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国務大臣(
福田赳夫君) 政治の目的は、
国民生活の安定、これがもとより一番大事なことです。そういう立場から言いますと、
物価の安定、これがかなめです。第一のかなめです。第二のかなめは、これはパイがふえるというか、ふところがふえる、こういうことであります。
そこで、いま
円高の差益の問題に触れられましたが、わが国のこの貿易構造は、申し上げるまでもございませんけれども、八割までが原材料なんです。
消費財といいますか、完成品はわずかに二割である。そこで、原材料の輸入、これに対しましては、大体これは国家統制はしておりませんから、自由
経済原理のもとで動くということになりますが、これはもう相当
国民経済に還元をされておるわけであります。この一年間に実にマイナス三・六%の下落をしておる。先進諸国、これもみんなそれぞれアメリカのドル下落の
影響を受けておるわけです。ですから卸売
物価は相当下がっていいはずなんです。そういう中で、ただひとりわが国だけが卸売
物価が三・六%も下落しておる、これは
国民経済にそれだけ非常に大きく
物価面といたしまして貢献をいたしておる、こういう
状態でございます。それが回り回ってまた
消費者物価の方にも動いてくるわけなんです。
消費者物価の動きはどうだというと、昨年はとにかく八%年度間
上昇率だった。それがいまこの一年間におきましては四%の
上昇で動いておる。こういうことは、これは卸売
物価の
影響というものがかなりこれまた響いておるんです。
同時に、わずか二割ではありまするけれども、
消費財の動向はどうだと、こう言いますると、これは
企画庁が中心となって各省各庁協力をいたしまして、その値動きにつきまして監視態勢をとっておるわけであります。しばしば現地
調査もする、これからは毎月毎月やる、こう言っておりますが、そういうことで、円為替が上がってきたその
影響がフルに動くように努力をいたしておるわけです。
問題は、
政府が関与する料金価格なんです。これにつきましても、電力、ガス、これは割引をいたすということに決定したことは御承知のとおりでありますが、その他のものにつきましても、これは差益で価格をどうするかということは、これはなかなかむずかしい問題が多々あるんです。つまり
円高で
物価が下がる要素もあれば上がる要素もあるんですから、それを捨象すると、そう簡単にはいきませんけれども、航空料金につきましてもただいま検討中である。電信電話料金、これはそう大きな差益はありませんけれども、これも
政府においてはどういうことができるか検討中である。それから牛肉、これも統制というほどではありませんけれども、国家管理の面があるわけでありますから、これにつきましてもできる限りこれを下げるようにという努力をいたしておる。もとより農村、畜産農家を擁護しなきゃならぬという一面もありますが、それらも念頭に置きながら、何ができるかということ、かなりそういう施策は進めておりまするけれども、この上ともその施策が進むようにという努力をいたしておる、こういうことで、
円高の
国民経済への還元、これは大局においてはかなり進んでおる、このように御理解願います。