○市川房枝君 公益法人の中に婦人会館というのがありますが、大臣なり大蔵当局はそれはどういうものか御存じでしょうか。昨年、埼玉県に国立の婦人教育会館というのができまして、これは国費七十億円ぐらい出て建った実にりっぱなものができておりますから、あるいはそれはごらんになって、あるいは覚えておいでになるかと思うのですが、この文部省の国立の婦人会館に対しては、私は本当はずっと反対をしてまいったのです。採決の際も反対投票をしたわけなんですが、それは私は、都会から離れたああいう
場所にそういうりっぱなものをつくって一体だれが利用するのか。むしろ地方各地に小さいものといいますか、そんなに金をかけなくても一般の大衆の婦人が利用ができるようなものを幾つかつくる方がいいんじゃないかと、こういう
立場で実は反対したのですが、もっとも会館が開かれましてからは予想以上にわりあい大ぜいの人が利用をしておるようであります。ただし、これは珍しいから行くんであって、いつまでそういう状態が続くかとは思うわけですが。
きょう私が問題にしようと思うのは、そういう国立あるいはまあ府県、市町村でなくて私立の婦人会館、そういうものについてきょうは税法上の問題に主として関連して伺おうとしているわけです。
文部省は五十三年八月に「婦人教育及び家庭教育に関する施策の現状」という報告書を出しているんですが、この中で婦人教育施設の一つとして公私立婦人会館というのを挙げております。それからその数は
全国で百七あると、そしてそのうちの五十、約半数は私立の婦人会館という数字を出しております。この私立の婦人会館は、私が記憶するところでは終戦の後、各地方で婦人たちがいろんな方法でもって細かい金を集めて、そして建てて、自分たちの教育あるいは生活
改善あるいは婦人たちとの交流の場にしようとして建設したものなんです。公益法人としての認可を受けているわけなんですが、しかし婦人の教育のため、経営のためにお金が要る。それはどうするかということで、結局その建物を利用して宿泊の設備を幾らかする。あるいは生活
改善の
立場からの結婚式場に使うとか、あるいは出版とか、そういう収益をそのための費用に充ててきたと、こういう実情で、いわゆる収益事業というか利益を上げることを目的とした事業ではなくして、いま申したような
立場で、したがって料金も安いということになり、一般の人たちが便宜が得やすいようにしておるわけでありまして、それをしかし税法上ではいわゆる収益事業と、こういうことで、いま御答弁がありましたように、収益事業については利益の三〇%までは一般会計の方へ寄付という名目でしてもよろしい。それからあとの利益に対しては二八%でしたか、課税をすると。それは一般の法人の収益に対する課税よりも安くしてあるんだと、こういうことで事実はあるにはあるのですけれ
ども、現在その収益が少なく、税金にかなり持っていかれるので収益が少なくなり、したがって公益事業に使う金がだんだん少なくなってくる。いや、この不景気で、あるいは婦人たちも意欲を失ってきていると。あるいは将来どうなっていくか見通しがつかないというようなことなどで、いま私立の婦人会館は本当に存立の危機に直面していると、こう言っていいと思います。
その公私立婦人会館は、毎年いわゆる
全国婦人会館
協議会
全国大会なんていうようなものも開いておって、そして婦人会館の当面する問題についでいろいろ
協議をしておるわけですが、この大会に対しては四、五年前から文部省が半額の補助をしておると、こういう会合なんですが、その会合の、私がここに持っているのは昨年の記録でございますが、その中の第三分科会というので会館の経営についての分科会を開いているんですが、それには税理士の方も出席をしてもらっていわゆる税金に関することを、それで困ることといいましょうか、それが具体的に一々出ておりまして、かねて私も予想はしていたんですけれ
ども、非常に苦しそうだといいますか、困るということをそれがあらわしておるわけでありますが、いま
お話のありました、そういう婦人会館というものは同じ公益法人でも私はいま言ったような特殊な
立場を持ってきておるんで、それこそさっきの三〇%というのを、
学校法人は五〇%までですね、それくらいにしていただけないか、あるいは二八%の課税をもう少し少なくしていただけないか、いや、本当はこういう婦人会館は国がすべきことをやっているんだから本当は当然無税にしていただいてもいいと。いや、こういうのに対してはそれは補助金という面もありますけれ
ども、私は補助金というよりも、むしろ税制の上で考えていただく方が望ましいと、こういうふうに考えておるわけなんですけれ
ども、その点の税制の軽減ということなんかはできないかどうか、これは大臣にちょっと
伺いたいんです。