○吹田
説明員 安全委員
会委員長談話が少しいろいろなところで問題になりました。
まず、お
手元の
資料の十四ページをおあけいただきたいと思います。それが
委員長談話の全文でございます。
安全
委員会といたしましては、この
アメリカの
事故の
情報をキャッチいたしましたのは日付の
関係上二十九日でございまして、早速翌日の朝の九時半に安全委員全員を招集いたしました。
田島先生がちょうど渡米中でございましたので、四人の安全委員で、それまでに入りましたいろいろな
情報を分析いたしました。われわれだけでは足りませんので、早速審査委員の
専門家に午後来てくれるように、これは七人でございますが、招集いたしました。
まず、この談話の全文をごらんいただきますと、四つの項目から成っておることがわかります。いろいろな背景はまたそれぞれのところで申し上げますが、まず四つから成っておるということでございます。
一は、まず私
たちが考えたのは、これは非常に重要なことであって、こういう
事故を
日本では起こしてはならないというのがわれわれのまず
最初の考えでございます。
それでは、まずその
事故の正確な
情報を得ようというのがその次でございますけれども、非常にまちまちな
情報の中から何が最も確からしいかということで、われわれはその確かな信号を雑音の中からより出さなければならない。単に雑音だからということで詳細な
データがわかるまで手をこまねいて待っておるわけにはいかない。われわれ
日本国民の健康と安全はわれわれ
日本人で守らなければならないという気持ちが非常に強くわれわれ委員の間に働きました。安全
委員会というのは、国民の負託にこたえるためには、
原子力を考える場合に座標の原点をやはり国民の健康と安全に置きましていつもながめるという姿勢をわれわれとしては貫きたいと、そのときも思いました。しかし、その見る原点の座標というのは、あくまでも科学技術的な座標でなければならない。その原点を国民の健康と安全という原点に持っていくということは私
たち委員の全員が心得ております。
そういう立場からこの
事故のいろいろな
情報からキャッチしました正しいであろうという信号が二つございまして、その
一つは、この
事故が二次系のクーリングシステムの
故障からスタートしているという、その時点におけるいろいろな
情報から得ました
一つの最も確からしい一これはおっしゃるように
ハードウエアとソフトウエアとございますが、とにかく二次系のクーリングシステムからスタートしている。もう
一つは、これに人為的な非常な
ミスが重なっておる。この二つが九時半から開きました十時間ほどの
委員会で、非常にまちまちの
情報の中から私
たちがくみ取りました二つの確からしい
情報でございます。
それでは、
先ほど申しましたように、この確からしい
情報から私
たちが科学技術的に判断いたしまして、どういう
措置を安全
委員会はとり得るであろうか。それを諮問
機関である私
たちは行政に対してある指示をする必要がございます。どういうことができてどういうことをすべきであるかというのを考えましてまとめましたのが実はこれでございます。
その一は、これは非常に重要であるという点を強調いたしまして重視する。そのためには「正確な
情報の入手」と「詳細な検討」が必要である。それが一でございます。
二は、その二次系のクーリングシステムから
故障がスタートしておりまして、そのときには向こうのB&Wのいろいろ詳細な設計図はわれわれの
手元にございませんでしたが、
日本でそういうことが、つまりいま起こっている
状態に持っていくには一体どういうパスを通っていけるのか、いろいろな試行実験をやってみました。つまりシークェンスをいろいろなパスを通って試みたのであります。そういたしますと、これまでの多重防護の思想から言いますと、これはいまのようにソフトとハードと両方ございまして、ここに書いてありますように、「安全審査、及び使用前
検査、
定期検査」、そういうような
一つの見方の多重の防護がございますと同時に、実際ハードの面を考えてみますと、
バルブでありますとか、その他重要な
ハードウエアのいろいろな
検査、多重防護のレーヤーの
一つ一つを確認してきたかどうかという
日本のこれまでの実態を実は二で述ベたのでございます。そういういろいろな実態を踏まえまして、そういう
事故まで二次の
冷却システムの
故障からいくかどうかということを検討してみますと、ほとんどいかないのでございます。というのが「ほとんどないものである」というような表現でございます。ところが、
事故というものはほとんど起こらないものであるということで片づけられませんで、
アメリカで現に起こっております
事故をわれわれは非常に重視いたしました。
それでは、どういうことがいまわれわれとしてなすべきことであるかといいますと、それはその三で示したのでございます。これが実は安全
委員会の判断でございまして、
わが国の
原子力発電所においては、いま言いましたように、各それぞれの層の質と量とを非常にいま再検討というよりか点検する必要があろう。中身の方もやはり時間をかけて再点検する必要がございますが、とにかくさしあたって、いろいろな
意味で、
運転中のものも、
運転してないいま定検に入っているものも、
わが国の全部の
原子力発電所についてそういうことをいまやっておくことが、そういう
事故に発展するかもしれない非常に小さな確率をゼロの方により持っていくためには必要であるというのが
一つでございます。
それからもう
一つは、人為的な
ミスがあるという二つ目の最も確からしいことに対しましては、やはり人間に関したことでございますので、「保安規定、
運転要領、
運転中の監視の実施等について」これは早急に検討させるべきである。そういう二つのことをわれわれはいますぐに全
原子力発電所につきましてこれを行うべきである。そして詳しい
データを待っておるためには、まず正しい
情報をキャッチするためにどういうことをしたらよろしいかというのが四になります。つまり正しい
情報のために、的確に反映するために
専門家を派遣する。そして
わが国の頭脳を結集するために、
調査審議をさせるために特別のそういう部会をつくろうというのが四でございまして、この四つの項目につきまして私
たちは
発表したのでございます。その三の事項につきましては、その十五ページ、十六ページに
資源エネルギー庁長官並びに安全局長から、各発電所、
原子炉を持っておるところに対しまして通達がございまして、この私の談話にはそういう詳しいことはございませんが、これは安全
委員会に与えられました権限が三つございまして、安全確保のために、いろいろな事項を企画し、審議し、決定するという三つの権限がございます。普通、安全
委員会は再チェック、いわゆるダブルチェックということが主なる仕事でございますけれども、こういう緊急の場合には、私は、企画して指示を与えるという態度を最後まで貫きたいと思いまして、これは行政庁に指示のかっこうをとりました。したがって、報告書はできるだけ早く報告しなさい、その報告に対して、いまの審議、決定するという平常時で行っております再チェックをすることになっております。いま進行中でございまして、私
たちはあくまでも科学技術的な立場から、そういう緊急の場合でも、できるだけ冷静に、しかも国民の健康と安全を守ることに少しでもそのリスクを減らすように実はやっておる。そのやっておることを国民の前に、われわれはかく考え、かく行われておるということを適時知らせることはやはり安全
委員会の責務であろうと私
たちは考えまして、この談話を実は
発表したのでございます。一見非常に唐突に見えたかもしれませんが、われわれといたしましては、これまでのいろいろな経験と知識とを一日に集約いたしましてこういう談話になりましたが、そういう
経過でございます。