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1978-12-14 第86回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十二月十四日(木曜日)    午後二時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 梶木 又三君                 戸塚 進也君                 藤田 正明君                 福間 知之君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 河本嘉久蔵君                 嶋崎  均君                 中西 一郎君                 藤井 裕久君                 宮田  輝君                 穐山  篤君                 竹田 四郎君                 和田 静夫君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 渡辺  武君                 市川 房枝君    国務大臣        大 蔵 大 臣  金子 一平君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        経済企画庁調査        局長       岩田 幸基君        大蔵政務次官   林  義郎君        大蔵政務次官   中村 太郎君        大蔵大臣官房審        議官       米里  恕君        大蔵省主計局次        長        加藤 隆司君        大蔵省主税局長  高橋  元君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省国際金融        局長       宮崎 知雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠選任の件 ○租税及び金融等に関する調査     —————————————
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  この際、金子大蔵大臣から発言を求められておりますのでこれを許します。金子大蔵大臣
  3. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 今回、はからずも大蔵大臣を拝命いたしました。  わが国経済は、現在、国内対外両面にわたりきわめて重大な局面を迎えております。このような時期に財政金融政策運営の任に当たることとなり、その責任の重大なことを痛感いたしております。今後、政策運営に誤りなきを期すべく全力を尽くしてまいる所存でございます。  わが国経済現状を見ますと、円高国内経済に与える影響が懸念されておりますが、公共事業の拡充、施行推進の効果は着実に浸透し、企業収益改善物価安定等を背景に、設備投資個人消費は手がたい回復基調をたどっております。一方、雇用情勢は最近において求人数が増加するなど、改善の兆しも見受けられまするけれども、総じて厳しい状況にあります。また、国際収支は、昨年来の大幅な円レート上昇等により輸出数量減少傾向にあり、他方、輸入数量製品輸入中心に堅調な増加を示しておりますが、ドルベースで見た国際収支の黒字は輸出価格上昇により依然高水準にあります。このような情勢のもとにおいて、経済運営基本は、物価の安定に配意しつつ、景気の着実な回復を図り、国民生活の安定を確保するとともに、対外均衡回復し、わが国経済安定成長路線に円滑に移行させることにあります。  このため、政府は、先般の総合経済対策を着実に実施するなど、引き続き景気回復に努めまするとともに、世界貿易拡大を目指す東京ラウンド交渉の妥結、輸入拡大等対外経済対策を推進しているところでございます。  同時に、私は、いまこそ長中期的な視点に立ち、財政雇用国際収支等の各分野において均衡のとれた経済社会の実現に積極的に取り組まなければならないときであると考えております。特に、財政危機的現状を放置しては均衡のとれた成長は望めず、経済そのものの活力を失わしめるものと考えます。  すでに御案内のとおり、来年度予算財源の面から見てきわめて厳しい状況になることが予想されております。このような情勢のもとで、財政健全化に努めつつ、真に緊要な財政需要にこたえていくためには、歳出歳入両面であらゆる努力を傾注する必要があり、歳出節減合理化制度・執行を通ずる税負担の公平の確保に、従来にも増して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、今後、福祉その他の面で国民期待にこたえつつ財政体質改善を図るためには、国民皆様一般的な税負担の引き上げをお願いせざるを得ないと考えられ、このような観点から、一般消費税早期導入を真剣に検討する必要があると考えております。  皆様の御理解と御協力を切にお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。(拍手
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、大蔵政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次発言を許します。中村政務次官
  5. 中村太郎

    説明員中村太郎君) このたび、はからずも大蔵政務次官を拝命いたしたわけでございます。  御承知のとおりの未熟者でございますけれども、職責の重大さを肝に銘じまして、これから一生懸命がんばるつもりでございますので、何とぞよろしく御指導のほど心からお願いをいたしましてごあいさつといたします。(拍手
  6. 坂野重信

  7. 林義郎

    説明員林義郎君) このたび、大蔵政務次官を拝命いたしました衆議院の林義郎でございます。  いま大臣からもお話がありましたように、なかなかむつかしい時期に差しかかっておりますし、職務の重大さを痛切に感じておる者でございます。浅学非才、未熟な者でございますが、各位の御声援、御支援、御鞭撻を心からお願い申し上げまして私のごあいさつといたします。(拍手
  8. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 金子蔵相、御就任おめでとうございます。中村、林両政務次官、おめでとうございます。  しかし、いまお話がありましたように、きわめていま日本状況というものは非常に重大な転換点に差しかかっているというふうに私考えますけれども、まず、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、この十二月における政権交代、こういうことで予算編成等日程、こうしたものが若干例年より違ってきているように思うわけでありますけれども、来年度、五十四年度の予算編成方針等についてもまだ明らかになってないように私ども聞いておりますけれども、まず、予算編成日程はどんな日程でこれから消化され、国会に文書として提案されるのは一体どんな日程になるのか、その辺を新聞でもちらほら拝見はしておりますけれども、どんな日程になっているのか、その辺をまず明らかにしていただきたいと思いますが。
  10. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 日程のお尋ねでございますが、何分にも組閣が十二月に入ってからの組閣でございますんで、とても年内の編成というわけにまいりませんので、一応二十八日をめどに予算の取りまとめをやりまして、一月の五日を内示、十一日ころの最終決定閣議決定に持ち込みたい。そういうことでやりますれば、何とか暫定予算なしの予算編成ができるんじゃないかということで、極力いま勉強しておる最中でございます。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまごあいさつの中で概括的な新大蔵大臣考え方はお聞きをすることができたわけでありますけれども、改めてこの時期における金子蔵相財政運営基本方針は一体何なのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  12. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 御承知のとおり、今日の日本財政実質公債依存度三七・六%というような、しかも特例公債依存度は二四%余りというような異常な状況に立ち至っております。  それで、一度にこういった状況を解消するわけにはまいりますまいと思いまするけれども、中期的な展望のもとに財政健全化を図っていくことが一番大事なことであろうと思いますので、このために歳出節減合理化税負担の公平の確保に従来にも増して積極的に取り組んでまいりたい。私は、財政のために経済犠牲にすることも好ましいことではございませんが、経済のために財政を破綻に陥れるようなことになってはこれは大変なことになりますので、それのバランスをどうとっていくかということが大変むずかしい、しかも大事なことであると考えますので、今日のこの国民生活状況を落とさないような配意をしながら中長期経済安定を考えていく、その前提となるのはやっぱり財政運営でございます。これを一度に直すわけにまいりません。中長期的な視野から考えてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 新しい大平内閣財政運営あるいは経済の動向をどうしていくかということは国民が等しく注目をしているところであります。しかも財政の事情というのは、私が改めてここで申し上げる必要はないような状況であるわけでありますが、しかし、いまなかなかどちらともとれないようなうまい表現を実はされているわけでありますが、財政のために経済犠牲にすることはできないし経済のために財政犠牲にすることはできないという、なかなかどっちともとれないようなうまい表現を使っておられるわけでありますが、しかし新内閣のこれからの経済をどうしていくか、今日の雇用の問題もありますし、私どももきょうは政府に対して雇用中心とする予算要求をしているところでありますけれども、新大蔵大臣は、大分、景気回復ということよりも、どちらかといえば財政再建といいますか、そちらを重視されているようでありますけれども通産大臣あるいは経企庁の長官あるいは自民党の政調会長等は、むしろ本年も景気刺激型の予算を組んでいくべきではないかと、こういうことで、どうも私どもどっちが重点になるかよくわからないわけでありますが、その辺はこれからの予算編成をしていく当の責任者であります大蔵大臣の方向というものがかなり五十四年度、五十五年度、いまおっしゃられた中長期経済展望というものに影響が出てくるわけであります。そこで、大蔵大臣就任早々記者会見で、必ずしも七%成長にこだわるべきではない、六%成長でも構造不況業種に対しきめの細かな対策を進めることをすれば失業というものを出さないで済むというようなことをおっしゃっているわけでありますが、どうもいまの経済というのは、政府見方はどちらかというと景気は上向きになってきているというようなことをおっしゃられるわけでありますが、国民全体としてはそうしたコンフィデンスというものは恐らく持っていないだろう、こういうふうに思いますし、きょうあたりの新聞を見ましても、造船関係では何千人というような退職希望を募るというような、かなり年の暮れで暗い首切りのニュースが出ているわけでありますが、そうした点で金子大蔵大臣記者会見のことがどうも私ども腑に落ちないわけなんです。それはこれから具体的に対策をお示しになってくるだろうとは思いますけれども、どうもその点よくわからないわけでありまして、すでに御承知のように、私どもは五十四年度の予算で二兆円の財源によって七十万人の雇用を創出していこうじゃないか、さらにその他の方策によって今後の失業を少なくしていく、こういうような要求大蔵省にもきょう私どもは出したわけでありますが、私どもはそういう対案というものを政府に出して、その中で政府がどのようにお考えになっているかこれはわかりませんけれども、まあ、一つは記者会見大蔵大臣がお述べになった六%成長でもこれは失業は出さないで済むというその方途をお示しいただきたいし、私どものその雇用創出に対する考え方に対して大蔵大臣はどのようにお考えになっているのか、この辺の、もう私どもは発表して、その要旨はすでにきのう差し上げてあるわけでありますから、十分御検討をいただいたと私は思いますけれども、ひとつその辺を、二問についてお答えをいただきたいと思います。
  14. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 最近の経済企画庁の発表によりますると、七%成長はちょっとことしはむずかしいと、それは消費民間設備投資も予想どおり伸びておるのですけれども、問題は輸出が減って輸入がふえてきましたものですから、それで景気全体の足を引っ張って、まあ六%台であろうというのが最近の経企庁見方でございますが、内需はそういうことである程度伸びておりますので、これに景気刺激的なてこ入れをすることによって失業対策が十分にできるかというと、私はむしろそれよりも個別対策をしっかりやっていくことが大事ではなかろうかと考えておるのでございまして、たとえば、中高年齢層の方々の職業訓練をしっかりやるとか、心身障害者に対する対策をさらに力こぶを入れてやるとか、それからもうすでにやっておることでございまするが、構造不況業種に対する全般的なてこ入れ、あるいは企業城下町失業対策をよりしっかりやっていく、こういった個別対策をむしろ明年度においてはしっかりやっていくことによって相当程度成果を上げられるのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。  実は、いま竹田先生お話しの社会党の案は、ついいましがた、ここに入る前に武藤政審会長からちょうだいいたしましたんですが、十分にまだ検討を重ねる段階に至っておりませんので、中身についてはまた十分検討さしていただきたいと考えております。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 確かに、個別対策というのを進めていく必要を私ども否定するわけじゃありません。これをやっていかなくちゃならないわけでありますが、いま企業城下町対策等お話も出されたわけでありますけれども、この企業城下町対策というのをやっていけば構造不況業種は何とかなるかと、何とかなるようなお話なんですが、どうもいまのような対策では私はこれはそのとおりいかないんじゃないか。これはいま直ちに大蔵大臣お答えになるべき事項ではないと私は思いますがね。私は大蔵委員会に所属をしているわけでありますが、去年は清水市を、これは戸塚先生の場所でありますけれども清水市を私ども予算委員会調査に行ったんですが、あそこが城下町に指定してくれという強い要求を私ども受けました。しかし、現在のところまで私まだ清水市が企業城下町になっているとは思いませんし、まあそこへ行きまして私ども驚きましたけれども不況街道というふうに市が名前をつけているところがありまして、そこへ行きまして見ますと、道の両わきの工場丸太が山のごとく積まれている。あの丸太が積まれている工場はあれは倒産した実は工場なんだというような御説明を聞きまして、なるほどこれがそう言って見れば不況街道の体裁をなしているということを見てきたわけでありますけれども、あの清水市が企業城下町対策の中に入っていない。  この間も、神奈川県が私のところに、神奈川県も大きな造船所がずいぶんある。しかし、これらの造船所はその設備を四割廃棄するんだということで、神奈川県には石川島播磨とか三菱重工とかあるいは日本鋼管とか日立造船とか、それに伴うまた小さな造船所がありますけれども、いずれも大量の解雇、いまおっしゃられた中高年の人などは、むしろ雇用されるんじゃなくて一番初め、これはもう本人の希望あるなしにかかわらず解雇対象になっているわけですよね。  こういう状態で、どうもいま片方ではそういう状態であるんだけれども、いまそのような個別対策中高年対策とかあるいは心身障害者対策にいたしましても、これをとにかく採用さしていくには、もう一人の者を採用さしていくにいたしましても——私、労働省にお願いして聾唖者の一人を就職させたことがありますがね、これだって二カ月一人でかかりますよ。そういうような状態で果たして一般雇用安定確保ということができるのかどうなのか。これはあなたも大平内閣の有力な閣僚の一人でありますから、単なる大蔵大臣ということじゃなくて政府責任者の一人であるわけでありますからね、どうもいまおっしゃった程度のことで雇用が安定する、失業は発生しないというお話はちょっとのどを通らないんですがね、どうなんでしょうか。ちょっとわからぬです。  私、実際に見て、そして実際に雇用の問題で経験してみて、どうもおっしゃるほど容易な状況じゃない。どういうふうにこれを大平内閣として変えていかれて、いまおっしゃられたような構造不況業種に六%成長でも失業が出ないことになるのか、どうもわからないんですが。
  16. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 雇用問題は政策としては一番重点を置かなきゃいかぬ問題でございます。またなかなかむつかしい問題でございます。特に今日、日本経済構造がすっかり変わってまいりましたから、全体として高度成長型から中成長型に変わってまいりました関係もございまして、まあ、景気刺激的な予算をつぎ込めばすぐそれが雇用に結びつくかというと必ずしもそう言えない面がございますだけに、私どもといたしましては十分この問題については労働省相談をいたしまして万全を期していきたい、それだけのやっぱり慎重さが必要だと思っております。  ただ、全般的な政策とあわせて、先ほど申しましたような個別政策重点を置くというか、雇用安定資金制度でございますとか雇用保険法失業給付制度改善とかいろんな問題ございますけども、それとあわせていまのような個別対策重点を置かなきゃいかぬじゃないかという感じがいたしております。  だんだんと、いま何と申しましても予算編成の過程にございますので、まあひとつでき上がったところでまたいろいろ御批判をいただきたいと思います。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまの雇用に関しては、当委員会の専属的な議論ではないと思いますから、私もこれ以上は進めませんし、機会があって予算委員会なり何なりの場でまたお聞きすることになると思いますけれども、どうもいまのままでは私ども納得をすることができないわけでありますから、個別的な具体的な政策、法律、そうしたものでひとつこれから速やかにお示しいただくようにぜひ御努力をいただきたいと思います。  それから、次は七%成長についてでありますが、御承知のように、福田さんがボン・サミットで七%、まあ程度と言ったかどうかわかりませんけれども、七%成長というのが一種の公約になってきているようでありますが、これも、これから金子大蔵大臣サミット等に行かれることもあると思うんですが、私も最近機会を見て西欧を歩いてみたんですけれど、どうも西欧の幹部の間の話では、一国の総理大臣が七%という数字を挙げて経済成長を発表するなどということはもう全くの異例のことだということで、どうして福田さんはあんな数字を挙げたのかと言うほどの批判が実は西欧の諸国にあることを私は自分の耳で聞いてきたわけであります。しかし、いずれにしても国際的に七%成長ということは約束をしてきたわけでありまして、いまおっしゃられていることを聞きますと、七%はもう全然不可能だ、下手をすれば六%も危ないんだと、こういう事態だと思いますけれども、しかし、IMFでは相変わらず七%成長を強く要求をしているし、あるいは海外でも大平内閣が七%成長は断念したということに対しては相当な不満があるというふうに聞いているわけでありますが、来年は、六月二十日ごろですか、東京サミットがあるわけでありまして、これはいままで以上に七%成長の去年の会談の成果国内各国の首脳がじかに目で見るという事態になるわけでありますけれども、そういうことを考えてみますと、大平内閣が、やはり七%成長各国相談もなしに一方的にもうやめたと言われることはどうも国際信義の上で私は問題があるんじゃないだろうか、来年のサミットについてもかなり批判対象になるんではないかと、こういうふうに思いますけれども、あるいはその国際信義というものが将来日本経済にまた何らかの形でマイナスとして返ってくる心配というものがあり得るんじゃないだろうか、こんなふうに考えておりますが、どうも余りにも簡単に福田さんの七%成長というこの数字を廃棄してしまったということについては、私は一種の不安を感ずるわけでありますが、その辺についてはどんなふうにお考えでございましょうか。
  18. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま竹田さんから御指摘がございましたとおり、いろんな批判も出ると思います。ただ、昨年来ずっと引き続いて政府がいろんな施策を講じて努力いたしてまいりましたのは、七%成長を何としてもやり遂げたいという努力でございまして、そのねらいは、内需を伸ばして輸入の促進によりまして極力外貨減らしをやりたい、またやらなきゃいかぬのだということでやってきたわけで、そのための血みどろの努力を今日まで続けてきたわけですが、大変残念でございますけれども、七%には達しませんでしたけれども内需だけ取り上げてみれば大体七%ぐらいになるわけでございますし、またその内需振興のおかげで相当額外貨減らしもできたわけでございますので、関係各国十分日本努力を認めてくれるんじゃなかろうかと、これは何といっても計画経済じゃございませんから、七%しゃにむにやろうとしてもできないこともあると思いますし、それから、仮にいまそれが達成できないから無理やりにさらに財政的にてこ入れしろということになりましても、結局そのツケは赤字国債に回ることになりますので、私はやはり現状でもって満足をし、その努力をひとつ各国に認めてもらうということが、与えられた私どもに対する道ではないかと考えておる次第でございます。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ七%へ戻すか戻さないかという問題より、私はやはりできないならできないので、国際的な理解を正面切って求める努力をやはりするべきじゃないのか。私どもも七%成長なんてできるなどとは夢にも思っておりませんでした。よくいって六%、悪くいけばあるいは五%台、民間の方ではもう四・五%ぐらいという数字すら出ている状態ですよ。私は、内需がそれじゃそれだけ拡大したかというと、まあそれは全然拡大してないということはないと思うんですけれども、見るべきほどの拡大はしていないというふうに私は見るわけであります。  今度の大平さんの記者会見でも、余り政府は当てにするなと、政府に頼り過ぎるなと、おまえらもっとがまんをしろというような発言があるわけですが、それはそれなりにわかるんです。  それじゃ一体何に期待するか、景気回復を一体何に期待するかというと、まあいろいろ新聞に出ている言葉から引用しますと、民間自力回復力期待をするというふうにしか私はとれないんですけれども、じゃいまのような事態の中で先行き、例の不確実性の時代というようなことで、まあ宮澤さんは夏になれば在庫積み増しが起こる、こういうふうに当初予算のときは言っていたわけでありますが、現実に在庫積み増しというのは大して起きていない。相変わらずある部面においては在庫減らしということが引き続いている。そして一方、民間設備投資もどうも余りふえていない。ふえている部分は、減量経営をやっていくためのものはふえておりますけれども、これは雇用の問題と当然相反する形というものを現在とっているわけでありますけれども、一体、大平内閣民間回復力というのをどう評価して、どこが民間回復力になっていくのか、この辺も新聞を読んでいる限りでは余り明らかでないわけでありますが、経済運営の一番最重要な衝に当たっておられる大蔵大臣でありますから、大平さんとも大変親しい間柄でいらっしゃるわけでありますから、この辺についてはもう十分総理とのお打ち合わせもされていることではなかろうかと、こういうふうに思うんですが、具体的に民間自力回復力というのは何を指して、どこを指しておっしゃっているのか、この辺をひとつ明らかにしてほしい。
  20. 米里恕

