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1979-05-24 第87回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十四日(木曜日)    午前十時十二分開議  出席委員    委員長 有島 重武君    理事 左藤  恵君 理事 佐藤 守良君    理事 中村 弘海君 理事 前田治一郎君    理事 太田 一夫君 理事 広沢 直樹君    理事 青山  丘君       井上  裕君    石橋 一弥君       北川 石松君    玉生 孝久君       水平 豊彦君    沢田  広君       野坂 浩賢君    吉原 米治君       薮仲 義彦君    伊藤 公介君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君  委員外出席者         気象庁観測部地         震予知情報室長 関谷  摶君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     持田 三郎君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ————————————— 委員異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   石田幸四郎君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     石田幸四郎君 同日  理事宮井泰良君同月二十三日委員辞任につき、  その補欠として広沢直樹君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 有島重武

    有島委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 有島重武

    有島委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事広沢直樹君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 有島重武

    有島委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事持田三郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 有島重武

    有島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 有島重武

    有島委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  7. 吉原米治

    吉原委員 最初警察庁お尋ねをいたします。  自動車による交通事故原因を考えた場合に、およそ一三つ条件があると考えられます。つまり、一つ物損事故の場合、ドライバー間に、不注意あるいは義務違反、こういうものがあったのかなかったのか。これが大半の原因になっておるわけでございますが、もう一つは、歩行者、つまり人身事故の場合、歩行者の方の責任はどうだったのかというふうなことも二つ目に考えられるわけでございます。そして三点目は、車両整備が十分行われていたものかどうか。つまり欠陥車であったのかなかったのかという、そういう三つの点が道路交通自動車事故による場合には考えられるわけでございます。そこで、きょうは、私は特に自動車整備状況について集中的にお尋ねをしたいわけでございます。  今日まで警察庁が発行されております統計資料あるいはまた最近出されました五十三年度の交通白書の中を見ましても、車両自体欠陥あるいは欠陥車による事故というものがどうしても統計資料からはつかめないのです。車種別あるいは時間割りとか曜日別あるいは年齢別とかいうふうなそういうものはきちっと資料として出ておりますけれども整備不良車による事故というものを考えてみた場合には、どうしてもこの資料では的確な判断がつかみにくい。現実運転をして道路上を走っておりましても、トラック等で大変見かける状況でございますが、積み荷をして右なり左に大変傾いたままで走っている車をよく見受けるわけでございます。そういう問題を考えてみた場合に、路上横転をする車両というのは、車のフレームに曲がりがあるとかあるいはねじれがきておるとかそういう車両がほとんどである、私は過去の体験を通してそういうことを承知をいたしておるわけでございます。したがって、車両整備交通事故という因果関係を考える場合には、どうしても毎年出されます交通白書あるいはその他の警察庁で出されます交通安全に対するいろんな資料の中を見ましても、どの資料にも触れられてない。特に白書の中では、今後の交通安全対策の方向の諸点が掲げられておりますが、その第三点に車両安全性の確保という点をうたってある。そういうことがうたってあるにもかかわらず、適切な対策を講じようにも資料がない。たとえば事故類型別死亡事故件数という白書の五十二ページの「自動車原付自転車単独」という欄の転倒あるいは路外逸脱というのが昭和五十二年で八百十五件、五十三年では七百三十五件という件数が出てきております。恐らくこの転倒路外逸脱というふうなものの中に私がいま指摘をしております欠陥車両があるのではなかろうかということが考えられます。あるいはまた、同じく五十三ページの表の中にも「整備不良車両運転」、これはただ単に事故にはならなかったけれども整備不良車として街頭指導を受けた、こういう件数だろうと思いますが、私は少なくとも死亡事故件数の一覧の中にある転倒路外逸脱、この項の中の八百十五件あるいは五十三年では七百三十五件という件数の中にかなりの部分含まれておると思いますが、そういう統計上の問題について、まず警察庁に、なぜわざわざ車両安全性を確保するという方針をうたいながらそれに必要な資料が出せないのか、これを最初に伺っておきたいと思います。
  8. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  実は車両欠陥という場合もありますし、整備不良という場合もありますし、これが事故分析の中ではっきりしてないということについては、吉原先生の御指摘のとおりでございます。私ども事故原因調査をやりますときに、一つ走行上の問題、事故原因というのはいろいろ複雑に絡み合っておりまして、スピードを出し過ぎているというケースもあれば、ブレーキをかけたけれども制動が余り十分でなかったという、積み荷関係とかいろいろなものが複雑に絡みますので、第一原因、第二原因、第三原因といろいろ分析をしていくことになるわけでございますが、車の構造装置不備によるものであるかどうかということの判断は、実は車同士がぶつかりますので大変に破損をいたします。そういう問題が一つございますのと、それから、日常、交通事故というのは大変な数があるものですから、この一台ごとに車の構造装置がどうであったかということを調べるのにはうんと時間がかかるというふうないろいろな条件がございます。しかし、いずれにいたしましても、これから本当の安全対策を総合的に考えていこうとしますと、どうしても車の問題に手をつけざるを得ないということで、われわれ自身もその点にいろいろ反省をいたしまして、事故分析の原票というようなものをどのように考えていくのかということをいま実は検討をしている段階でございます。  ちなみに各県の県警のこういう車両鑑定機能というのが非常に不備でございます。今度、ことしの予算におきまして、中央に科学警察研究所、科警研と言っていますが、そこに車両運転研究室というものを新設いたしましたが、それはまさにそういう考え方不備を今後補っていこうということの一つあらわれでございます。  御指摘のとおりでございますので、そういった車両鑑定あるいは原因調査について今後格段の努力をしてまいりたいと考えております。
  9. 吉原米治

    吉原委員 ごく当然の答弁でございますし、恐らくそのような答弁をされるだろうと思っておりましたが、一つ具体的に聞くのですけれども走行中に急にブレーキが効かなくなった、さっき停車したときにはうまくブレーキが効いたけれども、次にとまる必要のある間にブレーキパイプ破損をして、次のとまる時点で途端ブレーキが効かなくなって人をひき殺したという事例もありますが、こういう場合には運転者供述といいますか、それを本当に現場警察官が信頼されて——本当にブレーキが効かなかったのか、衝突した瞬間にブレーキパイプが切れたのじゃないか、破損したのじゃないかという観点から、こういう場合にはとかく運転者が処罰の対象になるという例が私の知っておる限りではございました。ですから、今後こういう場合の統計資料をつくられる段階で、確かに走行中にブレーキパイプ破損したのだということを認められて、つまり車両欠陥による事故だ、運転者には過失はなかった、こういう資料の原本にそういう記帳になるのか、いや、それはそういう切れそうなブレーキパイプだったから、つまり言うところの整備不良だ。しかし、通常ドライバーが目で見てブレーキパイプに異常があるかないか、この程度のことしか点検ができないわけでございまして、よもや走行中にこのパイプに亀裂が生じてブレーキ油が漏るというふうなことは事前に予測できないわけでございまして、そういう事故例のときにはどういう調査をされて、いま前段申し上げました資料をつくっていただくにしてもどういう処理の仕方になるのか、具体的に例を挙げましたから具体的にお答えを願いたいと思います。
  10. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  昨年のデータで申し上げますと、実は整備不良車両、これが事故の第一原因であると思われるものが統計資料の上で約五百件あるわけでございますが、そのうちの三百件というのが制動装置の問題、ブレーキの問題でございます。これは私どもの現在の体制の中でも第一原因車両整備不良という、車両装置上の欠陥というものに起因すると認められるものが先ほど申しましたように五百件あるわけでございますが、これなどはドライバー供述から、ブレーキを踏んだけれどもブレーキが効かなかった、あるいは何かおかしいけれどもハンドルをとられたというような個々供述に基づいて実況見分をいたすわけでございます。その結果ブレーキが効かなかった、あるいは昨年もありましたけれども高速道路で、これはあるメーカーのタイヤでございますが、タイヤにこぶのようなものができておったというふうなことが後の鑑定でわかりました。これが全部回収という大きな問題になったわけでございますが、そういう現場でのドライバー供述というものをよく聞いて、その上で鑑定を進めていく、その結果が整備不良の問題に突き当たるというふうなことが通常ケースでございますので、そういうドライバー個々申し出というのは十分考えながら事故原因調査に当たるということにいたしておるわけでございます。
  11. 吉原米治

