわが国に多大な影響を与えたわけでございます。今回の石油削減等に関しまして、通産大臣の所信表明の中でも、イランの情勢の推移を見つつ、適切に対処をするという決意を示しておられるわけでございますが、四十八年の石油ショックにおける教訓と、そのときの行政指導をどのように行ったか、まずお伺いしたいと思います。
  126. 江崎真澄

    江崎国務大臣 四十八年の石油ショックのときと今度との違いは、端的に言いまして、あのときはOPEC全体と消費国全体の対立でありましたが、今度はイランが輸出を全面ストップした、OPECとしてはその足りない分についてはできるだけカバーしよう、増産体制をとろうということ、それから日本だけ考えてみましても、備蓄が当時は五十九日弱、今度は九十二日強というふうに、備蓄度が違うということ、その他いろいろありますが、時間もありませんのでもっと端的に言いまするならば、昨年までは石油が五%ぐらいだぶついておる状況にあった。そこへきて全面ストップという場面ですから、先行き非常な不安はありましたものの、前回のように最需要期に向かっての大幅な値上げという形ではなくて、一応全面ストップは年末になされたわけでありまするが、この見通しが立たないという場面では、一応最需要期を外れつつあった。たとえば、一−三月においても前年同期よりも百万キロリットル程度はたくさん輸入の見通しがついたということ、四−六においても前年同期とほぼ同様あるいは少し上回るぐらいが量としては入手できるという状況、これは異常なことですね。前とは全く違っております。それから国際機関のIEA、国際エネルギー機関、これなどができて、どうしてもというときには相互扶助の体制が新たに発足しておるということ。まあこれには至らないであろう、五%足りない分は五%節約で補おうということで進んでまいったわけでありまするが、現在最も大きく違った点は、前回のときに対する反省があるということですね。これはIEAの事務当局の会議などにおきましても、非常な不安はあるが、静かに対応しよう、決してあわてまい、あわててばかを見たのは一般消費者であった、法外な利益を上げたのは、メジャーであったりあるいは石油関連業者であった、今度は備蓄の度合いも違うし、あのときとはOPECの対応情勢も全然違うし、静かに対応しよう、こういうことだったわけですね。  そういう考え方が基調になり、一方では、先ほど来経済の成長などについての御議論もありましたが、昨年来の景気浮揚をどう維持、継続するかという問題、それから雇用の安定をどう図っていくのか、これは私はことし政府として達成しなければならぬ大課題だと思いまするが、そういうものもにらみ合わせながら、しさいに検討しつつ対策をとっておるというのが現況でございます。  前回の教訓等々をどう生かしておるかという点について、もし時間もあって答えろということでありまするならば、事務当局の方から詳細にお答えをさせていただきます。
  127. 宮井泰良

    ○宮井委員 大あわてしないように、静かにひとつやっていく、そうしないと消費者がばかを見る、これは私も同感でございます。  四十八年十一月下旬には第一次規制を行ったわけでありまして、その中で、大口需要家の石油、電力使用の一〇%削減があるわけですが、そのときの対象業種といたしましては、鉄鋼、自動車、家庭電器、石油化学、自動車タイヤ、化学繊維等でございました。そこで、一〇%節減の算定方法は、四十七年十二月の消費量の、同年十月の消費量に対する伸び率を、四十八年十月の消費量に掛けて、それに対しての一〇%削減であったわけでございます。この行政指導や一〇%算定の根拠、あるいは一〇%そのものが本当に適切であったかどうかは、私はきわめて疑問であるわけでございます。  そこで、今回のイラン・ショックと言えばちょっとオーバーかもわかりませんが、これに対する米国の方の反応は、大変早いものと言われておるわけでございます。イランの輸出がとまって一週間後の一月三日には、シュレジンジャー・エネルギー長官が、第一に自動車の速度制限、第二に事務所、住宅の暖房規制等を、国民にいち早く協力を呼びかけたわけでございます。したがいまして、第一回の石油ショックのときの行政指導と今回の処置を見ておりますと、通産省として非常に対応が遅いように思うわけですが、時間の関係で、先ほど事務当局からお伺いしておらないので、あれでございますが、ひとつその点をお伺いしたいと思います。
  128. 江崎真澄

    江崎国務大臣 対応は、現状に合わせて徐々に徐々に、的確にやってまいったつもりであります。国民の自主努力にまつ面が多いですから、手一ぬるいというおしかりもあるかもしれませんが、景気の持続ということを考えますと、まあこのあたりではなかろうかというふうに思っております。  ただ四−六については、おかげで見通しが昨年同期以上、上回るという見通しを持っておりまするが、後になりますると、さてどういうことになるのか、まだ不安定要素なしといたしません。したがいまして、今後の動向を見守りまして、適時適切な手だてをしてまいりたい。もとより大口需要者を規制することは、節約面では一番著効の上がる手だてだと思います。しかし、いまそれをやりますと、途端に生産は減退いたします。景気は鈍ります。雇用の問題は、ただでさえ五十二年から五十三年、好況感があったにもかかわらず、十万人以上の完全失業者が出たなどということを考え合わせますと、やはりそういう辺を度外視して、ただ節約一本に徹底するということはいかがであろうか。五%の節約ならば、今後の国民協力と、われわれ、特に官庁を中心とする節約の厳守、それからまた、企業にも、大口規制はしませんが、節約協力とかあるいはエネルギー源の多様化とか、特に石炭にゆだねられるところはゆだねたり、石油と石炭を混焼するとか、いろいろな手だてを講じてもらいまして、五%の節約だけは断じて貫きたい、こういう決意でございます。  それでは、参議院の方へ参ります。
  129. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは大臣がいらっしゃいませんが、関係当局から御答弁願いたいと思います。大臣ともう少し議論したかったのですが。  もちろん大臣が言われましたように、大口需要家の削減というものは、これは当然景気に水を差すものでございますから、それは極力控えていかねばならない、これは私も同感でございますがいさりとて、この五%の節減というものが果たして実行できるのかどうかということが疑問でございます。  そこで、この節減対策についてお伺いするわけでございますが、去る三月一日、二日のIEA理事会におきまして、ただいまお話ございました五%の石油消費の削減合意されたわけでございます。ちなみに、わが国の一日の石油消費量は、およそ七十万キロリッターでございまして、三月十五日の省エネルギー・省資源対策推進会議の決定の中身を見ますと、年間約千五百万キロリッターの節約を見越しておるわけでございます。この実施状況につきましては、報告を受けるようになっておりますが、具体的にはどのようにチェックをするのか、お伺いをいたします。
  130. 中島源太郎

    ○中島(源)政府委員 御質問のように、千五百万キロリッターの節約につきまして、すでに指導はいたしておるわけでございますが、先生御存じのように、冷暖房並びに照明の節約、それから街路灯の数を減らしましたり、あるいは照明度を減らすということ、それから第三には、大口工場の省エネルギー化をお願いいたしております。また、燃料転換をこれまたお願いしておるわけでありますが、以上四つにつきましては、ビル管理あるいは団体に対しまして協力要請すると同時に、報告を受けるということにいたしておりますし、また街路灯は、道路公団あるいは大口工場につきましては、従来ともに協力と同時に報告を受けております。また、燃料転換につきましては、九電力に対して報告を受けるようにいたしておるわけであります。さらに、マイカーあるいは家庭生活の省エネルギー化、これにつきましては、現在のところ協力要請、PRを積極的にいたす、これを緻密に推進することによりまして、千五百万キロリッター、約五%の節約を達成いたしたい、このように考えておるところでございます。
  131. 宮井泰良

