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1978-12-20 第86回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十二月二十日(水曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員異動  十二月十八日     辞任        補欠選任      坂元 親男君     降矢 敬雄君  十二月二十日     辞任        補欠選任      丸谷 金保君     野田  哲君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         寺田 熊雄君     理 事                 岩崎 純三君                 楠  正俊君                 寺下 岩蔵君                 降矢 敬雄君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 岩上 二郎君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 長谷川 信君                 藤川 一秋君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 小野  明君                 野田  哲君                 吉田 正雄君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 秦   豊君    国務大臣        運 輸 大 臣  森山 欽司君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        内閣官房長官  加藤 紘一君        防衛庁装備局航        空機課長     田中 守男君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        外務省アメリカ        局外務参事官   北村  汎君        大蔵省主計局共        済課長      山崎  登君        運輸大臣官房審        議官       杉浦 喬也君        運輸大臣官房情        報管理部長    勝目久二郎君        運輸省鉄道監督        局長       山上 孝史君        運輸省自動車局        長        梶原  清君        運輸省航空局長  松本  操君        自治省財政局指        導課長      土田 栄作君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君        会計検査院事務        総局第五局長   岩井  毅君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      橘高 弘昌君        日本国有鉄道常        務理事      吉武 秀夫君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     増村啓一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事辞任及び補欠選任の件 ○昭和五十年度一般会計歳入歳出決算昭和五十  年度特別会計歳入歳出決算昭和五十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和五十年度政府  関係機関決算書(第八十回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十二月十八日、坂元親男君が委員辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  長谷川信君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  坂元親男君の委員異動に伴う理事欠員一名及びただいま御報告のとおり長谷川信君の理事辞任に伴う欠員一名、計二名の理事欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事降矢敬雄君及び岩崎純三君をそれぞれ指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 次に、昭和五十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省と、それに関係する日本国有鉄道決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  8. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、先日発表になりました、いわゆる運輸白書の問題についてお尋ねをしたいと思います。  これだけ膨大なものでありますし、また添付されております資料も相当の量に上っております。そこで、全部をつまびらかにすることはきょうの時間の中では無理と思いますが、私は今度の白書をごくかいつまんで言えば、総論とも言うべき第一部は運輸経済動向というものが分析をされたというふうに見ています。  それから第二部は、いわゆる公共輸送の現状が述べられ、安定成長下公共交通機関を含みます総合交通対策あるいは体系の見直しを今回は力説をしているというふうに読んだわけですけれども、当の運輸省としては、この五十三年度の運輸白書の特徴というものをどういうふうに考えられておりますのか、まず最初に概況だけ説明をいただきたいと思います。
  10. 勝目久二郎

    説明員勝目久二郎君) 五十三年度の運輸白書は先般公表したわけでございます。  中身といたしましては、ただいま先生も御指摘がありましたとおり、第一部におきましては五十二年度の運輸経済動向実績に基づきまして記述いたしてございます。第二部におきましては、ここ数年来運輸省が直面してまいりましたいろいろの課題国鉄再建問題、新東京国際空港問題、海運造船不況対策、二百海里漁業水域設定等に伴います海洋保安体制整備というような、非常に社会的にもまた国家的にも重大な事項がいろいろございました。それらにつきまして重点的に記述いたしますとともに、公共輸送機関整備充実の問題をこれから基本的に取り組むべき問題として意識し、公共輸送機関の置かれております現在の環境、これからの解決すべき問題につきまして記述をいたしたわけでございます。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 さて、いま決算委員会昭和五十年度の処理をしているわけですが、さてその五十年度と五十三年度の白書を対比をしてみますと、おもしろい位置づけになっているような気がするんです。昭和五十年度の運輸白書は、いろんな見方はありますけれども、一言で言いますと、公共交通のあり方について言えば、「転機に立つ公共輸送」というふうに五十年度の白書位置づけていたと思います。ところが、今回のこの年次報告をよく読んでみますと、転換期にある交通あるいは運輸といいますか、そういうふうに性格づけがずいぶん変化をした、変わってきたというふうに私は読み取っているわけです。言いかえてみれば、運輸省分析もあるいは政策位置づけも大きく変わったと、こういうふうに私は見るわけですけれども、この変化――五十年から五十三年のこの白書に至るこの変化についてどういうふうに分析をされて、あるいはどういう具体的な理由に基づいているのか、この点を少し明らかにしてもらいたいと思う。
  12. 勝目久二郎

    説明員勝目久二郎君) 五十年の運輸白書におきましては、「転機に立つ公共輸送」ということで、公共輸送問題を取り上げております。これは、当時のオイルショック直後の日本経済の低迷が、如実に公共輸送機関へいろいろなことの影響が及んだわけでございます。そのような日本全体が経済的に非常に変動した時代の中で、公共輸送をどうして確保していくべきかというようなことを当時の状況下で書いたものというように考えておるわけでございます。  ただ、当時から現在へかけまして、経済安定成長の段階に入り、次第に落ちつきを取り戻しつつはあるわけでございますが、何と申しましても、五十年以前と現在の時点では、いわゆる高度成長期のように、たとえば貨物の場合でありますと、国民総生産と大変高い相関を持って伸びてきておりました輸送状況が、五十年以降は全く乖離をしておる。国民総生産が伸びるのに比例をして伸びていた過去の状況とは全く違っておるわけでございます。  一方、輸送を取り巻きますいろいろな状況、特に国民の意識の問題といたしまして、単に量的に輸送需要に追随するだけでは満足し切れない意識変化というのもございますし、また、公害の問題、空間利用の問題、安全の問題というようなことでの公共輸送機関への整備とその確保ということについての要請も非常に高まっておるということでございます。  したがいまして、五十年と五十三年を比べまして、質的にと申しますか、項目的に運輸を取り巻く環境なり要請なりが変わっておるということではございませんが、いろいろ厳しくもなり、また公共輸送整備と維持というものについての要請が非常に高まってきておるのではないかというように考えておるわけでございます。その辺を考えまして、これは一つの節目である、一つ転換期であるというように考えまして、「転換期にある運輸」ということで、公共輸送機関整備充実を重点的に取り上げた次第でございます。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 考え方はわかったわけですが、さて問題は、社会的に公共交通機関に対します評価、要請というものが非常に強くなったということについてはよくわかるわけですが、白書の性格かもしれませんけれども、いいところまで追求あるいは分析はされているわけですが、さてその次に、どう転換をしていくかと、あるいはどういう手順をとって公共交通機関機能を十二分に確保するかという事柄につきましては十分述べられていないわけです。まあ、白書というものはそういうものだというふうに言い切っちまえばそれまでだと思いますけれども、ここまでいい分析をされているわけですから、次の展望といいますか、陸、海、空にわたります公共交通機関公共交通機能確保――当然、いま指摘をされましたように、環境の問題もあるだろうし、安全の問題もあるだろうし、あるいはエネルギーの問題など、いろんな分野がそこには制約条件としてあるわけですが、転換方向について、どういう道を選択をするのかという指摘が非常に十分でないと思うんですが、その点はいかがですか。
  14. 勝目久二郎

    説明員勝目久二郎君) 白書と申しますのは、これは政府として発表いたします場合に、主として過去のいろいろな動き、実績、とった施策等中心として記述することになっておりますし、将来の具体的な問題についてはむしろ付随的にとどめるということが原則となっておりますので、現行のような形での政府公表という白書の中では、具体的な将来の施策そのものについて記述できない点は、御了解いただきたいと思います。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、大平新内閣が誕生をしたわけですが、当然、交通運輸問題に限って言うならば、この白書分析に基づいて、公共交通確保中心にして総合交通体系整備、確立を図っていく。まあその方向をどうするかはこれからの議論でしょうけれども、そういうふうに必然的になるものと思います。  そこで、一つ運輸省一つ経企庁にお伺いするわけですが、今度の組閣に当たりまして、いわゆる総合交通体系の問題については経企庁が担当するというふうに新聞では発表されているわけです。それはどこが担当しても構わないわけですが、従来、交通問題につきましては運輸省が軸に、総合交通体系課題については政策的な研究をしてきたわけですが、さてそこで、経企庁がお持ちの総合交通体系の仕事と、それから運輸省所管をします公共交通を軸にした総合交通体系整備というものの作業の分担ですね、これについて両省から具体的にひとつお答えいただきたいと思います。
  16. 喜多村治雄

    説明員喜多村治雄君) 新内閣の発足と同時に、内閣官房長官から経済企画庁長官あてに、行政各部所管する総合交通に関します事務調整をするようにという決定の通知がございました。これには経緯がございまして、御承知のように、昭和四十六年に自動車重量税を創設いたしました際に、関係各省庁が集まって総合交通体系を樹立するということを行ったわけでございますけれども、そのときに、総合交通体系についてという考え方をまとめることにつきまして、経済企画庁がその所掌を担当さしていただいたわけでございます。すでに四十六年の十二月に「総合交通体系について」という臨閣協の決定がございましたので、これに基づいて関係各省庁がそれぞれの分野において適切な交通施策を実施していただいておるところでございますが、私どもの方で、ここで述べられております「調整」と申しますのは、関係省庁から具体的な要請がございまして、あるいは特に必要がある場合には、経済企画庁長官がそれらの事務調整するということでございます。基本的には、関係省庁、それぞれ具体的な政策をお持ちの省庁基本的におやりになると、こういうことでございます。
  17. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 交通全般につきまして、基本的には運輸省が海、陸、空にわたりまして所管をいたしておるわけでございますが、総合交通の見地から問題を解決する場合に、たとえば道路の問題あるいは道路交通保安の問題、その他運輸省だけで所掌することができない問題を抱えておるわけでございますので、そうした全体の交通政策という観点に立ちまして、先般、ただいま経済企画庁から申し上げましたとおり、昭和四十六年総合交通体系に関する関係各省――大蔵省、農林省、通産省、運輸省、建設省、自治省あるいは内閣官房、総理府、経済企画庁国家公安委員長等関係の諸大臣が集まりまして関係閣僚協議会が設置されたわけでございます。そうしたいきさつでございますが、交通プロパーの問題といたしましては運輸省所管をいたしておるということでございます。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 白書関係については以上で終わりますが、どこの省にかかわらず、この間発表運輸白書というものを十分に点検、確認をしていただいて、やはりいろいろな条件から考えてみて、公共交通確保というものは非常に大切だと思うのです。ただ、率直に申し上げて、一つの事例ですけれども国鉄貨物輸送の問題を議論するときに、トラックなどの物流を無視するわけにいかない。あるいは今日の物流のシェアを見ましても、内航海運が占める割合というのは非常に強いわけですね。ですから、陸は陸、空は空、海は海というふうに独立して問題をとらまえたとするならばこれは有機的、効果的な交通問題の解決にはならないというふうに思います。ここは注文として、これから十分にそのことを考えていただきたいということだけ申し上げておきます。  さて、そういうふうな問題意識を持ちながら、次に国鉄経営の問題について若干指摘をしたいというふうに思います。  過日、昭和五十二年度の国鉄監査報告書提出をされました。私どもも一通り読ましていただきました。それからごく最近は、会計検査院からの具体的な指摘事項もあったわけです。検査院の方の指摘は具体的ですから、その問題をどう処理するかということは方針さえ決まればどうこうすることはないと思いますが、五十二年度の状況でいきますと、やはり心配をしましたように、五十二年度も依然として八千三百三十九億円という赤字で年を越した。財政的には非常に――非常にといいますか、依然として、あるいはいままで以上に財政的には危機的な状況にあるというふうに判断をします。  そこで総裁にお伺いするわけですが、五十二年度の監査報告書に対しまして国鉄側問題意識というものはどこに置かれておりますか、その点を最初にお伺いします。
  19. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 国鉄再建につきましては、従来からしばしば政府においていろいろ案が立てられて基本方針が示されておりますし、また、いわゆる運賃弾力化法案の御審議の際に、衆議院、参議院の委員会においてそれぞれ具体的なお考え方を示されたわけでございまして、今回の監査報告書指摘されておりますもろもろ事項につきましても、率直に申しまして、私どもとして事改めて何か新しい角度で御指摘を受けたというふうには感じていないわけでございまして、むしろかねがね私どもが大変苦慮いたしております点をそのまま御指摘賜ったというふうに考えておるわけでございます。  いろいろございますけれども、昨年の十二月に政府で閣議了解されましたところに従いまして、五十三年度、五十四年度内にいろいろ内部で検討を重ねまして、五十年代末に収支均衡をするにはどうしたらよろしいかということを具体的に来年度中にお示しをいたしたいということで鋭意作業をいたしております。  やはり基本は、いわゆる再建の三本柱と称しておりますところの運賃の問題、助成の問題等ございますが、その三つの中で最も基本になりますのは、私ども自体企業努力の問題であろうかと思うわけでございまして、これらにつきましても、かねがね座して何事もしていないというわけではないわけでございまして、いろいろ努力は重ねてきておりますが、にもかかわりませず経済変化に追いついていけないということで経営が悪くなってきておるわけでございまして、一段と企業努力についてどう進めるか、具体的には、非常に厳しい競争の中でどのようにして増収を図っていくか、また人件費その他が高まってきております中で減量経営をどうやっていくかということを一生懸命やっておる次第でございまして、そうした今日までの方向監査報告指摘されました点とはまずまず大きな違いはないといいますか、同一の流れに乗っておるものというふうに考えております。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 いま総裁指摘をされたのですが、国会の論争を歴史的に調べてみましても、集中的に審議されましたのは、運賃法あるいは日本国有鉄道法改正に伴いまして、五十一年の十月七十八国会、あるいは昨年の十一月、十二月の八十二、八十三国会で、集中的に国鉄経営の問題あるいは体質、財政その他いろいろな問題が議論をされたわけですが、最終的には運賃法国有鉄道法の一部改正も、結果として法律が成立をしたわけです。  さて、その過程で一番私どもが取り上げましたのは、国鉄幾ら努力をしてみても財政問題については再建のめどがつかない。その一つの重要な因子として構造的欠損というものがある。これは国の国鉄に対します政策責任分野というものを明確にすべきだ、この議論が集中的に行われまして、議事録を読んでみますと、多少ニュアンスの違いはありますけれども、私の理解では、政府側も構造的な欠損部分については、五十三年、五十四年、細かいことを含めて詰めるけれども、大綱的に言えば、その構造的な欠損については国がしょわなければならないと思うというふうにまとめられていると私は理解をするわけです。当然、追及をしました野党側構造的欠損考え方、それから、総裁答弁をしました範囲、それから、当時福永運輸大臣、あるいは田村運輸大臣答弁をいたしました構造的欠損限界というものについて多少のニュアンスの違いはありましたけれども、大筋、その大綱については認められているというふうに私は思うわけです。  それと同時に、去年、おととしの暮れの議論としましては、可能な限り国会審議を尊重をしながら、五十三年、五十四年でそこの部分について十分に詰めたいと、当然それは国鉄側研究するであろうし、運輸省側研究する、あるいはその突き合わせをするということになろうと思うんです。  で、すでに一年を経過しているわけですが、さて、最初国鉄当局側から、国鉄としては構造的欠損というものをこういうふうに考えると、できれば項目だけでも羅列をしていただきたい。その次に、運輸省の方から、一年間研究をした経緯を含めて、こういうものが国鉄の構造的な欠損だと思うと、この構造的欠損とそれからどう解決するかという話は切り離して、とりあえずは構造的欠損というのは何かというのをちょっと明らかにしてもらいたい。
  21. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 構造的欠損と申しますのは、いわば私どもがいかに努力を重ねてまいりましても私どもの手では解決できない問題、それから生ずるところの損失といいますか、負担といいますか、そういうものだというふうに理解をいたしております。  で、どういう項目が考えられるか、どういう角度から考えられるかということでございますが、当時、国会で御審議いただきました当時から申し上げましたことでございますけれども一つは、やはり地方交通線から生ずるもろもろ赤字という問題があろうかと存じます。これは、現実にどうしても人口の集中度の少ない地域において鉄道の運営をいたしますと、乗っていただけるお客さんに限度がございますし、それから、国鉄の方といたしましては、いかに経営合理化努力をいたしましても、やはりそこに線路がありますと最小限一定経費がかかってまいるわけでございますので、そこから出ますところの損失については、いかにわれわれが努力をしてみても限界がありまして、全部を吸収できないという意味において、これら地方交通線から生ずる負担というものは、よく言われております構造的欠損一つになろうかと思います。  ただ、現在、五十二年の決算におきましても計算のしようはいろいろとございますが、地方交通線から生ずる赤字というのは二千五百億前後になっておるわけでございますが、この全部がいわゆる構造的欠損かどうかというと、そこには問題がございまして、私どもとしても、たとえば収入の面でもう少し工夫ができないだろうか、経費の面でもうちょっと何とか圧縮ができないだろうかということをより詰めてみる必要があるわけでございまして、地方交通線から生ずる問題が構造的欠損一つ項目であるということは明らかでございますが、なおそのどこまではわれわれの努力でもう少し詰め得るかということを検討をいたしております。  二番目は過去債務による負担でございまして、これは現時点で申しますと、五十二年度までに生じましたもろもろ債務でございます。この債務のうち、償却前赤字につきましてはとりあえずこの借入金をもって賄っておりますために、また、その利子が負担になるということでこれが大変大きな負担になっております。それをわれわれの努力なりに依存すると言われましても、ちょっと過去におきまして生じました赤字の借入利息までを現時点でかせぎ出すということは困難だという意味において、過去債務による負担というものはやはり構造的欠損と考えていただきたいと思います。  それから三番目は、国鉄の場合は大変大ぜいの職員がおるわけでございます。現在四十三万人弱という定員になっておりますが、御存じのように、終戦直後の混乱期におきまして、一種の雇用対策的な意味を含めて当時の職員を抱え込みました関係で、そうしてその諸君が現在いわゆる定年の時期に達しております関係で、いま毎年払っております退職金の額が異常な金額になっております。また、今日でもそうですが、今後支払わなければならない年金の額が異常な額になってまいりまして、年金を共済組合で負担し切れませんので、いわば追加費用という形で国鉄会計で負担をいたしておるわけでございます。こうしたものも、なかなか今後の経営努力によってそれを補うということはほとんど不可能なことでございまして、いわば、私どもの場合は、もはや戦後ではないという言葉が適用できない状態にありますのでございまして、過去からのいわく因縁によって負担せざるを得ないことになっておる部分があるわけでございまして、このような職員構成の異常性ということに伴いますところのもろもろの問題、なかんずく、退職金、年金にかかわる問題についてはやはり構造的欠損としてお考え願いたいというふうに思っております。  四番目に、学生定期の割引等を中心といたしましてもろもろのいわゆる公共割引という制度がございますが、これらは私どもから申しますと、本来、それぞれの行政を所掌されるところで負担をお願いをいたしたいというふうに考えるわけでございまして、これをわれわれの方で他のお客さんから、それにより発生するところのコスト割れの部分を他のお客さんからいただくということは現状ほとんどもう困難になってきております。こうした公共割引の負担といったものもいわゆる構造的欠損の概念に含めて考えていただきたいというふうに思っております。  まだいま議論が全部尽きておりませんので、それだけではございませんけれども、やはり金額的に見ましても、事の性質から見ましても、いま申し上げました四つの事項構造的欠損の主要なものになるのではないか。  具体的にそれが幾らになるかということは、いまそれらの全部を助成にお願いするということじゃないわけでございますので、その構造的欠損を金額的に表示をすることはまだできない状態でございまして、いまそれを議論をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、構造的欠損という意味において、したがって、先ほどお触れになりましたように、助成をもって処理をしていただきたいと思うわけでございますけれども、いやそれはもう少しおまえらの努力の余地があるぞというような部分がございますので、そうしたことが今後一年間議論の対象になろうかというふうに思っております。
  22. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 先生御指摘構造的欠損の範囲につきましては、御承知の国鉄再建基本方針、これに基づきまして、先ほども先生のお話にありましたが、五十三年度、五十四年度の二カ年におきまして経営の抜本的見直しを行う、その過程におきまして明確にしてまいりたいとこう考えております。  構造的欠損の意義といいますか、意味につきましては、再建基本方針に従いますと、先生がさっき御指摘のとおり、国鉄が徹底した経営努力を行いましてもなおかつその経営負担限界を超えるとだれが見ても思われるような欠損でありまして、具体的には、ただいま国鉄総裁からもお話がありましたが、地方交通線の問題、これは典型的な構造的欠損の問題ではないかと考えております。この問題につきましては、一昨年運輸政策審議会の委員によって構成されます地方交通線問題小委員会、これを設置いたしまして、そこで、ずっと御審議をいただいております。その結果、昨年の一月に中間報告が出ておりますが、その後本年九月から本格的な審議をさらにお願いをいたしまして、できるだけ早くその結論を出していただきたいと考えております。  そのほかの構造的欠損になるかどうかという問題につきまして、国鉄総裁もただいま御指摘がありました数点あります。これにつきましては、構造的の欠損であるかどうかはともかくといたしましても、国鉄経営負担となっております問題であることは確かでありますので、必要に応じまして関係省庁と協議を行うことなどによりまして、所要の措置を推進してまいっておりますし、さらに推進したいと考えております。たとえばもう先生も御承知のように、過去債務問題につきましては、五十年度末の過去債務につきまして、五十一年度の予算においていわゆるたな上げ措置、これを講じております。その後の欠損につきましても、臨時補給金という制度をつくって処置しております。それから年齢構成のひずみによる退職金の負担問題につきましては、特別退職手当補給金という制度を本年度から新規に行っております。また共済年金の問題につきましては、これはわが国全体の年金制度の問題の一環でありますが、運輸省におきましても国鉄共済年金問題懇談会というものを設置いたしまして、この秋から具体的な審議に取りかかっております。  以上のようなことでありますが、この構造的欠損の範囲を決めるという問題につきましては、やはり国鉄再建問題は何よりも当事者である国鉄自身がまず考える、こういう姿勢が一番大切だと思います。そういう意味におきまして、国鉄にまず考えていただきまして、それで運輸省初め関係省庁でよく協議をして適切なその範囲を決めて具体的に措置を講じてまいりたい、かように存じております。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 総裁は大きな項目で四つ言われたわけですが、それを少し整理をしてみますと、順不同になりますが、一つは、いわゆる公共負担分というものに整理をされますね。それから退職金、非常に一時的に支払い額が大きくなるわけですが、この退職金という、この分野についても構造的な欠損分野に入る。それからいまも運輸省から指摘されたように、年金の部分についてもこれは該当する。それから地方交通線、当然これには国鉄バスというものも含まれると私は見るわけですが、この地方交通線あるいはバス路線というものも構造的な欠損課題に入る。それから総裁が二番目に言われました、過去の債務の累積あるいはその中には当然利子というものが多く入るわけですけれども、こうやって整理をしてきますと、最小限度六つから七つぐらいが個条書きに言えば整理をされたというふうに思います。  いま運輸省は、たとえば地方交通線は何とかの小委員会をやっている、あるいは年金についても運輸省の中で審議会を持って対応策を相談していると言っているんですが、その話は少し別に除いていただいて、いま私が項目を羅列しましたようなものが構造的な欠損というふうに確認できるものかどうか。あるいはこれは五十二年の十二月二十九日の閣議了解が、ちょっと読んでみますと、「その他の特に効率性の低い分野については、他の輸送機関との関連において効率的な輸送体系を形成するための施策を強力に講ずるとともに、国鉄経営上の負担限界を超えると認められる構造的欠損について、国民経済的観点を考慮して、公的助成を含む所要の対策を講ずる。」と、限界を超えると認められるもの、地方交通線を取り上げても、詰め方によってはどの分野までというふうにきめ細かくなることは承知をしますけれども、一応概括的に言うと、いま私が整理をしたようなものがいわゆる構造的な欠損だというふうに運輸省はお認めになりますか。対策の話は別ですよ。
  24. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 先生御指摘のように、構造的欠損につきましては、国鉄再建基本方針に、いまお話のあったような書き方になっております。若干繰り返しになりますけれども、たとえば赤字ローカル線とか、あるいは地方バスのように、国鉄輸送分野のうちの特に効率性の低い分野であって、それで他の輸送機関との関連において効率的な輸送体系を形成するための施策を講じるなどあらゆる国鉄としての経営改善を行っても、なおかつ国鉄経営上の負担限界を超えて輸送サービスを提供せざるを得ないような場合に発生する欠損、これは構造的欠損であるということは明らかに言えると思います。したがって、先ほど御答弁申し上げた中でも、地方ローカル線問題というのはその典型的な例であろうと、こう申し上げたわけであります。  ところで、そのほかの三点ばかりの御指摘、これにつきましては、これを構造的欠損の範囲に含めるかどうかということにつきましては、これはまず国鉄にいま具体的に考えていただいております。その結果で運輸省とできるだけ早くすり合わせをして、その限界を決めてまいりたいと、こう思いますが、ただ、それには時間がある程度かかっておりますので、その前にとにかく措置すべきものは措置していくということで、先ほど新しい助成制度なり、あるいは調査会の設置等、これを御報告申し上げた次第であります。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 去年の十一月の参議院運輸委員会審議の際に、一つの例でありましたが、いわゆる公共負担については各政策担当者の会議を閣議の中に設けて十分に協議をしたいと田村運輸大臣は御答弁をしているわけです。で、まあ私どもそれが具体的にどう作業を進めるだろうかと関心を持っていたわけですが、表に出た話というのはいまのところ何にもないんですね。文部省にしろ、あるいは労働省その他各政策担当者が、公共負担の問題についてその後どういうふうに御相談がされているのか、あるいは結論がまだ出ていないならいないと、あるいは結論を出すためにはこういう問題点がまだ残されているというふうなことがなければ、これほど――一年たっても公式見解がまだ発表されていないところを見ると、かなり問題点が残っているんじゃないかというふうに思いますが、そこの分野についてはどんな作業になっていますか。
  26. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 先生御指摘の公共負担問題につきましては、おととしの、去年ですか、国鉄運賃法なり国鉄法の改正国会におきまして、衆参両院の運輸委員会の附帯決議でも、政策官庁から予算を確保して埋め合わせをすべきであるという趣旨の附帯決議をいただいております。そういうこともありまして、私どもといたしましてはことしの六月に公共負担関係の閣僚懇談会を開いていただきまして、それで運輸大臣の方から関係大臣、すなわち文部大臣あるいは厚生大臣等のいわゆる政策官庁の大臣にいまの趣旨のお願いをいたしました。しかし、これに対しましては、いわゆる政策官庁の大臣からは、そう直ちになかなか実行が困難であるという意味の消極的なお答えがあったと、このようにお聞きしております。その後さらに、それは事務的に関係各省でよく相談をしていくようにという御指示をいただいております。  そこで、来年度の予算要求につきましても、概算要求の作業が固まる時期に、国鉄総裁の方からも、文部省あるいは厚生省の方に、いま言った趣旨の公共負担の補給金的なものを各省で予算要求して予算措置を講じていただきたいという御要望を総裁からお出しになったわけであります。で、来年度の予算要求の中でも、国鉄予算の項目の中で損益勘定の歳入の項に、公共負担の補給金の受け入れというような――これは仮称でありますが、新規の科目を設置して、そういう各省で措置した予算を受け入れる体制をつくりたいというかっこうで要求もいたしております。  そういうことでいろいろ努力はしておりますが、何分長年定着しておりました制度でありますので、この早期の解決につきましては非常に困難があるということを切実に感じておる次第であります。しかしながら、今後ともせっかくの附帯決議の趣旨もあり、その方向をぜひ実現したいということで努力をしてまいりたいと思います。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 去年の運輸委員会で法案審議の際、私は運輸委員を担当していたわけですが、田村運輸大臣、あのときはまあ審議の流れもあったんだろうと思いますけれども、少なくとも公共負担の問題については閣議の中できちっと問題の処理をするつもりだと、お任せをいただきたいというふうに胸をたたいたことをいま思い出しているわけですが、その後の作業を見ると全然進んでいないわけですね。これは当時の国会審議経緯から考えてみても、消極的な態度で困りますというふうな他人事の話では、われわれとしてはたまった問題じゃないと思うんですよ。それを幾らつついてもしようがないと思うんですが、新大臣、よくその点心しておいていただきたいというふうに思うんです。  さて、総裁は大きく四つ言いました。構造的欠損について四つ言いました。私は六つないし七つに整理をしました。運輸省はまだ十分ではありませんけれども、対応――積極的な解決あるいは努力目標のお話もありましたので、まあそのことはそのことで評価をしますが、当然国鉄側としてもあるいは運輸省側としても、構造的欠損の問題について十分性格づけを明らかにしながら、財政的な補強工作、財政基盤というものをどうするかというのは当然考えなきゃならぬと思いますが、最初の手順としては、まず構造的欠損というのは何だということを進めなければ手順にならないと思うのですね。  国鉄側はすでに勉強されていると思うのですが、仮にこの八千三百三十九億円出た赤字の中で、細かい計算は別にしましても、構造的な欠損部分というのは、大体金額にして大ざっぱにこのくらいのものだ、あるいは国鉄努力不足あるいはまあいろいろなことがあったんでしょうけれども努力に係る問題についてこれだけの赤ができたというふうに分析をしていなければ、構造的欠損の問題について運輸省と相談をする理屈にはならぬわけですね。  先ほど総裁はまだ検討していないと言っているんですけれども、それでは私は責任は果たされないと思うのですよ。細かいことは私はきょうは申し上げるつもりはありませんが、大ざっぱに八千三百三十九億円の中で、経理的に二つに分けてみて、前者は幾らぐらい、後者は幾らぐらいと、これはお調べにならなきゃならぬはずだと思うんです。専門家がきょうおいでのようですから、内容を少し明らかにしてもらいたい。
  28. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そこが一番大事なところでございまして、いろいろ作業いたしております。現実問題として、内部の作業としてはいろいろな数字が出てきております。しかし、ローカル線の問題一つとらえましても、現在ローカル線の赤字は、五十二年度で約二千五百億と称しておりますけれども、これは全体の二万一千キロの営業の中で九千二百キロ前後に当たる部分がいわゆるローカル線という概念に入るのではないかという前提で計算をしているわけでございます。ところが、そのことについて、まだ政府の中で必ずしもその部分はなるほど無理な部分だなあということをお認めいただくというところまで行っておりませんので、先ほど運輸省からお話ございましたように、しかるべき機関でしかるべく御検討いただいておるところでございますし、仮にその範囲が決まりましても、そのうちどの程度のものがわれわれの努力でまだ圧縮し得るかということが、なかなか作業が進みません。鋭意努力はいたしておりますけど、地方の住民の方々から簡単には御賛成を得られるということがないわけでございます。たとえば駅の職員の数を少し減らす、あるいはまた無人駅にするとか委託駅にするとかいうことをいろいろやっておりますけれども、なかなか御了解が得られないということでございまして、そういう意味で、われわれの努力によってそれを減すべき部分が確定をいたしてこないわけでございます。  そうしたことは他の三項目についてもいろいろあるわけでございまして、まだこういう公の場において八千億を二つに分けて幾らと幾らというふうに申し上げる段階に至っていないわけでございまして、それを何とかいろいろ幾つかの前提を置きましてもこんな数字になりますからということを来年中にまとめ上げなきゃならないということで、かなり大仕事でございますけれども、これは先ほど来のお話がありますように、国会審議の際に示された一つの大きな国鉄経営基本となる方針でございますし、閣議で了解をされていることでもございますので、何とか来年いっぱいにはまとめなきゃならぬというつもりで相当の精力をそこへ注ぎまして、具体的には大ぜいの職員がそれに当たりましてやっております。しかし、数字でお示しすることだけはまだ今日の段階ではとうていできるところまで作業がいっていないということで御了解をいただきたいと存じます。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 いまの部分について言えば、運輸省側の態度から言えば、できるだけ切り詰めて国鉄側努力を前提条件に置いて構造的欠損というものを割り出すと。私は国鉄側が甘えているとは思いませんけれども、一定の努力の上になおかつ赤字が大量に出たわけですから、国鉄側としてもこの八千三百三十九億円について、まあ前提条件は幾つかありますけれども、推定をしてみればローカル線でどのくらいの部分、退職金でどの程度、年金で計算をすればこの範囲というのはおのずから推定できるわけですね。  努力をしているということはいまお話をお伺いをしましたが、甘えてはならないと思うけれども、最小限度国鉄としてはこれだけ構造的な欠損として政府に認めていただいて財政的な措置をいろんな形でとってもらいたいと、こういう強い意見がなければこの問題もうやむやのうちにまた終わってしまうと思うんです。  私は正確な数字を要求しているわけじゃないです。おおむね推定で結構です、大ざっぱな数字どの程度と。また、これは単に委員会だけの審議とは別に、国鉄の労使の間においても一、国鉄努力がまだこれだけ足りないために赤字が出たんだと。八千三百三十九億円職員に全部かぶせるつもりはないけれども、ここの分野を、ここの赤字分野を何とか協力してもらうという話を職員なり組合に提案をしなければ、これだってうまくいかないと思うんですよね。だから、そういう意味で私は推計、累計で結構ですけれども国鉄側がこの八千三百億についてどういう割合で分けられているか。少なくとも五十二年度の決算が終わってもうかなり日がたっているわけですから、五十三年度、五十四年度に向けての国鉄努力目標あるいは決意というものがそういう中であらわされなければ、これはだれも協力する人はないと思うんですよ。  そういう意味で、くどいようですけれども、ひとつもう一回御答弁いただきたい。
  30. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お示しのように、この数字が出ませんとなかなか議論が詰まってこないという点は御指摘のとおりでございます。しかしまた反面、その前提条件がもう少し明らかになってこないと数字が出ないということで、相互にいわば鶏と卵のような関係になっておるわけでございまして、漠然たる感触がこうなっておるん、だよというようなことは、きわめてきわめて非公式な形でございますけれども組合とも話をいたしております。しかし、私どももこういう数字だということを申すところまで自信を持って作業ができていないわけでございまして、そこのところは大変歯がゆいと、早く出せというお気持ちはよくわかりますけれども、どうも事の性質上、いままだそこまでお示しをする段階に至ってないわけでございまして、これこそ今後の再建計画を立てます上の一つ基本となる目安でございますので、私どもも早くそれに結論づけていかなければならぬと思っておりますけれども、ここでお示しをする段階まではまいっておりませんので御寛容いただきたいと存じます。
  31. 穐山篤

