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1978-12-14 第86回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十二月十四日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 伊江 朝雄君                 志村 愛子君                 丸谷 金保君                 相沢 武彦君     委 員                 大鷹 淑子君                 北  修二君                 堀江 正夫君                 増岡 康治君                 下田 京子君                 立木  洋君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       三原 朝雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        総理府総務副長        官        住  栄作君        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       三島  孟君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        沖繩開発庁振興        局長       美野輪俊三君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  山口 健治君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        倉地 克次君        農林水産省農蚕        園芸局畑作振興        課長       伊藤 律男君        農林水産省食品        流通局砂糖類課        長        馬場久萬男君        労働大臣官房参        事官       鹿野  茂君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖繩における地場産業に関する件)  (読谷村の旧軍買収地に関する件)  (交通方法変更に伴う補償問題に関する件)  (対米放棄請求権に関する件)  (沖繩における老朽校舎社会体育及び厚生施  設に関する件)  (沖繩におけるつぶれ地に関する件)  (沖繩の基地問題に関する件)  (沖繩振興開発計画に関する件)  (沖繩における雇用問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  この際、三原総理府総務長官沖繩開発庁長官及び住総理府総務副長官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。三原長官
  3. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、大平内閣の発足に伴いまして、総理府総務長官沖繩開発庁長官の大任を拝命いたしました。まことに微力でございますが、誠意をもって諸施策の推進に全力を尽くしてまいりたいと思いまするので、委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻のほどを心からお願いを申し上げましてごあいさつとさせていただきます。
  4. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 住副長官
  5. 住栄作

    説明員住栄作君) このたび総理府総務副長官を拝命いたしました住栄作でございます。  はなはだ微力でございますけれども三原長官のもとで一生懸命に努力をしてまいりたいと思っております。委員長初め委員の諸先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  6. 西村尚治

    委員長西村尚治君) これより沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 丸谷金保

    丸谷金保君 長官新任早々で、まだ全体的な細かいことまではお聞きになっておらない面もあろうかと思います。しかし、前大臣からの事務引き継ぎの中で具体的な問題についてお受けをいたしておるかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。  前長官時代にも、事あるごとに、いわゆる沖繩本土との所得格差をできるだけ早期に埋めていく、そのためには沖繩地場産業開発と、なお残されておる戦後処理の迅速な事務的な解決というふうなことを申されておる次第でございます。  去る昭和五十三年五月三十一日に、私の質問に対しましても、たとえば読谷の飛行場の問題について、前長官から「国有地所有権にかかる問題でございますから、これは大蔵省において処理したということでございますが、御指摘の点もございますので、できるだけ事実関係調査をいたしまして、納得していただくような方向で進めてまいりたい」こういう答弁をちょうだいしております。しかし、残念ながら納得していただけるような、特に現地の納得のいただけるような調査の結果の説明はその後ないままに終わっております。  したがいまして、特にそれらの問題も含めて、前長官からの事務引き継ぎの中で重点事項としてお話を承り引き継いだ問題点がございましたら、まずそれをひとつ御報告願いたいと思います。
  8. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 読谷の問題につきましては、私、以前防衛庁長官をいたしておりました当時から、この地域の問題がきわめて戦後処理としては重要な問題でございますとともに、その内容がきわめて複雑多岐にわたる問題であるということを承知いたしておりました。  今回、稻村前長官から事務引き継ぎの際に、詳細なものはございませんでしたが、この問題は大蔵中心として具体的に検討を進めてもらっておる、大体一つ方向が見出せる整理された状況までくる段階にあると思うが、ひとつ万事よろしく頼むぞという引き継ぎは確かに受けておるのでございます。
  9. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから沖繩書籍類が非常におくれる。特に離島関係においては運賃加算というふうな問題がございます。  これらについては、いわゆる本土との格差を是正するということで、これも、私、三月に、同じように前長官には質問申し上げた問題でございますが、これも善処をするという約束だけですが、この件については引き継ぎを受けておりましょうかどうでしょうか。
  10. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 大綱的な処理引き継ぎを受けたわけでございますが、その中にはございませんでしたが、きのうあたりの私に対するレクチュアの中にそうした問題があったことは承知をいたしております。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 はい、結構です。  もう一点お伺いいたしますが、これはもう絶対に地場産業を発展させなきやならない、こういうことについての大まかな引き継ぎは受けておると思いますけれども、これを受けて、特にこの問題については、新長官としての沖繩地場産業開発についての考え方、まあ抱負経綸とまでいかなくても、現時点において考えておられる何かがございましたら、ひとつこの機会に御説明をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先生からきわめて理解のあるお言葉をちょうだいいたしておりまするが、私が確信を持ってお答えをし得るところまではまだいっておりません。が、しかし、沖繩の問題として本土との格差をなくしていく、そして自立して沖繩が健全な経営のできる体制に持ち込むためには地場産業整備が大事であると思うのでございます。特に第一次産業振興とともに、これと関連しながら第二次産業整備していかねばならぬと思うのでございます。また、新しく他から健全な、しかも沖繩県に適する第二次産業の誘致ができるかどうかというような問題も、これは新しい構想として考えねばならぬと思いまするけれども、やはり基本的には地場の第一次産業と関連を持たせながら第二次産業整備していくという方針で進んでまいりたいと思うのでございます。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで一つ地場産業で具体的の問題で御質問申し上げたいと思いますが、農林水産省、通産省、国税庁おいでになっておりますが、沖繩の非常に大きな産業でございます泡盛がございますね。私のいままでに聞いたところによりますと、この原料というのは、本来沖繩の島内で産出される穀類を使っているのでないというふうに聞いているのですが、国税庁の方でおわかりになれば、その点ひとつ御説明願いたいと思います。
  14. 亀谷礼次

    説明員亀谷礼次君) 所管省の御担当がいま見えてないようでございますけれども、私ども直接の担当ではございませんが、私ども承知しておりますので間違いなければ、原料タイの砕米だというふうに聞いております。
  15. 丸谷金保

    丸谷金保君 一般的には、沖繩産サトウキビなり何なりを使って泡盛というふうなものがつくられているというふうに恐らく大半の人は理解していると思うんです。しかし、私の調べたところでは、いまお答えのあったように、全く原料はよそから入ってきている、これはもう古来そうだったようです。  そうしますと、沖繩地場産業を考える場合に、沖繩にある産物ということを中心に考えないでも、もっと広範にそこいら辺の視野を広げる必要があるんでないか。かつての沖繩人たちが、最近はタイですが、昔は中国から入っておったというふうに聞いておりますが、そういうとこらから原料を入れていわゆる泡盛、クースというようなものをこしらえて日本に積み出していたというような視点を変えた地場産業開発沖繩の人が古来そういう知恵をしぼっていたようなことをいまの時代に焼き直して考えてみる必要があるんでなかろうか、かように思う次第です。  それで、いま一番沖繩で特に農村関係で問題になっておるものにサトウキビ振興の問題がございます。これは砂糖振興にもつながるわけでございますが、これらの現況と見通しについてひとつとなたでも結構ですから、開発庁として押さえている、あるいはまた振興について展望している政策計画等がございましたら御説明いただきたいと思います。
  16. 美野輪俊三

    説明員美野輪俊三君) 沖繩におけるサトウキビ生産は、これは沖繩農業中心的な基幹的な作物でございまして、大体、現在農業生産の約三分の一を占めておるというような状況でございます。さらに、先ほど来地場産業との関係におきまして問題が提起されてございますが、サトウキビは当然加工原料でございまして、これによります製糖業、分みつ糖製造あるいは含みつ糖製造等が県内において広く行われておるというところでございます。  私どもといたしましては、やはり将来とも沖繩農業における基幹的な作物であるという位置づけは変わらないものと、こういう見通しを持っております。また、農林省におきましても、全国的に甘味資源自給度を高めるという政策をとってございます。そういった方向とも一致するわけでございまして、われわれとしましては将来ともこれを伸ばしていかなきゃいかぬ。で、そのための基盤整備、これに復帰以来大いに力を注ぎながら努力をいたしてまいったところでございます。
  17. 丸谷金保

    丸谷金保君 沖繩の約三分の一というものを占める農業における非常に大きな基幹産業であるサトウキビ振興、これは客観的に言うとなかなか大変なようでございます。  先般、調査に参りましたときにも、サトウキビ産業というふうなものは非常に農民にとって大変だというふうな陳情を各地で受けました。実は、一つは、原料の価格、国際糖価との間に非常に大きな格差がございます。したがって、それらを踏まえて問題が大変だというふうなことでございます。また、もう一つは、反収の面においてもっと飛躍的な新しい方法がないだろうか。これは農林省にお尋ねしますが、サトウキビ品種改良についての研究はどのように進めておりますか。できればそれに要している予算、そういうものもあわせてひとつ御説明願いたいと思います。
  18. 伊藤律男

    説明員伊藤律男君) サトウキビ品種お話でございますが、品種につきましては、先生御存じだと思いますが、沖繩復帰するまではわが国ではサトウキビ品種改良につきまして、種子島九州農業試験場研究室がございますけれども、ここでは交配が温度の関係で低いものでございますからできませんで、外国お願いをいたしまして交配をしたものをわが国に持ち込みまして選抜をいたしておったような状況でございます。しかし、復帰をいたしましてから沖繩県の方に指定試験と申しまして、国の試験場でやるとほぼ同じようなことをいたしまして、研究者を国の試験場から派遣をいたし、そこで交配をいたすというようなことにいたしているわけでございます。そのほか熱帯農業研究センター沖繩支所石垣島にございまして、ここで育種の基本的な問題をやっているような状況でございます。
  19. 丸谷金保

    丸谷金保君 予算はどれくらい出ていますか。
  20. 伊藤律男

    説明員伊藤律男君) いま申し上げました国の研究機関予算でございますが、サトウキビ分だけの予算と申し上げるのはちょっと金額上わからないといいますか、分けることができないようになっておりますが、県に助成しておりますものの予算といたしましては、直接私の所管ではございませんが申し上げますと、五十三年度の補助額につきまして二百四十万の補助金を交付いたしております。これにつきましては、たとえばサトウキビ畑灌試験、それから病気の試験、そのほか株出し試験とか、いま申し上げました品種改良試験、その他いろいろ含めましてそういう金額沖繩県試験場の方に助成をいたしております。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと私の聞き間違いかとも思うんですが、二百四十万なんですか、けたが違わないですか。
  22. 伊藤律男

    説明員伊藤律男君) これは先ほど申し上げましたように、国の研究者人件費とか、それから国の試験研究機関金額については除いてございます。県に研究費として助成をしたものでございます。
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、サトウキビ品種良等については、県に委託してやらしているのは二百四十万で、国が直接手がけている分は予算上区別がつかないというわけですか。
  24. 伊藤律男

    説明員伊藤律男君) 県に助成いたします場合は、その区分がはっきりいたしております。  先生御存じのように、国の試験研究機関は人当研究費といいますか、経常研究費がございます。これにつきましては、大体サトウキビをやっている人にはサトウキビとしていくわけでございますが、先生のおっしゃるサトウキビそのものについてどのくらいいっておりますか、それをつぶさに分けるというわけには――これはサトウキビだけじゃございませんが、なかなかむずかしいという問題がございます。そのために、いま申し上げましたように、直接サトウキビのための研究助成ということになりますと、わずかではございますけれども、実際にはいま申し上げました県の方に行っております国の研究者、これにつきましては四、五名おりますので、こういう者が直接やっておるということにもなりますし、それから、熱帯農業研究センターの方で、人数は詳しく覚えておりませんけれどもサトウキビ育種等交配基礎的研究をしております者も二、三名おると思いますし、それから種子島の方にサトウキビ育種した後の選抜をやっている研究者もおりますので、これが何名かおると思いますし、またサトウキビだけじゃなくて、ほかのものも一緒にやっております者もおりますものですから、その辺も分け切れないというようなことでございます。
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 人件費関係については、それは一人で幾つもの研究をやっておるという場合もありますから分けられないということはございますよね。しかし、物件費関係は分けられますでしょう。予算要求をあなたたちはするときに積み上げていきますね、積み上げていくときの物件費の中で、これはサトウキビ品種改良に使うんだというふうな予算要求は行われないんですか。物件費は分かれますでしょう、決算でも予算でも。だから人件費とかそういう経常経費を抜いた面について、たとえば物件費中身はどうなんですか、そういう品種改良に向けて使われているものは。それも分けられませんか、どうなんです。
  26. 伊藤律男