    説明員(米里恕君) 現在の内需の動きでございますが、最近の動きを見ておりますと、企業収益がかなりよくなっています。これには為替レートの影響もございますし、あるいは金融市場、人件費といったようなものの低下もあずかって力があるわけでございますが、企業収益がよくなり、それに伴ってかなりの企業が景況感を回復しつつあるということが申せようかと思います。  そういったことをバックグラウンドにいたしまして、民間設備投資はかなり上がってまいっております。各機関のアンケート調査がございますが、最近のものになるほど設備投資の本年度計画のアンケートの数字は上がってきておる。あるいはまた、個人消費もかなり堅調に推移してまいっておるというような状態であろうかと思います。ただ、先生御指摘のように、かつての高度成長時代と違いまして、民間の力が急速に盛り上がってくる、設備投資設備投資を呼ぶというような状態にはなかなかまいらないんではなかろうか。その原因の最たるものは、先ほど大臣がおっしゃいましたような、現在景気循環の下降期が続いておるというよりは、むしろかってに比べて構造変化のただ中にある。これはいろんな意味での構造変化と申せようかと思いますけれども、そういった構造変化のただ中にございますので、なかなかかつてのような爆発的な民需の盛り上がりというものは期待しがたいかと思います。しかしながら、たとえば五十二年度に比べまして五十三年度は相当内需の盛り上がりがあるというふうに私ども考えておりますし、たとえばGNPの寄与度で申し上げますと、内需、つまり海外経常余剰を除きまして、政府支出を差し引きました内需の寄与度は実質成長で二・三%ぐらいであったのが、本年度は恐らく四%から五%ぐらいの寄与度を内需だけで持つだろうというような数字にもなってございます。そういったようなことで民間の自律的な成長力というものがここへきてかなり高まったんではないか。しかしながら、これがそう過大なものを今後とも期待できないのは構造問題という非常にむずかしい問題を抱えているからだと、私どもはかように存じております。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 それで、結局来年度の経済成長をどうやっていくのか、それの基本になる予算編成がどうなるのか。予算編成考える場合には、当然そこで現在の情勢のもとでは、税収というのが思うようになっていないわけでありますから、必然的に国債に依存する割合がふえざるを得ないというのが一般見方のように私は思いますけれども、まだ予算編成に当たっていないわけでありますけれども、来年度国債を発行するとすると、いろいろな限界というものが私出てきているように思うわけでありますけれども、どのくらいまでならいまの国債の消化状況、あるいは来年の経済の諸条件を大蔵省がつかんでいる範囲の中でどのくらいまでなら一体出せるのか、この辺をひとつ計数的に、その他の条件を含めてお述べをいただきたいと思います。
  22. 田中敬

    説明員(田中敬君) まだ来年度の経済見通し自体がはっきりいたしておりませんので、来年度の金融情勢経済情勢全般の姿がつかめない中で、計数的にどれくらいということをお答え申し上げるのは大変むずかしいと思います。  しかしながら、考えます要素といたしましてはいろいろございますけれども、もちろん財政面からの健全性あるいは一般会計の硬直性を防ぐというような観点からの見方が一つございますと同時に、もう一面は金融面からの見方でございます。金融面の見方考えます際に、やはり考えられますのは、過大なマネーサプライの増加を来さない範囲というものがどれが限度であるかということが一つの着目点であろうと思います。その過大なマネーサプライの増加を来さない限度というものを何に求めていくかと申しますと、やはり民間部門の相互資金需給の姿がどういうふうになるであろうか。農協、信金等全部含みました全金融部門にどれぐらいの預金、資金が流入し、かつ、そこからどれくらいの貸し出しが出ていく。一方、公共債の発行額という総額が恐らく前提となると思いますけれども、その中で分類いたしてみますと、地方債、国債というようなものが大宗をなしますが、これらがいまの資金流入と貸し出しという関係において、適正に民間の金融部門で受け入れられる限度というものが一つの目安になろうと思います。  その際、その限度を超えて発行するということになりますと、これは一つはクラウディングアウトあるいは金利高騰を招くことになりますし、あるいはまた、それをさらに無理をして消化をするということになりますれば、おのずからマネーサプライの増加を招くわけでございます。  マネーサプライのふえ方がどれくらいが適正かという問題が次に出てくるわけでございますけれども、これはやはり、一般経済の名目成長と相当の連関をして考えなけりゃならない問題でございますので、来年の経済成長をどれくらいに見るか、そのためにはマネーサプライの増加はどれくらいが適正であるか、日銀が成長通貨の供給として行いますオペレーションの金額がどれぐらいがその中で期待できるのか、これらを総合勘案して見ますのが金融面からの見方でございます。  それともう一つ、いまは金融部門における資金需給の面から申し上げましたけれども一般的に民間部門、特に個人に貯蓄超過があるので、これを動員すればさらに公共債というものを発行し得る、消化し得る、それによって財政支出を増大して景気刺激が図り得るんではないかという考え方がございます。  この民間の貯蓄超過部門というのがどこにあるかと申しますと、その大宗はいま申し上げました預金という形で金融部門へ入ってきているわけでございますが、それ以外のものと申しますと、あるいはたんす預金でございますとか、法人企業等が株式等に投資している資金というものが、金融部門以外にある吸収し得る資金源でございます。それの部門での消化ということを考えてみるといたしますと、それの実績をよくあらわしておりますのが、本年度国債発行継続中でございますが、この中で証券会社が引き受けていって、事業法人あるいは個人にこれをどれくらい消化したかというのが一つの目安になろうと思います。御承知のように、この六月、七月までは大量にこれが消化されたわけでございますけれども、九月以降これが頭打ちになって、むしろ低下傾向にございます。  そういうような事情を勘案しながら考えていくということでございまして、何兆円ならインフレ要因、あるいは過大なマネーサプライの増加要因になる、何兆円なら円滑な消化、金融面に対するインパクトがどの程度であるかというようなことは、全体の経済の来年の見通しがはっきりしない現段階では、数字的にはまだ私どもも自信を持って申し上げる段階にないわけでございます。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 恐らく、予算が具体的に決まってこない限りはなかなかおっしゃれないというのが現状であろうと思います。  最近、大平内閣は、私鉄の運賃をこの間一二・八%、すでにもう第一回の値上げをおやりになったわけでありますけれども、国鉄、これもとにかく来年は上げるとこうおっしゃっているわけでありまして、消費者米価も何か麦を含めて五・六ぐらい上げると、こういうふうにおっしゃっておりますし、郵便料金もどのくらい上げるのか詳しいところは存じ上げておりませんが、これも来年は上げると言っておるし、たばこはすでに二〇%上げると言っているわけであります。健康保険法の問題、これも当然上がるという形でありますし、雇用保険法も上げる、こういうことでありますが、何かここへ来てぞろっと公共料金値上げ時代が大平内閣の初仕事というような感じがするわけでありますけれども、これはどういうふうにお考えになっておりますか、この辺をひとつ明らかにしていただきたい。何かいまもっぱら値上げ値上げ、毎日の新聞が値上げで相当な面を埋めているわけでありますが……。
  24. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 公共料金につきまして、いまお話のございましたようなものについてのいろんな話が出ておりまするけれども、これは当面の物価動向に与える影響は十分配意してまいらなければならぬと思っておりますが、ただ基本的な考え方として、こういうものを著しくコストとかけ離れたまま放置するようなことになりますと、やっぱり財政にそれがしわ寄せをされることになりまして、一時に大幅な引き上げをやらなければならないということになりますから、それこそ大変なことでございますので、まあコストとの関連でできるだけ合理的な水準に決定できるように、しかも物価対策上十分にレベルを考えながらやっていきたい、こういうことでございます。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 いま合理的な水準という言葉をおっしゃったんですが、合理的水準と言えば、むしろ麦価なんかは上げるんじゃなくて下げるべきだと私は思うんですよね。恐らくこれは大変な黒字に私はなっていると思うんですよ、その会計は。輸入の小麦については、むしろ大変な黒字になっているはずですよ。恐らく九百億ぐらいの黒字になっているんじゃないかと私は思いますけれども、そうなると、これはまさに合理的な水準じゃないんじゃないですか。こういうところまで何かごまかされて米価のおつき合いをさせられるんでは、これは私は合理的な水準とは言えないと思うんですがね。
  26. 加藤隆司

