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松本(忠)
委員 お説は拝聴しておきますけれども、現実に中小企業の
方々はすべて一年以下のいわゆる小さな仕事ばかりであります。確かに前渡し金はもらっているかもしれません。その前渡し金で、そのままきちっと材料を買って、そしてきちっと保管しておくということになれば、それは間違いないわけです。しかし、それは場所も要ることですから、結局しようがないから、ある
程度の金を渡して、そして向こうに保管をさせておいて、必要になったときに持ってくるというようなやり方です。ところが現実にどうしても
値上がりしてくると、前渡し金を向こうへきちっと渡して、そして保管を委託しておいても、全部の金を払っておるわけじゃありませんから、どうしても向こうは泣いてくれと言ってくるわけです。
そうした場合に、三%というような限度があるかもしれませんが、現実に、いま私が申し上げたように各種の
資材がそれぞれ値が上がっていく、そしてまた型枠工にしてみても鉄筋工にしてみても、そっちの方はどうにもならぬ状態です。材料は確かにそうでしょう。しかし現実に仕事する人たちが少ない。熟練工がいない。そうした中で型枠工であるとか鉄筋工というものが非常に少ないわけですから、職人の奪い合いになっているわけです。そうすると、どうしてもこれはやり切れないということで、私がさっき
お話ししたように、この既契約分についても積算
価格の見直しということができないか、こういうふうに言うわけでございます。
しかし、それはできないんだというような規則一辺倒の
お話でございましたけれども、そういうことでなくて、もう少し中小企業者をかわいがってあげるというか、伸ばしてあげるというか、そういう意味合いから当然、私はやっていただかなければならぬことじゃなかろうかと思うわけです。大企業は確かに一年以上、二、三年にわたるこころの大きな工事でございますから、そしてまた前渡し金も相当渡してございますでしょう。そういうものからいって大企業の方は
心配ないと私は思うのです。むしろ中小企業に対して私はやってもらわなければならないことだと思うのです。確かに、ことし、去年、おととしと
公共事業が多かった。恐らく五十四
年度も相当出る。こうなりますと五十四
年度はぶらぶらやる以外にないだろう、こういうことを言っているわけですよ。そういうことを
考えますと、大型の
公共投資、
公共事業をやることは
景気浮揚につながるんだというような
お話がございますけれども、中小企業の建設業者にとりますと不
景気の浮揚だ、こうなるわけです。むしろこれは中小企業の
方々のためには何とかこの既契約分についても、こうしたたくさんの大幅な
値上がりがあった場合にはやってもらわなければならぬ、こう思うわけでございます。
時間がなくなりましたので、あと簡単に中小河川の問題と岩渕水門の問題を
建設大臣に伺って終わりますが、中小河川の問題で、
大臣も御存じだと思いますけれども、特に都市の中小河川、この問題は私は何とか改修
促進するためのことについてお訴え申し上げておきたいわけです。
治水は国民の生活安定と国土保全の基盤だ、こういうふうにも思います。特に首都
東京におきましては人口と産業の過密集中によりまして急激な都市化、こうなってきまして、特に河川の流域において開発が進みまして、河川整備との
関係が著しく均衡を失っております。そうした中で住民が常に水害の脅威に悩まされているわけでございますが、特に首都
東京におきましては神田川であるとか石神井川、野川あるいはまた白子川あるいは三沢川、こういうふうな大小の河川が四十二ございます。そして
昭和五十年から五十二年にかけて三年間に浸水事故を起こさなかった河川は
一つもないのです。
このことをちょっと申し上げてみますと、この三年間で、五十
年度にはその浸水面積というものが百五十一・四ヘクタール、床上浸水が二百三十七戸、床下浸水が三千十七戸、合計三千二百五十四。五十一
年度には浸水の面積が三百四十六・八ヘクタール、それから床上が二千百六、床下が五千五十六、合計七千百六十二。五十二
年度では浸水面積が百七・九ヘクタール、床上が二百三、床下が二千二百七十一、合計二千四百七十四。この三カ年合計いたしますと、浸水面積が六百六・一ヘクタール、床上が二千五百四十六戸、床下が一万三百四十四戸、合計一万二千八百九十も、この浸水で被害を受けているわけであります。
特に、この中で大はんらんを起こしたのは、御承知と思いますけれども
昭和五十三年四月の春先の豪雨です。私も地元におりまして石神井川のはんらんの場合はしばしば現地に飛んでまいりますけれども、
昭和五十一年九月九日あるいは五十二年八月九日、いずれもこれは大谷口北町であるとか小茂根二、三丁目あるいはまた東新町二丁目、東山町という一帯だけなんです。五十三年四月の春先の豪雨ですよ。いわゆる台風時期でない春先の豪雨で、これは床上浸水四百八十二、床下が八百七十。この地域はいつでもこのように浸水を受けているわけです。こういう状態の中、特にこれは板橋区の例を申し上げましたけれども、首都
東京の
中心部と言われる高田馬場あるいは早稲田、こういうところでも春先豪雨で五十三年四月六日には神田川が大はんらんを起こしました。激甚災害
対策特別緊急整備事業の御指定をいただきまして、五十三
年度には七億五百万円の予算がつきました。このことは本当に御理解あることだったと思うわけでございますけれども、五十三
年度には
東京の中小河川の改修に関する予算といたしましては、ただいまの激特の七億五百万円を含んで総額八十四億三千七百万円、これだけしかついていないのですよ。やはり私は相当額ひとつ上乗せをしてもらって、都市部における中小河川のはんらんというものを何とか食いとめなければいけない、こう思うわけです。
ここにもございますけれども、この
記事は昨年の四月七日の朝日
新聞の
記事でございますが「首都圏に春の大雨」「一時間に六二ミリも」降っているわけです。要するに五十ミリの水がのめるような設備はしてあるわけですけれども、なかなかそれ以上のものが降ってきますとどうにもならない、溢水してくる。これは「五千余戸が水浸し」「新宿区に災害救助法適用」「遅れる改修中小河川」こういうふうな見出しでございます。これは昨年の
記事でございますから少し古いのですけれども、毎年毎年、年中行事のようにこれが行われるわけです。こういう点を
考えますと、私は何とか都市部のいわゆる中小河川というような問題については特段の御
配慮をひとついただきたいと思うわけです。
そしてまた上流の
方面は、いま三十ミリの雨に耐えられるような状態になっておるわけであります。五十ミリというのは下流だけでございまして、なかなか上流の方までその工事が進んでおりません。したがいまして、昨年の四月六日も、いわゆる石神井川の上流であるところの練馬区の中で大きな事件が起きているわけです。
こういう問題を
考えますと、本当に私は都市部における中小河川の改修というものはやはり何とかしてあげなければいかぬのじゃないか。毎年毎年、水騒ぎで大騒ぎしている、こういうものに対してどのようにお
考えなのか。そしてまた、ことしの予算について特段の御
配慮をひとつお願いしたい、こう思うわけでございます。ひとつ簡単な御返事だけいただきたいと思います。