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1979-03-07 第87回国会 衆議院 社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十四年三月七日(水曜日) 午後二時八分
開議
出席小委員
小
委員長
戸井田三郎
君 相沢 英之君 川田 正則君 木野 晴夫君 竹内 黎一君 戸沢
政方
君
友納
武人君 水平 豊彦君 向山 一人君 湯川 宏君
大原
亨君
金子
みつ
君 川本 敏美君 村山 富市君 古寺 宏君
平石磨作太郎
君
和田
耕作
君
浦井
洋君
工藤
晃君
出席政府委員
厚生大臣官房審
議官
吉村 仁君
厚生省保険局長
石野 清治君
社会保険庁医療
保険部長
此村 友一君 小
委員外
の
出席者
厚生省保険局企
画課長
小林
功典
君
厚生省保険局保
険課長
坂本 龍彦君
厚生省保険局医
療課長 竹中
浩治
君
社会労働委員会
調査室長
河村 次郎君 ――
―――――――――――
三月七日 小
委員大原亨
君及び
工藤晃
君二月二十七日
委員
辞任
につき、その
補欠
として
大原亨
君及び
工藤
晃君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員和田耕作
君及び
浦井洋
君二月二十八日委
員辞任
につき、その
補欠
として
和田耕作
君及び
浦井洋
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任され た。 同日 小
委員金子みつ
君及
び平石磨作太郎
君同月一日
委員辞任
につき、その
補欠
として
金子みつ
君及
び平石磨作太郎
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選 任された。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した案件
医療保険制度
に関する件(
給付
と
負担
に関する 問題) ――――◇―――――
戸井田三郎
1
○
戸井田
小
委員長
これより
医療保険制度
に関する小
委員会
を開会いたします。
医療保険制度
に関する件について
調査
を行います。 前回御報告申し上げましたように、
医療保険制度改革
の基本的問題につきましては、大きく五項目に分類して順次取り上げていくことになっておりますが、本日は、そのうち
給付
と
負担
に関する問題について
調査
を進めます。 まず、
厚生省当局
から、本問題に関する
考え方
について
説明
を聴取いたします。
小林保険局企画課長
。
小林功典
2
○
小林説明員
それでは、お
手元
にお配りしました
資料
を御
説明
申し上げます。 順番が入れかわって恐縮ですが、一番
最後
のところに、一枚紙の「
医療保険制度
の現況」という
資料
がございます。これから御
説明
いたします。 これはもう
皆様方
御
承知
のことですので、詳しくは申しませんが、現在、
わが国
の
医療保険制度
は、この一番左の欄にございますように、
政管健保
、
組合健保
、
船員保険
、
日雇い健保
、それから
各種
の
共済組合
、そして
国民健康保険
、こういう
制度
に分かれております。この上の五つ、
政管健保
から
各種共済組合
まで、これが
被用者保険
あるいは
職域保険
と呼ばれる
保険
でございます。それに対しまして、一番下の
国民健康保険
は
地域保険
と呼ばれる
保険
でございます。 それで
保険者
は、
政管
はもちろん国でございますが、
組合管掌健康保険
は各
健康保険組合
、それから
船保
、
日雇い
はいずれも国、それから
各種共済組合
、これは各
共済組合
が
保険者
になっております。それから
国民健康保険
は、
市町村
の経営する
国民健康保険
と
国民健康保険組合
で行う
国保
がございます。ちなみに、
組合管掌健康保険
はいま
保険者
が千六百六十六ございます。それから
共済組合
は御
承知
のとおりに
国家公務員
の
共済組合
、それから
地方公務員
の
共済組合
、それから
公企体職員
の
共済組合
、それから
私立学校
の職員の
共済組合
と、こういう四
種類
に分かれておりまして、それぞれまた
保険者
が分かれていますので、
保険者数
でいきますと八十二
組合
でございます。それから
国保
は
市町村
が三千二百七十二、
国民健康保険組合
が現在百八十二ございます。 それぞれの
加入者
でございますが、次の欄にありますように、
政管
が
本人
、
家族
を合わせまして二千九百万、
組合健保
が二千六百万、
船保
が七十万、
日雇い健保
が六十万、
各種共済組合
が千二百四十万、
国保
は
市町村
と
国保
を合わせまして四千四百万、こういう構成になっております。 それから
保険給付
でございますが、ここにありますように、まず
医療給付
につきましては、
本人
の
療養給付
、これは、
被用者保険
の方は全部十割
給付
でございます。それから
家族
の
療養費
でございますが、これは全部一応七割になっておりますが、
括弧書き
で書いてありますように、
組合健保
と
共済組合
につきましては
付加給付
がございます。たとえば
家族療養費付加金
とか、そういった形で七割以上になる
付加給付
がございます。これに対しまして、
地域保険
であります
国民健康保険
は、
本人
、
家族
と言いますよりむしろ
世帯主
、
世帯員
と言った方がいいんですが、
世帯主
、
世帯員
とも七割ということになっております。それから
医療給付
で
高額療養費制度
がございまして、これは
被用者保険
、
地域保険
を通じまして全部共通でございます。
自己負担
が三万九千円を超えた場合にはその超えた額を後から
保険者
が償還する、こういう仕組みで、これは各
制度
とも全く共通でございます。 それから
現金給付
ですが、
被用者保険グループ
につきましては、
傷病手当金
、
出産手当金
、
分娩費
これは全く一緒であります。ただここでも、
組合健保
と
共済組合
につきましては
付加給付
が認められております。
国保
も同じように
助産費
、
葬祭費
、
育児手当金
、こういうものの
給付
が
法律
で決まっておりますけれ
ども
、
法律
上これは
任意給付
とされております。強制的ではなくて任意的な
給付
とされております。しかし、
助産費
とか
葬祭費
はもうほとんど大
部分
の各
保険者
が実施しております。
育児手当金
は約半数ぐらいが実施しているということでございます。ただ、
支給額
は
被用者保険
に比べて大分落ちるという現状でございます。 それから
財源
の中で、
一つ
は
保険料率
でありますが、
政管健保
は御
承知
のように千分の八十で、八%でございます。それに、現在は
特別保険料
としまして
ボーナス等
に一%の
保険料
が掛けられております。それから
組合健保
は、各
組合
によってばらばらでございます。
大分幅
がありますけれ
ども
、全
組合健保
を
平均
いたしますと七・七%になります。それから
船員保険
は六・二%でございますが、御案内のように
船員保険
は、
健保
、労災、
失保
、年金の四部門を総合的に実施するいわば
総合保険
でございますので、その中から
職務外
の事由による
疾病分
、
つまり
健保
に並ぶ分を引き出しますと六・二%になる、こういうことでございます。それから
日雇い
は、一種特異な形態になっておりまして、
定額制
でございますが、
賃金
に応じまして一級から八級まで
ランク
がございまして、最低六十円、最高の八級で日額六百六十円という
保険料
になっております。それから
各種共済組合
も、各
共済組合
によって違っておりますが、大体五・六四%から上は一〇・六%ぐらいの問に分布しております。それから
国民健康保険
は、こういう料率という
かっこう
でとらえられませんので一応額で示してありますが、五十二年度の一
世帯当たり
の
平均
の
年額
でございますが、六万一千七百七十一円ということになっております。 それから
財源
の中でその次の
国庫負担
でございますが、
政管
は
給付費
の一六・四%、それから
組合健保
はこういう
定率
の
補助
はございませんで、五十三年度十二億円の
定額
の
補助
でございます。なお、これは五十四年度
予算
では十五億円の
予算
をいま計上しております。それから
船員保険
につきましても同様でございまして、
定率
の
国庫補助
はございませんで、
定額
の十二億円でございます。これは五十三年度でございます。これも、五十四年度
予算
におきましては十五億円に増額するように計上をしております。それから
日雇い健保
は
給付費
の三五%でございます。それにプラス六億円の
定額
の
補助
がございます。
定率
と
定額
の
組み合わせ
という
かっこう
になっております。
各種共済組合
は
国庫負担
はございません。それから
国民健康保険
でございますが、まず
市町村
に対する
国庫負担
としましては
医療費
の四五%の
補助
がございます。詳しく申しますと、この四五%といいますのは四〇%
部分
と五%
部分
に分かれまして、
最初
の四〇%
部分
は
医療費
に一律にかけられる
補助金
でございます。残りの五%は各
国保
の
保険者
の
財政力
、
市町村
の
財政力
を調整するという
意味
で、
財政調整交付金
という
かっこう
で五%が配分される、こういうことでございます。両方合わせまして
医療費
の四五%を国が持っている、こういうことでございます。そのほかに、ここにありますように
臨時財政調整交付金
と申しまして、
定額
でありますが、五十三年度で千百二十一億円ほどの
補助金
が出ております。それから
国保
の
組合
の分でございますが、これは
括弧書き
で書いてありますように、
医療費
の下は二五%から上は四〇%の
範囲
内でその
保険者
の
財政力
に応じて配分がなされるというのが
一つ
と、それからそのほかに
臨時調整補助金
というのが、五十三年度では五十九億円でございますが、これが別に
国庫
から出されるということになっております。 それで、この
国庫負担
の額をトータルいたしますと、五十三年度で全部で約二兆円でございます。二兆八百億円が五十三年度の
国庫負担
の総額でございます。これは五十四年度
予算
におきましては二兆三千百八十億円ほどになります。
最後
の欄は、御
参考
までに七十歳以上のいわば
老齢者
の占める
割合
を掲げたものでありますが、
被用者保険
は
平均
で三・三%、そのうち
政管
はやや
平均
より
高目
になっておりまして三・六%、
組合
はやや
平均
より低目になっておりまして二・七%、
国保
が
老齢者
の占める
比率
が非常に高くて、七・五%が七十歳以上の者の占める
割合
だ、こういうことでございます。 以上が、
わが国
の
医療保険制度
の概況でございます。 次に、縦長の「
給付
と
負担
の問題に関する
考え方
」という
資料
を御
説明
いたします。 これは、先ほど小
委員長
からお話がございましたように、
最初
に検討なさいます
給付
と
負担
に関する問題について、内容を少し分析いたしまして細分化いたしまして、それぞれの
考え方
あるいは
問題点
を一応私
ども
の方として整理をしたものでございます。 まず1の
給付水準
でございますが「
平均的給付率
」というのは
本人
、
家族
をならしたところの
平均
的な
給付率
というふうに御理解いただきたいのですが、「
給付水準
についてどのように考えるか」という問題でございます。 まず(1)は、そもそも「
社会保障
としての
医療保険
の
給付率
はどの
程度
が妥当か。」という
問題提起
でございます。ここには(
備考
)としまして、お
手元
にお配りしてありますけれ
ども
、四十六年並びに五十二年の
社会保険審議会
の
答申
をつけておきました。簡単に言いますと、この両
答申
では
本人
、
家族
とも十割
給付
が
目標
である。「
目標
」という
言葉
と「目指すべきである。」という
言葉
があるわけでございますが、十割が
目標
である。しかし純然たる十割
給付
ではなくて、適切な
自己負担
はやむを得ないということでございます。それだけを書いてありまして、
本人
、
家族
をあわせて
平均
何%ぐらいの
給付率
がいいかというその絶対値といいますか、具体的な
給付水準
の率はこの
答申
には明記されておりません。 それから(2)として「
医療保険
各
制度
間の
給付格差
をどう考えるか。」という問題でございます。その中には、
一つ
は
被用者保険
における先ほど述べましたような
付加給付
、
つまり
健保組合
と
共済組合
に認められております
付加給付
を認めるべきかどうかという問題。
三つ目
としまして、これも先ほどの
資料
でお話ししましたように、
被用者保険
と
国民健康保険
の
給付水準
の差があっていいのかどうかという問題でございます。 (3)は「
負担
との関係で
給付水準
をどの
程度
とするか。」
給付水準
だけ決めるわけにまいりませんで、
社会保険
でございますから、
給付水準
を決める場合にはどうしても
負担
を同時に考えなければならぬということは当然でございますが、その
負担
を頭に入れて
給付水準
をどの
程度
にするのがいいかという問題でございます。そこには幾つかの
考え方
があると思いますけれ
ども
、一応a、b、cと
三つ
を並べておきました。 まず「a
保険料負担率
が大幅に増加しても
給付水準
を
現行
より引き上げる。」それから「b
保険料負担率
の大幅な上昇を避けるため概ね
医療保険
全体の
現行給付水準程度
とする。」
現行給付水準
というのは現在大体八割
程度
でございます。
被用者保険
、
地域保険
、ならしまして全部を
平均
しますと大体八三%ぐらいになるのですが、おおむね八割
給付程度
、これが大体
現行水準
でございます。それから「c
保険料負担率
をほぼ
現行程度
とすることを
前提
として、
給付水準
を定める。」これは、
保険料負担額
