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1979-02-22 第87回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月二十二日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 北川 石松君 理事 國場 幸昌君    理事 津島 雄二君 理事 馬場猪太郎君    理事 原   茂君 理事 林  孝矩君       天野 光晴君    西田  司君       野田 卯一君    高田 富之君       楯 兼次郎君    春田 重昭君       安藤  巖君    田川 誠一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      金井 元彦君  出席政府委員         内閣官房長官 加藤 紘一君         人事院事務総局         管理局長    橘  利弥君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         行政管理庁長官         官房審議官   中  庄二君         行政管理庁長官         官房会計課長  田代 文俊君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         通商産業大臣官         房審議官    小松 国男君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      栗林 貞一君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省主計局給         与課長     日吉  章君         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         農林水産省構造         改善局農政部長 森実 孝郎君         郵政省郵務局管         理課長     山口 武雄君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         日本電信電話公         社資材局長   小原  明君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     二見 伸明君 同月十五日  辞任         補欠選任   玉生 孝久君    稻村左四郎君   西田  司君     奧野 誠亮君   二見 伸明君     春田 重昭君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     玉生 孝久君   奧野 誠亮君     西田  司君 同月十七日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月二十日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君   安藤  巖君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月二十一日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     安藤  巖君 同月二十二日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十一年度政府関係機関決算書  昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十一年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管行政管理庁)〕      ————◇—————
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  昭和五十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  総理府所管行政管理庁について審査を行います。  まず、行政管理庁長官から概要説明を求めます。金井行政管理庁長官
  3. 金井元彦

    金井国務大臣 昭和五十一年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は、百四十九億八千六百八十三万円余でありまして、支出済歳出額は、百四十七億四千二百十九万円余、不用額は、二億四千四百六十四万円余であります。  支出済歳出額の内訳は、人件費六十一億千百二十九万円余、事務費等十一億七千百十六万円余、統計調査事務地方公共団体委託費七十四億五千九百七十二万円余であります。  不用額を生じました主な理由は、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、行政管理庁関係歳出決算概要説明を終わります。
  4. 加藤清二

    加藤委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。前田会計検査院第一局長
  5. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和五十一年度行政管理庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
  6. 加藤清二

    加藤委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 加藤清二

    加藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 久しぶりに行政改革について物を申し上げるわけですが、行管に関する限り、やはりまくら言葉が必要だ。何回も行政改革推進についていろいろな質疑を行い、提言をいたしてまいりましたが、どうも思ったほど所期目的が達成されていないと批判をされている。したがって、ある種のまくら言葉になりますが、こういうふうな改革についてまず所見を申し上げてみたいと思うのです。  行政改革といいますとまず起きてくるのは役人の諸君の痛烈な拒否反応、これが常に形の上では冷たい、非協力というような態度が慢性的、恒常的に底流となっている。これがある種の行政改革阻害要因の第一。戦後の歴代内閣が手がけてまいりました行政改革が、いずれも所期成果を上げることなくかけ声倒れに終わったという理由も、根本的にはここに原因を求めることができる。内閣の、あるいは内部部局なり特殊法人なり審議会出先機関、こういうものが一度設けられますと、既得権といいますか、ということになって断じて手放そうとしない、この役人の本能的な強い抵抗の姿勢というものが原因になっている。  それでも、過去、行政改革で例外的にある程度の効果を上げたのは、去る四十二年、佐藤内閣時代の一省庁一局削減。なかなか協力しようとしない役人態度に当時の佐藤総理が業を煮やしまして、四十一年の十一月の十日でしたが、閣議で、ジョンソン米大統領と会談の前なんですが、帰国するまでに各省庁ごとに一局ずつ減らす案をつくっておくように強力な指示があったわけであります。これでよかったのは、いわゆる改革に対する明確な目標、それと案作成期限、リミットを示した、そういう号令のかけ方をしたわけであります。役人の重い腰もついいやおうなく上げざるを得なくなりまして、遂にまあまあある程度の成果が上がったわけであります。このときは、帰国直後に指示どおり大臣から案が出されまして、大号令をかけてから約一カ月後の臨時行政改革閣僚協議会具体案が決定されるという相当のスピードで案をつくったわけであります。七年余り長期不倒政権を樹立するほどの実力佐藤総理だったためにこれができたのかもしれませんが、そんな評価を一部の人はいたしますが、この成果の上がった原因というのは、やはり強引とも言えるリーダーシッップあるいは明確な目標といわゆる期限の提示というものがこのある程度の成果を上げたと思うのであります。  次いで福田内閣は、組閣当初から行政改革一つの大きな柱にいたしました。しかし、期限と対象は一応明示していたようでございましたが、各省庁行管庁協力し真剣な努力をとか、各閣僚は他の問題に優先して取り組みをとか、何かこう訓示めいたいわゆる指示があっただけだったということが、やはり福田内閣余り大きな成果を上げ得なかった原因だろうと私は思うのです。それと、行政改革推進するための体制づくりというものが不十分だった。役人にそっぽを向かれる大きな原因ではなかったかと思うのです。体制づくりそのものがどうも不十分だった。  いまも池田内閣当時発足した行政改革本部というのは存在していると思うのですが、ここから二、三点ずつ質問しますから端的にお答えいただきたいのですが、この行政改革本部というのは存在しているかどうか。それから、これは行管庁総理府大蔵省、自治省、いわゆる四省庁の事務次官、局長中心に構成しているのではないかと思いますが、そうかどうか。それから、閣僚レベルによる協力組織を発足させる必要があると思うが、いま長官のお考えとして、あるいは大平総理の意向もくんで答弁を願いたいのですが、やはり閣僚レベルによる強力な組織を発足させる必要があるのじゃないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。それに、行政改革のためにこそ存在するいわゆる行政監理委員会、学界、財界、官界、労働界長老クラスで構成している、それはいま機能していますかどうか、ないのかあるのか。  この五点に分けて簡単にまず先にお答えをいただきたい。
  9. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま先生の御質問のことでございますが、行革本部、これは行管長官のもとに御指摘のとおり現在ございまして、それで一昨年来の行政改革推進する場合には、必ず行革本部を開催いたしまして活動いたしておるわけであります。  構成につきましても御指摘のとおりでございます。  それから、行革本部の別に行政改革閣僚協議会というのがございまして、これも行政改革推進する場合の関係閣僚協議の場として活動しているわけでございます。  最後に、行政監理委員会活動でございますが、御承知のように行政監理委員会は現在第五期目に入っておりますけれども、一昨年来やってまいりました行政改革につきましてもあるいはその他行政運営改善につきましても、毎週必ず一回定期的に会合をいただきまして、それぞれの御意見をちょうだいいたしまして進めておるわけでございます。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 五番目のやつは大臣答弁しなければしようがないじゃないですか。大臣クラスで強力な組織をつくる必要があるかどうか、どう思うか。
  11. 金井元彦

    金井国務大臣 行革を強力に進めるために閣僚協議会のごときものが必要じゃないか、こういうお話でございますが、現在でもございますので、これの活用によって目的は達し得るのではなかろうか、かように考えております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの局長答弁にありました毎週一回監理委員会を開いているという毎週一回のテーマは、どんなテーマをだれが選んで出すのか。ただクラブのような懇談をしているのか。ぴしっとテーマを決めて、継続的に、ある種の結論が出るまで監理委員会というものは毎週一回やっているのかどうかが一つ。  それから、現在でも大臣の構成する強力な組織ができているとおっしゃった、それはどういう名称で、どの程度やっているのか、これは大臣
  13. 中庄二

    ○中政府委員 官房審議官でございますが、行政監理委員会テーマの選定、それから活動状況につきまして御説明申し上げたいと思います。  行政監理委員会は、先生すでに御存じかと思いますが、三つの機能がございまして、第一が行政制度運営改革重要事項審議でございます。これは行政監察局行政管理局その他の行管関係部・門の重要事項がございまして、たとえば勧告でございますとか閣議決定なり閣議了解の前段階といいましたものを定例的にやっております。  それから、もう一つの問題が、時宜に即しました行政監理委員会意見提言でございます。これが二つ目の仕事でございます。  それから、三つといたしまして、諮問事項がございます。現在経済協力行政諮問を行っておりますが、すでに各省四省庁のほかに、農林省、文部省といったところのヒヤリングをやっておりまして、現在フル活動状況と私ども考えております。  監理委員会関係活動状況について御説明申し上げました。
  14. 金井元彦

    金井国務大臣 閣僚協議会は必要の都度設けることになっております。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの中さんの答弁についてもう一度お伺いしたいのですが、その一から六つのアイテムの中で、行政管理庁自体が継続的にあるいは緊急に必要と考えるものの提案をする部門は何という部門ですか。行政管理庁が、独自でこの問題をテーマにしたい、こういうことを検討したい、これをやらなければいけないというものを監理委員会にかける、そういうときには一から六までのうちのどれに入るのですか。
  16. 中庄二

    ○中政府委員 ちょっと聞き取れなかったのでございますが、諮問、答申の関係でございますか、重要事項の話でございますか。その二点でよろしゅうございますか。——まず諮問関係でございますが、これは諸般の情勢から行政管理庁長官諮問を御決定いたしたものでございます。  その審議手順でございますが、これは内容からいたしまして、当然、経済協力の問題でございますとまず四省庁実態がどうであろうかということから自然と手順が決まってまいりますし、これにつきましては監理委員会委員先生方と御協議をして手順を進めているものでございます。  その他の行政監察局、それから行政管理局関係行政制度運営重要事項につきましては、まず行政監察で申しますと、年間の行政監察計画でございますが、これを数回監理委員会にお諮りいたしまして、どういうテーマでいったらいいのか、事務案はもちろんございます、事務案作成段階また非常に複雑になっておりますが、最終的には監理委員先生方とも御相談申し上げております。  それから毎四半期ごとに実施いたします計画につきましても、監理委員会先生方に御相談いたしましてから実施しておりますので、勧告段階はその調査が終わりました都度出てくるといったことで、そういう手順を踏んでおりますので、勧告の方になりますと、いわばやや自動的に出てくると申しますか、そういうシステムになっております。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど私が五番目に言ったいわゆる大臣クラスの強力な組織をつくって体制づくりをしておく必要があるだろうという考え大臣にお伺いしたわけです。大臣答弁では、いままでもやってきたが、必要があったときにその都度行う。そうでなくて恒常的に設置する大臣クラスのいわゆる強力な組織をつくっておいた方がいいのじゃないかなという感じがしてお伺いしたわけですが、どうですか、私の考えに、大臣は、いや、必要の都度でいいんだとお考えになるかどうか、もう一度重ねて御答弁を。
  18. 金井元彦

    金井国務大臣 御承知のように行革はかなり時間をかけてやらなければいけないものでございますから、最近では先ほど御指摘のございました一昨年の暮れの福田内閣行革についての閣議決定、それから本年の一月にできました閣議了解、こういうものによりまして、かなり詳しく項目を決めまして、その線に沿って行革を実施していくということをやっておる次第でございます。  多分、いま御指摘の点は、もっと大きなことについて強力にやるためにそういう組織をつくったらどうかという御趣旨かと存じますが、これにはやはり総理を初めといたしまして相当決意を持ってやらなければいけない。そういうものは私はそう始終はなかなかむずかしいのではなかろうかと思いますので、ちょうど閣議決定をするとかあるいは閣議了解事項をつくるというふうなことと相並びまして、どうしてもこれはやろうというときに関係閣僚会議というものをつくって、そこで強力に推し進める具体策を講ずるというのが適切でなかろうか、かような感がいたしております。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 私は大臣見解を異にするので、いままでのずっとやってきた跡を見ましても、前段に申し上げたような理由から、その都度やるというぐらいのことではわが国の行政改革はちょっとむずかしい。特に省庁を含めた統廃合を中心節減を行おうなどということは大変むずかしいだろう。いままでずっと私も二十何年見てきましたが、これはという成果らしいものを余り知っていない。やきもきしながら決算委員会のたび、あるいはその他の委員会でも発言をしてまいりましたが、どうもわれわれが考えるほどに成果が上がらない。よそ目で見るほど簡単なものじゃないし、私どもが政権の座につくとどうなるのかわかりませんが、われわれ見た範囲においては、ああもこうもということを考えるが何一つ推進できないという状態から言うと、恒常的に常時強力な組織というものがあって、どんなささいな問題でもすぐにその強力な組織に問題をかけるというようなことが、大変迂遠な話かもしれませんが、そういう体制のもとにかつての佐藤さんの、ほんの一部の成果は上がったわけですが、やったと同じようなことを目標を定めてすぱっとやっていくようなことができる原因になるんじゃないかということを考えますと、どうもいまのやり方ではほとんど何もできない、成果が上がってこないというふうにしか私には思えませんので、そういうことをお聞きしてみたんです。その意味大臣とは見解を異にしますが、順次また質問をしていきますが、一応も二応も大臣クラスの強力な組織を設定して、ここに問題の解決推進をドリリングするための大きな力をまず設定する、つくるということが必要だと私はいまでも考えていることを前提にして、これからお伺いしてまいります。  それからもう一つの難関は、自民党内の納得を得ることが非常にむずかしいんじゃないか。いままでこの種のいろんな問題が起きたときの自民党党内におけるいわゆるコンセンサスを得ることが非常にむずかしい。ために、ついに行き詰まり中途半端になり、何にもできなかったというようないろんな事例があるんですが、いま大臣は、この自民党というものに関して行政改革上の支障というものを相当大きな壁の一つとして考える必要があるとお考えか、いや、党内は大丈夫だとお考えなのか、ひとつこれも率直にお伺いをしておきたい。
  20. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいま自民党内に行革をはばむ原因があるんじゃなかろうかというふうな御質問でございましたが、あるいはそういう面もあろうかと思いますけれども、これは党内云々というふうなことではなくして、それに関連するところのいろんな当事者と申しますか、やはりそういうものが根にある、こう思うのでございます。したがって、これに対する態度が決まれば、それは党内におきましてもそれを理解してもらうということは、私はそうむずかしいことでないんじゃなかろうか、問題はむしろ大きな、それのバックになっておるところの実態の対立とかいろんな問題が主ではなかろうか、かように考えております。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 金井さん正直に物を半分言って、後半の方を、非常に重要ですよね、バックという言葉に大変広範な意味を含めておいでになる。いずれにしても行政改革というものを歴代内閣の全部が公約をしてきながら、それが思うようにわれわれの期待に沿わなかった。そこで何が必要かといえば、これは当然わかるように、内閣なら内閣決断実行力行政機構に対するあるいは党内に対する決断並びにその実行力というリーダーシップというものが非常に大事だと思うのです。  そこで大平内閣のこの問題に対する姿勢をお伺いしたいんですが、大平さんは幹事長当時に、いわゆる行革の問題が起きたときに、そう急いでもできるものじゃないよ、なかなかにこれは思っても無理があるんだよ、こういう発言をしているんですよ。いま大平さんは首相になりましたがね。内閣としてこの行革に対してかつて見ないようなリーダーシッップを持ち、これを推進しようという決意がおありかどうか。これは閣僚に任命されるときも、行革をしっかりやってくれという話が出たかどうか知りませんが、少なくともその後内閣予算をつくり、今日非常に困難な財政経済の事情の中で国民に節約なりあるいは協力を求めている。合意中心にしてやっていこうとする大平さんが、自分でやればできることでまず範を示せるとするなら私はこの面で範を示して、国民が見てなるほどよくやっているというふうにならなければ、国民にどんなに協力要請して節減をあるいは合意をと言ったところでなかなかにむずかしいんじゃないかと思うのですが、大平内閣として、金井大臣個人ではなくて大平内閣として一体行革にどの程度の熱意で取り組もうとされているのか、内閣の基本的な大きな柱、方針一つにこれを取り上げているのかどうかを、抽象的ですがまずお答えをいただきたい。
  22. 金井元彦

    金井国務大臣 大平内閣といたしましては、行革はやはり大きな柱と考えております。ただ、組閣早々非常に目に立つ大きなことにすぐ取り組むかということについては、これはやはり若干の時間を要し、かつ取り上げて実行がうまくいかないということは非常にまずいことでございますので、まず実質本位のことをやろうということで、一月十六日のあの閣議了解というものは実質本位ということで、いろんな面にわたりましてあの閣議了解というものを決めまして、その線で一昨年末の閣議決定にさらにプラスをして継続してやっていくということにいたした次第でございます。ただ大きな柱といたします以上は、やはり国民の目にもなるほどとこう映るようなものが必要だということに自然なろうかと私は存じますが、その問題の取り上げ方につきましては、これからやはり相当これは腹を据えて検討しそして取り上げるというふうにしなければならぬ、かように考えております。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 大平内閣として宣伝だけが余り先へ行って実効の上がらないことは避けながら、しかも相当の力を入れて推進していくんだ、その一つあらわれとして、確かにいま大臣おっしゃったようにことしの一月十六日に閣議了解で「行政の簡素、効率化推進について」というものをまとめておいでになる。これはおやりになる決意、これに対しては後で触れます。  そこでここにないことで、そういった決意あらわれなり推進をされる中で、内閣として次の問題をどう考えているのかをお聞きしたい。  かつてエネルギー省住宅省の構想というのが福田首相にあったんですが、いまはどうでしょうか。ほかにも省庁の新たな要求がいまあるのかどうか。また特殊法人審議会新設要求が現在ありますかどうか。この三つを先にお伺いしたい。  その前提としては、かつてのエネルギー省だとか住宅省のような、閣内でも福田内閣当時に論議をされたこの問題がどうけりがついているのか、今後これをどう推進するのかを中心にして、新たな省庁新設なりあるいは特殊法人審議会新設要求が現在あって論議をされているのかどうか。三つに分けてお答えをいただきたい。
  24. 金井元彦

    金井国務大臣 新たな省庁の設置につきましては、ただいまのところ具体的なものは出ておりません。  局等につきましては要請のあるところがございます。  それから特殊法人につきましても、ただいまのところでは特に強い要請のあるものはございません。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣は第一の問題を言ってないんです。エネルギー省住宅省というものがかつて論議をされたんだが、これに対してはどうなのか。
  26. 金井元彦

    金井国務大臣 エネルギー省等はただいまのところでは論議されておりません。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 住宅省は。
  28. 金井元彦

    金井国務大臣 住宅省も同様でございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいまのところ論議されていないのであって、行政管理庁としていま考えている方針長官を通じてお伺いしたいんですが、エネルギー省なり住宅省というものが必要の面から考えてくるとあった方がいいという当然の要求が強く出ているんですが、これに対して現在の大平内閣としてどうお考えでしょう。今後そのようなことが論議をされてもそれを認めない、あるいは必要がある場合には審議の結果認めるかもしれない、いずれかのお答えをいただきたい。
  30. 金井元彦

    金井国務大臣 行政機構改革積極面消極面と両方あると存じますが、大体いま求められておりますものは、どちらかと申しますと簡素合理化の面、この点が私は国民要請として強く求められておるように存じます。したがいまして、いまのところ新しい省庁をつくるということについては積極的な意思はございません。  ただし、エネルギー問題等はあるいは非常な重要事項になってくるかもしれません。現在だって決して重要でないとは申しませんけれども、さらに重要性を増してくるということがあるかもしれませんが、それはそのときの状況に応じて判断しなければならぬ、かように考えております。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 それから先ほどの長官答弁の中に、局は新たに要求があるような答弁がありました。局というのはどこの省のどういう局ですか。
  32. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、現在要求がございませんということを申し上げたわけでありますけれども、御案内のように、毎年の各省の予算要求に関連いたしまして、各省から相当部局の新設要求が出てまいっておるわけでございます。この五十四年度予算の編成に当たりましても各省から八つの局の新設要求が出てまいったわけでございます。結果は御案内のように、外務省の中南米局一つが実現をした。特殊法人につきましても、文部省の放送大学学園ですね、この一つが実現したということでございまして、私ども、そういった部局の新設要求なりあるいはその特殊法人新設要求に対しましては、先ほど来大臣から申し上げておりますように、行政機構全体の膨張を抑制する、そういう観点から極力そういった新設要求については厳しい審査をやってまいりまして、十分にそういった膨張抑制の実が上がるような方針でやってまいっておるわけでございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで特殊法人について、細かい問題になりますが、ひとつ先にお伺いしたいのですが、四十二年に百十三あったと思います。五十二年でも百十三。その後合理化されていますか。何か減っていますか、この百十三というのは。三十九年の臨時行政調査会の答申にも特殊法人を見直し整理統合できるものはして合理化すべきだという答申が出ている。私は、四十二年から五十二年までしか調べてないのでわからないのですが、四十二年百十三が五十二年でも百十三だったんですが、その後増減なり変化がありましたらちょっと。
  34. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいま特殊法人は百十一になっております。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 何が減ったんです。
  36. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、四十二年度に百十三ございましたのが現在百十一でございます。これは御案内のように一昨年来行政改革の中で特殊法人の整理合理化を進めてまいっておりまして、その問に二つの特殊法人を廃止した結果そういう形になっているわけでございます。  お尋ねの特殊法人全体の整理合理化の計画状況でございますが、簡単に申し上げますと、御指摘のように臨時行政調査会から答申がございまして、特殊法人の廃止、改編、そういう御指摘でございまして、まずこれを受けまして昭和四十二年から行政改革計画を立てまして、九つの特殊法人を取り上げまして整理をやってまいったわけでございます。特殊法人は、御承知のように一番多い時点は昭和四十二年でございましたから、そのころからそういった特殊法人を一方において整理を進めるとともに、新しい特殊法人要求につきましては、スクラップ・アンド・ビルドの原則で抑えてきたわけでございます。さらにそういった四十二年から三年の問に九つの特殊法人の整理をいたしまして、その後やはり新しい行政需要に基づいてできたものもございます。同時に、いま申し上げましたようにスクラップ・アンド・ビルドの原則を立てながら増を抑えてまいったわけでございます。それが先ほど申し上げました五十二年の末に至りまして——その前に昭和五十年に全体の特殊法人の見直しをやりまして、十八法人の整理計画を立てたわけでございます。それをさらに引き継ぎまして、一昨年の閣議決定ではさらに新しく三つ特殊法人を加えまして二十一の特殊法人についての整理合理化計画を現在推進しているわけでございます。そのうちで先ほど申し上げましたように二つは現に廃止をしておりますし、そのほか三つは廃止することに決まっておるわけでございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 そのいま廃止しようとしているところはどこどこですか、三つは。
  38. 加地夏雄

    加地政府委員 廃止の決定をしております三つ特殊法人は、一つはオリンピック記念青少年総合センターでございます。それから、あとの二つは外貿埠頭公団でございます。外貿埠頭公団は関東、東京周辺と関西にございますから、この二つでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 同僚の委員からまた細かい質問があると思いますが、特殊法人というのは、存続をいましているものでも中を見るととっくに設立の目的がもうなくなっているものなんかずいぶんあるし、少なくとも存続するにしてもこんなにあのままの人間、機構を置いておく必要はないんじゃないかというのがずいぶんあるとわれわれが見ても思うのです。しかしながら、特殊法人おのおのみんな退職金も算定方式が違うのか何か全然まちまちであったり、給与も全然まちまちということ等を考えますと、人数はそう均一にはできないでしょうが、せめて給与とか退職金に対しては、その方式等も特殊法人といったら一応の型を決めて、こういうものだというふうに統一がされていいんじゃないかと思うのですが、この点はどうなんですか。いまのようにまちまちでおくということ自体も何か特殊法人というものを無理に存続させる原因一つにもなっているように思うので、せめて現在あるものの給与の体系あるいは退職金の計算方式なりというものが特殊法人としてぴしっと一つの枠にはまるような統一されたものにしていくことを、本当に小さなことかもしれませんが、まず隗から始めるようにすべきではないかと思うのですが、この点どうですか。
  40. 加地夏雄

    加地政府委員 先生のいま御指摘特殊法人の役員の数の問題あるいは給与の問題、退職金の問題についてお答え申し上げたいと思います。  行政管理庁がこの中で直接にタッチをいたしておりますのは、特殊法人新設する場合の全体の規模、特に役員の数とか、こういった問題については審査をいたしております。確かに御指摘のように、一つの統一的な基準をつくるべきではないかという御趣旨はよく理解できるのでございますが、実は私どももそういったことを頭に置きまして現実のそういった役員の数を決めてまいっておるわけでございます。と申しますのは、当然のことでございますけれども、新しくできます特殊法人の業務の性格あるいは内容、事業量、そういったものを十分勘案しながら、しかも既存の特殊法人とのバランスを十分考えながら、どの程度の規模が適当であろうかということを十分審査しながら決めてまいっておるわけでございます。  それから、退職金あるいは給与の問題につきましては、これは実は私ども行政管理庁はこの問題については権限がないわけでございまして、私の方から直接お答えするのはどうかと思いますけれども、これにつきましても御指摘のようにその給与をどうするかというのはおのずからそういった各特殊法人間のバランスを十分見つつ、あるいは民間の企業における役員の報酬とか、そういったものを参考にしながら決めてまいっておるわけでございます。  一方、退職金につきましては、各特殊法人の役員、職員全体が同じ基準で参っておるわけでございまして、一昨年の行政改革の際にはいろいろこのことを取り上げましたけれども、特殊法人につきましても整理合理化のほかに、こういった役員の退職金問題あるいは給与の適正化という問題も計画の中に入れまして、それで特に役員の退職金につきましては二割のカットをしたわけでございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの答弁で、私どもの権限ではない給与なり退職金というお話があった。どこが、何省が権限を持っているのですか。行管庁にはないというのなら、じゃどこにあるのか。
  42. 加地夏雄