    説明員伊藤律男君) 研究費中身物件費――物件費といいますと施設費それから機械類それからその他薬品とか、もろもろのいろんなものがございますが、これらを含めまして研究費となっておりますものですから、そういう点が必ずしもサトウキビだけでこれだけというふうには分かれておりません。で、特別に特別研究別枠研究というようなことで計上いたします場合は、その作物につきましての経費というのは分けられるわけでございますが、一般に、先ほど申し上げましたように、経常研究費の中でやるという場合には、これが分けにくいという現状でございます。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変細かい質問になるんですけれども、大体、話はそこまでいくんですよね、すると、分けられない、はい、そうですかと。しかし、私は、少なくともあなたたち大蔵予算要求をする場合の中身について、その程度のことで大蔵がうんと言うはずないでしょう、細かく積み上げているでしょう、その中では分かれていますでしょう、サトウキビのあれには幾らくらいかかりますよ、あるいはバラにはどれくらいかかりますと。したがって品種改良にはこれくらいかかるんですというふうなものを、あるいは決算でも出てきますでしょう。出てこないような共通的なものもありますよ。しかし、少なくとも予算要求段階では――あるいはそれじゃそれがもしも実際にいまここではすぐ出ないかもしれません、それはまた後でお聞きいたしますけれど、そうしますと少なくとも沖繩作物品種改良の全体として、人件費を除いてどれくらいのものを農林省としては投資しているか。細かい数字じゃなくてもよろしいです。私の聞かんとしていることは、要は、正確な数字というよりも、どれくらい熱を入れて品種改良農林省が取り組んでいるのかということを予算の上から引き出したいということが私の質問の真意ですから、そういう点を踏まえてひとつお願いいたします。
  28. 伊藤律男

    説明員伊藤律男君) 先生おっしゃいましたサトウキビ品種改良を初めていたします研究でございますが、いま申し上げましたように、経常研究費なり人当研究費なり、これにつきましてその中でやっているということでございますので、また先ほども申し上げましたように、温暖地研究室につきましては必ずしもサトウキビだけをやっているわけでございませんものですから、そういう点で分けられないのは残念でございますが、いま申し上げましたように、分けるというふうに考えれば研究者の頭数で申し上げるというよりしようがないんじゃないかと思っております。  そうなりますと、先ほど申し上げましたように、沖繩県には国が派遣をいたしております四、五名の指定試験研究者、それから九州温暖地研究室についてはここにおります研究者、また熱帯農業研究センター石垣島にありますそのセンターにおります研究者、これらがやっておるということでございまして、特に一昨年から指定試験というような形で、品種改良については、農林省といたしましては特に沖繩県品種改良指定試験を設けたということでございまして、指定試験を新しく設置したという例は非常に数少ないわけでございまして、そういう点ではサトウキビ品種改良には特に力を入れているということでございます。
  29. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、いまお聞きになっておると思いますが、たとえば沖繩基幹産業一つであり、三分の一を占めるというサトウキビ品種改良、これに対する農林省の取り組み方はこの程度だということをひとつ御記憶願いたいと思います。  細かい数字は出てきませんけれど、しかし、少なくとも本土との格差をなくするためにサトウキビ品種改良、いい品種をつくるというために全力投球をしているという姿勢は、いまの答弁の中からは私は受け取れないんです、やってはいますということであって。そうすると、いまどなたか開発庁の方が御答弁なされたように、サトウキビは三分の一だからこれはもう積極的にやっているんだということと実際の取り組みとは大分違うんです。ここいら辺に私は沖繩の問題全体を含めて、言われていることと現地に行って見たこととの違いというものを痛感いたしました。本当に沖繩の人に申しわけないと思います。この点をひとつ、大臣、できるだけ早い機会に、防衛庁の角度からでない沖繩の実態を把握されて、できれば私はきょう特にこのお忙しい時期に大臣おいでを願って委員会を持つに至った一つの経緯は、明年度予算編成の前にもう一度沖繩予算というものを洗い直して、少しもっと積極的にやってもらいたいことがたくさんあるじゃないか。その一つの例が私はいまのサトウキビ品種改良一つをとってみても非常にまだ積極性が欠けているというところに出てくるのではないかと思います。  二百四十万の県への委託費なんというのは、これはちょっと論外だと思います。けたが一つも二つも違ってもいいんじゃないかと思います。まあ受け入れる側の方にも問題があろうと思いますけれども、持にこの点についてはサトウキビは確かに沖繩の特産ですし、製糖工場もございます。しかし、外国から原料を持ってきて、それを加工して出すという沖繩知恵の中で、関税法との絡みで、これは砂糖類課長さんおいでになっていますね。農林省の。白砂糖にして国内に輸入した場合の関税法トン一万円というのはあれは直りましたか。
  30. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) 先生のおっしゃっております関税との関係でございますが、御承知のように砂糖関税がかかっておりますものを見ますと、一般に入っております原料糖――粗糖と言っていますが、これがトン四万一千五百円でございます。それから白砂糖とおっしゃいましたが、精製糖、これは関税定率法では五万一千五百円でございますが、暫定的に高めまして五万七千円というふうになっております。さっき先生がおっしゃいました一万円という数字は私ちょっと承知しておりませんです。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっときょうは関税の人を呼んでないので、これはこの前ビート糖関係のときに私が質問してトン一万円ということは関税関係の方は認められた。私はきょうはここへ条文を持ってきておりませんが、それは違うというのであれば、そのことはそうしておきましょう。  実は、サトウキビ振興の問題については、土地改良、その他多少提言も含めて御質問申し上げたい点があるのでございますけれども、この問題は相当広範囲にわたりますので、またいずれかの機会にじっくりとひとつ御相談も申し上げながら御質問いたしたいと思います。  それで読谷村の関係の問題でございますけれども大臣、大変その点について詳しく現地状況等御存じだということでございますが、実は、大蔵省の方はこの問題はすでに解決済みだというふうなことを文書で私たちもちょうだいいたしております。当時の状況から見て、すでにほかの方もお金を払って強制収用したんではなく、私法によるところの売買で買い上げているので解決済みだというふうに大蔵省は出しているんですけれど、大蔵省の方がおいでになっておりますが、この前出した文書から以後の取り扱いというふうなことはその後進展いたしておりませんですか。
  32. 山口健治

    説明員山口健治君) ことしの四月十七日に衆議院予算委員会に対しまして、大蔵省から「沖繩における旧軍買収地について」という資料、これは報告書のようなものですが、そういう資料を御提出したわけですが、その後、本委員会でも五月三十一日に御審議がありましたし、衆議院沖特、そのほか参議院の決算委員会等でも御審議がありましたけれども、この報告書資料内容についてどうかと言われますと、その御審議を経た後のいまの段階でも結論としては何ら変わっていない、こういうふうな状況にあります。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 「すべて私法上の売買契約によって買収されたものと認められる。」こういうふうな大蔵省の見解が当時出されましたですね。それで売買契約によって買収した場合には権利の移転登記ということは当然行われますね。その関係はどうなっておりますか。
  34. 山口健治

    説明員山口健治君) 権利の移転登記につきましては、当時、太平洋戦争中のことでございますので、その登記簿あるいはその契約書あるいは領収書、その他用地の買収に伴う関係書類が残っております、そういう直接的な資料が残っております石垣島、宮古島等の先島においてはきちんと売買契約及び代金の支払いに基づいて登記が移されておりまして、現在でもその登記が時によってもその効果が変更されることなく法務省の政令によって受け継がれております。  沖繩本島と伊江島につきましては、戦前、軍が買収した際に登載したと思われる登記簿等はいまだ発見されていないのですけれども沖繩本島及び伊江島における買収手続及び代金支払い方法その他は先島と全く同様でありまして、先島とほぼ同時期に買収その他の手続が行われていますので、登記簿は現在は見つかってないのですけれども、戦後、所有権認定作業という作業によってもう一回土地の所有関係を確認したということもありまして、その土地所有権認定作業に基づいて現在の登記簿は本島及び伊江島ではできておるわけでございます。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでその所有権認定作業という手続によって一応終了したと。権利関係の当時における申し出もなかったのだし、というふうなことが大蔵省がこれはもう完了したんだという一つの大きな根拠になっておりますわね。  しかし、実際には、あの当時の米軍占領下における沖繩の人心といいますか、こういうふうなものを勘案しますと、とても米軍が占領しているところをおれの土地だというふうなことを言うべくして言えなかったというふうな状況、こういうふうなことは当時の占領下において考えられませんか、どうですか。
  36. 山口健治

    説明員山口健治君) 実際に旧軍が買収したのは昭和十七年から十九年にかけてなんですが、その所有権認定作業が行われたのは昭和二十一年から昭和二十六年まで、米国海軍軍政本部指令によって令命が発せられて、それを受けて当時の沖繩県の機関に相当する沖繩諮詢会あるいはその後の沖繩民政府という機関がその下部機関として市町村を使ってやったわけでございます。  当時の実情について現在残っております資料とか記録、その他関係者から事情を聴取いたしますと、米軍が使っている土地であっても、自分の所有地であるということを主張する人は申請を遠慮なく出してよろしい。それからまた必要によっては、そのさくの中に、基地の中に立ち入りを許して現場を見せることもするというようなことが言われておりまして、現に二、三の基地では、その憲兵の立ち入り許可証などが発見されているわけでございます。ですから、私どもといたしましては、土地所有権認定作業というのは、各市町村長が隣接地主の立ち会いの上で、境界、その他面積等を確認した上で市町村長が証明書を発行しておりますし、争訟手続、調停裁判制度等もあったわけでございまして、きちんと行われたというふうに考えております。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 ここにもそういうふうに書いてあるんですよ。私それ読んでみまして、隣接地主なんて一体いたのかということです、立ち会いと言うけれども。全部の三百何十人という人が飛行場に提供して立ち退いて飛行場になったんですが、そこのところで、一体、ぼくはこれを読んで不思議に思ったんです、大蔵省は隣接地主立ち会いの上で確認したと言うんですが、こんなことできると思いますか、どうやってやるんですか。
  38. 山口健治

    説明員山口健治君) どのようにしてその隣接地主が立ち会って現場検証をやったのかという御質問でございますが、残念ながら昭和二十一年から二十六年の間というのは、日本政府の行政機関が全然存しなかったわけで、それを大蔵省あるいはその他の省庁をして公式に確認するということはできないわけですけれども、当時のいろいろな事情を聞いたり、あるいは残存している費料を見ますと、所有権認定作業の際に、旧地主が提出する所有権申請書、これには図面を書いてつけて、それから面積を付記して住所、地番、地目等、それから自分の所有者の名前、そのほかに隣接地主二人の署名捺印をしたものは全部提出されておりまして、われわれそれをみんな持っているわけでございます。したがって現場で二十一年から二十六年までに、実際にある一定の土地を認定する際に、どういうふうに立ち会いが行われたかということはここでは私何とも申し上げられないんですが、後から申請書の内容を見ますと、署名捺印の二人の地主がきちんと整えてあるものですから、これはまず間違いなく市町村長の監督のもとに行われたのではないか、こういうふうに判断いたしておるわけであります。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、このときの調査を見ますと、沖繩本島だけでなくて、宮古や八重山みんなやっておるんですね、その状況も出ておるんですが、私は読谷の場合とほかの場合とちょっと違うと思うんですよ。というのは、あそこは非常に戦局が悪化してきてから急いで飛行場をつくっている。この間、現場へ行ってみてつくづく私たちそう思いました。やはりこういうところは、実際に現場へ来て現場で話を聞かなきゃだめだなと思いましたのは、飛行場がみんなが一生懸命やってやれできたと、あしたから飛行機が飛べるというのを待っていて向こうがそこへ来たんだそうですね。何のことはない、米軍のために飛行場をつくってやったようなものだと。一番先にそこは占領されたところなんです。そうすると一番先にそこらの人だっていなくなりますわね、被害も多い。それが戦後米軍の施政下のもとで、町村長立ち会いといえども、これはいまのような公選の町村長じゃないですわね、日本に復帰した後の。そういう中で一体隣接地主立ち会いでできた書類が平穏かつ公然とつくられたものかどうかということに疑いをお持ちになりませんか。
  40. 山口健治

