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1979-08-08 第87回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年八月八日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上  泉君    理事 中村  茂君 理事 伏木 和雄君    理事 渡辺 武三君       井出一太郎君    小渕 恵三君       大塚 雄司君    大坪健一郎君       小泉純一郎君    友納 武人君       増田甲子七君    松本 忠助君       瀬崎 博義君    川合  武君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡海元三郎君  委員外出席者         警察庁交通局高         速道路管理官  小林 憲司君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         林野庁林政部林         産課長     山口  昭君         運輸省自動車局         整備部保安課長 丹羽 一夫君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 関口  洋君         消防庁技術監理         官       矢筈野義郎君         参  考  人         (日本住宅公団         副総裁)    澤田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     森田 松仁君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     持田 三郎君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 六月二十五日  辞任         補欠選任   川合  武君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     川合  武君 八月八日  辞任         補欠選任   内海 英男君     友納 武人君   谷  洋一君     増田甲子七君   塚田  徹君     小渕 恵三君   西田  司君     小泉純一郎君 同日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     塚田  徹君   小泉純一郎君     西田  司君   友納 武人君     内海 英男君   増田甲子七君     谷  洋一君 同日  理事北側義一君六月十四日委員長就任につき、  その補欠として伏木和雄君が理事に当選した。     ————————————— 六月十四日  一、建設行政基本施策に関する件  二、都市計画に関する件  三、河川に関する件  四、道路に関する件  五、住宅に関する件  六、建築に関する件  七、国土行政基本施策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、私が再び建設委員長の重責を担うことになりました。  本委員会の使命は重大であり、その職責の大きいことを痛感しております。委員各位の御支援と御協力を得まして、円満な委員会運営を行いたいと存じます。  何とぞ、よろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  3. 北側義一

    北側委員長 まず、理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。  去る六月十四日、私の委員長就任に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、理事伏木和雄君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 北側義一

    北側委員長 先般、建設省及び国土庁関係公共事業等調査のため、熊本県、宮崎県及び鹿児島県に、また、東名高速道路日本坂トンネル内事故に伴う道路管理等実情調査のため、静岡県に、それぞれ委員を派遣いたしました。  その報告を便宜上、私からいたします。  去る七月三日より六日までの四日間にわたり、中山正暉君、井上泉君、中村茂君、福岡義登君、伏木和雄君、松本忠助君、瀬崎博義君及び私の八名をもって、熊本県、宮崎県及び鹿児島県における建設省及び国土庁関係公共事業中、特に九州縦貫自動車道、松橋−宮崎鹿児島間の進捗状況奄美群島の現状に重点を置いて調査を行うとともに、さらに七月二十五日、静岡県下における東名高速道路日本坂トンネル内の事故に関し、中山正暉君、登坂重次郎君、渡辺栄一君、井上泉君、中村茂君、伏木和雄君、渡辺武三君、瀬崎博義君及び私の九名をもって調査を行い、七月十一日、十八時四十分ごろ、日本坂トンネル下り線出口手前約四百メートルの地点において、追い越し車線を走行中の大型貨物自動車三台、普通貨物自動車一台、普通乗用車二台の計六台による多重追突事故に起因すると見られる事故の概要及びトンネル延長二千四十五メートルのうち復旧工事対象となる約千二百四十メートルの区間について、つぶさに現地調査を行うとともに、関係当局よりトンネル本体工事及び施設工事復旧方針等について説明を聴取いたしたのでありますが、以上の二委員派遣による詳細の報告書につきましては、これを会議録末尾に参照として掲載いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  7. 北側義一

    北側委員長 建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本住宅公団総裁澤田光英君、理事有賀虎之進君、日本道路公団総裁高橋国一郎君、理事森田松仁君及び理事持田三郎君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  9. 北側義一

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  10. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、東名の日本坂トンネル事故のことについて、まず大臣にお尋ねするわけですが、大臣現地を見られて、その状態等もつぶさに承知をされたと思うのですが、それをごらんになって、その後の経過等承知をされる中で、あれだけの被害が起こったことについて、何らか、もっとこういう対策をしておったら、これほども起こらなかったのにという感じはしなかったか。それとも、これだけの事故は、この状態ではもうやむを得ぬなあ、こういうようにお考えになったのか。この状態であるからやむを得ぬが、しかし、こうしておったら、こんな大きな事故にはならなかったのではないかとお考えになったかどうか。その気づいた点について大臣の見解を承りたいと思います。
  11. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 七月十一日の夕刻、日本坂トンネルにおきまして起きました事故によりまして亡くなられた方に対し、この機会に御冥福をお祈りし、また負傷され、被災された方に対しまして、お見舞いを申し上げたいと思います。  いま御質問ございました日本坂トンネル事故は、追突事故及びこれに伴う火災によって、あのような大きな事故となったのでございますが、いま申されたように、このような施設をしておったなれば、ここまでならずに済んだであろうというふうに考える点も、私は当然あることだと考え専門委員等に御研究を願っておるのでございます。しかし現在、事故原因等につきましては警察当局及び消防当局によって調査が進められている段階でありまして、これらの調査の結果により責任所在等検討されることと存じますが、その結果を待ちまして、なお十分の検討を進めてまいらなければならない、このように考えております。
  12. 井上泉

    井上(泉)委員 事故原因究明ということも、もちろん当然やるべきであるし、やっておられるわけですが、そこで責任所在が明らかになった場合——責任所在が明らかということは、自動車運転者にあるのか、あるいは道路公団側に、設備の中に瑕疵があって、あれだけの大事故になったのか、それは責任所在が明らかになると幾つかの問題が出てくると思います。  そこで、責任所在と言いましても、巻き添えを食った方は、どこへ、その被害を訴えたらいいのかどうか、これはひとつ大臣として、政治家として、そういういわば不測事故被害者は、しかも普通の一般国道とは違って料金を払って通っておる道路公団道路の中で起こったことについて、どうしたらいいんでしょう、お教え願いたい。
  13. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 それらの点も含めまして現在、責任所在等を御調査を願っておる、こう思いますので、現段階におきましては、いま井上委員が御指摘になったように巻き添えを食われた方に、どうしたらいいのか教えろ、こういう御質問でございますが、その点は御答弁差し控えさしていただきたい、このように考える次第でございます。
  14. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、いまどうするかということについては、そうした被害に対してどうするかということも含めて検討されておるから、そのことについての答弁は差し控える、こういうことですから、私もあえて、その点についてはこれ以上の質疑はいたしませんけれども、やはり料金を払って、みんな安全だと思って通っておるのです。それで、その点については道路公団の方では瑕疵がなかった、こう言われておるのですけれども、ただ瑕疵がなかったから責任がないということではなしに、何かあったから、これだけ大きな被害が生じたわけであって、ただトンネルの中へ入ってしまったから、もうしようがない、こういうことで公団も逃れるわけにはいかぬと思うのですが、総裁、この点はどうですか。
  15. 高橋国一郎

    高橋参考人 まず初めに、大臣も先ほど申し上げましたように、このたびの日本坂トンネル火災事故によりましてお亡くなりになりました七名の方並びに負傷されました二名の方に深くお悔やみ申し上げる次第でございます。なお、車両を焼かれた方も多数あるようでございまして、この方に対しましても本当にお気の毒だというふうに私は申し上げたいと存じます。  ところで、ただいまの御質問でございますが、被害者に対して損害賠償道路公団ではどう考えているかというようなことでございますが、ただいま大臣も申し上げましたように、警察当局並びに消防の方におきまして原因調査中でございますので、その原因調査の結果を待ってからでないと私どもは正確に申し上げられません。ただ私ども公団といたしましては、損害賠償について法的な責任を負う場合は、公団道路の設置または管理瑕疵が認められたときであるわけでございまして、いま申しましたように、この件につきまして警察並びに消防の方で原因調査しておりますので、その結果を待つしかないわけでございます。ただ、いまのところ、今回の火災事故交通事故によって発生したものと考えられますし、また必要な防災措置を講じた上で起こった不測事態であるというふうに私ども考えておりますので、わが道路公団としましては管理瑕疵があるとは考えておりません。  以上でございます。
  16. 井上泉

    井上(泉)委員 私は補償というようなことについては、原因究明その他いろいろな調査もされていく中で決定されることだと思うのですけれども管理瑕疵がなかったから補償ということについては考えてないということについては、管理が十分であったならば、これほどの被害は起こらなかったのではないか、これは常識的に考えられると思うのですが、大臣どうですか。  管理が十分だったら、こんな事故は起こらぬでしょう。管理が十分だったら改めて事後の安全対策とか、いろいろなことを考える必要はないでしょう、もとのままでいいわけだから。もとのままで悪いから、ここで安全対策考える。けさのニュースでも公団安全対策の要綱を示したという話ですが、瑕疵がなかったら何も、そんなことをする必要はないじゃないですか。瑕疵があったからこそ、この事故にかんがみて対策を立てる、こういうことではないですか、大臣
  17. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 こういった施設に対しては、この前、鈴鹿トンネルによる教訓によりまして防災対策その他の施設を行ったというふうに、考えられる万全を期しておりましても思わざる事故が起きたことによりまして、次の対策をまた考えていく。これで万全であるというふうな限界は、絶えず、これらの実績に基づいて前進していかなければならないのが常態ではないか、こう思います。したがいまして、今回の管理のことにつきまして、それを井上委員指摘のように瑕疵ある管理であるというふうに断定することができるかどうか、そういった点につきましては現在、警察並びに消防署によりまして調べていただいておる、こういうふうに御理解を願えたらいいんじゃないか、このように考えております。
  18. 井上泉

    井上(泉)委員 これは瑕疵がないと思ったけれども、しかし、これだけの大きな事故発生をした。これについては前に国鉄のトンネルの大きな事故もあったし、トンネル内の火災については従前からいろいろ対策が言われておったわけですから、これで大丈夫だと思ったけれども、いけなかったから、また対策考えるというのは当然だと思うのだけれども、ただ、そのときには瑕疵はないと思ったけれども結局、瑕疵があったがために、これだけの大事故が起こった、こういう認識をしないと次の対策は生まれぬじゃないですか。次の対策考えるためには、いまやっておる安全対策では不十分だから、これはこういうこと、こういうこととやって前進をしていくのが安全対策として当然の経過じゃないかと思います。私は、いまやっておることが悪かったから、どうこうと言うんじゃない。いまやっておることは十分やっておるかもしれぬけれども、こういう大事故を起こしたということは、そこに何らかの欠陥、対策上の不備があったから、これだけ大きな事故が起こったのだから、そこのところはやはり認識をしてないと、いままでの対策が十分だった、これについては責任がないというような言い方で事を済ますと、これは非常に問題が紛糾してくるのじゃないか、問題を履き違えておるのじゃないか。瑕疵がなかったら何も対策を立てる必要はないのです。その点、大臣どうですか。
  19. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 瑕疵と言われる意味合いでございますが、結局のところ不十分である、もっとやっておかなければならなかったことがある。そのために新しく今度より以上の防災施設を行う、こういうことについては絶えず反省していかなければならない、このように考え、現在におきましても道路公団の中で専門先生方現地を見ていただき、委員会をつくって御検討を願っておるところでございますが、それが当然いま前に言われましたように巻き添えを食われた方に対する補償的な意味を含めての瑕疵と言われるかどうかということになりましたら、ただいま警察並びに消防等によりまして幸い調査を願っておりますので、その結果を待って御検討さしていただきたい、私こういうふうに考えております。
  20. 井上泉

    井上(泉)委員 これは事故原因究明調査をされておる。いろんな対策、次の対策というものが、その結果によって生まれてくるわけですから、事故原因究明というものは非常に急がれる問題だと思うわけですが、これは大体いつごろまでにできる見通しですか。警察庁やっておるのですか。
  21. 小林憲司

    小林(憲)説明員 お答え申し上げます。  本件事故につきましては、先ほど先生から御指摘ございましたように、追突、炎上した事故車両六台がことごとく極度に焼燬されておりまして、しかも六台の車両運転者同乗者合計十名の事故当事者のうち七名が死亡しているため、捜査はきわめて困難を伴っておるところでございますが、警察といたしましては目下、静岡警察におきまして、事故発生の当日から、事故当事者中の生存者目撃者等からの事情聴取実況見分を行う傍ら、事故車両鑑定等、可能な限りの捜査を現在、鋭意進めている次第でございます。ただ本件捜査につきましては、今回のような大規模な事故でございますので、ただいま申し上げましたような資料の収集等につきましても相当数延焼状況が見られる、焼燬されている車両が多数あるといったような点から見まして、これら捜査につきまして最終的な結論を得るにつきましては、なおまだ相当の期間を見るものと考えております。
  22. 井上泉

    井上(泉)委員 なかなか、そういういつごろというめども、はっきりしないわけですから、これはやはり被害者の方は、いらいらした気持ち途方に暮れておるというのが現在の状況だと思うわけでございます。大臣公団総裁も、事故で亡くなられた方に対して御冥福を祈る、こういう敬虔なごあいさつをされたわけですが、これは公団なり、あるいは建設大臣として、亡くなられた方に香典とか花輪とか、いわゆる世間一般のお見舞いはされたのですか。
  23. 高橋国一郎

    高橋参考人 ただいまの件につきまして私ども、まだ聞いておりません。
  24. 井上泉

    井上(泉)委員 聞いてないということは恐らく、してないのだろう、こう思うのですが、やはり悼む気持ちがあれば、ここで何ぼ悼む気持ちを表明しても、それが行動にあらわれてなければ相手に通じぬですからね。たくさんの車の被害者方たち途方に暮れておると思うし、しかし、おまえたちにはこういう道がある、こういう道があるということを、あるいは道路管理者としての責任からも、もう公団には瑕疵がなかったから、おまえらは焼けて一切だめになったのだけれども、これはしようがないのだ、こういうふうなことでなしに何かやはり心の通うた行政というものの措置なり行政の対応の仕方というものは、これはやはり考えなければいかぬと思うのですが、大臣どうですか。
  25. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 被害された方に対しまして心の通うた措置をとれ、これは当然のことだと思いますので、公団の方にも、そういった意味のお見舞いといいますか、そういった意味措置はできるだけとるように十分建設省といたしましても指導してまいりたい、このように考えております。
  26. 井上泉