    加地政府委員 給与、退職金の問題は主として大蔵省中心に決めるわけでございます。その大蔵省が決めますのも、そういった特殊法人予算なり事業計画について協議を受ける場合に、その協議の場を通じてやっておるわけでございます。そういった予算なり事業面で協議のない場合、これは結局最終的には監督する各省の長が決める、こういう形になろうかと思います。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 行政管理庁というものはそういう給与、退職金に対しては権限がない、発言をできないというのか、そうは言わなかったが、そういうところがずいぶんひっかかる。各省庁行政全般の中のアンバランスなり不当というようなものがあったときに、行政全般をとらえた立場でこの種のことに発言をし、強力に行政の前進を図るという意味での力を行管は持っていないと理解していいのか。  大臣、どうですか。私のいまひっかかった問題は、行管というものはその種のことに対しては、どうも余り推進する強力な力も持っていない、うっかりすると発言権すらない、こういう解釈になるのでしょうか。逆に言いますと、特殊法人等における給与なり退職金のアンバランス等を考えたときに、大蔵省がもし目をつぶっていればそのまま通ってしまう。どんなアンバランスがあっても、大蔵省がいいつもりか、あるいは手抜かりで見逃がせば、それがそのまま通ってしまう。国全体の大きなこの種の問題について、大蔵省が間違ってというか見過ごしたときに、一体どこが発言をしなければいけない義務を負っているのか。私は行管じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  44. 加地夏雄

    加地政府委員 先ほど私が申し上げたことにちょっと舌足らずの点があったので、もう少し詳しく申し上げたいと思います。  行政管理庁は、特殊法人新設とか改廃、そういった問題については、権限があると申しますか、実際に審査をやっております。これはまさに行政機構なり定員なり、そういったものの審査ということでございます。一方、給与なり退職金の問題になりますと、それはいわば特殊法人の財務の問題に近い問題でございます。そういう関係でその財務について協議がある官庁がそういうものの審査をしておる。ただし、それについては、先ほど申し上げましたようにやはり全体の均衡なりいろいろな条件を見ながら、御指摘のように余り極端なあれがないような形を十分配慮してやっているわけでございます。  それからもう一点、この問題について強いて行管がどういう関連を持っておるかと申し上げますと、一昨年の行政改革閣議決定の中で、先ほど申し上げましたように退職金の問題、給与の問題についても一つ閣議決定をしたわけでございます。行政管理庁としては当然そういった閣議決定を起案し、推進し、関連をしているわけでございまして、そういった問題についても十分関心を持つわけでございます。そういう意味では御指摘のような適正な基準でされることが望ましいというふうには考えているわけでございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、まだ局長答弁でも非常にあいまいなところが残るでしょう。すっきりしませんね。そのままでいいのでしょうか。私は、この種の問題で行政全般を見た上のアンバランスがあり、あるいは不当と疑われる事項が目につくとかなにかのときに、それを発言して、強力にその改正なり、あるいは違った意味の訂正なりをさしていく推進力というのは行管であっていいんだというように思うのですが、大臣からお答えいただきたい。どうでしょう。そういうふうなはっきりした任務を持つべきだと思うのです。審議会に対しても各省庁に対しても同じだと思うのですが、いかがでしょう。
  46. 金井元彦

    金井国務大臣 現在のところ、先ほど局長答弁しましたような制度になっておりますけれども、しかし、行管といたしましてこれを調査し、あるいは査察し、そして不適当と思えばこれに対して勧告をするということは、これはもう当然やるべきことでございますので、不当だと思った場合にはその是正に努めるというのは当然だと考えております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣のその答弁で私はいいと思うので、そこで問題に戻るのですが、私はやはり特殊法人のせめて給与なり退職金の算定方式なりが、ある程度の基準を求めながらも、ぴちっと一つの型を決めてバランスをとるというようなことはぜひすべきだと思うのですが、大臣どうでしょう、重ねてこの点に限って。
  48. 金井元彦

    金井国務大臣 各特殊法人それぞれに相当内容も異なり趣を異にしておるものもございますので、私はこれを一律の枠にはめるということは困難ではなかろうかと存じます。しかし、これを大観いたしまして不当であるとこう考えた場合には、それの是正を求めるということはやるべきだ、かように考えます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 少し意味が違うのですが、それはさておいて、もう一つ行政改革というものを考えた中の最難関の一つ、それは地方の出先機関の統廃合。これはまた府県単位のものもあるし、ブロックの上にあるものもあるわけですが、これらに対して今後やはり行政管理庁としては目を向けていく必要があると思うのですが、この出先機関二つありますね、大きな種類では。これに対して今後どういう方針で臨むか、ひとつお伺いしたい。
  50. 金井元彦

    金井国務大臣 中央省庁出先機関につきましては、これは時勢の変転等に伴いまして改廃すべきものも出てこようかと、私はこう考えるわけでございます。ただし、長年の沿革を持ち、そうしてまた非常に直結をしているという点の便宜な点もございますので、いろいろな難点はあろうかと存じますけれども、しかし少なくとも簡素化の趣旨に沿って改廃すべきものはやはりすべきである、かような考えを持っております。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題に対しては、またこれだけプロパーでお伺いすることが後でございますが、きょうはこれには触れません。  それからもう一つは、行政改革というと財界の意向というのが相当大きな影響を持っているようにいままでの実績から思うのです、財界と称するものの。現在、財界ではこの簡素化なりあるいは効率化に対してどのような考えを持っているか。さきの西村長官は私の質問に、財界とも懇談をいたしました、財界からの要求はごうごうと八点ございますという説明がありました。で、それに真剣にこたえるつもりだという決意の表明もあったわけです。現在少なくとも国債が四〇%近く出るほどの国家財政の状態からいって、国民に対するいわゆる相当大きな協力要請しなければいけない、この状況の中で、いま財界が何を考え、財界がどういう行政の簡素化なり効率化を望んでいるかというようなことを、財界と長官なりが、かつて西村長官がやったような懇談をして、財界というのは相当の影響力を持っているのですが、この財界の意向というものを現段階で聞いたことがありますか、あるいはお聞きになろうという意思がありますか、どうですか。
  52. 金井元彦

    金井国務大臣 財界からは現在ではむしろ非常な積極的な簡素化を要望をいたしております。また現実に案も出してきておるようなことでございます。私はたしか一月の末に経団連の幹部と懇談をいたしまして、私どもの考えておること、また財界側の要望等について懇談をいたしたことがございます。  ただ問題は、もうこれは全般に通じて言えることだと思いますが、総論的には非常にいい意見が出るのでございますけれども、これを実行に移す各論の場合になるとどうなるかということがいつも障害になるわけでございまして、これらの点についてはそれをいかにこなすかということについてわれわれも努力しなければならぬ、こう考えております。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 簡素化簡素化と言っても、反対にいまだからやはりもうちょっと人もふやし機構も強化してやっていかなければいけないという問題も実は出てきます、これは政治ですから。そのときの波によってはうんと簡素化すべきものもあるでしょう。しかしながら反対に、どうしてもこれは手厚く従来よりはもっと力を入れて拡充強化しなければいけない面もあると思うのです。たとえば雇用の問題、失業の問題あるでしょう。これは、これから雇用、失業問題に対しては相当のいわゆる政治の大きな力を注いでいかなければいけない課題になっている。あるいは社会保障の問題、これも現在の社会保障全体のアンバランスなり複雑性等を考えたときに、これをどう見直すかの問題もあるでしょうし、社会保障がまだまだおくれている面もあるわけですから、したがって、これに対してもやはりこれは簡素化の反対の現象を求められるのは当然だというふうに考えます。それから過密対策、過疎対策というのが、これはだんだん極端に出てくるわけですね。そこで、大平内閣の目玉の田園都市構想みたいなものもある程度の中和剤としては役立つかもしれませんが、これはまあただ理念を言っただけなんだと総理が言ったとおり、いまだに何が何やらちっともわからない、具体的なものはこれからだ。したがって、過密なり過疎に対する対策という問題も、この行政の簡素化とは反対にもっと濃度を高めながらこの対策を考えていく必要があるだろうと思うのです。  この三つの問題ですね、これは統廃合と逆になっていくわけですが、やはり行管としてもこういう問題に対して、あるいはこのほかの問題にも、簡素化は考えるが、そのほかにこういう問題もという、いわゆるうらはらの関係で、国全体を考えた中で考慮する必要のものがあるのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  54. 金井元彦

    金井国務大臣 御指摘のような問題につきまして、私どもは必要な方へ人を回すあるいは必要な機構を充実するということについて決してやぶさかではないわけでございます。しかしながら、全般としてはやはり簡素化の線を進めるということでやっておる次第でございまして、たとえて申しますと、人員の問題につきましても一方で絶えず人員を生み出すということをやっておりまして、反面においてただいま御指摘のような、その時勢にとってきわめて緊要なものについてはその充実の方に回していくというやり方をやっております。したがって、表面から全般を見ますと大したことをやってないじゃないか、こうおつしゃいますけれども、内容におきましてはかなり中に動きがあるわけでございまして、この点は私ども非常に苦心をしながらやっておる点でございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう問題で総定員の枠内で動かしてやる方法、これもあるでしょう。しかし、総定員では賄えない場合には総定員の枠を広げてまでやらなければいけない、そのときそのときの問題点がある場合にはそういうことも考える必要があると思うのですが、いかがですか。
  56. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまお話しのようなことは理論上あり得ることであります。しかしながら、そういう点を安易にやっておりますと、簡素化ということはなかなか困難でございますので、私どもがスクラップ・アンド・ビルドというような点を少しかたくなな姿勢をとるというのもやはりそういう点にあるのでございまして、一方で削っていく、通常の言葉で言うと。削るということはなかなか困難なことでありますけれども、これをいろいろな観点からやっていって、必要な方へ充実していくということを絶えず努力をしているわけでございまして、私はその点では、よく必要なところへ充実し、不必要なところを削減してという一般論で言われることがあるのでございますけれども、それじゃそれを実行するのにどういう手をもって実行するかということになりますと、多少ぎごちない手法を用いても全体としての効率の上がる方法をとりたい、かように考えておる次第であります。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 原則はわかりました。  たとえば大平さんの言う目玉の田園都市構想、これがいよいよ具体化されるときになると、やはりいま言った総定員の中で人数のやりくりをするという考えが中央、地方ともに行われると見ていいのですか。
  58. 金井元彦

    金井国務大臣 田園都市構想につきましては、まだ具体案が明らかでございませんけれども、大体におきまして、いままでそれに同工異曲のものがございまして、それらを総合して地方の特色を生かしてやっていくということが主眼になっておるようでございますので、それを実現するために人が要る、特に国の役人がそう要るかどうか、私はむしろ地方分権の思想が相当にあるのじゃなかろうか、こんな感じがいたしております。しかし、これが具体的になりました場合に、必要なところへはそれは充実しなければなりませんし、反面におきましてこの簡素化の方は積極的に進める、かようなことになろうかと存じます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 これはもうちょっと具体化しなければ本当にはわからない問題ですから……。  そこで次に、いまお話のあったように、確かに地方に対する権限の移譲というようなものもその場合も必要になるし、いまでも行政改革にはつきものの権限移譲をどうするか、それから定員をどうするかという問題が引き続き行革の大きな問題になるのですが、この点の方針はどうでしょう。地方に対する権限移譲とそれから定員をどうするかという問題も管理庁としては相当真剣に考えて、これとの組み合わせの中で考えないといけないと思うのですが、この方針はいまの金井長官としてどうお考えになっていますか。
  60. 金井元彦

    金井国務大臣 地方への権限移譲につきましては、できるだけそれを促進していくようにいたしたい、かように考えております。  なおまた、定員の問題につきましても、できるだけ地元に近いところで事が処理できるようにというふうな考え方でまいりたい、かように考えております。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 金井長官はたしか二月の六日か何かに民放の放映で一般消費税に関連して発言をされていますね。八千人もかけて徴税するということでは国民の理解は得られないよと、簡単に言うとこういう発言をされたわけです。一般消費税はいまどうなるか、今国会に提案されそうもないのか、される決意なのか、これはきょうはお伺いしません。臨時国会を開いて一般消費税をというような憶測もいま出始めております。  しかし、それはともかくとして、長官の立場で、この一般消費税が実施されるという、来年五月にはどうしてもという大平内閣の意向のようですが、こうなったときに、何千人でも徴税のために人が必要になる、これもさっき言った総定員の中でやれるのか。そうじゃない場合も考えられる、総定員の枠をはみ出してやるということになるのか。いずれにしても八千人もかけて徴税をするというようなことでは国民の納得が得られない。私も同感ですが、そういう立場から言うと、この一般消費税といわゆる徴税の全体の構想からいう人員の増というようなものはどういうふうに調整をする考えなのかを、いわゆる閣僚の一人としてひとつお伺いしておきたいと思います。
  62. 金井元彦

    金井国務大臣 一般消費税につきましてはまだ内容のはっきりしたものができておらないようでございますので、いま直ちに徴税人員がどれくらい要るかということは、これはわかりません。ただしかし、いまお話しになりましたようなことにつきましては、世間ではやはりそれに対してのかなりの反発があるように思います。したがって、一般消費税の仕組みにつきましても、そういう点をも十分考慮してつくってもらいたいし、なおまた徴税のために多くの人員が要るということについては、できる限りそういうことは少なくするように仕組んでもらいたいものだ、かように考えております。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで少し角度を変えてといいますか、これから五つの問題に対して御意見をお伺いしますが、その一つは、行政管理庁は各省庁の事業内容にメスを入れまして改善を求める行政監察、これを効果的に実施をしていくという任務なんですが、大蔵省と会計検査院と連携協力を図ることで合意をしまして、近く行管大蔵省、会計検査院の三者で具体的方法について話し合うことになっているそうです。行政監察、その結果の効果を上げるための三者によるいわゆる会合を持って、そこでいままでよりはもうちょっと前向きの行政監察行政管理を行っていくということになったらしいのですが、今後は監察や検査で得た情報、そのデータを交換したりして協力をしていくのでしょうけれども、効率的な行政監察を実施して補助金の整理、統合などをも行財政の節減をあわせて促進しようと考えているのだというのですが、その方法と、年次計画的にそれをやるのか、あるいは内容、目標、そういうものは一体どうなのか、具体的にもうやっているのか、これからどういう計画でやろうとするのか、これをひとつなるべく具体的に説明をお願いしたい。
  64. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまお話しの三者で協議をしたということはございません。個々に話し合いはありますけれども、そういうことで制度的にやっていこうということはいたしておりません。御承知のように三者それぞれに異なった目的なりあるいは立場なりがありますから、そういう制度的な考えはございませんが、個々の問題につきまして効率を上げるためにその調べたものを利用するとかあるいはまた参考にするということ、これは努めてやっていきたい、かように存じております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一遍聞きますが、三者でこうやろうじゃないかというようなことを決めた、申し合わせをしたという事実はない。いままでやっているように、個々にやっているだけなんですね。これから三者で合意してやっていこうじゃないか、効率を上げようじゃないか、そういうような話し合いはない、こう見ていいのですか。
  66. 金井元彦

    金井国務大臣 そういう一般的なものはございません。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのことについて、局長は何か言いたそうですね。
  68. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生お話しの、そういうことをいままでも特に制度としてやったことはございませんし、これからもやる考えはございません。大臣答弁のとおりでございますが、ただ監察をやっていく立場からいきますと、それぞれ違った機関で、目的も違いますけれども、問題については接点がございますので、その点についてはよく連携をとっていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 役所の仕事というのはややこしいのだね。関連する接点があるので、そういうようなものについてはお互いによく話し合っていきたい。お互いによく話し合うなら、三者で会合をして、定期的にきちっと問題を整理をしながらそこで話し合いをして、三者が一緒のテーブルで話し合いをして、この問題はいわゆる接点があったとかないとかいうふうに組織的にやっていった方が効率的じゃないのですか。いままでは一つ一つぽつぽつとやって、これからもそのままやるのだと言うのだけれども、合意したというのは私の聞き違いだったとするなら、むしろ進んで三者が一つのテーブルについて、定期的に会合をしていって、より効率を上げるようにしようじゃないかという前提での三者会議みたいなものをきちっと持つことの方がいいのじゃないかと思うのだが、どうでしょうか。その必要は全然ないのですか。
  70. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生のお話でございますけれども、たとえば私どもがいろいろ補助事業について監察いたす場合に、私どもはもっぱら補助事業の中身を監察して、効率的な運営という面を中心にいたします。それで、補助金の膨大ないろいろな事務手続の面につきまして、これはいままでも会計検査院等から御意見をいただき、われわれもまたその調査した結果を必要に応じて会計検査院の方にいろいろ御通告申し上げるということは個々にやっております。また補助金の問題につきましても、大蔵省の方と中身についていろいろと相談をすることはございます。  ただ、先生がおっしゃるように、三者が集まってやった方が効率的でよろしいのではないかというお話でございますけれども、私どもは内閣の中の一員で、言うならば部内監察でございますし、会計検査院の立場は、憲法上内閣の外部にある機関という機能もございますし、それから大蔵省は、特にいろいろ予算執行上の問題で、通称四六監査と言われているようなものもやっておるわけでございますが、それぞれ立場が違いますので、三者集まってこういう仕事をやっていこうというふうにそこで協議を調えてやるということは、特にいままでもやっておりませんし、その必要もないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。必要に応じて個々に連絡していくというふうに考えております。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣もいまの答弁に同感でしょうね。私は、必要に応じてやるというのだからそれでいいと思いますから、それは今後もできる限り密接に連携をとった方が効果が上がっていくだろう、そういうふうに実は思います。  それから次に監察業務について、「長官は、監察の結果行政運営の改善を図るため必要と認めたときは、内閣総理大臣に対し、関係行政機関の長に所管事項の改善を指示するよう意見を具申することができる。」と規定している。行政管理庁設置法第四条第八項ですか、行政監察の結果が内閣総理大臣の指揮監督権を通じて各省庁の施策に反映させるよう、これを法的に担保している条項がありますね。監察の結果、勧告して三カ月後に勧告に対する回答を求めているのです。さらに六カ月後にその後の改善措置状況について照会をするのです。その回答を求めて、その後、先ほどちょっと資料をいただきましたが、まだ問題の解決ができていないというようなものがあってもなくても、二回目の回答を求めた、それが来た、それからはその結果のいかんを問わず、公式的にはその後監察をしない、あるいはしないでもいい、放置してもいい、あるいは放置されっ放しになっていても、だれもこれをとがめないという状態にいまなっていると思うのです。この点は、三カ月、六カ月、合計九カ月、二回の回答をもらった、それで終わるのではなくて、その回答の状況により、あるいは実際の実施状況によっては、その後とことんまでこれを追及するということをやる必要があるように思う。これは非常に大事だと思うのですよ。この点が、現在の実施されている状況からいくと、どうもしり切れトンボになっていくという危険がある。ところが、問題によっては、こういう問題、ああいう問題は引き続き勧告推進しようと考えたものが、過去少しありますよ。しかし、こんなものは決して規定あるいは業務上の皆さんの決めたシステムの中に入っていないのです。とことんまで問題によっては追及していく、さらに回答を求め、さらに回答を求めるということがシステムとしてあるようにしていくことの方が、いわゆる行管本来の任務あるいは目的達成のためにいいのじゃないかと思うのですが、この点どうですか。
  72. 金井元彦

