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工藤(晃)
委員(新自)
局長の最後の、そこの部分が一番大事なところだと私も思います。中央薬事
審議会の機構が独立してだれからも不可侵であって、そしてその
意見が尊重されていくというところに、安全性確保の機能が具体的に発揮できるという形になろうかと思いますので、そういう点だけはぜひ私も確認をさせていただいておきます。
あと、今度の薬の有効性、安全性の問題について、時間の許す限り各論的に、いろいろとお聞きをいたしたいというふうに考えるわけでございます。
将来、薬の安全性確保という問題は大変むずかしいことではないかというふうに大まかにとらえているわけです。その理由といたしましては、まず薬そのものの特性が、その有効性と安全性が並立しにくいという可能性を多分に持っているものでございますから、当然、有効性を期待すれば安全性の方に何かのしわ寄せがいく可能性も出てまいろうし、それからまた、安全性を非常に重点的に物を考えた場合には、今度は有効性の部分でいろいろな制約を受けてしまうのじゃないかという、そういう面を薬という物質は持っているような気がいたしますので、そういう問題をいかにして、安全性の確保というものを最優先させながらも、やはり逆に、今度は有効性というものを無視していくということは
薬事行政上許されないことだ、医学の進歩あるいは科学の進歩に伴いまして、薬の今後の必要度というのはより増加されることはあっても、減少されることはないでしょうし、それからまた、そういう恩恵を受けることによって
国民の健康の保持のために大きな
役割りを果たしていくということであるならば、そういう両面の配慮というものが平等のウエートで置かれていかなければならない、私はこういうふうに考えるわけで、そうなると、言うはやすく行うはかたいという、こういう問題も多々出てまいろうかと思います。
それからもう一点、今度は逆に、
医薬品の生産量の方から考えまして、これは大ざっぱな推測にしか過ぎませんけれ
ども、大体のところをちょっと申し上げますと、日本の
医薬品の総生産量が四十八年は一兆三千六百億、五十二年が二兆四千五百億、こういうふうに金額的には非常に急激にふえてきている。と同時に、日本の総医療費が今年度、五十四年度の見込みが十兆四千億でしたか、あと五年後の医療費が二十兆二千五百億、こういちふうにいま推定されているわけですけれ
ども、やはりそれに伴って、いまいろいろなことが言われておりますけれ
ども、薬の伸び率も非常に大きいだろう、こういうふうに考えるわけで、金額的に比較はできませんが、もちろん量の問題あるいは複合の問題、いろいろ問題はございますけれ
ども、人口はそうふえない、にもかかわらず金額だけ見ても非常に倍増していくという、そういうものを、薬を
一つの異物というふうに考えたならば、それだけ異物をたくさん吸収することになるわけです。ですから、そういう有効性を一方で配慮しながらも、片一方の安全性については、量的に考えた場合に、薬の安全性というものが量とパラレルであるという
前提に立てば、やはり量をそれだけたくさんとっていっているということは、安全性についてよほど配慮しなければいかぬということが考えられるわけです。そういうことになりますと、今度は、現在でも安全性確保のために大変苦慮して、なおかつ
スモンのような大きな
被害を出してきている。そういう犠牲者をつくりながらも、一歩でも前進しようという努力は多としながらも、やはり
薬事行政の上においてそういうことについての規制を厳重にしていく、あるいはあらゆるノーハウを結集しながら、そういう安全性確保のために努力をしなければ大変むずかしいことであろうと思うし、また、ノーモア
スモンと言いながら、第二の
スモンが発生しないという保証はどこにもない。今後ともに、高齢化社会の訪れとともに、そういう薬の
副作用による
被害も別の形で起きてくる可能性が、そういう薬の生産量から逆に推定しても考えられる点でございます。
そういうことから、薬の安全性を考える場合に、
薬事法を改正するということで果たして十分であるかどうかということを考えました場合に、この現在の改正法案そのものも大変不備なところがたくさんあって、私にとっては大変不満足でございますけれ
ども、しかしながらそういうものでもなおかつ足りない、そこへもっていって、果たして、
