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1979-07-11 第87回国会 衆議院 航空機輸入に関する調査特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年七月十一日(水曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 増田甲子七君 理事 松永  光君    理事 山崎武三郎君 理事 小林  進君    理事 坂本 恭一君 理事 坂井 弘一君    理事 大内 啓伍君       石井  一君    越智 伊平君       大坪健一郎君    島村 宜伸君       玉沢徳一郎君    羽田  孜君       武藤 嘉文君    渡部 恒三君       大出  俊君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    横路 孝弘君       長谷雄幸久君    林  孝矩君       二見 伸明君    正森 成二君       中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山下 元利君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議室長     清水  汪君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         自治省行政局選         挙部長     大橋茂二郎君         証     人         (日商岩井株式         会社常務取締         役)      海部 八郎君         証     人         (元住友商事株         式会社航機部長         兼電子機器部         長)      日高 一男君         海部証人随伴者 井本 臺吉君         航空機輸入に関         する調査特別委         員会調査室長  長崎  寛君     ————————————— 委員の異動 七月十一日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     羽田  孜君   塩崎  潤君     大坪健一郎君   池田 克也君     二見 伸明君   加地  和君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     塩崎  潤君   羽田  孜君     國場 幸昌君   二見 伸明君     池田 克也君   中川 秀直君     加地  和君     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空機輸入に関する件      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  航空機輸入に関する件について、海部八郎君及び日高一男君の両君より証言を求めることにいたします。  この際、一言申し上げます。  海部証人より提出されました上申書につきまして理事会において協議をいたしましたところ、不穏当かつ委員会として受け入れられない部分があることを御報告いたします。  証言を求める前に両証人に一言申し上げておきます。  昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によって、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになっております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、まず、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰するべき事項に関するときであります。また、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った知識であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときにも証言を拒むことができることになっております。  しかして、証人が正当な理由なくして宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  一応このことを篤と御承知おき願いたいと存じます。  なお、証人喚問についての理事会申し合わせ事項については、証人にはすでに文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げておきます。  その第一点目は、証人随伴者助言を求めることが許される場合についてであります。  すなわち、証言は、証人がみずから知り得た事実を証人自身記憶により申し述べるのが原則でありますが、証言を求められている事柄が議院証言法証言を拒否することが認められている事項に該当するかどうか確認しようとするとき、その他委員長がこれを中心として判断し、許可を与えるのを相当としたものについては、証人随伴者助言を求めることができます。  これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであります。  その第二点目は、資料についてであります。  証人は、証言を行うに際し、資料を用いることは差し支えありませんが、委員長許可が必要であります。また、これらの資料は、いずれも当委員会に提出していただくことになっております。  その第三点目として、証人メモをとることは原則として認めないことになっておりますが、質疑の項目程度は結構でございますので、御承知おき願います。  その第四点目は、随伴者についてであります。  随伴者は、発言することはできませんが、メモをとることは許されます。  また、随伴者は、証人委員長許可を得て助言を求めた場合は助言することができますが、自分の方から証人に対し助言することはできないことになっております。  以上の点を十分御承知おきください。  それでは、法律の定めるところによりまして、両証人宣誓を求めることといたします。全員御起立を願います。     〔総員起立
  3. 永田亮一

    永田委員長 まず、海部八郎君、宣誓書を朗読してください。
  4. 海部八郎

    海部証人      宣 誓 書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います   昭和五十四年七月十一日                海部 八郎
  5. 永田亮一

    永田委員長 次に、日高一男君、宣誓書を朗読してください。
  6. 日高一男

    日高証人      宣 誓 書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います   昭和五十四年七月十一日                日高 一男
  7. 永田亮一

    永田委員長 両証人とも宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  8. 永田亮一

    永田委員長 御着席を願います。  この際、お諮りいたします。  本日の証人に対する議事は、理事会申し合わせにより、海部証人日高証人同席の上証言を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、同席の上証言を求めることに決しました。  これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。  なお、こちらから質問をしているときは着席のままで結構でございますが、お答えの際は起立して発言をしてください。  それから、念のため証人に申し上げておきますが、本日は両証人同席の上証言を求めるのでありますから、他の証人証言をしたことに対し直接反論するようなことは慎んでいただきたいと存じます。証言は、委員長または委員発言に答える形でのみこれを整然と行っていただきますようお願いをいたします。  また、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で航空機輸入に関する重要な問題について証人より証書を求めるのでありますから、不規則発言等議事の進行を妨げるような行動のないように特に御協力をお願いいたします。     —————————————
  10. 永田亮一

    永田委員長 これより証人に対して証言を求めます。  まず、海部証人、あなたは海部八郎君ですね。
  11. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  海部八郎でございます。
  12. 永田亮一

    永田委員長 生年月日住所職業をお述べください。
  13. 海部八郎

    海部証人 大正十二年六月二十九日生まれ東京都杉並区久我山四の十一の二。職業会社役員
  14. 永田亮一

    永田委員長 次に、日高証人、あなたは日高一男君ですね。
  15. 日高一男

    日高証人 はい、日高一男であります。
  16. 永田亮一

    永田委員長 生年月日住所職業をお述べください。
  17. 日高一男

    日高証人 大正九年二月二十日生まれ。現住所東京都練馬区石神井台二丁目十四の三十六号。職業、元住友商事株式会社機械電機本部航機部長電子機器部長でありました。ただいまは会社役員をいたしております。
  18. 永田亮一

    永田委員長 次に、発言の申し出がありますので、順次これを許します。松永光君。
  19. 松永光

    松永委員 海部証人にお尋ねをいたします。  日商岩井は、昭和四十二年秋ごろから昭和四十六年暮れごろまでの間に数回にわたって合計約五億円の金を松野頼三氏に支払っておるわけでございます。その金の一部は証人が届けられたものもあるようでございますが、この五億円という金は、グラマン社のE2Cに関するグラマン・インターナショナル日商岩井との間の代理店契約締結あるいはE2Cの売り込みなどと関係のある金なんでしょうか、どうでしょうか。この点をお尋ねいたします。
  20. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  ただいま御質問のございました五億円につきましては、これはグラマンのE2C、それとは全然関係のないお金でございます。
  21. 松永光

    松永委員 海部証人にお尋ねいたしますが、日商岩井グラマン・インターナショナルとの間でE2Cに関する販売代理店契約締結したいきさつについては——どうぞお座りください。前に予算委員会証人としておいでになっていろいろ証言をされておるわけですけれども、この代理店契約締結に関して政治家または政治家関係者が関与したのかどうか、この点をお尋ねいたしておきたい。
  22. 海部八郎

    海部証人 御返答申し上げます。  ただいまの松永先生の御質問に対してお答え申し上げます。  グラマンのE2Cの代理店契約締結につきましては、一九六九年の春ごろ米国人であるカーンさんから早期警戒機について興味あるかというお話がございまして、それにつきまして私の方としては、住友商事さんがおやりになっているのを承知しておりましたのですが、そのときにカーンさんの方からチータムという副社長代理店の問題についての調査に来ておるので、それについてもし興味あるのなら紹介ないし推薦してあげてもよろしいというお話がございました。  そこで、カーンさんとチータムさんがいろいろ、特にカーンさんは非常に戦後から日本へ長く来ておられたというお話で、政財界に顔の広い方と伺っております。そこでカーンさんが、カーンさんとチータムさんといろいろな方にお会いになって、そして本国へお帰りになって代理店変更についてお決めになった、こういうぐあいに承っております。
  23. 松永光

    松永委員 いまの証言、これは予算委員会の際に詳しく述べていらっしゃるので、よくわかっておるのですし、また詳しいことは結構なんです。  問題は、日商岩井グラマン・インターナショナル社との間の代理店契約締結するに当たって、政治家が関与したのかどうか、政治家関係者が関与したのかどうか、その点だけについて簡潔に答えてください。
  24. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  日商岩井といたしましては、私どもの方から代理店変更について政治家にお願いしたという事実は記憶しておりません。
  25. 松永光

    松永委員 終わります。
  26. 永田亮一

  27. 石井一

    石井委員 両証人、本日は御苦労さんです。  そこで、まず日高証人にお伺いをいたしたいと思います。  代理店変更経過につきまして、突然一通の通知が舞い込んできて、これによってアグリーメントがターミーネートされた。これは一体納得がいったのかどうか。ごく自然に受けとめたのか。あるいはそこに何らかの政治的圧力なりあるいは陰謀なり、そういうふうなものをお感じになったのか。核心に触れる問題でございますが、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  28. 日高一男

    日高証人 お答え申し上げます。  グラマン社から一方的に突然通知が参りました。それで、私たちは、なぜそういうものがグラマンから参ったかということは理解できませんでした。  以上でございます。
  29. 石井一

    石井委員 納得ができないということは——どうぞおかけください。何か一迫の奇妙な動きがその裏にあったのではなかろうか、あるいは商社ベース以外の大きな圧力なりそういうふうな力が作用してそういうふうになった、そういうふうにそのときお感じになりましたか。
  30. 日高一男

    日高証人 私たちは、グラマン社がどうして私たち住友商事を切ったのかということ以外には考えておりませんでした。そういう後ろでいろいろなことがあったというようなことは全然感じませんでした。
  31. 石井一

    石井委員 しかし、本来ならば、三十八年から四十二年まで契約をされておった。その間実績は上がっておらない。しかしながら、グラマン社住友の本社との総代理店契約、それからその次に品種別契約というふうに変わってきたりしておりますから、その時点でやはり単年度契約かどうかということもお伺いしたいのでありますけれども、やはりこれは国際商慣習という面から見ると、やや少し唐突であり、不思議な事件が起こった、私たちはそういうふうに見るのでございますが、この点、もう少しわれわれにわかるように御答弁いただけぬでしょうか。
  32. 日高一男

    日高証人 住友商事グラマン・インターナショナルが結んでおりました契約書は総代理店契約でございまして、グラマン社の全製品を取り扱うことになっております。それで、昭和四十四年の八月十五日に契約が切れたのでありますが、その後の契約の内容につきましては、私は存じません。
  33. 石井一

    石井委員 私たちが仄聞しておりますのでは、御社は非常に大名商売をされまして、余り細かいところに積極的に手出しをされない。海部さんの方は非常に積極的に航空機の部門を広げておられる。過去に対する実績あるいは経験、そういうふうなものもある。そういう中から、いまの御答弁ではちょっと納得がしかねるのですけれども、やはり自分たちの努力が不足であったとか、あるいはこの時点でかえられるのもいたし方がなかった、まああなたのきょうの上申書にも敗者兵を語らずというふうな言葉がございますけれども、そういうふうな反省と申しますか、過去に対する回顧と申しますか、そういうものはございませんですか。
  34. 日高一男

    日高証人 非常にむずかしい御質問でございまして何なんですが、私自身はいま振り返ってみますと、その当時私を初め住友商事に力がなかったものだ、こういうふうに思います。この点申しわけありませんが、会社に対しましては。
  35. 石井一

    石井委員 商社変更代理店変更に関しましては先ほど松永委員から海部証人にお伺いしましたが、住友のサイドとしては政治家介入はなかった、このようにお考えですか。
  36. 日高一男

    日高証人 全然ございません。
  37. 石井一

    石井委員 あなたは商社マントップを歩んでおられた方だと思うのですが、一体なぜ住友商事をやめられたのですか。
  38. 日高一男

    日高証人 私は、住友商事在職中に日本ミネチュアベアリング株式会社社長高橋高見さんから強いお招きを受けまして、自分の意志で住友商事を退職いたしました。
  39. 石井一

    石井委員 たとえば、今回の代理店変更という問題があなたに対して心理的に非常に大きな影響を与えた、こういうことも想像されるのでございますが、この点はいかがですか。
  40. 日高一男

    日高証人 代理店でなくなったことは非常に残念でありました。しかし、それが私が住友商事を退職した理由ではありません。
  41. 石井一

    石井委員 商社航空機トップに立っておられて、政治家だとか防衛庁関係者等に対しましていろいろ接触を持たなければいかぬ。あなた、非常に勤勉、誠実な方のようですが、そういう問題に対して多少いや気が差したとか、そういう感じをお持ちになったようなことはありませんか。
  42. 日高一男

    日高証人 ちょっとよく、なかなかむずかしい質問で答えにくいんでございますが、どういう感じを持ったということですか。
  43. 石井一

    石井委員 結局、官庁関係筋に対しましていろいろの説得をし、工作をしなければいかぬ。どうも自分としてそういう立場に立ってうまくいくんだろうかというふうな一種の不安感焦燥感あるいはいや気、こういうようなものをお感じに、四十四年前後にそういうことはありませんですか。
  44. 日高一男

    日高証人 感じませんでした。
  45. 石井一

    石井委員 そこで、これまでたびたびこれは海部証人に聞かれておる質問でございますが、例の日商岩井カーン氏との間の密契約、あなたは密契約と言わずに成功報酬だ、こういうふうに言っておられるわけでございますけれども、これの手数料の四〇%、これは非常に大きな金額である、こういうふうに指摘されておるわけでございますが、あなたはそのときのいきさつから、そうでない、これは当然お礼のしるしとして考えるべき額であるというふうにお答えになっておるわけですが、商慣行としては、あなたの方は人件費を使い、あらゆる資金を使いし、向こうの方は一片の紙によって四〇%、しかもいつまでいくかわからない、成功すればするほど大きくなる、これは商社常識としてはちょっと無理があるような感じがするのでございます。私はクロスエグザミネーションするつもりはございませんが、日高さん、こういう契約住友航空機部長として成り立つというふうにお考えですか、どうですか。そのコメントをお伺いしたい。
  46. 日高一男

    日高証人 四〇%というようなものは私の常識では考えられません。
  47. 石井一

    石井委員 海部証人、これは常識的にはややちょっと不思議な、不当な、採算の合わぬ、あなたほどシャープな商社マンとしては思い切りのよ過ぎるもの、そこに何らかの疑惑があるのじゃないかというふうに感じられるのですけれども、これがやはり政治家に対する裏金づくりのからくりであったとかなんとかいうふうなことも疑惑を持たれているわけですけれども、これはどうですか。この点についてはあなたの見解を改めてお伺いしておきたいと思う。
  48. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  四〇、六〇という問題は多いように思われますのですが、当時の私の記憶では、もうある程度住友商事さんが非常に何といいますか、売り込みについてのいろいろなPRとかあるいは説明とか、そういうものをしておられますので、しかもわれわれの当時の推測では、いまは非常に機数が減りましたのですが、はっきり言いますと、言葉は非常に悪いのですが、何といいますか、住友さんがおやりになった後非常に簡単にいけるんじゃないか。それで、それほど経費も人件費もかからないんじゃないか、そういうぐあいに思ったわけでございます。それで初めあんまりはっきりした記憶がないのですが、たしか五〇%、半分よこせ、こういうようなお話があったと思うのですが、それは余りに多過ぎるんじゃないかということで、これを六、四に分けた、こういういきさつがあったと記憶しております。  それから、これは飛行機とほかの商品との差がございますのですが、五〇、五〇に分けるというようなこと、そういうことは間々大きなプロジェクトの場合に例がございますので、特に、五〇は多過ぎるけれども、私どもとしては四〇で値切った、こういうぐあいに了解しております。
  49. 石井一

    石井委員 いま日高証人から商取引慣習としては考えられない額である。しかし、あなたは非常に安易といいますか、すぐに商取引が成立するというふうな考え方でそうされた、こういうことなんでございますが、私は東京在住商社の面々と会って話をしておりますと、カーンという人は悪の権化みたいに言われておる一面もございますが、またある意味では非常に常識のある温厚な人だという評価もあります。  それで、これは非常にうがった考え方ですけれども、実際にカーンに支払うという意思があなたの方にあったのかどうか、あるいはそれは一つのあくまでも契約上そういう形をとるという必要があったのではなかろうか、こういう疑問が出てくるのですが、この点について何かお考えがございますか。
  50. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  そういうようなことはございません。カーンさんはなかなかりっぱな、ともかく私が学校を出て就職するころから、もうすでに日本でいろいろ活躍されていた方と承っております。
  51. 石井一

    石井委員 それでは最後に、実は当委員会における証言の中で一点明快に食い違っておるところがございます。松野防衛庁長官は、例の五億円でございますが、五億円はE2Cには関係がない。本日はE2Cの問題を論議しておるのでございますけれども、時期も同時期でございます。政治家を育てるための政治資金である、こういう証言がございます。それに相反しまして法務省刑事局長は、これはF4Eファントム売り込み成功報酬である。これは非常に明快に証言が食い違っておるわけでございますが、あなたはその間に入っておりました当事者として、両者の食い違いの証言というものに対してどういう御見解をお持ちですか。
  52. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  高畑さんがどういう言葉をお使いになったか、私は承知しておりませんのですが、F4ファントムを推しておりましたわれわれとしましては、これはいろいろなつまり政治活動にお入り用な費用に対するお礼、こういうぐあいに了解しております。このファントムという戦闘機は、われわれとしましては世界一の優秀な自由圏戦闘機であったと思っておりますが、また、防衛庁専門家、パイロットその他でこれが最も日本防衛に適したものである、それでお決めになったわけでございますが、ひっくり返るとか、あるいは邪魔が入るとか、そういうようなことがないように、松野頼三氏の政治家としての影響力ないし御支援を期待した次第でございます。
  53. 石井一

    石井委員 私はこれで終わりますが、商社代理店変更経過等について政治的な介入というものがなかったということがはっきりいたしました。退社の理由等につきましても一応明快な答弁をいただき、本当にありがとうございました。これは十年前の問題でございます。高度経済成長の非常に激しい時期ですし、いまと感覚も違った時期である。われわれ、商社役割りというものに対してもある程度の評価はいたしております。ただ、今日この時点で国民なり庶民感情に対する影響というものを考えた場合に、きょうもかなりはっきりした証言をいただいたわけでございますけれども大変御苦労が多いと思いますけれども、問題は問題としてひとつはっきりいたしていただきたいと思います。
  54. 永田亮一

  55. 増田甲子七

    増田委員 証人に伺いますが、まずもって私は増田甲子七でございます。証人と面識は本日が初めてである、こういうことについてあなたはいかがお考えでございますか。お答え願いたい。
  56. 永田亮一

    永田委員長 どちらの証人ですか。
  57. 増田甲子七

  58. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  増田先生にはたしか一遍だけ社長のお供をして防衛庁に、ファントムが決まりましたときに表敬訪問にお邪魔したことがあると思います。それだけでございます。
  59. 増田甲子七

    増田委員 それは意外なことを聞きます。私は防衛産業は、防衛庁長官ないし事務次官、政務次官、秘書官室へは出入りしては困る、装備局長とか、幕僚監部の装備関係の人は別であるけれども、こちらへ来ては困ると言って一切面会を謝絶しております。あなたから表敬訪問を受けておるならばあなたの顔を知っているはずですが、あなたはこのごろつとに有名になりましたから、すなわち新聞、ラジオ等で顔は存じておりますけれども、肉体をもったあなたに面会するのはきょうが初めてでございます。そういううそを言っては困ります。きょうは重要なる証言の場所でございます。表敬訪問等は一切受けておりません。お答え願いたい。
  60. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  確かに私の記憶では、社長のお供をして防衛庁お礼に伺ったという記憶がございます。
  61. 増田甲子七

    増田委員 それは大問題でございまして、第一、社長という人はどういう人なんでございますか、聞きたい。
  62. 海部八郎

    海部証人 当時社長をしておりました西川でございます。
  63. 増田甲子七

    増田委員 西川という人も存じませんし、あなたとも面識はないんです。そんなうそを言ってもらうと偽証罪になりますよ。正確に答えてください。
  64. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  確かに私、社長のお供をしましてお訪ねしたような記憶がございます。
  65. 増田甲子七

    増田委員 そういううそを言われると、いまあなたは偽証罪で訴えられておりませんが、追加偽証罪になります。私はエージェントがだれであるかなんということは存じないで、F4Eがいいという報告が昭和四十三年の九月に第三次調査団の結果ございました。その結果決めたのであって、エージェントがだれであるかなんということは眼中にないのです。その人からどうして表敬訪問されるのでしょうか。理由がないじゃないですか。お答え願いたい。
  66. 海部八郎

    海部証人 確かに二人で参りまして、名刺を置いて表敬訪問したと思っております。
  67. 増田甲子七

    増田委員 その次に移りますけれども、あなたはうそをついております。それから日商岩井社長がどなたであるかは私は存じませんし、当時海部君なる者の存在は恐らくなかったでしょう。私は見た覚えも聞いた覚えも当時はないのです。しかしながら、押し問答でございますからやめておきますが、重大なる問題でございますからもう一つ、後で考えて、後刻でもいいから、質問の終わった後でいいから考え直していただきたい。防衛産業に対しては一切面会を謝絶しております。(笑声)笑う必要はない、本当のことですから。  それから、私の関心事はメーカーでございまして、メーカーがだれであるかということが問題なのであって、エージェントがだれであるなどということは、当時はFMSもあるし、政府間貿易もございまするし、いろいろいたしまして、とんちゃくしたことはございません。あなたから表敬、お礼を受ける、とんでもないことです。そこで海部メモというものがいろいろ流布されることになるわけでございます。  そこで、あなたは御存じかどうか知りませんが、私の防衛庁在任期間はいつからいつであったか、御存じであったら答えてください。
  68. 海部八郎

    海部証人 いまいつからいつであったか正確に記憶しておりません。
  69. 増田甲子七

    増田委員 あなたが支離滅裂なことをおっしゃっているのは、昭和四十三年十一月一日に決定したものであって、昭和四十三年十一月三十日に私は退任しておりますよ。その間に表敬訪問などということは、私の主義主張として、私の哲学としてそういうことはないのです、エージェントから表敬訪問を受けるなどということは。そういううそをついては、物事すべて世の中をいろいろごたごたさせている原因にあなたがなっているということを反省してください。どうですか。
  70. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  今回のいろいろな件につきましては、世間をお騒がせしたことはまことに申しわけなく思っております。深く反省しております。
  71. 増田甲子七

    増田委員 私の在任期間は昭和四十一年十二月三日から昭和四十三年十一月三十日でございます。いわゆる長期間のレコードホルダーと言われております。その間F4Eも決定いたしましたし、TXもCXも決めたわけです。だけれども防衛産業の者には私は会っておりません。明確にこの際いたしておきます。防衛庁全体を調べてみてもわかるのです。あなた防衛庁に来られたのですか。それとも何か経団連あたりの防衛生産委員会なんかで会ったとおっしゃるのですか。どっちですか。
  72. 海部八郎

    海部証人 たしか防衛庁へお伺いしたと思っております。
  73. 増田甲子七

    増田委員 そんなことを言えば、当時の秘書官もおりまするし、私は正確にやるために政務秘書官もつくらなかったのです。当時の佐藤さんは、昭和三十三年のグラマン、ロッキードみたいなごたごたは困る、増田甲子七の人格と識見によって正確に防衛産業をやって、快刀乱麻を断ってくれ、こう言われて私は赴任したものでございます。あなた方に表敬訪問なんかを受ける立場ではないのです。そういうことについてもう少し考えてください。猛反省を促します。  それからその次に、関連事項ですから申し上げますが、私は昭和四十一年十二月三日に赴任したわけでございますが、昭和四十年に海部メモというのが、第一のメモが出ておりますね。これは刑事局の言うところによると、内容は全部うそだということになっておりますが、いかがお考えですか。
  74. 海部八郎

    海部証人 御返答申し上げます。  この件につきましては刑事訴追を受けておりますので、きょう、できますれば発言は差し控えさせていただきたい。
  75. 増田甲子七

    増田委員 委員長、注意を促してください。私にさえ聞こえないような発言は困ります。全委員各位に聞こえる声で発言してもらうように、委員長、注意してください。
  76. 永田亮一

    永田委員長 証人にはもう少し大きな声で御発言を願います。
  77. 増田甲子七

    増田委員 いま言ったことをもう一遍繰り返していただきたい。
  78. 海部八郎

    海部証人 いま増田先生の御質問に対しましては、ただいま刑事被告として訴追を受けて、さらに懲罰を招くおそれもございますので、ひとつきょうは返答を差し控えさせていただきたい。お願いいたします。
  79. 増田甲子七

    増田委員 あなたが刑事訴追を受けているのは、二百三十八万ドルの問題の偽証と外国為替管理法違反ですよ。このことは別に訴追の対象になっておりません。あなたは何ゆえに答弁を拒むのですか。
  80. 海部八郎

    海部証人 確かに起訴状に入っております。
  81. 増田甲子七

    増田委員 偽証罪として掲げられていることは、二百三十八万ドルのことなんですよ。この第一メモ関係ないということを刑事局長がここで明瞭に検察庁の方針として私どもに答えております。全委員に対して。そういうことについてやたらに証言を拒むということは、やはり議院を尊重しないゆえんである、言いかえれば悔辱していることであると私は考えます。いかがですか。
  82. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  ちょっと委員長、起訴状のコピーを、お許しを得れば見させていただきたい。——お答え申し上げます。五月十五日の起訴状に「被告人自らが作成した一九六五年七月二四日付川崎重工業砂野社長宛の次期戦闘機に関する書簡及び昭和四一年三月一八日付経理部長宛の外国銀行への送金依頼書各一通の写」、これが偽証で追起訴されております。
  83. 増田甲子七

    増田委員 中身が本当であるかどうであるかということまで偽証罪の対象になっておりませんから、答えていただきたい。
  84. 海部八郎

    海部証人 いまの「作成した」ということが偽証罪で問われておるわけでございますから、その「作成した」ということでございますから、もちろん内容につきましても問われているのじゃないか、私は法律専門家じゃないのでわかりませんが、そういうふうに思っております。
  85. 増田甲子七

    増田委員 あなたは検事を兼ねておるわけでもなければ裁判官を兼ねておるわけでもないのですよ。第一、先ほどの上申書というものは不届きな上申書です。もう少し真実にのっとって答えるという宣誓書のとおりやってください。
  86. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  どうもまことに申しわけないのですが、作成したことについて問われているわけでございますので、当然内容についても問われているわけでございますから……。
  87. 増田甲子七

    増田委員 あなたがつべこべ言われて逃げられるから私はそれ以上追及いたしませんが、岸さんに二万ドルのイニシエーションフィーを払ったとかでたらめなことを書いては私は困ると思います。本人も大変怒っておりますということを申し添えておきます。ことにここに書いてある、メーカーのことは私は非常に勉強しておるのです。砂野仁殿と前にはあったようですが、今度は砂野社長殿というふうになっておりますけれども海部拝、拝啓こう書いておりますけれども、あなたのところで五〇、五〇でつくることになった、そんなことはありません、日本航空機産業というものは。私は昭和四十三年十一月でもう防衛庁とは関係を断っておりますし、その後勉強はしておりませんけれども日本航空機のメインというものは三菱重工業と決まっておるのです。それだけの能力もありますし、川重、富士重等はサブとして仕事しております。なぜ五〇、五〇の仕事をするなんてこういうでたらめをお書きなんですか。
  88. 海部八郎

    海部証人 お答え申します。  この内容につきましては、やはり公判に差し支えますので差し控えさせていただきたいと思います。
  89. 増田甲子七

    増田委員 それから、その次に聞きますけれども、福田赳夫氏からこれは名誉棄損で訴えられておりますが、福田赳夫氏並びに松野氏に支払いをしてくれるようにという経理部長あてのものは実際はどうなんですか。
  90. 海部八郎

    海部証人 申しわけありませんが、これにつきましても取り調べを受けておりますのでちょっと差し控えたいと思います。お願いしているわけでございます。
  91. 増田甲子七

    増田委員 まだ告発を受けただけで起訴になっているわけでも何でもないのですよ。そういうことをあなたは刑事事件と言うのですか。あなたは刑事訴訟法も何も御存じないのですね。
  92. 海部八郎

    海部証人 この内容につきましては、私は、刑事訴訟法も法学部を出ておりませんので詳しくわかりませんが、訴追を受けております。
  93. 増田甲子七

    増田委員 訴追は受けちゃいないのです、まだ検事起訴はないのですから。すなわち被害者の福田赳夫氏が告発をしただけなんです。それに対してあなたはどういうお考えでこういうでたらめなメモを書いたかというその心証を聞きたいのです。
  94. 海部八郎

    海部証人 いまの話は混同しておりました。これは私自身に、そのメモについていま申し上げましたように起訴されております。
  95. 増田甲子七

    増田委員 この海部メモ自身については福田赳夫氏が名誉棄損の訴えをしただけで、私は起訴されているとは思っておりません。それをあなたは起訴されていると、まるで検事みたいなことをおっしゃるけれども、検事の方はこちらは十分調べてあるのです。そんなでたらめなことを言っては困ります。
  96. 海部八郎

    海部証人 お答え申します。  いろいろ混同しておりますのでわかりませんが、私のメモにつきましては、いまお読みしたように起訴されております。
  97. 増田甲子七

    増田委員 内容としてスイスの銀行とそれからドレスナーバンクへ千二百万円払い方願いますということを経理部長にあなたが書いてある。この内容はどうなんですか、真実ですか、うそですか。
  98. 海部八郎

    海部証人 お答え申します。  この内容につきましては、確かにそういう送金の事実はございます。
  99. 増田甲子七

    増田委員 これは、別に起訴してはおりませんが、刑事局長が内容については全然うそであるという答弁をここでしております。また、理事会においてもしておりますが、内容について確かにそういう事実があったとあなたはおっしゃるのですか。
  100. 海部八郎

    海部証人 確かにそういう事実がございましたことを検察官にも申し上げてございます。
  101. 増田甲子七

    増田委員 これは、別に海部第二メモも第一メモも起訴の対象にはなっておりませんよ、繰り返して申しますが。やはりこういうところへ来て、国会は広範なる調査権を持っておりますから、あなたは知っている限りのことをおっしゃらなくちゃいけないのであって、スイス銀行あるいはドレスナーバンクに払い込んだという事実はないということを刑事局長は明瞭に言っております。刑事局長は地検の捜査部長の報告を受けて言ったことと思います。それをいまあなたが蒸し返すということは、検察庁でうそを言ったかここでうそを言ったかという問題にひっかかってきまして、新たなる犯罪事実がここに発生することになりますが、どうなんですか。
  102. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  確かにこのドレスナー銀行、スイス銀行、これに送金した事実はございます。
  103. 増田甲子七

    増田委員 相手は松野、福田両氏に贈る意味であるとここに書いてありますが、それは事実でございますか。
  104. 海部八郎

    海部証人 それについては御回答申し上げます。  これは、中村長芳氏からの伝言のそのままをメモして経理部長に出したものでございます。
  105. 増田甲子七

    増田委員 中村長芳氏といえば岸さんの秘書ということを新聞で伺っておりますけれども、それが頼めばすぐ松野と福田に贈るのですか。あなたはそんな短絡する考えを持っていらっしゃるのですか。
  106. 海部八郎

    海部証人 増田先生に御回答を申し上げますが、そういう短絡したことではございません。
  107. 増田甲子七

    増田委員 しからばどういうことでございますか。
  108. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは記憶がいまはっきりしておりませんが、ただ電話でそういう依頼があったのでそのままメモしたと記憶しております。
  109. 増田甲子七

    増田委員 福田赳夫氏その他は非常に怒っているということをあなたに申し上げておきます。そのようなことを、やたらに人の名誉を棄損するようなことを書くものじゃない。だから名誉棄損で訴えられておるのです。  これは第三のメモです。昭和五十四年五月の下旬に同僚の大出俊君からこの委員会に提出されたメモでございますが、内容は海原氏に関することですが、いろいろ知ったかぶりのことを書いてありますけれども、これでファントムに対する人事はでき上がりました——この前私が言ったことはあなたもテレビ等で御存じでございましょうが、海原防衛庁官房長というのは相当できる男でして、だから国防会議の事務局長に据えて、将来はアメリカのような国家安全保障会議の事務局長にするつもりであったのでございます。ですから栄転させたのであって、ここに何か海原追っ払いどうこうというようなつまらぬことを書くものではないということをあなたに強く申し上げておきます。これに対して御意見はどうなんですか。
  110. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これはたしか西川社長に対する報告書の……(増田委員「大きい声で願います」と呼ぶ)西川社長に対する報告書のことだと思いますが、その当時そういうことをいろいろ言われておりましたので、これを多少オーバーに社長に報告したものでございます。
  111. 増田甲子七

    増田委員 オーバーではないです。大体この前もお話ししたとおり、あなたもテレビでお聞きでしょう。海原君は有能な人でありますが、私と海原君との間で航空機の話をしたことはないのですよ。私の見識によって、大臣というものは局長を異動できますから、したわけでございます。それをここに何と書いてあるか。「松野頼三、岸先生、増田、」呼び捨てだ、全く。「田中六助の合作劇」である。これはどういうことなんですか。一局長を移転するのにこんな合作劇を演じなくちゃならぬというのはどういうことなんですか、あなたは。どういう意味でございますか。
  112. 海部八郎

    海部証人 この事例については、確かにいろいろな問題につきましては……(増田委員「聞こえないような発言をしては困ります。委員長、注意してください」と呼ぶ)
  113. 永田亮一

    永田委員長 証人は大きな声で御発言を願います。
  114. 海部八郎

    海部証人 いろいろそこに書かれておりますが、いまお話の出た方々は、松野先生を除いては全部これはオーバーか、あるいは社内の文書でございますので多少オーバーぎみに書いてございますが、関係ございません。
  115. 増田甲子七

    増田委員 海部さんは初めて面識があるのですけれども、私はあなたの人格に対してちょっと疑義なきを得ないのです。オーバーということは事実があってそれをオーバーに表現するということなんですよ。事実もなにもないものをオーバーだとかあるいは社内の気風によってそう書いたのだとか、とんでもない。名誉棄損で田中六助君はあなたを訴えております。私もおっつけそうするつもりでございます。  松野さん以外はおかしいと——松野自身が私にそんな話をしたことはないのですから。そんなことを言って、あなたはまるっきり推理小説みたいなことを書いて人に迷惑をかけるものではない。今日反省しておりますかどうですか、それを伺いたい。
  116. 海部八郎

    海部証人 もう大分昔のことでございますし、私としても強く反省しております。
  117. 増田甲子七

    増田委員 要するに全然うそだということを、いまあなたの発言が証明したわけです。  それから次に、有森のことは除きますが、「今回の件に関し松野、六助、増田氏には多少挨拶したいと思います。」これはどういう意味でございますか。
  118. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  これは非常に申し上げにくい言葉でございますが、この件については、西川社長からの指示もなく——私がそういう期待をしたわけでございますが、指示もなく、西川さんもそういうあいさつはおやりになってないということは確認申し上げます。
  119. 増田甲子七

    増田委員 内容は虚偽であることを認めましたね。  それで最初に返りますが、やたらにこんなメモを出して世間を騒がした元凶があなたであったということについて深く反省してもらいたいと思います。  なお、私があなたに面識がなかったことは、あなたを初めてきょう見るのですから。相当強引な男であるという感じをいたしております。それによって迷惑を受けた人も多々ある。福田赳夫氏も増田甲子七も、その他引き合いに出された者はすべて迷惑をこうむっておる。あなたはいまうそであるということを言われたから、それで私は質問を打ち切ります。将来は、こういうようなデマによって商法が成り立つものではない、やはり信義の原則によって世の中は支配されておるものであるということを深く反省してもらえばよろしいと思います。  御苦労でした。
  120. 永田亮一

    永田委員長 これにて、松永君、石井君、増田君の発言は終了いたしました。  坂本恭一君。
  121. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 きょうは両証人とも大変御苦労さまでございました。  主として海部証人にお聞きをすることになろうと思いますので、若干間で日高証人にもお聞きをしたいと思っております。  まず、松野さんと海部証人が知り合い、おつき合いするようになったというのは、いつごろからでございましょうか。
  122. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  正確な日時は覚えておりませんが、たしか昭和四十二年のころだと思っております。
  123. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 四十二年ごろお会いになったということですが、それはどなたかのサゼスチョンとか、どなたかの紹介とか、そういうようなことでお会いになったんでしょうか。
  124. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  これは、亡くなられた高畑誠一さんの御紹介でございます。
  125. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 高畑誠一氏から、松野氏のところに訪ねていけということで行かれたということでございますね。——続けて質問いたします。  その後、もう一度どなたかの紹介をいただいて松野さんのところに行ったという話が出てきているわけですが、田中六助さんあるいは中村長芳さんと一緒に松野氏の御紹介を受けたということがございますか。
  126. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  ございます。
  127. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それはいつごろでございますか。
  128. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  その高畑さんからの御紹介をいただいた後だと、こういうふうに思っております。
  129. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 当初高畑さんの御紹介で行かれたということですから、その後になるとは思うのですが、大体いつごろか御記憶ございませんか。
  130. 海部八郎