というのは当然これから上がっていくのはやむを得ないのですけれ
ども
、そうは言っても
負担率
が、率においては大体
現行どおり
とすることが正しいということであれば、それを
前提
として
給付水準
を逆に決めるという
考え方
があろうかと思います。これで参りますと、大体逆算いたしますと、
保険料負担率
をほぼ
現行程度
とするという
前提
で組みますと、
給付水準
はおおむね七・五割ぐらいになります。 そこで(
備考
)としてつけておきましたのは、
昭和
五十八年度に
給付水準
に対応した
保険料
がどうなるかという
資料
でございまして、
給付水準
についてはいろいろな御
意見
がございますので、十割
給付
から下は七割五分
給付
まで各
ランク
をつけまして、こういう
給付率
の場合には、
昭和
五十八年度には、
政管
と
国保
がこれくらいの
保険料
が要るというのを試みに出したものでございます。「注」にありますように、まず
前提
としまして、ここで
計算
しました際には
老人医療費
は別に
計算
しております。
老人医療分
というのは除外いたしまして、残った分について
計算
をしております。 そこで、これでまいりますと、ごらんいただけばわかりますが、たとえば十割
給付
をやろうといたしますと、五十二年度は千分の七十三
程度
でよろしいわけです。これは先ほど申しましたように
老人
は除いておりますから、現在の千分の八十という
保険料率
よりも下がるわけでございますが、現在千分の七十三、それが、十割
給付
を実施するといたしますと、
政管
の場合五十八年度には千分の百十一ぐらいの
保険料率
になる。
国保
は、現在五十二年度ベースで
年額
約五万円の
保険料
でございますが、それが五十八年度に二十一万六千円、現在の四・三倍ぐらいの
保険料
を払っていただかぬと十割
給付
はできない、こういう
かっこう
になります。以下、同じように見ていただけばいいのですが、たとえば八割
給付
ぐらいにいたしますと、
政管
の場合には五十八年度で千分の七十七、
国保
では十一万五千円でございますから、
現行
の約二・三倍ぐらいになるということでございます。ただ「注」で申しましたように、これは
老人
を一応外して試算しておりますので、
老人分
をこれに加算して考えないと、
国民
の
負担感
というのはわからないわけでございます。 それで困りましたのは、
老人医療
をどうするかということが現在まだ決まっておりませんので、どういう
かっこう
の
負担
になるかわかりません。そこで、ごく粗っぽい
計算
でございましてこれは正確ではございませんけれ
ども
、
老人医療
にかかる分から国とか
地方公共団体
で見るようなものを除きまして、大体四五%ぐらいは
保険料
でカバーしなければならぬという仮定を一応置きまして、それを
政管健保
の
標準報酬
で割り返して出したのが千分の十一でございます。これは相当粗っぽい数字であることは御勘弁いただきたいのですが、この千分の十一前後は先ほどのたとえば十割
給付
の場合の千分の百十一に上積みされる、
つまり
千分の百二十二ですか、その
程度
の
負担
を覚悟してもらわぬと十割
給付
はできませんよ、こういうことを示している
資料
であるということでございます。 二ページへ参りまして、「2
本人
・
家族
の
給付格差
をどうするか」という問題でございます。 これは
二つ考え方
がございまして「a
給付
の平等の
見地
から
本人
・
家族
の
給付率
に差を設けない。」という
考え方
、もう
一つ
は逆に「一家の支柱である
本人
の
給付
に重点をおき、
本人
の
給付
を厚くする。」という
考え方
、この
二つ
でございます。 これも、先ほど御紹介しました
社会保険審議会
の
答申
の中でも、
本人
、
家族
をあわせて十割を
目標
とすべきである、その際
自己負担
はやむを得ない、こう言っておりまして、直接
本人
と
家族
に差があっていいかどうかという問題については
コメント
がございません。ただ、お配りしてございませんが、四十六年の
制度審議会
の
答申
に、
本人
と
家族
の間に
格差
を残しているのは問題であるという指摘がございます。これは
家族
の七割
給付実現
前でございます。
家族
が五割時代の
答申
でございますので、いま通用する問題かどうか疑問がないことはございませんが、そういうのが
一つ
あるだけで、ほかはみんな
本人
、
家族
間の差について
審議会
は
コメント
をしておりません。 それから「3
患者負担
の
あり方
についてどう考えるか」という問題でございます。 (1)は「
家計負担
を考慮して
給付率
に差を設けるべきか。」という問題でありまして「a
重症
の
給付率
を
軽症
の
給付率
より高くする。」という
考え方
、それから「b
入院
の
給付率
を
外来
の
給付率
より高くする。」こういう
二つ
の
考え方
があろうかと思います。ただ、aの
重症
、
軽症
の区別というのは、
家計
に与える
負担
がたとえば
重症
だから重い、
軽症
だから軽いというふうには直ちに結びつかないという問題がございます。
つまり
、病気の
種類
と
家計負担
への反映ということとは直接一致しないという面がございます。もう
一つ
、仮に無理をして
疾病
の
種類
で分けましても、それじゃどの辺から分けるかという具体的な問題として考えます場合には、非常に技術的にむずかしいという問題がありますので、一応御
参考
までに(
備考
)をつけておきました。 それから(2)の「
患者負担
の方法をどうするか。」でございますが、これは
三つ
ほど書いてございます。
一つ
はいわゆる
定率
の
患者負担
、たとえば
医療費
の二割
相当額
を
患者負担
とする、こういう
意味
でございます。
二つ目
は
一定額
、たとえば
初診
時千円、
入院
時千円というような
定額
で
患者負担
を決めるという
考え方
、三番目には政策的な配慮から特定の物、たとえば薬というようなものですが、これについて
患者負担
とするという
三つ
の
方式
がございます。この(
備考
)にありますような
社会保険審議会
の
意見書
は、適正な
範囲
内においては一部
負担
はやむを得ないというのが大体一貫したトーンでございます。ただ五十二年十一月には、その
社会保険審議会
の
意見書
の中に、一部
負担
の項の
最後
のところに、たとえば
外来投薬
時の一部
負担
なんかについても検討すべきであるという
コメント
がついております。これはcの
考え方
をとったものだと思われます。 それから、次の三ページへいきまして、これも(
備考
)でございますが「一部
負担割合
の事例」としまして掲げております。これはイの「
事項別
一部
負担
の場合」でございますが、これは「一部
負担割合
」と書いてあります。一部
負担
の
割合
というのは、言いかえれば、こういう一部
負担
を取った場合には
給付率
ではどういう
割合
の
影響
があるかという、
給付率
への
影響度合い
というふうに考えていただけばいいと思うのですが、それを示したのがこの「一部
負担割合
」でございます。ただ、これはあくまで御
審議
の
参考
までに掲げたものでございまして、
厚生省
がこれを考えているとか、そういう主観的な判断を交えたものでないことはひとつ御理解いただきたいと思います。たとえば
初診
時千円を
負担
してもらうといった場合には、三・六%
給付率
に
影響
する。
つまり
、たとえばこの
初診
時千円だけを一部
負担
させた場合には、
給付率
は一〇〇から三・六を引いた九六・四%になりますか、九六・四%
給付
という
かっこう
になるわけです。それから、たとえば
投薬
時一部
負担
の
薬剤費
二分の一
負担
、一番下の欄で申しますと、一四・八%の
影響度
がございますので、これだけをとれば
給付率
は八五・二%になる、こういうふうにお読みいただきたいと思います。それから口の「
外来
、
入院
を区別して
給付率
を定めた場合」これもあくまで
参考
として示したものでございまして、仮に
外来
を八割にした場合、
入院
との
組み合わせ
ばこうであるということを示したものでございます。たとえば
外来
八割で
入院
を十割にすれば全体的に見ると
給付率
は八六・八%になる、こういうふうに見ていただけばよろしいわけでございます。
最後
の②の「
薬剤比率
の
推移
」は、過去十二年間の
医療費
の中に占める
薬剤費
の
比率
の
推移
を示したものでございます。 それから四ページにまいりまして、4の「
保険料負担
をどう考えるか」という問題でございます。 まず
一つ
は「
医療保険
における
保険料率
はどの
程度
が
限度
か。」大変むずかしい
問題提起
でございますが、よく
保険料
はもう
限度
であるというようなことが言われますけれ
ども
、果たして、
医療保険
における
保険料率
の
限度
というのはどの
程度
かという問題。 それから(2)は「
累進料率制
をとることは妥当か。」という問題。 (3)は、
保険料率
の
労使折半負担
の
原則
、これは果たして妥当かどうかという
問題提起
でございます。 (4)は「
保険料算定
の
基礎
となる
報酬
の
上限
をどう考えるか。」それには
三つ
ほど
考え方
がございまして、
一つ
はaとして「
応能負担
の
原則
を徹底し、
報酬
の
上限
は設定しない。」
つまり青天井
にするという
考え方
も
一つ
ございましょう。それからbとして「
医療保険
における
受益
の面を考慮して、
報酬
に
一定
の
上限
を設ける。」
つまり
、
医療保険
の場合には
拠出分
と
受益分
というのが必ずしも相リンクいたしません。そういうことも考えますと、全然
上限
なしの
青天井
で
保険料
を取るというのは、果たしてどうであろうかという
考え方
もございます。そういう
意味
で、
一定
のところで
限度
を決めたらどうかという
意見
でございます。第三番目はcとして「
報酬
には
一定
の
上限
を設定するが、
賃金
の
伸び等
に応じて改定する。」これにつきましては、五十二年の十一月に
社保審
の
意見書
が出ておりまして「
標準報酬
の
上下限
の改定は可能な限り迅速に行われるべきである。」というようなことが書いてございます。私
ども
、
改正法案
ではこの
考え方
をとっているということでございます。 それから(5)の「
保険料算定
の
基礎
となる
報酬
の
範囲
をどう考えるか。」ということでありますが、これにも
二つ考え方
がございまして、
一つ
はaとして「
負担
の公平の
見地
から賞与も
対象
とする。」
つまり
、決まって支給される給与以外の
ボーナス等
も
対象
にする方が
負担
の公平であるという
考え方
と、bの
現行どおり標準報酬制
を維持するのだという
考え方
がございます。私
ども
は、
改正法
ではこのaの立場をとっているわけでございます。 それから5の問題でございますが「
国庫補助
についてどう考えるか」であります。 まず
一つ
は「
医療保険
における
国庫補助
の
あり方
について、
社会保険
の性格、今後の
国家財政
を考慮しつつ、どう考えるべきか。」という問題がございます。これは大変むずかしい
問題提起
でございますが、そもそも
社会保険
でございますから、西ドイツ、フランスのように、
国庫補助
を
当て
にしないで
保険料
で賄うのが
原則
だという
考え方
もございます。それから、それは別にしましても、今後の
国家財政
、
つまり
国債依存度
が非常に高い
国家財政
の将来を考えます場合に、そう
国庫補助
を
当て
にするわけにいくまい、そういう
考え方
がございます。そこら辺も考え合わせて、果たして、この
国庫補助
というものの
あり方
をこれから、どう考えていくべきかという問題でございます。 (2)は、しからばその「
国庫補助
の
方式
をどうするか。」ということでございますが、
一つ
は「
定率国庫補助
」、いまの
政管健保
にとられておりますような
定率
の
国庫補助
、それからもう
一つ
は「
定額国庫補助
」、これはいまの
健保組合
とか
船保
にとられておりましたような
定額
の
国庫補助
がいいかどうか。それからcは「
財政力
格差
を是正するための
財政調整交付金
による
補助
」、
つまり
一律
補助
じゃなくて、
財政力
格差
に応じてそれを是正するような
意味
で
国庫補助
を配分する。これは先ほど申しました
国民健康保険
に対する
財政調整交付金
、あれと同じような
考え方
をとるのはどうか。大体
三つ
くらいの
方式
があろうかと思います。 それから(
備考
)に書きましたのは、
国民
医療費
に対していま
国庫補助
額がどういうふうになっておるか、御
参考
までにつけております。五十三年度の見込みの欄をごらんいただきますと、
国民
医療費
が十兆二千億、それに対しまして五十三年度見込みでは
国庫補助
額は全部で三兆円、これは
保険
だけでございません、公費
負担
医療なんかも全部入っていますから三兆円でございます。そうしますと、
国庫補助
率は
国民
医療費
に対して二九・九%、
つまり
三割を
国庫補助
で持っている、こういう
かっこう
になります。 6番目の問題でございますが「差額ベッドについてどう考えるか」という問題でございます。 これについては、
一つ
は「すべてを
保険
の
対象
とすることが望ましいので、一切の
保険
外
負担
の解消を図る。」という
考え方
がございます。(
備考
)で書きましたのは、現在
保険
外
負担
になっているもの、これは正確な数字はわかりませんが、推計でございますけれ
ども
、大体千二百億くらい差額ベッドの
保険
外
負担
があるという推計をされておりますが、それを仮に
保険
の方へ取り込むということにいたしますと、当然のことながら
保険料
の引き上げが必要になります。それからさらに、差額ベッドを
保険
に取り込む場合に、じゃ診療
報酬
を具体的にどういうふうに決めるか、これは大変むずかしい問題でございます。さらに、たとえば一人部屋、二人部屋を
保険