    説明員(加藤隆司君) 麦価の問題でございますが、輸入小麦がレートの関係がございまして下がっておりますことは事実でございます。ただ私どもから見ますと、円安になって小麦の値段が上がった際に約二千億以上の一般会計から持ち出しをしておるわけでございます。そういうようなことを考えますと、ただいまの主としてレートの問題でございますが、そこで一体どう考えたらいいのかという問題があろうかと思うわけです。  もう一つは、最近小麦の値段の方も必ずしも現在水準でなくて上がる傾向にある。こういうようなこと考えますと、一般的な財政負担として考えてみますと、レートが下がって赤字が出た際に二千数百億、四、五年前に三、四年続けて入れておるわけでございますから、そういうこと等を考えますと、円高になって黒が出ているということで放置したままでいいのかどうか、そういうふうなことを考えるわけでございます。  それからもう一つは、米価の場合と小麦の場合と価格決定の考え方が違うわけでございますが、日本の風土に非常に合った米というようなものがだんだん消費が減退しておるわけでございますが、そういうようなものとの関係考えますと、今後私どもが食糧の大宗を外国の輸入食糧に依存していっていいんであろうかというような問題、そういうことから考えますと、米と麦との価格の関係というものをなおざりにできないんではないかというようなことを考えるわけでございます。  ですから、一つはコスト的な問題としてコストの持ち出しをやったことがあるわけでございますが、今度はいまコストが下がっていると、余っていると、黒が出ているという問題がございますけれども、持ち出したときはそのまま持ち出しっ放しというのもこれはおかしいし、利益が出たときにはどういうかっこうで全体に還元するという考え方が一つ必要なんじゃないかと。  それからもう一つは、いま申しましたように、今後の長期のわが国の食糧政策考えますと、米と麦との関係というのをどう考えるのかという問題があろうかと思います。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもいまの加藤次長のお話は実はよくわからないわけですね。まあ景気のいいときにやるということであればそれはわかるんですが、いま不況で雇用の問題が国の最重要課題であるということは、私は国民生活がかなり圧迫されているという問題が重なり合っていると思うんですよね。  そういう中で、どうも消費者米価にしても、本来ならもっと少なくていいものをここで余分に上げようということを言っているなどというのは、私はどうもこの大平内閣というのが、国民生活を安定するという大きな目標じゃなくて、何かここで財政だけを切り詰めることによって国民に負担を転嫁をしていくことをやっている内閣だというふうにしか私にはとれないわけですよね。この辺はまだ決まっていることじゃないと思いますけれども国民がみんな苦労しているときに、政府財政上の都合を持ち出して、それだけで国民生活を圧迫していくということは、どうも私は腑に落ちない。苦しいときならみんなが同じように苦しむという状態というものをやはり政府が率先して私はやるべきであって、だからいまここで麦価の黒字で米価の赤字を埋める操作などというのは私は国民は納得しないだろうと思いますよ、そういうやり方は。まあこれからの問題点でありますけれども、いずれにしても公共料金を上げるということは、私はいまの日本経済の立場からいってもまさに不適切なことであるというふうに思います。  先ほど審議官の方からのお話ですと、内需は着実に伸びていると、こういうお話であります。これはいままで比較的物価が安定をしていたということで私は消費が若干それはおっしゃるように伸びているだろうと思うんです。まあこれから来年にかけて日本物価動向というのは一体どうなっていくだろうかというと、私はいままでのような安定した物価動向ではどうもなさそうだ。政府が一番先に公共料金の値上げを打ち出している。もうここから物価が、これは上げてもいいんだなという、物価安定じゃなくて、物価上昇への一つの歯どめを外したというふうに国民一般は私はとると思うんですよ。これは理財局長の立場からいきますと、返す国債の価格が安くなりますから非常に結構なことでございましょうけれども国民としてはそういうことには私は相ならぬだろうと思うんですが、物価動向を一体大平内閣はどのように見ているのか。  私は、どうも最近の通貨の状況あるいはその他の物の価格の動向あるいはマネーサプライ、そういうものから見て、安定の時期からインフレの時期への始まりをすでに示し始めてきている。これはもちろんインフレといってもどの程度のインフレになるか、今後の動向を見なければわかりませんけれども、四十八年当時ほどひどくなるかどうかはこれはちょっとわからぬと思うんですが、そんなにはなるまいとは思いますけれども、しかし来年の物価動向というのは、株価を見ましてもダウ平均六千百円という非常な暴騰ぶりなわけですよ。これは私は恐らく過剰流動性のなせるわざであると思うんですよ。この間までは債券に集中していたのが株の方に過剰流動性が移動をし始めたというふうに私は解釈しております。  地価にいたしましても、地価の問題は私ときどき言いますけれども、これはもう都市周辺では実に公示価格の二倍は優に越しているわけですよね。ここへ来てまた土地価格の値上がり、特に住宅地の値上がりというようなものが、一種の投機的な現象すらあらわれているというふうに見るのが私は正しいと思います。そういう点で、かつての過剰流動性の方向というものが出ているわけであります。  それから、日銀券の発行状況などを見ましても、前年同月比で見ましても、もうすでに八月からですか、一〇%という二けた台になっておりますし、その騰勢というのは十月には一一・二%、十二月には一二%という形でこの日銀券の発行というものがふえているわけでありますが、これを内需の健全な拡大というふうにまあ見れば見れないこともないと思いますが、私はそうではない。  それから先ほどおっしゃいましたマネーサプライ、M2の問題にいたしましても、もうすでに六月以降一二%になっておりますし、それはさらに拡大傾向というものを示していく。それから最近の卸売物価なんかにいたしましても騰勢に転じてきているということになりますと、まあ恐らく六カ月後になりますかあるいは十ヵ月以内になりますか、それはわかりませんけれども、明らかにこういう数字から見ると物価上昇の傾向をすでに見せている。こういう中で公共料金の値上げということを政府が先頭を切っていくということはさらに物価上昇への拍車をかけていく、こういうことになると私は思っているんですけれども大蔵大臣は来年におけるところの物価動向というようなものをそのように見ることができないと言うならば、ひとっこれは反証をしていただきたい。私はどうも上がりそうだ、こう思うんですが、どうでしょうか。
  28. 金子一平

    国務大臣金子一平君) まあ物価は最近までのところは大体平穏に推移しておりまするけれども、いま御指摘のマネーサプライや日銀券の発行高などを見ておりますと、ここのところ少し高目の様相が見られますので、今後とも十分これらの指標の動向をにらみながら、物価が一挙に上がることのないように対処してまいりたい、必要な手は随時打ってまいらなきやならぬと考えておる次第でございます。  ただ、いまお話しの幾つかの公共料金の問題、これはいまそれぞれの所管省で検討をしておる最中でございまして、最終結論が出たわけでも何でもございませんが、それが引き金になって物価を押し上げるというようなことのないように、これは十分国民生活をもあわせ考えながら、その引き上げの限度を決めていかなきゃならないというふうに考えておるような次第でございます。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、いまそういう意味で、政府が公共料金の問題にあえて触れているというあり方はどうも間違いじゃないか。ですからこれはひとつ公共料金も、それは私も全部上げちゃいけないと言うわけではありませんけれども、控えるべきものは控えていかないと、さらにインフレが、日本経済あるいはそれは財政の破滅の道に近づいていくわけでありますから、この辺は相当慎重に扱っていただかないと、何か新しい大臣ができたら、できた途端に一番最初に取り上げるのは公共料金の値上げだなんというのは、余りにも私はお粗末過ぎると思うんですよ。これはこういうふうに対処するというので、プラスを国民に示しながら、そのプラスの対価としてこうしてくれというならわかるんですが、先に金をふんだくっておいて、それで後で何とかかんとか、その金で何とかしますというんじゃ、私は順序、政治としてのやり方としては反対だと思うんですよ。この辺は大平内閣の姿勢として、いままでのようにまず金を取ってそれからやるんじゃなくて、行政の方向を明示して、どうしても金も足りないんだからこうしてくれというなら、これは私は国民納得すると思うんですよ。いまのやり方はそうじゃないですからね。来年度から政府はどういう施策をやるということを明らかにしないで、金を取ることばかり先に国民に示すようなあり方というのは、どうも私は逆方向のやり方だとしか思えませんですがね。この辺は十分にひとつ新大蔵大臣、特にあなたは民間関係には強いようでございますので、この点はそういう形でぜひ進めていただくように私はお願いをしたいと思うんです。  先ほどのお話の中にもあったんですが、税金の問題を一体どういうふうにされるんですか。いままで福田さんのときには余り言われておりませんでしたけれども、不公平税制は直すんだということをあなたもおっしゃっているし、それから大平さんもその点はおっしゃっておられるわけでありまして、これは私どもが常に、不公平税制を直せということで社会党としては何回か法案も提出をした経験を持つわけでありますけれども、具体的にどんなふうに直していくのか。  私ども、たとえば医師優遇税制の問題については、これは政府税調でももう前からこれは直すんだと、こういう答申を政府にしていると思うんですけれども、しかし一方では大平内閣のもとで、もうこれは慎重にやるんだと言う大臣もあらわれているわけなんですが、こういう点まただめかなあと、口では不公平税制を是正するということを言いながら、とにかく一番具体的な問題になっている医師優遇税制も慎重にするなどということになれば、これはどうも不公平税制は直っていかないんじゃないだろうかというような私は感じを受けるし、国民もぼくは同じだと思うんですよ。だから不公平税制を具体的にどう直していくのか、利子・配当課税の点は一体どうしていくのか。  それからまた、これも取る話ばかり大平内閣というのは先にするわけでありますが、新しい自動車新税ですね、これなんか私のところにずいぶん陳情書が来ておりますけれども、一体これはどうするのか。  それから一般消費税ですね、これも毎日の新聞をにぎわしている一つでありますが、大蔵大臣はことし、これもヨーロッパ視察なさって報告書を出されておるわけで、一般消費税については大変お詳しいというふうに伺っておりますけれども、これは一体どうするのか。前の村山さんは、五十五年の一月にはぜひともこれは実施をさしていきたいと、こういうふうに言っていらっしゃったわけですが、これは一体どうなるのか。  あるいは、構造不況の話が先ほど出ましたんですけれども構造不況なり中小企業の投資減税ということについてはあなたは御賛成のようでありますけれども、これは一体どうするのか。  あるいは土地税制については、自民党の一部からこれを緩和しろという話がありますし、建設省、国土庁の方からもこれは緩和しろという意見が出ているようでありますが、これは一体どうするのか。  あるいは減税はしないと、こういうふうにおっしゃっているんですが、物価調整減税というようなものはあり得るのかどうか。  こういうような問題について、一つ一つの税目についてどんなお考えなのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  30. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま竹田さんから御指摘の税制改正の問題でございますが、一般消費税の導入を、財政当局としては新年度に財政再建の足がかりを何としてでもつかみたいというような気持ちから、五十五年の一月実施ということを考え、前大蔵大臣もそれをこの席で申し上げておるような状況でございます。  この一般消費税の導入につきましては、国民世論の動向もございますし、消費課税になれてない国民皆様理解と納得を得るためにはある程度時間的な余裕も必要でございますから、とても五十四年の四月からというようなことは私は考えられない。まあ五十五年の一月が精いっぱいのところかなという感じを持っておるんでございますが、しかし、これをやるためにはやはり大前提が必要なんでございまして、いまお話のございましたお医者様の税金の問題、その他もろもろの特別措置で、すでに効用を果たしたと申しますか、この際整理しなきゃならぬというものが幾つかあろうと思うんでありますが、そういうものを当面主税局では取り出しまして洗い直しをしておる最中でございます。  これら税金につきましては、政府の税制調査会と党の税制調査会で目下御審議をいただいている最中でございますから、きょうその結論がどうだこうだということを申し上げる段階にまで至っておりませんけれども、御心配のございました医師優遇税制につきましては、長い経緯のあることでございまするけれども、新年度にはぜひこの見直しをいたしたい。現在の制度を改める、これは暫的定な経過措置が必要であることはもちろんでございまするけれども、現行の措置の廃止に踏み切りたい、こういうふうな気持ちで、いませっかく努力をしておる最中でございます。  具体的な各税の中身につきましては、主税局長からお答えをさしていただきます。
  31. 高橋元