    井上(泉)委員 これは建設省公団だけに、この被害者救済のことについて要求するわけではありませんが、私は運輸省におきましても、こういうことが起こったことについて、やはり反省をし、自動車運送についての対策というものを考えなければならないじゃないか、こういうように思うわけです。車両保険に入っているものについては補償されているけれども、大部分の車両自動車保険対象にならぬ。そこで賠償責任保険料というものを現行料金上乗せをして救済方法考える、いわゆる公団道路通行料の中に百円なり百五十円なり上乗せをして、こういう場合の特別な補償措置を講ずるとか、そういうことも検討されてはどうか、こういうように思うのですが、運輸省どうですか。
  27. 山根孟

    山根説明員 お答え申し上げます。  今回の事故によります被害保険で一体どの程度救済されるかということにつきましては現段階調査をいたしておりますが、いずれにしても車両保険に加入した車両はよろしいわけでありますが、それ以外の車両救済という点になりますと現在のところ困難であるというぐあいに考えられるわけでございます。  先ほど先生指摘のありました賠償責任保険料現行料金上乗せをして、高速道路上で発生した損害補償するというような考え方はどうだろうか、こういうような御趣旨ではなかろうかと考えるわけでありますが、この問題につきましては高速道路通行中の車両に限って、いわば強制的に車両保険等を掛けさせるという問題が一つあります。また、すでに車両保険等を掛けている車両あるいは主として一般道路を通行する車両との公平を一体どう考えてまいろうかといったような種々の問題があろうかと考えるものでございます。したがいまして御趣旨の点を踏まえまして、この種の事故に伴う救済の全般的な問題として、これは関係各省とも協議をいたしながら検討してまいりたい、かように考えるところでございます。
  28. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで道路局長も、そういうことについて前向きな検討をされるということは、やはり高速自動車道における事故に対する救済措置として一つの対策だと思うわけですが、ぜひ、ひとつ検討していただきたいと思うのです。  それで今回の事故の車の大半が貨物自動車である。つまり百七十三台のうち百二十六台という貨物自動車です。そうすると、このトラック運送事業者車両に対しては、事業用自動車運行管理規程とか、あるいは乗務員指導監督とかというようなことについて、運輸省はどういう指導を行っておったかということと、さらに運輸省は、この事故発生したのですから、こういう貨物自動車運行管理者運行管理規程を十分実施しておったかどうか、こういうことも検討することが、やはり今後の事故を防ぐために大事なことではないかと思うのですが、この辺のことはやられたのですかどうですか。
  29. 丹羽一夫

    丹羽説明員 お答えいたします。  運輸省としましては、道路運送事業者、特にトラック事業者に対する運行管理上の責任というようなことにつきましては、道路運送法に基づきまして運行管理者事業者が選任する義務を課してございます。また、実際の現場において運転者に対して運行管理者安全運行事故防止ということを徹底して教育指導に当たるように、運行管理者所掌事務を定めておりますが、運行管理者につきましては現在、六万人余り全国で選任されておりまして、このすべての人に対しまして、運行管理者の質的な向上と現場での指導の仕方、また教育訓練のあり方というものの実質的な効果を高めるために毎年、研修、教習等を実施しております。特に高速道路につきましては、車間距離の保持とか追い越し方法トンネル通過時の注意事項というものを詳細に冊子もつくっておりまして、それで運行管理者指導し、運転者指導に当たっていただくというふうになっております。  しかし、今回の事故考えてみますと実質的には、運行管理者として運行管理指導というものに当たっていても、私も事故現場を見ましたが、現場における実際の車間距離が適切であるかどうか、十分な車間距離をとってトンネル内を運行するように、また高速道路においては速度に合ったような、たとえば八十キロで走っている場合は八十メートル以上、また百キロで走った場合は百メートル以上距離をあけて運行するようにという指導をしてまいったわけでございますが、現実に事故が起きているのを見ましても、やはり不時の場合といいますか、前で、どういう事態が起きたかというようなことを即後ろの運転者が判断し、適切な処置がとれるような必要な間隔を十分にとっていたかどうかにつきましては現在いろいろと調査しておりますし、それから運行の指示、命令の与え方、休憩の与え方、仮眠の与え方につきましても、運転者に十分徹底していたかどうかということも現在調査しておりますが、その結果から考えてみますと、今後とも、そういう運行管理者に対する指導、教育の徹底ということに邁進してまいりたい、かように考えております。
  30. 井上泉

    井上(泉)委員 現在調査中だといっても、六万人おるからといって六万人全部に当たるわけではないし、こういう事故を起こしたわけですから、最初に事故を起こした貨物自動車の会社の運行管理状態はどうかということなどは、そう幾日もかかる調査ではない、すぐにわかるはずじゃないですか。最初の事故を起こした業者の運行管理の内容はどうなっているか、労働者の労働条件はどうなっているか、それくらいの調査は、もうとっくに終わっていなければならぬと思うのですが、それもまだ終わっていないですか。
  31. 丹羽一夫

    丹羽説明員 お答えします。  第一事故現場に関係しました大型トラック四台ございますが、ほとんどの車といいますか、一番最初にいました菱倉運輸のトラックは当日は東京から名古屋へ向けて帰る途中でございましたが、その前日の運行は名古屋から東京まで一日かかって来ております。それから、その前々日は、その運転手は名古屋から茨木まで往復しております。それから、お亡くなりになりました三栄運輸の運転手さんは、前々日は休暇でお休みでございまして、十日に大阪から埼玉……(井上(泉)委員管理規程に違反していなかったですか」と呼ぶ)そういうようなことで、現在調べておるところによりますと十分な時間をとって運行していたと考えられておりますが、さらに詳細にわたっては、実際の車には、いわゆるチャートがついてございますが、全部焼失してございますので、その状態を物証するわけにいきませんので、運行管理の指示の仕方また到着地での点呼の状況というものについて現在いろいろ調査しておるというような状態でございます。
  32. 井上泉

    井上(泉)委員 時間が参りましたので私は最後に幾つかお問いして終わるわけですけれども、こういう事故というものは、道路公団が幾らりっぱな施設をしておっても、それを破る無法なドライバーが存在すればどうにもならぬわけです。その無法なドライバーが出てくるような業務の状態であったら、これも当然生まれてくるわけで、道路公団側でも、あるいはまた運輸省側でも警察庁側でも、この結果を踏まえて安全対策をつくり上げなければ、いわゆる善良なドライバーあるいは貨物運送をされておった方が莫大な財産と生命そしてまた体も痛めつけられておるわけなので、そういう点においては、これが次の対策が生まれる一つの大きな教訓として生かされてこなければ無意味であると思うわけです。  道路道路公団建設省の所管ですから、建設大臣としては、こういう高速自動車道における運行は、この分は警察庁の管理だから、この分は運輸省管理だから、保険は大蔵省の管理だからということではなしに、総合的に高速自動車道安全運行についてはこういう方法でということを、この際、検討されて出されることが大切な仕事ではないかと思うので、その点、大臣の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  33. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 井上委員の御指摘になりました各省の所管によるそれぞれの責任についてはもとよりでございますが、これを総合的に考えるということは当然でございますので、現在、交通安全の事務を担当していただいております総理府総務長官の介添え役といたしまして、関係各省寄りまして、たとえば今回の事故の大きな原因と思われます危険物運送の問題その他も含めまして検討させていただくように、いま各省連絡会議を持ちまして検討を進めさせていただいておりますので、御趣旨の線に沿いまして今後とも努力させていただきたい、かように考えます。
  34. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  35. 北側義一

  36. 中村茂

    中村(茂)委員 時間が少ないわけでございますけれども、地価の値上がりの問題それから材木の高騰、この二点について御質問いたしたいと思います。  最初に地価問題でございますけれども、先般の八十七国会の初めに当委員会で五十四年度の地価の動向について私、質問したわけでございますけれども、中野長官は、地価は強含みの方向にある、こういう見解でございました。私は、それは甘いのじゃないか。特に、いま三大都市圏の宅地問題を考えた場合に需給バランスが崩れている、ですから地価問題というのは非常に危険な時期にある、こういうことを言ったわけでございますけれども、先般、国土庁土地鑑定委員会が八月一日に発表した第二・四半期の地価動向調査、これは東京圏の宅地が四・四%、それから上半期通算で七・二%の高騰を示している、こういう調査結果が発表になりました。特に三大都市圏の宅地問題、それから宅地全体の上半期七・二%というのは、昨年一年間の上昇が七・三%でございますから、ことしは半年で一年分上がってしまった。大変な実情じゃないかと思うのです。  そこで、先ほど発表になった地価高騰の動向と、どうして、こういう急騰の状態が起きてきたのかという点について御見解を承りたいと思います。
  37. 山岡一男

    ○山岡説明員 いま先生のお話にございましたとおり、今回の中間調査の結果によりますと、第二・四半期の変動率は、全体では二・四%、前期に比べてやや上昇いたしております。特に三大圏の住宅地につきましては、前期の二・六%に比べまして四%というふうな上昇となっておりまして、上昇傾向を強めております。しかしながら中身を見ますと、その他商業地、調整区域内宅地等につきましては余り、そう値上がりをしておるという状況ではございません。したがいまして地域別、地目別には、かなりの差が見られるということでございまして、本年四月に発表されました一月一日現在の地価公示のときと同様でございまして、三大圏の住宅地の上昇が中心となっているという傾向で、同様のパターンが続いていると見ております。  長期的に見まして地価におきましては、先生御案内のとおり昭和三十年以後、四十九年ごろまでの間に、平均では二〇%ぐらいの上昇をしておりました。それから四十七、八年の当時には全地域、全地目にわたりまして三〇%ぐらいの上昇を見ました。その当時から比べますと、まだ全体としては安定的な基調という範囲に入っているものと思いますけれども、三大圏、特に住宅地の値上がりにつきましては非常に警戒を要すると思っております。  その原因は何かということでございますけれども、私ども一月の公示のときにも分析をいたしましたが、今回の値上がりも同様に、三大都市圏の都市の中心部に近いところのマンション地域、それから、いわゆるミニ開発と言われております建て売り住宅用地等の買い進みが相当影響しておる。それから、それ以外には、やはり効用の増によるものが相当あると見ておりまして、こういうものが原因ではないかと思っております。今後とも、そういうふうな地価上昇の傾向のあるところにつきましては十分監視を続けていきたいと考えておる次第でございます。
  38. 中村茂

    中村(茂)委員 いままでも十分監視してきて上がっているわけなんです。私は、住宅を建てたいという地域で宅地を求めても、なかなかない、そこで、そういうところは順に上がってくる、それはわかるのです。したがって、そういうところの土地をいかに安くして、求めたいという人たちに提供していくかという政策手段をとらなければ、いつまでたっても、どんなに監視していても、そういうところはじわじわと上がってくることは明らかだと思うわけです。  そこで、先ほどもちょっとお話があったのですけれども、四十七、八、九年にかけて土地投機を中心にして土地が高騰する。それが引き金になって石油問題と絡めて物価狂乱と言われるような状態が起きてきた。確かに、いまはそのような状態ではございませんけれども、そういう要素もなしとしないと思うのです。それでそのときに、この土地の狂乱状態をおさめるために長期譲渡所得税や特別土地保有税、こういう重課税をかけて土地転がしや土地に投機する者を防止しようとして、確かに、ここ数年、効果をあらわしてきたと思うのです。しかし、土地を売買している人も土地を求めようとしている人も土地を持っている人も、こういうものを緩和しようという動きが出てくると、先が見えてくるわけですから、どうしても土地高騰の引き金になる、ここのところをどういうふうにするか。これはもう税対策と土地との関係ですけれども、いまのところ、まだ供給バランスがきちっといってない。宅地が欲しいというところに提供できるだけのものがない。そういう状態で税のこういう問題を緩和していくということになると、値上げの引き金になる点の方が大きいのではないか、実は、こういう見解を持っているわけです。  それとC農地の問題がどうしても出てくるのです。ことしから手をつけるというのが、一応据え置きのような状態になっているのです。ですから、土地に対しての重課税と、土地を提供していくC農地問題と絡めて、これからの土地対策というものをどういうふうに持っていくか、その持っていき方によっては、土地も提供され安定してくるし、持っていきようによっては土地高騰の引き金になる、これは私の見解ですけれども、こういうふうに思っているのですが、そういう点を含めて、土地を安定的に供給させていくという国土庁の考え方をひとつお聞きいたしたいと思うのです。
  39. 山岡一男