で見るというようなことにいたしました場合に、じゃ実際にどういう患者をどこへ入れるかという、患者の選別と申しますか、そういう問題が非常に実際問題としてはむずかしいということでございます。これは御
参考
までに(
備考
)で書いておきました。 それから②としまして「差額ベッドの解消状況」でございますが、これは一人部屋、二人部屋、三人部屋に分けまして四年間の解消状況を掲げたものでありますが、最近差額ベッドの解消を強く求めるように行政指導を強化しておりまして、五十三年七月で見ますと、特に三人室以上の差額ベッドの解消を重点的に私
ども
も努力しているわけですが、二・一%の減になっております。その前は〇・三
程度
の解消率でございましたが、二・一%の減になっておるということでございます。全部合わせまして計で一・九%、かなり小さいように見えますが、従来の傾向から見るとかなり大幅な改善が図られているということが言えるかと思います。 それから(
備考
)の三番目は、診療
報酬
つまり
点数表において室料がどういうふうに変わってきたかという問題でございますが、現在五十三年二月では百点、
つまり
千円でございます。四十七年に三十六点でありましたから、約五年間で三倍に引き上げられているということになります。 それから、この差額ベッドにつきましてもう
一つ
の
考え方
は「患者の病室に対する特別な需要があることから、ある
程度
の
保険
外
負担
は認める。」という
考え方
であります。先ほど申しましたように、私
ども
はこのbの方の
考え方
をとっております。
つまり
全部が全部禁止するというのは必ずしも妥当ではないので、患者に需要がある限りにおいては、それが過度にわたってはいけませんけれ
ども
、ある
程度
の
保険
外
負担
というのはあっていいのではないかという
考え方
を私
ども
はとっております。 それについて
三つ
ほど
考え方
がありまして、
一つ
は、
現行
より差額ベッドの規制をさらに強化するという
考え方
。それから、
現行どおり
とする。現在は一人部屋、二人部屋以外は差額ベッド、室料差額をとってはならぬ、こういうことを言っておりますけれ
ども
、そういうことで現状どおりとするという
考え方
。それからもう
一つ
の
考え方
は、三人室以上の大部屋、これは室料差額を認めていないわけですけれ
ども
、これであっても、たとえば設備が非常にいいとか、あるいは建物が新しいとか、あるいは地域差というようなことを考えて、三人室以上というその収容人員以外の要素も加味して、差額ベッドの
あり方
を再検討すべきではないかという
意見
もあろうかと思います。 それから、7番目の問題は「付添看護に関する
保険
外
負担
をどう考える」かという問題でございます。 まず(1)の「基準看護病院について」でございますが、現在私
ども
は、基準看護病院においては付添看護は認めないということで行政指導を強化しておりますけれ
ども
、この基準看護病院につきまして、まず
一つ
は「基準看護病院では必要な看護が行われることになっているので、当該病院では付添看護を認めない。」という
考え方
。それからbとして「基準看護病院においても特別な事情がある場合においては、付添看護を認める。」という
考え方
もあるかもしれません。 それから(2)として「基準看護病院以外の病院」は、現在私
ども
は付添看護を別に禁止しておりません。禁止していないばかりではなくて、それが
一定
の条件に
当て
はまれば後から看護料、
つまり
これは
療養費
払いでありますが、
一定
の基準に従って被
保険者
に一種の償還をするということでいまやっておりますけれ
ども
、それについて、ここではaとして「できるだけ基準看護病院としていく。」という
考え方
。それからbとして「従来どおり
療養費
払い制とし、単価を引き上げていく。」ということ。この
二つ
が考えられるということでございます。 それから(
備考
)は御
参考
までに、診療
報酬
つまり
点数表における基準看護料と基準看護加算、これがどういうふうに移り変わってきたかという
推移
が載せてあります。基準看護料は四十七年に三十点、
つまり
三百円でありましたのが五十三年二月の改定で九十一点、九百十円に引き上げられております。約三倍に引き上げられております。それから基準看護加算の方もごらんのとおりでございまして、特に四十九年からは特二類という、上に
一つ
ランク
が積まれたということがございますが、特一類それから一類、二類、三類、全部四十七年以降ずっと引き上げられております。 それから
最後
に8として「その他」でございますが「分娩の現物
給付
化についてどう考えるか。」という問題がございます。これはいま
現金給付
になっておるわけでございますが、これをaとして「分娩の現物
給付
を行う。」という
考え方
と、bとして「
現行どおり
、
分娩費
の支給を行うこととし、実情に即してその額を改定する。」という
考え方
と
二つ
ございます。 ただ、ここにはちょっと御
参考
までに書きましたが、
分娩費
の現物
給付
という問題につきましては、
一つ
は基準料金を設定するのが非常にむずかしいという問題。特に、一般医療の診療
報酬
とのバランスというものを考えて料金を設定しなければいかぬわけですが、これがなかなかむずかしい。それからもう
一つ
は、医療機関以外の助産婦による分娩、助産所などにおける分娩が現にありますので、そういったものの格づけをどういうふうにしたらいいかという、技術的にはなかなかむずかしい問題がございます。 以上で
説明
を終わります。
戸井田三郎
3
○
戸井田
小
委員長
ただいまの
説明
に対し、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、お一人の発言時間はおおむね五分
程度
でお願いしたいと思います。 相沢君。
相沢英之
4
○相沢小
委員
いま
給付
と
負担
の問題に関する
考え方
を拝見して、問題を大変網羅的に挙げていただいているので結構だと思うのですけれ
ども
、これは
意見
になりますが、これから先の
審議
期間を考えますと、これだけの問題を全部端からやっていくのもなかなか容易なことではないので、ある
程度
しぼる必要があるのじゃないかと思われることと、それからもう
一つ
、いろいろ
考え方
を出しているわけですが、たとえば二ページに「
家計負担
を考慮して
給付率
に差を設ける」そのやり方として、
重症
と
軽症
の
給付率
に差を設ける、あるいは
入院
と
外来
で
給付率
の差を設けるというような
考え方
が出ていますけれ
ども
、
備考
に書いてあるように、実際問題としてこういうことはなかなか実行できないのじゃないか。
つまり
、区分の基準として
給付費
の額によって差を設けるということは考えられても、そういう
重症
とか
軽症
とか、
入院
とか
外来
とかというようなことでは非常に設けにくい。ですから、こういうことは検討の
対象
としては余り適当でないのじゃないかという気がするので、これは
意見
ですけれ
ども
、
最初
に申し上げておきたいと思います。 そこで、五分なので、あと時間は余りないのであれなんですけれ
ども
、
被用者保険
についての
付加給付
の問題についてです。私は、
被用者保険
については
付加給付
というのは当然認めていいのじゃないかと思うのですけれ
ども
、
厚生省
としてはそれをどうお考えになるのかということと、それから
付加給付
といってもずいぶん態様は分かれていると思うのですね。その実態がどういうふうになっているか、これはその実態をひとつ知らせていただきたい。 それから、
本人
と
家族
の
給付格差
をどうするかという問題について、
本人
と
家族
に
給付格差
があるのは、長い過去における歴史があるわけですけれ
ども
、その
格差
を設けるという
考え方
の基本はどこにあるかということをお聞きしたいのです。いままで設けておったその
考え方
ですね。 それからもう一点、差額ベッドの問題ですけれ
ども
、現在は一人もしくは二人の場合は――一人室というのですか。一人室もしくは二人室の場合は
保険給付
の
対象
としない。
つまり
、これは差額ベッドという表現が不適当なんで、どっちかと言えば差別ベッドというのですかね。ですから
考え方
としては、そういう場合も
保険給付
になる
限度
を越えるところについてのみ
患者負担
とするという
考え方
はできないのだろうかと、私はどうもその方が合理的じゃないかという感じがするのですけれ
ども
、その点。 それからもう
一つ
、一人とか二人ということが
原則
としてもう
保険給付
の
対象
にならないということですが、特別な場合というのは、どういうことか。これは私は実態を知らないからお聞きするのですけれ
ども
、ごく
重症
の患者でもう臨終に近いというような人については、当然これは一人の部屋ということを
保険給付
の
対象
と考えてもいいのじゃないかと思うわけです。 それからもう
一つ
、将来医療水準というか生活水準の上昇ということとあわせて考えれば、最近は宿屋でも昔みたいな相部屋というのはだんだん利用者がなくなってくる、受験生でもみんな一人部屋に泊るという時代ですから、患者の状況にもよりますけれ
ども
、やはりそういう一人部屋とか二人部屋というものも、方向としてできるだけ
保険
の
給付
の
対象
として考えていっていいんじゃないか。その点についてどう考えるか。 もう
一つ
だけ、基準看護病院ということについて
原則
は付添看護を認めない、そういうたてまえでやるんだというのが
厚生省
のお考えのようですが、しかし病院の実態から言えば、特に重態の患者については付き添いがないという状態ではいられないと私は思うのですね。私も親などについて経験がありますけれ
ども
、それは基準看護病院だからいいんだというのは、どうも
考え方
として無理があると思う。だから、むしろそれは付添看護を認める、医者の判断が必要でしょうけれ
ども
認める、そういうことにもなっているようですけれ
ども
、
原則
をはっきりして、その看護料も
保険給付
の
対象
と考えていくべきじゃないか、こういうふうに思います。
坂本龍彦
5
○坂本
説明
員
最初
の
付加給付
の関係について、お答え申し上げます。
付加給付
につきましては、御
承知
のように政府管掌健康
保険
では認められておりませんが、
健康保険組合
では認められております。また、他の
法律
でございますけれ
ども
、
各種
の
共済組合
でも認められておるわけでございます。結局、そういった
保険者
が違うことによって
給付
に差が出てくる、こういうことはいかがなものであろうかというのが私
ども
の
考え方
でございまして、
付加給付
を受けられる方の方から見ますと、これはいかにもそれだけの
負担
をして
付加給付
を受けるのであるからと、当然のことのようにお考えの面がございますけれ
ども
、
付加給付
を受けられないという
制度
にいる方のことを考えますと、
給付
の公平という観点からいたしまして、少なくとも
医療給付
という面においては平等にいたすのがむしろ今後の方向ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。 ただ、
付加給付
の内容として、
医療給付
のほかに
傷病手当金
あるいは
分娩費
というような現金による
給付
もございまして、この
給付
につきましては、いろいろと勤務の状態あるいは各事業所における給与の問題、そういったものもかなり差がございますので、一律にこれを全部外してしまうということもまた実態から見ていかがかな、こういう感じもいたしまして、少なくとも医療に関する
給付
はできるだけ平等に、それから
現金給付
に関するものにつきましては、ある
程度
そういった実態を考慮しながら考えていくのが適当ではなかろうか、こう思っております。 なお、現在の
付加給付
の状況につきましては、一番代表的な例は、
家族
が医療を受けたときの通常の三割
自己負担
、これに対する
家族
療養付加金の支給でございます。これも
組合
によりまして、そのうちのどれだけを支給するかというのはさまざまでございますけれ
ども
、これは多いところでは、
給付率
がちょうど十割になる
程度
給付
をしておるところもございます。ただ通常の場合、満額ではなくてある
一定額
を差し引いた額を支給しておるようでございます。そのほかには、
傷病手当金
につきまして一日の
支給額
を
法律
で決めております額よりもふやす、あるいは支給期間を法定の期間よりも延長する、あるいは
分娩費
、埋葬料につきまして金額を法定の額を上回った額にする、そういったような
種類
のものがございます。
小林功典
6
○
小林説明員
第二番目の
本人
、
家族
の
格差
の問題でございますが、これは実は、
健保
制度
が当時できますときは
家族
給付
はございませんでした。いわば労働者
保険
として出発したものでございますから、
本人
だけでございました。それがその後、
家族
につきましても
付加給付
の
かっこう
で
給付
ができまして、その後に
本人
、
家族
とも法定
給付
、こういうふうにいま移り変わってきたという沿革的な理由がございます。だから、
本人
、
家族
に差がついているのは恐らくそういう沿革的な理由によるものではなかろうかと思います。 ただ外国には、こういう
本人
、
家族
別扱いにしている国は、私
ども
知っている
範囲
においてはございませんが、日本ではややそういう傾向があると思いますのは、たとえば
国保
なんかも時代によっては、
世帯主
と
世帯員
を
給付率
を違えていた時期がございます。あるいは過渡的にそういう
本人
、
家族
を差をつけていたということはあるかもしれません。ただ皆
保険
ができてから十数年たってみますと、果たして現段階で
本人
と
家族
の差があっていいかどうかという問題を考えますと、私
ども
は
本人
、
家族
は差がない方が妥当であると考えまして、今度
改正法案
でも、
格差
を改正するような法案の御
審議
をお願いしている、こういうことでございます。
竹中浩治
7
○竹中
説明
員 差額ベッドと付添看護の問題でございますが、差額ベッドにつきましては、御
承知