    説明員(高橋元君) いまの大臣から御答弁のありましたような基本的な考え方で進めておるわけでございますが、申すまでもございませんけれども財政体質改善していくために、これから先は国民皆様一般的な税負担の増加をお願いする、これはもうやむを得ないことであろうと思っております。  そのような状況でございますので、税負担の公平の確保、これは税制面もございましょうし執行面もございますわけでございますが、いずれにしても、従前よりもより一層真剣に取り組んでまいる必要があるというふうに思います。  ただいまお示しのありました各項目につきまして、五十四年度の税制改正の問題として、いま税制調査会で真剣な御論議をいただいておるわけでございますが、医師優遇税制につきましては、ただいま大臣から申し上げたとおりでございまして、五十四年度にぜひその是正を実現をいたしたいということで御審議を願っております。  利子・配当でございますが、これは現行の税制が五十四年いっぱい、明年暦年いっぱい継続するわけでございますけれども、利子・配当がそもそも総合課税を原則とすることは申すまでもございませんで、総合課税に移行いたします際に、いかにして本人確認とそれから名寄せというものを両方進めて課税上の混乱、それによって、制度を変更することによってかえって起こってまいりますおそれのある税負担の不公平というものを避けつつ総合に移行し得るかという方便をいま、ことしの九月から明年の春にかけて税制調査会で御検討願った上で、五十五年から新しい体制に移行するという準備を進めておるわけであります。——失礼しました。五十五年末でございます。いまの利子でございますが、ちょっと訂正さしていただきます。  自動車でございますが、道路整備財源として燃料課税を引き上げる。それから総合交通財源として自動車の輸送力と申しますか、自家用自動車の輸送力に新たに課税をするという御提案がございます。これにつきましても、そういう特定財源でございますから、歳出の内容をなします第八次道路整備五カ年計画の内容、それからその総合交通と申しますか、陸上交通体系の公共輸送体系の総合整備の問題、そういうことも含めまして、また既存の各税、複雑な自動車課税が現に持っておりますところの税負担というものとの関係考えまして、これも御審議を願っておるところであります。  産業投資のために減税をすべきであるという御主張があります。この問題は、一つは先ほど御論議のございました明年度または明年度以降の経済の見通しと申しますか、やや中期的な日本経済の持っていき方、その中における民間設備投資の動向の把握、ないしそれに対する政策的態度という基本的な問題に関連する部分がまずあろうかと存じます。民間設備投資を促進し伸ばしていくために、投資したものに対して投資税額控除をやるということが恒久的な制度として果たして役立つかどうかということは、欧米の場合にもいろいろ論議のあるところで、私が承知しております限りでは、それについて疑念を持つ方が少なくないというふうに伺っております。  五十三年に行われております投資減税と申しますか、その制度は五十三年度の経済見通しの中での民間設備投資の力の弱さということに着目いたしまして、五十三年中に行われます民間設備投資について一〇%の投資税額控除をやる、それによって五十三年から五十四年にすべり落ちていくであろうところの民間設備投資を前に引き上げる、それから五十四年にあるいは計画するであろう設備投資を五十三年に引っ張り上げる、こういう効果を予想してつくったわけでございます。  ただいま御主張のあります産業転換投資促進税制と申しますのは、それとやや局面を異にしたところもあるわけでございますけれども、特定の不況業種に属する事業、それから中小企業、この二つにつきまして、その特定の不況業種以外の事業の用に供する投資をなさった場合に、その投資についての税額控除を認めよと、こういう御主張であります。五十四年についても、なお税の負担の公平に優先して投資を促進する税制を設けるべきかどうかという基本的な問題がひとつ考慮の必要があろうかと存じますのと、こういう投資税額控除というテクニックを使います場合には、いま申し上げましたように、歯どめないし前倒し、こういう効果、いわば時限法であるために起こってまいります効果というもの以上の効果を期待することはなかなかむずかしいというような事情から、この辺そういうことも入れまして、冒頭申し上げましたような一般的に減税と申しますよりも、むしろ皆様方に税の負担の引き上げをお願いする状況のもとで、政策としてあえて導入する必要があるかどうかというような点を含めて、これまた税制調査会でいま真剣な御論議の最中であります。  土地税制につきましては、土地の税負担を軽減するという見地から離れまして、低廉な宅地供給、優良な宅地供給というものを促進するための制度として現在の土地税制をどうするかという問題提起かと存じておりますが、現行の土地税制が明年いっぱい、まだ租税特別措置として続くわけでございます。その中で最近土地がかなり上がってきておるという状況も踏まえまして、政策として必要な税制措置であるかどうか、そこが基本的な視点かと存じます。優良な宅地供給に役立つ、地価の抑制を害さないと、この二つの観点からそういう新しい御提案が果たして役に立つかどうか、また認容すべきものかどうかということの御論議をいただいておるところであります。  最後に物価調整でございますが、これはもちろん一つの長い間の考え方でございますけれども、こういう状況のもとで物価調整減税を含めて所得税の一般的な負担の軽減をするということがもはや許されない状況になっておるんではないかということが私ども考えでございます。所得税の一般的な税負担水準について、これまた五十四年度の問題として税制調査会で御論議をいただいておるという状況でございます。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 きょうはこれに対して私の方の態度は必ずしも明確には出しませんけれども、具体的にそれが提案され、あるいは予算に含まれてくるという際には明確に出していきたいと、こういうふうに思うわけでありますが、その中で特に大蔵大臣にお願いしたいことは、一般消費税問題だと思うんですよ。これはあなたも各国状況をごらんになってきて、つぶさに導入当時の状況というものを御存じになっていると思います。ただ、税の増収を急ぐ余りにこの一般消費税を早急に導入するということになりますと、私はかなりの混乱が生まれるだろうと思います。もしこれをやるとすれば、イギリスのように十分な準備と国民の合意を経た後でないと、記帳問題を中心にいたしまして私はかなり困難が予想されるわけであります。特に一般消費税、いま税制調査会でも恐らく討議をされていると思います。急ぐことよりもやはり国民の合意をどう得ていくか、そのことを先にしないと私は失敗するんじゃないかということで特に御要望申し上げておきます。  その他幾つか御質問をしたいことがあるわけでありますが、時間も来ておりますので、特に私はヨーロッパのEMSですか、ヨーロッパ通貨制度、今度全部ではありませんけれども、ECのかなりの国が来年の一月一日から発足するというふうなことでありまして、これは私は世界の通貨情勢に対しましてやはり大きなエポックメーキングな事件ではないだろうかというふうに思いますが、これと関連して一体日本はどうなっていくのか。円の国際化はこれによって進められるのか、進められないのか、その辺の関連をどんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。これはひとつ大蔵大臣からお聞きしたいことでございます。
  33. 宮崎知雄

    説明員(宮崎知雄君) EMS、新しい欧州の通貨制度でございますが、これはECがかねてから目指しておりました経済、通貨の統合への努力のあらわれだというふうに私ども見ております。御承知のように、現在のところヨーロッパでは共同フロート制をとっているわけでございますが、この新しい措置によりまして介入のやり方を改善するとか、あるいは信用供与の制度を拡充していくと、そういうふうな方法によりましてこのフロート制度を補強していく、これによってヨーロッパの中、特にECの通貨の安定を図っていこう、こういう動きでございまして、EC諸国はこの新しい制度がEC諸国の通貨の安定に資するだけではなくて、またこれが世界全体の国際通貨情勢にもいい影響を与えるものだというふうに言っております。わが国といたしましても、このEMSがそういうふうな方向で運用されるように私ども期待しておりますし、今後の動きを見守っていきたいと、こういうふうに考えております。  それから、この動きが一つの将来の円の国際化とか、あるいはもっと広く円が東南アジアを中心とした一つの円通貨、円構想というようなものにつながっていくかというようなことにつきましては、これは私どもは直接にはそういう関係はないんではないかというふうに考えております。  円の国際化と申しますのは、やはり円が徐々に国際取引に使われていくということでございますけれども、国際通貨、国際取引におきましてどういう通貨を使っていくかということは、これはその通貨の流通性とかあるいは金融力、そういうものを見て取引の当事者が決めていく問題だと思っております。  現在までのところ、日本対外取引におきましても、円が使われているのは輸出の場合に大体二割から三割ぐらい。輸入の場合には一%ぐらいしか使われてないわけでございまして、そのほかは全部主要なものはドルで取引されている、こういうふうな現状でございます。それからまた、東南アジアの国におきましても自国の通貨を円にペッグするとかリンクするとか、そういうようなことをしている国はないわけでございますので、そういうような意味からいきますと、いますぐに円の国際化が急速に進んでいくというような客観的な情勢には私どもまだないんではないかというふうに考えております。
  34. 竹田四郎

    竹田四郎君 お答えございませんか、大臣からは。
  35. 坂野重信

    委員長坂野重信君) もう時間は経過しております。簡単にお願いします。
  36. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま御指摘の円の国際化と申しましても、結局は円の力の問題だろうと思いますので、今後そういう方向で円が国際通貨として利用されるような方向へ行くことは非常に望ましいことでございまして、私ども極力努力してまいりたいと思いますが、いますぐヨーロッパのEMSの問題に関連して環太平洋圏でそれが実現するというような段階にはなっていない。今後の努力だろうと私は考えておりますので、御了承いただきます。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもありがとうございました。     —————————————
  38. 坂野重信

    委員長坂野重信君) この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  本日、戸塚進也君から文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に梶木又三君を指名いたします。(拍手)     —————————————
  41. 坂野重信

    委員長坂野重信君) それでは、引き続き租税及び金融等に関する調査について質疑を続けます。
  42. 多田省吾

    ○多田省吾君 初めに、金子大蔵大臣にお尋ねいたします。   〔委員長退席、理事藤田正明君着席〕  福田内閣から大平内閣にかわりまして、大蔵大臣もかわられたわけでございますが、財政、税制に対する基本的な姿勢がどう変わったのか、この点を国民皆様も大変心配されているわけでございますが、まず大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  43. 金子一平

    国務大臣金子一平君) まだ来年度の予算編成に入ったばかりの段階でございまして、来年の経済見通しもまだまとまった数字が企画庁からは出てきておるわけではございませんので、まあ来年の財政の規模をどうするか、国債依存度をどうするか、税収をどの程度上げることができるかというようなことにつきましては、いま的確に申し上げられない段階でございますので、その点はひとつお答えをしておきたいと思うんでございます。  ただ、率直に申しまして、ことしは景気刺激的な比較的大型の予算を組んで景気を押し上げるような努力を全力を上げてやってまいりましたけれども、石油ショック以来の大きな経済構造の変化が世界的に起こりまして、日本もその例外ではなくなったと。財政経済を押し上げる力がだんだんとある意味においては弱まってきているんじゃないかと思うんです。そういう点を考えますると、私は今日国債依存度が非常な高さに高まってまいっておりまするが、これをなかなか一遍に解消しようといったって、それはできることでございませんので、中長期的な視野で財政の再建を漸次図ってまいりたい、その足がかりをとにかく来年の予算編成を通じて何とかつかんでいきたい、こういう気持ちでおることを率直に申し上げたいと思います。
  44. 多田省吾

    ○多田省吾君 福田内閣は七%程度経済成長をボン・サミットその他において公約され、そうして必要があれば二次補正も考えるという姿勢にあったわけでございます。そうしてまた、失業の問題あるいは雇用の促進等の問題、あるいは御存じのように貿易の黒字幅、経常収支の黒字幅を大幅に縮小するというような考えもあったわけでございます。しかし先ほどから、またこの前からいろいろお聞きしておりますと二次補正は考えない。あるいは六%程度成長できめ細かな対策をすれば雇用の問題も解決するんじゃないかとか、あるいは経常収支の問題も解決するというようなお考えに立っているようでございますが、その辺は私ははっきりと福田内閣財政あるいは経済対策よりも大幅に変わっていると、このように考えざるを得ないんですが、大臣はこの点はどう考えますか。
  45. 金子一平

    国務大臣金子一平君) これからの予算編成を通じて具体的に出てくる問題でございますので、それはまたその際ひとつ御指摘をいただきたいと思うのでございますが、私は気持ちとしては、景気循環の過程において一時的に落ち込んだものを大型の予算で食いとめることはこれは可能であるかもしれませんが、構造変化がきたものを毎年毎年無理をして押し上げることはなかなか困難だと、そうなるとやはり中期安定、中期的にバランスのとれた安定成長の路線を日本としては歩んでいかなきゃならぬのじゃなかろうかと、そのために必要な財政経済政策をしっかりと打ち立てていきたいというのが私の気持ちでございます。
  46. 多田省吾