    穐山篤君 総裁、苦衷はよくわかりますけれども、また作業が十分進んでいないこともややわかるような気がしますけれども、しかし、先ほど運輸省からも指摘されたように、一部は確かに昭和五十三年度の中でいろいろな形で助成がされていることは十分承知をします。また五十二年度の助成に比べて五十三年度が非常に新しい気持ちに立って助成されている実績もよくわかる。しかし、私の言っているのは、よく聞いてもらいたいと思うのは、これからどうするかということを言っているわけじゃないんですよ。まず現状を十分に分析するというところを確認をしていただく。その後で財源をどうするかというのはまた新しい分野になると思うのですね。これだけ窮屈な国家財政にあるわけですから、理屈は認めてもそう財政的に翌年度から直ちに補強するということにはならないと思う。ならないとは思うけれども、理屈、筋というものはきちんとしておかなければならないというのが、以前から運輸委員会やその他の委員会審議されている経緯があるわけですね。また、私どものこれからの国鉄再建にかけるいろいろな努力のことを考えてみても、全く数字が明らかにされないままに国鉄しっかりがんばれとか、あるいは組合に対して合理化を要請をするということはやや迫力に欠けるわけです。これ以上数字が国鉄側から出ないということですから、じゃそれはきょうは終わりにしておきましょう。  さて、運輸省側は、ここ最近三代運輸大臣がかわったわけですけれども、おととしのあの審議経緯を考えてみて、五十二年度のこの決算から、運輸省側計算をしなければならない構造的欠損というのは大ざっぱに言ってどのくらいの割合になるんだろうかというのは、これまた大ざっぱでしょうけれども計算していると思うのです。逆に言えば、国鉄側に対してもっと努力をしろということを言うためには、構造的な欠損部分を、理屈の上から言えば狭義に解釈をして、財政的な補強の部分を小さくして残りの部分国鉄側に協力するわけでしょう。当然そういうことになれば計算をしていなければならぬわけです。その点いかがですか。
  32. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 構造的欠損の範囲なり、あるいはその計数的なものにつきましては私ども大いにこれは関心があるわけでありますが、まず、先ほど御答弁申し上げたとおり、当事者である国鉄において検討願って、それを基礎に、それに対しましていろいろ関係方面とも相談の上、その範囲なり、その計数が妥当であるかということを検討してまいりたいということで、国鉄にもいろいろ指示をしているわけでありますが、先ほど総裁の御答弁にもありましたとおり、国鉄の部内におきまして、ずっとその作業につきましていろいろな角度から検討をいま一生懸命やっていただいているということでありまして、できるだけその結果を早くお示し願って、それをたたき台に検討してまいりたいということで、いま国鉄の方からは私どもまだ報告を受けておりませんので、それを待っている状況でございます。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 いまいみじくも言われておりますように、総裁、やはり手順から言うと国鉄側が出さなければだめだ、こういうふうに落ち着きそうですね。そうしますと、いろいろな前提条件はあるでしょう。あるいはこれからの、これからのというか、昭和五十二年度で考えていた経費節減あるいは合理化その他について十分進んでいなかった部分もあるだろうと思う。しかし、それはそれといたしましても、国鉄側が明確に出さなければ、構造的欠損部分あるいは国鉄努力分野というのは明確にならないわけですね。それはいまの答弁の中ではっきりしたと思うんです。いつごろまでにこの作業を詰められるのか、国鉄側は。審議の経過から言えば、五十三、五十四年で詰めましょうということに公にはなっているわけですよ。それで、最近の数字とすれば、五十二年度の決算というのが一番客観的には使いやすい数字になるわけですよね。その意味では作業が急がれなければならないと思うわけです。総裁、これからの作業の日程といいますか、計画といいますか、そういうものをお持ちですか。
  34. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これ非常に重要な問題でございまして、再建一つのめどがこれによって明らかになるわけでございますから、その意味で、御指摘のようになるべく早く作業を進めて、なるべく早くめどをお示しをして、またそれのうちどの部分を助成をしていただくかというところに入っていかなければならないわけでございます。  しかし、これは極論しますと、十年来の宿題を一遍にこの際まとめてしまえということでございますので、大変長い作業がかかるわけでございまして、鋭意やっておりますけれども、たとえば来年の何月ごろにはお示しできるだろうという見当がまだ十分ついておりません。それを出しました後、また政府部内においてもいろいろ御論議を願わなきゃならぬわけでございますから、来年の末になってから出したのでは間に合わないわけでございますけれども、しかし、さりとていまの、余りにも条件が固まってきておりませんものですから、仮に数字を暫定的に出しまして後でまたそれが変わるというようなことは、またいろいろ紛議の種になりますから、もう少し固まるまで待ちたいということでおりますけれども、来年の予算要求の前後までぐらいには何とかそういうものをある程度示しませんというと、お約束にも反しようかというような感じでいま努力をしているところでございます。それがためには、、ぜひもろもろの前提条件がもう少し早く詰まってくることを期待をいたしておるわけでございます。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 この問題もこれ以上触れても無理のような感じがしますが、私どもがこれから国鉄再建の問題を勉強する場合に、総裁、八千三百億のうち、二対八か三対七かよくわかりませんけれども、目の子勘定で五対三ぐらい、構造的欠損がおおむね五とするならば、残り三千億前後というものが国鉄努力に係る部分だというふうに勝手に解釈をしているわけなんですけれども、別に念を押すつもりはありません。  しかし、たとえば国鉄側発表しました数字、たとえば赤字八千三百三十九億円の中で、地域的に見ますと、北海道がいろんなものをもろもろ合わせまして千七百十一億円という赤字になっているわけですね。これは北海道という広野の中で、いろんなこれから企業努力もされると思いますけれども、しかし、企業努力といえどもこれもまた限界がありますよね。駅長以下全部なくしてしまうわけにもいかない。車掌もなくすわけにいかないといういろんな制約があるとするならば、やはりここで私が冒頭指摘をしました公共交通機関整備という問題にもう一遍ここでは返らざるを得ないと思うんですよ。きょうは時間がありませんから、これ以上指摘はしませんけれども国鉄決算から見た財政再建の問題については改めて別の場所でお願いをしたいと思うのです。  さて、一点だけ、私は先ほど年金のことにちょっと触れました。国鉄の共済組合の運営を調べてみると、大変な事態になっているということがよくわかります。時間の関係で細かいことは申し上げませんけれども、たとえば共済組合。昭和五十年度は、長期の勘定では百七十七億の収支残、ところが翌年の五十一年度は八十九億円の赤字、五十二年度の決算では三百六十三億円の赤字。大変エスカレートしているわけですね。また短期について言えば、昭和四十九年十三億、五十年度四十九億、五十一年度百九億、五十二年度は、ようやく収支残が三十億黒になった。これも限度いっぱいの状況にあるわけです。共済組合の運営というのは別勘定ですけれども、考えてみますと、共済組合の運営が財政的な分野で危機にある、そのことがひいては国鉄の運営に重大な影響を与えている。それから、私は職場を歩いて具体的に職員の話を聞いてみましても、近い将来、一人が一人の年金受給者を背負わなければならない、こんなことでは、私は夢を持って国鉄に入ったのだけれども、やめた方がいいという話が現に出ている一わけですね。言いかえてみれば、勤労意欲に重大な影響を与えている。こういう意味で、共済組合の運営の問題について重視をせざるを得ないという状況にあるわけです。  さて、そこでいろいろ計算をしていきますと、国鉄職員の要員構成などを考えてみますと、いわゆる成熟度というのは年ごとに二、三%、あるいは五、六%高まっていっているわけです。国鉄側計算をお借りいたしましても、近々のうちに現在の受給者二十六万人が三十万人に拡大をしそうだと。完全にそうなりますと財政的にはパンクをする。したがって、これからどうするかという問題が起きるわけですが、しかし考えてみなければなりませんのは、一人の組合員、若い青年が一人の年金受給者を背負い込むということになれば、月給をそっくりそのまま出さなければならないということになるわけですね。そこで運輸省並びに国鉄当局側あるいは大蔵省側にお伺いするわけですが、この種の組合員の長期、短期を含めて負担限界というものがなければ、物差しがなければならないと思うのです。そのことについてどういうふうにお考えになっているか。  それから、ことしの四月一日にたしか掛金率は改正をしたわけです。組合員の話を聞いてみますと、この改定というのはもう大変高いものだ。しかし、当分の間は値上げをしないというふうに約束をしてくれたからわれわれはのんだというふうにも仄聞をしているわけです。そうしますと、これから何年分ぐらい財源率、掛金率の変更はしないで済むのか済まないのか。それから当然問題になってきますのは、共済組合の財政あるいは国鉄経営に大変な障害になっているわけですが、これを解消するためにどういう手段、方法を現在研究をされているのか。運輸省の中に設置された審議会があるわけですけれども、しかし、それに全部お任せということにはならないと思いますね。これは国鉄自身の問題であるわけですから、まず国鉄側にお伺いをしたいと思います。それと同時に、大蔵省として、この共済組合の財政に対してどういうふうにこれから担保をしていくのか、その点、ごく簡単で結構ですからお伺いをしておきます。
  36. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 五十一年と二年と、二カ年にわたりまして収支が不均衡、つまり、赤字決算になったということは御指摘のとおりでございます。  そこでどうするかということで、いろいろ専門家の方にお集まりいただきまして議論をしていただきましたが、どうもなかなか国鉄年金問題だけを切り離して解決することがむずかしいと。日本の国全体が、これ、今後年金問題で非常に悩ましいことになっているわけでございますので、特別なことを国鉄だけにするわけにもなかなかいかない。で、その作業がまあまあいまのところ進みますのは五十五年度いっぱいは無理であろうということで、とりあえず五十五年度まで何とか持ちこたえていくということを前提にして、この間、掛金率といいますか、財源率計算の改定を行いました。それで職員諸君にも非常に負担をかけることになったわけでございますが、現在の掛金率は、そういう意味で五十五年度までこれをいまの状態で持っていくというつもりでおります。  で、それから後はどうなるかということについては、五十五年度ぐらいまでには、このわが方の年金会計の長い目で見たあり方の根本的検討ということについての結論を出していかなければならないだろうと思います。その場合に研究しなければなりませんことは、給付の水準の問題、あるいは財源負担のあり方の問題といった年金制度全般にわたるきわめて広範囲な問題になるわけでございまして、そうして、それはとても私ども国鉄自体、なかなかしょい切れませんので、企業経営上の問題であると同時に、国全体の年金制度上の問題に関連をしてまいるかというふうに思っております。しかし、これにつきましてもいろいろ研究は進んでおります。そして、いずれ、われわれとしても、運輸省と申しますか、政府と申しますか、あるいは総理府なり厚生省なり、年金問題の御担当のところにお願いを出さなければならない、そしてそれは、先ほどの構造的欠損の処理問題とも関連をしてくるということであろうかと思います。  どの程度までは負担ができるものなのかということは、率直に申しまして私どもも年金の専門家に教えていただきたいところなんでございますけれども、まあなかなか、過去においてわれわれ国鉄のこの年金制度がわが国の中で一番先に進んでおります、成熟度が高くなっております関係で、まあいわばその実験台にさせられてしまっているような感じでございまして、専門家に伺いましても、いま御指摘の、どの程度までは一体しょい切れるかということについての明快な御意見というものはどこからもまだ出ていない現状でございます。しかし、もう現在、長短期を合わせました職員の負担率は基本給の一割を超えておりますので、常識的に考えて、もう限界に近いというか、限界であるというか、そういう感じでございまして、なかなか私どもの内部だけで解決がつくという問題ではない大きな問題だと。金額的に申しましても構造的欠損の中で大変大きな問題だというふうに考えております。
  37. 山崎登

    説明員(山崎登君) 国鉄の共済の問題につきましては、運輸省を初め国鉄内部におきまして、いろいろと懇談会あるいは研究会を開きまして、この問題に取り組んでいるわけでございます。  実は共済組合につきましては、これは国鉄だけではなくて、私ども国家公務員あるいは地方公務員、各種共済年金につきまして、いずれこういつた事態に来るということもありまして、私ども共済全体といたしまして、地方公企体あるいは国ということで、実は本年三月から共済年金懇談会というものを開きまして、いろいろと給付水準あるいは財源の負担の問題、あるいは財政調整問題等々をいま議論しているところでございまして、これらの結論を待ちながら今後対処していきたいと思います。  負担限界については、いま総裁がお示しになったように、私どもも、どういうところまで負担できるかということを現在いろいろな面から検討はしておりますが、なかなか結論が出ない事態であります。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 さっき総裁が、ことしの四月、千分の百四十七に改定をしたときに、これは五十五年度までというふうにお話があったんですが、これは長期も短期も含めて五十五年度までは掛金率、財源率は変えない、そういうふうに理解していいんですか。
  39. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) そうではございませんで、長期給付に関して昭和五十五年度まではと、こういうことでございます。
  40. 穐山篤

    穐山篤君 そうすると、長短合わせて現状よりもさらに労使の負担額がふえるということですか。
  41. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 先ほど先生からも御説明ありましたように、短期の方の経理も五十二年度の残がわずかなものでございまして、短期の方の自然増と申しますか、医療費の改定に伴う分をさらに上回って全体の給付が出ておりますので、かなり危機的な状況になりまして、短期の方は短期の方で、それ自体また非常な問題を抱えておるという現状でございます。
  42. 穐山篤

    穐山篤君 国鉄関係については以上で終わります。  さて、次に地方バス路線の問題についてお伺いをします。  地方バスの路線の問題、これは地域住民の足を確保する、守るというのですか、まずそういう立場から昭和四十一年に離島の措置を最初に発足したわけですが、その後いろいろ制度の改正というものも承知をしています。さて、五十年度以降の状況を見てみますと、五十年度は予算額が五十七億八千二百七十一万、五十一年度は同じく六十八億五千三十七万、五十二年度が七十二億一千百万、今年度は七十三億五千百万円というふうに逐次年々増加をしておりますが、ただ、この決算を見ますと、非常に特徴的ですね。といいますのは、昭和五十年度の決算を見ますと、交付額は五十四億四千七百四十万円、したがって不用額が三億程度出ているわけですね。それから五十一年が交付実績が五十九億四千七百万円、約九億円の不用額が出ている。それから五十二年はほぼ予算額と実績は同じ。五十三年度は目下作業を進められているわけですが、五十年と五十一年、大変不用額が出たわけです。これの原因といいますか、これはどんなふうに分析をされていますか。
  43. 梶原清

    説明員(梶原清君) 御指摘のとおり、昭和五十年度には約四億円、五十一年度には約九億円の不用額を計上したわけでございますが、これは各都道府県知事が指定いたしました生活路線に係る欠損額が、適正な運賃改定またバス事業者の経営改善努力等によりまして予算で見込みました金額よりも非常に減少したと、こういう事情によるわけでございます。
  44. 穐山篤

    穐山篤君 原因のところをもう少しはっきりしていただきたいんですがね。合計で十三億円近い不用額が出たということは、それだけ交付をしなかったわけですね。ですから、それぞれの過疎地域の事業者から、陸運局あるいは陸事それから県に対して、この路線を維持するために金を交付してほしいと、こういう提案、手続をとるわけですね。ところが地方自治体が、財政的にこれはだめです、無理だから金は出せませんと言えば金を出さないわけです。そうすると、それがそのまま運輸省で計上してあります交付金というのが残る、単純に計算をすればそういうことになるわけですね。だから、地域住民の足はその部分だけ落ちたと、福祉が落ちたということにならざるを得ないわけです。私は運輸省の査定見込み違いとは言いませんけれども、非常に乖離があり過ぎるわけですね、合計で十三億というのはいずれにしてみても。何か特徴的な原因がなければこれだけ金を余らせるということはないはずだと思うんです。その原因をお尋ねしているわけです。
  45. 梶原清

    説明員(梶原清君) 特に五十一年度におきましては、九億円の不用を立てましたうち約三億円は、先ほど特に指摘を申し上げました経営改善努力というものによるわけでございますが、あとの六億円といいますのは、当時の深刻な地方財政の事情を反映をいたしまして、各都道府県におきまして路線指定を各知事が非常に厳しくしたといいましょうか、適正な基準によりまして査定をいたしました結果六億円の不用を出すことになりまして、合計九億円の不用が出たと、こういう結果になっておるわけでございます。それで、五十二年度、昨年度におきましては七十二億一千万円予算が計上されておりましたが、実際の交付額は七十二億一千万円、ほとんど全額を交付いたしておる次第でございます。     ―――――――――――――
  46. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、丸谷金保君が委員辞任され、その補欠として野田哲君が選任されました。     ―――――――――――――
  47. 穐山篤

    穐山篤君 五十年度は、いまも指摘がされているように、主として地方自治体の財源が、財政が非常に許さなかったと、そのために地域住民の足というものが奪われたというふうになるわけですね。それは単に地域住民の足がなくなったということだけでなくして、言ってみれば、路線が休廃止になったわけですから、運転手を初めとして従業員も削減を余儀なくされているわけですね。あるいはバス事業者にしてみれば、その分だけ赤字をあるいは経費増をしょったことになるわけですね。経営を非常に圧迫しているということに理屈の上ではつながるわけですが、さて昭和四十九年度と五十年度を比べまして、この交付金がないためにとは言いませんけれども、五十年度で路線の休廃止がどれだけ出たのか、あるいは従業員がどれだけ減ったのかということについてはお調べができていますか。
  48. 梶原清

    説明員(梶原清君) いま具体的な数字でお答えができないのが残念でございますが、一般的な趨勢を見ますと、四十年代に入りましてからバス事業の経営環境が非常に厳しくなっておるわけでございまして、輸送人員も昭和四十三年の百一億四千万人をピークとしまして、五十二年度はその八五%の八十五億九千万人というふうに減ってまいっておるわけでございます。したがいまして、どちらかと言いますればバス事業は縮小路線を余儀なくされておるわけでございまして、最近の四十六年度から五十一年度までのバス路線免許キロを見てみますと、この五年間に一万キロが減少しておると、こういう情勢でございます。また、経営改善に努力をいたしておりまして、昭和四十年に二十四万人でございました従業員が、最近におきましては十七万台程度に削減をされて、地域住民の足の確保に懸命の努力をいたしておるというのが現実の姿でございます。
  49. 穐山篤

    穐山篤君 いま言われましたように、私の資料の計算によれば、五十年度で休止が一万キロ、廃止が二千キロ、あるいは五十一年度で休止が九千二百キロ、廃止が二千四百キロと、大変な距離にわたって休廃止が起きているわけですね。それから、四十九年と五十年と、労働者、まあ運転手だとか車掌、技工さんなんかで計算をしてみますと、約三千七百五十人も減っているわけです。ですから、大変な合理化が一面では行われ、一面では地域住民の足が阻害をされているということになるわけでありまして、冒頭私が指摘をしましたように、公共交通についての機能の回復という問題は非常に私は強い要求にならざるを得ない、また要求になってあらわれているというふうに思います。  さて、そこで具体的なことをお伺いをするわけですが、地方自治体が事業者からの要請を受けて交付する場合に、県独自の合理化促進要綱なるものをお持ちですよね。これは全国的に県別にみんな違います。こんなことまで要求をするならばバスの事業者としては商売やめた方がいいというふうな基準の県もありますよ。それから、運輸省が出しております三つの合理化促進の尺度ですね。これも機械的にやられたんでは、それぞれの地域によりましては特殊事情があるわけですから、たとえば一両当たり運転手は一・五人、一両当たりの従業員全体の人工は二・五人、ワンマン化の率が八五%というふうに、これでローラーにかけているわけですよ。ですから、運輸省のこの促進のための基準あるいは各県が独自に持っております合理化促進の物差しというものを機械的に当てはめることは、率直に申し上げまして地方におきます公共交通機能をどんどんどんどん低下をしていくということにつながるわけですが、これを改定する気持ちはないですか。
  50. 梶原清

    説明員(梶原清君) バス事業の経営合理化というのが私どもの施策の大きな柱になっておるわけでございまして、補助金を交付します場合にも、また運賃の改定を認めます場合にも、経営改善努力一つの目標にいたしておるわけでございます。  御指摘のとおり、経営改善の実効を上げますために三つの指標を挙げておるわけでございまして、一つはワンマン化率八五%、それから、実在車両当たりの従業員数二・五人、実在車両当たりの運転者数一・五人、こうした目標値を設けて査定をいたしておるわけでございます、努力をいたしておるわけでございます。これは全国的に見ました場合の目標値でございまして、具体的な経営改善計画の策定に当たりましては、地域の実情に即した目標値が設定されるということを必ずしも妨げるものではないわけでございまして、今後とも地域の実情に即したバス事業の経営改善が図られるように努力をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  51. 穐山篤