のように現在一人部屋、二人部屋というようなところに入りました場合は、点数で定められております室料だけ、いま百点で千円でございますが、その分だけが
保険
から支給される。したがいまして、病院側が本来取りたいと思っております室料のうち、
保険
から
給付
されます千円を除いた残りの
部分
を、室料差額として病院が徴収しておるというのが実情でございます。 そこで一人部屋、二人部屋の場合、特別な場合、
つまり
重症
でございますとか、病院の側が医療上の必要から一人部屋、二人部屋に入れるという場合には差額を取ってはならない、これは
保険給付
の
範囲
内でやってもらいたいという指導をいたしております。 それから将来の問題として、一人部屋、二人部屋をできるだけ
対象
にすべきではないかという御
意見
でございますが、確かに全体といたしまして、病院の病室そのものをより近代化していく、より高度化していくということは当然必要でございますけれ
ども
、現時点で直ちに一人部屋、二人部屋を
保険給付
の
対象
とするということにつきましては、先ほど企
画課長
が御
説明
いたしました六ページのaの
備考
にありますような問題もございますので、直ちにはなかなかむずかしいのじゃなかろうかと思っております。 それから付添看護の問題でございます。これもなかなかむずかしい問題でございますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、
家族
が付き添うというのはやむを得ないといたしましても、それ以外にいわゆる付添婦がつくということは、医療上そういうことが必要であれば当然
保険
で
給付
すべきであるということでございますので、基準看護病院で付添看護を
保険給付
とするということについては、なかなか問題があるのじゃないか。もう
一つ
は、病院の管理上の問題もございますので、基準看護の病院について付き添いを認める、あるいは
保険給付
とするということについては、検討すべき問題がいろいろあるのじゃないかと思っているわけでございます。 以上でございます。
相沢英之
8
○相沢小
委員
差額ベッドということだから、そういうような御
説明
の実態だと思ったのですが、文章に「特別な場合を除き、一人若しくは二人室の場合は
保険給付
の
対象
としない。」と書いてあるので、ぼくはそうかなと思ったのです。この表現はちょっとおかしい。
竹中浩治
9
○竹中
説明
員 おっしゃいますように確かに表現が若干妥当ではございませんので、差額が問題にされているということでございます。
戸井田三郎
10
○
戸井田
小
委員長
大原
君。
大原亨
11
○
大原
(亨)小
委員
あとで同僚
委員
からも、一回りしまして質問が行われますが、私から三、四点質問いたします。 日本医師会の武見氏も
負担
と
給付
の公平ということを言っているし、それから齋藤幹事長と武見会長の第二項にもそういうことを言っているわけです。これについては
原則
的に私は異議ないのですね。小沢厚生大臣のときも言っておりました。ただ問題は、長い演説はやめますけれ
ども
、
つまり
所得に応じて個人や法人から税金で
保険料
を取って
保険
財政を賄って、今度は必要に応じて公平に
給付
をしていく、こういう
制度
から言えば、
保険
制度
ではなしに保障
制度
が好ましい、いまのように
負担
と
給付
の公平ということになれば。そこで、武見氏が言うように、
制度
間の財政調整から
保険
の統廃合へという、統廃合の構想なんですが、その
考え方
は、突き詰めていきますと、やはり私
ども
のそういう
考え方
を実現する以外には実現のしようがない。しかし私
ども
は、そういう理念は持っておりますけれ
ども
、現実には
社会保険
の
制度
を是正するしかないのではないかという議論です。 そこで第一の質問は、この間ちょっと議論になりましたが、この議論をする
前提
として、
社会保険
制度
、
保険
主義の
保険
制度
のメリットをどのように理解しておるか、どのように認識をしておられるかということを列挙してもらいたいと思います。 それから問題は、
給付
の公平ということは当然なんですが、
給付
の公平ということは
給付
の金額だけではないのではないか、
給付
の内容が問題ではないのかということですね。たとえば
給付
の中身の中に、不正請求で出ていくものや水増しで出ていくものや、常識、基準を逸脱したような薬づけとか検査づけとかいうふうな、
昭和
五十四年度は十兆六千三百億円ですか、その
医療給付
の中にむだがいっぱいあるということが問題ではないか。 そのことに関連をいたしまして、政府管掌健康
保険
と
組合
管掌を自主的にそれぞれやっておるわけですが、
組合
管掌の中の中小企業を
対象
としている、たとえば全国印刷などは三十名ぐらいが一事業所の経営規模ですが、その総合健康
保険
と政府管掌との中における
給付
の公平という観点から見ての比較について、適確な
資料
は後で出してもらってもいいけれ
ども
、概括的な理解についてどういうふうに考えているかという点を聞きたい。 第三としましては、ここにはいろいろな
格差
についての問題、不平等の問題が出ておりますが、地域間の
格差
についてどのように実態を把握して、その原因について理解をしているかということですね。たとえば政府管掌でありましても、東京だけが独立をして政府管掌をやりますと黒字になるだろうという、
つまり
一人当たりの
医療費
とか一件当たりの
医療費
について、先般もちょっと質問をいたしましたけれ
ども
、それを比較してみて、地域間の
格差
はまさに
給付
の
格差
、十対六、七の
程度
ですから、これを単なる悪平等的に、
給付
だけを上に上にそろえるだけではいけないのではないかということですね。 それから第四で、政府管掌の一番悪い点は、
つまり
政府管掌へ
健康保険組合
、共済から労使が
負担
した
保険料
をならしていって、そこで払え、こういう議論ですが、
給付
の中身は、厚生大臣がやっている政府管掌の健康
保険
が一番悪いと私は思っている。そこでやはり、健康管理について政府管掌健康
保険
は金を使っていないのではないか。それは
制度
が悪いのかどうか。それから、審査はほとんど支払い基金で素通りになっておるのではないか。こういう面がぴしっとしなければ、
給付
とか
負担
の公平ということを言っても、
国民
の立場から納得できないのではないかという観点で、政府管掌健康
保険
における状況について答弁をいただきたい。 ほかにありますけれ
ども
、基本的な問題について質問をいたしておきます。時間が来ましたから、あとは答弁をしてもらって、あとの小
委員
もおりますから、また質問してもらいたいと思います。
小林功典
12
○
小林説明員
最初
の御質問でございますが、要するに
社会保険
方式
のメリットということでございますが、この間も御
説明
したように、諸外国の例でも、
一つ
はナショナル・ヘルス・サービス
方式
、税金でお金を集めてそれで一種の国営あるいは県営で
給付
をする、こういうスタイルもございますし、それから西ドイツ、フランスのように
社会保険
方式
をとるところもある。それはいずれも成り立つ案だと思います。 ただ、私
ども
は長年
社会保険
方式
でやってきましたし、
社会保険
方式
でメリットといいますのはいろいろございましょうけれ
ども
、やはり一口で言えば、均質な
一つ
のグループをつくって、そのグループの中でいわば相扶共済といいますか、相助け合うという思想のもとに
保険
を運営していく、これが一番スムーズに医療を確保する道ではないか、こういう
考え方
が
社会保険
方式
をとる国々の根底にある
考え方
、こう思いますので、そういう問題と、それから沿革的に長年日本においては
社会保険
方式
でやってきたという、両面あわせまして、私
ども
は
社会保険
方式
を踏襲する方がいいんではないかという
考え方
をとっております。
考え方
はいろいろあると思います。
坂本龍彦
13
○坂本
説明
員 第二番目の総合
組合健保
と
政管健保
の比較でございますが、総合
健保
も実態としてはいろいろございますが、
平均
的な数字として見てまいりますと、たとえば
平均
年齢につきましては、政府管掌健康
保険
の場合三十八・三歳、それから総合
健康保険組合
におきましては三十五・七歳ということで、若干総合
健保
が低くなっております。それから
平均
標準報酬
月額を五十二年度の
平均
で見てみますと、
政管健保
の場合が十三万三千七百二十八円、それから総合
健保組合
が
平均
で十六万九十五円ということで、若干総合
健保
の
平均
が高くなっております。それから一人当たりの法定
医療給付
費をちょっと比較してみますと、五十二年度の
平均
でございますが、
政管健保
では被
保険者
一人当たり十三万二千四百十五円、それから総合
健保組合
の場合には十一万五百八十四円ということで、総合
健保
の法定
医療給付
費が若干低くなっております。それから
保険料率
でございますが、
政管健保
の場合には五十三年の三月で千分の八十を取っております。これに対しまして総合
健康保険組合
の全体の
平均
は五十三年三月で千分の七十八・六五ということで、
保険料率
も総合
健保
が若干低くなっております。 なお、総合
健保
も、どちらかといいますと中小企業の事業所が共同してつくっておる
組合
でございますので、いわゆる大企業というのは、それぞれ独自に
一つ
一つ
の会社が
一つ
の
健康保険組合
をつくっておるいわゆる単一
健康保険組合
という形になっております。したがって、総合
健康保険組合
の事業所が
平均
的にどれぐらいの従業員を抱えているかという数字が
一つ
参考
として出てくるわけでございますが、これを
政管
と比較してみますと、五十三年の三月時点で、政府管掌健康
保険
の場合一事業所当たり
平均
して十七人ということになっております。これに対して、総合
健康保険組合
の場合には
平均
して一事業所当たり四十人、こういう実態でございまして、若干総合
健保組合
の方が事業所の規模としては大き目である。 まあ、大体こういうような違いが出ておるわけでございます。
大原亨
14
○
大原
(亨)小
委員
国庫負担
は……。
坂本龍彦
15
○坂本
説明
員
国庫負担
につきましては、政府管掌健康
保険
の方が
給付費
の一六・四%、それからボーナス
保険料
に対しまして賞与額の〇・二%というものが出ておるわけでございますが、
健康保険組合
に対しましては、
給付費
の
補助
は、財政状況のごく悪いところに対する臨時的な
補助金
として、
健康保険組合
全体に対して五十三年度の場合には十二億円という
補助
額が支出されておるわけでございます。これは
健康保険組合
全体でございますから、総合
健康保険組合
に幾らという基準はございません。
健康保険組合
全体で五十三年度の
予算
では十二億円。なお政府管掌健康
保険
の方は五十三年度の
予算
で約四千億円の
補助
額になっております。
此村友一
16
○此村政府
委員
一つ
は地域間の
格差
の問題でございますが、これは
大原
先生御案内のとおり、たとえば五十二年度で被
保険者
一人当たりの
医療給付
費を見ました場合、
給付費
の高い県は奈良、徳島、高知、京都、長崎、低い県は沖繩、東京、山形、静岡、新潟、こういうふうになっておりまして、この問題につきましては、
一つ
には老齢化指数の問題、それからもう
一つ
は医療機関の集中度、その他の問題がいろいろ複雑に絡まり合っておると思います。なおこの中で、受診率につきましては、現実に事業所ベースでとりますと若干変わってまいりますので、私の方ではそういう面の検討もいたしておりますが、いま申しましたようにいろいろな要素が複雑に絡まり合っておる、かように考えております。 それから第二番目の、
政管
の健康管理についてどういうふうにやっておるかという問題でございますが、健康管理につきましては、従前から、事業所を
対象
にいたしまして中高年の
疾病
予防のための検査を実施しております。それから、昨年からは特に健康づくり対策の一環といたしまして、健康づくりのための諸施策を行っているわけであります。
大原亨
17
○
大原
(亨)小
委員
そんな答弁、いいよ。
此村友一
18
○此村政府
委員
はい。もう
一つ
は、さっきおっしゃいました審査の関係の問題でございますが、はっきり申しまして、私
ども
の方はレセプトの点検を実施したいと思っております。五十二年度では百六十六億円の効果を見ておりますが、これは具体的に、たとえば
健保組合
の場合には資格喪失なんかがわりあいに把握しやすい、そういうような問題があると思いますが、私
ども
の方もそういう管理面の問題もできるだけ克服するということで鋭意進めておる、そういう点を一生懸命やっておる、こういうことでございます。
大原亨
19
○
大原
(亨)小
委員
もう時間がないので
一つ
だけ。この中の
問題点
として一地域間
格差
が十対六ぐらいあるね。その地域間
格差
をどうして是正するかという問題を取り上げなかったら、
国民
から見て
負担
の公平と
給付
の公平をすることができないじゃないか。なぜ取り上げないのか、どう考えているのかという質問なんです。それを質問したわけですが、それに答えていない。
石野清治
20
○石野政府
委員
地域間
格差
の問題は実態としてはつかめるわけでございますけれ
ども
、その原因そのものが十分見きわめてきない、そうしませんとまたその対策も出ないわけでございますので、そういう
問題点
を挙げての一体どうするんだという場合の結論が出しにくい、こういう判断もあったわけでございまして、私、これは全部
問題点
の主なものを挙げたわけでございますので、もしそういう御
意見
であれば、それは
問題点
として挙げるのは結構だと思います。
戸井田三郎
21
○
戸井田
小
委員長
古寺君。
古寺宏
22
○古寺小
委員
最初
に、これは古い
資料
で私、見ているんでございますが、一九七〇年の
国民
一人当たりの
医療費
の比較でございます。これはNHKの海外取材番組で「世界の医療より」という
資料
によるわけでございますが、日本は当時は非常に低いわけでございまして、日本の