    説明員山口健治君) 認定作業について先生石垣島や宮古島も行われたのではないかということを申されましたが、私どもが調べた限りでは、これははっきりしていると思いますが、石垣島、宮古島等、いわゆる沖繩で言う先島については戦前からの記録、登記簿あるいは公図、土地台帳等が全然滅失しないで残っていたものですから、土地の位置境界とかあるいは所有権関係について政府や市町村と住民との間でも、それから住民の間でも全然争いや疑義が起こらなかったわけです。したがって先島については所有権認定作業は行われていないわけです。所有権認定作業が行われたのは本島と伊江島のみと、そういうことになっているわけです。  それから具体的に認定する際のときのお話ですが、実際に認定作業の結果争いがあった場合には調停制度というのが沖繩県に相当する民政府にもありましたし、それから三十日間縦覧もしましたし、その後さらに裁判によって訴訟が提起されておりますし、また裁判によって土地を取り戻された方もおられますし、現に復帰前からその制度に基づいて現在なお訴訟を継続されている方もおりますし、かなり、かなりというか自由に自分の権利は主張できるような状態で公平に行われたのではないかというふうに考えております。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 これはわずかな土地で裁判をやったら元も子もなくなりますよね、意地でやる人は別ですよ、これはおわかりでしょう。やはりこれだけたくさんの零細な地主のいる土地を裁判で解決すればいいじゃないかということは実際問題としてできないことをやれと言っているんですよ。それは五月の答弁にもあります。だから、私は、そのときも一体裁判でやれるような事案ならわれわれはここに持ち出さないと、そしてそれについて大臣はいろいろ問題もあるからさらにもう一回調査すると、こういうことなんですが、どうもその後この問題について深く調査した気配もないんです。そうしておいてたまたま七月の三日、四日、われわれが沖繩に当委員会として出張した際に読谷の飛行場に何百人という人が集まって、とにかく、お願いしたい、われわれ金ももらってないのだと、こういう話なんです。  いまお伺いしますと、そういう認定作業の中身、書類は確かにできているでしょう、中身についてさかのぼっての確認なり調査ということは本土復帰後行っておるんですか。
  42. 山口健治

    説明員山口健治君) 土地所有権認定作業の中身、具体的にどういうふうにやったか、その実情という御質問だと思うんですが、それにつきましては二十一年から二十六年という大分昔の、しかも直接米軍によって占領されて米軍の軍政府、軍の統治時代でもありますし、日本政府の機関の手でその当時の実情がどうであったかということを調査したとか、あるいは調べて報告したとかいうものはないわけなんでございますけれども、当時、所有権認定作業に従事されていた関係者の方々がたくさんおられるわけです。それは旧地主さんを初めとして役場とかあるいは県の関係の方々、それらの方々からの事情聴取等によってほぼ間違いなく行われたのではなかろうか、こういうふうに判断しているわけでございます。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 認定作業を行ったその当時の書類というのは、われわれでも拝見させていただけますか――われわれでもじゃなくて、われわれか拝見できますか、委員として。
  44. 山口健治

    説明員山口健治君) 当方あるいは沖繩現地の総合事務局で調べたものとか、あるいは聞き取りをしたものはかなりございますけれども、これは何も本件、沖繩の土地問題だけではございませんけれども一般に国有財産行政におきましていろいろ争いとか意見が対立したりあるいは訴訟になったりするケースが非常に多いのですが、そういう事案についてだれがどう言ったかということをいままで公開したりあるいは国会に提出したりした例がございませんので、それはちょっと私は非常にむずかしいと思います。
  45. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の言っているのは、そういうその後のいろんな調査状況の書類を見たいというのでなくて、認定作業が行われて隣接地主が確認して判こを押していますわね、町村長と、この書類です。これは見せられますでしょう。
  46. 山口健治

    説明員山口健治君) それは申請書についてございます隣接地主の署名捺印された書類ですね、これはサンプル的にお見せすることはできると思います。
  47. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでその書類に瑕疵があった場合にはどうなります。要するに地主だとして判こを押した人が地主でなかったと、そういうことはよくあるんです、ああいうどさくさのときですからね。とにかくおまえとおまえ名前書いて判こを押してくれと、これもうとにかく片づけなければならぬからというふうなことで、隣接地主でも何でもない人があたかも隣接地主のごとくにして判こを押した、こういうことになったら、この書類そのものが間違いだということになりますわね。そうなった場合、大蔵はどうします。
  48. 山口健治

    説明員山口健治君) 所有権認定作業の際に出された申請書の中に押されてある隣接地主としての署名捺印が本当ではなかったということがもしあるとすれば――私はないと思いますが、あるとすれば、それは当時の米軍の布令、布告あるいは沖繩民政府の出した通牒に違反したということになりますので、その限りにおいては法令違反の作業内容だったということになるわけですけれども、ただ、認定作業自体はもうすでに終わりまして、復帰いたしましてもう法令の体系が全然違ってしまったものですから、それを現在そういう問題が起こった場合にどういう処理するかということは、私ちょっと、相当これは法務省とか関係当局、沖繩開発庁等と十分協議して検討しませんと、この場では何とも申し上げかねると思います。
  49. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと大臣お願いします。  大臣、いまのように読谷の飛行場の土地の問題につきましても、米軍の施政下にあったときの行政事務手続によって確認されて終わっているということで、書類そのものには間違いない。しかし、その書類作成の段階においてもしも間違いがあれば、大蔵のいまの見解というのは根本的に崩れちゃうわけなんです。そういうことで終わっているのだという見解を再三にわたって大蔵省は発表しております、文書もあるんです。いまも質疑の中でお互い確認しながら質疑を進めたのですが、だからそれはあることは間違いないのですが、その書類そのものが間違っていたとすれば、これは大変重要な問題になってきます。それは即答できないと言うのです。そうなると、これはもう政治的に判断して総合調整機関としての沖繩開発庁が入って各省を調整して結論を出していただかなければならない、こう思いますので、その点についてひとつお願いをすると同時に、大臣としての所感をお願いいたしたいと思います。
  50. 山口健治

    説明員山口健治君) 何か質問をさえぎるようで恐縮でございますが、私の先ほどの答弁にちょっと追加させていただきたいのですが、サンプルをお見せできると申し上げたのですが、もう少し正確に申しますと、所有権認定作業というのは一応国、県、市町村及び民有地全般についてやったわけですが、沖繩民政府の発した指導通達、指導文書によって公有地――国有地、県有地、市町村有地については申請書を出す必要がない、そういうふうにされていたわけです。したがって旧国有地あるいは県有地、市町村有地等については申請書もないし、それから、当然、申請書がないのですから隣接地主二名の署名捺印でもって確認するという文書もないわけです。私がお見せできますと申し上げたのは、民有地についてはそれは全部きちんと整っているわけです。したがって民有地についてお見せすることはできますと、そういう意味でございます。
  51. 丸谷金保

    丸谷金保君 といいますと、あれですか、すでに読谷の飛行場の大半は国有地になっていたからそういう作業は行われなかったと、こういうことですね。
  52. 山口健治

    説明員山口健治君) 読谷飛行場と一口に言いましても、具体的にこうずっと線を引いていきますと、単純な四辺形とか何かというわけじゃなくて、かなりいろいろでこぼことか凹凸がありますから、十七年から十九年にかけて買収して国有地となった部分についてはないわけです。
  53. 丸谷金保