    ○宮井委員 そういったいろいろな対策を、マイカーでございますとか、室内の温度でありますとか、るる細かく言われたわけでございますが、私は、そういったものの報告を受けて、具体的にどういうふうにチェックするかということをお尋ねしたわけでございまして、それは大変むずかしいのじゃないか、その点が一つと、一月二十二日に省エネルギー・省資源対策推進会議が決定いたしました節約の中で、ただいま御答弁ございましたようなことと重複すると思いますが、室内の温度は、暖房期間中二十度C以上としないこと等の暖房温度調整も、実際は一向に実施されていないのじゃないか、そういった現状であると思うのです。当委員会は先ほどからちょっと寒いようでございますから、ここは若干実行しているのかな、こういうふうに考えますが、実際は強制力がない以上、効果は出ないのじゃないか、こういうように思うわけでございます。やはり大口消費、電力、石油を抑えない限り、先ほどの景気の動向と関連してきますから、それは一概には言えないのですが、五%の節約は困難と私は思うわけでございます。したがいまして、大口消費というものは、景気回復に水を差すということで規制を避ける、あるいはマイカーの規制と申しましても、現在、道路の込みぐあいを見ましても、実施されるとは思われないわけでございます。と申しますのは、マイカーというのは、経済速度、御承知のとおりスピードを落として節減をする、こういうことでございますけれども、東京都のように道路の込みぐあいなどを見ましても、これはどういった対策をするのかな、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  132. 中島源太郎

    ○中島(源)政府委員 細かいことは一つ一つございますが、おっしゃいますように、マイカーの規制はなるべく速度を落とすとか、あるいはレジャー用の遠出はなるべく避けていただくとかいうことで、御協力をいただいておるわけであります。なおかつ一つの方法といたしましては、駐車場の規制というものも、考える範疇には入るかと思っておりますが、まだそこまではいっておりませんが、そういう考え方一つはあるというふうな一端としては、お答えをいたしておきたいと思います。
  133. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、残念でございますが、申し合わせの時間に近づいてまいりまして、規則は規則として守りたいと思いますので、最後に一点だけお伺いをいたしまして終わりにいたしたいと思います。と申しますのは、ただいまの問題は、そういうふうにいたしましていろいろ具体的な方策を立てておられますが、どうかひとつ実効の上がるような方向へ、しっかり監督をしていただきたい、このように要望いたします。  最後の問題は、石油業界筋によりますと、石油会社大手の出光興産は、OPECの原油価格値上げの決定を待ちまして、石油製品の追加値上げに踏み切ったと、きょうの新聞で報道されておるわけでございます。今月初め通産大臣は、この出光興産に、石油製品の便乗値上げを防ぐために、値上げには慎重を期すよう要請をいたしたと思っておりますが、実際にこれを機に、わが国の民族系の石油会社が便乗値上げをしないかどうか、その点をどう指導監督されるか、また、あるいは石油製品が四月以降値上がるとすれば、具体的にどんな品目で、何%の値上がりと見ておられるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  134. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘の新聞報道につきまして、私どももけさ記事を見まして、早速関係者、これは二社が出ております、出光と日本石油値上げの問題が出ておりますので、問い合わせをいたしましたが、新聞に報道されておるような内容について、関連企業は具体的な決定を行ったという事実はないし、その旨の発表を行った事実もないということでございました。したがいまして、四月から石油製品価格が上がるのか上がらないのかということにつきまして、関連企業が何も言っていない段階から、役所の方でどうこう推察をするということは適当ではないと思いますので、差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ基本的には、三月二十六日のOPECのジュネーブ会議におきまして、原油価格の問題が論ぜられるであろうという見方が一般的でございまして、この点に、関係者の注目が集まっておるということは事実でございます。すでに十二月のOPEC総会におきまして、OPECでは、四段階の段階的原油価格の引き上げというものが決定されておりますので、四月からは、ある程度値上げは、予想されておるわけでございますが、三月二十六日の総会が、当初予想されておった原油価格引き上げの動きに、どのような影響が出てくるかということが、関係者から注視されておるわけでございますし、私どもも注視をしておるところでございまして、その辺の動向を見ながら、石油製品の価格問題に関しては論ずべきだろうと思っております。ただ、一般的に申し上げまして、私どもの大臣が指導しておりますとおり、石油企業に関しては、慎重に対応するようという要請は行っておるところでございます。
  135. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは時間が参りましたので終わりますが、石油ショックのときに便乗値上げということがございまして、消費者が、そういった面で、大変大きな影響を受けたという経験もございますので、その点しっかり指導監督をいたすよう要望いたしまして、終わりといたします。ありがとうございました。
  136. 野中英二

    ○野中委員長代理 工藤晃君。
  137. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私はきょう、昨年大規模小売店舗法と商調法が改正されまして、いよいよ新法の施行が間近になっておると聞いております。そこで、そういうときに当たりまして、政府の駆け込み出店対策及び新法の運営に対する姿勢といいますか、態度といいますか、それについて伺いたいと思います。  通産省としては五十二年九月一日に基準面積未満の大型店舗行政指導要綱というのを出しまして、それから昨年は三月、七月にそれぞれ、「駆込み新増設の自粛について」という通達を出しておって、対策はとっておると理解はしております。それから、とりわけこの商工委員会におきましては、昨年六月十六日の特別決議や、昨年十月十七日、この改正がここで採決されるときに、附帯決議が決められているわけでありますが、この附帯決議の中では、特に「本法が施行されるまでの間、大規模小売店舗の駆込み的な新増設が行われることのないよう指導すること。」というふうになっていることは御存じだと思います。  そこで、施行も迫っているというこのときに、政府としてこれを具体的にどういう要領でいまやっているのか、そこを伺いたいわけです。とりわけ問題になった、改正で新しく対象に入った、第二種大規模小売店舗に該当するような計画、こういうものに対しては、駆け込みを許さない、駆け込みが行われないようにする、そういう指導をどうやっているのか、そのことです。
  138. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話のございましたように、昨年の六月でございましたですか、国会で決議がなされておりまして、私どもはその国会決議を体しまして、七月に関係団体、それから都道府県、通産局というところに、それぞれ駆け込み的な出店が行われないように、「駆込み新増設の自粛について」という通達を出しておるわけでございます。これで、いまお話のありました、いわゆる現行法の基準面積未満のものにつきましても、問題があった場合には都道府県でよく指導するようにという趣旨の通達を出しておりまして一その通達に従いまして行政を行っているわけでございます。私ども、各府県と通産局の間で連携をとるように指導いたしておりますが、全体として見たところでは、新しく法の対象になります第二種大規模小売店舗につきまして、最近特に無理な出店をして、押し切って出店してしまったというようなかっこうで、トラブルが起きるというような事実は、余り報告は受けておりません。数としてもそれほど、要するに従来から比べて急増したというふうにも聞いていないところでございます。私どもとしましては、この通達をよりどころにいたしまして、従来通産局を指導し、また県にもお願いをしておるという状況でございます。
  139. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) これは昨年五月十二日、当委員会におきまして革新共同の安田委員が、駆け込み的新増設というのは大体どういうものを考えるかというとで、そのとき山口政府委員が答弁して、結局それは、ちょうど三月十三日の通達が出された後だったので、この三月十三日の通達のずっと前から計画があって、しかも地元の業者の人たちとよく話し合いがついているというのは、駆け込みと言えないかもしれないけれども、この後にあわてて計画を出したり、そしてまた話し合いもしないで、どんどん計画を進めようとするのは駆け込みの疑いがある、そういう答弁を山口政府委員はされております。これは議事録を読んでいただきたいと思います。そうしますと、昨年十月十七日、この委員会におきまして法改正が行われた、そしてその後突如として出店計画を出してくる、しかも周りの業者の方とも話し合いなしで出してくる、これは当然駆け込み的と言わざるを得ない。これは東京に即して言いますと、さっきの基準面積以下は、東京都の対策要綱の対象として届け出るという形をとっておりますが、そう見ざるを得ないわけでありますが、その点についてどうですか、政務次官、お願いしたい。
  140. 中島源太郎

