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瀬崎委員 じゃ公団
総裁、結構です。
次は、政府が賃貸住宅を大幅に減らして持ち家主義に偏っているわけですね。われわれは持ち家はいかぬというわけじゃありませんが、ところが、せっかく苦労してマイホームを手に入れたら、それが欠陥住宅だった、あるいは欠陥マンションだった、これもいま一つの大きな社会問題になっております。ある週刊誌のグラビアに欠陥モデルルーム展示場なんて、わが家をそういう形で開放しているような写真も載っておりました。深刻だと思うのです。
そこで、私
どものもとにも数多くの苦情が持ち込まれておりまして、中には、すでに
建設省の
行政指導を通じて改善された例もあることはあるのです。しかし以下に報告するのは、きわめて悪質な例でありますし、買い主に対して誠意ある態度を売り主が示さない、宅建業者が示さないという点で、いま
建設省の強力な
行政指導の望まれている問題なんであります。時間の
関係で、実物を見てもらいながら説明をしたいと思うのです。ちょっとこれを
大臣に見てもらおうと思います。
ここに挙げております欠陥住宅団地は、近畿
土地建設グループと称する、主力の会社は近畿
土地と近畿
土地建設工業、どっちも内輪同士の会社なんです。本社が京都で、大阪市等でずいぶんと手広く建て売り団地を建設、販売をしております。
東京にも、たしか営業所は置いておると思います。
大臣許可であります。たまたま近江八幡市の川原町にある約百戸余りの団地のUさんから私
どもに苦情が参りまして、私も現地を見に行ってまいりました。そのときの写真なんです。大体、部屋の中を歩くと妙にぐらぐら揺れる、いかにも揺れがひど過ぎる、そういうこと。それから、その建築確認申請に付された設計図では、二階の洋間に窓があることになっているんだけれ
ども、実物には窓がない。とゆが二カ所しかついてない。ふろの浴槽が下へ下がってしまってタイルの壁との間に大きなすき間ができてしまっている。それから床の間の柱が節だらけで、これは余りかっこが悪いから自分で取りかえた、こういうようなことだったのですね。たまたま私も行って見ましたが、確かに部屋の中を歩いたときの建具の揺れなどはひどい、置いてあるものがこけそうになるのですね。これは構造上の欠陥ではないかというので、畳をはがして床を見るとか、あるいは天井裏へ上がったりしたわけであります。
その写真があります。たとえばAと書いてありますね。その写真は、むねを支えております中央のけた、これは本来つなぎ目がないのが一番いいんだろうけれ
ども、つなぎ目がある場合には、普通かま継ぎとか、あり継ぎとかいうことをやって、両方から引っ張られても外れない、上下左右に多少の振動が加わっても外れないようにするのが普通なんですが、この欠陥住宅は、けたの位置が上下にずれたんでしょうね、これも妙な話ですが、片方のけたの上に乗っけてあるだけ、これはちょっと地震が来たら外れてしまいますね。
それからBの写真を見ていただきますと、屋根を支えるために、はり丸太が使われる場合があります。わざわざ丸太を使うのは、その反りを利用して屋根の重みが直接下部構造にかからないようにするためなんですが、長いはり丸太を使うと高くつくというので短いはり丸太を二本持ってきてつないでいるわけです。それでは真ん中の柱に全重量がかかって、はり丸太の
意味は何もないわけでしょう。
それからCの写真をごらんください。はりの角材が余りにも細いために弓なりに下がってしまっておるわけです。だから、その上に立っているつかも同じように下がって、屋根を支えているもやが途中の継ぎ目のところで折れているわけですね。外から見れば屋根が、そこは下がって見えるわけなんです。それから床下の方に行きますと、根太、畳の下の床板を打ちつけてあるたるきですが、この根太は本来は土台の上につけられていなければいかぬのに、これも恐らく何かの間違いでしょう、高さが狂ったのか、土台にくぎで横づけにされているんです。だから重みで下がりますから、後で支柱みたいなものを横につける。
それからDの写真をごらんください。ふろの据えつけが悪い。壁の中に入り込んでしまっているわけです。だから、ふたをしますと、ふたを支える縁がないので滑り落ちてしまうので、わざわざ支えの木を置いているわけですね。
それから、その次の写真をごらんください。幾つか挙げてありますが、たとえば写真を見られたら一目瞭然、けたとか、もやなどの構造材が柱とほとんど変わらないような太さのものですね。マッチ箱みたいなものです。それから、けたの取りつけ部分は本来ならば刻みを入れて組み込んでおかなければいかぬのに、俗に言ういもすけで、ひっつけてボルトが締めてあるだけ。それから床のつかは本来、固定した基礎の上に乗っけなければいかぬのに、石ころの上に置いてあるだけ。ずれたら外れてしまいますね。それから木造の住宅であるにかかわらず、押し入れの中がしけているわけですね。
これは私も時間の
関係で三軒見ただけで、そういう内容なんですね。恐らく、その百軒の団地のほとんどが大小そういうふうな
状態ではないかなと推察をされるわけであります。この建て売りというのは外見は非常にかっこうよく見えるんだけれ
ども、一つ中に入ってみるとこういう
状態で、まさに、これは一つの典型だろうと思うのです。
ところが、こういう点について買い主が何度も売り主、つまり近畿
土地に対して苦情を言っているんだけれ
ども、誠意ある態度が示されない。そういうことで今日に至っておるのですが、私
どもはちょっと大きい地震でも来たら、これは居住者に危険がある、こういうふうに感ずる次第なんです。そういう点では、これは
建設省の勧告等も含む強力な
行政指導、
前提としては
調査も要るでしょうが、これを
要求しておきたいと思うのです。また建築基準法上も、これで果たして建築基準法をパスするんだろうかという疑問も持っているのです。いかがでしょうか。