○
説明員(澤邊守君) 学校給食に米飯導入をしてまいりますことが、当面の過剰米の処理ということよりも、むしろ長い目で見て米を中心とした食生活を維持していくというために、あるいはまた、消費の拡大を図るために大事なことは御
指摘のとおりでございます。それで、五十一年度から本格的に文部省においても米飯導入を進めていただいておるわけでございます。
食糧庁といたしましても、米飯給食用の米の売却価格の値下げ等の対策を講じて推進しておるわけでございます。五十一年には玄米で言いまして一万一千でございましたのが、五十二年には二万二千、五十三年は
計画四万五千ということでやっておるわけでございますが、まあ倍、倍、倍で三年目やっておるわけですが、二年目までは予定どおり伸びてまいりましたが、三年目は四万五千の当初
計画を達成するのはなかなか困難な
事情にあるというふうに文部省から聞いております。
そこで、いま
お尋ねの、なぜうまく予定どおりいかないのかということでございますけれ
ども、種々
事情はございますが、長年の間、パン給食を中心としてやってまいりましたので、これを米飯給食に切りかえるということになりますと、自校で炊飯する場合の炊飯
施設なり、あるいは外注するといいますか、委託炊飯の場合の外部に
施設をつくる、これは共同でやる場合もございますし、あるいはまた業者に委託するという場合もあると思いますが、いずれにいたしましても、そういう
施設を
設置しなければいけないということと、次に、どうしても米飯の場合はパンと比べまして準備なり後片づけ等に人手がかかります。そういたしますと、職員の労働問題、労働
条件の問題というようなものがございます。
私
どもといたしましては、文部省もやっておりますし、私
どもの方といたしましても
施設に対する援助をいたしておりますが、また、
施設を設けます場合に、都市部におきましては用地が不足だというような土地問題にも及ぶわけでございます。それから物的、人的な
条件を
整備していかないと、進まない理由になるわけでございますが、そのほかに、私
どもは米中心の食生活を維持拡大していくことが必要だという
考え方でおりますけれ
ども、したがって、現在文部省当局で進めておられる学校給食の場合には、完全給食というのを目標に置いてやっているわけでございます。完全給食と言いますと、一切の昼食を全部同じものを学校において提供するということでございます。
いま言いましたように、米飯を中心とした給食を進めますためには、そういう
施設なり人員の問題が
整備されれば結構ですが、それがすぐには及ばないということになりますと、米飯だけ弁当として学校に持参するというような方法も、
促進のためには必要ではないかというような
考えを私
ども持っておって、一部そういう方法も取り入れることになっておりますけれ
ども、いまのところはこれは暫定
措置というようなことがございまして、いずれは三年間の間に自校炊飯なり共同炊飯なり委託炊飯に移行するというようなことになっておりますことが、一部は進んでおりますけれ
ども、米飯弁当持参による給食を進めるのに支障になっておる点も見られます。これは完全給食という
考え方に基づくものでございますので、文部省は教育的な
立場でそういうような
考え方があるということはそれなりにわかりますけれ
ども、できますれば、米飯弁当持参を恒久的な方法として認知をするといいますか、そういうようなこともお願いをしておるわけでございますが、その辺はまだ完全な一致に達しておらないというような面がございます。
なお、もう
一つ申し落としましたけれ
ども、パン給食の場合、パンを学校に納入をしておりますパン業者が全国に多数おられるわけですが、この方々はどちらかといいますと、中小企業のパン製造業者の場合が多いわけでございまして、パン給食が一気に米飯に切りかわるということになりますと生業の問題、転業の問題といいますか、そういう問題にも波及するということがございますので、ここはやはり
段階的に進めることが摩擦を少なくするために必要ではないかと、こういうような
考え方もございまして、先ほど申しましたような、また御
指摘がありましたような
計画で現在進めておるわけでございます。
五十六年の
計画をとりあえず一〇〇%達成するのが最大の先決でございますので、私
どもといたしましては、来年度以降も各種の
施設に対する助成の
強化あるいは値引き率等についてももう一回洗い直してみるというようなことも
考えていきたいと思っておりますし、完全給食との
調整の問題につきましても、さらに文部省当局の
理解を得るように
努力をしてまいりたいというふうに思います。