    ○中島(源)政府委員 おっしゃるように、第一種、第二種という分類はこれからのことでございますが、第一種につきましては、実は昨年の三月にやや届け出が多かったことがございますが、あとは大体平均をしておるようであります。     〔野中委員長代理退席、山下(徳)委員長     代理着席〕  それから第二種につきましては、やはり大体平均化しております。しかし、第二種の場合には、条例、要綱ではとらえられますから、その範囲の数字でありまして、条例、要綱を通らない、いわゆる商調法段階で出店して、きておるものの数は、全部明確には現在手元にありませんが、それに対する指導といたしましては、特に条例、要綱の場合、これはおっしゃるように網にかかるわけですが、条例、要綱は、四十七都道府県のうち三十九都道府県ぐらいだと思います。あと残りの部分につきましては、できるだけ商調法にかかわる申し出団体資格をとるように指導いたしまして、これによって調査の申し出、調整の申し出をしてもらえるような推進策を、今日までとってきたわけでございまして、これは実際面よりも、事前行為として効果を上げておるように私は考えております。  以上の点も含めまして、審議官のお答えに足して、できるだけ駆け込み出店がないように、今後とも指導してまいりたい、このように考えております。
  141. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまの質問で、要するに昨年も法律の改正が衆議院を通ってしまって、それ以後あわてて出してきて、全然相談なしにきたというのは、この前の委員会におきましての山口政府委員の答弁の趣旨からして、駆け込み的であるとみなされるかどうかという、ごく単純な問題でありますが、そのことだけお答え願いたい。
  142. 中島源太郎

    ○中島(源)政府委員 山口審議官のお答えの後、おっしゃるように十月十七日以降今日までの出店は、駆け込みと言えるかどうかということが主だと思いますが、これは場所と出店の状況によりましていろいろ違っております。したがって、現在とっておりますのは、三条届け出にかかわる数字でございますけれども、これも実態は、三条届け出以前の状況もそれぞれかかわってくる問題でございますから、私もこれは大変関心があるところなんですけれども、十月十七日以降といえども、いままで出てきているものはすべて駆け込み的な要素が多いとは断定できないというふうに考えております。(工藤(晃)委員(共)「できないけれども、疑いもある」と呼ぶ)そういう疑いも中にはあるかもしれませんが、私もう一度調べ直してみましたが、特に数字がふえておるという状況にはございません。
  143. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 問題は、数字で見て最近ふえているからどうかというよりも、現実にそういう法改正の前をねらって駆け込みしようとしているものは、その数字が多いか少ないかは別として、現実にあるわけなんで、その問題を国会の決議として、それで駆け込み新増設をやってはならないように指導するという以上、数が多いとか少ないとか、あるとかないとかでなしに、そういう、明らかに法改正前をねらっていると見られるものがあれば、それに対して対策をとるのが当然ではないかという立場から、さらに質問を具体的にした方がよろしいと思うのですが、特に私取り上げたいのは、スーパーの稲毛屋が、東大和市で昨年十月十八日、それこそ当委員会で採決が行われた翌日に、出店計画の届け出を突然出してきたわけであります。これに対しまして、地元の五つの商店会が反対しているだけではなしに、第三小学校のPTAあるいは自治会、青少年対策協議会が、これに対する対策をとらなければいけないと、反対運動をやっております。それで、東大和の市長さんも書面で、一月二十二日、出店計画の再考を要請している、こういう大きな問題が起きているわけなんです。  非常に大きな問題が幾つもあるのは、一つはさっき言った、まさに十月十八日に出してきて、それでことしの十月ごろの開店をねらう。これは時期的に見ても、明らかに駆け込み的なわけです。それだけでなしに、地元商店街への影響というのが非常に大きいということは、東大和市ですでにもう六つばかり大きな店舗がある。忠実屋、稲毛屋、稲毛屋自身ですでに二つ店があって、さらに三つ目にしよう、こういうことでもあるわけですね。この前私が、五十二年三月この委員会で取り上げました、小平市のダイエーの影響もいよいよ出ようとしている。ダイエーは間もなく開店する。そういう中でこれが突然出てきて、そしてこれが商店を非常に脅かしているというだけでなしに、二つ目に、非常に大きな問題があるのは、第三小学校という小学校がありまして、その小学校の正門前、道路一つはさんでここに大きな店をつくろうというわけですね。そのまた反対側隣接は、子供の遊び場になっているところに強引につくろうという、こういう計画が出てきたわけでありまして、当然学校の前の道路というのは両側が通学路になっていて、そこに車が非常にふえることははっきりしているわけですね。それで同時に、学校の校舎から、子供が窓をあければ、あけなくても、目の前が稲毛屋になってしまう。こういうちょっと環境からしても常識外れの計画というのが、ここで出てきたわけなんです。  この出るに当たって、そのほかいろいろ問題があります。第一種住居専用区域がほとんどのところへ建てるため、それを脱法するために、いろいろな手管を使っておりますが、きょうはここではそれは詳しく言いませんが、こういうことで、この稲毛屋の出店というのは明らかに駆け込み的ではないか。しかもそれで小学校の目の前につくるという、環境を全く無視したやり方もやっている。しかも、これは三月三日、尾崎市長さんが同席で、そして出店の計画対策協議会の人たちに説明するようにという場を設けたわけなんですが、出席は一方的にしない。こういうふうにして、地元との協調ということはきわめて悪いわけで、これは営業姿勢の問題でもありますね。だから、法律に触れなければいいというのじゃなしに、稲毛屋もこれから年間千億円をねらっている大きなところとして、そして社会責任ということもありますし、いまこういうふうに問題になっているわけで、当委員会の決議も受けまして、通産省としてもこの出店問題については、やはり精査して、しかるべき対応をとることを私要請します。どうぞこれはやっていただきたいと思いますが、どうですか。
  144. 中島源太郎