    丸谷金保君 ですから、結局は、大蔵ではこういう認定作業をしたのだから確定しているのだと言っても、実際にいま地主たちが何百人も集まって騒いで、われわれの委員会が行ったときにも、前委員長はきわめて歯切れのいい、それはもう皆さんの意志を継いで当委員会としてしっかりやります、もう一遍やり直しましょうというふうな歯切れのいい答弁を、そこで名演説をやっておられたのですがね、非常に皆期待しておるんです。私のところへも再三電話なんかがかかって、どうなったと。  時間もあれですから、きょうは、大臣もまだ就任早々で細かいことにまでてきぱきと御答弁することもできないでしょうから、問題としてもう一つ挙げておきますが、実は、そのとき、旧軍が買い上げたと言ってから後、お金をもらってないから相続登記が行われておるんです。それが新しい問題として、大蔵の見解が出てから提議されましたね、ようやく見つかったと。私たち七月に行ったときもそういう話を聞いています。だから、何にもないので困っていたけれど、たった一枚だけど所有権が移転していない証拠が見つかったんですと、読谷の村長がわれわれ委員のところに持ってきて見せてくれました。この問題についてはすでに大蔵の方にも話が来ていると思うのですが、昭和十九年の九月の二十日に当間平三さんという人から当間平一さんという方に相続のための移転登記が行われておる。そうすると、これは現地人たちにしてみれば、とにかくいままで何かないか何かないか何かあればということでずいぶん言われて、なくて困ったんだと、ようやく見つかりましたということなんです。こういう証拠も出てきたわけですよ、当時明らかにまだ所有権の移転は行われていないという。しかも、お金も受け取ったり支払ったという証拠も何も残っていないんですよ。  それからもう一つ、いま明らかになったように、権利の確認のために米軍施政下時代にやったということについても、実際にはもうほとんどそういう地主さんたちの確認は行われていないわけですよね。それが唯一の大きな法的な根拠になっている、そのこと自体からも行われていなかったんです。私はこれは行われたと思ったんですよ、この書類を見る限り。これ読んで行われていないなんと思う人はいないですよ。まことにそういう点では上手に書けているんですよ、おたくの方の発表は。しかし、いま聞いてみたらほとんど行われていないということでしょう、それなら。それをあたかもほとんど行ったがごとく大蔵報告はなされて、終わったと言っているんです。これはもう少しこれをもっと詰めなければなりませんし、権利関係の中でも大変むずかしい、権利者の確認にも非常にむずかしい問題もあるようです。ですから大変な問題だということはわかります。現地も大変だと思うんです、実際に返してもらうとなってもこれは大変だと思うんです。しかし、それはそれとして、戦後処理のこういうことがきわめて形式的に終わったとされながら、実質的には当時の沖繩人たちの立場に立ってやられないで、これは逆に為政者の立場に立って終わったような手続行為が行われていったということは私はこれをずっと見れば見るほどそういう感を深くするんです。けしからぬし、われわれとしても申しわけない。  そういう点について、ひとつ締めくくりに、大臣、今後のこの問題について、前大臣もさらに終わったんでなくて、もう一度調査しなければならぬということを御答弁しておられるんですが、大臣としてのひとつ、余りきりきりした話じゃなくてよろしゅうございますから、締めくぐりにお答えをちょうだいいたしたいと思います。
  54. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 読谷の土地の問題は、先ほど来大蔵関係者からるる所有権認定作業の経過等の御説明がありました。自分たちとしては信憑性については十分自信を持って調査を進めてまいったというお話がございました。しかし、また一面、もとの地主さんあたりからいろんな御意見のあることもいろいろ御指摘がございました。そこで、最終的にはこの問題をどう処理するか、事務当局がこれまで努力をし、現地におきましても努力を払われてこられたわけでございまするが、しかし、その問題がまだ解決をしていないという現実は現実として踏まえざるを得ない。そういう立場で最終的にはこれが調整の役をせなければならぬ総理府総務長官としては、どう政策的にあるいは政治的に関係省庁と連絡をしながら結末をつけるかという問題が確かに残っておるなあという私は受けとめ方をいたしておるということをきょうは申し上げて、対処してまいりたい、そうお約束をいたします。
  55. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 きょうは沖繩問題にしぼって質問をしたいと思います。  三原さんは沖繩開発庁長官としては復帰後九代目の長官に当たるわけですが、沖繩には今日対米放棄請求権などの未解決の戦後処理を初めとしまして、本土との格差是正、それから自立的な発展を目指す振興開発の推進など、重要な問題が山積みされているわけでございます。新長官に対して開発庁の事務当局は大物長官としてその手腕に期待をかけているようでございますが、一方、沖繩県民から見ますと、昨年五月の地籍法国会当時は防衛庁長官として在任されていたわけでして、いわば反対側におられた人、こういうイメージがあると思うんですが、私は三原長官とは衆議院の石特時代からのおつき合いを通しまして、大変人柄の円満な、事に当たって誠実第一で臨む人だと常々敬意の念を抱いているわけでございますが、沖繩県民の中には、新長官は本当に沖繩の県民の心をくんで今後沖繩の施策を進めてくれるんだろうかと不安に思っておられる方もいらっしゃるようなんで、ここで長官に諸問題に対処する基本的姿勢といいますか、心構えといいますか、それをまずお伺いしておきたいと思います。
  56. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私は、沖繩の問題を処理するに当たりましては、戦前戦後、非常に沖繩が厳しい状態の中で過ごされたというそういう歴史的な事実を踏まえ、また、今日、基地問題が存在をし、全国各県の状態から見まして基地の過重負担をお願いをいたしておるという現実を踏まえて、県民の心を拝察しながら沖繩開発については対処せなければならぬ、このことは私は防衛庁長官をいたしておりましたときにも同様でございまするし、また沖繩開発庁長官という立場に立ちますれば、なお一層そういう感を深くいたしておるのでございます。  いま具体的な施策について先生から御指摘がございましたように、そうした私は姿勢で対処いたしてまいりたいということでございまするが、沖繩はいま申し上げましたような終戦当時から苦労を重ねられて今日復帰して七年になんなんといたしておるところでございます。その間、施策といたしましては、本土との格差をなくしていこう、そして自立してよりよい県政が運営されるために開発計画を策定をしていただいて、これと取り組んでまいっておるわけでございます。今日、開発計画の推進の成果を見てまいりますると、あるいは道路でございまするとか、あるいは空港、下水等につきましては、一応、本土並みの体制にはなってまいりましたけれども、その他の施策、たとえば医療でございまするとか、あるいは大事な県民の福祉政策あるいは水の問題等におきましても、まだまだだという状況下にございます。県民所得にいたしましても、まだ本土との格差が、詰まってはまいりましたけれども、相当開いておるという現況でございます。  なお、私は長官になりまして、いままで国会で各大臣なり所管局長などが答弁をいたしました書類をざっと見せてもらいましたが、どうもここ一、二年同じようなことをお答えしなければならないという結果が生まれておる。で、私は、昨日も沖繩問題の検討をいたしました際に、そういうようなことを書面で見るが、どうだということを私から反問をいたしたぐらいでございます。それに対して、いや中身は具体的にこう進んでおりますという説明も受けましたけれども、まだまだの感を深くいたしておるわけでございまして、これから具体的な問題をとらえてこれが解決に対処をし、開発十年計画の終末には必ず計画の実績を上げてまいりたい、そういう責任を痛感をいたしておるのが現在の私の心境でございまして、よろしく御指導、御鞭撻を願いたいと思います。
  57. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 多事多難な問題が山積みされている沖繩にありまして交通方法変更の大事業が実施されたわけなんですが、しかし、事後処理の問題がこれまたたくさん残っております。先日、新旧長官引き継ぎのとき、前任者である稻村長官が、あの歴史的な交通方法変更の成功は皆さんの努力のたまものである、こうおっしゃって離任の弁を述べたんですが、交通変更はまだ一切終わっていないわけでありまして、現在残っている問題が解決されて、また県民の方たちが本当に変更してよかったと、こう評価して初めてこの交通変更の大事業が成功した、こう言えるんだろうと思うんです。  この問題について、大臣は、今後、どういうように対処されていくのか、基本的なことで結構ですからお答えいただきたいと思います。
  58. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) この問題は、御承知のように、交通の安全ということを中心にし、また本土沖繩と関連をしながら交通関係の合理化、また県民の利便に供したいというところで実施をやったわけでございまするが、しかし、十分に県民がぜひやってほしいという体制というよりも、こちらから実はこういう国家的な方針のもとに進めたいということでまいったことも承知をいたしております。その結果、交通安全につきましては、その成果は徐々に上がりつつあると思います。しかし、これに伴います交通施設等の整備でございまするとか、あるいはまた特別事業をこれがために実施をするというようなことについて、すでに着手はいたしておりまするけれども、完全に終わってはいないという状態にあることも承知をいたしておりまするので、いま申されましたように、交通関係のこの計画の完全実施、完全に終了するという段階までには幾多の問題を処理していかねばならぬということを考えておるところでございます。
  59. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 この一番の問題は、交通変更に伴う損失補償の問題だろうと思うんですが、損失補償について今日このように問題化してきた大きな原因は、要綱発表の時点で特別融資をも含めて損失補償全体に対する政府の基本方針、これが明確にされなかった点にあるんじゃないかと思うんです。特別融資について七月三十日以前に明示されたんですが、それ以外の補償についてはケース・バイ・ケースで行うんだということであいまいなんですね。確かにその時点では損失の実態というのは七月三十日以降でなければ明確なことはわからないかもしれませんが、制度的にどうなのか、それから実態把握についてはどうするのか、こういった基本的な考えを明確に初めからすべきではなかったのかと思いますが、この点いかがでしょう。事務局で結構です。
  60. 三島孟

    説明員(三島孟君) 御指摘の交通方法の変更がそれぞれの企業に経済的な影響を及ぼす場合の対処の仕方につきましては、実は、これは確かに事前の段階では必ずしもどういう形でその影響があらわれるかはっきりした形が把握しがたいという点もございますけれども、私どもとしましては、やはりこの問題につきましては、できるだけその実態把握に努めて、それぞれのケース、ケースに応じて必要な措置をとるということを基本的な方針といたしまして、したがいまして、私ども、体制的にも、御存じのとおり、交通方法の変更については総理府に交通方法変更対策本部というものが置かれておりますが、この交通方法変更対策本部を七月三十日の変更実施後も引き続き存置する、また私どもの方から現地の方に駐在官を出しておりますけれども、その駐在官も引き続き現地に駐在さしまして、できるだけ実態把握に努めて必要な措置を講じていく、こういう考え方で臨んできたわけでございます。
  61. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 損失の実態は七月三十日以降でなければわからない、それ以後調べてということになるんですけれども、損失の直接補償については七・三〇以前に、ここにありますけれども、何ヵ所からか陳情書が出されておりまして、当然大体変更すればこれぐらいの損失というものが出てくるんだということはあらかじめ予測されていたと思うんですよね。ですから、やはり踏み切る前に、ある程度の基本方針というものを明確にしておいた方がよかったのじゃないかと思うんです。  それから、今日まで数日にわたって衆、参の委員会で論議されましたけれども、現在なおまだ政府の基本方針というのは明確になってないと思うんです。  前長官答弁にしても、ここに損失補償についての長官発言経緯というものを全部日にち別につくってみましたけれども、二転、三転しておりますね。七月二十六日、これはマスコミのインタビューに対してケース・バイ・ケースで対処するというのが政府の方針であると。八月十五日の衆議院の内閣委では、被害の申し入れがあれば調査して、できるだけ救済をするとなっていますし、また九月二十二日の参議院の交通安全対策特別委員会では、いまの制度それから情勢を踏んまえても補償は無理だ、融資で救済措置を進めるんだというように変わっていますね。ですから、政府として正式に文書で基本方針というものを明確にする必要があると思うんですが、これについてはどうですか。
  62. 三島孟

    説明員(三島孟君) 経済的な著しい影響を受けた企業等からいろいろな御要望があるんではなかろうかという点は、私どもも十分事前の段階においても承知しておったわけです。ただいま御指摘のとおり、事前の段階でも、たとえば右側でお店を開いておったけれども、交通方法が変わるわけですから反対側の方にお店を移転したい、あるいは商売の内容を変えたい、あるいは設備を変更したい、こういう御要望が個別的にも、または商店街一同というような形で私どもの方に直接また県を通じて御要望等もございましたので、そうしたものにつきましてはやはり何らかの方法を講ずるべきじゃないかということで、沖繩開発庁その他の関係の向きとも御相談いたしまして特別融資制度の道を開きまして、長期低利の融資制度というものを創設していただきまして、それを御活用いただくようにお勧めするということを考えたわけでございます。  それから、実は、そのほかにもまだいろいろな御要望があるんではなかろうかといった点も考えられましたので、いわゆる経済的影響に対する救済措置につきましては、できるだけ実態把握に努めてケース・バイ・ケースで必要な措置を講ずるということを前の長官もいろいろな機会に言明されておったわけでございますけれども、事実、交通方法変更実施後、私ども現地の出先、あるいは私どもの方にも直接いろんなお話も出てきておるわけでございます。たとえばお店の付近に横断歩道を新たに設置してほしいとか、あるいはバスの停留所の設置について考えてほしいとか、あるいは中には就職の御相談等もございます。そういういろいろな御要望が出てまいりましたので、そうした御要望をお聞きした際にはできるだけ実態把握に努めて、関係の向きとも御相談して必要な措置を講ずる、こういうふうにしておるわけでございます。したがいまして、いま申し上げたような考え方というのは、実はもう最初の段階から私どもはっきり持っておったわけでございますし、国会その他におきましてもしばしばお話し申し上げておるところでございます。
  63. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 営業補償の問題について、事務当局は、現在のこの制度のままでは無理だということで幾つかの理由を挙げられているわけなんですが、この七・三〇事業については要綱で明確に「交通方法の変更に伴い県民が被る物心両面にわたる負担を極力軽減することにより」また「交通方法変更のため必要な措置に要する経費については、原則として国の責任において措置する。」こう県民に約束されておるわけですね。  それから、七・三〇事業は、過去においても、また今後将来にわたっても沖繩県のみが受ける唯一の事業であると思うんですよ。そういう点から考えましたときに、何も決め手をこれ以上もう求める必要はないんじゃないか。また、各方面への影響についても七・三〇事業はこれは沖繩に対する特別事業なんだということで割り切ってもさほど国民全体から批判なり問題として取りざたされることはないんじゃないか、このように思うんですが、この辺いかがですか。
  64. 三島孟

    説明員(三島孟君) 交通方法変更対策要綱にも明らかにしておりますとおり、交通方法の変更といいますのは国の施策として実施するわけでございますから、できるだけ沖繩県民には経済的な負担をおかけしない、原則として国の責任において財政的な措置をするという方針で臨んできておるわけでございます。したがいまして、もうすでに御報告申し上げておりますとおり、五十二年度、五十三年度にわたりまして総額二百十五億の予算を執行してまいったわけでございます。その中身といたしましても、交通安全教育とか交通安全施設の整備とか、、そういった面の事業、あるいは県民に直接関係のございます個々の自動車の前照灯の切りかえとか、あるいはバスを新しく切りかえるとか、こういう必要なものにつきましては全部国の責任において措置してまいったわけでございます。  ただ、確かにいろいろな形で県民の方々に物心両面の御負担をおかけする、御迷惑をおかけすることも事実だろうと考えられますので、すでに御承知のとおり特別事業というものを国の責任において実施することとしておるわけでございます。この特別事業につきましては、県の方からたとえば交通安全教育センターとかあるいは病院、道路の整備等につきまして御要望があったわけでございますけれども、道路の整備の方はもうこれは建設省の方でお考えいただいておるわけでございますが、道路整備以外の問題につきましては、総額六十億円を総理府が一括して予算要求する、大体三年計画で考えておりますので、初年度分として五十四年度には二十億を予算要求しておる段階でございます。この特別事業は、さっきもちょっと申し上げましたとおり、まさに県民に御迷惑をおかけしたものに対する代償的な意味が主たる目的でございます。  それから、確かに先ほど来お話しがございましたとおり、いろんな形で影響が出てきておるわけでございますけれども、それらにつきましては、できるだけその特別融資制度を御活用いただくということで私どもいろいろお勧めしておりますし、また、その他いろいろその御要望があった点につきましてはできるだけ実態の把握に努めて、私どもの方としても関係の向きともいろいろ御相談申し上げて必要な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  65. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、県、市の調査結果に対する国の対応についてお伺いしておきたいんですが、前長官は十月十八日の衆議院沖特で、いまの制度では無理だ、こうしながらも、県側の調査結果が出て事務当局と詰めた上で特別融資の枠組みから外れるものは場合によっては政治的決断をしたいんだ、こう述べられているんですが、ここに言うこの枠組みから外れる範囲というのは、一体、どういう内容なんでしょうか。
  66. 三島孟