    ○山岡説明員 いま先生のお話ございましたとおり、四十七年、四十八年の地価公示では、三〇%とか三二%とかいう値上がりを示しました。その当時はどうであったかと申しますと、いわゆる総需要の過剰流動性というものをバックにいたしまして一億総不動産屋と言われる時代でございました。それで全地域、全地目にわたって土地の売買が行われました。土地取引件数も年間三百五十万件を数えるということでございました。その当時は、やはり不要不急の土地の将来の値上がり見越しの売買ということが非常に原因でございまして相当値上がりを見たというのは事実でございます。  その当時と現在で、変わっている点が三点ばかりございます。一点は、この国会でつくっていただきました国土利用計画法等を初めとします各種の規制法の適正かつ迅速なる執行ということでございます。第二点は、いま先生のおっしゃいました税制によります抑制効果ということで、いろいろな重課税等によって、それが達せられております。それから、もう一点は融資の規制ということでございます。当時は、やはり過剰流動性の時代でございましたので、銀行もダミーをつくって一緒に土地を買うというようなスタイルでございましたけれども、最近では、いち早く不要不急の土地の購入に対する融資は規制をしていただいております。したがいまして、そういうふうな投機的土地取引による値上がりというのが一番悪いわけでございますから、そういうものに対しましては、従来とっておりましたその三本柱と申しますか、そういう手だては今後とも十分に堅持をしていくというのが私どもの姿勢であろうかと思います。  それから同時に、もう一点は、やはり宅地の需要に対して供給が不足しているという点でございます。これに対しましては需要を抑えるか、供給をふやすかという点でございますけれども、私ども、最近の需要は特別に従来と変わったと思っておりませんで、むしろ供給が不足しておるというふうに思っておりますので、供給促進のために大いに措置を講じなければならないと思います。そのためには関係省庁と力を合わせまして、いわゆる公的もしくは民間の計画的宅地造成のための財政的金融的な応援、それから都市計画の線引きの見直し、再開発の促進等々、いろいろな対策を講ずるわけでございますが、その一環として、やはり税制についても宅地供給を促進する方向での検討は必要であろうかと考えております。ただ現在のところ、そういうふうな税制の中身については、まだ検討中でございまして具体的に方向を出しておるわけではございません。ただ先生おっしゃいましたように本年も一部税制の改善を図りまして、たとえば長期譲渡所得につきまして、優良な住宅地になるものにつきましては、従来の二千万円まで二〇%というのを四千万円まで二〇%というふうに引き上げまして、さらに四分の三総合課税というのを二分の一総合課税というふうに改めていただきました。  先生おっしゃいますように税制の緩和をいたしますと土地の保有が有利になって、そのために売却意欲をかえって縮小させるのではないか、結果としては供給を抑える側に立って地価を上昇させることになるんじゃないかという御意見だと思いますけれども、短期保有土地につきまして、そういうふうな譲渡課税を軽減するということになりますと、それは確かに土地取得意欲を増大することが出てくる。転々売買のための税制を緩めるということにつきましては、これはやはり避けるべきであろうということで、今回お願いしておりましたのは長期保有土地についての税の軽減ということでございまして、これは土地を持ち続けることが、この税制のために現在以上に有利になるということはなかろうと思っております。逆に、過去の例によりますと、譲渡課税を重課するといった場合には土地取引に非常に抑制効果が生じまして、かえって軽課する場合に、そういう促進効果があらわれているという点がございますので、そういう点も考慮しながら検討すべきではないかと考えております。ただし、改善を検討いたします場合にも、あくまで適正供給に寄与するものに限ってという観念で検討すべきであろうというふうに方向としては考えている次第でございます。
  40. 中村茂

    中村(茂)委員 特に選挙が近づいてくると見ばえのいいことを、やたらに公約をするので、特に重課税問題などについて、そういうものがいろいろ出てくると、やはりどうしても、それが土地の値上げの引き金になってくる。ですから特に、そういうものを担当している国土庁としては、そういう政治的な動きを十分警戒しながら、将来的に税制の面からも、それから供給の面からも長期展望に立って土地の需給バランスをとりながら安定供給ができるような体制というものをきちっとわきまえて、毅然たる態度で臨んでいただきたいということを最後に強く要望しておきたいと思います。  それから時間がございませんが、もう一つ。材木なんですが、特に、ことしに入りまして若干上がってきまして、七月に入ったら、これはもう急騰も急騰、一挙に三〇%、四〇%、物によっては倍近くにもなるという高騰を示しているわけであります。いま土地の問題で申し上げましたが、土地が上がり材木が上がり、そして石油問題を通じて恐らく建築資材がある程度上がってくるという見通しの中で、特に材木の高騰というものがひどいわけです。  そこで最近の材木の値上がりの状況、それから、それはどこに一番大きな原因があって、こうなってきたのかという点について見解を承りたいと思います。
  41. 山口昭

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  最近、五月の連休明け以降、南洋材の丸太これは大体、合板の原木でございますが、これを中心にしまして外材原木が上がってきたということでございます。これに伴いまして合板価格あるいはエゾたるき、これは北洋材でソ連から参るものでございますけれども、これらが中心になりまして木材価格が上がっております。これに伴いまして他の製材価格なども上がっているわけでございますが、昨今、七月の終わりから八月にかけまして、この騰勢がとまっておりまして、やや弱含みということで推移しておるところでございます。  これらの原因を見てみますと、一つは南洋材生産地、インドネシア、マレーシア等でございますが、資源ナショナリズムがございます。そういったことから、自国の少ない資源をできるだけ高く売りまして輸出収入を獲得したいというような意欲があるわけでございます。これが一つ。それから昨年の秋以降、円安傾向がございまして、昨年の十月から七月までの間に二割程度円安になっておりますが、これで外材の値段が上がるということがございます。さらに海上運賃が上がっておりまして、これも昨年からことしの夏にかけまして二倍程度になっておるわけでございます。これらの要因が重なりまして価格を押し上げたということが今回の原因ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。そのように考えております。
  42. 中村茂

    中村(茂)委員 原産地で相当上がる。そこで上がったからといって、ただ、はいそうですかと高いものを持ってきてしまう。高いものは買わないというふうになれば、それでいいわけですけれども、需給バランスですから品物が必要だから高いものでも、はいそうですかと、すぐ輸入してきてしまう。日本は資源がないわけですから輸入木材の現地価格というものについて——確かに現地では、その国で資源は大事ですから、できるだけ高く売っていこう、こういう空気はあるでしょうけれども、しかし、そういうやり方だけでは安定的な輸出入というものはなかなかできないと私は思うのです。だから、そういうことに携わっている、たとえて言えば材木を扱っている総合商社とか、そういうところが政府の方針に従って現地での購入というものが、もう少しきちっといかないものだろうか、そういうことを考えざるを得ません。石油などは備蓄して、輸入が少なくなったり備蓄を放出する必要があれば放出する、こういう手だてを強化しているわけですけれども、材木も、たしか備蓄という方針をとってきたはずだというふうに思うのです。そういう備蓄体制とか、いずれにしても材木を安定的にしていく、こういう手だてを輸入、加工、流通の三点から、もっと真剣に考えていただきたいというふうに思うのですけれども、そこら辺の手だては、どういうふうにしているのでしょうか。
  43. 山口昭

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  林野庁としましては、木材需給、価格の安定を図るために、一つは木材屋さん、これは卸から小売あるいは加工業者、非常に数が多うございまして、木材をめぐる需給関係等に関する情報が非常に少のうございます。えてして身の回りの情報をもって、いろいろ商売の判断をするというような場合がありまして、これが価格をいろいろ刺激するという場合がございます。そういうことから林野庁が木材の価格動向をできるだけ的確に調査いたしまして、あるいは監視をいたしまして、情報を的確にお知らせするというようなことによって、できるだけ安定した行動をとっていただくというようなことを一つ考えて、やっております。  さらには関係機関あるいは団体代表、これらの方々にお集まりをいただきまして需給対策の中央協議会というものを設けておりまして、そこで、できるだけ短い期間、昨年からことしにかけましては四半期別ということで需給の見通し等を作成いたしまして、これを皆さん方に公表するということで、安定に努めているわけでございます。  さらには備蓄のお話も出ましたのですけれども、日本木材備蓄機構というものを設けておりまして、三都市場すなわち東京、大阪、名古屋でございますけれども、三都市場におきまして製材は、角材でございますが約一月分の五割程度、合板につきましては一割程度を備蓄しておりますので、非常に危険な状態になりますと、これを放出するということで対応しております。ことしは一月さらには六月ということで対応いたしまして、この効果を一応挙げているというふうに私ども考えております。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 円高のときには材木は横ばいか少し上がってきた。円安になったら今度は急に上がり出す。円高のときはもう少し下がってもいいと思ったけれども下がらない、そこのところも私よくわからないのですけれども、きょうの新聞を見ますと、その円高のさやで全国一千億だかの脱税だか、これから納めるのだか知らぬけれども、いずれにしても国税庁の調査で、そういうことを発見したというような記事も私見たんですけれども、確かに円高の還元ということが問題になって石油関係などについては政府もいろいろ手だてしたと思うのですけれども、材木などについても私は正直に言って、もう少し下がるべきだというふうに思ったんですが、下がりぎみ、それから横ばい、そしてずっと上がってきた。ほとんど材木に関連してはなかったんじゃないか。それで今度、円安になると、その分がすぐ材木に転嫁されて値段が上がってきてしまう。ですから流通機構というものについて、材木ばかりではございませんけれども、もっと全体として考えて対処していかなければ、少しぐらいなことで、そこのところに吸収されてしまって、もっとはっきり言えば、このときに損したから、この際もうけろというような、千載一遇というような考え方があるのかないのか知らぬけれども、そのしわ寄せは消費者のところへ来てしまう。  最近、家の建設を請け負う大工さんなどは、お客さんと話をする場合に、この値段は一週間ですよ、一週間たったら値段が変わるかもわからぬから、また相談しましょう、一週間刻みだというんですね。確かに先ほどありましたように、七月の末から八月にかけて一応高値安定になっていますけれども、特に七月に入ってから七月の終わりまでは、とてもじゃないけれども一週間と見通しがつかなかった。一週間たってみると一〇%上がった、二〇%上がった、こういう状態では大変だというふうに私は思うのですね。そして、これは少し落ち着いてきたというけれども高値安定ですよ。将来どういうふうになっていくんですか。
  45. 山口昭

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  今後の需給動向でございますが、これは先のことなんで正確にはなかなかむずかしい面もございますが、一つは製材用外材、これの大きな部分を占めております米材につきまして、八月以降も引き続き物はどんどん入ってきております。それから二番目に南洋材でありますが、これが引き金になったわけでございまして値段は上昇してきたんでございますが、これも順調な輸入が見通されておるものがございます。さらには国内の木材需要の大宗を占めております住宅でございますが、これも建設省の見通し等もございますけれども、所得の伸び悩み、あるいは金利の上昇その他、住宅需要に対する緊迫度といったようなものも多少緩んできておりますから、住宅需要が大幅に伸びるということはなさそうでございます。そういうようなこと、さらには木材の在庫手当て、これもほぼ一巡しておりますから、今後はそう不安定な状態になるだろうということは見通されないわけでして、むしろ安定していくだろうということを期待しているところでございます。  さらに私ども、先ほど申し上げましたように価格動向についての調査、監視あるいは業界の指導、これらにつきまして力を入れてまいりたいと考えます。
  46. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、私きょう宅地の問題と材木の問題を取り上げたのですけれども、いずれにしても大幅な値上げが起きている。いまの農林省の御説明ではございませんけれども、所得の伸びも少なくなってきているし、どうも家の建て方も少なくなってくるから材木が安定していくじゃないかというように聞き取れるような言い方も、いまの中にあったのですけれども、しかし建設行政として、特に宅地、それからそこに家を建てる、これだけ材木が上がってくると建築費全体に一五%ぐらいどうしても影響してくるというのですね。建設行政を担当している大臣として、このような状態、それから、これからの宅地政策、こういうものをどういうふうにお考えですか。もう少し建設省としても土地なり建築資材、こういうものの値上がりというものについて各省庁と連絡をとって関心をお持ちいただいて、安心して政府の方針に従って家が建てられる、こういう行政の強化をひとつお願いしたいと思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  47. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御指摘の点ごもっともでございまして、建設省といたしましても地価上昇につきましては、いま国土庁から答弁がございましたが、公的土地開発の増大また民間土地開発の推進あるいは都市計画の線引きの見直し、たまたま御指摘のありましたC農地等の問題等も総合的に考えまして、地価の上昇をできるだけ安定したものに持っていくように、国土庁ともよく連絡をとり、また農林省等とも連絡させていただきまして、努力をさせていただきたい、このように思っております。  また建築資材の件につきましても、ごもっともでございまして、七月の建築資材、特に製材、合板の値上がりに対しましては目を見張るようなものがございました。農林省林野庁と十分連絡をとりながら、これらの安定的供給ということについて御努力願うようにお願いするとともに、私の方といたしましても各地建ごとに毎週、建築資材の状況の単価調べをやりまして、これに対する適確な手を打ちますように努力をさせていただきたい、このように考えておるような次第でございます。  いま林野庁の中で、住宅建築が弱含みであるために急騰は起こらないであろうというふうな答弁がございましたが、爆発的なものは私は起こらないであろうと思いますけれども住宅に対する国民の要望、量的には解決しましたが質的な向上を求めておるという点につきましては、私は、建設省といたしましては、どこまでも住宅の質の向上のために努力しなければならない、このように考えております。六月の統計はまだ出ておりませんけれども、五月までの統計で見る限り、着工戸数等は昨年並みで進んでおりますので、急騰はございませんけれども着工戸数は決してダウンをしておるという姿でございませんので、今後ともに努力してまいりたい、このように考えております。
  48. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  49. 北側義一

  50. 伏木和雄

    伏木委員 最初に日本坂トンネルについて、若干お伺いをいたしたいと思います。  あれだけの惨事となった日本坂トンネルでございますが、鈴鹿トンネルの反省の上に立って非常に安全基準が高い。高い基準をもとにして、あの設計が行われた、こう言われておりますが、それにもかかわらず、ああした大惨事が起きたわけでございます。その原因については一体どこにあるのか。先ほど警察庁の方では目下捜査中であるというお答えでございますが、現在までわかっている範囲内で、もし差しさわりがなければ、現段階における状況をお知らせいただきたいと思います。同時に被害の総額はもう当局において把握されておるのかどうか、この点もあわせて承りたいと思います。
  51. 小林憲司

