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工藤(晃)
委員(新自) 私はいまの答弁で幾つかの疑問点を
指摘しておきたいと思うわけです。ということは、先ほど御説明になりましたように、年中無休だとか二十四時間オープンだとか差額ベッドは取らないとか、すべて非常に結構ずくめの経営がやっていけるという、こういうことについていささか私は理解しにくい。ということは、いまの医療の
現状の中で、この徳洲会という病院はどういう目的でお建てになるのか知りませんが、利益追求という、こういう立場でやはり建てられるのであって、公共施設ではないわけですね、私企業ですから。もうけるためにそこへお建てになるということの前提に立って、それでそういうふうな、すべてのいまの医療のひずみになっているようなところ、
国民のすべてが非常に不平不満になっているようなところを全部解消いたしますというふうな、こういう経営をやりますと、私は果たしてできるのかどうかということを大変疑問に思うのです。なぜならば、皆さん方がお抱えになっている国公立病院をお考えになるといいのです。毎年半数以上の病院が赤字に苦しんでいる、こういう事実があるじゃありませんか。税金も払わない、すべての施設は国の補助によって賄っている、そういうところですら赤字で苦しんでいて、それをどうするかということはいま国の大きな悩みの
一つになっているでしょう。逆に、皆さん方がこういう問題について、これは結構でございますと言って
国民の前におっしゃるには、それだけの根拠がなければいけない。もしこういうことが結構であるなら、皆さん方が管理されている病院の皆さん方の責任はどうなるのか。
国民の税金を使っていてですね。こういうことが実際に私企業としてできるんだ、税金を払って、投資をして金利を払って、そしてこれがまともにできるものであるならば、皆さんの国公立病院はなお十分できるはずじゃないですか。それができてないんだ。長年こういう問題を続けてきたんじゃないですか。それは皆さん方の責任だとぼくは思う。怠慢経営だと思う。そうでないとすれば、この問題が、一体どこに問題点が包含されているかということを私は心配するんです。どっちかに真実があるんですよ。両方が真実ということはないと思う。そういうきれいごとで経営をなさるところへ、少なくとも国の最高の責任者がこういう発言をされるという以上は、私はそれなりの
資料をお持ちになっているはずだと思う。それで十分
国民の命が守れる、
地域社会において命が守れるという前提がなければそういう言葉は言えないと思う。だから、私は後で
資料を出していただきたいと思います。時間がございませんので、私は自分の言いたいことを言って、もし問題があればまたこの次にいたしますけれども、しかしながら、こういうことができるなら、健康保険
制度の矛盾で、われわれが毎年毎年財政赤字をどうするかというような問題を一々云々する必要はないんですよ。徳洲会病院にみんな勉強に行けばいいんです。
日本全国の国公立病院のリーダー、皆さん方がまず第一番に徳洲会に行って、勉強してこられたらどうですか。
そこで私は思うのは、そういうことはどこかにまやかしがあるんじゃないかという心配をするんです。利益を追求して、それだけの利益が追求できるような
状態ではないと私は思う。だから、私はそういう意味においての懸念をいま申し上げます。
それは、やはり利益追求型である以上は、不利益なところはカットするんですよ。足切りをやるんじゃないか。もうからぬところはやらぬ、もうかるところだけやるという、こういう経営方針なら、やはり利益は追求されると思いますし、またその経常利益も出てくる。しかしながら、人命を預かる
仕事を、もうかるところだけやりますというようなことができるかどうか。もしやったとすれば、その
犠牲は一体どこへいくか。あの世へ行ってしまうのですよ。来る患者さんは、自分が採算ベースに乗るような患者であるかどうかは自分ではわからないわけですから、病院の方で勝手に不採算なところは足切りをしてしまう。切られた患者さんは知らないうちにあの世へ行ってしまう。ということがもしあったとすれば大変なことだと思う。だから、まことに二十四時間開いているのは結構でございます。それは結構なんです。しかし、診療内容というのは、人の命をどう守るかという崇高な
仕事をしなければならぬわけで、そのときに、利益追求をまず第一番に結構ですと言ったら、私はまず、いまの
医療法を改正してもらわなければいかぬ、それから医師法も改正してもらわなければいかぬと思う。この二八%税制の問題でいろいろ問題になっているのも、
医療法人が非常に厳しい
状況の中に置かれているのも、
一般みなし法人と比べて、一人法人と比べて大変厳しい
条件の中に置かれているのも、すべて、そういう利益を追求しちゃいかぬというそういう前提に立ってやっているのじゃないですか。そのときに、利益追求しますよということをはっきり言って企業進出するのに対して、皆さん方が結構でございますと言うのなら、私は、この
医療法人の問題についてもこれは大変考えなければいかぬ問題がいっぱい出てくると思う。
それから差額ベッドにしても、それはない方がいいに決まっている。