    吉原委員 ちょっとしつこく聞くのですが、そういうケースの場合は過去の統計資料にはどの欄に含まれておるのですか。
  12. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  もう間もなく先生方のお手元にお配りをする予定にいたしておりますが、五十三年度版の「交通統計」、これをお配りすることにいたしておりますが、これの中に「第一当事者違反別交通事故発生件数」という欄がございます。その中に整備不良車両が第一原因であるものが幾らというのが出ておるわけでございます。いまそういう意味の分析が行われておりますが、事故が起こったすべての車両についてこれが整備不良に基づくものかどうかという徹底した調査というのは現在行われてない。要するに、だれが見てもそうであるということが後でわかる、あるいは供述から調べてはっきりしたというふうなものをここに掲上しておるということでございますが……。
  13. 吉原米治

    吉原委員 今日までに出されましたいろいろな資料があるでしょう。その資料の中のどの欄にいまおっしゃったようなケースは含まれるのですか。「その他」というのがあるけれども、その「その他」の中に入るのか、ほかにもっと適切な項目があって、いま言ったようなケースはこの欄に入っております——たとえば、いまあなたがおっしゃった五百件という件数は従来出されておる資料の中のどの欄に入るのか、こう聞いておるのです。
  14. 杉原正

    杉原政府委員 従来のでいろいろなあれを使っていると思いますが、「第一当事者違反別交通事故発生件数」という欄の中に通常出ている。ただ、統計がいろいろなものがあると思いますので、総理府の方のその中のどういう欄かというのはちょっといま承知いたしておりませんけれども、そういう形で出ております。
  15. 吉原米治

    吉原委員 それではひとつ、今後できるだけ早い機会に、といいましても、やはり資料ですから、一年ぐらいたたないとびしっとした権威ある資料が出ないと思いますから、少なくとも五十四年度あるいは五十五年度、こういう単位年度に限って、早い機会にひとつ車両整備不良のために起きたと思われる件数はきちっと統計上出していただきたい。それも制動装置であるとかあるいはハンドル部門であるとかいうきわめて分類をした形で出してほしい、こう思います。そのことをひとつ警察庁側に強く要請をしておきたいと思います。  これは運輸省お尋ねをするわけでございますが、過日も東京都の陸運局車検場にも私、現地視察をいたしましたが、冒頭申し上げました道路上でよく見かけるトラックの異常な状況、つまりフレームの曲がりやらあるいはねじれというふうなもののある車自体が相当の積載をして走っておる。これが私に言わせれば路上横転の一番大きな原因になっておると思いますが、特にこの過積み問題がやかましく今日言われておりますが、その過積みトラックのうちの二トンから四トン程度の平ボデーの車、特にその中のクレーンをつけた車両、そういう自動車にはほとんどといっていいくらいフレームに曲がりが来ておる。このことはどうしても車検場車検段階チェックできないものかということで、私もかねがね考えておりましたけれども、五月の十四日でございましたか、車検場へ行って見まして、検査官が単なる車両傾き等については空車のままでしかも目視をして点検をしておる。人間の目は確かだ、こういう現地検査官説明でございましたが、なかなか空車のままで目で見て、そして傾きがあるかないか、フレームに曲がりがあるかないか、こういうことまでは私は恐らく正しくつかめないだろうと思う。特にこのフレーム下側についておりますスプリング強度コイルバネトラックの場合はほとんどございません、板バネでございますが、その板バネなら板バネ強度テストというものがなされていない。聞きますと、新車段階ではやるとおっしゃっていますが、新車段階をとやかく私どもは言おうとは思いませんが、少なくとも欠陥車両として荷を積んだ場合に大変右に傾いたままで走る、あるいは極端なのになりますと前輪の車の跡を後輪が通らないという非常にねじれのあるフレームのままで走っておる。そういう車も現実車検が受かってきておるという、そういう事実を考えますと、まさに走る凶器とでもいいますか、そら恐ろしい感じがするわけでございますが、どうしてもいまの車検制度ではこういったフレームの曲がり、ねじれチェックできないし、あるいはまたスプリング強度テストもやっていない、しかも空車のままで検査をしておるということについては、きわめて不適当な車検だ、こういうふうに私は言わざるを得ないわけでございますが、運輸省の側から見た今日の車両車検制度のあり方、完全に整備がしてあるという確認がされておるのかどうなのか。現行整備で事足りておる、こう考えていらっしゃるのか。  たまたま整備不良車で何件、いま杉原交通局長の話では五百件年間にある、こういうことでございますが、正しい数字が出ておりませんので言えませんが、運輸省の方の側はどういった考え方でいま車検制度を見ておられるのか、まず基本的な考え方からひとつお伺いしたい。
  16. 小林育夫

    小林(育)政府委員 お答え申し上げます。  国の車検がいかにあるべきかという基本的な問題だと思います。私ども、与えられました予算と定員の中で、現在ありますこの膨大な車両を処理していかなければならないわけでございます。したがいまして、何が、どういう検査をやることが、最も効果的で最も安全のために適しておるかということを考えてやっておるわけでございます。  そして、車両法のたてまえによりますと、道路運送車両法保安基準という技術的な保安的な基準がございまして、この基準を守る第一義務者というのは自動車使用者、こういうことになっておるわけでございます。自動車使用者は、別に定められました定期点検というものがございまして、それをきちんきちんとやっておく。そのほかに、一年あるいは二年に一度の定期検査というものがある。これがいわゆる車検でございます。これを私ども人間の体にたとえますと、これは会社なり事業所がやっております定期健康診断、そういうものに当たるわけでございまして、私ども、そういう車の定期健康診断をやらしていただくと同時に、ふだんそういう方々が自分の健康管理についてやっていただいておる、これは定期点検整備でございますけれども、そういうやり方が正しいのかどうかということをチェックさしていただいているというのが実態でございます。  したがいまして、定期健康診断でございますので、いまかぜを引いているとか、下痢しているとか、そういう状態まで見るわけにはいかないわけでございます。少なくとも十分なる健康管理がやられるとすれば次の車検までは何とか安全に車を保てることを一応の目安として大きな支障がないということで検査をしておるわけでございます。したがいまして、細かい個々の部品をチェックしたり個々狂いを見つけたりということは、とても、多くの車両を短い時間に検査するというたてまえからいたしまして、なかなかむずかしい、こういうことでございます。  いま先生指摘のありましたフレームの曲がりなり狂いなりということでございますけれども、これも非常に極端なものは私ども検査でも当然、先ほどお話がございましたけれども目視によって発見ができます。それから、やはり著しい狂い、曲がり等はハンドル操作支障が出ますし、その出る一つあらわれとして、前輪サイドスリップ横滑りというような状態に出てくるわけでございますけれども、そうした状態になって出ますれば、これを前輪サイドスリップのテスターでもって感知するということで当然チェックができるわけでございますけれども、著しくないもの、そこの計器にひっかかるまでに至らないもの、そういうものは当然検査には合格するということになるわけでございます。  そういう車両が町を走っておるではないかということでございますけれども、これは使用している御本人は当然そのことについて御承知なわけでございますし、それが保安基準に合わないということであれば、使用される方は当然保安基準に適合させる義務があるわけでございまして、当然直していただかなきゃならぬ。同時に、私どもも、そういう車を放置させておくわけではございませんで、随時街頭検査等取り締まり当局と協力してやっておりますので、そういう機会をとらえましてこれを排除していっているというのが現状でございます。
  17. 吉原米治