    海部証人 お答え申します。  どうもいつごろであったか、その後であることは間違いないのですが、正確には思い出せないのでございます。
  131. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、当初高畑さんからの御紹介といいますか、示唆があって松野さんのところに初めて行かれた、そのときは、どういうことで、何のために行かれたのでございますか。
  132. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  それは、旧鈴木商店と松野先生のお父さんといろいろ関係がございまして、一遍君も会っていた方がよかろうということで御紹介を受けたわけでございます。
  133. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、これからいろいろとおつき合いを願うことになろうから、一度行ってこいという御趣旨に理解してよろしいですか。
  134. 海部八郎

    海部証人 御回答申します。  いえ、これからお世話になるということではなくて、お父さんのお子さんがりっぱな政治家になっておられるというので、一遍お会いしておいた方がよかろう、そういうことでございます。
  135. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その中身が問題だと思うのですが、結局、四十二年ごろですと、松野さんは防衛庁長官をもう退任をされておったと思うのですが、そういうような関係あるいは、当時は佐藤内閣でございますけれども、その四奉行とか五奉行の一人である、そういうようなことから、一遍会っておいた方がいいというようなサゼスチョンがあったんでしょうか。
  136. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  そういうような詳しいお話、当時の佐藤内閣とか、そういうようなお話については私は記憶はございませんです。
  137. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その当時は、いわゆるF4ファントムの導入をめぐってもうすでに皆さん方の方ではいろいろ工作というか活動をやっておられた時期だと思うのですが、それとのかかわり合いというものはなかったんでしょうか。
  138. 海部八郎

    海部証人 お答え申します。  その当時は、御紹介を受けたときはそういうようなあれはなかったと思います。
  139. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 F4ファントムの導入について日商の方で活動を開始されたのはいつからですか。
  140. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  活動を開始しましたのははっきり記憶にないんですが、三十九年ないしは四十年ぐらいから動いたんじゃないかと思います。三十九年ないしは四十年ぐらいから動いたんじゃないかと思っております。記憶は余りはっきりしておりません。
  141. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 代理店契約等を結ばれて、F4Eファントムについても仕事を始められたと思うのですが、私ども三十九年ごろからと理解をしております。いまの御証言で、三十九年か四十年ということですから、そういう時期に始められて四十二年ごろ松野さんにお会いになるというのは、私どもはやはりどうもその問題とのかかわり合いがあるのではないかというふうに考えているわけですが、証人はまさにその責任者でおったわけですから、その辺のことは十分おわかりだと思いますが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  142. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  そのころは高畑さんの御紹介でお目にかかるまではお目にかかったことはございません。
  143. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 いや、私の質問はそういうかかわり合いがあったのかなかったのかということをお聞きしているので、その点について端的にお答えください。
  144. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  三十九年から四十……。松野先生にお目にかかるまで、その間は全然かかわり合いはございません。
  145. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 前のことを聞いているのじゃなく、初めに会ったのが四十二年ごろだとおっしゃるから、そのときにそういうかかわり合い、そういうことを頭に描いて証人松野さんに会ったのではないかとお尋ねをしているんです。その点について端的にお答えください。
  146. 海部八郎

    海部証人 申し上げますが、そういうかかわりがあるからお目にかかった、そういうことではなくて、高畑さんからの紹介でお目にかかった、こういうことでございます。
  147. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 実は先ほど増田委員質問の中にもあったのですが、いわゆる第二海部メモと言われているものですね、これは四十一年の三月十八日付になっているのです。その文書の中に松野という名前が入ってきている。ということは、もうその当時、四十二年より前に松野さんとのかかわり合いが合ったのではないかと私ども考えているのですが、四十二年以降しか会っていないということは間違いありませんか。
  148. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そのとおりでございまして、会っておりません。すべてそのころはいろいろなお願いは中村長芳さんのところへお願いに行っておりましたので、直接のコンタクトはございません。
  149. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、ファントム関係等については四十二年ごろまでは岸事務所の中村長芳氏にいろいろお願い事をしたり、そういうことをしておられたということでございますね。
  150. 海部八郎

    海部証人 ちょっと御回答申し上げます。  誤解があるといけませんのですが、飛行機とかそういう問題ではなくて、一般的なことで中村さんにいろいろお世話になっておりました。
  151. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 政治的な問題その他一般的な問題についてはお世話になっておる。その中にファントムの問題も一つ入っていたということはいかがですか。
  152. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  その段階ではまだ実際に動き出しているあれでもございませんので、あるいはそういう飛行機のこともお願いしたかと思っております。
  153. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 耳はいいつもりですが、なかなか聞こえにくいので、大きな声でぜひ答弁を願いたいと思います。  それと先ほどお尋ねをした松野さんと会った後、中村長芳氏あるいは田中六助氏から御紹介を受けて松野さんにお会いをしたということはございましたね、時期がはっきりいたしませんが。その目的は何だったのでございますか。
  154. 海部八郎

    海部証人 実はその前に高畑さんからの御紹介でお目にかかっておりましたんですが、防衛問題の権威者としていろいろな話を一遍お聞きになるのもよかろうということで、実はその前にもう高畑さんの御紹介でお目にかかっておりましたんですが、顔をつぶすのもどうかということで、また御紹介を受けてお会いした、こういうことでございます。
  155. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その点については松野氏も証人として証言をされたときに、せっかくの御紹介だから初対面のような顔をして紹介を受けたという証言をされておりますが、あなたの方もそれと大体同じようなつもりでお会いになったということのようですね。そうすると、その際は御紹介を受けて、結局防衛問題の権威肴だからそういうような趣旨でお会いになったということで、別段特定の問題、たとえばF4ファントムの問題とかそういうものについてのお話あるいはお願い、陳情、そういうものはなかったんですか。
  156. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  初めてお目にかかりましたときでございますので、御紹介いただいてそういう話はしておりませんと思います。
  157. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 ちょっと別の問題に入りますが、先ほど来御証言があるわけですが、松野氏に約五億円の金を日商から渡しているということはほぼ明確になってきているわけです。その五億円というのが松野さんは当委員会証言では四、五億の金という表現をされています。まあ、お渡しになった方は皆さんの方ですから正確な数字がわかると思いますが、正確には松野さんに総額幾ら渡されておるのですか。
  158. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  約五億円でございます。
  159. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 約五億円という話なんで、正確な数字がおわかりだったらお知らせを願いたいということです。
  160. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いまここに数字は持っておりませんが、四、五億という問題じゃなくて、端数があったかどうかちょっと記憶しておりませんが、約五億と思います。
  161. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その端数があったというのはどうなんですか、もともとドル建てでそういうお約束をしていたということになるのですか。だから端数が出るということですか。
  162. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  ドル建てということではございませんで、大まかに言いまして大体約五億、こういうことでございました。
  163. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 松野さんの証言あるいは法務省刑事局長答弁等から見て、その五億円が四十二年から四十六年の間に渡されているということが言われているわけです。まあ、はっきり御記憶があるかどうかわかりませんが、大体何年に何回ぐらい、そしてその都度の金額が幾らぐらい、それはあなたの方がお渡しになったのだから、これは御記憶があろうと私は思っておるのですが、ぜひ正確に、できるだけ正確に御答弁を願いたいと思います。
  164. 海部八郎

    海部証人 この五億円の処理につきましては、亡くなられた島田常務が処理を担当しておりまして、実際にどういう、いつ——回数は大体十数回というふうに聞いておりますのですが、一回に幾らとか何年に幾らとか、そういうのは私は記憶しておりません。何か年によって何回かあったとかあるいは回数が違う、こういうことは聞いておりますのですが、正確に何年に何回、何月にどのくらい、そういうのは私には記憶ございません。
  165. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その約五億円という金額ですが、これは端数等もある、あるいは四十二年から四十六年、四年ないし五年の間に渡されているわけですが、その五億円という金額を、当初から五億円支払うというような約束なり何なりあったんでしょうか、松野さんとの間に。
  166. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  この五億円につきましては、まず大体収支計算その他しまして、この程度のことは払えるのじゃなかろうかということで、一番先から申し上げますと、まず第一にいろいろ、何と申しますか御支援とかそういうものをいただきますので、それに対して応分のお礼をしなくちゃいかぬということで、詳細については故島田常務と打ち合わせてくださいということを私は申し上げた記憶がございます。  その後島田さんの方から五億というような話が出てまいりましたので、これはとうてい私一存で決められるものではございませんので、社長に報告し、そして社長も、これは金額がちょっと大きいから、とりあえずは半分ぐらいにしておいてということで、社長、財経、その他相談しまして決めたといういきさつでございます。
  167. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 具体的に島田常務と松野さんと話をして、その結果がいまお話のあったようなことになったということだと思いますが、だから、五億円というのは皆さんの方で考えてみて、この程度の金はやむを得ないというか、契約ができれば、成功すればこの程度のものは出せるという収支計算をやられたということですが、それはもともとは日商側で松野さんにそれなりのものをやろうということで五億という話が出てきたのか、あるいは松野さんの方から五億円というような、あるいは五億円という具体的な金額ではないにしても、松野さんの方からそれ相応のいわゆる工作資金というか成功報酬というか、そういうようなものの要求があったのか、どちらでしょうか。
  168. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  この五億円という数字につきましては、これは故島田常務と松野先生との間で打ち合わせされて決めたものではないか。したがって、どちらが先に言われたかどうか、それについては私もはっきりした報告を受けておりません。
  169. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それで、社長あるいは財経本部というんですか、そちらの方と相談した結果、当初は半分ぐらいというようなお話がいまあったのですが、半分と言えば約二億五千万円ということになりますね。その二億五千万円をそれでは松野さんに当座お渡しをするというふうな社内的な了解をとったということですか。
  170. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  それは初めにとりあえず、もう金額も大きいことでございますから非常にむずかしいということで、社内的にとりあえずこの程度の数字にしておこう、そういうような了解に達したというぐあいに記憶しております。
  171. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 四十四年の八月に——これは違いますね、四十三年ですかにF4ファントム導入決定がなされているわけですが、当初皆さん方の方で考えられた約二億五千万円というのは、大体いつごろの時点までに松野さんの方に渡ったということになるんですか。
  172. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いつごろまでに渡ったか、これは先ほど先生に申し上げましたのですが、ちょっと当たってみませんといまここで申し上げられない、正確にその時点までに渡ったかどうかということについては、ちょっといま資料がございませんので、申し上げられないと思います。
  173. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 結局は、五億円渡されているのですから、当初半分云々という話はいまから見ればどうってことは余りないのかもしれませんが、別の方に入っていきます。  結局どちらから要望があったか云々ということは島田三敬氏にお伺いしないとわからないようですけれども、その五億円を、それでは収支決算をした結果五億という金額を出され、それは松野氏に五億円渡すことによって何をしてもらおうと考えて出されたのでしょうか。
  174. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  私どもは、ファントムという戦闘機は自由世界最強の戦闘機であるというふうに信じておりました。これは売り込む方の考えでございまして、お買いになる方は、やはり防衛庁専門家、パイロット、全部われわれよりもはるかに知識を持っておられる方がございますので、日本の国防に最も適したものということでお選びいただいた戦闘機でございます。しかし、もし万一ひっくり返るとかあるいはいろいろな妨害とか邪魔が入る、そういうことでは困るという意味で松野頼三氏の、先生の政治的な影響力ないし支援というものを期待してお願いした、こういうことでございます。
  175. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 政治的な影響力という、かなりプロパーな言葉なんですが、結局防衛庁松野さんの影響力が非常に効き目があるとか、そういうようなことを含めてお考えになったということですか。
  176. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは防衛庁という意味じゃなくて、いろいろな面に、つまり国防とかあるいは防衛の問題の専門家、御自身も今度の第二次大戦中に従軍されている、そういうようなことで防衛庁に対するということだけではなくて、やはりいろいろな、りっぱな政治家としての各方面における影響力とか、そういうものを期待したわけでございます。
  177. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、五億円を渡した趣旨というのは、結局は松野さんのそういういわゆる政治的な影響力をバックアップにF4ファントム導入に向けていろいろな力をおかりをしたということでよろしいわけですか。
  178. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは私、先ほど申し上げましたように、私どもが推しておりましたF4ファントム売り込みについてのお礼でございます。
  179. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それに関連してもう一点だけお聞きしたいのですが、法務省刑事局長答弁の中で、工作費と成功報酬である、その比率は一対三であるという表現で当委員会答弁があったのですが、要するに工作資金、そして導入決定後のいわゆる成功報酬、その比率が、五億ですからそれを四で割って、一が工作資金、三が成功報酬、そういうような答弁があったのですが、海部証人の方ではどういうふうにお考えでございますか。
  180. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  一と三とか、そういう正確に区別するのは非常にむずかしい問題じゃないかと思っております。これは刑事局長さんのお考え、お調べの結果だと思いますが、私どもはそう正確に分けられるものじゃない、まあお礼と、こういうぐあいに思っております。
  181. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 時間的に細かくお聞きできないのですが、結局四十三年に導入決定がなされた。これがもしなされなかったとしたら、それ以降皆さんの方では、やはり約束があったかどうかわかりませんが、当初の五億円というものをその後も引き続きお渡しをしたということになるのでしまうか。
  182. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  もしそのときに導入が決まらなかったらその後も支払いを続けたかどうかという御質問でございますが、そういうことは現実に起こりませんでしたものですから、われわれも考えておりませんでした。
  183. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 五億円をいわゆるF4ファントム関係でお渡しをした。四十四年の八月にE2Cに関係をして代理店変更というのが行われた。それがいわゆるSECの8Kレポートの中で指摘をされて、いまこういう問題になってきておるわけですが、代理店変更があって——その間の経緯については先ほど来御答弁がありましたからお尋ねをしませんが、先ほどもお話があったのですが、大体それと同じ時期に、密約という言葉が使われていますが、カーン氏との間に先ほど来言われている六〇対四〇というような契約が結ばれている。その契約を結んだときに、その契約書作成のときに立ち会ったのはだれだれでございますか。
  184. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  そのカーンさんとの私的な商業契約に立ち会いましたのは私と故島田常務でございます。それとカーンさんでございます。
  185. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 いま三名の名前が出たのですが、もう一人おられたのじゃないでしょうか。三名で間違いありませんか。
  186. 海部八郎

    海部証人 たしかあの契約日本橋の当時の私ども東京支社で行われておると思いますが、そのほかに、あるいはうちの社員が一人アシスタントでおったかどうかわかりませんが、ともかく外国人で来られたのはカーンさんだけだと思っております。カーンさんひとりで来られたというぐあいに思っております。
  187. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その席に川部美智雄氏は同席をしていませんでしたか。
  188. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そのときに、川部美智雄氏はたしか来ておられなかったと思います。(発言する者あり)
  189. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 いま不規則発言があったのですが、一月三十日に記者会見をやっていますね、ことしのですよ。そのときに、川部美智雄氏の名前をあなたは出していませんか。
  190. 海部八郎

    海部証人 もし出しておれば、あるいは私の記憶違いがあるかもしれませんが、たしかそのときにはおられなかったように思っております。
  191. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 一間一答をやったときに川部美智雄という名前が出てきているのでお尋ねをしたのですが、いま現在の御記憶がそうでないということであれば、そのように伺っておきます。  先ほどの五億円の話の続きで、いわゆるE2Cとのかかわりはないという御答弁が先ほどあったのでこれ以上申し上げるつもりはないわけですけれども、四十三年にいわゆるファントムの方の導入が決定した、そして四十四年の八月に、先ほど住友商事の月島証人からもお話がございましたけれども、突然代理店変更があった、それについて8Kレポートでは、どなたかの政府高官のサゼスチョンがあったというようなことが記載をされているわけです。そういうことをいろいろ総合して考えますと、やはりそれなりの工作というか、日商側からの何らかの動きがあったのじゃないかというふうに思うわけです。しかも、導入決定の後、一年後ですから、その一年後にこういうかなり重要な、日商にとっては大変メリットのある、当時あると考えられていた契約締結をできるわけですから、それなりの動きがあったのではないかと思いますが、その点について証人の御記憶はいかがですか。
  192. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いまのグラマンE2Cが——私これはいま日高さんがおられますので名誉を損するようなことは申し上げたくないのですが、チータムさんとカーンさんが来られて、住友さんが長年おやりになっておった——まあこれは非常にむずかしい特殊な飛行機でございますから、売るのは非常にむずかしいことはよくわかっておるのですが、なかなかうまくいかないので代理店変更について実は調査に来ているのだ、それについてカーンさんの紹介で政財界のいろいろな人に会って、それでその意見を聞いて決めるのだ、こういうようなことを仄聞したことがございます。事実、五十四年のたしか一月の八日かあるいは十日ですか、チータムさんとオラムさんが代理店変更についてはいろいろ情報も集め、調査研究の結果、グラマン独自の価値判断に基づいて決定した、こういうぐあいに言われておりますが、私の方もそのように了解しております。
  193. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 E2Cとのかかわりはないという前からの御発言があるようですからこれ以上詰めませんが、私どもはやはりそれ相応のことがあったのではないかといまだに理解をしているわけですが、これ以上この問題については触れないことにいたします。  五億円の支払い方法の関係で、海外で松野氏にお渡ししたというようなことがございますか。
  194. 海部八郎

    海部証人 一部ございます。
  195. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その金額は何回、幾らか御記憶ありますか。
  196. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  たしか一回だけだったと思いますが。金額はいま正確に記憶しておりません。
  197. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 松野氏の証言によりますと、五千ドルずつ二回、一回の旅行の中で五千ドルずつ二回という証言があったのですが、それ以外にはございませんか。
  198. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  何かロンドンで一千ドルとか、パリでわずかの——わずかということはございませんが金額をお渡しした、それからアメリカへ行かれたときにお渡しした、こういうことを記憶しております。
  199. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 最後にもう一点だけお聞きしたいのですが、先ほど増田委員が指摘をされた、前回松野証人のときに大出委員から示したいわゆる第三の海部メモと称するものを海部証人にお示しをしたいのですが、よろしいですか委員長
  200. 永田亮一

    永田委員長 はい。
  201. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 これはもちろんコピーでございますが、これについてあなたは御存じですか。
  202. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは私が書きました社長に対する報告書でございます。
  203. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 これは作成の年月日が入ってないのですが、いつごろつくられたものですか。
  204. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは実は社長あての書類なものですから、どこから出たかわからないのですけれども、多分これは有森君がやめる前のことを——有森君が入社するときに社長の推薦で入りましたものですから、社長に一応こういう話はしておかなくちゃいけないという報告書を出したと思うのです。ですから、正確なあれは覚えておりませんが、大体四十二年の六月か七月か八月か、その間だろうと思っております。
  205. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、これはあなたが作成されたと言う。先ほど若干オーバー云々というような発言があったのですが、中身については、あなたはその当時こういう認識をされてこの報告書を作成をされたということでよろしいですか。
  206. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  この中の——大体当時のいろいろな情報を集めてこういうものをつくった。それで、先ほど増田先生からおしかりを受けましたように、この中には非常にオーバーとかあるいははったりに近いというようなことがございますので、まことに申しわけなく思っております。しかし、当時の情報としてこういうのがあった、事実このとおりにはならなかった点もあるようでございますが、当時私はそういうぐあいに思っております。
  207. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 一応私の方は終わります。
  208. 永田亮一

    永田委員長 横路孝弘君。
  209. 横路孝弘

    ○横路委員 私からお尋ねしますので、簡潔にお答えをいただきたいと思いますが、先ほど増田委員質問に対して証人は、ドレスデン銀行に対する支払い、それからちょっと聞き漏らしたのですが、スイス銀行に対する支払い等は中村長芳氏からのメモに基づいて支払われたという御証言をなさったわけでありますけれども、その経過についてお話しをいただきたいと思います。
  210. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  中村長芳氏からのメモではございませんで、連絡であれしたわけでございますが、スイス銀行の分は、これは全然関係のない船関係の送金でございます。
  211. 横路孝弘

    ○横路委員 つまりあなたの方で支払うようになった経緯はどういう経緯なんですか。
  212. 海部八郎

    海部証人 スイス銀行の分は、これは船関係なので除外いたしまして、この一千万円をドレスデン銀行に送る、この内容につきましては全部検察の取り調べを受けまして御報告申し上げてございますが、これはどういたしますでしょうか……(横路委員「いやいや、お話しください」と呼ぶ)  よろしゅうございますか。
  213. 横路孝弘

    ○横路委員 別に検察の調べを受けた内容でも、それは構わないのです。あなたの文書の作成について問題にされているわけですから、その作成とは関係ないので、たとえば口座の相手がだれであるとか、中村さんとのどんな関係でお金を送ったのかという点は、今回の問題を解明するのに必要なことでございますので、御協力いただきたいと思います。
  214. 海部八郎

    海部証人 わかりました。それではそういう追及を受けないということで了解願って、また懲罰を食うと困りますが、申し上げます。  これは飛行機とか、そういう問題には全然関係のない謝礼でございます。どなたの口座か、そういうものは承知しておりません。先生いまお読みになったここへ送るようにということで、それでお送りしたわけでございます。
  215. 横路孝弘

    ○横路委員 どうもまだはっきりしませんが、おいおい聞いてまいりますが、先ほど来のお話ですと、三十九年に日商が代理店になりまして、三十九年ないし四十年ぐらいからファントム売り込みの工作を始めたということのようでございまして、その中でいま名前の出ました中村長芳さんにいろいろと相談をしてきた、こういうことでございますね。
  216. 海部八郎

    海部証人 いま先生のおっしゃられたとおりでございます。
  217. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、岸元総理とあなたは何回かお目にかかったことがございますか。
  218. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  岸元総理閣下には、中村長芳さんの御紹介でお目にかかりましたし、それからその他、最近はございませんが、あの四十年からその前後は、パーティーその他でお目にかかったことはございます。ごあいさつしたことはございます。
  219. 横路孝弘

    ○横路委員 パーティーそのほかでちょっと顔合わせということじゃなくて、いろいろお願いに行ってお話しをするということもあったのでしょう。
  220. 海部八郎

    海部証人 そのほかに、もちろんいろいろなプロジェクトその他ございますので、中村長芳さんにいろいろ御相談申し上げた、その際に敬意を表したというようなことももちろんございます。
  221. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、昭和四十年、一九六五年の七月にアメリカのサンフランシスコで、ダグラス社の副社長のフォーサイス氏とあなたと、それから岸さんと会ったことがございますね。
  222. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  何年の何月かは正確に記憶しておりませんが、サンフランシスコでお目にかかっことはございます。
  223. 横路孝弘

    ○横路委員 その話の内容はどういう内容でございますか。
  224. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そのときは、マクダネルの副社長が参りまして、時間はどれぐらい、多分二十分ぐらいじゃなかったかと思いますが、このファントムについての、何といいますか、カタログその他で御説明申し上げた、こういうことを記憶しております。
  225. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、ファントムについて説明をしたということは、当然三次防の絡みになるわけですから、大体どのぐらい数として必要であるとか、ファントムの優秀性そのほかについて話をしたのだろうと思うのですけれども、要するに買ってくれ、採用してくれという陳情をしたわけでしょう。
  226. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これはフォーサイスという副社長が参りまして、資料をいろいろ持ってきまして、こういういろいろな戦闘機がある、これはわれわれも非常に興味を持って日本に売りたいと思っているんだ、こういう説明はあったと思います。露骨にこれを買ってくれとか、そういう話はなかったと思います。
  227. 横路孝弘

    ○横路委員 それはしかし、買ってもらいたいからそういう説明をして、あなたもわざわざ日本からアメリカに行かれたわけでしょう。そのときは、どうですか、機数の話なんかも出たのですか。
  228. 海部八郎

    海部証人 機数は何機であったか、大体百機ぐらいじゃないかというぐあいにわれわれは思っておりました。(横路委員「そういう話が出たのですか」と呼ぶ)機数は出たかどうか、ちょっと記憶がございません。
  229. 横路孝弘

    ○横路委員 それに対して岸さんの方からどういう話があったのですか。
  230. 海部八郎

    海部証人 よく記憶しておりませんが、岸元首相はただいろいろな説明を聞かれた。それだけで、別段何も、もちろんこれは通訳つきでございますので、何も言われなかったというぐあいに記憶しております。
  231. 横路孝弘

    ○横路委員 その会合のスタンバイはやっぱり中村さんを通してなさったのですか。つまりこのころはもう中村さんとの交際というものはあったわけでしょう、昭和四十年の中ですから。
  232. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  サンフランシスコには中村さんはおいででなかったと思います。
  233. 横路孝弘

    ○横路委員 会合のスタンバイは東京でされたのじゃないですか。
  234. 海部八郎

    海部証人 東京で会えるようにお願いしたと思っております。
  235. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、あなたは参議院予算委員会証言で、岸さんにも会社として政治献金をしたことがあるという証言をなさっておりますけれども、一体どのぐらいの金額、どのような形でされたのか、もうちょっと詳細に御証言をいただきたいのです。
  236. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  政治献金につきましては、たしか前にも申し上げたと思いますが、これは秘書課で取りまとめまして社長決裁で出すものでございまして、直接私が政治資金にタッチしている、そういうことはございませんので、正確な金額その他については私は承知しておりません。
  237. 横路孝弘

    ○横路委員 ともかく、していることだけは間違いないわけですね。
  238. 海部八郎

    海部証人 御回答いたします。  会社として、たしかしていたと思います。
  239. 横路孝弘

    ○横路委員 それで、あなたのいろいろなメモなんか見ますと、政治家に対するお礼という言葉、支払いという言葉が大変たくさん出てくるわけですね。ですから、このファントム売り込みについては大分たくさんのお金を使われたのじゃないかと思うのです、松野さん以外にも。そこで、岸事務所の中村さん、川部さんなど、このスタッフについて何らかの形で、たとえばコンサルタント契約料でもいいし顧問料でもいい、そういう形で金員の支払いというものはこの間行われたことはないんですか。
  240. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  松野先生にはお支払いしておりますが、それ以外にはお払いしておりません。それから中村さん、川部さんなどにコンサルタント契約とかそういうものはございません。
  241. 横路孝弘

    ○横路委員 しかし、あなたのメモを見ると、そうやって連絡を受けてお金を払うということは、ほかに何らかの形があったにしても、やはりふだんいろいろと相談相手になって相談に乗ってきてもらっているわけでしょう。それに対するお礼というのも込められているんじゃないんですか、たとえば先ほどのドレスデン銀行に対する支払いなんかの中にも、気持ちとしては。違いますか。
  242. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これはいろんな問題に相談に乗っていただいたり、いまは全然ございませんが、当時はしておりましたのですが、コンサルタントとかそういう意味ではなくて、そういうような契約とかそういうものは一切ございません。
  243. 横路孝弘

    ○横路委員 そういうものはなくても、たとえばドレスデン銀行に対する支払いなんかの気持ちの中には、そういうふだんお世話になっているからという気持ちが込められているんじゃないですか。たとえば経理部長あてに対する要請だってそういうことでしょう。社内的にそれで通るわけでしょう。たとえば、これは岸さんに対する支払いだよといえばそれで通るような社内的な了解に当時なっていたんじゃないですか。違いますか。
  244. 海部八郎

    海部証人 これは先ほども申し上げましたように、全然飛行機とは関係ないプロジェクトについて中村さんにお世話になりましたのでお支払いした、こういうことでございます。
  245. 横路孝弘

    ○横路委員 結局、見ていますと、岸事務所がいわばあなたの方で商売をやるときの大変大事な相談相手になっていて、そこからいわば作戦を授かって、たとえば松野さんを紹介してもらうとか、有森さんの証言ですが、たとえば防衛庁の内局や制服にもあなたと一緒に行って話をしたというようなことでございますが、そういういわば前線基地でもないけれども、岸事務所というものは総司令部みたいな役割りを果たしていたんじゃないでしょうか。相当大きな力を持っていたように私たち承るんですが、いかがでしょうか。
  246. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  それは総司令部とかそういうようなあれはございません。それもいろいろなむずかしい問題があった場合にどうしたらいいかと御相談に行った、こういうことでございまして、制服組に私が行って紹介してもらったとかそういうようなことはございません。
  247. 横路孝弘

    ○横路委員 時間もなくなりましたので最後に、先ほど坂本委員の方から示した人事に関するあなたの作成されたメモ、この中に田中六助という名前が出てくるわけです。これを私たち読んでみますと、松野さんとか増田委員になりますと防衛庁の長官という立場があったわけですね。田中六助さんというのは当時何もそういう立場がなかったわけなんで、どうしてこういう名前が出てきて、しかも最後に、あなたの気持ちとしてはあいさつしたいという気持ちがあった、ただ、しかし社長においてはそういうことをなさらなかったようだ、こういうお話だったわけですね。この田中六助さんとの関係というのはどういう関係なんですか。今回の事件にもいろんな形で名前が出てくるわけですが、御説明いただきたいと思います。
  248. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  田中六助先生にはたしか第一回か第二回か、先生が落選しておられましたときにうちの社長が、当時の社長は西川でございますが、何かの用で私がついて行きましたときに宏池会で御紹介を受けた、それが初めでございます。たしか当時は池田総理の何か仕事をしておられた、こういうぐあいに了承しております。
  249. 横路孝弘

    ○横路委員 それだけじゃなくて、このメモの中に名前が登場してきて、あなたは社長にわざわざ報告しているわけでしょう、つまり、それは社長だってその間の事情を全部承知なわけですね。ほかの人たちは一定の立場があるからわかるけれども、そうでなくて、この田中六助氏の名前が出てくるというのはやはり中村長芳さんのような立場でいろいろと相談をしてきた、そのことは社内的にも知っておるから、こういう文書に名前が出てきてもみんな不思議にも思わないで、社長の方も不思議にも思わなかった、こういうことなんでしょうか。あなた、ここでもってお礼をしたいと言っていますね。つまりそういうあいさつをしたいのだということを言うような関係にあったわけでしょう。そう書いても、社長、何にも不思議に思わなかったわけでしょう。その辺の関係をもうちょっと明確に御答弁いただきたい。
  250. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  中村長芳さんを紹介いただいたのは、田中六助先生から紹介をいただいたわけでございます。
  251. 横路孝弘

    ○横路委員 それだけじゃなくて、このメモの中に何で登場することになったのかということを聞いているわけですよ。つまり、その中村さんと同じような相談をいろいろと田中六助さんにしてきて、したがってこれは防衛庁の長官をやった松野さんあるいは増田さんあるいは岸元総理と同じように名前が並んでおって、そして会社の方で不思議に思わないわけでしょう。そういう関係にあったということなんでしょう。だから具体的にどんなようなことを頼んでいろいろおやりになってきたのか、もうちょっと具体的にお答えをいただきたい。
  252. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは田中六助先生が中村長芳さんを紹介していただいたのですから、紹介していただいた方に対してはこれは恩義は忘れてはいけない、そういう意味で書いたわけでございます。
  253. 横路孝弘

    ○横路委員 もうこれで終わりにしますけれども、そうすると田中六助氏に中村長芳氏を紹介してもらった、中村長芳氏が松野氏とつながっていく、さらに中村さんを通して岸元総理にも会う、そういうような流れの中でファントムがうまく成功した、こういう構図になるわけですね。そうすると、その流れのまず出発は田中六助さんのところから始まって、ずっと紹介、紹介されながら、昭和三十九年、昭和四十年から三年がかりで売り込みがうまくいった、こういうことのようですね。つまりこの四十二年七月のメモに田中六助氏が出てくるということは何にも必然性がないわけで、つまり、あなたの方で何かコンサルタントだとか顧問とかやっていれば別ですけれどもね。しかもわざわざお礼をしなければならぬとしてあなた自身が名前を挙げているわけですから。単に中村さんを紹介してもらったということ以上のいろいろな相談をなさってきたというように常識的には受けとめますよね。
  254. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  田中六助先生は、戦闘機の問題については一切相談申し上げておりません。
  255. 横路孝弘

    ○横路委員 ちょっと時間がないので中途半端でございますが、これで終わりにさせていただきたいと思いますが、しかし戦闘機の問題のメモに田中六助氏の名前が突然出てきて、そして防衛庁人事がうまくいった、こういうことなんですから、どうしてもいまのお話、素直に受けとめるわけにはいかぬわけですが、時間が参りましたので終わります。
  256. 永田亮一

    永田委員長 これにて、坂本君、横路君の発言は終了いたしました。  坂井弘一君。
  257. 坂井弘一

    ○坂井委員 主として海部証人にお尋ねいたしますが、簡明にお答えを願いたいと思います。  日商岩井のあなたとハリー・カーン氏との間でE2Cに関しますいわゆる密約、メモランダム、これを作成されたのが一九六九年八月十五日の前後である、こういう証言が私の前回の質問であなたからございました。ここまではよろしいとしまして、このメモランダムの内容については、海部さん、あなたは一々タッチしていないので覚えていない、サインしたこと自体も当時の島田常務から知らされて思い出した、こういう証言でございましたけれども、この証言につきましてはいまの段階では訂正されますか。
  258. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  当時、もう大分昔の十年も前の話でございましたものですから、いろいろな書類その他も多くて記憶が薄れておりましたのですが、確かにこの書類は私がサインした、こういうぐあいに思うようになっております。訂正させていただきます。
  259. 坂井弘一

    ○坂井委員 この八月十五日前後に作成する以前に、あなたはカーン氏と二回ばかりお会いになった。つまり、一回は、一九六九年の五月中旬ニューヨーク。翌月の六月にはカーン氏が東京にやってきた。そこであなたは会った。そして、このメモランダム、密約を交わすことについてかなり入念な打ち合わせがその時点で終わった。御記憶ございますか。
  260. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  ニューヨークでお目にかかった記憶はございます。それから、五月であったか六月であったか、東京で再度会ったということも、いま記憶しておりませんが、あるいはあったかと思います。その間にどういう話をしましたか、ちょっといま思い出せないのでございますが、申しわけありませんが……。
  261. 坂井弘一

    ○坂井委員 つまり、E2Cに関しまして日商岩井グラマン社が正式な代理店契約を結ぶ一九六九年八月十五日以前にすでに密約の打ち合わせばできておった、こういうことになりますね。それをあなたはよく御存じのはずですね。いかがですか。
  262. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そういう密約というようなことではなくて、当然担当者も立ち会っておりますので、これは純然たる私的な契約と申しますか、というぐあいにいまだに私は思っております。
  263. 坂井弘一

    ○坂井委員 密約という言葉にあなたが抵抗を感じられるならば、あえてメモランダム、覚書で結構です。ただ、私が申し上げているのは、正式契約以前に、すでにこのメモランダムの作成についてはあなたとカーン氏との間で合意ができておった、つまり、カーン氏からこのメモランダムの草案があなたの方に送られてきて、あなたのもとでタイプを二通つくって、あなたがサインされてカーン氏に送られた、こういう御記憶、思い出していただけないでしょうか、おありじゃないでしょうか。
  264. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  申しわけございませんが、どうもいまはっきり思い出せない、何分古い話なものですから、どうもやはり思い出せないということでございます。
  265. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、あなたは、やはり予算委員会におきます証言では、このE2Cにつきましてはわりあい簡単に決まる話だ、先ほどもそう。経費も余りかからないというようなことで決めたんだ、こういうことでございました。つまり住友商事さんから日商岩井さんの方に商社変更する、この商社変更からE2Cの売り込みの初期の段階においては、いま申しましたようなわりあい早く決まるであろうという認識でおったということについては、現在も同じでしょうか。
  266. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  まあわれわれも、専門家のうんとおられた住友商事さんが長いことおやりになっておられましたので、いろいろな点について大変御苦労されたんじゃないかと思いますが、したがって、われわれとしましては、言葉は非常に悪いのですが、ウインドフォールという言葉を使うと非常に抵抗があるのですが、あるいは突然おもしろい話が飛び込んだ、こういうぐあいに思っておりまして、大分時間もたっているから、これはわりあい早くやれるのではないか、こういうレポートを私は受けて、そういう認識に立ったわけでございます。
  267. 坂井弘一