    ○中島(源)政府委員 稲毛屋の問題につきましては、大体平米数が千五百以下というふうに認識をいたしております。その点では、商調法段階をねらって出店をしているやにも受け取れるわけでありますが、実態は、担当者の方で報告を受けておると思いますので、政府委員からお答えをさせます。
  145. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話のございました稲毛屋の件、これは、いまお話のあった、東京都下で、数店舗の基準面積未満の出店を計画しているようでございます。私どもそういうふうに聞いております。これにつきましては、私の方は関係の都道府県、すなわち東京都の方にも通達の趣旨はお話してございますし、東京都の方もその趣旨は十分了解して、その線に沿った指導を行っているというふうに私どもに申しております。なお今後ともそういうかっこうで東京都と緊密に連絡をとって、その通達の趣旨というもので指導していくように、東京都の方にもよくお話をし、東京都の方もその気持ちでやっている、こう申しておりますので、その線でやっていきたいというふうに考えております。
  146. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) もう一つ問題として、同じ稲毛屋でありますが、武蔵野市の西久保の出店も大きな問題になっております。もちろんそれだけでなしに、立川の若葉町とか、荒川区の日暮里、それから足立区、練馬区などでも、同様の問題がいま一斉に起きているというところに、一つ問題があるのです。  西久保への進出につきましても、これは昨年の十一月二十九日に届けているということであります。そしてこの出店に対しまして地元の三谷通り商店街や、ほぼ十の商店街が影響を受けるということで、反対運動も起きているだけでなしに、武蔵野市議会として全会一致で、これは大変問題があるというので、通産大臣あて、都知事あての意見書を、三月十五日に出しているわけなんです。通産大臣あての意見書の中で、状況精査の後適切な指導を要請をしている、だからこれは後でそれについてお答えいただきたいのですが、これについても問題に触れておきますと、出店計画に書いてある商圏を見ますと、稲毛屋の特徴というのは、大体一キロとか、十五分ぐらい歩くところをねらって、そしてそこを根こそぎ相手にしようとするわけですが、それがちょうど三谷通り商店街という、長く形づくられた住宅街のど真ん中に来て、それで、まさに三谷通り商店街の商圏そのものをいただいてしまおうというやり方で、ちょうど品物も競合する。稲毛屋が大体十億ぐらいの年商、そしてこの三谷通りで競合する四十幾つのお店が十億という、きわめて露骨なやり方で来るというのが一つであります。  それからもう一つ、武蔵野市の場合は、もう御存じだと思いますが、日本で最も大型店が過密になったところで、大型小売店の一平方メートル当たりの人口というのが一・一で、これは全国一であります。これはお調べになっていただきたいと思います。全国一という過密なところに、さらにまたこれが殴り込んでくるということであります。  そのほか、そこの小学校、中学校、幼稚園あるいは保育園の通学やあるいは園児の通園、それに悪い影響を与えるということでも大問題になっているわけなんですが、少なくともこういうふうに、地元の営々としてつくり上げた商圏そのものを奪うような、あるいは日本一過密なところにさらに入るようなこういうものに対する調整というのは、今後やっていかなければいけないのじゃないかと思いますが、そういうこともあわせて御答弁願いたいと思います。
  147. 島田春樹

    ○島田政府委員 いま御指摘になりました具体的なケースの詳細については、私存じておりませんが、この稲毛屋の場合、いろいろなところに最近も計画があることは、承知いたしておるわけです。  いま申し上げましたように、この前通達で出しました趣旨というのは、国会の決議を受けまして、地元でこの国会の決議を十分踏まえまして自粛をする、それから基準面積未満の店舗の進出に際しましても、地元との調和に十分配慮するとともに、必要に応じて都道府県の指導を受けるようということで、申し上げておるわけでございます。したがいまして、そういう趣旨で指導をしていくということに、私ども心がけておりますし、直接その指導の衝に当たっておられる関係の地方自治体の方も、その点は十分踏まえて指導しておられるものというふうに考えております。今後ともなおそういう趣旨で指導していきたいと思います。
  148. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 稲毛屋のいま私の挙げました例というのは、これは武蔵野市議会として意見書を出しているわけです。大臣あて出しているのですから、いまだに詳しいことを知らないというのは、いささか問題があると思うのですが、それはこの意見書にぜひ沿っていただきたいということです。  あとこの問題でもう一点だけ伺いたいのですが、ともかく稲毛屋の場合は、まさに新法のこれからの運用にかかわる問題として、たとえば東京都の三多摩での大型小売店舗出店計画、これは基準面積以下ですが、都のあれにかかわるのが、五十二年度二十七店舗中十一が稲毛屋である。面積は約四七%ですね。五十三年度は八店舗中三が稲毛屋で、やはり三九%に当たる。いままでわれわれはとかく大スーパー、一番大きなところの影響を問題にしていましたけれども、この稲毛屋の場合は、東大和を中心にして五十キロ圏で非常に密度高く、しかも小さい商圏をねらっていくというので、ある意味では非常にダメージが大きいわけですね。だから、こういうタイプの進出に対しても通産省として、これからは都道府県の責任だというのでなしに、やはり新法がうまくいくように指導をする必要があるということが一点と、それからもう一つ、これは中島源太郎さん自身十月十三日にこの委員会で、たとえば調整と言うとき、町づくり的視野からの基準というのも入れるべきではないかということで、河本通産大臣が、本法そのものの中にはそういうことを書いてないけれども、運用としては、これからは知事の権限が多くなるのだから、環境がどうだ、教育のあれがどうだ、町づくりとしてどうだ、そういうことも指導、配慮していかなければいけないということになりました。当然こういうことはいま関係方面に徹底させているのじゃないかと思いますが、させるべきだと思いますが、その点についてだけ答弁願いたいと思います。
  149. 島田春樹