    吉原委員 いまの車検制度が外観だけの検査あるいは空車のままで検査されているというところに不合理な点があると私は思うのです。いまフレームの曲がりの問題を取り上げて言っているわけでありますが、空車のときには目で見てわからない。ごく正常な車だという認定を検査官はするでしょうけれども、一たんそれに四トンとか五トンとかいう荷物を積載した場合に、フレームの曲がりがあればさらに右なら右に傾く。あるいは左右のリアの板バネ強度が違う場合にはさらにその傾きが一層濃くなる。荷物をおろすと正常らしい形になる。そういう場合に街頭で、君の車はずいぶん右に傾いているがおかしいじゃないか、欠陥車じゃないか、こう指摘されても、きのう車検を受けたばかりの車でございます、どこが悪いんですか、見てください、こう言われた場合に、街頭指導に立った警察官はどういう指導をされるのか。それは昨日車検を受けて出たばかりの車なんですよ。そういうときに、これは車検が徹底していないからもう一遍車検を受けてこいというふうなことも恐らく言えないし、どういう指導をされるのですか。それは杉原局長の方の分野になると思いますが、まず小林整備部長の方から……。
  18. 小林育夫

    小林(育)政府委員 街頭取り締まりにつきましては、私ども警察当局の御協力を得てやっておるものと警察当局が独自にやっているものとがございますけれども、少なくとも私どもが協力して御一緒にやっておりますものにつきましては当然その場で整備命令というものを発しておりますので、それはそれで直した上で検査場へ来て確認を受けるという措置がなされるわけでございます。警察当局がやられる場合にも整備不良車ということで恐らくそういう指示がなされて、私どもの方へ、陸運事務所の方へ通告がございまして、私どもの方で確認をする、そういうことになろうかと思います。
  19. 吉原米治

    吉原委員 そうしますと、いみじくも現行車検制度ではどうしようもないということになると私・は思うのです。きのう受けて出てきたばかりのトラック荷物を積んでみたら、後ろから見ても前から走ってくるのを見てもずいぶん右に傾いて走っている。ああいう車が急ブレーキを踏んでごらんなさい、必ず路上横転しますからね。そういう欠陥車が堂々とまかり通る現行車検制度なんです。これは一つの例で申し上げたのですが、続いてもう一つ。  フロントのホイールアラインメントの問題を五月十四日に東京都の陸運事務所でも私は実地に見てまいりました。あのサイドスリップテスターの上を、一メートルばかりの踏み板の上を直進の形でアラインメントが適切であるかどうかをテストするわけでございますが、少なくとも一メートルの踏み板の上を荷車でも転がすような速度で通過することによっては正しいアラインメント点検が私はできないと思うのです。皆さんの方は、運輸省の側は、あの一メートルの間に五ミリの誤差が出たらだめだ、こういうことでごく適切な、正確な測定をされておるようにおっしゃいますけれども現実にはそういう横滑りをする、アラインメントが正しく調整されていない車の場合に、低速の場合は比較的ハンドルに異常は来さないけれども、六十キロなり八十キロで走ると途端に不安定なハンドル状況になる。こんな車がよく車検が受かったなと思われるぐらい不安定なハンドルのままで車検が受かる。あなた方がいかに正確にテストしておる、チェックをしておるのだとおっしゃっても、現実右きき左ききハンドルが六十ないし八十の高速で走りますと出てくる。ですから私は現実の問題をとらまえて言っておるのですが、いまのサイドスリップテスター器というのが一体どこまで正確なものなのか、私は疑問でならぬのですよ。  それから、このサイドスリップテスター器の上を通過する場合に、あれは速度関係はないと現地では説明がございましたが、私は速度関係があるような気がする。あの一メートルの踏み板の上を四十キロとか五十キロで通過する場合と四キロか五キロの荷車が回転をするような形で行った場合とではずいぶん誤差が出ると私は思いますが、現行サイドスリップテスター器によるアラインメント点検現行装置で間に合っておるし正確なものだ、こういう判断でございますか、どうですか。
  20. 小林育夫

    小林(育)政府委員 前段の御質問は、いまのサイドスリップは正確なのか、こういう御質問だと思います。  まずサイドスリップの原理と申しますと、技術的なお話で、口だけで申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますけれども先生承知のとおり、車の前輪には前輪整列と申しますかホイルアラインメント、トーイン、キャスター、キャンバー、キングピン角度というようないろいろな要素が絡み合って、車を直進したりハンドルを正常に動かしたりというような仕掛けがいろいろあるわけでございます。  御説明を簡単にするためにキャンバーというものをとって御説明いたします。キャンバーというのは、車を前の方から見ますと前車輪がかたかなのハの字の逆型に上の方が開いてついております。もしこの車輪を軸の長さが自由に変わるような軸でもってつなぎましてこれを前の方に転がしてやるとします。そうしますと上が開いている車が転がるわけでございますからお互いにだんだん離れようとする。そして軸がだんだん広がっていくわけでございます。ただ実際の車ではその軸が固定されておりますので広がりません。そこでその分だけ地面を押す力となって出てくるわけでございます。そこで逆に今度は地面が動くようなことにいたしますると、いま軸が動いた分だけ地面の方が動くわけでございます。そこで動きやすい板、ボードを置きましてその上を車を通してやる。そうしますとそのボードが、先ほど申しました軸の移動量と同じ量だけ動いてくるわけでございます。その動く量は車の前進する量、車の回転する量に比例して動くわけでございます。それがサイドスリップテスターの原理でございます。したがいまして理論的にはスピードには関係がなく、移動する量に関係があるわけでございます。そういうことで、お答えが逆になりましたけれども、スピードには理論的には関係がないということでございます。ただその場合に、ボードが軽く動きませんとそこに誤差を生じますので、非常に軽く動くようになっております。したがいまして速いスピードで入りますと反動で非常に多く揺れます。したがいまして速いスピードで入りますと誤差が出て、それが大きく揺れて不合格になるというケースがございます。恐らく、速く入ると不合格になって、ゆっくり入ると何ともないというのは、その辺のこともあるのではないかと思います。  それからもう一つサイドスリップテスターだけでハンドルのトラブルがすべてわかるのかという御質問でございますけれどもサイドスリップテスターというのは、いま申し上げたように前輪で、ハンドルの振れぐあいというのは横滑りだけではございません。したがいまして、先生指摘のように、何十キロになるとハンドルが振れるとかという問題は、サイドスリップ、要するに前輪横滑り関係しない要素のものには適用できません。どういうものがあるかと申し上げますと、たとえば前輪の左右の空気圧がアンバランスであるとか、先ほどおっしゃられたようなフレームに曲がりがあるとか、あるいは積み荷が非常に偏っているとか、そういうような原因がありますと、前輪サイドスリップがなくても高速時にハンドルがとられる、振れるということがございます。こういうことにつきましては、サイドスリップにはあらわれてまいりません。したがいまして、そういうことにつきましてはサイドスリップテスターというのは万全ではない、こういうことでございます。
  21. 吉原米治

    吉原委員 車両構造上の学問をしておりますと時間が足らなくなりますので、理論的なことはおきまして、少なくとも現行のこのサイドスリップテスター器では、あるいはまた検査官がピットの中から下回りを点検ハンマーで点検をする、目で見て確認をする、こういうことだけでは、完全な点検チェック現行車検制度ではできないと私は思っております。できておれば、少なくとも現実に走ってみて、右にとったり左にとったりするような不安定なハンドル、あるいはまた前段申し上げましたフレームだってそうです、左右に曲がりがない、ねじれがない、そういうものであるなら、積み荷をしても、意識的に重たいのと軽いものと左右に分けて積むならまた別ですけれども、そういう積み荷をするものは通常おりませんからね。大概バランスのとれるような積み荷を少なくともトラックを扱う者はするわけですけれども、それをしてもなおかつ、そういう一見、欠陥車であるかのような、あるいはまた現実路上横転道路逸脱といいますか、そういう原因になるハンドルの不安定、こういうものがすべて事故原因につながっておる、このことはあなたも恐らく否定はされてないだろうと私は思います。  そこで、現実陸運事務所車検場へ行きましても、東京のあの現地車検場では一日に八千七百台、一時間当たり大体百二十台という計算をいたしますと、二分に一台の割で機械的に車検が行われておる。いま定期健康診断だとおっしゃったのですけれども、少なくとも原因調査ができないままでこの車検が受かっておるという現行車検制度のシステム、これは民間車検場で一応の整備はしてきたものだ、こういう信頼感に基づくものであろうし、あるいは民間車検場がやるようなことをすれば、さらに要員をふやさなければならぬという問題もあって、ほとんど機械に頼った車検がなされておる。これは現実の問題に返ってみて、私は非常に不的確な、不適正な現行車検制度だと言わざるを得ないのです。私がいま申し上げましたフレームの曲がり、あるいは現行サイドスリップテスターで万全を期すことができてない、こういうものについては、今後現行車検制度をひとつ見直すという観点から、いま指摘をしました点について適切な検査ができるように今後御配慮していただけますか。
  22. 小林育夫