    穐山篤君 いままで指摘をされておりますように、バス事業者の努力というものもありますけれども、やはり路線バスというのは、地域住民にとってみますと最後の公共交通機関なわけですね。これは新聞にも出たわけですが、愛知県で、名鉄の路線バスが廃止になったために通学者が自転車で通学をせざるを得なくなったわけですが、そのために暴行傷害事件あるいは殺人事件が起きるというふうに、単に路線バスがなくなったからそれだけでという問題でなくて、その他の問題に千波万波影響を与えているわけですね。それゆえに、地域住民にとっては最後の公共輸送機関だというその気持ちは非常に強いと思うんです。それが地方自治体の財政的な弱さのために路線が休廃止をどんどんどんどん行われてしまうということは、これは非常に問題だと思うんです。まして、せっかく運輸白書を読ましていただくならば、運輸省は相当の意気込みで公共交通についての問題の指摘をしているわけです。  さて、じゃ、これからの問題です。きょうは自治省おいでになると思いますけれども、これは挙げて国で財政的なめんどうを見ろというふうに言っているだけでは、これは地方自治体の責任は私は負えないというふうに思うわけです。地方自治体として、財政的に苦しくとも足を守るためにどうするかということを一つは考えていかなきゃならないと思うんですが、その点について明らかにしてもらう。  それから、その次に運輸省にお尋ねするわけですが、この交付金というのは幾つか種類がありまして、単純に物差しを当てはめるわけにいきません。離島から始まりまして、五人未満の乗者の問題まで幾つか種類があるわけですけれども、また、それは地域事情に応じてそれぞれの項目をつくったわけですね。しかし、言えますことは、地方自治体の財政が悪ければ悪いほど足は切られてしまう。これを経理的に言えば、不用額をますます残していくということでは意味をなさないと思うんです。そこで、もっと国の財政的な基盤というものを強める、それから財政的な助成の規模も大きくしていくということになりますと、この交付金の補助要綱について再点検をする時期に来ているんじゃないかと思うんです。要綱をそのままにして、あるいは交付率をそのままにしておいたんでは問題の解決にならないと思うんです。これ、低成長下におきます地方自治体の財政というのは非常に苦しいことはお互いにわかりますけれども、もし、地方自治体でしょえないとするならば、国がもっともっと法的な背景を持ちながら助成をすべきだというふうに私どもは考えますが、その点についてのお考えをいただきたいと思います。
  52. 梶原清

    説明員(梶原清君) まず運輸省からお答えをさしていただきたいと存じます。  現在、九月末の数字で、全国にございます自動車の保有台数は三千四百三十万台程度になっておるわけでございますが、その中で、青ナンバーの公共輸送を担当いたしておりますのは九十二万台、わずか二・七%のような状況でございまして、いま先生御指摘のように、バスを初めとする公共輸送というのが非常に衰退しつつあるという現状でございます。今後、こうした公共輸送を維持拡充していかなければいけないと、こういうふうに強く考える次第でございまして、今後政府挙げてこの問題に取り組むべきときではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。  この補助金の制度につきましては、先生御指摘のように、昭和四十一年度の離島バス購入費補助金から出発いたまして、最初の予算額が五百万円でございますが、今日、先生先ほど御指摘のございますように、七十三億五千万円にまで拡充をしてまいったわけでございます。今後、この補助制度の拡充強化に一段と努力をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。  ただ、地方バスにつきましては、各事業者の経営改善努力、適正な運賃水準の維持、それに、先ほど申しております補助制度の拡充ということでございますが、この三本柱でまいりたいと思っておるわけでございますが、何としてもお客さんがどんどん減っていく、過疎化が進展していく中での地方バスの維持ということは非常に困難な実情にございます。今後とも私ども、このシビルミニマムの確保といいましょうか、そのために最善の努力をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  53. 土田栄作

    説明員(土田栄作君) 私の方からこの問題につきましての基礎となる考え方を御説明申し上げたいと存じます。  現在、輸送行政の権限という面から見てまいりますと、基本的には国の権限に属しておりまして、地方団体にはごくその一部が権限委任されているにすぎないという状況でございます。そのような権限の配分の面から見まして、地方団体の方から、一部には、基本的には国の権限でございますし、事務であるし、責任であるという声があるということも先生御指摘のように事実でございます。しかしながら、私たちはそれは制度面から申しまして正しい考え方であろうと思いますけれども、いま御指摘がございましたように、この問題は、地方住民の日常生活に密着いたしました利便を確保するという非常に重要な面を持っておるわけでございまして、そのような意味におきまして、地方団体も一半の責任を持っているというふうに考えております。地方自治法におきましても、自動車運送事業を行うということは地方団体の例示的な事務の中に入っているわけでございます。そういうふうな意味におきまして、財政的な措置といたしましては、当省といたしましては、普通交付税の中におきまして、スクールバスの運行経費を見ますとか、それから小中学校の児童生徒の通学対策費を見ますとか、対処いたしておりますし、それから、過疎バス運営費の地方負担につきましても、特別交付税で対処をいたしているということをいたしているわけでございます。  それから、補助制度の問題についてでございますが、私どもといたしましては、公共交通確保のためには補助内容の充実、特に補助率を引き上げていただくということが大変望ましいことであるというふうに考えている次第でございます。
  54. 穐山篤

    穐山篤君 大臣、この過疎地域といいますか、地方における公共交通、地域住民にしてみれば最後の足が、先ほども指摘をされたように年々一万キロ前後ぶった切られているわけですよ。それは労働問題もたくさんあるわけですけども、地域住民にしてみれば大変なことだと思うんです。まあ予算の時期でもありますし、あるいは政策的にも、この足を守るための努力というのはしてもらわないと大変な問題になってしまう。あるいは最近定住圏なんというふうな話が新内閣からも出されておりますけれども、そういう新しいアイデア、計画から見ても、このまま放置しておくことは大変だと思うんです。そこで、大臣の決意表明と言えば語弊がありますけれども、この問題に命をかけるぐらいの気持ちがないと、最後の足を確保するということは困難だというふうに私は判断をします。就任早々でいろんなことを御研究でしょうけれども、この問題につきましては特に意を用いていただきたい、これを強く申し上げておきたいと思います。
  55. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) このたび運輸大臣に新任いたしました森山でございます。  運輸行政は、いろいろいまむずかしい問題が山積しております。その中で、このいまお話がありましたバスの問題もございますが、政府といたしましては今後とも地方におけるバス輸送の役割り、いまお話しのとおりでございますので、この補助制度の充実に努力をしてまいりたいと思います。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 さて、時間の関係がありますので、レンタバスの営業類似行為の問題について次は取り上げたいと思うんです。これは時間が非常に短いので、お答えもごく簡潔にしていただきたいんですが、運輸省の調べあるいは警察庁の調べ、私どもの調査によりましても、いわゆるレンタカー、中でもレンタバスの営業類似行為が最近とみにふえております。これは私は具体的にどこの県のどういう事業者ということはきょうは避けますけれども、県別だけ申し上げてもこの一年間で十指に余るくらい問題が指摘をされているわけです。  そこで、ことしの八月七日に運輸省から各陸運局長、それから同じく八月の二十九日に事務連絡で、いわゆるレンタバスの白バスといいますか、もぐり営業はだめだというふうに出されたのは、これは当然だと思うんです。しかし、依然としてこれは各地でその後も行われております。また、取り締まりも非常にむずかしいわけですね。事実がよくわからない。あるいは陸事、陸運局の調査の体制がこれにない。あるいは警察につきましても、特定の警察は特に熱意を入れてやっていますけれども、その他のところはいまは道交法の改正に合わせて交通安全の方に努力しているというようないろんなことがあって、これが十分に行われていないわけです。  そこでお伺いしますのは、レンタ協会からあるいは旅館組合の協会から、率直に言えば営業類似行為、運転手の運転を含めて認めてほしいという請願があるわけですね。この請願はお認めになるのかならないのか、あるいはどういう根拠で認められるとか認めたくないとか、私は認めるべきでないというふうに思いますから現行法律を改正することはいけないというふうに思いますが、その点いかがですか。
  57. 梶原清

    説明員(梶原清君) 運転手づきのバスのレンタは道路運送法違反でございますので、これを改正をする必要は全くございませんし、また、そういう趣旨での改正をしてはならないと、かように考えておる次第でございます。
  58. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、いま全国各地でこのもぐり営業が行われているやつを当然関係者の努力によって指導をする、あるいは摘発をする、あるいは監督をする。当然、道運法によるならば罰則というものもあるわけですね。したがって、調査、指導あるいは摘発ということを当面やらなければならない。しかし、実際にその能力が陸事を含めて行政官庁側に私はあるとは思えないんです。正確を期すためにはもっと機能的に、あるいは組織的に対応する必要があると思うんです。しかし、実際にはそういうふうにやられていないわけですね、欠陥があるわけですから。どうしたらこれがきちっと整理をされるかについて具体的な計画がなければならないと思います。それはどうされますか。
  59. 梶原清

    説明員(梶原清君) 先生先ほど御指摘されましたように、去る八月七日に自動車局長通達を出しまして、一つは、違反者に対する取り締まりの強化、それからマイクロレンタバスの新規参入を抑制する。現在――ことしの九月末現在でございますが、マイクロバス型の車が八千六百七十八台ございますが、これをまず新規参入を抑えるといいましょうか、抑制をいたしまして、傷口を大きくしないという努力一つ必要かと思います。それから最後に、貸し切りバス事業の適正な供給輸送力を確保する。最近、貸し切りバスの需要が小口化する傾向がございますので、それに対応した輸送体制を各業界でとっていただく、こういうことを内容といたしました通達を出したわけでございます。  先生御指摘のように、陸運局、陸運事務所の体制というのが十分でないことは先生御指摘のとおりでございますが、貸し切りバス部門の輸送秩序の改善のために、業界総力を挙げて協力をいただきつつ輸送秩序の改善のために努力をいたしてまいりたいと、かように考える次第でございます。
  60. 穐山篤

    穐山篤君 いまもいみじくも指摘をされているわけですけれども、レンタバスがいわゆるもぐり営業をしているのはけしからぬというのは、それできちっとやってもらいますよ。  しかし、それだけでは問題が解決しないんですよ。最近の旅行の形態を見ておりますと、たとえば幼稚園だとかあるいは老人クラブ、婦人会というふうに、五十人、六十人の旅行というよりも、三十人以下あるいは二十人以下の小規模団体の旅行というのが非常に多くなっているわけです。それは旅行の新しいスタイルだというように思うわけですが、ところが、バス事業者が、十人、二十人、三十人の旅行というものについて需要があるにもかかわらず供給体制をしっかりとっていないというところに問題があるわけですね。いまも数字を言われたわけですが、八千何百両に対して千両そこそこの青ナンバーなんですよね。そうしますと、やっぱりバスの事業者の供給体制というものを根本的に考え直さなければらちはあかないというふうに思うわけです。したがって、これは早急に対策を具体的に講じなければならない。なぜ私が急ぐかと言いますと、もぐり営業が行われている中に、無免許運転というのも調べた結果出てきたわけですね。それから、保険にも入っていないという人が出てきた。それから、ある県の事件ですけれども、麻薬の常習者が運転をしていたというふうに野放図になっているわけです。ですから、そのことを考えてみますと、事を急がなきゃならない。  きょうは時間がありませんからこれ以上申し上げませんけれども、二つの問題について、一つは前段の取り締まりといいますか、法律に基づいた規制をきちっとする。そのために体制、機能、組織というものを整える。それからもう一つは、需要に対してこたえるだけの業界の体質改善を行うということでなきやならぬと思うんです。私が申し上げていることについては十分運輸省側理解はされていると思いますけれども、事を急がないと私は重大な問題を惹起するというふうに思いますので、その点もう一遍確認をしておきます。
  61. 梶原清

    説明員(梶原清君) 先ほど先生おっしゃいました方向でせっかく努力中でもございますし、今後ざらに努力をいたしたい、かように考える次第でございます。
  62. 穐山篤

    穐山篤君 さて、最後に、最近アメリカあるいは日本で大変問題を起こしておりますダグラス社のいわゆる不正支払い問題について取り上げていきたいと思うんです。  いまのところ、アメリカで公表されあるいは日本のマスコミが取り上げているものを見てみますと、アメリカの証券取引委員会が、ダグラス社が一九六九年から現在に至るまでの間航空機の売り込みに関連をして八百万ドルの不正支払いを行ったけれども、それを株主総会にも報告しなかったという疑いがあるとして告発をされた事件だというふうに思います。その後、このコミッションを含めて金額の訂正がダグラス社の方から行われて、流れた金の金額がほぼ倍ぐらいになっているというふうに聞いております。  きょうは外務省。それで外務省はアメリカの大使館から――大使館というのは日本の大使館から報告を受けたというふうに私どもは聞いているわけですけれども、この不正支払いの問題についての外務省が入手しております資料及び情報というのは今日ただいま現在どういうものか、明らかにしていただきたい。
  63. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩速記をとめて。速記を起こして。      ―――――・―――――    午後一時十四分開会
  65. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和五十年度決算外二件を議題とし、運輸省と、それに関係する日本国有鉄道決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  66. 穐山篤

    穐山篤君 最近新聞を大きくにぎわしておりますダグラス社の不正支払い問題について改めてお尋ねをするわけです。いつもこの種事件がアメリカ側から公式に発表されるというのは非常に遺憾なことでありまして、今回のこの事件につきましても、十二月の十四日、アメリカの証券取引委員会から公式に発表がされたわけです。われわれ国会あるいは日本国民としても、まことに不愉快千万の事件ではないかというふうに思います。  さて、そこで正規の外交ルートを通して外務省が入手しておりますこの不正支払い事件、これは国際的にわたるわけですが、それと特に日本にかかわる問題を私どもは重視をしなければならぬと思うのですが、外務省が入手しております公式の資料あるいはアメリカ側から発表した資料というものについて、まず冒頭に明らかにしてもらいたい。
  67. 北村汎

    説明員(北村汎君) 外務省といたしましても、仮にわが国において贈賄行為があったということであれば、これはきわめて重大なことだと考えておりますので、現段階で公表されております資料はすべて入手いたしております。  先ほど先生もおっしゃいましたように、私どもがいま入手しております資料は四つございまして、一つは、アメリカの証券取引委員会がワシントンの連邦地方裁判所にダグラス社の海外不正支払い容疑について申し立てましたいわゆる申し立て書でございます。それから二番目には、ワシントンの連邦地方裁判所が十五日に決定をいたしましたダグラス社に対する永久差しとめ命令の最終決定書、それから三番目には、ダグラス社がこの永久差しとめ命令を、その決定を受け入れる、そうして今後ダグラス社が不正行為根絶のためにとる措置を盛り込んだ同意書、さらに四番目には、この同意書の中に記載されております証券取引委員会が申し立てた事項に関する報告書、この四つの資料が、これが全部でございまして、これは全部入手いたしております。ただいまそれを検討いたしておる段階でございます。  それから、その資料に基づきまして、ただいま先生が御質問になりましたわが国に関しての記述はどういうものがあるかということを申し上げます。  第一に、これは先ほど申し上げました第四番目の資料であるダグラス社がつくりました一応の報告書でございますが、その中に、一九七〇年に同社が日本で支払った販売促進費一万五千ドルの一部が一政府関係者に渡された可能性がある、ただし、ダグラス社としてはこの伝聞に基づく報告を確認することはできなかった、こう書いてございます。  それから二番目に、同じく一九七〇年にコンサルタント費用といたしまして五万ドルが支払われた。このコンサルタントはさらにその後追加的な五万ドルを受け取ったというふうに書いてございますが、このコンサルタントは政府関係者でもなければ、また航空会社の職員でもない。また、同人に支払われたコミッション及びコンサルタント料が政府関係者または航空会社の職員に渡されたことを証明するものは何もない、こういうふうに書いてございます。  それから三番目に、一九六九年から現在に至る間の日本における航空機販売に関連いたしましてダグラス社が支払いました百八十万ドルのコミッションにつきましても、これはダグラス社の方ではこの支払いは完全に正当なものであると信じてはおるけれども、これは今後の調査の対象になると、こういうことでございます。  そこで今後どういうことになるかと申しますと、さっき申し上げました裁判所の決定に基づきまして、今後はダグラス社は特別の調査委員会というものを設置いたすことになります。そしてこの証券取引委員会が申し立てました容疑に関しまして、これから百二十日間かかって調査を行います。そしてその調査の結果を三十日間かかって報告書にまとめ、さらにそれをダグラス社の特別取締役会がこれを検討して、さらに三十日間かかってそれを裁判所及び証券取引委員会提出すると、そういう段取りが決められたわけでございます。
  68. 穐山篤

    穐山篤君 いまのお話でいきますと、報告書というのは四つから成っていて、中で日本関係ある部分については、一万五千ドルが販売促進費用に使われているが、全部かどうかわからないが、あるいはまあ一部であろうが、日本政府の高官に払われているというふうに理解をしますが、二つ目に言われました追加額を含めた膨大な金は、コンサルタント料は、航空会社あるいは政府関係者にではないというふうに指摘をされているのは、直接その当時航空関係なり、あるいは政府関係者ではないが、その他の者というのは、その他日本人という意味よりももう少し色合いの濃いその他というふうに受け取らざるを得ないと思うんです。で、この種のことにつきましてはすでに新聞にも出ておりますが、このダグラス社との間のやりとりの中では、必ずしも代理店を通さずとも販売が行われたという実績もあるやに聞くわけです。そうしますと、これはその他多数の日本人という意味でなくて、もっと関係の深い、あるいは専門的なといいますか、そういう日本人だというふうに私は印象を受けたわけです。  それから三つ目の問題としては、百八十万ドルが今日までコンサルタント料として出ているわけですが、当のダグラス社としてはこれには不正はないと言われておりますけれども、今後の調査にまっということは、今後調査の結果そういうものが出るかもしらないということを暗示をしていると思いますけれども、その点についての外務省の感想はいかがですか。
  69. 北村汎

    説明員(北村汎君) 外務省といたしましては、入手いたしました資料、またそれ以外には何らの資料はないわけでございまして、その資料に書いてありますことをいま忠実に検討しておるという段階でございます。  先生がいまおっしゃいました第一の点、その一万五千ドルの一部が一政府関係者に渡されたという点については、この記述はそういう渡されたということを断定はいたしておりません。その可能性があるということで、それを今後調査していくということでございます。  それから第二のこのコンサルタント、これはこのコンサルタントは政府関係者でもなければ、航空会社の職員でもないということがはっきり書かれてございます。そうしてこのコンサルタントについては、この資料によりますと、「インディペンデント・コマーシャル・セールス・コスサルタント」、すなわち独立の商業販売コンサルタントである、こういう表現でありまして、これ以上には私どもとしてそれがどういう人であるかということは承知いたさないわけでございます。
  70. 穐山篤

    穐山篤君 日本が航空機を購入するのは戦前も戦後もあったわけですが、ロッキードあるいはボーイング、さらにはダグラスというふうに、大きく言えば三つの社にほぼ限定がされると思うのですが、この一九六九年ごろから今日まで、日本航空を含みます航空会社あるいは防衛庁が購入しております各種の航空機につきまして、ダグラス社から購入した機種あるいは機数、それから発注済みのものが幾つかあるわけですが、それは現在どのようになっていますか、その内容を明らかにしていただきたい。  その際に、いまもお話があったわけですけれども、代理店を通す場合には、たとえば三井物産が代理店になっている、あるいは日商岩井が代理店になっている。あるいはいまもお話がありましたように、そういう代理店ではないけれども、専門の業者といいますか、そういうことが言われたわけですが、いま私の質問の中で、その種の代理店がどこにかんでおったのか、いま掌握をしているならばひとつ明らかにしてもらいたい。
  71. 松本操

    説明員(松本操君) 民間航空機関係についてお答え申し上げます。  まずダグラス製の航空機といたしまして現在日本に存在しておりますのはDC8、DC9、DC10の三機種でございます。DC8につきましては、昭和三十五年の七月の十七日に一番機が納入されまして以来、日本に入ってまいりましたDC8はいろいろの型式をまぜまして四十九機でございますが、堕落等によって失われたりあるいは売却をされたりというふうなことで、現在国内に残って運用されておりますDC8――これはすでに生産が中止されておりますので、残って運用されておりますDC8は三十八機でございます。次にDC9につきましては、四十九年の三月十二日に一番機が東亜国内において受領をされました。その後現在までに二十機が購入をされておりまして、なお購入契約済みのものとして七機が残っております。それからDC10につきましては、五十一年の四月の九日に日本航空に一番機が導入をされました。現在七機が運航中でございます。なお契約済みのものとして二機が存在しております。  それからこれらの航空機の購入に当たってどういうふうな代理店が、あるいは代理店以外のどのようなものが介在してどうなっているかという点については、私どもの方は直接監督の範囲内にございませんので必ずしもつまびらかでございませんが、いま先生おっしゃいましたような、物産とかそういったようなところが通常の仲介と申しますか、形で輸入業務を取り扱う、あるいは輸入した機材を日本に回送してまいります場合、これらの場合の諸般の手続等もございますので、そういうふうな面を何がしかのコミッション料を受けてやっておるというふうに承知をいたしております。  なお、日本航空の場合には、たとえばDC8についていまなお部品の補給その他を行っておるわけでございますが、これらは商社といったようなものを通すことなく、直接的に実施をしておるというふうに承知をしております。
  72. 田中守男

    説明員(田中守男君) 防衛庁がマクダネル・ダグラス社から購入しております機種としましては、F4EJ及びRF4Eの二機種でございます。F4EJにつきましては、五十二年度までに取得いたしました機数が百六機、購入金額は、予算ベースで申しまして二千二百五十億円でございます。現在契約中のものは三十四機、千二百二億円でございます。RF4Eにつきましては、四十九年度から五十年度にかけまして一括契約で十四機をマクダネル・ダグラス社製のものを日商岩井株式会社を通じまして購入いたしております。F4EJにつきましては、防衛庁としまして契約の相手方は三菱重工業でございます。なお、三菱重工業がマクダネル・ダグラス社から購入します材料、部品等は日商岩井株式会社が輸入代行業務をしておると聞いております。
  73. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、ダグラス社とのかかわりでいきますと、防衛庁、それから民間としては日本航空、DC9の購入を見ますと東亜国内航空、それからDC8を見ますと日本航空の系列になっておりますアジア航空、この四社といいますか、四つが対象のところだというふうに理解していいんでしょうか。
  74. 松本操

    説明員(松本操君) DC8につきましては日本航空でございまして、いま先生おっしゃいました日本アジア航空は日本航空から買っておりますので、直接的な取引行為はないと思っております。それからDC9はおっしゃいますように東亜国内航空でございます。DC10は日本航空だけでございます。
  75. 穐山篤

    穐山篤君 それでは法務省にお伺いをするわけですが、ロッキード裁判あるいはコーチャン証言の中にも、ダグラス社の話が見えつ隠れつしていたわけです。裁判の進行などを見ておりましても、そのことが時には間接的に、あるいは直接的に出ておったように私も記憶をするわけですが、さて、具体的にお伺いしますが、昭和四十七年十月にダグラス社の代理店であります三井物産の社長が当時の田中総理を訪問をしていますね。この時期というのは、日本航空と全日空が機種の決定について非常に重要な時期で、いずれもロッキード社あるいはダグラス社がしのぎを削っていた当時だというふうに裁判の記録あるいはコーチャン証言なんかでもあらわれているわけです。当然法務省としては、三井物産の若杉社長と田中会談というものは、これはロッキード事件というものを解明していたわけですけれども、当然このダグラス社の話が見えつ隠れつしていたわけですから、検察当局の調査の範囲にあるいは対象になっていなければならなかったと思うのです。あるいは当然対象にして調査をされていたと思うのですけれども、その実態、その内容はいかがですか。
  76. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答え申し上げます。  ロッキード事件の捜査の過程におきまして、ただいま御指摘のダグラス問題につきましても、検察当局といたしましてはロッキード事件の真相を解明するに必要な限りにおきまして所要の捜査を行っておりまして、検察当局が把握いたしました結果は、ロッキード事件のいわゆる冒頭陳述書に詳細記載してあるところでございます。一例を挙げますれば、被告人田中角榮は昭和四十六年ごろに三井物産の石黒副社長の訪問を受けて、DC10の全日空に対する購入方のあっせん陳情を受けたと、その結果を当時の――現在もそうでございましょうけれども、全日空の若狭社長に電話でその旨を伝えたというふうな記載がございまして、その他ダグラスの問題につきましても冒頭陳述書中に各般の記載がございますが、いずれにいたしましても、この関係につきましてただいま検察側が法廷において立証中であるということでございます。
  77. 穐山篤

    穐山篤君 いま三井物産の副社長石黒さんという話が出たわけですが、この三井物産の副社長が全日空の若狭社長を訪問をして、田中総理大臣にDC10の採用について陳情しているのでよろしくといったような証言があると言われているわけですけれども、この点について、いまの話に関連をしてもうちょっと具体的な中身がわかっておれば明らかにしてもらいたい。
  78. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答えいたします。  ロッキード事件の公判経過につきましては、逐一ロッキード特別委員会の御要請がある都度、同委員会に対して詳細報告を申し上げておるところでございます。いまお話に出ました石黒副社長につきましては、いまだ公判において取り調べが行われておりません。なお、若狭社長につきましてはすでに証人尋問が行われておりますので、この経過等につきましてはロッキード委員会に対して詳細御報告を申し上げたいというふうに考えております。
  79. 穐山篤

    穐山篤君 ロッキード調査特別委員会でよく話をされるのは結構ですけれども、時が時だけに、ざっくばらんに言えば、大平新内閣がスタートをして直後に忌まわしい事件がアメリカから公表された。これは日本にとっても事態を十分に解明しなければならないときなんですね。それが決算委員会であろうが、あるいはロッキード調査特別委員会であろうが、広く事実関係を明らかにして、不正がないならばこれはないと言えばいいし、疑惑があるというふうに言われているわけですから、その疑惑を積極的に解明する必要があろうというふうに思います。  時間の関係がありますから、私は長いことを回答を求めるつもりはありませんけれども、いま私が指摘をしました、田中総理によろしくと言ったという件について、警察当局の御調べは、内容はどんなことになっておりますか、もう一度お伺いします。
  80. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) せっかくのお尋ねでございますので多少敷衍して申し上げたいと思いますが、若狭証人は丸紅ルートの第五十四回の公判におきまして、ただいまお尋ねの件につきまして、田中角榮氏から就職のことで電話を受けたことはあるが、機種選定についてどうだこうだという電話については、はっきりした記憶がないということを申し述べておる次第であります。
  81. 穐山篤

    穐山篤君 不満ですけれども、時間の関係がありますので、じゃ防衛庁の方にお伺いをしますが、先ほどもお話がありますとおり、ファントムについての購入を決定をして、いままでも購入をしているし購入の決定も下しているわけですけれども、例のロッキード事件の際に政府側答弁として、P3Cについて疑惑が晴れるまでは導入を行わないという態度を一時期表明をしているわけですね。で、今度のダグラス社の不正事件あるいは疑惑について、まだ全部全貌が明らかになったわけではないけれども、不正があるんじゃないかあるいは疑惑があるんじゃないかということがいま言われているわけですね。したがって、単刀直入にお伺いをしますが、ファントムの決定をして、これから購入をするわけですが、F15イーグルですか、この購入方について再検討をするというふうな考え方はないんでしょうか。
  82. 田中守男