医療費
の中に占める
薬剤費
が四二%、イギリスは一〇%、スウェーデンが一二%、アメリカも一二%、こういうふうになっているのですが、アメリカの当時の
国民
一人当たりの
医療費
を十万円と見ますと、日本の場合は三万円にまだ到達しておりません。これを今度は
国民
一人当たりの
薬剤費
の実額で見ますと、これは
社会保障
ハンドブックのナンバー六百八十と六百八十一でございますが、日本は一万五百円、アメリカが一万二千円、スウェーデンが九千六百円、こういうふうに出ているわけでございまして、この
薬剤費
の実額と、それから
医療費
に対する
薬剤費
の
比率
を
計算
してまいりますと、日本の
国民
一人当たりの
医療費
というものは、一九七〇年の時代では非常に低い
医療費
だったわけでございますが、それから大分年代も過ぎておりまして、日本は経済大国になったわけでございますので、
医療費
も相当伸びていると思うのでございますが、日本とイギリスとスウェーデンとアメリカの
国民
一人当たりの
医療費
の比較表、これをぜひひとつ御提出をしていただいて比較をしてみたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 それから次に、これは
保険
年鑑の
資料
でございますが、
健保組合
と
政管健保
の収支の比較を見ますというと、
付加給付
費と保健施設費というのがございます。それから実際にいわゆる医療に使われている
部分
とありまして、私の
手元
の
資料
によりますと、
健保組合
は
昭和
五十年度におきましては九百三十六億が
医療費
、六百四十五億が
付加給付
費、八百十四億が保健施設費、五十一年度におきましては、これが一千百二十億、七百二十八億、八百九十六億、五十二年度になりますと、一千六百六十八億、七百七十四億、保健施設費は九百七十六億、こういうふうになっているわけでございまして、いわゆる
付加給付
とそれから保健施設費が占める
割合
というものは非常に高いわけでございますが、先ほど御提出をいただきました「
医療保険制度
の現況」の中にはちょこちょこっと「
付加給付
あり」、これしか書かれてございませんので、この
付加給付
を加算した場合に
家族
の
療養費
というものは何割
給付
になるのか、それからまた、この保健施設費というものを医療の方に全部これを割り
当て
た場合には、それでは全体の
給付率
というものはどのくらいになるのか、こういうものを出していただきませんと比較ができないわけでございますので、ぜひこれを出していただきたいと思います。 それから、時間が余りございませんのであれでございますが、
入院
料の問題でございます。この
入院
料の中には暖房費あるいは冷房費というものが含まれているのかどうか。もし含まれていないとすれば、そういう暖房費あるいは冷房費というものについてはこれは
保険
外
負担
として認めるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
小林功典
23
○
小林説明員
最初
のアメリカ、スウェーデンを含めた外国の
国民
医療費
の比較でございますが、これは
資料
として提出いたします。 それから、二番目の
健保組合
の関係につきましても、ここで御
説明
するのもちょっとなにですから、
資料
として提出させていただきます。
竹中浩治
24
○竹中
説明
員
入院
料の中に暖房費、冷房費が含まれているかどうかという御質問でございますが、御
承知
のように北海道には特別療養手当というのがございまして、療養担当手当でございますが、これは御
承知
のように大変古い歴史のあるものでございまして、これを除きますれば、いまのところ、暖房、冷房に要する経費については
入院
料の中でお考えをいただきたい。したがいまして、暖房に要する経費、冷房に要する経費を
保険
外
負担
として徴収することは因りますということで、医療機関に申し上げておるわけでございます。 なお、今後暖房、冷房の問題は恐らくもっと普及することになろうかと思いますが、それについてどう扱っていくかということに関しましては、今後点数改定の際に、
入院
料をどうするか、暖房、冷房も含めてどう考えていくのかということで検討したいと思っております。
戸井田三郎
25
○
戸井田
小
委員長
和田耕作
君。
和田耕作
26
○
和田
(耕)小
委員
国庫補助
の問題についてお伺いしたいのでありますけれ
ども
、この前勉強しましたドイツとかフランスの場合には
国庫補助
という形の経費は非常に少ない、きわめて補足的な
意味
しか持っていない。日本の場合は、同じ
保険
制度
を基盤にしておりながら、いまのままだと
国庫補助
の額がどんどんふえていくということになりかねないと思うのですけれ
ども
、この問題を将来の問題としてどのようにお考えになっておるのかということですね。たとえば、きょうは
給付
と
負担
の問題ですけれ
ども
、
老人
保健
制度
というのがもう計画の中に入ってきておると思うのですが、こういう問題を考えてみないと、なかなか各
制度
間の
給付
等の問題についても考えにくい問題があるわけです。
国庫補助
というものは、たとえば
老人
保健
制度
を創設する場合に大きな金がかかる、こういうふうなものに
国庫補助
を主として充当していく、あるいは差額ベッドあるいは付添看護婦という
保険
外
負担
の問題もできるだけ早く解消しなければならないけれ
ども
、こういう問題に
国庫補助
の資金を充当していくというふうに考えるのが私は本当じゃないかというふうに思うわけです。したがって、
国庫補助
を今後は、各
保険
制度
に
定率
とか
定額
とかいう形でバランスをとることを考えるよりも、そういうところには
保険料
を上げるとかあるいは一部
負担
を導入するとかいろいろなことをやってバランスをとりながら、抜本改正をする場合においてこれから新しくやらなければならない問題、あるいは臨時にたくさんのお金がかかるような問題に
国庫補助
を投入するとか、そういう
考え方
ができないものか、こういう問題についてお伺いしたいのです。
石野清治
27
○石野政府
委員
大変むずかしい問題でございますけれ
ども
、いま先生がおっしゃったように、確かに、現在の
医療保険制度
が
社会保険
方式
をとりながら相当多額の金額を投入しているという面はございます。これは
国保
を除きますと、まあ
国保
は別でございますので
国保
を除いて考えなければいかぬわけでございますけれ
ども
、そういう場合でもなおかつ四千億以上のものをつぎ込むことが、本当にそれがいいのかどうかという反省は確かにございます。しかしやはり、政府管掌健康
保険
というのは御存じのように体質的に非常に弱い体質のものでございますので、その体質の差によって、ある
程度
の
国庫負担
を導入するという
考え方
はこれはとらざるを得ない。問題は、それを無制限に伸ばしていっていいのかということになった場合に、これは反省しなくちゃならない問題がございまして、そういう場合に、いまおっしゃったように、何といいますか、
医療給付
費ではなくて
保険
外
負担
とか新しいものをやるときに
国庫負担
を導入するという
考え方
は、確かに成り立ち得ると思います。 いままでの
国庫負担
がふえてきましたのはやはり
給付
改善をする、その
給付
改善をする場合にむやみに
保険料
を上げられない、そこで
国庫負担
でもある
程度
導入して、五割を七割にするとかいうことをやってきたわけでございますね。そういう
意味
での
一つ
の反省というものは私
ども
もしておりますけれ
ども
、これもいままでやむを得ない事情もあったと思うのです。問題は、これ以上にどんどんこのまま伸びていけるのかどうかということについては私
ども
も疑問を持っております。いまのお
考え方
、確かに
一つ
の
考え方
ではあると思いますけれ
ども
、これはなかなか合意を得るのがむずかしい面もございますので、大いに議論をしていただきたい、こういうように考えております。
和田耕作
28
○
和田
(耕)小
委員
この問題は、特に各
保険
制度
にわたって具体的に検討してもらいたいと私は思うのです。これは現在の
国庫負担
を減らせということを言っているわけではなくて、これ以上ふやさないで、そういういままで申し上げたような方向に金を使う、そして一部
負担
のことも、私
ども
も、かなり政府案よりも物によっては多くの一部
負担
を考えている問題がありますけれ
ども
、いわゆるいろいろな現在の医療
制度
のゆがみなどを直すためには、
国庫補助
を出すことじゃ直らないのです。やはり
本人
に適正な
負担
をしてもらうとか、そういうことが必要なんです。ただ、問題がある、要求があるからといって
国庫補助
という形で解決するようにしないで、もっと内部的な
問題点
も改革していくというふうにしながら、と同時に、
国庫補助
を全体としてはもっともっとたくさん出さなければいけないと思うのです。供給体制の問題もあります。それからいろいろな健康管理の問題もあります。全体としては
国庫補助
、
国庫負担
をもっともっと多くしなければならないけれ
ども
、その
負担
はやはり、いまのような形の
保険料
にかわるようなものであったり、あるいは強い者が要求したらその要求を聞くようなものであったり、何かそうなることを変えていかなければならないというふうに私は思うのです。ぜひともひと?一の問題を、いろいろ大変問題が起こってくるわけですけれ
ども
、こういう問題に入っていかないと抜本の問題には入っていけないという感じもしますので、御検討賜りたいと思うのです。
石野清治
29
○石野政府
委員
よくわかりました。ぜひ検討させていただきます。
戸井田三郎
30
○
戸井田
小
委員長
浦井洋
君。
浦井洋
31
○
浦井
小
委員
総論的な質問をしたいのですけれ
ども
、まず
医療保険
というものをどう位置づけるかという問題です。 さっき
小林
課長が言われたように、四十六年、五十二年の
社保審
の
意見書
なんか見ても、要するに
医療保険
というのは病気になったときの生活破壊を防ぐための相互扶助措置なんだ、だから生計を破壊しない
範囲
で、あるいは受診抑制にならない
範囲
で
自己負担
もやむを得ないというような
考え方
が貫かれておるように考えられるわけですが、これをまず確認しておきたい。果たしてこれが適切なのかどうかという問題があるわけなので、私はやはり
社会保障
の一環として、
医療保険
も医療保障の中に位置づけて考えられるべきだというふうに思うわけです。そういう点でいけば、労働者
保険
の場合には、やはり雇用されて働くことによって、ほとんどが健康のひずみ、業務
疾病
が生じてくるわけなんだから、労働力の再生産であるとか
家族
の健康というものを保障するのは、いまの資本主義体制が続く限りはやはり雇用主が当然責任を持たなければならぬのではないか、こういう
考え方
で律していくのがいまの日本の
社会保険
の根本ではないかというふうに思うわけです。 それに関連して、
政管
の場合に
保険料
が折半になっておるわけなんだけれ
ども
、これは一体どういう根拠でなったのかという問題を尋ねておきたい。 そこで、そういう私の
考え方
に立つならば、いまよく言われておる応分の
負担
ということも、そもそも応分の
負担
というのは公費
負担
医療なんかで使われる
言葉
であって、むしろ雇用主がおってそれが本来的に責任を持たなければならぬところの
社会保険
、労働者
保険
にはそぐわない概念ではないかというふうに思うわけですが、その点はどうですか。 それから、たくさんあるのですが、
薬剤費
の一部
自己負担
というやり方は、これは
患者負担
で
薬剤費
を抑えるということで、私は根本的に間違っておると思うのですけれ
ども
、やはりかなり受診抑制になるのではないかと思うわけで、この点についての
厚生省
の
意見
を聞いておきたい。 それからもう
一つ
大きな問題として、われわれ
医療保険
の抜本改正を論じておるわけなんで、その場合に、たとえ
負担
と
給付
の
あり方
を論ずるにしても、いまのこの
疾病
構造の変化に伴った、それに見合うような
医療保険
の
あり方
を検討していく必要があるというふうに思うわけです。一言で言えば、昔の伝染病から現在は慢性疾患に変わってきておるわけなんだから、単に治療に対処する
制度
では間尺に合わないというふうにだれでも考えておるわけで、やはり予防であるとか健康管理、こういうようなものを取り入れることが必要だと思う。 そこで、現在十兆だと言われておる
医療費
、これはほとんど治療費だろうと思うのですが、予防とか健康管理で一体どれくらい使われておるのかという数字があればひとつ出していただきたい。 そういうことで、やはりそういう
疾病
構造の変化に対応するようなことで、
保険
局サイドだけでなしに、医務局も公衆衛生局も入って、ひとつ大胆な年次計画をつくって、この医療
制度
全体の改革を図っていかなければ、単に財政的
見地
からやっただけではだめだろうというふうに私は思うわけであります。これは
意見
的な質問ですが……。
小林功典
32
○
小林説明員
なかなかむずかしい御質問でございますが、
最初
の
社会保険審議会
の
意見書
並びに
答申
、これは先生御指摘のように、
目標
は十割だけれ
ども
適正な一部
負担
はやむを得ないということで終始一貫貫かれておる、これは事実だ、そう読むべきだと思います。 それからもう
一つ
の、
社会保障
の中における
医療保険
の
あり方
といいますか、位置づけといいますか、そういう問題でございますが、お答えになるかどうかわかりませんが、先ほ
ども
ちょっと触れましたように、確かに、
わが国
の健康
保険
制度
は当初は労働者
保険
的な性格で出発したことは、これは事実だと思います。ただ、現在皆
保険
ができてもう十何年たつという段階で、これが果たして労働者
保険
かというと、そうではないのではないか。
つまり
一種の
社会保障
の中の
社会保険
として、
国庫補助
もありますけれ
ども
、やはり
社会保険
方式
として労使が互いに
保険料
を拠出して、それで被