    ○坂井委員 では日高証人にちょっとお伺いをしますけれども、当時E2Cにつきまして、それ以前に住友商事さんは、AEW早期警戒機、E2Cを含めまして昭和三十六年から代理店契約をお結びになっていらっしゃる。この代理店変更の当時に、海部証人はいまのような御証言でございますが、E2Cはわりあい簡単に早く決まる、こういうふうな見込み、認識を当時お持ちでしたでしょうか。
  268. 日高一男

    日高証人 お答え申し上げます。  私の記憶では、昭和四十三、四年ごろは、AEWにつきましてはいまだ研究とか開発とかいう段階でございまして、この飛行機を装備するか装備しないか、あるいは国産するか輸入するか、そういうことが検討されておった時代だと思います。
  269. 坂井弘一

    ○坂井委員 そう簡単に、そう近いうちに決まるというようなお考え、見込み、認識ではなかった、こう理解してよろしゅうございますか。
  270. 日高一男

    日高証人 お答えします。  私たちはなかなかむずかしい、こういうふうに考えておりました。
  271. 坂井弘一

    ○坂井委員 では海部証人、伺います。  あなたの社内で「航空機部利益確定に関し」という島田三敬さんがおつくりになった社内文書をあなたは御存じでしょうか。当委員会でも問題になりました。内容の要約といいますか、抜粋したものが手元にございます。表題は「航空機部利益確定に関し」という社内文書です。
  272. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  社内文書で、亡くなられた島田常務がつくられた航空機利益確定という文書でございますか。
  273. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、ちょっと補足的に説明いたしますけれども、島田氏がおつくりになったようでございますが、先ほど出ました五億円の穴埋めのためにどういうようにしてやるか、そういうことを計算したメモ、大体このとおりの穴埋めができたようでございますけれども、最初はファントムの手数料で埋めよう、これは二億五千万、後で申し上げたいと思います。それがそういかなくて、その後RF4E、この分でもって埋め切ったということに関しまして、社内でその見通しについて利益の計算をしたメモです。御存じのはずだと思いますが、いかがですか。
  274. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  この仮払いした金額、それをファントムの手数料及び偵察機、この手数料で補てんしたということは事実でございます。それについてのいまの文書というのは、それはどこあての文書か知りませんですが、たしか三月の末か何かに書かれたのを私は見せられたことがございます。しかし、内容につきましては、島田さんがおつくりになりましたので詳しくは知りませんが、いま先生のおっしゃったように、ファントムの手数料と偵察機の手数料で仮払いの穴埋め、穴埋めと言うと言葉は悪いのですが、補てんしたことは事実でございます。
  275. 坂井弘一

    ○坂井委員 大体そのようでございますが、ちょっと証人に見せてよろしいですか。(資料を示す)その中に二億五千万円、先ほど出ました五億の問題に関連してでしょうけれども、二億五千万ぐらいでどうだというようなことに関連するのでしょうが、二億五千万円の借りた金については、そこにございますそういう方法で返済をいたします。なおそこで問題になってくるのは、その後、先ほど言いましたように、これは当初はF4ファントムで五億つくろう、そうはいかなくて、RF4Eの手数料にまで食い込んだ、しかし五億は支払っても大丈夫なんだという趣旨で、その次に書かれていますことをごらんいただきたいと思いますが、「今後E2Aの四次防の採用、ファントムの追加生産、747の採用があって好成績となる。」つまりこのことは、ファントムの追加生産は四十六年に四十八機実現しました。それからボーイング747についても七機の採用が決定をいたしました。同様に、ここではE2Aとなっておりますけれども、当時の状況ではそうだと思うのですけれども、E2シリーズのE2Cについても同様に、日商岩井航空機部の中枢において、そういう確実な見通しがなされておった、そういうことを立証することになりませんか。つまりその限りにおいては、あなたの先ほどの、代理店変更してもE2Cについては近々採用になるであろうという御証言は正しいと私は思うのです。近くE2Cについても採用されるであろうという見通しをそこに書かれていらっしゃることについて、お認めになるでしょうか。
  276. 海部八郎

    海部証人 お答え申し上げます。  今後発生する分については、四十六年、四十七年の九月で完済する。今後E2Aの四次防の採用、ファントムの追加生産、747の採用があって好成績となる。これはどこへ出した文書か知りませんが、多分に期待感を込めて航空機部も利益が出るというようなことを説明したので、どうももうひとつ、どういう趣旨で亡くなられた島田さんが書かれたのか、理解に苦しむということはないのですが、ちょっとわかりにくいというぐあいに思います。
  277. 坂井弘一

    ○坂井委員 いかがでしょうか。それをごらんになりまして、当時五億の金の支払いについて、例のとおり、米国日商岩井が二百三十八万ドルに関しまして、あの経理の架空操作等まであなたが御指示された、そういうことまでして五億を捻出された。そういう中で、そこの後段で指摘しました部分、E2Cの採用、これも見込まれる、決定するであろう、したがって、好成績が予想されるということがメモの中に書かれているということは何を物語るかということを考えますと、五億の穴埋めのために、将来このE2Cの採用による高収益ということも頭の中には描いておったのだ、こういうことにはなりませんか。
  278. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  この五億円の仮払いの補てんにつきましては、先ほど申し上げましたように、ファントムの手数料と、それから偵察機の手数料で補てんができた、こういうぐあいに思っておりますので、まだどうなるかわからない、故島田さん自体は、E2Aが四次防に採用になるだろうというようなことを言っておりますが、実際このとおりにはならなかったのじゃないかと思いますし、これで補てんするというようなあれはなかったのじゃないかと思います。
  279. 坂井弘一

    ○坂井委員 海部さん、あなたがE2Cがすぐ売れるであろう、そう判断された最大の根拠、それについて伺いたいのですけれども、あなたは前の証言で、このことについて政治家からの示唆を受けていない、先ほどもそうでございました。そういう御答弁でございます。しかし、同時にこうおっしゃっておる。ただし、この飛行機、つまりE2Cは国防上非常に重要であるということは防衛庁筋からも聞いていましたし、近々買っていただけるというふうに思っておりました、こう証言になった。防衛庁筋から聞いた、だれですか。
  280. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  防衛庁筋というのは、何というか、非常にはっきりしないあれなんですが、これは私が直接聞いたのではなくて、防衛庁の方には、これは絶対に国防上要るのだ、そういうような希望があるということは、私どもの方の担当者が聞いて、私にレポートして、そういう認識を持った、こういうぐあいに思っております。
  281. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、チータム氏やカーン氏の売り込み工作の相手、つまり防衛庁筋あるいは政府筋、そういう筋の人たちカーン氏あるいはチータム氏、そういう人たちがかなり深いおつき合いにあるというようなことについては、あなたは相当部分詳しくお知りでありましたか、どうですか。
  282. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  先ほど申し上げましたように、カーンさんはともかく世界的に有名な方でございまして、私どもは、昭和二十二年のころにはすでにいろいろ活躍されておるというふうに承っております。したがって、どういう活動をされたか、そういう話は、チータムさんと同じアメリカ人同士ですから、カーンさんと話し合ってどういうことをお話しになったか、そういう深い内容については私どもは聞かされておりません。
  283. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、松野頼三氏がさきの証言で、四十三、四年ころチータム氏が、これは二回目に松野さんのところに来た。そのときにはグラマンとゼロ戦の話の後、月アポロの話とかあるいはE2Cのカタログを私に見せた、こういう証言、その後三度目に来たときには、E2Cについて非常に積極的な話をしておりました、代理店がどうだこうだとか言っております、私も実は余り深入りはしなかったのです、こういう証言がございます。  そこで、前回私はあなたに対して、代理店契約を、つまり一九六九年八月十五日の契約の前後に、あなたは島田氏、松野氏、それからチータム氏、この四人でお会いになったでしょうと聞いたら、一回会った記憶があるとおっしゃった。このときの話、E2Cの話はどの程度ここで話になったでしょうか。交わされたと思います。
  284. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  チータムさんとそれから松野頼三先生と、それから亡くなられた島田さんと私、この四人で一度お目にかかったことはございます。ただし、チータムさんという方は、グラマン・インターナショナル社長をしておられた方ですが、各国の、NATOとかいろいろなところの政策その他について非常に高踏的な話をするのがお好きな方でございまして、私ははっきり、そのときにゼロ戦の話があったか、アポロの話があったか、E2Cの話があったか、あるいはグラマンのカタログを持ってきて説明したか、そこら辺のところは、あるいはカタログなんかは持ってきてお見せしたんじゃないかとか、そういうような程度の記憶でございます。
  285. 坂井弘一

    ○坂井委員 このE2Cに関しましては、8Kレポートで指摘されました点は、一人の政府高官の示唆により代理店変更、この一人の政府高官についてはおおむねわかっておるけれども、いま氏名は言えない、こういう刑事局長答弁であります。  そこで、この代理店変更は、先ほどのあなたの証言によれば、私の方からお願いしたものではない、こういう趣旨でお答えになったと思います。これは、日商岩井側ないしあなたの主体的な意思ではないけれども、相手方から誘いかけがあったといいますか、少なくとも先方が、E2Cについてあなたの方に代理店変更した方がよろしいという、まあこれはカーン氏の推薦もあるわけですけれども、そこで、ある政府高官がそのような、同じような趣旨であなたに対する助言がございましたか、ないし日商岩井に対する。
  286. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは先ほども申し上げましたように、チータムさんとカーンさんが東京へ来られまして、あちらこちらにコンタクトされて、その結果、グラマン自身のメリットで、判断によって決定された、こういうぐあいに発表されておりますし、私の方もそう思っております。私の方に、このE2Cについて興味あるかというお話がございましたので、われわれとしては、先ほど申し上げましたように、住友さんがおやりになっているのですがその点はどうなのかと言いましたら、いや、これはいま代理店問題を調査中なんでやってきたんだという話でございまして、これは私の方でお願いしたわけじゃなくて、向こうの方がいろいろ調査をして、探して、私の方へ持ってきていただいた、そういうことでございます。
  287. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、E2Cにつきましてちょっと角度を変えてお尋ねしたいと思いますが、海部さん、あなたが一番最初に松野さんにお会いになったのは昭和四十二年のころ、もう少し春ごろとか、三、四月ごろ、大体何月ごろお会いになりましたか。またその場所はどこですか。
  288. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  四十二年の、これは非常に正確には覚えておりませんが、たしか春だったと思います。
  289. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのときに、あなたは二、三百万円の金を持って松野さんにお会いになりましたか。
  290. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは亡くなられた高畑さんから西川社長にそういう指示が参りまして、西川社長の指示でそれは確かにお渡しいたしました。
  291. 坂井弘一

    ○坂井委員 幾らでしょうか。二百万でしょうか三百万でしょうか、及びこの金の趣旨は何でしょうか。
  292. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  たしか三百万であったかと思います。その趣旨は……(「手みやげ」と呼ぶ者あり)いや、たしか選挙にお金も要るだろうか、何か要っただろうかとか、何かたしか選挙という言葉記憶しております。
  293. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなたはF4ファントム売り込みに対してずいぶん御苦労されたようでございます。また、その頼りにされた相手というのは松野さんであった、これは伊藤刑事局長答弁です。つまり、三百万の金を持ってあいさつに行った。まあ選挙で金もお入り用だったでございましょうという話は出たのでしょう、あなたのお答え。このときにも、同じようにF4ファントムのことにつきまして、少なくともあなたの方から陳情あるいは陳情めいたような話をされたと思います、常識的に。いかがでしょう。
  294. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そのころはまだそれほど面識のあるわけではございませんので、ただ高畑さんの指示に基づいて、社長からの命令によってお届けした、それであいさつしてすぐ帰った、こういうことでございます。
  295. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうもはっきりしない。伊藤刑事局長だってこう言っていますよ。海部氏も商売人ですから、黙って顔を合わしただけで帰るわけはないだろう。当時あなたの念頭にあったものはF4である。その話は出ていないわけはないでしょう。また、ファントムの件につきましては、先ほど言いましたように海部氏は松野さんをもっぱら頼りにしていた。これはいずれも刑事局長答弁です。  二、三百万の金を持ってあいさつに行った、これは四十三年の四月ごろ。そのときに海部氏は、航空機の話というものはそのころから陳情の形で出ておったものと思う、あなたの口から。思い出してください。そんな話はあったでしょう。あるいはこの日になくても、その前後にはあったでしょう。
  296. 海部八郎

    海部証人 申し上げます。  そのときは何にもそういう話をせず、ただお届けして帰ったと思います。その前後にそういう話をしたかどうか、いまちょっと申しわけありませんが思い出せません。
  297. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、そのときだろうと思うのですけれども松野さんから五億の要望がなされた、あなたに対して。先ほどあなたは、それは故島田さんから五億云々の話があった。実際は、あなたに対して五億の要請がなされたのじゃありませんか、同じその日でなくても、あるいはその前後であっても。いかがですか。
  298. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  四十二年の春ごろ社長の命令でお届けした、その前後にそういう話は一切ございません。
  299. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、あなたは直接には松野氏から五億云々の話は一切聞いていない。否定されますか。
  300. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  先ほど申し上げましたように、私どもの推しておりましたファントムの一売り込みについてのお礼を当然差し上げなくちゃいけないということで、その際に、今後のこの問題の処理は故島田常務が担当しますので、詳細は島田さんと打ち合わせしていただきたい、こういうぐあいに申し上げてございます。
  301. 坂井弘一

    ○坂井委員 島田さんから五億の話をお聞きになったのはいつですか。
  302. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  島田さんから五億の話を聞きましたのは四十三年の中ごろではないかというふうに記憶しております。
  303. 坂井弘一

    ○坂井委員 四十三年の中ごろにお聞きになって、それで同じころに、当時の西川社長それからあなた——あなたは当然聞かれた。西川社長、それから財経本部の責任者、この四人ですか、それをお知りになったのは。財経本部の責任者は、当時は山村さんですね。
  304. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いま先生のおっしゃるとおりに、これはわれわれ航空磯部だけで一存でできる問題ではございませんので、社長に報告し、財経も交えて相談して取り決めた、こういうことでございます。
  305. 坂井弘一

    ○坂井委員 島田さんが五億の話を松野さんから聞かれたのはどこでお聞きになったのでしょう。島田さんは当時シアトルの事務所長ですね。またあなたがお聞きになったのは四十三年の中ごろとおっしゃいますけれども、島田さんがお帰りになってきたのは四十三年の十月です、航空機部長として。いらっしゃらない。三十五年九月から四十三年の十月までアメリカです。これはどういうことでしょう。
  306. 海部八郎

    海部証人 ただいま御指摘がございましたが、それはないと思いますが、もう帰ってきていると思います。あれの山岡君と混同しておられるのじゃないかと思いますが、航空機部長の。その点一遍確かめさせていただきますが、確かにそういう問題につきましては島田さんが全部担当しておりましたが、あるいはそれは間違いじゃないかというように思いますが、その当時は日本でやっておったはずでございます。
  307. 坂井弘一

    ○坂井委員 いずれにしましても、そこで五億円はF4ファントムに対するお礼だということで、いまの少数の社内の人たちの認識が一致をした。それでいよいよ払いましょう、お渡しをしましょう、こういうことになるわけですね。最初のころ、あなたはこの金の中の最初の部分を松野さんのところに届けられたと思いますけれども、それはいつで、御記憶にある金額、幾らぐらいお届けになったのでしょうか。
  308. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  時期がいつであったか正確には記憶しておりませんが、四十三年であったことは間違いないと思います。  それから、いまの御質問ちょっと忘れましたが……(坂井委員「金額」と呼ぶ)金額につきましては、私は正確に記憶しておりません。と申しますのは、第一回の分を私が持っていったか、島田さんが持っていったか、それについてちょっとはっきりした記憶がないのでございます。
  309. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がございませんのではしょりますが、この五億円の中に松野氏の指図にかかわる人、五億円の中から支払う相手、それは松野氏の指図にかかわる人も含まれているという刑事局長答弁があった。これは海外での受領だろう、これはあなた御存じでしょうか、どなたに対してか。
  310. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  シアトルでとかあるいはワシントンでとかあるいはロンドンとか、そういう話は承知しております。それからフランスとか承知しております。
  311. 坂井弘一

    ○坂井委員 その渡された相手方。
  312. 海部八郎

    海部証人 これは私は後、いろいろ新聞記事でお聞きした点もあり、事実私が知らなかったケースもフランスの場合には一つございます。それからアメリカの場合では、これは松野先生、その個人、その方にお渡しした、こういうふうに思っております。
  313. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参っておりますので、一問だけで終わりますが、海部さん、あなたは昭和四十七年以降松野さんとの間が冷えた、こう言われております。原因は何でしょう。(「けんかしたの」と呼ぶ者あり)
  314. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  別に冷えたとか、けんかしたとか、そういう問題はございません。一度大変御厄介になりましたのですから、そういうようなのはございませんが、これは正直にとっていただくと大変ありがたいのですが、ファントムで大変な苦労をしたわけでございますから、二度とこういうことは私はやりたくないということで、飛行機から徐々に、はっきり申しまして手を引いたわけでございます。私は元来が船舶出身でございまして、そちらの方では自信もあるし、途中で引っ張り出されて大変いやな目にも遭いましたものですから、なるべくもうタッチしない、そういう方針でやってきたわけでございます。
  315. 坂井弘一

    ○坂井委員 最後に一言だけ。  大変いやな感じもする、ぼくはわかるような気がするわけです。あなたは二百三十八万ドル、これは米国日商の架空経理操作で、これはあなたが指図されて、そしてその中の五億の金を捻出させるについてはずいぶん苦労された。そうしてやっとこさの思いで、当初は二億五千万だった、それが五億までこぎつける、そのためにはRF4Eの手数料まで食わなければならぬ、こんな無理な経理操作、この金の捻出方法、いろいろなことをされながら、そしてあなた自身刑事訴追に問われた。いまにしてあなたの率直なお気持ちを伺いたいのですけれども、この種のような裏金をつくって、これはRF4Eの工作のための、またそれを聞いていただいたためのお礼であった、このことをいまにして振り返ってみれば、あなた自身率直にどういう御反省なり感想を持たれるか、端的にお伺いいたしまして終わりたいと思います。
  316. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いま先生がおっしゃった中の一部で、やみ金づくりを私が指揮したというのはちょっとニュアンスが違うので御訂正願いたいのです。  これはそういうぐあいに言われておりますけれども、これは社長それから財経、ことに財経関係のことは操作の方法とかそういうものは私は余り知りませんものですから、やはり指揮は財経から出た、こういうぐあいに私は思っております。どういうふうに理解されるか、これは御自由でございますが、私の方は売る方が専門であったわけでございます。  それからいまの本論に入らせていただきますが、先ほど増田先生からも御注意がありましたように、飛行機、特にファントムにつきまして私の方としましては初めての戦闘機であったわけでございます。その前にロッキードとかグラマンとかいろいろな話も聞いておりましたし、したがってこれについては私は船舶から引き抜かれて、当時はまだ船をやっておったわけですが、もうこういう仕事は余りやりたくない、こういうぐあいに思っております。
  317. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  318. 永田亮一

    永田委員長 これにて坂井君の発言は終了いたしました。  大内啓伍君。
  319. 大内啓伍

    ○大内委員 私は民社党の大内啓伍でございます。両証人におかれましては本当に御苦労さまでございます。  まず日高証人にお尋ねをいたします。  E2Cに関する代理店変更、というよりももっと正確に言えば、住友商事の総代理店変更は、昭和四十四年の七月七日にグラマン社より解約の予告が行われまして、そして八月の十五日に解約がされた、こういうふうに私ども伺っておりますし、その直後に日高証人には、事態の重大性にかんがみまして渡米をされたというふうに承知をいたしておりますが、これは事実でございますか。
  320. 日高一男

    日高証人 お答え申し上げます。  昭和四十三年の七月の中ごろ、グラマン・インターナショナルから住友商事のニューヨークの方に、先ほどお配りしたと思いますが、そういう趣旨の住友商事代理店を解約するという手紙が参りました。そこで、その当時住友商事のニューヨークにおられました稲葉常務から東京の柴山副社長に国際電話がございまして、実はこういう手紙が来たという電話がございました。それで私は柴山副社長から、ニューヨークヘ行って稲葉常務をお手伝いしろ、こういう命令を受けて、直ちに七月の下旬にニューヨークに参りました。そして稲葉常務のお供をしまして、グラマンの問題のミスター・チータムに会ったわけであります。  そのときに私たちが申し上げましたことは、ミスター・チータムに、なぜ住友商事代理店を切るかということを再三理由を尋ねたのでございますが、とにかくミスター・チータムは、住友商事のE2Cに関する代理店は解約する、その理由は言えないということでございました。そこで私たちは、それではどこに行くんだ、住友商事の次には日本のどの会社代理店になるのかということを強く問いただしたのでございますが、それも、何も言えないということで全く取りつく島もなくて、私は出張したのですが、何の役にも立たなかったわけであります。そしてニューヨークの事務所に帰りまして、それから東京の柴山副社長に国際電話を申し上げましたら、それは残念だが仕方がない、御苦労さん、こういうお電話をいただきまして、すぐ私は帰国した次第でございます。  以上が解約されたときの大体の様子でございます。
  321. 大内啓伍

    ○大内委員 そういたしますと、グラマン社変更理由についてはその時点では明確にしなかったのですか。
  322. 日高一男

    日高証人 全然理由は言ってもらえませんでした。
  323. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、住友商事にとってはまさに青天のへきれきだったわけですね。  そして、見高証人はその明くる年の四十五年の三月に退職をされておられますが、これは一部の報道で、責任をとったのではないかというようなうわさもございますが、その辺はいかがですか。
  324. 日高一男

    日高証人 お答え申し上げます。  責任をとったのではありません。住友商事という会社は、私が仮にそういうことで仕事に敗れたからというようなことで会社が責任をとらせるとかやめさせるというような会社では私はないといまでも信じております。  先ほど申し上げましたように、日本ミネチュアベアリングの社長高橋高見さんから来ないかというお誘いがございまして、たまたまそのころ、私は自分の心の片すみにちょっとおもしろくないこともございまして、その高橋さんのお誘いに乗って、そして住友商事では絶対やめるなと何回も再三慰留されたのでございますが、それをあえてやめさせていただきたいと申し上げて私は退職したのでございます。  それで、三月の十二日に退職したのですが、私は予想もしなかったのですが、住友商事から三月十三日付で嘱託の辞令をいただきまして、二年間住友商事からも給料をいただいて嘱託の勤務をいたしておりましたので、私はその責任をとってやめさせられたのではないということはおわかりいただけると思います。
  325. 大内啓伍

    ○大内委員 海部証人にお伺いをいたしますが、かくて昭和四十四年の八月に日商岩井へのE2C代理店変更が実現したわけなんですが、E2Cについてはどのぐらい売り込む方針をお持ちになっていたのですか。
  326. 海部八郎

    海部証人 何機売り込むか、ちょっとその直接の担当でございませんので記憶はないのですが、まあ十四、五機か十八機ぐらい売れるんじゃないか、こういうふうに想像しておりました。
  327. 大内啓伍

    ○大内委員 このGI社のチータム氏は、新聞とのインタビューでこういうようなことを言っておられるのです。ちょっと注意して聞いていただきたいのです。  ハリー・カーン氏と岸信介氏の秘書である川部美智雄両氏のアレンジで岸信介氏、松野頼三民らと何回か会い、E2Cは日商岩井を通じて売り込むのが得策との印象を受けた、これが一つですね。それからもう一つは、最も頻繁に会ったのは、松野頼三氏で、昭和四十八年初めまで少なくとも年二回は松野氏の事務所で会った。三つ目は、そのとき日商岩井海部八郎氏や亡くなられた島田三敬氏ともよく同席した。  先ほど海部証人は一回会ったことがある、こういうふうにたしか証言をされておりましたが、ここでは、よく同席したと、しかもその同席の場所で、松野頼三氏はE2Cの性能などに関心を示し、よく質問した、こういうふうに実はチータム氏が言っておられますが、これは大体事実でございますか。
  328. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  この、代理店として日商岩井がいいんじゃないかというのは、これは先ほど申し上げましたように、チータムさんやカーンさんがいろいろ調査をされた結果、私どもが比較的にこの航空機については興味があって一生懸命やっているということでお選びになったんじゃないかと思います。  それから、チータムさんは年に二回ぐらいお会いになった、こういうぐあいに言っておられますが、あるいはそうであったかもしれませんが、その記憶ございません。ただ、そのときにあるいは私か、あるいは島田か、あるいはまた別のうちの航空機の者が通訳としてついていったということはあると思います。  それから、何遍も会ったと言われますが、この四人、私の記憶が間違いなければ、松野頼三先生、それからチータムさん、それから故島田常務ですね、私と四人で、これはたしか、四人一遍に会ったのは一回じゃなかったか、そういうぐあいに記憶しております。
  329. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、チータム氏、カーン氏、松野頼三氏及び日商関係の皆さんとお会いになった回数は、必ずしも一回ではなくて数回あるわけですか。つまり、いま岸氏を入れた四人とおっしゃいましたが、松野頼三氏を含めたその種の会合は何回かあったわけでございますか。
  330. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  岸元総理と御一緒に会ったということは、私どもはございません。それから、松野頼三先生とは、あるいはチータムと行ったときに会えば、何年かの間に数回くらい会ったんじゃないか。     〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕 これは、私が会ったか島田常務が会ったか、あるいは別の、うちの担当が通訳として行ったか、それは正確に何回ということはちょっと申し上げられない、こういうぐあいに思います。
  331. 大内啓伍

    ○大内委員 そういう会合の中で、E2Cの話も確実に出たわけですね。
  332. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  E2Cの性能とか、新しいいろいろな兵器とか、そういうものについてはチータムさんは説明されたと思います。
  333. 大内啓伍

    ○大内委員 四十四年の八月のE2Cに関する代理店変更に際して、SECの報告では、一人の政府高官が介在していたということが指摘され、実はこのことは、日本法務省当局も認めたわけなんです。海部証人としては、この代理店変更について、日商岩井の方からこうしてくれと言ったようなことはないという先ほどのお話がございましたし、また、政治家に頼んだことはないとおっしゃっておられましたが、しかし、実際にグラマン社の自主的な判断を形成する過程において、チータム氏が来日されて調査されたわけです。そして、複数の政治家と会われた結果、自主的な判断をされたわけですね。そうしますと、日商岩井にまさにたなぼたのように転げ込んできたこの代理店変更に際して、SECが指摘するような政府高官の影響力があった。法務省当局は、一人の政府高官が介在していたということは認められる、こう言っているのですが、私ども調査では、これは複数の政府高官ではないかなと判断しておりますが、その辺はどういうふうにごらんになっていますか。
  334. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  いま先生がおっしゃったのですが、グラマン側が、下に一人か二人の政府高官が絡んでいる、いや関与しているとかいういろいろなお話がございますが、これはあくまでも私の方はお願いしたわけではございませんで、グラマン側がわざわざ社長を送ってきて、いろいろ政財界とコンタクトして調査した結果、アメリカの方でメリットを認めて代理店変更をした、こういうぐあいにチータムさんも新聞で言っておりますし、オラムさんもやはりそういうことを言っております。したがって、これはあくまでも——言葉は言い過ぎになるかもしれませんが、グラマン側の問題でございまして、私の方の問題ではございません。
  335. 大内啓伍

    ○大内委員 端的にお伺いいたしましょうか。E2Cの売り込みについて、松野頼三氏もしくは岸事務所に対して工作を依頼されましたか。
  336. 海部八郎

    海部証人 私としては、そういう工作を依頼した記憶はございませんです。
  337. 大内啓伍

    ○大内委員 しかし、先ほど私はチータム氏のインタビューの内容をちょっと申し上げましたが、それらの政治家を含めて、E2Cについてお話し合いをされておりますね。それ自体は否定されないわけですね。ただ、工作はしていないが、話はしているということですか。
  338. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  このE2Cにつきまして、話はしているが工作はしてない、これはいかにも非常にむずかしい回答を求められていることでございまして、私の方がいろいろ性能とか各国の採用状況その他について御説明したりすることは、これはやはり情報活動の一つとして私の方はやった、こういうぐあいに思っておりますが、特にこうしてくれとか、工作、代理店変更をお願いしたとか、そういうようなあれはないと思います。これは先ほどまで申しましたとおりに、ずっと住友商事さんがやっておられたことでございまして、人様のやっておられるものをとるとか、そういうようなことは、私の方はしておりませんでございます。
  339. 大内啓伍

    ○大内委員 F4Eファントムの工作並びに成功報酬として日商岩井は五億円を支出した、そして先ほどのお話では、E2Cについては、日商岩井としては十五機から十八機くらいかな、売り込みたい方針を持っていた。F4Eファントムについは成功報酬考え、政治工作を考える。そして、E2Cを最高十八機くらい売りたいという方針を持ちながら、一切の工作も、政治家への接触も図らないということは、余りにも非常識ではないんでしょうか。どうしてもわれわれ庶民の感覚としては、そういうことが整合性ある理屈としてちょっとわかりかねますが、いかがでしょう。     〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席
  340. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  先ほどちょっと申し上げましたのですが、もうそういう古い——古いと言うと語弊がございますが、従来あったようなあれは、この飛行機の売り込みは、方針としてやめるということで、私の方はもう絶対にタッチしないということで私は指導してきたと思います。ファントムで大変な苦労と勉強をしたわけでございまして、もう二度とそういうあれにはタッチしまい、そういうのが私の決心だったわけでございます。
  341. 大内啓伍

    ○大内委員 もうちょっと元気を出しなさいよ。これはやはり重要な問題なんです。ですから、本当に国民の前にもっと胸を張って、本当にこの解明のために努力する姿勢がやっぱり欲しいんですよ。元気出しなさいよ。
  342. 海部八郎

    海部証人 それじゃ申し上げます。  私は、診断書を出しておりますように、きのうもおとといも一日寝ておりましたわけでございますから、元気を出せと言われても、非常に疲れております。
  343. 大内啓伍

    ○大内委員 そのような病状にあることについては十分同情いたします。しかし、せっかくおいででございますから、やはり聞くべきことについて聞かなければなりませんし、私が元気を出せと言った意味は、やはり国民の皆さんにできるだけわかるようにはっきり言ってほしいということについて、勇気と元気が欲しいと申し上げたんです。  そこで、先ほど来、その松野頼三氏への五億円の問題について種々議論がございました。そして、その五億円については、松野頼三氏と、亡くなられた島田氏との話し合いに任せたという趣旨のお話がございました。  そこで、私はこの辺は少しはっきりしておきたいのですが、約五億円というこの多額の金額の最終の決定権者は、海部八郎証人あなたではなかったのですか。
  344. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そういうような膨大な金額の決定権は私にはございません。
  345. 大内啓伍

    ○大内委員 松野頼三民は、実はこの五億円については高畑誠一氏の話からだというお話がございましたが、この五億円の決定について高畑氏は関与されましたか。
  346. 海部八郎

    海部証人 亡くなられた高畑さんが関与されたかどうか、これは私の頭越しでやられた話だと思いますので、私はそういう話は聞いておりません、高畑さんから聞いておりませんでした。
  347. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、五億円という金額はだれが決めたのですか。
  348. 海部八郎

    海部証人 これは、どういう話を高畑さんと松野さんの間で話されたか知りませんが、私は、この五億円という話、レポートを聞きました。それで結局、これはこういうような金額でございますから、とうてい私なんかの決められる金額ではございませんので、社長と相談、それに支払いその他については財経も関与して決めたと、こういうことでございます。
  349. 大内啓伍

    ○大内委員 刑事局長のこれまでの国会答弁によりますと、この五億円は、あのマタイ伝を引用されまして、初めに五億円ありきということで、最初から五億円という金額の要望があって、そして出した。これを受け入れたのは海部さんではないのですか。そうすると、これは、われわれ大分思い違いをしておりましたので——そのような膨大な金額は決められる立場にない、いま、社長さんとお話があったとかなんとか、いろんなお話がありましたが、これはどうなんでしょうか、会社の機構とか、この問題を煮詰めるのに非常に重要なポイントなんですが、一体だれが決めたのか、端的にお答えいただけないんでしょうか。いかがでしょう。どなたがお決めになったのでしょうか。決定権者が会社にいるはずですが。そうして、私どもの情報では、やはりその最高責任者は、海部八郎氏の決断がなければ決まらないことだ、こういうふうに理解をしておりましたのですが、これは違うのでしょうか。
  350. 海部八郎

    海部証人 五億円というような金は私の一存で決まるわけではございません。これは、会社の最高責任者というのは社長でございます。
  351. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、この五億円は当時の社長決めた、これに間違いございませんか。  そうしますと、これまで刑事当局が調べてきた、あるいは検察当局が調べてきたこととあるいは相当相違するかもしれないことなんです。これは重要な発言です。念を押しておきます。いかがでしょう。
  352. 海部八郎

    海部証人 五億円というような金額は、これはもう私個人の責任で決められるものではございませんので、やはり社長と相談して、社長の了解を得なければできない、こういうことでございます。したがって、その意味で、皆さんと相談して決めて、やはり社長の了解というか結論を得なければこういうことはできないことでございます。
  353. 大内啓伍

    ○大内委員 それではそれ以上押し問答はやめましょう。  松野頼三氏がこの五億円は要求されましたかされませんでしたか。それについてはどういう報告を聞いておられましたか。
  354. 海部八郎

    海部証人 これは私の報告を聞いております範囲では、まあどちらが先に言い出したか知りませんが、ともかく五億という数字を私のところへ言ってまいりました。
  355. 大内啓伍

    ○大内委員 先ほどもお話が出ておりましたが、昭和四十年の七月二十三日、アメリカのサンフランシスコにおいて海部証人と岸信介氏とフォーサイス・MD副社長、当時でございます、との会談が持たれて、その段階でF4Eファントムの陳情がフォーサイス氏から行われた。なぜ岸氏がこの会談に参加したのですか。先ほど東京でその話を煮詰めたと言っておられましたが、なぜ岸さんとフォーサイスさんを会わせる必要があったのですか。いかがでしょう。
  356. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  なぜ会わせる必要があったという御質問でございますが、これはやはり日本の指導者として著名な方でございますから、世界一の戦闘機についての説明を申し上げるということにつきましては無意味ではない、また認識を持っていただく、こういう意味で会合を持ったと思っております。
  357. 大内啓伍

    ○大内委員 時間が参りましたので、最後に一言だけお伺いをしておきますが、先ほど来海部メモにつきましていろいろな御議論がございました。その海部メモの中で、一部に虚偽の事実、記載があったということについても、法務省当局、検察当局がこれを指摘し、先ほど来の証言海部氏もそれを認められました。  私は、この問題は刑事訴追の対象になっているということから深くは聞きませんが、つまり、つくったかつくらないのか、自分が書いたか書かなかったのかという点についての偽証がございますし、それから、それは内容にかかわるかもしれないのでありますが、ただ一言だけ、国民の皆さんが非常に疑問だと思っておりますのは、なぜそんなうその記載をまぜた海部メモをつくる必要があったのか、ここがどうもよくわからないのです。私どもの推測では、政治工作資金等をやはり捻出する上からそういうことも必要だったのではないか、こういうふうに実は考えられないこともないのでございますが、海部メモをつくられた目的は何だったのか。これは訴追の対象にはならぬと思いますので、その目的だけ何とかひとつ具体的にお答えいただけないでしょうか。
  358. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  海部メモをつくられた目的というのは、やはり送金の依頼でございます。
  359. 大内啓伍