国民はすべてそれを求めているのだ。しかしながら、経営が実際に成り立つか成り立たぬかということが問題であり、人の命をどう守るかということが問題なのだ。そのときに、これで経営が成り立ちますよと言えば、成り立たぬことはわかっていてですよ、それでそこの病院はりっぱにやっている、結構でございますと言うのなら、私はその証拠を見せてもらいたい。それができるなら、なぜ自本の多くの病院、国公立病院を初めとして私立の病院もすべてそうですが、みんな赤字で苦しんでいるのじゃないですか。差額ベッドを取らなければやっていけない
現状があるのじゃないですか。大学に入るのに、やはり私立の大学では大変な入学金を取っていかなければならない。これはすべて赤字が前提に立つからじゃないですか。そういう中で、その病院だけはおまじないみたいにみんなきれいごとを言って、みんなもうかりますよ、私に右へならえしてくださいというのなら、皆さん方の救急医療
体制、
大臣もこの中におっしゃっている、「第五に保健医療対策については、救急医療対策をはじめ、へき地医療対策、公的病院等の財政対策の一層の推進を図りますとともに、」こういうことをおっしゃっておられるが、それなら今後すべて、救急医療対策はいまから徳洲会形式をとって、徳洲会に救急医療対策を国がお任かせになるつもりでいらっしゃるのかどうか、そういうことにもやはり言及しなければいかぬ。それは一番安上がりでいい、結構ですよ、何もしなくったっていいのだから。しかしながら、そこで足切りをされて、もうかる人だけしか経営の
対象にしないというような病院ができたら、知らないうちにあの世へ行ってしまう人もいっぱい出てくるのじゃないかという心配を、一番最初に私はするのですよ。それが、いや、そんなことはございませんよとあなた方はおっしゃっているのだから、証拠を出してください。大変よくやっていらっしゃる、そんなことは私には考えられない。考えられないから皆さんに申し上げるので、大変危険なものが潜在していないかどうか。いるとは言っていませんよ。いるとは言わないが、そういうことがなければ、そういう健全経営、黒字経営、借金をして土地を買い、建物を建てて、設備をして、そういうことができるわけがない。わけがないことができるのだ、それが結構だとおっしゃっているのなら、国の対策というものはすべて徳洲会に委託されたらいいと思うのですよ。その辺、皆さん方の責任はどうなるのか、私は改めて
追及したいと思う。それが一点。
もう一点は、救急医療というのは、
地域社会において第一次、第二次、第三次応需病院あるいは第四次、そういう健全な連携が保てなければ、人の命一人を救うことはできないのです。そのときに、
地域医療の中でそういう猛反対を食っている中へ飛び込んでいって、私はやりますよ、それで果たして救急医療対策は完全に
地域住民のためにとれるかどうか、大変私は疑問だと思う。医療の内容というのは大変レパートリーが広うございますから、一人の
先生がいれば神様みたいに何でも診れるわけじゃはい。専門以外のところはやはりその専門の
先生に対応してもらわなければいかぬ。徳洲会病院がもしそういうことが言えるというなら、大学病院程度の設備とその対応をしなければできないと私は思う。そういう
地域社会の中で、私はやりますよと言って、大きなことを言って門戸を開いて、
国民は何も知らないから、そういう裏方の話は何にもわからぬから、そういうところへどんどん行っちゃって、いまさらよそへ送るといったって送るところがない。来てくれる
先生もいない。専門の
先生もいない。そういう中で、あなたがここに懸念されているじゃないですか、まだ歴史が浅いとか、医師が若いという
指摘もこれありで、そういう
先生がすべてのものを全部賄えるとは私には思えない、私も医者の一人でございますから。そういう意味で、こういう問題については、
地域医師会か行き過ぎているという
指摘をする前に、その人たちと話し合ってみて、一体どこがどういう問題になっているのか、そういうところを
十分検討した上で、発言されるべき筋合いのものだったと私は思う。
それからもう一点。これは本当かうそか知りませんが、私が知っているニュースによりますと、
地域医師会は何も救急医療
体制を整えないと言っているのじゃない。東海大学の分院のような病院をわれわれはつくりたい。言うならば、第一次から第三次まで十分連携のとれるそういう病院をつくりたいのだ。それについてわれわれが計画している最中に、こういう問題が飛び込んできて、皆さんで結構、結構と言っているのじゃないですか。一体どちらが
地域住民のためにプラスなのか、そこら辺のところはよく考えなければいけない問題だ、そう私は思うのです。これは声を大にして言っておきますが、
指摘しろと言えば、時間があればまだまだ幾らでも
指摘します。人命が軽視されること、陰の知らないところで人の命が失われていくこと、幾らでも軽視していくことの問題がある、こういうところにこういう問題があるじゃないか、こういうところにこういう問題があるじゃないかということは幾らでも
指摘できますが、しかし時間がございませんのでこの程度にやめておきますが、十分ひとつ、この点については軽率な御判断とか軽率な御発言は控えていただきたい、こういうことを強く要望したいと思います。
大臣、お答え願います。