    説明員(田中守男君) お答えいたします。  私どもといたしましては、F15につきましては問題はないと確信を持っておる次第でございます。今般のマクダネル・ダグラス社の問題に関連して、私どもといたしましては、当面は米国における調査を見守りたいというふうに考えております。  終わります。
  83. 穐山篤

    穐山篤君 さて、先ほど外務省からの説明によりますと、これから百二十日間の調査あるいはその後三十日間のまとめ、さらに三十日間たって報告書を提出すると、合計で百八十日というまあ気の長いことになるわけですが、しかし、ロッキード事件の際にも国会の内外で議論されましたように、だれかが金をもらっている、あるいは政府高官のうちのどなたかがこのコミッションをもらっているという、そういうことについて国民は政治の姿勢を正せというふうに厳しく追及しているわけですね。確かにアメリカ側から出た話ですけれども、事が日本にかかわっているわけですから、積極的に外務省なりあるいは司法当局としてはこの疑惑をただす、究明をするということが一番いま望まれることじゃないかと思うんです。したがって、積極的にアメリカの証券取引委員会なりあるいはダグラス社と接触をしてこの問題の解明に当たる気があるかどうか。いままでロッキード事件でも、アメリカの方から発表されて、後それを追認をするというふうな形で調査が行われていたわけですけれども、これほど二度も三度も同じような事件が起きますと、国会はもちろんのこと、国民の間からも政治の姿勢をきちっと正すべきだと、ましてや大平新内閣が出た際でありますので、これはみずから進んで問題の解明に当たるのが当然だというふうに思いますが、その調査なりあるいは解明のために、外務省なりあるいは司法当局は積極的な行動をとる予定をお持ちですか、その点についてお伺いします。
  84. 北村汎

    説明員(北村汎君) ただいま外務省といたしましては、先ほども申し上げましたように、この十五日から十六日にかけてアメリカの裁判所の方から出ました資料を手に入れて目下検討いたしておりますと同時に、これを関係省庁にお配りして、またその検討が続けられておる段階でございます。で、今後外務省といたしまして、わが国の関係当局が捜査あるいは調査というものを本件について行うことが必要であると判断される場合には、関係当局の要請に基づきましてアメリカ側との連絡その他所要の措置をとることになると思います。
  85. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) この問題につきましては、法務省といたしましても、外務省から入手いたしました資料の分析検討をただいま取り急ぎ行っておるところでございますが、何分にもきのう、きょうの出来事でございますので、いまだ十分な検討が行われたとは言いがたい段階にございますので、この時点におきまして、将来の犯罪捜査をいかに行うかということにつきましてはいささか明確に申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますならば、仮に何らかの犯罪の嫌疑が認められるということに相なりますれば、検察当局はそれ相応な処置をとるということになろうかと存じます。
  86. 穐山篤

    穐山篤君 時間がありませんので、最後に二つまとめて申し上げたいと思うんです。  まあ、仮に昭和四十五年ないし七年ごろ、まあ当時、これは仮の話ですけれども、ダグラス社から代理店あるいはその他の人を通して日本の有力な政治家に贈収賄工作が行われたと、まあこういうふうに仮定をしますと、時間的に言えば公訴の時効がどうなるかということを一面では判断せざるを得ないわけですね。従来、ロッキード事件なんかを見ておりましても、受託収賄罪であるとかあるいは外為法違反というふうなことになるとするならばそれぞれ時効の時期に来てしまうと。まあ、口にチャックをすれば刑事事件としては成立をしないというふうなことになる。それから、まだ引き続いて六九年から現在に至っております百八十万ドルの問題については、これからの調査にまつ以外はないわけですけれども、これも時期について言うならば、時効の問題が考えられると思う。しかし、これは再三指摘をしますように、刑事責任の追及の対象になるならないということよりも、それを含めて政治家の政治責任あるいは商売人の商道徳というものが指摘をされなければならないと思うんですが、司法当局からこの辺の関係についてひとつお伺いします。  それから、私先ほど指摘をしましたように、ロッキード事件、これは単にロッキード問題だけでなくて、ダグラスの話というものが見えつ隠れつしていたわけです。したがって、これはまとめて一本という私は航空機事件じゃないかというふうに見るのが正しいと思う。そこで、まあ特別委員会の問題は国会自身の判断に立つわけですけれども、これは委員長にお願いをしますが、やはり大平新内閣に対しまして国民の世論というものを見てみますと、まずロッキード事件についてきちっとした節度を持ちなさいと、それが和の政治とかあるいは合意と信頼を得る前提条件だというふうに新聞でも指摘をしているわけですね。それは当然のことだと思うんです。そこで私は委員長にお願いするわけですが、少なくとも決算委員会の総意として、現に設置されておりますロッキード調査特別委員会というのは、単にロッキードでなくて、ダグラスも含めた幅広い航空機事件としてこれは取り上げるべきだと、またそれが国民の疑惑を晴らす一つの手段ではないかというふうに思いますんで、その点についてはひとつ理事会で十分に諮っていただきまして、私が申し上げたような方法がとられるように心から望むところであります。  もう時間も来ましたので、以上の点でお答えをいただきます。
  87. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 先ほども申し上げましたとおり、ただいまダグラス社の報告書等につきまして分析検討を行っておる段階でありまして、犯罪の成否自体について明確な御回答がいたしかねる段階にありますので、その時効完成の問題につきましても明確なお答えはいたしかねるわけでございますが、一般論として申し上げますならば、昭和四十六、七年ごろに事案が発生しておるということに相なりますれば、多くの犯罪はおおむね時効が完成しておるということになろうかと思います。  次に、時効完成した案件につきまして、検察当局はあくまでも刑事責任の追及ということでございますので、犯罪の捜査は原則として行わないということになりまして、それ以外の道義的あるいは政治的責任ということにつきましては、法務省、検察庁からあれこれ申し上げる立場にはないことも御理解いただきたいと思います。
  88. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいま穐山君から委員長に要望のありました件は、理事会で協議いたします。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 私、引き続きまして、ダグラス社の問題についてお尋ねをしたいと思います。  アメリカのSECが、航空機メーカーのダグラス社が世界十六カ国に一千八百万ドルという、こういう高額な金額を不正支払いをしたということが告発されて明確になったわけでございますが、その中で世界各国の高官の中に日本の高官も含まれているということが確実視されております。特に、いまロッキード問題も現在裁判中でございますが、こういうときにまた再びこういう問題が起きてきたということに対しまして、私はまず最初に、ロッキード事件を徹底解明をするという姿勢を示された三木総理と同じ志をされる森山運輸大臣に御出席していただいておりますし、本来ならば大平総理に御出席をと言いたいところでございますが、御出席できませんし、内閣を代表する官房長官も出席ができませんから、大平内閣を代表という形で運輸大臣に質問いたしますが、このSECの報告をどのように受けとめていらっしゃるのか、最初にお尋ねしたいと思います。
  90. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) いわゆるダグラス問題と言われるものの実態は、先ほど来の質疑応答の経過を見ましても実態はまだ必ずしも明確ではありません。が、しかし、現在ロッキード事件の裁判が進められている折でもございますし、こういうような報告に接して、仮に国民の疑惑をいささかでも招くようなことがあればまことに遺憾至極でございます。政府といたしましては、ぜひとも一この真相が究明されることを期待をいたしております。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま、国民に対して疑惑を持たれるようなことがあってはならないから真相を究明をしたいという、そういう姿勢でございますが、ロッキード事件裁判中でございますが、このSECの報告書というものは非常に信憑性が高い、そういうところから考えていきますれば、今回のダグラス社の問題につきましても、一九六九年から現在まで百八十万ドル近くの不正な金がわが国にも支払われていると、このことが報告書に出されておりますけれども、またロッキード事件のこういう経過を見ても十分予想される問題ではないかと思いますし、いま国民に疑惑を持たれてはならないから真相を究明したいということでございますが、私はこの問題もロッキード事件以上に重なった問題でありますし、徹底的に究明をすべきだと思うんですが、運輸大臣、さらにどうでしょうか。真相究明でなくて徹底的に、これが三木総理と志を同じくされた大臣のとるべき道ではないでしょうか。まして、これは航空行政に関係のある問題でありますし、以前の立場と違いまして、航空行政の立場からも徹底究明さすべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
  92. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 事件の究明は国民的関心事であると思われますから、この問題の究明に当たるべきことは当然でありまして、運輸省の立場といたしましても、本件、事態の推移を見守りつつ適切に対処してまいりたい、そういう心づもりでございます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 次にお尋ねいたしますが、ただいまダグラス社関係の航空機が日本の国にどういう形で入ってきたのかということで御質問されまして、機種、それから機数の総計だけをいま発表されましたが、もうちょっと詳しく、恐れ入りますけれども、防衛庁の方も、契約年度、年月日、それからその年月日の機数、それからそのときの単価、このように分けて御説明をしていただけませんでしょうか。  また、民間機の場合も、ダグラス社に限りまして年度別に何機購入されているのか、これも契約年度、それからその年度の機数、単価もお願いいたします。これは事前に通告してありますから、午前中のように通告をしてないのではございませんで、これは通告してありますから答えてください。
  94. 田中守男

    説明員(田中守男君) お答えいたします。  防衛庁が問題となっております一九六九年度以降購入いたしました航空機の機種等は次のとおりでございます。  F4EJにつきましてはライセンス国産をいたしております。契約相手方は三菱重工業株式会社で、契約年度といたしましては、第一次から第六次生産まで契約をいたしておるわけで、まず四十四年度におきましては三十四機、単価二十億四千万でございます。第二次生産は四十六年度契約いたしまして、機数は四十八機、二十億九千万、第三次生産は四十八年度二十四機で単価は二十三億二千万、第四次生産は五十年度に十二機でございまして、単価は三十三億八千万、第五次は五十一年度機数十機で単価三十四億四千万、第六次生産は五十二年度に十二機を単価三十七億八千万で契約いたしております。  次にRF4Eでございますが、これは日商岩井株式会社を通じましてマクダネル・ダグラス社製のものを商業輸入いたしたものでございまして、契約年度は四十七年度で十四機、単価は十九億九千万。  先ほど契約金額を申しおくれましたが、総金額二百七十八億二千万でございます。
  95. 松本操

    説明員(松本操君) お答え申し上げます。  DC8につきましては、四十四年の最初の受領は先ほど申し上げましたように三十五年の七月十七日に一番機が入ってきておりますので、非常にこれは古いので、ここら辺ちょっとわからない面がございます。四十四年からということで申し上げますと、契約は四十五年に六機、四十六年に五機で終わりでございます。受領いたしましたのが四十四年に三機、四十五年に五機、四十六年が六機、四十七年八機、四十八年二機、これでもう生産打ち切りの機材でございますので、その後はございません。それぞれの契約単価がどのようになっているかにつきましては、大変申しわけないのでございますが、ちょっと私の方、いまの時点で調べ切っておりません。  それからDC9につきましては、四十八年に八機、四十九年に六機、五十一年に四機、五十二年に四機、五十三年に五機、合計二十七機が発注ベースべとして載っておりまして、引き渡し受領いたしたのが四十八年度二機、四十九年度十一機、五十年度一機、五十二年度三機、五十三年度五機。これから先は全くの予定でございますが、五十四年度三機、五十五年度二機、こういうことになっております。DC9の購入価格につきましては、一機一機多少でこぼこがございますが、一番機を四十九年の三月十二日に取得をいたしまして、その時点におきます価格を米ドルで申し上げますと、五百九十二万七千ドルでございました。それが、いろいろとでこぼこがございますが、五十年の七月二十八日に受領いたしましたものにつきましては六百二十一万ドルになっております。多少値上がりをしておるようでございます。  それからDC10につきましては、四十九年度に六機、やや飛びまして五十二年度に三機契約をいたしておりまして、現在受領済みのものが五十一年度六機、五十三年度はまだ一機だけでございます。七機でございます。あと二機入ってくる予定になっております。この価格が一番機、五十一年四月九日に取得いたしました一番機の価格が二千七百九十四万五千ドルでございまして、五十一年の八月に入りましたものが二千九百八十五万八千ドルでございます。それから先のものはちょっと精算してございませんので、責任ある御返答を差し控えさしていただきます。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 いま年度ごとに機種を説明をしていただきましたが、そこで、真相解明ということをいま言われておりますけれども、これをるる考えてみますと、SECの報告によりますと、一九七〇年に販売促進資金として一万五千ドル、このうち一部が政府高官一人に渡されたと、こういう報告がされておりますし、コンサルタント料が七〇年に五万ドル、七一年に五万ドル、合計十万ドル、十一万五千ドル渡された時期が一九七〇年、昭和に直しますと昭和四十五年前後ということになるわけなんです。また、SECの報告書では、一九六九年ごろから百八十万ドルの不正な金が出されたとの報告もされておるわけなんです。そういうことから考えていきますれば、どういうことになるか。このSECの報告書によりますと、ダグラス社の取引と不正支払いの対象が、民間機にとどまらず、自衛隊機にも及ぶということが示唆されております。  このように考えていきますと、自衛隊が来年末に導入を決めました次期戦闘機のF15イーグル、六九年一月に導入が決定された現在の主力戦闘機のF4Eファントム、ここらあたりの関係を調べてみますと、昭和四十四年ないし四十五年、そのころにこういうような不正な金が出されていると。そしてどういう経過でこういうものが決められたかと言えば、四十三年の五月にFX候補としてF4E、これはダグラス社、それからCL一〇一〇、ロッキード社が挙げられておりまして、日商岩井のダグラス社、丸紅のロッキードの間で第二次FX戦争が起きております。そして四十三年の十一月に防衛庁はF4E採用を決定しております。四十四年の一月に国防会議でF4Eの採用を正式決定をしているわけなんです。このF4EJ、これは契約年度が四十五年の三月三十一日、いまずっと三十四機購入されてあと続いております。こういうことを考えていきますと、真相を解明しなくてはならないけれども、何となくこのようなダグラス社が不正なお金を支出している、SECの報告に載せられている時期とこの時期を考えていきますと、これは一応真相を究明する必要があるのではなかろうかと私は感ずる。これは私だけでなくして、いま森山運輸大臣が、国民に疑惑を持たすようなことがあっては相ならぬと、そのためにも真相を究明しなくちゃならないとおっしゃるけれども、このように日付をこう照らし合わしていったら、何となくこれは明らかにすべきものであると私はこのように思いますが、いかがでございましょうか。
  97. 田中守男

    説明員(田中守男君) 私どもといたしましては、先般来申し上げておりますように、F4及びF15につきまして問題はないと信じておる次第でございます。今般のマクダネル・ダグラス社問題に関連しましては、当面は米国における諸調査を見守りたいと存じております。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 私は信じております、こういうことをおっしゃいますが、これは真相解明になりませんよ。真実がどうであれ私は信じておると、これでは国民の疑惑にこたえたことになりません。ロッキード事件のときに、P3Cの問題がいま話になりましたけれども、P3Cの問題に対しまして防衛庁は真相解明のために独自の調査をおやりになった。だから私は、今回の場合もこの防衛庁独自の調査をやるべきではないか。ただ信じておりますと、そういうことであってはならぬ。ロッキード事件のときには独自調査をやって、今回はやらないのかと。やらないならやらないで、信じていますでなくして、こうこうこうですという裏づけを明確にしてもらいたいと思いますが、もし明確にされないならば、私は防衛庁として独自の調査をして、その調査結果をこの決算委員会報告をしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  99. 田中守男

    説明員(田中守男君) F4EJ及びF15につきましては、防衛上の見地及び技術上の見地、それから費用対効果の面を勘案しまして、防衛庁として最適であるという結論に達しまして、それぞれ国防会議の議を経て決定されております。したがいまして、当面調査の推移を当庁といたしましては見守るということでいく所存でございます。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 もう一度お尋ねしますけれども、ロッキード事件のときには、P3Cの場合は独自の調査をおやりになったでしょう、独自の調査を。今回の場合は、こういうようにいろんな装備の点からこれを選んだとおっしゃるけれども、SECの報告では、民間航空だけでなくして、自衛隊のそういうような購入にまでも及ぶということが示唆されているわけなんです。このことに対して、信じておるとか見守るじゃなくして、私は真相解明のためには独自の調査をやるべきだと思いますが、そうしなかったらほおかぶりということになりますよ。なぜ独自の調査ができないのか。それならば、こうこうこういう理由で信じているとおっしゃる、その中身を明確にしてもらいたいと思いますが、どうですか。間違いないという、そういう装備の点だけだという。それでなくて、SECの報告では自衛隊にも及んでいるということが言われているじゃありませんか。だから独自の調査をして、国民の前に疑惑を明らかにすべきだと思いますが、どうですか。
  101. 田中守男

    説明員(田中守男君) 米国の証券取引委員会報告書なるものは、マクダネル・ダグラス社の日本向けのF4EまたはF15につきましては何ら言及してはおりません。したがいまして、私どもは米国における調査を見守りたいという態度で臨みたいと思います。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、何ら言及してないとおっしゃるならば、民間航空機にとどまらず、自衛隊機にも及ぶという報告書になっておりますが、それならば、いずれの機種ですか。説明してください。
  103. 田中守男

    説明員(田中守男君) これは、報告書の内容につきましての解釈の問題でございますので、所管官庁である外務省にお答えしていただいた方が適当かと思います。私どもは特に言及はされていないというふうに思っております。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 外務省は来ていないですよ。――私はあなたに聞いているんですよ。だから、信じているとか、そういうことだけでは明確にならないし――外務省はいま来ておりません。  だから、運輸大臣、私、当初申し上げましたとおりに、運輸大臣でなく、大平内閣を代表してということを一番最初に申し上げたのはそのことなんですが、大臣は、一番最初に申されたことには、国民の疑惑を深めるようなことがあってはならないから、真相を究明しなくちゃならないとおっしゃったけれども、いろいろな点から疑惑があると、これは究明すべきだとおっしゃる最初大臣の受け取り方、決意は、これは防衛庁と省は違いますけれども、あなたの心情的決意はいかがでございますか。
  105. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 私の考えは、先ほど申し上げたとおりであります。防衛庁の関係につきましては、ただいまそういうお話がありましたことを防衛庁の長官に伝えまして、あなたの意のあるところを伝達しておきたいと、こう思います。
  106. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、大臣がそこまで、意のあるところをお伝えになるという、これまた意味深長なあれでございますが、伝えていただきたいと思います。  これで質問は次に移りますけれども、次に民間機の方へ質問を移したいと思いますが、航空界の再編成の問題とエアバス時代を控えまして、アメリカの航空機製造会社が日本の航空会社へエアバスの売り込みを始めたのが一九六三年ごろからでありますが、ボーイングは747、ダグラス社がDC10、それからロッキード社はトライスター、それぞれ売り込もうとしてわが国の政官界に必死の食い込みをやったわけなんですが、そういうような必死の売り込みの過程を通じて起きてきたのがロッキード事件ではないかと思います。そのロッキード事件も、醜い裏取引が行われまして刑事事件にまで発展をしてまいりました。だから、今回の、いまSECの報告になされている問題点というものは、ちょうどロッキード事件が発生している時期に――ロッキード事件は公になったけれども、ダグラスのこの問題は深く静かにこれは進んでいたと、このように見受けられるわけなんです。  私はこういうことから考えますと、ロッキード事件に見られますアメリカの航空会社の賄賂商法といいますか、アメリカのそういう商法というのは、ダグラス社もさほど変わりのないそういう商法をやっていると。また、そういうロッキード事件の推移から見ましても、私はこのことはおおむね予想される問題ではないかと思いますし、いま年月単位に私がお聞きしました件は、いま航空局長説明されましたとおりに、DC8が四十四年度に三機ということでございます。私のいただきました資料には四機になっておりますが、もらった資料の数字が違うということもこれは問題ですけれども、これはもうきょうは主題と違いますから――四十四年からこういうようなDC8の購入がなされている、こういうことを考えますと、いまの自衛隊機のF4Eファントムの問題等から考えましても、時期的に何となくはっきりしないなと、こう疑わざるを得ない、そういう感じがしてならない。だから、いま私申し上げたとおりに、自衛隊機の場合もそうであるし、民間機の場合もそうであるし、私は運輸大臣といたしまして、あのロッキード事件を追及された三木総理の流れを、そういう志を同じくする運輸大臣であるならば、この今回のダグラス社の問題も徹底的に究明する必要があるのではないかと思いますが、いかがでございましょう。
  107. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) ロッキード問題につきましてはいま訴訟が係属中であります。それからまた、ダグラス問題についてはアメリカ側の調査がこれから進行するわけでありますから、やはりこれらの訴訟及びアメリカ側の調査の進行というものを見ながら――ということは、いわゆるダクラス問題と言われるものの実態がまだ必ずしも明確でありませんが、ぜひともこの真相が究明されることを期待し、また航空行政の立場からも努力をいたしたいと、こう思っております。
  108. 田代富士男

    田代富士男君 大臣一つお尋ねしますが、これはSECの報告書の中に、ダグラス社は一九七〇年、日本での官営航空会社への売り込みに関して、一万五千ドルの販売援助費と五万ドルのコンサルタント料を支払ったと、この売り込みは結果的に失敗に終わったけれども、一万五千ドルのある部分政府高官に流れたと言われている、またコンサルタントは後に五万ドルのコンサルタント料を受け取ったと、このコンサルタントは政府または航空会社の当局者でなく、彼の手数料及びコンサルタント料から政府高官に支払いが行われた証拠はないと述べてありますけれども、ここで、一万五千ドルの販売援助費と五万ドルのコンサルタント料を支払った、それでこの売り込みは結果的に失敗に終わったと、こういうことを言っておりますが、これは日本での官営航空会社ということになりますが、日本での官営航空会社となりますと、どの航空会社でしょうか。
  109. 松本操

    説明員(松本操君) いま先生おっしゃいましたのは、このレポートの中の「Government-Ownedor Affiliated Foreign Airlines」という点を指して御指摘のことかと思いますが、これを文字どおりとりますと適切な言い方ではなくなってまいりますが、日本において国の関与している航空会社というふうな意味で申し上げれば、日本航空になります。
  110. 田代富士男

    田代富士男君 そうすると、日本航空への売り込みに関して、いま局長の話だったらば、これは日本での官営航空会社の日本航空売り込みに対して一万五千ドルの販売援助費と五万ドルのコンサルタント料を支払ったけれども、売り込みは結果的に失敗に終わったと。そうすると、いまいろいろうわさされておりますが、一九七〇年ごろの日航の社長は亡くなられた松尾さんだったと思うんです。そのころは、最初、ダグラスの機種を購入するように日本航空の方針としてなされていた。それがボーイングに変わったと。その結果、ダグラス社として機種を入れるようになっていたのが、ボーイングに取られてしまったから、これは結果的に失敗に終わったということになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか、御意見を聞かしてください。
  111. 松本操

    説明員(松本操君) いま先生御指摘のことについては、ロッキード事件の真相に関するいろいろの議論が行われておりました時点において、いまおっしゃいましたような話があったことは私も十分に承知をいたしております。ただ、私どもの方の調査いたし得る限度から見てまいりますと、仰せのようなことが果たしてあったのかどうか、その時点においては何らの手続がわが方にもなされておりませんし、そういったような商取引があったかどうかという点について、これをつまびらかにすることは必ずしもできないわけでございます。したがいまして、ここに書いてありますことがそれと直接的に結びつくのかどうかということは、これはそういううわさがあると、こういうふうな言い方になっておりますので、またダグラス社としてはそれがまだ確認できないというふうな言い方もしておりますので、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、米国における今後の推移というものを十分に注目しながら、それに対応して適切な手を打つというふうなことでお答えをするようにしてまいるべきかと考えております。
  112. 田代富士男

    田代富士男君 何でも米国の推移を見てと、それでは通らないと思うのですよ。だから、米国だけでなくして、わが国で独自で真相究明しようという姿勢がなくちゃならないと思いますよ。  だから、こういうような何らかのそういう働きかけがあったという一つの見方ができることは、ロッキード事件の全日空ルートの裁判が行われておりますが、第七十九回の公判が十二月の十八日に行われておりますが、このときに全日空の藤原被告に対する弁護側の被告人質問が行われました。この中で藤原被告は、全日空がトライスターに機種決定をする直前の四十七年十月中旬ごろ、ダグラス社の日本における販売窓口である三井物産の部長たちが、売り込みのために裏金やリベートなどを出すことを示唆したとも受け取られる、そういう申し出をした事実が一応語られておりますが、それはさきにSECが公表しましたダグラス社の対日不正支払い資料と関連してこれは注目されるものではないかと思うわけなんです。  だから、これはただ単にそういうことはなかったということでなくして、具体的にいろいろなことが出ているじゃありませんか。三井物産側が、この藤原被告の話の内容では、DC10はどうでしょうかと尋ねたけれども、藤原被告は騒音の面で不利でしょうと回答している。そうすると三井物産側は、どんなことでもするから何かアドバイスをしてほしいと求めてきたことを明らかにしている。藤原被告は、この話について、裏金、リベートの問題も含めて、金の問題を示唆されたのではないかと当時思ったというようなことも話されておりますけれども、こういうことから考えてみますれば、米国のSECが不正支払いで告発しました時期がありますけれども、何らかのこういうものがなされた。これは米国側の調査だけでなくして、このようにいろいろな点から明らかにされておりますから、大臣が、裁判中であるし、調査を見ながら究明をしていくと、この立場はわかりますけれども運輸大臣として、航空行政の責任を持つ大臣として、こういうこれらの動きから、アメリカ側の動きだけにとらわれず、運輸省として独自の調査をやって真相解明すべきだと私は思いますが、大臣いかがですか。
  113. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 独自のというお話でございますが、現に訴訟が進行中でございますし、またアメリカ側の調査もこれから進んでいくわけでございますから、やはりそれと切り離して当方だけで独自にというには限界があることだけはどうかひとつ御了承願いたいと思います。
  114. 田代富士男

    田代富士男君 これ以上お聞きしましても、限界があると、そういうことを出されますと何ですけれども、しかし、大臣限界はわかりますけれども、その限界の範囲内においても独自の調査をやる意思はないのですか、あるのですか、限界の範囲内で。
  115. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 御趣旨の線に沿ってできるだけ努力いたします。
  116. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、その結果を当委員会報告をしていただきたいことをお願いいたしますが、いかがでございましょうか、報告されますか。
  117. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) これから努力した結果によって御報告できる段階が来るかもしれませんし、あるいはそこまでの確信を持った、公の席において御報告申し上げるような確信を持った段階に来るか、その点はちょっといまの段階においては申しかねます。
  118. 田代富士男

    田代富士男君 いまもるるいろいろアメリカの捜査進展によってというような話がありますが、SECの報告書では、対日支払い百八十万ドルについてダグラス社は特別委員会での再調査を要請をしておりますけれども、支払いが正当で適切であるかどうかの証明は、ダグラス社とともに当然わが国の企業にも責任が負わされるはずではないかと、私はこのように確信をしておりますが、この犯罪捜査の日米司法共助はロッキード事件を通しましていまや定着をしたと見てもよいのではないかと思いますし、そういうところから、近く発効予定の日米犯罪人引き渡し新条約では、その適用範囲が汚職や脱税、国際金融犯罪にまで広げられておりますけれども、こういう意味から、捜査当局は全力を挙げてこういうような不正な支払いが行われた真相解明に取り組むべきだと思いますけれども、法務省の立場としていかがでございましょうか。
  119. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) この問題につきましては、先ほども答弁申し上げましたとおり、現在関係資料の点検、検討等を行っている段階でございますが、仮に何らかの犯罪の容疑が認められますれば、検察当局におきましても、ロッキード事件を解明したと同様の気魄と熱意を持って真相の解明に当たるということになろうかと存じます。
  120. 田代富士男