    ○大内委員 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。
  360. 永田亮一

    永田委員長 これにて大内君の発言は終了いたしました。  正森成二君。
  361. 正森成二

    ○正森委員 私から伺いたいと思いますが、法務省の伊藤刑事局長答弁によりますと、松野頼三氏に日商岩井からお金を持っていかれた期間は昭和四十二年の秋から四十六年の終わりまでであります。  そこで、当時、経歴を調べてみますと、あなたは、四十二年の終わりに常務取締役になっておられますから、当時は平取締役のはずであります。そうすると、最終決定権はいま御証言のように社長さんにあったかもしれませんが、昭和五十四年五月三十日、すなわち捜査を全部完了した上で、伊藤刑事局長はこの委員会で私の質問に、五億円という数字を挙げて要望したのは松野さんである、要望を受けた日商側の人物は海部八郎氏である。私がわざわざ島田三敬氏等の人物も同席して要望を受けたのかと聞いたのに対して、伊藤刑事局長海部氏である、こう答えております。したがって、決定をしたのは財経あるいは社長に頼まれたかどうかわかりませんが、その要望を受けたという事実があるのは間違いがないのではありませんか。
  362. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  要望を受けたというのは、私の方へ直接かあるいは間接か、いずれにしても私もその五億という御希望があるということは聞いております。
  363. 正森成二

    ○正森委員 もう少しはっきりさせていただきたいのですが、伊藤刑事局長が言っているのは、要望を受けた席に島田三敬氏その他第三者が同席したかというのに対して、要望を受けたのは海部氏だ、こう言っていますから、何らかのルートを通じて来たのじゃなしに、あなたが直接松野頼三氏から五億円持ってきてくれ、こういうことを聞いたはずであります。よく思い出してください。
  364. 海部八郎

    海部証人 どこで、あるいは電話でお聞きしたかどうか、そういう点についてはいまもう記憶が薄れておりますが、五億円ということは確かに私の記憶にございます。
  365. 正森成二

    ○正森委員 五億円の記憶があるということは、電話であるか何か忘れたが、松野氏から五億円と要望を受けたことは記憶がある、こういう意味ですね。
  366. 海部八郎

    海部証人 松野頼三先生が島田さんに言って、それから私の方へそういうレポートが来たか、その点、私は多分そうだと思いますが、間接的にしろ私のところへ五億という数字が入ってきたことは事実でございます。
  367. 正森成二

    ○正森委員 先ほどの証言とややニュアンスが違って、自分が直接受けた可能性を必ずしも否定されませんでした。  それでは続けて伺いますが、あなたは先ほどの坂本委員等の質問に答えて、収支計算をしてこの程度はいいだろう、御支援をいただいた応分のお礼、こういうことでお出しになったというように承りました。  ところで、F4ファントムが正式に決まりましたのは昭和四十三年の十一月であります。国防会議で決まったのは四十四年の一月であります。ところが、実際の支払いは四十二年の秋、それより一年以上前に支払われておるということになれば、あなたは、松野氏が何を決まるまでにしてくれたからこれは応分のお礼を払わなければならないというように考えたわけですか。
  368. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  私の方から松野先生に四十二年の後半からというのは、四十二年の暮れから春にかけて金額を——失礼しました。春に私か選挙のあれとして持っていった、それが入っておるのでございますが、ファントムについての支払いは四十三年の中ごろからというぐあいに記憶しております。四十二年ではないと思いますが……。一部、いまの三百万というものは入っているかもしれませんが、これは別でございます。
  369. 正森成二

    ○正森委員 詳細にあなたも含めて調べた法務省の伊藤刑事局長が、明白に、四十二年秋から四十六年終わりまで、四十二年の春にあるいは払われたかもしれないが、それは五億円とは別の金である、こういうように明確に本委員会答弁をしております。したがって、四十二年の秋から払われたことは間違いのない事実であります。それはあなたを詳細に数十日にわたって調べた後での証言なんです。ですから、そういうわれわれの質問の前提になる初歩的なことについては、よく記憶を思い出して答えていただきたい。  つまり、売り込みが成功したからお礼が始まったんじゃなしに、売り込みが成功する一年以上前から始まっている。あなたは、何を松野氏がしてくれたからお礼を払わなければならないと思ったのか、よく思い出して答えてください。
  370. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  ちょっとその四十二年、四十三年、私は四十三年と思いますんですが、四十二年には別の、たしか三百万が出ている。それと含めてのお話じゃないかと思いますが、何をしていただいたかと言われると、やはり先ほど申し上げましたように、われわれのファントム売り込みについてのいろいろな面における御支援と、こういうぐあいに了解しております。
  371. 正森成二

    ○正森委員 四十二年秋から五億円が払われたことは松野自身もこの委員会で明白に認めております。したがって、間違いのない事実です。  そこで、F4ファントムにいろいろ御支援いただいたそのお礼だということですが、先ほど同僚委員が第三海部メモということで、あなたの御記憶では四十二年の六、七、八月ごろ自分自身がしたためたものであるという西川社長あてのメモ、これは事実あなたがお書きになったものだと認められました。これを見ますと、「防衛庁最高幹部人事更迭運動遂に成功し海原氏は防衛庁を出て国防会議へ転出、田中空幕副長は管区司令官、牟田空将(幕僚長)は明年八月迄留任と決定し、伊藤忠派課長級に到る迄移動され、ファントムに対する人事はこれにて出来上りました。」これは松野先生等々の合作劇である、最後には、ごあいさつしたいと思う、こういうぐあいになっておりますね。  こういう内容が松野先生にいろいろお世話になり、お礼をしなければならないとあなたが昭和四十二年に、少なくとも主観的には考え理由ではありませんか。
  372. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  人事の問題につきましては、中村長芳さんともいろいろお話ししたところ、やはりファントムにとって好ましくないとか、あるいはファントムについて好ましからざる状態が起こらないような体制、これはどういうことをしたらいいかということで、まあどちらからともなく、これは松野頼三先生にお願いしよう、こういうことになったという記憶がございます。
  373. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、F4ファントム導入について好ましくない事態が、体制、つまり人事についても起こらぬようにしなければならないということで、中村長芳氏と相談して松野頼三先生にお願いしたと思うと、こういうように言われました。  そうすると、世上言われておりますのは、あなたは、昭和四十二年一月十七日付で「岸事務所中村長芳先生侍史 海部八郎」ということで、「空幕長牟田空将早期退職の噂の件」ということで、早くやめてしまうと困るし、後任に田中耕二空幕副長が来ると困るので、少なくとも四十二年夏まで牟田を空幕長にしておいてもらいたい、こういうようなことも中村長芳さんに手紙でも頼んだというように言われておりますが、こういうことも含めて中村氏と相談し、松野さんに頼んだ、こういうことですね。
  374. 海部八郎

    海部証人 いまの出した手紙というのは、ちょっとできましたら拝見させていただきたいのですが、私の名前になっておりますでしょうか。
  375. 正森成二

    ○正森委員 それは巷間言われているので、現物はありませんけれども、そういうように手紙を出したということが広く言われているので申し上げたのです。一つの例として申し上げたのです。
  376. 海部八郎

    海部証人 私は、その手紙を私が書いたかどうか、ちょっと記憶がございませんのですが、まあいろいろな人事——いろいろ御承知のとおり人脈というのは非常に大切なものですから、そういうこともいろいろ御相談したことは間違いございません。
  377. 正森成二

    ○正森委員 そういう人事についても御相談したことはお認めになりました。  そこで、私は続いて伺いたいと思いますが、松野氏はグラマン社からPFという暗号で呼ばれておりました。松野自身ポリティカルフレンドの略であるというように言われ、アメリカへ調査に行きました調査団がこの事実を発表しました一月に、亡くなられた島田三敬氏が、こういうことがマスコミに出たことについて松野氏に謝罪に行かれたということを松野自身は認めておられます。そこで、あなたもグラマン社との話の中で、松野氏がPFという暗号で呼ばれていた、少なくともその一人であったということは御承知でしょうか。
  378. 海部八郎

    海部証人 お答えします。  グラマン内部でそういうふうに言われていたかということは、アメリカ人はよくそういうアブリビエーションを使いますから、あるいはそういうことがあったかもしれません。  それから、島田さんが松野先生のところに何か謝りに行ったということは伺いました。それで、伺っております。
  379. 正森成二

    ○正森委員 ということは、松野氏はPFと呼ばれるくらいグラマンと親密な方であり、そのことが表に出たことについて日商岩井が謝りに行かなければならないような関係であるということになれば、実は商社変更について話をしてくれた政府の高官というのは、松野氏も含まれるのではないのですか。松野氏は、昭和四十二年から支払いが始まっている、四十四年八月、ちょうど真ん中に商社変更が行われていますね、それに全く無関係であるとは考えられないのですが、いかがです。
  380. 海部八郎

    海部証人 正森先生に御回答申し上げます。  亡くなった島田常務がおわびに上がったということは、これはつまり国会議員の先生に関して略号で呼ぶというような大変失礼なことがグラマンであったということについてのおわびに上がったのじゃないか、こういうぐあいに思っております。  それから、先ほども申し上げましたように、グラマンについて代理店変更あるいはその他売り込みについて政治家に陳情したり、そういうようなことは全くございません。  それから、いま、そのころに、ファントムがあるから、それと同じようなことがあったのじゃないかと言われますが、これは絶対にございません。これはお約束申し上げます。
  381. 正森成二

    ○正森委員 E2Cについて、本体はFMSということになりましたが、それをあなたが御承知になったのはいつですか。  それから、昨年までは部品については、防衛庁の了解も得て、五%手数料をもらうことになっていたのではありませんか。
  382. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  正森先生の御質問でございますが、このFMSになったというのはたしかことしじゃないかと思います、本体につきましてですね。本体及び部品についてもFMSと了解しております。去年部品についてFMSがあったかどうか、ちょっと私そこまで詳細承知しておりませんですが、ことしFMSになったことは間違いない、そういうようにレポートを受けております。
  383. 正森成二

    ○正森委員 私の質問の意味は、少なくとも去年までは部品についてはFMSでなかったのではないかと聞いているのです。そして、手数料を五%もらうことになっていたのではありませんかと聞いているのです。
  384. 海部八郎

    海部証人 あるいはそうであったかもしれませんが、ちょっといま記憶に戻ってこないのでございますが、申しわけありません。あるいはそうかもしれません。
  385. 正森成二

    ○正森委員 カーン氏と四〇%、あなたの言葉によればファインダーズフィーを払うことになっているというのですが、日高さんに伺いますが、あなたの住友商事では、E2Cについて、本体については幾ら、あるいは部品については幾らもらうことに四十三年当時なっていたのですか。  それからまた、ファインダーズフィーというような形で四〇%もの金を払うような例がいままでのあなたの全商社生活の中でありましたか。
  386. 日高一男

    日高証人 お答えいたします。  グラマン社住友商事が結んでおりました契約は、部品については約一〇%、機体につきましては定かじゃございませんが、約一・五%ぐらいだったと思います。  なお、住友商事グラマンとの契約書の中には、成功報酬というような項目は全然ございませんでした。詳しくはわかりませんので、住友商事に聞いていただきたいと思います。
  387. 正森成二

    ○正森委員 いまのお答えは、四〇%を紹介者等に渡すというようなことはなかったというように承りました。  そこで、もう一つ伺いますが、チータム氏があなたのところに、四十四年七月にいきなり解約の通知を出して、すぐアメリカへ行って話したけれども、どの商社にかわったかその理由さえ言うてくれなかった、こういう意味のことを同僚におっしゃいました。私がチータム氏に会うたところでは、日本へ来たときに、住友商事にも日商岩井にも、売り込みの状況等について詳細に聞いた上で日商に変更したという意味のことを言いましたが、そうすると、住友商事にはどういう売り込みの状況であるか、どこがすぐれており、どこが間違っているかという事前の調査はなかったと伺っていいのですか。
  388. 日高一男

    日高証人 お答え申し上げます。  私がチータムに会いましたのは、その交渉に行ったときの一回だと記憶いたしております。その前にチータム日本に来まして住友商事の方に会っておられるとしますと、私以外の上司に会われたのだと思います。それで、私はその内容はわかりません。
  389. 正森成二

    ○正森委員 あなた自身売り込みの状況がどうであるか、グラマンに報告しなければならないから上司に報告せよということも当時なかったわけですね。あなたにグラマンのE2Cについてどういう売り込みの状況であるかグラマン社に報告しなければならないから、住友商事の上司に報告をしろ、こういうこともなかったのですね。
  390. 日高一男

    日高証人 チータム日本に来たということも私はいま記憶にございません。なお、チータム日本に来て住友商事に来たから住友商事はどういう売り込みをしているかというレポートを書けというようなことも上司から指示がなかったと思います。
  391. 正森成二

    ○正森委員 それでは海部証人に、時間がございませんので最後に二つだけ伺います。  昭和四十年の七月二十三日サンフランシスコで津、フォーサイスとお会いになったとき同席した日商岩井の社員、あなた以外に、それはだれですか。それが第一点。  それから第二点に、あなたは海外で松野氏に払うのについて、いまお答えになりましたが、伊藤刑事局長は数万ドルずつ数回渡した、こう言っておるのです。それについて御記憶はございませんか。  以上について質問して終わります。
  392. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  正森先生に御回答申し上げますが、サンフランシスコのときにたしか私の方の社員の当麻君が同席していた、通訳として、記憶しております。
  393. 正森成二

    ○正森委員 もう一つ、海外で数万ドル。
  394. 海部八郎

    海部証人 それは何かこういうところへ送金してくれという依頼がございまして、送金した記憶はございます。
  395. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  396. 永田亮一

    永田委員長 これにて正森君の発言は終了いたしました。  中川秀直君。
  397. 中川秀直

    中川(秀)委員 新自由クラブの中川ですが、早速お尋ねをいたします。  昨日の報道で、海部さん、あなたは喚問に応じないのではないかという報道がございました。というのも、政治家松野さんの方は喚問も偽証告発もされない、喚問は一度はございましたけれどもなかなかされない、あなたのような民間人、市民ばかりが喚問や告発をされる、そのようなことでは不公平であって、体調もたまたますぐれないので欠席したいという理由だと言われたわけであります。私は全くもっともな御意見だと思うわけで、それをあえて喚問に応じられたあなたの勇気に敬意の念を表したいと思います。  さて、松野さんが五億円のお金を日商岩井に要求したことは法務省答弁からも明らかになっているわけですが、その松野さんの方は刑事訴追を逃れているわけであります。他方あなたはすでに偽証罪と外為法違反に問われている。そしてお亡くなりになった島田常務はその遺書の中で、政治家は便乗、役に立たない、すべては私たちの力によるものだというものを書き残されました。  そこで海部さんにお伺いをするわけですが、いまあなたは被告の立場に置かれて、刑事訴追を逃れた政治家松野さんについて、亡くなられた島田さんの遺書もあわせ見てどのような気持ちを抱いておられるか、率直にお伺いをしたいと思います。
  398. 海部八郎

    海部証人 坂井先生に御回答申し上げます。  一番先に先生のおっしゃったのは、あれは私が申したわけではございませんので、私は体調を崩して休んでおりましたものですから、そういうことは私は外部に申しておりませんです。  それからいま先生のおっしゃった、島田さんは亡くなり私自身も訴追を受けている、こういうことにつきましてはいろいろ世間を騒がしまことに申しわけないことをした、今後二度とこういうことは繰り返したくない、こういうぐあいに思っております。
  399. 中川秀直

    中川(秀)委員 そのお気持ちは大変よく理解できるのでありますが、片やお金を要求された政治家の側は刑事訴追も受けない、本日も喚問されていない、このことについてのあなたの御印象、御感想はいかがでございますか。
  400. 海部八郎

    海部証人 これは非常にむずかしい御質問でございますので、回答をできますれば差し控えさしていただきたいと思っております。
  401. 中川秀直

    中川(秀)委員 では結構です。  松野さんの証言では日商からの四億ないし五億——松野さんはそう言っておられるわけですが、これは政治献金だ、こう証言をされておるわけです。これはあなたも新聞等でよく御承知だと思います。ところが国会での法務省の伊藤刑事局長答弁は、あなたやあなたの部下の供述をもとに、資料があるとして、松野氏に日商岩井から渡された五億円は成功報酬だと、こう断定をされたわけであります。そしてまたあなたもこれまでの証言で、松野さんがF4Eファントムについていろいろお世話をしていただいた、これに対する応分のお礼という表現をなさっておられます。また先ほどもここでの御証言で、四十二年の四月に松野さんに三百万円持っていったときに、ファントム売り込みお礼をしなければならないが、その担当は島田さんなので彼と打ち合わせてくれと松野さんに申し上げた、その松野さんが五億の要求を出されたということを島田さんから聞いたのは四十三年の中ごろだった、こう述べられたわけであります。このことからしますと、日商からの五億というお金が政治献金であったと証言された松野氏の主張というものはあなたからすれば虚偽ということになろうかと思うわけでありますが、この松野さんの主張についてあなたはどう思われますか。
  402. 海部八郎

    海部証人 いま先生のお名前間違えまして失礼しました。訂正さしていただきます。  いまの何といいますか、松野頼三先生の方は政治資金として言われる、それから私の方はお礼と申し上げる、これはどうなんだという御質問でございますが、これにつきましては先ほども申し上げましたのですが、これの処理は島田さんがやっておりまして、十何回に分けてお届けしたということでございますが、そのときに松野先生と島田さんとの間にどういうやりとりがあったか、それについては私の方も聞いておりませんし、どういうものであるかということについてはちょっと御返答しかねる、こういうことでございます。
  403. 中川秀直

    中川(秀)委員 先ほど海部証人は、最初に三百万円持っていったときに、ファントム売り込みについていろいろお世話になったことについてお礼をしなければならないが、その担当は島田さんなので彼と打ち合わせをしてくれ、こう松野さんにおっしゃった、こう御証言になりました。その意味で初めにファントム売り込みのいろいろお世話になったことに対する応分のお礼、そういう認識は海部さんの方にはあった、こういうことでよろしゅうございますね。
  404. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます、中川先生に。  私の方はF4ファントム売り込みについてのお礼、応分のお礼をしなくちゃいけないという認識でやっておりました。
  405. 中川秀直

    中川(秀)委員 そういたしますと、ずっとお伺いをいたしますが、第一に五億円は松野さんの方が要求をされた、これは伊藤刑事局長答弁をしておるところでございます。ところが松野さんはそれをお認めになっていない。それからその五億円は工作資金成功報酬と認定をしている。松野さん御自身もそれを知り得る立場にあった、そして海部さん御自身もそういう認識で話がスタートをしたということと、松野さんが政治献金だと言うことはこれまた全く食い違っている。それから第三点に、チータムさんが住友商事から日商にE2Cの代理店変更した際に、松野さんの話は大変有効であった、こうお話しになっておられて、また刑事局長自身も政府高官の介在をほのめかしておられるわけですが、この点についても松野さんは、そのことについては全く関知しないと、こう御証言になっている。あるいは海外で受領したのは数回にわたり数万ドルであるのに、この点についても松野さんはお認めになっていない。さらに第四点目は、高畑会長が金銭授受に関係がないのにあったかのごとく松野さんは御証言になった等々、非常に幾つか食い違いがあるわけでございます。そして、そのことは海部さんに対する同僚議員のいろいろお伺いをしている中で、海部さんの御証言と対比しても明らかに食い違いが出ていることがはっきりしてきているわけですが、このようなことを総合して、海部さん御自身は、松野さんが国会で御証言になったことを、あなたの立場からすれば、それは虚偽である、あるいは偽証をなさっておられる、そのような印象を持たれているのではないですか。
  406. 海部八郎

    海部証人 中川先生の御質問に御回答申し上げます。  これは非常にむずかしい問題でございまして、できましたら、ひとつそういう印象とか推測とかは差し控えさしていただきたいと思います。
  407. 中川秀直

    中川(秀)委員 印象ではなくて、ひとつ事実関係をはっきりさせる上でお伺いをしたかったわけですが、どうしても答えにくいということであるならば、言外の意味をとらせていただくことにしたいと思います。  海部メモについて一点お伺いをいたしますが、先ほど海部メモをなぜ、何のために書いたかというお尋ねに対して、あなたは送金の依頼だと簡単におっしゃいました。ところが、この海部メモのうち、いわゆる送金に関する点では、伊藤刑事局長の国会への捜査報告で明らかになったのは、昭和四十年の七月二十四日付メモに関して言えば、岸元首相とフォーサイス・MD社副社長海部さんによるシアトルのオリンピックホテルでの会談は事実だ。しかし、岸元首相に二万ドルの着手金は流れていない。また、昭和四十一年三月十八日付のメモに関して言えば、名前が書かれた政治家、たとえば松野さん、福田さんに送金された事実はないということであります。  とすると、どういうことでしょう。具体的にケースを一つずつお伺いをいたしますが、伊藤刑事局長がそういう送金の事実はないとしているものについて、あなたはそのようにあった、あるいは送金をするという趣旨のメモをお書きになったわけです。とすると、海部さん、あなた御自身会社からお金を引き出すために政治家の名前を使った、このケースが一つあり得ますが、これはいかがですか。
  408. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  二万ドルについては、つまり先生のおっしゃったサンフランシスコ云々、これは支払われておりません。  それから、第二のドレスデン何とか、これにつきましては、これは送金されております。
  409. 中川秀直

    中川(秀)委員 では、その二万ドルは支払われていない。支払われていないのにそういうメモをお書きになったのは、海部さん御自身会社からお金を何らかの目的のために引き出すためにそういうメモを書かれたのか、あるいはもう一つのケースを申し上げますが、岸さんや福田さんに金が流れていないとしたら、だれかほかの方にお渡しになるためにそういうことをお書きになったのか。この二つのケースの想定ではいかがですか。
  410. 海部八郎

    海部証人 御回答申します。  ほかの方に渡すためにそういうようなあれをしたという事実はございません。  それから、一千万円につきましては、これは中村長芳氏に指定されたところへお送りしたわけでございます。
  411. 中川秀直

    中川(秀)委員 そうすると、第一のケースの、海部さん御自身が、私申し上げにくいのですが、会社からお金を何らかの目的で引き出すためにそういうことをお書きになった、このケースについては否定なさらないけれども、そうだと考えていいのでしょうか。
  412. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  そういう事実はございません。
  413. 中川秀直

    中川(秀)委員 とすると、ほかのだれかにということでもない。あるいは、たとえば政治家本人でなくとも代理人だったのかという推測やそういう疑惑を報道機関でも書いているところがあるのですが、そういうことでもない。海部さん御自身がそういうほかの目的でお金を引き出すためでもないということになると、全くの虚偽をお書きになった、こういうことになりますね。
  414. 海部八郎

    海部証人 これは全くそういう事実はございませんです。
  415. 中川秀直

    中川(秀)委員 もう一点お伺いをいたします。  代理店変更の経緯をいろいろ追ってまいりますと、カーンさんがかなり克明にわが国の報道機関にお話しになったも一のによりますと、日商岩井の方とカーンさんが接触を持たれたのは実は昭和四十三年以前からだ、こうカーンさんは言っておられます。そして、あなたとの接触ということに特定をして言いますと、中東に関する価値ある情報を提供する代償として、昭和四十三年にカーン氏主宰のフォーリン・レポーツに日商が依頼料を払うという合意を成立させた。その他特定プロジェクトまたは取引の成功の際カーン氏にコミッションを払うという合意をあなたとカーンさんとの間で四十三年にそうされた。そして四十四年二月には東京で、グラマン社法律顧問で、あなたもカーンさんも前から知っておられたノーマン・ポール氏よりチータムグラマン社社長を紹介されている。チータムさんからE2Cの対日売り込みのために防衛庁関係に経験の深い代理店にしたいので、カーン氏の幅広い情報を提供するように依頼をされた。これは四十四年の二月。その後、松野さん、あるいはその他IHIや三菱重工業の当時の社長という方、いろいろな方にチータムさんはお会いになった。そしてその結果チータムさんは、カーン氏とのお話もあって、日商岩井を一番ふさわしい商社である、そういうことで心に決めたんだ、こうお語りになっている。  さらに四十四年の五月八日には、チータムさんとポールさんとそれからカーンさんが、米国のグラマン社本社で当時のグラマン社の幹部に会って、日商岩井ということを推薦をし、そこで日商岩井が決まった。つまり、そういう一連の流れの前に海部さんはカーンさんにも会っている。そしてグラマン社日本におけるE2Cの代理店日商岩井決めてから後、カーンさんは海部さんとニューヨークで五月に会い、六月に東京で会った。そしてそのときに四〇%のコミッション支払いの合意をつけた、こうなっているのです。この経過はお認めになりますか。
  416. 海部八郎

    海部証人 カーンさんとは中近東のいろいろなことにつきまして、当社とは一九六九年の二月ごろに中近東のLPGの何とかの契約がございますが、コンサルティングの契約がございますが、それ以後七件ほどやっております。したがって、その前からカーンさんを知っているわけでございます。
  417. 中川秀直

    中川(秀)委員 残念ですが、時間がありませんので、一、二点だけ御質問いたしまして終わりにさせていただきます。  これまで海部さんは国会の御証言でも、いわゆる四〇%の日商・カーンさんとの間の覚書、これは一九六九年の八月十五日前後に東京日本橋の旧日商本社で島田さん立ち会いのもとにサインをした、こうなっていますが、実際は、カーンさんの方はそう受け取っていない。それはむしろ六九年の六月か七月ごろ、カーンさんが書いたメモ海部さんにアメリカから郵送をして、海部さんはその草案をタイプし直したものにみずからサインをして、二通送ってよこした、それでサインして、カーンさんも一通を海部さんの方に送り返す、これがサインの実態だ、こう言っているわけです。全然食い違っておるわけですね。この点がどうかということ。  それからもう一点。日商岩井がこの十年間に自治省への届け出なしに、八億五千万円の政治献金を政治家に渡したということを山村さんが国会の証言で言われたわけであります。日商のある人は海部さんのことを政治部長だと言われたこともあるわけですが、そう言われる海部さん御自身がこうしたことは一番御存じではないかと思いますが、この御証言、山村さんがおっしゃったこと、これが事実かどうか。そして一体だれにお渡しになったのか、これをお伺いしたいと思います。
  418. 海部八郎

    海部証人 中川先生に御回答申し上げます。  確かに私の記憶では、日本橋でこのメモランダムにサインしたという記憶がございます。したがって、それを送って、またつくり直して送ってくるというのは、ちょっと私としては、あるいは記憶間違いあるかもしれませんが、想像がつきませんのです。  それからいまの政治資金の問題は、これは私は、政治資金というのは先ほど申し上げましたように、これは秘書課で取りまとめまして、これが社長決裁で行われておりまして、政治資金、私はそういういまおっしゃったような政治資金については関与しておりませんでした。
  419. 中川秀直

    中川(秀)委員 最後に一つ。日高証人がお越しでございますので、一つだけお伺いをいたします。  今回の疑惑事件についての国会でのいろいろな喚問並びに刑事当局での捜査の結果、こういうものが日高証人にも新聞あるいは各誌の報道でおわかりになっただろうと思います。その現段階で、住友商事から日商岩井にE2Cの代理店変更になったそのいきさつ理由、当時はわからなかったということでございますが、その理由がおわかりになりましたか、どういうことだと御理解なさいましたか、そしてそのことについて日高証人自身考え見解というものはどういうものでございますか、これだけお伺いをして終わりにいたします。
  420. 日高一男

    日高証人 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、その時点では代理店が日商さんであったということは全然わかりませんでした。また私も、どこにいくんだろうかということは私を初め住友商事の連中は考えましたが、当時日商さんはマクダネルとかあるいはボーイングの代理店をしておられましたので、まさかグラマンが日商さんにいくとは夢にも思っておりませんでした。最近こういう問題が発生しましてから、ああ日商さんだったかな、そういうふうに思っておるだけでございます。
  421. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  422. 永田亮一

    永田委員長 これにて中川君の発言は終了いたしました。  この際、短時間に限り、増田甲子七君の追加質問を許します。増田甲子七君。
  423. 増田甲子七

    増田委員 先ほど私は補充質問するということを申し上げておきましたが、各党各派の委員各位の御了解を得て補充質問を短時間させてもらいます。  そこで、あなたの発言のうち矛盾があるのは第三海部メモですよ。これは西川社長あてにあなたが書いたものだということはあなたはおっしゃいました、五十二年九月ごろであると。最初の前半は情報を集めたものであるということをあなたは言われたのです。ところが後の方ではファントム導入に害のあるような人物をどうかするようなことのために自分は苦慮したというようなことをおっしゃっていますが、これは前と後と食い違っていると思いますが、いかがですか。
  424. 海部八郎

    海部証人 塩田先生に御回答申し上げます。  いまの、これは社内の社長あての報告でございますが、たしか四十二年の六月か七月か八月ごろじゃなかったかと思っておりますので、いま先生から五十二年というお話ございましたが、これは訂正させていただきたいと思います。  それから、そういういろいろな雑誌とか情報とかそういうものはいろいろ入りますし、それから中村長芳さんとも話をして、好ましい状態に、体制に置きたい、こういう希望を持っておりまして、いろいろ話し合ったことはございます。
  425. 増田甲子七

    増田委員 あなたの書かれたこのデマ・メモの中の「田中空幕副長は管区司令官、」、これは私の赴任する半年前にもう中部管区司令官になっておったのです。中部管区といえば北海道を除いた本州と思えばいいのです。あとは関西管区という、三つ管区があるだけでございます、航空幕僚の方では。それで、このことはでたらめであります。  それから「牟田空将は明年八月迄」云々、こんなことはありません。その年の十月に統幕議長に栄転した人物でございます。  それで、あなた、うそばかり書かれておるという感じでございます。これにて謀略人事は成功した云々と、こんなことはあなた、将来わかるかわからぬかわからぬけれども、こういうことを知ったかぶりで書くものではないということを、あなたをたしなめるために申しておきます。  それから、あなたはこの前、六助それから松野、増田氏と、増田だけ氏がついています。これに多少のあいさつをしたいと思う。これは思っておったでしょうが、実行はしなかった、これはしかとさようですね。しかと聞いておきます。
  426. 海部八郎

    海部証人 増田先生に申し上げます。  実行はされておりません。希望しただけでございますが、社長からの指示も何もございませんでした。
  427. 増田甲子七

    増田委員 これについては松野さんも岸さんも、増田自身はもとより、田中六助さんも非常に迷惑しております、この第三メモというものは。そのことを、人に迷惑をかけておるということを深く御認識願いたいのです。いかがですか。
  428. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  これは実は社内の報告書でございまして、外部にどういうことで出たのか、私も気がつきませんでした。しかし、いずれにしても、いま増田先生のおっしゃったことはまことにそのとおりでございますので、深く反省しております。
  429. 増田甲子七

    増田委員 海原君のことについて弁護するようですが、申し上げておきますが、四十四年の一月に国防会議ファントム4Eを正式に決定し、機数は百三十機と決定した。そのときは有田防衛庁長官でございますが、その草案を書いたのは——起案者というものがあります。それは海原治君であります。やっぱり私が国防会議の事務局長に出しただけのことはある、有能達識の士であると私は考えております。そのことを御認識願いたい。あなたはファントム疑惑がある云々なんてことを、人を誹謗するようなことをむやみにおっしゃるものではないということを申し上げておきます。  それからその次に、第一メモになりますが、第一メモでは、二万ドル渡した事実はないということでございますから、それでいいですが、岸さんから私のところに示唆もあったことは全然ありません。あなたは御存じでしょう。  それから、その次に、松野、福田という者は中村長芳の示唆でやったと言うけれども、実際本人にはいっていないという答弁を後で、私の聞いたときはあなたはおっしゃっていなかったですよ、後で言いました。この件に関しては松野氏、福田氏に対して申しわけないというお感じをお持ちですか。
  430. 海部八郎

    海部証人 御回答申し上げます。  持っております。
  431. 増田甲子七

    増田委員 それで、その松野氏からの話でございますが、これはまた後でいろんな議論があるでしょうから、刑事局長その他からもう聞いておりますけれども増田甲子七という者がF4Eを選定したんですね。TXも選定した、CXも選定した。ほとんど重要なる武器は選定いたしました、国産あるいはライセンス生産として。しましたけれども松野君からの暗示とかサゼスチョンというものは全然なかったのです。その点、あなたはちょっと人を過大評価しているんじゃないでしょうか。やはり松野君は政治資金として相当——国防のことも知っておるし、航空のことも知っておるとおっしゃいましたけれども一、この前私は松野君に聞くときに言ったのです。あなたは操縦ができないでしょう。操縦をやったのは緒方という空将ですよ。さんざん方々のものに乗ってみたのです。ことにCL一〇一〇なんというのはなかったのです。時の野党はCL一〇一〇というものを非常に推薦しましたがね。そのCというのはカリフォルニアですよ。これは企業分割でそうなったと思いますが、いまはL一〇一〇でございますが、これは全然影も形もなかったものなんですよ。これは野党の諸君にも私はもう少し勉強してもらいたいと思っておりますが、L一〇一一というものがいよいよ登壇したわけでございます。  それで、要するにあなたは世界一、世界一と言いますけれども、さんざん苦労して乗った結果ですよ。昭和四十三年九月の緒方報告が、フランスのミラージュよりも、あるいはスウェーデンのビゲンよりも、あるいはCL一〇一〇というのはそれに似た飛行機に乗っただけなんで、結局ファントム4Eが一番いいという結論を良心的に出しておる。だから私が採用したわけでございます。それはあなたに知っておいてもらえばいい。  それから、最初にあなたに私は面識がないと言ったのに、あなたは面識があるという話ですが、一面識はあるというのです。そんなことはとんでもないことでございまして、私はエージェントを……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。防衛庁へ入れるなんということはないのです、これは。一つも入れておりませんし、通達を出しています。後任の防衛庁長官にもそういうことを言い渡しております。だから、現在の防衛庁長官に至るまで、エージェントなんかには会っておりません。会ったとすると私の申し継ぎが不足だったわけでございまして、よくないことである。  また、防衛庁の役人は正確無比に仕事をしておるということを御認識願いたい。防衛庁の名誉のために言っておきます。  どうですか、認識したならしたと言ってください。
  432. 海部八郎

    海部証人 ただいまおっしゃった趣旨はよくわかりました。
  433. 増田甲子七

    増田委員 終わり。
  434. 永田亮一

    永田委員長 これにて堀田君の発言は終了いたしました。  以上をもちまして、海部証人及び日高証人に対する尋問は終了いたしました。  両証人には、長時間にわたり御苦労さまでした。  二時三十分まで休憩いたします。     午後二時十四分休憩      ————◇—————     午後二時四十三分開議
  435. 永田亮一

    永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  航空機輸入に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増田甲子七君。
  436. 増田甲子七

    増田委員 山下防衛庁長官に伺います。  E2Cの問題でございますが、E2CはいろいろなSECの報告もございましたけれども、最近になりましてあなたの他の委員会における答弁等を聞いておりますと、E2Cは政府間貿易でやるんだ、こういうことでございますが、本当でございますか。
  437. 山下元利

    ○山下国務大臣 E2Cの初度調弁につきましてはすべて政府間契約によることになっています。
  438. 増田甲子七

    増田委員 これで過去一切の疑惑を払拭したことになるので、防衛庁長官の配慮は非常に結構だと私は思っております。ただしかしながら、野党の諸君で相当防衛問題を研究している方がございまして、そういう方の御意見も承らなくちゃいかぬと思っておりまするが、要するにパーツというものは相当ある。付属品は三万五千点もあるというお話も相当勉強しておる方から承りました。そこで、このパーツ、すなわち付属品もマーチャントを介さずに、エージェントを介さずに、防衛庁対アメリカの国防省といった関係でやられる御配慮がありますか、いかがですか、御質問申し上げます。
  439. 山下元利

    ○山下国務大臣 パーツにつきましても、初度調弁の部分はすべて政府間契約によるものでございます。ただ、補用部品と申しますか、飛行機が動き出しましてから修理用に必要なパーツにつきましても、これもできる限りFMS方式によるようにいたしたいと思っております。
  440. 増田甲子七