    ○島田政府委員 この大店法の改正法案が、国会で御審議になりました際に、まさにいまお話のあったような御質問がありまして、そのときにもお答えしているわけでございます。  繰り返しになって恐縮でございますけれども、大店法の性格からしますと、条文上、そういうようなかっこうの、特に都市計画との関係というような、地域的な環境問題というような点について、直接的に規制をする、そういう観点から規制をするということは、予定をしていないという構成になっているわけです。ただ、現実の問題として、いまお話がありましたような出店があった場合に、いろいろ環境との関係で、影響が出てくるという問題があるわけでございます。結局いわゆる商業の場合には、いわば一つのその地域の地域性というものが、非常に高いという性格を持っている業種でございます。したがってそういう点も実際にいろいろ商調協あたりで調整される場合に、従来も配慮されておりますし、また、この点につきましては、特に都市計画との関係になりますれば、その権限を有する行政機関において、いろいろ指導を行うということも当然行われるわけでございます。今回、たとえばそういった関係の責任を持っております市町村長の意見を聞くというようなことも法制化されております。そういうことでもありますので、いま申し上げましたような趣旨で、運用していくというふうなかっこうにしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  150. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 少し問題を移しまして、三月十六日、日韓大陸だな共同開発のオペレーターを指定された問題について、一、二問伺いたいと思います。  新しい状況として、日本側の開発権者のうち西日本が撤退して、日本石油開発が二から七までをやる、韓国側の開発権者としてはシェル、ガルフが撤退して、同時にKOAMの中のフィリップが撤退して、テキサコ、シェブロン、そしてハミルトンというのが中心になったということが新しく出てきたと思います。この点で言えば、もう時間がないので申し上げませんが、私がかつてここの委員会で指摘しましたように、これはまさに、もともとメジャー日本側と韓国側からしかけてこういうことが起きたので、とりわけフィリップが韓国政府と結びついて、大きく中間線を越えたところを取って、こういうトラブルが大きくなった。私はこのフィリップというのは、必ず撤退するだろうと言ったら、そのとおりになって、残るのは予想どおりテキサコ、シェブロン、それに関連するグループということになったわけです。  ところで、一つ問題になってきたのは、われわれもちょっと予想しなかったことなんですが、オペレーターが探査段階と生産段階で交互にやるようになってしまったということになりました。そこで、伺いたいのは、なぜこういう意外な形になったのかということが一つあります。  それからついでにもう一つの問題を答えていただきたいのですが、そうしますと、これから共同開発区域の中で、オペレーターになった側の法令が、天然資源の探査または採掘に関連する事項に適用されるということになりますと、探査の段階では日本、それから今度生産になると韓国とか、今度は逆だとか、きわめて複雑な事態が起きる。それだけに、これはこの委員会におきまして、革新共同の安田委員も追及していた問題点が、大変心配になるわけなんです。それでは、探査または採掘に関連する事項に適用される法令とは、一体何であるのかということになると、これが何だかいまだにわからないということで、たとえば韓国側の反共法によって、働いている日本人がつかまってしまうようなことも起きるのではないか、こういうこともいろいろ心配されるのですが、一体どのようにしてこれから決めようとしておるのか、いまのところどういうところまで明らかになったのか、これについてはっきりさせていただきたいと思います。
  151. 股野景親

    股野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘ございましたように、操業管理者の指定を、探査段階と採掘段階というものに分けて行うということについて、今般合意を見たわけでございますが、これは、かねてから両国開発権者間、及び両国政府間におきまして、この操業管理者の指定について、るる話し合いを行いました結果、公平の原則を図るということと、双方の開発権者が各小区域において、それぞれ操業管理者として参画するという機会を得る、こういう観点から、このような探査段階と採掘段階ということに分けて操業管理者を決める、そういう方式を今般とった次第でございます。  ただいま、これに関連しまして、先生の御指摘のございました協定十九条の適用の問題でございますが、これにつきましても、本件こういう方式をとりますに当たりまして、探査段階におきまして商業的発見があった場合に、採掘段階に移行するわけでございますが、その時点において、操業管理者の交代ということに伴って、同時にこれに対して適用される法についても、同様に変更があるわけでございます。その点は今後踏まえて、私どもさらに適用法規の問題についての範囲を、韓国側と話し合いを詰めてまいる努力を重ねているところでございますが、いかなる法規が適用になるかということにつきましては、昨年十一月に開きました日韓共同委員会の席におきまして、両国の友好的な協力という精神のもとで、両国の適用法令の問題を協議する、こういうことが合意されまして、その後さらに話し合いを現在しておるところでございますが、御指摘のございましたような、日本にはない、韓国に特有の治安法規、たとえば反共法でございますとか、あるいは国家保安法というようなものについては、いわゆる本件の開発といったものに適用がある法規とは思えない、こういうことを日本側の見解として先方に言い、先方もこれまでこれには異議を唱えていない、こういう経緯がございます。なお、具体的範囲については、今後とも韓国側との話し合いで詰めてまいりたい、こう考えております。
  152. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 時間がまいりましたが、いまの問題大変大事なんで、労働法というのは必ず適用になるのです。労働法自体でも、韓国の勤労基準法と日本の労働基準法とまるきり違いますし、労働組合法も違いますし、労働争議調停法もまるきり中身が違って、自由とか権利の度合いが違うわけなんです。労働法は、いままでの話では、そういうことは日本側も認めているようでありますし、これ自体大変問題があると思いますが、さっき出されましたような維新憲法はもとより、国家保安法、反共法等、これらの法律を向こう側が適用しようということが仮にあるとすれば、これに対して日本国民の人権を守るという立場から、はっきりした態度を貫くべきであるということを最後に要望しまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
  153. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 大成正雄君。
  154. 大成正雄

    ○大成委員 時間が限られておりますので、簡潔に承ってまいりたいと思います。  最初に、石油五%節約の実行と、省エネルギー法について承りたいと存じます。  まず天谷長官、先日開催されましたパリでの国際エネルギー機関に出席されまして、大変御苦労であったわけであります。参議院の予算委員会で、まだこちらに到着しておらないということでありますが、しかるべく政府の御答弁を承りたいと思います。天谷長官IEA会議に臨むに当たりまして、腹づもりとしては四%くらいの節約で通るのじゃないか、こんな感じであったように聞いておりますが、結果において、五%の節約というIEA方針が決定された、こういうことであります。その真偽はどうなのか、意外性のある五%であったのか、また同時に、五%といいますと、約千五百万キロリットルの節約ということになるわけでありますが、このことがGNPの成長率にどのように影響してくるのか、それから承りたいと思います。
  155. 神谷和男

    ○神谷政府委員 私どもの長官IEAに参ります際に腹づもりとして持ってまいりました幅は、三%ないし五%、したがいまして、平均をとりまして四%程度と言われておりましたが、ただいま御指摘のように、その上限の五%というところでIEAでは節約の目標値が決まった、こういうことでございます。  これについての考え方でございますけれども、自由世界全体で二百万バレル・パーデーの不足が一九七九年を通じて発生するであろう、こういうことでございまして、この二百万バレル・パーデー節約するためには、やはり足並みをそろえて、五%の消費抑制を行わなければならない、特にスポット価格の高騰等が著しい状況を勘案いたしますと、これに対しては各国共同で対処しなければならない、こういう考え方に基づいてこの五%が出てきたわけでございまして、この二百万バレル・パーデー程度の不足が見込まれるであろうということに関しましては、私どもも、それほど大きな差のある数値を念頭に置いておりませんでしたものでございますから、特に意外性というものはございませんが、ただ、その上限のところにございますので、その節約のためには、一層の努力が必要であるということで、帰りましてから、さらに第二弾と言われる消費節約を打ち出すことになったわけでございます。  ただ、御承知のように、この消費節約に関しましては、産業活動あるいは経済活動等に、直接影響を与えない限度において、最大限の節約を行おう、こういう考え方でございますので、GNPその他の成長率につきましては、現時点の節約の範囲内では、直接特に際立った影響を与えないものと考えておりますし、またそういう範囲内での節約を最大限行いたい、こういうふうに考えております。
  156. 大成正雄

    ○大成委員 GNPへの影響度については、後ほど承れたらと思います。次に質問を進めさせていただきます。  このIEA会議で、三井物産のイラン石油輸出再開第一号の買い付けのニュース、バレル二十ドル、こういったアメリカの日刊紙の報道がありました。そのことが、出席中のクーパー国務次官や、フランスの政府首脳から指摘をされて、天谷長官はそのニュースを知らないで、この取引中止要請があったというふうに聞いておるわけであります。  きょう三井物産が新聞に発表しているところでは、バレル十ハドル、こういうことでありますけれども、アラビアン・ライトの公式価格が十三ドル三十四セントでございますから、十ハドルは、比較的高くはないと言っておるかもしれませんけれども、この公式価格からすれば大変な価格、スポット並みの価格だと思うのです。いやしくも三井物産がそういったような商法をとったということ自体に、問題があるのじゃないだろうかと思うのですが、天谷長官IEA会議出席しておって、そういったニュースを知らなかったのかどうか。また、クーパー次官やフランス政府から、そういった取引中止の要請があったのかどうか。そういった事実関係と、この三井物産のNIOCとの取引価格というものに対する評価、これを承りたいと思います。
  157. 神谷和男