    小林(育)政府委員 お答えいたします。  私ども、いままで検査のやり方等につきましては改善をいたしてきておるところでございます。先生指摘になりました、二分に一台というお話でございますけれども、私どもの計算では、どうもそのようにはなっておらないわけでございますが、それはおくといたしまして、自動化コースというものを始めました理由の一つも、やはり人間の勘による検査は精度の点で一つ問題があるということと、もう一つは、検査官個々のばらつきが非常にあるということが非常に問題になりまして、そういうことをできるだけ排除する、質の同じの検査をする、しかも能率よくするということで自動化の計画を進めてきたわけでございます。  ただ、一面、自動化のコースにいたしますと、非常にきめの細かいサービスといいますか、そういう面で欠けることがあるということは事実でございます。と申しますのは、自動化機械というのは総合的な機能の結果しか出てまいりません。悪いという結果だけは出てまいりますけれども、どこがどういうふうに悪いということは出てこないという一面がございます。恐らく、それが先生指摘のことだろうと思うわけでございます。  理想的に言えば、そういうこともはっきりするような能率的な機械が導入できればこれは一番いいわけでございまして、私どももそういうものの機械の開発というものについては鋭意努力をしておるわけでございますけれども、現状ではまだそういうものが開発できてないということでございますけれども、今後、先生の御意見も参考にさしていただきまして、鋭意理想に一歩近づくような努力を続けさしていただきたい、そのように考えております。
  23. 吉原米治

    吉原委員 時間が大変切迫しましたが、最後に一つだけ運輸省お尋ねしておきたいと思います。  昭和五十二年ですから一昨年の五月十二日、本委員会で、前整備部長でございますか、犬丸政府委員が、わが党の井上泉委員質問に対して、最終的にこういう答弁をされております。「私どもといたしましては、車両数の増加もしくは安全関係の規制の強化、排ガス対策の強化、こういったことに対応いたしまして、今後とも検査制度の充実もしくは検査施設の要員の充実強化に努めて、自動車検査の万全を図ってまいりたいと考えております。」こういう答弁を犬丸政府委員が五十二年の五月十二日、本委員会でされておる。簡単にやってください、それ以後、運輸省としてはどういう努力をなさってこられたのか。
  24. 小林育夫

    小林(育)政府委員 お答えいたします。  年度がぴったり合うかどうかわかりませんけれども先生承知のとおり、この検査登録事務につきましては、特別会計ということで、検査登録の手数料をもって充てさしていただいております。したがいまして一般会計に比較いたしますれば、予算の伸びというものも、車両が伸び、登録検査が伸びるだけふえさしていただいております。それから要員の方も、一般会計に比較しては、わりあいとつけていただいておると考えております。そして五十三年度は検査要員千十九名だったものが、五十四年度では千三十四名ということで、十五名の増員もいただいておりますし、検査コースもまだ実数的には実行予算で確定しておりませんけれども、増強するということでございますし、支所の方も川崎に支所をつくるということで、そういう面では毎年毎年施設の増強等も図っておりますし、今後ともそういう面で、施設の面、人の面で努力をしてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  25. 吉原米治

    吉原委員 時間が参りましたから、駆け足で残った予定をしておりました問題を二つお伺いします。  これは警察庁の方にお尋ねをするわけでございますが、四差路交差点において時差式信号機を併用しておる場合、通常の信号様式でございますとふだんなれておるのですけれども、一方時差式が併用されますと途端に、ドライバーとしては長年の習慣によって、時差式信号機という表示はしてあるけれども、ついうっかり通常の信号機だろうと思って右折なら右折をする、あるいはせっかく時差式になれたと思うと途端に普通の信号機にドライバーとしてはある日突然に変えられる、こういうケースがございます。  実は最近私の県でもそういう交差点で物損事故があった。たまたま私は目撃しておったから双方のドライバーの主張を聞いたら、右折をする車の方の運転者に言わせますと、君は直進車だから待っておるべきだ、こう言うのに対して、相手方の方は、いや、青信号だからおれの方が直進だから優先じゃないか、こういう言い合いを交差点の真ん中でやっておった。  よく聞いてみますと、通常の交差点の信号機が時差式に変更されて、それがまた何かの事故関係で十日ばかり普通の状況に戻った。確かに現場警察官は四、五日は現地指導したようですが、現地指導をやめた翌日にそういう事故が起きたというケースがある。こういった信号機の様式を変更した場合に、一体どうドライバーに徹底するのか、この徹底方をひとつ警察庁の方でお答え願いたいと思います。  もう一点、昨年でしたか一昨年でしたか、自動車教習所の教習車が高速道路路上教習をやることについては、私は危険だからそのことだけはぜひひとつやめてほしいという要請を局長にしたはずでございますが、幸い高速自動車道ではまだ一件の事故も起きておらないようでございます−結構なことでございます。  しかし、高速自動車道ではないけれども自動車専用道路で昨年八月愛知県下で事故をやっております。この事故の内容はつまびらかにされていないのですが、一体教習車の方に責任があったのかなかったのか。巷間聞きますと、教習車の方には責任がなくてむしろ被害者の方だ、こういう話を聞いておりますが、少なくとも被害者であったとしても、熟練工なら危険を感じたらとっさにとまるとか車をぶつけられないように対策を講ずるとかいうとっさの判断がきくのですけれども、何せハンドルを持っておるのは路上教習の資格を持っておるとはいいながら私どもに言わせれば素人なんですから、そういう瞬時瞬間の応用動作が非常に鈍い、こういうことが一番心配されるわけです。高速自動車道ではそうですし、自動車専用道路でもそうですが、一たんやりますとこのケースの場合、指導員も教習生も両方死亡しておるのです。単なる物損事故で済みませんから、そういう意味で路上教習中、なかんずく自動車専用道路高速自動車道、こういうものを走るときの教習のあり方、こういうものについても、きょうは時間がございませんから、局長だけの答弁で終わるかと思いますが、ひとつ念には念を入れて指導方をお願いしたい。答弁だけを聞いて終わりたいと思います。
  26. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  第一点の時差式信号機でございますが、これは右折車両が非常に多いところについて時差式信号機を設置いたすわけでございます。お尋ねの件につきましては、たまたま酔っぱらい運転車両が時差式信号機にぶつかったために制御盤が壊れた。その制御盤を修復いたしますのに、三段式のものがなくて二段式しかとりあえず間に合わないということで、時差式から通常の信号操作に切りかえるということにいたして、その際に時差式というのに覆いをかぶせたわけでございますが、覆いをかぶせただけでは不十分でありますので、何日間か現場指導に当たった。通過交通の多い道路でないものですから、何日間かやってこれで大丈夫だろうということで現場指導を外した、その直後に出た事故のようでございます。  ただ、これは時差式を時差式でなくしたりあるいは新たに時差式にするというときにはかなり注意が必要でございますので、あのときも時差式でなくなったという表示をやはりやらなければならなかったということを考えるわけでございます。こういう信号を変更する場合については、広報その他最善の注意を払う必要があると考えております。  それから、第二点の自動車道での教習でございます。  愛知県の場合は、自動車専用道の最高速度が六十キロということで仮免の教習に使っておったということでございます。これは仮免では自動車専用道を含めて一切やっちゃいかぬということで措置をいたしてございます。現在高速教習でやっておりますのは、本免を持っている者か、あるいは本免の試験に合格をして免許証をもらうだけのその期間の者かに限定をしておりますが、いずれにいたしましても高速教習というのは非常に危険が伴うものでございます。  愛知の場合には、たまたま反対車線からトラックが飛び込んできたということでございまして、これはだれが見ても避けがたい、被害者の方にしますと不可抗力のような事案でございましたけれども、御指摘のように高速教習については最善の注意を持って教習をするということでなければならないし、またそのように努めたいと考えております。
  27. 吉原米治