    田代富士男君 最後に運輸大臣にお尋ねしますが、この問題は日本の航空行政、そういうものがしっかりしているならば、アメリカの公文書によってたびたびこういうように紛動されている――ロッキード事件で起きた、ダグラス社でやられた、今度はボーイングのこういう調子ならば出てこないとは言えませんですよ。これはどこに原因があるのかと言えば、国内の航空行政の不手際。これががっちりしたものであるならば、そういうものにも紛動されないようながっちりしたものであるならば、こういうことは起きないと思うわけなんです。だから私は、そういうようにこの事件を通じて航空行政をいかにすべきかということを反省をして取り組むべきだと思いますけれども、最後に運輸大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  121. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 民間航空の機種決定に対しまして、特定の機種について介入するということは、行政指導の範囲をはなはだしく逸脱するものであってやるべきでないという従来の一貫した方針であります。それはいかなる機種を選ぶかということは、非常にいい機種を選べばその事業はうんと伸びますし、また悪い機種を選べば非常に損失を重ねるということにもなりまして、場合によっては企業の命運を左右するというようなことになりますから、その選定は常に企業の立場で企業として最善の努力が払わるべきものでありまして、これに航空当局が関与するということは適当でないし、そういう観点からいままでやってこなかったということであります。その過程においていままで起きた問題でございますので、こういう問題が起きたことははなはだ遺憾なことでありますが、従来はそういう考え方で臨んでおるわけでありますし、今後もそういう態度をもって臨むつもりであります。公正に機種の選定が企業独自の立場において行わるべきものであるという前提の上に立ってそういうことを考えておるわけでございますから、どうか私どもの立場につきましても御了承をお願いしたいと思います。
  122. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、質問を航空運賃の問題に移したいと思います。  最初に、航空法上の運賃について、また定期航空事業者、国内あるいは外国人のその代理人についていかなる事態になっているのか、また立法趣旨は何であるか、そこらあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  123. 松本操

    説明員(松本操君) わが国におきましては、単に航空輸送のみならず、ほとんどすべての運送事業につきまして運賃は認可制をとっております。これは、適切な運賃が設定されることによって旅客公衆の利便が確保され、不当な荷重を課することがない、あるいは不当な競争がそこで行われることがない、あるいは不当な利益を企業の側においてむさぼることがないということを担保するためでございます。  それから、国際運送事業につきましては、一国のみではなく、相手国も絡まってまいりますので事態は複雑ではございますが、航空法上の措置といたしましては運賃は同じく認可にかけてございますし、また、ほとんどすべての国におきまして国際航空運賃というものはそれぞれの国の政府の認可を受けて初めて発効する、こういう形になっておるわけでございます。
  124. 田代富士男

    田代富士男君 そこで一つお尋ねしますが、これは現実の話ですが、現在東京のある代理店ですが、この代理店で外国行きの航空券を大変安く販売している。たとえば、東京からパリに行きたいとき、ソウル-東京-パリの航空券を買いますとどのくらいの金額になるのか。東京からパリを日本で買った金額と、ソウル-東京-パリの航空券をソウルで、ソウル-パリ間を買った場合に手数料が一〇%取られますけれども、その手数料を上乗せいたしましても十万九千百八十円ほど安くなる。これと同じように、東京-ニューヨーク間、これは往復で四十万三千円でいま日本の国内の代理店では発売されている。それがソウル-東京-ニューヨークと往復航空券を買いますと二十七万円で行ける。実に十三万円近くの差額がある。また、東京-ブラジルのリオをファーストクラスで行った場合と、ソウル-東京-リオとファーストクラスで行った場合は三十万円以上の違いが出ると。まあ円高ドル安の為替格差に目をつけた代理店が、外国の旅行業者から安いドルで航空券を購入してもらい、これをお客に手数料一〇%かけて売っておりますけれども、いま私が最初にお聞きいたしました規定に基づいてこの問題を航空法上どのようにとらえていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  125. 松本操

    説明員(松本操君) 国際航空運賃はすべて現在発地国の通貨建てになっております。したがいまして、いま御指摘のございました東京発の運賃であるといたしまするならば、これは円建ての運賃が正当の運賃でございまして、それが認可の対象になっておるわけでございます。したがいまして、何者かが、外国で発行され、外国発日本経由というふうな形の航空券を入手いたしまして、その前段の部分を使用しないで東京発の部分のみを用いると、そういうふうな形をして旅行しようとする場合に、それを知りつつ航空会社がその運送を引き受けたと、こういうことに相なったといたしますと、認可を受けた運賃でない運賃をもって旅客の運送を行ったと、こういうことになりますので、これは明らかに違法行為であるというふうに考えるべきかと存じます。また、そのような航空券を、たとえば航空代理店がそういったようなことをいたします場合には、単に航空法の違反ということだけではございませんで、もしその輸入したそういった航空券を違法な方法で旅客に使用させるということを十分承知の上で売ったということになりますと、これは旅行業法にも抵触するのではないかと、このように考えております。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 これは局長、意見の違いになるかと思いますけれども、私はこれはもう端的にこれそのものを航空法違反で取り締まれば済むという問題ではないと思うんですね。これはまだ政府としても、運輸省としてもこれを避ける道はあるわけなんです。それを努力せずに、これだけをただ単に違反だと、そういうことは私はよくないと思いますよ、これは。だから、大衆側からするならば安い方がよいに決まっていますもの、それはニューヨークに行くにしましても十三万円安いんですよ、往復するだけでも。また、世界の航空業界の動きはそういう方向に、大衆に安くという、低運賃でという方向に流れてきていますから、ただ単なる違反ときめつけてはならないと思うんです。  そこで、いま実勢の為替レートに対して航空運賃基本となっているのは、IATAで取り決められたレートの関係ではないかと思うわけなんですが、私が説明するまでもなく、IATAで決められました一FCU、これは米ドルで一ドル五セント、日本円で二百九十六円、英国は〇・三八ポンド、西ドイツは三・二五マルク、いつまでもこれは変更されないのか、ここらあたりを検討をする努力というものをなされるべきではないかと思うのですけれども、どうでございましょうか。ここらあたりの問題をもうちょっと説明をしていただきたいと思いますが。
  127. 松本操

    説明員(松本操君) いま先生おっしゃいますように、航空法の違反であるということは、法解釈を私申し上げたのでございまして、であるから、直ちにそれを執行すべきであるというふうには私ども実はいまのところ考えておりません。と申しますのは、やはり、旅行します国民一般にとりました場合に、そこに明らかに為替の換算率から生ずる問題ではございますけれども方向別の運賃格差というものが現存しております関係があるわけでございますので、それを捨ておいて、単に法律上の理屈だけをこねるというのは妥当、適切とは必ずしも申せない、これは私もそう思います。  そこで、それを改定する方向といたしましては、実は自動的にそういうふうな措置をとる仕掛けというものは一応IATAの合意の中には組み込まれておるわけでございまして、通貨が片っ方で切り下げられた場合、切り下げられました通貨による運賃についてはサーチャージをかける、切り上げられました通貨につきましては、当然のことながらディスカウントをする、こういうふうな形で、為替が変動いたしました場合、その変動部分を多少の後追いはありながらも修正をするというふうなことば一つのルールとしてできておるわけでございまして、現に日本とヨーロッパの間ではもうすでに数次にわたってこの調整の作用を働かせてきておるわけでございます。完全に為替による方向別格差が解消したというところまでは遺憾ながらいっておりませんけれども、しかし、一方、日米間の運賃につきましては、遺憾ながらまだそのメカニズムが動かないという問題がございます。したがいまして、いわゆるノーマルフェアと申しますか、通常の基準になるべき運賃というもののみをとらえてみました場合には、残念ながら日米間にはかなりの格差が存在し、日欧間にもなお多少の格差が残っておると言わざるを得ませんので、これはFCUそのものを動かすということよりも、むしろせっかく用意されておりますそういった為替変動に対応するメカニズムを積極的に動かすということを念頭に置きまして私ども日本航空を指導しておりますし、日本航空もIATAの場においてせっかく努力をしておるというのが実情でございます。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 そこで旅行客へのサービスの一環として、日航の朝田社長が記者会見等でも申していらっしゃいますが、アペックス運賃導入でございますけれども、これに対しましても検討をしてあげるべきではないかと思いますけれども、この問題に対する見解はいかがでございましょうか。
  129. 松本操

    説明員(松本操君) いまおっしゃいましたアペックス運賃と言いますのは、個人の運賃でございますが、一定の制限は課しますものの、おおむね三五%引き程度の運賃を提供しようという考え方でございます。これにつきましては、私どもとして旅客の需要に対応して、いま先ほどお答え申し上げましたように、基本的な運賃というものを動かすことが困難であるとするならば、むしろ各種のそういった運賃の仕組みというものを豊富に用意することによって、旅客の選択性向に対応して適切な低運賃が提供されるようにすべきであるということで、アペックスにつきましては、むしろ私どもは推進の立場をとっておるつもりでございます。十月の某日行われましたIATAの会議において、日航からアペックスの提案を積極的にさせたわけでございますが、残念ながら米国と日本との間の、先ほどちょっと触れましたサーチャージとディスカウントに関する議論が先行いたしましたために、議論がこんがらがってついに成立をいたしませんでしたけれども、その後IATAの方法で何らか詰めをすることができないだろうかということで、最後の詰めをいま日航としてはやっております。私どもの期待といたしましては、年明け早々ぐらいにこのアペックスを何とか前向きの結論を出して正規の仕組みの中に入れていくことができるのではないか、このように期待をしております。
  130. 田代富士男

    田代富士男君 まあIATAの会議提出されたけれども、日米航空問題はこれはまた大きな問題がありますが、きょうは時間がありませんからこれは触れませんけれども、これがまだ実現できないというならば、朝田社長が運賃のディスカウントを考えていくというようなことも言っていらっしゃいますけれども、こういうところにも全面的に協力をさしてあげるべきではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  131. 松本操

    説明員(松本操君) アペックスにつきましては、もちろん、先ほどお答えいたしましたように、来年早々にも何らか積極的な答えが出ることを期待しておりますが、さらにそれのみに限りませず、団体、個人いずれをも問わず、積極的に各種の割引運賃を導入していくという方向について私どもの方としてはいま真剣に日航の方に検討さしております。きわめて近い時点で日航の成案を得、私どもはその推進方を図るようにしてまいりたい、このように考えております。
  132. 田代富士男

    田代富士男君 時間もありませんから、航空局関係は結構でございます。どうもありがとうございました。  じゃ次に国鉄の問題に移りたいと思いますが、先日森山運輸大臣大臣に就任されまして、運輸委員会におきまして所信表明をされました。その中に国鉄再建に対する決意をお述べになっていらっしゃいますけれども、特に国鉄再建に対して、ここではあいさつですから簡単に述べていらっしゃいますけれども、決意をお聞かせいただきたいと思います。
  133. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 過去におきまして国鉄再建対策がその所期の成果を上げることができず、数回にわたって再建計画を策定することに至ったのは、その間オイルショックを初めとする予想を上回る諸物価の高騰の影響を直接受けるとともに、これらの経費増に対応して適時適切に運賃改定が実施できなかったこと等があるものと考えられますが、さらに経済社会構造の変化に伴う輸送構造の変化に対しまして国鉄自体が適切に対応し得なかったことも大きな原因だと考えられます。しかし、要は、このような経験を踏まえまして、今後有効な再建対策を樹立し、これを確実に実施していくということが重要であると考えております。
  134. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、私は特に歴代運輸大臣の中で森山運輸大臣にお願いしたいことがあります。それはいまここに私その代表的なものを持っておりますが、国鉄財政再建に関するいろいろな基本方針とか、閣議了解事項だとか、いろいろなもの、私の会館の戸だなにはうんとこれまだありますけれども、これがどれ一つ生かされたものがあるのか、次から次にいろんな財政再建のための基本事項が出されておりますけれども、どのように生かされているのか。これは、私は、じゃ何のためにこれをつくるのか、生かされていない。だから、ここらあたりで森山運輸大臣がいままでのそういうものを総括をされまして、どのように生かしていくのか、また、どうしてこういうものが生かされてこなかったのか、そこらあたりを総括をして、明確に生かすようにしていただきたいと思いますが、この点いかがでございましょうか。大臣就任早々で申しわけございませんですが、まず、これが余り生かされていない。この点、局長も見えておりますけれども、いかがでございましょうか。そして大臣の決意をお聞かせいただきたいと思いますが。
  135. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 昨年の十二月に閣議了解されました日本国有鉄道再建基本方針、御承知のとおりの方針は、国鉄をめぐる著しい環境変化運賃改定方式の弾力化という新しい条件が出てまいりましたから、今後の国鉄再建についての基本的な方向づけを行うためにこの方針が策定をされたわけであります。昭和五十三年度及び五十四年度中に国鉄経営の見直しと体質改善のための具体的な対策を確立をいたしまして、これを基盤に昭和五十年代に収支均衡を達成するような万全の努力をしたいと考えております。もとより非常にむずかしい問題がたくさんあります。しかし、昨年十二月のこの基本方針に沿いまして、相当思い切ったやり方でこの方針の実現に努力をいたすつもりでございます。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 もう質問の時間の締め切りが参っておりますから、要点だけお尋ねしてまいりますが、御承知のとおりに、財政再建の三本柱がございます。政府の助成、運賃の値上げ、それから国鉄企業努力とありますけれども、特に私は、この企業努力に対して国鉄としてどのように努力をされているのか、ちょっとこの点まとめて御説明を願いたいと思います。
  137. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 企業努力と申します場合に、きわめて大ざっばに申しますと、どのようにして収入を上げるか、お客様にほどほどの運賃で乗っていただいて、そして国鉄としてどのようにして収入を確保するかというのが一つの問題でございます。この点につきましては、最近、自動車あるいは飛行機というような競争輸送機関が大変国民の間から選ばれるという状況になってきておりますから、近年、旅客の面におきまして収入確保をすることが非常にむずかしいという状態になっておりますし、貨物につきましても、トラックとか内航海運とかの競争が激しくなっておりますので、そうした中でどのようにして増収に努めるかというのは、口では申しましてもなかなか容易でない問題でございます。  もう一つの要素は、当然に経費をどのようにして節するかということでございますが、鉄道というシステムはかなり古いシステムでございますし、また、戦後余り投資を、新幹線を除きましては十分なる投資をいたしておりません関係で、私ども国鉄の場合には経営的に必ずしも有利でないシステムになっておるわけでございまして、したがいまして、総経費中の人件費比率が七割前後ということで非常に高くなっております。御承知のように、最近に至りまして急激に人件費の水準が上がりました結果経費増を来しておるわけでございますので、他にもいろいろやらなければならぬことはございますけれども、やはりいかにして人件費を節していくかということが必要であろうかと思っております。  その努力が、重ねているつもりではございますが、なお不十分でございまして、なかなか御期待に沿うような経営改善ができないでおるわけでございます。本年の十月一日からのダイヤ改正によりまして、主として貨物輸送方につきましていろいろ手直しをいたしましたのも、こうした能率化、人件費の節減のための努力というつもりでやっておるわけでございますが、まあいままでに比べますればいささかその方向に進みましたけれども経営全体としてはまだ不十分だということを私どもは考えておる次第でございまして、方向はそういうことだと思いますので、これを今後具体的にどのようにして進めていくかという、実際にそれを実行するということに全力を上げていかなければならぬという覚悟でおります。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 まあ総裁がおっしゃるとおりに、総裁が何とか再建の情熱を傾けていらっしゃることに対しては私も同感でございますけれども、いまは、十月ダイヤ改正と同時に貨物のこういう輸送の能率化を図ると、こういうことを申していらっしゃいますけれども、この経営改善にかかる投資設備等の建設状況あるいは力働状況及び投資の効果についてどうなっているのか。いまおっしゃるとおりに、国鉄では貨物の近代化を図って、これこそまあ最大の課題であるとしていらっしゃいますけれども会計検査院報告によりますと、一番目の眼目でありました貨物の近代化に対しまして、貨物関係等の施設、設備の建設工事が計画に比べて著しく遅延していたり、完成した施設、設備がきわめて非効率に使用されているものとして、一千四百五十七億三千七百九十三万円指摘されているわけなんです。また配備された機械、装置が全く使用されていなかったり、きわめて非効率に使用されているものとして百二十四億七千二百五十一万円指摘されている。この会計検査院指摘された金額は合計いたしますと千五百八十二億一千四十四万円、膨大な金額に上りまして、これらの投資額にかかる利息というものは累計の推算額で約四百三十二億円にも達すると、こういうようなことが指摘されておるわけなんですけれども、私はいま総裁再建に傾けられる情熱、貨物の近代化を何とかしてその赤字のあれを断とうとされる中にあってこれだけのものが検査院から指摘されていることに対しましては、これは一方では近代化をと言いながら、こういうものはいかにチェックされているのか。しかしそれは近代化という名目だけであって、出先はどうなっているのかと、国民の皆さんがこの実態を知ったならば納得できないと思うんですけれども、ここらあたりはやはり監督官庁としましての運輸省といたしましてもこれはちゃんと指導すべきだと思いますけれども、鉄監局長いかがでございましょうか。
  139. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) ただいま先生御指摘の五十二年度の決算に関する国鉄への会計検査院の特記事項につきましては、先般運輸大臣の方にも送付がありまして、現在これに対する国鉄の対応ぶりというものを国鉄に対しまして照会中であります。私どもといたしましても、国鉄の対応ぶりとともに、監督官庁の立場としてどう対処するかということを早急に検討いたしたいと考えております。  なお、御指摘の問題の中に、建設仮勘定、たとえば東北新幹線の建設仮勘定、これは膨大な金額に上っております。こういう点が含まれておりますので、そういう点につきましては、さらに国民の理解を十分に得るように国鉄としても努力すべきではないかと、かように存じております。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 こういう企業努力の中で、やはり収入をふやしていくということにこれは力を注がなくちゃならないと思いますが、その乗客をふやし、収入をふやす一つといたしまして、現在和歌山県で紀勢線を中心に行われております紀州路キャンペーンプレゼントというような、そういうものが行われておりますけれども、この企画の概要と国鉄との関係、また国鉄が力を入れている理由というものを御説明願いたいと思います。
  141. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 紀州路のキャンペーンでございますが、この十月に五十三年のダイヤ改正と同時に紀勢線の電化が完成をいたしまして、その際に特急の増発等によりましてサービスの改善をいたしたわけでありますが、それにつきまして、ぜひこの際国鉄としても増収の効果を上げたいということで、かねてからそういった増収のことを考えておったわけですが、地元の和歌山県としても、この電化を非常に喜ばれまして、国鉄と同時に和歌山県あるいは県下の市町村の観光協会であるとかあるいは旅館組合というようなところが一緒になりまして、紀州路キャンペーン推進会というものを構成しまして、いろいろな誘致策を検討したわけであります。その中には、自分で何かの企画といいますか、行事に参加するやり方と、それからもう一つは、抽せんによってプレゼントをいただくということで、その両様でやったわけですが、いまそういうふうなことでかなりお客さんの方も多くなっておるように聞いておりますんで、このキャンペーンだけではなくて、いろいろなサービスを通じてわれわれとしてはぜひ増収効果を上げたいということでやっておるわけでございます。
  142. 田代富士男

    田代富士男君 そこで収入効果を上げるということはよろしいです。で、紀州路のキャンペーンプレゼントの内容は、ここに景品が、十四項目ぐらい書いた景品がありますが、その中のAの四に――ちょうどこれが列車の中にこのポスターが張られてあるわけなんです、紀州路のキャンペーンの。この中に何をあげます、何をあげますと、マグロももらえるようになっている。これマグロを差し上げますよと。いろいろこういうものを差し上げます、こういうものを差し上げますという、これは結構なことですけれども、このAの四が、ちょうどここになります。ライオンの赤ちゃんあげちゃいます、ライオンの赤ちゃんを。これどうですか皆さん。ライオンの赤ちゃんを景品にするということは、私はこの決算委員会で、ことしの四月の二十四日、自治省と警察庁の関係で、この猛獣ペットによりますところの被害が最近続出しております、家庭で猛獣を飼っているために。食べ物をやりに行ったところ、首をちぎられたと、いろいろな事故が起きている。こういう事故を取り締まるべきである、取り締まる方向に行きますというときに、こういうライオンの赤ちゃんを差し上げますということなんですね。これどう思われますか。これ国鉄として協力するのはいいんですけれども、ライオンのことを研究されたことありますか。いまはライオンの赤ちゃんはネコの値段よりも安いんですよ。そしてライオンは――私もライオンを余り知らなかった。いろいろ研究してみました。ライオンは三カ月間親の乳で育つんです。三カ月以後は肉を食べるようになるんです。そうして一年以上たちますと、もうライオンは家庭では飼うことができないくらいになってしまう。そして犬やネコと違いまして、ライオンの繁殖率は高いですな、私もびっくりしました。要するに一年で三回お産をするそうです、ライオンは。それで、年間三回お産しますと、大体十頭から十五頭になる、一頭が。だからいまでは血統つきのああいう犬やネコよりもライオンは安いということになる。それは金額よりも、家庭でライオンは飼えません。猛獣ペットの被害が起きたために取り締まるべきであるとやった。それなのに収入のためにライオンを差し上げますという、これは私はライオンを研究されたのかどうかわかりませんけれども総裁として私はそこまで関知しませんでしたとおっしゃるかわかりませんけれども、これはよくないと思いますけれどもどうでしょうか。それともライオンはよいのかどうか。総裁、いかがでございましょうか。
  143. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) いまお話がございましたんですが、このポスターと同時にチラシがございまして、確かにそのポスターに、上げてしまうようなことを書いてあるのは若干軽率といいますか、勇み足的なところがあったわけなんでありますが、このプレゼントは抽せんでいろいろ十項目ほどありますんですが、この中に白浜にサファリがございまして、その白浜の温泉の招待の券がありまして、その当せんされた方を招待しますと、もう一回その中から一名の人に対してライオンの赤ちゃんを進呈したらどうかと。その進呈の仕方でありますが、そこの表現は別といたしまして、実はここに紀州路のキャンペーンのための「旅の手帖」というものの臨時増刊がございまして、そこの下の方に、それをひとつお読みいただきたいということは書いてあるわけなんですが、その中に、「名付け親になってもらい、自分で育ててもいいし、サファリが里親になり時々会いに行くのもよし」、どちらかということでありますが、いま先生の方からお話がありましたように、最近非常にペットの危害があるとか、あるいは府県によりましてその取り締まりの条例といいますか、そういったものができつつあるということで、かなりそういった危険な動物に対しての手当がなされつつあるというような実態もありますも一のですから、われわれとしてはその辺を参照しながら、できるだけ名づけ親になってもらって、それでそこのサファリの無料入場券といいますか、そういったものでときどき会いに行ってもらうようにしたらどうかということで、実際に当せんなすった人に実際のいろんな能力その他を見てやろうかなというふうに思ったわけなんですが、この辺がちょっと表現上まことに、上げてしまいますというふうな表現になってしまったのはまことに遺憾であるというふうに考えます。
  144. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私も詳しい事情は知りませんでしたけれども、いろいろ先般もちょっと新聞にそういう記事が出ましたので初めて詳しく知ったわけでございますが、きわめて不適当といいますか、うまくないやり方だと思います。  改善をいたしたいと考えております。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 それで総裁、改善をしていただくということですから、じゃ、これはライオンの赤ちゃんは上げないということでこれはもう改善ですな。  上げたら大変ですよ、食餌代だけでも。上野の動物園に聞いてみました。これもう大変なことです、ライオンのおかげで。しかし、上野には動物がたくさんおりますから、大量に買い付けるわけなんです。それでもライオンの食餌の肉代だけでも一日に二千円弱かかるんですよ。そうしたら一ヵ月どのくらいになります。これは一年たったらどないなります。赤ちゃんがそんなものですよ。だから、これは国鉄からライオンをもらっても、自分の食事でもあっぷあっぷしているのにライオンの食餌に一日二千円かかったらどないなります、これは。  だから近代化、近代化とおっしゃるけれども、これは近代化どころか、国民を、乗客を苦しめることにもなると。  そういうことで、改善をされるということでございますから、私はこれをつぶす意味はありませんけれども、もっとお客さんに喜んでいただけるように、いまおっしゃるように、名づけ親ならば名づけ親というようなことで迷惑をかけないような、そして収入がふえるし、その地域の発展のためにも、またそういう地域の皆さんにも喜んでいただけるようなそういうキャンペーンを張られまして推進をしていただくようにお願いをしたいと思いますが、最後に総裁の御決意をお聞きしまして私の質問を終わります。
  146. 高木文雄

    説明員高木文雄君) はなはだまずいことでございまして申しわけないと思っております。早速、いまお答えありましたように名づけ親になっていただくとか、そういうことでうまく皆さんに喜んでいただけるようにいたしたいと思います。
  147. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、最初にダグラス社にかかわる問題についてお伺いをしたいと思います。  従来から疑惑が持たれておりました、ダグラス社の海外秘密支払いの件を追及しておりましたアメリカの証券取引委員会報告が十二月十五日に公表されました。その中に日本関係も含まれているということが報道されまして、非常に重大問題になっておるわけでございます。  この件につきましては、実は私ごとしの四月の十日の本決算委員会で取り上げまして、外務大臣を初め運輸省、防衛庁の見解をお聞きしておりました。そのときは、まだわが国の政府高官に秘密支払いの金が流れたかどうかということが明確になっていなかった。しかし、ロッキード裁判の冒頭陳述等でその疑惑が濃厚だという点で指摘をし、調査を要請をしておりました。  そこで、前回の質問との関係で、まず防衛庁の見解をお聞きをしたいわけです。  四月の十日の本委員会で、防衛庁の装備局航空機課長の筒井良三さんという方が答えておられるわけですが、どう言うて答えておるかというと、私が、「防衛庁としてはこの問題については調査をなさいましたか。」ということを聞きますと、筒井課長は、私どもはすでに了知しておりました、なおかつ今回の報道に伴って、そのようなことがあるのかどうかということで会社に再度確認をいたしましたけれども、マクダネル社は防衛庁のこの調達に関しては全く関係がないということを言っておりますと。もう一つは、ダグラス社が、各社とも毎年年次報告、アニュアルレポートなるものを出しておる、これによると、軍用機ではなくて民間機の売り込みに関して、約二百五十万ドルのコミッションが外国政府職員もしくは政府の所有するエアライン関係に支払われたということになっていると。そこで、「私どものF15、特にわが国向けの戦闘機F15Jに関しましてはいささかの問題もないと確信している次第でございます」、こういうふうにお答えになっておるわけでございます。  ところが、今回のSECの報告書によりますと、ダグラス社の報告書は経理報告に虚偽の記載があるとしてSECが調査をして今日の報告が出されているわけでございます。  ところが、この同じダグラス社の事業報告をもってして、これは筒井課長の言を簡潔に言うと、もう一遍言いますと、ダグラス社に再確認をしてみたけれども全く関係ないとダグラス社が言うている。それから、アニュアルレポートによると、二百五十万ドルのコミッションは軍用機ではなくて民間機だ。したがって、わが国向けの戦闘機にはいささかも問題がないと確信をしていると、こういうお答えになっておるわけでございます。  ところが、今回のSECの報告によりまして、防衛庁の確信というのは全く崩れたということになっております。全くいいかげんな答弁だと思うわけでございます。先ほども答弁の中で、わが国の軍用機は関係ないなどと言っておられましたけれども、防衛庁はSECの報告書をまともに読んでいないんじゃないかと思う、あれは。実に国民を愚弄するようなことを平気で言っておる。大体一機百億円もするような軍用機を百台も買うというのでしょう。それは国民の税金ですよ。そういう重大な取引が、重大な疑惑が提起をされているというときに、本気でこれを調査し対処するという態度をとるべきだと思う。大体、大根百本買うのとわけが違うんですよ、航空機の、特に戦闘機を百機も買うというような問題は。それをそういう答弁をしておるんだけれども、これは改めて再調査をするべきだと思うんですが、どうですか。
  148. 田中守男