    金井国務大臣 お話しのとおりと存じます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは事務的に答弁してください。
  74. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 監察の結果、事後処理については先生のおっしゃるとおりのシステムでやっております。ただ、その後放置していいとわれわれはもちろん考えておるわけではないので、その監察の結果の確保ということは非常に重大な問題だと私どもも考えておるわけでございます。  それで、先生少ししかないというお話でございますけれども、私ども鋭意、推進監察なりあるいはまたほかの監察でも関連のある場合には、前にやりました監察のあるいは実効の上がっていないような部分、そういうものを随時後から行う監察につけ加えてやっているというような努力は従来もしていたわけでございます。  ただ、そういうようなシステムをもうちょっとはっきり組めという御意見のようにお伺いしますので、いろいろ考えさせていただきたいと思います。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 ぼくはいろいろ言っているわけじゃないんだよ。いろいろ考えなくても、その一つだけ考えればいいじゃないですか。  私の言っている意味がわかったらしいから、これ以上言いませんが、やはりこの種の問題は、ある程度システムとして、また何カ月後に追及するというようなことをぜひおやりになる必要があるというふうに考えて申し上げましたので、趣旨がわかったし、考えていただくそうですから結構です。  次に、「農業構造の改善対策に関する行政監察結果に基づく勧告」がこの一月に行管から出されています。この件についてもちょっと申し上げて、御意見も聞きたいのですが、「農業構造の改善対策に関する行政監察結果に基づく勧告」というこれについて、行政管理庁勧告が農業構造改善事業に対して批判的なように見える、新聞もそういう報道をしていました。私も同感する部分があります。  たとえば、五十四年一月のこの勧告の四ページに、「土地利用型農業による自立経営農家の育成実績が低調となっている」、こう指摘しまして、これに必要な農用地の利用集積は現在の農村の実態から見て非常に時間がかかる問題だ、批判がこういう面から起きているわけですね。利用集積が進まないからだめだ、こう性急に結論を出すのではなくて、もっと長い目で見るべきではないかというふうな批判だったというように思いますし、私もなるほどなと思うのですが、この点はどうでしょうか。  この種の問題を考えるときには、こういった決めつけ方のほかに、やはりもうちょっと現実に即したいわゆる洞察あるいは監察的な進言、そういうものが加わっていいように思うのですが、これに対してどう考えるか。これは局長から……。  それから、農林省からおいでいただいているのですが、この問題は、私のいま言っている趣旨がわかると思うのですが、この種の問題は、そう性急に効果を期待できないからだめだと決めつけるのは少し早過ぎる、これではいけない、こう思うのですが、農林省の立場で一体私の見解にどう思うか。  それから管理庁は局長から答弁を聞きたい。
  76. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生指摘の農用地の利用の集積でございますけれども、これは確かになかなか進んでおりません。それで、自立経営等への集積がなかなかむずかしゅうございまして、時間がかかるということは私どもも承知しております。ただ、これはやはり現在の資産的な保有傾向が強まっているとかいうようなこととの絡みがあるわけでございますけれども、農林省の計画に対しまして育成目標の戸数に対する達成率が、私どもが拝見した限りにおいては二九%ぐらいにしかなっていないというような現状から見ますと、なかなかむずかしいのではないだろうか。私ども、性急に結論を出す気はもちろんございません。ただ、現状を踏まえまして、そういうところでやはり効率が悪いのじゃないかというような判断をいたしまして、もうちょっと効率のいいやり方がもしもあるならば、あるいは、補助のやり方等工夫があってしかるべきではないかということを申し上げたわけでございます。
  77. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、土地の利用集積という問題は、やはり地域社会の合意の中で時間をかけて段階的に進めざるを得ないという本質があることは事実だと思います。ただ、ただいま行管の方からも御答弁がありましたように、また先生からも御指摘がありましたように、構造政策の基本課題というのは、やはり中核農家への利用集積を図るということは私どもも非常に基本だろうと思っております。その意味で、実は今回の行政監察の趣旨もそのようなものであったと思いますが、本年から発足いたしました新しい構造改善事業では、制度の仕組みとしては土地利用協定等を必ず結ばせるとか作付栽培協定を結ばせる、さらに、現に地域特別対策事業ということで、借り手、貸し手の掘り起こしを進めておるわけですが、その事業に結びつける等の措置を講じているところでございます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 同じく五ページには、高級メロンなどの需要が限定されている作目を主要作目として選定することに疑問を持っているという指摘があるのですね。こうした作目であっても、特定の地域にとってはその地域の農業振興の上では大きな効果が期待されるものが間々あるのです。これら作目の選定を私は一概に否定すべきではないと思うのですが、この点に関して、これも農林省からも見解をお聞きしたい。
  79. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま高級メロンの話が出ましたけれども、私どもも一概に高級メロンは補助対象からどうのというふうに考えておるわけではもちろんございません。その地域の実情あるいは各農家の実情等を踏まえていくべきだろう。ただ、そういう作目の選定に当たって、たとえば需要が限定されているようなものはやはりそういう点も考慮していろいろと作目を選ぶべきでないかという例にその高級メロンが出てきたわけでございます。われわれの勧告の意図はそういうところにあったわけでございます。
  80. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  基本的には、やはり作物全体の需給の動向ということを頭に置かなければならないとは思います。しかし、御指摘のように、やはり当該作目を導入することが地域の農業の体質改善、特に稲転等の関連を考慮した場合に非常に効果がある、また生産条件や市場条件も備わっておる、そういう場合にはやはり考えなければならぬわけでございまして、地域の実情で十分検討してまいりたい、かように思っております。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 なお、この勧告の十ページに、稲作用の機械、施設については補助しない、そういう決めつけがあるのですよ。稲作については生産調整が行われてはいますが、わが国農業の中心をなす作目であることに間違いないのです。その生産性を高めて品質を向上させて、そうして生産費の引き下げを図るということにますます努力をしなければいけないと思うのですよ、つくっている稲作に対しては。稲全体をやめちゃえなんというわけにはいかないのですから、これは主要な作目なのですから。したがって、効果が期待できるような場合には、むしろ進んでその効果を上げるための補助の施設あるいは施策、こういうものを思い切って推進していって、やはり質の向上なり生産費の引き下げなり、適地であるならば思い切って物をつくらせる、米をつくるということも推進していくことが、国際競争力を高める前提に立ってはぜひ必要だと思うので、一概にこれはいけないのだとかやめるというような、これは稲作だから云々という決め方をすべきではないというふうに私は思うのですが、国の義務としても、やはり適地であり、いい物ができるところには、質の向上を図り、また生産費の引き下げ、国際競争力を少しでも高めていくという前向きの姿勢で、国として思い切ったこれに対する力を注ぐ必要がいまだにあると思うのですが、この点どうですか。
  82. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 勧告の中に稲作のみをやっているところには補助はしなくていいのじゃないか、こういう意味のことが書かれているわけでございます。これはやはり、現在の稲作の状態がどういう機械を使っているか、その機械の普及度あるいは施設の普及度、そういうものはかなり行き渡っているわけでございまして、もうこれ以上そういう行き渡った機械等に補助をする必要はないだろう。  それから、その稲作のみということにちょっと意味があるわけでございまして、稲作の裏作にたとえば麦をつくっている、そういうような場合には、その稲作をなるべく省力化して、さらにその裏作の方にその余力を回すというような意味もございまして、そういう場合には、稲作も含めましてその補助から外せという考えはないわけでございます。ただ、稲作だけをやっている部分は、もうすでにかなり行き渡っているという現状にございますのでこういう勧告になったというふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 その次には、管理庁として毎年年度末までに翌年度の監察計画を決定している。五十四年度の監察業務運営方針及び監察計画についてどんなものがあるだろうか、主なものをお聞きしたいのですが、時間の関係でお聞きするのは後にします。それは結構です。私の方からこういうものを監察計画に入れるべきではないか、ぜひ入れてほしいというものを二点申し上げてみたい。  一つは、私が長くここで取り上げてきた北富士の演習場周辺における問題です。この北富士問題に関しては、いよいよいまから徹底的に追及することが必要な段階に来たように私は思う。これからやります。  そこで、問題をさらってみるとこんなものがあるのですね。  演習場の賃貸料の支払い問題が一つあります。非常に大きな懸案となって、まだ係争も行われている。  二つ目に、返還国有地の払い下げの問題として、特に国と山梨県との間に払い下げ条件があったのですが、その実施状況がどんなふうになっているかということ。大蔵省が払い下げを決定して払い下げれば、その払い下げ目的、払い下げの条件というものがどんなに無視されていようとそれはちっとも意に介しないというんでは、これは大変な問題になるわけですね。だから行政監察の一環としてはこの問題も重大だ。  三つ目には、払い下げ後の造林実施状況。いま払い下げが起きて造林をしているのですが、その造林の実施の状況が一体どうなっているか。  四つ目に、林雑補償金というのを払っているのですが、それをめぐるいままでの長い歴史があります。こういうものを踏まえて、米軍基地などに提供している国有地、公有地、民有地及び基地周辺の諸問題について、これも行管としてはっきりと監査をしていただく必要がある。  特に行政管理庁に対して、これは五十二年十一月二十四日、富士吉田市新屋二百七十九の堀内清太郎外十七名から横浜防衛施設局長の林雑補償返還金の処理等に関する監察依頼というのが出されている。これは読み上げませんが、わかっていますね。これに対する回答がいまだにないのですね。重要な問題なんで、いま申し上げた五つのうちの一環として、これに対する回答をいつ出せるかをお答えをいただきたいというのが一つ。  それから次に、これも五十四年度に入れてぜひ監察してもらいたい事案としては、長年にわたる郵政省と全逓労働組合との反マル生闘争と称する係争問題。これは歴史は長いのです。これも一つは、かってない年賀状のおくれがあった。これは皆さんもその被害者の一人。などに対する経営責任のあり方、経営責任のとり方、その責任のとり方がどうなっているか。  二つ目には、過去の国会における郵政省に対する附帯決議の実施状況、郵政省が国会における態度表明と称するきわめて明瞭な約束をしていることの実施状況、あるいは国会がつけた附帯決議、この実施状況。  三つ目には、現在までに七千件に上る不当労働行為が取り上げられていま問題になっている。これらに対しての監察をやっていく必要があるだろう。一つの相手の中で七千件に上る不当労働行為というものがぐんぐん起きて大きな問題になっている。  四つ目に、局で雇うアルバイトに対する支払いに関係して不均衡、不正流用あるいはピンはねの有無、通勤費その他料金の無制限支払いの可否、いいか悪いか、人件費から物件費への流用の問題というようなものも、監察の対象にすべきだと思う。  五つ目に、電波監理権の乱用と思われるような問題と、各局における、現場の局における当局者の公金の不正使用、これは新聞にもいろいろ取り上げられて、ずいぶん起きています。というものについて、今後これが起きないように監察の対象にして、行管としてのはっきりした監察結果を示すべきだ、こう思います。  大きく分けまして北富士の問題と全逓の問題これに対して今後五十四年度における行政監察の対象にしてもらいたいということに対するお答えと、同時に北富士の問題に関しては、いまの堀内清太郎君外十七名の要求書に対する回答が出ていないが、これはいつ回答がもらえるか、二つお答えをいただきたい。
  84. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 まず、北富士の演習場の問題の方から申し上げます。  五十二年十一月二十四日にこちらへ参っておることは先生の御指摘のとおりでございますが、その際に行政監察との絡み合いでございますけれども、本件についてはすでに検察庁の方で取り調べが始まっている問題であること、それから会計検査院の方でそういう林雑補償の問題について調べるというような意向が示されていることでございます。それからまた、先生のおっしゃるとおり、これはなかなか長い経緯のある問題でございまして、関係省庁の方ではその事実を大体知っているわけでございまして、私どもが監察をしましても、なお新しい問題というのはなかなか事実が出てくるということはないのじゃないかという判断で、その際に当庁としては要望に沿いがたいということを申し上げまして、担当官もそのように説明してお引き取りを願っているというふうに報告を聞いております。でございますので、改めてこの問題につきまして御回答申し上げるということは私どもとしては考えておらないわけでございます。さらに、同じような理由で、この問題を行政監察をするという意図もいまのところ持っておりません。  それから、郵政の問題でございますけれども、先生何点か御指摘ございました。ただ、五十四年度の監察の私どもの計画でございますけれども、いま大体その計画を煮詰めつつある段階でございまして、実はその中にはこの問題は入っていないわけなんでございます。先生指摘のいろいろな問題、なかなかむずかしい問題も入っておるように思います。なお、来年度にやることはちょっと、いまのところほかの業務との関連もこれあり、私としましては余り可能ではないのじゃないかと現在思いますけれども、むずかしい問題等、その他監察をやる際にはどれもそうでございますけれども、かなり勉強をして監察に取りかかるというようなこともございますので、いろいろ勉強させていただきたいというふうに考えて、監察を将来やるかどうか、これも含めまして検討させていただきたいと思います。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの問題、私がべらべらとしゃべりましたのでわからないと思うんだが、北富士の問題全体を監察の対象にする意思はないというふうにお答えがあったのかどうかわかりませんが、回答をかくかくの理由で出す必要がないと思っても、文書が来た以上は、その文書に対する回答を出すという親切さが欲しい、それが一つ。  それから北富士全体の問題と全逓の問題に関しては、私の記録を見た上で、かくかくの理由でこれは監察に値しない、あるいは監察をするにしても五十四年には間に合いませんとかいうようなことを文書によって回答をもらいたい、時間がないから。両方の問題に対して文書によって理由を書いて回答をいただく。しかしながら、いまの堀内清太郎外十七名の請求に対しては、これはかくかくの理由で回答を必要と認めないとかなんとかいう——文書によるこういう問題が来たら、文書による回答をするということをぜひ要求しておきたい。私の記録を見た上で文書によっていまの最後の二つの問題に対しては回答をちょうだいしたいということをお願いをして、最後にこの閣議了解、先ほどの一月十六日のを見ますと、国有林野事業の、十ページですけれども、(1)、(2)、(3)に直用、請負の選択についての問題や定員内、定員外職員の問題や営林署の統廃合問題等々が述べられているのですね。十ページに述べられている。ところが、行政管理庁としてはこれとはうらはらに、最も大事な、いわゆる林野事業の目的であるきれいな空なり水なり空気というものを中心にした国土保全の立場から、国有林がいかに守られているかも十分に監察を行い、いわゆる大きな問題としていまの荒れている状態あるいは放置されている状態、これにも目を向けて行政上の監察が急いでされないと、ただ、いまこの行政の簡素、効率化推進だけに急であって、統廃合を進めろ、やることが実際にやられているかどうかを見るだけで終わってしまうと、これは日本の国土全体の保全という意味から言って、特に国有林を中心に生活をしている地域住民のあすを考えたときに、その問題に行政的なメスを入れて、同時にこの問題にも触れていくという両面をぴちっととらえていかないと、これは大変な問題になると思うので、この面における監察もやっていただきたいということ、これを最後に要望をして終わりたいと思いますが、何かありましたら御答弁願います。
  86. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 林野について監察をやるようにというお話でございます。これは民有林の方でございますけれども、現在林業構造のことを拝見いたしております。それとの関連におきまして国有林野の方も重大な関心をもちろん私ども持っておるわけでございますので、時期等ここでいつというふうに言うわけにまいりませんけれども、これもいろいろ勉強して検討させていただきたいというふうに思います。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  88. 加藤清二

    加藤委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。     午後、零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  89. 加藤清二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。津島雄二君。
  90. 津島雄二

    ○津島委員 まず最初に、行政改革についてお伺いいたしますけれども、御承知のとおり、このたびの予算と関連をいたしまして、できるだけ効率的でむだのない行政をやりたいという国民の関心が非常に高まっておりまして、与野党の論戦でも何度か取り上げられております。  まず第一に、ことしの一月十六日に「行政の簡素、効率化推進について」という閣議了解が行われておりますが、そのねらいについて行管長官おいでになってからお伺いをいたすことといたしまして、その前にやや行政改革について技術的なことをちょっとお伺いしたいと思うのでございます。  午前中に原委員から大変参考になる御意見がございましたけれども、私は行政改革というのは非常にむずかしい面があると思う。一つは、お役所の仕事というものは一つ一つとってみますとどれもこれもいい仕事をやっているということになっている。また、現にそれをやっておられる公務員の方は恐らく真にそう思ってやっておられる方が大部分だと思うのであります。ですから、行政改革をする、行政の簡素化をするために切れということに対しては、本質的に大きい問題があるわけでございます。それからもう一つは、一生懸命やろうと思いましても、たとえば午前中に原委員から御指摘のございました、昭和四十六年でしたか一省庁一局削減というようなことをやりましても、これが形だけのものになってしまう。私の記憶から申しますと、あの一局削減のときは、形だけは局長をなくしましたけれども、ちゃんと審議官とか次長とかという形で担当のポストは残っておりまして、おまけに皮肉なことに、局長室はなくなった、しかし審議官室を新たにつくるということであれば、大変きれいに内装をなさいまして、前の局長室よりもっとりっぱな審議官室にお入りになった。こういうことになりますと、一局削減を大いにやったということでありますけれども、中身は何もないということになりがちでございます。つまり、形だけやったという行政改革がいままで多過ぎるわけでございます。真に中身のある行政改革をするためにはどういう点を考えなきゃいかぬかというポイントを幾つか挙げてみたいのでありますが、私は、何といっても行政にはコストがかかるのだ、国民の大事な税金を使っておるのであるから、その税金を大切に使わなければならないという国民の理解がなければならないと思っております。そこで、こういう行政のコストができるだけ国民にわかりやすいようにするにはどうしたらいいか、いろいろな問題点があり得ますが、最初に郵政事業を取り上げてみたいと思います。  先ほど原委員からお話がございましたように、ことしは年賀状が大変おくれで届いた。合理化には賛成しかねるから年賀状はおくれてもいい、こういうことで労使ともに国民の批判にさらされたわけでございますけれども、その郵政事業の合理化について、たとえばいまのいわゆる合理化、機械化というものが具体的に国民にとってどういうプラスになるのかわからない。たとえば機械化するのはわれわれの職場の侵害である、だから賛成しがたいとおっしゃった場合に、合理化がどのような形で国民に還元されるかが一向にわからない。だから、これは郵政省の中で労使がやり合っておるわい、こういうことに相なってしまうわけであります。先ほど私が引用いたしました一月十六日の閣議了解では、郵政事業関係では機械化の一層の促進とか集中処理局の設置の検討とか能率化ということを盛んに言っておられますけれども、この根本問題について何も触れておらない、ここに非常な問題があると思います。  そこで、これからの議論の前提といたしまして、郵政省の方から、ごく簡単で結構ですから、いま郵政事業の中でも配達関係に従事しておられる職員の数とその方々へ支払う給与総額、それからアルバイトを雇っておられると思いますので、延べどのくらいお雇いになって、それに対してどのくらいの予算がついておるか、まず数字だけ御答弁いただきたい。
  91. 山口武雄

    ○山口説明員 お尋ねの件につきまして御説明させていただきます。  まず、郵便事業に従事する職員の数でございますが、約十三万八千人でございます。次に、これらの職員に支払われます給与総額でございますが、年間約四千四十億円でございます。それから、郵便関係のアルバイトの職員の延べ数でございますが、約六百一万人となっております。
  92. 津島雄二

    ○津島委員 アルバイト関係予算額はわかりますか。
  93. 山口武雄

    ○山口説明員 大変失礼いたしました。  アルバイトの賃金の総額につきましては、約二百億円となっております。
  94. 津島雄二

    ○津島委員 恐らくこの数字をお聞きになった方は非常に驚かれると思うのですね。郵便配達の仕事は、私は大変な仕事だと思います。私どものところのような積雪寒冷地で一戸一戸配達しておられる方々の御努力には頭が下がる思いでございますけれども、その事業全体として見ますと、たとえばアルバイトが六百一万人、これは日曜日も含めて考えなければいかぬでしょうけれども、優に二、三万人常時雇用していると同じ姿になっております。それから、アルバイトの経費が、給与総額四千四十億円に比べて二百億円。つまり、いまの郵政事業は民間の一般の人の足を使ってやらなければ動かない状態になっているわけでありますけれども、これをなおかつ事務官とか公務員としての資格のある方がやらなければならないのかという重大な疑問は当然あっていいと思うのでございます。この点だけでも長い議論ができるのでありますけれども、次がございますので、私、特にきょうはこういう公共企業体の事業、もっと正確に言えば現業の事業についてコストをはっきりさせることが、いろいろな意味で能率化、簡素化に向かわせる大きなはずみになるのではなかろうか、また国民の理解も得られるのではないかと思いますが、そのような組織の公共企業体への変更ということについて、かつて御議論されたことはあると思いますが、どのような現状になっておるか、それから今後さらにこれを新しい観点から御検討になる考えがあるかどうか、郵政省の関係の方、それからできれば行管庁の方から御答弁をいただきたいと思います。
  95. 山口武雄

    ○山口説明員 御説明申し上げます。  郵政事業につきましては、先生御案内のとおり特別会計、企業的に郵政事業を経営していくという観点から特別会計をもって収支相償、独立採算で事業を営んでいくというたてまえになっております。  先生指摘のとおり、かつて郵政事業につきまして公社化という御議論があったことは事実でございますが、現在私ども、郵便事業の公共性、それから全国あまねく、採算のとれないような地域につきましても公平にサービスを提供していくという立場、いろいろな観点から現在の国営でやっていくことが適当と、先般の公企体等基本問題会議の御意見書の中にも御指摘いただいたところでございまして、省といたしましてもそういった方向で運営を進めていく、こういう考え方でございます。
  96. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま先生から行政改革の問題につきまして、行政コストの節減、こういった観点から改革考えていくべきであるし、またそれについては十分国民に理解を得るような、いわばPRと申しますか合理化がはっきりした形をとるべきではないか、こういう御意見から御質問がございましたけれども、全く先生の御意見のとおりであろうと私どもも思っております。  ただ、それを具体的にいま御指摘のような形、公共企業体でやってはどうか、こういう御質問でございますが、公共企業体という意味を仮に公社と考えますか、そういう形のお話と受けとめて申し上げれば、これは御承知のように外国の場合にも、こういった公社化——現在ただいま郵政省から御答弁ございましたように五現業として特別会計で実施をしているわけでございます。それをさらに一歩進んでそういった公社的な形でどうかということだと受けとめまして申し上げますと、いま申し上げましたように外国の例を見ましても、そういった公社化に転換をした場合に果たして事業運営が、おっしゃるような効率性とかそういう形で必ずうまくいっているかどうかという点については、非常に疑問があるわけでございます。先ほど郵政省から御答弁がございましたように、現在のそういった特別会計制度の中でいろいろ工夫をいたしまして効率化を図っているところでございまして、私どもは郵政省のおっしゃるような形で当面運営していくべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 津島雄二

    ○津島委員 この議論、さらに幾つかの問題点でお伺いしたいと思いますが、その前に、せっかく大臣おいでになりましたので、最初お伺いしたい重要問題、一月十六日の閣議了解がございますけれども、このねらいは一体何でございましょう。前にも五十二年の閣議決定もございますし、一体いままでとどこが違うのか、ちょっと教えていただきたい。
  98. 金井元彦

    金井国務大臣 五十二年の閣議決定はかなり全般にわたりまして行き届いた閣議決定であったと思うのでありますが、しかしながら、それになお漏れている点がございます。新内閣といたしましては、成立早々でもありましたので、行政改革という大上段に振りかざすよりも実質的な効果を上げるという点に重点を置きまして、五十二年の閣議決定にプラス一月十六日の閣議了解、こういうことで両者あわせて今後行っていく、かような趣旨になっております。
  99. 津島雄二

    ○津島委員 ただいまの御説明によりますと、従来の路線を踏襲して一層努力をいたす、こういうことのようでございますが、いままでもとかく実が上がらなかった。先ほどお話ししたのですけれども、行政というのはやっておられる方みんないいことをやっておると思っておるのです。自分のやっておることは、これはどうしても大切なことだ。そこに行政改革のむずかしさがあるのですね。ですから、結局これは必要かどうかという一つの判断をするためには、私はどうしても二つのことが必要だと思う。  その一つは、コスト意識を持たせる。つまりこれだけの予算、これだけの国民の税金を使ってなおかつそれは大事なことだけれどもいまやらなければならないかという判断をしていく。それからもう一つは、国全体を通じて総合判断しなければならない。郵政省なら郵政省、農林省なら農林省でお考えになっていますと、これはみんな大事なこと、ですからいまのコストとの比較において、全体の総合判断ができる体制になっているか、こういうことであろうかと思います。  そこでまず、第一点のコストを明確化するという意味におきまして、私はもっと本格的に考えてもいいのは仕事の一部をどんどん民間に委託をするということ、つまりその部分はもっぱらコストで行くということをもう少し本気でやっていただいていいんではなかろうか。  実例を幾つか挙げますと、いまの郵政事業の中でもそのようなことが一部においてできるんではなかろうかということが第一点。それから、あるいはこれは担当の省をお呼びしてなかったのですけれども、かの有名な米穀検査員を多数抱えておられます食糧庁関係でも、このような最近の経済社会の現状にかんがみて、そういう仕事を公務員でない方に委託をする余地はないであろうか。あるいは先ほど午前中も御議論ございましたけれども、林野事業の一部において、これは全体としてやはり治山事業として公共性が強い部分とそれから能率性の非常に強い部分とありますから、民間委託ができないだろうか。こういう点について一度行政管理庁中心に勉強をやってごらんになるあれがないだろうか。  いままでの監察年報を見ますと、それぞれの省についてはおやりになっているのですが、私が先ほどお話ししたような、やはり全体を並べなければいけませんから、国全体を見通して特に民間委託をすべき部分から順番をつけて検討なさるようなことはできないものか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  100. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまのコストダウンをするという点につきましての民間委託というのは、これは私は重要な一つの行き方であろう、かように存じます。  ただ、いまやっております事業は公共的なものが大部分でございますので、その公共性を失うということは困りますので、その点を十分配慮しながら、ただいまお話しのような点について検討を加えるということは必要なり、こう考えております。
  101. 津島雄二

    ○津島委員 同じような発想方法でもう一つ考えられますのは、仕事をまとめて地方団体に移されたらどうだろうか。もちろんこれは財源をつけて移す必要があると思いますけれども、たとえば五十一年の監察年報の中に、生活保護に関する行政監察、これをやっておられます。後でもう一回触れたいと思いますけれども、かなりいまの生活保護行政の末端に入って随所に有益な提言をしておられるのでありますけれども、このような住民の生活に密着した仕事というものが国と地方とで補助金行政で行われている、あるいは国の強い監督下に行われているということになりますと、いい面もありますけれども、同時に、たとえばこの中でハンディキャップを負っておられる方一人一人の指導を親切におやりなさいということが書いてあるわけです。そして施設にただ入っておられるよりも働いて社会復帰をされた方がいい方にはどんどんそのような提言をすべきなのに、それが行われていない、だから施設はいっぱいになっているというような御提言があります。もっともなことでございますけれども、そういう一人一人に対するきめの細かな仕事というのは確かに非常にコストがかかるのですね。やればもうやった方がいいに決まっておるのです。皆さんやはり困っておられる。そこに働かさなければならないのはコスト意識ですね。いまの国民の税金を前提にした場合に、どの辺まで行くのがいいかという判断がなければならない。そういう観点から、地方団体にもう少し仕事をぽんと預けて、そして県なり市町村の予算の中で仕事とコストの関係がわかりやすいようにする余地がないだろうか。そしてなお、シビルミニマムという言葉がありますけれども、いま国民全体としてここまでは国が最後までめんどうを見なければならないという線ははっきりされて、そこを国が責任を持ってやる。私は、福祉行政に係る財政再建のためにはそれ以外にないだろうと思っておるのでございます。そういう意味の御検討をされる意思がおありかどうか、お伺いしたいと思います。
  102. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいま地方団体へ事務を思い切って移譲できるものがあるんじゃないか、財源もつけてというお話でございまして、確かに、そういう観点で見た場合に、そうした方がいいなと思えるものはございます。しかし、実際の動きにおきましては、やはり中央においてその仕事を担当している人は最後まで責任を持つというふうな考え方から、なかなかそれを任せるということについては踏ん切りがつかないという面がいままでも多々あるわけでございまして、この縦割りと横割りとの交錯というものが、行政改革を行う上においてなかなか困難な問題があることは津島委員もよく御承知いただけることと存じます。  ただ、私どもといたしましては、やはりでき得るならば住民に身近な問題につきましてはなるべく身近なところでそれを処理する、しかも地方団体は総合的な観点においてこれを見ることができるのでございますので、なるべくそうすることが望ましい、こう考えております。
  103. 津島雄二

    ○津島委員 時間がないので、概括的な議論だけで大変残念で申しわけないと思うのでございますが、私がきょうこれから御指摘したいのは、そういう問題点について直接の担当者の方とは別に、国全体としての評価をしてみるという立場から、行政管理庁がいままで以上の役割りを果たされる余地があるのではないかという意味で伺っているわけでございますが、そこで行政管理庁の監察のあり方に入っていく前に、一つだけお願いを申し上げたいのです。  私も長い間官庁におりまして、不当に仕事を広げる大きな原因一つが報告事務にあると思います。ことに、勉強家の局長とか課長とかが来られますと、もう毎日毎日報告、資料作成、こういうものが出てくる。私は、行政機構のうちの少なくとも三割以上は、既成の統計資料で利用できるような計数を、あるいは資料をつくり直して処理をするために使われているような気がしてならないのでございます。その点で、この報告事務、資料作成事務についてできるだけ抑制をしたらどうだ、既存の統計資料でみんながまんしようじゃないか。これは一番がまんしなければならないのは、これは委員長に申しわけありませんけれども、私は国会にもあると思います。統計資料をちょっと読めばわかるものを、ちょっと細かい資料を出させるために一晩何百人という官庁の公務員が残業をしなければならぬということが非常にあるかと思いますけれども、行政官庁の中でも報告事務や資料作成事務を抑制しようという試みをおやりになったことがあるかどうか、ちょっとお伺いしたいのです。
  104. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 報告事務につきまして、昭和四十三年、四十四年の第一次、第二次の行政改革計画、この中で、報告類約千六百事項について整理合理化を図ることとされたわけでございます。それで、それは順次措置してきておるわけでございますが、さらに最近、先ほどお話しの本年一月十六日の閣議了解に基づきまして、各種報告類の総点検を行うということになっております。それで整理合理化を推進しようということでございますので、報告等につきましては新たに各省といろいろ御相談の上、整理計画の立案に努めていきたい、現在そういうふうに考えている段階でございます。
  105. 津島雄二

