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上村国務大臣 去る五月七日、八日の二日にわたりまして
OECDの
環境委員会閣僚
レベル会議、いわゆる
環境担当
大臣会議が
OECD本部のパリで開催されたことは、いま御
発言のとおりでございます。私は、この
会議に
日本政府を代表いたしまして、副議長としまして議長を補佐して
会議の運営に当たるとともに、わが国の
環境の
実態と政策について積極的な
発言をしてまいった次第でございます。
御承知のように、この
会議は
昭和四十九年に第一回の閣僚
レベルの
会議がございまして、五年ぶりの第二回の閣僚
レベル会議でございます。
会議は御承知のように
OECD加盟の二十四カ国の
環境政策担当の最高責任者が出席して行われました。
これの主なテーマといたしまするのは、変化しつつある経済情勢のもとにおける今後の
環境政策のあり方について真剣に
討議が重ねられたわけでございます。この
会議におきまして、
一つの宣言と四つの勧告が行われたことは確かでございます。そしてその宣言が予見的
環境政策というものにつきまして行われておることもそのとおりでございます。
四つの勧告と申しますのは、これはまず第一に
環境の状況に関する勧告でございます。それは
環境政策の発展のため
環境の状況に関する科学的知見、情報等の改善のための
努力を一層強化すべきことを内容とする勧告でございます。
第二の勧告は、
環境と観光に関する勧告でございまして、観光開発政策の早い
段階で
環境への配慮を加えるべきことなどを中心とする勧告でございます。
第三の勧告は、
環境に重要な
影響を与える事業の
評価に関する勧告、いわゆる
環境アセスメントの
関係において、その
環境に与える
影響を事前に
評価することが
環境政策の不可欠な要素であり、各国により多様な法律的、
制度的、行政的枠組みを有していることを認識しつつ
環境に重要な
影響を与える事業の企画、政策
決定過程に対し、
環境面からの配慮を組み込むべきことを中心としますところの勧告でございます。
第四の勧告は、石炭と
環境に関する勧告でございまして、石炭の生産と使用の拡大という趨勢にかんがみまして、総合的
環境、エネルギー政策を達成するため計画と政策の立案の
段階から有効な
環境対策を開発、改善すべきことを中心とする勧告でございます。
こういうことが行われました。そしてこの「予見的
環境政策に関する宣言」につきましては、
環境面の重要な
影響を有する可能性のあるすべての経済的、社会的分野におけるあらゆる
決定の早期の
段階で
環境的考慮が組み入れられることを確保するよう
努力すること。要するに
環境影響評価の問題です。
それから、二点としましては、政策
決定を他の分野の諸政策と一体化するためのより効果的な
制度上の手段、経済上の手段等を追求することなど、計十
項目を加盟各国
政府として宣言をいたしたものがこの「予見的
環境政策に関する宣言」でございます。
いま御
質問の中に
日本の
環境政策というものにつきましてのお尋ねがございましたが、
日本の
環境政策そのものにつきまして、従来の
日本の
環境政策の状況、そういう
問題点につきまして私は演説をしたわけです。その演説の
趣旨は、大体五十一年度に
日本の
環境政策につきまして
OECDがレビューを行っておりますが、その線に基づいておるわけでございます。と申しますのは、
日本の
環境政策というものは
公害、特に企業
公害を中心としまして、そしてこの対策から発展をしておる。ですから、
公害基本法の制定が行われ、それに基づきまして
環境庁というものが発足しておる。ところが
公害というものにつきまして漸次企業の側におきましてもいろいろとこれに対策を講じてくる、
努力が行われる、そういうことから危機的な
状態からは脱したというふうに思われるけれ
ども、しかし、
公害そのものとしましては様相が複雑化してまいりまして、企業
公害、産業
公害とは別個にあるいは生活
公害というようないろいろな問題も含んできて、当初のように加害者と被害者というものが歴然と分かれるという
状態ではなくて、ある場合においては加害者になりある場合においては被害者になるというような
一つの様相を呈してきた。それから自然
環境保全の場合におきましても、
日本はきわめて国土が狭くて人口が多い。しかも生活し得る、住居し得るところの地域というものは国土の比例として非常に少ない。その中で経済的な豊かさとかいろいろなものを追求する以上は開発行為というものがいろいろ行われる。それと自然破壊というものがあってはいけませんから、そういうもののバランスをとりながらいくという新しい問題が提起される。そこへもってきて生活のいわゆる質の向上というものが行われてきますと、住む
環境を中心としますところのいわゆる快適な
環境づくりというアメニティーの問題が非常に叫ばれてくる。たとえば日照権にしましても眺望権の問題にしましても近隣騒音の問題にしても、そういうような動きにいまずっと包摂されてきておる。だから、いまの
段階としては
日本の置かれておる立場が世界的な
意味においても
一つの共通する問題じゃないだろうか。そうするならば、
環境保全というものについて、それを包摂する
一つの理念とか哲学というものを世界的に
検討する時期に立っておるのではなかろうかという
趣旨のようなことを私は演説をやったわけでございます。
そういうことは、大体五十一年の
日本の
環境政策に対する
OECDのレビューの骨子をなしておるものでございますので、その
考え方、情勢につきましては
OECDとしましては高く
評価したものだと私は受けとめております。と申しますのは、その席上におきまして議長は、
日本の
報告はすばらしかったということを
発言しておるわけでございまして、議事録にもあるわけでございますので、そういうふうに受けとめておるわけでございます。しかし、
環境問題につきましては非常に崇高な理念を含んでおりますので、
国民のニーズに沿うように、これを一歩でも前進させなければならぬという姿勢でおるわけでございます。
感想としましては、副議長もやりましたし、ちょうど
国会の
議運みたいなところの要素もありますので、朝、議長国と副議長国と集まりまして
問題点をどういうふうに整理していくか、どういう点をやっていくかというようなところへ入っておりまして、そこでも私
発言しておりましたので、こういう場を通じまして国際的な理解を非常に深めたということにおきましていい会合であったというふうに私は受けとめております。