    小林(憲)説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘東名高速道路日本坂トンネル事件につきましては、先ほども申し上げさしていただきましたように、本件事故トンネル内の追い越し車線上におきまして大型貨物自動車を先頭にいたします六台の車両大型貨物自動車四台、普通乗用自動車二台が玉突き状態追突いたした多重追突事故でございます。運転者、同乗者等合計十名の事故当事者のうち七名の方が死亡し、かつ事故車両のほとんどが極度に焼燬されておりますために、捜査はきわめて困難を伴っている状況にございます。  静岡警察におきましては、残る生存者目撃者等の関係者からの事情聴取実況見分事故当事車の鑑定等、多面的な捜査を現在、鋭意進めているところでございますが、これまでのところ、追突事故の直接の原因は、各事故関係車両間における車間距離不適、速度不適等が考えられるのでございますが、現在捜査中でございまして、結論を得るには至っておらない次第でございます。  また、出火車両につきましても、事故当時の状況等から見まして、大型貨物自動車に前後から押しつぶされました二台の乗用自動車付近ではないかと思われますが、これについても目下捜査中であり、まだ断定するに至っていない状況にございます。  なお、先生ただいま被害額についての御質問がございましたが、私ども、まだ把握しておらない状況でございます。  以上でございます。
  52. 伏木和雄

    伏木委員 追突事故ということは、たまたま、どこにもあるわけでございますが、ああした大惨事にまで発展してしまったということについて、十年前にでき上がったトンネルでございますけれども、その後、車両台数あるいは危険物搬入の量というものは膨大にふくれ上がっていると思いますが、こうした最近の交通量の増大、そういうことをもとといたしまして、当初建設当時に比して安全度について見直しをやったことがあるかどうか、過去に交通量の増大に伴って見直しをやったことがあるかどうか、公団の方からお答えをいただきたいと思います。
  53. 高橋国一郎

    高橋参考人 昭和四十二年の鈴鹿トンネル火災事故に基づきまして、建設省におきましては道路トンネルにおける防災設備の設置基準というものを制定いたしまして、わが道路公団におきましては、それをもとに技術基準を定めております。その後さらに四十九年に道路トンネル技術基準が、これは建設省の基準でございますが制定されましたので、それを受けまして、さらに改定しております。なお部内におきまして、その後も検討を加えまして今年にも三度目の改定を行っております。  以上でございます。
  54. 伏木和雄

    伏木委員 四十二年に政府の交通対策本部というところから各省に対してトンネルにおけるさまざまな通達がございました。それによりますと、まず非常警報装置というものの設置がされておるわけでございますけれども、この警報装置は、この事故について、どのように働いたか、お伺いしたいと思います。
  55. 高橋国一郎

    高橋参考人 今回の事故は、七月十一日の十八時三十九分にトンネルの中の非常電話から、まず第一報が入っております。これは車を運転している方だと存じますが、第一報が三十九分に入っております。それとほとんど同時に、トンネルの中に取りつけてございます火災感知器が作動いたしまして、それが直ちに静岡管理事務所の中にあるコントロール室のパネルに、それを表示しております。したがいまして、今回の火災を知りましたのは非常電話と、さらに設置されておりました火災感知器の二つでございます。
  56. 伏木和雄

    伏木委員 私が伺っているのは、警報装置はどのように作動したかということです。
  57. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  警報装置の中には非常電話あるいは自動警報機、それから火災感知器がございます。それから、そのトンネルの両坑口に警報装置というのがございまして、火災、進入禁止という警報で車をとめる装置がございます。これは、いま総裁がお話しいたしましたように三十九分に通報を受けてから、コントロール室へすぐ作動いたしまして火災、進入禁止ということを認めております。
  58. 伏木和雄

    伏木委員 何か通報装置と警報装置を混同しているみたいに私ども、とれるのですが、コントロールタワーに連絡がとれるとか、あるいは最寄りの消防署等に連携がとれるというのは通報装置であって、火災が起きた警報は、あくまでも通行者に対して、はっきりと警告ができるものでなければ警報装置とは言えないのじゃないかと思います。われわれは、こうした事態が起きて速やかに、その異常をドライバーの皆さんに徹底できれば、この事故はもっと防げたことではないかと思うのです。  電光板が、一つ手前のトンネルのところに「進入禁止 火災」こういうのが出たそうでございますが、一つ手前ですから、あれは短いトンネルですね、この警報があるところは。そうすると見通せるわけですな。この警報のあるトンネルは見通せるのですから、火災と出ておっても向こう側が見えるわけですから、これはすっと入っていく、人情として。  私どもも、よく道路の標識を問題にすることがあるのですけれども警察の規制の標識と、それから案内板的な、いわゆる高速道路で使っている電光板ああいうものとは、ドライバーの皆さんは、おのずから、たて分けているわけです。われわれ、よく高速道路を使いますけれども、あれはオオカミ少年じゃないか。どこどこ渋滞と書いてありますけれども、入っていくと全然渋滞していないで、すんなりと行ってしまう場合もあるし、そうかと思うと、何の警告もないのに道路が渋滞しているという場合もあります。したがってドライバーの皆さんは、ああいういわゆる案内板と道交法上の規制の標識とは区別しているわけです。それが、しかも手前にある、こういうようなことも問題になるのではないかと思います。  そこで、ああした事態が起きた場合、もっと警報機を明確にして、普通、町の中の火災等が発生しても、最寄りの工場等は消防署からの依頼でサイレンを鳴らすとかというようなことが常時行われているわけですから、したがって、そうしたようなことを今後考えていかなければならないのではないか。あるいは、がけ崩れ等の危険個所については大雨のときなどは遮断機がおりる、こういうことをやっておりますけれども、そうしたことも考えていかなければならないのではないか。あるいは四十二年四月の交通対策本部から指示があった内容には、最寄りの消防署等とも連携をとっていかなければならないということに対して、消防署と連携をとるということは、いざというときに町の消防、自治体消防車の出動ということも考えた上での措置であると思います。こういうことが行われておるとすれば、消火栓等の口径が違うというような初歩的なミスはないのではないか、こんなようにも考えるわけでございますが、こうした点について、私ども視察した際に、あの現場でも直ちに今度の修復に当たって改良をしなければならないという点が幾つかあったように思うのですけれども、今度新たに、どの点を日本坂トンネルについて修復に当たって改良をするのか、これをお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  今回の被災によりましてトンネル本体も大分やられておりますし、中に入ってございます防災施設が壊滅的な損害を受けております。  本体につきましては、いろいろ技術検討委員会検討していただきまして、まず早くやろう、安全で早くやろうというようなことで、一応コンクリートの破壊面を取りまして、そこに厚さ平均十センチのコンクリートの中にスチールファイバーを入れまして、そういったもので吹きつけをやっております。これは六日に終わっております。  そのほか、一番被害の大きかった防災施設でございますが、まず照明回路でございます。トンネルの中に照明がございますが、これが火災その他によって一カ所消えますと全部消えるというようなことがございますので、こういった回路につきまして、一カ所が消えても全部が消えないような耐火ケーブルを採用いたしてございます。  それから水噴霧設備の自動弁でございますけれども、これも非常な高熱を受けますと回路が焼損いたしますので、こういった自動弁の回路につきましても耐火ケーブルを使いまして、作動がとまらないようにいたしたいというように考えております。  それから避難誘導灯の回路でございますけれども、避難路が現在三カ所ございます。この三カ所の避難路に現在「避難路」と標示してございますが、これもやはり高熱によって回路が切れますので、避難誘導灯につきまして、こういった回路に対しても耐火ケーブルを使って万全を期していきたいというふうに考えております。  それから消火栓でございますが、先ほど先生から御質問がございましたが、消火栓につきましては、両坑口に消防隊の方が使っていただく消火栓がございますが、トンネル内につきましては、約四十八メートルのピッチで給水栓がございます。この給水栓は、各トンネルの中に入っておられた方が使用しやすいように軽いもので、四十ミリのサイズの消火栓をセットしてございますが、これも検討委員会でいろいろ御検討いただきまして、二百メーターピッチに、その消火栓の中に消防隊が利用できます六十五ミリのパイプをセットするということを考えております。  それから避難誘導の標識でございますが、何と申しましても中で避難者を誘導して安全を期するということが根本的でございますので、避難が容易にできますように、新しく避難誘導灯の中に内部照明式の標識をつくるとか、あるいは両サイドに避難坑にすぐ誘導できるような、これも内部照明式の標識をセットいたします。なお、これにつきましては中に電池を入れまして、いざというときでも消えないというような施設考えております。  それから警報標示板でございますが、いま先生からお話がございました隣の小坂トンネルの二百十メーター手前にございましたが、これを小坂トンネル二百十メーターから、なお静岡側の五百メートル地点にF型の警報標示板をセットするというふうに考えておりますし、もう一つ、小坂トンネル日本坂トンネルの間は六十五メートルというふうに短い区間でございますが、日本坂トンネルの坑口の上部分に、やはりこういった警報標示板をつくるというふうに考えております。  それからトンネル内の再放送設備が実は日本坂にはございませんで、今年度、再放送施設を設置する予定でございましけれども事故が早く起きたというようなことからでございますが、再放送施設をつくりまして、静岡では大体六チャンネルの放送が入りますが、その六チャンネルに合わせた再放送、その中に割り込み放送と申しまして緊急時に各ドライバーに情報を伝達するというようなことを考えております。  以上でございます。
  60. 伏木和雄

    伏木委員 ただいまトンネルの改修に当たって、これだけ改良しなければならないという部分もあるわけですから、そうしたものが完璧になっておれば、あるいはあの事故が防げたかもしれないわけでございます。したがって補償等については、ひとつ政府の方は真剣に対策考えていただきたいと思います。  これは以上にいたしまして、政府の新経済七カ年計画これが、伝えられるところによりますと十日の閣議で決定される、こういうふうに私ども聞いております。この内容、一つ一つ検討しますと、えらい問題がありますが、ここでは、その問題は一応おくといたしまして、経済成長が五・七%に組まれている、こう聞いております。しかし従来、建設省の関係の長期計画、道路、治水、下水道といろいろございますけれども、これは五十年代前期経済計画というものを土台として組まれていると思います。あるいは三全総。それによりますと前期計画においては経済成長が六・三%という、今回の経済計画よりもはるか高い経済成長で見込まれているわけでございます。したがって建設省関係のこれらの長期計画というものは見直さなければならないのではないかというような感じもいたしますが、この点どのようにお考えになっておるのか、御説明いただきたい。
  61. 丸山良仁

    ○丸山説明員 いま先生指摘のとおり前期五カ年計画では六・三%、今回の計画では経済成長五・七%になっておりますが、今回の計画におきましても、成長率は五・七でございますが内需優先ということで、公共投資につきましては六・九%の伸びになっております。ただし前期の計画では七・二五%になっておりますから、これも下がっておりますが、公共投資には優先的に配分するという形になっております。この結果、今回の計画におきましては公共投資七カ年間で二百四十兆という形になっておりまして、そのうちの建設省の所管分が約百兆弱、九十八兆七千億だと存じますけれども、そのようになっております。  これに基づいて五カ年計画を見直す必要があるというのは先生の御指摘のとおりだと存じますが、五カ年計画につきましては年次を決めてやっているわけでございまして、いま直ちに見直さなければいかぬもの、あるいは繰り上げ施行等で対処できるもの、いろいろございますから、現在、来年度の予算要求を控えまして、どの計画は見直すか、どの計画については繰り上げ施行等を行うかというようなことを検討中でございます。  なお繰り上げ施行と申しますのは、昨年度と本年度、特に公共事業につきましては景気刺激対策等の関係もございまして通常の五カ年計画ぺースよりは多目の予算を組んでいただいておりますから、そういうような関係もあわせ勘案いたしまして、必要なものについては改定を図ってまいりたいという考えでございます。
  62. 伏木和雄

    伏木委員 たとえて申し上げますと、この新しい経済計画では道路の公共投資に占めるシェアは若干少なくなるわけでございます。こういうことと関連いたしまして、しかもいま概算要求作成の段階であると思いますけれども、来年度の予算については大体一〇%以内という指示が閣議であったようでございますが、そうしますと道路予算等は削減をされていくのではないか、こういうような危惧もございます。道路につきましては今回の第八次ですか、あれでも、まだまだ非常におくれていると言っても間違いではないと思いますが、こうした来年度の予算等も踏まえながら現在どのように予算について検討されているか、お答えいただきたい。
  63. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 五十五年度の予算の概算要求枠につきましては、いま御指摘のとおり去る七月三十一日の閣議で、経常経費についてはゼロ、政策費については一〇%増。したがいまして公共事業一〇%増の枠内におきまして概算要求をするということになっております。  建設省といたしましては、厳しい財政事情でございますけれども可能な限り事業を伸ばしていくという形で現在、概算要求の作業を進めさせております。また道路河川、下水道等に係る現行五カ年計画につきましても、この計画が着実に実行されるように概算要求の中では要求をいたしたい、そのように考えております。  いま御指摘のございました七カ年計画の中の道路のシェアでございますが、この点につきましては、書いてありますシェアは下がっておりますけれどもシェアのとり方で、維持修繕費というものを入れますと、むしろ下がらずに上がっておるという姿でございますので、この点につきましては詳しい点は当局から答えさせます。
  64. 伏木和雄

    伏木委員 道路の問題お答えいただくわけですので、それではあわせて、たとえば本年度大幅な公共事業で、いろいろな事業が出発いたしました。五十四年度、初めて湾岸道路、ベイブリッジに予算等がついたわけでございますが、せっかく本年度から着工できるというこうした問題等について、来年度大きな影響があるのか、それとも当初の計画どおり進められていくのか、この点もあわせてお答えいただきたい。
  65. 山根孟