    ○津島委員 この点については随時積極的な努力をしていただきたいということをお願い申し上げますし、将来は予算とか定員の面でも何か工夫をしなければならないということを申し添えておきたいと思います。  さて、行政管理庁の監察のあり方について、午前中原委員からいろいろ御指摘がありました。私、全く同感でございまして、行政改革というのは先ほども申しましたように常に積極面消極面を持っておる、もっと国民のニーズにこたえる高度の行政サービスをすべきであるという点と、それから絶えず組織が肥大化する、これをどうやってとめるかという、ブレーキとアクセルをうまく踏み分けなければならない面があるわけでございますね。その点で、全体として一体どういう考え方でブレーキとアクセルを踏み分けておられるのか。  たとえば、この年報を読んでみますと、五十二年の年報の監察報告では、そのブレーキを踏むべし、つまり効率化をやるべしという監察結果が幾つか出ております。たとえば郵便事業の運営に関する行政ですね。自動車の検査等について民間能力をもっと使えと。ところが今度は、品質、規格等の表示に係る消費者保護行政、ここでは、無限に消費者の要望があるのだからもっとやれというのが全体のトーンになっておる。前の年もそうでございまして、いまの生活保護に関する行政監察では、もう少し親切に一人一人当たってみろというのが基調であります。これはやはり相当金がかかるのじゃないかという感じがしますし、それから労働者災害補償保険事業、これはどっちかというと合理化の方向を出しておられます。もう一つ、都市ガス、液化石油ガスの安全確保等に関する行政監察、これなどは、この間、池袋かどこかで大きな爆発があって、同僚議員でも火花をかぶったのがいるそうでありますけれども、ああいう爆発があったからといって、この中の提案はもう少し通産局等において都市ガスの危険性等の周知を図りその報告も一生懸命やりなさい、こういうことなんですが、果たして報告を一生懸命させることによってああいう爆発が減るのかどうか、私大変疑問に思うのです。ですから私は、これをずっと読んでいるだけで、一体管理庁はどっちを向いて走っておられるか、けさ原議員がいみじくも指摘しておられましたように、やはり公的な性格が強くてある程度コストをかけてもいいからどんどんやるべき部分と、それから能率主義でいかなければならない部分とはっきり分けていかないといかぬし、その仕分けをするための何かメルクマール、基準が必要ではないかという感じがするのでありますが、この辺で何かお考えがあったらお伺いしたい。
  106. 金井元彦

    金井国務大臣 いま津島委員指摘のように、行政においては両面がある、これはもうおっしゃるとおりであろうと思います。どちらかと申しますと、各所管省の方では積極面について非常に熱心であります。そのままに引きずられますと非常に肥大化をしますので、私どもの方はブレーキの点におきましてかなり苦労をするわけであります。しかしながら、それでは行政管理庁はブレーキばかりか、こう申しますと、これは監察をいたしまして、こういう点においてはどうも十分目的を達していないじゃないか、という点の指摘も多々していることは御承知のとおりであろう、かように存ずるわけであります。  そこで、どういうふうにしてできるだけニーズに合う方へ充実し、そうして比較的薄い方を抑えていくかということにつきましては、私どもの方といたしましては、ややぎごちないやり方でありますけれども、削減ということを絶えず行いながら必要な方へ回していくという操作をいたしておるわけであります。何か非常に際立ったものについてこういうことをしたとかなんとかということですと皆さんに非常によく御認識いただけるのでありますけれども、何分にも非常に多岐にわたっている行政でございますので、目に見えないところで相当な動きをしておるということをひとつ御理解をいただきたい、かように思います。
  107. 津島雄二

    ○津島委員 大臣、時間の関係がおありでございますので、じゃここでお帰りになる前にひとつお願いを申し上げておきたいのは、午前中の原委員の御指摘にもありましたように、行政監察の対象の選定がそういう意味で私どもも十分納得しかねる点がございます。やはり本当に社会経済の伸展に即応した対象の選定をしていただきたい、そのための工夫をしていただきたいということをお願いを申し上げておきます。
  108. 加藤清二

    加藤委員長 この際、金井長官予算委員会の方へ回られます。
  109. 津島雄二

    ○津島委員 そこで、いまの問題点から実は技術的に二つの点をお伺いしたいのであります。  第一が、いま監察の対象の選定についていろいろ申し上げました。監察の仕方、物の見方、これは時代時代で変わってこなければならない。抽象論をやってもあれですから一例を挙げたいと思いますが、目下いろいろ議論されております電電公社の仕事の発注、設備等の発注につきまして、従来から随契方式だけでほとんどやってきておる。それがいわば長期にわたる設備の近代化計画に一番即応するやり方であるという御意見が主体をなしておるようでありますけれども、しかし日本の情報産業というのはいわば世界で最も豊かで大きなマーケットであります。日本が世界経済の一割以上のウエートを持ってきて、そして資源不足の中で三十何億の人と一緒に共存していくためには、このマーケットをただ日本の考え方、電電公社の考え方だけでいまのような姿にしておいていいものかどうかという、新しい国際経済面の要請から来る観点が当然出てくると思うのであります。恐らく従来のやり方で行政監察をされると、たとえば調達方式について行政監察をされると変わった意見は出てこないと思うのですが、御質問としては、一つは、この点について電電公社の方でどうお考えになっておるかということ、それからもう一つは、行政管理庁の方から、同じ発注方式でもそのときそのときの時代の要請に応じた観点からの監察が必要だ。全く違った結果が出てくる可能性もあるわけです。その点についてこれから改善されるお気持ちがあるかどうか、監察のあり方としてお伺いをしたいと思います。
  110. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生から監察の基本的なあり方についていろいろお話がございました。私どもやはり行政監察をやる根本的な態度といたしまして、その時代に即応した考え方をとっていかなければならないというふうに強く思っているわけでございます。たとえばいろいろ経済社会の情勢が変化すれば行政もそれにつれてやはり変わるわけでございますし、行政をどう持っていくか、その運営を監察する際にもそういう観点が非常に重要になってくるんだというふうに考えております。  それで、先ほどの話とも若干関連するのでございますけれども、国民のサイドに立って、本当に行政を受ける立場に立って行政がうまくいっているかどうかというのがまずわれわれの監察の仕事の基本的な立脚点でございますけれども、その際に、二、三年前までは行財政の合理化ということとそれから国民の生活の充実安定、先生よく御存じのとおりの二本柱でやってきたわけでございます。それで、経済情勢がこのように安定成長と申しますか、そういう状態の場合には行政は何をやるべきかということの観点から、国民生活の充実安定の中にも、先ほど先生が御指摘になったように福祉の問題等もコスト面を若干取り入れてこなければならないんじゃないかというふうに強く考えております。  いま御指摘のたとえば電電公社の資材関係の監察でございますけれども、これはいまその計画を立案中で、まだ予定でございますけれども、五十四年度の七月、第二・四半期に私ども早くから予定しておったわけでございます。そういうわけでございますけれども、新聞の方では国際的な問題として大きく報道されたわけでございますが、確かにいま先生指摘のような電電の資材調達に関しましては以前も監察したことがございまして、随意契約とそれから競争入札との関連でわれわれも意見を申したことがあるわけでございます。そういう点でこれが国際的な視野になると、なおその辺に確かにわれわれの監察と、いま言ったような視野との接点はあるわけでございますけれども、時期的な問題もこれあり、監察が直接その問題にタッチしていくという面は、接点はありますけれども特にその点を考えているわけではないわけでございますが、先生指摘の、視野を広く持って監察をすべきだという点についてはまさにお話のとおりと思いまして、われわれもそのように努力していきたいというふうに考えております。
  111. 小原明

    ○小原説明員 ただいまの御質問につきましてお答え申し上げたいと思います。  御案内のように、現在東京ラウンドの政府調達問題につきましては、調達コード、これは規約でございますが、これにつきましては各政府間のお話が大体進みまして、現在調達体をどこにするかということでいろいろと国際間にお話し合いになっているようでございます。私どもといたしましても、この調達体には政府機関がもちろんもうお入りになっているわけでございますが、私どもといたしましては、いま先生から御指摘ありましたように、電電公社の資材というものの大半はきわめて特注品でございます。また長期的にもそのような信頼性というものも得なければならないというようなことから、随意契約ということで調達してまいりたいというふうに考えております。そのため、政府の調達コードの対象とすることは何としても避けたいというふうに考えております。  しかしながら、現在日米間の貿易のアンバランスの問題等がございますが、これらの重要な点につきましては十分私どもも認識しておりますし、また昨年来公社を訪問いたしましたアメリカのいろいろな企業に対しましても、購入の可能性のあるものにつきましてはこれを見つけ出そうということで現在いろいろとネゴシエーションを進めているような次第でございます。今後とも可能な範囲でこのような努力を公社といたしましても続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  112. 津島雄二

    ○津島委員 時間が参りましたが、締めくくり一問してよろしいでしょうか。御許可を得たい。
  113. 加藤清二

    加藤委員長 はい。
  114. 津島雄二

    ○津島委員 いまの点は、いま非常に焦眉の問題でございますが、これ以上御答弁は求めません。  そこで、きょうの私の質問一つの基調が、行政改革についてはどうしても政府全体の立場から比較考量できる、各省各庁の縦割りにこだわらずに人員も異動できるということが絶対に必要であるということでございます。その点で、私二つのことを提案したいのであります。  一つは、何らかの形でいまよりも人事を縦割りから開放する。たとえば中央官庁の幹部だけでも、公務員上級職を通っていま各省の採用でございますけれども、全部合わせて研修をした上で統一して採用するというような方向で検討の余地はないかというのが第一点でございます。  それから第二点は、人を動かすときにどうしても中高年の職員の方を再教育する必要が出てまいります。たとえばさっきのように、ずっと長い間穀物検査をやっておられる方に福祉行政はこれから大切だからそっちへ移ってくれという発想方法は、いままでは出てこない。合理化は農林省は農林省の枠の中でやっておられる。それを枠を超えておやりになるとすれば、各省各庁の枠を超えた再教育訓練、中高年の公務員の方の再教育訓練が絶対に必要だと思います。その点が非常にいま欠けておると私は思いますけれども、この辺について何か目に見えたことをやっていただきたいということを御提案申し上げます。  二点についてお答えいただければ、これで終わります。
  115. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 最初の問題について私からお答えを申し上げたいと思います。  公務員は、大蔵事務官とか厚生技官である前に、精神的な意味におきまして日本国事務官であり、日本国技官であるべきであると私は常々思っております。先生の御指摘も、そういう省庁間のセクショナリズムの打破、あるいは先ほど申しましたような意識、そういう問題に関連をするものであるというふうに考えるわけでございまして、公務員制度を所管する私たちの立場としては、まさにそういうことに重大な関心を持っております。  そのためちょっと事情を御説明いたしますと、現在、いま御提案になりましたような職員につきましては、その採用時において各省で発令はいたしますけれども、事実上各省の研修を行ったり各省の実務につく前に、四月の冒頭でございますけれども、総理府と人事院が共催をいたしまして合宿の合同初任研修をいたしております。この期間はまだ一週間ぐらいでございますけれども、とにかく各省の実務に入る前に、公務員のスタートにおいて政府職員としての一体感を強めるという意味において、そういう研修を実際にいたしております。  それからもう一つ、各省庁間の交流の問題が次の問題であると思います。いま先生指摘のような職員につきましては、昭和四十年に閣議口頭了解がございまして、それに基づきまして人事交流の促進に努めているところでございます。その実績においても、ほとんどの者がそれぞれ他省の仕事を実務として経験してくるという実績を積んでおりまして、これもかなり効果を上げているように思います。  そこで、先生御提案のさらに一歩というか数歩進めて一括採用という問題があるわけでございますけれども、これにつきましては現在の採用方法を大幅に変えるということでございまして、いろいろなむずかしい問題があるように思います。本人の希望なり、あるいは任命権を持っている任命権者の選択権の問題なり、そういう問題があると思いますので、なかなかむずかしい問題ではございますけれども、先生の御指摘も踏まえ、先ほど申しましたような私たちの意識もいろいろな面で加えまして、各方面とも検討、連絡の上研究を進めてまいりたいというふうに思っております。
  116. 加地夏雄

    加地政府委員 二つ目の点についてお答え申し上げます。  先生承知のように、行政管理庁では昭和四十三年から今日まで約十一年間、例の定員管理計画というものをやってまいっております。これは政府全体を通じまして、行政需要の比較的落ちておるところから定員を削減いたしまして、新しい行政需要の強いところにその定員を振り向ける、こういう問題でございます。これはいま御質問の人間の交流なり配転の問題とは違いますけれども、いわば公務員の定数全体をそういう形で再配置をやっているということでございます。そういうことは従来から実はやってまいったわけでございますが、今日私どもが非常に痛切に感じておりますのは、まさに先生が御指摘のとおり、そういう定員管理計画のほかに、省庁間を通じた人の配置転換、こういう問題を真剣に考えるべきではないか、こういうことを痛感しておるわけでございます。この一月の十六日に閣議了解をいたしました中にも新しく出てきた問題でございますけれども、部門問の配置転換について検討を始めるという一項を入れたわけでございます。これ自体はもちろん行政管理庁の所管するところではございませんが、人事局でございますとか関係省庁と十分これから話し合いを進めながら、おっしゃるようにそういった訓練施設が必要なら訓練施設を、研修が必要ならそういうものを含めて、そういうことを考えていくべき時期に来ておるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  117. 加藤清二

    加藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時四十八分開議
  118. 加藤清二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場猪太郎君。
  119. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 歴代内閣を三代にわたって見ましても、それぞれの内閣はみんな違った形ではありますけれども、行政改革というのは常にうたっていらっしゃるわけです。その間、省庁の統廃合の問題とかあるいはまた中央省庁の局、部、課等の削減、出先機関の統廃合、審議会、補助金等々の問題について行政管理庁としても熱心にお取り組みはいただいておりますが、ごく一部、自治体あたりからの補助金の申請手続等が非常に簡素化されたということに対する成果も上がっておりますけれども、全般としてはまだまだであるという認識はだれもが一致いたしておると思います。そういう中でも、特に財政的にも厳しい状況の中で、やはりむだの排除という立場からも行政改革については国民の要望は非常に高いと思いますが、なかなかやりにくい、そういう時期に長官御就任になりましたので、こういう時期であるだけに長官決意あるいはまた抱負というのは非常に大事だろうと思います。  まず最初に、長官のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  120. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいま御指摘のように、非常に厳しい情勢に置かれる現状におきまして行政改革をもっと積極的にやれい、これはやはり国民要請である、こう言って間違いないと思うのでございます。ただ、いままで、これも御指摘がありましたように、歴代内閣いずれも行政改革を唱えなかった内閣はございません。ところが、実績を見ますと、余りぱっとした成果が上がっておらない、これも事実なんでございます。  私もまだ短期間で勉強が足りませんけれども、ちょっと過去の例を見ましても非常に大きくクローズアップしましたのが例の臨調のときだろうと思うのでございます。あのときは佐藤喜一郎委員長がかなり積極的にこれの推進を図られ、またかなり原則的な事項をお決めになりました。ところが、それの実行につきましてはその後の模様を見ましてもなかなかむずかしい。四十二年でしたか三年でしたか、佐藤内閣がこれも先ほど御指摘がありましたように各省庁一局削減ということをやりました。まあこれが目ぼしいものだというふうなことでございます。一昨年の暮れに福田内閣が例の行政改革についての閣議決定をいたしましたのが、最近ではやはりかなり熱心に取り組んだ例であろうかと存じますし、ただいまはその閣議決定をもとにいたしましてこれが継続されておるわけで、それに基づいて私どももいろいろな改革に取り組んでおるわけでございます。それにこの一月に、大平内閣になりましてからさらにつけ加えた、これが現状でございます。  それじゃ、それで足りるかといいますと、これもいまの御指摘のようにもっと思い切ったものを要望される、これが一般の空気であるように察せられますので、私どももせいぜい勉強いたしましていま少しく国民の皆さん方に納得していただけるようなものをひとつ検討して打ち出したい。ただ、これ、打ち出した以上は実行しなければ意味がございませんので、余りに功を焦りましてかえって混乱を招くというようなことは、これは慎むべきである、こう考えておりますが、内閣姿勢といたしましては、この御時勢におきましては、やはり行政改革におきましてもっと積極的な姿勢をとるということでまいりたい、かように考えております。
  121. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま長官のお話によりますと、福田内閣当時のものはそのまま踏襲して、それに加えてこの一月十六日にまた新しく決意を込めて方針を発表した、こういうふうに言われておるのですが、その一月十六日に発表された内容について、この点は特に変わったところであって、いままでになかったけれどもこれは取り上げたいんだというようなところがございましょうか。  というのは、新聞によりますと、どうもいままでの福田さんの時代よりか大平さんになってから行政改革については姿勢が後退したんではないかというような印象の記事も載っております。したがって、せっかく世論として早く改革をやるべきだというにもかかわらず、そういう姿勢であれば困るということで、あえていま長官お答えをお願いしたわけですが、特に変わったところでこういう点も実効的に効果あらしめるためにやるんだということがあったらひとつお示しいただきたい。
  122. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、一昨年の閣議決定に基づきまして着実にその実行を図っておるわけでありますけれども、計画自体が五十三年度だけで完結するわけではございませんで、物によっては二年ないし三年という期間をかけてやるものもございます。そういうものは当然引き継ぎまして、新たに加えました点は、一つは、これは新しい問題と申しましょうか、ともかく機構の膨張抑制を図りつつ行政機関の整理合理化をさらに推進をするということでございまして、その中身といたしましては、たとえば一昨年の閣議決定では余り取り上げなかった問題の中で、付属機関でございますとかそういう機関について六省庁十二機関をとりあえず五十四年度に取り上げたわけでございますけれども、この問題は別に五十四年度に限らず引き続いて取り上げていきたいという点がございます。  それからもう一点は公共企業体関係の問題でございまして、いわゆる公社、現業の政府関係機関の合理化を図っていくという問題でございます。これは御承知のように昨年の六月に公共企業体等基本問題会議、その公共企業体の意見書が出されまして、御承知のようにその意見書の中身はいろいろな問題にわたっておりますけれども、その中で特に重要な問題は経営形態の問題でございました。その経営形態の変更なりあるいは運営の改善なりという問題は、まさにこれ行政改革そのものでございまして、私どもも実は昨年の六月にこの意見書をいただいて以来、公共企業体の事務局とも協力をしながらこの意見書の実現に努めてまいったわけでございまして、その結果が政府現業機関の合理化という形で出てまいっておるわけでございます。  それからもう一点は、国家公務員の人事管理の適正化という問題でございます。これも実は一昨年の閣議決定の際には、御案内のように一つの目玉といたしまして国家公務員に定年制の導入を準備する、こういうことがございまして、昨年来御承知のように政府から人事院総裁に対しましてこの御検討を御依頼申し上げておりますが、いずれそういった検討の結果が出てくることを踏まえまして、定年制の導入に関係した関連制度についてのいろいろな準備、検討を始めていきましょう、特に高齢者の職員の方々に対する対策とかそういった問題あるいはメリットシステムの導入、こういった問題はいわば新しい問題として取り上げた問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  123. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その閣議了解事項の中で何か新しく行政組織編成の改善について法律改正を伴って、付属機関、地方支分部局等の規定整理に関する法律案というようなことをお考えになっておるわけでしょうか。そのことについて概要をお示しいただきたいと思います。
  124. 加地夏雄

    加地政府委員 いま先生指摘の問題、実は私申し上げるのを落としたわけでございますが、最初に申し上げた行政機関の整理合理化の中の一環といたしましてこの法案の準備をしておるわけでございます。  概要を申し上げますと、現在各省の地方支分部局と申しますか、出先機関あるいは付属機関の内部組織と申しますか、そういう問題、あるいはそういう機関の設置の問題につきましては、各省の機関がそれぞれ非常にまちまちでございまして、ある省におきましてはそういう出先機関の、しかも支所、出張所といったような役所まですべて法律で設置をするというふうになっておるものもございますし、すでにほかの省庁におきましてはそういう設置は政令とかあるいは省令に任されておる、こういうふうに非常に区々まちまちでございます。それをいわば国の行政組織の整序と申しますか、国家行政組織法そのものに触れた改正ということではございませんけれども、全体の行政機関のそういう規定を整序する必要があるということで考えたわけでございます。しかもそうすることによりまして、一昨年来推進しております行政改革考える場合にもそういった機関の弾力的な運用と申しますか、弾力的な対応ができるようになるのではないか、こういう考え方から実は準備をしておるわけでございます。
  125. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 一面、まあ改革をするのに身軽にやれるという面もあるかわりに、一面また伸びほうだいに伸ばしやすいという欠陥も持っているというふうに指摘されておりますが、たとえば、直接それが結びつくか結びつかないかわかりませんけれども、先ほどもちょっと午前中に質問が出ましたが、一般消費税の問題について税務職員をふやさなければならぬというような問題と結びつくならば、比較的簡単に国税庁管下で人をふやしていく道をつけやすくするという、勘ぐればそういうこととも勘ぐれるような条項も入っているんじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  126. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま申し上げましたように、相当部分の機関はすでに政令か省令になっているわけでございまして、いま御質問いただきました税務署の件はすでにそういう部類に入っている問題でございます。  ただ、そういう問題を別にいたしまして、先生指摘のように、そういうものを法律から政省令に落とす場合にいわゆる歯どめと申しますか、そういうものが乱設されるおそれはないか、こういう疑問でございますが、私どもは、こういう厳しい中で、御承知のように行政機構の膨張抑制を懸命にやっているわけでございまして、そういった出先の末端の機関なり内部組織が政省令化することによってそういう全体の機構が膨張するとは考えておらないわけでございます。
  127. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 一般消費税に触れましたけれども、先ほどの長官の、願望としてできるだけそんなものをふやしたくないんだというお気持ちはわかりますが、それでは、一般消費税をいま政府は何としてでもというお気持ちのようですし、大平総理も、当初は社会党が反対なさっているような状態のときには考えるという意味のことをおっしゃったのがだんだん後退して、最近ではやはりあきらめておらないんだ、時期を見て、合意を得て出すんだというような言い方に変わっておりますし、ということになれば、当然税務職員などというものはきょう言ってあした間に合うものではありません。したがって、定数の増など増減につながるような問題、行政管理庁に対して何らかの下相談が果たしていままであったのかなかったのか、そういう事実関係についてひとつお教えをいただきたいと思います。
  128. 金井元彦

    金井国務大臣 大蔵省の方から一般消費税の問題につきまして具体的な相談は何もございません。ただ、巷間いろいろ伝えられますために、世論としていろいろな動きが起こっておる。その中には、考えておらないことまでおびえて言われる場合もあるようでございますので、私どももやはり私どもの態度というものはある程度明らかにしておいた方がいいと思って申し上げた次第であります。
  129. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 まあ長官のもとまで上がっておらないとしても、事務レベルでも、そういう作業はあったのか、ないのか。
  130. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま大臣から申し上げたとおりでございます。また、現実の問題といたしましても、仮にそういう増員問題が出てまいるというのは五十五年度以降の問題でございまして、現在の時点ですでにそういう数をあれするという話はないと思います。私ども伺っておりません。
  131. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは、先ほど福田内閣当時の方針にさらに強化してと、こうおっしゃったのですが、それにしては、たとえば特殊法人の問題等についてはわざわざ今度は全然お触れになっておらないのです。いままでの例を見ますと、三十九年を初めとして、四十年、四十二年、五十年、五十一年、五十二年とずっとやはり特殊法人問題というのは常に行政改革の中では一つの目玉的な存在として何らかの形で触れておられるのですが、今度はわざわざそれをお触れになっておらないというのは何か意味がございましょうか。
  132. 金井元彦

    金井国務大臣 特殊法人につきましては、五十二年の閣議決定がかなり具体的に詳細にわたりまして明示をしております。いまそれの実行中でございます。したがいまして、さらにこれにつけ加えてというのを今回はいたさなかったようなことでございます。
  133. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ただ、特殊法人というのは一般から見まして一番わかりやすいのですね。それを整理する、改革の方向に持っていくかいかないかというのは、やはりそのときの内閣姿勢を示す一つの指針になると思うのです。だから、あえて今度は一まあ内部的にはわかっておるのでしょうけれども、触れておらないということについては一片の疑義があるということもまた当然だと思いますので、あえてお伺いしたのですが、それじゃ、いままで以上に積極的におやりになるという気持ちには変わりないわけですね。
  134. 金井元彦