    説明員(田中守男君) お答えいたします。  アメリカの証券取引委員会の申し立てとダクラス社が連邦地方裁判所に提出いたしました報告書につきまして、内容は存じておりますが、F15等につきましては問題はないと思っております。ただ、いずれにしましても、今後の調査の結果を見守りたいというのが私ども考え方でございます。
  149. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は防衛庁に限らず、わが国の官僚の方々というのは非常に能力は高いと思うんですよ。どうしてそういうことがぬけぬけ言えるかというのは、報告書をまともに読んでいないと思う。現に軍用機、しかも日本向けの軍用機も関係があるということが述べられていて、わざわざ、これは第三部、その他の措置という項、つまり軍用機関係のところでわざわざ注書きが書かれているんです、日本関係について。ここで言う百八十万ドルの中には、ダグラス社の日本での製造工場への支払い、あるいは航空機以外の製品の手数料や事務経費、償還費などは一切含まれていないと。だから、日本での製造工場ということになれば、当然ライセンス生産をしているのは軍用機しかないんですよ。わざわざ注書きをしてあるということは、その製造工場の関係の工場には出してないけれども、出してないんだということは、逆にそれ以外のところに出ているんだということのわざわざの注書きなんですよ。こういう報告をまともに読めば、いや、わが国は軍用機は関係ございませんなどということを平気で言えるというふうなずさんな考え方というのは許されないですよ。防衛庁、そんな考え方じゃ困りますよ。はっきりしなさい。
  150. 田中守男

    説明員(田中守男君) ただいまの件でございますが、ダグラス社が連邦地裁へ出しました報告書のカテゴリーⅢのその他の取引の中で言われております百八十万ドルのコミッションの支払いについての注のところで、いま御指摘のような、わが国に対するダグラス社の航空機の生産にかかわるコミッション、それから事務管理経費の支払い、第三に航空機以外の製品にかかわるコミッションは含まれていないというところはそのとおりでございますが、ダグラス社としては、報告書の中で、さらに特別委員会を置きましてこれらの支払いについても調査をすることになるが、ダグラス社としては、これらについて適切妥当なものであると信じているということでございますので、私どもは何らこれについて、現在までのところ、問題になるというふうに解釈はとっておらない次第でございます。
  151. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私、防衛庁をきょう深く追及するつもりはないんですけれども、非常に私は不可解に思う。というのは、たとえば前回私が指摘したときの報告書、いわゆるアニュアルレポートですね、このレポートに書いてないから大丈夫なんだと、確信がありますと言うとったでしょう。同じレポートによって、アメリカのSEOはダグラス社に虚疑の記載があるとして再調査を始め、告発をしてきているんじゃないですか。同じものを材料にしてそのように見通すことのできるという能力、そういう能力がないほど日本の官僚の皆さん方が能力低いとは思わないんですよ。にもかかわらず、それが、この前にはそういう答弁がなされている。確信があるから調査せぬと言うんでしょう。だから、本当にそれじゃ日本の防衛庁の官僚の皆さん方にそういうことを見通す能力がなかったのか、あるいは見通す能力はあるけれども、政治的にかばい立てをするという態度をとるのか、二つに一つじゃないですか。はっきりしなさい、実際。わざわざ注書きがあるということは、何もなかったら注書き書く必要ないんだよ。はっきりしておるじゃないですか。当然疑惑があるんだから調査をするべきだということにならざるを得ないじゃないですか。そういう態度について明確にしてもらいたいと思うんです。
  152. 田中守男

    説明員(田中守男君) 私どもは、当面は米国における調査を見守りたいと思っております。  なお、マクダネル・ダグラス社の報告書等につきましては、当庁としてはお答えする立場にございませんので、その点御了承いただきたいと思います。
  153. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは私、防衛庁の御答弁は了解しかねます。留保しておきたいと思います。  時間の都合がありますから、次に運輸省にお聞きします。  同じく四月十日に、私の質問に対して防衛庁は、コミッションは民間機だけだと言っているけれども、それじゃ運輸省はどういうふうに対処しているのだと、どういうふうに御調査なさっているのですかと言うて聞いたら、そのときに御出席になった航空局の監理部松村監督課長はこういうふうに言っておられる。   新聞報道でわれわれはその事実を承知しております。で、常日ごろ民間航空会社に対しましては、国民の足としての民間航空事業の健全な発展のためにいささかも疑念を持たれるようなことがあってはいけない、十分行動に慎むように、これは行政指導しております。特に今回の報道につきまして、われわれの方は特別に調査を行ったという点はございませんけれども、常日ごろ行政指導しておりますので、万々不正な事実に関与していることはないものと確信しております。 こう言うておる。運輸省も、今回のSECの報告書、今日の事態を見れば、これまたこの確信は全く崩れたということになります。  で、全くこれ、大臣おかわりになっておられるので、新たな視点で聞いていただきたいと思いますけれども、あなたの部下がこういう答弁をしている。私は実に国民を欺瞞するものだと思いますよ。現にロッキード事件で、総理大臣から運輸大臣、政務次官、それが賄賂を受け取って航空行政をゆがめてきたということは、もう国民の中で周知の事実になっているんですよね。加えて今回、ダグラスについても不正資金というものが出てきている。そうして航空行政がゆがめられたという重大な疑惑が提起されている。それだのに、行政指導をちゃんとやっているから万々そういう心配はありません、こういう国民をなめたような答弁をぬけぬけとして、その場が済んだらよいというふうな態度は、これは国民は見抜きますよ。こんな態度で疑惑を一掃するということはできないと思います。ですからこういう状況の中で、今日の段階で本当に徹底調査をして国民の疑惑を解くということがきわめて大事だと思いますが、大臣、これ解明のための御調査をおやりになるおつもりがございますか。見解を伺いたいと思います。
  154. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 先ほど田代委員基本的な態度はお話をいたしました。  まあ先ほども申し上げましたように、ロッキード問題に関連をいたしましてダグラスの問題も出ておりますから、まあその訴訟の経過、あるいはまたアメリカの調査の進行、また、われわれの運輸行政の立場からもこれに対処していきたいということでありますが、運輸行政の立場からどのような調査を行い得るかにつきまして、十分検討の上、可能な範囲で遺憾なきを期してもらいたい、そういうつもりであります。
  155. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、ロッキード社の黒い商法というのは、わが国で非常に大問題になった。このロッキード社に係る黒い商法は、まさに今度のSECの報告を見ますと、ダグラス社の黒い商法が同時進行していたという事実、これがいわゆるロッキード裁判の公判関係の資料でも非常に明らかになってきております。  私が一々申し上げなくてもよいと思いますけれども、ずいぶんその中ではいろいろ出ておりますが、四十五年の八月ごろには、田中は同四十五年中ごろ、若狭社長に電話で、三井物産からDC10を買うよう口添えしてくれと言われているので検討してほしい旨要望した。これは丸紅ルートの冒頭陳述。  それから四十五年八月ごろ、田中幹事長から電話で、ダグラスを検討してほしいと言われたと。これは五十三年九月二十日、丸紅ルートの五十四回公判、若狭の検事調書。  それから四十七年九月の二十一日。田中は四十七年九月二十一日ごろ、総理官邸を訪れた石黒から、ロッキード社がかなり暗躍している様子で、私どもを援助してもらいたい旨の陳情を受けたと。これに対して田中は、所管大臣によく言っておいたから何らかの達しが近くあるはずだと答えたが、前記丸紅社長桧山の請託を了承し、その線に沿って働きかけをしていたところから、三井物産からの右陳情を無視した。これは丸紅ルートの冒頭陳述ですね。  それから四十七年十月の二十日ごろ、私の家に三井物産の石黒副社長と村上常務が訪ねてきて、実は自民党の田中派、大平派など、重立った派閥の方々にごあいさつして手を打ってありますから、DC10をよろしくと言われた。国会議員の方々に手を打ったとはお金を差し上げたことであると感じた。というのは五十三年九月二十七日、丸紅ルート五十五回公判の若狭調書。  さらに四十七年十月ごろ、三井物産が橋本登美三郎に働きかけ、佐々木秀世当時運輸大臣に海外旅行をおぜん立てしたという知らせを受けた。しかし、児玉と小佐野に話したことにより、佐々木氏は帰国、われわれは十月三十日にトライスターの発注を受けたと。これは五十三年十月二十六日、児玉・小佐野ルート公判のコーチャン調書ですね。  それから四十七年十月二十四日には、若狭社長と二人で官邸総理室を退出する際、控え室で三井物産の若杉社長と石黒副社長を見かけ、やあと目礼した。これは丸紅ルート四十五回公判の渡辺調書。  二人に出会って、三井物産の売り込みが激しいなと驚き、いやな気がした。これは若狭調書、五十四回公判ですね。  それから、総理訪問の十月二十四日の前に若狭社長から、全日空がトライスター、日航がDC10に決めてくれるとありがたいという電話が総理からあったと聞いたのは、若狭さんは、私が三井物産と会社創立以来つき合いが深いので、トライスターになると悪いと思って言ったのかもしれません。というのは五十三年五月十七日の四十五回公判、渡辺調書。  まあ、ちょっと拾い上げてみましても一、ロッキードで名前の出てまいりました田中、それから橋本登美三郎、佐々木秀世氏らが介在していたということが明らかになってきております。  しかも、こういう状況の中で東亜国内航空のDC9の導入がとられておりますが、この間の動きに大変深いかかわり合いがあると思われます。  そこで、東亜国内航空のDC9導入をめぐる疑惑について、ちょっとお伺いをしていきたいと思うんです。これはもう時間の都合がありますから、大体私、経過を追って、どのように東亜国内航空がジェット計画を進めてきたかという経過をちょっと見てみたいんですが、昭和四十五年の十一月五日に、「航空輸送の運営体制に関する基本方針について」という閣議了解で、日本国内航空及び東亜航空が円滑、可及的速やかに合併して新会社を設立することを促進する。その場合、新会社は日本航空の技術支援及び資本参加を受けるということを、これは閣議了解事項として明らかにした。つまり、東亜、国内航空が合併をする場合には技術指導は日本航空から受けるんだという点を閣議了解事項として通知を出しておるわけですね。そういう過程で四十六年の五月の十五日に合併をして東亜国内航空が発足をした。  で、東亜国内航空は四十六年の十月六日にはすぐジェット計画なるものを発表しているわけです。これによりますと、これはボーイング727-100型機、昭和四十六年に三機、四十七年五機、四十八年十機、四十九年十四機、五十年二十機ということで計画をしておられます。そして四十七年、翌年の四月一日には東亜国内航空の基本方針発表しているんですね。この基本方針では、使用機種はボーイング727-100型機とする、そして整備関係は全面的に日本航空に委託するということを明らかにしている。その後、四十七年の七月一日には運輸大臣通達が出されておりまして、これによりましても、運輸大臣通達は、東亜国内航空は先発企業の日本航空の協力のもとに運航を認めるものとするというのが出ているわけですね。  そして、その三日後の四十七年七月四日に、TDAから、「ローカル線のジェット化計画」についての申請が出ているわけです。その申請は、ボーイング727-100型機三機で出発をする。東京-大分間の一日二便。それから整備その他は日本航空に全面的に委託をする、こういう形で出てきているわけです。そして申請が出されて十日後の七月十四日には申請が承認をされて、八月の一日から就航が開始をされる、こういうことになっているわけです。  ところが、就航しておったところが、四十八年の一月の十八日に突如としてDC9の採用が決定をされた。その間に社内では、実は四十七年の十二月六日付の内部資料によりますと、長期計画を策定をしている。ところが、機種の選定ができないので作業を中断していた。そして、二月の六日付で、使用機種をDC9の採用決定をしたので速やかな長期事業計画を策定して実施をしたいと、こういうことになっておるわけでございます。  まあTDAのジェット化計画等についての経過は日にちの関係だけですから、経過は大体そのとおりだと思いますが、そのとおりですか、大体。
  156. 松本操

    説明員(松本操君) いま先生ずうっとおっしゃいましたもの、多少前後している点あるいは私ども理解と多少異なる点もあるようでございますが、きわめて初期の合併直後の段階で東亜国内航空にすでにジェット化計画があったということ、これは事実でございます。その時点においては727を使おうという考えであったと、これも事実でございます。御案内のように、四十六年に「ばんだい号」の事故がございまして、これによってわが方は東亜国内航空に対して業務改善の勧告をしております。ジェット化計画どころではないと、こういうのが当時のわれわれの考え方でございました。したがって、ジェット化計画そのものを私どもが確認、承認をいたしますのに相当の年月日をかけておるわけでございます。その間に727自体についてのいろいろな問題が起こってきた。そもそもは、東亜航空と日本国内航空が別個に次期ジェット機を何にするかということを検討しておりました段階ですでにDC9という機種は出ておったわけでございますが、これが現実の問題として浮かび上がってきましたのが、最終的にいま先生のおっしゃった四十八年一月十八日にそれが決定され、四月二十八日にジェット化計画として私どもがこれをアプループした、こういういきさつがあるわけでございます。
  157. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私、細かく追及してお聞きしたいんですけれども、時間の都合がありますので端的なところだけ聞きたいんですが、いまずうっと一連の経過を申し上げた中で、いわゆる四十七年十二月の六日付の内部資料によりますと、長期計画を策定していたんだけれども、機種の選定が決まらないので作業を中断していたと言われているんですが、そういう事実は運輸省は御存じでしたか。
  158. 松本操

    説明員(松本操君) 四十七年の末に727の使用について日本航空との間にやりとりがあったことは承知をいたしております。しかし、いま先生のおっしゃるような形では私どもは承知をいたしておりません。
  159. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私どもの入手いたしました内部資料によりますと、四十七年の十二月六日付で基本方針決定したが、その後の具体的な計画作成については、ジェット機の機種選定、導入計画の検討が完了するまで作業を中断していたのであると、そしてDC9型機の採用が決定したので速やかに長期事業計画を策定して実行することとしたいという通達が四十八年二月の六日付で出ている。  私はこの問題、この時期になぜ中断をしたかというのが内部の資料でも明確に出ている、なぜ中断をしたかというのが重大な問題だと思うんです。  といいますのは、この時期はどういう時期かということを考えてみますと、四十七年十月の三十日というのは、いわゆる問題のロッキード社のトライスターが全日空に機種決定発表された日です。ボーイング社の727SRの日航の機種決定も同時に発表された日なんですね。だから、ダグラス社だけがその日には宙に浮いていたという時期なんです。しかも、その四十七年十月二十四日は、ロッキード社のトライスターを全日空に決定する上で重大な影響があったとされている例の問題の田中・若狭会談の日であるわけです。しかも同じ日に、ダグラス社の代理店である三井物産の若杉社長と田中との会談もやられたという事実は、すでにロッキード事件の関係する公判資料等ではもう明らかな事実になっているわけですね。そうして、その後日ならずして、一月の十八日にTDAはDC9の採用を決定している。日航は二月には、社長命令でDC10の採用についての機種の選定作業の命令が出て、そうして四十八年の十二月に日航はDC10の採用を決定しているわけですね。  まあ日航の問題はさておきまして、TDAのDC9の採用決定が四十八年一月十八日になされて大急ぎで基本計画を進めた、改定して進めた。こういうやり方というのは、まさに突如としてやられたということなんですが、このことによってどんな事態が起こったかということです。一つは現場の混乱です。会社の内部の混乱。というのは、これは四十七年七月四日の申請のときにも、ボーイング727-100型機を使う、そして技術援助は全面的に日航から受けるということで申請をし、許可をされているわけですから、そういう形で日航から整備だとか乗員の派遣だとか訓練というのが技術提供がされていたわけです。ところが、四十八年一月十八日になって、突如としてDC9の決定によってこれらの日本航空の技術援助というのは全部御破算になった、そして急遽ダグラスから人を派遣することによって実施されたというのが実情なんですね。TDAの幹部の人たちの話でも、部品整備さえ国内で間に合わないというほどの問題もあったと言われている。  しかも、DC9の導入が余りにも突然であったために、担当部署の人たちは、年末ですからね、正月休みも全部返上して本当にきりきり舞いをして体制の基礎になる計画作成をやらされたと言われている。労働組合では公開質問状を会社に出しています。大体ボーイング727-100型機の運航の訓練を受けていた航空機関士が、もう乗る飛行機がなくなる、特殊訓練をやっておるのに乗る飛行機がなくなる、一体会社の経営方針はどないなっているんかという公開質問状まで出されている。しかも、ボーイング727-100型機で訓練をされた航空機関士は、その後乗る機種がないからよそへ出向させられているという事態まで起こっている。  もう一つは、閣議了解で、ジェット化については技術援助は日航から受けるということをちゃんと言い、大臣通達でも、先発企業から、特に日航から技術援助を受けるべきだと、また日航にもそういうふうにするべきだというふうに言っておった大臣通達、そういうものが全部じゅうりんされているかっこうになる。そこらを全部踏みにじってまで無理やり算段をして押し込んだという結果に明らかになるわけでございます。  こういう経過から見ますと、この中での四十七年十月二十四日の田中・若杉会談を初め、この間に何らかの工作がやられたに違いないという疑惑はもう明らかになってくるわけです。しかもこの四十七年十月二十四日、田中・若杉会談、それは私どもの調査では、その会談以後に、TDAの内部の情報によりますと、ボーイング727の導入方針変化をあらわしてきたという情報もすでに出てきているわけでございます。  そこで、これは法務省おいでいただいておりますので、この間の事情については、ロッキード裁判に非常によく出てきて調査の対象になっておるわけですが、この田中・若杉会談についてはどのようなことがやられたかということの御調査の結果はどうなんですか。
  160. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの四十七年十月二十四日の当時の田中総理それから三井物産の若杉社長の会談と称されるものにつきましては、先生ただいま御指摘のとおり、丸紅ルートの公判におきまして若狭証人の証言として出てきた事実でございますが、この会談の内容につきましては、今後の公判におきまして検察側がロッキード事件の公訴維持に必要な限度におきまして立証していくことに相なろうかと思いますので、この段階におきましてその内容に触れることは差し控えさしていただきたいと思います。
  161. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ロッキード特別委員会には報告いたしますと朝は言うていましたね、さっきは。そういうことですか。ロッキード調査特別委員会には報告するけれども、本委員会には差し控えたいということですか。
  162. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 先ほど申し上げましたのは、公判で明らかになりました経緯等につきましては、ロッキード委員会に第一義的に御報告さしていただいておるということでございます。ただいま私が申し上げましたこの会談内容というものは、いまだ公判において顕出された事実ではございませんので、ロッキード委員会に対しましても遺憾ながらお答えは差し控えさしていただくようお願いする所存でございます。
  163. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、調査はしておるんですね。調査はしておるんだけれども、公表は差し控えたいということですか。
  164. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 検察当局におきましては、犯罪事実の立証に必要と考えられる事項につきましては、この世の森羅万象すべてについて調査をしておるところでございます。
  165. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、森羅万象すべてに調査をしているんか言うて聞いてないですよ。四十七年十月二十四日の田中・若杉会談について御調査になっておりますかということを聞いているのです。森羅万象すべてと言うてない。質問に答えてください。
  166. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) すべてについて調査をしておるわけでございますので、この会談についても当然必要な調査はしておるということでございます。
  167. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、調査はしておるけれども現状では公表はできないんだということでございますね。
  168. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) そのように御理解いただければ幸せと存じます。
  169. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで私は、やはり調査をしておられるというので、ぜひ調査の進行過程で公表をしていただく、報告をしていただく、本委員会報告をしていただくということを、特に委員長、お願いをしておきたいと思います。
  170. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) もう一度おっしゃってください。
  171. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 調査はしているけれども、いま申し上げた四十七年十月二十四日の田中・若杉会談については、法務省は調査はしているけれども現段階では公表できないと、こう言っておられるんですから、それじゃ進行過程で公表できるという段階には、これは本委員会にぜひ御報告を賜りたい、そのことを委員長にお願いを申し上げたいんです。
  172. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 刑事課長、あなたの言われるのは、いままだ公判で、将来立証するんだから、立証が済むまでは遠慮いたしたいと、こういうことでしょう。だから、立証が済んで公判で明らかになった段階では、この委員会報告していただいていいわけでしょう。
  173. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) そのように御理解いただいて結構でございます。
  174. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) それじゃ沓脱さん、そういうわけで、公判での立証が済んだ暁にはこちらに報告してもらうことにいたします。  よろしいな、刑事課長
  175. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) はい。
  176. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そこで運輸大臣にお伺いをしたいんですが、これは大臣、先ほどから同僚委員に対するお答えでもお述べになっておられますけれども、国民の疑惑を残してはならない、疑惑は晴らすべきだとおっしゃっておられる。SECの報告でもこれは日本関係がもうすでに報道されていますし、まあダグラス社の関係のDC10、DC9も含めてこれは調査をするべきだと思うんですが、これはどうですか。
  177. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 先ほどもこの問題に対する態度ははっきり申し上げたわけでありますが、その末尾に、運輸行政の立場からどのような調査を行い得るか、十分検討の上可能な範囲で遺憾なきを期してまいりたい。私どもはそう強制調査権というようなものを持っておりませんから、したがって、運輸行政の範囲内において可能な範囲において調べてまいりたいと、そういうことであります。
  178. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私はこれは大臣は、わりあいにまだいま火がついてないと思っておられると思うんですが、ボーイング社だって、すでに七〇年以降五年間にわたって七千七百万ドルの不正支払いがやられたということがすでにアメリカのSECでは報告されているでしょう。この件に関しても日本の疑惑というのが出されているわけです。  特に運輸大臣にお聞きをしたいと思っておりますのは、航空機の機種選定にまつわる黒い売り込みですね。これはロッキード社だけではなくて、ダグラスもボーイング社も、全部黒い疑惑が出てきているというのが今日の姿です。まさに運輸行政を舞台にしての一大航空疑獄、そう言っても過言でないような状況が出てきているわけです。だから、これは運輸行政の範囲内などとのんびりしたことをおっしゃっておられるんではなくて、今日本当に国民の疑惑を晴らすという立場をおとりになるならば、大臣の立場では、これはロッキードはいま裁判されております。しかし、ロッキードもダグラスもボーイングも全部含めて賄賂商法を徹底的に洗い直す、そのための調査を行うという、そういう基本的な態度をおとりになるということがいま何よりも国民の信頼を回復する道だと思うんです。そういう点で、大臣、そういうお立場にお立ちになっていただけるのかどうか、その点を。これはまあ同じことの繰り返しじゃなくて、やっぱり、先ほども同僚議員におっしゃっておられたように、これは三木総理と心を同じくするという立場で、あるいはまた、内閣を本委員会では代表するという立場で、国民の疑惑を晴らすという立場でどういう基本姿勢に立つのかという点をはっきりしてもらいたいと思うわけで、その点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  179. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) いまいろいろお話がございましたが、現在の段階におきましてまだはっきりしたことがつかまれていない状況でございますが、しかし、それにいたしましても、いささかでも国民の疑惑を招くようなことがあってはならない、真相は究明しなきゃならないと思っております。しかし、その真相の究明はこれはきわめて重大なことでございますから、慎重に私どもとして対処していかなきゃなりませんし、また、機種の選定につきましては、先ほども申し上げましたように、どういう機種を選ぶかということは航空会社にとっては非常な成功を見る場合もあるし、非常な失敗を招くという場合もあるわけでございますから、したがって、行政指導の限界として機種の選定には従来運輸省は関与しないという方針で一貫してまいったわけであります。それはもちろん公正な取引が行われておるという前提に立っての上であります。したがって、もし不公正な事実が仮にありとするならばそれに対してこれを調べなければなりませんけれども運輸省は、遺憾ながら警察、検察のような強制調査権を持っておりませんから、おのずからなる限界があることは十分御承知を願いたい、こう思います。しかし、そういう限界内におきまして調査をいたしたいということを先ほど来累次にわたって申し上げておる次第であります。
  180. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ぜひ国民の疑惑を晴らす立場で対処していただきたいと思います。  私は、あと、私鉄関係の値上げが来年の一月八日から実施されるというお話でございますので、この問題は国民生活に重大な影響を及ぼす問題でございますし、今回の値上げについての理由等については国民の中でもきわめて納得しにくいということで強い異見が起こっておりますので、この件に関してお尋ねをしたいと思っておったわけでございますが、時間の制約がございますのできょうはやめることにいたしたいと思います。関係の皆さん、御出席をいただいてまことに申しわけないと思います。
  181. 三治重信