    吉原委員 時間が来ましたから終わります。
  28. 有島重武

    有島委員長 次に、薮仲義彦君。
  29. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は高速道路上における地震対策について何点かお伺いをしたいと思います。  最初に、昨日も静岡で地震が発生しまして、新幹線がとまりまして大分ダイヤが混乱したわけでございます。まず、きのうの地震からお伺いしたいのです。  道路公団でお出しになっておりますパンフレットの中に「地震計による感知」ということが「地震の際の手引き」の一番最初に出てくるわけでございます。「地震計は公団の管理事務所に設置してあります。」と書いてあります。昨日の段階で公団の管理事務所の感知機は何ガロ測定しましたか。
  30. 持田三郎

    持田参考人 昨日静岡地区で十五時三十四分に地震が発生しまして、気象庁の発表ですと静岡、網代で震度三ということでございますが、ただいま先生の御指摘がございましたように、各管理事務所に簡易震度計が設置してございますが、静岡管理事務所では二十五ガル、袋井管理事務所で八ガル、富士の管理事務所で五ガルになっております。公団の災害業務要領では、一応五十ガル以上の場合に交通規制するとか、それから八十ガル以上の場合に交通どめするというような基準がございますが、昨日の各管理事務所の震度計の表示では五十ガル以下でございましたので、各管理事務所は一応点検はパトロールカーでやりまして、異状を発見いたしておりません。  以上でございます。
  31. 薮仲義彦

    薮仲委員 気象庁お見えになっていらっしゃいますね。  地震についての基本的な問題を何点か最初にお伺いしたいのでございますけれども、地震につきましては、御承知のように昭和四十九年に予知連が東海地域を観測強化地域に指定しているわけでございます。静岡県を中心とした東海地域六県にわたって観測強化ということになっているわけでございます。  そこで、われわれが地震に対する防災をどうするかということを理解する上で、気象庁の地震に対する基本的な考えをまず確認しておきたいのです。  予知連が東海地震というものを想定して観測強化地域に指定したとき、この地震というものは来るかもしれないあるいは来ないかもしれない、しかしあした来ても不思議でない、こういう言い方をされて、地域指定されたところの県民は、来ないかもしれないけれども来るかもしれない、しかしあした来ても不思議ではないという考えに立って防災に万全を尽くそう、できるだけ早くやるにこしたことはない、これがわれわれの基本的な理解の仕方でございますが、この地震に対して気象庁が防災を含めて考えるときに、このような理解の仕方が正しいかどうか、ちょっと基本的な考えを聞かせていただきたいのです。
  32. 関谷摶

    ○関谷説明員 お答えいたします。  地震予知というのは非常にむずかしい問題でございます。東海の問題でございますが、これは地震学会の一応の統一的な見解といたしまして、東海地方には地震活動の非常に不活発な空白域がございます。それからまた、東海地域というのは、安政元年に大地震があったのですが、それ以来百二十年ばかり大きな地震が起こっていない。それから測量の結果によりますと、駿河湾の西側地方というのは地盤が沈下しておりまして、それが現在も続いておる。それから水平方向の変動でございますが、駿河湾を含めまして静岡県の西側の方に向かっていわゆる水平の変動があるということも測量結果で出ております。  以上のことからしますと、やはりこれはエネルギーが蓄積しておるということでございますが、そうかといって、それに対してわれわれの観測網から現在すぐに地震が起こるというような異常を示す徴候は見られておりません。しかしながら将来起こる可能性があるということははっきりしておるのでございまして、いつ起こるかもしれないそういうものが発生した場合に、すぐにそれに対応できる一つの観測体制というものが必要でございますので、そういうものを現在しいておりまして、そして慎重に、それが起こった場合にすぐに予知体制が活動できるというものができておるわけでございます。  以上でございます。
  33. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと簡単にお伺いしますけれども、あした来ても不思議でないという考え方は間違いかというのです。いかがでしょう。
  34. 関谷摶

    ○関谷説明員 大きな地震といいますのは非常に広範囲の現象が、破壊するわけでございますが、破壊をする現象の進行の仕方というのは、現在地震の学問の上からは一年に三センチぐらいしか動いていないというわけで、その破壊する百キロのものが三センチぐらいしか動いていないということは、非常にその破壊の幅があるわけでございます。そういうわけですから、いわゆるあす起こってもというような結果になるわけでございますが、そういう場合にはわれわれがいま観測しておるような観測網で前兆が出るだろう、そういう目標で観測体制をしいておるわけでございます。
  35. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま関谷さんの答弁の中にも、あす起きるということも決してゼロではない、それは当然データとして出てくるということでございます。そうすると、やはり被害を想定しなければならない県民にとっては、当然これは目下の急務として取り組まなければならない。特に今回六県にわたっての地域指定についての報告が中央防災会議の専門委員会でなされまして、いずれ正式に指定されると思うのでございますが、そういう中でわれわれの取り組む姿勢としては、いつ起きても対応できるようにしよう、これが行政ないしはそこに住んでいる県民、国民にとって必要な心構えだと思うのです。  それを前提にしてもう二点、簡単で結構ですがお伺いしておきたいのは、巨大地震が発生したときに当然いわゆる警戒本部長から警戒宣言が発令されるわけです。この警戒宣言が発令されるのは、いまの地震の予知機能からして、まあ数時間ということが言われておりますけれども、たとえば二時間前なのか、三時間前なのか、あるいは四時間前なのか、その時間的なめどがわかればお答えをいただきたいと思います。  もう一点は、今度想定されます東海地震というのは、大震立法成立の過程では地震のエネルギー規模はマグニチュード八以上ですという言い方でした。われわれが経験した過去の大きな地震といいますと、関東大震災が一番近い時代の巨大地震ですが、これがマグニチュード七・九程度、そうするとマグニチュードでいってほんのちょっとの差と言いますけれども、エネルギーの規模からいけば相当な開きだと思うのです。ある意味では関東大震災より被害は大きなものを想定しなければならないのかどうか、その辺、気象庁の見解をお伺いしたいのです。
  36. 関谷摶

    ○関谷説明員 初めの、数時間なのか二、二一時間なのかという御質問でございますが、これはいわゆるどういう現象が出るかによって違ってくるのでございまして、その辺ははっきりお答えできませんけれども、現在判定会というのがございまして、われわれはそれでしょっちゅう勉強しているわけでございますが、一応、非常に緊急な場合には数時間というものを目標にやっていこうということでございます。  それから、二点目のマグニチュードの問題でございますが、関東大震災はマグニチュード七・九ということになっております。現在予想している東海の地震はマグニチュード八クラスということでございますが、その辺はどこがどう破壊するかによって違ってくるのでございますが、われわれの考えとしては大体同じ程度のものを想定しております。
  37. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは何点か具体的な問題でお伺いします。  現在、気象庁は計測の中でガルという正式な測定はしていらっしゃらない、このようにわれわれは聞いておるのでございますが、たとえばきのうの地震についても、気象台の発表は震度三ということで、ガルについては正式なデータは持っておりません、これが気象庁の正式な見解だと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  38. 関谷摶

    ○関谷説明員 地震の動きというのは非常に複雑でございまして、震度とガルというのは昔からずいぶん研究があるのでございますが、震度を大きく支配するものは、そのガル、いわゆる加速度であるということは言われておるのですが、いろいろなことを研究いたしますと、ガル、いわゆる加速度ばかりではないということから、気象庁としては、やはり震度を採用しているわけでございます。  以上でございます。
  39. 薮仲義彦