    説明員(三島孟君) 私どもの方もできるだけ実態把握に努めたいということで、現地に駐在さしております駐在官がいろんな形で実態把握に努めておるわけでございますが、さらに県の方におかれましても県のお立場で実態調査をされるということをお聞きしておるわけでございます。その実態調査を来年二月ごろまでにはまとめてみたいというお話でございますので、恐らくまとまった段階では私どもの方に御提出されると思いますので、それを私どもの方も実態把握の一つの参考にさしていただきたいと思いますけれども、それがどういう結果になるかはちょっと私どもいまのところはっきり承知しかねるわけでございますけれども、ただ、私どもの方としましては、これも従来から繰り返し申し上げておりますとおり、いままで私ども承知しております営業上の影響に対しましては、これは補償という形で対処するのはなかなかむずかしいということは言えようと思います。  これは前にも申し上げておるとおりでございますけれども、直接的に財産権を侵害したとか、あるいは公共の利用に供したということであれば補償の対象になるわけでございますけれども、今度の場合におきましては、そういう直接補償の対象にはなりかねる問題でございますから、特別融資制度等の道をひとつ開きましたのでそれを御活用いただく。また、そのほかいろんな形のものが出てまいりました場合には、それを私ども十分検討さしていただきまして必要な措置を講じさしていただこう、こういうふうにいまの段階では考えておるところでございます。
  67. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 先般、那覇それから宜野湾などの三市で調査結果がまとまって、今後さらに県が全県下における調査をまとめられるということですね。これはアンケート調査でやられるんだろうと思うんですけれども、それだけじゃ前長官の言う枠組みから外れるものの実態というものは出てこないんじゃないかと思うんですよ。県側がおっしゃっているのは、廃業、休業、移転を考えているものといったアンケート実態調査であって、営業補償の対象としての調査、これはもう国がやるべきなんだと、県ではもうできませんよと、こうおっしゃっているんですが、この点、国としては実態調査をどういうふうに進めるんですか。
  68. 三島孟

    説明員(三島孟君) 私どもの方としましても、私どもの方の立場としてできるだけの方法で実態把握には努めてまいりたい、その上で必要な措置を講じてまいりたいという考え方は持っておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、補償ということはなかなかむずかしい問題でございますので、補償を前提とした全般的、一般的な実情調査というのは私どもの方としてはやる考え方は持っていないわけでございます。しかしながら、県のお立場としても事実調査をおやりになるわけでございますから、その結果を私どもの実態把握の一つの参考にさしていただくという考え方でおるわけでございます。
  69. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 特別融資の問題で伺っておきたいと思うんですが、わが党の沖繩県本部・県民運動本部で「交通方法変更に伴う営業状況調査」これをやりました。営業損失補償に何を望んでいるかというアンケートを全体三百五十四件を対象にして質問したところ、そのうち特別金融制度の拡充、いわゆる条件緩和、これが約半数の百六十二件になっているんですが、これまでの融資希望は二十九件だというふうに聞いておりますけれども、決定が六件ですか、このように数が少ないのは事業転換、それから設備の変更、これについての条件が厳しいためにそういう数字になっているんじゃないかと思うんですけれども、交通変更に伴う損失については通常の運転資金の融資もできるように緩和してあげるべきだと思いますが、これについてはどうでしょう。
  70. 亀谷礼次

    説明員亀谷礼次君) この交通変更に伴います特別融資制度のいままでの経過の前提は先ほど来総理府本府交対室長から御答弁のとおりでございますが、これらの交通変更によって営業上著しい影響をこうむるために転業をされたり、事業所の移転あるいはまた設備の変更を余儀なくされる方々に対しまして、これを円滑に行うために現行の金融制度の中で特段の措置をとる必要があるということで、先般、長期低利の資金供与を決めたわけでございます。  御指摘のように、現在まで申し込みの件数が二十九件でございまして、決定を見ておるのが六件でありますことは御質問の中でお触れになったとおりでございます。ただ、決定が非常に少ないのではないかということに関連して、条件が厳しいのではないかという御指摘でございますが、私ども承知しておりますこの決定に至る経過の内容をお聞きしますと、申し込まれた方がいま御指摘にもありましたように、事業所を移転するなり新たな設備をおやりになる方の計画がまだ煮詰まっていない方もおありになるようでございまして、そういった面を融資の窓口でございます公庫の事務当局と詰めておられる最中である、そういう御案件の方が相当多数入っておるようでございます。そういうことでございまして、私どもから申し上げて何でございますが、必ずしも条件が厳しいために融資の決定までの間の落差が大きいということでは必ずしもないのではないかと、これは大変お言葉を返すようでございますが、そういう感触も持っておるわけでございます。  なお、融資の条件等につきましては、御指摘のように経営資金と申しますか、つなぎ資金の問題も先般来御指摘のあったところでございますが、私どもは今回のこの特別融資の性質が今回の交変に伴ってやはり新たに事業所を移転しなければならない、あるいはまた事業そのものの内容を設備を更新することによって変更しなければならない、こういうことが中心でございますので、そういった面に重点を置きましてただいま申し上げましたような特別融資制度を原則で設けたわけでございます。したがいまして中身としてはいろいろ御意見も承ってはおるところでございますが、私どもがいま対応させていただいております金利、償還条件等、やはり現行の金利体系の中では特別な配慮をさせていただいておるものと考えさせていただいておるわけでございます。  なお、つなぎ資金等につきましては、これはいろいろ御意見もあるところでございますが、沖繩公庫自身が本土の金利体系から見ましていわゆる特殊金利と申しますか、つなぎ資金等も格段に有利な条件で設定をしておりますことから、一般的に極力このつなぎ資金もごあっせんをするということで窓口で対応させるよう指導しておるところでございます。
  71. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 金利、償還期間、据え置き期間、それから担保・保証の有無、こういったことも問題になろうかと思うんですが、バスの代替車両購入資金については金利年五・八%で、担保はその車両が担保になりますから保証は免除されるということになっているんですが、一方、この特別融資については担保があれば保証の必要はないんですが、担保がない場合は保証協会の保証が必要になりますね。そうしますと公庫の金利五・〇%、それに保証料一・二%で六・二%となりまして実質的に高くなるんですがね、この点はどう考えるんでしょうか。
  72. 亀谷礼次

    説明員亀谷礼次君) ただいま御指摘の御発言の中にも触れられましたように、今度の交通変更に伴う一番大きな問題でございましたバス車両等について五・八%という特殊金利を設けたわけでございますが、それを念頭におきながらなおかつ個々の方の今回の措置については五%という特例を設けさせていただいたわけでございます。  御指摘の担保並びに保証協会の利用の問題でございますが、これにつきましては私ども公庫を指導しておりまして、信用保証協会の保証を特には要求をしないということで既往の貸し付けの六件については御指摘のございました保証が付されていないようでございます。そういったことで十分窓口における御相談によって極力簡便かつ円滑にやるような取り計らいをいたすよう指導しておるところでございます。
  73. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一歩突っ込んで申込者が保証協会に保証を依頼しなくてもいいように何らかの配慮ができないものでしょうかね。特に全国の場合は保証料一%でやっているんですが、沖繩の場合は一・二%になっていますね。公庫の金利から引いた金利にするように何か配慮できないものでしょうか、この点いかがですか。
  74. 亀谷礼次

    説明員亀谷礼次君) 沖繩公庫が全般的な中小及び一般的な金融の窓口でございますので、原則論ということになりますといま御指摘のような問題が起こるわけでございますが、先ほど御答弁しましたように、二十九件のうちすでに決定をしている六件について見ましても、すべてこれについては信用保証協会の保証が要求されておらず、付しておらないということを念頭におきまして、今後お借りになる方の立場で十分円滑な融資のお受けができるよう御指摘の点も配慮しながら指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
  75. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 最後に、長官に、対米放棄請求権についてお伺いしておきたいと思うんですが、海上部分については解決をいたしましたが、陸上部分については非常にいま複雑な問題がありまして困難を来しているようですが、現地人たちの話によりますと、一刻も早く処理方針を決定してほしいんだ、こういう要望が強く出ておるんですが、基本的な方針、さらに一歩突っ込んで具体的な処理方針の決定は一体いつごろをめどにされているのか、これが一点。それから予算化のめどはいつごろに置いているのか。この二点について大臣から直接ひとつ決意を聞かしていただいて関係者を安心させていただきたいと思うんですが。
  76. 亀谷礼次

    説明員亀谷礼次君) 大臣の御答弁の前に、事務当局からやや事務的にはなるかと思いますが、現在までの経緯に若干触れて御答弁をさせていただきたいと思います。  御指摘のように、対米放棄請求権のうち、すでに漁業の関係の事案が今年度の予算以降一応決着を見たことは御案内のとおりでございまして、残るこの陸上の問題でございますが、先生も御案内のように内容として十二万件という数でございまして、これらの中身について米国政府が過去においてとりました措置の内容等をいま検討をしておるところでございます。  それで最近の経過を申しますと、今年の五月に開発庁あるいは関係省庁の局長あるいは次長クラスを構成員といたします関係省庁の正式の連絡会議を設けまして、十数案件に上ります個別の具体的項目についてそれぞれの内容についての検討に入っておるわけでございます。なお、この会議におきましては、いま言いました復元補償あるいは水利補償等、項目及び被害の実態、証拠書類、資料あるいは今後にとるべき措置の方法等を逐次検討をいたしております。  なお、去る八月には地元から県あるいは関係市町村の代表の方をお呼びいたしまして、本問題に対します現地の地元の方としての見解も聴取をいたしました。さらには、この会議の作業に資するために各省の担当課長を幹事会のメンバーに設けまして、先般、現地調査も行ったところでございます。そういった処理を重ねながら、なるべく早急に基本的なただいま御指摘の方針を決め、しかるべき時期に措置がとられるよう、できるだけ早く作業を終えたいということでせっかく現在取りまとめ中でございます。
  77. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ただいま総務局長から御答弁を申し上げたとおりでございますが、この問題はできますれば五十四年度の概算要求の際にある程度のものを出し、五十四年度の予算化というようなことでできないかという方針で進んだようでございまするが、その審議なり調査の結果はいま申し上げたとおりでございまして、したがいまして、これは海の方が解決しましたけれども、陸の方をできるだけ急がねばならぬという事態を踏まえまして、五十五年度には必ず予算化する方針で来年の概算要求までには具体的な施策を決定してまいりたい、そういうことでいまのところ考えておるところでございます。
  78. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 時間ですから、終わります。
  79. 下田京子

    ○下田京子君 最初に、大臣にお尋ねしたいわけですが、先ほども沖繩開発庁長官に就任されてその決意のほどがお話しされました。特に、基地問題を抱えている沖繩の現実を踏まえて、そうして本土との格差をなくする、あるいはまた自立の方向を目指すために奮闘したいという御決意のほどでございました。  特に、私は、お尋ねしたいその最初の問題は、沖繩振興開発計画、これが決められましてちょうどことしは七年目です。先ほどのお話にありましたような決意のもとに、具体的に振興開発計画に基づきまして、いままでの振興の実態、これをどう評価されるか。特に先ほど道路だとか港湾などハードな面では大変成果も上げたということと、また福祉や医療、ソフトな面でのおくれということで全般的なお話があったわけなんですけれども、総じてこの振興開発計画に基づいて十カ年計画、それがもう七年を過ぎようとしているわけですけれども、それをどう評価し、そうして今後また残された三カ年間の間でどういう決意のもとで解決されるお気持ちなのかという点をお尋ねしたいと思います。
  80. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私、先ほども申し上げましたように、私の沖繩開発に対します姿勢は、先ほど御指摘ございましたとおり、そうした心境で誠実に進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、どうもここ八十三国会、八十四国会、八十五国会の議会における審議の経過等をざっと見せていただき、政府の答弁等も見てまいりましたが、その二、三次前の国会の答弁と私のいま申し上げることとに大差のないというようなことはきわめて残念であるというような私の所感を申し上げましたが、したがいまして、私は、この際、十カ年計画を十カ年内にお約束を果たさねばならぬという立場に立っていままでの実績をひとつ再検討さしてくれと。それから防衛庁にも私は関係をいたしましたが、防衛庁の基地の問題等につきましても、あのときに約束いたしましたように、私は三年たった時点でどこまで進んだかを再検討いたします、その上で約束どおり期限内に約束を果たし得るかどうかということをひとつその際に見直してみるということもあの当時御答弁申し上げたこともいまの御質問で記憶を新たにするわけでございまするが、したがいまして、私は、みずから長官の重責につきました現時点において、先ほどもいろいろ指摘が諸先生からございましたが、その取り組み方が果たしてどうなのか、現実になぜこう進まないのかというような点を私なりに検討をさしていただいて、開発計画をお約束、計画どおりに進めさしていただき、沖繩県の県民にこたえたいという心境でおるわけでございます。
  81. 下田京子