    金井国務大臣 変わりございません。
  135. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それにしましては、内閣方針をお決めになってもすぐそれを破られるというような事態も出ております。後に触れたいと思いますが、その前にひとつ特殊法人実態について、大体実態把握はどことどこが全体を把握しておるのですか。たとえば人件費のことを聞けば、これは人件費関係大蔵省だろうと言われる。人員の数とか役員の人事とか言えば、これは人事の方だ、内閣の人事だと言われる。行政機構全般について言えば、これは行政管理庁だと言われる。そこらの責任の所在というものがどうもわかりにくい。  今度この資料をお願いしたときに当たっても、委員部の方から、大体内閣の方で、人事の方でおやりになるのだろうということで、総括して何もかも掌握していらっしゃるだろうということでお願いしたはずなんですが、なかなかうまくまとまらずに、結局個々に資料要求をするという形になりました。そして、来ましたのが実は昨日でございまして、なかなか十分に点検することができる時間的な余裕がなかったわけですが、どうもその点、どこがどういうものをと責任の所在がはっきりしているかということについて明確な点がございませんので、その点をひとつはっきりとここでお教えをいただきたいと思います。
  136. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいま御指摘のように、一カ所で一括してということになっておりません。大体におきまして、各省所管の特殊法人は各省で把握をしておる。なお、人事につきましては、これも特別のものにつきまして官房長官の方でこれにタッチする。それから大蔵省予算の面においてタッチする、こういうことになっておりまして、全部を総合して一カ所でというただいま仕組みになっておりませんです。
  137. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 統括してやる仕組みになっておらないというために、改革をやろうという意欲は十分だけれどもなかなか進まないという原因が、そこにあるんじゃないでしょうか。
  138. 金井元彦

    金井国務大臣 御承知のように、特殊法人は大体数が決まっておりまして、各省どういうものがあるということはわかっておりますので、それぞれの実情に応じまして、これの改廃統合等につきましては、一昨年の暮れの閣議決定の際に総ざらえ的に一応検討されたわけなんでございまして、ただいまその線に沿って進めておる、こういうところでございます。なお、時勢の変化に伴いましてさらに必要の起こるものは、これはやっていく、こういうことでございます。
  139. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それじゃ官房副長官、官房副長官のもとでは、大体特殊法人のどの部分とどの部分まで責任を持って調整の任に当たっていらっしゃるのか。たとえば定員の数の問題であるとか、総裁、理事等の人事の問題であるとかいろいろありますね。そういうことについて、あなたの方でこことここまでは私の責任でございますというところをひとつ明確に説明していただきたいと思います。
  140. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 いま金井長官がおっしゃいましたように、給与の面は大蔵、それから組織としては行管そして官房といたしましては、御承知のように昭和五十二年の十二月二十三日ですか、特殊法人の役員の問題について閣議決定して、その調整に当たるということになっておりますので、特殊法人の役員のすべてについては一応任命権を有する各省大臣から相談を受けてその調整に当たっているということが実態でございます。
  141. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 調整というのはどの程度のことまでできるんですか。
  142. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 その当時決定いたしました選考基準に合うかどうか、もちろんそこには幾つかの原則があるわけですけれども、それに合うかどうかをわれわれのところ、官房長官のところで一応各省と協議をする、こういうことになっております。
  143. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは、いま言われた閣議決定というのがあります。それからまた、それまでにたびたび閣議了解というのがあります。その閣議了解の中にも口頭もあれば文書のもあるようですが、その閣議了解というものはどういうものであるか、閣議決定というものはどういうものかということをひとつ。
  144. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 これは法制局長官からお答えすることが一番正確かと存じますけれども、内閣の意思にかかわるものとして決定するものは閣議決定でございます。それから閣議了解というのは、そこまで至らない各省の問題であるけれども、ほかの省庁関係を及ぼすかもしれない、内閣全体として一応の意思の確認をやっておいた方がいいというようなものは閣議了解といたしております。
  145. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういう意味では、閣議決定ということは内閣方針として政治姿勢を明らかにする問題であって、それはどの程度拘束力を持つものなんでしょう。
  146. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 もちろん内閣全体の方針を拘束いたしております。
  147. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、たとえば自治省なら自治省といたしましょうか、自治省の外郭団体である団体の理事長あるいは総裁を決めるときに当たって、自治省の意見とそして行政管理庁なんかの意見とかあるいは他の省庁意見等々が調整がつかずに、そのときに内閣官房の方でもそれに反対だといったような場合、どういうふうになるんでしょう。
  148. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 内閣官房で各省庁意見を取りまとめるということでございますので、その方針に従って当然閣議の決定の精神にのっとった決定がされるということになろうと思います。
  149. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 精神にのっとったということは、閣議で決定した方針どおりに、もし官房の方が自治省と意見が対立したら官房長官の方で裁断を下された方向に行くことができるんですか。それともやはり主管の省の方が意見が強いんですか。
  150. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 閣議決定というのは各省大臣をも拘束するものと考えていいわけでありまして、そこの意思が合致しないときには当然官房の方でその取りまとめをし、各省庁の方がより強いということではございません。
  151. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは、例の公営企業金融公庫総裁をお決めになるときに、これは閣議決定方針からいきますといわば渡り歩きというのになるでしょうか。そしてまた短期間に多額の退職金などいただいて、閣議決定で決められた方針とは違った方を今度任命なさったわけですね。  具体的に申し上げましょう。公営企業金融公庫総裁をつい最近任命なさった。この方は、見ますと、本四架橋公団で副理事長として六年一カ月、七十三カ月お勤めになって、大体二千七、八百万ぐらいの退職金をおもらいになって、すぐ今度は阪神高速道路公団理事長を二年三月お勤めになって千三百万程度、合計六、七年の問に四千数百万の退職金をおもらいになった。そして今度まあ三つ目の公営企業金融公庫総裁におなりになるわけですが、もし一期だけで終わられるとするならば、いまの給料でいきますと大体千四百万見当の退職金がもらえる。二期おやりになるとその倍になるということになるわけですが、こういうふうなことが、閣議決定でこういうことはまずいというふうに言われておって、そして原則としてこういうことはやめようということでお決めになったわけですが、その原則を破られていますね。ということは、これは所管は自治省ですね。自治省の方と官房長官の方とで意思が一致したわけでございましょうか。
  152. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 御承知のように五十二年十二月二十三日の閣議決定は、特殊法人の役員の選考の基準として幾つかのポイントを決めております。そして政府としてはそれにできるだけ合致するように、その基準に合うようにやっておることは御理解いただいていると思いますけれども、特殊なケースとしては、原則として定められたものに合致しない例外的なものも全部排除するというような閣議決定ではございません。そして本当にどうしても適材適所の面から見れば、幾つかのポイントについてのそれぞれの原則に合致しないというケースもございまして、その点それに合致しないけれども例外的に適材適所の面から認められてきたということは、先生指摘のケース以外にも若干ございます。
  153. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 この場合にはあくまで例外的だ、こう言われるわけですか。そしてまた、これは行政管理庁の方でもお話には入られたわけですか。これはもう関係ないわけですか。
  154. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 かなり例外のケースでございまして、実際に閣議決定で言っておりますのは主に三つの点があろうかと思います。  一つは、たらい回しをしない。それからもう一つ、普通の役員の場合には六十五歳までとします。それからもう一つは、在任期間を普通の場合には六年、それから総裁、副総裁等のレベルの方は八年、この三つがあるわけですけれども、その三つの基準それぞれ見ましても、例外となっているものは実際上はきわめて少ないパーセンテージでございますので、例外中のものとして内閣の方でも考えたということでございます。
  155. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 例外にしなければならないような重要な要因があったわけですか。
  156. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 その公庫の性格として、また非常に重要な仕事を担当する機関でございますので、本当に人材としてどの人がいいかということをじっくりいろいろ考えた末、この人以外にはないということで決定したわけでございます。
  157. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それは内閣官房の方でも全く自治省と同意見であったわけですか。
  158. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 そのとおりでございます。
  159. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 例外だと言われるのですが、第一、この十二月二十三日の閣議決定自体でも、ずいぶん緩やかな、持って回ったような言い回しをしていますね。たとえば「特殊法人相互間のたらい回し的異動は、」となっているんですね。「的」というのはどういう意味なんでしょうか。それから「原則として」というその原則はどういうことなんでしょうか。
  160. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 できるだけその方針でやりたいというのが原則でございまして、いろいろ先生の御意見もありましょうし、この閣議決定がはっきりしないという御意見もあろうと思いますが、もう絶対的な基準を決めますとなかなか、適材適所でこの人をと思って、本当にその機構のためにこの人がいいと思ってもその人を任命できないというケースもあり得ますので、こういう表現になっているのだと御理解いただきたいと思います。
  161. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまの「的」というのはどういう解釈ですか。
  162. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 通称たらい回しと言われているようなという意味であろうかと思います。
  163. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それからまた、ほかの項に給料の問題についても「全体的に抑制ぎみ」、抑制なら抑制と書いてあればいいのですが、決定自体が「抑制ぎみに行うものとする」という欺罔的な書き方をしておるのですね。これはどういう意味でしょうか。
  164. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 給与の点は大蔵省の方がより正確だと思いますので、答弁願います。
  165. 日吉章

    ○日吉説明員 特殊法人の役員の給与につきましては、この閣議決定の趣旨を受けまして、五十二年度におきましては、上昇改定率を他の指定職なり特別職の方たちよりも抑制いたしておりますし、それから五十三年度におきましては他の指定職等と同じように、給与改定を行っておりません。そういうふうに、いろいろな民間の役員の給与というふうな状況を見ましても、その中で必ずしもパラレルではなくして抑制して決めていこう、そういうふうな趣旨で臨んでいるところでございまして、五十二年度、五十三年度はそういう趣旨で実際に措置をしてきております。
  166. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは「抑制ぎみ」というのは非常に範囲を広く解釈して言われているのだろうと思いますが、いただいた資料によると、五十二年、三年はずっと上がっておりませんが、今後も上げない方針でいくということなのでしょうか。
  167. 日吉章

    ○日吉説明員 特殊法人の役員の給与につきましては、基本的には公務部内におきますそれぞれの職員の給与等とのバランスを考えなければいけませんし、また民間企業の役員の給与なり報酬とのバランスを考えなければいけません。したがいまして、そういうふうな均衡をとりながら、今後、そのときそのときの経済社会情勢を客観的に判断しながら適切に措置をしていきたい、かように考えております。  五十三年度におきまして給与改定をいたしておりませんのは、人事院勧告に基づきまして公務部内におきます指定職の給与改定が行われなかった、そういうふうな客観情勢を踏まえまして、それと同じような措置をとったわけでございます。
  168. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それじゃ長官、この通達自体も非常に言葉があいまいな点もあり、そして原則としてという逃れ道もあるのです。  ところが、民間企業へのいわゆる天下りと言われるのは人事院規則でずいぶん厳しくきちっとやっていらっしゃる。ところが、直接政府に関係の深い公社、公団等特殊法人については、それを規制する何ものもないわけですね。先ほどのお話によると、結局閣議決定というあいまいな方針に基づいて、そして例外と原則との範囲が明確でない。基準、物差しがはっきりしてない、そういうものを基準にして特殊法人に対処していこうということになる。しかし、行政管理庁が事務的なレベルで仕事を進める上において、こういうあいまいなものでいいとお考えになるでしょうか。
  169. 金井元彦

    金井国務大臣 特殊法人の幹部につきましては、これは大ぜいの人について一定の枠でやっていくというふうなわけにはちょっとまいりかねる性質のものでなかろうか、こう思うのでございます。そうかといって、それじゃそれは野放しでいいかというと決して野放しではよくない。かようなことから、少しこの字句はあいまいでございますけれども、若干の伸縮というものを認めながら抑制ぎみにやっていこうという苦心の作でなかろうか、私こう見ておるのでございます。個々の問題につきましては、これは本当に慎重に個々に当たってやっていくべきものでなかろうか、かように考えております。
  170. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 慎重にと言われるけれども、どうもあいまいな御答弁で、物差しがあいまいであれば、それを当てはめてやっていく行政管理庁が実務をやるのは非常にむずかしいのじゃないですか、はっきりした物差しが必要じゃないですかと言っているのです。そういう意味では閣議決定だけでは本当は足りない。もし何か行政管理庁が、先ほどの基本的な姿勢で示されたように積極的にやるんだということであれば、たとえば法制化をするとか制度化するとか、何かもっと意欲的なことをお考えになっておりませんかと伺っているのです。
  171. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまのところ、画一的にという考えは持っておりません。
  172. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ということは、言葉では、総論では行政改革を熱心にやると言うけれども、そういう意図は全くないということでございましょう。そういうふうにしか受け取れませんが、いかがでしょう。
  173. 金井元彦

    金井国務大臣 決してそういう意味ではないのでございまして、特殊法人はごらんになっておわかりのように、いろいろな種類、いろいろな規模のものがございます。これを画一的にということはかなりむずかしいのではないか。これが事務員とか何かの点でありますと比較的制度化しやすいのでございますけれども、ごく限られた幹部についてのことでございますので、その点はちょっとむずかしいのでなかろうか。こう思いますが、なおひとつその点はよく検討いたしてみましょう。
  174. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 特殊法人の役員の問題について、原則があって決定自体があいまいだということの御批判をいただいておりますけれども、単に原則だからあと幾ら例外をつくってもいいという方針では私たち対処いたしておりません。個々のケースについていろいろ各省大臣から協議を受けるときに、本当にこのケースをどうしようか、原則に合致するようにできるだけやっていきたいということで、本当にこの人が各省でおっしゃるように適材の人なんだろうかということを何度も何度もやって、先生の御趣旨に沿うような方向で私たち努めているつもりでございます。  そこで一つ御理解いただきたいと思いますのは、全体として例外となっておりますのはそんなに多くなくて、それもだんだん減っております。たとえば普通、常勤で最高八年までということになっておりますけれども、九年以上となっておりますのが、ことしの一月一日現在では三十九人、四・九%となっておりますが、五十三年一月一日、一年前では四十四人、五・五%になっております。若干減っておるということでございます。それから、六十五歳以上という原則に合わないというのが昔はどれだけあったかといいますと、五十三年一月一日現在では七十六人で九・五%おりましたけれども、本年の一月一日には六十七人に減っておりまして、シニアも八・四と減っております。また、一番先生が御指摘になりましたたらい回しの件でございますが、これも五十二年の一月には六・〇、そしてその年の暮れにこの政府閣議決定が出たわけですけれども、その明けて五十三年の一月には四・九に減っておりますし、ことしの一月には四・五まで減っておる、こういうふうに努力いたしておりますことを御理解いただければありがたいと思う次第でございます。
  175. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 確かに世論の前に漸減方針をとっているのはわかります。役員の数を減らしたり、あるいはできるだけいわゆるたらい回しを減らしていこうという意欲はわかりますけれども、実際にはしかし、実績の上ではなかなか、いただいた資料によりますと、ずいぶんひどいのがありますね。  たとえば、申し上げてみましょうか。森林開発公団の総裁をやめられた方ですね。この方は水産庁長官をおやめになって八郎潟新農村建設事業団の理事長に行かれて、三年して、今度は糖価安定事業団の理事長に四年一カ月行かれた。そして森林開発公団の総裁を三年やっておられる。合計いたしますと、大体七、八年の問に約四千万くらいの退職金をおもらいになっておる。そして、八郎潟新農村建設事業団も廃止の方向をたどっていたものであり、糖価安定事業団、これも十八法人の中の一つで再考をしなければならぬというものであり、そして森林開発公団の方もいまいろいろ問題になっておる。だんだん消滅していくところをずっと渡り歩いているような例もございます。  あるいはまた、中央競馬会の理事長を六年一カ月勤めていらっしゃったこの方は、農林次官から農林漁業金融公庫総裁を四年八カ月勤めて中央競馬会、合計約五千八百万の退職金をおもらいになっておる、こんな現状。  もう一つ、まだあります。同じ中央競馬会の中でも、大日本水産会の副会長から農林漁業金融公庫七年五カ月で、これだけで五千三百七十二万退職金をおもらいになって、さらに中央競馬会の理事長六年一カ月、これを計算いたしますと約二千八百万ぐらいになるでしょうから、八千万ぐらいでしょうか。こういうものを見て、長官どういうふうに思われますか。
  176. 金井元彦

    金井国務大臣 余り感心しないことだと存じます。
  177. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 感心しないと言うだけで済みましょうか。確かに全くやっていないとは言いませんよ。退職金の率も〇・四五から〇・三六ですかに減らしたり、いろいろ努力はしておられますけれども、現実にはまだこういうものが、これはいま農林省関係だけ申し上げた、後でまた申し上げますが、こういうことに対して感心しないというだけの一言で尽きるような問題でしょうか。国民感情として、こんなものは許せないという気持ちを持つのは当然じゃないでしょうか。それに対して何らかの対策を考えようというお気持ちはございませんか。
  178. 金井元彦

    金井国務大臣 いま御指摘の点につきましては、十分検討いたしたいと思います。
  179. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 検討というのはどういうことでしょう。先ほどの長官の熱意からいうと、もういままでにやったやつをそれ以上にまたつけ加えて熱心にやりますと言われるのだから、ひょっとするとひとつまたそういう研究会をつくるとか、あるいは閣僚会議で特別にこういうものを申して、今度はああいうことを表明してなかったけれども、一月十六日の了解事項には表明してなかったけれども、もう一遍やはりこれを盛り込みたいとか、何かそういう具体的なことはお考えになるくらいの熱意はございませんか。
  180. 金井元彦

    金井国務大臣 退職金につきましては、一昨年の閣議決定の際に二割カットということを決めたわけでございまして、引き続きでございますのでさらに検討を加えたい、こういうことでございます。
  181. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまのこういう渡り歩きや退職金が非常に高額にわたることについては、この金額なんかについてはどこが中心になって抑制の方向へ、すなわち大蔵省中心になって抑制しようと思えばできることでしょうか、それとも官房長官の方と協議しなければならぬでしょうか。そういう仕組みをひとつ示していただきたいのですが。
  182. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 一応内閣方針というものの精神に合うように大蔵省の方でその問題は取り扱っておりますので、答弁をいたします。
  183. 日吉章

    ○日吉説明員 特殊法人の役員の給与なり退職金の問題でございますが、これは先生御案内のとおりあくまでも当該法人自身が決めることでございますけれども、それを決定するに当たりましては、大部分の法人はそれぞれの設置法、公団法とか公社法等によりまして主務大臣の認可あるいは承認を受けなければならない、こういうふうになっております。そういう意味で、主務大臣が認可または承認をするに当たりまして関与するということになってございます。  ただ、これらの主務大臣の認可または承認を受けるに当たりまして、主務大臣が大蔵大臣にその承認をするに当たりまして協議をしなければならないという法人がかなりございます。かなりございますと言いますのは、そういうふうに大蔵大臣協議権を持っていない法人もあるということでございます。したがいまして、大蔵省が関与し得ますのは、少なくとも法律上関与し得ますのは、そういう形で主務大臣が承認または認可をいたしますときに大蔵大臣協議をしてくるときでございます。それによりまして大蔵省は、私どもの方で協議にあずかっているわけでございますが、その限りにおきまして大蔵省では特殊法人の役員の給与なり退職金に関与していることになりますが、その場合は私どもといたしましては、先ほども申しましたように公務部内におきます処遇とのバランスとか、あるいは特殊法人相互間のバランスとか、あるいはまた民間企業の役員の給与なり退職金の状態とか、そういうふうなものを見ながら、私たちなりで少なくとも協議にあずかっているものにつきましてはある程度バランスをとりまして、この程度の限度内であるならばバランスがとれると思いますということで、協議にあずかっているわけでございます。  なお、退職金の点につきましては、先ほど行管長官からもお答えいただきましたが、昨年四月から民間の実態調査に基づきまして、百分の三十六というふうに二割引き下げたわけでございますが、これは人事院にお願いをいたしまして民間企業の役員の退職金の実態調査をしていただきまして、その調査等を勘案いたしましてやりましたものでございまして、昨年四月から変えたばかりでございまして、現時点におきましては民間とのバランスはとれているものと、かように考えております。
  184. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いままでの退職金の率を下げられたのを見てみますと、三十四年の二月十一日に〇・六五に下げた、それから四十五年の二月に〇・四五、五十三年の四月一日にいま言われた〇・三六に下げている。これはずいぶんいまの世論の進みぐあいと比べて、この間、三十四年からいままで二十年間に三回しか下げておらないのですね。その三回だけですか、そのほかでも常時協議は受けておるのですか。
  185. 日吉章

    ○日吉説明員 それぞれの特殊法人に退職金規程なり給与規程というのがございまして、それの改正をいたします場合に、改正に当たりましては主務大臣の承認または認可が必要でございますので、その承認または認可に当たりましたときに主務大臣から協議を受けまして、それによりまして協議に応ずるというふうなことになってございます。  ただ、昨年の場合には、前回改正いたしましてから時間もたっておりますし、かつまた民間もいろいろ経済情勢等が著しく変化いたしまして民間の役員の退職金に対する実態もかなり変化しているように思われましたので、私どもの方で人事院に調査を依頼いたしまして、その結果等を勘案して改正したものでございます。
  186. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ちょっとずつ食い違うのですね。このときだけ協議したのですか、常時そのほかにも協議しているのですか。常時農林省なら農林省所管の方で、毎年毎年任期が切れてかわられるときがあるでしょう、そういうときどきに相談があるのかないのか。そういうときは一切なくて、こういう率を決めるときだけ大蔵省と主管省と協議をなさるのか。
  187. 日吉章

    ○日吉説明員 どうも答弁が的確でなかったようでございまして、申しわけありません。  いま申しましたように、退職金につきましては、退職金支給規程、名称は公団等によりまして若干違っているかとも思いますが、そういう規定がございます。抽象的な基準でございますが、この基準を、設立の場合には設定する場合、それから既存の法人につきましては改定いたします場合、この改定につきまして主務大臣の認可または承認にかかっておりますので、そういうところから、主務大臣から改正の都度われわれに協議がある、かようになってございます。ですから、毎年度改定しようというふうな法人もしありとせば、われわれは毎年協議にあずかるということになります。
  188. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 過去、五十三年、五十二年は確かに給与ベースは上がっておりませんけれども、それ以前は毎年ずっとベースアップしておりますね。そうすると、そのベースアップのたびに全部協議をしてきたわけですか。
  189. 日吉章

    ○日吉説明員 御案内のように、給与につきましては五十三年度を例外といたしまして毎年改定されております。したがいまして、改定の都度協議にあずかってきております。  ただ、退職金につきましては、在職期間一カ月につき報酬月額の何%、こういうふうな規定になってございますものですから、これにつきましては毎年度協議は受けておりません。
  190. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、給与改定があるたびに一応は協議をしておるということですが、その協議は、もし大蔵省関係主管省とが意見の食い違うときがあったらどうなるのですか。
  191. 日吉章

    ○日吉説明員 仮定の問題でございますが、私どもの方は、協議を受けました場合に、数多くの法人から協議を受けることになっておりますので、各法人問のバランスがとり得るように、またいろいろバランスを勘案し得るような立場にございますので、その点はよく関係主管省と相談いたしまして、納得が得られるようになっております。私の記憶するところでは、いま先生おっしゃられましたように、主務官庁と協議官庁である大蔵省との間に基本的な意見の違いがあるというふうな事態はこれまでにはなかったのではないか、かように考えております。
  192. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いや、そういうことでなしに、もしそういった場合にはどちらの意見がとられることになるのですか。ということは、必ずしも皆相談をしてやっておられるわけじゃないでしょう。結局大蔵省だけ——各省庁とも大蔵省に集まってきて相談するわけですよ。事実上、大蔵省が給与なり退職金の率をお決めになるということになるのか、それとも各省それぞれの給与規程に基づいてやることができるようになっておるのかということなんです。
  193. 日吉章

    ○日吉説明員 最初に申し上げましたように、大蔵大臣協議権限がありません法人につきましては主務大臣限りでそれはでき得ます。ところが、大蔵大臣協議をしなければならないということになりますと、やはり大蔵大臣と主務大臣との意見の一致を見なければならないと思います。
  194. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大蔵大臣協議をしなくてもいいのはどことどこですか。
  195. 日吉章