    ○三治重信君 私は国鉄関係の御質問をしたいと思います。  まず、いま問題になっております、運輸省が来年度予算で公共陸上輸送の総合整備のため、その総合整備計画とその特会をつくる、こういうことが報道されているわけなんですが、その中で、その前提として、私は、この新幹線をつくって公共輸送国鉄関係国鉄にどういう利益といいますか、があったか、こういうことを特にお聞きしたいわけなんです。  それは、新幹線ができていま非常に便利になり、確かに鉄道に革命的なと言ってもいいほど便益をもたらしたわけですが、しかし、便益をもたらしたという反面、国鉄赤字が非常にふえたならばその負担を結局国民がしょわなければならぬ、受益者負担だけではそれが処理できないという問題を考えた場合に、新幹線は非常に便利だ、産業開発なり公共輸送に非常にいいということの結論は直ちに出しにくいんじゃないか、こう思うわけです。  それで、新幹線のできておる東海道と山陽線の在来線の収支と新幹線の収支と合わせたものを資料として出していただいたわけなんです。したがって、一般の国民からいくと、新幹線は非常に便利になり、また乗客も非常に多くて黒字になる、国鉄の再生、起死回生に非常に役立っているのではないか、こういうふうに思われるけれども、しかし、その在来線が新幹線の黒字を食ってしまってむしろ赤字が増加する、こういうふうな形になれば、必ずしも国鉄財政の将来にはプラスにはならぬ、こう思うわけなんですが、その点は資料をいただいて、新幹線と在来線の東京-博多間の総合収支だと、五十二年度で若干百三十億円の経常で黒字になったと、これは値上げをして五十二年度で黒字になったと、こういうことなんですが、ただ、若干の黒字なわけですから、新幹線をつくったことによって国鉄財政に将来ともこれは非常にプラスになっていくんだと、こういうふうにはならぬと思うんですが、新幹線と在来並行線との総合の収支を考えていく場合に、どういうふうに新幹線というものができたことによって国鉄の経理にプラスにさしていこうとされているのか、ひとつお答え願いたい。
  182. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいま御質問の中に織り込んでお話がございましたように、東京と博多の間で申しますと、五十二年度に初めて、わずかでございますが、新幹線と在来線と総合して黒字になったということではございますけれども、今後の問題として考えた場合にどう考えたらよろしいかという問題でございます。  これまで新幹線をやってまいりました場合に、それが必ずしも国鉄の収支にどういう影響を与えるかということについて、的確な判断のもとにやってきたものであるというわけではないわけでございますが、結果といたしまして、まあまあ博多までの間は決してそこの部分だけ見ますとマイナスになっておりませんし、もし新幹線がありませんでしたならば、さらに飛行機なり自動車なりとの競争に押されておったのじゃないかということも想像されるわけでございまして、この辺はいろいろの見方があると思います。  ただ、今後の問題につきましては、こういう太平洋ベルト地帯を走るわけではございません、つまり、人口稠密なところを走るわけではありませんからして、よって、お客さんの利用が東京-大阪間なり大阪-博多間なりのようなぐあいにいきますかどうかはなかなか予測が困難でございます。特に新幹線というシステムは、在来線と全く異なりまして、初度投資が非常に大きいわけでございます。反面、経常費は比較的少なくて済むわけでございます。したがいまして、初度投資が大きいということは、逆に申しますと、利用者が多ければ採算的に非常にいい結果が出ますし、利用者が少なければ償却なり利子の負担がなかなかき  ついということになってくるわけでございまして、率直に申しまして、私どもも間もなくの東北、上越の新幹線の開業を控えまして、いろいろ  一面において早く開業したいという気持ちを持ちながら、一面においてその経営成績についていろいろと懸念をいたしておるというのが正直なところでございます。
  183. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、東京-博多間はまあまあだけれども、東北新幹線と上越新幹線の方になると、こういうふうには余りいくまいという御心配もあると、こういうことでございますが、これが一番、何といいますか、国鉄が、そうでなくてももう四十年代から国鉄全体として物すごい赤字を出してきた。さらに新幹線によって国鉄の再生が期せられるかと、また国民に便益がそれとともにもたらされるという期待を持って新幹線をながめたわけだけれども、新幹線そのものは確かにその地域の住民に非常に便益を与えるけれども国鉄財政にはどうも、これから進めていくと、マイナスにこそなれプラスにならぬと、こういうふうに考えられるわけなんですが、そういうのに対して、国鉄当局とそれから運輸省の方は、国民の要望の新幹線建設と、国鉄の新幹線をこれから引いていくことによって、プラスにならなくてむしろ財政赤字が出てくることについての対策、また国民へのそういう理解というものをどういうふうに進めていこうとされているのか。ひとつ国鉄運輸省当局と、両方で御見解を簡単にひとつ結論だけ。
  184. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 東北、上越につきましては、開業しましてから、在来線も含めて収支が償えるようになりますまでいささか時間がかかるのではないかということで心配はいたしておるわけでございますが、それじゃそうだからといってこれつくらないと――もういまどんどん進行しておりますから、そういう仮定を置くのはおかしいわけでございますが、全くつくらぬというふうに考えたらどうなるかと言いますと、やはり相当程度自動車なり飛行機なりというものへの転移がより速いスピードで進みましょうから、どうもそこのところが、やらなければよかったということになるかどうかというと、私はそうとも考えないわけでございます。  また、現実の問題といたしまして、現在日本じゅうの鉄道の中で一番線路がいっぱいになっておりますのが東北線と上越線でございまして、お客様のいろいろな意味での需要に応じ切れないということになっておるわけでございます。またはときどき故障、事故がありましたり、あるいは動揺が激しいというようなことの御指摘があったりいたしておりますのも、余りにも能力を超えて輸送を現在いたしておりますので、そのためにどうもなかなかメンテナンスがうまくいかないということによって生じておるわけでございます。そういう意味から言いまして、盛岡までないし新潟までのものについては、いままでこうやってまいりましたことについて、私は決して国鉄全体としてマイナスであったとは考えていないわけでございまして、要は、これを前提にしてどのようにして在来線を含めてお客様に乗っていただいて、あるいはまた経費を東海道の場合よりもより一層経常経費がかからないような形での輸送方を考えることによって、これをやはりつくってよかったということにしなければならぬと、また、それはできるであろうというふうに考えております。  ただ、何分経済の変動が非常に大きいということ、特に他の交通投資がかなり速いスピードで進んでいるということがございますので、たとえば東北縦貫道もすでに盛岡まで通じておりますし、それから上越の道路もどんどん毎年建設が進んでおりますし、そういったことのいわば競争になるわけでございまして、いまここで五年先、十年先に確実にこうなりますということをなかなか申し上げられないのは残念でございますが、そうしてまた、おっしゃるように経営にとりまして決して楽ではないわけでございますけど、さりとてやらなかった方がよかったということではない、トータルで考えてみてそういうことではない。なかなかうまく御理解いただけるような数字で説明できないのは残念でございますけれども、総括的には私はやはりやってよかったものというふうに考えております。
  185. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) いわゆる工事新幹線、東北、上越両新幹線につきましては、先生も御指摘のように、並行する在来線とあわせて一つの路線として機能を果たすべきものだと考えております。  ところで、この両新幹線につきましての収支の試算につきましては、経済情勢なり運賃水準等とも関連がありますし、的確な予測はいろいろ困難な点がありますが、この両新幹線につきましては、開業後数年程度で並行在来線との総合収支は採算がとれるものと一応予想されるわけでありますが、何といいましてもその前提といたしましては、この両新幹線と並行在来線との機能の相互補完が適切に行われまして、またかつ合理化の徹底、それから増収努力等によりまして、国鉄自体の両新幹線の運営につきましての徹底した経営改善ということが大前提になることと思います。そういう見地から国鉄に対しましても今後とも指導をしてまいりたいと思います。
  186. 三治重信

    ○三治重信君 そういう御見解なら、今後五十四年度以降で公共陸上輸送整備計画の中で特別に新幹線に自動車の税金を取り上げてそっちへ投資してやらないでも、そういう新幹線の建設がいままでどおりで収支が合っていくならば、また将来経営努力でやっていくならば、なぜそういう税金をこちらへつぎ込んでやらないと公共輸送整備ができない、こういうふうな見解を持たれるのか。むしろ私は新幹線をつくると在来線も赤字になり、総合だってとてもじゃないが今後だんだん赤字がふえていくから、そういう公共投資的に利子のかからない投資を新幹線もやらないことには国鉄としてはたまらぬと、こういうことで特会を考えられたんじゃないかと思うんですが、いまのお話のように、在来線と総合収支を大体とんとんにやっていく計画のもとに計画する、こういうぐあいになれば、何も新幹線をつくっていくときにそういう税金を国鉄に注ぎ込まぬでもいいと思うんですが、それはどうなんですか。
  187. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 運輸省で概算要求しております陸上公共輸送整備特別会計、これとの関連を申し上げますと、この両新幹線につきましては工事費の補助金というのがこの特会で要求されております。これはもう御承知のように、三分五厘と現実の利息との間の利子補給、これを十年間するということが含まれております。この金額も来年度は千四百億以上に上るわけであります。これを中心整備五新幹線あるいは在来線につきましての前向きな施設整備費に関する助成等を中心といたしまして、さらに鉄道のみでなく、地下鉄あるいは過疎バス等、陸上における公共輸送全般の整備を図るために、従来の財源では非常に長期的に安定性がないということで特にこの特別会計を要求しているわけでございます。  なお、先ほど私申し上げました両新幹線の採算ということにつきましては、当然この工事費の補助というのが前提になっております。
  188. 三治重信

    ○三治重信君 これはそうすると、今後は採算が合うというのはどんどん新しい新幹線には工事費の補助をたくさんつけていかないと採算に合わぬ、そういうことにも逆にいけばなってしまうわけなんですが、それはそういう一つ考え方もあるでしょうが、しかしいずれにしても、こういう新幹線をつくっていっても、新幹線をつくったところで、つくった線において在来線と合わせて何とか相当な建設補助もしてもなお収支とんとんにいけばいい方と、こういうことになってくると、今日までの、いま例年行われている毎年の赤字の八千億から九千億あるいは一兆円になんなんとするのが経常赤字として全部国鉄全体として出ている。こういうものに対しては、国鉄財政再建には新幹線は別に寄与も何もしないとこういうふうに理解されるわけなんですが、この経常赤字の毎年八千億から九千億に達する赤字対策はどういうふうに考えられておるんですか。
  189. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在出ております八千億がどうして発生するかということについていろいろ御指摘を受け、勉強しているわけでございますけれども、午前中の御質疑でお答えいたしましたように、非常に私どもではどうにもならない、いわば構造的赤字が八千億の非常に多くの部分を占めております。それは、たとえばもうすでにわが方の職員でなくなった、前に国鉄に勤めた人に対しての年金の支払いというような問題が出ておるわけでございまして、この負担が大変昨今巨額なものになりつつあるわけでございます。そういうものにつきましては、現在のように競争の激しい時代におきましては、今日のお客様から運賃の形で納めていただいて、そして先輩の方々の年金資金に充てるというようなことはほとんど不可能であるわけでございまして、そういう意味で、いま発生しております赤字のうちの相当大きな部分がいわばこの過去におきます処理不足という形で出ておるものが多いわけでございまして、これはひとり国鉄の責任ということではなかなか処理はできない。またいきさつから言いましても、私どもだけで処理すると言ってみえを張ってみても仕方ないものではないか。いわば戦争、戦後にかけます時期におきまして低運賃でやってまいりました、またそうやらざるを得ませんでした事情から発生するものでございまして、私どもは大変納税者の方々には御迷惑なことでございますけれども、一種の戦後処理というような意味でお助けをいただきたい。そのことと、これから国土計画なり都市分散計画なりとの関係から新しく設けられるべきものにどう投資するかということとは一応別のものとして考えていただきたい。したがって、過去起きましたものをどう始末をつけるかはなおもうしばらく勉強さしていただきますが、基本的にはやはりいま御提案の中での特別会計あるいは新財源というものとは全く関係なく御承認願いたいというのが私どもの気持ちでございます。
  190. 三治重信

    ○三治重信君 そういうふうになってくると議論の余地がなくなってくるわけなんですが、森山大臣は就任早々でいろいろ御見解をお持ちでしょうが、省内の調整政府調整もあろうかと思うんですが、いずれにしても、一応毎年一兆円になんなんとするこの赤字の処理の問題をわれわれは非常に重要視しておりますし、これを目的税で処理しようという考えについては非常に反対をせざるを得ない。経営の改善あるいは経営の改善努力というものについてもっとやはり具体的な問題が出てこぬことには、とてもじゃないが、そういう、何と申しますか、目的税で穴埋めしようという考え方については議論に入ることすら拒否せざるを得ない、こう現在では思っておるわけです。ひとつ新大臣にお願いしたいのは、この国鉄赤字の処理の問題を目的税というかっこうで考えるということは、われわれとしてはいまのところ非常に問題にならぬ、こう思っているわけなんです。そういう税の対象にする前に、この国鉄赤字対策というものをひとつぜひ抜本的に考えてもらいたい。午前中の同僚の質問にも、何回も運輸省は、経営改善あるいは抜本対策として案はつくったけれども、いままではみんなさいの河原でだめになった、それがあるから今日も赤字がちっとも減らぬで――ふえることはあっても減らぬ、こういうことなんですが、もういよいよにつちもさっちもいかないようになってくると思うんです。  その中で一つはローカル線の経営の問題と、やはり最近、私もそれほど勉強しておりませんけれども貨物輸送が結局国鉄赤字の大きな原因ではないか、こう言われた。しかも、国鉄のこの貨物の国民経済の中における輸送比率がだんだん下がっていく、扱い量が少なくなって赤字がますまずふえていく、こういうことなのか。あるいは本当に貨物輸送というものが国鉄赤字の大きな原因とすれば、これを本当にむしろ多くするというよりか、削っちゃえばいいじゃないかという問題も含めて本当に真剣に考えていただきたいのと、貨物の問題はこれは経済的に考えていただくということから、ローカル線の運営やなんかについては、私はやはり人件費の問題を午前の同僚の質問について非常に答えておられたんですが、私は人件費の節約についてちょっと簡単に質問の中に入れておいたんです。やはり国鉄のOBの人たちをローカル線の運営に使って、そういう人たちが、本当に国鉄もなかなかいまの経営だと、普通ならば六十歳まで定年を延ばせと、こういうわけだが、いまの経営だとなかなか定年延長はできぬということになってくると、むしろ国鉄のOBの人たちを、何というんですか、そういう経営に投入して、そして長期に国鉄のローカル線の人件費をぐっと削減して経営ができるように、OBでそういうローカル線を委託経営なりなんなり外郭団体をつくって、そういう人件費の節約方をひとつ抜本的に考えておく。これは一つの例なんですが、よろしくひとつそういうことについて検討していただきたいと思うんです。大臣の所見をひとつお伺いしたい。
  191. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 三治委員から御質問の中にございました陸上特別会計の問題、それから新税の問題等については、国鉄赤字を埋めるためという後ろ向きのことは一切入っていない。全部前向きのことで考えておるわけでありますから、その点はひとつ重大なる誤解ではないかというふうに思いますんで、御了承願いたいと、こう思います。  それから国鉄赤字問題は、午前中話がありました構造的欠損の問題、構造的欠損をどこまで構造的欠損と見るかということの範囲については、必ずしも最終的に一致しておるわけではありません。したがって、その積算、実質現状においては約一兆円を超える赤字になっておるわけでございますから、そのうちどのぐらいを構造的赤字と見るかということについてこういう席上で数字を出すことはその時期ではないと思います。  しかし、それにいたしましても、構造的赤字であるからもう国鉄がどうしようもないんだというふうには考えておりません。現に国鉄監査委員会の監査結果を見ると、「国鉄と私鉄とを比較するにあたり、国鉄及び私鉄における職員一人当り営業収入についてみると、」「昭和五十一年度における国鉄のそれは、大手私鉄のみならず、中小私鉄に比べても低いものとなっている。」と、こういう国鉄の運営の実情をどうやって打開するかと。これは国鉄当局に格段の努力が要望されるわけでございますから、私は企業努力の余地大いにあると、その部面について総裁初め理事者の御奮起をお願いいたしたいと、こういうふうに思っておるわけであります。  いま最後にお話しのありました問題ですね、国鉄のOBに委託経営さしたらいかがかと、人件費のことでお話がございました。これにつきましては、鉄道監督局長から答弁いたさせます。
  192. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 先生御指摘国鉄地方ローカル線の委託の問題でございますが、この国鉄の地方ローカル線の問題は、いまも再三触れられましたように、いわゆる構造的欠損、それの典型的なものだと思います。この問題につきましては、おととしから運輸政策審議会の委員によります国鉄地方交通線問題小委員会というのを設けまして、鋭意御検討をお願いしております。その結果、昨年の一月にはいわゆる中間報告が出ておりますが、さらに最終結論をいただくように御審議をお願いしているところでございます。したがいまして、その結論に従ってこういう措置を考えたらどうかと思います。  ただ、現段階で言えますことは、国鉄がその業務を委託するという問題につきましては、特に法律によりましてこれを規制したものはありません。国鉄という独立の公法人を設立した目的に反しない範囲内におきましては部外者に業務を委託することは当然できることだと思います。こういう見地から、先般業務委託の活用ということにつきまして行政管理庁から勧告をいただいております。運輸省といたしましても、委託効果の高いものに重点を置きまして、積極的に部外委託を推進するように国鉄を指導してまいりたいと考えております。  しかし、それも限度が一応あるかもしれません。と申しますのは、現行法制のもとでは本来業務の包括的な委託あるいは経営管理の委託とか、あるいは列車の運行にかかわる基本的な業務等につきましては、さっきも触れましたように、国鉄という独立の公法人を設立したという目的等にかんがみまして、部外委託については困難な点もあるのではないかと存じますが、いずれにいたしましても、可能な限り効率的な部外委託ということを活用していくということが今後の経営改善のために非常に効果があると考えておりますので、国鉄にもそのようなことで御検討をお願いしている次第でございます。
  193. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は時間の関係がございますので、沖繩問題に限定してお尋ねしたいと思います。  まず第一点は、那覇空港の整備についてお尋ねいたします。  大臣最初お尋ねします。那覇空港は民間航空、いわゆる軍、自衛隊あわして共用になっておるわけですが、このことを大臣とされてどのように理解しておられますか。
  194. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 昭和四十七年に那覇空港を引き継ぎまして以来、当空港を共用している民間航空機、自衛隊機につきまして、飛行場管理業務及び着陸誘導体制業務は運輸省で実施をしております。この管制業務は、民間航空機、自衛隊機を問わず、すべての航空機について所定の安全間隔を設定し、航空交通の安全確保と効率的運営を図っておりまして、危険はないと、こういうふうに考えております。
  195. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、いまの那覇空港の利用のあり方はこれは正しいと、好ましいと理解しておられるのか、なるべくならこれは共用はない方がいいと思っておるのか、その辺どうですか。
  196. 松本操

    説明員(松本操君) 多少自衛隊機と民間機との間に飛行機の飛ばせ方、飛び方の差はございますが、しかし空港のごく周辺、離着陸の場になりましてはそう大きな違いはございません。したがって、これが望ましい形かと、理想的な形かという仰せでございますと、必ずしも申しがたいと思いますけれども、現時点において特に問題を生じているというふうには考えておりません。
  197. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 共用それ自体がこれは問題はな  いとお考えになるとするなら、これはそれこそ問題であると。この利用の実態を把握しておられると思うが、年間、五十二年度の利用状況は、着陸回数が二万九千五百二十二回、復帰時は一万二千三百四十六回、復帰後は二・四倍にふえておる。その中身が、これは那覇空港事務所の調べでありますが、民間機が二万百三十九回、軍用機が九千三百八十三回。三分の一は軍用機の離着で占めておるんです。このような状態を支障がないとか問題はないとおっしゃる、それ自体に感覚の私はずれがある、こう私は申し上げたいんです。三分の一は軍用機が利用しておるんですよ。そこから起こる危険度、現に海中への墜落、それから離着陸の瞬間火事を起こした、こういった安全の面からの危険もあったことは御承知のとおりだと思います。このことを私は指摘いたしたいと思います。  そこで、那覇空港のこの問題は今後も残る問題でありますので、ぜひひとつ安全利用、使用ということについては強く今後の問題として申し入れておきます。  そこで、整備状況はどうなっておるか。那覇空港の整備状況については年次計画によって進められるべきであるはずですが、どのようになっておりますか、それをお伺いしたいと思います。
  198. 松本操

    説明員(松本操君) 現在、那覇空港では滑走路の長さを三千メートルまでともかく延ばすようにいたしたいということで、用地の買収を含めまして、まず三千メートルヘの延長ということにいま精力的に取り組んでいる段階でございます。  それから、ターミナルエリアの部分につきましては、先生御案内のとおり、北の方に民航エリアが集約されておるわけでございますが、これはいま現実的な計画としてはまだ完全な絵をかくに至っておりませんけれども、目標といたしましては、もう少し中央に近いところに民航エリアを移動させるということを長期計画の中では私ども考えてはおりますけれども、具体的なスケジュールにのるところまでは残念ながらまだ至っておりません。
  199. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は具体的にお聞きしておるわけなんです。いまおっしゃるように、現在の二千七百メーターを三千に延ばすと、三百を。このことに対して、具体的に漁業権の補償、そういった詰めばどうなっておるか。  それから、あれは海洋博に間に合わした暫定ターミナルでありましたね、現在のは、暫定ターミナル。それは五十一年度を初年度とする第三次空港整備五カ年計画で那覇空港の本格的なターミナル地区整備がはっきりうたわれておる。にもかかわらず、いまだに着工されておらぬということですね。そこに問題があるわけなんですね。その二つの点、漁業補償と、それからいつ本格ターミナルを予算化されるのであるか、それをお聞きしたい。
  200. 松本操

    説明員(松本操君) 二千七百メートルの滑走路を三千メートルに延ばします点につきましては、豊見城村とのいろんな問題が一つございまして、これについてはおおむね解決の方向に向かっておると私は承知をいたしております。  それから、先生いまおっしゃいました漁業補償の問題につきまして、実はあそこに養魚場をつくりたいという別個の計画がございまして、県の中で実はこの調整に多少のそごがあったようでございます。つまり大分前から私どもは二千七百の滑走路を三千にいたしたいというお話はだんだんと申し上げておったつもりであったわけでございますが、県の漁業関係の方の部局との間に、私どもの方の御説明も至らなかったかと思いますけれども、県の中でも十分な調整がとれてなかったこともございまして、この点については完全にすり合わせが終わったという段階にまだ達していないようでございますが、しかし、いろいろと県の方と御相談をしながら、解決の方向へ向かっていま努力をしているというのが段階だと承知をしております。  それから第二段目の方でおっしゃいました本格的ターミナルの計画につきましては、これは私ども一応の想定と申しますか、概念の、絵のようなものはかいたわけでございますけれども、残念ながらいまのところ、あの付近、ちょうど滑走路の中央部分に当たります近所の米軍の撤退に伴う用地の返還の計画とか、それに関連いたします自衛隊関係の施設の移動計画とかいうふうなものを具体的に図面の上で詰めるところまで至っておりませんものですから、目下審議会で検討しております第四次の中では何とか具体的な絵がかけないだろうかということを考えておりますけれども、申しわけございませんが、いまこの時点で年次を明らかにして御返事申し上げる段階までは詰まり切っておりません。
  201. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは重ねて申し上げますが、ぜひひとつ民間空港のあり方の立場から、そしてまた、計画は立てられておるわけですから、それをいかに実行するかと、こういう面から早目に合意を得て着工をしてもらいたいと、これをひとつ望みます。  次に、第一種の国際空港の要望が出されておることは御存じのとおりでありますが、この海上を埋め立てて、それに並行しての複線の。この第一種国際空港の埋め立てにつきましては、これは沖繩の国際的、地理的立場から、どうしても国内、国外、それから県内、いろんな立場から勘案してどうしてもこれは必要であるということは十分認めていらっしゃると思うのですが、この空港の整備についてはどう考えておられるか、あるいは具体化させつつあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  202. 松本操

    説明員(松本操君) いまお話しございました、現在の滑走路のさらに西側の方にもう一本、新たにサンゴ礁地帯を埋め立てて滑走路をつくるという計画が地元で熱心に検討されておることは私ども承知をいたしております。ただ、いまの段階では、先ほどもお答え申し上げましたように、現在二千七百の滑走路をなるべく早い機会に三千にして、関連します保安施設等も整理するということを第一目標にいま取り組んでおるわけでございまして、したがいまして、沖合いを埋め立てて新たな第二本目の滑走路をつくるという計画につきましては、もう少し皆様方との議論を詰めながら、やや将来の問題としてとらえていってよろしいのではないかと、こう思っております。それとの関連で、一種空港の問題についても、現在二種でございますので、一種に格上げすべきであるという御議論があることも十分承っておりますが、御案内のように、現在一種空港は羽田、成田、伊丹の三つだけでございまして、空港の制度上、全体の問題にも絡む問題でございますので、にわかに那覇空港をここで一種に格上げするというふうな議論を詰めてまいりますことば、かなりむずかしいものがあるのではないかと私率直に申し上げて感ずるわけでございますが、ただ、一種、二種の違いと申しましても、現実的にはいずれも運輸大臣の設置、管理する空港であるということ、で、通常の二種空港でございますと分担金をかなりいただく、二五%いただくことになりますが、那覇空港は御承知のとおり一〇〇%の国費負担になっておりますので、地元負担という点から考えますと、あるいは当該空港が運輸大臣の設置し管理する空港であるという点において全く一種と同等でございますし、現に週八便程度の国際線がいま飛んでおるし、その他に貨物線も飛んでおりますので、類似の空港としてほかにもいろいろ福岡その他ございますが、それらに比しても見劣りのしない空港として現に運用されておりますので、そういう面の実質的な改善という面にむしろ力を注いでいきたいと、このように考えております。
  203. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 申し上げるまでもなく、沖繩が離島県そして多島県である、しかも地理的条件からも日本の東南アジアに対する門戸である、こういった条件からもどうしても今後これは検討してもらわなければいけない、国内、国外、あらゆる面からですね。沖繩の将来というのは陸と空しかないわけですが、そういった特殊事情からもぜひこれを――しかも一県民要求、これも島ぐるみ要求なんですね。こういう資料も出ておりますことも御存じかと思いますが、ひとっこれの実現をぜひ早目に期していただきたい。  次に関連して航空運賃の低減の問題ですね。これも根強い運動の結果、いわゆる短期往復の五日が七日に延びた、それから二十五名以上の包括団体割引が二五%になった。これは前進でありますが、ところが、いま空路を利用しておる県民は、五十三年上半期は八八・三%が空を利用しておるわけですね、飛行機を。こういった実情からも、どうしても個人の航空運賃を安くする、この短期往復の一〇%現行を団体の二五%を適用してもらいたい、こういうことと、もう一点は、二十五名以上の集団を五名単位にまで下げられないか。これは家族中心の旅行が大分ふえておりますので、五名単位にその恩典が及ぶように、この点いかがでしょうか。
  204. 松本操

    説明員(松本操君) 沖繩に関します本土-沖繩間の運賃の問題について、先生十分御承知の上での御質問でございますので、私も大変お答えがつらいのでございますけれども、五十二年の四月からいまおっしゃいましたGITを特に沖繩の路線だけに導入をいたしましたし、ことしの四月からは、いまおっしゃいました往復割引を五日を七日に延ばすという形で処置をしておるわけでございます。したがいまして、そのほかに基本的な運賃といたしましても、実は他路線に比べますと非常に抑えた形に私ども処置をしてまいってきておるつもりでございます。しかしなおかつ、いまおっしゃいましたような御要望が強く出ておることも十分に承知はいたしておりますけれども、他路線との関係等もございまして、いまおっしゃいますような形で早急に措置をしていけるかどうかという点につきましては、もう少し検討を私どもの方にさしていただきたい、このように存じます。
  205. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 他の県との関係、これもわからぬわけじゃありませんが、またこちらにも言い分があるわけです、いわゆる国鉄の恩恵のない県は沖繩県だけですからね。特殊な扱いをされておるわけなんですよ。国鉄の恩恵のないのは沖繩だけだ。これは後でまた質問申し上げますが、そういった面からも道義的にもさらに特別の配慮をしてもらう私は義務があると、こう思うんです。  そこで具体的に申し上げますが、通行税、それから空港使用料、それから航空機燃料税、航行援助施設利用料の四項目に対する免除、これを免除してもらいたいという強い具体的な要望があるわけですが、いかがですか。
  206. 松本操

    説明員(松本操君) いま逐一御指摘のありました点につきましては、私どもも来年度の予算の中で何とか実現できないものだろうかということで、いま鋭意財政当局と折衝中でございますので、いまの時点で私どもがとやかく申し上げるほどのところまで達しておりませんが、御趣旨を踏まえてせっかく努力をしておるという段階でございます。
  207. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま四項目を具体的に申し上げましたが、九月二十二日の参議院の交通問題特別委員会で前の福永運輸大臣が、通行税については検討する用意があると、こうお答えになっておられますが、それは御存じでしょうね。
  208. 松本操