保険者
のあるいは
家族
の
疾病
の治癒等を行うものだ、こういうふうに認識しているものですから、そこら辺はちょっと先生とは根っこの議論として食い違いがあるかと思いますが、私
ども
はそういうふうに考えております。 それから
薬剤費
一部
負担
のお話でございますが、いままでは確かに薬については一部
負担
はございませんでしたから、
改正法案
が実施になるとすれば、その
意味
では
負担
が多くなるかもしれません。ただ
家族
はもちろん減りますから、そこら辺、ふえるかふえぬかというのはむずかしい問題でございますが、ふえる場合もないことはない。ただし、私
ども
は
薬剤費
一部
負担
にかみ合わせまして、
高額療養費制度
としていまのところ二万円を超えるものは返すというシステムを併用して考えておりますから、そういう
意味
では
家計負担
はむしろ現在よりも減少するのではないかというふうにも考えておりますので、そこら辺もちょっと
考え方
の基盤が違うのかもしれません。 それからあと、
疾病
構造の変化に応じて予防
給付
とか健康管理とかに力を入れるべきだ、あるいは現状はどうかというお話ですが、これは
資料
として数字は御提出いたします。
考え方
としまして、予防とか健康管理は大変大切だと思います。ただ、それを
社会保険
でやるのがいいかあるいは公衆衛生なり医務局サイドの政策としてやるのがいいのか、ここら辺は私は議論の分かれるところだと思います。現在は、
社会保険
には
社会保険
の枠があるので、そこら辺はむしろ公衆衛生とか医務行政の方の拡充の方を待つべきじゃないか、私はこういうふうに思いますが、そこら辺、いろいろ議論のあるところだと思います。
戸井田三郎
33
○
戸井田
小
委員長
あと一分三十秒ほどありますよ。――それでは
工藤晃
君。
工藤晃
34
○
工藤
(晃)小
委員
(新自)
給付
と
負担
の問題に関する
考え方
ということで、大変いろいろ
資料
が出ております。すべて不公平のかたまりがここに書かれているわけで、その中に整合性とかあるいは公平とかいうところを見出すのは大変困難なこういう状況の中で、これをどうするかという問題になりますと、
一つ
一つ
を討議しておりますと大変な時間とあれがかかるし、結論的に言って、こういう不公平というものをどう解決するかということが一番問題じゃないかと私は思うわけですね。その手段がどうであるかということが私は問題だと思う。 そこで一例を挙げて御質問申し上げますけれ
ども
、同じ
制度
の中に置かれている
政管健保
と
組合健保
、これだけを取り上げて考えてみても、
負担
と
給付
に大変な
格差
があり過ぎる。これは将来ともにどんどん拡大する要因はあっても、縮小されていく要因はない。そこで、人の命をどう扱うかということがこの
健保
の問題についての一番基本的な
考え方
であろうと思うのです。だから問題は、
一つ
一つ
の
格差
をどう是正するかという問題も大事でございますけれ
ども
、やはり
国民
の命をどう平等に扱いどう担保するか、こういう問題が一番大事なところじゃないかと思います。その中で
健保組合
は、一言で言っているように経営努力なんだ、だからわれわれは黒字になるのだ、こういう
考え方
だけで果たして、この問題をああそうですかと言って放置しておいていいものか、あるいはそれ以外の要因がたくさんあって、そのために一方はそういう構造的にどんどん赤字になる――
政管健保
の方は赤字になりますね。ことしも四百何十億ぐらいの赤字が推定されているわけですが、
健保組合
の方はいろいろなことで金を使っても、なおかつ大変な黒字が残っている。そういうものの是正を図らずして、いままでの
制度
の上で、高齢化社会を迎えて、いま言うような差額ベッドをどうするかとかあるいは何とかをどうするかとか、すべての人の命をどう大事に扱うかという問題から提起されているわけですから、現実においてそういうことができるのかどうか、やはりそういうことは大変できにくい問題だ。だから、どういうことがあっても、やはりそういうことの人の命を平等に扱うための
制度
というのは、できるだけ拡大して平等にリスクを
保険
し合うという互恵という
考え方
がそこになければ、この問題の解決にはつながらない、私はこう確信しているわけです。ですから、そういう問題についてどのような解決の方法を具体的にお考えになっているのか。いままでのような
制度
そのものを温存して、その上でこういう高齢化社会に対応し得る
保険
制度
ができるのかどうか。やはりここら辺で思い切って、そういうものに対応するような
制度
に切りかえていくという発想があるのかないのか。また、もちろんそう言っても、一元化してしまうということはなかなか現実においては一挙にやるということは困難でしょうから、やはりそこにいろいろな問題を勘案しながら徐々にでもそういう問題の解決に近づく、こういう努力をするのかしないのか、そういう点が大変私は大事なところだと思うのです。特にこれは、あと十五年たつと
平均
寿命が八十歳まで延びる、健康社会をどうつくるか、また
医療費
は膨大にふくれ上がっていく、あと五年たてば、この試算でいきますと五十四年度は十兆円、五年後には二十兆円になるのだ、こういうことも言われていますが、そういうことに対しての根本的な
考え方
は、やはりそこに帰一すると思います。それについての基本的な
国民
のコンセンサスというものをいまつくらなければ十五年先に間に合わない、結局
保険
制度
そのものが崩壊してしまうのではないか、こう私は非常に危機感を持っておりますので、そういうことに対して十分御
説明
をいただきたいのです。この一点です。
小林功典
35
○
小林説明員
政管健保
と
健保組合
の間の比較でございますけれ
ども
、これは私
ども
もよくいろいろな御
意見
を聞いて痛切に思うのですが、非常に偏った議論が多いのじゃないかと思うのですね。片や
組合
は、黒字が多いというのは経営努力だけのたまものであるという議論があります。片や
政管
の方は、体質が弱いのだから、当然赤字は
政管
の方が多いという議論もございます。私は、それは両方とも正しくはないので、恐らく体質の差と経営努力の差と両方あるのだろうと思うのです。片一方だけだということはないと思うのです。経営努力がどの
程度
寄与する面があり、あるいは体質の差がどの
程度
寄与する
部分
があるかという点は、なかなか計量的にはむずかしいのですけれ
ども
、概念的には恐らく両方あるだろう。したがって、どちらもある
意味
では正しくないのだろうと思うのです。 だからそこで、しからばそういう
格差
を是正するためにはどうするかという問題につきましても、いろいろ議論がありますが、私
ども
は、
制度
を統合してならすということよりも、むしろ、これは第一の話に入ってしまいますから詳しくは申し上げませんけれ
ども
、
制度
間の
格差
をそれなりに是正していくことによって均衡を図る道があるのではないかというふうに考えておりますので、決していまのままの
制度
で
給付
の均衡が、あるいは
負担
の均衡が保てないというのではなくて、それを実現する道はあるのではないかという気がいたしております。
戸井田三郎
36
○
戸井田
小
委員長
次に、戸沢君。
戸沢政方
37
○戸沢小
委員
それでは、先ほど相沢
委員
から各論的な質問がございましたので、私から三、三総論的な御質問をさせていただきます。 第一は、
国民
の
社会保障
に関する
負担
が将来どういうふうになるかという見込み、これは何なら
資料
でいただいてもいいのですが、新経済社会七カ年計画、ああいったものでいいのですが、最新の
資料
で将来の
社会保障
に対する
国民
の
負担
、それと、できれば所得保障と医療保障の内訳、そういったものをひとつ出していただきたいと思います。 それから二番目は、御質問もすでにありましたけれ
ども
、私も、
社会保険
における
国庫負担
の
あり方
とか、限界ということについて問題意識を持っておるわけです。前回の各国の比較の場合でもちょっと質問いたしましたけれ
ども
、
国民
医療費
の三割ぐらいまで
国庫負担
でもってやっているということは、さらにこれがふえていくということは、
社会保険
からだんだんとナショナル・ヘルス・サービスに近づいていく。それは
国民
のふところから出ることは同じことなんだけれ
ども
、
社会保険
と言う以上はむしろ
保険料
を主体にして考えるべきであって、
国庫負担
というのは限界もあるであろうし、またそのやり方につきましても、先ほどから御
意見
がございましたが、ただ
給付
額に対して一律に
国庫補助
をするという行き方でなくて、内容的に重点的に
国庫補助
をするとか、あるいは新しい
制度
をするときの摩擦緩和の
意味
で
国庫補助
をするとか、そのやり方についても検討すべきではなかろうか。 それから、
国庫補助
をただ一律にどんどん出しているというのは、
国庫補助
の
意味
が私はよくわからないのです。体質の弱い
政管健保
に対して、これを
国庫
による財政調整といった
意味
で出しておるのか。
国民健康保険
などは事業主
負担
にかわるべきものとして考えておるのかもしれませんが、どうも
社会保険
に対する
国庫負担
の性格、やり方について疑問を持っておりますので、その辺もひとつ考えていただきたい。 三番目は、トータルとしての
給付水準
を高くする方がいいか、それともトータルとしての
給付水準
は多少落ちても、緊急重度の
疾病
とかあるいは高額医療とか、そういう優先的に出すべきものに対しての医療を確保するようにした方がいいのか、今後の行き方としてどういう
考え方
がいいと思うか、その点をお聞きしたいと思います。 その次は、いま御質問等がございましたけれ
ども
、
政管
と
組合
の
給付
と
負担
の
格差
についての要因、これはやはり一度総ざらいをしてみる必要があるのではないかと思います。一方で経営とか管理という面において医療のむだがある、あるいは審査面において不備があるというようなこともありましょうが、また
組合
等については年齢構成その他についての体質的な問題もある。そういったものを双方の面から要因を総ざらいして、よく検討して、その対策を考えていくということをやらないと、
格差
というものを単純に比較できないのではないかと思います。 一応それだけです。
小林功典
38
○
小林説明員
第一番目の
社会保障
の
負担
でございますが、たまたま新経済社会七カ年計画がいままとめられておりまして、それによりますと、
社会保障
負担
の対
国民
所得比で申しますと、五十三年度の実績見込みが九・〇%でございます。これが
昭和
六十年度の予測値になりますと、対
国民
所得比で一一%になる。ただこれは、
社会保障
負担
という場合にやはり租税
負担
を一緒に考えなければいけないと思いますので、ちなみに租税
負担
を申し上げますと、租税
負担
は五十三年度見込みが一九・六%、したがいまして五十三年度は、
社会保障
負担
と租税
負担
を合わせまして二八・六%になります。これが六十年度では租税
負担
が二六・五%になりまして、トータルで三七・五%になるということでございます。 それから、医療と年金の区別は出ておりませんが、もしわかるようでしたら、調べて後ほど御報告いたします。 二番目の
国庫負担
の問題でございますが、確かに先生おっしゃるように、先ほど第一表で御
説明
しましたように、各
社会保険
制度
の
種類
に応じまして、その体質に応じて一種の財政調整が行われているというふうにとってもいいかと思います。たとえば、非常に体質の弱い
日雇い健保
は三五%、
国保
は確かにおっしゃるように事業主
負担
の肩がわり分という性格がありますけれ
ども
、両方で総
医療費
の四五%ですから、
給付費
に対しては恐らく六十数%になると思いますが、非常に高率な
負担
をしている。
政管
は一六・四で四千億、あと
健保組合
とか
船保
とかいわゆる体質のいいところは、ほんのちょっぴりの
補助金
だということでございますから、いわゆる
国庫補助
による一種の財政調整を図っているという面があることは事実だと思います。 それからもう
一つ
あるのは、さっき局長から申しましたように、
給付
改善をするような場合に、
保険料
も上げるかわりにある
程度
国も応分の
負担
をするということで、政策遂行のためにその都度
国庫補助
をつけてきたという歴史的な経過もあることは、もちろんこれまた事実でございます。こうなってまいりますと、
国庫補助
の本来の
あり方
というものをこの辺で見直していかなければいかぬということは確かだと思います。ですから、言ってみれば、
国庫補助
の優先度といいますか優先順位と申しますか、そういうものを原点に立ち返ってもう一度考え直すべき時期に来ているのではないかという反省も持っております。 それから三番目の、トータルの
給付水準
は若干落ちても、
家計負担
に重圧を加えるようなものに厚い
給付
をすべきではないか、これは全く同感でございます。これから先の
医療費
の伸び、それから所得の伸びを考えますと、相当
医療保険
をめぐる情勢は厳しさを増してくると思います。したがいまして、そうそう甘い
給付水準
で将来
医療保険
が成り立っていくとは思えませんので、そこら辺を考え合わせますと、やはり限られた医療資源と申しますか、そういうものを最大限有効に利用するということが必要だと思いますので、そうなるとどうしても、いやがおうでも一番必要なところに厚い
給付
をする、軽いところはある
程度
患者の
負担
でがまんしてもらう、こういうようなざっとした理論ですけれ
ども
、そういう
考え方
がこれから先必要になってくるのじゃないかという面では、先生の御指摘の御
意見
と全く同感でございます。
坂本龍彦
39
○坂本
説明
員 政府管掌健康
保険
と
組合管掌健康保険
の
格差
の問題でございますけれ
ども
、確かに御指摘のように、いろいろな体質的な面での差というものは、これは数字ではっきり出てきております。 また、その他経営努力の面ということも否定はできないわけでございますけれ
ども
、この問題は何分にも数字にあらわすというのは大変むずかしゅうございまして、ここをどういうふうに比較するかというのは、これは私
