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工藤(晃)
委員(共) 私は、その一番下の内職をやっている人が海外に行きたい、何とか行かしてくれなんて、そんなこと全然言ってませんよ。だから、そういう誤解された
答弁をされたらまことに困るわけであります。
それから問題は、まだ
雇用に問題が出てないと言うけれ
ども、これはとんでもないです。
国民金融公庫の「
調査月報」七七年八月号をごらんになってください。
国民金融公庫ですから関係があると思いますよ。上伊那管内事業所の中で電子部品工業を中心とした電気機械について池田正孝中央大学教授の
調査が載っておりますが、これは七四年六月から七五年六月、このわずか一
年間に百九十四社が人員整理をやって、被解雇者数は千六百六十八名。これは電子部品を中心にした電気機械だけですが、そういうことがもうすでに起きているわけであります。
それから、余り具体的な
調査はされてないようでありますが、すでにこういう中央大学の池田正孝教授の
調査、これはきのういただいたこの中にも載ってますからよく読んでいただきたいのです。それから長野県の中小企業総合指導者の
調査もあります。日経産業新聞が去年の十二月十九日から二十三日に出した「底冷えの伊那谷」という
調査もあります。
こういう中で私が非常に大変な問題を
感じますのは、まさにこの電気機械というのは輸出の一番先頭に立っていった企業で、しかもここで一番大きな企業が形成されたけれ
ども、それがこう急速に成長できた一つの秘密として、一番下はもう農家の納屋工場、それで内職、そういう本当に低賃金低賃金で押さえつけてきた、その上で大きくなって、そうして輸出を伸ばして
円高を起こして、今度は
円高だからといって海外に行って、さっきの東芝の言い分じゃないですか、まあ東南アジアから幾らでも安いものを買えるさ、もう別に国内の部品産業はいいんだ、こういうことですごい買いたたきをやっているわけなんです。
私は、今度のこの買いたたきのやり方というのは、たとえばこれは日経産業新聞の
調査によりましても、ある企業、これは網野電子という名前で日経産業新聞に載っておりますが、「この一
年間で商社や国内ユーザーから五〇%の値引きを強いられた。」一
年間で五〇%の値引きですよ。それから、われわれのところでも
調査しました。まだ事前
調査ですが、ある企業でセットメーカーからのコストダウン
要求は七七年が一〇%、七八年が六%、さらに一〇%、計三十数%の引き下げを
要求された。しかもそれは信英の関係ですね。信英は三洋の系列であって、三洋がアメリカ進出を
計画しており、アメリカの工場はこれから商社を通じて
世界各国から部品を調達するから、さらに二五%値引きされるだろう、こういうことを言っておるわけですね。
もうすでに失業者がうんと出て、そしてこのところ猛烈な値引きが行われている、こういう事態を
政府としてまだはっきりつかんでないのじゃないだろうか。しかも、これはどれだけ値引きがあるのか、この中にも載っておりますね。一〇%以上という値引きが相当ふえておりますね。それが五〇%も値引きをやられる、こういうことが放置されていいのだろうか。
それから、さっきは
円高だけが原因であると言うけれ
ども、決してそうじゃないですね。たとえば、特恵関税制度で電子部品がどんどん入るわけでしょう。台湾あるいはシンガポールでもいい。それで本当に発展途上国の現地企業だけが
日本へ輸出する分に特恵関税がかかるならともかく、堂々とした
日本系企業が
日本へ輸出するのが特恵関税で、だからますます進出するわけでしょう。だからこういう問題で私が申したいのは、本当に産地を守る政策をとるというならば、特に大企業の低賃金志向型の海外進出に対しての検討と、それからこういう下請いじめのひどい値下げの
要求、強制、これはもうどうしても抑えなければいけないということと、それから特に進出企業、明らかに
日本系企業の特恵関税利用、これに対して再検討せよ。この三点について最後に
答弁をいただきたいと思います。