    ○神谷政府委員 三井物産の、イランからのスポット原油の買い付けにつきましては、たまたま天谷長官が、これはIEAの席とは聞いておりません。席上ではございませんで、その会議の際に、たまたま立ち話等で、イラン原油をスポットで、高値で買い付け競争を行うということは好ましいことではないので、私どももアメリカで指導するので、日本でも指導してほしいという趣旨の話を受けたということを聞いております。それから、たまたま三井物産がイランとの間で、この話をまとめたのが、ちょうどほぼ同日でございまして、三井の話を私どもが耳にしたと同時に、長官から外国からの電話があった、こういうような事実関係になっております。  ただ、一般的に言って、おのおのの個別の商取引に関して、これをとめよとかあるいはとめてほしいという具体的な要請ではございませんで、買い付け競争を行うということは好ましくないので、指導してほしい、こういうことでございまして、それまで私どもも一般的に、高値のスポットの買いあさりは行わないように、こういう要請石油業界並びに関連商社等に行っておりましたので、長官といたしましても、日本もそういう姿勢で対処しておる旨答えたわけでございます。  具体的に、三井物産のイランからのスポット原油の買い付けにつきましては、たまたま同社の石油担当の幹部が、イランとの長期的ないわゆるDD原油、直接取引の原油の買い付け交渉のために、現地に行っておりましたが、その際、輸出第一号ということで、たまたまタンクに在庫のあるものを、スポット的に日本にぜひ売りたい、こういう強い要請があり、それは、いわゆる一回限りのスポット取引である、こういうことでございましたので、イランと同社との関係あるいはイラン日本との関係を勘案しながら、スポット価格としてはかなり低位なもので、一回限りの取引ということで、これを日本向けに受けた、こういう報告を受けております。  私どもといたしましては、この一回限りの取引に関して、特にコメントをするのは適当ではないと考えられますが、一般的に言い得ることは、DDのいわゆる通常の長期ないし中期取引のものではない、一回限りのスポットのものである、しかも、この当時においては、一回限りのスポットは二十三、四ドルというかなりの高値を呼んでおった、それからこの三井物産のスポットを初めとして、その後何隻か、イランが輸出を再開したことによって、スポット価格二十四ドル強にいっておりましたものも、やや鎮静化しておる、こういう効果をあらわしておることも事実でございますので、これはイラン輸出再開の一つの行事的なものということ、それからイランと同社あるいはイラン日本との関係を勘案して、当事者として慎重に考慮した上で決定したものというふうに考えております。  ただ、その後三井物産初め日本関係各社も、イランとの中長期の取引を現在行っておりますので、これらについては、むしろさらに慎重に折衝するよう、要請をしておるところでございます。
  158. 大成正雄

    ○大成委員 かくして三月十五日に第二弾の節約方針が決まり、翌十六日の閣議で、五項目の大平総理の指示ということになってきたわけであります。この五項目の内容は、私ども報道を拝見するところでは、当然過ぎるほど当然のようなことでございますけれども、要は実効をどう上げるかということと、その節約成果をどのようにチェックし、これをどのように公表していくかということの問題があろうかと思います。特に、きょうは通産大臣はおいででなくて、次官がおいででございますが、夏季のエネルギーの節約対策に重大な関心を持っておられまして、ノーネクタイ、ノー上衣、あるいはサマータイム、夏季一斉休暇であるとか、週休二日制といった、夏季のエネルギーの節約策に対して、具体的な明示がなされておるわけであります。また、この夏季対策として私たちが心配していますのは、暖冬異変による積雪地のダムの貯水量の渇水の問題、それから今後の石油の量と価格の問題、こういったことが、非常にこのエネルギー節約の五項目の推進に当たって、心配されるわけでございますけれども、国際的な評価、効果あるいはPR効果、こういったことからしましても、多少こんなことが効果があるかといったことでも、やるべきことはやっていかなければならないと思うのでございますが、それら一連のことを、この五項目の実行に関連して、どのように政府考えておられるか、承りたいと思います。
  159. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  総理が特に指示をされました五項目は、いま先生御指摘のように、当然のことではございますけれども、やはり精神としましては、官公庁が率先いたしまして、決定の趣旨の徹底を図るということに一番重点が置かれておりまして、国民的な合意を経まして、協力を得るということでございます。  それから、サマータイム、ノーネクタイ等についてでございますけれども、サマータイムの導入につきましては、エネルギーという単一な局面からだけでは判断できませんし、労働問題あるいは交通問題等がございますので、これは各省間の総合的な問題としまして、今後早急に詰めて結論を出すということでございます。また、ノーネクタイ等につきましては、これも実際に、実行をできるだけ官公庁が率先してやるということで、夏場に向けまして冷房温度の厳守とともに、きめの細かい指導をしてまいりたいと考えております。  なお、今度の夏季の渇水対策等につきまして、後ほどまた御質問等がございましたら詳しく御説明申し上げますけれども、北海道を除きまして、例年と比較して若干積雪が少のうございますので、われわれも憂慮しているところでございます。
  160. 大成正雄

    ○大成委員 非常に突っ込みが足りませんが、時間の関係で失礼させていただきたいと思います。  次に、石油税の、揮発油税二五%アップの問題についてでございますが、聞くところによりますと、自民党さんの中に設けられました特別委員会、山中委員会で、正常な流通価格が形成されるよう、所要の対策を講ずるという意図のもとに、七項目の方針が決定されておられるようでございます。とりわけその中で、国税庁がポスターを印刷して、六月一日から全国五万七千の給油所、市町村役場一万三千カ所にそのポスターを張る、このポスターの内容は、従来の揮発油税に対して、十円七十銭上がって五十三円八十銭になりますよという趣旨のようでございますが、ねらいは、消費者が負担すべきであるとする、いわゆる税転嫁を国が国税庁のポスターで指導したようなかっこうで、そういう意図で張られるものだというふうに承っておるわけであります。このことに関しましては、独禁法との関係もあったようでありますが、国税庁がこれを行うことについて、公取も了承を与えたかの話も聞いておるわけでありますが、こういったポスターの真意は何なのかということがまず第一点。  それから第二点としては、こういったポスターの先例があるようでございますけれども、先例の場合の印刷枚数や掲示場所、その辺のところをお聞きしたいと思います。
  161. 兼松達

