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案納勝君 官房長官の御配慮、慎重に検討されたという御意見はそれなりにわかりますが、たとえば
放送法の中では、
経営委員の任命については十三条以降にこのことが明らかになっています。で、この
経営委員の任命に当たっては文化あるいは産業あるいは言論、こういう各方面にわたって広範に、各分野が公平に代表されることが考慮されなくてはならないと、こういうふうに書いてあります。
実はすでに役員として
承認を受けられておられる方、新しく
承認を求められている方、全体で十二名おられます。で、今回新しく
承認を求められている六人の方で、たとえばこの分野別に言いますと、「
機械工業」「言論」「教育」「文化」「公益
事業」「言論」と、こう六名実は分野別に提起されています。その他の
委員としていまだ要するに現職におられる方は、「
建設業」「科学、教育」「林業、文化」「法曹」「経済」「中小
企業、科学」と、こういうふうに分けられている。これで見る限り、まあそれぞれなるほどこうよく分けてあるなと、こういうふうに考えます。これは分けようと思えば、全部この履歴を見ますと幾らでもこれは分けられる。理由はどんなにでもつけられる履歴になっています。
端的に申し上げますが、たとえば富士重工業の専務をやっておられる方がおられる。あるいは大阪商工会議所副会頭をやっておられる方がおられる。富士重工業の場合は
機械工業、大阪商工会議所の副会頭をやられておる方は、これはまだ現職でありますが、中小
企業、科学、日新林業取締役をやっておられる方は林業、文化とか、この経歴見ても文化にどれだけ
関係があるのかと考えさせられる経歴。それからまた経団連の専任副
会長をやっておられる方、この方は経済、あるいは日経連
理事、四国電力取締役、これは今回の
委員、生産性本部の
理事をやっておられる方が公益
企業と、こういうふうに分けられていますが、経済は経団連専務副
会長の方だけ、あとはまあ
機械工業、さらには公益
事業、中小
企業と分離されていますが、これらの分離というのがきわめて無理に分離をされ、全部ひっくるめて産業出身の方ではないでしょうか。もっと広範な、公正な各方面をという配慮がもっと私はあってしかるべきではないか、この辺が第一点であります。
いろいろ名前を申し上げることは差し控えます。婦人の方は一人おられます。文化となっています。日本の人口の中の半分は婦人であります。そして茶の間まで入っていくテレビを見ておられる方は婦人の方が大
部分。そうすると、婦人の方をもっとやっぱり公正な代表、文化というよりも婦人代表でこの
経営委員の人選に考えるべきではないか。
もう一つは、各分野と言われておりますが、宮脇さんが亡くなられた後、農業代表、そう強いて言うならば、そういう点についての配慮が、あるいはもっと、たとえば三十九年の放送電波の臨時放送
関係法制調査会が答申を出しました中にも、こういう分類の仕方というのは適切ではないだろう。地方から出てくる八名についてはもっと広範に、そういう産業の分野、そういうものにこだわらずに考えるべきではないかという答申なんです。
官房長官、私は、そういう面で、今回のこの人選の中でなんかんずく
指摘をしたいのは言論機関なんです。私は実はこれはこの間から当
委員会で言っているんですが、この十六条に、言論
関係については、「
放送事業者若しくは新聞社、通信社その他ニュース若しくは情報の頒布を業とする
事業者又はこれらの
事業者が法人であるときはその役員若しくは職員若しくはその法人の議決権の十分の一以上を有する者」はこれは排除されていろのです。これは何かというと、放送問題でいまここで私はことさら申し上げません。マスメディアの集中排除というのはわが国の民主主義の根幹になっている、あるいは放送行政の。いままで、安倍さん御存じのように大阪の腸捻転事件以来、各民放が新聞系列化されて、マスメディアの集中排除という
原則が崩れつつあるという不安を国民が持っている。四チャンネルは読売、六チャンネルは毎日、八チャンネルはサンケイですか、十チャンネルは朝日、十二チャンネルは日経と、そして
全国的に地方ローカル放送との
関係の系列化、こういうものが進むことをはだ身に
感じている。
そういう中で、ここで言う新聞、放送等の
事業者の法人であるその役員もしくは職員まで、そういう者については排除をしてきた、この法律から言って。言論界の方々は社友という形で入っている。社友というのは、長い間言論界で大変な活躍をされておりますが、私は職員あるいはそれ以上の影響力を持っておられる方々だと思っております。これは一概に排除することもどうかと思いますが、この辺は慎重に考えていかないと、言うところの日本マスメディアの集中排除という
原則に沿って日本の民主主義の根幹を守っていく、これは与野党とも同じだと思います。できるだけ政治的中立の中で、私
どもを含めて政治権力からできるだけ遠いところで国民の側に立っていかないと、
NHKというのは大変な事態を迎えようとしているというふうに私は危機感を持っているんです。
御案内のように本年までは五十一年値上げをして収支はとんとんで三年。
受信料の不払いといいますか、
契約の不払いが五十億に上っているわけです。これは
受信料の
欠損償却の分、五十億に上っている。金は入ってこない。あるいは
契約率から見ても
受信者の八二・二%の
契約率でしかない。約百万ぐらいは未払い、要するに
契約も結ばないという人、あるいは一部には意識的な不払い運動というものがある。こういうのも実は
受信料制度で成り立っていく国民の公共
放送事業である
NHKの将来を考えていく場合に、五十三
年度予算でも収支の伸び率は約三%、収支は一一・二%ですから、その差は八%ぐらいあるわけです。赤が出ていくのはあたりまえなんです。さあ
NHK膨大な赤になりました、国民の
受信料上げますということだけでは解決しない。国民が積極的に
NHKを支えていくというのはやっぱり
経営委員、根幹である
経営委員会が公正だという、われわれの代表だということでこれに協力をする、理解をする、そういう体制がつくられなくちゃならぬ。これは私は政治の責任だと思う。
そこで、この放送
協会の
経営委員の人選について、このことについてひとつ
政府、官房人事ですから、私は各
関係方面の意見を十分に聞いた上で、あるいは
国会は国民の代表としてこうやって予算や
決算を
審議している。重要な、しかも野党第一党といったら手前みそになりますが、そういうところから反対せざるを得ないような人選でなくして、各党が協力をしていけるような各方面の広範な、たとえば労働代表もこの中に、この答申の中にもそういうものも配慮をすべきだと言われている、今日の法体系の中ではそういう形ぐらいしか取るべき手段がありませんから、私は官房長官に、そういう面についての配慮をすべきではないのか、その辺について御見解をまず承りたい。