    増田委員 初度調弁に関するパーツはFMSでおやりになるということをいま初めて承りまして、非常に結構なお考えだと私は考えております。ただ、初度調弁というのは一応飛行機を整えるだけでございまして、その次に年次にいろいろなパーツが減耗いたします。その減耗いたす部分は、やはりこういう疑惑を受けた以上は政府間の貿易でやってもらいたい。すなわち、USAには軍需関係防衛官が駐在しておるんですから、その人が一生懸命やれば私はいいと思っております。E2Cは非常に日本防衛のために必要である。必要であるけれども、過程においてSEC等もいろいろなことを書いておるんでございますから、そういうようなことがないようにこちらは配慮して、初度調弁費以外の部品もアメリカに駐在しておる自衛官を使って調達させた方がいいと思いますが、いかがでございましょうか。
  441. 山下元利

    ○山下国務大臣 私は、この補用部品と申しますか、修理用のパーツにつきましても極力FMSに、政府間契約によるように努力をいたしたいと思いますが、何分にもこれは飛行機が動き出しましてから後のことでございますので、その決定までにはまだ日にちもございますが、それまでに十分米側とも相談いたしまして、できるだけ政府間契約によるようにいたしたいと思いますが、中にはごく小さいパーツにまでそれになるかどうかにつきましては、小さい部品まで政府間契約になるということにつきましては、いま御指摘のとおりに、人員等もアメリカにおらねばならぬという点もございましょうし、国益の点を考えますときにいろいろな点もございますために、その必ずしも全部とは言えません、これはあくまで国益を守ることは大事でございますが、しかし、こうした問題につきましては、できるだけFMS方式によりたい、そのように努力いたしたいと思う次第でございます。
  442. 増田甲子七

    増田委員 やはり一たん疑いをかけられたり——向こうのSECの報告も私は完全には信じないのです、本当は。しかしながら政府から独立した存在であるということで相当敬意を払って研究を私どもいたしておるものでございますが、一たん疑惑をかけられたからには、あなたの御配慮によってFMSに本体は切りかえられた、部品のうち初度調弁にかかわる部品も政府間貿易にいたされた、非常に結構だと思っております。しかし、ある程度防衛自衛官を、軍需に関する技術者も相当おるわけでございますから、特派しても多少のことはがまんして、あなたの方針として、毎年度の補用部品に至るまで政府間貿易に出す、こういうことにぜひとも御配慮願いたい。せっかくの御配慮でここまで進行してきたのですから、一切の疑惑がないようにしていただきたいと私は思っておりますが、いかがでございましょうか。
  443. 山下元利

    ○山下国務大臣 御趣旨はまことに御指摘のとおりでございます。ただ、西ドイツあたりの例を見ましたときに、これはやはり相当な駐在官がおるわけでございますが、それでそうした事例も参考にいたさなければならぬわけでございます。いまの状況下におきまして、小さい部品に至るまですべて政府間契約によるということはやはり問題があるわけでございますが、しかし、御指摘のように、このように一つの御指摘を受けた問題でございますので、いささかも疑惑の生じないようにしなければならぬことは第一義でございます。したがいまして、今後、御趣旨を体しましてできる限り政府間契約によりたいと思っております。しかし、それについては諸外国の例も参考にしながらこの調達業務が円滑に行われなければならぬという点もございますから、そうしたこともあわせ考えましたが、しかし、何よりも疑惑を生じないという、これを第一義にいたしまして、調達方式はできるだけ政府間契約によるというふうにいたしたいと思っております。
  444. 増田甲子七

    増田委員 防衛庁長官の周到なる御配慮というものに対して私は敬意を表します。しかしながら、ドイツがどうだとかフランスがどうだとかいうことは関係ないのでございます。わが国といたしましては、やはり疑惑を受けたようなものは徹底的に、部品の末に至るまで、自衛官がせっかく外国に駐在いたしておるのですから、これをお使いになる、足らなければ装備局なりあるいは航空幕僚監部なりに言いつけて、それぞれ職員を増派するということがやはり望ましい姿でございます。いかがでございますか。
  445. 山下元利

    ○山下国務大臣 できる限り職員を増派するということにつきましてもそのような方向で検討いたしたいと思っております。
  446. 増田甲子七

    増田委員 大変結構な御答弁でございます。  そこで、最後に望みたいのは、軍需関係の自衛官が外国におりますけれども、決算が非常におくれておるのですよ。昭和三十三年の決算が私が昭和四十一年に防衛庁長官に赴任したときはまだできておりませんでした。十年前の決算を一体どうやってやるんだと言ったところが、アメリカの方でも政府が必ずしも勤勉とは言えないということでございましたが、その後私が督励いたしまして六年分だけ、昭和三十九年まで決算をしたのです。それも気の長い話で、昭和四十二年になってから昭和三十九年の決算をさしたというようなことでは私は困ると思っておりますが、その後のことは私は防衛庁にタッチしない方針ですからわかりませんが、恐らく政府間貿易というものは、買い付けというものはアメリカの方が大分テンポがのろくて困るということを、当時装備局長も、幕僚監部の装備課長あるいは装備部長と言うか知りませんけれども、そういう連中もぼやいておりましたから、ぜひ長官において、政府間貿易の欠点というものは決算が非常に遅い。恐らく政府で昭和四十九年の決算をいまするなんと言ったら、これは国会で大もめにもめるでしょう。いまは昭和五十三年の決算を急いでおるときではないか、こう考えております。三年も五年もおくれてという状態は、防衛庁長官は余り御存じないかとも思いますけれども、督励させていただきまして、ここは内閣委員会ではございませんから、いつまで決算ができているかということを質問はいたしませんが、どうぞ督励して早く決算をして、エージェントがやっているとき以上に決算がついておる——やはり年度が過ぎたらすぐ決算に入るべきだと私は思いますが、いかがでございましょうか。
  447. 山下元利

    ○山下国務大臣 政府間契約によりますところの調達のおくれということにつきましては、国会におきましても御指摘を受けている点がございまして、われわれとしても鋭意そのおくれを解消するように努力しておるわけでございますが、率直に申しまして、政府間契約というのは至って厳正に執行されるわけでございますけれども、その時期的な迅速性という点にいささか問題もあろうかと思うわけでございますし、その点を御指摘だと思いますが、私どもといたしましては、すでに十分そういうことにつきましても御指摘を受けておりますので、今後はそうしたことのおくれのないように努力をいたしますし、そして決められたものは早く調達が実施されるし、決算もすぐ行われるというふうにぜひ努力いたしたいと思っておる次第でございます。
  448. 増田甲子七

    増田委員 おおむね満足なる御答弁をいただきました。  次に、伊藤さんに伺いますが、過日、五十四年の五月の下旬でございますが、同僚議員の大出俊君から提出されました海部メモらしきもの、「西川社長殿」と書いてあって、中に荒唐無稽なことが書いてございますけれども、これに対してお取り調べはあったでございましょうか、なかったでございましょうか。
  449. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 国会でも問題になりましたので、検察当局において一応の吟味をいたしております。
  450. 増田甲子七

    増田委員 一応とおっしゃいましても、ここは簡単なもので二ページのものでございますから、これをお聞きしたいのですけれども、いま、ついさっき海部証人に聞いたところでは、上の半分は情報である、それから有森のことは何か社長の採用した人事であるから、こんなことはないのである、それから最後のあいさつをするということは書いたけれども、全然これはできなかった。最初は情報であって自分のタッチしたものではないと言いましたけれども、同僚のある委員質問によりますと、ファントム4Eを採用するときに邪魔になるような人事は片づけておいた方がいいということは自分の偽らざる心境ですというような矛盾きわまりないことを言っておりましたけれども、この辺の詳細までお調べでございますか、いかがでございますか。
  451. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ただいまの御指摘のメモにつきましては、一応検察当局で吟味いたしましたところでは、有森氏の進退の問題を除きますと、要するに一番最後に書いてありますところに関連いたしまして、若干の金を引き出す手段としてつくられたものではないかと思われる節が多いのでございます。したがって、中身につきましても「岸先生、増田、田中六助の合作劇」であるとか、「岸先生も大分、佐藤を動かした様です。」とか、あるいは最後に多少あいさつしたい相手方としてお名前が出ておりますが、これらのことは海部氏が全くはったりで書いたものだ、こういうふうに認めております。
  452. 増田甲子七

    増田委員 この前半のうちで、私があなたのお取り調べの参考に申し上げておきます。  それは田中空幕副長というのは、すでにこのときは中部管区司令官になっておるのですよ、このメモを書いた段階では。彼は非常な不勉強でございます。「牟田空将は明年」というところは昭和四十三年までということなんですね。それはうそでございまして、牟田君は非常に優秀であって、その年の十月に統幕議長に栄転したわけでございます。その後に、これまた非常に人格のりっぱな大室という空幕長を据えました。田中君という人もなかなかいい人でございまして、感情をもって私はやったことはありませんが、すでに田中耕二空幕副長は私の赴任当時は中部管区航空隊司令官であったということをあなたのお取り調べの参考にしておいていただきたい。それから「課長級に到る迄」云々、とんでもないデマでございます。  それから、海原君のことを主として言うわけですが、海原君と私とはF5という、ノースロップという問題について話をしたことは第一ないのです。私は飛行機のことは装備局長とは話をいたします。昔で言えば軍事局長でしょうから。あるいは幕僚監部の装備課長、装備部長といいますか、その連中とは話をしますけれども、その中間のいろいろな、事務しか知らぬような、技術を知らぬ人、操縦も知らぬ人、そういう人と話をしたってしようがないのですから、そういう人とは話をしておりません。ですから、これはでたらめきわまりないことを書いておる。海部というのは怪しい人物であるということを先ほども私は委員会で言ったわけです。  それから、私は正確無比を期する意味において、使命感に燃えて防衛長官になること三年間でございまして、その間にエージェントとかあるいはメーカーというものを防衛庁に出入りすることは禁止しております。事務次官のところへも行ってはいけない、政務次官のところにも行ってはいけない、秘書官のところにも行ってはいけない。どういうわけか。こういう人は装備のことを余り知らないからなんです。装備のことを知っているのは装備局長でございます。だから、装備局長のところへ行って信用を得るならよかろう、あるいは幕僚監部に装備部とか装備課というものがあるからそこへ行って信用を得るならよかろうと私はメーカーに対して言っております。エージェントなんかには全然出入りは禁止しております、貿易商に対しては。メーカーというものはどうしても防衛庁と直接関係あるわけですね。そういうものも防衛庁長官や事務次官や政務次官が会ったって何にもならない。その人だけの先入観を持って防衛装備行政をやられてはたまったものではない。だから来てはいけないということを秘書官室にもよく言ってあります。また秘書官も、私は政務秘書官というものはつくらなかったのです。そのぐらい正確にやっておるのに——記憶は私は抜群と言われるぐらいあるのですから、生きている日記帳とも言われるぐらいなんですから記憶はございまして、そのことを去るに当たっては後任有田喜一君にもよく言ってあります。それから歴代の江崎君とかあるいは中曽根君とかいう者にもそれぞれ申し伝えるようにということを言ってありまするから、いまの有能なる山下元利防衛長官もそのことは聞いておると私は思いますが、いかがでしょうか。出入りを差しとめておりますか、エージェントを。
  453. 山下元利

    ○山下国務大臣 私は、就任以来そのような方々とは一度もお会いしたことはございません。
  454. 増田甲子七

    増田委員 エージェントにもメーカーにも会わないということは非常に結構なことです。防衛行政においてもし誤りがあれば世の中ひっくり返ってしまうと私は思っております。国家の綱紀がもたれなくて、どうしてわれわれが為政者として国民にいろいろなことを教訓を与えることができましょうか。  それから、これは一般論になりますが、ここは道義的政治的の責任を問うところですから言いますが、世の中でも、公職選挙法で出てきた人もあるいは任命による役人でも、何か役得があるかねというようなことを聞くのですよ。こんなことがあるようでは世の中よくならない。私は伊藤刑事局長を補佐するような立場で言うておきますが、世の中全体に対して、何か役得があるかねということをまだ国民は言っていますよ。そんなことではいけない。ことに慎むべきは武器商人との間である。武器というものは、やはり国民から見れば、防衛ということはこれは国家の生命に関することです。国民の一人一人の生命を守ることです。非常に大切なことですけれども、一面から考えれば、やはりウエポンというものは人を殺す武器である。死の商人とも言われております。こういうものとの間に何か話があるというようなことは、もう綱紀の根本を揺るがすことになるということで、私は去るに当たって厳粛なる訓示もし、それが歴代長官に伝わっているということは、私はいま聞いて非常にうれしいです。私は去って以来十年ですけれども、何らあなたにも連絡をとったことはないです。防衛大学の卒業式等には行きまして訓示をしますよ。しかし、これは参考にしてくださいと言うだけで、現在の防衛庁長官なり大平内閣総理大臣の言うことを聞くというこの規律が守られなければ、一種の実力団体ですから、実力団体に派閥があるなんということは大変なことなんで、そういうことを予算委員の諸君も余り御存じがない方もおりまして、予算委員のことをここで反駁しちゃいけませんけれども、時間的に本年のことでございますから申し上げますが、あなたは海原天皇と言われておる、あなたは海原派閥がなくなった、海原人脈と言われておるが、それがなくなってさびしいでしょう、いやそれほどでもありませんなんて答えておりますが、これはやはり国会議員というものは見識を持って、防衛庁に横断的の結成ができたら、それで日本はおしまいです。これはいかがでしょう。  そういうわけで、私は海原君はそんな意味で更迭したわけではありません。そういう厳粛な気持ちで臨んでおります。ということは、あなたからまた後任の自衛隊の総司令官また大平さんの後任の方もいずれあるでしょうから、これは歴代申し伝えていただきたい。いわゆる死の商人と何かがあるというようなことがあれば、日本はひっくり返ってしまう、そういう考えを私は持っております。これは刑事局長の参考にもしていただきたい、こう思うわけでございます。もっとも刑事局長はなかなか利口でありまして、いろいろなところへ名前が出てくるのだけれども増田甲子七を参考人質問もしたこともないですね。やはりあなたは聡明です。だからわかっておると思う。このことをあなた方にもお知らせしておきます。  以上をもって、質問なりあるいは督励になったかもしれません。演説的の質問になりましたが、長官並びに局長の御心労を多として質問を終わります。
  455. 永田亮一

    永田委員長 大出俊君。
  456. 大出俊

    ○大出委員 きょうは法務大臣もどうも御都合が悪いようでありますし、外務大臣もお出かけいただけないというわけでありまして、凍結解除というのは当分しなくてもいいのだろうと私は思っているのですがね。  そこで刑事局長伊藤さんに、大臣がおりませんから幾つかE2Cにかかわる問題をまず聞きたいのでありますが、ハリー・カーン氏と海部氏の間の例の密約がございます。伊藤さんは、議事録によりますと、コンサルタント契約だというふうに述べておいでになりますが、メモランダムだというのが海部自身の言い分でありますから、その意味で覚書だということになるのでしょう。  ところで、検察当局はこの覚書をどこかから入手をしてお読みになったという事実がありますか。
  457. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 最初の合意書面は破棄されて、存在しなかったと聞いております。
  458. 大出俊

    ○大出委員 届け出もしていない、破棄されて、ないとなると、つまりお読みになっていない。どなたも入手もしていなければお読みになってもいない。間違いないですな。
  459. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 そのようでございます。
  460. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、まず肝心な契約そのものを見てもいなければ入手もしていないとなると、何が一体真実で、何が間違いで、何が悪いのかというのは、これはわからぬことになります。まず根本的な問題でございますが、何よりもまずこの契約を見なければ、これは問題解明ができない。ところが皆さんの出されている報告では、解明したかのごとく書いてある。まずもって、これはやぶの中。つまりその限りでは捜査のしようがない、こういうことになります。いかがですか。
  461. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 この世の中にはすでに破棄されて存在しないものというものがたくさんあるわけでございますが、そういう書面等が破棄されれば実態を明らかにするすべがないかというとそうではございませんで、当該契約なら契約、合意なら合意をいたしました当事者がおるわけでございまして、またその当事者から内容について聞き知っておる者もあるわけでございまして、検察当局としてはそういった所要の調査を遂げまして一応の認定をした、こういうことでございます。
  462. 大出俊

    ○大出委員 そこで次に、つまり現物がないのだからあなた方は入手をしていない。当事者がある。国会にも出ていただいて質問をしていますし、記者会見でしゃべってもいる。その限りはわれわれにもわかります。しかしなお私はいままでの当事者の説明から本当のところはわからぬという気が実はいたしております。なぜならば、表へ出ても正当に言って抜けられる筋合いならば破棄する必要はない。届け出もしない、そんな必要はない。そこに何かがやはりあるから破棄をする、あるいは届け出もしない、こうなっているんだと私は思うのですね。というのは、これは一月三十日の海部君の記者会見なんですけれども、その記者会見の後で一間一答をやっているのですね。長い一問一答。記者クラブの代表者がおいでになって、私はそれをテープに全部とってありまして、細かくテープを聞いて記録したものをここに持っております。非常に逃げを、つまり答えている。恐らく検察が調べてもこういう逃げだと思うのですね。密約について誤解を招いたのは申しわけないというところから説明しているのですけれども、第一、第二と二つある。最後のところで、つまり中身の説明、四〇%がここで出てくるのですね。しかしこの問題をやっておりますときょう時間がなくなりますから、いずれの機会かに改めて中身に触れたいと思うのでありますけれども。  そこで伊藤さんの方で答えておられる中で、まず第一に、ついこの間のこの委員会答弁ですね。この中でちょっと気になることがある。何か五十年、五十一年というようなところで破棄されてしまったから、ミスター・カーンは相当な金を、四〇%もらうのだから工作をしようと思っていたようだけれども、その工作の相手を特定もできないままに解約をされちゃった。だから工作をする相手方も特定していない、だからという説明ですね。これは念のためにもう一遍ここで申し上げておかなければいけませんけれども、まず第一に伊藤さんの答弁は、「ただいま御指摘のはこのSECの8K報告書に記載してある第一の部分で、一九六九年にグラマン社がE2Cの売り込みに関して一人の日本のガバメントオフィシャルの示唆によって代理店変更した、この関係でございますが、この点につきましては、調査をいたしますと、昭和四十四年の初めごろにハリー・カーン氏を含みますグラマン・インターナショナル社のメンバーが日本へ参りまして、一人のガバメントオフィシャルに接触をいたしましていろいろ意見を求めましたところ、」これから問題なんですが、「これまでGI社が使っております住友商事から日商岩井代理店変更した方がいいのではないかという示唆がございまして、」はっきり示唆があったのですね。「示唆がございまして、それを本国へ持ち帰りました結果、思い切って日商岩井代理店変更するということに決定したような経過がございます。」言い切っておるのですね。ここではっきりしておるのは、8Kレポートで言っておるところの示唆を与えた一人の日本の政府高官があった。その示唆を持ち帰って本国で相談をした結果、思い切って日商、つまり住友はやめて日商にしたということなんですね。そうするとこれは皆さんの方には一人の、つまり示唆を与えた政府高官というのはわかっていることになる。私はE2Cの疑惑解明というものを通じて、さて凍結されている予算の解除というものがその道程の先の方にある。となると、だれが一体示唆をしたのかを全く不明確なままに国会がしておいて、凍結されたE2C予算を解除しろなんて言われたってうんと言えた義理じゃない。まずもってだれが一体この示唆をした政府高官なのか。つまり密約の中身という議論は後にいたしまして、ともかくだれなんだ。ここだけは何が間違っても明らかにしなければ、これは委員会の責任が負えないです。それはあなたはわかっていてそれは言えない。それで事は済むとお思いになりますか。大変に微妙な言い回しでお答えになっていることは認めますが、改めてひとつ特定できませんか。いかがでございますか。
  463. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 先ほどの海部氏の証言を私も若干聞いておりましたが、ハリー・カーン氏を含むGI社の人が日本へ来ましていろいろ売り込むにはどうしたらいいかという調査をしたようでございます。いろいろな人にきっと会ったと思います。その中で一人のガバメントオフィシャルに会ったときの示唆が胸に響いたのでございましょうか、それが契機となって代理店変更を思い切ってすることになった。そういうグラマン社の認識が8Kレポートとして、グラマン社の認識としてSECに届け出られておるわけでございます。そういうことでございますので、確かにおっしゃいますように当該一人のガバメントオフィシャルの名前はわかっておりますけれども、そのこと自体犯罪と直接関連のあることでもございませんので、捜査の内容、すなわち関係者の名誉その他を十分尊重すべき立場といたしましてお答えを差し控えさせていただきたい、こう申し上げておるわけでございます。  なお、お言葉がありましたのであえて申し上げますれば、私どもはいわゆるE2Cの凍結解除のために答弁を申し上げているわけではない、このことだけ申し上げておきます。
  464. 大出俊

    ○大出委員 これは勘ぐればいろいろなことが考えられるわけでありまして、世の中の評論をなさる方々は今回の捜査結果を見ていろいろな書き方をしております。E2C解除にわざわざ道をあけているのじゃないかという書き方をした人もおります。ここに私は持っておりますが、私はそんなことを言っているのじゃない。もちろんあなた方はE2Cの凍結がされたの、解除されたの、されるのということに関係して調べているわけではない。しかし、時の政府には政府の意思がある。これも間違いがない。時の政府の意思がはっきりしないと大きな捜査には取りかかれないという意味の、ずばりそういう言葉ではないけれども、そう受け取れる答弁を法務当局がされている場面だってある。だから、そういう意味で私はこれは政治という場所ですからこの場所は、やはり国会という場所ですから、そういう意味でおっしゃることはわかるのだが、やはりそうかということまではいかなければ問題を解明したことにならないし、凍結解除云々について意思表示はできない、こういうことになる。  そこでそれなら承りますけれども、これは五月二十五日の議事録です。航空機輸入特別委員会、つまり参議院ですね。ここでこういうあなたの答弁です。参議院委員の方が、衆議院証人喚問が行われた、松野さんに関するですね。この証人喚問のやりとりの中で、グラマン社に国会議員の方が行った。松野さん自身もE2Cについていろいろ話したことを否定してはいない。ところで衆議院証人喚問のやりとりの中で、グラマン社に出かけていった方がいらっしゃるわけでございます。その方は参考人としてあなたの方でいろいろお聞きになったことがあるわけですというふうに述べて、つまりだれだということをえんきょくに聞いたわけですね。     〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕 そうしたら、あなたの方は「その方から事情を聞いたかどうかはともかく、どうもその特定の一人の政治家の方が代理店変更を示唆されたと指摘されておる方であろうということはわかっておるわけでございます。」衆議院松野さんの証人喚問のやりとりの中で、私が聞きました。あなたはグラマン社に行ったじゃないか。そしたら、E2Cということで行ったんじゃない、だがアポロの着陸その他をチータム氏が見に行こうじゃないかというので誘われて行った。しかも最初職員食堂でとおっしゃって、言い直して役員食堂で食事して帰ってきた、こういうことをお答えになった。つまりこの限り、グラマン社に行ったという方なんですね。あなたの答弁を見てると「その方から事情を聞いたかどうかはともかく、」つまりグラマン社に行った方「どうもその特定の一人の政治家の方が代理店変更を示唆されたと指摘されておる方であろうということはわかっておるわけでございます。」どうですか、伊藤さん、どこから考えてもグラマン社に行った方。おいでになりましたか、参りました。参議院の方では、衆議院で行ったという方がいますね、事情をお聞きになりましたか、その方ではないのですかという質問ですね。そしたらこういうふうにあなたはお答えになっている。あなたはここまでつまり何となくおっしゃっているわけだから、やはりこれはぎりぎりのところに来ているんだから、もうちょっとそこのところを一歩前へ出て物を言うということはできませんか。言い方は、伊藤さんは名人だから、ひとつそこのところは。いかがでございますか。まあしようがない、そこまで言ってもらえば世の中わかるからということにしてくださいよ。
  465. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ただいま御質問の中でいろいろ御引用になりました点、前後の関係、私もはっきり記憶しておりませんが、いずれにいたしましても代理店変更関係した一人のガバメントオフィシャルの名前を明らかにし、あるいは示唆したつもりはないわけでございまして、大変いろいろな理を尽くしての御質問でございますけれども、何とか御容赦いただきたいと思います。
  466. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ再確認をいたしますが、つまり衆議院のこの証人喚問の席上で、グラマン社においでになりましたかと言ったら、出かけていったとお答えになった方がいる。さてその続き、どうもその特定の一人の政治家の方が代理店変更を示唆された方であろうということはわかっております、そういうつながりでお認めになりますか。
  467. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 どうもそういうつながりでお答えした記憶がないのでございますが、速記録に載っておるといたしますれば速記録に書かれておるようなことは申したと思います。
  468. 大出俊

    ○大出委員 伊藤さん、きょうは大分かたいですな。要するに、速記録に書かれていることはそのとおりだと思います。つまり衆議院の喚問の席上でグラマン社に行ったというふうにおっしゃった政治家の方がおいでになる、「どうもその特定の一人の政治家の方が代理店変更を示唆されたと指摘されておる方であろうということはわかっておるわけでございます。」そう速記録に載っているんならそういうことでございます、こういうわけでございますから、前段を否定されてもいないわけでありますから、押し問答してもいたし方ございませんから、再確認を求めたということにしておきます。  次に、簡単に申し上げれば、ハリー・カーン氏も四〇%の報酬を取りますので独自の工作をするのであろうというふうに思われておったようでございます。つまり、その点も十分詰めてみましたけれども、結局特定の人物がまだ決まっていない、すなわち工作の前でございまして、したがいましてどの日本の公務員にお金を払うかあるいは工作の相手方とするか、そういうことが特定しませんうちに解約になっております、こういうふうに答えておられますが、五十年、五十一年というふうにおとりなのか。もう一つ、五十三年に文書解約がございますね。この契約の解約というのはあなたの方はどっちにウエートを置いてお考えなんですか。つまり五十三年というのは、グラマン社から口頭で云々というけれども、解約されてないではないかということでクレームがついてあわててという場面があるわけですね。これは法的に言うとどっちにウエートがあるのですか、この解約というのは。この契約のつまりメモランダム、覚書でいいんですけれども
  469. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 このカーン氏と日商岩井との間のいわゆる密約と言われますものは二つの側面を持っておりまして、一つは、カーン氏はGI社のコンサルタントであったのにその代理店と二重にコンサルタント契約を結んでおるということでありますから、日商岩井との裏契約というもの、いわゆる密約というものはGI社に対して秘匿されておったわけでございます。ところが、諸般の経緯から日商岩井では四〇%という高い値段では期間も経過して経費倒れになるからこれを解約したいということで解約交渉して了承を得たということでございますので、私どもの理解では五十一年中に実質的に解約された、こういうふうに見ております。その後GI社もカーン氏が日商との間にそういう密約を結んでいたことを知りましたから、最終的に書面ではっきりするようにとカーン氏に言ったようでございまして、その結果、五十三年に御指摘の文書が出た、こういう経緯のようでございます。
  470. 大出俊

    ○大出委員 ちょっとこれを配ってください。委員長いいですか。  伊藤さん、私ちょっと伊藤さんの物の考え方に不納得なんですよ。実は五十年、五十一年あるいは五十二年、五十三年、こうあるのですが、この五十一年という段階は実質的には決まっていた段階なんですね。口で言ってもなかなかはっきりしませんから、E2C決定に至る経過というのを並べてみたのです。ちょっと簡単に申し上げますが、さっと書いてリコピーをとっておりますから読みにくい点もございましょうけれども、御勘弁いただきます。  四十四年八月にグラマン社住友より日商に代理店変更しました。十一月、防衛庁の四次防に向けてのAEWの配備方針というのがここではっきりしております。だから四十四年の代理店契約を取りかえたとき、つまり住友から日商に持っていったとき、この年の十一月にはAEWつまり早期警戒機の配備方針というのは出てきているわけですね。四十五年七月に防衛庁、AEWで第一次調査団を欧米に派遣、帰国後輸入を示唆する報告書作成。当時報告書が出ております。四十五年です。四十五年の十月に四次防原案の大綱が発表されている。つまり当時はこの中でという考え方なんですね。四十六年の四月に四次防原案、これは中曽根試案。このときに早期警戒機というのは国産化という方に大きく傾いた。いわゆる国産化方針、四十六年。これをひっくり返すわけですよね。四十七年の十月に四次防大綱を国防会議決めました。このときにPXL、AEW国産化白紙還元。この間に田中内閣成立、ハワイ会談があるわけですね。下に書いておきましたが、四十七年、ハワイ会談前の箱根会談でE2C輸入が話題に出るよう希望していた。これは日商岩井が希望していたのです、後から申し上げますが。四十八年十月に国防会議にPXL、AEWの専門家会議ができました。第二次調査団が専門家会議の要望で出かけていった。これが四十八年。四十九年の十二月に専門家会議の答申が出て、ここではAEWについては外国機の導入という方針なんです。そして五十年が抜けますけれども、五十年はそう大きな動きはありません。つまり四十九年十二月の方針のままです。五十一年の四月に防衛庁がポスト四次防でAEW十機の導入を要求する方針を決めている。これは五十一年四月です。同じ五十一年の九月にミグ25の事件が起こりました。ここでAEW早期導入というのは非常に有力に当時新聞にも出てきた。翌月の十月に国防会議、閣議、両方が五十二年度の防衛計画の大綱を決める。AEW一飛行隊の新設をする。AEWの一飛行隊の新設をここで打ち出したのです。当時ぼくが質問していますね。五十一年のときには一飛行隊の新設だから十機じゃないのですよ。このときにはもっと多いのですよ。十四、五機。だから、きょう午前中の海部君の答弁で、最初十機と言い、十四、五機と言い、十八機と言っているわけです。この一飛行隊は十機じゃないのです。つまり五十二年になりましてから、一月に五十二年度予算でAEW調査費が二百三十万円計上されている。これはもう入れるという方針をほぼここで決めている。四月にAEW調査団、第三次調査団、これは米国だけです。このときにはE2C、E3Aの調査、このときにはバッジシステムに乗るか乗らないかという問題がございましたから、出かけていっているわけですね。このときにはもうE2Cなんです。はっきりしている。五十三年の八月、防衛庁が五十四年度にAEW六機、五百六十六億円を要求するという方針を決めた。これが四機に削られて、五十四年一月に国防会議でE2C四機の導入になった。こういう経過です。  下を見ていただくとわかりますがね、一番左の四十四年の八月、日商がE2Cの代理店をここで引き受けた。同じ八月にカーン氏と密約ができた。四十七年度、つまりこれは時間があれば申し上げますが、海部さんが記者会見でも明確に言っているとおり、箱根会談に大きな期待をしていた。つまりE2Cの輸入が話題に出るようにという。ところが、海の向こうではチータム社長がE2C売り込みで大統領補佐官アレン氏に会って、このときが事務所から出かけていってホワイトハウスの入り口の廊下のところで百万ドルが出てくる、こういうわけです。田中内閣はその前の七月七日に成立している。八月がハワイ会談、こうです。そうして四十九年にカーン氏と密約の解約交渉を開始した、こういうのです。五十年の年末というのだけれども、正式な答弁では後半にカーン氏が日本に来た、ここで口頭了解だという。これが五十年。五十一年に島田氏が文書で解約の通告を一方的に出したという。ところが代理店を引き受けて、人材その他投入して金がいっぱいかかった、しかもなかなか売れない、売れないから経費もかかり過ぎるからやめる、こう言うのだけれども、そんなことは一つもない。上の動きを見ればわかる。E2C、E2Cでずっと動いていっている。そうでしょう。  ところで、先ほどの議事録に戻りますけれども、五十年、五十一年に解約されたからカーン氏は工作するいとまはなかったというあなたの答弁だが、そんなことはない。五十一年というのは四次防でAEW十機導入の要求をする方針を決めた。AEWになればE2Cに決まっている。ほかのはバッジに乗りはしない。だから五十一年というときは工作が終わっちゃって、E2Cという方向ですでに進んでいなければ意味がない。五十年、五十一年の解約だから特定できなかった。カーンも四〇%もらうのだから、みずから工作しようとしたのだけれども、特定しないうちに解約になっちゃったというのが、ついこの間のあなたの答弁です。冗談言っちゃいけない。そんなのんきなことをやっていちゃあ飛行機は売れませんよ。この間に工作してなければ、四〇%を海部さんの方も認めることもなかろうし、それなりにルートはちゃんとできている、だからそのとおりに進んでいる、これだけのこと。そうすると、私はだからここで申し上げたいのは、あなたはこういうふうに答えたが、そうじゃない。明らかに私はこの捜査の結果については異議あり、誤りがあると思っている。この間に工作もしていれば、それ相当なルートもつけていれば、そうでなければ四〇%というのはやはり出てきやしない。そこのところを、これは解約されたから何もしなかった、それでおしまい、それじゃ納得のしようがない。ここのところどうお考えですか。
  471. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ただいまの具体的事実の経過を追っての御質問でございまして、何だか私がカーン氏になって怒られているような気がするのですが、実際問題として8Kレポートに書いてございますのは、グラマン社の方でわかってみるとカ−ン氏が四〇%もの上前をはねることになっておる、してみると相当金を使うつもりではなかったかというグラマン社の認識がもとになって8Kレポートができておるわけでございます。したがいまして、検察庁当局としても、その点には十分関心を持って検討したわけでございます。ただいま御指摘になりました日時の経過、若干月等においてあるいは私どもの把握とそごする点もありますが、大筋はそのとおりでございましょう。ただ、その間にカーン氏が金を渡すことを条件に工作をしたというような段階には至っていなかったということが明らかになっておる次第でございます。
  472. 大出俊

    ○大出委員 皆さんがお調べになって、つまり金が渡るようなそういう筋道になっていなかったとおっしゃるわけですね。別に伊藤さんを怒っているわけじゃないのだけれども、ここのところは訂正しておきますが、そういうつもりじゃないのです。つまり私が申し上げているのは、事実を並べてみると一目瞭然で、過ぎた経過ですから、いろいろその都度私も内閣委員会質問してきているのですから、並べてみるとこういうことになる。そうすると、五十年、五十一年というところで工作の相手が見つからぬようなことをやっていたのでは、コンサルタントの価値もなければ四〇%の密約をする価値もない。グラマンだって日商岩井だって、天下のグラマン、天下の日商岩井ですから無能な方がそろっているわけじゃない。カーンさんという方に対する評価だって簡単じゃない。先ほども午前中しきりに海部氏が言っていましたがね。そのカーンさんに対する評価があったからこそ四〇%も差し上げることにしたのでしょう。しかも、こういう経過になっていて五十年、五十一年で解約と、こうなってしまったから特定しないうちに終わってしまったという伊藤さんがお述べになった捜査経過というものはうなずけない。だから、もうちょっとそこを私ども納得できるように、なぜそうなっていたのかというところがなければ、紋切り型に伊藤さんがそうなっていなかったのですと言われてみても、せっかくお調べになったのだからそれはやはりお答えになるのが至当だろうというように私は思うのですが、いかがでございますか。
  473. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 まずもって五十一年以降にそういうことは恐らくないであろうということは、常識的にもロッキード事件の発覚という事態がございましたから御理解願えると思いますが、さてこの世の中に存在しないことを証明しろというのは非常にむずかしいことでございまして、確かに御指摘のような事実の経過がございますから、そこに疑惑というものが生じたわけでございまして、いま御指摘になりましたような観点から鋭意調査をしましたけれども、この前お答えしましたようなところが結論でございました、こういうことでございます。
  474. 大出俊

    ○大出委員 伊藤さん、もう一遍承りますが、事の出足というものはチータム発言、これは一月九日の朝日新聞ですけれども、つまりチータム発言によれば川部氏とハリー・カーン氏と両方がアレンジをするという形でいろいろな人にここで会っている。そしてそれがやがて示唆する高官につながっていくのでしょう。そうすると、チータム氏つまり権限を持っているGI社長の判断として、示唆を受けた、この判断は二人しか出てこないのですよ、ここのところでチータム氏の口から出てくる人の名前というものは。それは中曽根さんやほかの人もいるけれども、一番よけいやったのは松野さんだ、こう言っているわけでしょう。この限りチータム氏側から見れば、カーン氏のルートというものは岸さんにもつながり松野さんにもつながっていた、こう当然見たわけでしょう。工作がここからすでに始まっているのでしょう。この会合というのは一種の工作でしょう。だから日商に持っていったのでしょう。すると、出足のここのところをお調べになった結果、どういうようにお考えになっているのですか。岸さんとの関係松野さん、チータム氏との関係カーン氏との関係、川部美智雄氏との関係、いかがでございますか。
  475. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 四十四年の二月ごろと思われますが、カーン氏とGI社の法律顧問のノーマン・ポール氏、それからときにチータム氏も加わりまして、いろいろ日本の国内の状況の調査に来ております。そのとき確かにいろいろな人に会っているようでございます。これを工作と名づければあるいは工作なのかもしれません。しかしその際には、たとえば代理店をどうした方が有利に売り込めるかとか、あるいは自衛隊の装備関係考え方はどうかとか、恐らくそういう一般的な問題を広く情報を集めたものと認められるわけでございまして、それに基づいて代理店変更をして、さあ一生懸命売り込もう、こういうことになるわけでございまして、まあいわゆる工作というものがどこから始まり、どこで終わるのかということはきわめて認識しがたいことでございまして、そういう意味でいろいろな人と接触を持っておったことは間違いないと思いますけれども、それがいわゆる実弾を伴う工作というようなものではなかったという意味において、私はそういう工作は認められなかった、こう言っておるわけでございます。
  476. 大出俊