    山根説明員 お答え申し上げます。  今回、閣議決定されることになっております新経済七カ年計画の道路の投資規模の問題でございますが、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、地方単独事業に係ります維持関係については、統計のとり方から、これを除外するというような考え方になっておりまして、大臣がお答え申し上げました状況であるわけでございます。  ただ、この第八次道路整備五カ年計画と七カ年計画とは実は整合のとれた形になっておるわけでありまして、第八次道路整備五カ年計画を策定いたしましたときに、私ども昭和六十五年度を目標といたします中期的な計画を立てて、それに基づいて第八次計画を策定し、この新経済計画の投資規模についても要求をいたしたわけでありますが、今回の経済計画と第八次道路整備五カ年計画は一応整合した計画であると考えておりまして、当面、第八次五カ年計画の達成を図ると同時に、昭和六十五年度を目標年次といたします新しい経済計画に盛られました道路整備水準の確保に全力を挙げたい、かように考えておるところでございます。
  66. 小林幸雄

    小林(幸)説明員 ベイブリッジでございますが、非常に厳しい状況でございますけれども、私どもといたしましては、きわめて重要なプロジェクトであるというふうに考えておりますので、六十年度完成という目標に従いまして来年度は要求をしてまいりたい。来年度は着工の段階に入れるように予算を要求してまいりたい。ただいまのところ、そういうことで概算要求の作業を進めておるところでございます。
  67. 伏木和雄

    伏木委員 こうした長期計画というものが非常に民間の設備投資に重大な影響を持ってまいります。政府の方の公共投資が数字的に、こういうダウンをしてまいりますと民間の方は、それでなくても公定歩合が引き上げになり、秋にはまた、もう一度、公定歩合を引き上げるというようなことも言われているわけでございますから、石油の値上がりによるさまざまな経済の変化、そうした中にあって経済成長は民間が萎縮しますとストレートに大きく警いてまいりますので、こうした数字の取り扱いについては極力御配慮をいただきたいと思う次第でございます。  ついでに、下水道についても長期計画、五カ年計画が来年度で終わるわけでございますが、従来これを一年早めて新しい五カ年計画を来年度から発足させていきたい、こういうことがございましたが、この計画を一年早められる可能性があるのか。あるいは地方団体におきまして、特に指定都市におきましては、この補助率が非常に問題になっております。対象補助率の省令を何としても直してもらいたい。一般都市においては七五%対象になっているにもかかわらず、指定都市においては四五%にしかなっていないということで少なくとも六〇%、七五%は欲しいけれども、そこまで言わないでも少なくとも六〇%は次の長期計画には入れてもらいたい、こういう強い要望があるわけでございますが、この長期計画の改定の見通しと、それからこうした補助率の改定、これについて現在どのようになっておるか。一日も早く、これはやっていただきたい、こういう考えでございますが、お答えをいただきたいと思います。
  68. 小林幸雄

    小林(幸)説明員 まず五カ年計画改定の問題でございますが、五十四年度の予算編成直後の状況では、実は私どもも経済情勢あるいは財政の状況が五十四年度とそんなに差がなければ繰り上げ改定可能ではないかというふうな感じも持っておったことは事実でございます。しかしながら、昨今の厳しい状況になってまいりました関係で、実は残事業費約二兆円ございます。これを従来の五十四年度と同じような考え方で国費で伸ばしていきますと、約三〇%の国費増で要求をしなければならぬ、こういうふうなことになってきたわけでございます。五十四年度、五十三年度等の状況と比較しますと、三〇%アップということは必ずしも下水道にとりましては奇想天外な数字じゃございませんが、現在の状況では非常に厳しい。したがいまして、これを繰り上げ改定するか、あるいは五カ年で完了するということで、それを目標に進めていくか、ただいま概算要求の作業中でございまして、検討を進めておる段階でございます。感じといたしましては非常に厳しいというふうに思っております。  それから指定都市の補助対象率の問題でございますが、これは御指摘のとおり、指定都市が財政負担能力あるいは普及状況等から見まして、一般の都市に比べまして、やや優位に立っておるというふうなことで従来、補助対象率が格差がございました。ただ先生指摘のような御意見もだんだん強くなってまいりましたので、第四次五カ年計画発足の際には、一般の都市に比べまして補助対象率を相当大きく引き上げたわけでございます。ただ、これでもまだ不十分だというふうな御意見も多々ございますので、五カ年計画改定の際には、その辺については相当前向きで検討していかなければならぬであろうというふうに考えておるところでございます。
  69. 伏木和雄

    伏木委員 その点はよろしく御配慮をお願いしたいと思います。  最後に土地問題、若干お伺いいたしますが、国土庁において土地利用転換計画というのがつい先日報道されましたけれども、いわゆる農住型ということでございます。市街化区域内の農地に対して、半分住宅として提供するならば残る半分の農地については優遇措置を行うということでございますが、ということは、もう市街化区域内の農地を恒久化するということになってしまうんではないか、こうした懸念はないのかという点をお伺いしたいと思います。それから、どんなような優遇措置をとるのか。  同時に、こうした市街化区域内の農地を半分恒久化してしまうというようなことで、将来の住宅対策として土地供給に差しさわりが起きてこないのか。それでなくても今回の七カ年計画においては公営住宅の公共住宅の建設費は大幅に、約一%ダウンしております。金額にすれば約二兆四千億というところになると思いますが、それだけ公営住宅の建設費が従来より少なくなるということは大きな問題ではないか。ということは、政府の方においては相変わらず民間建設にウエートがあるんだろうと思います。われわれ、ちょっと考えまして、こういう市街化区域内に農地を恒久化するということは現在の政府の住宅政策とちょっと逆行するんではないかというような懸念もあるわけでございますが、土地問題と住宅問題最後に伺いまして質問を終わりたいと思います。
  70. 山岡一男

    ○山岡説明員 いま先生のお話ございましたとおり、国土庁といたしましては昭和五十二年度から、いまの民間デベロッパーが持っております土地、市街化区域内の土地がなるべく早く市町村との協議の上で宅地化されるようにということで宅地利用転換計画というのを進めてまいりました。最近に至りまして、五十四年度から新しく農住型という土地利用転換計画をやることにいたしまして、予算の要求もいたしまして現に個所づけを行ってまいっております。  その基本の考え方といたしましては、現在のところ、たとえば三大都市圏に例をとって申しますと、三大都市圏の中の市街化区域内農地は現在、五十三年一月一日現在でございますけれども、約十万ヘクタールございまして、それらに対しましてその所在を調べてみますと、既成市街地の中に五二%が含まれております。それから、さらに都市計画上の区分で見ますと、住居系の区域、住宅地域、一種住専、二種住専という中に九割が入っております。したがいまして今後、住宅五カ年計画それから三全総等を進めてまいります際に、やはりそういう布存量の多い市街化区域内の農地が、そういう転換の対象にならざるを得ないというふうに考えております。  目の子で換算をいたしますと、たとえば三全総を例にとって申しますと、三大都市圏では四万九千ヘクタールのミディアムグロスの新規宅地が必要だというふうに十カ年間で計画をつくっております。グロスに直しますと一・五倍ぐらいの敷地が要るわけでございます。それから見ますと、どういたしましても市街化区域内農地の半分くらいは三全総計画を達成するためにも宅地化を図らなければならないということでございます。  したがいまして、従来は宅地並み課税というようなことも要望してまいりましたけれども、なかなか実情に合わないということでございました。宅地並み課税というのは、不均衡の是正ということもございますけれども、同時に促進を図るという意味の追い出し税的な意味があったわけでございます。税金をかけるということが目的ではなくて、宅地の転換をしてもらうということが最後の目的でございます。そういう意味から申しますと、宅地並み課税が三年据え置きになったという現状におきましては、私ども何とかして、そういうふうな市街化区域内の農地につきまして宅地化を促進する必要があろうということでございまして、未来永劫ということを考えておるわけではございませんで、相当長期にわたる農地的利用いうことは今後もあるだろうという乙とを前提といたしまして、現在いろいろな対策要綱をつくりまして、農林水産省、建設省等に御相談申し上げている段階でございます。  まだ、あくまで案の段階でございまして、どういうふうな優遇措置をとるとかいうふうなことにつきましては、まだ、ここで申し上げるほど固まっておりませんので、別の機会にさせていただきたいと思います。やはり大都市で行っておりますいろいろな従来の手法がございます。そういうものがうんと活用できるような方向の特例をつくることが必要だろうと思っております。それから税制上につきましても相続税等を含めまして、やはり農家の皆さんが喜んで、そういう宅地転換に協力できるというふうなスタイルをつくる必要があるというふうに思っております。今後、三省間で鋭意検討を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  71. 関口洋

    ○関口説明員 先生から、ただいま公営住宅の問題について御質問がございましたが、私どもも公営住宅の円滑な建設というものについては重視いたしまして、いろいろな手を講じて努力をいたしておるわけでございます。その基本は、やはり公営住宅をお建てになります各公共団体の御意見を尊重しながら進めておるというのが実情でございます。したがいまして公共団体のお考えに沿って今後とも適切な予算措置を講じてまいりたい、基本的には、かように考えております。
  72. 伏木和雄

    伏木委員 終わります。
  73. 北側義一

  74. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は地価問題と、さらには今回惹起いたしました日本坂の事故問題につきまして若干の御質問を申し上げたいと存じます。  まず第一に、地価問題について御質問をいたしますが、現在わが国の通貨はフロートいたしておりまして、円の価値は一ドル大体二百十五円程度ということになっております。しかしながら、この二百十五円の価値を持っていない代表的なものとして、わが国では米と土地がございます。日本の国の土地の価格というものは一体一ドルが幾らくらいに相当するのだろう。これはやはり国際比較の平均をいたしますと、わからなくなってまいりますから、日本の国に比較的近いと言われておるアメリカだとか、あるいは西ドイツ、イギリス、この三国くらいに限って、日本で買う一平米の価格とアメリカで買う一平米の価格、それを円に換算をいたしていきますと、大体一ドルが幾らぐらいに相当するということが出てくるはずでございます。私が推定いたしますと、アメリカにおきましては大体一ドルが二千円くらいに相当するのではないだろうか、西ドイツでは千二百円くらいではないだろうか、イギリスはさらに安いですから三千六百円くらいではないだろうか、こういうふうに推定をしているわけですが、一体、国土庁としてはどのような認識をしていらっしゃるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  75. 山岡一男

    ○山岡説明員 実は、今年度の国会へ御報告いたしました自書におきまして、初めて諸外国の地価水準というものを取り上げてみました。これは従来、国会でもたびたび御質問もございましたけれども何も資料がございませんでしたので、各国にお願いをいたしまして、それぞれの国のやや正しいと思われる統計年鑑等を取り寄せまして、民間に委託をいたしまして調査をいたしたものでございます。  それによりますと私どもの白書に掲げました数字では、西ドイツは平米当たりで六千百円、アメリカが三千九百円、イギリスが二千百円、それに対しまして日本では、ちょうど時期を同じくしました都道府県地価調査によります住宅地の平均価格が三万五千円ということでございます。  いま先生がおっしゃったように一ドルで何平米買えるかと言われる計算は、ちょっとやらぬと、むずかしいわけでございますが、言葉をかえて申しますと、いま先生申されましたとおり西ドイツでは、たとえば経済情勢がいまフロート制でございますが情勢は変わっていないといたしますと、日本が二百十五円の場合に、おっしゃるとおり千二百二十円ぐらい、アメリカが二千円ぐらい、イギリスが三千六百五十円ぐらいになろうかと思います。そういうことになりますと言葉をかえて言いますと、同じ金で買える土地の面積は、同じ金を持っていた場合に西ドイツでは日本の五・七倍買える、アメリカでは九倍が買える、イギリスでは十七倍が買えるというのが現状であろうかと思います。
  76. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大体そういう認識をしていらっしゃるとすると、もっと土地政策について抜本的な政策が出てこなければならないのではないだろうか。つまり、われわれ日本民族が生存をしていくために最低必要条件として衣食住というものが必要ですね。そういう中で食と住というものが、とても二百十五円の価値は持っていない。もう千円から三千円の価値しか持っていない。一方、働く者にとっては基本的な賃金水準というものを国際比較をして、日本の賃金は高くなって欧米水準に列した、こういうような宣伝がされますけれども、生活の実態、内容を見ていきますと、いま国土庁も認識をしていらっしゃるように、われわれが住まなければならない土地というものが、実は一ドルが三千六百円というような、そんなお金を出さなければとても買えない。つまり世界一高い食料を食い、世界一高い住宅に住みながら一生懸命に働いて、そこでできてくる製品というものは国際競争場裏において競争していかなければならぬ、そして打ちかっていかなければならぬ、そうしなければ日本民族の生きていく道はない、こういう状態に置かれているわけですね。  そのしわ寄せがどこへ来るかというと、結局やはり勤労国民の上に、そのしわ寄せが来るということなんですよ。だから住宅宅地小委員会等でも私は土地の値上がりについて質問をいたしましたが、現在の自由主義経済の中の市場メカニズムの中で需要と供給との関係における値上がりだから、さして心配はございませんなどというような、そんななまやさしい認識では、とてもいかぬではないか、こういうことが言いたかったから、わざわざ実は聞いたのです、知っていらっしゃるのかどうか。  日本の土地というものは物すごく高いのですよ。そういう高い土地の上に国民は住まわされているのですよ、そして生活をしているのですよ。賃金だけは国際水準になったからいい、あるいは相当豊かな生活ができるはずだ、こうおっしゃっても、現実は実はそういうことになっておる。これは大変なことですね、実際。だから言われておるような欧米水準になったと言われながらも、生活実感としては大変に惨めで豊かさがない、こういうことになるのです。したがって、そういう認識が基礎になって、そしてやはり出てこなければいけないはずですね。  国土利用計画法案をつくったときも、日本の土地が非常に高いということをわれわれは認識をしながら、少なくとも今後五年や十年は、そのまま据え置いていこう。通常でも物価の数倍、十倍というほど値上がりがしてしまった、こういう認識もとに、何とか抑制をしていかなければならないという方向で、ああいう法律ができた。ところが残念ながら、あの法律ができまして以後、実は土地抑制についての措置は一件も実施をされておりません。そして国土庁自身は、いまも申し上げましたような需要と供給の関係の値上がりだから、さして心配をしておりません、そういう認識では、これはもう国民はたまったものではないということです。  こういういまの土地の価格の差というものが、これはいろいろな理由がありますから、そう一長一短には言えないかと思いますが、いずれにしても国民は、賃金というものは、あるいは所得というものは、べらぼうに高いわけじゃありませんから、まだまだ世界一になったとは言いがたいようなものがある。そういう水準の中で一番生存に基礎的な、最小必要限度である衣食住、その中の食と住が物すごく高い。一体それをどうするかということですね。そういう認識の上で私は、いろいろな政策がつくられていかなければいけないのではないか、こう考えております。どうでしょうか。  もしも、そうだとするならば、先ほども質問がありましたように、もう土地というものは当分だめだから、それでは政府が、国が買い上げる、借り上げる、そして国民に貸すだとかする。国民自身にこれだけ高い土地を買わせるということは、もう大変なことですよ。だから、そういう政策が生まれてくるわけですね。そういう中でも非常に日本の国の土地が高いという認識が基本的にあれば、そこから一体どうするかということが当然出てこなければならぬ。いまの経済機構の中で、需要と供給の関係だけで、やむを得ないものだというようなそういう考え方では、とてもではないけれども、これだけ上がってしまった日本の土地を一体どうするか、こういうことになるわけでございます。その辺はいかがでございましょうか。
  77. 山岡一男