    薮仲委員 なぜ私がこれをこう確認したかと言いますと、今度は高速道路の方に戻ってまいりますが、公団の資料を見てまいりますと、地震を予知するのにガルで出しているのですね。震度階を七段階に分けて、五、八、二十五、五十、八十、百五十、三百五十ガルで感知いたします、これでいわゆる震度三以下は交通規制はありません、震度四以上は交通規制いたします、その基準は、震度四と言いますと、これが二十五から八十ガルまでの間、これは御承知のとおりです。震度五になりますと八十ガル以上、こうなっているわけです。二百五十ガルまで幅があるわけですね。いまちょっと気象庁に確認したのは、気象庁のデータにガルという正式な記録はきのうの地震でもないわけです。あるのは、公団と国鉄が持っているわけですね。きのう新幹線がとまったのはなぜかと言いますと、感震器が八十ガルを記録しているのです。それで列車がストップしたのです一公団の感震器の記録とこの国鉄のガルの計数とは相当な開きですね。いまおっしゃったように二十五ガル、袋井では八ガル、こういうふうにもう全然数値が違うわけです。国鉄では、感知器は八十ガルを感知したのでとめました。ですからこのガルでいきますと加速度計ですから、地盤の強度や震央距離やいろいろな条件によって非常にばらつきが出てくるのではないか。震度も、人体に感ずるこの程度の揺れだから震度幾つという、人体の有感測定値でございますから、これはこれでそれなりの経験と意味合いがあると思うのです。  ここで私が一番懸念するのは、ここで交通規制するときのあれをガルで測定した数値によって基準が出ている点ですね、これは震度階も出ておりますけれども。もう一つこの点、こういう地域にあっては、地域の気象台と通報して連絡をとって、地震のときに正式の気象台の判断あるいは測定値によって私は判断した方がよろしいのではないか。このような管理事務所にあるというガルでおやりになるということ自体、この数値、専門的に言えば非常に問題がある。これは国鉄もやがては考えなければならぬ問題だと思うのですが、国鉄の計測では八十ガルです。同じ静岡の中でもこれだけ計数が違うわけですから、私はガルで判断なさって交通規制をなさること自体、もう一度検討の余地があるのじゃないかと思うのですが、その辺いかがですか。
  40. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  まず、気象庁と道路公団との情報の伝達でございますが、本社と気象庁とはホットラインで結んでございます。それから、横浜管理事務所と東京気象台とはホットラインで結んでございます。まだ結んでございませんで近々結ぶというところは、静岡の気象台と静岡の管理事務所を今年度中にホットラインを結びたい。  それでいま御指摘がございましたが、昨年仙台で宮城沖地震がございまして、その際、やはり震度ということで各事務所が規制あるいは交通どめをやりましたけれども、震度と申しますと、たとえば震度四でも二十五から八十ということで、そのうちどれをとったらいいかという問題がございまして、何か緊急が起きた場合に一番わかりやすい、しかも一番手っ取り早いやつはどれだろうかということで検討した結果、五十、八十で出したわけでございます。それから一方、各管理事務所には、いま申しましたように気象庁とホットラインで結んでないところがございますので、本社と気象庁と情報を交換いたしまして、すぐ本社から専用線で管理局に電話する、管理局から各管理事務所へ電話するというような二重の操作をやってございます。  いま御指摘ございました静岡で二十五ガル、国鉄では八十ガルというふうに差があるということでございますが、やはり地震の規模とかあるいは発生原因とか、地区によって土質状態によって加速度が違うとか、いろいろございますので、まず私の方でやりましたのは、五十、八十、これが通行車に対する危険を排除する一番いい点ではないかということでやったことでございます。ですから、気象庁と密接な関係は一応とってございます。
  41. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の申し上げたいのは、ガルで言っても、ガルには、たとえば震度五の場合には八十ガルから二百五十ガルという、物すごく広いのですよ。道路走行中に影響するのは、ガルで影響するのじゃないんですね。震度で影響してくるわけですね、どの程度揺れたかという。それで運転走行、安全運転が非常に困難だという形になってまいります。やはり運転者が感じるのは揺れの問題ですから、ガルだけでおやりになりますと、たとえばきのうその近くで八十ガルを計測していても、おたくの方では全然出てこないわけです。新幹線はとまっているけれども高速道路は何のあれもなくやっている。こういうことがたび重なってまいりますと、非常に不安といいますか、新幹線があんなに地震に対して真剣に取り組んでいるのに、同じような高速道路の方は何ら対応がなくて通常のとおり行っている。こういうことは将来にわたって何らかの検討を積み重ねておかないと、いざのときに私は大きな蹉跌を来すのじゃないかと思うんですね。  なぜこういうことを言うかといいますと、前に伊豆半島沖地震がありました。これは気象庁のあれでは震度四です。それから伊豆大島近海地震がありました。これも震度四です。このとき伊豆大島近海ではばちっととめたと思う。これは震度でおやりになったからとめたと思うのですけれども、やはりこれから地震に対しては正式な道路規制をどの段階でやるかということを、単なる御自分のところの判断ではない、確かに気象台とはやっておりますとは言いますけれども、今後これをもう一度見直して、どの段階でどうするか、これは私は検討し直していただく必要があろうかと思います。というのは、同じような大動脈である新幹線があれだけとまっているのに高速道路が平常である、これでいいかどうか。この点を含んで研究をしていただきたいと思うのです。  それから地震でも、通常のきのうのような地震と、それから先ほど関谷さんがおっしゃった巨大地震と分けて考えなければならないと思うのです。ここに出ておりますのは、道路規制するについてこう書いてあるのですよ。「公団は高速道路の交通警察隊と協議して交通規制を行う。」こうなっているわけです。問題は、これでいいのかどうか。  というのは、警戒宣言が発令されますと、警戒本部ができるわけです。ということは、各県においては知事が警戒本部長になるわけです。この道路規制の責任は警戒本部長がお持ちになるのか、道路公団が持つのか、それとも警察庁がお持ちになるのか。地震の際に、一体どこが責任を持ってその対応をなさるのか。簡単にこうやっておりますけれども、これがもしも巨大地震に対する警戒宣言であれば、公団と高速道路交通警察隊とだけで協議しておやりになるということでは私は困ると思うのですね、地震の問題についてここに出ておりますけれども。やはりこれは地域の警戒本部長なり協議の上でどういう対応をとるかというのは決まってくると思う。あるいはまた、各県には公安委員会があるわけです。高速道路のように各県にまたがっている場合に、各県の対応の仕方が違えば、これまた非常に混乱を呼ぶと思うのです。まずその一番基本的な、地震の際の高速道路上の責任は一体公団が持つのか、警察が持つのか、公安委員会が持つのかそれとも警戒本部長が持つべきものなのか、その辺の基本的な考えは公団側としてどう理解していらっしゃいますか。
  42. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  静岡県には地震対策本部がございまして知事さんが本部長でございますが、その下部組織としまして公団も一応入ってございます。中部地方建設局も入ってございますし、その席でいろいろ検討してございますが、先生指摘のように、警察関係か、公安委員会かあるいは公団か、責任はだれなのかということでございますが、そういうことをいま私の方でも県の対策本部の方に入りましていろいろ御協議申し上げているわけでございます。
  43. 薮仲義彦

    薮仲委員 私がさっき気象庁に、あした起きても不思議じゃないということは間違いじゃないかと聞いたのはそのことで言うのですよ。もう地域指定もできてくるのです。いまだに、協議しますと言ってあした起きたときに一体どこが責任を持つのか。この規制についていまどこも責任がない状態ですね、巨大地震がもしも近々発生したらば。そこで、私はこれを前提にして対応してほしいということを言ったのですが、警察庁はどうお考えですか。
  44. 杉原正

    杉原政府委員 警戒宣言が出た場合にどういうぐあいにやっていくかというのは、事前にその対策本部長のもとでいろいろ関係機関が構成をしております、そういうふうなものの中で、お互いにそれぞれの立場はございますけれども、たとえば高速道路について、こういう事態についてはこういうぐあいにしようということであらかじめ協議をして、それを実施に移すということになるのではなかろうかと思います。
  45. 薮仲義彦

    薮仲委員 ということは、まだ協議をしている段階だということですか。では、いつごろまでにその協議をまとめて責任体制、どこが責任を持つかというのは大体いつごろまでにお出しになるのですか、警察庁
  46. 杉原正