    ○大出委員 残り五、六分しかありませんので、実は承りたいことがたくさんあるのですけれども、いずれも取り上げれば長くなりますから、ここで二、三点確認だけ求めておきたいわけであります。  一つは、この密約をつくる席にだれとだれとだれがいたのかということについてお調べでございましょうか。というのは、先ほど私が申し上げました、つまり海部氏の記者会見の後の一問一答のテープによりますと、岸さんのかつての秘書の川部美智雄さん、この人のおつき合いについての質問が記者の方から出ました。これに対する答え。全然おつき合いはございません、契約の席にはいましたが、どういうふうなおつき合いをしたかという記憶がない、こう答えている。契約の席にはいたがと、こうなっている。これはテープに入っています。そうすると、私は四人——確かにもう一人日商の社員がいたかもしれぬと言っているから、三人ではない。海部、島田、カーン、もう一人いたと海部さんは言っている、このもう一人はだれか知りませんけれども。そうすると、これからいくと、これが川部さんになるわけですね、ここにございますけれども。この辺のところはお調べになりましたか。それまでのアレンジはその二人がやってきているわけだ。
  477. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 実際にカーン氏と海部氏がサインをする場にだれがいたかという点は、率直に言って、けさほど海部氏が証言しておられた程度しか確定できておりません。
  478. 大出俊

    ○大出委員 そうすると皆さんの方は、原田検事が長くアメリカに行っておりましたが、チータム氏、カーン氏、全くノータッチで捜査を終了された。実はここに、いままでの伊藤さんの答弁の中では、そんなに抜かりのあるような捜査はしない、つまり原田さんが向こうに行っているからという意味の答弁がありまして、帰ってきた後の捜査終了後の質問では、原田氏がもしそういう必要があるとすればそれは司法当局を通じてというふうに言っておられる。これは五月二十三日の法務委員会答弁ですね。その限りでは抜かりがなかったはずが抜かっているわけですが、カーン氏あるいはチータム氏と、捜査という意味でどのような関係で手をおつけになったわけですか。
  479. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 アメリカ国内におりますアメリカ人の方をわが国の検察官が直接調べたことはございません。それはすでに申し上げたとおりでございます。それらの必要な方々につきましては、連邦司法省の検事を介し、あるいはSECの係官を介して調べを遂げておるところでございます。ただし、川部氏につきましては取り調べは行っておりません。これは西ドイツでございましたために行えなかったというのが実情でございます。それらのものを全部総合いたしましても、一体サインのときにだれとだれとだれがいたかということはついに確定はいたしておりません。
  480. 大出俊

    ○大出委員 これは非常に大きな問題だと私は思っているのですよ。  時間がありませんからもう三点だけ承りますが、けさの海部さんの答弁の中で、岸事務所中村長芳先生侍史という手紙、もう一つ、ここに手紙の案文がございますけれども、四十二年三月二十四日付ですけれども松野頼三先生侍史、二つございます。中村長芳氏あてのものは四十二年一月十七日付です。これは安田弘道さんという記者の方、いまアメリカにおいでになりますが、この方が当時有森氏が持ってきた資料を筆写したわけですね。午前中の質問で、この二つの手紙について海部氏は、私が書いたかどうかということについては非常に記憶がない、ただ大変お世話になっておりましたから、書いてある中身のようなことはお願いに参りました、こういう答弁をなさいましたが、この二つの手紙の存在と、この手紙の中身のような事実があったのかなかったのか、どういう捜査結果でございましょうか。(資料を示す)
  481. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ただいま御指摘のような文書があったということは承知をいたしております。その中身の真実性につきましては、率直に申し上げまして、具体的に検察当局からまだ報告を受けておりません。必要があれば確認をいたします。
  482. 大出俊

    ○大出委員 確認をしておいていただきたいのです。  それで、時間が参りましたので二つだけ申し上げて終わりにいたしますが、山村謙二郎氏が答弁をいたしました日商岩井の政治献金。この政治献金につきまして、岸さんに金が行っているかいないかという点で、刑事局長伊藤さんの答弁は、つまり自治省に届け出をしていたものと差があるという意味においては金が行っていないとは申し上げられない、こういうふうに答えていますね。これは山村謙二郎氏は、検察庁に一月十四日の時点資料をみんな持っていかれてしまったから資料がそれ以上ない、こう言うわけでありますけれども、国民協会に三億ですね。つまり国民協会の三億を入れてみても五億からの金が十年間にわたる日商岩井の政治献金としてつじつまが合わない。この点については資料はあなたのところに行っているはずですが、どういうふうにお調べになって、この金は全く表に出ていないからわかりませんけれども、結果どういうことに流れているのかという点。  それからもう一点、例の第二枚目の海部メモの一千万円という金。これは私が調べた限りでは、ここにございますが、詳細に書いてありますが、改めて申し上げますけれども日本館が昭和四十二年十月四日に逆に日本に向けて振り込んでいます。四十二年十月七日に一千万の金は日本に着いている。これについて、いまこの席でずばり出どころを言ってしまうわけにはまいりませんけれども、あなたの方でお調べになった結果、ドイツの国内法の関係もあって、だれの口座、どこの口座であるか調べられなかったということはおっしゃっているわけですが、けさのやりとりでは、中村長芳氏の指示に従って、電話の依頼ということを最後に言いましたが、依頼に従って一千万送ったが、だれのどこの口座か私も知りませんということを答えている。ここのところ、二つ。
  483. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 まず第一点ですが、確かに日商岩井社長室の決裁を受けまして献金をしましたリストというものがあったようでございます。恐らく検察庁で押さえておると思います。多分それと思われるものを私も見ましたけれども、非常にたくさんの方々の名前が書いてありまして、一々覚えておりませんが、恐らくその中には岸元総理の名前も出ておったと思います。ただ、それらのリストが政治団体に対するものと政治家個人に対するものとが分別されないで多分書いてあったと思います。  それから二番目の御指摘のドレスナー・バンクに対する一千万円の送金、これは従来私、御答弁で名前を申し上げませんでしたけれども、きょうの海部氏の証言によれば、中村長芳氏からの依頼によって振り込んだ、こういうことでございまして、この関係は公判の関係もありますので、現在なお継続して調査をいたしておるところでございます。前回御答弁申し上げる時点では、西ドイツのことでもあり、はっきりいたしておらなかったのでございますが、現在なお継続して捜査しております。
  484. 大出俊

    ○大出委員 これで終わりますが、念のためにもう一遍伊藤さんに申し上げておきます。  山村謙二郎氏は、四十三年の四月一日から五十三年の三月末日まで約十年、政党及び政治家個人に対するものである。総額九億八千万円、うち国民協会三億九千万円という内訳である。したがって、九億八千万円から三億九千万円を引きますと、残り五億九千万円になります。自治省への届け出を調べてみますと、一億一千四百六十一万円でございます。だから五億九千万円から一億一千四百六十一万円を差し引きますと、四億七千五百三十九万円という金がわからないところにある、こういうわけですね。この四億七千五百三十九万円の行き先は、いまのお話で団体、個人いろいろたくさんこうある。その中に岸さんのものもある。ここまでいいのですな。
  485. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 山村氏の証言に基づいていま御指摘になりましたけれども、金額等はどうも山村氏の記憶違いもあるようでございます。(大出委員「それじゃ幾らくらいですか」と呼ぶ)九億というのは必ずしも正確でなくてもうちょっと多いかもしれませんけれども、いずれにしましても先ほどお答えしたとおりでございます。
  486. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。
  487. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員長代理 小林進君。
  488. 小林進

    ○小林(進)委員 刑事局長にお尋ねいたしますが、いまの質問のやりとりを聞いておりますと、どうも中村長芳——川部氏はまだ参考人ですか、何かお調べになっていないというのでございますけれども、中村長芳の方は、これはドイツではございませんので、一体捜査当局はお調べになったことがあるのかどうか、これ一つだけお聞かせを願いたいと思います。
  489. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  どういう方をお調べ申し上げたかということは、お答えいたさないことにしておりますが、必要な方はいずれも調べ得る限りにおいて調べております。
  490. 小林進

    ○小林(進)委員 きょう午前中からの証人に対する質問の中で、中村長芳、中村長芳、耳が痛いくらい出てまいりまして、この航空機輸入に対しては大変重要な人物であるということがさらに浮き彫りされたのでございますけれども、いまのお話では、そういうふうな答弁しかちょうだいすることができませんので、私どもは捜査当局に期待することをやめまして、国会独自でひとつこの問題を解決するように努力いたしたいと思います。  次に、防衛庁長官にお伺いをいたしますけれども、このE2Cの購入に関しまして、防衛庁法務省の捜査報告が犯罪の容疑がなかったとしていること、これを理由にして予算の凍結解除を求めておられる。しかし国会側から見れば、政治的道義的責任上あるいは行政の責任という観点からも、どうも本問題をそう安易に防衛庁の要望にこたえるわけにはいかないというのが、これは野党の一致した考え方でございます。  先般の本委員会における刑事局長答弁会議録のままに読み上げますと、「グラマン・インターナショナル社のメンバーが日本へ参りまして、一人のガバメントオフィシャルに接触をいたしましていろいろ意見を求めましたところ、これまでGI社が使っております住友商事から日商岩井代理店変更した方がいいのではないかという示唆がございまして、それを本国へ持ち帰り」云云、こうなっているのでございます。日商岩井がいいと示唆した一人のガバメントオフィシャルが実在したことは事実だ。これは先ほども刑事局長は認めていらっしゃる。このことの政治的責任の追及は、これは法務省とは別です。これは法務省に言ったってさっぱり伊藤さんは言わないんだからだめだ。けれども、本委員会では、やはりE2解除の問題に関係してどうしてもこれは明らかにしなくちゃいけない。しかも、この人は日商岩井から工作資金及び成功報酬としてどうも五億円を受け取った人ではないかという疑いがこれは深いんだけれども、先ほどの大出さんの質問にも行ったり来たり、来たり行ったり、まだるっこくてしようがないけれども、これは一体防衛庁長官としてわれわれにそういう圧力——圧力じゃないけれども、加えて、早く解除してもらいたいならば、われわれの要望にもこたえてこの辺やはりきちっと返事をしてもらいたい。これが一つ。  また、ハリー・カーン日商岩井とのコンサルタント契約にしても、ハリー・カーン氏は日商岩井に入る口銭の四〇%という高いパーセンテージの口銭を取ることになっていた。取らなかったですけれどもね。その特定の人物に工作が行われる可能性が、これはちゃんと一時存在したこともまた明らかだ。そして時効の壁に阻まれて刑事訴追は免れたが、F4Eファントムに関して五億の授受があったことを考えると、E2Cについても疑惑が完全に解明されたというわけにはいかない。どうですか、この点は。誠心誠意を持ってひとつ私のこの質問に答えてください。
  491. 山下元利

    ○山下国務大臣 御指摘の点につきましては、私も聞き及んでおりますけれども、E2Cに関する限りにおきましては、私どもは繰り返し申し上げておりますとおりに、その選定の経過からいたしましても一切不正はないものと承知いたしておる次第でございますし、そしていま御指摘の点につきまして、われわれは、この委員会の御審議につきまして政府としてとやかく申すことは、これはいたすべきではございませんけれども、しかしながらE2Cに関する限りは私はいささかも、純粋に防衛上の見地から選定いたしましたものでございまして、われわれといたしましては不正はないものと信じておりますが、特にまた法務省の方からいろいろお調べの点によりましても、解明されておると私は承知しておるわけでございます。
  492. 小林進

    ○小林(進)委員 私があなたにお伺いしておるのは、そのいわゆる政府高官と称する者がいたことは捜査当局も認めている、いらっしゃいましたと認めている。その人は日商岩井から工作資金及び成功報酬として五億を受け取った方じゃございませんかということを私はあなたに聞いている。そうじゃございませんかということを聞いているのですよ。あなたに聞いているのですよ。捜査当局に聞いたってだめだ、むだだから、あなたに聞いている。
  493. 山下元利

    ○山下国務大臣 それは私はわかりません。
  494. 小林進

    ○小林(進)委員 わからない。それがおかしいのですよ。あなたはわからないで、どうしてE2Cに白さも白し富士の白雪なんてそんなきれいなことを言われるのですか。私どもが、もしこの人であるとすれば、その五億の中身は、いやしくもF4ファントムの努力並びに成功払いでもあり、あるいはそれにつながるE2Cの努力の金でもあり、あるいはまた伸びてはF15の、次の戦闘機輸入に対する努力報償、これがみんなで一かたまりにだんごになってこの五億の金が動いておるとわれわれは考えておる。だからこの人であるとすれば、これはE2Cというものを特別に切り離して、こっちは白いがこっちは黒だなどという区別はつかない。だから人によって問題はおのずからシロ、クロが明らかになってくる。あなたは、白さも白し、E2Cだけに関しては断じて白いなんて言われているけれども、そうきれいな口をきかれない。その政府高官がだれであるかによっては、そんなきれいなことは言われないのです。だからそれを追及しているのです。あなたは知らないで、どうして白さも白しなんて言われますか。問題は人によってシロ、クロが決まるのですよ。その人も知らないでどうして白いなんて言われますか。
  495. 山下元利

    ○山下国務大臣 お答え申し上げます。  その人等にいろいろと金品が動いたとかいうふうなことはございますが、少なくとも私どもは、E2Cに関する限りは選定の経過におきましてはいささかも不正はございませんし、しかもこのE2Cにつきましては、この予算の執行について議長の方の御判断をいただきますならば、それから先に執行されるものでございますので、今後そうしたことについては全然関係のないことと承知いたしておるわけでございます。したがいまして、委員会でお調べになることは、政府としては何とも申し上げることはできませんけれども、少なくともE2Cに関する限りはいささかも疑惑のないものと承知しておる次第でございます。(「明快」と呼ぶ者あり)
  496. 小林進

    ○小林(進)委員 ちっとも明快ではないのでございまして、われわれはあなたの話を聞いていると、そのE2Cなるものがどんな利権の対象になろうと、あるいは賄賂の対象になろうと、あるいはそのE2C賄賂を中心にしてもろもろの黒い霧が渦巻いていようと、それは防衛庁関係したことではない、防衛庁自身はE2C自体が入ってくればそれでよろしいのだというそういうあなたの考え方、これが私は大変危険だと言うのです。これはいみじくも先ほど増田元防衛庁長官、まああなたの先輩が言われた。いやしくも日本の国防に関する重大問題だ、国民の生存に関する重大問題だ、そんなものに一厘一毛も不正や黒い霧がついて回っちゃいけないと言われたのです。私がいま質問しているのはそれなんだ。それをあなたは、防衛庁自体だけはきちっとしておれば、入ってくる品物はいわゆる事件、賄賂の黒い霧に包まれたものでも、それは問題なくきれいなものでございますというそういう見解は、いささか私はその頂点に立つ政治家としてはピントが少し外れているのではないか。私は自衛隊なんて余り賛成ではありませんけれども、国民の側から見ても本当にわれわれの安全と生命を守るものであるならば、その守る兵器であり、その中心たるべきものはすべての点において清く、清らかでなくてはならぬというのは、これは国民の願望だと思うのです。いま真っ黒けに包まれているという疑惑は一つも晴れないのに、白さは白し、早く入れてくれという話は通じない。あなたの答弁はちょっとピントが外れているのではないですか。
  497. 山下元利

    ○山下国務大臣 御指摘のとおり、国民の平和と安全を守るものにつきましていささかも疑点はあってはならぬと思います。その点につきまして、E2Cにつきましては、私の承知する限り、いささかも疑点はないものと思う次第でございます。
  498. 小林進

    ○小林(進)委員 同じことを行ったり来たりしているけれども、そのE2CとF4ファントムとF15は、みんな一つの、五億の金をいわゆる握られた人を中心にして動いておるという疑惑はちっとも晴れていないというのですよ。あなたは晴れた、晴れたと言うから、それを晴れたと言うなら、五億をつかまれたその人とは関係がないという証明をここにいたしなさいということを私は言っている。  時間がない。そんなことを言っているうちに、あなたにいちゃいちゃ質問しているうちに、みんな時間を食っちゃってどうにもならなくなってしまう。  次には、今度のグラマン、ダグラス事件で浮かび上がった大きな問題点は、与党の派閥と商社が結びつき、防衛庁の人事を壟断した、そして、指定の機種を売り込んだというのが、これは航空機輸入の重大問題です。防衛庁の人事を壟断した、防衛庁の中に汚れた手の制服はいないとしても。  またもう一つの問題は、商社防衛庁制服組との癒着がはなはだしいという問題が浮かび上がった。かつて防衛庁はバッジシステムの導入に関し、川崎一佐が実刑の判決を受けたという苦い経験があるでしょう。山口空将補が自殺あるいは斃死を遂げた事情は、聞くも涙の物語があるでしょう。その続きを言うたら、これは一体斃死なのか自殺なのか、国民はまだ多くの疑惑を残しておる。この時期に川崎一佐から伊藤忠に流れた資料は実に膨大なものがあった。こういう問題があるでしょう、まだ国民の記憶の中に新しいのですよ。また、FX商戦に絡み、防衛庁内部の制服組の会議の内容が、だれがどんな発言をしたかまで正確にみんな外部に漏れているということ、これも国民はみんな知っている周知の事実だ。これは前に参議院で議論されたようでありますが、まずここで、一体日商岩井に対する制服組の天下りの状況はどうなっているのか。これは野田君が質問した質問要旨がありますから、時間がありませんから、どれだけ一体天下りしているか、これは文書でひとつあなた出してください。それからその他の大手商社でも、制服組の天下りの多いのはどこか。これは私も若干知っていますけれども、これも書類で出してもらいたい。いいですか。  それに対して先ほど増田さんが何と言った。くどいようでありますけれども、国民からすべて疑惑を解明してきれいでなくちゃいかぬ、特にシビアに、もっとこれは厳密にしなければいかぬ、あなた賛成の意を表せられた。それとこの天下りと一体どうなるのですか。問題の商社にこんなに多く天下りしておる。これが一体防衛庁のシビアな姿勢として正しいと受け入れられるのかどうか。いいですか、説明するまでもなく、昭和四十八年の十月、防衛庁設置法が改正をせられて、三十七条の二によって自衛隊離職者就職審査会が設けられたことは、あなた御存じのとおりです。これは、一般職の公務員は人事院によってその天下り審査がされるけれども、制服組は特別職であるためこれによって規制されることになった。しかしその後のいわゆる効果、実績をながめていると、人事院のような独立機関ではなくて、防衛庁内部の機関であることによって、この審査会がどうも十分機能しているとはわれわれから見ては考えられない。防衛庁長官どうですか、一体これは非常に機能しているとあなたはお考えになっておるのかどうか。審査会の審査状況についてお伺いをいたしたい。少なくとも日商とか、防衛庁にかかわるようなものを扱っている商社、そういうものは幾つか限定をして、そこらあたりには天下りをしないくらいの内部規制は一体できないものですか。あなたは増田さんと口を合わせて、おれはそういう出入りの商社その他とは会わないと言われた。あなた個人が会わなくたってだめなんです。あなたのその姿勢が、いわゆる幹部、防衛行政に携わっている者までさっと一貫してその姿勢が貫かれなくてはならない。何もないじゃないですか。  以上の点、いかがですか、御答弁をいただきたいと思います。
  499. 山下元利

    ○山下国務大臣 防衛庁長官として、まず第一に努むべきことは、先ほど増田委員からも御指摘ございましたし、またいまもございました。何としても、この疑惑を生ずることのないように努めなければならぬことはもう当然でございますし、私初め防衛庁職員、そのことに徹しております。  ところで、いまいろいろ商社等に対して、防衛庁あるいは自衛隊の職員であった人たちが退職後再就職することにつきまして、いろいろと参っていることも事実でございます。これは防衛庁の若年停年制との関係からいたしまして御理解賜りたいと思いますが、それらについての資料は提出させていただきます。  ところで、就職審査会の問題でございますが、いままでこれらにつきましての審査をされたことはございません。しかし、これにつきましても私は十分機能していると思いますのは、それぞれ再就職いたしましてもその再就職しました先におきまして、何と申しますか、権限等につきまして持つような配置についていないということでございます。法律ができましてから後ですね。したがいまして、これにかけるべき事案がないわけでございますが、それらにつきましては、十分私どもの方で先ほど申しました趣旨に従いましてそれらの点を心がけておるために、この審査会に直接かける事案がないだけのことでございまして、このことがあることによりまして十分趣旨は徹底しておるし、そういう意味において機能していると私は承知する次第でございます。
  500. 小林進

    ○小林(進)委員 防衛庁商社の癒着が、それは政治家のような大きな癒着はあるとは言わぬけれども、いま一体ないとあなたは言われますか。かつて昭和四十二年の春、自衛隊幹部が野外訓練計画という名のもとに、わずか千五百円の会費で商社等の接待によるゴルフを楽しむという箱根ゴルフ事件というものがあった。いまでも国民の中にこれはまだ胸に残っている。厳正な職務執行上、癒着防止について防衛庁として以後、現在、一体どういう対策を講じていられるのか、お伺いいたしたいのであります。  また、たとえば風の便りに私どもは実に不愉快なことを耳にすることがありますから、お聞きしておきたい。  それから、次に重大なことは、グラマン・ダグラス事件を通じて商社が特定の機種を売り込むために、先ほどから言われたことなんですが、防衛庁内の人事に介入した。これは事実が午前中の質問の中にも何回も繰り返されてきた。かつて、海原と言えば御存じだろうが、この官房長の追い落としのために怪文書事件があって、三人の者が実刑に処せられた。海原氏自身もこの国会で、ノースロップF5を個人的に推していたことが国防会議事務局長に転出された原因である旨の発言をした。これは先ほど増田老は——増田老と言っては失礼でありますが、増田代議士は、おれがやったことは適材適所、栄転だったということを言われておりましたけれども、本人は左遷であるというふうにここで証言をしている。また海部八郎氏から松野頼三議員にあてた、牟田空幕長を留任させてほしい、田中空幕長の昇格を阻止してほしいとする旨の文書も先ほどの質問の中にあった。そういうことは当時のもっぱらの風評であった。彼は決してその事実のあったことを否定しなかった。私はそのことを文書にして所属長に報告したんだ、彼はこういうことを言っているのであります。こういう事実が幾つもあれば、残念ながらこれらの真相はまだ防衛庁を通じてみずからの——これはみんなあなたの省から出ておる火だ。本家本元のあなたの方から、それがあったとかないとか、何らそれを釈明、弁明あるいは国民に明快にするような答えが何も出ていない。依然として、これはやぶの中に入れられているというかっこうなんであります。こういうことに対しては、もううわさが出る前だけでも防衛庁はえりを正して、そういう刑事事件や捜査当局がある、ないなどと言う前に、古い、新しいは別として、たあっと調査を開始して、みずから進んでその真相を国会を通じて国民の前に明らかにするという、そういう姿勢がなくちゃいけない。単にあなた、特定の商社とは会わないというそんな女性的な発言じゃなくて、もっとこういう面を堂々とここで宣言、発言しなければならぬと私は思うのだが、いいですか。やってないでしょう、いままで何も。また、商社の要請で防衛庁の人事が行われるようなことがあっては——断じてこれはあってはならないことですよ。ならないことが仮にあったとすれば、これは大変な問題。大変な問題でしょう。いままで何にも返答がないから、ここで改めて直ちに調査して、神に誓うような気持ちでその真相をわれわれの前に御報告されるお考えがあるかどうか、この問題に対して。これは何回も繰り返されたものでありますけれども、一番中心の防衛庁から答えがないのでありますから、遅まきながら、直ちに調査してわれわれに報告される意思があるかないか承っておきたい。さもなければ、E2Cの解除なんて簡単にやるわけにいかないです。その分で、ひとつやってください。
  501. 山下元利

    ○山下国務大臣 人事の問題につきましては、私は繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、あくまで防衛庁長官の責任をもちまして厳正に行っている次第でございまして、その人事につきまして不当な介入は私は絶対ないものと信じております。そしてまた、いろいろ御指摘の点につきましても、われわれはえりを正して国民にいささかも疑惑のないように努めておる次第でございまして、今後ともいまの先生の御指摘は私は十分体しまして、えりを正して措置してまいりたいと思う次第でございます。
  502. 小林進

    ○小林(進)委員 あなたのえりを正すことは千万言聞き飽きた。そのえりを正して各省から、やれ捜査当局だ、あるいは法務省だ、あるいは方々から来るけれども、一番の火元のもとであるあなたのところから、政治家介入に基づいてこういう人事をやった覚えがないとかやったとか、そういう自体、あなた方の発言にはない。だから、私どもも国民もみな疑惑がまたがっておる。海原問題一つとらえても、早急にあなたの方からみずから進んでわれわれの前に、政治家介入あるいは商社介入によってそういう人事をやったことはありませんと、もっと明確な資料に基づいて御報告をいただきたい。  もう時間がありませんから、この問題に答えを求める前にいま一つ申し上げますが、それは昭和五十二年の七月二十七日、在韓米地上軍撤退問題について米韓定期安保協議会を終えてブラウン米国防長官が日本へおいでになった。このときブラウン国防長官は福田総理と会い、また別個に鳩山外相、三原防衛庁長官と会った。その三原防衛長官と会ったとき、防衛庁側で出席した者は一体だれなのか。その会議の状況はどんなことであったか。これはちょっと簡単に私お聞きしたい。できなければ、後日、後で文書でもって回答してもらってもよろしい。いいですか。  そのときに、これは週刊現代ですが、週刊誌、最近号によると……(「週刊誌はあてにならぬ」と呼ぶ者あり)ああそうか、そうか。よろしい。それは前防衛庁長官があそこでやじを飛ばしているから、やじも発言のうちだから、これは聞いておきましょう。それによれば、在米国ジャーナリスト文明子女史、これは私の非常に信頼している私の友人だ。これが駐日大使の極秘公電と称するものの全文を暴露している。その公電によると、外交的支援を与え、経済的関係を維持することによって日本が韓国の安全保障に寄与することを米国政府は願っている。日本にそれを願っている。しかし、米国政府は、日本における韓国政府の不法行為を調査することでこの日本政府の責務をむずかしくしている。責任をむずかしくしている。韓国の中の防衛の援助ができないように邪魔をしていると語った防衛庁高官がいるという。これをブラウンに言ったという。こう言ったという高官が防衛庁の中にいるというのだ。一体この高官はだれなのか、私はそれをひとつ教えていただきたい。防衛庁の人間が、金大中事件その他一連の人権問題、国際的な人権問題に関し、アメリカが日本における韓国政府の不法行為を調査することは、アメリカが独特に調査していることは、これは好ましくないなどという政治的な発言をしている者が防衛庁の高官の中にいるという。これは国会に対する挑戦です。いまこういう問題が国会の中で真剣に討議されているときに、はなはだ不謹慎きわまる。これを一つ聞いただけでも、とてもE2Cの解除なんというものは安易に応ずるわけにいかぬ。この問題を明確にしておかなければ困るぞ。心からなる憤りを感じているのだが、以下続けて御答弁いただきたい。
  503. 山下元利

    ○山下国務大臣 防衛庁の人事についてはいろいろお話がございましたけれども、私ども政治家なりまた商社からの不当な介入があったわけではございません。いろいろな人事がございましたためにそれらについていろいろな御指摘もございますけれども、これはすべて外部からの介入によって人事が左右されたことではないと私は信じております。私になりましてからも事実そういったことについては絶対ございません。  それから、ただいま御指摘の点につきましては、私も初めて伺うことでございますので、その点につきましてはただいまお答え申し上げることができませんので、この点はよく調べてみたいと思いますが、それらについてはいまのところ御答弁申し上げることはできません。
  504. 小林進

    ○小林(進)委員 これは委員長に……。  私は、きょう午前中からの証人の喚問、それから午後の政府当局に対する質問等を通じまして痛切に感じたことは、航空機輸入に関する疑惑がさらに濃厚になってまいりましたことが一つであります。  なお加えて特に申し上げたいことは、松野頼三氏の偽証と岸信介氏の証人喚問及び中村長芳、川部美智雄氏の証人喚問の必要性はいよいよ私は明らかになってきたと思います。また、午前中のテレビ等を通じて生にこれを耳にせられた国民も、一様に私と感を同じゅうせられているものと私は信じます。したがいまして、ここで委員長にお願いいたしたいことは、松野氏の偽証の告発と岸、中村、川部三氏の証人喚問をひとつ理事会の手続などを省略いたしまして、直ちにここで委員長、採決されることを私は心から要望いたしたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  505. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員長代理 御意見として承っておきます。
  506. 小林進

    ○小林(進)委員 委員長の善処を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  507. 山崎武三郎