    ○山岡説明員 住宅地価格の国際比較ということにつきましては、対象となる土地を取り巻く条件の相違、それから権利内容の相違、統計資料の問題等から種々の困難を伴っておりまして、ずらりと並べてみたのが果たしてよかったかどうか、疑問のあるところだと思っております。  例を挙げて申しますと日本では可住地面積は非常に狭い。それに対してアメリカは五十一倍ございます。その他、総人口におきましても、西ドイツは六千万、イギリスは五千万、日本は一億一千万ということで倍でございます。名目国民総生産で申しましても、日本は百六十四兆、特に大きい差を持っておりますのは、可住地一平方キロメートル当たりの名目国民総生産、日本では十三億四千三百万、それに比べてアメリカでは八千万、それからイギリスでは二億四千六百万ということでございます。際立って日本の名目国民総生産は高いということでございまして、狭い土地にきわめて高度な稠密な住み方をしておるということでございまして、そういうものが反映をして、国際価格から見て日本は高いのだというのが現在の認識でございます。  しかしながら、いま引き続き先生のお話ございました、土地の値上がりについて需給のアンバランスだけ言ってだめじゃないか、こういう話がございました。私ども、土地の値上がりの原因につきまして、大まかに申しまして三つ理由があるというふうに、いつも考えております。  一つは効用の増でございます。いわゆる鉄道が敷けたとか区画整理が終わったとか、そういうふうな物そのものの条件がよくなったという場合の値上がりでございまして、これは品位、品質、品等が上がったわけでございますので、ある程度やむを得ない。そういうものにつきましては税制その他による開発利益の吸収の問題が残っておるということだと思います。  第二の値上がりの理由は、四十七、八年当時に起きましたような日本の、何度も申し上げますが全地域、全地目にわたりました投機的な土地取引、これがやはり一番悪い値上がりの要因でございますが、そういうものだと思います。それに対しましては先ほど来、申し上げました国土利用計画法をつくっていただきました。そういうものによります届け出制の励行、定着、それから税制による抑制、それから融資の規制という措置をいち早くとっておりますので、いまのところは影をひそめておるというふうにわれわれは見ておるわけでございます。  残るもう一つは、先生おっしゃいまするけれども、やはり土地が、いわゆる国土利用計画法の二条に示されておりますとおり、公共優先のものであるということは、われわれ念頭にもちろん置いておりますけれども、経済財であります以上、やはりこういう経済情勢の中で需要と供給という面での影響を受けることは、ある程度やむを得ないのではないかというふうに思っております。それに対しまして現在、これも数字で申し上げますと、現在のところ三全総なり住宅の五カ年計画なりでは、年間一万三千ヘクタールぐらいの供給がやはり必要だというような計画を立てておりますけれども、現状では九千三百ヘクタールぐらいのところまでダウンをしておる。したがいまして、その間のギャップを埋めるような何らかの供給対策を促進しなければ、そういうふうな点で地価の安定はなかなか望めないということから、先ほど来、申し上げましたような市街化区域内農地の宅地化の促進等についての対策を本気で考えていきたいと考えておるわけでございまして、特に投機がないからいいじゃないかと言っているわけじゃございませんで、投機がないのはいいことだというふうに、いまでも、かたく思っております。したがいまして今後とも投機抑制のためのそういうふうな国土利用計画法の適確な施行、それから税制における抑止効果、不要不急な融資の規制等を堅持するとともに、宅地供給の促進を大いに図るということが今後の対策であろうかと思っております。  それから一言、先生がおっしゃいました国土利用計画法ができたにもかかわらず許可区域が一遍もないじゃないか、規制区域を指定していないじゃないかというお話でございます。実は国土法の十二条によりますと、そういうような所要の条件ができた場合には知事は「指定するものとする。」と書いてございます。いわゆる「指定することができる」という表現ではなくて「指定するものとする。」ということになっております。私ども、全くそういうふうな考えでおりまして、必要な条件があった場合には直ちに発動すべきであると考えておりますし、予算上も、いざという場合の、そういう場合の準備もしてございます。それから不許可になった場合の土地買い上げ請求がございますが、それに対する利子補給金も予算上持っております。そういう体制も持ちながら、絶えず規制区域指定のための指定事前調査というのを励行しておるわけでございます。最近、一部のところで確かに大都市の住宅地というのが上がっておりますけれども、商業地それからその他の工業地等が目立って上がっているという例はございませんし、先ほど来、申し上げましたとおり投機による土地取引というものは影をひそめておるというふうにわれわれ見ております。したがいまして現段階で、住宅地の一部が相当上がったからといって、相当範囲にわたるという法定要件を満たしているものは、いまのところはないと考えておる次第でございます。  ただ、ごく最近におきまして埼玉県の伊奈町、あそこに新幹線が二本入る。それにあわせて新しい新興都市というものができるということで、第一号になりはしないかということで、現在のところ指定細目調査というのを特に厳しく調査を進めております。ところが、そういうふうなことを始めまして以来、取引は一切影をひそめておりまして、現在のところ、そういうおそれはないということで、まだ発動に至らないという状況でございます。今後におきましても、そういうふうな規制区域の指定等につきましては、断固たる態度で臨んでいきたいと考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
  78. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 なかなか了解できないところなんですがね。開発がされますと、その付近は当然上がっていくんですよ。物価上昇の何倍という勢いで実は上がっておる。私の近くにもございます。ところが、それが範囲の問題だとか、いろいろなむずかしい問題があるでしょうが、しかし調査をしておるうちに取引が、申請をしたから、それで見合わしておる、こういうお話でございますが、そういうことが根になって、実は非常な勢いで間接的に土地の値上がりというのを刺激しておることは事実なんですね。だから少なくとも規制区域を指定する場合は、われわれが当初、法律をつくるときに考えたのは、普通物価上昇以上に地価が値上がりしたときには、これは直ちに発動しろ、こういう考え方であったはずなのです。それが最近では、物価水準の三倍、四倍というふうに地価が上がっておるにもかかわらず、現実はやはり野放し的な状態になっておる、こういうことですから、もしも現行の法律でその規制区域が指定しにくければ、もう少し局部的な指定ができないかどうか、そういうことも、法律改正もあわせて考えていく必要があるのではないか。特に要望をいたしておきたいと思います。  次に、今回の日本坂トンネル事故について御質問を申し上げたいと思いますが、安全対策というものは、実は言葉は悪いのですけれども、本来ばかよけ対策でなければならぬ、こういうふうに言われておるのですね。つまり交通事情に対する知識の大変乏しい人であっても十分対処できるような対策、これが本当の安全対策であるべきなんです。今回の事故を分析いたしていきますと、あれだけ大きな事故になったのは二次的な災害、つまり当初、実際に追突事故を起こして炎上いたしましたのはわずか数台の車ですね。それが百数十台に及ぶ後続車がトンネルの中に入っていってしまった。それによって、いわばはかり知れない、ああいう大災害になった、こういうことですね。つまり後続車両トンネル進入というこのこと自身が実は非常に大きな災害につながっていったわけですよ。  公団側に言わしむれば、火災発生の通報と同時にトンネルの外にある電光標示板で火災発生というふうに知らせたから十分知っておったはずだ、こういうふうにおっしゃっております。しかし、先ほどもちょっと話がありましたけれども道路上についております電光標示というものの信頼性といいますか、これはドライバーにとっては非常に薄いものになってしまっておる。首都高速なんかでも、よく出ております。渋滞何キロと出ておるが、実際に入っていってみると大して渋滞してない。あるいは事故処理中と書いてあったけれども、そこを飛んでいってみたら、もう事故の処理は終わってしまっておった。こういうことが実は間々あるわけですね。しかし、これは実際に情報提供のタイムラグがあって、ある程度やむを得ない面もあろうかと思いますが、そういう状況の中で、電光標示による警告というものに対するドライバーの信奉性というものが非常に薄くなっていっておる。ましてや高速道路でございまして、いわば百キロで走っておるわけですから、この百キロで走っておる車を本線上において停止をさせるということは、単に電光標示板の一カ所ぐらいで知らせましても、なかなかそうはいかない。これは私自身もドライバーでございますから実際に経験がございますけれども、ああいう情報提供は、ドライバー自身の心理的には余りにも弱いものだと言わざるを得ないのですね。  そこで、再び不測事故発生した場合に二次的な災害を防止するということが非常に必要ではないだろうか。特に建設省側としては、そういうドライバーの心理面を十分考えた予防措置というものを考えていかなくてはいかぬではないか。私どもが車を運転しておりまして、道の側面に電光標示板が一カ所ぐらいあったといたしましても、それは本当だろうかというような疑問がまず出てくる。そして一カ所だけならば、どんどんと車両が走行していれば、それに続いて行ってしまう、こういうことですね。したがって、その情報提供の方法というものも十分に考えておかなければいかぬ。ましてやトンネルの直前ぐらいに——この間、見に行きましたけれども、あれは直前にあったのですね。あんな程度では、とてもじゃないがだめだ。少なくとも五キロぐらい前から、そういう勘案をしなければいかぬ。しかも視覚に訴えるだけではなくて、やはり聴覚にも訴えるような警報装置というものを考えていく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。さらに、警告ランプ等も考えようとすれば考えられないことはない。点滅するランプが非常にドライバーの心理に影響して、これは何かあったぞというような警戒の念が発せられるような方法、こういうことが必要ではないだろうか。単に電光標示板があったから、それで管理上手落ちがなかったと言い切れるかどうかということに対しても実は非常に疑問があるわけですね。  まあ鈴鹿トンネルの災害を教訓にして、いろいろトンネルの設備等を考えたとおっしゃっておりますが、ああいう普通道路高速道路とでは、おのずから質的に違いがあるわけですね。普通道路では少なくとも最高時速六十キロ。まあ六十キロを許しているところは、いまほとんどないのです。せいぜい五十キロなんですね。そういうところと百キロで走っているような高速道路とでは、それは中の火災発生したときの状況は多少参考になるかもしれぬが、百キロで走って、どんどんとトンネルの中へ突入していくというような状況は、これは全然、鈴鹿トンネルなんかの比ではありませんよ。だから当然それは鈴鹿トンネル火災の教訓を得て十分に対策をした、そのこと自身に、もはや誤りがあるのではないだろうか。本当の百キロの高速で走っておる道路の中にあるトンネル、それに対する予防対策として本当に万全だっただろうかどうか。公団側は確かに国の基準を満たしておるから管理瑕疵はなかった、こうおっしゃっておるのですがね。それは単なる国の基準であって、その基準が正しかったかどうかという問題が当然あるわけですから、これをあながち完全に公団側に落ち度はなかったと言い切れるものではない、そういうふうに考えておるわけですが、そういうような二次的災害発生のこれからの予防措置についてはどのようにお考えになっておるでしょうか。  これは、いま前々の方々の質問によると、いま事故調査等をやっておるので、消防庁や警察調査が済んでから考えるというのですが、補償の問題では、それでもいいかもわかりませんけれども対策面はそんなことではないと思いますので、当然やはり考えられておかなくてはいけないのではないか。この辺をまずお聞かせ願いたい。
  79. 山根孟