    説明員(松本操君) 承知をしております。  したがいまして、それを踏まえて、先ほどお答え申し上げましたように、財政当局といま鋭意折衝中である、こういう次第でございます。
  209. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 関連ですがね、その場合にまたこういう不安があるわけですが、一応通行税は免除してやる、そのかわり空港使用料に加えて空港整備費に充てたいというような何か感触に聞こえたんですが、そういうことはありませんでしょうね、どうですか。
  210. 松本操

    説明員(松本操君) ちょっといま先生のおっしゃったのは、私、十分に理解できないので申しわけないんですが、何を充てるという御趣旨でございましょうか。
  211. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一応通行税は前向きで検討してなくする、そのかわり空港使用料、それをふやしていく、結局個人の運賃のプラス・マイナスがゼロにしかならぬという、下がらぬという心配があるということがちょっと耳に入ったもんですから、確認しておきたいと思います。
  212. 松本操

    説明員(松本操君) 通行税の減免の折衝にいたしましても何にいたしましても、要するに運賃の水準をなるべく低いところに抑えるようにしたいということが趣旨でございますので、それに反するようなことを積極的にやろうなどということは毛頭考えておりません。現にジェット機を導入いたしましたときの特別着陸料なども、これは県の方の問題でございますけれども、県の方との御相談の上、宮古島の特着料は半額というふうなことで処理をしておる事実もございます。
  213. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、急いで。次は国鉄の導入について申し上げます。  まず、全国で国鉄の恩恵のない唯一の県が沖繩だと申し上げましたが、沖繩県への国鉄導入については、運輸大臣、どのようにお考えですか。
  214. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 沖繩県に国鉄が必要かどうかという問題でありますが、沖繩振興開発計画におきましても、「交通体系整備にあたっては、各種輸送機関の特性を生かした合理的な機能分担のもとに、計画的、一体的整備をすすめる必要」がある旨記述されていることは御承知のとおりでございます。陸上交通の現状や今後の見通し、輸送需要動向、さらにモノレール関係の調査等を考えまして慎重に今後検討してまいりたい、こういうことであります。
  215. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 多分そうお答えになるだろうと思って予期いたしておりまするのは、沖繩の交通体系整備についてはおっしゃるとおりにうたわれておるわけなんです。  そこで、具体的に申し上げますと、モノレールと高速道路――南進高速ですね、それと国鉄の三つが絡み合っているわけなんですね。それをいま現時点で、現地で、県では、どうなっておるかということを私は確認したわけなんですよ。  そこで、モノレールの問題につきましては、運営の主体は那覇市がすると。この運営主体の問題が、県と那覇市との問題があったわけですが、那覇市がやると。そして、モノレール道の整備主体については、県は国道を除きモノレール道については可能な限り県道に認定するように努力をする、これが第一点。それから、市道から県道へ認定がえをするほか、新規に県道に認定される区間に係る用地買収及び営業保障業務等は市が行うと。それから県道に認定されない区域は市道として道路管理者の責任において対処すると、こういう結論が出ておるんですよ、モノレールについてはですね。その結論に立って遠からず申請されますので、その心組みでこのモノレール問題は取り上げていただきたい。  次に、南進道路については、これは十一月の審議会で決定になりましたので、既定方針どおり南進道路を進めておる。  それから国鉄導入については、県の態度はずっとこれは四、五年来調査研究を民間団体に頼んであるわけですね。それで、いままでに調査した資料を来年三月までに整理して、正式要請運輸省提出したい。沖繩県国鉄導入促進期成同盟会、これは仮称ですが、これを設置して具体的導入の展開を図っていきたいと、こういうふうに具体化して結論が出ておるのです。  どうかひとつ、それを私確認いたしておりますので、その線に沿うて手続が進められつつありますので、ひとつ具体的に出てまいりましたら御検討くださって、一日も早く実現してほしいと、こういうことを強く要望いたしまして、大臣の御見解を求めて、時間ですので終わりたいと思います。
  216. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) ただいま先生御指摘のモノレールの件でございますが、先生のお話のように、具体的に計画ができまして、関係の向きから事前の協議があったり、あるいは免許なり許可等の申請があった場合には、輸送需要とか路線の採算性とか、あるいは申請者の事業遂行能力、既存のバス業者に及ぼす影響等を十分検討して積極的に対処してまいりたいと、こう考えております。
  217. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ちょっと裏づけの……。
  218. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) なるべく簡単にね。
  219. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 済みません。御参考までに、国鉄導入に対する世論調査があるんですよ。これは沖繩県企画調整部が本土の民間団体に依頼をしている、鉄道導入に対する県民の意識調査。ぜひ導入してもらいたい、これが六七%、それからできたら導入してもらいたい、これが二〇%、計八七%ですね。必要ないというのが七%出ておりますが、これは圧倒的であると。それから、導入を希望する理由は何か、なぜ希望するかというのが、交通混雑の緩和、いまは七・三〇に関連して特に最近まだ調整ができておりませんが、これが七三%、現在の交通機関だけでは不備であるということ、不十分であるというのが四六%、それから通勤通学が便利になる四三%。こういう多数の要望が数字にあらわれておるわけなんです。  以上申し添えて、これは圧倒的な要望であるということを、ひとつ御理解願って御検討願いたいと思います。
  220. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 答弁はよろしいですね。――じゃ。
  221. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 沖繩県の総合交通体系としてどういう輸送機関の整備が必要であるか、これらを沖繩振興開発計画に基づいて沖繩開発庁を中心検討を行っておる。まだ結論は出ていないと聞いております。しかし、いま地元の御要望が強いということはいまお話しのとおりでございましょう。その検討の結果、仮に鉄道が必要であるということになった場合に、経営主体が国鉄であるべきか、民営あるいは公営が適当であるか、さらに検討してまいりたい、そういうように考えております。
  222. 秦豊

    ○秦豊君 官房副長官お見えですから、最初に、いわゆるダグラス問題についての大平政権の対応を聞いておきたいと思うんです。  すでに昨日、私ども社会民主連合は田中官房長官に対して徹底究明という趣旨の申し入れを行っております。  そこで、今回のこのいわゆるダグラス問題なんですけれども、特に副長官は外交その他お詳しいお立場にあられるし、私どもの把握したところでは、いわゆるSECですね、これが例の多国籍企業を集中的に調査をした一環の中で浮かび上がってきた。だから、エクソンとかガルフとかITTとか、さまざまな多国籍企業があらわれた後、たまたま今回出てきたのがロッキードに続くダグラスであると。そうすると、私どもの得た感触では、この次に出るのはボーイングであり、ボーイングの次に出るのはヒューズである、グラマンである、こういうシリーズの中のつまりまさにワン・オブ・ゼムなんです。したがって、いわゆる大平政権としては、発足早々の清新さを売り物にしたい政権としては、とりわけ、いわばその第一期のスタート早々の対応というのは非常に政権のイメージにも関するし、重要であると思う。  そこでまず、副長官政府を代表するお立場であえて伺いたいんですけれども、いわゆるダグラス問題に対して、政権としてはどのような対応を貫こうとされるのか、この辺から伺っておきたい。
  223. 加藤紘一

    説明員(加藤紘一君) 先生御指摘のとおり、政治、行政に対する国民の信頼をかちとり、それを強めていきますことは歴代内閣の重大な責務の一つであろうと私たち内閣は考えております。したがって、政府はロッキード事件を契機に政治、行政の腐敗防止策を決定し、その実施に鋭意取り組んでまいったところでございますが、今回のいわゆるダグラス問題につきましては、その具体的内容をいまだ承知しておらず、現時点においてこれに対する意見を申し述べることはこの際差し控えさせていただきたい、こう考えております。
  224. 秦豊

    ○秦豊君 大変消極的な姿勢ですね、一言で概評すると。残念ですね。  この問題は、いわゆるロッキード問題のときにダグラスやボーイングはいい子であった。安全地帯で風を避けていた。追及が及ばなかった。今度ようやくメスの切っ先がダグラスの表皮に届き始めた段階なんですよ。この段階で具体的にお答えすることはというふうな、その言葉のニュアンスの裏側に、大平政権として、たとえばロ特の開催にさえ渋面をつくっている与党側とほとんど同じ姿勢が感じられてならない。そんなものは加藤さん、作文なんていつでもつくれるんですよ。政界粛正、モラル向上、これは口頭禅なんだ。しかも、いつもワシントンから弾が飛んでくるわけだ。SECの引き出しにはたくさん入っている。ぼくの申し上げたようなヒューズが出る、グラマンが出る、もう次々に引き出しをあければスキャンダルが詰まっている、極端に言えばですよ。そういうときに、いまはちょっと具体的にお答えする段階じゃないなんというんじゃなくて、政権としては鋭意誠実に対応をしてこの問題のいやしくも疑惑なからんことを期しますとか、その程度の概念的な答弁はしたって立場上妨げにならぬでしょう。はなはだ不満ですね。重ねて、あえて政権の基本的姿勢に関連した答弁をいただきたい。
  225. 加藤紘一

    説明員(加藤紘一君) 奏先生の御指摘、私たちもわからないわけではございませんけれども、しかし、いまのところ公表されておりますSEC等の資料によりますと、かなりまだはっきりしていない表現も多いものと考えております。まあ、一種のヒア・セイ・リポートというような言葉もあるわけでありまして、そういう段階で、私たちの国内に重大な問題を及ぼす可能性のあるような問題について、現在の段階で具体的にどうするこうするということを政府としては言うべきではないと考えております。
  226. 秦豊

    ○秦豊君 さすがにキャリアの方だから英語の発言は大変よろしいんですがね、答弁の方はいただけないけれども。  それじゃこの問題、ちょっと角度を変えましてこういうふうにしていただきたいんです、私どもとしては。このダグラスを論ずるということは、ダグラスを調査するということはボーイングにかかわるということです。ダグラスとボーイングはロッキードの接点を持っている。トリオなんです。三位一体なんですよ。ある時期の航空行政にトリオで絡んでいる、これは。これはもう否定できない。公知の事実だ。一つずつ暴露されている、一つずつ。  そこで副長官にあえて政府側と見てお願いをしたいことは、この際、これに関連したデータ、SECは調査を終わっているやに聞いています。ボーイング社の対日絡み、ボーイング社のたとえばボーイング727等々を売り込んだ時期、昭和三十九年から四十年です、これは。これで猛烈な売り込みを図ったんです、立ちおくれがあったから。対日市場猛烈なおくれがあった。一気に挽回しようとして猛烈な売り込み工作をやった。それも公知の事実です。線上に幾人かの政治家も恐らく浮かぶでしょう。だから、あえて言えば、この際、いわゆるダグラス問題に関連してボーイング社についても、特に対日関係にしぼった資料請求をしていただきたい。資料をワシントンからとって調べるぐらいの能動的なやる気の構えというぐらいは、いまの政権としてはあたりまえな私は態度であろうと思うんだが、そのボーイング社関係の資料がないと、立体的に、総合的にこのダグラスを考えることはできないと思う。政府としてあえてそういう資料を取り寄せていただきたいと私は思っているんですが、いかがです。
  227. 加藤紘一

    説明員(加藤紘一君) まあ、先生御指摘の中に幾つかの仮定があるといま私お話を聞いて伺っておりました。その点も、実は世間でそういう新聞報道等もあることはもちろん承知しておりますけれども、それが果たしてそのとおり事実であるのか、先生は事実であるとおっしゃっておりますけれども、その辺もわからないことであろうかと思います。したがって、法務当局が資料の要求が必要であるという判断をいたしましたならばそういうふうになってまいるかと存じております。
  228. 秦豊

    ○秦豊君 この調子だとややのれんに腕押し的な議論になりそうだから、時間を節約しましょう。  それで、こういうことを私要望したい。余り逃げないでいただきたい。カーター政権のまねびではないんですけれども、いわゆる行政機構の中にやはりモラルを正すというか、えりを正すというか、綱紀を厳にするというか、絶えず行政のシステムの中に、組織の中に、機構の中に、綱紀委員会というふうな常設のものを設けて一これは大平政権にとっては看板になりますよ。そのような常設の機関を、一々のスキャンダルに対応してうろつくんじゃなくて、常設の機関で、たとえば大平総理直轄のような機関にして綱紀委員会、これを時の政権の中につくる。国会国会で、ロッキード特別委員会がああいう状態なものだから、今度はロッキード・ダグラスにしろなんて言っているが、またヒューズが起こったら三つの名前になりますしね。これはいわゆる倫理委員会とかいうふうな、これは国会全体のわれわれの問題、別に提起しますが、政府としては常設の綱紀委員会というふうなものを構想するお考えはないのかどうか、この点も伺っておきたい。
  229. 加藤紘一

    説明員(加藤紘一君) そういう種類の行政及び政治の腐敗防止策、特に綱紀粛正、そういうものにつきましては、御承知のように五十一年十月、三木内閣当時、いわゆるロッキード問題関係閣僚連絡協議会というのも設置いたしましたし、その後、国民各層各階の有識者を集めてロッキード事件再発防止懇談会というものも開いたわけでございます。そういう中で、各省の協力を得まして、どういったポイントを直していかなきゃならぬか、それも討議いたしました。また、その中で、今後討議しなきゃならない問題点というものにつきましても列挙いたしまして、その後検討を続けておりますことは先生御承知いただいていると思います。また、福田内閣の時代についてもそういう努力をしてまいりました。そういう努力をわれわれが今回いたしますということは今後とも当然のことと考えておりますが、具体的に常置的な機関を設けますかどうか、今後検討してまいりたいと思います。
  230. 秦豊

    ○秦豊君 いいですか、副長官。あなた新任早々で、私非常にあなたの感覚は期待しているんだけれども、ロッキードスキャンダルの発生当時も政府側の対応はそうだった。いつもそうなんですよ。いや荒唐無稽、ルーモアだ、いや迷惑千万、こういう対応ばかりしてきた。そして被疑者に列せられた人々は、それこそ青天のへきれきと言ったり、荒唐無稽と言ったり、さまざましたが、結局事実は一つであった。今度の場合も、あなたからこういう答弁をいただこうとは思わなかったが、はなはだもって消極的である。これでは大した究明はできまいと思わざるを得ないほどの答弁に終わったことは大変残念ですけれども、まあせっかくお越しをいただいたあなたに対して申し上げたくはなかったけれども、大変大平政権のいわゆるダグラス問題等究明にかける姿勢というのは熱烈ではない、冷ややかである、消極的であると、私はそういう心証を抱く遺憾さをあなたに表明して、一応この問題は終わりたいと思います。  それで、成田問題に移りたいと思うのですが、森山運輸大臣、もう御進講は終わったと思うんですけれども、二、三回。成田のいわゆる二期工事開始のための前提条件というか、これはどういうふうな条件だと御理解でしょう。
  231. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 今後長期にわたっての航空輸送需要に対応するためには、B・C滑走路の建設を含む二期工事は引き続き促進する必要があると思います。このためには地元関係公共団体と話し合い、その理解と協力を得て二期工事を進めたいと考えております。地元からのこれまでの要望事項の具体化、さきに示した農業対策の具体化もあわせて促進してまいり、それによって二期工事を進めていきたい、こういうことであります。
  232. 秦豊

    ○秦豊君 大塚総裁に伺いたいのですが、二期工事を再開というより開始するための前提条件、まあ大臣答弁はかいなでの概論みたいなものだが、総裁はどういうふうに把握していらっしゃいますか。
  233. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 二期工事につきましては、ただいま運輸大臣からお答えになったと私も同じ考えを持っております。できるだけスムーズに二期工事を進めるというような観点から、地元の県、市町村等の自治団体と十分協議をいたしまして、その御理解と御協力を得て、しかもまた農業振興対策等によってできるだけ地元の農民の方々の御理解も得て工事を進める、こういうふうにしたいというふうに考えております。
  234. 秦豊

    ○秦豊君 まああなた答えにくいと思いますよ、運輸省にしたって、あなたにしたって。その一つ一つ条件が慣熟してないんだから、めどがないんだから、無理な質問だとは思いますよ。お立場はお察しするのだが、いつごろ工事にかかりたいのですか。めどもお持ちになれない状態ですか。いつごろ着工できそうなんですか。
  235. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 先ほど申し上げましたように、関係する方面が相当たくさんございますし、そうした方面と十分な協議をいたしたいというふうに考えておりますので、私の方であらかじめその協議に時間を限定するというのも非礼だと思いますので、公団としての内部目標といいますか、腹づもりは持っておりますけれども、いまの段階ではできるだけ十分御協議をしていくということにとどめたいと思います。
  236. 秦豊

    ○秦豊君 時間がありませんのでちょっとややラフ、乱暴にわたるかもしれないが、一つの提案のようなものを私はしたいと思う。私の試みの試論ですね、成田問題打開のための。それについて運輸と公団と双方の御見解を伺っておきたい、この時期に。  そのまず第一優先として、平行滑走路は捨てる。つまりBランはやめる。Cラン――C滑走路に集中する。利点については、松本さんなんか専門家なんだから言う必要もないぐらい、横風対策としての三千二百メーターのCランに集中する。一つの理由は、Bを放棄してCに集中するというメリットは、これであれば新たなターミナルもエプロンも必要でないはずだし、第二期工事の必要面積は、対象面積は、恐らく当初計画の四分の一くらいに圧縮できるであろうという私の試算があるためです。で、そうして付随的な条件としては、すでに買収した既買収エリアは返還をすると、こういうふうに思い切って頭の切りかえをやってみるつもりは全くないのかどうか、運輸省と公団双方に伺っておきたい。
  237. 松本操

    説明員(松本操君) 秦先生の御提案は御提案でありがたく拝聴したわけでございますが、いまの時点におきまして、私どもはいま仰せのような思い切った考え方というのを遺憾ながら持ち合わせていないわけでございまして、従前の考え方をもって対処してまいりませんと将来の需要に成田が対処できないのではないか、こういうふうに考えております。
  238. 秦豊

    ○秦豊君 がんこにそういう自説に固執されるのも結構だが、とにかく羽田が、あの中途半端な羽田が行き詰まるのはあと六年ですよ。いまのあなた方の姿勢では二期工事の開始はついに恒久的に不可能。やってみればいい。ああいう中途半端な農業振興策、これはおもちゃだ。戯画だ。やってみればいい。こういう思い切った案をいつか検討しなければならなくなりますよ、あなたの次の航空局長か、森山さんの次の大臣かしりませんけれども。  そこで、具体的な問題を会計検査院にもこれは伺わなければならぬ問題があります。それはたとえばパイプライン一つとってみましても、この千葉市内のいわゆる旧ルートですね、この一つの問題をとってみても、たとえば会計検査院は過日各行政官庁にまたがるむだ遣いとして百三十億見当のむだ遣いを具体的に指摘された。私に言わせれば、成田空港の建設こそが最も壮大な徒労であり、膨大なむだ遣いだという認識を私はぬぐえない。具体的に一々言っていると切りがないけれども一つだけ細かい例を挙げてみましても、たとえば旧パイプライン。言葉は悪いが、埋め殺しなんという状態もあるし、埋めっ放しというのもあるし、掘り起こして補修というのも、いろいろあるんだけれども、これなんかを会計検査院はかなりチェックをし、検査をしたんだけれども、厳しい裁定が下ったということは一向に聞かない。おたくは、裁判所で言えば判決に当たるのが、たとえばある事象を予算執行の状態を検査して違法事項、それから不当事項、特記事項、三段階あるでしょう、恐らく。ところが、成田については違法もなければ不当もない。だから、有権者の感覚から見れば、市民感覚から見れば、とんでもない、甘いなという印象を持たざるを得ないんだが、たとえばパイプラインにしても、それから消防法十一条の例の危険物施設の許可も得ないで大胆に着工したり、つまり無許可の工事に対して、工事の執行、予算がついた執行に対して会計検査院というのは何のチェックもやっていないのか、会計検査院法上できないのか、あなた方の立場として。はなはだもってその点が、百何十億のむだ遣いを指摘されるのも大変勤勉で結構だが、成田問題についてこういう現状を会計検査院としては、独立機関たる会計検査院が明確な峻厳な裁定を出せないということははなはだもって奇異に私感じているわけなんですよ。それについて、会計検査院の一般的な見解をまずちょっと手始めに伺  っておきたい。
  239. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 成田空港につきましては私どもも十分気をつけて検査しているわけでございますが、何しろ問題が非常に不当事項になじむかどうかというのがむずかしい問題でございまして、住民の反対等がありまして非常に困難な問題を抱えているわけでございます。決して検査をおろそかにしているわけではないのでございまして、昭和五十年の検査報告には、成田空港の遅延の問題につきまして、特に掲記を要すると認めた事項としまして問題を提起したわけでございます。  以上でございます。
  240. 秦豊

    ○秦豊君 あのね、松尾さん。たとえば昭和四十六年当時、スムーズにいっていれば、あのパイプラインは四十四キロメートルで百二十億円くらいでできたでしょう。あの魔の十一億円と言われている、あの大蔵省が渋った、あれがスムーズにいったという前提で。いまはどうですか。もう公団から資料を取ってみると、驚くなかれ千六百七十一億円かかるんですよ。ほとんど十四倍じゃありませんか。しかもこれは公団特有の資金の調達方法で、借入金が圧倒的に多い、これは。そういう仕組みになっているんです。由来この公団方式というのは、国の一般会計から回る金はわれわれ国会でチェックできるけれども、借り入れなんてやられますと、全くチェックできない。すべておたくの検査院にゆだねる以外にないわけですよ、しかも事後において。だから公団方式というのは、こういう巨大なプロジェクトをやる場合にだれもが思いつきやすいが、チェックを受けにくい。チェックしにくいという点では大変私、問題のある方式だと思っているんです。いまの会計検査院のやり方の中で、今後ともこういう膨大な国費がつぎ込まれるであろう成田空港の恐らく第二期は始まらぬと思うが、会計検査院は非常に物やわらかな、物わかりのよ過ぎるチェックしかできない。今後ともそうだと私は思っているのですよ。いままでのようなチェックの仕方で十全であるとお考えかどうか、改善するとすればどういうポイントがあり得るか、その点はいかがです。
  241. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) いままでの検査におきましても、われわれは決して手を抜いているわけではないんでございまして、何分――言わしてもらいますと、非常に少ない人数で、空港公団のみならずあらゆる方面の団体あるいは各省、団体を検査しているわけでございまして、その点であるいは先生のなかなか御指摘を受けるようなことがあったかと思いますが、今後とも公団につきましては、これからパイプラインの建設、千六百億ですか、こういうようなこともあるわけでございますので、その点につきましては今後とも十分に検査していきたいと考えております。
  242. 秦豊

    ○秦豊君 一つだけ具体的に聞きますがね、あなたに。たとえば、じゃ、大塚さんのところがやったことなんだけど、千葉市内の旧ルート、パイプライン、これは全部で七キロもあるんですよ。それでいままで撤去したのが五・二キロ、まだあいまいなのが一・八キロ、撤去に要した費用は三億円なんですね。これこそ典型的な二重投資、二重浪費、これこそ不当事項に当たるようなかっこうな例じゃありませんか。いかがですか。
  243. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 本格的パイプラインの新ルート決定によりまして、千葉市内の一部のパイプライン、既設のパイプラインを埋め殺し、埋め戻しですか、掘り起こしですか、そういう事態のあることは御指摘のとおりでございます。かかる費用も三億円に達しているということも御指摘のとおりでございますが、このような事態が直ちに不当事項に該当するかどうかというのはやはり若干の検討が必要かと考えております。このような事態が、しなければならぬ理由が、住民の特に強い要望によってやったとか、あるいは新しいパイプラインの基準が決まって、それに応ずるためにやむを得ずやったというような事態であれば、直ちにこの事態をもちまして不当であると言うにはいささかちゅうちょする面もなきにしもあらずと考えております。しかし、このような事態は五十三年度の事態でございますので、今後の検査におきましてその原因を究明しまして、不当事項に該当するかどうか、これは十分検討していきたいと考えております。
  244. 秦豊

    ○秦豊君 残り時間が多少ありますから松本さんに伺いたいのですがね。あなたの方で、例の羽田沖拡張の試案を拝見しましたけれども、まさしく試案にすぎないと思うんです。時間がないから詰めた言い方をしますけれども、東京都が言っております同規模移転、これはすぐパンクする、姑息。だめですね、これは。先見性がない。あなた方の案は、一見それよりは能動的である、やや先見性がありそうに思える。しかし、一つのポイントは機能拡大と騒音対策のバランス、国費のいわゆる節約という三位一体で考えなければいかぬのだけれども、そうすると、たとえば運輸省のこの案というのは、B14航空路とか横田あるいは厚木、つまり東京西側の空域ですね、この調整の問題とか、あるいは周辺海域の航路帯の問題とか、すべて障害はない、妨げはないと、大丈夫だという前提でこういう案ができ上がったんですか。
  245. 松本操

    説明員(松本操君) 空域の問題につきましては、将来の変化は別といたしまして、現状で考えればということで考えました。それから航路その他海面に関する部分については、東京都に対する返答の中にも記載してございますけれども、なお詰める問題は残っているという前提でございます。ただし、解決はできるという考え方に立っております。
  246. 秦豊

    ○秦豊君 年間二十四万回の算定基礎まで言ったらまだ十分ぐらいかかるから、きょうはやめましょう。  最後に、やっぱり日本全体で航空需要予測をしてみて、たとえば一九八〇年をまずとってみる、一九八五年をとる、九〇年をとる、二〇〇〇年はちょっと迂遠である。そうして日本全体にはマクロとして国際空港は一体どれくらい必要なのかと、そういう観点から考えて帰納してみて、帰納法を使ってみて、いまのいわゆる成田プラス羽田の拡幅で十全なのかどうか、日本には幾つの国際空港が必要なのか、こういうマクロから逆に考えていくという発想が運輸当局におありかどうかはまだわからない、聞いていない。しかし私は、いまの羽田の沖合いにもつと積極的な空港、たとえばこれから導入されるであろう新機種も考えて、三千二百メートルでは足りないと思う、全備重量で発進した場合に。やっぱり三千五百以上四千メーター一本、三千五百二本というふうな思い切った空港をつくり上げておいて、そのかわり、いまの羽田空港は思い切って廃止するというぐらいの思い切った発想に立って、そして羽田沖の新しい巨大な施設を第二国際空港として首都圏に位置づけるというふうな思い切った発想をしてみる考えはありませんか。
  247. 松本操

    説明員(松本操君) 私どもも、先生仰せのように、昭和六十年、六十五年あたりのところまでは見通し、何がしかの仮定に立って予測をしてみました。その結論を申し上げますと、羽田につきましては、われわれの考えておりますような形で国内航空の一つの大きな拠点として育てていきたい。成田につきましては、東側における最大唯一の、国際拠点にしたい。で、西側の方の大きな拠点といたしましては、新関西空港というものをなるべく早く完成をすることによって、国内線と国際線の一つの大きなよりどころにいたしたい。そのほかにも、現在議論されておりますとおりの千歳でございますとか、名古屋でございますとか、福岡その他九州の空港、先ほど御議論のございました那覇等を含めて幾つかのサブ的な国際空港というものは当然必要であろうかと思います。これらにつきましては、しかし壮大なという感覚よりは、むしろ十分にふとことを広くとって旅客のさばきがとれるというふうにしておけばよろしいのではないか、このように考えております。
  248. 秦豊

    ○秦豊君 終わります。
  249. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 他に御発言もないようですから、運輸省と、それに関係する日本国有鉄道決算についてはこの程度といたします。  次回の委員会は明十二月二十一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      ―――――・―――――