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園田国務大臣 この問題についても発言が繰り返すことになりますが、先般の
国連総会、いわゆる
日中友好条約締結後初めて
グロムイコ外務大臣とニューヨークで一時間半お会いしたわけであります。そのとき、いろいろ経緯はありましたが、向こうからは、基本としては、
日中友好条約締結後
日本がこれを使って
ソ連に敵対行為をするものではない、あくまで
ソ連とは
ソ連ということで友好
関係を進めるということであればその姿勢を見守るという趣旨の発言がありましたが、その際、
善隣友好条約を検討をやったらどうだ、向こうはどうしろこうしろという具体的なことではなくて、
善隣友好条約はどうだ、こういう話がありました。
そこで、もっと詳しく申し上げますと、私は、わが方からは
平和条約の案を出しておる、しかしあなたの方はこれを受け付けない。まあ突っ返しはしない。わが方も、あなたの方から出された友好
条約の案は、突っ返しはしないけれ
ども、これを受け取って検討するわけではありません、こう言った。にもかかわらず、
外交慣例を無視してあなたの方は案を発表された、こう言ったら、
グロムイコ外務大臣は、発表しないとは約束しなかった。これはもちろんされなかったわけでありますから、私は笑いながら、
日本と
ソ連の間、ちょっと停滞をしたかっこうになっておるけれ
ども、今年の一月、
モスコーへ行ったときに意見が全く食い違った。それにもかかわらず、飛行場であなたは、いろいろ困難な問題があるけれ
ども、何回も会って話し合えば解決するよと私の肩をたたいたじゃないか、いまこそ
日本と
ソ連は、お互いに相手の
立場を理解し、お互いに
相互理解を深める、こういう
意味で何回も話し合うべきときだと思う、ぜひ話し合おうじゃありませんか、あなたは今度
日本においでになる番で、来るということを約来しておられるが、これはもうだめなんですか、こう言ったら、いや、約束したことはやる、ただし、いまここでいつ幾日と日にちを言うわけにはいかぬ、こういう話がありましたから、その際、私は、いろいろな問題で話し合いたいと思う、
日本は率直に話し合いたい。そこで、いまあなたがおっしゃった
善隣友好条約の案についても金庫の中にしまっておいて、これは検討いたしませんと突っぱねてきておりますけれ
ども、本当に話し合えばいろいろ
方法があるじゃありませんか、お互いに
相互理解ができて話し合いができればその次にはいろいろ
方法があるじゃありませんか。たとえば
善隣友好条約は絶対に受け付けぬという一方的な
考え方は持っておりません、かたくなな
考え方は持っておりません、ただし、いま出されておる友好
条約には反対であります。反対でありますが、
善隣友好条約と、あるいは
平和条約と、
両方やるとか少しおくれてやるとか一緒にやるとか、いろいろ
方法はあるじゃありませんか、こういう趣旨のことを私は
グロムイコ外務大臣に申し上げました。
そこで、私が申しましたのは、これから
交渉することでありますから、これを並行してやるとか同町にやるとかあるいは一本にまとめてやるとかいう具体的なことをお約束したのではなくて、決してかたくなな、固定的な
考え方ではなくて、話し合いができればいろいろ弾力的な
方法もあるし、そういうことも考えぬではない、こういう趣旨のことを言っておるわけてあります。