    ○下田京子君 ただいま御答弁がございました、なぜ進まないかということも含めて洗い直し、残された三年間の中で実現を見るようにという決意のほどが述べられたわけでございますけれども、残された期間の中で当初の計画が達成できるかどうかという論議につきましては後にちょっと譲りたいと思うんですけれども、いま大臣の御答弁の中にありました今後解決のために努力したいというその点の絡みで具体的に二、三お尋ねしたいわけなんですが、まず文部省にお尋ねしたいと思いますが、おいででしょうか。
  82. 西村尚治

    委員長西村尚治君) どういう内容ですか、来ておりますよ。
  83. 下田京子

    ○下田京子君 来ておりますか。  文部省にお尋ねしたい点は、基本計画の中にも六つほど、社会資本の整備であるとか、あるいは社会福祉の充実や医療の問題、そういった絡みで教育問題も非常に重視して計画の中には盛り込まれているわけなんです。しかし、実際にそういった教育の面でも、校舎そのものの新築等についてずいぶん力を入れられ、また一面で努力された、そういう点では私たちは認めるわけなんですけれども、特にお尋ねしたい点は二点あります。  一つは、危険老朽校舎解消問題であります。これは沖繩県の教育振興会からの要請等にもありますけれども、この危険校舎の問題については、御承知のように、沖繩以外の他都道府県については木造という点ですでに実態調査も進み、そして計画も立て、いま着々とその改善のために進行中であるわけですけれども沖繩については、あの戦火をくぐり、しかもまた塩分が非常に含まれているという大変な建物自体の問題点も数々持ちながら、この危険老朽校舎の解消問題というのが遅々として進まないという実情であります。そういうことでありますので、第一に、この危険老朽校舎の解消に絡んでどういうところまで実態調査が進んでいるかというのが一つ。  それから、その実態調査とあわせまして、もっとその手続を簡単にしていただけないかという御要望も出ておりますし、さらには、この改築に当たっては解体費補助というものも考えていただけないだろうかという御要請もあります。さらには、他都道府県に比べまして沖繩の場合には補助率等も高いのは私たち承知しているわけですけれども、その補助率においても教育関係の最高補助率まで、すなわち具体的に言えば十分の九補助適用ということが考えられないだろうか、こういう御要請があるわけなんで、この三点、まず第一にまとめてお尋ねしたいと思います。
  84. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 沖繩につきましては、いま先生からお話がございましたように、木造校舎についてはもうほとんど危険校舎がないような状態でございまして、その点本土におきましては、なおまだ木造校舎に相当数危険校舎がございまして、これに全精力を注いでいるというところに非常に違いがあるんじゃないかと思う次第でございます。  ただ、いまお話がございました鉄筋の校舎につきましては、それが危険であるかどうかという判断は非常に技術的にむずかしい問題がございまして、一概にそれが危険かどうかということについても非常に問題があろうかと思う次第でございますけれども、おおよその傾向といたしましては、昭和三十九年度以前に建てられた沖繩の鉄筋校舎につきましては、資材難からコンクリートに海砂を使う等非常に問題があるというふうに聞いている次第でございます。そういうことで、私どもといたしましては、開発庁の方とともどもにやっていることでございますけれども、五十年度から老朽鉄筋の改築に努力をしている次第でございまして、これにつきましては、すでに六万八千平方メートル程度の改築を終了している次第でございます。  なお、来年度から特にこの点に意を注いでまいりたいということで、開発庁の方から大幅なこの点の予算の増を図っておられるようにしている次第でございます。  もう一つの点でございますけれども、手続の点でございますが、これは鉄筋校舎につきましては、先ほど申し上げましたように、危険であるかどうかの判定が非常に困難な点があるわけでございまして、現在とっておりますのは、本土沖繩を通じまして、大学等の専門家の構造学的な判断に基づきまして要改築の判断をいただき、その判断に基づいて補助をしている次第でございます。ただ、いろいろお話を伺ってみますと、沖繩の建物につきましては、三十九年度以前の建物につきましては相当類型的な点がございまして、その判断が現在行っているほどの手続を踏まなくてもできるのではないかという点がある次第でございまして、その点について私どもいま沖繩県の方々といろいろ相談をしているところでございまして、今後とも十分検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それから、三番目の解体費の点でございますが、これは開発庁の方でいろいろ財政当局と御折衝をされているようでございまして、そういうことを私どもとしても承知している次第でございます。  また、補助率の現在十分の七・五をさらにアップしてはどうかというようなお話でございますけれども、私どもの考えといたしましては、十分の七・五というのは非常に補助率としては高率の補助でございまして、これをさらに変更するということは非常に困難ではないか、そういうふうに考えている次第でございます。
  85. 下田京子

    ○下田京子君 ただいま努力しているということでお話がございましたけれども、さらに具体的にお尋ねしたい点は、調査や何か判定については簡素化したいと。具体的にどういう形でその簡素化のために手続を踏まれるのかお話しいただければと思いますし、それから解体費補助率について承知しているということは、これは五十四年度の概算要求の中にきちっと盛り込んで要望にこたえていくということと理解してよろしいかどうか、再度お尋ねしたいと思います。
  86. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 手続の点につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、一般的には専門の建築家の判断に基づいて改築の補助をしている次第でございますけれども、その判断の方法等につきましてさらに簡略できる点があるかどうかについて、目下、県当局と慎重に検討している段階でございますので、具体的にどの点をどうしたということを申し上げられる段階にはまだ立ち至っていないということでございます。  それから解体費の方につきましては、むしろ私どもお話し申し上げるのはいかがかと思う点でございまして、ひとつその点については開発庁の方に御質問いただいた方が適当ではないかと思います。
  87. 下田京子

    ○下田京子君 じゃ、ただいまの点について開発庁で。
  88. 美野輪俊三

    説明員美野輪俊三君) ただいま御質問ございました鉄筋老朽校舎の解体費の問題につきましては、やはり私どもとしては沖繩の戦後建てられました建物、これが海砂あるいは不良鉄筋等を使用しまして、大体建築されましてから鉄筋で二十年前後でかなり老朽しておるというような実態を踏まえまして、何とかこれを補助する方法がないものかというようなことで考え、予算要求の中にもその趣旨を盛り込んでおる次第でございます。
  89. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひ、解体費補助の問題では概算要求しているというお話でしたけれども、実態調査をもっと速やかにしなければこれはいけないと思うんです。  御参考までに、恐らく届いていると思うんですけれども、私せんだって参りましたときに、城岳小学校の実情をいろいろと御案内いただいて調査した写真等もございますので、ごらんいただければと思います。  次に、お尋ねしたいんですが、これもやはり文部省と開発庁と絡みになりますけれども社会体育施設あるいは社会教育施設あるいは医療福祉関係の施設のおくれが大変目立つわけなんです。この中で一つ私大変不思議に思いましたのは、社会体育施設の整備が、その際の補助が、言ってみれば沖繩振興開発の特別措置法の国の補助の絡みに入ってない、法でいえば第五条の適用を受けてない、これはどうしてなのかということが納得いかないわけなんですね。これはぜひ該当させて、そしてその改善のためにさらに取り組みを進めるべきではないか、こう思うわけなんですが、いかがでしょうか。
  90. 美野輪俊三

    説明員美野輪俊三君) 先ほども公立文教施設の改築の補助率等の問題にも触れられましたですけれども沖繩復帰に伴う特別措置法によりまして、復帰後の沖繩の公共事業等に対します補助率をどうするかということは、その法律作成の際に種々検討されたというふうに私ども聞いております。基本的な考え方といたしましては、大体国内でそれまでに適用された、あるいはその時点におきます最も高い補助率を沖繩の社会資本整備状況にかんがみて適用していこう、こういう基本的な考え方によりまして特別措置法が制定されておるというふうに私ども承知しておるわけでございます。そういったことで先ほどの公立文教施設の改築費補助、こういうものの新築等に対する補助よりも若干低くなってございますが、やはり当時検討されました最高の補助率がそこで設定されておる。また、社会体育施設につきまして本土と同様ではないかという御質問がございましたが、これもやはり当時本土におきまして全く一律の補助率が適用されておった、そういった関係から沖繩につきましても社会体育施設の補助率は本土と同様の補助率がその時点において結論づけられた、このように私ども承知いたしております。
  91. 下田京子

    ○下田京子君 いまの絡みで大臣にお尋ねしたいんですが、実は、お話しのとおり、社会体育施設にありましては、本土と同じように三分の一補助になっているわけなんです。その結果だけとも言えないでしょうが、実際には特別措置法の適用外になっているというふうなことで、昨日文部省からいただいた資料あるいは開発庁からいただいた資料等を見ましても、これは一例ですけれども、体育館等をとりましても、類似都道府県と比べてみまして、その平均が五十年の七月段階で類似規模の県で平均体育館二十六カ所あるんですが、沖繩の場合には六カ所しかない。そのほか運動場であるとかプールであるとかずっと見ていきますと、おしなべて大変低い、これが一点あります。それから社会教育施設関係につきましても、公民館、これは比べますと、たとえば復帰時に公民館が沖繩に一カ所しかなかった、最近の数字を見ると二十三になったということなんですが、全国の平均で見ますと一県当たり三百四十九カ所ある、大変な数なんですね。で博物館だとかその他の青少年の教育施設なんかを見ましてもお話にならないんです。これは社会教育施設の場合ですと、国の決めた基準単価の五〇%、五割増しの補助は取っていると言っていますけれども、より高い補助で考えようということにはなっていない、いわゆる五条からはみ出している内容のものなんです。そういう点で、こういったおくれていると先ほど指摘されました一分野ですけれども、特にこういうおくれている分野に目をつけて、補助体系だとかあるいはその他の条件なんかも洗い直していただきたい、こう思うわけなんです。  その際に、ついでに御指摘しておきたいのは特に厚生関係、これが非常におくれています。お聞きしますと、この厚生省管轄というのは開発庁の一括計上予算の中ではなくって厚生省が直接やっているという、そういう仕事の仕組みになっている。これが是か非かということは私いま議論しません。ただ現実的に見ますと、病院の数あるいは病床、診療所、医師の数、看護婦さんなど、いわゆる県民の健康にかかわるその分野のおくれはもう大変なものです。一々数字をいま挙げるだけの時間もございませんから差し控えますけれども、現在だけで見ましても、たとえば病院の数等につきましても、人口十万人につきですが、これは全国で言いますと七・四、ところが沖繩の場合には三・六と半分であります。そういう中で残された三ヵ年間、どうやってこれを全国並みに持っていくかということでは非常に幅広い総合的な見直しというものが必要ではないだろうか、こう思うわけなんです。そういう点での大臣の決意と御見解をお聞きしたいと思います。
  92. 美野輪俊三