    ○山崎(武)委員長代理 長谷雄幸久君。
  508. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 きょうは法務大臣にお伺いしたいと思っておったのですが、かぜだと伺っておりますが、大変残念でございます。もっぱら刑事局長にお尋ねをいたします。  いわゆる五億円というお金につきまして、刑事局長は、ファントムに関する金であってE2Cにかかわる金という色彩が全くない、こう御答弁がございました。しかし、五億円の一部はE2Cの工作費に使われているのではないかとの疑惑が数多く指摘をされております。  そこで、刑事局長にお尋ねをしますが、刑事局長は五億円の金のことにつきまして、常識的に数億の金を出すからには理由がないといけない、そしてまた海部の立場から言えば、何らかの事実がなければこのような多額の金を出さなかったと思う、こういう御答弁がございました。これは五億円の金が単純に政治献金ではないという常識論を述べたものだと思われますが、そうしますと、この常識論を推し進めてまいりますと、五億円の全部がファントムだけに関するものであり、しかも五億円の七五%が成功報酬だけに関するものだ、こう見るのはいささか常識的でない、こう思うのです。つまりこの七五%の中にはE2Cも絡んでいる、こう見るのが常識的ではないか、こう思うのですが、その辺のところについていかがでございましょうか。
  509. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ただいま御引用の私の答弁は、比較的初期の答弁であろうと思います。松野氏が御証言になりました後におきましては、比較的明快にお答えをいたしておるつもりでございますが、本日の海部氏の証言にもその片りんが出ていたと思いますけれども、F4ファトムの売り込みに関して松野氏の力に負うところが大きいという意味において、松野氏からの要請によりまして五億円というお金が決まりまして、分割支払いといいますか、俗に言えば分割的な支払いとして数年にわたって五億円が支払われ、これが完了した、こういうことでございまして、検察当局による捜査の結果に徴しましても、その間にE2C絡みの色彩は全くないように認められるのでございます。
  510. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 E2Cは国が——これは刑事局長答弁でございますが、E2Cは国が買う巨額な航空機である。不正が絡んでいれば検察としては看過できない。E2Cをめぐる諸問題は十分解明されたつもりである。この解明の過程において検察として取り上げなければならないものはなかった。これは去る三日の答弁でございます。そこで一般論としてお伺いしますけれども、検察として取り上げるというのはどういう意味でございましょうか。
  511. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 犯罪の嫌疑ありと認めて捜査をする、こういう趣旨でございます。
  512. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 そうしますと、検察は犯罪捜査が任務でございますので、犯罪以外はいわば所管外、そういうことで、いささか当を得ない気もするわけでございますけれども、犯罪と隣り合わせであるということから私はあえて刑事局長にお尋ねをしたいのでありますけれども、犯罪として立件するとまではいかないけれども、捜査の結果、犯罪的事実の片りんの存在をうかがわせる資料の有無についてはどのような捜査結果だったかお尋ねします。
  513. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ただいまお尋ねのようなものがないかどうかを鋭意調査をいたしたわけでございますが、E2Cをめぐっておよそ金が動いたという事実は全く認められない。それから、先般来申し上げておりますように、代理店変更を示唆したこととなった人はいますけれども、何ら犯罪にはなりませんし、また、犯罪の周辺にありますような分野の問題でもない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  514. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 同じく刑事局長答弁の中で、これも同じ三日でございますけれども、日商側の資料を精査し、関係者の事情聴取をした結果、ファントム売り込みに対する五億円のいわば約束の履行として払われたものである、E2Cに関する金という色彩は全くない、こうおっしゃっておりますけれども、ここでお尋ねをするのは、日商側のどのような資料の精査に基づくものか、もし御答弁できればお願いしたいと思うのです。
  515. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 個々具体的な資料の詳細を申し上げることは差し控えさせていただきますが、今朝の海部証人証言の中にもちらほら出ておりましたように、この五億円の支出につきましては社内で関与した人が数名おるわけでございます。それらの人からはもちろん事情を聞いているはずでございますし、さらにこれだけの金額になりますと、金の捻出その他事後処理等をめぐりまして社内的な文書等も多数つくられておりまして、それらの客観的な資料、こういうものをも参考にいたしまして認定した次第でございます。
  516. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 刑事局長は、同じく答弁で、松野氏に五億円を贈ることは、海部だけじゃなく当時の西川社長や島田氏、財経本部の責任者も知っていた、こうお答えになっております。そこでお尋ねをしますけれども、財経本部の責任者も知っていた、こういうことは、日商側は会社として利益計算も相当やっておった、こう思われるわけですね。そのあたりの資料の捜査についてはどうなっておりましょうか。     〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席
  517. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 海部氏の証言にも出てまいりましたけれども、五億円という金は相当膨大な金でございます。したがいまして、これを何らかの方法で捻出をし、仮払いをし、かつ、それを逐次補てんをしていくということは、比喩的に言えば相当な難事業でございまして、そういう意味におきまして、それにそれぞれかかわりのある人がそのやり方についていろいろな知恵を出し合いながらやっておったわけでございまして、そういう関係について詳細捜査を遂げておる、こういうことでございます。
  518. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 同じく局長答弁の中で、日商の中でときどき採算に関する計算書をつくって、出してももうかるといいますか、というようなことを説明しながら出しております、こういう御答弁がございます。  そこで、さっきの厳密な利益計算とも兼ね合いがあるのですけれども、こういうことから当初五億円を出指した日商の側にとって、この穴埋めにつきましては、当初毎年二万ドルのファントムの利益で埋めていたけれども、額が大き過ぎて、後にRF4Eに伴う事務所経費の利益で埋め合わせをした、こういうことですね。そういうことから考えますと、RF4Eで穴埋めをしたということだけでなしに、もっと正確に言うと、この穴埋めについては、E2Cを含めたRF4Eで穴埋めをしようというのが当時の日商側の意図であったのではないか、こう思われるのですけれども、そういう日商側の意図をうかがわせる資料というものは捜査上出ていなかったんでしょうか。
  519. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 日商側の資料等に基づいて調べてみますと、この五億円というものはファントムの金ですから、ファントム絡みの金ですから、できればファントムの利益から逐次埋めていきたいと思っていたようでございますが、埋め切れない。そこで一挙に埋める手段として、RF4Eの契約に関して、すでに御承知の事務所経費というようなものを相手方に要求いたしまして、それを出してもらうことによって一気に穴埋めをした、こういう経緯になっておりまして、その間にはまだ本当に売れるかどうかもわからないようなE2Cの手数料収入を当てにするといった様子は全くなかったようでございます。
  520. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 先ほど申しました刑事局長答弁の中の、日商の中でときどき採算に関する計算書をつくって云々というそのくだりですけれども、この採算に関する計算書がときどきつくられたということを刑事局長答弁されておりますが、ときどきというのは、要するに少なくとも複数の回数なんですけれども、検察の認定は何回で、どういうものになっているんでしょうか。
  521. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 検察で関心を持ってきちんと確定しましたのは、二回でございます。そのうち一回は、五億円の要望がありました際に、五億円を出して引き合うかどうかという収支計算といいますか、損益計算をいたしております。これは主に社長並びに財経本部あての疎明資料であったと思われます。その結果、社長等の決裁によりましてとりあえず二億五千万円出そうということになって二億五千万円が出まして、さらに後口の、残りの二億五千万円を出しますときにも、あと二億五千万円出しても引き合うのだという意味の損益計算をいたしまして、社長や財経本部の方へ提出をしておる、こういうことでございまして、私の記憶が間違っておればおわびしますけれども、その後の方の二億五千万円の分につきまして、それに近いもののコピーの写しのようなものを正森委員がお示しになったことがあるように思います。
  522. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 そのコピーがつまり「航空機部利益確定に関し」と題する書面のことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  523. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ちょっと表題がただいま御指摘のものとは違うようでございますが、恐らくそのようなもののことをおっしゃっているのではないかと思います。
  524. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 まあどちらでも同じかと思いますけれども、この書面の作成当時、すでにE2型機というものがその書面の中に書かれているんですね。そうしますと、日商内部としましては、そのE2型機の販売による利益、これで五億円の穴埋めを考えていたと思われる、こう推測しても決して不思議じゃない、こう思うのですけれども、その辺の捜査はどうなっておりましょうか。
  525. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 大変恐縮でございますが、恐らくお手持ちのものが本当のものを大分デフォルメされたものではないかと思いますが、せっかくのお尋ねでございますから申し上げますと、先ほど来御指摘のものと思われるものに似た本物の方には、現在までに発注を受けておる飛行機でこんなにもうかるんだということを言いまして、最後に、仮にE2Aの第四次防内での売り込みが成功すれば、さらにさらにもうかるであろうというようなことを付記しておりまして、要するに、社長並びに財経本部に対するデモンストレーションと申しますか、二億五千万円を出しやすくするための記載と思われます。
  526. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 そこでお尋ねをしますけれども刑事局長答弁の中で、昭和四十二年の春、二百万ないし三百万を日商の海部氏が持参をしたとき、ただ黙って顔を合わせただけでなく、ファントムの話が出たと思われる、こういう答弁がございましたが、これは話が出たと思われる、こういう表現になっておりますので、これは局長の推測に基づく答弁ではないと私は思いますけれども、そうしますと、捜査の結果このことが明らかになったものであると考えてよろしいんでしょうか。
  527. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 最初に訪れる際に手みやげとして二、三百万円持っていったはずでございまして、その際に、もちろん初対面のあいさつとかいろいろしたと思いますけれども、手みやげを持っていくからには何か話をしたのではなかろうかと思います。何か話をしたとすればF4ファントムの話も出ているんじゃないか、これは私の推測でございます。
  528. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 そのことについて、つまりファントムの話が出たということにつきましてですけれども、この点につきましては松野氏も認めているんでしょうか、あるいは松野氏の対応はどうだったんでしょうか。
  529. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 個々の人物の供述の内容を申し上げることはお許しをいただきたいと思いますが、きょうも海部氏の証言を聞いておりまして感じたのですけれども、要するに、最初手みやげを持っていった時点から後におきまして、きわめてしばしば松野氏を訪れておりますので、その間にいろいろ話が出ておるはずでございます。それらの記憶が恐らく関係者にとって混然といたしまして、一回一回聞かれてもわからないようなことになっているんじゃないかと思います。
  530. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 五億円の金の性格についてお尋ねをしますが、これは私は五月三十日の法務委員会でお尋ねをしたときに、刑事局長は「ある種の願望を動機とする贈与であろう、」こういう表現でお答えになったのですけれども、ある種の願望というのは、この日商がもちろん期待したものであると思うのですね。その願望の内容は当然松野氏に伝わっているはずだと考えられます。そこで松野氏は五億円を要求し、ファントムの話を聞き、そして日商からお金をもらった。そうだとしますと、仮に刑事局長の御答弁の贈与だということを認めるとしても、この贈与というものはいわば単独行為の贈与ではなくて契約としての贈与だ。もっと言えば、贈与と言うよりも五億円の給付とファントム売り込みのこれに対する反対給付といいますか、そういう関係契約になるんだ。つまりファントム売り込みとこれに対する対価という意味での合意があったんじゃないか。これは確認的にお尋ねしたいのですが、いかがでしょうか。
  531. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 先般もお尋ねがございましたけれども、きわめて法律的な分析に基づくお尋ねでございますが、抽象的に考えますと、売り込み工作請負契約というようなものがあって、この契約に係る報酬を支払ったというような場合と、そうではなくて、何かの願望を秘めつつ贈与をするという、法律的には二つの形が考えられると思いますが、私が証拠上判断いたしますのは後者のことでございまして、強いて法律的に整理をすれば、最初に贈与の予約があって、それがその後十数回に分けて本当の贈与の契約があり、即履行があった、こういうふうに理解をすべきであろうと思いますが、余りこの際法律論を展開しますのはいかがかと思いますので、その程度で御容赦いただきたいと思います。
  532. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 日商とカーンとのいわゆる密約の問題について一点だけお尋ねをしますが、この密約の解約につきまして、日商の言い分では昭和五十一年である、そしてその前年から解約の交渉があったのだ。ところで、SECレポートによりますと、この解約は昭和五十三年だ。そしてまた、わが党の黒柳参議院議員が入手しましたオラム書簡によりますと、昭和五十三年四月までこの密約は続いておったのだ。こういうことからこのオラム書簡とSECレポートはほぼ内容的に一致をしておるのですね。  ところが、これと日商側の言い分とではずれがございます。このずれについて刑事局長は、予算委員会におけるわが党の矢野書記長の質問に対する答弁で、密約の存続は犯罪の存否とは直接関係していないとしても、犯罪の背景としては大きな意味があり、検察としては重大な関心を持っている、こういう御答弁がございます。  ここでお尋ねをしたいのは、このことについて検察が重大な関心を持つに至った理由についてまずお尋ねをいたします。
  533. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 密約の存在そのもの、これは犯罪そのものと直接つながるわけではございませんが、8Kレポートで指摘されておりますのは、その密約に基づいて支払われる口銭の一部が一人または複数の日本政府関係者に支払われるおそれがあったということが記載されておりますので、その点はまさに私ども、非常に関心どころか、断じて究明しなければならないところでございまして、それのまた前提をなす事実でございますので、重大な関心を持ったわけでございます。
  534. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 そうしますと、検察当局としまして、その捜査結果についてはどういう状態だったのでしょうか。
  535. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 お尋ねに即していわゆる密約の解約の状況を見てみますと、海部証言にもちょっと出ておったかと思いますが、E2Cというのはもっと早く売れるのじゃないかと思っておったところが一向売れない。そうなってみると、四〇%は余りに高いということから、四十九年ごろからカーン氏と減額交渉をまず始めまして、そして五十年春ごろからは全面解約すべく折衝しておった。五十年の末になってカーン氏がおおむね了解をした。そうこうして五十一年まで年を越しましたところ、ロッキード事件が起きました関係がございまして、五十一年初めにカーン氏あてに日商岩井は書面で解約通知をし、カーン氏が来日したときに口頭で確認をするということがあったわけでございます。これで日商岩井カーン氏との関係は一応けりがついたわけでございます。  しかしながら、日商岩井カーン氏との間にそういういわゆる密約があるということはグラマン社の方にはないしょでございました。したがいまして、グラマン社は後にそういうものの存在を知りまして問いただしたところが、解約したとこう言っておる。解約したという証拠はあるかというようなことから、カーン氏は五十三年三月になりまして文書をもって解約されている旨を確認した、こういう経緯のようでございます。
  536. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 この密約に関係しますが、カーン氏がどの日本の公務員に金を払い、工作するか、特定する前に解約された、こう局長答弁されております。  そこでお尋ねをしますが、ややうがった質問かもしれませんが、密約のいわゆる解約後に、将来追認されることを予測して密約の内容を実行し、または実行の準備をし、それに基づいて金銭の授受もしくはその約束があったかどうか、この点についての捜査はどうでしょうか。
  537. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 まさにそういった金の授受があったかあるいは授受の約束があったかという点が最大関心事でございましたので、捜査をいたしましたが、いずれもそのような事実はございませんでした。  ちなみに、カーン氏の立場は非常に妙な立場でございまして、GI社のコンサルタントであるとともに日商岩井のコンサルタントでもあるという立場でございまして、日商岩井からはまだ売れていませんから一銭ももらってないという関係である。一方GI社からはコンサルタント料をもらっておりますから、多少の金は使えたかもしれませんけれども、私どもが調べました限りでは、E2Cをめぐって金が動き、あるいは金をやりとりする約束が行われた、こういう段階までは至っていないということが明らかでございます。
  538. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 刑事局長答弁では、カーン氏がどの日本政府関係者に金を払い、工作するか、当時不特定である、そしてまた、特定されていないのでE2Cにつながるともつながらないとも申し上げられない、こういう御答弁がございます。  そこでお尋ねをするのですが、E2Cについて、カーン氏を通さないで直接にGI社からあるいは日商から日本の政府高官に渡された、あるいはその約束があったかどうか、この点についての捜査はどうでしょうか。
  539. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 いずれもそういう形跡は全くございません。
  540. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 刑事局長は五月三十日の答弁の中で、国会の御論議の中で日商岩井が出した政治献金が十年間で約九億というようなお話も出ておりましたから、それには相応の関心を払って調査をしております、こういう御答弁がございました。この調査結果についてはいかがでございましたか。
  541. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 先ほどもちょっとお答えいたしましたように、日商岩井関係者が九億幾らと証言されたのと大体符節を合するような、そういう政治献金を日商岩井が行っている事実はおおむね認められるようでございますが、いずれにいたしましても、それらにつきまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、政治団体へ渡したもの、それから政治家個人に渡したもの等が混在しておりまして、それらを点検いたしてみたわけでございますが、犯罪に該当するものはない、こういうことでございます。
  542. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 刑事局長は五月三十日の御答弁の中で、五億円以外の献金等につきましても、その有無を含めまして一応の捜査はいたしております、こうおっしゃっております。そしてまた、前の日の二十九日では、松野氏の証言にある米国で五千ドルずつ二回、英国で千ドル、合計一万一千ドルにつきまして五億円の枠の外の金だ、こうおっしゃっております。  そこでお尋ねをするのですが、いわゆる五億円というお金はもっぱらファントムに関するものだ、こういうことでございますが、それならば、この五億円の枠の外の金につきまして、その金がE2Cに関連した金であるかどうか、この点についての捜査はどうでしょうか。
  543. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 松野氏に関します限りは、すでに御答弁申し上げておりますところから例をとりますと、五億円の外に千ドル単位のお金が数回あるわけでございますが、それらはいずれも出先における小遣いの補充のようなものでございまして、金額等に照らしましても、いわば一種儀礼的なものでございまして、儀礼的だからいいというわけじゃございませんけれども、E2Cと関連するようなものでは全くないように思います。
  544. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 いまの外国での一万一千ドルについてはよくわかりましたが、それ以外のいわば五億円の枠の外にある金、この金についての捜査結果についてはいかがでしょうか。
  545. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 一人松野氏に限らず、先ほど申し上げましたように、九億でしょうか十億でしょうか、そういったいわゆる政治献金が行われておるわけでございます。それらにつきましては相手方によって趣旨がくるっと変わるというものでもないわけでございまして、一応調べました結果は先ほど申し上げたとおりでございます。
  546. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 代理店変更に関して一点だけお尋ねをしますが、代理店変更を示唆した政府高宮の氏名は判明しているけれども、そのこと自体犯罪を構成するものでない、だから言えない、こう局長は御答弁をなさっておりました。  そこで、お尋ねをしますが、代理店変更の示唆は、法律的に見て犯罪でないとしても、社会的にはきわめて重大なことであると思います。もし仮に、これに関連して、つまり変更の示唆に関連をして金銭等の授受が、あるいはその約束があれば、これは当然犯罪になる、もちろん時効の点、職務権限等を除きますけれども。さらにまた、代理店変更から進んで特定の飛行機の購入あるいは手数料の授受等があればやはり犯罪になる、こう考えるのが常識だろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  547. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 代理店変更を示唆したということに関連して金銭の授受があったといたしましても、ただいまも仰せになりましたように、時効の問題はしばらく置くとしましても、職務権限その他の問題がございますから、直ちに犯罪になるというわけではございませんが、いわば最近の言葉で申しますと、やや灰色くさくなるわけでございますが、調べました結果、その代理店変更の示唆に関連して金の動きはない、こういうことでございます。
  548. 長谷雄幸久

    ○長谷雄委員 終わります。
  549. 永田亮一

    永田委員長 大内啓伍君。
  550. 大内啓伍

    ○大内委員 先に伊藤刑事局長の方にお伺いいたします。  先ほど来の議論でもございましたが、日商岩井へのE2Cに絡んでの代理店変更について五月三十日の報告書によりますと、代理店変更の経緯は判明した、こういうふうに指摘し、かつ先ほど来の議論でもありましたけれども、これまでの伊藤刑事局長答弁では、E2C代理店変更に介在した日本政府関係者はどうやらこの人らしいということがわかっているが、犯罪と関係ないので公表は差し控えたい。また、きょうはその人の名誉にもかかわる云々というような付加もあったわけですが、この代理店変更に介在した日本政府関係者は、つまり単数ですか、それとも複数ですか。つまり、どうやらこの人らしいというのは単数でしょうか、複数でしょうか。
  551. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 グラマン社の認識は、グラマン社自身が作成しました8Kレポートにあるとおりでございまして、単数の日本政府関係者、こういうことでございます。
  552. 大内啓伍

    ○大内委員 代理店変更の経緯は判明したという報告書を法務省の責任でおつくりになったわけですから、法務省としては単数とお考えですか。
  553. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 検察当局の認定では単数でございます。
  554. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、介在というのは具体的にどういうかかわり合いを指されているのか、介在という言葉を使っているのでありますが、具体的にどういうことを指しているのでしょう。
  555. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 私は介在という言葉を使った記憶がないのでございまして、もし仮に使っていたとすればおわびして訂正を申し上げます。  私が申し上げました趣旨は、カーン氏を含みますGI社のメンバーが日本へ参りまして、そしていろいろな人と会って売り込み方策について意見を求めた中に一人の日本の政府関係者がおりまして、その人が代理店を変えたらどうだと示唆したことがGI社には非常に示唆に富む意見というふうに響きまして、その結果、アメリカへ持ち帰って代理店変更を決意した、こういう経緯のようでございます。
  556. 大内啓伍

    ○大内委員 いま伊藤刑事局長の御答弁は、二つの内容があるように思います。一つは、その代理店変更については、きょうの午前中の海部証言でもありましたが、GI社自身が決定したけれども、その決定に重要な影響を与えた。つまり日本の政府関係者の一人が重要な影響を与えた。その与え方というのは、代理店変更したらどうかというサゼスチョンを与えた、こういうふうにおっしゃられた。そうすると、サゼスチョンを与えたという具体的な証拠は握っておられるわけですな。
  557. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 すべて私がお答えしておりますのは、検察当局が証拠に基づいて認定したところによってお答えいたしております。
  558. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、サゼスチョンがあったという具体的な証拠があったという意味でございますが、日商岩井の方から代理店変更の工作をした、こういう形跡はあったでしょうか。
  559. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 日商岩井から代理店自分会社変更してもらいたいというような働きかけは全くなかったようでございます。
  560. 大内啓伍

    ○大内委員 もう周知のように、日商岩井から松野頼三氏が五億円という多額な金を収受した。そして、それは検察当局及び伊藤刑事局長の説明によれば、F4Eファントムの工作及び成功報酬として支払われた、こういう一つの因果関係がある。とすると、さらに進んでE2Cをめぐって政治家がその代理店変更をサゼスチョンする、示唆するということは、仮にそのこと自身刑事的な責任、つまり犯罪に該当しないとしても、場合によってその行為が政治的道義的責任として追及される対象になり得ることもあり得る、それはこれからのいろいろな解明の仕方にもよりましょう。したがって、その一人の日本の政府関係者が特定されているとすれば、この委員会の趣旨にかんがみて、その特定された人間の政治的道義的責任を明らかにするという使命を負っている委員会としては、当然その公表を要求したいところであるし、先ほど来の質問の中でも、その特定された人を公表せよというお話に対して、刑事局長は、それは犯罪にも該当しないし、またその人の名誉にもかかわることであるから、公表は差し控えたいと言っておられました。  そこで私は、それでは刑事訴訟法の四十七条ただし書を適用いたしまして、この航空機の当委員会として、その公表が公益上その他の事由で相当と認めるという一つの判断を下し、文字どおり国政調査権に基づいてその公表を要求したら、公表はされますか。
  561. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 国会として御要求がありましたら、応じ得るかどうかを検察当局に判断させたいと思います。  ただ一言申し上げさせていただきますれば、いまやっている代理店が余り働きがよくないようだから、ほかの代理店にかえたらどうだというようなことを言っただけで政治的道義的責任が出るものかどうか、私は、これは国会でお決めになることでございますから、わかりません。
  562. 大内啓伍

    ○大内委員 これまでの質疑を聞いておわかりのとおり、委員長にひとつ要求をしたいと存じます。  この代理店変更にかかわりました日本政府関係者、これは、伊藤刑事局長答弁でも明らかなように、それが特定されている。したがってその名前について当委員会として公表するよう要求することをお取り計らいをいただきたいと存じます。
  563. 永田亮一

    永田委員長 ただいまの大内委員の御要求に対しましては、理事会で協議いたします。
  564. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、問題を次に移しますが、先ほど来五億円の性格につきまして御論議がありまして、これは一貫して伊藤刑事局長は、F4Eファントムにかかわるものである、そしてその証拠として、日商岩井からいろいろ調べた諸資料によってそのことは立証される。恐らく表面上はそういうことでありましょう。しかし、F4Eファントムについては相当の工作を行い、E2Cにおいてはそういうものが全くなかったということも、これはなかなか信じがたいことであるし、同時に、すでにこの前も松野証人に対して質問したことでありますけれども、四十四年の八月というこの時期は、松野氏に渡された五億円が集中的に実は松野氏に支払われるという時期と全く符合をする。そしてE2Cについては、けさの海部証言でも明らかなように、日商岩井としては十八機程度導入するということを検討をしていたということからしますと、このE2Cについてもやはり相当の工作が行われていないことの方が常識的ではない。したがってこの五億円についても、それらの時期的な関係からいって、ちょうど代理店変更という具体的な事実が発生し、ここからE2Cの売り込みが始まるわけでありますから、五億円が二億五千万、さらには二億五千万と分かれて検討されていたという経緯からしても、この五億円の中には、E2CとかあるいはF15といったようなものの今後の売り込みに対する期待というものも相当含まれていたのではないか。もちろんこれはこれまでの伊藤刑事局長お話では、それを裏づける証拠等がなかったということだろうと思うのでありますが、その辺を裏づける捜査というものは本当にぴしっとやられたのでしょうか。その辺を重ねてお伺いしたいと思います。
  565. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 再々お答えいたしておりますように、日商側が五億円という大きな金を出した趣旨については、きちんと調べておるつもりでございます。ただいまの御指摘は一つの推理としては承りますけれども、証拠に基づいて私お答えしておる次第でございます。
  566. 大内啓伍

    ○大内委員 日商岩井からカーン氏に支払われるコミッションの一部がワン・オア・モア・ジャパニーズ・オフィシャルズ、つまり一人もしくは複数の政府の高官に流れる可能性があった、そしてそのことについてはそのような金銭授受という事実関係はなかった、そのことについては捜査を徹底的に尽くした、この種のお答えがございましたが、その対象になったワン・オア・モア・ジャパニーズ・オフィシャルズというものは存在したのでしょうか。
  567. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 抽象的概念としては常に存在し得ると思います。グラマン社としては、自分が最初は知らなかったところの日商岩井カーン氏間のいわゆる密約の存在を知りまして、カーン氏の取る口銭が余りに大きいものでございますから、当然工作のためにカーン氏が使うおそれがあるというふうに認定をして、きっかり解約するように指示をしたようでございます。したがって、抽象的な概念として一人または複数の日本政府関係者というものをグラマン社考えたのでございまして、そういう意味において、抽象的意味においては、一人または数名の日本政府関係者というものは、いつの時代でも存在し得ると思います。
  568. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、具体的に金銭の授受はなかった、しかし常にそういう不特定の人はいたはずである、そういう可能性があった方は特定はできなかったということですね。
  569. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 抽象的概念としての日本政府関係者でございますから、特定をするというようなことはできません。
  570. 大内啓伍

    ○大内委員 外務省は来ておられますか。——来ていませんか。  それでは時間が余りありませんので、防衛庁長官の方に……。  この八月中旬に防衛庁長官は訪米されますか。
  571. 山下元利

    ○山下国務大臣 八月中旬に訪米いたします。
  572. 大内啓伍

    ○大内委員 目的はどういう目的で行かれますか。
  573. 山下元利

    ○山下国務大臣 坂田防衛庁長官時代からでございますが、日本防衛責任者である防衛庁長官とアメリカの国防長官とは毎年相互に行き来いたしまして話をするということになっておるわけでございまして、昨年はアメリカのブラウン長官が日本に参りまして当時の防衛庁長官の金丸長官とお会いになっております。ことしはこちらの方からアメリカへ行く予定でございます。したがいまして、この八月に私の方から参りましてお話をするということでございます。
  574. 大内啓伍

    ○大内委員 昭和五十一年の十月二十九日に決定されました例の基盤的防衛力整備計画、ここではE2Cについては一個飛行隊、つまり二十機という想定を立てられております。それは、首をひねっておられますが、違うのですか、そうでしょう。
  575. 山下元利

    ○山下国務大臣 ちょっと防衛局長から……。
  576. 原徹

    ○原説明員 防衛計画の大綱が決まりましたときには一個飛行隊ということでございまして、それについて機数幾つというところまでは決まっておりませんでした。
  577. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、一個飛行隊というのは何機ですか。
  578. 原徹

    ○原説明員 昨年度予算要求をいたしますときに、九機を一個飛行隊として要求することを考えたわけでございますが、大蔵省との折衝の過程におきまして一機は節約できるということで、二個哨戒ポイントで八機ということで考えております。
  579. 大内啓伍

    ○大内委員 二個哨戒ポイントというのは一個飛行隊ですか。どうしてそんな初歩的なことをごまかすのだろう。
  580. 原徹

    ○原説明員 二個哨戒ポイントをすることを一個飛行隊でやることにいたしまして、一個飛行隊八機ということに考えたわけでございます。
  581. 大内啓伍

    ○大内委員 五十一年の基盤的防衛計画では、一個飛行隊は二十機でしょう。そのときから八機ですか、九機ですか。違うでしょう。
  582. 原徹

    ○原説明員 防衛計画の大綱を決めましたときに、一個飛行隊何機ということは決まっておりませんでした。
  583. 大内啓伍

    ○大内委員 こんなことは軍事的な常識ですから、これ以上議論してもしようがありませんが、私が聞きたいのはそういうことではありません。防衛庁長官が訪米されるに当たって、このE2Cの問題はトピックでございますから、日本航空機の整備の問題の一つとして当然お話の対象になるわけですが、防衛庁長官、つまり日本政府としてはE2Cはいつまでに何機整備したい、こういう腹を持たなければ話はできませんが、これは五十一年の基盤的防衛整備計画の方針、つまり日本政府としては一個飛行隊それが八機だというふうに訂正されてまいりましたが、その方針でアメリカに説明されますか。これはあとの問題とちょっと関係があるのです。それで確かめておく意味で質問しているわけです。
  584. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいまの防衛力整備計画の大綱では、政府委員から申しましたとおりにこれは早期警戒飛行部隊一個飛行隊とのみ書いてございまして、そのときの機数ははっきりいたしておりません。現在の段階におきましては、本年の予算で四機というふうにお認めいただいたわけでございますけれども、いま申しましたように、二個哨戒点ということからいたしますならば八機というもので整備いたしたい、かように考えている次第でございます。
  585. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、E2Cの整備については八機を整備したいという防衛庁の方針が大体はっきりいたしました。それは大体いつまでになし遂げたいという方針を持っているのですか。
  586. 原徹

    ○原説明員 八機全部ができますのが昭和六十年と考えております。
  587. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、昭和六十年までに八機のE2Cを整備したい、これはもちろん国会で承認を得なければならぬ問題です。  そこで問題は、E2Cはわが国の安全保障上不可欠の機種である、こういう説明を防衛庁はされてまいりました。私も先般横須賀にミッドウェーを見学した際に、このE2Cは積まれております。御存じのとおり、このE2Cは艦上搭載機としてアメリカでも開発されてきております。日本では空母等がございませんので、言うまでもなくこれは地上発進という形でお使いになるわけですが、アメリカ等では、御案内のとおり地上発進の場合はE3Aを使っているわけなんですが、E3Aの場合は、性能的に言うまでもなくE2Cよりか相当すぐれたものを持っている。恐らく費用対効果という問題があるのだろうと思いますが、このE3Aとの比較においてE2Cがわが国の安全保障上不可欠の機種であるということは立証できるのでしょうか。やはりその辺を国民の皆さんは本当にそうだろうかと思っていると思うのです。今度の凍結解除の問題に関しましても、その辺が一つのポイントだと思いますので、具体的にひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
  588. 山下元利

    ○山下国務大臣 E2Cがアメリカにおきましては航空母艦に積まれて使用されていることはもう御指摘のとおりでございます。わが国には航空母艦がございませんから、これは地上発進ということにいたしておることも事実でございます。  ところでE3Aでございますけれども、E3Aは御指摘のとおりまことにすぐれたものであると考えます。しかし、これは元来戦術統合作戦の指揮統制用のものでございまして、戦闘指揮所等の代替機能を持つものでございます。わが国におきましては、いま防御力整備計画の大綱でも予定いたしておりますけれども、現在のわが国の防空上の欠落機能を是正しまして、低空からの侵攻に対処するという防衛構想からいたしますならば、はるかにその機能を上回っているものでございまして、わが国のいまの所要するところといたしますならばE2Cの方が適当でございます。  なお、御指摘のように、費用対効果というお言葉もございましたけれども、このE3Aというのは大変大型のものでございますし、また金額も相当かかるものでございます。したがいまして、わが国の防空という観点からいたしますならば、諸般の費用対効果も考え、またその機能、目的から考えました場合には、E2Cの方がE3Aよりも適当している。飛行機自体も、比較するならばすぐれた機能を持ちますけれども、わが国にとりましてはE2Cの方が適当している、このように考える次第でございます。
  589. 大内啓伍

    ○大内委員 このE2Cのアメリカとの契約のタイムリミットですが、これは防衛庁の説明では、アメリカ海軍が十月に関係各社、恐らくこれは目礼を超える各社だと思いますが、それとの契約の発注に入る。その一つのタイムリミットから見ますと、早くE2Cを承認してもらわなければならぬということをおっしゃってきたわけなんですが、これまで政府はこのタイムリミットを、あるときは四月下旬とおっしゃった、あるときは五月十日とおっしゃった、あるときは六月中旬とおっしゃった、最近においては六月下旬。こういうお話をされますと、福田総理がかつてマイナス七億ドルと言いながらプラス八十億ドルになって、日本政府というのは本当に信頼できるのかという悪口を言われたことがあるのですが、本当に防衛庁の言っているそのタイムリミットというものはどうも信憑性に欠ける面がある。  そこで、私も私なりに調べてみたのですよ。そうしましたら、もし十月にアメリカ海軍が発注し、それに便乗して日本も発注するということになりますと、もうすでにいまでもタイムリミットが相当おくれているという面があるわけですね。というのは、まず第一にこっちがやらなければならない、早く引き合いの発給をやらなければならないでしょう。そうすると、武器輸出法によりまして、三十日は上下両院でたなざらしをしなければならぬ。しかし、その上下両院でたなざらしをする以前に、普通事務当局は二十日間事前の審査を必要とする。そしてようやくその発給をしましても、アメリカ政府ないしはアメリカ海軍が発注するまでには、それから約三カ月準備期間をくれ、こういうのでしょう。そうしますと、仮にいまオーケーを出しましても、タイムリミットとしてはもう間に合わないというような状況もあるんですね。そうすると、これはどこを縮めるのですか。つまり議会の事務局の検討が二十日間かかりますね。その次に三十日間の上下両院のたなざらしが必要ですね。そして引き合い書を正式に日本政府に送付して、日本がサインして送り返してから、アメリカの海軍は契約のために約三カ月必要だというと、十月に発注できないんじゃないですか。どこをどうやって縮めるのですか。
  590. 山下元利

    ○山下国務大臣 最初に防衛庁の方が四月と言い五月と言いというふうな御指摘がございましたけれども、私どもは一日も早くお願いをいたしたいと申しまして、公式に国会の御審議の場におきましては一日も早く御判断をいただきたいと申しましたのでございまして、決してその日取りを変えたわけではございません。と申しますのは、やはりいまも御指摘のとおりに、これで非常に大事な点は価格の問題とか、あるいは調達時期の問題で、取得時期を遅延せぬようにするためには御指摘のとおり一括発注、十月の米海軍の発注に間に合わせるということは国益上非常に大事でございますので、われわれといたしましては、その一括発注に間に合うように整々とした執行ができるためには一日も早くとお願いしたわけでございまして、それは御指摘のように議会手続それからその手続を経ました後に大変数多くの契約をせねばならぬものでございますから、十分な日取りをいただきたいということで、一日も早く御判断をいただきたいというわけでございました。この問題のポイントは一括発注は国益上望ましいということ。それは十月であること。それから、しかし何といいましてもアメリカの武器輸出管理法の議会手続もありますから、それを十分いたしました上で整々とした発注をしなければなりませんが、もう一つやはり議長の御判断が最優先でございます。議長が御判断をして初めて執行できるわけでございますから、そのためにわれわれといたしましてはひたすらお願いいたしておったわけでございますけれども、率直に申しまして、当初予定いたしましたことからするならばいま相当おくれておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては大変その点は心配でございますけれども、すでにおくれておりますけれども、もし議長の御判断をいただきますならば至急に係官を派遣いたしまして米側と折衝いたしましてそのおくれを取り戻すように努力いたしたいと思う次第でございまして、そのことは十分、米側におきましても一括発注はメリットがあると思います。わが方にもございます。したがってそこらの点につきましてはこちらから、あくまで議長の御判断の時期というものが決定的でございましたので、そのことを十分説明いたすならば一括発注のメリットというものは両国ともにあるわけでございますからその折衝は可能である、このように考えておる次第でございます。
  591. 大内啓伍

    ○大内委員 時間が参りましたので終了したいのですが、さっき刑事局長に一つだけ漏らしておきましたので、先ほどちょっと中断した面もございますのでお許しいただきたいと思います。簡単でございます。  けさほどの海部証言の中で、実は海部メモの作成に当たって、これは前の方の海部メモでございますが、岸信介氏の秘書である中村長芳氏の伝言をそのままメモにした、そしてそれは電話で依頼があったので、こういう証言がありまして、これは非常に重要だなと思いましたのは、海部自身の意思であのメモがつくられたというよりかは中村長芳氏の伝言をそのままメモにしたものであるという趣旨の実は発言がありました。これはそのとおりかどうか。これまでは海部氏が真偽織りまぜてつくったというふうに考えられておりましたのですが、そうじゃなくて、中村長芳氏の伝言のメモであるということは新しい事実のようでございますが、その辺は捜査の結果どういうふうになっているか、このことをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  592. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 海部氏が伝言という言葉を使ったかどうか、私ちょっと記憶がないのですけれども、もし伝言という言葉を使ったとすれば正確ではないと思います。海部氏が証言に述べましたような人から一千万円のお礼の話がありまして、その一千万円を自分の名前を出さないで、たとえば福田、松野というような名前にしてどこそこへ送ってくれ、こういう話がありまして、それを海部氏が自分の判断で了承をしてメモになったわけでございまして、なおその際にもう一口、その人と全く関係のないものを一口つけ加えて作成した、こういう経緯でございます。
  593. 大内啓伍

    ○大内委員 終わります。ありがとうございました。
  594. 永田亮一

    永田委員長 正森成二君。
  595. 正森成二

    ○正森委員 まず最初に、防衛庁長官に心構えとして伺っておきたいと思います。  E2Cについてあなたもしくは防衛庁は、刑事事件にさえなっていなければ、これはそれでよろしいというお考えなんですか。
  596. 山下元利

    ○山下国務大臣 E2Cのみならず、外国から航空機を購入するにつきましては一点の疑惑もあってはならないと、かように考えております。特にただいま御審議願っておりますE2Cにつきましては、私どもはこの選定の経過等からいたしましても、純粋に防衛上の見地から決めてまいりましたものでございますから、その間外部からの不当な圧力とか介入はございませんでした。これは私どもははっきり申し上げられることでございますし、そうした点で疑惑はないものと承知いたしておる次第でございます。
  597. 正森成二

    ○正森委員 いまのお答えの中で、E2Cのみならず防衛庁の購入するすべての飛行機について、単に刑事事件がなかったというだけでは不十分であって、国民から一点の疑惑も招くようなことがあってはならないという趣旨だと理解をいたしました。  そうしますと私、伊藤刑事局長に伺いたいわけですが、そもそも昭和四十四年に住友商事から日商岩井商社変更するということについて、一人の日本政府の役人あるいは高官の示唆があったということは事実であり、それも確認しているということであります。いまのあなたの答弁を聞いていますと、それについてお金は動いていない、仮に働きが悪いからかえたらどうかと言っただけで政治的道義的責任が生ずるか、国会で御判断を願いたいというような、いかにも含みのあるようなことを言われました。問題は、果たして働きが悪いから変えたらどうかということを言っただけなのか、それについて何らかの疑惑があるかということが第一点であり、仮に何らの疑惑がなかったとしても、一政府高官がどういうような根拠で住友商事は働きがないと認定し、しかも日商岩井という特定の商社にかえたらどうかということを言うのか、それがまた影響力を持つのかということがまさに問題なんですね。そんなことは一銭の金が動かなくても、そもそも政治家がやるべきことではないのです。あなたの答弁を聞いておると、何か働きが悪い商社に対して働きのいい商社にかえたらどうかというようなことは、政治家としてもちっとも政治的道義的責任を問われることではないかのごとき答弁だったけれども、私はそれは非常な大問題であると思います。  防衛庁長官、あなたは特定の元防衛庁長官経験者や、あるいは長官経験をしていないでも国会議員等が、この商社はあかん、働きがない、この商社にしろ、こう言ってそれがそのとおり影響力を持って実行された場合に、それでも国民に対しては何ら疑惑がない、こういうように思うのですか。
  598. 山下元利

    ○山下国務大臣 私どもはこのE2Cの選定につきましては、繰り返し申し上げますけれども、純粋に防衛上の見地から専門的、技術的に決めてまいったわけでございまして、外部からの不当な圧力とか働きかけはございません。したがいまして、いろいろ御指摘のようなことにつきましては、われわれの選定の上から全然関係のないことでございますので、私どもはこの点について不正はない、疑惑はない、かように申し上げている次第でございます。
  599. 正森成二

    ○正森委員 私はそんなことはちっとも聞いていないので、伊藤刑事局長がそういうぐあいに言うから、この商社は働きがないからこっちの商社にしろということがあっても構わないのかと聞いているのです。現にそういう事実があったかのように言うておるから。後でまた事実は聞きますけれども……。
  600. 山下元利

    ○山下国務大臣 仮にさようなことがあったといたしましても、これは私どもそういうことがあったとかないとかということを言えるものではございませんけれども、いま繰り返し申しておりますとおりに、私どもとしてはそういうこととは全然関係なく、本当に純粋に専門的にやったわけでございますから、それでもって申し上げている次第でございます。
  601. 正森成二

