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田中(美)
委員 大臣、早速これは事実であるか
調査をしていただきたい。労働基準法
違反であるならば、正しく監督をしていただきたいというふうにお願いいたします。
それから、連動というのがあります。
大臣御存じだと思いますが、これはこういう表になっているわけですけれ
ども、夜中まで働きますね。そうすると、たとえばこれはあるカメラマンの一週間ですね。これをとりますと、日曜日に出勤して十四時間半働いているのです。普通世間では常識八時間と、こう言っているのですからね。十四時間半働いているということは、もう夜中の十二時、一時というふうな時間まで働いている。そうすると、その翌日また十五時間半働いているのですよ。そうすると、夜の十一時、十二時になって、それでちょっと寝て、朝またもう六時半ごろ会社に出てきているわけですね。そしてまた月曜日に十五時間半働いている。それで今度は火曜日には十五時間働く。水曜日には十四時間三十分働く。これはあるカメラマンの実際の数字ですね。そして、木曜日に初めて休日になった。今度金曜日九時間、土曜日七時間、合計しますと七十七時間働いているのです。
もう一人は音響をやっている方、この方の中から事例を出したので、特にひどい事例ではないのです、大体皆同じような事例ですので。これも、日曜日に十七時間五十分働いている。十七時間労働するということは、明け方までまさに徹夜して働いているのですね。そして、翌日の月曜日は当然休むべきなのに八時間働いている。今度火曜日には十六時間働いている。水曜日には十五時間半働いている。木曜日には七時間半働いている。金曜日には八時間半働いている。土曜日には八時間働いている。これを合計しますと八十二時間二十分です。
いま日本の労働時間が、
大臣御存じだと思いますが、四十八時間というのは世界に比べて恥ずかしい、長過ぎるじゃないか、これを短くせよと言っているときに、一週間に八十二時間二十分も働いているという現状、これは日本テレビの例です。こういう現状になっているということは、この
死亡の数を見ましても、いかに健康破壊が進むかということは、これは医学以前の問題だと思います。常識で考えて、医者に健康破壊するかどうかなんて聞かなくても、それ以前の問題だと思うのです。週八十二時間二十分も働いているという人たちが一人や二人ではないわけですから。いまそういう事例をちょっと出したわけです。
それで、こういうものを御存じかと思いますけれ
ども、これは日本民間放送労働組合連合会というのが「民放
労働者の健康問題」というのを
調査したものです。恐らく御存じだと思います。
これを見ましても、体が「なんとなくすぐれない」とか「現在
医療中」こういう人を合わせますと五〇%いる。それから自覚症状で活力の低下を訴えている方が男で三四%、女で四三%、集中力が低下しているは男の方が二九%、女が三一%、身体的違和感、これは情緒不安定になったり自律神経がおかしくなるのが男が一九%、女が二三%、それから疲れがたまっていくは男が五一%、女が五〇%と出ているわけです。
五〇%とか四〇%とか数字が出ていますけれ
ども、これは庶務のような事務的な仕事をしている、それほど残業の長くない人も入った
調査なんですね。ですから、ほとんどは現業の人だということになりますと、こうした何となくすぐれないとかいう自覚症状の人が八〇%、九〇%も出ているということが、これで推測できると思うのです。いま私はこの
調査の中を抜粋したわけですね。
それで「過去一カ年間の罹病延べ率」を見てみますと、銀行が非常に労働時間が長くて過酷だというようなことを聞いているわけですけれ
ども、これとの比較が出ているわけですね。これを見ますと、大体二十代で民放一二一%、銀行が六八%、三十代で民放は一四六%、銀行八六%、四十代で民放一五〇%、銀行八九%ということで、労働条件がひどいと言われている銀行に比べて一・七倍、二倍近い罹病延べ率がこれで出ているわけです。
この
調査を労働科学研究所、御存じだと思いますが、そこの遠藤主任研究員がこれを細かく分析していらっしゃるわけですね。これを見ますとこう書いていますね。
「二〇歳代からすでに過労→蓄積疲労→慢性疲労→疾病化といった不健康化のライフサイクルを余儀なくされており、成人病の発生が一般的には四〇歳代であるものが、民放では三〇歳代に現れている。まさに早老現象である。」また「民放
労働者の不健康状態があらゆる面にいちじるしい。従来、もっとも悪いといわれていた銀行
労働者よりも、はるかに悪い。」というふうに細かく分析していますけれ
ども、こういうコメントを言っていられるわけですね。これを見ましても、いかに民放の現業部門というのは健康破壊が進んでいるか。
特にこういう歴史的に新しい職場といいますか、日本テレビですと二十五年だそうでありますけれ
ども、最初始まったときには
労働者がみんな若いわけですね。二十代の人が圧倒的に多い。そこで進んだものですから、めちゃくちゃやっても、若さで持ちこたえていったわけですね。それが二十五年たつと二十歳の人が四十五になります。
労働省あたりでも魔の三年などと言われて、
昭和三年の方あたりがころっといくというような話がありますけれ
ども、いま
昭和三年の人というのは五十歳ですからね。それが民放では三十歳代でそういう現象が出ているということです。そういうことは、いかにいままでひどい労働条件をこらえてきたか。それを
労働省も全く放置し、会社もそれをいいことに、ずっとしてきたということです。それが普通の、一般
労働者が若い人から年輩の人までいるという形になって、急に
死亡者が三十代、四十代、五十代でころころ出る、いろいろな疾病が出てくる、私はそういう状態になっているのではないかと思います。
これは日本テレビの事例なんですけれ
ども、それでは日本テレビの利益はどうなっているか、これをちょっと見てみたわけです。こんなひどい労働条件で
労働者をこき使わなければ立ち行かないような企業なのだろうかということで、ちょっと調べてみました。
そうしますと、
昭和四十五年、一九七〇年から七八年までの数字をとってみましたら、七〇年には経常利益が五億円だったのですね。それが七八年には百三十億円の利益を上げています。ということは、わずか八年間に二十六倍という利益を上げているのですね。特に四十八年あたりから何倍かに上がりまして、一昨年と去年と比べても一・五倍、七六年と七八年を比べても約三・何倍というふうに、利潤が億の単位で飛躍的に上がっているわけです。それに内部留保も八年の間に大体五・五倍たまってきています。
それに比例して
労働者の数を見てみますと、七〇年のときには千五百二十二名だったものが、七八年には千二百九十三名というふうに
労働者の数は減っているのですね。ですから、この数字を見ただけでも、この数字の裏にどのような過酷な労働条件があるかということが想像できると思うわけです。
これは私が調べたところですので、
労働省としてもぜひキー局の
現場というのを
調査していただきたい。先ほど小粥さんおっしゃったように、このような残業、これはちゃんと残業手当が払われているわけですから、記録はちゃんとあるわけですので、これをごらんになりまして、労働基準法
違反ならちゃんと正すような指導をしていただきたい。そのためにどんな労働条件になっているか、ただ残業時間だけじゃなくて、一切の健康破壊を起こすような状態というものをきちっと
調査をしていただきたいと思います。
大臣、よろしいでしょうか。