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話のございました自民党の臨時石油流通問題特別委員会でございますが、この委員長案ということで、先般新聞等に出ておったようでございますが、私どもといたしましては、これはあくまでも委員長案ということで、発表されたというように受けとめているわけでございます。国税庁として決定し発表したものではないわけでございますが、ただ、ただいまの先生の御質問にもございます当庁の立場として申し上げますれば、御案内のように、揮発油税及び地方道路税の税率改正につきましては、租税特別措置法の一部を改正する法律案が、現在国会におきまして御審議をいただいておるわけでありまして、同法案が仮に成立いたしました場合を想定いたしまして、どのような形でPRを行うかにつきまして、現在検討中でございます。  具体案につきましては、私ども執行官庁でございますので、同法案が成立した後に検討することになるわけでありますが、このPRポスターを出す場合、その真意でございますか、私どもが考えておりますことは、国民一般、なかんずく揮発油の消費者に対しまして、揮発油の税率引き上げを周知して、理解を深めてもらうということにあるわけでございます。また、申し上げるまでもないことでございますけれども、必要に応じまして国民に税金のことを周知して、理解を深めてもらうということは、徴税官庁でございます国税庁の役割りである、かように考えている次第でございます。  次に、第二点の御質問でございますが、私ども国税庁といたしましては、どのような物品にどの程度の税金が課されているかということにつきましては、常に国民一般に周知を図るべきである、かように考えているわけでございますが、そのようにすることが、国民の税務行政への理解と信頼をより一層深める、ひいては税務行政を円滑に執行するゆえんであると考えておるわけでございまして、たとえば「租税教室」とかあるいは「主婦と税金」といったパンフレットなりチラシなどによりまして、PRを行ってきたわけでございます。  このPRポスターについてでございますが、過去に税率の引き上げに際しまして行った事例といたしましては、揮発油税等の例でございますが、前回の税率引き上げ、すなわち昭和五十一年七月の揮発油税及び地方道路税の引き上げの際にこれを行っているわけでございます。PRポスターを出しております。そのほかに、石油ガス税あるいは印紙税、自動車重量税等の税率引き上げ等に際しまして、PRポスターを出しているわけでございます。それから前回の、昭和五十一年七月の揮発油税等の引き上げに際してのPRポスターでございますが、全部で六万枚用意いたしまして、これを各地の給油所なりあるいは市町村役場に張り出すということをいたしたわけでございます。
  162. 大成正雄

    ○大成委員 国税庁の意図はよくわかりますよ。またその姿勢は当然のことだと思うのでございますが、ただ、今回の場合には、国税庁が考えたことでなく、自民党さんの方で考えついたことだというところに問題があるわけで、ましてやこの消費税にはみんな反対しているのですから、こんなポスターなんか張って歩いたら、また大平内閣の支持率が下がりますよ。そういうこともあると思うのです。  私が一番心配するのは、石油の便乗値上げの問題ですね。要するにこの石油値上げの税転嫁のポスターを隠れみのにして、そしてまたいろいろな要因を挙げて——もう時間がありませんから、石油の値上がりのことを細かく言っておられませんけれども、ともかく、御承知のとおり、OPECの決定に対する第一段階の五%値上げはもうすでに決まったのだし、また先ほど公明党の質問の中にもあったような、追加値上げの、出光や日本石油のそういったニュースも伝わっておるところでありますし、先行きの見通しとしてもこれからどんどん値上がりをする。ましてやいまの値上がりの一つの傾向の中に、つい最近の、過去のいわゆる下げ過ぎ分を取り戻すのだ、こういったことも含まれての値上げという意図もあるのじゃないだろうか。こんなことを考えますと、それが隠れみのに使われて、便乗値上げをはたから促進するようなかっこうになりやしないか、このことを非常に心配するわけでございます。  そこで、このポスターを張ることは、国税庁の方針としてやるのだ、自民党には関係ないのだ、それならそれで結構ですけれども、その便乗値上げをやらせないために、そのわきに便乗値上げをやめましょうというポスターを張る意思があるかどうか、通産次官ですかだれですか、エネ庁ですか。
  163. 神谷和男

    ○神谷政府委員 便乗値上げにつきましては、私どもの大臣の方から、便乗値上げは行わないよう常に要請をしておるところでございまして、これはもう石油、ガソリンのみではございませんで、すべての物資に関して便乗値上げは適当ではないということでございまして、ポスターを張らなければ便乗値上げをしてもよろしいということにはなりませんので、石油税のポスターの横に、便乗値上げはしませんというポスターを張らせるということは考えておりません。
  164. 大成正雄

    ○大成委員 ともかく清酒一本平らげても二六・五%、ビール一本で四七・四%という税金をわれわれは払わされているわけですけれども、酒屋の店頭にそんなポスターなんか張ってないですよ。物品税だってみんなそうですね。ステレオ、ピアノ、自動車、ルームクーラー、みんなそれぞれ税金がかかっているのだけれども、それぞれの店先にそういうポスターが張られて、国民に周知されているという例はないわけです。まあそのいきさつはあえてここでは言いませんけれども、この便乗値上げだけはそのポスターの隠れみのでさせないように、厳重にひとつなにしていただく。先ほどの石油部長の答弁ですか、通産大臣は慎重に対処するよう要望しているとか、こういったような程度の話では問題はおさまらない。もっと厳しい姿勢で対処をしてほしいということを要望をしておきます。  次に、道交法の改正の問題について御質問を申し上げたいと思うのですけれども、今回の道交法の改正によりまして、自転車の通行方法あるいは自転車の安全装置に対する規制整備あるいは普通自転車の型式認定、こういったこと等が決められまして、TSマークの表示が義務づけられたわけであります。これを行うのが日本交通管理技術協会というところで、交付、管理を行うわけでありますが、本協会の現在の体制で十分であるかどうか、これが第一点、これは警察庁ですか。  それから第二点は、現在われわれが使っている四千八百万台の車の点検整備が非常に問題だと思うのでございますが、これをどうするかということであります。  それから第三点目は、そういったこと等からしますと、われわれユーザーに最も密着して手近なところの、まあいわば自転車屋さん、日本自転車軽自動車商協同組合連合会傘下の自転車屋さんが、これを活用するに手近で一番便利だというふうに思うわけでありますが、それらの自転車屋さんには、自転車技術検定有資格者がそれぞれおられるわけであります。それらに対して、警察庁はどのように考えておられるか承りたいと思います。簡単で結構です。
  165. 斉藤隆

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  御質問三点ございましたが、お答えの順序として、まず三点目の方からお答えさせていただきたいと思います。まず第三点目の、自転車技術検定有資格者の活用の問題でございますが、この点につきましては、自転車屋さんの方は、現在、自転車の組み立てと、検査に関する技術をお持ちの方が多いわけでございますので、自転車の点検整備についても、すぐれた技能をお持ちになっておるというふうに思われますので、使用過程にある自転車の点検整備制度の実施に当たっては、これらの有資格者の技能を活用する方向で、検討してまいりたい、かように考えております。したがいまして、そのために、質問の第一点の技術協会の体制上の問題につきましても、一番問題は、御指摘のように使用過程中の約四千八百万台の車両の問題がございますので、これらの方々の御協力を得ながらやっていけば、何とか実施できるのではないかということで、その組織、体制等について、いま準備を進めているところでございます。
  166. 大成正雄