    ○正森委員 明敏な山下防衛庁長官にしては質問の音一味がわかっておらないのか、わかっておっても答えないのかわかりませんが、私は問題の原点を明らかにしたいと思うのですが、本年の二月八日に本会議航空機輸入問題に対する決議が採択されました。その決議は、全文は言いませんが、「マクダネル・ダクラス社及びグラマン社航空機輸入をめぐる問題が、我が国の国民感情に与えた影響は甚大であり、その真相の解明は徹底的かつ迅速になされなければならない。」「ここに本院は、米国政府その他に対して、ダグラス・グラマン問題の我が国に関する一切の資料を提供されるよう特別の配慮を要請する。」云々と、こういうぐあいに決議をして、その了解事項として議院運営委員会では、一、本院に提供されたいという趣旨である、一切の資料とはいわゆる政府、国会関係者名を含むものである、こういうように確認をしておるわけですね。それに対して大平内閣総理大臣は、「政府としては、本決議の意を体し、問題解明のため、今後ともできる限りの努力を続けてまいる」というように誓約しているのです。そしていまE2Cの解除の問題が起こってきているわけですね。そうだとすると、商社変更を示唆した政府高官は一体だれであり、どういう根拠に基づいて住友が働きがないと思い、どういう根拠で日商の方が働きがあると思ったのかということを明らかにするということは、いやしくも疑惑を招かないために非常に重要なことであることは明らかであります。伊藤刑事局長、私は名前を明らかにしてほしいと思います。それが一切の資料を明らかにしろというこの決議の趣旨であります。しかし、あなたがもしどうしてもそれができないと言うなら、せめてそのあなたの了承している政府高官はどういう根拠で住友商事が働きがないと思い、なぜ日商岩井の方にかえたらというように言うたのか、その辺の経緯を詳細に説明してください。そうしたらたとえ名前が明らかにならなくても、そういうことなら疑惑はなかったのかというように国民が判断するかもしれない。これは理の当然であります。
  602. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 先ほど私が当該日本政府関係者が政治的道義的責任がないとお答えをしたかのようなことを前提に防衛庁長官に御質疑になっておりましたが、それは速記録をごらんいただけば、そういう趣旨で申し上げていないことは明らかでございます。  さて、衆参両院における御決議を御引用になりまして御質問でございますが、私どもは米側に対してその御決議に従った資料の要請をする立場にもございませんし、また検察当局は捜査上限られた権限で与えられた使命を達成するために努力してまいったわけでございまして、その結果につきまして、捜査当局を代弁いたします私からその捜査の内容を詳細明らかにするということは適当でないと思いますので、答弁は御容赦いただきたいと思います。
  603. 正森成二

    ○正森委員 いま伊藤刑事局長は言いましたが、何なら速記を調べてよろしいが、私のメモでは、働きが悪いから商社をかえたらということを言っただけで政治的道義的責任が生ずるかどうかは国会で御判断することでございますと、こういうように言っていますね。  普通の理解では、そんなことで政治的道義的責任を問われる必要はないのじゃないかという、明らかに反語ですよ。そうでなしにあなたがそういうことを言ったとすれば、非常に明敏な答弁をする伊藤刑事局長にしては大失言であります。少なくとも私は、そんなことぐらいで政治的道義的責任があるのでしょうかという問題提起として受け取ったのです。恐らくそこにおる政府委員は皆そう聞いているでしょう。だから、私は、その人の名誉にも関するから名前が言えないというなら、せめてその人がどういう根拠で商社変更をやったのか、その経緯だけでも明らかにすれば、たとえ名前を言わなくても、われわれ国会は、あるいはそうかといって了承するかもしらぬ。だからそれを言ってください、こう言っているのです。それが言えないわけはないでしょう。それが言えないぐらいなら、あなた、どうして初めに五億円ありきとか、松野の方から要望したのだとか、そういうことまで言ったのですか。
  604. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 初めに五億円ありきとお答えした問題といまの問題とは全然別の問題でございます。私は、事実関係をできるだけ述べろとおっしゃれば述べます。しかしながら、私が明敏であるかどうかは別といたしまして、きわめて明敏なる正森委員が、私が申し上げたとおりに御理解いただかないで反語とかなんとかおっしゃいますので、そういう前提でお聞きいただく場合に、私としても人間でございますから、多少どうかなといま考えておったわけでございますが、改めて申し上げます。  私どもで把握しております限りでは、要するにGI社が住友商事に飽き足らなかったということがまずあるようでございます。そこで、売り込みがうまくいかない局面を打開するのにはどういう方法があり得るだろうかということをいろいろ多角的に調査をするために、カーン氏等が日本へ参っていろいろな人と恐らく接触したと思います。どんな人と接触したか、詳細は把握ができておりませんけれども、その接触しております間に、一人の日本政府関係者と会いまして、その際、その日本政府関係者が、やはり狩りをするにはいい猟犬でなければだめだよ、こう言った、率直に言いまして。それにヒントを待て、独自の調査で、それじゃ日商岩井の方がいいのじゃないかとグラマン社で探し当てて決めたようでございます。
  605. 正森成二

    ○正森委員 事実をお答えになったようですが、そのときにその政府高官は、伊藤刑事局長の表現によれば、狩りをするにはいい猟犬でなければだめだよとおっしゃったようでありますが、いい猟犬として日商岩井を推薦したことはあるのですか。
  606. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 それはないようでございます。
  607. 正森成二

    ○正森委員 ハリー・カーン氏に昭和五十四年四月五日に読売新聞でインタビューをしておりますが、前にも伺ったことですが、いよいよE2Cに決まりそうだという直前になって「グラマン社日本政府の一人あるいは複数の人物から同社が抱えているアメリカ人コンサルタントとの取引をやめるべきだといわれたと話していた。」「E2C売り込みがまさに成功しそうに見えたときに、なぜ、だれかが私との契約維持はE2C売り込みを失敗させる原因になるとの印象をグラマン社に与えねばならなかったのか、まだ回答の出ていない、やっかいな問題だ。」こう述べております。  私は、いままでに一度あるいはひょっとすると二度お聞きしたかと思いますが、そのときには原田検事がアメリカに行っておるので、その点についても調べてきておるという趣旨の答弁であったと思います。私は、そうだといたしますと、なぜある日本政府の関係者が、グラマンが米人コンサルタント、それはカーンでありますが、やめさせた方がいいと言ったのかというのは非常に興味深いところであります。何かを知っていなければそんなことを言うわけがない、こう思うのですね。  そこで、このE2Cを解除するしないは別として、問題の解決をする場合に、もし御存じならば、これはお答え願うのが国民に対して疑惑を解くといいますか、あるいはきれいな気持ちになるというか、そういうことで必要だと思いますのでお聞きをしたいと思います。
  608. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 ただいまの御質問は、本年五月二十三日の法務委員会でお尋ねいただいたのと大体同じことであろうと思います。その際、私もとっさのことでございまして、私の記憶に基づいてお答えをしたわけでございますが、若干言葉が足らなかったような気が現在いたしております。  その後、検察当局に確認いたしましたところ、先ほど来御答弁申し上げておりますような経緯でカーン氏と日商岩井との約束が解約されたわけでございまして、その間、御指摘のような日本政府関係者がいわゆる密約を解約するよう助言したとか、あるいは何らかの形で関与したというような事実は全く認められないそうでございます。
  609. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、それが原田検事が御調査になった結論である、こう理解してよろしいですか。
  610. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 原田検事が調査した結論であるというふうに申し上げるのは差し控えますが、検察当局がその点に意を用いて調査した結果でございます。
  611. 正森成二

    ○正森委員 次に、防衛庁にFMSの問題について伺いたいと思います。  E2Cの本体がFMSになるのでいかなる商社にも手数料が要らないということは、再々御答弁になっております。それで、次年度以下の補用部品ですね、それについてもできるだけFMSにしたいという御答弁が従前あったことも承知しております。しかし、私が思いますのに、私どもはE2Cに限らず、いかなる軍用機でもその導入に一点の疑惑もあってはならないということは申し上げたいと思いますけれども、そのためにわざわざFMSにどうでもこうでもするのが国益に合致するかどうかはまた別問題であるという気もするのですね。疑惑さえなければ防衛庁が膨大な人員をアメリカに派遣し、商売に余りなれない者に書類を書かせ、FMSの場合には、私の承知しているのでは、誤りがあれば訂正していただきたいが、三%を米軍あるいは米側がいろいろ費用がかかるからといって取るとか、西ドイツの場合には二吾人常駐さしておるとか、あるいはFMSの場合にはどうしても米軍の調達に便乗するので、米軍が先に使うということであれば、そちらに先に品物を回してしまってなかなかわが国に優先的に来ないおそれがあるとか、あるいはときに導入した部品の中に粗悪品あるいは適合しない品物があってキャンセルしなければならないというような場合には米軍を通さなければならないので、直接メーカーに話ができないというような点で、流れるように部品が到達しないとか、そういうような問題があるやに聞いているのですね。そうだとすると、私は、問題は、すべてについて疑惑がないかどうか、名前が出ている商社変更の高官名も明らかにした上で、疑惑は徹底的にないのだから、日商岩井が不適当なら、しかるべき商社を使う方が費用対効果あるいは流れるように製品が入る上でも有効であるということであれば、防衛庁長官、それは率直に訴えるべきであると思うのですね。何でもかんでもFMSでやります、やりますと言って、実際にできるのかどうか知りませんが、私らが商社から聞いたところでは、非常に困難な部品もあるということですが、それはいかがですか。率直に答えてください。
  612. 山下元利

    ○山下国務大臣 いま国益ということを仰せでございますが、やはり調達につきまして国益を守らねばならぬと私は思います。また疑惑を生じないようにすることも大事でございます。  ところで、補用部品でございますけれども、たとえばエンジン等につきまして、国産でできるものは国産で賄いたいと私どもは思っております。しかし、また輸入しなければならぬものにつきましては、疑惑という点からするならば、FMS契約によることは適当であると思いますが、いろいろの部品もございますから、そうしたことを考えました場合にすべてそうなるかということになりますと、またそうでない場合の方が国益を守るゆえんでもある場合もございますので、それらをも彼此勘案しながら、できるだけ疑惑をなくし、国益を守るために一つの補用部品の調達方式につきましては、これから慎重にいたしたいと思うのでございます。おっしゃるとおり、要するに国益を守り、疑惑をなくするその一番いい方法は何であるか、これは私ども真剣に見つけてまいりたいと思う次第でございます。
  613. 正森成二

    ○正森委員 補用部品に万一商社を使う場合には、日商岩井にするのですか。それとも別の商社にするのですか。
  614. 山下元利

    ○山下国務大臣 調達方式はこれから決めるわけでございますが、その商社を通ずることが必要である場合におきましては、その時点において代理店契約を結んでいる商社がその代理店になるわけでございますが、それは私どもといたしましては、言ってみれば、事柄としては第三者同士の契約でございますから、不当に関与することは適当でないと思います。しかしながら、仮に調達方式のうちでどうしても商社を通ずることも必要とした場合に、その時点においてメーカーと商社との間で決められた代理店によるものである、かように考えるわけでございます。
  615. 正森成二

    ○正森委員 最後の方ですが、伊藤刑事局長に伺います。  第二海部メモについて、一千万円を払えというような点につききょう海部八郎氏は、中村長芳氏の連絡によって一千万円を送ったんだ、こういうように言いました。しかもこの中を見ますと、松野氏と福田氏の名前はかたったといいますか利用したというように御答弁がありましたが、わざわざ中村氏と先に書かずに「岸氏より下記に支払ひ方連絡あり」こう書いているのですね。ということは、秘書が言うた場合に、その先生の名前を隠して秘書を使うというならわかりますが、逆に秘書の言われたことを隠すために先生の名前を使うというようなことは普通常識にあり得ないことなんですが、これはどういうわけか、御理解になっておられますか。
  616. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 金が出やすいようにえらい方の人の名前を使った、こういうことでございます。
  617. 正森成二

    ○正森委員 最後に、この質問で終わりますが、同じく読売新聞にカーン氏が述べているところでは、会談は一九七二年夏の会談です。   会談はロジャーズ国務長官と大平外相の率い  る日米代表団の全員出席で始まった。しかし、  一時間後に、ロジャーズ、大平両氏はニクソン  氏に会うため呼び出された。   両氏が抜けた後、日本側の代表団が先に、貿  易バランスを是正する手段として、アメリカの  高度技術製品の購入の討議を持ち出した。グリ  ーン次官補はこれに答え、日本がアメリカ技術  をどうやって買うことができるかの特定の一例  として、グラマン航空機の販売をあげた。全般  的な議論が続いたあと、グリーン次官補がE2  Cを持ち出し、日本がその購入について特に回  答するよう求めた。鶴見審議官は、それは四次  防のワク内に入るべきものだが、四次防の予算  がまだ承認されておらず、なお審議中なので、  日本は具体的に回答できないと答えた。云々、こうなりまして、その後   米側品目の一括輸入方針は東京で、インガソル駐日大使、鶴見外務審議官との間で合意され  た。こういうぐあいになっておるのですね。そうすると、あなた方がいままで答弁の中で、雑談であったとかいうものじゃなしに、このカーン氏の説明によると明白に、外務大臣はいないけれども正式な話し合いとして語られたようになっておるのですね。しかも、この読売新聞の報道によると、当時のカーン氏の書いたメモで、田中・ニクソン会談の全般的なものが非常に良好な雰囲気だった、ゴルフのハンディまで十八だとか十六だとか十二だとか打ち明けたというようになっている詳細なメモであります。そうだとすると、あなた方がこれをメモに残していなかった、雑談だったと言うのは理解できないわけですが、それについてあなた方の答弁を伺って私の質問を終わります。
  618. 中島敏次郎

    ○中島説明員 この問題につきましては、二月六日に予算委員会で私が御報告いたしましたように、アメリカの政府がその公式の記録を当たってみたところの結果として、公式の会談が終わった後でほかの人間が何人か残っているところで、グリーン国務次官補が鶴見審議官にこの問題を持ち出したということで正式の回答を承っておりまして、そのことをそのままそっくりここで御報告申し上げた次第でございます。  いまカーン氏の話は多少そこと話が違うじゃないか、こういう先生の御指摘でございますけれども、私どもは、アメリカ側が彼らの記録を調べた上でくれました回答はそれなりの重みを持ったものであろうというふうに承っておりますし、また国会の調査団が伺われましたときにも、向こう側の説明が、やはり三々五々の雑談的な雰囲気のところでそういう問題をグリーンさんが傍らにいる鶴見さんに持ち出したんだというような説明もあったと承っております。したがいまして、私どもはそこらが本当のところではないのかというふうに信じておるわけでございまして、その旨を御報告申し上げた次第でございます。
  619. 永田亮一

  620. 中川秀直

    中川(秀)委員 まず法務省に最初からいささかきついお尋ねをいたしますが、お許しを願って御答弁を願いたいと思います。  きょう法務大臣はおかぜで当委員会に出席が不可能になりましたが、法務大臣御自身が今回の疑惑が表面化する寸前にある新聞のインタビューで、「政財界には疑惑が幅広くある」と言っておられるわけであります。四月十一日付の朝日新聞のインタビューですが、そこでは、悪いのはたとえば田中元首相だけでなく、皆が似たり寄ったりであるという趣旨のことも言っておられるわけであります。今日の政治腐敗はそこまで根が深いのかもしれませんが、それが法の網にかかってこないのはどうしてなのかという疑問が生じてきます。  そこで、いささかきつい見方、これは私が言うだけでなくて、後ほど触れますが、いろいろな新聞論調でありますけれども、次のような見方が出てくることになります。それは現在の政治構造の中で、たとえば自由民主党の長期政権のもとで司法権の独立そのものが空洞化してきているという見方です。今回の疑惑も時効が過ぎて、無派閥の松野さんであった、そしてまた、端緒はアメリカで公表されたから表面化してきたのだという見方がある。そうでなければ法の網に乗ってこなかったのではないかという見方があるわけであります。こういう指摘が出てきているわけですけれども、これについて法務省はどのようにお考えになっているか、また、このような見方がとられないようにするためにどうされていくのか、お尋ねをしたいと思います。
  621. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 司法権とおっしゃいましたのは、検察権も含めてのお話であろうと思います。確かに一部世論に御指摘のような声があるということは私どもも承知をいたしておりまして、常にえりを正していかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。  しかしながら、検察権を含む司法権が空洞化しておるというようなことは私ども全く理解に苦しむところでございまして、戦後、わが検察だけにいたしましても、数々の大きないわゆる疑獄事件というようなものを検挙してきておるわけでございまして、端緒が得られれば断固たる態度で捜査を展開する、これが検察の姿勢でございます。  しかしながら、御指摘もございましたように、私ども自身反省をしなければならぬ面もあるというふうに思っております。それは、ロッキード事件に続いて今回二度までも外国からの資料に基づきまして初めて捜査を開始したということ。なるほど捜査を開始してからは一生懸命いたしましたけれども、やはり捜査の端緒を独自で、国内で自前で見つけてこそ検察というものが本当に機能するのであろう、これは仰せのとおりでございまして、結局、他の委員会でも私申し上げましたけれども、検察にとって一番大事なことは、捜査技術をみがき端緒の発見を容易ならしめることと、それからもう一つは指揮官の決断、この二つが相まちまして国民の期待にこたえるような機能が発揮できるものというふうに思っておるわけでございます。  そういう意味におきまして、先般行われました全国の検事長、検事正の会議におきまして私から特に申したのでございますが、この二回の教訓を生かして今後独自の立場で端緒を見つけ、決断を持って所要の捜査を展開する、こういうことでみんなやっていこうじゃないかということを申したところでございます。これが私どもの率直な感想でございます。
  622. 中川秀直

    中川(秀)委員 そこまで御答弁になったのにいささか御無礼でありますが、重ねて新聞論調を一つだけ御紹介をいたします。  「ロッキード事件にしろ、今度の事件にしろ、時の権力の主流からは、決して傷つくものは出てこない。これは不思議に共通の図式である。」これが一つ。  「それでもなお、なぜ海外からまず指摘を受けないと、日本では政界がらみの不正事件が表に出ないのか——という素朴な疑問は国民の間に広がりつつある。国内独自の捜査で政治家の汚職が摘発されたのは四十三年の「日通事件」が最後。政界を揺るがすような本格的疑獄事件となると、二十九年の「造船疑獄」以来四半世紀も表に出なかった。」  「「隣の車のドライバーに、君の車、煙が出てるぞ、と言われて故障を知ったようなもの。それが二度も続けば、ウォーニング・ランプ(警報灯)はちゃんと機能しているのか、と問われてもしかたない」というたとえ話が霞が関の官庁街にも流れ、耳にした法務省幹部すら「もっともな批判」とうなずかざるをえないのが現実だ。」こういう論調が出ているわけであります。  そこでお伺いをいたしますが、先ほど来の質疑の中で、E2Cにかかわる政府高官への金銭の授受はなかった、また、現段階で特定の約束も認められないという御答弁がありますが、では今後E2C導入の暁に、金銭が政府高官に渡される可能性は全くないか、あるいはその可能性が全くないかというお尋ねの仕方自身が正しいとは私も必ずしも思ってはおりませんけれども、仮にそういう可能性も全くないとはだれにも言い切れないとするものであるならば、これにまさにいま刑事局長が言われたように、国内の捜査から端緒を見つけていくような厳しい監視をするような徹底的な努力が検察自体に求められる、私はこう思うのであります。その点についての御見解をお伺いいたします。
  623. 伊藤榮樹

    ○伊藤説明員 これだけ国の内外にわたりまして問題となりましたE2Cの問題をめぐって、将来とも検察当局の行動を要するような事柄というものはまず起こらないと思いますし、また絶対に起こってほしくないと思います。しかしながら、絶対という言葉はないわけでございますから、先ほど申し上げましたような心づもりで、単にこの飛行機の問題に限らず、政、官、財を含めました汚職問題につきましては、常に目を光らせて抜かりのないようにしていきたいと思っておる次第でございます。
  624. 中川秀直

    中川(秀)委員 防衛庁長官にお伺いをいたします。  改めてのお尋ねになって恐縮でございますが、E2Cに関して日商岩井が受け取る手数料は幾らぐらいになるかということ、これは以前に予算委員会で議論もされ、私もいたしました。しかし、重要なことなので、改めてお尋ねをしたいと思うのであります。
  625. 山下元利

    ○山下国務大臣 E2Cの調達は申すまでもなく政府間契約によるわけでございますので、この点につきましては代理店にいささかも手数料が入らないということになっております。  なお、修理用の補用部品は大分先の話でございますが、これはもう先ほど来御審議をいただいておりますけれども、私どもといたしましては、できるだけFMS契約によりたいと思っておりますけれども、国産によらずして輸入による場合には、やはりFMS方式以外に一般商社を通ずる場合に、その時点においてどの商社代理店であるかという問題があるわけでございますが、それもまだいまのところわかりません。したがいまして、その段階におきましても、その代理店がいずれであるか、あるいはまたそれについてはどれほどの手数料が払えるのかは、調達方式を決めないと決まらぬわけでございますから。  以上のとおりでございます。少なくとも初度調弁につきましては、いささかも手数料とかいうことはございません。
  626. 中川秀直

    中川(秀)委員 私もただいまの長官の御答弁の範囲は承知をした上でお伺いをしておるわけでありますが、実は前にもお尋ねをいたしましたけれどもグラマン社日商岩井の間に契約がございました。この契約はもちろんFMSということになりましてからは、一回本体の全部がFMSに昨年なりましたので、これは消えたわけでありますけれどもグラマン社側では、ことしの二月私がお伺いした段階でも、十八カ月から二十四カ月以降、つまり初度部品以降の部品、これについてはコマーシャルベースだ、あるいは地上支援機材等についてはコマーシャルベースだという契約はまだあるのだ、こう言っておったわけであります、日商岩井との間で。この契約はまだ生きているのかいないのか。もしいるとすれば、これについては実は海部八郎氏にもお伺いをしたけれども海部八郎氏は、これは単年度契約であって、引き続き日商岩井に来るかどうかはわからないのだ、こういう御説明でしたけれども、私は別に疑うわけではありませんが、防衛庁としてどういうふうに把握をされていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思うのです。
  627. 倉部行雄

    ○倉部説明員 事実関係でございますから、私からお答えいたしたいと思います。  維持用の部品等につきましては、これはまだ先のことでございますので、もちろん予算の計上もございませんし、したがって、向こうとの間の契約もございません。そういう状況になっておりますので、ただ代理店契約によりますと、FMSの場合は代理店手数料を払わない、こういうことが明記してあるということでございます。
  628. 中川秀直

    中川(秀)委員 装備局長、私がお伺いしたのは、もちろん防衛庁と米政府との間であるいはグラマン社との間でそういう部品についての契約はないと思います。まだないと思います。しかし、日商岩井グラマン社の間の代理店契約では、グラマン社は初度部品以降の補用部品と地上支援機材については五%のマージンを払うという契約をしているんだ、こう言っている。この契約はまだ生きているのかいないのか、防衛庁として把握をどうされているのか。
  629. 倉部行雄

    ○倉部説明員 その点につきましては、代理店契約ではいまおっしゃったようなことになっておりますが、一言ちょっとつけ加えさせていただきますと、維持用部品につきましては、すべてたとえば日商に行くということには必ずしもならないわけでございますので、たとえばグラマン社製のものについては、いまのところ、たとえば日商に行くというふうな形では現在は推測されますけれども、先ほど長官申しましたように、これは大分後の問題でございますので、その時点でのグラマン社製の代理権を持っているところと、それからその以外の部品もたくさんあるわけでございまして、これについてはそれぞれの代理権を持っているところが取り扱い商社になる、こういうことでございますので、御了解いただきたいと思います。
  630. 中川秀直

    中川(秀)委員 防衛庁上長官、これだけ疑惑が露呈をされて、提起をされて、まだ日商岩井グラマン社との間で代理店契約がある。そして、その代理店契約では、初度部品、大体二年以降ですね、この部品のコミッションについては契約があるのです。それは、実際防衛庁が発注するのに当たって、どこに行くかわからない。しかし、グラマン社のE2Cの本体がFMSになるまでは、これは日商岩井グラマン社契約があったのです。それについてはちゃんとコミッションが入るようになっていた。これはFMSになったからなくなった。ところが、部品はまだ生きているわけですね。この辺はしっかり整理をし、疑惑の残らないように、少なくともこれだけ提起をされたわけですから、私は、E2Cの解除を言う前に、はっきりと国民に疑惑を解けるような方法で処置してから解除ということになるべきではないかと思いますが、防衛庁長官の御見解はいかがですか。
  631. 山下元利

    ○山下国務大臣 初度部品、初度調達につきましては、もういささかも代理店の入る余地がないことについてはお認めいただいたと思います。問題は、その補用部品についてでございますが、率直に申しまして、現在のところその代理店契約はあるわけでございます。しかしながら、これは先ほど来申し上げておりますとおりに、補用部品が実際にどのような調達で行われるか、あるいはまた、それはその時点における代理店がどこであるかということはまだ先の話でございます。したがいまして、それまでに、私どもとしては、調達方式につきましては、十分国民の皆様に御理解賜るように、疑惑のないような形において進めてまいりたいと思います。しかしながら、少なくともいま御審議願っておる初度調達につきましては、いささかももう代理店介入する余地はございませんので、御理解賜りたいと思う次第でございます。
  632. 中川秀直

    中川(秀)委員 本当に残念なんですが、時間がありません。飛ばしてお尋ねをいたしますが、米議会に国防総省から提出をされている議事録によりますと、E2Cにかかわる価格資料というものがあるわけなんですが、これによると、一九七九米会計年度予算では、米軍調達にかかわるE2C一機当たりのフライアウエー・コスト、いわゆる飛び上がった状態での価格というものは二千三百七十万ドル、こうなっているわけです。一ドル百九十五円とすると約四十六億二千万円ということになるわけですが、これと五十四年度予算に計上しているわが国向けE2Cの単価との差、これは当然開発分担金も米軍側の事務管理費も含まれる、あるいは取得時期の相違による物価上昇の影響、値上がり分というものがあろうかと思います。これについては時間がありませんのでお尋ねをしませんが、仮に向こうで四十六億二千万円、こちら側に入ってきて六十二億八千万円が、もう一つの資料で私はぜひともお尋ねをしたいのは、これはやはり米議会に国防省から年次報告が出される、その年次報告の二十一ページというのから私はこの数字を出したのですけれども、いわゆる価格のインフレーション推定値、物価上昇していくのに従って値段が上がってまいります、この推定値というのをきちっと米側は出しておるわけです。その推定値を申し上げますと、これは私ちょっと調べるのが大変だったので、グラマン本社に聞いて、グラマン本社からこうやって返事が来たのです。それによりますと、一九七九年は八%上がります。一九八〇年七%、一九八一年六%、一九八二年四・八%、一九八三年三・七%、一九八四年二・八%と、これは海軍だけでなく陸軍も空軍もすべてこの推定値を使って装備というもののインフレーション弾性値を出しているんだ、こういうことになっているわけです。としますと、今回われわれがこの予算審議のときに拝見をしたE2Cの購入予算、これはこういうインフレーション推定値は入っているのですか。米側がそういうような推定値をずっと入れていて、われわれはそういうものを全然知らされないで、この予算であると言っても、向こうはFMSで出してくるわけですから、それだけが毎年上がったらこれはかなりの数字になりますよ。この数字もちゃんと入れて言っているのか、入れていないのか。もし入れているとするならば、この数字のとおり、向こう側のとおりの率で入れているのか、入れていないとするならば、これからどうするのか、いかがですか。
  633. 倉部行雄

    ○倉部説明員 私どもの聞いておるところでは、そういった物価の上昇というものを織り込み済みでございます。
  634. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。  それでは最後になりますが、きょうは再発防止のこともお伺いしたかったのですけれども、時間が全然ありませんので、防衛庁長官にお伺いいたします。  航空機疑惑問題等対策協議会で疑惑事件などの再発防止が検討されている。これは実は奇妙なことに、五十一年のロッキード事件の後にも同じようなことがあって、そのスクラップを最近の航空機疑惑問題等対策協議会のスクラップと比べてみると奇妙に全く一致している。同じことをやっている。識者の人たちが言っている項目もみんな同じです。今度も同じ。もう国民も二度も三度もそんなことが言われて、またかまたかということで、結局それらしい対策はとられないまま後回し、後回しにされて、またこういう疑惑が提起をされる。私はもうなかなか本気になさらぬのじゃないかという気がいたします。  そこで、防衛庁はその中で、防衛庁のみならずどこもそうですが、行政機関の発注についての公正確保、このために大規模調達における手続の厳正化というのが挙げられている。これはどういうことを具体的におやりになろうとしているのか。私はもう相当の決意でやってもらわないと困ると思う。現に先ほど来御答弁がありましたけれども、歴代の防衛庁長官は予算を取るときの大切な応援団であるから御相談に行くんだとか、あるいはユニフォームの方々がいろいろなところに天下りをされる。そしてまたいろいろな施設を通じて、たとえば米軍の施設等でも、制服組の幕僚長あるいはそういうクラスになると特別の便宜を米軍の施設でも与えてもらう。そういうところでまた元在日米軍の司令官などに会う。たとえばゴルフ場とかそういうところで会う。その在日米軍の元司令官は、たとえばマクダネル・ダグラス社の日本社長であったりグラマン社の何とかであったりする。またそういう方と会っている日本の元ユニフォームのうんと上の方の方々がしょっちゅう空幕なり海幕なり陸幕なりに出入りされる。これはだれが聞いたって、そんなことは私が改めて言うまでもない、新聞にも出ていることです。私も調べてみましたが、これは米軍の多摩基地にあるゴルフ場ですけれども、オーナリー・ゲスト・カードといって、幕僚長経験者がみんな出ている。そういうようなおつき合いがあって、これはだれが見ても国民はううむという気持ちになる。この辺は、ここにあるように大規模調達における手続の厳正化というのはよっぽどきっちりやらないと、単なる再発防止、再発防止と、何か選挙向けのそのことだけでおやりになっていただいたのでは政府不信はつのるばかりだろうと思うのです。  私は、きょうは政治資金についての新しい方式、西ドイツ方式とかアメリカ方式とかいうようなこともいろいろお尋ねをしたかった。時間がないから、防衛庁に関しての長官のそういう御決意を何としてもお伺いをしなければいけないと思ってお尋ねをするわけですが、いかがですか。
  635. 山下元利

    ○山下国務大臣 まことに御指摘のとおりであると考えます。ただ、私もこの航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会についてはメンバーに入っておりませんので、私から申すことが適当かどうかわかりませんが、しかし、このたびの問題につきましては、大平総理大臣も決意をもちまして当たるということになっております。これは私はこの協議会によりまして十分成果を上げていただけるものと思います。そしてまた、私どもといたしましては、従来から申し上げておりますが、調達の適正化を確保するための誓約書であるとか、価格調査であるとか、代理店契約書を提出させるということもやっております。不正行為の介入の防止は徹底的にやってまいりたいと思いますが、いま御指摘のように、たとえば歴代長官に相談しておるじゃないかとかいうこと、これは絶対にございません。また、防衛庁におられた方々に対して便宜を供与しておるということも私はないと思います。しかし、いまゴルフ場とかあるいは出入りというふうなことにつきましては、私どもも、かつて勤務された方が昔の職場へ来られるということも、これは普通のことであると思いますが、そうしたことにつきまして疑惑を生じないように、あるいはまたゴルフ場につきましても、私ども、こうしたことで良識のある行動をするように厳に戒めておるわけでございますので、そういう調達の契約等につきましての厳正な執行とともに、いろいろそれをめぐる周辺の問題につきましてもえりを正しくいたしまして当たりたいと思う次第でございますので、御理解賜りたいと思う次第であります。
  636. 中川秀直

    中川(秀)委員 もう終わりますが、せっかく内閣官房からもこれの再発防止の関係の方も、審議室長来られておるので、一つだけお伺いします。  つまり、先ほどお話ししたように、過去に同じようなことを、黒い霧事件のときにも再発防止みたいな議論があってそういうことが行われた。五十一年のロッキード事件のときにもそういうことが行われた。二度も口ではやるようなことを言いながら、結局本気では取り組まなかったとしか言いようがないような、そういう結果に終わっておるわけです。抽象的な口約束では国民は納得しないと思う。本気でやるということの担保になるものを私は示していただきたいと思う。具体的には防止対策の推進体制の整備というようなものですけれども、どういう体制でもって着実に進めるのか、その辺をひとつお伺いをしたい。
  637. 清水汪

    ○清水説明員 政府といたしましては、これまでもできるだけ努力をしてきたつもりでございますが、しかしながら、さらに新しい視点からこの疑惑の防止対策を講じなければならないという非常に強い決意でこの協議会にもお願いをしておるわけでございまして、協議会では非常に広い範囲から御検討いただきまして、現在のところ非常に精力的に御検討をお願いしております。できるだけ早く御提言を取りまとめていただきまして、その結果につきましては内閣として責任のある処理をしてまいることになろう、このように考えております。  それからなお、先ほどの防衛庁長官がメンバーでないということにつきましても、これは当初の構成員ということではいま加わっていただいておりませんけれども、ということは、別に防衛庁関係の問題がどうという、軽いということじゃ毛頭ございませんで、この閣議了解の要綱によりましても、必要に応じて関係大臣にも御協議に参加をしていただくというような体制をとっておるわけでございます。そういうことで鋭意速やかに御提言をいただくように努力をしてまいる考えでおりますので、御了承いただきたいと思います。
  638. 中川秀直

    中川(秀)委員 同僚議員にお許しを願って、もう一問だけ質問させていただきますが、自治省お越しになっておるので、最後に私なりの再発防止のシステムについて簡単に提言をいたします。  結局、要するに政治腐敗の問題として、有識者の発言を見てみますと、従来支配的であった考え方は、企業献金があるから腐敗が起こるとか、対策は、企業献金を禁止して党費と個人献金だけにせよとかいうたぐいの話だったのです。ところが、わが国の歴史的な伝統や政治風土からすると、なかなか国民は政党に入ろうとしないし、個人献金はおろか、献金するという、そういう状況よりは、むしろ選挙でお金がかかるという状況の方が現実の実情であるわけです。  そこで、最近は、そういう実情無視の議論よりも、まともな政治活動にはやはり資金が必要だ、それを民主主義のコストとして国民が応分の負担をしていく道が探られていいんじゃないかという議論が出てきている。たとえば、ある政治学者の計算だと、わが国の一年間の政治資金を有権者一人当たりで割って、一人当たりたとえば千円であるとか、あるいは陰の政治資金を入れても三倍、三千円ぐらいでできるのではないかというような計算をした方もいらっしゃる。アメリカや西ドイツ等では、たとえば西ドイツは一票につき三・五マルク、約四百円の割合で、票数に応じて各党に自由に使える補助金を国から出す、こういう方法になっています。これだと、要するに、政治活動費や選挙費用の公的負担、しかも自分の支持する勢力に国を通して献金をするような、そういうかっこうです。アメリカは多少異なるけれども、納税に際して年間納税額の一ドルを特定の政党に入金するよう指定できるようになっている。これはちゃんと税法でもそうなっている。こういうようなことがぜひ日本でも検討されてもいい時期に来ているのではないか。いつまでも堂々めぐりの議論ではなくて、本当に二度とこういうことを起こさせないようにするためには、そこまで本質的な議論をしなければどうにもならぬという気がするのです。自治省、その自治省としての御見解、こういう方向で検討なさるかどうか、その御努力をいただけるかどうかお伺いをして、大変長くなって恐縮でしたが、質問を終わります。
  639. 大橋茂二郎

    ○大橋説明員 金のかからない選挙ということで選挙の公営ということをやっておりますが、選挙の公営ということではなくて、公費負担という外国の制度をとったらどうかという御指摘だと思います。ただ、外国の制度そのものは、公費負担という単独のものではございませんで、これは政党の制度であるとか選挙の制度であるとか、それと密接に連関しておる問題でございますが、これらが著しく違っておるわが国の状態で、これだけを導入するということはなかなかむずかしい問題でございます。やはり選挙制度をどうするんだとか政党制度をどうするんだとか、これらの問題とも関連しながら、慎重な検討をしたい、そういうふうに考えております。
  640. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  641. 永田亮一

    永田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十三分散会