○
工藤(晃)
委員(新自) 確かに
大臣おっしゃったように、私の方にちょうだいしております資料の「
労働省主要
予算(案)の概要」の中にも、八ページに「第三次産業
雇用実態
調査の実施」という新しい項目が設けられているわけですね。だからそういう意欲のあることはこの数字からもわかるわけでございますけれ
ども、これはきょうに始まった問題ではなくて、昭和四十九年からそういう傾向を大きく続けてきているわけですよ。ですから、いままで受けざらの方の対策が一切考えられていなかったということを逆に証明するようなものですね。たとえば特定の
構造不況業種などに対しては、通産あるいは労働その他でいろいろな
施策を講じながらそういう救済措置は講じているわけですが、要するに、そういう人々が移動してきた場所の受けざらには何ら配慮がなされていないということを証明したようなものですね、いまの御回答は。だからこれは、確かに第三次産業でも、特に吸収し得るだけのエネルギーを持っている業体であればそれでいいと私は思うのです。ですがその受け入れていく、あるいは受けざらになっている業種が非常に零細な生業のようなそういう
方々が多い業体へ流入してくるということになると、これは大変大きな問題を醸し出すと同時に、そこにおいてのまた、次の
不況というあらしにその業体が見舞われるというかっこうになるわけで、そういうことで、たまたま最近、これは厚生省の方でございますけれ
ども、環境衛生
関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する
法律案が二月十三日に衆議院を通過したわけです。こういう法律をなぜつくったかというと、そういう環衛
業界が現在でも過当競争にある、サービス業においての過当競争というのは自殺行為なんだというところから、ある程度正しい適正な競争をさせる、そういう
意味において過当競争を防止しなければならない、あるいはまた営業の自主的な組織による共同施設事業の一層の充実を図るとか、いわば非常に足腰の弱い業種に対して配慮していこうということで、こういうふうな法律を一部改正してつくられてきたわけだろうと思うのです。われわれもそれに対しては積極的な賛成を示したわけで、それはなぜかというと、こういう低成長の中でそういうあらしをすぐ受けやすい、そしてまた過当競争というのは、そういう生業としていかなければならないような業体の
方々にとってはそういう風雨を一遍に受けてしまう、こういうものに対して何らかの
施策を講じてやる必要があるんじゃないかというところから、こういう問題が提起されたと私は信じているわけです。ですが、片一方で通産にしてもあるいは
労働省にしても、そういう第二次産業の製造業におけるいわゆる
人減らし、減量経済、
減量経営という形から吐き出したものを、要するにそういう受けざらの対策を考えないでもしそういうところへ流入さしていったとすれば、一方においてはそういう
方々に対する思いやりある政治をしようではないかと言いながら、そういうところにどんどん、逆に言えば支度金をつけて送り出してやるということになりますと、公害問題を例に挙げれば大変穏当ではないかもしれませんが、最近は公害でも東京湾の
閉鎖性水域に対する水質汚濁の問題、これもみんな吐き出したヘドロがそのまま蓄積していく、それが
閉鎖性水域においてだんだんたまっちゃって、いまその処置をどうするかということになったらどうにもならない、こういうことですね。そういうこともすべて工業用排水とかあるいは家庭用雑排水、こういうものの対策を怠ってきた
一つの大きな結果でございます。そういうところに沈でんしたヘドロをどう処理するかということになると、膨大な
予算とそれからどうにもならないほど、解決のしようがないほどむずかしい問題にいまなっている。こういうことが
一つの結果として出てくるわけで、やはりこれも、この問題をいまの問題にすりかえてみますと、そういう危険性を多分にいま持っているんじゃないか、こういうふうに私はとらえているわけです。
そういう中へ流入してきて、吸収されるからそれはそれでいいんじゃないか、吸収するだけのエネルギーがあるからいいじゃないかというふうにお考えになっているとすれば、大変大きな判断の誤りがそこにあるような気がするのです。というのは、サービス業というのは押し込めば押し込むほど押し込められるのです。しかしながら、そういうことに対しての何らかの代償というものがどういうところで払われてくるかというと、サービスの低下でございます。サービス業がサービスの低下を来すということはこれは致命的であり、また国民に対して不利益をもたらす問題であります。そういうことから考えますと、やはりサービスは向上さしていかなければならない。そのためには健全
経営をしてやらなければいけない。そのために片一方じゃ十分配慮しながら何かの
努力を重ねているときに、一方からそういうものへじゃんじゃんヘドロを吐き出すという、こういうような状態がもし今後とも続くとすれば、これはやはり大いに注意をしなければならない問題だろう、こう思うわけでございます。
その中で、環衛業の実態、そういうものをちょっと浮き彫りにするために申し上げますと、非常に小規模であって、これは厚生白露の中からちょっと引っ張り出しましたけれ
ども「環境衛生
関係営業の多くは中小零細
企業によって占められており、従業者五人未満の事業所は八割を超えている。営業規模が小さいことは、国民のニーズの多様化に対応しやすいという利点をもつ反面、
経営の近代化に立ち遅れる傾向をもたらしている。これらの営業は、比較的少額の資金により開業できることなどから、新規参入が容易であり、過当競争になりがちな体質をもっている。従って、
経営が不安定な状態に陥りやすく、適正な衛生基準の維持等の健全な
経営が阻害されるおそれがある。」こういうことを
指摘しているわけですね。
ところが、第二次産業から第三次産業、特にこの環衛
業界へ、こういう
不況が続きますと大挙流れ込んでいくということになりますと、大変大きな問題がまたそこにも起きてくるということです。私が申し上げたいことは、その受けざらをやはり足腰を強くしてやる必要があるんじゃないか。適正な受けざらというものをまずつくって、過当競争を排しながら、お互いに健全
経営が維持できるような配慮をしてやりながらそういうところに転業をさしていくという、そういうみぞを掘ってやる必要が絶対にある、こう信じているわけでございます。
そういうことについて、たとえば飲食店なんかが一番そのいい例で、転業する先で一番簡単に考えるのはやはり飲食業で、だれしも考えやすい。先ほど申し上げたようにそういう体質から見てそういうことが起きやすいので、昭和四十年には五十六万一千六百三十六軒の飲食店営業が、昭和五十二年には百十六万五軒といいますと、国民九十何人に対して一軒というような非常に多い業体でございます。そういうふうなところで、まず全体から見ると常
雇用数が一・八人ですね。私
企業の場合には〇・八人ですか、そういう非常に零細なところへどんどんそういうものが流れ込んでいくということについては、大変憂慮をしているわけです。そういうことに対して、これは何かみんなでというか、たとえば
関係省庁、
労働省とかあるいは通産とか厚生とか、そういう環衛業に関与しながら
雇用のスムーズな安定を図っていくというために、これはどうしても縦割り
行政だけでは無理だと思いますから、横の連携をとっていただいて、早急にその問題の解決に取り組んでいただかなければならないんじゃないか、こういうことを強く考える次第でございます。そういう点についてひとつ
大臣のお考えを簡単に伺わせてください。