    ○多田省吾君 本年度の七%程度成長にしましても、大平総理大臣は自民党の幹事長として福田内閣総理大臣、また福田総裁のもとでやられたわけでございますから、テレビ等でもはっきりと七%程度成長に関しては責任を分担すると、このようにおっしゃっておられるわけでございます。大蔵大臣もその点は同じだと思いますけれども、それにしては、内閣がかわった途端に急に経済企画庁から七%の成長は無理だと、その前までは何とかする、大丈夫だというような非常な高姿勢だったんですが、たちまち変わってしまった。  私は、この雇用の問題にしましても、過去五・七%あるいは五・五%の実質経済成長が続き、また本年度も私どもはせいぜい五・五%程度経済成長しかあり得ないだろうと、このように考えておりますけれども、その程度経済成長ですとだんだん完全失業率が増加しているじゃありませんか。そうしてまた、産業構造の転換あるいは構造不況業種に対する細かないろいろの対策というようなこともおっしゃっておりますけれども、それだってこの二、三年来全然やってこなかったわけではない、それは不備な点も相当ありましたけれども。だから私は、来年度におきましても六%程度成長雇用問題が解決するんだとか絶対大丈夫なんだとか、そういう経済学的な根拠がどこから出てくるのかちょっと腑に落ちないんですよ。その点はどうですか。  だから、私たちは二年前の福祉社会トータルプランにおきましても、雇用対策のためにはやはり福祉関係の事業を大幅に増加いたしましてその従事者をふやしていくとか、あるいはまあ学校における一学級当たりの児童数、学生数をもう少し減らして先生の数を多くするとか、そういう具体的な対策をとっていかなければ私は本当の意味の雇用の促進にはならないんじゃないか。その他もいろいろ雇用促進に関しては対策はあろうと思いますけれども、そういったことを全然お考えにならないで、ただ六%程度成長できめ細かな対策を行えば雇用問題は解決すると、こういうおっしゃり方はどうも腑に落ちない。その点はいかがですか。
  47. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 誤解があったかもしれませんけれども、全然財政的なてこ入れ予算的な対策を無視、おっぽり出してやろうというわけではございませんので、まあいままでのように超大型の予算をそうこれから毎年毎年繰り返すわけにまいりませんから、そこをある程度無理のない、赤字国債にいつまでもしわが寄らないような対策を講じながら、健全財政景気の繁栄を両にらみにした、大変欲張ったむずかしい言い方でございまするけれども、そこら辺の兼ね合いをどうするかということによって、何とかいまお話のございましたような雇用の安定と申しますか、それを図っていきたいということでございまして、雇用政策をこれからどうもっていくか、まあ労働省大蔵省、これから協議に入るところでございましょうから、必要があればこういう問題いま議論しておりますという点を事務当局から説明させまするけれども基本的な考え方としては、もう大型予算を組んで景気刺激をすればそれで雇用問題は解決するんだという状況にはないということにアクセントを置いて申し上げたわけでございます。
  48. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は決して、大型予算を組めば雇用問題を解決するとは申しておりませんけれども福田内閣が七%程度成長を目指してもなかなか成長が達成できないし、また完全失業率の減少も招かなかったという点から見まして、それよりも非常に消極的な六%程度成長でよろしいんだと。これもまあ考えようによっては非常に大変なことでございますけれども、しかしながら、その点で雇用促進は十分やっていくという御確信があるならば、やはりそれ相応のきめ細かい雇用対策が必要であると、このように私たちは考えるし、また経済成長においても決してこれは無縁ではないわけでございますから、その点は十分お考えになって来年度の予算を組んでいただきたいと、このように思うわけでございます。  ただ一つ見逃し得ないのは、やはり私は福田内閣時代に七%程度成長は政治責任をとっても必ずやるんだとおっしゃっておられた。そのときまでは経済企画庁も、在庫調整も進んでいるし、あるいは民需も伸びているので七%成長は大丈夫だと、このようにはっきりおっしゃっておられた。われわれは非常にむずかしいだろうということを率直に申し上げたのに、終始十一月末ごろまでは大丈夫だとおっしゃっておられたのに、十二日の経済企画庁の長官の報告等によれば非常に達成はむずかしいと急に変わったわけですね。  それは七、八、九月期のいろいろな諸計数から考えられたこともあるでしょうけれども、特に経済企画庁の岩田調査局長等も現在のままでは六%程度ではないかということをおっしゃったと、このように新聞紙上等で拝見したわけでございますけれども、岩田調査局長にお聞きしたいんですが、どうしてこんなに急激に内閣が変わった途端に経済成長の見通しも変わったのか、端的にひとつお答えいただきたいと思います。
  49. 岩田幸基

    説明員(岩田幸基君) いま先生御指摘の点でございますが、実は新聞報道等の中には必ずしも正確に報道されていないものもあるようでございますが、十二日の経済閣僚協議会で最近の経済情勢について御説明をいたしました。  その際、たまたま七月−九月のGNP、いわゆるQEでございますが出ておりまして、中身は先生も御承知だと思いますけれども、七−九月のGNPは国内需要は一・八%前期で伸びておりまして非常に堅調である。しかしながら、円高影響等もありまして海外経常余剰がマイナス七%というように非常に大きく景気の足を引っ張っておりますという御説明をいたしました。  それに関連いたしまして、それでは仮にこの七−九月の状況がこのまま年度末まで続いたとすれば、五十三年度の成長率はどのくらいになるのか、こういう御質問がございました。七−九月の状態と申しますのは前年同月で五・九%、約六%でございます。したがいまして、その状態が十−十二月、一−三月そのまま続いたといたしますと、大体六%程度成長率になります。こういうきわめて単純な計算上のお答えをしたわけでございます。  実際にそれでは十月以後の成長率はどのくらいになるのかという点につきましては、いま私の局ではございませんけれども、見通しの担当局で検討作業をやっているわけでございまして、まだどのくらいの見通しになるのかということは見当がついていないということでございます。
  50. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、どうも内閣が変わらなければそういったこともはっきりおっしゃらなかったんじゃないかなと、このように勘ぐるわけですね。これはげすの勘ぐりかしれませんけれども。  それから海外経常余剰にしましても、もう最初からそんなことは、輸入を増大して輸出を抑えるという政策が最初からあったのでございますから、相当輸出で実質経済成長が阻まれるということは、これは最初からわかりきった話なんですよね。そういったことを承知の上で福田内閣時代は七%程度成長は大丈夫だ大丈夫だと言い続けた責任というものは私は重大だと思うのですよ。やはり私は大平内閣に変わったとしても自民党内閣としての連帯責任は免れない、このように考えるわけでございます。  それはそれといたしまして、次に私は来年度の予算編成につきまして若干お尋ねしたいんですが、どうもまだ中期経済計画、まあ七カ年間の今度は新経済計画を立てたいと福田内閣時代言ったわけでございますが、それがことしいっぱいに発表したいようなことでございましたが、どうもこれも来年に伸びそうだということも聞いておりますが、この中期経済計画、これは新経済計画はいつごろまでにおつくりになるお考えでございますか。
  51. 米里恕

    説明員(米里恕君) 御質問の新中期経済計画でございますが、現在経済企画庁経済審議会を中心にいたしまして、いろいろ検討中でございます。  お話もございましたように、当初考えておりましたよりは若干テンポがおくれておるというふうに聞いておりますが、来年一月の末くらいには一応の概案、第一次概案と申しましょうか、そういったものをつくり上げまして、最終的には来年の五月に閣議決定するというタイミングで進んでおるというふうに聞いております。
  52. 多田省吾

    ○多田省吾君 それはあれですか、中期経済計画と、それから中期財政見通しの両方でございますか。
  53. 米里恕

    説明員(米里恕君) 私が申し上げましたのは経済審議会でやっております七年間の中期経済計画でございます。
  54. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣、中期財政見通しはどうなりますか。
  55. 加藤隆司

    説明員(加藤隆司君) わが国の財政が非常に厳しい状況にございますので、中長期展望を持って運営をしなければいかぬという、そういう考え方が強く国会でも当委員会でも述べられておるし、私どももそういうふうに考えております。本年九月に財政制度審議会におきまして財政計画についての特別部会をつくりまして、その下に小委員会を設けまして、九月以降数回にわたりまして検討いたしまして、本日、ちょうどこの小委員会財政計画の特別部会の方に報告を午前中にしておると思いますが、そんなような段階でございます。  それで、何をやっているかということでございますが、いろいろ広範多岐な問題があるわけでございます。たとえば財政計画の目的が何かとか、ただいま御指摘のありました経済計画との関係はどういうことになるのかとか、そういうような問題、非常に広範多岐な問題がございますので、精力的に検討していただいておりますが、なかなかめどはまだまだでございます。諸外国の例で見ましても、ドイツの場合ですと十年ぐらいかかっておりますし、時間が長いのばかりが能ではございませんが、いろいろ技術的にもむずかしい問題がありますし、前提となる経済計画の方の決まり方、そういうようなものの兼ね合いもございます。  そこで、ただいま申し上げましたようなところまでいま来ておりますが、これから一体どうなるのか、いつごろにどういうふうに財政計画がなるのかという点につきますと、財政制度審議会の審議状況をいま少し見るほかないということでございます。
  56. 多田省吾

    ○多田省吾君 大変おくれそうなお話ですが、五十三年度の歳入見通しについて、大蔵省は歳入欠陥になるおそれがあるということをおっしゃっているそうですが、企業収益はだんだん好転しているというお話もありますけれども、ことしの春闘のベースアップも非常に低かった。あるいは十二月度のボーナスも伸びが非常に低いというようなことで大変心配があると思いますけれども、一部では二千億円程度の歳入欠陥が再びあるのではないかと言われておりますが、これはどうですか。
  57. 高橋元

    説明員(高橋元君) いま御質問ございましたように、五十三年度の一般会計税収、これは年度当初から順調とは申せません。十月までの収納状況で申しますと、補正後の予算額に対しまして四九・二%入っております。この収納状況は、前年の同月に比べますと〇・九%程度下になっております。これはいろいろな原因がございますけれども、一つは、法人のいまお示しのありましたように五十二年度下期の収益状況が非常に悪くて、五十三年の五月税収が低調でありました。そのために、税収が低かったのみならず、還付が相当程度出てまいったわけでございます。そういうことから法人税収が非常に進捗が悪かった。それからもう一つは、源泉所得税で利子それから給与を通じて予算で見ておりますよりも税がおくれておるという二つの理由であります。法人税それから源泉所得税という主要な税目について税収がおくれておるわけでございますから、全体の税収もいま申し上げたような形になっております。  お示しのございましたように、今後法人の収益が回復してまいるというような情報もいろいろございます。期待をしておるわけでございますけれども、年末の賞与、さらには確定申告に係ります土地の譲渡の所得税、その辺の見通しもはっきりいたしませんので、いずれにいたしましても、補正後の予算額二十一兆一千五百億円というものを上回ることはまずないと思います。どの程度下回るかは、いま申し上げましたように非常に不確定な要因を多々持っておりますし、その不確定な要因の大きさが大きいものでございますから、いま御質問のありましたような金額になるかどうかわかりませんが、私どもは上回ることはなくて、下回る可能性は否定できないというふうに思っておる次第でございます。
  58. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから来年度の予算編成方針につきまして、大蔵省あるいは大蔵大臣財政の立て直しを理由にまた福祉見直しを図っているんじゃないか。たとえば教科書無償配付とか児童手当とか老人医療の無料化等の福祉見直しを図ろうというようなお考えがもしあるとすれば、これは長期不況、それから低成長経済の中にあって国民生活、また弱い方々がますますこれは大変な生活になりますし、不安と失望を大きく与えることになります。それで福祉拡充を求める国民の声はますます高まっておりますし、また中央児童福祉審議会、社会保険審議会なんかの政府関係の機関も福祉拡充の方向を打ち出しているわけでございます。このような声を無視して財源不足を理由に福祉の充実を削るというのは、これは大変なことだと思いますが、金子大蔵大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  59. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま御指摘の問題でございまするけれども、これは財政事情がこういうふうに厳しくなりましたから、全般的に既定の施策について見直しをやっておる最中でございまして、福祉について特に洗い直しをしろというようなことでは全然ないわけでございます。福祉の面はこれからますます充実していかなきゃいかぬと考えておるのでございまするけれども、ただ、限られた財源を有効にどうやって配分するかということを考えますときに、たとえば比較的恵まれた階層にまで給付するというようなものがあるとすれば、それはある程度考え直しもいいんじゃないかというようなことも考えられます。全般的にそういったことを既定経費についてやっておるということでございまして、まだどの問題についてどうするというような最終結論を得ておる段階ではございません。
  60. 多田省吾