    ○日吉説明員 個別の名称は直ちに思い当たりませんけれども、いま特殊法人としまして行管で把握されております法人数は百十三であろうかと思いますが、そのうち法律上の根拠に基づきまして大蔵大臣協議権限を持っておりますのが約六十でございます。それ以外、いわゆる政府関係機関というふうに言われておりまして国会で予算審議をいただいております法人が十五ございます。これは直接的には給与につきましての大蔵大臣協議権限はございませんけれども、当該法人の予算全体に対する査定権がございますので、そういう限りにおきまして間接的に役員の給与も査定し得る、見得る立場にございます。これが約十五ございますから、そういう意味で申し上げますと七、八十程度のものは大蔵省が何らかの形で関与し得る立場にある、こういうふうになってございます。
  196. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大蔵省が関与しないところも、大体見ておりますと百万クラスとか九十万クラスとか八十万クラスとかいうふうにランクを決めておるということは、皆右へならえをしていると思うのですが、事実上給与とか退職金についてはほぼ大蔵省がお決めになる方針がそのまま踏襲されるというふうに解釈してよろしいですか。
  197. 日吉章

    ○日吉説明員 その点につきましては、各特殊法人ともやはりいろいろなことを権衡をとりながら決定されていると思いますので、大蔵省協議を受けておりますところと同じような形で処理されているのではないかと思います。  なお、私いま行政管理庁が関与しております特殊法人が百十三と理解していると申し上げましたが、約百十のようでございまして、訂正させていただきます。
  198. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それにしても特殊法人に対する閣議了解、さっきも申し上げましたように四十年五月から五回やっておるのですね。その問やいやい言われて、四十五年から五十三年までなかなか、〇・四五から〇・三六にするまでこれだけの年数がかかっておるのです。ですから、了解事項であるとか決定だとかどんどんされても、実際にこの数字の上であらわれるのはこんなにスローモーだということですよ。ということは、言うほどになかなかおやりになろうとしないという姿勢が歴然たるものがあるのです。ですから、やっているやっていると言われるけれども、国民が望んでいるようなスピードについていっていない。非常におくれておくれて、意識的におくらしているのじゃないかと思われるような、そこまで言えば失礼に当たるかもわかりませんが、それくらいに思われるような特殊法人に対する取り組みだということが歴然といたしておりますね。  いま農林省だけで申し上げましたけれども、これだけの膨大な資料ですから、それがきのうの三時、四時ごろですから十分点検いたしておりませんけれども、たとえば国民金融公庫でもこういう例がありますね。国民金融公庫の総裁をなすっている方については、銀行局長から農林漁業金融公庫総裁四年、住宅公団副総裁一年六カ月、沖繩公庫理事長四年、そして国民金融公庫総裁。これを全部合計してみてください、どれくらいの退職金になりますか。そしてその問も、役所を退職されてから一人前になる。先ほども申し上げましたように、中にはむしろかわるたびに、かわって七十九万くらいのところから百万に給料が上がる。普通の常識で言えば二度目、三度目の勤めであれば徐々に下がっていくけれども、そういう例もあるのですが、大蔵省ももちろんですけれども、各省庁も本当にこれと積極的に取り組もうという姿勢をお持ちなんでしょうか。そういう姿がうかがえないのですが、管理庁長官どうですか。いま私が申し上げた例だけ見ても、余り熱意があるようにうかがえないのですが、だれかがこれはやはり熱意を持った者がプッシュしないとだめだと思うのです。そのだれかというのは行政管理庁及び内閣官房じゃないかと思うのですが、管理庁長官としてひとつお答えをいただきたい。
  199. 金井元彦

    金井国務大臣 いま御指摘の点でありますけれども、これは私の一つの推察的解釈も入るわけでございますが、ちょうど三十七、八年から約十年間、いわゆる高度成長期でございまして、その問の考え方と、それからその後における考え方には大分相違があるのじゃなかろうか、こう思うのでございます。特に最近世の中が非常に厳しくなっておりますし、いまの特殊法人の給与の問題につきましても、やはり注目を浴びておりますので、これは時勢に即応した行き方をすべきである、かように考える次第でございます。
  200. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  201. 加藤清二

  202. 春田重昭

    春田委員 私は最初に、行政改革の問題に入る前に、一昨日長官が、電電公社の資材の購入、調達に関しまして行政監察を行う、当初予定が七月であるけれども、指摘されたので時期的に早くやりたい、このような記者会見をなさっておるわけでございますけれども、時期的には大体いつごろなのか、どういう内容を調査するのか、最初に御説明いただきたいと思います。
  203. 金井元彦

    金井国務大臣 電電公社の資材の監察でございますけれども、これは以前に電電公社の人員の問題、それから電話料の問題等について監察をいたしまして、その監察結果を報告したことは御承知だと存じますが、引き続きまして資材の監察をする、こういう予定をいたしておりました。したがいまして、先般の日米交渉の問題等との関連においてどうこうということでございませんで、予定としてさようなことになっております。  以上でございます。
  204. 春田重昭

    春田委員 時期的には大体いつごろなのですか。
  205. 金井元彦

    金井国務大臣 大体第二・四半期ということで予定をいたしております。
  206. 春田重昭

    春田委員 電電公社はほとんど随意契約で資材を調達しているようでございますけれども、この点を、監察の点でわかった場合、契約方式というものを行管としては変えるつもりなのか、その点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  207. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 資材の購入につきましては、従来も監察をいろいろな方面でやったことはございます。その際、必ずしも随意契約が絶対悪いという立場でわれわれ考えたことはないので、随意契約がいいのか競争入札がいいのか、それはその企業なり組織の性格あるいは購入する資材の性格、それからそのときの社会情勢の環境、そういうものを全部考え合わせていかなければ決められないことだというふうに考えておりますので、この電電公社の資材関係の監察を、いま長官が申し上げましたように第二・四半期に予定しておりますけれども、いまの随意契約がどうのというようなことを予定してやっているわけでは決してございません。
  208. 春田重昭

    春田委員 それでは、行政改革の問題につきまして、順次お尋ねしてまいりたいと思います。  先ほどからいろいろな形で論議されておりますけれども、私自身今回の大平内閣における行政改革、以前の行政改革、どうしても比較対照した場合に、やはり一歩後退の感じがしてならないわけでございます。  たとえば、行政改革というものは昭和三十九年から始まりまして、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年、そして五十二年の九月、同じ年の十二月ということで行われておりますけれども、いずれにしてもタイトルは行政改革という形でうたっているわけですね。今回の大平内閣における行政改革というものは、行政の簡素、効率化という形で、タイトルだけとってみても非常に弱いのではないか、こういう感じを受けるわけでございます。従来は行政改革ということでいろいろな形でやってこられました。ところが、今回は改革という言葉は使っていない。簡素、効率化という形で若干やわらかい表現にされている。これはどういう意味があるのですか。
  209. 金井元彦

    金井国務大臣 実質本位でひとついこう、こういう気持ちがその言葉あらわれておるわけでございます。改革という言葉は、概して申しますと、機構的なにおいがかなり強い、かように思われます。それは人によっていろいろ受け取り方も違うかとも思いますけれども、今回はとにかく大上段に振りかざすよりも実質本位でいこう、これが真意でございます。
  210. 春田重昭

    春田委員 そうしたら、従来は実質的な改革をやっていなかったのかという形になるわけでございますけれども、たとえば、今回の内容を見ましても、先ほどからも論議されましたが、特殊法人の問題、それから審議会の問題、許認可等の問題につきましては、ほとんど検討という形で表現されて、前回の内容からすれば相当中身がないといいますか、薄いといいますか、全然わからないわけですね。恐らく従来の五十二年十二月二十三日のあの行政の内容に沿って、引き続いてやるということだと思いますけれども、全然というか、ほとんど触れていない、こういう点からしても、審議会、許認可、特殊法人に関しては一応めどがついたという感じがして、行管庁としては出していないのではないかという感じがするわけでございますけれども、その点どうでしょうか。
  211. 金井元彦

    金井国務大臣 先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、五十二年十二月の福田内閣のときの行政改革閣議決定というものは現存し、しかも進行中でございます。なおそれにつけ加えて、こういうことでいたしたわけでございます。特に特殊法人の問題は、一昨年の閣議決定の際に、一応総点検をしたような形になっております。その中に、廃止は決まっておるが、ただいままだ実現していないものも含んでおるわけでございます。決して後退とかなんとかというのでなしに、プラスをした、こういうふうにお考えいただけば結構だ、かように存じます。
  212. 春田重昭

    春田委員 今後この問題につきましては順次指摘してまいりますけれども、私から言わせれば、この問題につきましてはある程度めどというか、決着がついたのでという感じを大平内閣では持たれているのじゃないか、こういう感じがするわけでございます。  順次細かい問題につきまして今後質問してまいりたいと思いますが、まず第一番目に、特殊法人の整理合理化の問題でございます。この問題につきまして、五十二年の十二月二十三日に十八法人を対象に、その後いろいろ検討されてきておりますけれども、現時点におきましてはどういう形にこの特殊法人は作業を進められておるか、御説明いただきたいと思います。
  213. 加地夏雄

    加地政府委員 一昨年の閣議決定行政改革を決めました際には、五十年に特殊法人の整理合理化計画を決めましたものを引き継ぎまして、それが十八ございましたけれども、さらに三つ特殊法人を加えまして、合計二十一の特殊法人についての整理合理化計画をつくったわけでございます。そのうちで、いままでにすでに廃止したものは二つでございます。それから廃止を決めておるのは三つでございます。残りの十六法人については、たとえば事業内容の縮小であるとか、あるいは組織定員の縮減とか、そういった合理化措置を講じておるわけでございます。
  214. 春田重昭

    春田委員 この特殊法人の中に東北開発株式会社という国土庁所管の特殊法人があります。この法人につきましては、行管庁としては、昭和四十二年八月に「特殊法人改革に関する第一次意見」ということが出ておりますけれども、ここでは廃止すべきであるということで勧告されております。御存じのとおりだと思います。それが、その後五十二年の十二月二十三日では民間会社へ移行という形で、いわゆる廃止から一歩後退しております。ところが、現実にこの五十四年度に至りましても従来どおり存続されておるわけですね。民間に移行されていない。これはどういう理由なのか、明らかにしていただきたいと思います。
  215. 加地夏雄

    加地政府委員 東北開発株式会社は、御承知のように、一つはセメントとかハードボードの製造そのものの事業をやっております。それからもう一つは、東北地方の地方産業の振興を図るということで投融資事業、この二つをやってまいったわけであります。設立は、御承知のように相当古い歴史を持っておりまして、少なくとも東北地方の地域開発なり経済発展を図るために設けられたものでございます。  ところが、この東北開発株式会社は相当な累積赤字を持っておりまして、ピークのときにはたしか八十八億ぐらいの赤字を持っておったわけであります。その後、最近におきましては、セメント事情が非常に好調であるとかそういうことによって、累積の赤字を少しずつ償却してまいっておるわけでございます。  ただいま先生指摘のように、この特殊法人問題で取り上げた五十年、五十二年、それから今回の場合、その問にいろいろなそういう東北開発会社そのものの消長なり事業の実態等を見まして、今回の考え方といたしましては、まず累積赤字の償却に重点を置くべきであろうという考え方から、多少五十年あるいは五十二年の考え方と変わってまいっておりますけれども、いずれにいたしましても、東北地方の振興そのものが相当成果を上げておりますし、果たしていつまでもこの東北開発株式会社を存置しておく必要があるかどうかという点につきましては、従来と同様に考え方は変わってないということでございます。
  216. 春田重昭

    春田委員 従来の方針と変わらないということは、民間会社移行を考えているということですね。これは大体めどとしてはいつごろを考えておられるのですか。
  217. 加地夏雄

    加地政府委員 この東北開発株式会社の設置法と申しますか、法律の上では、この会社をつくりまして五十年間の存続期間がございます。その五十年の存続期間が参りますのは昭和六十一年になるわけであります。その時点までにそういった累積赤字の解消を積極的に推し進めていくということであろうかと思います。その後六十一年の時点におきまして、解消するかあるいは民間会社に移行するか、その時点において判断をしようという考え方でおるわけでございます。
  218. 春田重昭

    春田委員 内閣官房の方がお見えになっておりますが、先ほどからも論議になっておりましたけれども、総裁の任期というのは何年なのか、お尋ねしたいと思います。
  219. 栗林貞一

    ○栗林説明員 総裁の任期は一期四年でございます。
  220. 春田重昭

    春田委員 それから、たらい回しの件も先ほど話がございましたけれども、この総裁の通算任期というのは何年ですか。
  221. 栗林貞一

    ○栗林説明員 総裁の法律で決まっております任期は四年でございますが、私ども閣議決定で長期留任に制限を加えております。そういうことから申しますと、総裁、副総裁などにつきましては八年を原則とするということでございます。
  222. 春田重昭

    春田委員 この東北開発株式会社の総裁は、いっこの総裁に就任されたのですか。
  223. 栗林貞一

    ○栗林説明員 五十三年の六月五日でございます。
  224. 春田重昭

    春田委員 この総裁は、五十四年の二月におきまして、渡りでずっと歩かれまして、いわゆる通算の任期というのは何年になるか御存じですか。
  225. 栗林貞一

    ○栗林説明員 従来の特殊法人に役員としておられましたものを通算してみますと、約九年半ぐらいのものではないかと思います。
  226. 春田重昭

    春田委員 この方が九年以上たっているということは、先ほどのいわゆる閣議決定におきまして特殊法人の役員の通算任期というものは八年を原則とするとなっております。これに合わないのじゃないですか。
  227. 栗林貞一

    ○栗林説明員 先生指摘のように、確かに原則八年ということから見ますと例外というふうになるわけでございますが、閣議決定自体は、やはり原則として八年ということで例外もあり得る。これはやはり適材適所ということが基本にございまして、一応の原則を決めてはおりますけれども、私ども、閣議決定に基づきまして内閣官房協議を受けておるわけでございますが、その都度慎重に検討をし、話し合いをして決めているということでございまして、確かに例外的な措置であるということではございますが、閣議決定の趣旨も生かしながら、八年を若干オーバーしておりますけれどもやむを得ないものというふうに考えたわけでございます。
  228. 春田重昭

    春田委員 要するに、この閣議決定で通算八年と出されたのが、五十二年四月一日以降は八年以上を認めないという形になっているわけですね。ところが、いま例外的だという話がございましたけれども、この文章を読んでみれば、「役員の長期留任は、これを避けることとし、原則として、その在職期間はおおむね六年を限度とする」、一応六年が限度だ。「ただし、総裁等又は副総裁等の職にある者で特別の事情がある場合は、この限りでないが、この場合においても、原則として八年を限度とする」、普通は六年を限度とする、例外的な、要するに特別な事情があった場合に八年だ、こういうことだと思うのです。それをまた例外的だとされたら、このいわゆる閣議決定の五項目というのは全然生かされてないのじゃないですか、意味がないのじゃないですか。普通は六年、例外的で八年というふうに私は理解しているわけですけれども、どうなのですか。
  229. 栗林貞一

    ○栗林説明員 先生おっしゃいますように、まず原則は六年でございます。これは、従来は、閣議了解におきましてももう少し長目に決めておったわけでございますが、これを短くしまして六年といたしましたけれども、この閣議決定自体に書いてございままうに、やはり総裁とか副総裁、理事長、副理事長というポストにつきましては、それなりの知識経験というふうなものがどうしても必要になってくるというふうなことから、そういうグループで特別の事情がある場合にはやはり例外を認めなければいけない。しかし、そうは言いましても、基本的な適材適所、どうしても余人をもってかえがたいというような場合には、そこで全部一律に縛ってしまった場合に、法人の業務から見ても問題があり、また、適材の活用から見ても問題があるというような場合、それは個別によく協議を受けまして、それでさらに例外もあり得るというふうになっておりますし、私ども、現実の問題としましても、その点は非常に厳しく相談さしていただいておりまして、そう例外が多いというふうなことではございません。御了承いただきたいと思います。
  230. 春田重昭

    春田委員 総裁を例外としてとられた理由というのは、どういう理由なんですか。
  231. 栗林貞一

    ○栗林説明員 私ども協議を受けましたのは、東北開発株式会社は累積欠損が非常に多いという、それを解消しなければいけない、また東北地方という特定地域における問題でございますが、さらにいまの累積欠損の解消問題などに絡んで営業活動を非常に促進する必要がある、経営基盤の改善を図る必要がある、そういった非常に重要な時期に差しかかっておるということを聞いておるわけでございますが、そういう時期にどういう方がトップにお座りになるか、大変大きな問題であるということで、人選について、候補者について協議を受けまして、その方が経歴、識見、この方でないとどうしてもぐあいが悪いというふうな話をお聞きして、私どももなるほどということでオーケーしたわけでございます。
  232. 春田重昭

    春田委員 いまの説明はちょっと説得が弱いですね。要するに、理事の方だって三名おるわけです。監事の方もおるわけでしょう。どうしてもこの方でなかったらいけないといういまの説得ではどうも弱い。  先ほどお話しになりました公営公庫の総裁、この方は事務次官であって、総裁の場合は事務次官を持ってきた。ところが、あの人以外にだれもいないどいうことで公営企業公庫の総裁に座ったと聞いておりますけれども、この方に関しては、どうもいろいろ調べてみても適材適所というだけであって、ほかにそれならそういう人材がいないかといえば、ちゃんとおるわけですよ。だから説得力がどうも弱いわけです。  したがって、五十三年の六月に就任されたわけでございますけれども、どうもあいまいな形で内閣官房は認めているような感じがしてならないわけです。せっかく通算で八年ということで閣議決定していながら、それがそういう形でのまれているというのは、なし崩しにそれが崩されていっているという感がしてなりません。  これは長官、どうお考えになりますか。例外と原則という問題で、この例外措置がそういういろいろな形で見られるわけですよ。したがって、行政改革を今回はさらに引き続き強化してやっていくというけれども、こういう点で見過している点が非常にたくさんあるのではないかという感じがするわけです。長官、どうお考えになりますか。
  233. 金井元彦

    金井国務大臣 例外はきわめて厳格に解釈をいたしまして、余人をもってかえがたいというふうな場合にやむを得ざる例外と、こうすべきであろうか、かように存じます。
  234. 春田重昭

    春田委員 五十三年の四月以降、例外的な措置をとられたのは、各省庁別でなくても結構でございますが、何人ぐらいおられるのですか。
  235. 栗林貞一

    ○栗林説明員 いま手元にあります資料で、たとえば五十三年中にこの閣議決定のたらい回し的というふうな感じの面から申しますと、新しくそういうポストに任命した方について相談を受け、実際に任命されている者は、昨年一年で四人程度ということでございます。
  236. 春田重昭

    春田委員 四人程度ということでございますけれども、こういう点、行管としては把握されておりますか。
  237. 加地夏雄

    加地政府委員 前々から申し上げておりますように、行政管理庁といたしましてはそういった人事の問題については権限がございません。ただ、閣議決定推進する立場からそういった問題について大きな関心を持っておるということでございますが、具体的にはそういった意味で何ら行管としての阻止権限はないわけでございます。
  238. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても行管としてこういう大きな問題につきましてはチェックしながら、いわゆる例外、例外という形で認めていったら、本当に何のために閣議決定をやったかわからないわけですよ。そういう点で十分指導を強化していただきたい、このように思うわけでございます。  さらに、特殊法人の中に漁業共済基金というのがございますけれども、これは現段階では試験実施の状況だと聞いておりますが、どこまで検討されているのか、この問題につきまして質問させていただきたいと思います。
  239. 加地夏雄

    加地政府委員 漁業共済基金につきましては、一昨年の閣議決定の際に、御指摘のように漁業共済基金を含めて他の漁船保険あるいは共済保険関係の全体の一元化問題を見ながら措置をするということで、現在この問題についての検討がなされておるわけであります。したがいまして、三年間の期限でございますから、五十五年にはこの一元化についての何がしかの結論が出てくるであろう、私どもとしましては、その結論を見た上で共済基金のあり方を考えたいということでございます。
  240. 春田重昭

    春田委員 三年間の試験期間というのは五十二年からじゃないですか。五十三年度からですか。
  241. 加地夏雄

    加地政府委員 失礼いたしました。五十二年から三年間でございますから、五十四年度で三年目になるわけでございます。
  242. 春田重昭

    春田委員 ということは、今年度いっぱいである程度の試験状況を見て結論を出す、こう理解していいわけですね。
  243. 加地夏雄

    加地政府委員 そのとおりでございまして、農林水産省と相談しながら決めていきたいと思っております。
  244. 春田重昭

    春田委員 それから次に、糖価安定事業団と日本硫安輸出株式会社という両法人がございます。この両法人に関しましては引き続き検討という形になっておりますけれども、今日までどのような検討がなされているのか、御説明いただきたいと思います。
  245. 加地夏雄

    加地政府委員 糖価安定事業団の御指摘でございますが、この問題を取り上げましたのは昭和五十年度とそれから五十二年でございまして、その時点における、最初に糖価安定関係の問題を多少申し上げたいと思いますが、五十年に十八法人の中に糖価安定事業団を取り込みました時点におきましては、御承知のようにオイルショック後の非常に全体に物価が高騰した時期でございまして、特にこの時期におきましては国際糖価が非常に高い時期でございました。先生御案内のように糖価安定のための機能を果たすべき糖価安定事業団が余りにも国際糖価の高騰のために買い入れ機能を停止をした、こういう時期でございました。その時期から、御承知のように五十二年ごろになりますと、当然そういった国際糖価もおさまりまして、通常の糖価安定関係の買い入れなり、そういう事業ができるようになったわけでございます。たしかその再開が始まりましたのは五十一年の十月からでございます。そこで、糖価安定事業団をどうするかということを決めました五十年の際には、そういった糖価安定事業団の調整機能が働かないような時期でございましたので、そういった糖価安定の機能そのものを含めてこの事業団のあり方を検討する、こういうことを決めたわけでございますが、その後、いま申しましたように五十二年の時点におきましては正常なそういう調整機能が働いておりますので、いましばらく糖価安定事業団の事業状況を見た上で判断をしたい、こういうことで五十一年の三月には引き続き検討をする、こういう形にしておるわけでございます。  硫安輸出株式会社の場合も、御案内のようにこの株式会社がいわゆる硫安の輸出関係を一手に担当いたしまして、その目的は国内農業の保護であるとかあるいは国内の農家が使う肥料の安定需給と価格の安定を図る、こういう目的でつくられたものでございます。日本硫安株式会社の取り扱いにつきましては、昭和五十年の十二月の閣議了解を受けまして、その廃止について可否を検討してまいったわけでありますけれども、実はその硫安株式会社の存続期限昭和五十九年の六月に参るわけであります。いまは非常に需給関係は緩んでおりますけれども、またそういったいろいろな今日の経済状況の中で逼迫するおそれがあるのではないかというふうな問題とか、あるいは最近の経済不況の中で硫安関係の産業が構造不況業種の指定を受けまして、全体として生産関係の問題についても非常に問題が多いというふうな状況がございます。そこでその間、私どもはそういう国際需給関係の問題であるとか国内生産産業の問題であるとか、そういうことを見ながら検討してまいったわけでありますが、この株式会社の期限が切れるものでございますので、とりあえず五年間の延長を認めようということにしたわけでございます。  答弁が非常に不十分で申しわけありませんが、この不況業種の関係の指定は五十九年まで続くわけでございまして、そういう構造不況産業の指定期間の問題等、一方において存続期限が切れるという状態がございますので、いましばらく全体の状況を見ながら判断をしたいということで、引き続き検討したいということにしたわけでございます。
  246. 春田重昭

    春田委員 最初の糖価安定事業団でございますけれども、これは先ほど説明あったように昭和四十九年のオイルショックのときに廃止すべきじゃないかという声があった。その後安定してきた。五十一年、五十二年、五十三年の三年間も一応安定してきているわけでしょう、国際的には。そういう面から言ったら、引き続き検討も結構でございますけれども、ある程度めどを、線を出すべきじゃないか、このような感じを持っているわけでございますけれども、どうでしょうか。
  247. 加地夏雄

    加地政府委員 先ほど申し上げましたように糖価安定事業団の機能に着目をいたしまして、糖価の安定を図る機能が十分であればむしろ現在の機能を存続すべきではないか、こういう前提でございますが、五十年に取り上げましたときは全くその機能を喪失しておった。それが今日の時点になりまして正常な機能に戻っておるわけでございまして、そういう事態に着目いたしまして引き続き状況を見ながら検討したい、こういうことでございます。
  248. 春田重昭

    春田委員 だから、要するに存続か廃止か、三年間一応検討してきたわけでしょう。そういう点から言ったら、ある程度の線といいますか、これを出すべきじゃないか。というのは、事業団の方たちも、引き続き検討だったら仕事に対して意欲がわかないのじゃないですか。そういう点では明確にすべきであるという私の考え方なんです。どうでしょうか。
  249. 加地夏雄

    加地政府委員 ちょっと私の御説明が不十分でございましたが、糖価安定事業団のそういう調整機能の状況を見ながら、一方においていまの糖価安定事業団の事業のほかに全体の糖価安定事業をどうするかという問題があるわけです。そういう問題の検討の中で糖価安定事業団そのもののあり方も検討する、こういうことでございましたので、今日の事態におきましてかつての五十年当時のような事態もある程度頭に入れた上で糖価安定事業そのものをどうしていくか、こういうことを現在検討しておるわけでございますが、その中で事業団そのもののあり方も考えたい、こういうことでございます。
  250. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても検討検討で三年来ているわけですから、ある程度の線を出すべきじゃないかというのが私の考えでございます。  それから、日本硫安輸出株式会社でございますけれども、いまの説明では、不況業種に指定されまして五年間存続が決まったという話でございますけれども、これは間違いないですね。
  251. 加地夏雄