    説明員美野輪俊三君) ちょっと事務的な件につきまして若干過去の経緯等もございますので、その辺踏まえましてごく簡単にお答えさしていただきたいと思います。  御指摘のように、確かに社会教育施設あるいは体育施設、病院の病床数等々におきましてなお本土との間に相当の格差があるということは御指摘のとおりでございます。たとえば社会教育施設あるいは体育施設、これらにつきましてはこれまで大体市町村が必要度、緊急度の高い学校施設等に整備を重点的に置いておったというようなことが影響しているということも考えられると思います。私どもといたしましては、やはり今後県、市町村等も十分指導いたしまして、こういった施設の整備についても十分努力するようともども検討してまいりたい、このように考えております。  また、医療施設の問題でございますが……
  93. 下田京子

    ○下田京子君 もう簡単で結構です。
  94. 美野輪俊三

    説明員美野輪俊三君) 私どもの方で公的病院の施設等についての補助も行ってございます。大体、これまで県立病院、本島の那覇、中部、北部、これらの中核病院、それから先島二島の中核病院等の整備を進めてまいっておりますし、さらに那覇の市立病院あるいは那覇市にございます赤十字病院等の整備についても補助等を行っておるところでございます。なお、さらに医師派遣等についても、これまで同様、今後ともそれを継続してまいりたい、そういったことで私どもの所掌の範囲内におきまして最大限に振興開発計画の目的が達成されるように今後努力してまいりたいと思っております。
  95. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ただいまお尋ねなり御指摘の本庁所管の事業、それから本庁外、厚生省でございまするとかその他の省庁の事業というようなもの、それが全般的におくれておる状態等の御指摘がございました。それらのものを、まず対象の問題なり、あるいは補助率のいろいろな問題点、なおおくれておるのを本土並みに三年の間にやっていかねばならぬというような責任もあるわけでございまするが、そういう点をひとつ総合的に総理府であるいは沖繩開発庁で調整をして、洗い直してみる必要があるぞという御指摘でございました。御意見ごもっともだと思いまするので、ひとつわれわれ沖繩開発庁及びその他の省庁関係の者等も連絡、協調しながら、一遍ひとつ洗い直して検討さしてもらおう、そういう考えでおることを申し上げます。
  96. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひお願いしたいと思います。  次に、ちょっと問題傾向が違うかと思うんですけれども振興開発との絡みであるいは基地絡みで一つの大きな課題になっておりますが、つぶれ地問題についてお尋ねしたいと思います。  これはさきの十月十八日、衆議院の同じ委員会でもって、うちの瀬長委員の方から質問がございました。それに対しまして、前任者の稻村長官の方から、いろいろと御指摘に沿って検討し改善したい、こういう御答弁をいただいております。その御指摘に従い改善というのはどういう点かというと、第一に、国県道については、お話を伺いますと、おおよそ道路整備の第八次五カ年計画に基づいて昭和五十七年ごろまでには大体解決するだろう、こういうふうなお話を伺っているわけなんです。ただ市町村道路、この問題なんですが、一級、二級の市町村道について十分の八の補助でやる、こういうお話は聞いているわけなんですけれども現地の皆さん方は、これはもう市町村の責任で生まれた問題じゃないんだから、ぜひ国の責任において速やかに解決してほしい、こういうことを申されております。  その点で、第一に実態調査がどうなっているんだろうか、こういうお話もあるわけなんです。沖繩県の独自の調査によれば具体的な数字が出ているわけなんですが、これはもう開発庁でもつかんでいらっしゃると思います。時間もありませんから詳しく述べませんけれども、市町村道の分野で自治体の責任で国のいままで言ってきたような方針でやっていくということになりますと、大変な財政負担といいますか、六百億近い財政負担をしなければならない、こういう指摘をしておるわけなんです。で、これをやっぱり改善していただかねばならないということなので、実態調査を速やかにされて、そして国県道並みに解決していただきたいということなんですが、この点はいかがでしょうか。
  97. 美野輪俊三

    説明員美野輪俊三君) いま御指摘のように、市町村道のつぶれ地の調査につきましては、本年度末までにその調査を終わることにいたしてございます。  なお、そのつぶれ地の買収につきまして、国県道同様十分の十で補助をすべきではないかというお尋ねでございます。このつぶれ地問題の基本的な性格と申しますと、本来は、その道路をつくる際に測量、設計をし用地を買収し、それで工事を施工する、これが道路の新設、拡幅等のステップでございますけれども、それが戦後の混乱期においてそのうち用地を買収する、正当に権原を取得するという一つのステップを欠いてしまっておる、これを現在補完するというのが基本的なつぶれ地問題の、あるいは現在におけるつぶれ地買収の性格ではなかろうか、このように私ども考えております。  で現在の道路関係の補助制度の中にありまして、この道路の市町村道の新築、改築等につきましては、用地費も含めましてこれを十分の八で補助をする、こういう形になってございます。もちろん過去にそういう形でのつぶれ地を補助するという制度は全国的にございません。ただ、沖繩のそういう特殊事情等に着目をいたしまして、これを補助することを今後考えていきたい、そういうことで現在検討いたしておるところでございます。やはりそういった関係もございまして、これに対する補助率としては、私どもとしては十分の八が相当である、このように考えております。
  98. 下田京子

    ○下田京子君 実態調査については今年度までに完了するというお話、それから処理方針については十分の八で対処したい、こういうことなんですが、この十分の八では問題だという指摘をしたのがせんだっての衆議院委員会なんです。それに対して前任者の大臣がこれはもう検討したい、こう言っているわけなんです。  もう一つは、一級、二級の市町村道だけでなくて、いわゆるその他の一般道路ですね、これについては全く市町村、自治体の負担になってしまっている。これもやっぱり国の責任で対応していただくべきではないか、こういう御要望なんですね。ですから、これは細かくやりとりしていてもあれなので、今後の対応として大臣に御答弁いただきたいと思います、事務当局よろしいです、私もう時間ないですから。
  99. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま一般の市町村道について十分の八の補助率で対処したいという方針をお答えをし、その他の、これは里道までを含めてのお話かどうか私もはっきりいたしませんけれども、その他の道路についてもう一つ検討をしてみてほしいということでございますが、よく実態を承知をいたしました上で対処さしていただきたいと思っております。
  100. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひ、実態調査ということが非常に重要だと思いますので、財政負担の問題からいろいろ絡めて御認識を新たに、また解決のために御奮闘いただきたいということを重ねて要望します。  最後になりますけれども、実は、残されたあと三年何カ月かの間に当初計画されたこの沖繩振興開発計画が達成できるかどうかという問題についてなんですけれども、御承知のように、これは五十一年の十月だったかと思いますけれども開発審議会の総合部会が開かれまして、中期的展望というものをお出しになっております。その中でも御指摘があるんですが、その御指摘はどういうことかといいますと、これは五十一年のときの御指摘ですから、残りの五カ年で終結する形をとるのではなくて、五十七年以降に及ぶ長期にわたる計画についても早急に検討を開始する必要がある、こういうことを指摘されております。そうして、さらに、これは沖繩タイムス、新聞報道等にも出ておりますけれども、今年の三月一日に同じく振興開発審議会の総合部会が開かれまして、その部会の中でも同じような指摘をされております。  特に、指摘の幾つかなんですけれども振興計画の主軸というのはやはり雇用の問題だろう、それから産業の問題だろう、暮らしにかかわる問題だという指摘をしているわけです。私どもも全くそうだと思うわけなんです。そういう点で私ぜひお願いしたい点は、長期展望に立って今後残された三カ年間でやり上げるという姿勢そのもの、これは重要だと思うんです。それに合った施策というものは重要だと思うんですけれども、さらに長期的展望ということも考えていただきたい、それが第一です。  第二番目に、それを考えていただく際の留意すべき点でございますが、一つは、いわゆる雇用失業問題を解決する産業の発展を促すという点にあって、これは大臣も先ほどからお話がありますけれども地場産業の育成というところに相当力を入れていただかなければならないだろう。仮にいままで進められてきましたCTS、こういった産業基盤だけでいきますと、これは沖繩石油基地、これですと現在三十六人しか雇用されていないんです。沖繩ターミナルにつきましてはわずか四十九人しか雇用されてないんです。そのほか石油精製基地等々においても百人前後だという実態が明らかになっているわけです。雇用吸収の多い産業基盤の開発ということが、これは言葉だけでなくて真剣に取り組む時点ではないか、これが留意すべき第一点です。  それから第二点目に、やはり県民の本当に安心して平和な暮らしを維持していくという点で見逃すことができないのは基地問題であると思います。特にせんだっては防衛庁の方でお仕事をされていただけに基地問題はよくおわかりだと思うんですが、ことしに入ってからだけでも米軍関係での事故が大変相次いでおります。十二件に及んでいますが、その主なものを拾っただけでも、たとえば渡名喜村の照明弾の落下の問題であるとか、あるいは名護市においてのこれは戦車訓練途中においての土砂崩れの問題だとか、あるいは金武村におけるF4Dファントム機の墜落問題であるとか、大変大きいわけですので、こういう点に留意をされまして、ぜひ長期的な展望も含めた見直しをお願いしたいということを希望いたしまして、それに対する決意を伺い質問を終わりたいと思います。
  101. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いまきわめて基本的な問題、しかも長期展望に立って沖繩開発計画に取り組めという御意見でございます。なおまた基地問題についてもお触れいただいたわけでございまするが、ひとつ私自身きわめて重要な基本的な問題でございますし、十分今後も検討をいたしますとともに、積極的に誠意をもって沖繩の明るい県政推進のために努力をしてまいりたいと思っておりますから、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  102. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、最初に長官にお尋ねします。  長官防衛庁長官時代から沖繩の問題についてはいやというほど身にしみて感じていらっしゃるだろうと、こう理解をいたしております。そこで、今度開発庁長官とされて沖繩問題解決のためにどういう基本姿勢、問題解決の施策を持っていらっしゃるか、まず、そのことをお聞きしたい。
  103. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども申し上げましたように、沖繩の施策を推進する大前提は、何と申しましても、戦前、戦後におきまする歴史的な沖繩の事情、県民の方々の心情というようなものを考えずして沖繩の施策は考えられない。特にまた、現況におきましては、沖繩の基地問題というようなものを前提にして考えなければ沖繩開発等も考えられない。そういうようなことを私は大前提にして沖繩におきまする本土との格差の問題でございまするとか、あるいは沖繩自身が自立して県政を運営できる基礎的な体制の整備をやってまいらねばならぬということでございます。こういうことで開発計画が進められて今日に及び、復帰後七年を経過をいたしております。そういう時点に立って、私は、総理府総務長官沖繩開発庁長官としてひとつ沖繩の実態を十分勉強さしていただいて、沖繩の県民の心を心として対処してまいりたい、そういう心境でおるわけでございます。
  104. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまもおっしゃった、県民の心を心と、先ほども県民の心を尊重してと、こうおっしゃいましたが、その県民の心というのをどのように理解しておられますか。
  105. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私が前提として申しましたように、私は、戦前、戦後におきまする沖繩の歴史的な状態というようなものを十分やはり踏まえていかねばならぬ。それから、いまにおきましては基地の問題、そうした問題が沖繩の県民の方にどう受けとめられておるのか、そしてどういう心情でおられるかというようなことをひとつ十分心にとめてまいりたいというのが沖繩の県民の方々の心を心としてということではなかろうかと考えておるところでございます。
  106. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ戦前、戦中、戦後を沖繩に生き抜いてきた私の立場から、その県民の心を具体的に一応申し上げて御参考にしたいと思います。  第一点は、復帰してよかったと喜べる心、これが県民の心の一つです。第二点、戦争体験からして平和をこよなく求めるという平和を求める心です。第三点、行政上の犠牲と差別、行政上の不公平ですね、これを早く取り除いてほしいという心。第四点、人権は平等であるということ、憲法のもとに沖繩県民も人権を平等に扱ってほしいという、このことを私は強く要望いたしておきます。これを県民の心の内容としていただきたい、特に集約して申し上げたいと思います。  そこで、次に、申し上げたいことは、喜べる豊かな沖繩づくりということがあるわけですが、産業構造の見直し、検討、こういうことが特に最近叫ばれておりますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  107. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 自立して沖繩県が真に喜んでいただける県政の体制をつくるということであろうと思います。それには、まずは具体的には沖繩開発計画で示しております諸事業を早く軌道に乗せ、しかもそれを計画どおり推進をしてまいることが一つの条件であろうと思います。  それには、本土との格差をなくするということもございましょうし、あるいはまた自立できる体制というのは、やはり第一次産業あるいは第二次産業、そうしたものを中心とする安定した沖繩の長期展望に立って県民生活が十分営まれるという安心した体制に置くことであろうと思うのでございます。また、しかし第三次産業におきましても、現在観光事業等において、これは沖繩の持っておりまする特色もございまするので、この点につきましては、やはり第一次、第二次産業整備とともに、第三次産業の中では観光事業というようなものは整備してまいらねばならぬ。そういうような点を配慮しながら、個人の所得にいたしましても、いまのところ非常な努力を今日まで県あるいは中央政府と一体になって七年間の努力をしてまいりましたけれども、まだまだ完全に本土並みの態勢にいっていないことは先ほども申し上げたとおりでございまするが、そういう方向にひとつ全力を傾倒してまいりたい、そう考えておるところでございます。
  108. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまおっしゃった構想を具体的に進めていく場合に突き当たる壁は、全国の五三%を占める基地ですね、この基地の整理縮小を避けて通るわけにはまいりません。もしそれを肯定しての構想なら、これはもう絵にかいたモチにしかすぎません。そこで、基地の整理縮小についてはどのように具体的に構想を持っておられるのか、また考えておられるのか、お聞きしたい。
  109. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) これは私が申し上げる所管ではないかもしれませんが、国務大臣という立場であえて意見を申せということであるかもしれませんが、非常に私はむずかしい御意見だと思います。  沖繩の基地問題というのは、私自身、本土の各県に比較をして県民の方々に非常な過重な負担をかけておるという事実は十分認識をいたしております。したがって、沖繩の将来を考えて、基地の問題の縮小・合理化なくしては君が言う沖繩開発計画の推進というものはなかなか望んで実施できないぞという御意見等もいま承ったわけでございまするが、その点も否定できない事実だと思うわけでございます。しかし、いま私が国務大臣として申し上げると申し上げましたが、基地をいますぐどう具体的に合理化し縮小していけるかというようなことについては私は今後の課題として十分ひとつ考えてまいりたいし、また、そういうものをどうして果たし得るかというような点についても積極的に取り組んでまいりたいということを申し上げる以外に、ここで具体的に御回答できないことを残念に思います。
  110. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題は、復帰の時点から基地の整備縮小ということは政府が言明されたことであります。で復帰七年目を迎えようとしてなお今後の問題としてというところに私は不満を持つものであります。ぜひこれは具体的に、避けて通るわけにはどうしてもまいりませんので、強く申し入れておきます。これなくして、沖繩開発だとか、あるいは豊かな沖繩づくりとか平和な沖繩づくりということはもうナンセンスだと私は断言いたしたいのであります。いち早くひとつ具体化していただきたいことを強く強く申し入れておきます。  次に、失業・雇用の問題。復帰後、基地は六%しか解放されておらぬのに七〇%の軍雇用者が解雇されておる。ここに沖繩本土の三倍前後の失業者があふれておるという一大原因をなしておるわけなんですね。この失業者の雇用について、例の特別措置法の三十八条との関連もありますが、これをどのように具体的にいま解決のめどを持っておられるか、そのことをお聞きしたい。
  111. 亀谷礼次