    山根説明員 お答え申し上げます。  非常警報装置をどう有効に設置をし、機能させるか、こういう御指摘だと考えるわけでありまして、先ほど来の警報の標示板、点滅灯、こういった点は設置をいたしておるわけでありますが、先ほど、復旧に当たりまして、警報標示板につきましても増強いたす考え方を持っておるわけでありますが、非常事態発生しました場合に、車をトンネルの中に入れないということが、やはり一番大切であろうかと存じますので、この注意の喚起、情報の伝達といった面で、先生指摘の点も含めまして、より有効な方策について検討してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  80. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それからもう一点、実は、あのような災害が起こった場合に、二、三カ所前のインターから遮断をして普通道路に迂回をさせたために、通常の国道一号線ですか、あるいは、いろいろな側道が相当な混乱をしてしまった、こういうことが言われておるわけでございます。そこで現在のバイパス建設は大体、通常時における道路混雑等々を減少させるためにバイパス建設というものが進捗をされておると思いますけれどもトンネルもやはり、そういう範疇に入れておく必要があるのではないか。万一を考えたときに、日本の幹線道路である動脈が断たれたとき、これはやはり社会的、経済的に非常に大きな影響を及ぼしてしまうわけでございまして、国民生活に大変な問題を惹起をいたします。したがって、もしものときのバイパス的役割りを果たすためにトンネル迂回路、これがやはりバイパス路として完成されていなければならぬ、こう考えるわけですが、この辺については建設省はどのようなお考えでしょうか。
  81. 山根孟

    山根説明員 お答え申し上げます。  今回の事故の場合について申し上げますと、ちょうど事故が起こります一週間前の東名の利用交通量が四万九千台あったわけでありますが、その六五%に相当いたします三万二千台の車が中央道、国道百五十号等の道路に実は迂回をいたしております。特に大型車につきましては八五%に相当する交通が何らかの形で迂回をしておる、こういう状況であったわけでありまして、とりわけ今回の場合、ちょうど昨年五月に東名と並行して開通をいたしました百五十号バイパスに迂回交通の約五割が迂回をしておるということでありまして、いわば代替道路として相当有効に働いていることが判明いたしておるわけでございます。  したがいまして私ども、こういった点も含めて、やはり道路網全体として整備をしてまいらねばならぬということを痛切に感じたのでありますが、この場合につきましては東名、名神といった大変動脈になります輸送路でございますので、まず第一には中央道が全通をいたしておりませんが、現在、五十六年度には全線が供用できるようにこれの整備を適確に進めてまいりたい、こういうことが第一でございます。東名自身が大変混雑と申しますか、相当の交通量をはいているといったことから、東名の機能をいかに確保し、充実をしていくかということにつきまして、東名そのものの検討を進めるということと同時に、他の道路網につきましても現在いろいろ調査を進めているところでございまして、道路網全体として非常事態に備えるような体制に持ってまいりたい、かように検討を進めておるところでございます。
  82. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 あと時間がございませんから簡単に申し上げていきますが、今回の事故を通じましてマスコミ面では、もっと輸送分散をすべきではないか。つまり鉄道やら海運というような輸送分散を図っていくべきだ、こういう指摘が一部なされておったと思いますけれども、しかし本当に、そういうことで解決できるだろうかということを十分考えてまいりますと、実は、現在と比較にならないほど道路及び車両の水準が劣悪であった昭和の初めごろ、この昭和の初めごろにおいても愛知県の瀬戸市で産出いたしております瀬戸物、これは鉄道や船によらずして東京−瀬戸間をすでに当時から自動車によって運行をしておるのですよ。したがって、現代の産業や経済活動における道路輸送の持つ長所、そして現在の役割りの大きさを十分に踏まえる中で考えていかなくちゃいかぬだろう。  そういたしますと、東名高速道路と並行的に走っております国道一号線、これはわが国の代表的な幹線というふうに言われておりますが、その国道一号線ですら、その延長の五五%が相変わらず片側一車線、こういうような状態道路整備がされておるのです。こういうふうに考えてまいりますと、道路整備の今後の方向については非常に考えさせられるものがある。あながちマスコミ指摘のように輸送路を分散すればいいんだ、口では簡単に言えますけれども、そう簡単なものではない。一例を挙げて言いましたように、非常に劣悪な状態の中においてすら必要においては自動車を使って運ばれておったということは、昭和の初期から、そういう傾向が出ておる。こう見ていきますと、いまの日本の経済の動脈である道路というものは国民生活に非常に大きな密接な関係があるものですから、当然やはり重点的に考えていかなければならぬ、こう考えるわけでございますが、今後の基本的方向についてはどのようにお考えなのか、その点をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  83. 山根孟

    山根説明員 私ども第八次道路整備五カ年計画を策定いたします場合に、将来のわが国の道路整備水準をどういうぐあいに考えていくべきであるかということを総合交通的な観点からも検討いたしまして目標を設定をし、先ほど申し上げましたように、おおむね二十一世紀初頭が長期的な目標でありますが、当面六十五年度の中期計画、その一環として第八次道路整備五カ年計画を策定をいただきまして現在、鋭意進めておるわけであります。道路網全体が安全かつ円滑な交通が確保できるように、今後とも計画的、重点的に整備を進めてまいりたい、かように存じておるところでございます。
  84. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。
  85. 北側義一

  86. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず日本坂トンネル問題についてお尋ねいたします。  七月十四日に消防庁が報告しております内容によれば、防災防火設備の作動状況について、消火器は四十八メートルごとに二本設置されているけれども「まったく使用されていない。」屋内消火栓設備は四十八メートルごとに設置されているが「使用方法がわからず使用されていない。」水噴霧消火設備は四メートルピッチで道路の両側に設置されているけれども「2区画だけが作動」して、それも二区画三十六個が同時に放射した場合は四十分間しか継続しない。排煙設備は七月十二日の十一時でストップしておる。ITVは二百メートルごとにあるけれども煙のために十分効果を発揮していない。それから非常電話は二百メートルごとにあるけれども、これは通報のみの一方交通で外部からの問い合わせができない。こういうふうな重要な問題点を指摘しているわけでありますが、そういう事実についての確認と、これは十四日ですから、それ以後の調査等で、さらに新たに見つけられました防火設備の不備等があれば、消防庁、おっしゃっていただきたいと思うのです。
  87. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま先生指摘防災施設に関する問題でございますが、その後、私どもの方で調査いたしましたところ、先ほどお述べになりました点と別段相違しているところはございません。さらに細部については現在なお調査中でありますので、細かな点は究明できると思います。
  88. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これが正しいとすれば、せっかく日本坂トンネルに装備されておった防火防災施設は事実上ほとんど役に立っていない。これは、いわゆる発火の初期段階を含めて役に立っていないことを示していると思うのです。  ところが建設省が七月十六日付で交通安全特別委員会に出した資料の中では「日本坂トンネル防災設備は、通常のトンネル車両火災事故に対しては十分消火能力を備えているが、今回は、爆発を伴う火災であり、このような結果になった。」こういうふうに言っているわけです。つまり、今回の事故は非常に特殊なケースだ。通常なら、あれで十分なんだが特殊だから今回はだめだった、こういう見解を表明している。こうなってくると、どんな場合を通常と見ているのか、どんな場合を特殊と見ているのか。このトンネル火災の通常と特殊の境界線を建設省はどう認識しているのか、これが改めて問題になってくると思うのです。  特に、今回の場合の出火の順序を見てみますと、最初セドリック、普通乗用車から火が出て、次にサニーに移って、それから松やに、プラスチックなどの引火性物質を積んでいるトラックに移っていった。そういうところから、この初期段階普通乗用車の発火というのは、まさに通常の出火状況ではないかと私は思うし、ここで、なぜ有効に消しとめられなかったのか、この疑問は当然起こってくる。公団も、二分以内にITVカメラがとらえたとか、水噴霧用自動弁も作用したとか、あるいは送風機を逆風にしたとか、あるいは川崎指令センターへの電話などを行った、こういうふうになっているわけですね。しかも一時期、最初の出火は下火になったにもかかわらず、以後、延焼で大火災になった。そういうところから見ていきますと、結局トンネル火災というのは初期消火で成功しないと必ず大事に至る、こういうことを今回の事故は示した。これを建設省のように、今回はきわめて特殊だから、こうなったのであって、通常なら、こんなことになっていないはずだ、こういう甘い認識対策を立てたら大問題になるのではないかと思うのですが、大臣いかがですか。
  89. 山根孟

    山根説明員 お答え申し上げます。  この防災施設でありますが、昭和四十二年の鈴鹿の事故にかんがみまして、やはりトンネル内の火災に対処する第一の方法は初期消火でありまして、同時に早く通報して後続車をトンネルに入れない、そういう考え方でございました。もちろんトンネルの規模つまり延長と交通量に応じて、その区分に応じて施設を設置いたしておるわけでございまして、消防が容易になるように、初期消火の次の段階は本格的な消防車、そういう状況になるわけでありますが、初期消火は通常ドライバーの方がまず最初に消しとめる、その間に避難誘導をする、実はこういう考え方で組み立てられておるわけでございます。したがいまして、消火設備という観点からは通常考え得る火災事故には十分対処し得るものだというぐあいに考えておりまして、現在までのところ日本道路公団関係のトンネルで二十件ばかり火災事故発生をいたしておりますが、この水準の施設によりまして一応、大事に至らないで対処し得ているという状況にあったわけでございます。
  90. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま言われた十二年前の鈴鹿トンネル火災の後、いわゆるトンネル技術基準を改正しておりますが、その建設省の解説の中でも、万一火災トンネル内で発生した場合には、ホランドトンネル鈴鹿トンネル等の過去の事例にもあるように、後継車や対向車に火災が拡大し、大きな災害になる可能性がある。規模が大きくなり、重大な事故になるのは延焼から起こるのだという指摘がちゃんとあるわけなんです。今回の場合は実はその延焼が食いとめられなかったわけですね。そういう点で、これで初期消火がうまくいったという認識を持っているのかどうか。初期消火そのものに、これは方法がまずかったのか、あるいは設備がまずかったのかは別にして、すでに鈴鹿トンネルの教訓からわかっていることに手が打たれていなかった、ここに重大な問題があるとは思いませんか。
  91. 山根孟

    山根説明員 お答え申し上げます。  一応、先ほど申し上げました通常起こり得る火災事故の範囲に対しては十分な機能を持っておるというぐあいに考えております。
  92. 瀬崎博義

    瀬崎委員 多くのドライバーあるいは車の同乗者が、ほとんど貴重品を車の中に置いたまま避難していらっしゃるわけでありますが、その避難誘導に当たって、結果として、こうなっているということは、今回の火災がこんな大事には至らないであろうという認識がやはりあったからではないかと思うのですが、いかがですか。
  93. 山根孟

    山根説明員 今回の延焼がどういうような経緯で発生したかということにつきましては、実は私どもの所管でございませんので調査の結果を待っておるわけでございますが、現実に二百八名の避難の方々は、初期の段階で、しかも、それほどパニック状態ではなくて比較的落ちついてトンネル内から出られたというように私もビデオで見ておるところでございます。
  94. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ですから明らかに、これは通常の初期発火の段階と、それから延焼して事が重大になった段階と分かれていると思うのです。恐らく、その初期段階においては、このような大きな規模になるか、あるいは、どの程度の規模のトンネル火災になるのか十分つかめてない。また、つかめないようなトンネル構造であった、こういうことだけは私ははっきり言えるのじゃないかと思うのです。そこで、もちろん消火に御苦労いただいた関係職員の労を多としながらではありますが、やはり十分ここで教訓を正しくつかんでおく必要もあって少し立ち入って聞きたいのです。  事故当日、公団の川崎指令センターから静岡消防本部が情報を受け取ったのは、第一報が六時四十二分、第二報が六時四十五分と聞いておるわけであります。そのとき一体、消防本部はどこへ出動せよという要請を受けられたのですか。
  95. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 道路公団の方より静岡消防本部に火災の知らせがございまして出動要請があったために、静岡口に静岡消防本部が四十八分に到着いたしております。そのときは、日本坂トンネルにおいて火災発生しているので直ちに出場願いたいということで、静岡口という判断のもとで要請に応じて出動したという経緯でございます。
  96. 瀬崎博義

    瀬崎委員 静岡口という判断は消防が単独でした判断ですか、公団からの要請内容に基づいて、そういう判断をしたのですか。
  97. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 公団よりの要請でございますので、それに応じたというわけでございます。
  98. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ところが実際は焼津口の方に近かったわけでしょう。さらに出動の要請を受けて現地に、まず静岡市の消防本部が到着したのは十八時四十八分と聞くわけです。ところが、いまのような場所違いがあった。そういうことで今度は静岡市の消防本部から東名川崎指令センターへ十九時十二分に、焼津市の消防本部にも出動連絡をしてほしい、こういう要請をして、その結果、十八分に川崎指令センターから焼津の消防本部に連絡があった。焼津本部への連絡は、これでいきますと、先に公団が要請したのではなくて、静岡消防本部が、焼津の方にも言ってくれぬかと言って、初めて指令が出たように、われわれには受け取れるのでありますが、事実はそうですか。
  99. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 私どもの方が現地消防本部より聴取いたしております情報によれば、静岡消防本部より公団に、焼津の消防本部の出動依頼を要請してくれということを言いまして、公団より焼津の方に出動要請があったと聞いております。
  100. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは公団に伺うのですが、決して、だれかれを私は責めるのじゃないのですけれども、こういうところから考えますと、公団として、この重要な発火点を確認するような、あるいはトンネルの監視装置といいますか、あるいは構造、そういうことになっていなかった、あるいは連絡体制になかった、こういうことだけは言えるのじゃないですか。
  101. 森田松仁

    森田参考人 十八時三十九分に通行者の方から、川崎の管制室でございますけれども、そこに非常電話で連絡がございまして、それは、大型貨物がトンネル内で事故火災であるということで、川崎の管制室は静岡消防本部に対しまして、下り日本坂トンネル九番で大型貨物による火災事故発生している、出動願います、こういう連絡をいたしております。
  102. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私の質問には公団は全然答えていないわけですね。場所の確認がかっちりできたのかどうか。焼津側の消防の出動は一体、公団の自発的な要請だったのか。逆に静岡消防隊から要請を受けたのを再要請したのか。こういう点をはっきりしてくれと言っておるのですが、もう時間がありませんから、そのお答えだけで大体推定がつきますね。  それから、さらに静岡側ではインターの入口の料金所で消防車のチェックが行われたためにスムーズに消防車が入れなかった、こういうことも聞いておるわけでありますが、そういう状況だったのですか、消防庁。
  103. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 静岡消防本部より聴取いたしております情報によれば、御指摘のとおりのチェックと申しましょうか、確認といいますか、そういうことがあったやに聞いております。
  104. 瀬崎博義