    加地政府委員 先ほど私、五十九年と申し上げましたが、この数字は間違いでございまして、五十四年度で切れるわけでございまして、現在関係省でこの法案を再提出する準備をしておりまして、これから国会の方に御提案をしたい、こういうことでございます。
  252. 春田重昭

    春田委員 それから、日本住宅公団でございますけれども、この宅地開発部門を宅地開発公団に移管するという作業があるわけでございますけれども、これはどこまで進んでおりますか。
  253. 加地夏雄

    加地政府委員 住宅公団の宅地開発部門と宅地開発公団の宅地部門との統合と申しますか、宅地開発部門を宅地開発公団の方に集める、こういう閣議決定がなされておるわけでありますが、閣議決定の中でもございますように、これはすでに住宅公団では相当な歴史を持ちまして宅地開発の事業もやってまいっておりますし、いますぐというわけにはいきませんので、できるだけ速やかにそういう統合の条件整備をした上で統合しましょう、こういう閣議決定になっておるわけでございます。私どもそういう意味で、今後関係省庁と話を詰めてできるだけ早くそういう成案を得たい、こういうふうに考えております。
  254. 春田重昭

    春田委員 五十二年に答申されまして、昨年は聞くところによると公団の家賃の値上げの問題、公団と自治協の間で家賃戦争というものがあったわけでございまして、そういうことに振り回されましてほとんど検討されてないと聞くわけでございまして、そういう点から言ったら昨年一年間は手つかずの状態ではないかと思うのです。こういう点も行管としてはやはり強力に指導すべきである、こういうことでございます。  いずれにいたしましても時間がございませんので、そのほかの問題もやりたいわけでございますが、先ほどから論議になっておるように、特殊法人というのは行政改革の大きな目玉じゃないかと思います。そういう意味から言ったら、まだまだ検討すべき項目がたくさんございます。そういう点では、行管としては、いわゆる特殊法人の統合廃止という問題は各省庁の利害が非常に絡んでいるものですから、非常に抵抗も大きい。それだけに真剣にやらなかったら、また勇断をもってやらなかったらできない問題だと思うのです。鬼になったつもりでひとつこの特殊法人の整理合理化に取り組んでいただきたい。  最後に長官特殊法人に対する決意というものを聞いて、この問題については終わりたいと思います。
  255. 金井元彦

    金井国務大臣 特殊法人の統廃合等につきましては、いまお話しのように注目をされておるところであります。なおまた、いままでの説明でもいろいろな事情がありまして、なかなかてきぱきと運びかねる点もございますけれども、これは積極的に推進するように努力をいたしたい、かように存じます。
  256. 春田重昭

    春田委員 学校給食会もやる予定でございましたけれども、時間がございませんので、文部省の方、せっかくおいでになったのですが結構でございます。  次に、審議会の問題につきましてお尋ねしたいと思いますが、この審議会の整理統合という問題があるわけでございますが、行管としてどこまで作業を進めているのか、簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
  257. 加地夏雄

    加地政府委員 一昨年の行政改革の際に審議会一つの柱として取り上げまして、四十八の審議会を統廃合し、また審議会委員構成についても改善を図る、こういうことで実は昨年の通常国会に審議会整理の一括整理法を国会に御提案申し上げまして可決成立をさせていただきまして、現在実施段階に入っているわけでございます。  なお、審議会委員構成の問題は、もうちょっと詳しく申し上げますと三つほどございまして、一つ行政機関の職員が審議会委員になっている問題をどうするか、それから大臣が会長になっておる審議会大臣の会長制をどうするか、それからもう一つは国会議員の先生方がお入りになっている審議会委員の形をどうするか、この三つの問題がございまして、最後の三番目の問題、これは私ども行政機関としてとやかく申し上げる問題ではございませんので、国会の御判断をいただくということで、これはそのまましばらく見送る形になっております。  それでその前の二つの、行政機関の職員を審議会委員から外すという問題につきましては、これは物によりましてはどうしても外せないという問題もあるわけでございます。と申しますのは、行政機関の職員であってもそれはある事業の事業責任者であるという場合、具体的に申し上げますと、たとえば社会保険審議会のような場合で政府管掌の保険者という立場で入っているような場合がございます。そういう場合は外せませんので、一般的な形で入っている各省の行政機関の職員は審議会から出ていく、審議会から外していく、こういう形にしてやってきたわけでございます。この実施率はもちろん高くございまして、ほぼ私どもは目標どおりの達成ができたのではないかと思っております。  それから、大臣が会長になっていらっしゃる審議会、審査会等の問題でございますが、これも約半分ほどは先ほど申し上げました前回の審議会整理の際に整理をいたしまして、約半分近くが現在残っております。これはなぜ残っておるかと申しますと、一つ審議会の格式と申しますか、かつて三条機関であったものが八条機関になっているというようなケースもございましょうし、それから特定の省庁だけの問題じゃなくて、政府関係相当広く事項がまたがるというような場合もございまして、そういう部分についてはなかなかまだ会長から外すというわけにいくまいというふうなことで、これも約半分程度はすでに実施をいたしておるということでございます。
  258. 春田重昭

    春田委員 昨年の審議会の整理統合ないし委員構成等の改善、これは私も一定の評価をするわけでございますが、ことしの閣議了解の中には審議会の整理統合といいますか、改革につきましては全然触れてないわけです。これは四十八審議会につきまして昨年手をつけられたわけでございますけれども、もう大平内閣においては、また金井長官の時代においては審議会には手をつけない、こういうことでございますか。
  259. 金井元彦

    金井国務大臣 そうではございませんでして、五十二年十二月の閣議決定プラス本年一月の閣議了解、こういうことで、手をつけなかったものにつきましてもできる限り実行できるものは推進したい、かような気持ちでございます。
  260. 春田重昭

    春田委員 ということは、事務局段階で四十八審議会を一応昨年整理統合をしましたけれども、それ以外でも検討する審議会等をそちらの方では拾い上げているわけですか。
  261. 加地夏雄

    加地政府委員 先ほど申し上げましたように、前回のときの審議会整理は一応のめどはついておりますけれども、私どもはこれだけで十分であるとは思っておりませんし、今後とも必要があれば審議会の見直しもやりながら、さらに改革をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  262. 春田重昭

    春田委員 その見直しの作業というものは、実際行われているのですか。
  263. 加地夏雄

    加地政府委員 一昨年の行政改革計画で盛られた審議会の整理は、これは一応完結したわけでございます。私が引き続いて検討申し上げますと申し上げたのは、今後これから審議会の運営実態その他を見ながら、もし引き続いてそういった審議会の整理が必要があれば検討していきたいということでございます。したがって、いますぐどうという問題になりますと、もしやるとすればこの一月十六日の閣議了解に入れるべきでございますから、その意味では当面いますぐ審議会をさらに整理をしていくというつもりはございません。
  264. 春田重昭

    春田委員 ということは、審議会につきましてはまだその作業にはかかってない、手をつけてない、こう理解していいわけですね。
  265. 加地夏雄

    加地政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  266. 春田重昭

    春田委員 そこで私は、各省庁審議会のいわゆる開催回数を全部調べたわけでございますけれども、昨年四十八審議会整理合理化をやりました。これは評価いたします。しかし、現在それ以外の各審議会ないし審査会というものがありますけれども、私はこの内容を調べたとき、五十一年度、五十二年度、五十三年度、総会ないし部会というものがあるわけでございますが、三年間全く総会もなし部会もなしという審議会ないし審査会があるのです。たとえて言うならば、総理府所管の公務員制度審議会、これは三年間全く開かれていない。それから選挙制度審議会、これもゼロでございます。それから大蔵省関係の関税不服審査会、これも三年間全くゼロ。文部省所管の臨時大学問題審議会、これも三年間全く開催なし。厚生省、中央優生保護審査会、これも三年間全く開かれておりません。それから農水省の中央生乳取引調停審議会、これも三年間ゼロ。それから通産省の情報処理振興審議会、これも三年間ゼロ。それから建設省の公共用地審議会、これも三年間ゼロ。いわゆる都合八審査会ないし審議会があるのです。  それから、三年間でたった一回だけ開かれたという審議会もあるわけでございまして、これは総理府では国土開発幹線自動車道建設審議会、歴史的風土審議会。それから国税庁の国税審査会。それから水産庁の真珠養殖事業審議会、同じく輸出水産業振興審議会。それから通産省の輸出保険審議会、同じく製品安全及び家庭用品品質表示審議会。それから運輸省の鉄道建設審議会。これも八審議会ないし審査会があるわけです。いろいろな事情があると思いますよ。突発的な問題が起こったときに審議会ないし審査会を開くという会もあります。ところが、三年間も全くこういう形で開かれてないし、開いても一回だけ。  こういう審議会、審査会のいわゆる存在価値は全然ないじゃないですか。こういう点を行管としてはメスを入れて、そして各省庁に、どうなっているんだ、必要なのか、こういう点をやっていくのが行管庁のいわゆる立場であり、使命であり、役割りではないのですか。どうなんですか。
  267. 金井元彦

    金井国務大臣 おっしゃるとおりだと存じます。
  268. 加地夏雄

    加地政府委員 御質問に対するお答え大臣の申し上げたとおりでございますが、ただ数字の関係で若干補足して申し上げますと、ただいま先生指摘になりました三年間に全然審議会を開いてないという審議会の中に、これは相当、不服審査でございますとかあるいは紛争の処理のためのものがあるわけでございます。こういったものは、やはり法律の規定に基づきまして、一たびそういう案件が起これば必ずそういうものを開催することになるわけですけれども、だが結果から申しますとそういう形が紛争がないということにすぎないわけでございまして、そういう形のものがいま御指摘の中に相当含まれておると思います。  それからそのほかにもまだ審議会の整理は進行中でございまして、この年度末までに整理をする分もございまして、いま御指摘の中にも一部今回の整理対象の中に入っているものもあると思います。
  269. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、このような審議会、審査会はもう一回見直す必要があると思うのですよ。たとえいわゆる審議会を開催したとしても、委員の出席の問題ですね、こういう点で果たしてその委員全体のうち何名が出席しているかという出席回数の問題、こういう点もあると思うのです。そういう点からしたら、私は審議会というものはもう一回やはり見直すべきである。ところが、今回の閣議決定の中には審議会の問題は全然触れてない。そういう点からいったら、もう四十八審議会で一応決着がついたんだという見方をされているんじゃないか、こういう感じがしましたから冒頭そういう話になったわけでございまして、やはり審議会というものにつきましても、これは世論のいろいろな厳しい批判の声があるわけでございますから、もっと見直して、メスを入れていただきたい、このことをお願いするわけでございます。  それから、許認可の問題でございます。許認可の問題につきましては、福田内閣のときに千二百四十事項のいわゆる整理合理化を行うということで鋭意作業をされていると思いますけれども、この内容につきまして簡単に御説明いただきたいと思います。
  270. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 一昨年十二月末の閣議決定で千二百四十事項、先生指摘の数字を措置するということが決まりました。これで五十三年十二月末までに八百三十八事項措置済みでございまして、残りがその差し引きでございますが、大体六八%達成しておるというふうに考えております。残りにつきましてはもちろん鋭意これを達成すべく努力中でございます。
  271. 春田重昭

    春田委員 五十三年度じゅうに千二百四十事項に関しまして措置していく、現時点では六八%の措置率だ、こういうことでございますけれども、私の手元にある資料からいきましたならば、平均では六八%でございますが、この中で特に運輸省と通産省が平均以下になっていますね。特に通産省は、平均措置率が六七・六%なのに通産省だけは二七・八%、目標二百十二に対して五十九ということできわめて悪いわけでございますけれども、これは何らかの理由があるわけでございますか。
  272. 小松国男

    ○小松政府委員 お答えします。  先生指摘のとおり、通産省の関係では一昨年の閣議決定によりまして許認可関係の整理は二百十二事項について行うことになっておるわけでございますけれども、昨年の十二月末までに行いましたのは五十九事項ということで、非常におくれておるわけでございます。ただ実際には、通産省関係の許認可の内容は貿易関係とか保安関係とか、関係部局それから実際にそれを廃止しました以降の問題について慎重に検討するために審議会に諮るとか、そういう手続面その他で非常に時間がかかる問題もございまして、そういうことで昨年十二月末では五十九事項と非常におくれておるわけでございますが、その後、ことしに入りましてすでにさらに十五事項の整理を終わっておりまして、すでに七十四事項を達成しております。残り百三十八事項があるわけでございますが、昨年来ずっと検討しておりまして、内容的にはほとんど詰まってきております。あと最終的な政省令の改正、こういう手続面が残っておりまして、閣議決定の最終期限でございます本年の三月末日までにはこの閣議決定にございます二百十二事項全部について合理化、整理を完了する予定にしております。
  273. 春田重昭

    春田委員 通産省は間違いないという話でございますが、その他の省庁につきましては行管としては間違いなく三月いっぱいに、あと一月しかございませんけれども、達成するという見通しはついているわけですか。
  274. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、各省庁とまだ詰めを急いでいる、鋭意やっている最中でございまして、各省庁どういう事情にあるか、完全に把握できてない面もございますので、ただ私どもとしましては鋭意努力中であるというところでございまして、一応そういうことになっておりますので多分いけるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  275. 春田重昭

    春田委員 そんなのんきなことを言ったらだめですよ。あと一月しかないのですよ。これはやっていると思いますというそんな他人的な物の言い方をしないで、あと一月しかないが間違いないかという各省庁に対する強力な指導というのは必要じゃないんですか。
  276. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 年度末までに達成すべく努力していっております。
  277. 春田重昭

    春田委員 時間がございませんので次に移りますけれども、この中で地方公共団体への権限の移譲の問題があるわけでございますが、最近・地方の時代ということで地方自治体が非常に見直されているわけでございます。そこで、国の権限を地方公共団体へおろしていく、これが住民サービスにつながるということであちらこちら声が上がっているわけでございますけれども、最近新聞報道によりますと、自治体が国に先がけて、いわゆる都道府県が市町村へおろしていくというケースもあるみたいでございます。国の権限を地方公共団体へおろしていくということは、時の流れといいますか、いわゆる住民サービスの点から見てもいわゆる行政の多様化の中におきましても非常に必要ではないかと思うわけでございますけれども、今回の内容を見ますと非常に少ない、このように私は感じるわけでございます。今回、三十六、地方公共団体に権限をおろす、そういう予定をなさっているみたいでございますが、これはもっとふやすべきじゃないか。広島県なんかは一千件くらいのいわゆる許認可の事項がある、そのうち大体二百くらいを対象として、すでに六十項目ぐらいを今年度と来年度ですか、合わせてやっていくということで、非常に意欲的でございます。そういう点から言ったら国の権限を地方団体へおろしていくというのは非常にスピードが遅いというように感じますけれども、この点につきましてはどうでしょうか。
  278. 金井元彦

    金井国務大臣 権限を地方へ移譲するということは、私、方向としてやはりその方向を推進すべきである、かように考えております。  ただ、中央省庁が自分の仕事につきましてはきわめて熱心でございまして、末端に至るまでみずからというふうな少し熱意過剰の点もあるようでございますので、この点はよく話し合いをいたしましてできるだけ移譲の方向で進めたい、かように考えます。
  279. 春田重昭

    春田委員 長官は国会議員になる前は兵庫の知事さんだったと聞いておりますし、本当に知事時代はこういう点を叫んでおられたのじゃないかと思うのです。そういう点では一番実態を知っているのは長官であると私は思うわけでございまして、そういった点から言ったら、地方に権限を移譲するという問題については積極的に進めていただきたい。ただ、権限だけを与えて財政的な裏づけがなかったら何にもなりませんから、それもかみ合わせた中の権限移譲ということを特に要望して、ちょっと時間がございませんのでこの問題につきましては終わりたいと思います。  最後に定員の問題があるわけでございますが、国家公務員の定員は総定員法というのがありまして一定の枠があるわけでございます。今回のこの定員の膨張という問題につきまして、行管としてはいろんな手を尽くされているみたいでございますけれども、この定員の管理という問題につきまして行管庁としてはどういう手を打たれているのか、指導なされているのか、この点御説明いただきたいと思います。
  280. 金井元彦

    金井国務大臣 定員の管理につきましては、いまも御指摘のございました総定員法というものを厳守いたしまして、各省庁に対しまして計画的にその削減を図っていく。一方において増加すべきものがございますから、どうしたって一方で削減をしていくということをやっておる次第でございます。御承知のように、ただいま第四次の計画に基づいて実行中でございます。
  281. 春田重昭

    春田委員 そこで、地方事務官を今回廃止していくという案が出ております。これは五十二年十二月の閣議決定で、運輸省所管の陸運事務所の職員の方を運輸事務官に移行する、こういうことでございますけれども、この方たちが数千名おると思うわけでございますが、その方たちも含めて、いま総定員数という枠がございますけれども、この中へはめ込んでいくというお考えなんですか。
  282. 加地夏雄

    加地政府委員 御案内のように、現在道路運送車両法の改正ということで運輸省の車検関係の職員を運輸事務官にする、地方事務官の解決を図るということで御提案を申し上げておるわけでございます。それと総定員法の絡みを申し上げますと、その改正法の附則で、国の公務員になる部分は現在の総定員法五十万六千人の上に上積みをする、こういう形にしてあるわけでございます。ですから、それ以外に社会保険とか労働保険の問題が別途ございますけれども、当面運輸省の問題に限って申し上げますならば、それは現在総定員法の枠外にある、いわゆる附則八条職員という形でいたわけでございまして、いわば箱の移しかえと申しますか、附則八条の定員の中にいた者を国家公務員の総定員法の定員の方に移しかえる、こういう形で考えているわけでございます。
  283. 春田重昭

    春田委員 現在の総定員法という枠がございますけれども、実員はそこまで達してないわけですね。五十万六千五百七十一名ですか、そこにはめ込むんじゃなくて、それにプラスとしてこの運輸事務官という形でいく。これは運輸事務官の数だけをプラスしていく、こういう考えですか。
  284. 加地夏雄

    加地政府委員 そのとおりでございます。
  285. 春田重昭

    春田委員 わかりました。  そこで、いま審議官のお話がありました厚生省の社会保険関係及び労働省の職業安定関係の両地方事務官制度につきましても二年以内に廃止していく、そしてそれぞれの国の事務官に上げていく、こういうことでございますけれども、この二年以内ということは、決まったのが五十二年ですから五十四年、ことしいっぱいでそういう方向に持っていくということですね。
  286. 金井元彦

    金井国務大臣 おっしゃるとおりでございます。ただ、問題はやはり非常に意見の対立がございまして、目下その調整ということで苦労をいたしておるような次第でございます。
  287. 春田重昭

    春田委員 その意見の対立というのはどういうことですか。
  288. 金井元彦

    金井国務大臣 国家公務員の方に持っていくべきか、それとも地方事務官とすべきかという点につきまして、意見の合わない点があるわけでございます。その点についてただいま調整をいたしておる、こういうことでございます。
  289. 春田重昭

    春田委員 それは厚生省か労働省か、どちらですか。
  290. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま大臣が申し上げたとおりでございますけれども、若干補足して申し上げますと、この地方事務官の問題は先生御案内のように単に職員の身分移管の問題だけではなくて、現在やっている事業そのものをどうするかということも非常に絡んだ問題でございます。それで、いまいろいろ意見があると申し上げましたのは、これは厚生、労働それぞれの関係省もそうでございますし、またそれぞれの関係省におります労働関係におきましても、いろんな意見が実はあるわけでございます。そのほかの関係方面も含めまして、それぞれ非常に意見に隔たりのある問題があるわけでございます。そういうことをいま大臣が申し上げたわけでございます。
  291. 春田重昭

    春田委員 いずれにしてもむずかしい問題があると思いますが、時間がございませんのでそれ以上聞いてまいりませんけれども、二年以内に廃止するということになっているわけでございますから、行管としてはこれは強烈に指導していくべきじゃないですか。大臣決意を聞きます。
  292. 金井元彦

    金井国務大臣 極力努力したいと存じます。
  293. 春田重昭

    春田委員 それから、行政監察局の問題でございますが、これは先ほどいろいろ各委員から質問がございました。この監察官の問題は、現在人数が非常に少ないと聞いております。いまこの監察官は大体何名くらいいるのですか。
  294. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 本庁に監察官十一名でございます。
  295. 春田重昭

    春田委員 その十一名の監察官が、それぞれの特殊法人審議会や許認可、また各省庁のいろんな問題等を監察していくわけでございますけれども、これだけの人数で十分機能が発揮できますか。
  296. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 機能を発揮するよう努力しております。
  297. 春田重昭

    春田委員 努力するのはわかりますけれども、現在この監察官十一名の体制で現在までもやってきたし今後もやれるという自信がありますか。
  298. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 自信があるかと聞かれますと非常にお答えしにくいのでございますけれども、自信があるような仕事をすべく努力しております。
  299. 春田重昭

    春田委員 どうもいまの答弁では自信がないみたいでございますね。もっと数をふやしてくれということを率直に言ってもらった方がいいわけでございまして、たとえば一つテーマを監察する場合にどういう作業になっていくのか、お答えいただきたいと思います。
  300. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 監察官の部屋は、常日ごろ自分の担当のところをよく勉強しているわけでございますが、実際にいろいろと各方面からの意見等を勘案しまして、あるテーマにつきまして監察をするということが決まりましたら、集中してそれをさらに勉強するわけでございます。それで勉強の期間は数カ月、大体三、四カ月というふうに考えております。実際に調査をいたすのが大体三カ月、それで取りまとめに三、四カ月というのが大体中央計画監察と呼ばれている本庁の計画に基づく監察。それで、管区局、地方局とわれわれは言っておりますけれども、そういう出先の行政監察局に仕事を流してやっていく場合の大ざっぱなパターンでございます。そのほかいろいろ機動的にやるものもございますし、また急に問題があった場合にはそれを取り扱うということも随時やっております。でございますので、監察、いわゆる正規の監察だけでなくて随時そういうような仕事はございますけれども、いま申し上げましたのがいわゆる中央計画監察のパターンでございます。
  301. 春田重昭

    春田委員 そこで、昨年の十月の月報によりますと、特殊法人の総合実態調査をやるようになっておりますね。この中では公団等を七カ所ですか、石油公団、船舶整理公団、新国際空港公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団、宅地開発公団、こういう形で七カ所やる予定になっておりますけれども、このいわゆる特殊法人の総合実態調査というのは昨年が初めてですか。
  302. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政機関等総合実態調査と私ども呼んでおります。その行政機関等の中に特殊法人を含めて考えておるわけでございますけれども、特にそういう実態調査を名前を挙げて仕組んだのは、五十三年度が初めてでございます。もちろんその特殊法人その他につきましても従来ともいろいろな監察の関係で拝見したことは十分ございますけれども、特にそういう調査を仕組んだのは初めてでございます。  それで、五十三年度の特殊法人の分は公団をやろうということで、先生いまお話しのとおり、第三・四半期に七公団、第四・四半期に七公団、全部で十四公団を拝見することになっております。公団は現在十六あるわけでございますので、十四、ほとんど全部を二つの四半期をかけて見るというふうに仕組んでございます。
  303. 春田重昭

    春田委員 これは、一年かかってこの十四公団を全部実態調査する、こういう意味ですか。
  304. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 いま私が御説明申し上げましたのは、特殊法人を特に実態調査として仕組んだのは五十三年度が初めてで、第三・四半期に七公団、第四・四半期に七公団ということで、半年で十四公団を拝見するという計画にしております。もちろんその後取りまとめが来年度にずれ込んでくるわけでございますけれども、そういうふうに仕組んでおります。
  305. 春田重昭

    春田委員 だから、前半の期間に七公団やるわけでしょう。これが最終的に、現地調査もやるでありましょうし、それぞれ調査した段階勧告もするでありましょうし、それは行管庁としては大体どれくらいの期間がかかるのですか。
  306. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 第三・四半期にやりました七公団は私ども本庁の監察局だけが調査をしておりますが、第四・四半期にやっております七公団につきましては、公団の出先を見る意味もございまして、私どもの出先である管区行政監察局、地方行政監察局調査を一部流しております。そういうものを全部ひっくるめまして来年度に取りまとめていくということで、取りまとめにやはり数カ月かかるのではないかと考えております。
  307. 春田重昭

    春田委員 ということは、通算してどれくらいかかるのですか。一年ぐらいかかるのですか。
  308. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 取りまとめまで九カ月ないし十カ月あるいは十一カ月程度と考えております。
  309. 春田重昭

