○小坂国務大臣 五十三年度の成長率でございますが、初め七%、その後修正がされて、われわれの
見通しでは六%
程度というふうになったわけでありますが、これで一番大きな変化は、円高によって輸入が非常にふえたこと、そしてまた円高によって輸出が減ったことで、この全体としてのGNPの伸び率を低目に抑えたわけであります。国内だけ見ますると、特に五十三年も半ばを過ぎてからは、だんだんと景気も好転してまいりまして、最近われわれは、国内
需要だけは七%を多少超えるぐらいの成長率が、実績としてあったというふうに見ております。したがいまして、五十三年度の全体の
パーセントはいかなかった、しかし内需は思った以上に大きく伸びたということになっていると思います。
五十四年度は、そうした基盤の上に立っておるわけでございまして、われわれは特に
貿易関係、当時円は大体一ドル百九十円が相場でございましたので、それを基準にして
計算いたしたわけでありますが、これと現在の二百円台というものは、そう大した相違はないわけでございますが、大体において五十四年度は、
貿易の輸出入は、ある
程度のバランスをとっていくだろうというふうに見ておるわけであります。また、国内の
経済の拡大も、五十三年は年率にして大体七%ちょっとぐらいに行っておると思いますが、五十四年度はこれが六・六%ぐらいのところまでいくのじゃないかというふうに見ております。
物価の方でございますが、卸売物価は、五十二年は円高あるいはまた国内の前半の非常な不況等によりまして、むしろ前年比マイナス二・六という大変大きなダウンがあったわけです。それから消費者物価は、現状までだと四%の上昇までいかないと思います。三%台の上昇にとどまるのではないか。この物価の面から見ますと、景気だとか失業だとかの問題を捨て去ってしまいますと、物価政策だけは、五十三年は非常にうまくいっているというようにわれわれは見ております。五十四年度は、こうした非常に成功した物価政策の後を追いまして、いま御指摘のような海外要因や世界動向や、そしてまた国内自体の景気の回復等がございますから、このような低上昇率で食いとめるということは、なかなかむずかしいというようにもちろん
考えております。それで消費者物価の方でございますが、四・九%
程度ということを目標に掲げておりまして、この中には、もちろん年間一割上がるOPECの
石油価格の上昇も見込んでおりますし、また、その他われわれが予算としてお願い申し上げておる、各種の公共料金の引き上げも入れております。また、地方自治体が認可をする公共料金等につきましても、大体物価スライド
程度のことでとどまるというふうに見て、これは全部織り込みまして、四・九%を計上しておるわけでございます。それと同時に、卸売物価の方は、円高の停滞と申しましょうか、円安とまではいかないと私は思いますが、そうしたことや、
石油事情の急激な変化、こうしたものを
考えて、五十四年度は、前年はマイナスの二・六でございましたが、今度はプラスの一・六というふうに
考えております。
卸売物価の一・六%上昇と、消費者物価の四・九%の上昇ということは、目標でございますが、こうした目標を達成することが、雇用にもあるいは
経済成長にも、ある場合には経常収支あるいは基礎収支等にも、すべてに関連する非常に
基本的な数値と
考えて、われわれはこれを維持することに全力を傾けたいと思っておりますが、委員もおっしゃられましたように、最近の情勢変化ということは、われわれももちろん深く憂慮しております。したがいまして、少し早目であると思う方が多かったと思いますが、二月二十六日に、
政府は物価政策の総合的推進という、八項目からなります相当膨大なプログラムをつくりまして、これで各担当省、そしてまた
政府全体として、早目早目であるけれども、
対策を打ちながら、物価の安定に非常な努力を傾けようということを決めたわけでございます。いまその後のフォローアップに入っておりますが、そうした現状から見まして、いまの円高や円安
状況や、あるいはまた
石油のスポットの
値上げ等が世上非常に喧伝されておりますけれども、そうした
影響がもろに、われわれの掲げておる五十四年度の目標に対して非常なマイナスだ、それを達成することを妨害しているという事態には、まだ立ち至っておらないわけであります。
いずれにいたしましても、全力を挙げて物価の安定に努力いたしますし、また、その政策の中で、不十分なものがあればどんどん見直したいし、もう
一つは、物価政策の中で、食料品につきましては現状よりむしろ値下げの方向をぜひ実現したい、そのような努力を続けてまいろうと思っておりますので、まだ至らぬところは多々あると思いますが、御指摘をいただきまして、われわれも努力をしてまいりたいと思っております。
〔山下(徳)
委員長代理退席、野中
委員長
代理着席〕