    ○多田省吾君 福祉の充実につきましては、私は強く来年度予算につきましては留意すべきことを要求しておきます。  次に、先ほどもお話がありましたけれども一般消費税の問題でございます。私どもはあらゆる理由からこの一般消費税の導入には強く反対しているわけでございます。特に、仕入れ控除方式において転嫁すべき税額が不明確であるとか、逆進性の問題であるとか、物価への影響であるとか、経済への悪影響であるとか、いろいろな問題があるわけでございまして、先ほども大蔵大臣国民の合意を得て、あるいは不公平税制の是正をきちっとやってからと、このようにおっしゃっておられました。私はやはり、まあ強く反対はしておりますけれども、とにかく国民の合意あるいは不公平税制の是正、こういったことをまずやらなければ国民の合意も決して得られるものではない、このように考えるわけでございます。  その点に関して大蔵大臣は、昭和五十五年の一月度からできれば大成功だとか、あるいは前内閣大蔵大臣よりも消極的な、慎重なお考えのように思いますけれども、あくまでもそういった慎重性を貫かれるお気持ちかどうか、もう一回お尋ねしておきます。
  61. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま御指摘の点はそのとおりに考えております。国民理解と協力なしにこういう大きな税制は執行できませんし、そのためのある程度のPR、協力を求める姿勢だけは、あるいはその努力だけは何とかして早くやっていかなきゃいかぬというふうに考えております。
  62. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから参考までに、金子大蔵大臣が本年九月に自民党の税制調査会長としてヨーロッパを視察されたわけでございますが、日本と比較してどのような感想を持たれたか、端的にひとつお答えいただきたい。
  63. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 各国回りまして一番気づきましたのは、一般消費税、向こうで言えば付加価値税ですが、生活に溶け込んでおって納税者もこれに対する違和感を持ってないということ、先ほどちょっと御指摘のありました、一々税額を別記し明記しておるわけではございませんが、たとえばこの中には五%ないし一〇%の税額が入っておるんだというふうに当然受け取っております。また、これをやることによってお互いの福祉その他の財源が生み出されているんだという感覚を持っておるのです。これはやっぱり消費税になれた国でございます。納税についてのある程度考え方も違っておるのだろうと思うのでございますが、各国を回りまして感じた一点はそういうことでございます。  それからもう一つあるのです。フランスは直間比率が三対七なんですけれども各国とも五、五に近い、あるいは五、五をちょっと切れるところまでのバランスになっておりますが、ヨーロッパはいま低成長でございます。三%とか、三.五%という低成長でございますから、財政当局は口をそろえて、これからの財政バランスを維持するためにはほかの税に依存するよりも付加価値税に依存して直間比率は五、五ぐらいに持っていくのが理想的な姿だと、立法者も財政当局もそういう感覚でおるわけでございます。日本の場合はその直間比率まさに逆でございまして、しかも先ほどもちょっと申しましたように、高度成長時代の姿がすっかり崩れて中成長の時代になってまいりましただけに、従来のシャウプ税制で築き上げられた税制自体をちょうどいま見直さなければならぬ時期に来ておる。そこで浮かび上がったのがこの一般消費税考え方だと、こういうふうに御理解いただけばありがたいと思うのです。
  64. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから、不公平税制の是正につきましては何か得るところはなかったですか。大臣の感想です、ヨーロッパを回られて。不公平税制が日本にたくさんあるわけです。その点に関して何か参考になる点はなかったですか。   〔理事藤田正明君退席、委員長着席〕
  65. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 各国ともそれぞれお国柄であるようでございますが、それは各国ともそれなりに苦労して努力をしておるように見受けてまいりました。
  66. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから、十二日の政府税調では五十四年度の税制改正の審議を始められたようでございますけれども、特に土地税制緩和とそれから輸送整備税につきましては反対論が非常に多かったということを聞いております。土地税制緩和につきましても、地価上昇の引き金になるんじゃないかとか、あるいはこれで本当に宅地供給に役立つのかと、こういうような意見も非常に多かったと聞いておりますけれども大臣はこの点をどうお考えですか。
  67. 高橋元

    説明員(高橋元君) 十二日の税制調査会で、現在御要望のあります土地税制の改正、それから自動車の燃料及び車体の両方にかかる課税の強化ということについての政府関係当局の御説明がありまして、それに基づいてかなり真剣な御討議が行われたことはただいまお話のあったとおりでございます。  土地税制でございますが、現在の土地税制は昭和五十五年末まで適用に相なるわけで、それに対して、現在の土地税制に基づく土地の譲渡の税負担というのが非常に重いから、かえって土地の流動化を阻害して宅地供給を害しているのではないかという御意見でございます。その点はこれからの御審議にかかることでございますけれども、総じて申しますと、一般的に税負担の増加をお願いをしなければならないそういう環境のもとでございますので、もう一つは、いま申し上げましたように五十五年末まで適用期限のある五カ年の税制でございますので、その中途であるという状況考えますと、土地所有者の税負担がいずれにしても軽減される、そういう改正を行うことについてよほど明確な効果がわかりません限りは、国民の各位の御納得が得にくいのではないかというのが私どもの総括的な考え方でございます。  もう少し細かく申しますと、二点あろうかと思います。一つは、現在宅地の供給が果たして低調になったのかどうかということであります。もう一つは、地価の上昇がこれによって引き金を引かれるということがないかということであります。  最近の不動産研究所の調査によりますと、一−十月で六大都市の宅地は六・六%前年に比べて上昇いたしておるようであります。国土庁の調査でも東京都の市街地の地価というものは五・五%でございますか、上昇をいたしておるというふうに言われております。いずれも消費物価を上回る地価の上昇ということがあります中で、こういうものについて慎重な配慮が必要であろうというふうに思いますし、御提案にかかるような土地税制の改正について、ただいまも申し上げましたように、よほど明確な効果が期待されるのでない限り一般の御納得を得にくいのではないかという観点から、税制調査会でこれから数日をかけて慎重に御論議が行われるものであるというふうに承知いたしております。
  68. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、国債発行についてお尋ねしたいと思いますが、大臣も、数年のうちに赤字国債、特例国債はゼロにすべきだとこのようにお考えで、来年度からの赤字国債対策をお考えになっておられると思います。先ほどからも国債依存度が余りにも高く過ぎるというお言葉もございましたし、これは当然だと思います。新聞報道等によりますと、五十四年度の国債発行額は市中消化能力が十三兆円、資金運用部の引き受け一兆円、計十四兆円が限度というような報道もなされているわけでございますけれども、これは大蔵省が発表したわけでもないと思います。もしさようならば、たとえば三十九兆五千億円の予算というようなことを考えますとやはり三五・五%ぐらいの国債依存率になるわけでございまして、本年度の三七%から比べても余り低くならないわけですね。私は大臣考えておられるのはそれよりももっと低い国債依存度ではないかと考えておりますけれども、この辺はどうお考えですか。
  69. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 具体的な数字の詰めにまだ入る段階になっていないのです。来年の経済見通しが企画庁から出され、それから各省庁から出ておる歳出予算検討が一段落してさてということになるわけでございますので、十四兆とかなんとかいう数字も世上うわさされておりまするけれども、これ公式見解でも何でもございません。どの程度にしなければいかぬか、またできるか、これはそう一遍に大きく国債の発行を減らせるとも私は思っておりませんけれども、できるだけ財政健全化の方向に持っていけるように努力してまいりたいということでおるわけでございます。
  70. 多田省吾

    ○多田省吾君 一部には、国債依存度が四〇%を超えるのではないかというようなこともささやかれているわけでございますが、私は姿勢として、少なくとも本年度の三七%を超えない、むしろ縮小していく方向であると、その程度はやはり姿勢としては要るのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  71. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いろいろ御示唆をいただきましてありがとうございます。ひとつせいぜい努力したいと思います。
  72. 多田省吾

    ○多田省吾君 将来の国債の日銀引き受けの可能性はないでしょうねということですね、それに踏み切るようなことは。  それからもう一つは、国債の個人消化促進策といたしまして国債の銀行窓口販売、その辺はどのようになっているのか、この二点をお聞きしたいと思います。
  73. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 国債の日銀引き受けなんということになりましたらそれこそ大変なことですから、絶体にやらせるつもりはありません。  それから国債の銀行窓口引き受けの問題につきましては、いろんな経過もあったようでございますから、事務当局からひとつ御報告をさせます。
  74. 多田省吾

    ○多田省吾君 結論だけで結構です。
  75. 田中敬

    説明員(田中敬君) 窓口販売の問題につきましては、目下証券取引審議会におきまして審議をいただいている最中でございまして、その審議の経過を見つつ、さらに検討を進めてまいりたいというのが現段階でございます。
  76. 多田省吾

    ○多田省吾君 見通しはどうですか。
  77. 田中敬

    説明員(田中敬君) まだ本年度内に証券取引審議会がさらに開かれる予定でございますので、審議会の委員の御意見がどういうふうに出るか私ども予測できませんので、現段階で見通しすら申しげることはむずかしいと存じます。
  78. 多田省吾

    ○多田省吾君 それからデノミについて一点お尋ねしたいんですが、前福田総理はデノミの推進論者で、物価が安定して経済が安定すればなるべく早くやりたいということで、民間調査機関の日本経済調査協議会の結論も出されたわけでございますが、大平内閣ではこのデノミに対してちょっと消極的に変わったように思いますけれども大蔵大臣はどのようにお考えですか。
  79. 金子一平

    国務大臣金子一平君) デノミにつきましては、これ経済が安定したらいつの日にかやらなきゃならぬことかもしれませんけれども、今日のような情勢で、まだやることがたくさんございます。一日も早くとにかくお互いの経済を安定させ、生活を安定させることが先決でございますから、しかも通貨、為替等もまだ必ずしも安定しているわけじゃございませんので、ここさしあたってやれるような時期とは考えておりません。
  80. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、専売事業審議会の答申が出まして、たばこの値上げ二〇%であるとか、あるいは国会の承認なしに製造コスト上昇分は値上げしてもよろしいんじゃないかというような答申が出たそうでございますけれども、先ほども審議がございましたように、大平内閣になりましてから大変もう公共料金の値上げが激しいわけです。消費者米価や麦価が五・六%値上げであるとか、あるいは私鉄の料金も、少し一月の初めに延びましたけれども一二%平均であるとか、そのほか国鉄の運賃であるとか、続々と値上げを予定されているようでございまして、国民感情にとってもわれわれから見ても非常に納得できないものがあるわけです。それにたばこの値上げということになりますと、これは大変な物価上昇への引き金になるんじゃないか、このように思いますけれども大蔵大臣としてはこれに対してどのようにお考えですか。
  81. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 審議会から答申をいただいたばかりでございまして、現在慎重に検討しておる段階でございます。ただ、たばこの値上げ自体は、これは一種の嗜好品でございますから、酒等の値上げは本年度でございますか、やったばかりでございますし、ここ数年たばこはそのまま据え置きにいたしておるというような経緯もございますんで、十分慎重に検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  82. 渡辺武

    ○渡辺武君 まず初めに、大臣財政運営基本姿勢について伺いたいと思います。  福田内閣財政運営について考えてみますと、結論から言えば完全に失敗したと言って私は差しつかえないというふうに思います。その財政運営のやり方ですけれども、七%その他の高い成長率を設定しまして、そうしてこれをしゃにむに達成しようということで財政運営したというのが特徴だと思います。しかもその支出の内容などを見てみますと、大型公共事業、これを重点に置きまして、そうしてそのほかの支出はできるだけ抑えるという方向でやられたわけです。これは今年度だけでなくて、いままでもかなりほかの内閣もやってこられたところだと思うんですが、特に福田内閣でこれが非常にはっきりあらわれた。  その結果として何があらわれているか。昨年も経済成長目標を達成できなかったが、ことしも七%経済成長、先ほどからの議論もありますけれども、どうも空中楼閣に終わることはもう明らかだというふうに見て差しつかえないと思うんですね。そうして残されたものは、これは今年度実質三七・六%の公債依存度と公債の発行残高四十三兆円、インフレの危険、そうしてまた将来の重税の危険というようなものが残されたものだというふうに思います。  私どもの党は、こういう財政運営について当初から厳しく批判してきました。ただし、いま政府部内などで議論が出ているケインズ主義に対するマネタリズムの立場からの批判という立場ではなくって、私どもには私どもの独自な立場があって、その立場から批判してきたわけです。一言で申しますと、財政、税制を民主的に改革をして、財政の健全性を取り戻すと同時に不況克服を行っていく、いわばその両方を統一的に行うという立場で提言も行いましたし、その立場からの批判をいままでやってきたわけです。最近、政府部内にもこの点についての反省があらわれてきているんじゃないかというふうに私には思われます。  大平総理大臣就任直後の記者会見の中で、成長率を置いて何でもかんでもそこへ持っていくというのは実態に沿わないではないかということを言っておられるわけです。私は、これは福田内閣がやったような高い成長率を設定して、財政破綻お構いなしでしゃにむにそれを達成しようというやり方に対するやはり反省じゃないかというふうに思うんです。大蔵大臣、今後の財政運営基本姿勢としてこの問題についてどんなふうに考えておられるのか、まず伺いたいと思います。
  83. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 御指摘のとおり、高目の経済成長率を掲げてしゃにむにその達成に努力するというやり方はもうとれない時代になったと思います。とにかく石油危機以来、世界の経済構造、もちろん日本も含めてでございますが、大きく変わってきた。特にもう日本高度成長から中成長に移ってまいりましたから、景気刺激型の財政運営をやってまいりましても、おのずからやはりそれには限度があるということが、去年から本年にかけての経緯を振り返ってみてはっきりとこれ認めざるを得ないと思うのでございます。だからといって、それは公共事業中心のやり方が間違っておるとも私は思いません。やっぱりあの環境の中では、公共事業中心のやり方がある意味においては一番効果的だったんじゃなかろうか。さればこそ今日の、先ほど企画庁からもお話のございましたような、事内需につきましては六%を相当超える成長まで持っていくことができたんだろうと思うんですが、こういう状況をしからば来年また繰り返せるかというと、それは私はむずかしいと思うんです。むしろ中長期の立場から安定成長均衡のとれた姿に日本経済を持っていって、極力民間の創意工夫を活用して活力あるものにするような方向で予算編成をやっていかなきゃいかぬ。一回限りでなかなか財政の赤字を埋めたりなんかすることは不可能でございまするけれども、お互いにやはり先行きをながめながら、汗して努力していかなきゃいかぬ時代に入ったなあという感じをいたしております。
  84. 渡辺武