    杉原政府委員 各県でそれぞれいま計画を策定をしている段階のようでございまして、その中で具体的に協議をしていくということになると思います。
  47. 薮仲義彦

    薮仲委員 各県といいましても、たとえば高速道路の場合、神奈川から静岡、愛知、岐阜と各県にまたがっているわけですね。各県の連絡はどうなさるのですか。
  48. 杉原正

    杉原政府委員 これは、私どもの方としては各県それぞれと相互間に連絡をとり合っておるわけでございまして、その過程の中で処置をしていこうと思っております。
  49. 薮仲義彦

    薮仲委員 いずれにしてもまだ具体的にはその対策が明確でないわけでございますが、これは地震の地域指定された県にとっては、高速道路上の問題はそんな時間の猶予を許される問題ではございませんで、一体国はどう考えているのだ、警察庁はどう考えているのだ、そこがはっきりしませんと、県で対応しろと言っても県独自ではできないのです。  では具体的に申し上げますと、たとえば警戒宣言が出ました、インター閉鎖します。では高速道路上の車は一体どうするのですか、出すのか出さないのか。地震の発生したときにはどういう処置を講ぜられるのか。まずここから決めていただかないと——具体的にこの数字を申し上げますと、時間単位の台数も出ているわけです。さっき、巨大地震の場合警戒宣言が数時間前だというお話も聞いています。そのときに、では高速道路上の車を、入れないのはいいですけれども、走っている車をどうすべきなのか、基本的にはどうお考えですか。
  50. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  警戒宣言が出ますと、入路につきましては閉鎖をすることになると思います。そこで、現実にその高速道路の中で走っている車につきましては、これは平場との——平場も大分混乱をいたしますが、平場との状況を見て、できるだけ外に出てもらうというふうに誘導をしていくということであろうと思います。ただ、平場との関係で混乱して出られないという場合には、やはり左側に車をとめてもらって、人の命が大事でございますから、ドライバーにとにかく退避をしてもらう、避難誘導していくという措置をとることになると思います。
  51. 薮仲義彦

    薮仲委員 ではちょっと公団にお伺いしますけれども、私はさきの委員会で、走行中のドライバーに地震が発生したことをどのようにして周知徹底するのですか、この問題を提起いたしました。そうしたら公団側の御説明は、インターとインターの間の掲示板でやります。インター手前の五百メートルに一カ所あるきりです。あとは走行中のドライバーにはないのです。ここにカーラジオを通じてとありますけれども、スイッチを切っておれば全然だめですよ、こういう指摘はいたしました。特にカーラジオでも、都夫良野トンネルを通っている際はいいのですけれども、他のトンネルではラジオは通りませんよ、スイッチを入れてもだめですよ。ドライバーにどうやって地震発生を知らせるのですかと言ったときに、まあ今後検討するというようなお話でおるわけでございますが、そのとき、たとえば走行中の車は左側に寄せなさい、そういうお話でしたね。それについて、ではどうやって周知徹底したかと言ったら、パンフレットで徹底いたしました、過去に一体何回おやりになったのかということは明確ではなかった。私も首都高速あるいは東名高速はしょっちゅう乗っておりますけれども、いままで渡していただいてない。早速つくりますということでございましたけれどもドライバーに対して地震の対応の仕方を周知徹底するように何らかの形で、パンフレットでもつくって徹底しなさいということについてその後何かおやりになりましたか。
  52. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  先生の御指摘、前回の災害対策委員会でお話ございまして、五十三年一月に一応ドライバーに対する地震時における運転の方法というものを簡単に通知したパンフレットを配りましたけれども、その後、五月十一日からの全国交通安全旬間に当たりまして、先生の御指摘のとおり高速走行前にこれだけの仕業点検をしていただきたいというようなパンフレットを約十二万五千枚刷りまして東名の各インターで各ドライバーにお渡しして注意を喚起したわけでございますが、やはり周知徹底ということでございますと一回とか二回ではだめでございますので、定期的にこういうものを各ドライバーの方に注意していただくように、地震が起きた場合にはどうしたらいいのだというようなことを今後定期的にパンフレットをつくって配布していきたいと考えております。
  53. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ交通局長、さっきの御答弁の中でちょっと具体的にお伺いしたいのですが、高速道路上にとまっているドライバーを避難させるとおっしゃった。たとえば神奈川県の酒匂川のあの橋の上でとまりました、どうやって退避なさるのか。それから、トンネルの中でとまりました、どっちの方へ逃げた方が早いのか、その標示は一体どうなっていらっしゃるのか、あるいはインターとインターのどこかの場所でとまりました、右へ逃げた方がいいのか、左へ逃げた方がインターまで近いのか、そういう標示が全然ございません。それから、高速道路には最近防音壁がたくさんございます。防音壁には何百メーターかに一カ所ずつの出口がございます。恐らく通常ドライバーは知らないと思います。われわれは絶えず気にしていますから、ここが出口だなとわかります。もしもあれが地震の震動でゆがんで出られなくなったら一体どうなさるのか、この点ちょっとお答えいただきたい。いま申し上げた四点だけでもどうお考えか。
  54. 杉原正

    杉原政府委員 お答えいたします。  先ほどのお話のとおりでございまして、いま高速でとめた場合に、一般のドライバー、いろいろな地理不案内のドライバーもおるわけでございまして、これの避難誘導というものについてはかなり真剣に考えなければいかぬと思っておるわけでございます。たとえば、トンネルの中でどうすればいいかとか、それからここからここまでの区間はどこから出ればいいのかというふうなことを具体的に高速隊と道路公団の中でこれから詰めていかなければいかぬ、これは非常に緊急事だと思っております。
  55. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま申し上げたようなことは通常高速道路を走っているわれわれにとっては待ったなしの非常におっかないことでございまして、先ほど来どこが責任を持つのかということなんです。たとえば、いま地震が起きて混乱が起きました、きょう起きました、そのとき高速道路上の責任をどなたがどう持ってできるのか、高速道路上をたとえば車が走れなくなった場合にどうやって救助なさるのか、警察の力あるいは公団の職員の方の努力だけでできるのか、こういう点考えますと、私は非常に立ちおくれているといいますか、問題が多過ぎるように思うのですね。これはいついつまでというめどを立てて早急に取り組まなければ、これはあした来るかもしれないということはさっき申し上げたのです。だから私は早くやってくださいと言うのです。これは地域指定されたわれわれにとっては非常に重大問題なんです。  もう一点お伺いしますけれども、これはパンフレットの中でお伺いします。これはこう書いてあるのですよ。「車両火災が発生したらお互いに協力して初期消火に当たること。車両火災に備え日ごろから消火器を積載すること。」こうなっているのです。これは、道路運送車両法によって積載を義務づけられている車というのは大型車両等特別の車両だけです。一般の、われわれが普通運転している小型車であるとか普通乗用車には消火器を積載する責任はないわけです。義務はないわけです。ここに書いてあるのですけれども、「車両火災が発生したら」といいますけれども^これは恐らくガソリンによる火災でございますから、簡単に手で消したり、洋服を脱いで消すなんという筋合いのものじゃないと思う。これは当然消火器等で消さなければならないのですが、高速道路上でもしもそういう火災が発生したとき、どういう処理の仕方を警察庁はお考えなんですか。
  56. 杉原正

    杉原政府委員 これは、乗用車には現実に消火器というものの備えつけの義務というのはございませんし、あるいは火災が発生した場合には、公団なり警察なりからあるいは消防なりというふうなものの応援を得てやっていくということに現実にはなると思います。
  57. 薮仲義彦

