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上村国務大臣 ただいままでの経過だけを率直に申し上げておいた方がかえって
環境庁の姿勢もよくわかると思いますので、申し上げさせていただきますが、実は、私、
環境庁に参りました際に、環境影響評価法案というものは非常に必要なものであるという認識のもとに立ちました。そして、そのためにずっと調べてまいりますと、昨年の五月十八日に自民党で政調会の決定が行われておるのです。その決定の文章は、実は客観的な、科学的な指針というものがまだ確立していない、多分、温水や何かを言っておるのじゃないかと思いますけれ
ども。それから法制化は時期尚早であるというふうに決定されておるのです。その後段の方で、環境アセスメントの制度を確立するということは既定方針である、だから党と
政府が一体をなして日本の風土に合う実効性のある制度を検討すべきであるという決定がなされておるわけです。それで、それを踏んまえまして、私、昨年の暮れに、とにかく時期尚早ということは現実の問題、各省庁間の調整がまだできていないとか、あるいは各種団体との間の調整とか、党内調整とかいうものができていないということで時期尚早というふうに見ていいかと言ったら、そうだということになりまして、それであれば、私
どもは必要であると思うから、精力的にこの調整に入るからということで、従来ちょっといわば凍結状態にあったのが
動き出したという始末であります。
そこへもってきて、昨年、暮れでございますので、予算編成に入る、それから予算審議に入るということでございますが、法案としましては、とにかく提出予定法案にリストアップしてもらうということでそれが決まったわけです。そうしたところが、予算
関連法案以外の法案は三月十六日までということを大体閣議でめどをつけておりました。でございますが、いま言ったような
関係でございますので、党の方の、特に与党の方の環境部会では精力的に検討を始めたわけです、いままでのいきさつがございますから。それの
動きも見ており、それとともに、必要な
資料は
環境庁としては精力的に提出をしてまいりました。それから各省に対しましてもやっておるわけです。
それで、一番大きな問題は、結局客観的な指針という問題があるだろう。そういうことで、三月十三日ごろかと思いますが、党の部会にとにかく
環境庁がまとめました指針を提出し、発表したわけです。もちろん、それにつきましてもきっと論議が進められると思いますけれ
ども、一方、そういうことについて
資料としては出していかなければ論議が進まないというふうに思いましたから、そうしました。それから法案の骨子、また
環境庁が
考えておるような条文というものも御提出するということでやっておるわけです。党としましても、精力的にずっとそれを進めておる。まだ結論は出ない。それからこの環境アセスメントのあり方あるいは
考え方につきましては、中央
公害対策審議会に諮問をしておるわけです。これの答申というものがまだ出ておりません。出ておりませんが、近いうちに出るというわけです。そういうことでございますので、それも見、アセスという問題につきましては、一歩でも二歩でも確立の方へ進めていきたい。
というのは、基本的な物の
考え方で二つあるわけですね。いままで、四十七年度のときに閣議了解事項としまして、国の公共事業あるいは国が認可、許可するような事業につきましては、アセスをやれということになっております。それで各省庁もずっとアセスはやってきております。けれ
ども、要は、いま御
指摘にあったような問題につきまして、どうも統一的になっていないのですね。それで私
どもは、この際だから、国の全体の統一的な
法律規制でいった方がいいという観点のもとに法案を進めておる。ところが、そうでない御
意見の方は、いまのやつを積み上げながらいった方がいいじゃないか、こういう
見解が出ておるのです。この調整がまだついていない。
それから、特に大きな問題としましては、いまの住民参加のあり方、方法、こういうものが大きな柱であることは間違いございません。そして従来の長い間の経過を踏んまえられまして、そうは言うけれ
ども、こうだというような
意見が出ておるということで延びておるというのが実情でございます。
それで
政府の方に対しましては、三月十六日の提出期限が来ておりますが、いま鋭意やっておりますから、それを延ばしておいてもらいたいということで言っておりますが、それがおのずから今
国会に対する物理的な状態が来ることはあると思います。けれ
ども、私
ども、アセスメント制度の確立のために、一歩でも二歩でも前進させようというのが
環境庁の現在の姿勢でございます。