    説明員亀谷礼次君) 大臣から御答弁があるかとは思いますが、労働雇用問題につきましては、先生も御案内のように、復帰後かなり高いピッチで失業率が高まってきておりますことは御指摘のとおりでございます。昨年、大体平均で七%近い失業率で推移しておりますが、労働省を初め、もちろん開発庁も含めまして沖繩の労働雇用問題の重要性は十分認識しておるところでございまして、五十三年度の予算が編成されました際にも、労働省を含めて関係省庁の会議も持ちまして、一挙にこれを解決するということはなかなか至難のわざではございますが、一つ一つきめ細かく積み上げてこれを解決する以外に方法はないということを前提にいたしましてこれに取り組んでおるわけでございます。  具体的には開発庁所管で申しますと、ただいましばしば大臣から御答弁がございますように、私ども所管振興開発に基づく事業を精力的に推進することによって間接的、直接的に雇用効果を高めていくという意味で、開発公共事業を中心に連年他の地域を上回る投資を続けておるわけでございますし、労働省におきましても、ただいま先生御指摘の振興法に基づきます沖繩における労働雇用のいわゆる吸収率等も、労働大臣の告示で定められておるような点につきまして、関係機関も協力をしてこれらの雇用吸収に努めているところでございます。  なお、五十三年度は、先生も御案内のように、沖繩開発金融公庫におきまして新たに出資の制度等をつくりましたことも、直接的には沖繩の企業振興、いわゆる新たな雇用の場をつくるということに関連した地場産業の育成ということを前提にした施策の一環ではございますが、今後ともそういった各般の施策を関係省庁と進めるとともに、できるだけ早く沖繩における労働雇用問題が、本土の平均にすぐ到達するということはなかなか困難ではございましょうが、そういった方向で精力的に幅広く取り組むということで進めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  112. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 労働省は具体案を持っておられるか、労働省見えていますか。
  113. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) ただいま開発庁から基本的なお考えを御答弁申し上げたところでございますけれども沖繩県におきます失業率の高い原因というのをいろいろ探ってみますと、まず沖繩県の失業の特徴といたしまして、若年の失業者が多いことが一つ挙げられるわけでございます。この原因は、学校を卒業されてからそのまま職につくこともなく、また進学することもなく、いわゆる無業の状態のままになってしまう方が中学、高校、大学生を含めまして大体毎年三千あるいは四千という数字が出ておるわけでございます。あるいはまた、せっかく県外に就職しながら再びuターンをしてしまうというようなことが若い失業者を多くしている原因になっているわけでございます。また一方、先ほど先生から御指摘ございましたように、基地関係労働者が復帰後一万人を超える離職を見ておるわけでございます。この方たちは大部分が中高年齢層の方でございまして、いわば若年の失業者が多い反面、基地関係の離職者の中に中高年齢者が多いという状態にあるわけでございます。  したがいまして、私どもは、この失業の実態に即応しながらできるだけ適確な対策を講じてまいりたいということで、若い方々にはできるだけ本土へ就職していただく、労働者として必要な技能等を本土で学んでいただく、そして将来沖繩産業振興した時点において沖繩県の基幹労働者になっていただく、そういう意味からも本土を含めました県外就職というものを促進いたしておるわけでございます。  また、中高年齢者の方につきましては、県外就職というのが必ずしも直ちに実現できないといういろいろな事情をお持ちの方もございますので、県内企業においてできるだけ雇用していただきたいということで、中高年齢者雇用開発給付金という制度もつくってございますので、こういうような制度を活用しながら県内でできる限り再就職していただくということとあわせまして、先ほど開発庁の総務局長からも御答弁申し上げましたように、公共事業を活用いたしまして公共事業へできるだけ吸収していただく、そしてそこで中高年の雇用の場を確保したいというふうに考えておるところでございます。
  114. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この雇用、失業の問題は、現地現地なりに傍観ができない、一生懸命にやらなければいけないが、またやっておると思うんですが、根本は、一切の責任はこれは政府にある、こういうことを私は強く指摘いたしたいと思います。  次に、交通方法の七・三〇変更の後遺症の処置について、これはどちらかというと、もう受けざらが十分整わないままに見切り発車をされたような、こういう情勢の中からいろいろ問題が多発いたしておるわけなんですね。それで、この問題の処理については、現在でも交通渋滞は続発いたしておりますが、未解決でありますが、損失補償の問題については、さきの稻村総務長官はケース・バイ・ケースでこれを処理していくということを言明されたわけなんです。ところが、そのケース・バイ・ケースが一応県側から出されておりますけれども、何かしらこう二枚舌を使われたようなかっこうにすりかえられておる。具体的事例が出たときに考えるということを言明しておられながら、ところが、途中で損失補償は現行法体系にはなじまないので特別融資で行う、こういうように変わってきておるわけですね。で具体的問題が挙がったら検討しよう、こういうことになって、一応県側としても具体的ケースをサンプル的に那覇、浦添、宜野湾でのケースを政府の窓口に出してあるはずです。  すでに廃業が二件、那覇。休業が二件、那覇と宜野湾。それから移転が五件、宜野湾。それから売り上げ減少でもう移転を考慮中のものが二十一件。そうして売り上げの減少も九〇%から二〇%の幅がありますがね、大体中間とると五〇%の売り上げ減少ということになっておるわけなんです。こういう実情に対して非常に冷たい政府の態度に対して、どうもしてやられた、こういう非常な不信感、不満感を持っておるわけなんですが、この損失補償に対して先ほど特別融資の問題が出たわけですが、こういうふうにすりかえられてきておるわけですね。このことについても、非常にこれはけしからぬ話だということでありますが、その中で先ほどの御質問もありましたので、それはダブらぬことにいたしまして、貸付利率ですね、この五%がまだ高い、もっと安くすることはできないのか、これが第一点。  次に、融資対象資金が事業の転換をする事業者あるいは事業所の移転または設備の変更をする事業所、これに限定されておりますね。ところが、実情はそのままで何とか息を吹き返したい、こういう気持ちを持っておる者もおるんです。いわゆる継続していきたいという者に対する運転資金ですね、これが欲しいという要望も強いようなんですが、これはいまその枠内に入っていないんですね、これを考慮できないものかどうか。  これで予定の時間が来たようでありますので、その点と、それからもう一件、私、九月一日の決算委員会で例のスクールゾーンの標識について質問をいたしまして、これは県当局と話し合って決める、こういう確答を得ておるわけですが、県当局に確めましたら、まだ何ともない、これはぜひひとつ再確認してもらいたいという実は要望も受けておりますので、このスクールゾーンの標識はどうなさるつもりなのか。  以上、きょうは時間がありませんのでお尋ねしまして、はっきりしたひとつ回答を願って、次にまた明らかにただしたい、こう思っておりますので、以上質問しまして私は終わります。
  115. 亀谷礼次

    説明員亀谷礼次君) 先ほども交変に関連した特別融資の御質問お答えをしたところでございますが、この制度の条件が、御質問にも関連いたしてありましたように、金利五%、償還期限十年のうち据え置き三年という融資条件でいま窓口でお引き受けをいたしておるわけでございますが、この融資条件は、私どもから率直に申し上げさせていただきますと、いわゆる中小企業の資金あるいは生業資金の中で特段の優遇措置の条件緩和というふうにも考えておりますし、現在の公庫金利体系でいきましてこの条件が特別に設定をされたものであるということで、これ以上の緩和ということは困難だと考えております。-なお、先ほどの御質問にもございましたように、現実の窓口での御相談につきましては、極力、これらの申し込みの方々のお立場で、補償その他の問題にもお答えしたように、円滑な御融資が受けられるよう指導しておりますし、今後もそういうふうに取り運ぶつもりでございます。  なお、一般のつなぎ資金等につきましては、先ほどもお答えしましたように、本変更に伴う設備資金の性格もございまして、沖繩公庫本来の本土の金利よりも安い金利体系における一般融資のつなぎ資金等も極力活用していただくということでやってまいりたいと思っております。
  116. 三島孟

    説明員(三島孟君) スクールゾーンの標識の問題につきましては、国としての考え方につきましては先般お答え申し上げたとおりでございますし、沖繩県の方にも私どもの考え方はお伝え申し上げております。しかしながら、さらにまた何か方法がないかどうかにつきまして沖繩県の方とも実は御相談をしておるという段階でございます。
  117. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 話し合いは進めておられるんですね、ところが、まだ何ともないということを言っておりますがね。
  118. 三島孟

    説明員(三島孟君) 沖繩県としましてもいろいろやり方等をお考えのようでございます。また、私どもの方としても、何か方法がないかどうか検討さしていただいておる、こういうことでございます。
  119. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後に、いまの関連で、これは繰り返し繰り返ししがみつくようでありますが、非常に強い要望があるんですよ。ぜひこれは実現してほしいということであり、これにはいろいろないきさつがあり、もう時間がありませんから申し上げませんが、ぜひひとつ現地の要望を入れてもらうように最善の努力をしていただきたい、こういうことを強く要望いたしておきます。
  120. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 本調査に対する質疑は、本日は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会