○水田
委員 二つの条件で一つは合致しておる、こう言われるのですが、この苛性ソーダの業界というのは、御承知のように四十六年の水銀問題で、技術的な検討がまさに十分されないままこれは転換ということになって、隔膜法に変えられたわけですね。その場合の設備投資が一番金利が高いところでやられる。ですから、一つは、
不況と同時に、
政府の方針によって、いま金利負担という大変なものを余分に抱えた状態になっているという条件があるわけですね。それからもう一つは、
労働省も御存じのように、苛性ソーダというのは、普通の
業種のように大体似通った会社が十とか二十あるのじゃなくて、たとえば資本金何百億という中で全体の生産の中の三%くらいを苛性ソーダをつくっておる、あるいは中堅は苛性ソーダと塩化物を半々ぐらいにつくっておる。あるいはガラスというものをつくる。これは一つは自動車との絡みから、非常にいま好況の中にあるソーダですが、そこで全部吸収できるものもある。あるいは、さっき申しました苫小牧ソーダや北海道曹達あるいは水島の関東電化のように、きわめて小さいソーダ専業で、そして塩化物を有効に使って何とか生きているという、まことに多種多様な業界で、資本の額から言っても、人員から言っても、業績から言っても、業界で自主的な話し合いでやれと言ったところで、これはとてもじゃないができる条件にない。そのことが今日まで適用されない主たる理由で、それですから、これから整理されるというのは、業界まとまっての整理は数が知れている。本来ならば、いままでにこそ救われるべきものが救われずに来たところに問題があるので、私は、弾力的な
運用がなぜできないかという疑問を持つわけなのです。ですから、たとえて言いますと、自動車のフロントガラスをやっておるところはずっと好況ですから、それに供給するというところは悪くないわけですよ。好況ですから、そんな
特定不況業種に
指定してもらっては困るというのが当然出るわけですね。もう一つは、財閥の会社であって、従業員が万とおりまして、その中でソーダ関係が二、三百で、全体の生産額から言うと三%、五%というところは、ほかでカバーできまずから、そこが少々悪くてもまあ二、三年耐えていこうという自力がある。そうでない専業の中小が、まさにこの
法律の適用を希望し、待っているわけですね。しかし、それができないままに経営を持ち切れなくて、そういう恩典を受けないでどんどん整理されていく。ですから、そのところを弾力的に
運用するという中で、何とか引き上げる方法はないものか。いま
局長が言われたようなことでは、業界のあれが全部整理がついた段階、もうつぶれるところはつぶれてしまって、初めてやりましょうかという形になりますね。私はそうとしか
考えられないわけです。
そこで、私は、この
法律の
運用の中で一番問題があるのは、
基準年次のとり方だろうと思う。なぜかと言いますと、四十八年のオイルショックですぐショックが来た
業種と、それから引き続いて、たとえば造船は手持ちの仕事を持っていますから、二年ほど後へ残っていったわけですね。鉄鋼の方は五十一年、五十二年というのはまだ生産はそんなに落ちていない。五十三年でがたっと来たわけですね。造船もそうです、四十八年にがたっと落ちたのではないのです。ところがソーダは、四十八年のオイルショックの直後からがたっと落ちてそこから横ばい、もしくは年三%ぐらいのあれですから、幾ら
基準年次をとっても、そこではなかなか合致しないという問題がある。私は、弾力的な
運用という中では、一つは、その
基準年次のとり方を、これは
業種ごとに調べてごらんになったらわかると思う、繊維が一番来たはずです。だから、その
業種ごとに、全く同じときに四十八年のオイルショックをもろに受けたということはないという事実、ですからそれを弾力的に、どう
基準年次を見るかということが一つ。もう一つは業界の特性、大体似通った業態ならば話し合いは非常に早くつくわけです。なかなかこれがつかないという特殊な条件。もう一つは、
政府の
施策というのを
考えた場合に、これはいわゆる水銀法から隔膜法に転換を命じたあのときのやり方というのは、恐らくしゃにむに
見通しも何もないままにやった。そのことが今日のソーダの
不況に二重、三重のかせになっているということを
考えれば、そこらを総合的に
考えれば、その弾力的な
運用、当然何らかの
措置をやってしかるべきで、似通った
業種で見れば適用されたものはたくさんあるわけですが、ソーダだけが(2)の条件に見合わない、また業界がいま努力しているけれども、まだ相当の時日がかかる。時日がかかって待ってみれば、最後にはもう全部人員整理が済んでしまって、つぶれるものはつぶれてしまった後で、適用しましょう、要りません、とこういうことになる。そういう状態を
考えたならば、私が申し上げたことについて、それぞれ考慮できる条件だと私は思うので、弾力的
運用ということならば。
それで、一つは、
基準年次のとり方というこの(1)の条項。
法律を生かして使うなら、当然そういう見方をすべきだと思う。それから(2)の条項で言えば、一つは、直接ではないけれども
政府の行政的な
指導で水銀法を隔膜法に一挙に転換させた、そして大変な余分の設備投資をさせられた、しかも金利は最高のときのものをいまだにかぶっておる、そういう問題がある。そして、いま業界としては六〇%の操業率で、これから十年先を見込んでも七二、三%の操業率にしかならないという
見通しの業界ですから、これがこの
離職者法の適用の
業種指定がされないというのは、むしろ常識的に言えばおかしな話なんです。ですから、これは
法律を生かして
運用するというならば、(1)の問題については
基準年次のとり方、(2)の問題については、
政府の方針で強制的に隔膜法に転換させたこと、そしていま努力している
見通しというものは、ある程度業界のむずかしさを考慮して、若干時日がずれても、それを
見通しがあるということで救い上げるというようなことは、やろうと思えば、本当に業界の実態を御存じなら、私は不可能なことじゃないと思うのです。
私の話を聞いて、大臣ひとつ。これは本当に深刻な問題なんです。ここに働いておる連中あるいは会社にとっても大変なことなんです。この
離職者法が適用されて、根本的に全部が解消するというものではないのです。せめても、これだけの
不況の中でみんながんばってきた、それぞれある程度の手当てはされてきた、しかし一番救ってほしいところが救われないというのがこういう法の
運用の問題で起こっているということを御理解いただいて、何らかの救済の方、法をぜひ御検討いただきたいと思うのです。