ども
としてもいろいろ研究する必要があろうかと思っております。 いずれにしましても、この
政管
と
組合
の
格差
というものにつきましては、御指摘のありましたように、いろいろな要因というものを十分に比べまして、その比較というものを的確にするために、相当突っ込んだ検討をしなければならない、こう考えております。
戸井田三郎
40
○
戸井田
小
委員長
次に、
金子みつ
君。
金子みつ
41
○
金子
(み)小
委員
初めに、
資料
要求を
二つ
ほどお願いしたいのをまず申し上げておきます。 その
一つ
は、きょう
説明
をしていただきましたこの一枚刷りの「
医療保険制度
の現況」これの中の一番おしまいの欄に、七十歳以上
加入者
の占める
割合
というのが出ておりますけれ
ども
、六十五歳以上というのは
計算
しておありになるかどうかなのです。それはいまでなくてよろしいですから、六十五歳以上というものをひとつ
資料
としていただきたいと思いますのが
一つ
。 それからもう
一つ
の
資料
は、日本の
医療保険制度
、さっき
浦井
委員
の方からもお話が出ましたけれ
ども
、健康
保険
制度
じゃなくて全くの
医療保険制度
ですから、
言葉
をかえれば
疾病
保険
制度
、こういうことになるのじゃないかと思います。そうすると、いままで何回も繰り返し繰り返し話が出てきておりますように、予防
給付
の問題が全然入ってないという問題で、本当の
意味
の
国民
の健康を守るための健康
保険
制度
ではないじゃないかということが言われ通してきたわけですね。しかし、それは知っていてやってきていらっしゃるに違いない、これは
疾病
保険
制度
になっていますので。ただ実態といたしましては、先ほどお話もありましたように、実際には
国保
の
医療費
の中で、
市町村
組合
に保健婦を置いて予防活動をせっせといたしましたところでは、初めの一、三年はむしろ逆に
医療費
がふえるのですけれ
ども
、三年目あたりからは
医療費
がぐっと落ちるという実例は、もう何回か聞いたことがあります。ですから、そういう実例があるということ。それから、最近は企業が
健康保険組合
に保健婦を採用しています。産業保健婦あるいは企業保健婦ですね。その人たちの活動で、企業の
健保組合
の
医療費
が下がってきたという発表があるわけですね。ですから、そういうものがぽつぽつとしかわかりませんので、まとめてどういう実績があるかということ、これは
浦井
委員
の
資料
要求と結びつくと思うのですけれ
ども
、それをまずお願いしたいというふうに思います。 それから、きょう御
説明
いただきましたものに関連して、
一つ
二つ
お尋ねしたいことがあります。 その
一つ
は、きょうの話し合いの中にもちらっと出てまいりましたけれ
ども
、
社会保障
制度審議会
でも
社会保険審議会
でも取り上げて、もうここ二、三年話が出てきております
老人
保健医療
制度
ですね。これに関する取り扱いの問題なのですけれ
ども
、まだはっきりした御方針が立っていないみたいに思えるのですけれ
ども
、私
ども
がこの
医療保険制度
を論議するのに当たって、いま問題になっている
老人
保健問題をどうするのかということが、はっきり方針が立てられないと考えられないのじゃないかというふうに思うのです。ちょうどきょういただいた
資料
で御
説明
もありましたように、これは
老人
保健医療は入れてありません、
老人医療費
は除いて
計算
してありますということを一々言わなければならないように、
老人
保健医療の問題が引っかかっていることはみんなわかっているわけですから、それに対する取り扱いとして、政府側はいつごろをめどにこの問題を政策としてつくってお出しになるおつもりなのか、これをまず
最初
に教えていただきたい。 それから、あとは具体的な問題、この中のことでちょっとお尋ねをしながら伺いたいと思いますことは、
患者負担
の
あり方
についてどう考えるか。3の(1)に
家計負担
を考慮し云々、
重症
、
軽症
、
入院
、
外来
、こういうのがございますね。
重症
患者に対する
家計負担
の問題というのはかなり問題だと思いますので、何とかする必要があると思いますけれ
ども
、こういう
考え方
でできるかどうかということなのですよ。たとえば重
軽症
の定義づけというのは非常にむずかしいと思うのですけれ
ども
、この形でできるかどうかということは私も疑問があるので、何かしなければならないとは思いますが、もう少し何か考えられはしないかというふうに思いますことが
一つ
。 それから、(2)の方で
患者負担
の方法がa、b、cと並んでいますが、cの問題が今度の健康
保険
法の改正案の中にも出てきているように見えますが、
薬剤費
の二分の一
負担
とか一部
負担
ですけれ
ども
、なぜ薬だけの一部
負担
をするように考えられたのか、これが知りたいのです。患者側としては、なぜ薬だけについて一部
負担
しなければならないのかというのは理解に苦しむわけですね。
医療費
全体がこれだけかかったから、そのうちの一部を
負担
するというのはわりにわかりいいのですけれ
ども
、薬だけについてなぜ考えなければいけないかということは、やはり非常に問題があると思うのです。だから、写真を撮ったらその一部
負担
、検査をしたらその一部
負担
、こういうふうに出てくるのじゃないかということは、もうその次に考えられることです。その点が
一つ
。 それからもう
一つ
、
最後
になりますが、一番おしまいの付添看護の問題のところですけれ
ども
、ここで、
一つ
は、先ほど
家族
の付き添いはやむを得ないがという御答弁があったのです。それを伺っていて、
家族
の付き添いはやむを得ないというのはどういうことかいなと思ったのです。
家族
というのは付き添っていても看護をやっていないというふうに理解していらっしゃるのか、それじゃ看護って何だということになるだろうと思いますが、その辺の理由もちょっとわかりません。職業付き添いはいけないけれ
ども
家族
ならよろしい、これがわからない。だから、いま
家族
と称して職業付き添いがふえていますね。そういう逃げ道があります。 いま
一つ
は、ここに基準看護の
種類
が上がっているのですが、基準看護をとっていない病院は普通看護という解釈になるわけですが、普通看護はどういうふうに
計算
して考えたらいいでしょうか。たとえばこの表でいきますと、三類までが基準看護ですから、それじゃ普通看護というのは四類以下のことを言うのかなというふうに思いますと、この三類が六人に一人ですから、それじゃ普通看護というのは七人に一人ぐらいの
計算
で看護料が
入院
料の中に
計算
されているのかしらというふうに考えられますが、その点を教えていただきたい。 以上でございます。
小林功典
42
○
小林説明員
最初
の
資料
の御要求でございますが、六十五歳以上の
老齢者
の
比率
はお出しいたします。 それから、
二つ目
の
資料
の予防
給付
の関係でございますが、これはできる限りまとめまして、提出をいたしたいと思います。 それから、先ほど
浦井
先生にもお答えしたように、予防
給付
というか予防活動あるいは健康管理、これの重要性は決して否定しているものではございませんで、十分認めているのですけれ
ども
、
保険
でやるということ、
つまり
保険料
でやるというのがいいかどうか、ここら辺は議論の分かれるところであろうというふうに先ほどお答えしましたが、その点ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。 それから、
老人
保健医療の話でございますが、ちょっと所管外なので余り責任を持った御答弁はできませんが、国会における大臣答弁なんかを聞いておりますと、関係団体が非常に多くて、これからまだかなり関係団体との
意見
調整に手間取る、しかしなるべく早くやりたい、こういうことを答弁しておりますので、その
程度
で御理解いただきたいと思います。 それから、
重症
、
軽症
の話でございますが、おっしゃるとおり、
重症
、
軽症
という
疾病
の度合いに応じて区分をつけるのは、先ほど御
説明
したように大変技術的にむずかしい、むしろ不可能に近いと思います。問題は、病気が重いか軽いかではなくて、その病気による
家計負担
が重いか軽いかというところが問題でございますから、私
ども
としては、今度
改正法案
でもそれが出ておりますけれ
ども
、むしろ
高額療養費制度
、
つまり
一定額
以上について
保険
がカバーする、
家計負担
の
限度
をなるべくリーズナブルなところへおさめるという方向の検討が一番正しいのではないかと思っておりますが、ここら辺はひとつ御議論をいただきたいと思います。 それから
患者負担
の方法で、a、b、cと
三つ
ここに
資料
でお出しいたしましたが、cの薬というのを例として挙げてありますが、これはあくまで例でございます。「特定の物」という
一つ
の例示でございますから、そういうふうに御理解いただきたいのです。じゃなぜ薬を取り上げたか、これは
資料
の話ではなくて、
改正法案
でなぜ薬を取り上げたかという御質問ですが、
改正法案
のお答えになりますのでどうかと思いますが、御質問でございますのでお答えします。 薬をなぜ取り上げたかというのは、
一つ
はやはり、薬というものは
疾病
の治療について非常に普遍的である、大抵の患者さんが薬はもらうという、普遍的であることが
一つ
。それから、これは
国民
感情でございますが、やはり物でございますから、物をもらって
患者負担
を払うというのは、幾つかの一部
負担
の
あり方
の中でかなり
国民
に納得していただきやすいのではないかということ。それからさらに、巷間よく言われますような薬づけ医療の解消を図る、こういう御主張がありますが、大変ごもっともだと思います。そういう
意味
で、薬に着目するのが政策的に妥当ではないか。ここら辺の
三つ
、四つの理屈で、薬に一部
負担
をかけるということを考えたわけでございます。
石野清治
43
○石野政府
委員
専門家がいませんので、私が看護の問題をちょっとお答え申し上げます。 先ほど医療課長が申しました
家族
の付き添いの問題について、これは認めざるを得ないと言ったのは、要するに看護力ということではなくて、親の心情として、たとえば自分の娘が病気になって入った、どうしてもちょっと見ておいてあげたいという心情があると思うのですが、そういう心情の場合に否定するわけにいかぬだろう、こういう
意味
で申し上げたと思うのです。したがって
制度
としてそういう形ではなくて、そういう親の心情とかいう問題に対して、それまで否定するわけにいかぬだろう、こういう趣旨でございます。それから二番目の、普通看護の場合にどういう
考え方
なんだ、こういう御質問なんですが、九十一点というのが基準看護料になっておるわけですけれ
ども
、普通の看護というものは九十一点でできるであろうという推定をしてやっておるわけですけれ
ども
、その九十一点なるものの根拠につきまして、私もちょっとここでお答えをする
資料
を持っておりませんので、よく調べましてまたお答え申し上げたいと思います。
戸井田三郎
44
○
戸井田
小
委員長
次に、平石君の発言にかわって古寺君。
古寺宏
45
○古寺小
委員
ぼくは
資料
要求だけでございますので、追加でございますがお願いします。 先ほど体質論とか経営努力論というのが出ましたが、各健康
保険
を比較してみますと、車でいえば新車とか中古車とかポンコツみたいな、失礼な言い方ですがそういう体質を持っておると思うのです。
厚生省
の発表によりますと十四人に一人は患者さんである、こういう発表が前にあったようでございますが、各
保険
別に、何人に対し何人が患者さんになっているかという
割合
をひとつ出していただきたい。 それから、経営努力論が出ましたが、審査の問題があります。各
保険
の審査料、レセプト一枚について幾らという審査料、一年間に何件やって審査料が幾らで総合計で幾ら、これが出れば大体のいまの
割合
がわかるのじゃないかと思いますので、これをひとつぜひお願いしたいと思います。 この二点でございます。
戸井田三郎
46
○
戸井田
小
委員長
平石君。
平石磨作太郎
47
○平石小
委員
私は、この三ページの「一部
負担割合
の事例(五十四年度ベース)」というのがありますが、ここでいままでの傾向を見てみますと、医療需要がだんだんと逓減されている、漸減している、だから受診率においてもちょっと下がっている。それから在院日数も横ばいないしは下降線。結局医療単価がぐっと上がってきておるという状況です。そうすると、この案の中で、いまもちょっと触れられましたが、医療単価が上がることについての抑制、その上がってくる医療単価をどう公正に
負担
するかという問題は当然のことですが、これの抑制について
一つ
も案の中に出ていないので、そういう
考え方
を聞きたいということ。 それからもう
一つ
は、五十四年度ベースの例から言いますと、結局医療需要の抑制につながるのではないか、医療単価を下げるというよりも、むしろ医療需要の抑制につながる形になりはしないか。ところが、医療需要はだんだんと逓減しておるのですから、ここらあたりの需要に対する
影響
の
資料
があれば出していただきたい。
小林功典
48
○
小林説明員
古寺先生と平石先生、何か同じような傾向の
資料
要求だと思いますけれ
ども
、たとえば古寺先生の
最初
の
資料
の御要求で、患者の率とおっしゃいましたけれ
ども
、ぴたり患者率というのは恐らく出ないと思うのです。受診率の傾向とかそういうもので置きかえてよろしければ、そういうことで
資料
をお出しいたします。 それから平石先生のいまのお話も、医療需要逓減とおっしゃいますが、受診率は微増でございます。
平石磨作太郎
49
○平石小
委員
外来
が微増で、
入院
はぐっと落ちていますよ。
小林功典
50
○
小林説明員
それで、その場合も受診率の傾向値でよろしゅうございますか。
平石磨作太郎
51
○平石小
委員