    春田委員 現在の特殊法人は百十一ございますね。これはこういう形で手始めとして公団を手がけられたわけでございますけれども、この百十一の特殊法人全部に対して今後計画的に総合実態調査をやるという計画なのですか。
  310. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 来年度以降につきましてどういうふうにやるかということはこれから考えるわけでございけれども、目安的な話としまして事業団を順次手がけていくということにあるいはなろうかと思います。そのほかの特殊法人もあるわけでございますけれども、全部をやる必要があるかどうかということもまたその検討の課題でございますので、今後関係省庁あるいは関係各方面の意見をヒヤリングなり何なり勉強いたしまして、どういうような事業団をやり、どういうような特殊法人をやっていくかということはこれから考えていくわけでございますけれども、行政機関等総合実態調査という調査を仕組んだ以上、なるべくローテーションを組んでいって何年かで全部を見ていく——全部というのは必ずしも全部オールオーバーに見るということはございませんけれども、必要なところは見ていくというふうに考えております。
  311. 春田重昭

    春田委員 たとえば特殊法人の総合実態調査でございますけれども、監察官が十一名いますね。この十一名の何名かがプロジェクトとしてやっていくのか、その一名の監察官のもとに何名かが集まってやっていくのか、これはどういう形態でやっていくのですか。
  312. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 現在本庁の監察官の部屋は、多い部屋少ない部屋ございますけれども、監察官を含めまして六名から十一、二名程度でございます。
  313. 春田重昭

    春田委員 いわゆる一監察官のもとに六名ないし十名の部下の方がプロジェクトとしてついてやっていく、こういう形ですね。
  314. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 そのとおりでございます。
  315. 春田重昭

    春田委員 大臣、監察官が非常に少ないのじゃないか。たとえば特殊法人を一監察官がやるわけでしょう。十カ月と言いますけれども、大体一年かかると思います。一年間で十四法人をやるとしても大体七年ないし八年間かかってしまうわけですね。そういう点から言ったら、いま特殊法人の見直しといいますか問題点について世間から非常に厳しい批判の声が上がっておるわけでございますので、監察官というのはもっと拡充していく必要があるのではなかろうか。  これは話が別になりますけれども、いま航空機の汚職の問題がございます。なぜアメリカから資料が来るのか、日本からなぜ上がらないのか、こういう問題点からして、アメリカの場合には会計検査院ですか、ああいう制度、体制が非常に強化されている。日本とアメリカを比較した場合、調査、監査体制というものが日本は相当弱い、こういう指摘がいまされているわけでございまして、確かに行政改革ということで人員のふくれ上がるのは極力抑えているわけでございますけれども、この行政のむだ遣いといいますかいわゆる不正をチェックしていくのが行政管理庁の監察官であって、むだ遣いを挙げていくというのが大きな、大平さんの言う安上がりの政府と違った面の効率のある政府になっていくのじゃないか。これを見逃していくとかえって高い政府になってしまうわけでしょう。そういう点で監察官の現体制はもっと拡充していく必要があるのではなかろうか、こういう考え方でございますけれども、長官、どうお考えでございますか。
  316. 金井元彦

    金井国務大臣 お話しのように、監察官の数は決して十分とは言えないと存じます。しかし、地方監察局もあることでございまして、人の融通につきましては時宜に応じてできるだけ効率的にこれを動かすというふうなこと、また一方制度的にも特殊法人等におきまして自主監査というようなことをもっとしっかりやってもらうというようなことも必要ではなかろうか。全部についてやることにつきましても、いまのところ主なものについて、あるいは問題のあるものについてというようなことでやっておりますので、完全を言えばもっともっとということでございますけれども、できるだけ工夫をしてやってまいりたい、かように考えております。
  317. 春田重昭

    春田委員 最後になりますけれども、特殊法人は百十一でございますけれども、そのほか審議会、許認可、これもそれぞれ一つの監察官がやっておるわけですね。審議会なんかだって膨大な数でございます。こういう点を一つ一つチェックしていこうと思ったら、やはり現体制では無理だと思うのですね。そういう点で、この監察官のいわゆる拡充というものは私はいま本当に必要ではないか、こういう考え方でございます。そういう点を十分認識されて、ひとつ行政管理庁としての十分な力が発揮できるように今後体制を組んでいただきたい、このことをお願いいたしまして、ちょうど時間が参りましたので、以上でもって質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  318. 加藤清二

    加藤委員長 安藤厳君。
  319. 安藤巖

    安藤委員 先ほどから議論になっております定員の削減問題について私もお尋ねをいたします。私の持ち時間はわずか三十分でございますので、簡明にお答えをいただきたいと思います。  定員の削減計画が実施をされまして、先ほども長官から御答弁がありましたが、現在第四次が実施されておる最中、もう大体十年間になるわけですね、かなりの削減が行われてきていると思いますけれども、この削減と行政需要対応の問題についてお尋ねをしたいと思っております。御承知のように、昭和三十六年二月二十八日の閣議で定員外職員の常勤化の防止ということが決定をされているわけです。そこでそれ以後、定員外職員、これは賃金職員とも言われておりますけれども、この人たちが、恒常的な職員を配置して処理すべき職務に恒常的についているという事実が全く行われていないというふうに行政管理庁としては認識しておられるのかどうか、まず最初にお尋ねをしたいと思います。
  320. 加地夏雄

    加地政府委員 私ども行政管理庁といたしましては、先生のいまのお話しのように、そういう定員外職員はいないというふうに理解をいたしております。
  321. 安藤巖

    安藤委員 いろいろ行政管理庁としても調査をしておられると思うのですが、そういうような事実が調査の結果あるということがわかったとき、これは閣議決定違反ということになるわけなんですけれども、そういう場合は、行政管理庁としてはどういうような措置をおとりになることになりますか。
  322. 加地夏雄

    加地政府委員 直接お答えする前に、行政管理庁の定員管理計画考え方を申し上げたいと思いますが……(安藤委員「いや、その問題だけ」と呼ぶ)ああそうでございますか。仮に——仮にと申しますか、私どもは少なくとも現在においてはそういった恒常的な職員を充てるべき職に定員外職員がいるというふうには考えておりませんが、もし仮に事実としてそういう方がいるということでありますと、私どもはまず当該関係各省に照会をいたしまして、その事実のあるかないかということを十分確認したいと思います。と申しますのは、先ほど先生指摘のように、常勤化防止のための閣議決定をずっとやってまいりまして、その後四十六年にはその調査結果を含めて関係各省においてはそういう定員外職員はおりません、こういう形になっておるわけであります。それから、私どもがそういった閣議決定の趣旨に沿いまして、毎年の各省からの増員査定をやる場合にも、毎年その確認をやってまいっておるわけでございます。  したがって、もしそういう者がおるとすれば、閣議決定の趣旨に沿わない形で何がしかのそういった人事任用関係が行われておるかどうか、あるいは事実としてそれは閣議決定に沿った措置であるけれども、現象的にはたまたまそういう方が非常に長期間にわたっておるということかと思います。そういう意味で、そういう事実が仮にあるといたしますならば、先ほど申し上げたように関係各省に照会をいたしまして協議をしたいと思っております。
  323. 安藤巖

    安藤委員 そこで、調査をされてそういう事実があるということがわかって、関係省庁を通じて云々というお話がございましたけれども、実態調査してみたところ、どうしてもこれは賃金職員でやっておるので、そこで定員を一人ふやして、あるいは二人でもふやして増員をしなければならぬのだというような事実が判明する場合だってありますね。そういうような場合は、これは行政需要に対応していくためには必要なことなんですから、増員をしてもらっていい、こういうようなことになりますか。
  324. 加地夏雄

    加地政府委員 行政機関の仕事に従事する職員につきましては、恒常的な常勤職員を充てる場合と、たとえば臨時的あるいは季節的な業務のためにいわゆるパートの形で雇う場合とあるわけでございます。恐らく先生がいま御指摘になっていらっしやるのは、そういう恒常的な職に充てる職員ではなくて、いわばパートとか賃金という制度、これは当然いまの行政機関では賃金職員を雇っていいわけでございます。現にそういう賃金も予算上手当てがなされておるわけでございます。ただ、そういう賃金職員の人事なり任用については閣議決定の趣旨に沿ってそれぞれの任命権者が任用の関係をやっていただいておるかどうか、こういうことに帰着するわけでございまして、そういうあたりを私どもとしてはまず関係各省によく照会をしたい、こういうことでございます。  全く先生がおっしゃるような、仮定の話でございますが、私どもはいまのたてまえでは御指摘のように当然定員の中にいなければいけない職員が臨時職員でおるということは、少なくとも閣議決定以降各省がそれを守っておられる場合にはあり得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  325. 安藤巖

    安藤委員 御承知のように、賃金職員の場合は一年以上勤務をさせるわけにはいかない、共済組合との関係もありますしね。だから毎年三月三十日もしくは三十一日に契約を一たん解除して一日もしくは二日からまた改めて雇用し直すというような形で、三百六十五日のうち一日だけは抜くのですけれども、やはり一日だけ抜いて恒常的な職務を引き続きずっと恒常的に担当するというのが実態になっておるわけなんですよ。だからそういう実態からすると、賃金職員の人たちが恒常的な職務を恒常的に担当して行政需要にこたえているという実態があるのではないかというふうに思うのです。  そこで、これは具体的にお話をするわけなんですが、先ほどもちょっと話が出ましたが、あの話とは直接関係あり護が、職業安定所、これは全国ほとんど同じだと思いますので、特にどこの職業安定所ということは特定をいたしませんけれども、職業紹介の仕事あるいは保険金を支給する仕事、これはまさに恒常的な職務だと思うのですね。その職務を賃金職員の人がずっと恒常的に担当しているという事実があるわけなんですよ。これは賃金職員の人たちを職業紹介以外の仕事に回すということになると、職業紹介の仕事がもううまくスムーズに運ばなくなる。もう職業紹介を求める人たちがずっと長蛇の列をつくって、その日は賄い切れなくて翌日また来てもらわなければならぬというような状態になってしまうので、ずっと恒常的に賃金職員の人たちに職業紹介の仕事を担当してもらっておるという職安もある、あるいは保険金給付の仕事をずっと恒常的に担当してもらっている職安もあるというふうに聞いておるわけです。  そこで、職安の場合は相談員という名前で賃金職員の人が呼ばれているわけなんですけれども、これは一つの例として愛知県の県内の職安の例なんですけれども、こういうふうに賃金職員といわゆる相談員の数が変わってきておるという実態は、やはりこれは賃金職員の人たちに恒常的な職務を恒常的に担当してもらっているというのが人数の上からあらわれている証拠だと思うので紹介したいのです。余り前からでなくてもいいと思うのですが、昭和四十七年、いわゆる定員職員七百三十三人、そのときに相談員数五十六人、昭和四十八年、定員職員七百二十一人に減る、相談員数は五十八人にふえる、昭和四十九年は、職員数が七百九人に減る、相談員数は六十八人にふえる、五十年は、職員数は七百六人に減る、相談員数七十七人にふえる、五十一年、職員数七百二人に減る、相談員数八十五人にふえる、五十二年度、職員数六百九十八人に減る、相談員数百七人にふえる、こういう状態になっておるわけです。だから、最初にお話ししましたようなことをこの数字は物語っているのではないかというふうに思うのです。  それからもう一つは、これは厚生省関係なんですが、重度心身障害者それから筋ジストロフィーの療養施設の人員配置の基準というのを、厚生省の方からきのういただいたばかりなんですが、いわゆる重心、筋ジスと言われておりますね、その療養施設の配置基準というのがあるわけです。これはいわく因縁がありまして、御承知のように、昭和四十八年四月五日の参議院の予算第四分科会での厚生大臣答弁がきっかけになって、ベッド四十床当たり診療に従事する人を四十人配置する、いわゆる四十対四十ということになったわけなんですね。それでこの配置基準がつくられたわけで、これは確かに四十床当たり四十人になっております。その内訳は、行(一)が三人、行(二)が十二人、医(一)、医師が一人、医(二)、薬剤師あるいはレントゲン技師等の関係が二人、医(三)、看護婦二十二人、合計四十人です。ところが「(注)」とありまして、この「四十人には賃金職員十三人を含む。」とあるわけなんです。その内訳は、行(二)の関係が十、医日の看護婦さんの関係が三名、こういうふうになっております。行(二)の関係は、洗たくをする人、掃除をする人、あるいは調理をする人ということになっているのですが、三十九年の発足当時はこれは完全に定員扱いになっていたのです。ところが、四十対四十になったのはいいのですけれども、その行(二)の関係の十二人のうちの十人は定員外職員、そして看護婦さんも二十二人のうち三名は定員外職員ということになってくると、四十対四十で、いわゆる一対一の看病をしております、診療しておりますということを言っておるのですけれども、そのうちの十三人は賃金職員ということになりますと、これは恒常的な職務につかせてはいかぬはずなんですね。にもかかわらず、この配置基準の中の人数にちゃんと入っているわけなんです。そうすると、十三人の人たちは恒常的な職務に配置することはできないのですから、四十対四十ということは、これはごまかしではないかと言わざるを得ないわけです。これは配置基準として堂々と厚生省から出ているのです。こういうような実態があるわけなんですね。  となると、これは先ほどからいろいろ言われておりますけれども、特殊法人の統廃合の問題等々についてもまだまだやるべきことがたくさんある、あるいはその最高幹部の人たちの渡り鳥的な人員配置の問題もたくさんある、そして、たくさんの退職金も支払う等々というのを片一方でつくっておいて、片一方で人員削減、非常に結構だと思います、やらなければならぬ部署もあろうかと思います、しかし、いま私が申し上げましたようなことで、行政需要に対応していくためには、定員を削減するけれども、そのかわり恒常的に職務につけてはならないというふうに閣議で決まっておる非常勤職員、いわゆる賃金職員を充てて行政需要に対応しているというのが実態ではなかろうかと思うのです。だから、その辺のところをこれはしっかりと見きわめていただく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。これは長官お答えいただきたいと思うのです。
  326. 加地夏雄

    加地政府委員 いま先生指摘の職業安定所の関係とそれから国立病院、療養所の関係でございますが、私どもの考え方を申し上げたいと思います。  まず、職業安定所の関係の職業相談員でございますけれども、これは私どもは、職業紹介へ来る一般の住民の方の中で特殊な方々の職業相談とかそういうものに携わる仕事といたしまして、そういう意味ではやはりある種の経験を持った技術のある方が必要でございまして、実際には大部分の方は職業安定所の関係の勤務を終えられて退官をなさったような方をパートとしてお雇いになっているという例ではなかろうか、こういうふうに考えます。これは職業安定所のみならずほかの関係にも大分ございまして、そういう在官中の経験を活用いたしまして、しかも一般的な業務ではなくて特殊な業務のために利活用をする。それは、たとえば週二日とか三日とか、パートで活用するという形で任用され、使われておるのが普通であると思っております。それは、その限りでは私はそういう使い方は全く結構だと思っておるわけでございます。  一方、国立病院、療養所の問題でございますが、この四十という配置基準は、私どもは実は配置基準というのは一つの単位といたしまして、いわばマンパワーといいますか、その全体のものを考えておられるのではなかろうか、こういうふうな感じがいたします。その場合に一つの問題は、先生よく御承知かもしれませんが、三十年代前半、それから四十年代の半ばまでもそうでございますけれども、要するに看護婦の絶対量が非常に不足した時代がございます。家庭に入っている看護婦さんとか、そういう潜在的な看護能力をいかに活用するかということがございまして、もともとそういう資格を持った看護婦さんは家庭に入っているものですから、普通の勤務のように毎日勤務をするとかあるいは夜勤までやるとかいうことはできないわけですね。いわゆるパートの形でそういう方たちを活用していた時期があるわけでございます。最近では、そういった看護婦の需給関係も、その後養成計画が進んでまいりまして、確かに以前に比べますとそういう問題は相当数が落ちているとは思いますけれども、やはり病院、療養所の運営を考えた場合にそういうパートの技術者を使う必要があるということも一つございます。  それからその中で、あと行(二)の職員でございますが、これは保清婦とかそういう関係の方でございまして、こういう方々についても正規の定員として入れるのではなくて、パートの形で介護とかあるいは保清とかをお願いしている場合があるのであろう。したがって、私どもの考え方といたしましては、その配置基準の四十名はまるまる恒常的な常勤職員で充てなくてはいけないというふうには考えておらないわけでございます。
  327. 安藤巖

    安藤委員 いまここでその問題についてあれこれ議論をしておる余裕はございませんけれども、やはりこれは一対一で診療に当たりますという配置基準だと思うのですよ。それが、恒常的に勤務してはならぬという閣議決定で縛られている非常勤職員が四十名のうち十三名いるということは、これは一対一という行政需要にこたえた配置にはなっていないのではないか。その一対一という行政需要にこたえているというのであれば——これは配置基準ですからこたえているという形だと思うのです。いるというのであれば、やはり非常勤職員の人たちを恒常的な職務につかせているということになっているのではないか。そうでなければ、一対一という行政需要に対応していないことになるのではないか、これはその典型的な見本じゃないかと思うのです。  だから、そういうような実態もしっかり見きわめていただいて、やはり必要なところはきちっとふやす、そしてもっともっと削減できるところはきちっと削減するという、実態をきっちり見きわめた削減計画をやっていただきたいというのが私の言いたいところなんです。その辺のところを私は長官に、どういうお心構えでおられるのか、お尋ねをしているわけなんです。いかがでしょうか。
  328. 金井元彦

    金井国務大臣 人員の削減なり配置につきましては、かなり厳格に考えてやっておるところでございます。ただ、行政需要に合わないということでは困るのでありまして、その点はやはり各省が人事の運用につきまして十分配慮をしてもらわなければならない、かように考える次第でございます。私どもとしましては、やはり原則というものを崩して実情に合うように合うようにというわけにはまいらないわけでございまして、そこのところは私どもの方の立場を各省もよく理解をして、それで各省が人事運用の面におきまして実態に合うようにひとつやってもらいたい、かように考えております。
  329. 安藤巖

    安藤委員 実態に合うように各省庁も理解をして云々ということを答弁いただいたわけなんですが、全体としては定員の数は、実質の数はふえているわけですね。少しずつ必要に応じてふやしております。増員する方の要素とそれから削減計画に従って削減していかれるというのと両方で進んでおりますね。だから全体としてはふえておるので、必要なところはふやしていただいておるということも理解いたしますけれども、各省庁がそれぞれの実態に合わせてというお話なんですが、どういうようなことをやってその削減計画を実施をするのか、あるいはしてきているのかということなんですが、これは聞くところによると、たとえば欠員が生じますね、欠員が生じてもそれを補充しないでおく、いわゆる欠員の数をためておいて、そして計画数に満つるようにするというのも一つの方法だとか、あるいは新規の採用を手控えていくというようなこともやっておられるということを聞きますけれども、その欠員になったところをすぐにも補充をしていかなければ行政需要に対応できないという職場であるにもかかわらず、計画削減の実績をちゃんと上げなくちゃならぬというので必要なところも欠員を補充しないでおくというような事態になっていないのかどうかという点はどうなんでしょう。そんなことは全くないと言い切れますか。
  330. 加地夏雄

    加地政府委員 現在やっております定員削減計画の内容を申し上げれば御理解いただけるのですけれども、時間を節約いたしまして結論だけ申し上げますと、私どもは行政需要の非常に強い部門から、あるいは行政需要のないところと比べた場合に行政需要の強い部門から、削減なりいま申し上げた凍結なりという形は出ていないというふうに考えておるわけでございます。なぜならば、行政需要の強いところには増員をやってきておるわけでございます。  それから、削減の計画につきましても、省庁ごとの削減総数は一つの方程式でいろいろなルールで各省にお願いをいたしますけれども、それを現実に各省のそれぞれの部門にいかに割り当てるかというのは、各省に十分お考えいただいて自由にやっていただいておるわけです。これは削減計画をどう割りつけるかという問題もそうでございますし、それから増員の方はもちろん行政需要の強いところに当然いくわけでございますが、そうなりますと、削減の問題は、増員需要の強いところはその省庁におきましても避けまして、むしろ業務の余り繁忙でないところから削減をとっていく、こういう運用になっているわけでございます。
  331. 安藤巖

    安藤委員 実際、形の上ではそういうことになっているのだろうと思います。ところが、御承知のように、たとえば人員の増員の問題につきましてはシーリング方式というのを管理庁の方は採用なさって、たとえば昭和五十四年度は五十三年度の要求の一五%減にしろ、こういうことで、いまの国立大学の入試じゃないですけれども、足切りみたいなことをやって枠をおはめになる。これも一面、必要な点もあろうかと思います。そして一方で削減計画だということになってきますと、これは本当に行政需要の強いところも遠慮してしまって、これはふやしたら実績が上がらぬというので行管からおしかりを受けるというようなことで、実際本当に行政需要が強いところも遠慮してしまう、増員要求ができにくくなってしまうというようなことになっては大変だと思うのですね。だから、その辺のところもしっかり踏まえてこれはやっていただく必要があるのではないかということを申し上げておるのです。  その点、長官の、いま私が申し上げました点についての御見解をまずお伺いしたいと思います。
  332. 金井元彦

    金井国務大臣 各省庁とも、いずれもみんな自分の仕事につきましては非常に熱心にやっておるところでございます。しかし今度は、その間におのずからやはり繁閑の差があるということも、これも事実だろうと、こう思うのでございます。  そこで、人員を生み出す場合に、いや私のところは十分ですからと言って出すところはまず絶無と言っていいぐらいありません。そこでやはり、新規採用は認めないとか、あるいは減耗補充は認めないとか、あるいはある一定の方程式によって人員をひとつ出してくれというふうないろんな手法を用いまして人員を生み出す。一方、行政需要がどんどん増してくるわけでありますが、その緊要度の高いところへはできるだけ優先的に増員をしていく、こういうことでニーズに合わせるようにしていくということを努めているようなことでございます。
  333. 安藤巖

    安藤委員 そこで、各省庁によって削減の率というのは違っているということも理解しております。五十二年度から五十五年度までの第四次計画、これは平均して三・二%削減、毎年〇・八%。しかし、それは各省庁問において異同があるということも知っております。  そこで、これはおたくの管理局からいただいた資料ですが、「非現業職員の削減目標及び実績」の一覧表なんです。北海道開発庁、まあ数字は言いませんが、あるいは農林水産省あるいは建設省関係が、第三次計画もそうでしたが、第四次計画目標と実績が、もちろん実績の方が相当少ないわけですね。この目標数というのは、先ほど来お話がありましたように、それぞれの省庁においてこれだけは削減できるという見通しを実際に立てて、そして出されてきた数字だと思うのですね。ところが、それが実際には実績としてはそのとおりになってこない。となると、これはやはり相当いいかげんな数字だったのではないかということと、やはり相当無理のあるところもあるのではないか、両方あるのではないかと思うのです。  そこで、このいわゆる計画未達成の省庁は、たとえばいまの第四次計画で、昭和五十五年度末までの間に計画未達成の場合はいわゆる積み残しになるわけなんですが、この場合はどういうようなことになりますか。
  334. 加地夏雄

    加地政府委員 一つ計画年次が終わりまして未達成数が残った場合にどうするかという御質問でございますが、現在まで御案内のように四次までやってまいっておりまして、いままでもそういう事態に対して処理をしてきたわけでございますが、どうしても未達成であるという理由が明確にはっきりわかれば、その関係省庁行政管理庁協議をいたしまして、その未達成分をどういう形で処理をしていくかということを相談いたすわけでございます。それは次の削減計画の中に上積みする場合もございますし、いろいろ技術的には処理する方法がございますが、実際に与えられた計画をまじめに達成する省庁と、それから理由はあるにしても未達成であった省庁の公平なあれをとる必要があるという観点から、必ずその債務的なものとしての処理はいろいろ考えまして措置をいたしておるわけでございます。
  335. 安藤巖

    安藤委員 もう一点だけお尋ねしたいのですが、四次が終わって第五次も考えておられるのかどうかわかりませんけれども、たとえば未達成の省庁が第四次が終わっても幾つかあったという場合は、第五次をお考えになるときにその未達成の省庁だけを対象にして削減計画を今度から引き続きやるのか。達成したところはもうこれで大体いいというふうで削減計画から除外することになるのか。まだちょっとお聞きする時期が早いのかもわかりませんが、その辺のところはどうなんです。
  336. 加地夏雄

    加地政府委員 おっしゃるとおりでございまして、いまの段階では私ども具体的なことを申し上げるわけにいきませんが、現在まだ四次計画も三年目でございまして、そもそも次の計画をどうするかということもまだはっきり決めていない状況でございます。  ただ、そういう形で未達成で残った分の処理をどうするかということは、一つの理屈から申し上げれば、先生がおっしゃるようなことでもして与えられた一つの数は各省とも公平にこなしてもらうということになるのじゃないかというふうに考えます。
  337. 安藤巖

    安藤委員 時間が来ましたので、これで終わります。
  338. 加藤清二

    加藤委員長 次回は、明二十三日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会