薬事法を改正するなりしてあるいは安全性をチェックする、そういうことで安全性が確保できるというふうに考えたら、非常に甘い
考え方ではないかというふうに考えるわけで、薬の
副作用の点についてはいろいろ
意見もございましょうけれ
ども、大体一般的に考えましたなら、薬の質と量とそれを使用して治療する機関という問題が、その
副作用の発現について大きく影響をもたらすであろう要因となることは間違いない事実だと、こういうふうに考えるわけでございます。そうなりますと、やはり、そういうことに対して十分な総合的な対策というものが国の施策の中で考えられなければ、ただ、
薬事法を改正することによって、安全性をチェックすることによってこの危険を防止するということは、大変甘い
考え方だというふうに私は考えるわけでございます。
そういう
意味で、ただいま申し上げましたように、現在の薬の多用あるいはまた今後の薬の伸び率というものもあわせて考えながら、すべての
状態の中で、いま申し上げましたような
副作用防止のために必要な施策を総合的にしていくということが大事なことであろう、こう考えるわけで、そのためには、それじゃどういうふうに考えればいいかということで問題があるわけでございまして、ただいまから申し上げることが
一つの私の提案となろうかと思いますが、その中で、やはりいまの健康保険
制度の中で、そのままでこの薬害防止をより推進するという点については、いささか反省をしてみなければならぬ部分もあるんじゃないかというふうにも考えるわけで、物にしか対価を与えていかないという現在の健康保険
制度の根幹に、大きな問題点が
一つあるというふうに考えるわけです。
やはり、物と技術というものを分離していくという、そういうものによって、薬害防止の一助たらんということは考えられるわけでございます。それからまた、じゃ、物と技術を分離するということをどういうふうにすれば推進できるかということになりますと、やっぱり健康保険
制度の抜本改正、これは保険
局長もさっきちょっと言っていましたが、上手に答弁の上に乗せておったようですけれ
ども、いまのああいうふうな
制度の改正だけじゃなくて、やはり
制度的な欠点については思い切った
制度間の財政
調整をやり、なおかつ一元化を図っていく、そして負担と給付の公平を図っていくという、そういう社会保障的な発想の健康保険
制度というものを片一方で確立しながら、今度は質の向上という面で物と技術を分けていく、そういうことをしないで、いまのような路線上で物と技術だけを分けようということは大変むずかしい問題だ、こう私は考えるわけで、たとえば物と技術を分けるということは、医薬分業、それもその中に含まれるわけでございます。しかし、医薬分業推進のためにも、やはりそういう
制度の思い切った改革を一方で断行していかなければ、医薬分業も推進されにくいんじゃないか、こう考えますので、そういう
意味においては、やはりもっともっと別の角度から、グローバルに物を考えてみる必要があるんじゃないか、その中に
薬事法の改正も含んでいくという、思い切った改正法案を抜本的にしていくということも大事でございましょう。しかしながら、それだけをやればいいんだという発想あるいはそういう論拠には、私は大変不満足な意思を表明せざるを得ない、そう考えます。同時に、やはり、そういう総合的な対策の中で、安全性を確保するということは焦眉のことでございますから、どうかその方面も、ひとつ
大臣、勇気を持って総合的に対策を講じていただくということによって、日本人の人命が安全に確保されるという形になってまいろうというふうに考えます。
そういう
意味で、今度は薬剤師さんの使命でございますけれ
ども、やはり薬の有効性とかあるいは安全性を確保するという
一つの社会的な
責任の一端を、私は、薬の
専門家である薬剤師さんにも担ってもらわなければならぬ時代が来たのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。そのためには、やはり医薬分業の推進を図りながらも、一方ではそういう地域社会においてのチェックを、医療機関ももちろん厳重にチェックしていかなければなりませんが、一方において薬剤師さんも、そういう分業推進という形からダブルチェックをしていけるんじゃないか、そういう点に分業推進の
一つのメリットが別の形で出てくるんじゃないかというふうに考えておりますので、そういう点については
大臣ひとつ真剣にお考えいただきたいと思いますが、御回答いただきたいと思います。