    薮仲委員 私が問題を指摘しますと、ほとんど明快な対応がないわけでございまして、私はこれでは質問する勇気がなくなってくるのですよ。検討中でございます、協議中でございますと、これをやられたんでは、一体どうなっているのかということになりますので、私は、やはりこの際警察庁が責任を持つ、あるいは公団が責任を持つ、これはいずれにしても責任はあると思うのですね。やはり関係の方々が本当に早い時点で高速道路で想定される問題点を総ざらいなさって、早く走行中のドライバーに、いわゆる手引き、マニュアルをつくって、地震になったらこのようにしなさい、このような指示に従いなさい、こういうことをきちっと周知徹底させませんと、私は、非常に大きな災害が災害を呼ぶのではないか、こう思います。  特にもう一点お伺いしておきたいのですが、地震は昼間だけ来るとは限らないのです。夜間に発生した場合どうお考えになるか。ちょっと、警察庁は基本的にこれをお考えになって一われわれも真剣に考えているわけですから、警察庁も考えると思うのです。夜間の場合一体どうなさるか、お考えをちょっとお伺いしたいのです。
  58. 杉原正

    杉原政府委員 夜間の高速道路という意味でございますね。夜間につきましては、警戒宣言が出た場合と巨大地震が現実にそこで発生した場合とではケースが違うと思いますが、警戒宣言が出ました場合につきましては、夜間の処理は昼間以上に非常にむずかしいのですけれども、やはり昼間の考え方をさらに詰めた形でやっていくことになると思います。ただ問題は、巨大地震が出て、もう道路が損壊をする、すべてが停電であるという状態のもとでは、これはやはり大変な事態になるというふうに思うわけでございまして、この辺のところにつきましては、具体的な事案を想定をしながら、将来やはり一つの訓練をやろうというふうな物の考え方もいま持っておりますので、そういうこと等あわせて、いろいろな事態を想定をしてそれに対する対応策というものを詰めていかなきゃならぬというふうに考えております。
  59. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは問題の指摘だけでとどめておきますけれども、じゃ、私が不安に思っていることをちょっと警察庁にお伺いします。これは公団側にもさっきビラのことを言ったのですが、あれはビラで、一応やったといっても、走行中には、掲示板が一カ所しかないんですから、そこを走っていない車はわからないわけです。そうしますと、そういう意味で、地震が発生しましたよということをドライバーに周知徹底なさるのに警察庁はどうしたらいいとお考えか、まず基本的なお考え方、それから、地震が発生したときに、実際、現在の高速道路交通警察隊、その陣容で対処できるのかどうか、この問題。特に、地震が発生したときに左側に寄りなさいと言って全部左側に寄るとは限らぬと思うのです。高速道路上が走れないような状態も想定しなければならない。警察官の動員だけで地震のときに対応できるのかどうかという問題。それから、たとえばトンネルの中で火災が発生した、あるいは橋の上でとまって事故が起きた、そのときに、警察はそれを救出するような機材、機能、その体制というのはちゃんとできるのかどうか、あるいは警察とか公団だけでできなくて、他の何らかの応援を得なければできないのかどうか、その辺のお考えはどうですか。
  60. 杉原正

    杉原政府委員 警戒宣言あるいは地震が現実にできてきた場合はまた別でございますが、ドライバーに知らせる方策、これが非常にむずかしいのでございます。通常はパトカーその他でもって広報をして回るということが考えられますが、やはり私どもこれから一番活用したいと思っているのはヘリでございます。今度は静岡県にもヘリが配置になることになりましたが、ヘリが備えておりますのは大体二百五十ワットの拡声機でございまして、三百メートルの高度から届くということでございます。このヘリは、静岡のものだけではなくて、警戒宣言なんかが出ますと、地域がわかりますし、全国にいま二十八機のヘリがありますが、これを応援に持ってくるというふうな形でドライバーなり一般の家庭なりへの周知を図っていくということをやはり一次的に考えていかなければならぬのじゃなかろうかというふうに考えております。それから例の高速隊、静岡を例にとりますと二百人弱のもの、全国でも二千四百人ぐらいのものでございますけれども、これだけでなかなか処理はできない。そうかといって平場から警察官を上げてくるというわけにはなかなかまいらない、平場も大変に困難をいたしておりますから。そうなりますと、やはり応援警察官を投入をする、他県警から持ってくるというふうな、これは現在静岡におきましても他県警からの応援要請計画をいま策定中でございますが、そういうふうな問題、あるいは火災等の問題につきますと、公団側と警察だけでなくて、いろいろな消火救急の問題等についてのそういう機関の要請というものも必要になってまいると思います。いずれにしましても、かなりの全国的な応援体制というものを基本に据えて物を考えていかなければならないだろうというふうに考えております。
  61. 薮仲義彦

    薮仲委員 ヘリの問題はさきの委員会で私がそういうことを指摘したのですが、各県にありますという考え方は、私は好ましいことじゃないと思うのです。というのは、地震の発生しておりますのは、津波もありますれば、いまおっしゃった平場で火災も起きているわけです。それを全体的に見なければなりませんし、高速道路上だけの情報提供ということは困難です。やはり私は警察庁の体制の中で高速道路用にヘリコプターを持って地震のときには的確な対応をするとか、あるいは警戒本部の中で国全体の中でそれを考えるとか、これはもう一度——各県にある、用意したヘリコプターを高速道路上にだけ使うという考えは、私は、ちょっと無理だろうと思います。それと同時に、いま巨大地震のことをおっしゃっておりますけれども、そんな巨大じゃない、震度四ぐらいの大きな地震が警戒宣言もなしにどんと来た場合、高速道路上の責任は警察庁が持たなければならないのか、公団が対応するのか、そういう警戒宣言の中で行われる警戒本部じゃない、通常の場合はどちらが責任をお持ちなんですか、警察庁のお考えを。
  62. 杉原正

    杉原政府委員 これは、どちらが責任を持つかということでなくて、やはり高速道路について通常公団側と私ども一緒に仕事をやって、同じような目的で仕事をしておるわけでございますので、やはり共同してこの努力をしていくということでやってまいりたいというふうに考えております。
  63. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはいろいろ質問を用意したのですけれども、どうせまた御検討いただくということで終わると思うのですね。ですからきょうはこのくらいにしておきますけれども、私はほんのごく一部だけ指摘したのですけれども、やはり高速道路上の問題というものは避けて通れない。非常に困難な問題を乗り越えて被害を想定されるドライバーの方々にいまのうちから周知徹底させ、万が一にも起きたときには、少なくとも避難方法は高速道路上に明示されておる、どこに逃げればいいのか、身の安全は確保できる、しかも高速道路高速道路の間から下へ落ちるということがない、あるいは夜間でも大丈夫だとか、少なくとも不安を与えない対策を早急につくるべきだ。このことを篤とお願いいたすと同時に、私は、将来この問題についてある一定の日、防災意識を高揚する意味で、高速道路防災の日というようなことでも結構ですから、大体皆さん方が相談をした上で、実際とめたらどうなるのかというようなことは、高速道路上で一度やってみる必要があるのじゃないか。いま高速道路上の車を脱出させるとおっしゃったけれども、数千台の車がインターへわっと押し寄せたらかえって危険が起きないのかどうか、その取りつけ道路との整理は一体どうなのか、こう考えますと、いま局長は、その車をインターから出すということも考えているとおっしゃいましたけれども、あるいは現実には出せないかもしれない、下の方がもっと混乱しておって出さない方がいいのかもしれない、そういうことも現実にはまだ不確定の要素が多々あると思うのですね。将来何らかの形で高速道路の地震の対策を、ある日を決めて予行演習じゃありませんけれども、何かやってみる必要があるように思うのですが、その辺はいかがですか。
  64. 杉原正

    杉原政府委員 先生指摘のとおりでございます。  公団側ともよく協議をいたしまして、対策を練ってまいりたいというふうに考えます。
  65. 持田三郎

    持田参考人 実は昨年の九月、当事者関係で東名の地震対策ということで訓練をいたしましたが、強化地域もやがて指定される段階でございますので、年に二回あるいは三回、実際の訓練をするようなことを検討中でございます。
  66. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは問題提起だけで終わらざるを得なかったわけでございますけれども、これは委員長にお願いでございますが、ただいまお聞きのとおり、公団あるいは警察庁におかれましても、これから対応なさるといいますか、協議なさるというような問題に終わっているわけでございます。この委員会でなるべく関係機関にも督促して、一日も早く理事会等で協議の上、早い対応を各省庁がおやりいただくように委員長の方で督促方をお願いいたしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  67. 有島重武

    有島委員長 次回は、来る三十一日木曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会