いま出ているこの事例から言いますと、医療の単価を抑えるというよりも、需要を抑える形になりはしないか。需要については余り伸びていない、横ばいないし下降線なんだから、そこへ焦点を合わせてはおかしいんじゃないかということを言いたいわけです。だから、これをやった場合に、いままでの需要がさらにダウンしてくるはずだ、その
影響
についての
資料
が欲しい、こういうことです。
吉村仁
52
○吉村政府
委員
確かに
医療費
の増高の原因として、一日当たりの単価というものが上がっていくことが一番大きな原因であることは間違いないわけでございます。したがって、そこのところを抑えるためには、最も一日当たり単価が上がっていく原因になるものについて、何かの抑制効果をねらうというのが
一つ
あると思います。それは私
ども
の案では、薬というものが
一つ
の一日当たりの単価を上げていく原因であるというように考えて、薬について考える。これは結局ここの
資料
では「政策的配慮から特定の物」に対して一部
負担
をかける、こういう政策的配慮もあり得る、こういうことになると思います。 それからもう
一つ
は、確かに、そういう
患者負担
をかけるよりも、たとえば
薬剤費
というものに着目をした場合に、薬剤のたとえば薬価基準を引き下げていって一日当たりの単価を下げていく、こういう方法もあると思います。ただ、それは、私
ども
としては
患者負担
の問題ではない、他の薬に対する対策として考えていく性質の政策だと思いますので、ここに挙げなかったのですが、一日当たりの単価というものを下げていく方法としてはそういうことも当然あろうかと思います。 それから、審査料とおっしゃいましたのですが、審査料というのは審査の手数料のことでございますか。審査の件数とそれに対して払った総額、こういう
意味
でございますね。
古寺宏
53
○古寺小
委員
そうです。
石野清治
54
○石野政府
委員
いまちょっと気にかかったのですけれ
ども
、一件当たりの、一日当たりの点数ですね。単価が上がってくるという原因はいろいろあると思うのです。いま
審議
官が申し上げたことももちろんありますが、やはり長い年次で見てまいりますと、医療の内容が高度化されているというか、進歩しているという点もございますので、そういうものをネグレクトして考えるのはどうかなという感じがしておりますので、その辺も含めて検討しなければいかぬかと思っております。
戸井田三郎
55
○
戸井田
小
委員長
川本君。
川本敏美
56
○川本小
委員
先ほど来いろいろ論議されておりますが、先日は諸外国の
保険
制度
について御
説明
いただいて、たとえば西欧諸国、フランスとかイタリアとかドイツ等においても総
医療費
がだんだん伸びてきておるということは、日本と変わらないのじゃないか。これらの国もやはり、
疾病
金庫とかあるいは
保険
財政というものは同じように赤字で苦しんでおる。フランスなどは、七七年で日本の金額にして大体一兆五百億円ぐらいの累積赤字があると私は聞いておる。そういうような状態の中で、
医療費
の増高を抑制するための努力というものはやはり諸外国においてもとられておると思います。そういうものを一応
資料
としてここへ
参考
に出していただくことはできないのかどうかということです。 それからもう
一つ
は、先ほどからも論議されていますけれ
ども
、
医療費
の増高ということと
給付水準
の問題を切り離して考えることはできないと思うのですが、
組合健保
とかあるいは
政管健保
の問題について、先ほど来いろいろ論議がなされておりますが、先ほど
和田
先生が質問されたいわゆる総合
健保組合
ですね。この間も社労
委員会
で大臣に私も質問したのですが、約三〇%ほど
組合健保
の中に総合
健保
というものがある。その場合に、一事業所当たりの単位の被
保険者数
、いわゆる構成の規模は
政管健保
と似た規模なんですよ。そこで、先ほど年齢とかいうふうなことを言いましたけれ
ども
、
政管健保
の場合とこういう総合
健保組合
とを比較して、一人当たりの年間受診件数がどのくらい違うのかという表を一遍つくってもらいたいと思います。そして
医療費
についても、一人当たりの
医療費
が
政管健保
の場合は何ぼ、総合
健保
の場合は何ぼという金額の違いを明確にしていただいて、それが、先ほどからの
説明
のように、年齢とか構成の内容だけの問題なのかどうか、この点をもう少しメスを入れて考えてみる必要があると私は思うのですが、その点についてひとつ
資料
を次のときにいただきたい。 それから、もう
一つ
は
負担
の問題ですが、この間の諸外国の例で見るとイタリアが入っていませんが、ひとつイタリアを追加していただきたいと思うわけです。私の
手元
にもちょっとした
資料
を持っておるわけなんですが、
保険料負担
の使用者
負担
と労働者
負担
の
割合
について、西ドイツとフランスの例をこの間出していただいたと思うのですが、そのほかにイギリスはどうなっておるのか、スウェーデンは社会主義国ですけれ
ども
、スウェーデンの場合はどうなっておるのか、イタリアの場合はどうなっておるのか、こういうことも一応示していただき
参考
にしなければいけないのではないか。いわゆる十割
給付
だったら千分の百十一とか、あるいは九割
給付
だったら何ぼとか、先ほど御
説明
がありましたが、しかし仮に
保険料負担
がふえても、外国では使用者
負担
が六〇%で労働者
負担
が四〇%というように、使用者と労働者が折半で
負担
しておるのはアメリカと西ドイツくらいで、イタリアもフランスもイギリスも全部、労使の
負担割合
は違うはずだと記憶しておる。そういうようなことも
参考
にすれば、いわゆる
負担
の限界がどこら辺にあるのかということも
一つ
の論議として出てくるのじゃなかろうか。こういう点についてももう少し正確な
資料
を出していただいて御
説明
いただけないものだろうか。時間がありませんので簡単にそれだけ申し上げておきます。 もう
一つ
、審査の問題なんです。諸外国の
保険
の審査、フランス等では審査についてどうやっておるのか。日本の場合は、診療
報酬
の審査は医師会に委託しているのではないですか。ところが、外国ではそれをどういう構成をしてどういう審査をしておるのかということ、その点もひとつ……。
小林功典
57
○
小林説明員
第一の西欧諸国における
医療費
の伸びは、御指摘のように大変激しくて、各国とも
保険
財政が悪化して非常に困っているようでございます。かなり深刻な問題になっておるようでございます。これは前回お出ししました諸外国の
資料
の中で、一番
最後
のところに「最近の動き」というのがありますが、そこに、この間お出しした国については書いてあります。 なお、この間の外国の状況についての
資料
の御要求におこたえする
資料
をきょうお配りしてありますが、その中にも西ドイツの費用抑制法ですか、あれが入っていますから、それをごらんいただきたいと思います。 それから、
最後
におっしゃった審査の状況、これもきょうの
資料
の中に入っておりますので、ごらんいただきたいと思います。 それから
保険料
の関係でございますが、イギリスが
資料
の中に入っていませんでしたのは、これは完全なナショナル・ヘルス・サービス
方式
ですから、余り日本の
参考
にならぬということで取り上げなかったわけでございます。これはまさに租税
負担
でやっておりますので、ちょっと比較にならないかと思います。 それからスウェーデンの
外来
分と
現金給付
ですね。これはこの間御
説明
したように
医療保険
がやっておりますが、
入院
給付
についてはヘルスサービス
方式
ですから、これもちょっと御
参考
にならないのじゃないかと思います。 イタリアにつきましては、実はこれは未確認情報でございますが、情報によりますと、ことしの一月から
社会保険
方式
をやめまして国営
方式
になったというふうに聞いております。したがいまして、いま過渡期でございますから、新しいデータがちょっと手に入らぬと思います。しかももうすでに廃止になった
社会保険
のデータは
参考
にならぬと思いますので、その点御了解願いたいと思います。
坂本龍彦
58
○坂本
説明
員 いま川本先生から御要求がありました
資料
のうち、総合
健保組合
と
政管健保
の関係は、受診件数、
医療費
の金額等、
資料
としてお出しいたしたいと思います。 ただその際に、その違いが年齢構成等といった要因によるものなのか、あるいはその他の要因があるのか、この判断につきましてはかなりむずかしいのではなかろうかという気がいたしておりますので、どういうところからその違いが出てくるのか、これについてのお答えというものはどの
程度
出せるか、この点は少し
調査
してみませんとはっきりいたしませんので、御了解いただきたいと思います。
戸井田三郎
59
○
戸井田
小
委員長
村山君から一言発言の申し出があります。村山君。
村山富市
60
○村山(富)小
委員
大分出尽くしていますから、
一つ
だけ聞きたいと思うのですが、一部
負担
というのは、たとえば
初診
料の一部
負担
と
入院
時の一部
負担
とありますね。これはどういう根拠で、どういう目的で、何を期待して一部
負担
を取るのかということが、どうもぼくにはわからないのですね。 たとえば
入院
費の一部
負担
なんかは、今度の改正案では千円に上がってますね。そうすると、どこにおったって食事はするんだから、この千円というのは、食事代ぐらい見てもいいじゃないかという
意味
でするのか。そうしますと、
入院
している間は、食餌療法というのは医療の一部ですから、それを取るのもおかしいじゃないかという気もしますし、そこらの点はもう少し明確に整理しなければならぬ。なかなかむずかしいと思うのですが、そこら辺どうなんですか。
吉村仁
61
○吉村政府
委員
一部
負担
についての
考え方
ですが、これはなかなかむずかしい議論だと思います。 そこでやはり、
医療費
のうちの
保険料
で
給付
するもの、
保険
の方から
給付
するものを何割ぐらいにするか、
患者負担
というのは何割ぐらいにするかというのをまず決めるべきだ、そして
保険
で
給付
する部門というのは、これは将来の
保険料負担
というものを十分考えながら、
給付率
というものを決めたらいいというふうに考えたわけです。そして、仮に
医療費
の二割の
部分
を患者に持ってもらうとした場合に、いろいろな持たせ方があるんではないか。たとえば
医療費
が一万円かかったときに、その二割を
定率
で、ともかく二千円持ってくれという持たせ方もあるでしょう。それから、二割になるようにたとえば
初診
料にかけるとかあるいは
入院
料にかけるとか薬にかけるとかして、総体として三割になればいいではないかという
考え方
もあるかと思います。 それから、何もかも一律二割かけるのではなしに、何かにかけるという場合には、やはり一番わかりやすいものにかけるのがいいのではないかというように考えるわけであります。たとえばいままで
初診
料にかけておりますが、少なくとも初めてお医者さんのところに行ったときに何がしかの
負担
をするというのは、医療の人情からいってそう変なかけ方ではないのではないか。それから
入院
の一部
負担
というのも、確かにいま先生がおっしゃいましたように、食事だって医療の一部だという
考え方
は、これは正当な
考え方
だろうと思います。しかし、少なくとも家におっても食事をするんだから、
入院
をした場合にその食費について
負担
をしても、均衡上、社会生活というような点からいって、それほど不合理ではないんではないかというような
考え方
で
入院
費に課するとか、それから
薬剤費
にかけるというのは、先ほ
ども
ちょっと申し上げましたが、政策的ないろいろなことを考えて
薬剤費
を持ってもらうということで、
薬剤費
にかけたわけでありますが、そういうかけたものが総体として二割になるんならいいではないか。したがって、
定率
で二割課するのが公平だ。十万円かかった場合にも二割。最近は非常に高額の
医療費
がございまして、一カ月八百万円くらいの
医療費
もございます。それの二割というと百六十万円になるのですが、百六十万円というのを二割という形で課する方がいいのか、いろいろな
考え方
はあると思いますが、そういう形で一部
負担
を課した、こういうことでございます。
村山富市
62
○村山(富)小
委員
一言だけと言っちゃって、続けるのは悪いけれ
ども
、たとえば
給付
と
負担
を公平、平等にしていくという場合に、これは、
給付
をたとえば一律八割にする、あるいは九割にする、
本人
も
家族
も含めて。そして、その分の
負担
を総体的に全部見てもらうという
かっこう
で理論づけをするのか、あるいは
保険給付
になじまないといったようなものを除外して、それを一部
負担
で取るというふうにするのか。何か理論的な整理があればいいんですけれ
ども
、たとえば人工透析なんかの場合は、給食費は点数に入ってくるのでしょう。給食費は点数に入っておって、なおかつ食事代で取るというのは、理論的におかしいですね。だから、そこらの点を少し整理して検討する必要があるのではないか、こういう気がします。 ですから、よく言われるように、乱診乱療を防ぐために、
初診
料の一部
負担
をできるだけ上げた方がいいという
意見
もあることは事実ですね。だから、そういうねらいで
初診
療一部
負担
を取るんです、これならこれではっきり割り切ってきちっとすればいい。それから薬の場合は、薬づけ医療を規制するという
意味
で、もっと薬に対する認識を全体として高める必要がある、こういう
意味
で一部
負担
を取るんです、これならこれでぼくはまた
一つ
の理論だと思うのです。ですから、そういうふうに一応整理してみて、きちっとしておく必要があるのではないか。そうでないと、何の根拠で、何の目的で、どういう効果を期待して一部
負担
を取っておるのか。それと、
給付
の公平、平等というか、そういうものとの関連は一体どういうふうに位置づけたらいいのか、そこらの点を一遍整理してみてもらいたいと思うんです。きょうは答弁はいいですから。
戸井田三郎
63
○
戸井田
小
委員長
本日はこの
程度
にし、次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十七分散会