○小澤
政府委員 ただいまから
公害等調整委員会が
昭和五十三年中に行いました
鉱業、採石業または砂利採取業と、
一般公益等との調整事務につきまして御説明申し上げます。
初めに、これらの事務の概要について御説明いたします。
第一は、鉱区
禁止地域の指定に関する事務でありまして、各省大臣または都道府県知事の請求に基づき、聴聞会を開いて一般の意見を求め、利害関係人を審問した上、鉱物を掘採することが
一般公益または農業、林業その他の
産業と対比して適当でないと認めた地域を鉱区
禁止地域として指定し、また、同様の手続によりその解除を行うものであります。その指定をした場合、当該地域内における鉱物の掘採が著しく公共の福祉に反すると認めるときは、既存の
鉱業権についても、その取り消し等を
通商産業局長に対し勧告いたします。
第二は、不服の裁定でありまして、
鉱業法、採石法、森林法、農地法、海岸法、自然公園法、地すべり等防止法、河川法、砂利採取法、都市
計画法、自然
環境保全法及び都市緑地保全法に規定する特定の処分に対する不服については、
鉱業、採石業または砂利採取業と、
一般公益または農業、林業その他の
産業との調整を図るため、行政不服
審査及び行政
事件訴訟の特例として、直接裁判所へ出訴することを許さず、もっぱら当
委員会が公開審理等、準司法的な手続により不服の裁定を行います。当
委員会の裁定または裁定申請却下の決定に対して不服のある場合には、当
委員会を被告として、
東京高等裁判所に訴えを提起することができることになっています。
第三は、土地収用法及び森林法上の事業認定や収用裁決等に関し、主務大臣か不服
審査を行う場合には、あらかじめ当
委員会の意見を聞かなければならないこととされており、これに対し回答を行う等の事務であります。
次に、
昭和五十三年における当
委員会の具体的な事務処理の概要を御説明申し上げます。
第一に、鉱区
禁止地域の指定に関する事務でございますが、
昭和五十三年中に当
委員会で処理手続を進めましたものは二十五件でありました。そのうち十五件は前年から係属中のものであり、十件は
昭和五十三年中に新たに請求のあったものであります。この二十五件を請求理由別に見ますと、ダム等の施設の保全に関するものが二十二件、
環境保全に関するものが二件、鉄道施設の保全に関するものが一件となっており、請求者別に見ますと、農林水産大臣二件、運輸大臣一件、建設大臣十件、都道府県知事十二件となっております。これらについて、
通商産業大臣等関係行政機関の意見聴取、聴聞会の開催、利害関係人の審問、現地
調査等所定の手続をとるとともに、具体的に地形、地質、鉱床、
一般公益等
各般の事情を詳細に検討する等
審議を進め、三件について処理を完了いたしました。
第二に、不服の裁定でありますが、
昭和五十三年中に当
委員会に係属した事案は四件で、そのうち一件は前年から係属中のものであり、三件は
昭和五十三年中に新たに申請があったものであります。これらの事案の内訳は、
鉱業法の規定による
通商産業局長の処分に対するもの二件、採石法の規定による知事の処分に対するもの一件、自然
環境保全法の規定による
環境庁長官の処分に対するもの一件でございます。これらのうち、一件については棄却の裁定をなし、残り三件は審理中であります。
第三に、土地収用法関係の意見でありますが、
昭和五十三年中に当
委員会で処理手続を進めましたものは二十四件で、そのうち十六件は前年から係属中のものであり、八件は
昭和五十三年中に新たに建設大臣から意見を求めてきた事案であります。これらの事案の内訳は、道路河川関係十一件、都市開発関係十二件、鉄道建設関係一件となっており、これらは収用
委員会の収用裁決を不服とするものが二十三件、事業認定処分に対する異議申し立て一件であります。これら二十四件のうち、十八件については回答済みでありますが、残り六件については審理中であります。
その他、採石法の規定による、
通商産業局長の決定に対する承認に関する前年から係属中のもの一件について回答いたしました。
以上をもちまして、
昭和五十三年中の事務処理の概要を申し述べた次第であります。
なお、
公害等調整委員会設置法第十七条に定められております
昭和五十三年の所掌事務処理
状況の報告書は、会計年度で取りまとめまして、追って所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしく
お願い申し上げます。