    ○渡辺武君 高目の経済成長率を設定して、しゃにむにそれを達成するために財政を使っていくというやり方について、一応批判的な御見解だったと思いますけれども、そうだとしますと、今後は財政健全化ということをかなり重視していかれるということでございますか。
  85. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 大変厳しい経済環境、財政状況でございまするから、先ほど来お話の出ておりまするように、租税収入も来年度は恐らくせいぜいことし程度、あるいは国債の発行限度もそう十四兆とか何とかというような調子にはいくまいと考えられるようなときでございまするから、少なくとも私は、明年度予算編成においては、この中長期財政健全化の足がかりだけはとにかくつかんで、最大の努力をしてまいりたいと考えておるような次第でございます。
  86. 渡辺武

    ○渡辺武君 わかりましたが、先ほど大臣がおっしゃった公共投資の問題について、十一月二十四日に発表されました財政制度審議会の企画部会の桜田企画部会長の談話ですね。若干この見解が違っているんじゃないかという気がするんです。  これは来年度予算編成の問題ですが、「来年度においては、もはや、公共投資に寄りかかった実力以上の高水準の成長を追い求めることは許されない。」というふうにはっきり言い切っているんですね。それで、やはり五十四年度予算編成に当たっても、いまおっしゃった高目の経済成長率を設定して、しゃにむに財政でそれを実現させるというような立場は、恐らく大臣おとりにならぬじゃないだろうかと思いますが、その点どうですか。
  87. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いまお読みいただきました資料にも「実力以上の」と書いてございます。これはこのとおりだと思うのであります。公共投資仮にやるにいたしましても、福田内閣の時代には第三の道と言っておりましたが、お互いの生活環境の整備、福祉施設、学校施設あるいはその他の上下水道というような、やはり国民生活に密着するようなものに予算の中身をコンパクトにしたものをつぎ込むような方策は、これからやっぱりどしどし持っていかなきゃいかぬと思いますが、ただいたずらにごそっと公共事業に、一つのものに予算を集中して、そのために資材も上がる、人件費も上がるというようなことを繰り返しておったのでは、これは困るんじゃないかということでございます。
  88. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣の立場はわかりました。しかし他方で新聞などを見てみますと、通産省や経済企画庁からは来年度も景気刺激型の予算組めというかなり強い要望があるというようなことが書かれているわけですね。恐らくその背景には日本の財界の意向もあるんじゃないかという感じもしているわけです。  同時に、この間のIMFの対日審査ですね、これも今年度のことでしょうが、七%成長達成させろと、景気刺激型の予算やれということを思わせるような結論も出されているわけです。来年度は東京サミットもありまして、ことしの先進国首脳会議で日本がいわば七%成長というのをアメリカに約束させられたという経過から考えても、そう来年度の経済成長について、大臣先ほどおっしゃった安定的成長ということに世界各国がうんと言うかどうかという点も疑問があるわけですね。  それこれありまして、この景気刺激型の予算を組めという要求ですね、これに対してはどう対応されますか。
  89. 金子一平

    国務大臣金子一平君) まあこれ、一部新聞等ではいろんなことが伝えられておりまするけれども大平内閣の政治姿勢、これから決めるところでございますので、そういった細目についてはまだ思想統一、意見統一をやっておるわけじゃございませんが、現状の認識はみんな同じだろうと思うんです。ただ、どうやったら民間にもっと活力を与えることができるかという方法論でいろいろ議論が出ていると思いますので、これからいろんな意見を調整をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  それからIMFの問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、もう内需を上げることによって輸入をふやしつつあるんですから、その七%にした目的はある程度達成しておるんですから、また来年もそういうような努力はこれは払っていかなければいかぬと思うんですが、大方の関係国の理解が得られるような説得をしたいと考えておる次第でございます。
  90. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、景気刺激型の予算を組めという要求については慎重に対応するという趣旨の御答弁にうかがえたんですが、そう理解していいですか。——うなづいておられるので、そう理解しておきます。  それで、次に伺いたいんですけれども新聞などに書かれてあることですから、あるいは大蔵省が関与しているかどうかわかりませんが、しかし、従来大蔵省としては三十八兆円程度予算考えておったが、この景気刺激型の予算を仮に組むとすれば四十兆円前後になるんじゃないかというようなことが盛んに言われておるんですね。それで、私こういう議論を拝見しますと、そうすると従来の財政の仕組み、税制の仕組みを前提として、財政健全化とそうしてまた景気刺激、これを二者択一に考えているという感じが非常に強いんです。つまり景気刺激型にすれば予算規模は広がる、財政健全化を目指せば予算規模は抑制されるということで議論が行われているというふうにしか考えられないわけですが、大臣その点についてはどういうふうにお考えですか。
  91. 金子一平

    国務大臣金子一平君) これ、きょう冒頭から申し上げておりまするように、やっぱり景気財政健全化の両方にらみ合いながらバランスをとっていくということが一番大事だろうと思うんです。一方はどうでもいいやというわけにはまいりませんから、そこは財政当局として大変むずかしいところだろうと思いますが、今後の日本経済の活力を失わせないための努力だけはしっかりやっていかなければいかぬと、そういう気持ちでおります。
  92. 渡辺武

    ○渡辺武君 一応私、福田内閣当時の財政運営の破綻ですね。その原因の一つとして高い成長目標を設定して、これを財政でしゃにむに実現させようとしたという点を申し上げたんですが、私どもはそれだけじゃないと思うんです、原因は。それも一つの大きな問題点でありますけれども、同時にやはり財政の中身、税制の中身、ここに大きな問題があったんじゃないかというふうに見ているわけです。一つは先ほど申しました大型公共事業中心の支出ですね。これは何ですな、不況の克服も、それからまた同時に失業者の吸収も、これはもう十分にはできないということは現在の経済情勢が私は証明していると思うんです。  それからもう一つは、何ですね、大型公共事業中心にしたために社会保障費その他の国民向けの支出はできるだけ抑制した。同時に、逆に言えば減税なしの実質上の増税と、それから公共料金の引き上げ等々、やっぱり国民からかなりの所得を巻き上げている。これはやはり個人消費を抑制して、もしそういうことをやらなければ景気はもっと回復の方向に向かうだろうに、景気回復を非常に困難にしたという結果を生んでいると思うんです。  それで、私はことしの春の予算委員会経済企画庁その他から御答弁いただいて痛感したんですけれども経済企画庁の御答弁によりますと、公共事業よりも個人消費支出の拡大の方が雇用効果は一・四倍だという御答弁がありました。それからまた、生活密着型の公共投資ですね、この方が産業基盤公共投資よりも雇用効果及び生産刺激効果が大きいんだという御答弁があったんです。私どもはそういう御答弁ももちろん考慮を十分しながら、やはり財政支出の内容を——先ほど大臣おっしゃったんで、結構なことだと思っているんですが、公共事業はやっぱり生活密着型の公共事業重点を移さなければなりませんし、それからまた同時に国民の所得、これを減税なりあるいはまた社会保障費の給付をもっともっとたっぷりつけるとか等々によって、もちろんまあ賃金の引き上げも入りますけれども、そういうことで国民の所得をふやすということが必要じゃないか、このことによって不況の克服もできますし、同時に財政健全化も私はできるんじゃないか、それを統一的に進めることができると思うんです。これを統一的に進めるに当たってはやはり税制の民主的改革、これがどうしても必要なことだというふうに私ども考えておるわけです。だから財源を公債などに求めることなくして、また大衆課税に求めることなくして、やはり大企業や大資産家にいま租税特別措置その他で特別に行っている減税、免税、これを思い切って是正するという措置をとれば、私は一般消費税導入などをしなくても財政健全化ということは可能だと思うんですね。しかも、さっき大臣もおっしゃいましたように、財政健全化とそうして不況の克服と、この両面が統一的に解決できるというふうに思いますけれども、今後大臣財政運営に当たってぜひこういう立場をとっていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  93. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 渡辺先生からいろいろの御指摘をいただきましたが、大変むずかしい問題ばかりでございまするけれども、私ども、何というか、いろんな特別措置が今日残っております。目に余るものにつきましては、従来からもやってきましたけれども、今後も極力整理統合してまいりたい。  ただ、さっきもちょっと触れたんですが、経済構造変わってきましてね、高度成長時代と。いまのシャウプ以来の直接税中心の税制では、何といってもこれからどんどん社会福祉費がふえますから、その増加に今日の税制が追いついていけないという大変むずかしい問題があるわけでございまして、ここら辺でそれをどう切りかえていくかということについて苦慮を重ねておる段階であるということを申し上げておきます。
  94. 渡辺武

    ○渡辺武君 その問題はひとつ改めてまた議論したいと思います。  それで、一般消費税の問題について二、三点だけ伺いたいと思うんですが、私どもはこれはもう希代の悪税だというふうに思っております。その議論は別としまして、大臣、先ほどなるべく速やかに導入したいと、できれば五十五年一月を考えているんだが、あるいは五十五年四月からになるかなと思っているという趣旨のことを御答弁あったわけですが、五十五年四月ということになりますと、つまり五十四年度はもう断念されたというふうに理解していいのかどうか、この点どうですか。
  95. 金子一平

    国務大臣金子一平君) ちょっとこれ、誤解あるかもしれませんから繰り返して申し上げますが、五十五年四月ということは、実は五十四年の四月の間違いだったかと思うんですが、五十四年四月は無理ですよと、五十四年の、来年の四月から——これはもうとてもその間に国民の皆さんに御理解いただこうなんてそれは不可能なことですから、まあ幾ら早くても一年置いた五十五年の一月からと、こういうつもりで申し上げておったので、あるいは私の発言が悪かったかもしれませんから、訂正いたしておきます。
  96. 渡辺武

    ○渡辺武君 ああ、そうすると私の聞き違いかもしれません。そうですか。  そうすると、やはり来年度中の導入ということには相当意欲を燃やしておられるということですか。
  97. 金子一平

    国務大臣金子一平君) これはいま政府並びに党の税調で審議を始めた段階でございまして、これだけの大きな税のことでございますから、一大蔵当局で普通の税金みたいに簡単にさあやろうと言って片づく問題ではございません。やはり国民世論の動向を見きわめながら導入の時点を決めなきゃいかぬ問題だと考えております。十分慎重を期してやってまいりたいということでございます。
  98. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、まことにこれは遺憾なことだと思うですな。  もう時間がないので進みますが、この財政制度審議会の企画部会で「五十四年度予算のフレーム試算」というのを出しておりますですね。ケースIとケースIIと二つありまして、ケースIは税収、税外収入を五十三年度当初予算と同額にして、そうして公債依存度、特例公債依存度が五十三年度当初予算の実質依存度と同じと置いた場合のフレームだと。それからケースIIが税収、税外収入を五十三年度当初予算と同額として、経常部門の「その他」及び投資部門の歳出規模を財政収支試算——五十三年度予算ベースですね、のケースCと同額に置いた場合のフレームと、こうなっております。  いま大臣、五十五年の一月から一般消費税という希望を述べられたわけですが、その問題を含めて考えて、この二つのフレームの中でどちらが大臣の希望に沿ったフレームになりますか。
  99. 加藤隆司

    説明員(加藤隆司君) 大臣お答えになる前にちょっと技術的な御説明をさしていただきます。  ただいま渡辺委員が申されたとおりの前提が置いてございます。いずれのケースも言うならば極端なケースでございます。  それで、ケースIIの方で使っております歳出の規模でございますが、これはことしの二月に国会にお出ししました財政収支試算の御説明のときに御記憶があるかと思いますが、企画庁の方で経済計画を一年延ばしてもらいまして、五十七年まで暫定試算というのを出していただいてそれをベースにしたケースでございます。この場合ですと、御記憶かと思いますが、増税が十兆前提になっているケースでございます。したがって、いずれのケースもきわめて前提が現実離れしているかもしれませんが、極端なケースということでございます。
  100. 渡辺武

