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小笠原貞子君 いま深刻なこの不況下の中で、これ以上
失業者を出さないために、また同時に、離職した方々の職場を
創出し、働く者の暮らしと権利を守るという非常に重大な課題がこの
法案審議に当たって課せられていると思うわけでございます。そういう大事な中で、一番問題にしなければならない重要な点が私は三つあると思うのです。
その第一の問題は、この深刻な経済危機というのは、天然現象で起きたわけではない。こういう現象が、こういう経済危機が、特に構造的危機と言われるような問題がなぜ起こってきたかというのが最初の問題でございます。で、わが党がいつも言っております。これはいま言いましたように天然現象ではございません。簡単に言えば、対米従属、そして大
企業を
中心にした資本蓄積を
中心とする高度経済成長
政策、設備投資がどんどん進められた、そのことが原因となってこの経済危機がつくり出されてきたという点をきちっと押さえていかなければならないと思います。
それから第二の
問題点としては、俗に言われております
企業城下町、この
企業城下町において、大
企業が社会的に責任を負う立場にあるということを第二の点としてはっきりさせておきたいと思います。
あと具体的に質問をいたしますけれども、たとえば室蘭に参りまして、そして児童
相談所を訪ねますと、特徴的なことは、奥さんが蒸発してしまった、そして
父子家庭が
増加しているということが言われましたし、また質屋さんへ行って聞いてみますと、下請の方々を
中心とする質屋通いの方がふえてきたというのが出ておりました。そして、商店街の
景気はどうなんだと聞きますと、やはり売り上げが二〇%
程度はもうなくなってきているというような、いわゆる
企業城下町における大
企業が
失業者をつくり出すということが、どんなに大変な
状況をつくり出すかという立場から、その社会的責任というものを考えなければならないと思うわけです。
それでは、現実に起こってきたいまの不況という問題なんですけれども、この三番目の問題です。この不況の責任を一体だれが負うのだろう。労働者に責任があるとは思いません。やはり、無
政府的に資本蓄積を
中心にして設備投資をどんどん進めてきた
企業と、そしてそれを後押しというよりも、むしろ主導的に進められてきた大商社だとか、大金融機関というようなものにこそその責任の大きな部分をはっきり持ってもらわなければならない、こういうふうに、私は経済危機の原因と
企業城下町における大
企業の社会的責任、そして三番目にこの責任はだれが負うのかという点をはっきりさせてこれらの問題に対処していかなければならない、そう思うわけです。
ところが、現実にいろいろ問題が出ておりますが、この現実起こっている問題を調べますと、いま私が申しました立場で言えば、大
企業のやり方というのは全く私が
指摘したのと逆の立場でございます。あくまでも、この不況を乗り切るために人減らし、合理化を図り、そしてその中で労働強化を強いて、そして労働条件の引き下げ、
基準法や、それから労働
関係法令に反してまでも乗り切ろうというような、一方的に労働者、下請に責任を負わして乗り切ろうとしている。ここが私は非常に許せない問題だと思うんです。
そこで、具体的にお伺いしてまいりたいと思います。
室蘭には、御承知のように新日鉄、日本製鋼という大きな会社がございます。この日本製鋼でございますけれども、ことしの四月から十一項目にわたる
経営改善対策を労使合意に基づいて
実施してきております。第一は
教育訓練の
実施、第二が一時帰休の
実施、第三自宅研修制度の導入、第四外注の減少に伴う要員の流動、第五残業ゼロ
対策、第六退職勧奨の徹底、まあ十一まであるわけでございます。その中で、いま申しました中の一つ、残業ゼロ
対策という具体的な問題についてお伺いしていきたいと思います。
この残業がゼロになっていると。なっているというよりもゼロにするという方針でございますけれども、実際はどうなんだと調べてみますと、本事務所
関係は一人平均月五十時間の残業です。現場事務所では四十時間、現場の班長に至っては六十時間の残業です。現場一般
作業者、製鋼工場など月十時間、残業のゼロ
対策だから、残業代というものは全然出ないというふうになっている。しかし、実態は
作業日程上残業をしなければ生産を上げていくことができないというわけで、実態は残業をさせて、まあさせてというのが後で問題になろうかと思いますが、残業をしているわけです。労働者は、これを労働
基準法違反残業と言いながらも、これをしなければならないような状態に置かれてきているわけです。いわゆる全くのサービス残業ということになっていたわけなんです。私は、これは行ってその当事者の方たちに聞いてみて、これは大変な問題だと思いましたけれども、こういう実情について
労働省としては御存じでいらっしゃいましたでしょうか。もし御存じでしたら、それについてどうお考えか、また御存じでなければ十分な御調査もお願いしたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。