    瀬崎委員 普通なら、こういう緊急のときに、すでに川崎の指令センターからは消防本部に対して出動指令が出ておるわけですね。最も現場に到着しやすいような状態に、ちゃんと道をあけて待っていなければならないのに、どうも、これでいくと現場料金所には、その趣旨が徹底していなかったのではないかというふうに、われわれは受け取れますね。大臣だって恐らく、そう考えられると思うのです。こういう点で果たして、この初期消火に万全であったと言えましょうか。大臣、いかがお考えになりますか。これは大臣が答えてください。
  105. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 具体的な問題でございますので、公団の方から答えさせていただきたいと思います。
  106. 森田松仁

    森田参考人 そういった事実は聞いておりません。
  107. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今日、トンネル復旧工事にかかっている段階で、この重要な、つまり今後の初期消火がうまくいくかどうかということを考えなければならないときに、こんな大きな食い違いを放置してはいかぬのです。だから、これは政府の責任だと私は言って、大臣の見解を求めているのですね。政府全体としては、こういう大きな食い違いが当事者間に起こったまま放置するつもりですか。
  108. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 その点につきましては、たびたび委員の方からの御質問に対しまして答えておるとおり、現在、警察並びに消防におきまして十分検討をされておりますので、その検討の結果を待ちまして私の方としてもよく検討させていただきたい、このように考えておりますので、いまの責任所在云々を含めての問題につきましては、私がここで言明することは差し控えさせていただきたい、このように申しておきます。
  109. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さらに、水利口が現場から二百メートル離れていて、消防車七台をつなぎ、結局は一台のみ放水した、こういう事実があるかどうかということ。  さらに、化学消防車が七日間で延べ七台出動したけれども、これも現場には行ったものの全然使用されなかったというふうに聞いておるわけでありますが、そういう事実があったかどうかということ。使用できなかった理由は何か。これを聞いておきたいのです、消防庁。
  110. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 水利の選定につきましては御指摘のとおりに聞いております。  化学車については、先着化学車は、これは焼津口でございますけれども消火活動に従事いたしました。その後の状況については詳しく知っておりません。
  111. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、ああいうトンネル内の火災の場合、いかにすぐれた消防能力を持ち、また、すぐれた技術を持っている消防隊の方でも、トンネルそのものに備えられている防火施設というものの利用なしには有効には威力が発揮できないと思うのです。こういう点では私は、どちらにどうということではなしに、トンネルの消火ということについて、これは完全にちぐはぐもあったであろうし、決して十分な事前の連絡も行われていない、それは技術的にも連絡体制にも、というふうに受け取らざるを得ないわけであります。  そういう点で今回、公団が、とりあえずの東名高速の復旧で五点の改善を、これはわれわれも調査に行ったときに出していますけれども、これには、そういう科学消火を可能にするような対策も出ておらなければ、また情報がトンネル内からの一方通行で外部から問い合わせができないというふうなことに対しての改善も載っていないし、その他、消火器等が全然使われなかったことに対する対策もないわけですね。だから私は、この五点だけでは、きわめて不十分だと思うのだけれども、いかがですか。
  112. 持田三郎

    持田参考人 お答え申し上げます。  東名道路は最重要幹線でございますので、いっときも早く開通したいということがまず主旨でございまして、技術検討委員会で非常に各委員さんに御協力をいただいて、この点だけをまずやろう。それから次に、この検討委員会というものは継続されてまいりますので、その検討委員会でいろいろまた検討していただきたいというふうに思っております。
  113. 瀬崎博義

    瀬崎委員 鈴鹿の後、改正されたいわゆる道路トンネル技術基準に対して、この東名の日本坂トンネルが少しは基準について上乗せされてつくられていることは明らかなので、逆に言うと、そうでもしておかなければ、あの基準どおりでは、とうていトンネル火災に対応できない。あるいは、そうしておったら、もっと大変なことになったであろうというふうにわれわれは思うのですが、この間の十三日の災害対策特別委員会で田中高速国道課長が「こういう特殊な、高熱を発する物質に対しては、防御だけで防ぐことができるかどうか。非常に金がかかります。それは技術的には可能かもしれませんけれども、国家的には非常に不経済になると思います。」こういうことを言っておるわけですね。つまり金の問題に結論を持っていってしまっておるわけです。これは私、重大な間違いがあると思う。まず第一、国民の生命を守るという観点がここに抜けておる。それから今回、トンネルそのものの復旧等でざっと二十億かかるというのでしょう。それからトラック等の焼失で約二十億の損害。そのほか大動脈が断たれて皆、回り道したり、いろいろな日本経済に与えた大きな影響を考えると、私は金額的に言っても、はかり知れない大きな損害だと思うのです。  そういうふうに考えてくると、私は、今回の教訓を最大に学ぶなら、トンネルについては、どんな火災でも完全に防ぎ得るという構造になっていない限り、そう軽々にどんどんつくるべきものではないというふうな感じを持っているわけであります。本当にこれに金がかかるというなら、私はかかってもいい、そのために高速道路のいわゆる今後の延伸が少々おくれてもいいではないか、このくらいの決意を政府は持たなくてはいけないと思うのですが、大臣いかがですか。
  114. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 人命は何物にもかえられないものでございますから、万全を期していくためには十分な措置をせなければならない、このように考えます。  ただ私、現場へ参りまして実際に松やにを積んでおりました自動車の個所における爆発状況を見ますと、それまでは天井は崩れておりません。その爆発をした地点におきまして、天井の骨組みになっておりましたものも、こう下がってしまい、いかに、あの爆発が普通の火災と違ってのものであるかということを私そのときに感じたのでございますが、これらのトンネル内における危険物車両の取り扱い等も含めまして、管理体制の万全を期していくために十分検討されなければならない、このように考えます。
  115. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いまの大臣の御答弁そのものが、今回の場合、初期消火がうまくいっておったら、いわゆる第二次的に起こった爆発は防ぎ得たのじゃないかということを話していらっしゃるのと一緒だと思うのですよ。そこができなかった。これは一体なぜか。こういう点を一遍、技術的にも連絡体制の面でも、あるいは消防活動の面でも検討される必要がある。さっきからの議論には、そこが抜けていると思うのですね、一番肝心のところが。これはただ単に責任所在がどこか、ここかということではなくて、もし、このトンネル基準を見直すとか、あるいは日本のトンネルを総点検するという場合には、そういう観点からやられなければだめだ、こう思うのですが、大臣いかがですか。
  116. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 もとより、いまのような点も十分検討をさせていただき、今後の施設の万全を期していくためのことをやらなければならないと検討をさせていただいております。なおざりにしておるものでは決してございません。
  117. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この問題でもう一つ、いわゆるモータリゼーション、車社会の問題であります。いかに交通規制を厳しくすると言ってみましても、また道路構造を完全にすると言っても、現在の道路が受け入れ得る自動車容量というのは、ある程度、限度があるのでしょう。これを超えている。このアンバランスというものは、やはり何らかの形で是正をしない限りいけないと思いますね。これはやはり政府全体が、こういうふうな大きなひずみを引き起こした責任を負っていると思うのですよ。そういう点では自動車会社中心に大企業が、もうかるからというので、それつくれ、それ売れ。そして一方、国鉄は赤字だ赤字だといって、どんどん一部の路線が切り捨てられる。国民はいやでもおうでも、好むと好まざるにかかわらず車を持たざるを得ないところに追い込まれてきている。私はここへも、ひとつ目を向けていただきたい。それから改めて国鉄には、国鉄の負っている任務があるわけで、そういう分担を求めながら、総合的に安全で民生安定に役立つ交通体系というものを、ここで本格的に見直す、このことも政府としては十分考えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  118. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御意見として十分お聞かせを願いまして検討をさせてまいりたい、このように考えます。
  119. 北側義一

    北側委員長 瀬崎君、余り時間がありませんので……。
  120. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あと住宅公団においでいただいたので、中途半端にはなるのですけれども、国会が国権の最高機関で、この国会における政府答弁はそれだけの権威を持つし、国民にも国会にも責任を持っている。当然、答弁どおり実行しなければならぬということは論をまたないと思うのですね。きょうも、こういう席に、それぞれ道路公団住宅公団総裁、副総裁が見えておるわけでありますが、参考人という資格ではあっても、やはり大臣が任命されているこういう総裁、副総裁参考人としての答弁、これも大臣あるいは政府委員の答弁と同様、当然、権威を持つし、その答弁は実行されなければならないと思うのですが、大臣のお考え、いかがでしょうか。
  121. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私は、いま申されましたような気持ちで、ここで述べてくれておるものである、こういうふうに考え、また、そのように受けとめております。
  122. 瀬崎博義

    瀬崎委員 総裁とか副総裁大臣の任命された方々が参考人で来られた答弁はどうなりますか。
  123. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 だからその点も、私が任命した者でございますから、答弁等につきましては私自身、十分責任あるものとして受けとめております。
  124. 瀬崎博義

    瀬崎委員 実は説明を省かざるを得ないのは大変残念なんですが、住宅公団の市街地賃貸住宅の払い下げ問題なんです。これは昭和四十七年当時でありますが、住宅公団の宮地理事が「三十一年及び二年の土地につきましては、これは十年を経過した場合には、その土地、施設所有者から請求の要望があるならば公団の定める支払い方法及び価格においてこれを譲渡するということを約束しております。その後のものについては、かような約束はしておりません。」こういう答弁になっている。また、このときの林総裁の答弁は「こういうようなケースは、三十一年度と三十二年度に計画をした住宅に限って、こういう土地提供者との間にそういう契約を結んでいる非常に特殊な事例でございます。」「市街地における住宅建設を促進する必要から、やむを得ず、そういう条件をつけたんだと、しかし、それが昭和三十二、三年ごろになってから、やはりこれは、あとでいろいろなことがあるから一切それはやめよう、」こういう態度に変わってから今日に至っている、こういう答弁がある。  にもかかわらず、その後のいわゆる市街地住宅についても地主に払い下げるというふうな問題が起こってきて、これは一部裁判にもなっておりますが、簡単に言えば、そこに住んでいる人々が追い出しを受ける、そういう事態になっている。つまり国会答弁と相反する事態が起こっているわけです。この点については私はぜひ公団総裁にも答弁いただきたいし、当然この払い下げは大臣の承認のもとに行われていると思いますから、改めて、事態はどうであれ、国会答弁で、ここまできっぱりと言われていることに反する事態が起こっているのですから、政府もひとつ、よく事態調査されまして、この改善と救済のために動いてほしい。このことに対する答弁を求めて終わりたいと思います。
  125. 澤田光英

    澤田参考人 すでに問題提起がございましたように昭和三十二、三年のものにつきましては十年譲渡、これは契約でございますから、これは履行しなければいけない。ただしかし、それに次ぎます三十四年以降のものにつきましては、いわゆる将来譲渡、将来、公団が売却するときには、その地主なり、その施設の譲り受け人に売り渡します、こういう契約で、十年後の譲渡と大分違っております。しかし実際は、その三十四年以降の中に、三十三年ですか、三十四年ですか……(瀬崎委員「中身はいいんだよ、国会答弁の責任との関係を言ってくれというのだよ、時間もないから」と呼ぶ)それは先生も御承知のように、裁判の結果、和解勧告が出されまして、そういうふうに約束があったとみなされるということで勧告がなされましたので、私どもはそれに従ったということでございます。
  126. 瀬崎博義

    瀬崎委員 じゃ国会答弁はどうなる。大臣、国会の答弁と相反する結論です。
  127. 澤田光英

    澤田参考人 国会の答弁は、その当時たしか、さような答弁をしておると思います。私の方は正確にいま、ここに持っておりませんけれども。しかし、さような事情で私どもはそうせざるを得ないというふうに判断をして、大臣に御承認を得て、その結果やっておるわけでございます。
  128. 北側義一

    北側委員長 もうずいぶん超過しているのですよ。十数分超過しているのです。
  129. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一言だけ。実は先ほど大臣は、自分の任命した総裁の国会答弁は実行されなければならない。少なくとも自分はそういう立場で答えているとおっしゃいましたね。恐らく、そういう立場で国民も当時の林総裁の国会答弁を聞いているはずなんですね。一切その後はこんなことにならぬようにすると言っているわけなんです。ところが現に裁判は国会答弁とは異なるような結論を出した、というよりは和解を勧告しただけなのに、国会答弁をほったらかしにして別の和解に応じたわけです。だから、この点についての後始末という言葉は悪いのですが、やはり、だまされた居住者に対する責任は今度は政府が持つということが起こってくると思うのです。だから一遍、実情をよく調査されまして、こういう事態になっている困っている居住者に対しては、もう少し温かい政治の配慮が当然なければならない。これは政府の責務だと思いますので、大臣のお答えをいただいて今度こそ終わります。
  130. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 調査の点は、なお一層調査させていただきたいと思います。  ただ前にも、この問題で御質問がございましたときにも答えましたように、裁判所の和解勧告に基づいて公団施設譲り受け人が和解契約を結んだという姿でございますので、誠実に、その履行をすべきものと私たち考えておったのでございます。  なお、国会答弁との間の問題につきましては、よく調査させていただきます。
  131. 澤田光英

    澤田参考人 ちょっと訂正いたします。  先ほど三十二、三年と申し上げましたのは三十一、二年の誤りでございます。
  132. 北側義一

    北側委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十分散会      ————◇—————