○
松本(操)
政府委員 この
空港が今後発展してまいりますためには、
周辺地域の発展と
一体となってというより、むしろ
周辺地域の発展の驥尾に付して
空港が発展していくという形でなければいかぬわけでございます。そういう意味において、この
空港の
周辺の土地柄というものをいろいろと観察してまいりますと、やはり農業が主要な産業になっているエリアが非常に広いわけです。そういうこともあって御
案内のような、通称かさ上げ法と呼ばれる
法律ができまして、
成田用水その他の用水
事業を初めとする一連の
周辺対策
事業というものに取り組んでまいったわけでございますけれども、しかしながら、必ずしもその当初の
計画どおりに進んでいない面がある。一方、かさ上げ法の方は、ことしの三月末で期限が切れてしまうというふうなこともありまして、昨年の十二月一日に閣議報告という形で
周辺の農業対策の基本的な
考え方というものを出したわけでございます。これをベースにいたしまして、現在は主として
千葉県が現地にずっと入りまして、細かな点で農業団体等との話し合いを詰めておるわけでございますが、その
内容は、ついせんだって成立し、その期間が
延長になりましたかさ上げ法を
一つのてこにいたしまして、
成田用水というものの流域の拡大をしていこう、特にAランとBランの
延長線上にはさまれました菱田部落という地域が両方の騒音の谷間になるというふうなこともございまして、ここにおける農業問題というのは非常に大きなテーマになっておるわけでございます。そこで、こういうようなところも念頭に置いてどのような形でやるかということをいま進めております。
もう
一つの方法といたしましては、すでに
公団が騒音対策用水として買い上げた土地があるわけでございます。これも
公団は農業を営むことができませんので、ただ土地として持っているにすぎない、しかるに
空港周辺の農家の中には、さらに農業規模を拡大したいという強い
希望をお持ちの方もあるわけであります。そういう
方々に可能な限りこの
公団の買い上げた土地を使っていただけるようにしよう、これもどういうふうな手続でどういうふうな価格でどういうふうな方にお貸しするかというふうな点については、やはりきちっと詰めていく必要がございますので、県及び
関係の
市町村あたりといまいろいろ話を詰めているというのが実情でございます。
こういうふうな形で
周辺の人々に対する従来の約束事あるいは今後の発展ということを
考えながら、将来こういうふうになれば営農者は営農として発展し、その他の商業活動もまたそれに従って発展し、あるいは騒音に対する問題も相当
程度緩和されるであろうというふうな目標を置いて、いま鋭意取り組んでいるわけでございまして、それによって
空港というものの存在が、理屈の上だけでなくて、はだに感じる形で
周辺の
方々に受け入れられていただくようになるということが
一つの大きな目標であり、また、そうなってくることがこの
空港の将来の転機になるのではないか、こういう
考え方でいませっかく取り組んでいるというのが実態でございます。
騒音の方につきましては、すでに従来から八五WECPNLをもとにしまして一種、二種、三種の線引きをし、八百十七戸を対象にしていろいろと作業をしたわけでございますが、遺憾ながら、結果論的に判断いたしますと、いわゆる一室二室防音というのは
地元住民の歓迎するところとなっておりません。そこで、開港後これを全室防音に広げていこうということで、昨年の八月に六軒のモデルハウスをつくって設計のありようその他を
検討すると同時に、財政当局との詰めを開始いたしまして、国の施策よりも早く全室防音に踏み切ったということでございます。ただ、作業のなれが進んでいないというふうなこともございまして、現在、八百十七戸のうちの四百四十戸
程度のお申し込みを受け、完成したものはまだ十軒足らずの状態であろうかと思いますが、
公団の方も大分そういった事務になれてまいりまして、今後に向かって相当のピッチで進んでいけるのではないか、こう
考えております。
それと同時に、従来八五というラインで引いておりましたものを五下げまして八〇Wによって線引きをする、これは現在
地元といろいろと
お話し合いに入っておりますので、そう遠くない時点で八〇WECPNLの線引きをして、恐らく千戸をちょっと超すようになろうかと思いますが、それに向かってできるだけ早く到達するようにしたい。最終目標は七五でございますが、まず中間目標の八〇に向かってできるだけ早く到達するようにしていくということで、いま
公団を督励しているところでございます。