    ○渡辺武君 いやいや、極端なケースはわかりましたが——大臣どうぞ。
  101. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま事務当局から御説明申し上げましたとおり、この例は審議の参考にするために幾つかの前提を置いて出した数字でございまして、このどっちに片寄るかというようなことは、もう少しいろんなデータを詰めてみて考えてまいりたいと考えておるわけでございます。もうしばらく時間的な余裕をいただかないと、なかなか詰められる段階にまで来ておりませんので、その点はあしからずひとつ御了承を賜りたいと思います。
  102. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう時間が余りないので財政問題についてはこのくらいで終わらざるを得ませんが……。  大臣の方に、私どもの党がことしの九月に発表しました「経済危機の現局面と当面の経済政策」というものをお渡ししてあると思います。その中で、不公平税制の是正とそれから不要不急の経費の削減、これをやれば、これは五十三年度予算のベースで計算してあるんですが、一般消費税の導入をしなくても三兆九千億円の財源確保できるんだということを具体的に数字で示してあります。これをひとつ大臣ぜひ御検討いただいて、一般消費税というような悪税、これはもう導入しなくて済むように、ひとつ大いに努力していただきたい、そのことをお願いします。  それから最後に、国際通貨問題について伺いたいと思うんですが、大平総理大臣が来年の東京サミットで国際通貨制度について包括的な提案をすべき時期だということを言っております。どういう提案をなさるのか、端的にひとつ大臣、お考えを伺いたいと思います。
  103. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 前段の数字検討しろというお話、これは十分ひとつ検討さしていただきます。  それから、東京サミットで通貨問題を提案したらという問題につきましては、まだ中身は詰まっておりません。関係各国と事務的にいま打ち合わせをさしておる段階でございます。何分まだ半年先のことでございます、しかも日本だけでばっと出せる問題じゃございませんので、十分打ち合わせをしながら提案をすべきものはしてまいりたいと、このように考えております。
  104. 渡辺武

    ○渡辺武君 これから検討ということですが、総理大臣はかなり具体的な構想を述べておられるんですね。安定フロート制に移行することが望ましいけれども、しかし各国成長率、インフレ、国際収支動向などの経済力がある程度均衡することが必要だということも言っておられますし、それから特にSDRの機能拡大により過剰ドルを吸収するとか、それからアメリカにインフレ対策、ドル対策を強く求めるとか、それから円の国際化を容認し、マルクとともに国際通貨の部分的補完機能を果たしていくとかいうことを言っておられるんです。これらの中身について、ひとつ大蔵大臣に御説明いただきたいと思うんです。
  105. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 簡潔に願います。
  106. 宮崎知雄

    説明員(宮崎知雄君) ただいま大臣から御答弁がございましたように、まだ東京サミットでどういう議題を取り上げるかということは、今後準備会議を通じて決まっていくということでございます。したがいまして、わが国としてもどういうような問題が議題になるのか、それをまたどういうような形で取り上げるのかというのは、今後の準備会議を通じて決定していきたいというふうに考えております。  それから、いま挙げられました中身でございますが、これは一応この準備会議、東京サミットという問題と離れて簡単に御説明いたしますと、一つはたとえばSDRで流動性を代替するというようなことは、これはIMFが従来からいまの国際流動性の中でドルが過剰ぎみである、これは幾ら過剰かということは数字的には非常にむずかしい問題でございますけれども、それの解決の策の一つとしてIMFがSDRを発行して、それと見返りに各国が外貨準備として持っているドルをIMFに吸収するということを言っているわけでございますが、そういうふうな考え方でございます。  それから円の国際化というふうなことにつきましては、これも別にサミットと直接関係あるわけじゃございませんけれども、これは円をなるべく国際決済手段として使っていくということが結局は円の国際化、こういうことであろうと思います。それがなお一歩進んでいきますと、今度は円が決済通貨としてだけではなくて、各国で準備通貨として持たれていく、こういうような形になっていく、それが先ほど第三点として先生がお挙げになりましたマルクとか円がドルの一種の補完的な機能を営んでいく、こういうことの大ざっぱな意味でございますが、いずれにいたしましても、いまのような問題はまだ今後東京サミットで取り上げるかどうかというようなことは、全くいまの段階では決まっておりません。
  107. 中村利次

    中村利次君 福田内閣から大平内閣に変わって私どもがやっぱり非常に強く感じますのは、経済政策財政対策が非常に変わった、様変わりをしたという、非常に極端に言えばそういう印象を受けます。  福田内閣というのは、私は大変にお気の毒な内閣だったと思うんですけれども福田さんは経済財政の専門家として大変に自信に満ちておられましたが、新聞などによる世論調査によりますと、ひどいときなんかは四人のうちの三人弱は福田内閣を支持しない、いいときでも三人のうちの二人強は支持しない、こういうことでありますから、私は去年の予算委員会でこれを聞いたら、福田さんは、いや、おれの経済政策国民は支持してくれていると思うとおっしゃいましたが、しかし答えはこれは数字になって出ていたわけで、大変にもうお気の毒だったと思いますが、大平政権に移行するときに、私どもの目からするとどうも国民不在のいろんないきさつがあったようですが、誕生した大平内閣は四二%余り、福田内閣に比べて様変わりと言っていいほど支持率が高いわけです。私は、これは世論動向に対して政府がどういうぐあいに反応されるのかということを承知したいためにも、大蔵大臣にこれをどういうぐあいにお考えになるのか聞こうと思ったんですが、恐らく正直なお答えはないでしょうから、聞くことはやめました。(笑声)  まあしかし、非常にさい先のいい発足を大平内閣はおやりになって、私は福田内閣が不人気だったのはやっぱりこの経済政策に対する信頼度がなかった、これはもう新聞などの世論調査でもそう出ているわけですからね。ところがその福田内閣が、まだ臨時国会が閉会になってから二カ月にはなりません。あそこで補正予算の審議の中でも非常に強弁されましたのは、とにかく五十二年度までは国債の依存率三〇%も物すごく固執された。そいつを緊急何とかの措置として三七%まで踏み切って景気対策をやるんだと。二カ月そこそこ前までの経済状態財政状態、そういうものがいま条件として変わったとは私どもは見ません。変わってないはずなんです。そしてあの臨時国会では七%の成長、これは七であろうと六であろうと八であろうとそんなのは関係ないですから、財政を立て直し経済を立て直して産業、国民生活雇用を安定させるという目的、それがやっぱり先進国首脳会議でも約束、国際公約もしてきた七%の成長、だというあらわれだったと思うんですね。そうしてこの補正予算でも、効果が出なければ追加補正やってでも、どんなてこ入れをしてでも七%の成長は達成するんだと言い続けられてきた。そうしてこのやり方で達成できますと言ってきた。  ところが内閣がかわった途端、先ほど同僚委員の指摘もございましたが、すぐに六%程度という下方修正、これはもう補正予算の当時から民間調査機関なんかでは、やっぱり五%台の成長にとどまるんではないかという予想だった。それを福田内閣では、いや七%必ず達成するという強弁をされてきたんですが、大平内閣になってから、発足早々ではございますけれども、何か六%あるいは五%台の成長でそれを是認するような姿勢、それから成長率という数字と実際の経済運営財政の運用とは別だという当然のことを——それ当然なんです、当然のことをあえて強調をされて、福田内閣が言われたこととまるで違ったことのように私どもには受けとられるんですが、そういう点についていかがでしょう。時間が短いですから、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  108. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま中村先生から御指摘もありましたけれども、やっぱりこういうむずかしい環境のときに背伸びをした財政運営をやったら、結局ツケは赤字国債に回るんですから、そういう過度の無理をし、危険を冒すことをやらないで、着実な経済の安定成長を心がけるという姿勢が必要じゃないかと私は思うんです。  正直言って、七%でずっといけばいいですけれども、先ほど来るる申し上げましたように、もう中成長に落ち込もうとしておるわけでございますから、それで何とか安定成長を続けて国民生活を安定させたい。そのためにどうやったらいいかということでいま一生懸命に努力をしておる最中でございます。
  109. 中村利次

    中村利次君 国債の発行を本当に無原則でやったらえらいことになるというのはこれはもう素人でもわかることでありますから、福田前総理がそういうことを御存じにならないはずはない、福田さんは一番そういうことを知っておられたと思うんです。また国債の消化度の問題についても、前内閣当時から大変に問題が出てきたことももう周知の事実です。ですから、基本的には全く認識もそれから対応の仕方も同じだと思うんですよ。ところが、出てくる答えがまるで違っておるという印象を受けますので、きょうは時間がありませんから、これはいずれ通常国会でじっくりここら辺は期待大蔵大臣にお伺いをしてみたいと思いますので、きょうはもうやめますけれども、しかしいずれにしましても、やっぱりだれがどう考えてみたって、大臣も先ほどからおっしゃっていらっしゃいますように、歳入歳出歳出をどう抑え歳入増をどう図っていくか、これ以外には財政健全化はないと思うんですが、だから一般消費税なんかも政府の税調、与党の税調あたりで真剣になってお考えになって、政府もこれを取り入れようとしていらっしゃる。しかしやっぱり国民はかなりの抵抗を、反応を示していますし、それから景気の動向等でも与党の中ですらやっぱり慎重論もあると思いますから、したがってそういうことを考えますと、やっぱり国民の気持ちからいいましても、増税の前にやることがあるんじゃないか。租税の特別措置の中のいわゆる医師優遇税制の問題なんか最たるものだと思いますがね。それは租税の特別措置はいじらなきゃいけない。しかし、やってみたって財源的には大したことありませんがね。しかし私は行政改革なんかは、これは国民からすると何としても納得ができない、医師税制だとか行政改革なんかはね。  こういう不況になって民間の場合は、たとえばこれは一つの例にすぎませんが、八万人の従業員を持つ新日鉄が解雇をやらないで——構造不況業種なんかは希望退職を募るとかなんとか減量経営に躍起になっていますが、新日鉄はそういう解雇をしないで、三年間に新採用の調整なんかで七千五百人の人減らしをやると。これはもうみんなそれやっている。私ども雇用問題から考えますと、労働市場のあれから考えますと、そのことがいいことか悪いことかこれは大いに議論のあるところだと思いますよ。しかし、民間はそれほど血涙をしぼって経営努力をし、それから減量経営で、先ほど企業収益も伸びておるというお答えがございましたが、大変な努力の上にやっぱり企業の存立を図っているんですよ。  民間から言わせますと、親方日の丸だけが左うちわで、そしてそれに対して政府がどういうことをやっているんだと。歴代の政府がかわってもかわっても国民期待にはちっともこたえないんじゃないかというきわめて不満がある。ですからこういうものが、やっぱり政府が意欲を、少なくとも意欲を示しませんと、一般消費税の導入であろうとその他の増税であろうと、私は国民の合意を得るというのはきわめてこれは困難というよりも不可能だと思うんですが、いかがでしょう。
  110. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま中村さんからいろいろお話のありましたことは全く私も同感でございまして、民間の企業関係は相当の減量経営を強いられておるのに、ひとり政府だけが親方日の丸でぬくぬくとしているじゃないかという、こういう空気は相当強くございます。私はやっぱりチープガバメントと申しますか、政府のこれからの仕事のやり方につきましても、これは中央、地方を通じてでございますが、考えていかなきゃいかぬという意味で、ある程度の行政の圧縮は従来からもやっておりますが、ことしの予算編成を通じてもさらに徹底してまいりたいと考えております。  それから、不公平税制と言われるものの整理につきましても、今回の通常国会の冒頭には提案さしていただくようなつもりで、まだこれは中身固まっておりませんけれども、鋭意準備をするように申しつけておるような状況でございます。一般消費税についての国民世論の動向や景気のこれからの成り行きも十分見きわめて、そこら辺は慎重に判断をしてまいりたい、こういう気持ちでございます。
  111. 中村利次

    中村利次君 時間も尽きましたので通常国会に譲りたいと思いますけれども、これは大いに期待をいたします。そしてぜひがんばってください。医師税制の問題についても、厚生大臣はもうとにかくへっぴり腰が伝えられておりますし、与党もこいつはもう火中の栗を拾うのはいやだというムードが非常に強いと思いますので、これはやっぱり大平内閣、それから大蔵大臣あたりがよほどがんばっていただかないと日の目を見ないのではないかと思いますので、強く期待をいたします。  最後に、日本航空の株を大蔵大臣名義で政府が保有をしておられるはずですね。最近これを放出をするという報道がございますけれども、これが事実かどうか。事実であればその理由はどうなのか。財政上の理由なのか、あるいは事業形態を完全に民間会社にしようというおつもりがあっての放出なのか、そういう点を伺って私の質問を終わります。
  112. 加藤隆司

    説明員(加藤隆司君) 事実関係でございますので、事務当局の方で御答弁させていただきます。  本件は、日本航空が今回増資をしたいという問題がございまして、それでたまたまいま先生おっしゃいましたように、産投特会が日航の株を現在二百十七億持っております。それで増資をしてくれと言ってまいりましたのが三十二億でございます。従来もこういう場合には産投特会が持っております株を売って新株を引き受けるというようなことを、四十三年、四十四年、四十七年と三回例がございますが、こういう事実関係がございます。  で、どうするかということでございますが、現在運輸省と大蔵省とでこの処理方針について協議を続けております。新聞には、かなりの株を売って政府の持ち株比率を大幅に下げるというような記事も一部見受けられましたが、そういうことではなくて、ただいま申し上げたような事実関係でございます。
  113. 中村利次

    中村利次君 なるほど、わかりました。
  114. 坂野重信

    委員長坂野重信君) よろしゅうございますか。  本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会