    ○大成委員 国家公安委員会が、点検整備技能検定基準というものを定めるわけでありますけれども、現在の自転車技術検定制度というものと、検定基準との評価の関係は、どのように評価しておられるのかということと、もう一つは、この点検整備有資格者を、今回、政府が、いわゆる自転車の安全管理士という制度を設けようとしているわけですが、この安全管理士の制度の資格付与者として、優先させることは考えておられるのかどうかということ。それから、これに関連しまして通産省に承りますが、今度の道交法の改正で、自転車の安全整備ということが、あるいはその安全基準というものがここまで厳しく法制化されるわけですから、当然生活用品安全法の、いわゆるSマークの指定品目として指定すべきじゃないか、こう考えるわけです。いままで四千八百万台のすでに乗り回している車はどうだとか、あるいは中古車がどうだとか、いろいろなことでなかなかむずかしいとかどうとかという御答弁がなされてきたわけですが、事がここまで来ますと、自転車の安全に関して、通産省の立場からいろいろ言い逃れはできないだろうし、また同時に、警察庁も通産省協力を得なければ、この道交法の改正の趣旨を徹底すること、制度の実効を上げることはできない、このように私は考えるわけでございます。  ついでに時間が来ますからみんな聞いてしまいますが、通産省は、自転車の販売実態調査結果をすでに出しておるはずでありますけれども、この調査結果の中において、好ましくない現象と認められる販売実態は何であったのか、それだけを承って、私の質問を終わりたいと思います。
  167. 斉藤隆

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  先ほどもお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、使用中の自転車の点検整備につきまして、広くその組み立てと検査についての技能を有する自転車屋さん、いわゆる技能検定の有資格者を、私どもの方で考えております、まだ名称は確定いたしておりませんが、安全管理士というようなことに、御協力を願っていくような方向で検討を進めておるところでございます。
  168. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 いわゆるSマークにつきましては、昨年も先生の御質問にお答えしたところでございますが、大変残念ながら、現段階におきましては自転車の持つ特殊性にかんがみまして、Sマークに指定することは、大変困難ではないかというふうに考えております。しかしながら、安全性確保の問題はきわめて大事な問題でございますので、先ほど御質問のございました道交法の改正に関連いたしまして、たとえば安全管理士制度につきまして、小売商の方々を活用するというような方向で対処してまいりたいと考えております。  それから第二点に御指摘、御質問のございました実態調査でございますが、実はまだ集計が完了いたしておりません。しかし、せっかくの御質問でございますので、まだ未完成でございますが、その概要を申し上げてみますと、大体販売台数が、スーパー、百貨店で売られておりますのが、全体の販売量のうちの二割ぐらいということが判明いたしております。それから、販売されております機種といたしましては、ミニサイクルが一番多いとか、あるいは組み立ての形式につきましては、スーパー、百貨店ともに七〇%以上が完成品で売られておる、こういうような実態がわかっておるわけでございます。そのほか、詳細につきましては、追って集計の結果を待ちましてまた御連絡を申し上げたい、かように考えております。
  169. 大成正雄

    ○大成委員 委員長に特にひとつ時間が来たようですがお許しをいただきたいのですが、一問だけ、労働省からせっかく来ていただいておりますのでお願いしたいのですけれども、いま日本全国で感電事故によって、いわゆる電気事業者の作業員の感電事故死というのは、どのぐらいの実態になっておるのかを承りたいことが一つ、それからこのような感電事故死の発生というものは、労働省としても労災対策上あらゆる努力はしておられるでしょうけれども、いわゆる活線工事といった工法そのものに問題があると思うので、いわゆる作業停電といったことをある程度制度化して認めていく、このことが非常に大事なことだと思うわけであります。  そこで、通産省の立場からは、作業停電といったことのコンセンサスを得るための努力をする意図はないのかどうか、できるならばこれを法制化するなり何なり、あるいは政令、通達でも結構ですが、そういったことができないのかどうか。要するに活線作業を強要することによって、このような犠牲者を毎年出しておるということが許されていいのかどうか、このことだけ御質問申し上げさせていただきたいと思います。  なお、都市ガスの地域供給と、LPガス事業者の紛争調停と補償について、もし関係者がおられましたならば、簡単で結構ですから承りたいと思います。
  170. 小村雅男

    ○小村説明員 お答え申し上げます。  まず感電によります死亡者数でございますが、五十二年一年間で百三十七名の方が残念ながら亡くなっていらっしゃいます。これは、一年間の全死亡災害三千三百人でございますが、およそ四%というような状況でございます。五十三暦年の数字は、まだ中途の速報しかつかんでございませんが、全体の三千二百八十七名中の百二十九、これは速報数値でございますので、統計の集計過程の数字ということで御理解いただきたいと思います。そのうち、いわゆる電気工事、関東電気工事等の方がおやりになっております関係の死亡災害でございますが、五十二年五十九名、五十三年が四十四名というような実情でございます。  これらの感電災害防止のために、労働省といたしましては、労働安全衛生法に基づきます労働安全衛生規則の中に、第五章というようなことで、相当の条文等を準備し、それぞれの工事の態様に応じまして守るべき措置基準というものを定めておるわけでございます。御指摘の、いわゆる活線作業をなるべくやめて、停電作業にということにつきましては、私どもも労働災害防止の見地から、各電力会社等に、そういうふうな消費者なりの御理解を得るという努力をしてほしいということは、要望しておるところでございます。
  171. 豊島格

    ○豊島政府委員 御質問の第一点、作業停電を法制化できないかという点でございますが、確かに、先ほどお話もございましたように、感電事故が非常に多いということにつきましては問題でございますが、これを一律に法制化するということは、必ず停電して作業しろということは、ややむずかしい問題が残っておるということで、今後慎重に検討していきたいと思っております。ただ、作業停電をしやすくするためには、基本的には病院とか公共施設あるいは大口需要家というところが、自家発電を設置していただけばいいわけですし、さらに配電をループ化して、一方が切れても他方がつながる、あるいは予備線、電源車の活用を図るということも必要だと思います。また最近では、感電事故防止のために工事方法が改善され、または絶縁工具等も開発されて、相当減ってきておりますが、感電事故の中には、作業者の不注意ということもございますので、その辺を管理者が十分見守る、あるいは教育するということでやることが必要だと思いますが、以上のような施策を通じて、できるだけ感電事故の減少を図るというふうに、安全対策を講じてまいりたいと思っております。  それから第二の御質問でございますが、都市ガスとLPの紛争状況について、どうしているかということでございますが、この点につきましては、LP、都市ガスとも、家庭用燃料としてそれぞれ重要な役割りを持っておるわけで、これがお互いに問題を起こすということは好ましくないことでございまして、基本的には話し合いによる解決ということを基本としておりますが、それをうまくやるために、紛争が起こらないように都市ガス業者を指導いたしまして、切りかえるときは事前に通告する、それから無断で器具を取り外さないようにする、あるいは話し合いがつかない場合には、通産局、あるいは本省所管の場合には、通産省自身がそのあっせんの労をとるということも考えておりますし、実際行っておるところでございます。さらに補償と関連いたしまして、保安の引き継ぎにつきましては、協定を結ばせる等いたしまして、実際の紛争が起こらないようにスムーズに切りかえが行えるような指導をしているところでございます。
  172. 大成正雄

    ○大成委員 どうもありがとうございました。終わります。
  173. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 次回は、来る四月十日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会